JP2023048023A - 毛髪保護剤 - Google Patents

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瑞希 坂田
Mizuki Sakata
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Abstract

【課題】本発明は、毛髪に汚染物質が付着することに加えて、毛髪が紫外線から受けるダメージを抑制する毛髪保護剤を提供する。【解決手段】低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含む毛髪保護剤と、それを毛髪に塗布することを特徴とする毛髪の保護方法。【選択図】図1

Description

本発明は、毛髪の保護剤に関し、より詳細には、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することで、紫外線や汚染物質から毛髪のダメージを守る、毛髪保護剤に関する。
毛髪は、様々な要因によって、ダメージを受けている。カラーリングやパーマの際の薬剤に対するダメージ、洗髪やブラッシングの際の摩擦によるダメージ、特に、花粉や粉塵といった微細粒子が付着した際には、少しの摩擦でも、毛髪は多大なダメージを受ける。
これらのダメージから毛髪を守る毛髪保護剤は非常に重要であり、その開発が望まれており、最近では、アルキルトリメチルアンモニウム塩のような界面活性剤を配合することで、毛髪同士の摩擦によるダメージからの保護を達成した毛髪化粧料等が報告されている(特許文献1)。
さらに、毛髪は、太陽光による紫外線や赤外線でも、ダメージを受けている。毛髪や頭皮に当たる紫外線の量は、顔と比べて2倍から5倍にもなると言われている。これらダメージを防ぐためには、日傘や帽子等によって、直接、日光を遮ることも一法ではあるが、より直接的に毛髪を保護する方法が望まれている。紫外線から毛髪を保護する方法としては、紫外線吸収剤を配合した毛髪化粧料等が報告されている(特許文献2)。
一方、本願発明者らは、低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有する化粧料が、毛髪表面に被膜を形成し、毛花粉等のアレルゲンやPM2.5等の微小粒子状物質などの有害物質の付着を防止することを見出している(特許文献3)。
特開2021-91665 特開2017-109990 国際公開WO2021/132653
上記、毛髪化粧料らは、それぞれ、摩擦に対するダメージの軽減、紫外線からの保護、有害物質の付着の抑制を達成できるものであるが、これらを同時に達成できる毛髪保護剤が強く求められていた。
本発明の目的は、毛髪表面に本願保護剤を塗布することにより、汚染物質の付着を防止する上に、紫外線からの毛髪のダメージを抑制する新たな材料を提供することである。
本発明者らは、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有する材料を、毛髪表面に塗布することにより汚染物質の付着を防止する上に、紫外線からの毛髪のダメージを抑制することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、第1観点として、低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とする毛髪保護剤。
第2観点として、前記脂質ペプチド型化合物が、炭素原子数9乃至23の脂肪族基からなる脂質部に、アミノ酸の繰り返し結合構造を有するペプチド部が結合された化合物である、第1観点に記載の毛髪保護剤。
第3観点として、前記脂質ペプチド型化合物が、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする、第2観点に記載の毛髪保護剤。
Figure 2023048023000002

(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、Rは水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、Rは-(CH-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
Figure 2023048023000003

(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
Figure 2023048023000004

(式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至R12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキ
ル基、又は-(CH-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
第4観点として、光に対する保護効果を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の毛髪保護剤。
第5観点として、前記光が、紫外線である請求項4に記載の毛髪保護剤。
第6観点として、毛髪の表面に、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の毛髪保護剤を塗布することを特徴とする、毛髪の保護方法。
第7観点として、光に対して毛髪を保護することを特徴とする、第6観点に記載の保護方法。
第8観点として、前記光が、紫外線である第7観点に記載の保護方法。
本発明によれば、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することにより、毛髪に対する汚染物質の付着を抑制できる上に、紫外線からのダメージを抑制する毛髪保護剤を提供することができる。すなわち、あらゆるダメージから毛髪を保護する方法を提供することができる。
図1は、実施例1及び比較例1における、各毛髪束を撮影した写真である。 図2は、実施例1及び比較例1における、各毛髪表面を走査型電子顕微鏡(SEM)撮影した写真である。 図3は、実施例2及び比較例2における、各毛髪表面を走査型電子顕微鏡(SEM)撮影した写真である。
本発明は、低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とする毛髪保護剤に関する。
上記の脂質ペプチド型化合物としては、炭素原子数9乃至23の脂肪族基からなる脂質部に、アミノ酸の繰り返し結合構造を有するペプチド部が結合された化合物であることが好ましい。
また、上記の脂質ペプチド型化合物としては、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的に使用可能な塩(疎水性部位である脂質部と親水性部位であるペプチド部とを有する低分子化合物)のうちの少なくとも1種からなることがより好ましい。
Figure 2023048023000005
上記式(1)において、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、Rは不飽和
結合を0乃至2個有し得る炭素原子数11乃至23の直鎖状脂肪族基であることが好ましい。
及び隣接するカルボニル基で構成される脂質部(アシル基)の具体例としては、ラウロイル基、ドデシルカルボニル基、ミリストイル基、テトラデシルカルボニル基、パルミトイル基、マルガロイル基、オレオイル基、エライドイル基、リノレオイル基、ステアロイル基、バクセノイル基、オクタデシルカルボニル基、アラキドイル基、エイコシルカルボニル基、ベヘノイル基、エルカノイル基、ドコシルカルボニル基、リグノセイル基、ネルボノイル基等を挙げることができ、特に好ましいものとして、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、マルガロイル基、ステアロイル基、オレオイル基、エライドイル基及びベヘノイル基が挙げられる。
上記式(1)において、ペプチド部に含まれるRは、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表す。
上記炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至4であり、かつ炭素原子数1若しくは2の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基又はtert-ブチル基などが挙げられる。
上記Rは好ましくは、水素原子、又は炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
炭素原子数1の分岐鎖を有し得る炭素原子数1乃至3のアルキル基とは、主鎖の炭素原子数が1乃至3であり、かつ炭素原子数1の分岐鎖を有し得るアルキル基を意味し、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、i-ブチル基又はsec-ブチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、i-プロピル基、i-ブチル基又はsec-ブチル基である。
上記式(1)において、Rは-(CH)n-X基を表す。上記-(CH)n-X基において、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。
上記Rを表す-(CH)n-X基において、Xは好ましくはアミノ基、グアニジノ基、カルバモイル基(-CONH基)、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基又はインドール基であり、より好ましくはイミダゾール基である。また、上記-(CH)n-X基において、nは好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
従って、上記-(CH)n-基は、好ましくはアミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基、4-アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2-カルバモイルエチル基、3-カルバモイルブチル基、2-グアニジノエチル基、3-グアニジノブチル基、ピロールメチル基、4-イミダゾールメチル基、ピラゾールメチル基、又は3-インドールメチル基を表し、より好ましくは4-アミノブチル基、カルバモイルメチル基、2-カルバモイルエチル基、3-グアニジノブチル基、4-イミダゾールメチル基又は3-インドールメチル基を表し、さらに好ましくは4-イミダゾールメチル基である。
上記式(1)で表される化合物において、脂質ペプチド型化合物として特に好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。なお、本明細書において、アミノ酸の略称としては、アラニン(Ala)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、トリプトファン(Trp)、バリン(Val)を表す。ラウロイル-Gly-His、ラウロイル-Gly-Gln、ラウロイル-Gly-Asn、ラウロイル-Gly-Trp、ラウロイル-G
ly-Lys、ラウロイル-Ala-His、ラウロイル-Ala-Gln、ラウロイル-Ala-Asn、ラウロイル-Ala-Trp、ラウロイル-Ala-Lys;ミリストイル-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gln、ミリストイル-Gly-Asn、ミリストイル-Gly-Trp、ミリストイル-Gly-Lys、ミリストイル-Ala-His、ミリストイル-Ala-Gln、ミリストイル-Ala-Asn、ミリストイル-Ala-Trp、ミリストイル-Ala-Lys;パルミトイル-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gln、パルミトイル-Gly-Asn、パルミトイル-Gly-Trp、パルミトイル-Gly-Lys、パルミトイル-Ala-His、パルミトイル-Ala-Gln、パルミトイル-Ala-Asn、パルミトイル-Ala-Trp、パルミトイル-Ala-Lys;ステアロイル-Gly-His、ステアロイル-Gly-Gln、ステアロイル-Gly-Asn、ステアロイル-Gly-Trp、ステアロイル-Gly-Lys、ステアロイル-Ala-His、ステアロイル-Ala-Gln、ステアロイル-Ala-Asn、ステアロイル-Ala-Trp、ステアロイル-Ala-Lys。
最も好ましいものとして、ラウロイル-Gly-His、ラウロイル-Ala-His;ミリストイル-Gly-His、ミリストイル-Ala-His;パルミトイル-Gly-His、パルミトイル-Ala-His;ステアロイル-Gly-His、ステアロイル-Ala-Hisが挙げられる。
Figure 2023048023000006
上記式(2)において、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のRで定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(2)において、R乃至Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH)n-X基を表し、且つR乃至Rのうち少なくとも一つ以上が-(CH)n-X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。ここでR乃至Rの好ましい具体例としては、前出のR及びRで定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(2)で表される化合物において、好適な脂質ペプチドとしては、以下の脂質部とペプチド部(アミノ酸集合部)から形成される化合物である。ラウロイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-Gln、ミリストイル-Gly-Gly-Asn、ミリストイル-Gly-Gly-Trp、ミリストイル-Gly-Gly-Lys、ミリストイル-Gly-Ala-His、ミリストイル-Gly-Ala-Gln、ミリストイル-Gly-Ala-Asn、ミリストイル-Gly-Ala-Trp、ミリストイル-Gly-Ala-Lys、ミリストイル-Ala-Gly-His、ミリストイル-Ala-Gly-Gln、ミリストイル-Ala-Gly-Asn、ミリストイル-Ala-Gly-Trp、ミリストイル-Ala-Gly-Lys、ミリストイル-Gly-His-Gly、ミリストイル-Hi
s-Gly-Gly、パルミトイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-Gln、パルミトイル-Gly-Gly-Asn、パルミトイル-Gly-Gly-Trp、パルミトイル-Gly-Gly-Lys、パルミトイル-Gly-Ala-His、パルミトイル-Gly-Ala-Gln、パルミトイル-Gly-Ala-Asn、パルミトイル-Gly-Ala-Trp、パルミトイル-Gly-Ala-Lys、パルミトイル-Ala-Gly-His、パルミトイル-Ala-Gly-Gln、パルミトイル-Ala-Gly-Asn、パルミトイル-Ala-Gly-Trp、パルミトイル-Ala-Gly-Lys、パルミトイル-Gly-His-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-His。
これらのうち、最も好ましいものとして、ラウロイル-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-His-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-Hisが挙げられる。
Figure 2023048023000007
上記式(3)において、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、好ましい具体例としては、前出のRで定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(3)において、R乃至R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH)n-X基を表し、且つR乃至R12のうち少なくとも一つ以上が-(CH)n-X基を表す。nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環、又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。ここでR乃至R12の好ましい具体例としては、前出のR及びRで定義したものと同じ基が挙げられる。
上記式(3)で表される化合物において、好適な脂質ペプチド型化合物としては、ラウロイル-Gly-Gly-Gly-His、ミリストイル-Gly-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-Gly-His、パルミトイル-Gly-Gly-His-Gly、パルミトイル-Gly-His-Gly-Gly、パルミトイル-His-Gly-Gly-Gly、ステアロイル-Gly-Gly-Gly-His等が挙げられる。
本発明において、脂質ペプチド型化合物の含有量は、毛髪保護剤の総質量に対して、例えば0.01乃至30質量%、好ましくは、0.02乃至10質量%、より好ましくは0.03乃至5質量%である。
なお、本発明において、脂質ペプチド型化合物は、上記式(1)乃至式(3)で表される化合物(脂質ペプチド)又はその薬学的な使用可能な塩のうちの少なくとも1種を用いることがより好ましく、これら化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の毛髪保護剤は、少なくとも1種の上記脂質ペプチド型化合物の他に、水、アルコール、多価アルコール又はそれらの混合溶液を含むことができる。
上記水としては、浄水、精製水、硬水、軟水、天然水、海洋深層水、電解アルカリイオン水、電解酸性イオン水、イオン水、及びクラスター水などが挙げられる。
上記アルコールとは、1価のアルコールであり、例えば、水に任意の割合で溶解する炭素原子数1乃至6のアルコール、具体的にはメタノール、エタノール、2-プロパノール及びi-ブタノール等、並びに高級アルコール、具体的には、オレイルアルコール及びフェノキシアルコールなどが挙げられる。
上記多価アルコールとは、2価以上のアルコールであり、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセリン、イソペンチルジオール、エチルヘキサンジオール、エリスルロース、オゾン化グリセリン、カプリリルグリコール、グリコール、(C15-18)グリコール、(C20-30)グリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、ジグリセリン、ジチアオクタンジオール、DPG、チオグリセリン、1,10-デカンジオール、デシレングリコール、トリエチレングリコール、チリメチルギドロキシメチルシクロヘキサノール、フィタントリオール、フェノキシプロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、メチルプロパンジオール、メンタンジオール、ラウリルグリコール及びポリプロピレングリコールが挙げられる。
本発明において、多価アルコールを含む場合、その含有量は、毛髪保護剤の総質量に対して、例えば1質量%乃至60質量%、好ましくは、1質量%乃至30質量%とすることができる。
なお、本発明において、多価アルコールを含む場合、多価アルコールは単独で、又は二種以上を組み合わせて用いられ得る。
本発明の毛髪保護剤は、少なくとも1種の上記脂質ペプチド型化合物の他に、界面活性剤を含むことができる。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が好ましいものとして挙げられる。界面活性剤として好ましいものを例示すると、陰イオン性界面活性剤としては、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキル硫酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸メチルアラニンナトリウム等のアシルN-メチルアミノ酸塩;ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、ココイルアラニントリエタノールアミン等のアシルアミノ酸塩;ラウレス酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム等のコハク酸エステル塩;脂肪酸アルカノールアミドエーテルカルボン酸塩;アシル乳酸塩;ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩;脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の脂肪酸グリセリド硫酸塩;アルキルベンゼンポリオキシエチレン硫酸塩;α-オレフィンスルホン酸ナトリウム等のオレフィンスルホン酸塩;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;スルホコハク酸ラウレ
ス2ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルエーテルスルホコハク酸塩;テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩;アシルイセチオン酸塩;アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩;アルキルスルホ酢酸塩;ラウレスリン酸ナトリウム、ジラウレスリン酸ナトリウム、トリラウレスリン酸ナトリウム、モノオレスリン酸ナトリウム等のアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウリルリン酸カリウム等のアルキルリン酸エステル塩;カゼインナトリウム;アルキルアリールエーテルリン酸塩;脂肪酸アミドエーテルリン酸塩;ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等のリン脂質類;カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン等のシリコーン系陰イオン性界面活性剤等;非イオン性界面活性剤としては、ラウレス(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)類、セテス(ポリオキシエチレンセチルエーテル)類、ステアレス(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)類、ベヘネス(ポリオキシエチレンベヘニルエーテル)類、イソステアレス(ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル)類、オクチルドデセス(ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル)類等の種々のポリオキシエチレン付加数のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油トリイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸等のヒマシ油及び硬化ヒマシ油誘導体;ポリオキシエチレンフィトステロール;ポリオキシエチレンコレステロール;ポリオキシエチレンコレスタノール;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン還元ラノリン;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン2-デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリセリンエーテル等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール;PPG-9ジグリセリル等の(ポリ)グリセリンポリオキシプロピレングリコール;ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸部分エステル類;ステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、同10、トリステアリン酸ポリグリセリル-2、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(ジイソステアリン酸ジグリセリル)、同3、同10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、トリオレイン酸ポリグリセリル-2、デカオレイン酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸エチレングリコール等のエチレングリコールモノ脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル;ペンタエリスリトール部分脂肪酸エステル;ソルビトール部分脂肪酸エステル;マルチトール部分脂肪酸エステル;マルチトールエーテル;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロー
ルソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、ウンデシレン酸トレハロース等の糖誘導体部分エステル;ラウリルグルコシド、(カプリリル/カプリル)グルコシド及びカプリリルグルコシド等のアルキルグルコシド;アルキルポリグリコシド;ラノリンアルコール;還元ラノリン;ポリオキシエチレンジステアレート、ポリチレングリコールジイソステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンジオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸モノ及びジエステル;ポリオキシエチレン・プロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート等のポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトールモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールペンタオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトールミツロウ等のポリオキシエチレン動植物油脂類;イソステアリルグリセリルエーテル、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル類;多価アルコールアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;テトラポリオキシエチレン・テトラポリオキシプロピレン-エチレンジアミン縮合物類;サポニン、ソホロリピッド等の天然系界面活性剤;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)、パルミチン酸ジエタノールアミド(パルタミドDEA)、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)等の脂肪酸アルカノールアミド類;ラウラミンオキシド、コカミンオキシド、ステアラミンオキシド、ベヘナミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;ポリオキシエチレンアルキルメルカプタン;ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン等のシリコーン系非イオン性界面活性剤等;陽イオン性界面活性剤としては、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムクロリド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロリド;ステアリルトリモニウムブロミド等のアルキルトリメチルアンモニウムブロミド;ジステアリルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロリド;ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等の脂肪酸アミドアミン及びその塩;ステアロキシプロピルジメチルアミン等のアルキルエーテルアミン及びその塩又は四級塩;エチル硫酸長鎖分岐脂肪酸(12~31)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等の脂肪酸アミド型四級アンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルアミン及びその塩又は四級塩;アルキルアミン塩;脂肪酸アミドグアニジウム塩;アルキルエーテルアミンモニウム塩;アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩;塩化セチルピリジニウム等のピリジニウム塩;イミダゾリニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、カチオン変性及びポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性及びポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系陽イオン性界面活性剤等;両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等のN-アルキル-N,N-ジ
メチルアミノ酸ベタイン;コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドアルキル-N,N-ジメチルアミノ酸ベタイン;ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム等のイミダゾリン型ベタイン;アルキルジメチルタウリン等のアルキルスルホベタイン;アルキルジメチルアミノエタノール硫酸エステル等の硫酸型ベタイン;アルキルジメチルアミノエタノールリン酸エステル等の
リン酸型ベタイン;ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、リゾレシチン、水素添加大豆リン脂質、部分水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、部分水素添加卵黄リン脂質、水酸化レシチン等のリン脂質類;シリコーン系両性界面活性剤等;高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントガム、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体;シリコーン系各種界面活性剤が好ましいものとして挙げられる。
本発明の保護剤は、必要に応じて一般に化粧品用添加剤や、医薬部外品用添加剤及び医薬用添加剤として使用可能な添加剤などを含むことができ、例えば、油性基剤、保湿剤、感触向上剤、上記以外の界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、殺菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、無機塩、紫外線吸収剤、ビタミン類及びその誘導体類、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、消炎剤、抗炎症剤、等が挙げられる。
これらその他添加剤の含有量は、その種類によって種々変化し得るが、毛髪保護剤の総質量に対して、例えば0.001質量%乃至20質量%、あるいは0.01質量%乃至10質量%程度とすることができる。
本発明の毛髪保護剤は、毛髪の表面に当該保護剤を塗布することで、毛髪のダメージを抑制することができる。塗布する方法としては、毛髪の表面に均一に塗布することができる方法であれば特に限定はされないが、簡便さという観点では、噴霧する方法が好ましい。
本発明の毛髪保護剤は、毛髪の表面に塗布した後に、水等で洗い流さないことが好ましく、特に、塗布した後に、乾燥させて使用することが好ましい。
本発明の毛髪保護剤は、例えば、少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物、水及び所望によりその他の成分を加熱しながら混合、撹拌した後、静置放冷することによって製造され得る。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
以下、本技術につき実施例を用いて詳細に説明するが、本技術はこれら実施例に限定されるものではない。
[合成例1:脂質ペプチド(N-パルミトイル-Gly-His)の合成]
本実施例において用いた脂質ペプチド型化合物は、以下に示す方法で合成した。
500mLの4つ口フラスコに、ヒスチジン14.2g(91.6mmol)、N-パルミトイル-Gly-メチル30.0g(91.6mmol)、トルエン300gを投入し、塩基であるナトリウムメトキサイド 28%メタノール溶液35.3g(183.2mmol)を加え、油浴で60℃に加熱し1時間撹拌を続けた。その後、油浴を外し、2
5℃まで放冷し、この溶液をアセトン600gで再沈殿させ、濾取した。ここで得られた固体を、水600gとメタノール750gの混合溶液に溶解し、ここに6規定塩酸30.5ml(183.2mmol)を加えて中和し固体を析出させ、ろ過した。次に、得られた固体をテトラヒドロフラン120gと水30gの混合液に60℃で溶解させ、酢酸エチル150gを加え、60℃から30℃まで冷却した。その後、析出した固体をろ過した。さらに得られた固体を、テトラヒドロフラン120gとアセトニトリル60g溶剤中に溶解し、60℃に加熱し、1時間撹拌した後に冷却し、ろ過した。ここで得られた固体を水120gで洗浄し、ろ過後に減圧乾燥を行いN-パルミトイル-Gly-Hisフリー体(以下、単にPal-GHとも称する)の白色の結晶、26.9g(収率65%)を得た。
[実施例1試料および比較例1試料の調製]
表1に示す割合にて200mLビーカー(HARIO株式会社製)に加え、液温75℃中で30分間加熱撹拌し、均一溶液とした。加熱撹拌後、液温が40℃になるまで室温で撹拌冷却を行い、実施例1及び比較例1を調製した。以上の工程において、撹拌は全て200rpmで行った。
Figure 2023048023000008
*1:(株)感光社製[商品名:KMO-6]
*2:日光ケミカルズ(株)製[商品名:NIKKOL BL-4.2]
*3:花王(株)製[商品名:ルナックS-98]
毛髪保護剤による太陽光ダメージからの保護
[実施例1毛髪および比較例1毛髪の作成]
各人毛黒髪(BS-B-A、(株)ビューラックス製)1束(1.8g)を50mLのサンプル管に入れ、上記で調製した実施例1試料および比較例1試料を20.0g加えた。10分間サンプル管内で静置した後に水で洗い流し、50℃に設定した定温乾燥機(OF-300B、アズワン(株)製)で60分間乾燥させた。この工程を5回繰り返すことで、実施例1毛髪および比較例1毛髪を得た。
[実施例1太陽光照射毛髪および比較例1太陽光照射毛髪の作成]
上記で作成した実施例1毛髪および比較例1毛髪に対して、ソーラーシミュレーターSML-2K1AV4(セリック株式会社製)を用い、AM 1.5G、1000W/m2の条件で処理し、実施例1太陽光照射毛髪および比較例1太陽光照射毛髪を作成した。結果を図1に示す。比較例1毛髪は毛髪のパサつき・広がりが観察された、一方で実施例1太陽光照射毛髪はまとまりを維持していることが確認された(図1)。
[実施例1毛髪および比較例1毛髪表面のSEM観察]
走査型電子顕微鏡(SEM)[Miniscope(登録商標)TM3000((株)日
立ハイテクノロジーズ製)]を用いて、実施例1毛髪および比較例1毛髪の表面観察を実施した。結果を図2に示す。比較例1太陽光照射毛髪は、毛髪表面が焼け剥がれた様子や、キューティクルにクラック(ひび割れ)が観察された。一方で、実施例1太陽光照射毛髪は、健康な毛髪表面を維持しており、実施例1試料で毛髪を処理することで、毛髪を太陽光によるダメージから保護することが示された(図2)。
毛髪保護剤によるPM2.5粒子からの保護
[ブリーチ毛髪の作成]
人毛黒髪(BS-B-A、(株)ビューラックス製)50本に対し、EXハイブリーチ((株)マンダム製)を塗布し、1時間室温で放置することで髪の脱色処理を行った。その後、髪を蒸留水で洗浄し、60℃に設定した定温乾燥機(OF-300B、アズワン(株)製)で60分間乾燥させた。上記操作を計三回繰り返した。その後毛髪を、ドデシル硫酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬(株)製)1質量%を蒸留水に溶解させた水溶液1Lに浸漬させ、蒸留水で洗浄した。ケイドライ(日本製紙クレシア(株)製)で余分な水を取った後、室温で一晩乾燥させることで、ブリーチ毛髪を作製した。
[実施例2毛髪および比較例2毛髪の作成]
上記で作成したブリーチ毛髪1束(1.8g)を、15cm×15cmの秤量皿に置き、スプレーボトルに充填した実施例1試料および比較例1試料を4.0gずつミスト状に降り掛けた。その後、50℃に設定した定温乾燥機(OF-300B、アズワン(株)製)で60分間乾燥させることで、それぞれ、実施例2毛髪および比較例2毛髪とした。
[実施例2毛髪および比較例2毛髪のPM2.5粒子に対するアンチポリューション評価]
30mLサンプル管に、PM2.5粒子(NIES-CRM Nо.都市大気粉塵)を2.0g充填し、上記で作成した実施例2毛髪および比較例2毛髪束の毛先2cmをサンプル管内のPM2.5粒子と接触させて引き上げた。その後、PM2.5粒子が付着した各毛髪表面を走査型電子顕微鏡(SEM)[Miniscope(登録商標)TM3000((株)日立ハイテクノロジーズ製)]により観察した(図3)。
比較例2毛髪は、凝集した多量のPM2.5粒子が毛髪に付着しているのに対して、実施例2毛髪はその付着が抑制されていることが確認された。

Claims (8)

  1. 低分子脂質ペプチド又はその薬学的に使用可能な塩からなる少なくとも1種の脂質ペプチド型化合物を含有することを特徴とする毛髪保護剤。
  2. 前記脂質ペプチド型化合物が、炭素原子数9乃至23の脂肪族基からなる脂質部に、アミノ酸の繰り返し結合構造を有するペプチド部が結合された化合物である、請求項1に記載の毛髪保護剤。
  3. 前記脂質ペプチド型化合物が、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物又はその薬学的に使用可能な塩のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする、請求項2に記載の毛髪保護剤。
    Figure 2023048023000009

    (式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、Rは水素原子、又は炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、Rは-(CH-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
    Figure 2023048023000010

    (式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
    Figure 2023048023000011

    (式中、Rは炭素原子数9乃至23の脂肪族基を表し、R乃至R12はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1若しくは2の分枝鎖を有し得る炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は-(CH-X基を表し、nは1乃至4の数を表し、Xはアミノ基、グアニジノ基、-CONH基、又は窒素原子を1乃至3個有し得る5員環若しくは6員環又は5員環と6員環から構成される縮合複素環を表す。)
  4. 光に対する保護効果を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の毛髪保護剤。
  5. 前記光が、紫外線である請求項4に記載の毛髪保護剤。
  6. 毛髪の表面に、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の毛髪保護剤を塗布することを特徴とする、毛髪の保護方法。
  7. 光に対して毛髪を保護することを特徴とする、請求項6に記載の保護方法。
  8. 前記光が、紫外線である請求項7に記載の保護方法。








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