JP2023047834A - エポキシ系樹脂及び電着塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】低活性の触媒を用いた場合や低温の場合での硬化性、及び、貯蔵安定性に優れ、塗料を構成した際に塗膜仕上がり性及び防食性に優れるエポキシ樹脂を提供すること。さらに、該エポキシ樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂、及び、該アミン変性エポキシ樹脂を含むカチオン電着塗料を提供すること。【解決手段】エポキシ基を1つ以上有する化合物と、1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。b=1の場合、a≠1、c≠2又はd+e+f+g+2h+i≧1のいずれかである。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤と、を少なくとも反応させて得られる、エポキシ系樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ系樹脂及び電着塗料に関する。詳しくは、(i)特定の成分を反応させて得られるエポキシ系樹脂、(ii)特定の特性を有するエポキシ系樹脂、(iii)前記エポキシ系樹脂又はその変性物を含む電着塗料、(iv)前記エポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂、(v)前記アミン変性エポキシ樹脂とビスマス化合物とを含むカチオン電着塗料、に関する。
エポキシ系樹脂は、機械的強度、接着性、耐薬品性等の特性に優れており、塗料の塗膜形成樹脂として広く用いられている。
塗料のうち、電着塗料は、塗装作業性が優れ形成した塗膜の防食性が良好なことから、これらの性能が要求される金属製品(例えば、自動車部品、電気機器部品及びその他の工業用機器等)の塗装に広く利用されている。
電着塗料は、カチオン性樹脂(例えば、アミン変性エポキシ樹脂等)又はアニオン性樹脂(例えば、カルボキシル基含有樹脂等)である塗膜形成樹脂と、硬化剤(例えば、ブロック化ポリイソシアネート化合物等)と、硬化触媒とを、水性媒体中に溶解又は分散した形態で提供される。この塗料組成物を塗装浴に用い、被塗物を陰極又は陽極として通電し、被塗物上に析出塗膜を形成させた後、該析出塗膜を加熱することによって、架橋硬化された塗膜が形成される。
電着塗料においては、架橋反応を促進する硬化触媒として、有機錫化合物が一般的に用いられてきた。しかし、有機錫化合物は、触媒性能は非常に高いものの、安全性や環境面で問題があり使用が規制される可能性から、有機錫化合物に代わる触媒が求められてきた。その代替品として、ビスマス化合物や亜鉛化合物等を用いることが検討されているが、高価であったり、触媒効果が不十分であったり、塗料中で不安定であったりする問題があった。
また、有機錫化合物の触媒を用いる場合でも、硬化性能をできるだけ高める必要があった。
通常、架橋硬化による塗膜形成は、160℃以上の加熱により行われる。しかし、乾燥炉の条件や被塗物の形状などによって、狙いの温度よりも低い温度で焼付けをする部位もある。また、エネルギーコスト削減のために、低温(80~160℃、好ましくは80~130℃)の低温焼付けで行なうことが求められてきている。
低温での焼付けを行なうためには、低温硬化性のブロック化ポリイソシアネート化合物を硬化剤に用いることが一般に行われてきた。しかし、低温での反応性を高めた電着塗料では、長期の貯蔵安定性(浴安定性)が不十分となり、その結果、塗膜の仕上がり性や防食性などが劣る場合があった。
特許文献1には、多官能化されたエポキシ樹脂が記載されている。しかしながら、これらのエポキシ樹脂は、電着塗料に用いられるものではない。また、硬化性、特に、低活性の触媒を用いた場合での硬化性、塗料の貯蔵安定性について検討されていない。
特許文献2、3には、カプロラクトン付加物やフェノール系化合物によって変性されたエポキシ樹脂をアミン変性したアミン変性エポキシ樹脂を用いた電着塗料が記載されている。しかしながら、これらの電着塗料においても、硬化特性、特に低温硬化性、塗料の貯蔵安定性について検討されていない。
中国特許出願公開第104628995号明細書 特開2016-135848号公報 特開2001-279168号公報
本発明の課題は、低活性の触媒を用いた場合や低温の場合での硬化性、及び、貯蔵安定性に優れ、塗料を構成した際に塗膜仕上がり性及び防食性に優れるエポキシ系樹脂を提供することである。また、当該エポキシ系樹脂又はその変性物を含む電着塗料、当該エポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂、及び、当該アミン変性エポキシ樹脂を含有するカチオン電着塗料を提供することである。
発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の成分を反応させて得られるエポキシ系樹脂、特定の特性を有するエポキシ系樹脂、前記いずれかのエポキシ系樹脂又はその変性物を含む電着塗料、前記いずれかのエポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂、及び、前記アミン変性エポキシ樹脂とビスマス化合物を含むカチオン電着塗料、によって上記課題の解決が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、以下のとおりである。
[項1] エポキシ基を1つ以上有する化合物と、
1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。b=1の場合、a≠1、c≠2又はd+e+f+g+2h+i≧1のいずれかである。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤と、
を少なくとも反応させて得られる、エポキシ系樹脂。
[項2] エポキシ基を1つ以上有する化合物と、
1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤と、
を少なくとも反応させて得られ、下記式(1);
(1):
平均多官能化度(X1)=エポキシ系樹脂の1分子当たりの末端数-2
で示されるエポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)が0.1以上である、エポキシ系樹脂。
[項3] 下記式(2);
(2):
平均多官能化濃度(Y1)=エポキシ樹脂の平均多官能化度(X1)÷エポキシ樹脂の重量平均分子量Mw×1000
で示される平均多官能化濃度(Y1)が0.10以上である、項2に記載のエポキシ系樹脂。
[項4] 前記多官能化剤が、2個以上のアミノ基を有するアミン系化合物、3個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸系化合物又はその無水物、3個以上のアルコール性水酸基を有するアルコール系化合物、及び3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物からなる群より選ばれる1種以上を含有する、項1~3のいずれかに記載のエポキシ系樹脂。
[項5] 前記多官能化剤が、1級アミノ基をj個、2級アミノ基をk個、アルコール性水酸基をm個、フェノール性水酸基をn個、カルボキシル基をp個、メルカプト基をq個、スルホン酸基をr個、カルボン酸無水物基をs個、イソシアネート基をt個有する化合物(B)(j、k、m、n、p、q、r及びsはそれぞれ独立に0以上の整数であり、2j+k+m+n+p+q+r+2s≦2である。)をさらに含み、化合物(A)と化合物(B)の含有比率が1/99~99/1の範囲内である、項1~4のいずれかに記載のエポキシ系樹脂。
[項6] 項1~5のいずれかに記載のエポキシ系樹脂が水性媒体に分散している水性樹脂分散体。
[項7] 項1~5のいずれかに記載のエポキシ系樹脂又はその変性物を含む、電着塗料。
[項8] 項1~5のいずれかに記載のエポキシ系樹脂と、アミン化合物と、を反応させて得られる、アミン変性エポキシ樹脂。
[項9] 項8に記載のアミン変性エポキシ樹脂と、硬化剤と、ビスマス化合物と、を含む、カチオン電着塗料。
本発明のエポキシ系樹脂及びアミン変性エポキシ樹脂は、低活性の触媒を用いた場合や低温の場合での硬化性、及び、貯蔵安定性に優れ、塗料を構成した際の塗膜仕上がり性及び防食性に優れている。
さらに、本発明の電着塗料は、低活性の触媒を用いた場合や低温の場合での硬化性、貯蔵安定性、塗膜仕上がり性及び防食性に優れている。
本発明において、「エポキシ系樹脂」とは、エポキシ基を有する樹脂、及び前記エポキシ樹脂のエポキシ基と他の官能基含有化合物とが反応した樹脂の両方を示し、エポキシ基を含有しなくても良い。すなわち、本発明において、「エポキシ系樹脂」は、エポキシ基を有するエポキシ樹脂及び/又はエポキシ基を有しない変性エポキシ樹脂を意味する。また、「エポキシ」を「EP」と省略する場合がある。
本発明において、「多官能」とは官能基の数が2より大きい事である。ただし、本発明においては、エポキシ系樹脂の末端エポキシ基と反応性官能基含有化合物との反応により生成及び/又は導入された官能基が2つ以上あったとしても、この末端部分の官能基の数は1としてカウントする。さらに、エポキシ系樹脂の分子内部の2級水酸基については、反応性が低いこと等から、上記官能基の数に含めないものとする。本発明において、多官能における「官能基」とは、実質的に、ブロック化ポリイソシアネート化合物などの硬化剤と反応できる反応性の官能基のことである。
[エポキシ系樹脂]
<第1の態様に係るエポキシ系樹脂>
本発明の第1の態様に係るエポキシ系樹脂は、
エポキシ基を1つ以上有する化合物と、
1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。b=1の場合、a≠1、c≠2又はd+e+f+g+2h+i≧1のいずれかである。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤と、
を少なくとも反応させて得られる、エポキシ系樹脂である。
反応に際しては、必要に応じて、化合物(A)以外の1分子中に1つ以上の活性水素を有する化合物及び/又はポリイソシアネート化合物をさらに反応させることができる。
本発明の第1の態様に係るエポキシ系樹脂は、その硬化性、特に低活性の触媒を用いた場合の硬化性や低温における硬化性、貯蔵安定性に優れている。さらに、当該エポキシ系樹脂を用いて電着塗料を調製した際に、塗膜の仕上がり性及び防食性に優れている。
(エポキシ基を1つ以上有する化合物)
エポキシ基を1つ以上有する化合物(エポキシ化合物)は、1分子中にエポキシ基を少なくとも1つ、好ましくは2つ以上有する化合物である。本発明において、エポキシ化合物が1分子中に有するエポキシ基の数は、好ましくは2~8であり、より好ましくは、2~6であり、さらに好ましくは2~4であり、最も好ましくは2である。なお、多官能化剤として、3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物を用いる場合には、エポキシ基を1つ又は2つ有する化合物を用いる。
エポキシ化合物の重量平均分子量は特に限定されないが、例えば、少なくとも300、好ましくは400~4,000、さらに好ましくは800~2,500の範囲内の重量平均分子量を有するものが好ましい。また、そのエポキシ当量も特に限定されないが、例えば、少なくとも160、好ましくは180~2,500、さらに好ましくは400~1,500の範囲内のエポキシ当量を有するものが適している。エポキシ化合物としては、例えば、ポリフェノール系化合物とエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)との反応によって得られたエポキシ化合物、分子中にポリアルキレンオキシド鎖を含有しているエポキシ化合物、ダイマー酸ジグリシジルエステル等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明においては、ポリフェノール系化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られたエポキシ化合物が好適に用いられる。
エピハロヒドリンと反応させるポリフェノール系化合物としては、公知のものを制限なく用いることができる。例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-イソブタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-フェニル)-2,2-プロパン、ビス(2-ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,2,2-エタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、α,α,α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
エポキシ化合物としては、分子中にポリアルキレンオキシド鎖を含有しているエポキシ化合物を用いることができる。通常、このようなエポキシ化合物は、(α)エポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有するエポキシ化合物と、アルキレンオキシド又はポリアルキレンオキシドを反応せしめてポリアルキレンオキシド鎖を導入する方法、(β)上記ポリフェノール系化合物と、エポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有するポリアルキレンオキシドとを反応せしめてポリアルキレンオキシド鎖を導入する方法などにより得ることができる。また、既にポリアルキレンオキシド鎖を含有しているエポキシ化合物を用いてもよい(例えば、特開平8-337750号公報参照。)。
ポリアルキレンオキシド鎖中のアルキレン基としては、炭素数が2~8のアルキレン基が好ましく、エチレン基、プロピレン基又はブチレン基がより好ましく、プロピレン基が特に好ましい。
上記のポリアルキレンオキシド鎖の含有量は、電着塗料形成時の安定性、仕上り性及び防食性向上の観点から、エポキシ系樹脂の固形分質量を基準にして、ポリアルキレンオキシドの構成成分としての含有量で、通常1.0~15質量%、好ましくは2.0~9.5質量%、より好ましくは3.0~8.0質量%の範囲内が適当である。
エポキシ化合物としては、ダイマー酸ジグリシジルエステルを用いることができる。このようなエポキシ化合物は、不飽和脂肪酸を二量化して得られるダイマー酸にグリシジル基を導入したものであり、炭素数10~150の直鎖状、分岐状、及び/又は環状の炭化水素基を有することが好ましい。
上記不飽和脂肪酸としては、公知のものを制限なく用いることができるが、エポキシ化合物の柔軟性及び疎水性の観点から、炭素数11~22の高級不飽和脂肪酸が好ましい。
上記高級不飽和脂肪酸としては、公知のものを制限なく用いることができ、具体的には、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、ドコセン酸、分岐オクタデセン酸、分岐ヘキサデセン酸、ウンデシレン酸等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明においては、エピハロヒドリンと、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-イソブタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-フェニル)-2,2-プロパン、ビス(2-ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,2,2-エタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックから選ばれる1種以上を反応して得られるエポキシ化合物の1種以上を用いることが好ましい。
特に好ましくは、ポリフェノール系化合物とエピハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン等)との反応によって得られるエポキシ化合物であって、ビスフェノールAから誘導される下記式
Figure 2023047834000001
市販品としては、例えば、三菱ケミカル(株)からjER828EL、jER1002、jER1004、jER1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。
なお、前述したとおり、上記式におけるエポキシ系樹脂の分子内部の2級水酸基は多官能としての官能基に含めないものとする。また、例えば上記式の末端エポキシ基と反応性官能基含有化合物が反応して得られた変性エポキシ系樹脂において、該エポキシ基が反応して現れた水酸基も本発明における多官能としての官能基に含めないものとする。
(多官能化剤)
多官能化剤は、1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。b=1の場合、a≠1、c≠2又はd+e+f+g+2h+i≧1のいずれかである。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する。
このうち、前記多官能化剤は、2個以上の1級アミノ基を有するアミン系化合物、3個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸系化合物又はその無水物、3個以上のアルコール性水酸基を有するアルコール系化合物、3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物からなる群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
また、前記多官能化剤は、1級アミノ基をj個、2級アミノ基をk個、アルコール性水酸基をm個、フェノール性水酸基をn個、カルボキシル基をp個、メルカプト基をq個、スルホン酸基をr個、カルボン酸無水物基をs個有する化合物(B)(j、k、m、n、p、q、r及びsはそれぞれ独立に0以上の整数であり、2j+k+m+n+p+q+r+2s≦2である。)をさらに含んでいてもよい。前記化合物(A)と前記化合物(B)の含有比率は、特に限定されず、例えば1/99~99/1(質量比)の範囲内であることが好ましい。
2個以上の1級アミノ基を有するアミン系化合物としては、例えば、エチレンジアミン、p-ジアミノベンゼン、m-ジアミノベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、2,2’-ジアミノジエチルアミン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、3,3’-ジアミノジプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、2,2’-ビス(メチルアミノ)-N-メチルジエチルアミン、トリアミノベンゼン、トリアミノナフタレン、テトラアミノベンゼン、テトラアミノナフタレン、トリエチレンテトラミン、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルエーテル、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルスルホン、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルケトン、3,3’,4,4’-テトラアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルメタン、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルシクロヘキサン、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルフルオレン、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルチオエーテル、2,2-イソプロピリデンビス(3,4-ジアミノベンゼン)、2,2-ビス(3,4-ジアミノフェニル)プロパン、2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(3,4-ジアミノベンゼン)、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアミドアミン等からなる群より選ばれる1種以上があげられる。
3個以上のアルコール性水酸基を有するアルコール系化合物としては、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリオキシイソブタン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、ソルビトール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシエチレンプロピレントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
3個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸系化合物又はその無水物としては、例えば、ブタントリカルボン酸、ペンタントリカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ナフタレントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、4,4’-オキシジフタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸、1,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、4,4’-(p-フェニレンジオキシ)ジフタル酸、ダイマー酸、これらの無水物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物としては、例えば、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4-(1-(4-(1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール、α,α,α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン等のトリスフェノールをグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノールをグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラックをグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;5価以上の多価フェノールをグリシジル化したエポキシ樹脂;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルメタン等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシ樹脂等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらのうち、3価以上のフェノールをグリシジル化したエポキシ樹脂の1種以上が好ましい。
また、1級アミノ基、2級アミノ基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、スルホン酸基及びカルボン酸無水物基を、分子中にあわせて3つ以上有する化合物であってもよい。例えば、ジアミノ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、ジアミノフェノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
(1分子中に1つ以上の活性水素を有する化合物)
多官能化剤は、1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個有する化合物(A)以外の1分子中に1つ以上の活性水素を有する化合物を含んでいてもよい。例えば、ジオール系化合物、ジカルボン酸系化合物、多価フェノール系化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
ジオール系化合物としては、例えば、アルキレングリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等)等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
ジカルボン酸系化合物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、ダイマー酸、これらの酸無水物等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
多価フェノール系化合物としては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-イソブタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-フェニル)-2,2-プロパン、ビス(2-ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,2,2-エタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビフェノール、ピロガロール、フロログルシノール、ヒドロキシヒドロキノン、5-メチルピロガロール、没食子酸、1,8,9-トリヒドロキシアントラセン、4,4’,4”-トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,4”-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、4,4’-(2-ヒドロキシベンジリデン)ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、2,3,4-トリヒドロキシジフェニルメタン、2,4,6-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、2,6-ビス(4-ヒドロキシ―3,5-ジメチルベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1-〔α-メチル-α-(4-ヒドロキシフェニル)エチル〕-3-〔α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1-〔α-メチル-α-(4-ヒドロキシフェニル)エチル〕-4-〔α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α,α-ジメチルベンジル)-エチルベンゼン、2,2’-メチレンビス[6-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-p-クレゾール、4-[ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]ベンゼン-1,2-ジオール、1,1,2,2-テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α,α’,α”-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-p-キシレン、1,4,9,10-テトラヒドロキシアントラセン、2,4,6-トリス[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、ヘキサヒドロキシベンゼン、2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン水和物、フェノール系化合物(フェノール、クレゾール、ビスフェノール系化合物等)成分とアルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等)とを触媒の存在下で縮合反応させて得られるフェノール樹脂類等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
1分子中に活性水素を1つ有する化合物としては、モノフェノール系化合物(フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、ニトロフェノール等)、モノアルコール系化合物(オキシルアルコール、2-エチルヘキサノール、ステアリルアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル等)、モノカルボン酸系化合物(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-エチルヘキサン酸(オクチル酸)、カプロン酸、カプリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等の飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸)等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
また、ヒドロキシカルボン酸(グリコール酸、ジメチロールプロピオン酸、ヒドロキシプロピバリン酸、乳酸、クエン酸等)、メルカプトアルカノール(メルカプトエタノール等)、アルカノールアミン(エタノールアミン等)等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
(各成分の配合量)
本発明の第1の態様のエポキシ系樹脂の製造に使用する、エポキシ基を1つ以上有する化合物及び多官能化剤の配合量は、目的とするエポキシ当量等に応じて適宜調整することができる。
例えば、エポキシ基を1つ以上有する化合物及び多官能化剤の合計固形分質量を基準として、各成分の配合量を以下の範囲とすることができる。
エポキシ基を1つ以上有する化合物:50~99.9質量%、好ましくは65~95質量%、より好ましくは65~92質量%。
多官能化剤:0.1~50質量%、好ましくは0.2~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%。
多官能化剤の含有量が0.1質量%未満であると、エポキシ系樹脂の多官能変性が不十分となるおそれがあり、多官能で反応性の高いエポキシ系樹脂を得ることができない場合がある。一方、多官能化剤の含有量が50質量%を超えると、エポキシ系樹脂の反応性が高くなりすぎ、合成時にゲル化したり、塗料の貯蔵安定性に劣るものになったりするおそれがある。
(第1の態様に係るエポキシ系樹脂の製造方法)
エポキシ基を1つ以上有する化合物と、1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。b=1の場合、a≠1、c≠2又はd+e+f+g+2h+i≧1のいずれかである。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤と、を少なくとも反応させる際の反応条件は、特に限定されない。例えば、適当な溶媒中で、約80~約190℃、好ましくは約90~約170℃の温度で1~6時間程度、好ましくは1~5時間程度で行なうことができる。
本発明においては、前記多官能化剤を用いることで、エポキシ系樹脂を多官能化することができる。また、例えば、1分子中に活性水素を2つ持つ化合物(2価のフェノール系化合物等)により、エポキシ系樹脂を鎖延長することができる。
エポキシ系樹脂の製造方法に際して用いられる溶媒は、反応系においてエポキシ化合物等と反応することなく溶媒としての機能を有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n-ヘキサン等の炭化水素系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール等のアルコール系、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
第1の態様に係るエポキシ系樹脂の重量平均分子量としては、仕上がり性、防食性等の観点から、通常500~50,000の範囲内であり、さらに1,000~20,000の範囲内であり、さらに特に1,500~10,000の範囲内であることが好ましい。
本明細書における重量平均分子量は、特に記載がない限り、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的には、ゲルパーミュエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を用い、カラムとして、「TSKgel G-4000HXL」、「TSKgel G-3000HXL」、「TSKgel G-2500HXL」及び「TSKgel G-2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を用い、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件下で測定することができる。
<第2の態様に係るエポキシ系樹脂>
本発明の第2の態様に係るエポキシ系樹脂は、エポキシ基を1つ以上有する化合物と、1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤と、を少なくとも反応させて得られ、後述するエポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)が0.1以上である、エポキシ系樹脂である。
第2の態様に係るエポキシ系樹脂を得るために用いられる「エポキシ基を1つ以上有する化合物」としては、第1の態様に係るエポキシ系樹脂を得るために用いられる「エポキシ基を1つ以上有する化合物」が挙げられる。
また、「多官能化剤」としては、第1の態様に係るエポキシ系樹脂を得るために用いられる「多官能化剤」から選ばれる1種以上が挙げられる。
さらに、各成分の配合量も、第1の態様に係るエポキシ系樹脂と同様のものとすることができる。
本発明の第2の態様に係るエポキシ系樹脂において、その硬化性、特に低活性の触媒を用いた場合の硬化性や低温における硬化性、貯蔵安定性、当該エポキシ系樹脂を用いて電着塗料を調製した際の塗膜の仕上がり性及び防食性等の特性は、エポキシ系樹脂の多官能化度と密接に関係している。特に、エポキシ系樹脂の多官能化度として、エポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)を採用し、その範囲を特定の範囲とすることで、前記特性を好適なものとすることができる。なお、本明細書中においては、「エポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)」を、「エポキシ系樹脂の平均多官能化度(X1)」又は「平均多官能化度(X1)」という場合がある。
エポキシ系樹脂を多官能化する方法としては、(1)エポキシ化合物(エポキシ基は1個以上、好ましくは2個以上)と、エポキシ基と反応する反応性官能基を3個以上有する多官能化剤とを反応させる方法(多官能化剤による多官能化)、(2)エポキシ化合物の分子内部の2級水酸基と別のエポキシ化合物の末端エポキシ基のうち少なくとも1個とを反応させ多官能化させる方法(炊き込みによる多官能化)があり、いずれも好適に用いることができる。エポキシ系樹脂を安定的に製造する観点から、少なくとも上記(1)の方法を用いることが好ましい。
なお、ここでいう多官能化剤は、「1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。b=1の場合、a≠1、c≠2又はd+e+f+g+2h+i≧1のいずれかである。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤」である。
エポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)は、下記の式(1);
(1):
平均多官能化度(X1)=エポキシ系樹脂1分子の末端数-2
により求めることができる。
例えば、1つの分子が3つの末端に分かれている場合、Xは1となり、全く多官能化していない直鎖状のエポキシ系樹脂の場合、Xは0となる。平均多官能化度(X1)の値が大きいほど1分子当たり多官能化していることになる。
なお、エポキシ系樹脂の末端に多官能型の変性剤(例えば、ジエチレントリアミンのケチミン化物やジエタノールアミンなどのアミン系化合物、及びジメチロールプロピオン酸などのカルボン酸系化合物)を反応させることによる、エポキシ系樹脂末端の多官能化については、立体障害による反応性低下が起こるため、本発明の「多官能化」には定義しない。また、エポキシ系樹脂内部の2級水酸基に関しても反応性の観点から本発明の「多官能化」には定義しない。
本発明の「多官能化」とは、エポキシ系樹脂の主骨格が分岐しているものである。
上記(1)の方法(多官能化剤による多官能化)でエポキシ系樹脂を多官能化させた場合において、多官能化剤によるエポキシ系樹脂1分子当たりの平均多官能化度(N)は、下記式;
多官能化剤による平均多官能化度(N)=Σ〔(各多官能化剤の価数-2)×各多官能化剤の基本配合量〕
により求めることができる。
ここで、各多官能化剤の「基本配合量」は下記方法により求めることができる。
(基本配合の算出方法)
各原材料の基本配合量(mol)=各原材料の配合量(mol)×基本配合倍数
※各原材料の配合量(mol)=各原材料の配合質量(g)/各原材料の分子量
※基本配合倍数=2/(エポキシ基の数(mol)-末端封止剤を除くエポキシ基と反応する官能基の数(mol)-多官能化剤による多官能数)
※末端封止剤:一官能のアミン、酸など
※エポキシ基と反応する官能基:二官能以上のフェノール性水酸基やイソシアネート基、活性水素を2つ以上もつアミンのアミノ基など
※多官能化剤による多官能数=(多官能化剤の価数-2)×多官能化剤の配合量(mol)
上記(2)の方法(炊き込みによる多官能化)は、エポキシ系樹脂が有するエポキシ基と、(別の)エポキシ系樹脂が有する2級水酸基とを反応させる方法である。
この場合において、炊き込みによるエポキシ系樹脂1分子当たりの平均多官能化度(M)は、下記式;
炊き込みによる平均多官能化度(M)=(2-m)/(1-m)-2
(mは、基本配合におけるエポキシ過剰量である。)
により求めることができる。
ここで、基本配合におけるエポキシ過剰量(EP過剰量)mは、以下のように算出される。
基本配合におけるEP過剰量m=基本配合におけるEP基の数(mol)-基本配合におけるEP基と反応する官能基の数(mol)
なお、本発明の第1又は第2の態様に係るエポキシ系樹脂におけるEP過剰量は、樹脂固形分を基準として、通常0~5mmol/g、好ましくは0~2mmol/g、より好ましくは0~1.5mmol/gである。
そして、エポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)は、多官能化剤による平均多官能化度(N)及び炊き込みによる平均多官能化度(M)から、次の式;
平均多官能化度(X1)=(N+2)×(M+1)-M-2
を用いて算出することができる。
本発明の第2の態様に係るエポキシ系樹脂は、エポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)を、通常0.1以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.6~10.0の範囲内、さらに好ましくは0.7~6.0の範囲内、特に好ましくは1.3~3.7の範囲内とすることができる。
(エポキシ系樹脂の平均多官能化度及び平均多官能化濃度)
第2の態様のエポキシ系樹脂は、エポキシ基を1つ以上有する化合物と、エポキシ基と反応する官能基を有する化合物と、を少なくとも反応させて得られたエポキシ系樹脂であって、複数の多官能化度のエポキシ系樹脂を含む場合、下記の平均多官能化度(X1)の計算は、各エポキシ系樹脂の平均とする。
第2の態様のエポキシ系樹脂は、下記式(1)で示されるエポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)が0.1以上であり、好ましくは下記式(2)で示される平均多官能化濃度(Y1)が0.1以上である、エポキシ系樹脂とすることができる。
式(1):
平均多官能化度(X1)=エポキシ系樹脂の1分子当たりの末端数-2
(式(1)中、「エポキシ系樹脂の1分子当たりの末端数」は、エポキシ系樹脂1分子における、エポキシ基を有する末端の数及びエポキシ基と反応する官能基を有する末端の数である。)
式(2):
平均多官能化濃度(Y1)=エポキシ系樹脂の平均多官能化度(X1)÷エポキシ系樹脂の重量平均分子量Mw×1000
本発明の第2の態様に係るエポキシ系樹脂において、その硬化性、特に低活性の触媒を用いた場合の硬化性や低温における硬化性、貯蔵安定性、当該エポキシ系樹脂を用いて電着塗料を調製した際の塗膜の仕上がり性及び防食性等の特性は、エポキシ系樹脂の多官能化度に加えて、エポキシ系樹脂の平均多官能化濃度と密接に関係している。特に、エポキシ系樹脂の多官能化度として、エポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)と、必要に応じて平均多官能化濃度(Y1)を採用し、それぞれの範囲を特定の範囲とすることで、前記特性を好適なものとすることができる。
本発明の第2の態様に係るエポキシ系樹脂は、エポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)が、0.30以上、好ましくは0.30~15.00の範囲内、より好ましくは0.60~13.00の範囲内、さらに好ましくは0.70~10.00の範囲内、特に好ましくは0.90~8.00の範囲内とすることができる。
本発明の第2の態様に係るエポキシ系樹脂において、必要に応じて用いることができるエポキシ系樹脂の平均多官能化濃度(Y1)は、エポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)及びエポキシ系樹脂の重量平均分子量Mwから、次の式(2)を用いて算出される。
式(2):
平均多官能化濃度(Y1)=エポキシ系樹脂の平均多官能化度(X1)÷エポキシ系樹脂の重量平均分子量Mw×1000
ここで、エポキシ系樹脂の重量平均分子量Mwは、以下のように算出される。
エポキシ系樹脂の重量平均分子量Mw=Σ(基本配合における各原料の配合量(mol)×各原料の分子量)
多官能化剤に含まれる、3官能以上の多官能化剤成分の1分子当りの平均官能基数は、次の式を用いて算出される。
平均官能基数=Σ(各多官能化剤成分の含有割合÷各多官能化剤成分の分子量×各多官能化剤成分の官能基数)/Σ(各多官能化剤成分の含有割合÷各多官能化剤成分の分子量)
本発明の第2の態様のエポキシ系樹脂は、エポキシ系樹脂の固形分1g当たりの平均多官能化濃度(Y1)が、0.10(mmol/g)以上、好ましくは0.10~5.00(mmol/g)の範囲内で、より好ましくは0.40~3.00(mmol/g)の範囲内、さらに好ましくは0.40~2.00(mmol/g)の範囲内とすることができる。
平均多官能化濃度(Y1)は、質量当たりの多官能化度を規定しており、Y1の数値が大きいほど官能基が多く樹脂の反応性が高いことになる。
上記多官能化度及び/又は多官能化濃度が高い場合は樹脂の合成時にゲル化又は増粘が起こり、塗膜の仕上がり性が悪化することになる。また、低い場合は防食性や耐油ハジキ性が低下することになる。
<エポキシ系樹脂の末端官能基>
上記第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂は、末端官能基がエポキシ基以外のものでもよい。例えば、第1又は第2の態様で記載したエポキシ系樹脂の合成後に、多官能エポキシ系樹脂のエポキシ基と反応性官能基含有化合物とを反応させて別の反応性官能基を末端に有する変性エポキシ樹脂でもよい。ただし、エポキシ系樹脂の末端の1つのエポキシ基と反応性官能基含有化合物(例えばジエタノールアミン)とを反応させて末端官能基が複数(ジエタノールアミンの場合は、エポキシ基とジエタノールアミンの2級アミノ基が反応して、ジエタノールアミン由来の2つの水酸基とエポキシ基由来の水酸基が現れる)になった場合でも本発明における「多官能としての官能基数」は前述したとおり1つである。
エポキシ基と反応する官能基としては、エポキシ基と反応できるものであれば特に限定はなく、例えば、カルボキシル基、1級又は2級のアミノ基、水酸基などが挙げられる。
上記のような場合(変性エポキシ樹脂)でも、平均多官能化度(X1)及び平均多官能化濃度(Y1)の計算は同様に行うことができる。
[アミン変性エポキシ樹脂]
本発明は、さらに、アミン変性エポキシ樹脂に関する。
アミン変性エポキシ樹脂は、第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂のいずれかと、アミン化合物とを反応させて得ることができる。第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂としては、予めアミン化合物が反応されていないものを用いることが好ましい。
また、必要に応じて、第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂のいずれかを得る際に用いるエポキシ化合物として、予めアミン化合物が反応されたものを用いてもよい。この場合、アミン化合物の使用量は、アミン変性エポキシ樹脂のアミン価等が所望の値となるように適宜定めることができ、全アミン化合物に対して、99mol%以下とすることが好ましい。
<アミン化合物>
アミン化合物としては、エポキシ系樹脂との反応性を有するアミン化合物であれば特に限定されない。例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、モノオクチルアミン、メチルブチルアミン、ジブチルアミン等のモノ-アルキルアミン又はジ-アルキルアミン;モノエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2-ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2-ヒドロキシプロピル)アミン、N-ブチルエタノールアミン、ジプロパノールアミン、モノメチルアミノエタノール、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、3-メチルアミノ-1,2-プロパンジオール、3-tert-ブチルアミノ-1,2-プロパンジオール、N-メチルグルカミン、N-オクチルグルカミン等のアルカノールアミン;ポリメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(4-アミノブチル)アミン等のアルキレンポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ナフチレンジアミン、ジメチルアミノメチルベンゼン等の芳香族又は脂環族ポリアミン;ピペラジン、1-メチルピペラジン、3-ピロリジノール、3-ピぺリジノール、4-ピロリジノール等の複素環を有するポリアミン;上記ポリアミン1モルに対しエポキシ基含有化合物を1~30モル付加させることによって得られるエポキシ付加ポリアミン;上記ポリアミンと芳香族酸無水物、環状脂肪族酸無水物、脂肪族酸無水物、ハロゲン化酸無水物及び/又はダイマー酸との縮合によって生成するポリアミド樹脂の分子中に1個以上の1級又は2級アミンを含有するポリアミドポリアミン;上記ポリアミン中の1個以上の1級又は2級アミンとケトン化合物とを反応せしめたケチミン化アミン;等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
上記ケチミン化アミンを製造するためのケトン化合物としては、上記ポリアミンの1級又は2級アミンと反応してケチミン化物となり、さらに水性塗料組成物中で加水分解するものであれば特に制限はなく用いることができる。例えば、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジエチルケトン(DEK)、エチルブチルケトン(EBK)、エチルプロピルケトン(EPK)、ジプロピルケトン(DPK)、メチルエチルケトン(MEK)等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。本発明において、ケチミン化アミンを用いる場合、そのケチミン化率は特に限定されない。例えば、80%以上であることが好ましい。
アミン変性エポキシ樹脂は、必要に応じて、変性剤により変性を図ることができる。このような変性剤は、エポキシ系樹脂との反応性を有する樹脂又は化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、脂肪酸、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物を反応させた化合物、ε-カプロラクトン等のラクトン化合物、アクリルモノマー、アクリルモノマーを重合反応させた化合物、キシレンホルムアルデヒド化合物、エポキシ化合物等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
上記の変性剤の使用割合は、厳密に制限されるものではなく、塗料組成物の用途等に応じて適宜変えることができるが、仕上り性及び防食性向上の観点から、アミン変性エポキシ樹脂の固形分質量を基準にして、通常0~50質量%、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは1~20質量%の範囲内が適当である。
<アミン変性エポキシ樹脂の製造方法>
第1又は第2の態様に係るエポキシ系樹脂と、アミン化合物との反応は、例えば、適当な溶媒中で、約80~約190℃、好ましくは約90~約170℃の温度で1~6時間程度、好ましくは1~5時間程度で行なうことができる。
反応に際して用いられる溶媒としては、特に限定されない。例えば、第1の態様に係るエポキシ系樹脂の製造に際して用いられたものと同様の溶媒を用いることができる。
アミン変性エポキシ樹脂の重量平均分子量としては、仕上がり性、防食性等の観点から、通常1,000~50,000の範囲内であり、さらに1,300~20,000の範囲内であり、さらに特に1,600~10,000の範囲内であることが好ましい。
アミン変性エポキシ樹脂のアミン価としては、水分散性と防食性向上の点から、樹脂固形分を基準として、通常5mgKOH/g以上であり、10~200mgKOH/gの範囲内が好ましく、20~150mgKOH/gの範囲内がより好ましい。
本明細書におけるアミン価は、JIS K 7237-1995に準じて測定する。全て樹脂固形分当たりのアミン価(mgKOH/g)である。
また、アミン変性エポキシ樹脂の重量平均分子量は、第1の態様に係るエポキシ系樹脂において記載したのと同様である。
[水性樹脂分散体]
本発明の水性樹脂分散体は、第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂及びそれらの変性物のいずれかから選ばれる1種以上のエポキシ系樹脂を、水性媒体に分散させることにより得られる。
例えば、第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂を、水性媒体中に分散させて得ることができる。また、(i)第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂のいずれかと、アミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂、及び/又は、(ii)第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂のいずれかを得る際に用いるエポキシ化合物として、予めアミン化合物が反応されたものを用いることで得られるアミン変性エポキシ樹脂を、酸化合物で中和して水性媒体中に分散させて得ることができる。
本発明において、「水性樹脂分散体」とは、上記水性媒体中に樹脂成分が溶解せずに粒子状態で存在している状態のものをいう。
水性樹脂分散体中の第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂及びそれらの変性物のいずれかから選ばれる1種以上のエポキシ系樹脂の含有量は、固形分を基準として、50質量%以上が好ましい。
前記水性樹脂分散体は、第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂及び/又はそれらの変性物と後述する硬化剤(ブロック化ポリイソシアネート化合物など)とを混合して、水性媒体に分散することが好ましい。その場合、エポキシ系樹脂及び/又はそれらの変性物としては、アミン変性エポキシ樹脂が好ましく、硬化剤は、ブロック化ポリイソシアネート化合物が好ましい。
また、エポキシ系樹脂及び/又はそれらの変性物と硬化剤の混合比(質量比)は、固形分で1/99~99/1が好ましく、30/70~90/10がより好ましく、40/60~85/15がより好ましい。
第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂及びそれらの変性物のいずれかから選ばれる1種以上のエポキシ系樹脂を分散させる際に用いられる水性媒体は、水及び/又は親水性溶媒を主成分(溶媒中に50質量%以上含有)とする溶媒である。その他の溶媒として、例えば、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、アルコール系溶媒、及びエーテルアルコール系溶媒、あるいはこれらの混合物等を含んでいてもよい。
ここで、親水性溶媒としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル等)、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル等)、グライム系溶媒(例えばエチレングリコールジメチルエーテル等)、ジグライム系溶媒(例えばジエチレングリコールジメチルエーテル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール等)、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル等)、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル等)等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
水性媒体中への分散に際して用いられる酸化合物としては、公知の酸化合物を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などのカルボン酸系化合物を含む有機酸等が挙げられる。これらの酸化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、なかでも、有機酸が好ましく、特にカルボン酸系化合物がより好ましく用いることができる。
中和当量としては、アミノ基1当量に対して酸化合物を0.2~1.5当量が好ましく、0.5~1.0当量がより好ましい。
本発明の水性樹脂分散体は、第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂及びそれらの変性物のいずれかから選ばれる1種以上のエポキシ系樹脂や酸化合物以外に、中和剤、乳化剤、触媒等の添加剤、その他の樹脂成分などを必要に応じて含有することができる。
水性媒体中へのアミン変性エポキシ樹脂の分散は、中和されたアミン変性エポキシ樹脂に対して撹拌しながら水性媒体を加えてもよく、また、水性媒体に対して中和されたアミン変性エポキシ樹脂を撹拌しながら加えてもよく、また、水性媒体と中和されたアミン変性エポキシ樹脂とを混合してから撹拌してもよい。分散温度としては、100℃未満が好ましく40~99℃がより好ましく、50~95℃がさらに好ましい。得られた分散物の樹脂固形分濃度は、5~80質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましい。
[電着塗料]
本発明の電着塗料は、本発明のエポキシ系樹脂又はその変性物を含むものであれば、カチオン電着塗料、アニオン電着塗料のいずれでもよい。
カチオン電着塗料は、本発明のエポキシ系樹脂又はその変性物を、塗膜形成樹脂成分として含むことが好ましい。また、本発明のエポキシ系樹脂又はその変性物が水性媒体に分散された水性樹脂分散体を含むものでもよい。エポキシ系樹脂の変性物としては、例えば、エポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂があげられる。
アニオン電着塗料は、本発明のエポキシ系樹脂を、塗膜形成樹脂成分として含むことが好ましい。また、本発明のエポキシ系樹脂が水性媒体に分散された水性樹脂分散体を含むものでもよい。
本発明の電着塗料は、カチオン電着塗料であることが特に好ましい。
<カチオン電着塗料>
本発明のカチオン電着塗料は、塗膜形成樹脂成分として、本発明のエポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂を含有する。
なお、本発明のエポキシ系樹脂の原料として用いる多官能化剤にアミン化合物を使用した場合は、すでに多官能化剤によってアミン化合物が導入されているため、必ずしもエポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応する必要はない。
また、本発明のエポキシ系樹脂又は当該エポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂が水性媒体に分散された水性樹脂分散体を含むものでもよい。
本発明のカチオン電着塗料は、本発明のエポキシ系樹脂又は当該エポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂を含む塗膜形成樹脂成分と、上記エポキシ系樹脂と硬化可能な硬化剤とを必須成分として含有する。必要に応じて、硬化触媒、顔料、水等の溶媒、添加剤(界面活性剤、表面調整剤、硬化助触媒、中和剤等)を含有していてもよい。
塗膜形成樹脂成分としては、前記第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂が好ましい。
本発明のカチオン電着塗料としては、例えば、前記[アミン変性エポキシ樹脂]に記載されているアミン変性エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する、カチオン電着塗料が挙げられる。
また、本発明のカチオン電着塗料としては、例えば、前記[アミン変性エポキシ樹脂]に記載されているアミン変性エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する、一層型のカチオン電着塗料が挙げられる。
上記アミン変性エポキシ樹脂以外の塗膜形成樹脂成分として、アクリル樹脂、本発明の第1又は第2の態様のエポキシ系樹脂以外のエポキシ系樹脂又はその変性物(アミノ基変性含む)、ウレタン樹脂、及びメラミン樹脂等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
カチオン電着塗料がアクリル樹脂を含有する場合、カチオン電着塗料におけるアクリル樹脂の含有量が、全てのエポキシ系樹脂(変性物を含む)とアクリル樹脂の合計量を100質量%とした場合に、30質量%未満であることが防食性などの観点から好ましく、15質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることが更に好ましい。
また、樹脂の相溶性と仕上がり性の観点から、少なくとも1種のエポキシ系樹脂とアクリル樹脂の溶解性パラメーター(SP値)の差が、絶対値で1.0未満であることが好ましく、0.5未満であることがより好ましい。SP値が近い樹脂を使用することで相分離のない塗膜を形成する事ができる。
ここで、溶解性パラメーターとは、一般にSP値(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるものであって、樹脂の親水性又は疎水性の度合いを示す尺度である。また、樹脂間の相溶性を判断する上で重要な尺度となるものであり、溶解性パラメーターの値が近い(溶解性パラメーターの差の絶対値が小さい)樹脂同士は一般的に相溶性が良好となる。
実測の溶解性パラメーターは、濁点滴定法により測定された値であって、下記のK.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journal of Applied Polymer Science,VOL.12,2359~2370(1968年)の記載参照)に従い算出される。
実測の溶解性パラメーター(SP値)=(√Vml・δH+√Vmh・δD)/(√Vml+√Vmh)
Vml、Vmh、δH、δDは、測定温度20℃において、樹脂0.5g(固形分)をテトラヒドロフラン10mLに溶解した中に、n-ヘキサンを加えていき、底面の下に置いた新聞の4号活字が該ビーカー上部から透視し判読できる限界を濁点とし、濁点における滴定量H(mL)と、測定温度20℃において、樹脂0.5g(固形分)をテトラヒドロフラン10mLに溶解した中に、脱イオン水を加えたときの濁点における滴定量D(mL)とを、下記式に適用することにより算出される値である。
Vml=81.1×130.3/{(1-VH)×130.3+VH×81.1}
Vmh=81.1×18/{(1-VD)×18+VD×81.1}
VH=H/(10+H)
VD=D/(10+D)
δH=9.52×10/(10+H)+7.24×H/(10+H)
δD=9.52×10/(10+D)+23.43×D/(10+D)
なお、各溶剤の分子容(mL/mol)は、テトラヒドロフラン:81.1、n-ヘキサン:130.3、脱イオン水:18であり、各溶剤のSP値は、テトラヒドロフラン:9.52、n-ヘキサン:7.24、脱イオン水:23.43である。
上記アクリル樹脂としては、特に制限なく用いることができるが、カチオン性のアクリル樹脂が好ましい。
カチオン性アクリル樹脂としては、例えば、カチオン塩基含有アクリルモノマー及びその他のモノマーをラジカル共重合することにより製造できる。カチオン性以外のアクリル樹脂の場合は、後述するその他のモノマーのみを用いることで製造することができる。
上記カチオン塩基含有アクリルモノマーは、具体的には、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジ-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有アクリルモノマー及びその4級塩化物;(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルスルフェー卜などの4級アンモニウム塩基含有アクリルモノマー;4-(ジメチルスルホニオ)フェニルメタクリレートなどの3級スルホニウム塩基含有アクリルモノマーなどが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記その他のモノマーは、上記カチオン塩基含有アクリルモノマー以外の公知のモノマーであれば好適に用いることができ、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加生成物(例えばダイセル株式会社製の商品名としてプラクセルFA-2、及びFM-3)、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記アクリル樹脂は、これらのモノマーを公知の方法によりラジカル共重合反応することによって得ることができる。
なお、上記アクリル樹脂の水酸基価は、通常0~300mgKOH/gの範囲内、好ましくは30~200mgKOH/gの範囲内である。アクリル樹脂の重量平均分子量は、通常1,000~200,000の範囲内、好ましくは3,000~50,000の範囲内である。
アクリル樹脂のアミン価は、通常0~300mgKOH/gの範囲内、好ましくは10~150mgKOH/gの範囲内である。
また、反応性官能基含有アクリルモノマーとその他のモノマーをラジカル共重合してアクリル樹脂を合成し、次いで反応性官能基とカチオン塩基含有化合物とを反応させてアクリル樹脂にカチオン塩基を導入することもできる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレートを含む重合性不飽和モノマーの共重合体のグリシジル基に、活性水素を含有するアミン化合物を付加してアクリル樹脂にアミノ基を付与することができる。上記アミン化合物としては、1級モノ-及びポリアミン、2級モノ-及びポリアミン又は1、2級混合ポリアミン、ケチミン化された1級アミノ基を有する2級モノ-及びポリアミン、ケチミン化された1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物等が挙げられる。
本発明のカチオン電着塗料としては、上記アミン変性エポキシ樹脂(I)、必要に応じて含有できる官能基数2以下のエポキシ系樹脂とアミン化合物とを反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂(II)、及び硬化剤(特にブロック化ポリイソシアネート化合物)を含有するカチオン電着塗料である。
上記カチオン電着塗料中の硬化剤の含有量としては、樹脂固形分100質量%を基準として、10~50質量%が好ましく、20~40質量%がより好ましい。
下記式(3)で示されるアミン変性エポキシ樹脂(I)の平均多官能化度(X2)が、0.30以上、好ましくは0.30~15.00の範囲内、より好ましくは0.60~13.00の範囲内、さらに好ましくは0.70~10.00の範囲内、特に好ましくは0.90~8.00の範囲内とすることができる。
下記式(4)で示されるカチオン電着塗料に含まれるアミン変性エポキシ樹脂の平均多官能化濃度(Y2)が0.1(mmol/g)以上(好ましくは0.1~5(mmol/g)の範囲内、より好ましくは0.4~3.0(mmol/g)の範囲内、さらに好ましくは0.4~2.0(mmol/g)の範囲内)である、カチオン電着塗料を用いることができる。
必要に応じて、硬化触媒、顔料、水等の溶媒、添加剤(界面活性剤、表面調整剤、硬化助触媒、中和剤等)を含有していてもよい。
なお、上記の平均多官能化濃度(Y2)は、カチオン電着塗料に含有している全てのアミン変性エポキシ樹脂の平均多官能化濃度(Y2)である。
式(3):
平均多官能化度(X2)=アミン変性エポキシ樹脂(I)の1分子の末端数-2
式(4):
カチオン電着塗料に含まれるアミン変性エポキシ樹脂の平均多官能化濃度(Y2)=アミン変性エポキシ樹脂(I)の平均多官能化度(X2)÷アミン変性エポキシ樹脂(I)の重量平均分子量Mw×1000×(アミン変性エポキシ樹脂(I)量÷全てのアミン変性エポキシ樹脂量)
(硬化剤)
本発明のカチオン電着塗料に含まれる硬化剤は、ブロック化ポリイソシアネート化合物及びアミノ樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好適である。
-ブロック化ポリイソシアネート化合物-
ブロック化ポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物とブロック剤との付加反応生成物である。また、必要に応じて、ブロック剤以外の活性水素含有化合物を用い、ブロック剤と共にポリイソシアネート化合物と反応させたものを用いることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、公知のものを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、クルードMDI[ポリメチレンポリフェニルイソシアネート]、ポリメリックMDI、クルードTDI、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の芳香族、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物、これらのポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
特に、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、MDI等(好ましくはクルードMDI等)の芳香族ポリイソシアネート化合物が防食性のためにより好ましい。
ブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、付加によって生成するブロック化ポリイソシアネート化合物は常温(20±15℃)において安定であるが、塗膜の焼付け温度(例えば、約80~約200℃)に加熱した際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生することが望ましい。
ブロック剤としては、例えば、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物;フェノール、パラ-t-ブチルフェノール、クレゾール等のフェノール系化合物;n-ブタノール、2-エチルヘキサノール、フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール等のアルコール系化合物;ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクタム等のラクタム系化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸イソプロピル、アセチルアセトン等の活性メチレン系化合物;ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、3-メチルピラゾール、4-ブロモ-3,5-ジメチルピラゾール、4-ニトロ-3,5-ジメチルピラゾール、4-ベンジル-3,5-ジメチルピラゾール、メチル-5-メチルピラゾール-3-カルボキシレート、3-メチル-5-フェニルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール-4-カルボキシアニリド等のピラゾール系化合物;ブチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系化合物;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系化合物;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系化合物;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N-フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等のアミン系化合物;イミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素等の尿素系化合物;N-フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸エステル系化合物;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系化合物;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリ等の亜硫酸塩系化合物等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
なかでも、ブロック剤としては、ピラゾール系化合物、活性メチレン系化合物、オキシム系化合物、フェノール系化合物、ラクタム系化合物及びアルコール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
-アミノ樹脂-
アミノ樹脂としては、公知のものを用いることができる。例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン又は尿素等の各種のアミノ基含有化合物を、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒド等の各種のアルデヒド化合物(ないしはアルデヒド供給物質)と反応せしめることによって得られるアルキロール基を有する種々のアミノ樹脂(例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等)、及び、該アルキロール基を有するアミノ樹脂を、メタノール、エタノール、n-ブタノール又はi-ブタノール(イソブタノール)等の各種の低級アルコールと反応せしめることによって得られる、種々のアルコキシアルキル基含有アミノ樹脂等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
(硬化触媒)
本発明のカチオン電着塗料は、硬化触媒として、ビスマス化合物を含んでいてもよい。さらに、ビスマス化合物に加えて、例えば、亜鉛化合物、錫化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、イットリウム化合物等の無機化合物;フォスファゼン化合物、アミン化合物、4級塩化合物等の有機化合物;これらの複合物等からなる群より選ばれる1種以上の硬化触媒を併用することができる。
なお、塗膜硬化性の向上を目的として、触媒として、ジブチル錫ジベンゾエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド等の有機錫化合物を用いることができるが、昨今の有機錫化合物に対する環境規制から、有機錫化合物を用いないことが好ましい。
有機錫化合物の代替触媒として、ビスマス化合物、又は、ビスマス化合物と、亜鉛化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、イットリウム化合物等の無機化合物;フォスファゼン化合物、アミン化合物、4級塩化合物等の有機化合物;これらの複合物等からなる群より選ばれる1種以上の硬化触媒を用いること、若しくは硬化触媒を実質的に用いないことが、環境面への配慮の観点から更に好ましい。
本発明のカチオン電着塗料は、硬化触媒として環境面・安全面から、ビスマス化合物を含むことが好ましい。
ビスマス化合物としては、金属ビスマス、塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、臭化ビスマス、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス、亜硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマス、ケイ酸アルミン酸ビスマス、アルミン酸ビスマス、ホウ酸ビスマス、リン酸ビスマス、炭酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス等の無機ビスマス化合物、ギ酸ビスマス、酢酸ビスマス、サリチル酸ビスマス、クエン酸ビスマス、安息香酸ビスマス、没食子酸ビスマス、シュウ酸ビスマス、乳酸ビスマス、オレイン酸ビスマス、メトキシ酢酸ビスマス、ジメチロールプロピオン酸ビスマス、ジアルキルジチオカルバミン酸ビスマス、トルエンスルホン酸ビスマス、トリフェニルビスマス等の有機ビスマス化合物、等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明のカチオン電着塗料におけるビスマス化合物の配合割合は、樹脂固形分100質量部を基準にして、0.1~10質量部であり、0.5~6質量部であることが好ましい。
(顔料)
本発明のカチオン電着塗料に用いることができる顔料としては、例えば、着色顔料、防錆顔料、体質顔料等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
これらの顔料は、顔料分散ペーストとして塗料に混合することが好適である。例えば、顔料分散用樹脂、顔料、及び中和剤等の各種添加剤を配合し、ボールミル、サンドミル、ペブルミル等の分散混合機中で分散処理して、顔料分散ペーストとして調製したものを、カチオン電着塗料に用いることができる。
顔料としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料;クレー、マイカ、バリタ、炭酸カルシウム、シリカ等の体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛等の防錆顔料としての機能を持つ金属化合物等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
なお、本発明においては、シリカを用いる場合、その使用量は5質量%未満とされる。
顔料分散ペーストに配合されていてもよい顔料分散用樹脂としては、特に限定されない。例えば水酸基及びカチオン性基を有するエポキシ樹脂、水酸基及びカチオン性基を有するアクリル樹脂、3級アミン型エポキシ樹脂、4級アンモニウム塩型エポキシ樹脂、3級スルホニウム塩型エポキシ樹脂、3級アミン型アクリル樹脂、4級アンモニウム塩型アクリル樹脂、3級スルホニウム塩型アクリル樹脂等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
顔料の配合量は、カチオン電着塗料の樹脂固形分100質量部あたり、1~100質量部、特に10~50質量部の範囲内が好ましい。
本発明のカチオン電着塗料としては、例えば、エポキシ基を1つ以上有する化合物と、1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。、b=1の場合、a≠1、+c≠2又はd+e+f+g+2h+i≧1のいずれかである。、d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤と、を少なくとも反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂、及び、硬化剤、を含有する、カチオン電着塗料が挙げられる。
本発明のカチオン電着塗料を構成するエポキシ基を1つ以上有する化合物は、アミン変性されていない化合物であることが好ましい。また、本発明のカチオン電着塗料を構成するエポキシ系樹脂は、エポキシ基を1つ以上有する化合物と、多官能化剤と、を反応させて得られるものであることが好ましい。
本発明のカチオン電着塗料は、一層型のカチオン電着塗料であることが好ましい。一層型カチオン電着塗料とは、塗料をカチオン電着塗装して加熱硬化した場合に、塗膜の厚さ方向の成分がほぼ均一となる一層の塗膜を形成する塗料である。
例えば、本発明の一層型のカチオン電着塗料は、電着塗装した塗膜の断面を顕微鏡で観察した場合に、二層分離(または多層分離)していない塗膜を形成するカチオン電着塗料である。尚、顔料成分や樹脂成分などに多少の偏りがある場合であっても、断面観察で層と層の境界面が現れない場合は一層の塗膜である。
また、例えば、本発明の一層型のカチオン電着塗料は、一回の電着塗装により、下層部(金属基体表面側。以下同じ)に、主として防食性樹脂(エポキシ系樹脂)が分布し、且つ上層部に主としてエポキシ系樹脂以外の樹脂が分布するような濃度勾配を有する複層膜を形成しないカチオン電着塗料である。
(カチオン電着塗料の製造方法)
本発明のカチオン電着塗料は、本発明のエポキシ系樹脂又はその変性物を含むカチオン電着塗料、又は、本発明のアミン変性エポキシ樹脂及びビスマス化合物を含むカチオン電着塗料を構成できる製造方法であれば、特に限定されない。
例えば、エポキシ基を1つ以上有する化合物と、3価以上のフェノール系化合物(キシレンホルムアルデヒド樹脂を除く)及び/又は3官能以上のポリイソシアネートを含む化合物と、を少なくとも反応させて得られるエポキシ系樹脂に対し、アミン化合物を反応させてアミン変性エポキシ樹脂を製造する工程と、該アミン変性エポキシ樹脂及び硬化剤を混合してカチオン電着塗料を製造する工程と、を有するカチオン電着塗料の製造方法が挙げられる。
本発明のカチオン電着塗料の製造方法においては、前記エポキシ基を1つ以上有する化合物は、アミン変性されていない化合物であることが好ましい。また、製造されるカチオン電着塗料が、一層型のカチオン電着塗料となることが好ましい。
(カチオン電着塗装方法及び塗装物品)
本発明のカチオン電着塗料を用いたカチオン電着塗装方法は、前記カチオン電着塗料からなる電着浴に被塗物を浸漬する工程、及び被塗物を陰極として通電する工程を含む。
本発明のカチオン電着塗料が闘争された塗装物品は、前記カチオン電着塗料を含む電着塗料浴に被塗物を浸漬し、電着塗装して得ることができる。
カチオン電着塗料の被塗物としては、自動車ボディ、自動車部品、2輪車部品、家庭用機器、その他の機器等が挙げられ、金属を含む被塗物であれば特に制限はない。
被塗物としての金属板としては、冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛-鉄二層めっき鋼板、有機複合めっき鋼板、Al素材、Mg素材など、並びにこれらの金属板を必要に応じてアルカリ脱脂等で表面を清浄化した後、リン酸塩化成処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理を行ったものが挙げられる。
カチオン電着塗装方法としては、例えば、脱イオン水等で希釈して固形分濃度を約5~40質量%、好ましくは10~25質量%に、さらにpHを4.0~9.0、好ましくは5.5~7.0の範囲内に調整したカチオン電着塗料を浴として、通常、浴温15~35℃に調整し、負荷電圧100~400V、好ましくは150~350Vの条件で被塗物を陰極として通電することによって行う。カチオン電着塗装後、通常、被塗物に余分に付着したカチオン電着塗料を落とすために、限外濾過液(UF濾液)、逆浸透透過水(RO水)、工業用水、純水等で十分に水洗する。
カチオン電着塗膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、一般的には、乾燥塗膜に基づいて5~40μm、好ましくは10~30μmの範囲内とすることができる。また、塗膜の焼付け乾燥は、電着塗膜を電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機等の乾燥設備を用いて、塗装物品表面の温度で、160℃より高く、且つ200℃より低い温度が一般的であるが、本発明においては、エネルギーコスト削減の観点から、好ましくは160℃未満、より好ましくは80~130℃、特に好ましくは100~130℃である。焼付け時間は10~180分、好ましくは20~50分である。上記焼付け乾燥により硬化塗膜を得ることができる。
<アニオン電着塗料>
本発明のアニオン電着塗料は、本発明のエポキシ系樹脂とカルボキシル基含有樹脂とを含む塗膜形成樹脂成分と、硬化剤とを必須成分として含有する。必要に応じて、エポキシリン酸エステル化合物、硬化触媒、顔料、水等の溶媒、添加剤(界面活性剤、表面調整剤、硬化助触媒、中和剤等)を含有していてもよい。
カルボキシル基含有樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。カルボキシル基含有樹脂(A)の重量平均分子量は、5,000~100,000の範囲、酸価は5~180mgKOH/gの範囲、水酸基価は3~150mgKOH/gの範囲が適している。
硬化剤としては、例えば、ブロック化ポリイソシアネート化合物及びアミノ樹脂(メラミン樹脂等)から選ばれる少なくとも1種であることが好適であり、例えば、本発明のカチオン電着塗料の硬化剤として挙げられたものを用いることができる。
アニオン電着塗料におけるカルボキシル基含有樹脂と硬化剤の配合割合は、カルボキシル基含有樹脂と硬化剤の固形分合計100質量部を基準にして、カルボキシル基含有樹脂を50~90質量部であることが好ましい。
本発明のアニオン電着塗料は、固形分濃度を約5~40質量%、好ましくは10~25質量%とし、pHを7.0~10.0、好ましくは7.5~9.5の範囲内に調整することができる。
(アニオン電着塗装方法)
アニオン電着塗装方法は、前記アニオン電着塗料からなる電着浴に被塗物を浸漬する工程、及び被塗物を陽極として通電する工程を含む。
アニオン電着塗料の被塗物としては、例えば、建材、アルミサッシ、建具、ベランダ用基材、屋根材、雨戸、ドア、障子、戸袋、サンルームなど、及びこれらの部品が挙げられる。
アニオン電着塗装方法としては、例えば、アニオン電着塗料を浴として、通常、浴温15~35℃に調整し、負荷電圧100~400Vの条件で、浴中にてアルミニウム又はアルミニウム合金等の被塗物を陽極として通電することによって行う。アニオン電着塗装後、十分に水洗しても、水洗をしなくてもよい。
アニオン電着塗膜の膜厚は、例えば乾燥塗膜に基づいて1~40μmの範囲内とすることができる。また、塗膜の焼付け乾燥は、電着塗膜を電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機等の乾燥設備を用いて行うことができる。上記の焼付け乾燥の条件は、乾燥温度は140~220℃、好ましくは160℃未満、焼付け時間は10~180分である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
[アミノ基含有エポキシ樹脂]
<実施例1-1>
撹拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却器を取りつけた反応容器に、ビスフェノールA378部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ化合物)1054部、多官能化剤4(注4)21部、及びTBAB(テトラブチルアンモニウムブロミド;触媒)1.0部と、メチルイソブチルケトン(溶媒)をビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールAと多官能化剤の合計質量の10%加え、160℃でエポキシ当量が727になるまで反応させた。次いで得られた反応生成物をメチルイソブチルケトンで固形分80%となるまで希釈した。
次いで、ジエタノールアミン179部及びジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物(90%品)89部を加え、120℃で4時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトンを加え、固形分75%のアミノ基を有する多官能のアミン変性エポキシ樹脂溶液(A1)を得た。
得られたエポキシ樹脂(A1)は、アミン価が77.6mgKOH/g、平均多官能化度(X1)が0.10、平均多官能化濃度(Y1)が0.06であった。
<実施例1-2~1-12及び比較例1-1>
下記表1の配合とする以外は実施例1-1と同様にして、アミン変性エポキシ樹脂溶液A2~A13を製造した。
Figure 2023047834000002
なお、上記表のアミン価は、多官能化剤のアミンは計算に入れていない。
エポキシ樹脂の製造に際し、用いられた成分は、以下のとおりである。
<エポキシ化合物>
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:
三菱ケミカル社製、商品名jER828EL(官能基数2、エポキシ当量187、重量平均分子量375)
<多官能化剤>
・多官能化剤1:ポリアミドアミン(混合品、詳細は下記表2に記載)
・多官能化剤2:エチレンジアミン(分子量60、官能基数4)
・多官能化剤3:ダイマー酸(混合品、詳細は下記表2に記載)
・多官能化剤4:トリメリット酸(分子量210、官能基数3)
・多官能化剤5:ジエタノールアミン(分子量105、官能基数3)
・多官能化剤6:3,5-ジアミノ安息香酸(分子量152、官能基数3)
・多官能化剤7:下記構造式の化合物(分子量592、官能基数3)
Figure 2023047834000003
・多官能化剤8:下記構造式の化合物(混合品、詳細は下記表2に記載)
Figure 2023047834000004
(nは0以上の整数)
Figure 2023047834000005
上記多官能化剤1、3、8は、2官能成分と3官能以上の成分が混合されている。
3官能以上の成分が多官能成分となる。
[カチオン電着塗料]
<顔料分散用樹脂の製造>
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、重量平均分子量350)1010部に、ビスフェノールAを390部、プラクセル212(ダイセル化学工業社製、商品名ポリカプロラクトンジオール、重量平均分子量約1,250)240部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1090になるまで反応させた。次に、ジメチルエタノールアミン134部及び濃度90%の乳酸水溶液150部を加え、90℃でエポキシ基が消失するまで反応させた。次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の4級アンモニウム塩基を含有する顔料分散用樹脂(R)を得た。
<顔料分散ペーストの製造>
(顔料分散ペースト(P1))
固形分60%の4級アンモニウム塩基を含有する顔料分散用樹脂(R)8.3部(固形分5部)、酸化チタン14部、精製クレー6.0部、カーボンブラック0.3部、水酸化ビスマス3.5部、及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペースト(P1)を得た。
<ブロック化ポリイソシアネート化合物(BNCO(B1))の製造>
反応容器中に、コスモネートM-200(三井化学社製、商品名クルードMDI、NCO基含有率31.3%)270部、及びメチルイソブチルケトン127部を加え70℃に昇温した。この中にエチレングリコールモノブチルエーテル236部を1時間かけて滴下して加え、その後100℃に昇温し、この温度を保ちながら経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネート基の吸収がなくなったことを確認し、樹脂固形分80%のブロック化ポリイソシアネート化合物(BNCO(B1))を得た。
<実施例2-1>
実施例1-1で得られたアミン変性エポキシ樹脂(A-1)100部(固形分)、ブロック化ポリイソシアネート化合物(BNCO)(B1)45部(固形分)を混合し、さらに10%酢酸13部を配合して均一に撹拌した後、脱イオン水を強く撹拌しながら約15分間を要して滴下して固形分34%のエマルションを得た。
次に、上記エマルション294部(固形分100部)、顔料分散ペースト(P1)52.4部及び脱イオン水を加え、固形分20%のカチオン電着塗料(X1)を製造した。カチオン電着塗料(X1)の平均多官能化濃度(Y2)を下記表3に記載する。
得られたカチオン電着塗料を用いて電着塗装し、加熱硬化させて電着塗膜を得た。得られた電着塗膜について、仕上がり肌、防食性(塩水噴霧)、防食性(塩水浸漬)及び耐油ハジキ性を評価した。結果を併せて表3に記載する。
<実施例2-2~2-18、比較例2-1>
アミン変性エポキシ樹脂を表3のものとしたほかは実施例2-1と同様にして、固形分20%のカチオン電着塗料X2~X19を製造した。なお、例えば、実施例2-13は、アミン変性エポキシ樹脂として、30部のA6と70部のA13を用いた例であり、平均多官能化濃度(Y2)は、2種類のアミン変性エポキシ樹脂を混合した平均を計算しており、単位はmmol/gである。
得られたカチオン電着塗料を用いて電着塗装し、加熱硬化させて電着塗膜を得た。
電着塗膜の断面を観察したところ、全て一層型の塗膜(境界面なし)であった。
得られた電着塗膜について、仕上がり肌、防食性(塩水噴霧)、防食性(塩水浸漬)及び耐油ハジキ性を評価した。結果を併せて表3に記載する。
本発明においては、4つの評価のうち1つでも不合格「C」であった場合は不合格となる。
なお、表中の樹脂含有量は全て固形分の値である。
Figure 2023047834000006
<評価>
仕上がり肌、防食性(塩水噴霧)、防食性(塩水浸漬)及び耐油ハジキ性の評価は、以下のようにして行った。1つでも「C」の評価がある塗膜(塗料)は不合格である。
(仕上がり肌)
浴温28℃、硬化塗膜の膜厚が18μmになるような負荷電圧で、リン酸亜鉛処理を行った冷延鋼板(0.8mm×150mm×70mm)に電着塗装し、170℃で20分間加熱硬化して試験板を得た。続いて上記試験板の塗面を、サーフテスト301(ミツトヨ社製、商品名表面粗度計)を用いて、JIS B 601に定義される、表面粗度値(Ra)をカットオフ0.8mmにて測定し、以下の基準で評価した。Sが最も良い評価であり、Cは不合格である。
S:表面粗度値(Ra)が0.15未満。
A:表面粗度値(Ra)が0.15以上でかつ0.25未満。
B1:表面粗度値(Ra)が0.25以上でかつ0.35未満。
B2:表面粗度値(Ra)が0.35以上でかつ0.45未満。
C:表面粗度値(Ra)が0.45以上。
(防食性(塩水噴霧))
浴温28℃、硬化塗膜の膜厚が18μmになるような負荷電圧で、リン酸亜鉛処理を行った冷延鋼板(0.8mm×150mm×70mm)に電着塗装し、170℃で20分間加熱硬化して試験板を得た。続いて上記試験板の素地に達するように塗膜にカッターナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS Z-2371に準じて、35℃ソルトスプレー試験を840時間行い、カット部からの片側での錆、フクレ幅によって下記の評価基準に基づき評価を行った。Sが最も良い評価であり、Cは不合格である。
S:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で2.0mm以下であり、防食性が非常に優れている。
A:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で2.0mmを超え、かつ3.0mm以下であり、防食性が良好である。
B:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で3.0mmを超え、かつ4.0mm以下であり、防食性は標準である。
C:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で4.0mmを超えており、防食性が劣る。
(防食性(塩水浸漬))
浴温28℃、硬化塗膜の膜厚が18μmになるような負荷電圧で、リン酸亜鉛処理を行った冷延鋼板(0.8mm×150mm×70mm)に電着塗装し、170℃で20分間加熱硬化して試験板を得た。続いて上記試験板を、50℃の濃度5重量%の塩水に600時間浸漬した後、試験板を引き上げ、塗膜表面の水分を拭き取り除去し、ついで、塗膜表面にセロハン粘着テープを密着させ、瞬時にテープを剥離した。この剥離試験によって塗膜の剥がれた割合(%)を評価した。Sが最も良い評価であり、Cは不合格である。
S:試験塗膜部に対して塗膜の剥がれた割合が5%未満。
A:試験塗膜部に対して塗膜の剥がれた割合が5%以上で、かつ10%未満。
B:試験塗膜部に対して塗膜の剥がれた割合が10%以上で、かつ20%未満。
C:試験塗膜部に対して塗膜の剥がれた割合が20%以上。
(耐油ハジキ性)
浴温28℃、硬化塗膜の膜厚が18μmになるような負荷電圧で、リン酸亜鉛処理を行った冷延鋼板(0.8mm×150mm×70mm)に電着塗装し、ウェット膜を得た。
このウェット膜を水洗いし、30分間放置した後、焼付け過程で防錆用機械油(日本パーカライジング社製、商品名NOX-RUST320)0.2mlを均一に飛散付着させ
た。冷却後に塗膜表面を目視観察し、ハジキの個数及び大きさをカウントして、以下の評価基準に従って評価した。Sが最も良い評価であり、Cは不合格である。
S:塗膜表面にクレータの発生が全くない。
A:塗膜表面に10個未満のクレータが発生。
B:塗膜表面に10個以上のクレータが発生(いずれも直径2mm未満の大きさ。)。
C:塗膜表面に10個以上のクレータが発生(1個以上が直径2mm以上の大きさ。)。
以上、本発明を実施形態及び実施例により詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。

Claims (9)

  1. エポキシ基を1つ以上有する化合物と、
    1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。b=1の場合、a≠1、c≠2又はd+e+f+g+2h+i≧1のいずれかである。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤と、
    を少なくとも反応させて得られる、エポキシ系樹脂。
  2. エポキシ基を1つ以上有する化合物と、
    1級アミノ基をa個、2級アミノ基をb個、アルコール性水酸基をc個、フェノール性水酸基をd個、カルボキシル基をe個、メルカプト基をf個、スルホン酸基をg個、カルボン酸無水物基をh個及びエポキシ基をi個有する化合物(A)(a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の整数、iは0又は3以上の整数であり、2a+b+c+d+e+f+g+2h+i≧3である。d≧3の場合、2a+b+d+e+f+g+2h+i≧1である。)を含有する多官能化剤と、
    を少なくとも反応させて得られ、下記式(1);
    (1):
    平均多官能化度(X1)=エポキシ系樹脂の1分子当たりの末端数-2
    で示されるエポキシ系樹脂の1分子当たりの平均多官能化度(X1)が0.1以上である、エポキシ系樹脂。
  3. 下記式(2);
    (2):
    平均多官能化濃度(Y1)=エポキシ樹脂の平均多官能化度(X1)÷エポキシ樹脂の重量平均分子量Mw×1000
    で示される平均多官能化濃度(Y1)が0.10以上である、請求項2に記載のエポキシ系樹脂。
  4. 前記多官能化剤が、2個以上のアミノ基を有するアミン系化合物、3個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸系化合物又はその無水物、3個以上のアルコール性水酸基を有するアルコール系化合物、及び3個以上のエポキシ基を有するエポキシ系化合物からなる群より選ばれる1種以上を含有する、請求項1~3のいずれかに記載のエポキシ系樹脂。
  5. 前記多官能化剤が、1級アミノ基をj個、2級アミノ基をk個、アルコール性水酸基をm個、フェノール性水酸基をn個、カルボキシル基をp個、メルカプト基をq個、スルホン酸基をr個、カルボン酸無水物基をs個、イソシアネート基をt個有する化合物(B)(j、k、m、n、p、q、r及びsはそれぞれ独立に0以上の整数であり、2j+k+m+n+p+q+r+2s≦2である。)をさらに含み、化合物(A)と化合物(B)の含有比率が1/99~99/1の範囲内である、請求項1~4のいずれかに記載のエポキシ系樹脂。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のエポキシ系樹脂が水性媒体に分散している水性樹脂分散体。
  7. 請求項1~5のいずれかに記載のエポキシ系樹脂又はその変性物を含む、電着塗料。
  8. 請求項1~5のいずれかに記載のエポキシ系樹脂と、アミン化合物と、を反応させて得られる、アミン変性エポキシ樹脂。
  9. 請求項8に記載のアミン変性エポキシ樹脂と、硬化剤と、ビスマス化合物と、を含む、カチオン電着塗料。
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