JP2023047521A - 圧力容器および圧力容器の製造方法 - Google Patents

圧力容器および圧力容器の製造方法 Download PDF

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宏 平野
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Abstract

【課題】本発明は、簡便かつ安価に、溶着部レスによる耐圧性能向上、寸法精度を改善した樹脂ライナーおよび圧力容器を提供する。【解決手段】筒状の直胴部と、前記直胴部の両端に設けられ、前記直胴部から離れるにつれて窄む形状のドーム部とを備えた熱可塑性樹脂製ライナー本体と、前記ライナー本体の外表面を強化繊維複合材の硬化物からなる補強層で覆われた外殻とで形成された圧力容器であって、前記ライナー本体は回転成形により製造され、前記ライナーに用いる熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、体積平均粒子径が1μm以上30μm以下、アスペクト比が100以上200以下である板状の無機フィラーを1重量部以上30重量部以下と、結晶核剤0.01重量部以上0.05重量部以下を含む樹脂組成物からなるとともに、成形収縮率の流れ方向/直交方向の比率が0.6以上1.0以下、引張破断伸びが10%以上400%以下を有する樹脂組成物であることを特徴とする圧力容器である。【選択図】図1

Description

本発明は、回転成形加工可能で、寸法精度に優れた圧力容器用樹脂ライナーおよび樹脂ライナー外表面を強化繊維複合材の硬化物からなる補強層で覆われた外殻とで形成された、耐圧性に優れる圧力容器及びその製造方法に関するものである。
従来、自動車、宇宙・航空機分野で使用される燃料タンクや産業分野で使用される天然ガス、水素ガスの貯蔵および輸送用タンクとして、軽量性および加圧時の耐久性(高靭性)に優れる観点から、図1に示すように、熱可塑性樹脂製の容器本体(ライナー)を繊維強化樹脂材料からなる外殻で補強した圧力容器が利用されている。外殻に使用される強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維などが主に使用されている。なかでも比強度が高い炭素繊維は、圧力容器を軽量化しつつ強度、剛性向上設計が可能であるために、天然ガスや水素の移動用タンクや蓄圧器として好適に使用されている。
圧力容器としては、例えば、図2に示すように、円筒状の直胴部201、および前記直胴部の両端に設けられた半球状のドーム部202とを有する樹脂製ライナーと、前記ライナー本体の外側に形成された外殻とを備える圧力容器が一般的に使用されている。また、外殻は、長尺の強化繊維束にマトリックス樹脂が含浸された繊維強化樹脂材料がフィラメントワインディング法(以下、FW法と略すこともある)によりライナー本体の外側に巻き回され、加熱硬化させることで圧力容器がつくられる。
圧力容器用ライナーは現行、図3に示しているように射出成形で成形した射出成形ライナー半割部品301を2つ向かい合わせて、レーザーや熱による溶着加工による接合一体化させた射出成形ライナーが主流であるが、ライナー品質管理項目の増加や低生産性によるコストアップなどの課題があり、後工程が不要なダイレクトブロー成形、回転成形などがコストダウン手法として検討されてきた。ダイレクトブロー成形加工よりも安価で溶着部がない回転成形法に着目し、ライナー試作を検討するメーカーが出てきた。図4に示すような回転成形法とは、熱可塑性樹脂材料(粉末状およびペレット形状)を金型に充填し、金型を一軸で回転させると同時に回転軸を中心に上下に揺動させながら金型を加熱し、所定の厚みまで樹脂を融着させたのち冷却固化させて製品を得る方法のことである。
例えば、回転成形加工性を改善した樹脂ライナー成形材料として、特許文献1(特開2021-020971号公報)が知られている。特許文献1には、熱可塑性樹脂、無機系添加剤を含む第1粉末と長鎖脂肪酸およびその金属塩からなる第2粉末の未溶融物からなる回転成形用成形材料が開示されている。
また、低温衝撃性および表面性に優れた回転成形用ポリアミド樹脂組成物として、特許文献2(特開2019-131827号公報)が知られている。特許文献2には、25℃の相対粘度が2.45以下の脂肪族ポリアミド、特定密度のポリオレフィンを含有するポリアミド樹脂組成物が開示されている。
特開2021-020971号公報 特開2019-131827号公報
回転成形方法は、熱可塑性樹脂材料の冷却固化時における成形収縮挙動の樹脂流れ方向(以下、MD方向と略すこともある)と直交方向(以下、TD方向と略すこともある)の差異による寸法精度低下や結晶化速度のコントロールが難しいため、冷却時にポリマー非晶部分が過度に残留して熱変形しやすいなどの問題があった。そこで、各メーカーで回転成形時の成形収縮異方性や結晶化速度コントロールの問題に対して、課題解決を図るべく鋭意検討している。
しかしながら、上記の特許文献1または2に記載された発明は、回転成形時の加工性および表面性は改善されるものの、寸法精度向上に必須である「成形収縮異方性」や「結晶化速度コントロール」が材料面で十分に改良されていないため、実使用上満足できるレベルに至るものではなかった。
したがって、本発明は回転成形加工が可能で、寸法精度に優れた熱可塑性樹脂製ライナーを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る圧力容器および圧力容器の製造方法は次のいずれかの構成を有する。すなわち、
筒状の直胴部と、前記直胴部の両端に設けられ、前記直胴部から離れるにつれて窄む形状のドーム部とを備えた熱可塑性樹脂製ライナー本体と、前記ライナー本体の外表面を強化繊維複合材の硬化物からなる補強層で覆われた外殻とで形成された圧力容器であって、前記ライナー本体は回転成形により製造され、前記ライナーに用いる熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、体積平均粒子径が1μm以上30μm以下、アスペクト比が100以上200以下である板状の無機フィラーを1重量部以上30重量部以下と、結晶核剤0.01重量部以上0.05重量部以下を含む樹脂組成物からなるとともに、成形収縮率の流れ方向/直交方向の比率が0.6以上1.0以下、引張破断伸びが10%以上400%以下を有する樹脂組成物であることを特徴とする圧力容器である。
本発明のライナー本体の直胴部から幅15mm×長さ70mm×厚み1mmの試験片を切り出し、100℃、60分間熱処理したときのヒートサグ変形量が1mm以上5mm以下であることが好ましい。
本発明のライナー本体の一部をDSC測定したときの温度変化ΔT(=Tm[融点:℃]―Tmc[降温結晶化温度:℃])が10℃以上40℃以下であることが好ましい。
本発明のライナー本体に用いる熱可塑性樹脂材料が、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂およびフッ素樹脂のいずれか一つから選ばれることが好ましい。
前記板状の無機フィラーがガラスフレーク、マイカおよびカオリンのいずれか一つから選ばれることが好ましい。
また、本発明の圧力容器の製造方法は次の構成を有する。すなわち、
筒状の直胴部と、前記直胴部の両端に設けられ、前記直胴部から離れるにつれて窄む形状のドーム部とを備えた熱可塑性樹脂製ライナー本体と、前記ライナー本体の外表面を強化繊維複合材の硬化物からなる補強層で覆われた外殻とで形成された圧力容器の製造方法であって、前記ライナー本体に用いる熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、体積平均粒子径が1μm以上30μm以下と、アスペクト比が100以上200以下である板状の無機フィラーを1重量部以上30重量部以下、結晶核剤0.01重量部以上0.05重量部以下を含む樹脂組成物であるとともに、あらかじめ熱可塑性樹脂、無機フィラーおよび結晶核剤を溶融混錬してペレット加工してから金型内に投入し、成形温度を前記熱可塑性樹脂材料のTm(融点)+10[℃]以上Tm+100[℃]以下、成形品取り出し温度を熱可塑性樹脂材料のTg(ガラス転移温度)+10[℃]以上Tg+50[℃]以下、金型昇温速度20℃/分~40℃/分、金型冷却速度20℃/分~35℃/分の成形条件にて回転成形により成形し、前記ライナー本体に強化繊維複合材を巻き付け、硬化させて外殻を形成することを特徴とする圧力容器の製造方法である。
本発明によれば、回転成形加工し、寸法精度改善した熱可塑性樹脂製ライナーを用いることで、耐圧性能、コスト競争力が大幅にアップした圧力容器を得ることができる。
圧力容器の部品構成を示した概略図である。 樹脂ライナーの形状を示した概略図である。 射出成形および溶着加工した樹脂ライナーの概略図である。 回転成形のプロセスを模擬した概略図である。 回転成形方法の動きを表した概略図である。 口金部品を組み付けた樹脂ライナーである。 図6における口金部品とライナーのクリアランスを表した拡大図である。 実施例で回転成形した樹脂ライナー形状に関する概略図である。 圧力容器の耐圧試験を実施する装置に関する概略図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明に係る圧力容器は、筒状の直胴部と、前記直胴部の両端に設けられ、前記直胴部から離れるにつれて窄む形状のドーム部とを備えた熱可塑性樹脂製ライナー本体と、前記ライナー本体の外表面を強化繊維複合材の硬化物からなる補強層で覆われた外殻とで形成された圧力容器である。
<熱可塑性樹脂>
本発明のライナー本体に用いる熱可塑性樹脂として、特に使用制限はないが、回転成形加工性に優れるポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、およびフッ素樹脂であることが好ましい。
本発明に用いるポリアミド樹脂としては、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主原料として合成されるナイロンなどが挙げられる。
その原料の代表例としては、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチルー3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸などが挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが好ましく用いられる。とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマーなどを挙げることができる。
本発明に用いるポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)および/またはヒドロキシカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主原料として、縮合反応することにより得られるものが挙げられる。
上記ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビス(p-カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
また、ジオール成分としては炭素数2~20の脂肪族グリコール、すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、分子量400~6000の長鎖グリコール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ-1,3-プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらの重合体ないしは共重合体の例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ビスフェノールA(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリプロピレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレン(テレフタレート/イソフタレート)ポリ(シクロヘキサンジメチレン/エチレン)テレフタレート、ポリ(シクロヘキサンジメチレン/エチレン)(テレフタレート/イソフタレート)などが挙げられる。
その他、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなるサーモトロピック液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂を使用することもできる。
ここでいう芳香族オキシカルボニル単位としては、p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4’-ヒドロキシジフェニル-4-カルボン酸から生成した構造単位を、芳香族ジオキシ単位としては、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノンから生成した構造単位を、芳香族ジカルボニル単位としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位を、芳香族イミノオキシ単位としては、例えば、4-アミノフェノールから生成した構造単位を例示することができる。具体例としては、p-オキシ安息香酸/ポリエチレンテレフタレート、p-オキシ安息香酸/6-オキシ-2-ナフトエ酸などのサーモトロピック液晶性ポリエステルが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレートなどのポリアルキレンナフタレート、サーモトロピック液晶性を示すポリエステル、およびポリ乳酸から選ばれたポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、サーモトロピック液晶性を示すポリエステル、およびポリ乳酸から選ばれたポリエステルがより好ましい。
本発明に用いるポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(以下、LDPEと略す)、高密度ポリエチレン(以下、HDPEと略す)、直鎖状低密度ポリエチレンが主に挙げられる。LDPEは、エチレンに高圧下、ラジカル重合触媒で重合され、結晶性が低く、密度は0.92g/cmである。HDPEは、エチレンをチーグラー触媒を用いて重合させる方法で製造され、結晶性高く、密度は0.95g/cmである。直鎖状低密度ポリエチレンは、低密度ポリエチレンの1種であり、分子構造が分岐状になっているため、LDPEよりも高靭性、高強度である。本発明のライナーは耐熱性が高い方が好ましいため、HDPEが好ましく用いられる。
本発明で用いられるフッ素樹脂は、特に限定されるものでは無いが、反応性官能基を導入されたものが好ましく例示できる。反応性官能基は特に制限されないが、具体的にはビニル基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、アルデヒド基、カルボニルジオキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、水酸基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基、加水分解性シリル基などを例示できるが、中でもエポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、水酸基が好ましく、更にはカルボキシル基、酸無水物基がより好ましい。これら反応性官能基が2種以上含まれていても良い。
フッ素樹脂に反応性官能基を導入する方法としては、フッ素樹脂に相溶し、前記官能基を含有する化合物または樹脂を配合する方法や、フッ素樹脂を重合する際に、前記官能基を含有するか前記官能基に変換可能な官能基を含有する重合性モノマーと共重合する方法、フッ素樹脂を重合する際に、前記官能基を含有するか前記官能基に変換可能な官能基を含有する開始剤を用いる方法、フッ素樹脂と前記官能基を含有するか前記官能基に変換可能な官能基を含有する重合性モノマーとをラジカル発生剤の存在下に反応させる方法、フッ素樹脂を酸化、熱分解などの手法により変性する方法などが挙げられるが、中でも共重合によりフッ素樹脂の主鎖または側鎖に官能基を導入する方法、フッ素樹脂と官能基を含有する重合性モノマーとをラジカル発生剤の存在下に反応させる方法が、品質、コスト、導入量制御の観点から好ましい。
前記官能基を含有する重合性モノマーは、特に限定されるものではないが、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ハイミック酸、これらの酸無水物、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エチルアクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
反応性官能基を含有するフッ素樹脂中に含まれる官能基の量は、他樹脂とアロイ化して用いる場合、反応性官能基を含有するフッ素樹脂1gに対して、0.01モル%以上が好ましく、0.05モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上で有ることが更に好ましい。官能基量の上限については、フッ素樹脂本来の特性が損なわれなければ特に限定されることはなく、流動性の悪化なども考慮すると、10モル%以下が好ましい
範囲として例示できる。
本発明で用いられるフッ素樹脂の構造は、特に限定されるものでは無いが、少なくとも1種のフルオロオレフィンから構成されることが望ましい。例えば、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンなどの単独重合体や、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、フッ化ビニリデン、フッ化ビニルとの共重合体、更にはエチレン、プロピレン、ブテン、アルキルビニルエーテル類などのフッ素を含まない非フッ素エチレン性単量体との共重合体も例示できる。更に具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロピレン共重合体(EFEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などが挙げられるが、中でも、耐熱性が高く、溶融成形加工が容易である観点から、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましく、ETFEが更に好ましい。
<強化繊維複合材>
本発明のライナー本体の外表面を覆う補強層の強化繊維複合材は、強化繊維束に熱硬化性樹脂を含浸させ加熱硬化した硬化物である。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂として、液状であれば特に使用制限はないが、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、およびメラミン樹脂などが挙げられる。特に、接着強度が高い点より、フェノール類、アミン類、カルボン酸類、分子内不飽和炭素などの化合物を前駆体とするエポキシ樹脂であることが好ましい。
フェノール類を前駆体とするグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂やそれぞれの各種異性体やアルキル、ハロゲン置換体などが挙げられる。また、フェノール類からなるエポキシ樹脂をウレタンやイソシアネートで変性した化合物なども、このタイプに含まれる。
アミン類を前駆体とするグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、キシレンジアミンのグリシジル化合物、トリグリシジルアミノフェノールや、グリシジルアニリンのそれぞれの位置異性体やアルキル基やハロゲンでの置換体が挙げられる。
カルボン酸を前駆体とするエポキシ樹脂としては、フタル酸のグリシジル化合物や、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸のグリシジル化合物の各種異性体が挙げられる。
分子内不飽和炭素を前駆体とするエポキシ樹脂としては、例えば脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂を加熱硬化させるために用いる硬化剤としては、熱硬化性樹脂を硬化させるものであれば特に限定はない。アミン、無水酸等の付加反応する硬化剤であってもよいし、カチオン重合、アニオン重合等の付加重合を引き起こす硬化触媒であってもよく、2種類以上の硬化剤を併用してもよい。硬化剤としては、好ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。例えば、ジシアンジアミド、脂環式アミン、脂肪族アミン、芳香族アミン、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、イミダゾール誘導体、t-ブチルカテコールなどのフェノール系化合物をはじめ、三フッ化ホウ素錯体や三塩化ホウ素錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。
本発明の強化繊維複合材に用いる強化繊維束を構成する繊維としては、強化繊維の種類としては特に限定されず、炭素繊維、金属繊維、有機繊維、無機繊維が例示される。これらを2種以上用いてもよい。
炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維を原料とするPAN系炭素繊維、石油タールや石油ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維、ビスコースレーヨンや酢酸セルロースなどを原料とするセルロース系炭素繊維、炭化水素などを原料とする気相成長系炭素繊維、これらの黒鉛化繊維などが挙げられる。これら炭素繊維のうち、強度と弾性率のバランスに優れる点で、PAN系炭素繊維が好ましく用いられる。
金属繊維としては、例えば、鉄、金、銀、銅、アルミニウム、黄銅、ステンレスなどの金属からなる繊維が挙げられる。
有機繊維としては、例えば、アラミド、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンなどの有機材料からなる繊維が挙げられる。アラミド繊維としては、例えば、強度や弾性率に優れるパラ系アラミド繊維と、難燃性、長期耐熱性に優れるメタ系アラミド繊維が挙げられる。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、コポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維などが挙げられ、メタ系アラミド繊維としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維などが挙げられる。アラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維に比べて弾性率の高いパラ系アラミド繊維が好ましく用いられる。
無機繊維としては、例えば、ガラス、バサルト、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの無機材料からなる繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、例えば、Eガラス繊維(電気用)、Cガラス繊維(耐食用)、Sガラス繊維、Tガラス繊維(高強度、高弾性率)などが挙げられる。バサルト繊維は、鉱物である玄武岩を繊維化した物で、耐熱性の非常に高い繊維である。玄武岩は、一般的に、鉄の化合物であるFeOまたはFeO2を9~25重量%、チタンの化合物であるTiOまたはTiOを1~6重量%含有するが、溶融状態でこれらの成分を増量して繊維化することも可能である。
本発明の強化繊維複合材は、補強材としての役目を期待されることが多いため、高い機械特性を発現することが望ましく、高い機械特性を発現するためには、強化繊維が炭素繊維を含むことが好ましい。
本発明の強化繊維複合材において、強化繊維は、通常、多数本の単繊維を束ねた強化繊維束を1本または複数本並べて構成される。1本または複数本の強化繊維束を並べたときの強化繊維の総フィラメント数(単繊維の本数)は、1,000~2,000,000本が好ましい。
生産性の観点からは、強化繊維の総フィラメント数は、1,000~1,000,000本がより好ましく、1,000~600,000本がさらに好ましく、1,000~300,000本が特に好ましい。強化繊維の総フィラメント数の上限は、分散性や取り扱い性とのバランスも考慮して、生産性と分散性、取り扱い性を良好に保てるようであれば良い。
<無機フィラー(板状)>
本発明の実施形態のライナーに用いる熱可塑性樹脂材料は、アスペクト比が100以上200以下の板状の無機フィラーを含む。板状の無機フィラーのアスペクト比が100未満であると、成形収縮の異方性を改善する効果が乏しい。この結果として、板状の無機フィラーを熱可塑性樹脂100重量部に対して、30重量部超える多量の無機フィラーを配合しなくてはならない。この場合、回転成形時に金型内の流動性が大幅に低下し成形不良が発生するため好ましくない。
少量の配合量で成形収縮異方性を改善し寸法精度を向上させる観点から、板状の無機フィラーのアスペクト比は100以上が好ましく、120以上がより好ましく、130以上がさらに好ましい。板状の無機フィラーのアスペクト比の上限は、溶融混錬加工時の無機フィラーの破損抑制およびハンドリング性の観点から、200以下が好ましく、180以下がより好ましく、150以下がさらに好ましい。
ここで、「アスペクト比」は、板状の無機フィラーの体積平均粒子径と数平均厚みを求め、「体積平均粒子径(μm)/数平均厚み(μm)」により算出する。「体積平均粒子径」は、無機フィラーを100mg秤量して、水中に分散させた後、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製LA-300)を用いて求める。また、「数平均厚み」は、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子(株)社製JSM-6360LV)により2000倍の倍率で観察した無機フィラーの画像から無作為に選んだ10個の厚みを測定し、その数平均値をいう
本発明の実施形態のライナーに用いる熱可塑性樹脂材料において、アスペクト比が100以上200以下である板状の無機フィラーの含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して1~30重量部である。板状の無機フィラーの含有量が1重量部未満であると、樹脂組成物の成形収縮の異方性が大きくなり、樹脂ライナーの寸法不良で口金部品との組付けができないなどの問題が出てくる。一方で、板状の無機フィラーの含有量が30重量部を超えると、回転成形時の金型内の流動性低下のために好ましくない。回転成形加工性と寸法精度を両立するために、板状の無機フィラーの含有量は27重量部以下が好ましく、25重量部以下がより好ましく、20重量部以下がさらに好ましい。
本発明の実施形態に用いられる板状の無機フィラーの体積平均粒子径は、ライナー表面の平滑性を損なわない観点から、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがさらに好ましい。体制平均粒子径が30μm以下の板状の無機フィラーを用いることで、本発明の実施形態の樹脂組成物から回転成形で得られるライナーの表面平滑性が向上するため好ましい。体積平均粒子径の下限は特に限定しないが、1μm以上が好ましく、10μm以上がさらに好ましい。
本発明の実施形態に用いられる板状の無機フィラーは、ガラスフレーク、マイカおよびカオリンが好ましく用いられ、特にマイカが寸法安定性、成形時の流動性の点で好ましく用いられる。
本発明の実施形態において使用されるマイカは、天然に産出される白雲母、黒雲母、金雲母、セリサイトでもよく、人工的に製造される合成マイカでもよい。これらのマイカを2種以上含んでもよい。マイカの製造方法としては、例えば、水流式ジェット粉砕、石臼による湿式粉砕や、乾式ボールミル粉砕、加圧ローラーミル粉砕、気流式ジェットミル粉砕、アトマイザー等の衝撃粉砕機による乾式粉砕が挙げられる。また、マイカと熱可塑性樹脂との密着性を向上させる目的でシランカップリング材などで表面処理してもよい。また、不純物の除去、マイカの硬質化を目的に熱処理加工したマイカを用いてもよい。
<結晶核剤>
本発明の実施形態のライナーに用いる熱可塑性樹脂材料は、回転成形時の冷却固化に伴う結晶化速度を向上させるために結晶核剤を少量配合する。回転成形により得られたライナーの結晶化が不十分であると、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の高温環境下熱変形するトラブルが発生するため好ましくない。
本発明の実施形態のライナーに用いる熱可塑性樹脂材料において、結晶核剤の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01重量部以上0.05重量部以下である。結晶核剤の含有量が0.01重量部未満であると、ライナー成形品の結晶化速度向上効果が十分でなく、熱変形などの問題が出てくる。一方で、結晶核剤を5重量部より多く配合しても結晶化速度のさらなる向上効果は得られず、樹脂靭性も低下する可能性あるため好ましくない。
本発明に使用する結晶核剤は、熱可塑性樹脂の結晶成長過程における結晶核形成速度を飛躍的に向上させることが目的であり、具体的にはポリエーテルエーテルケトンなどの有機結晶核剤やタルクなどの無機結晶核剤が好ましく用いられる。
<圧力容器用樹脂ライナーの製造方法>
このうち、圧力容器を構成するライナー本体の製造方法としては、図5に示す回転成形法で行うことが重要である。回転成形の回転方式としては、主に「一軸回転+揺動運動」501と「二軸回転運動」502の2種類がある。前者は振り子状に左右に振れる台で金型が回転する成形方法で単純構造の大型成形品取得に最適である。後者は、二軸連動させ惑星運動上の動きで回転する成形方法で金型への転写性が良好で凹凸の多い複雑形状の成形品取得に最適である。本発明ではライナーと口金部の組付け精度を確保するために、複雑形状に対応できる「二軸回転運動」方式で回転成形するのが好ましい。
また、回転成形の加熱方式として、「直火式」、「熱風循環オーブン式」および「媒体循環式」があり、より精密な温度管理ができる点で本発明では「媒体循環式」を好ましく用いることができる。
回転成形で金型内に成形材料を投入し、金型内で溶融させ回転運動で金型面への転写・賦形させる工程で加熱溶融ムラが生じると、成形品内部に多数の空隙が生じ製品強度低下につながるため好ましくない。そこで、金型内の熱可塑性樹脂材料を均一に加熱溶融させるためには、金型昇温速度20℃/分~40℃/分、金型温度を熱可塑性樹脂材料のТm(融点)+10[℃]以上にコントロールする必要がある。金型昇温速度が20℃/分下回ると加熱溶融ムラが生じやすくなり、40℃/分を上回ると材料の熱劣化が進行しやすくなるため好ましくない。金型内の成形温度の上限として、Тm+100[℃]であり、それ以上温度を上げると熱可塑性樹脂材料の顕著な熱分解が進行するため好ましくない。
さらに次工程の金型内で冷却固化し脱型するときに徐々に成形品を冷却しないと成形品取り出し時に変形する問題が出てくるため、金型内の成形品取り出し温度冷却速度を20℃/分~35℃/分の範囲、成形品取り出し時の金型温度を熱可塑性樹脂材料のТg(ガラス転移温度)+10℃以上でコントロールする必要がある。金型冷却速度が20℃/分を下回ると成形品表面が十分に固化せず脱型時に金型取られが発生し、35℃/分を上回ると成形品が急冷状態になり成形品内部の大部分が非晶状態になり、圧力容器製造時の硬化工程でライナー熱変形の原因になるため好ましくない。成形品取り出し温度の上限はТg+50[℃]であり、それ以上温度を上げると金型内で樹脂が冷却固化しにくくなるため好ましくない。
<圧力容器用樹脂ライナーに用いる熱可塑性樹脂材料の製造方法>
本発明の実施形態のライナーに用いる熱可塑性樹脂材料は通常溶融混錬によって得あれる。溶融混錬は、単軸、2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなどの通常公知の溶融混錬機に供給して樹脂材料のTm(融点)+5~100[℃]の加工温度で混錬する方法などを代表例として挙げることができる。この際、原料の混合順序に特に制限はなく、全ての原料を配合後、上記の方法により溶融混錬する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混錬し更に残りの原料を配合し溶融混錬する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも勿論可能である。
<外殻の製造方法>
本発明の筒状の直胴部と、前記直胴部の両端に設けられ、前記直胴部から離れるにつれて窄む形状のドーム部とを備えた熱可塑性樹脂製ライナー本体と、前記ライナー本体の外表面を強化繊維複合材の硬化物からなる補強層で覆われた外殻とで形成された圧力容器の製造方法であって、ライナー本体の外表面を強化繊維複合材の硬化物からなる補強層で覆われた外殻を形成する方法(フィラメントワインディン法と呼ぶ)を以下に説明する。
この製造方法は、液状の熱硬化性樹脂組成物を含浸させた強化繊維複合材をライナーに巻き付けることにより、複数の強化繊維複合材からなる補強層で形成された成形品中間体を準備する工程(a)と、成形品中間体を常温で保持し、強化繊維複合材に含浸させた熱硬化性樹脂組成物を流動させる工程(b)と、工程(b)の後、成形品中間体を加熱して、熱硬化樹脂を含浸させた強化繊維複合材の硬化物を得る工程(c)によって構成される。本発明において、常温とは、5℃~35℃の範囲の温度のことをいうものとする。
成形品中間体を準備する工程(a)では、強化繊維複合材を引き出し、熱硬化性樹脂組成物に浸含させ、その後ライナーに巻き取る。ライナーは、フィラメントワインディング成形品の用途に応じて自由に選択することができる。例えば、中空パイプ部材の製造においては、成形品を硬化させた後に脱芯が可能な円筒状のライナーや、加熱等によって溶融させることにより、脱芯が可能な各種形状のライナー等が使用可能である。圧力容器の製造においては、所定の収容物に対するシール性が確保された金属製あるいは樹脂製のライナー等が使用可能である。熱硬化性樹脂組成物を含浸させた強化繊維複合材をライナーに巻き取る方法としては、成形性や成形品の機械特性等の観点から、ライナーに対して相対的に自由に動かすことが可能なヘッド部より前記強化繊維複合材を供給し、フィラメントワインディング成形品の要求性能を満たすように強化繊維複合材を配置することが好ましい。
成形品中間体を常温で保持する工程(b)では、成形品中間体が常温で保持されることによって、少なくとも工程の一部において、強化繊維複合材に含浸させた熱硬化性樹脂組成物が流動性を有した状態が保たれる。熱硬化性樹脂組成物の流動が可能な状態において、工程(a)で得られる強化繊維複合材の補強層に入り込んだ気泡は、気泡に働く浮力や、繊維を巻芯に巻きまわした際に繊維に残留した張力に起因する巻き締まり等によって、強化繊維複合材の補強層の表層に表出する。したがって、成形品中間体を常温で保持することにより、強化繊維複合材の補強層の気泡の少なくとも一部を除去し、フィラメントワインディング成形品に残留する空隙を低減することができる。成形品中間体の保持は、成形品中間体のライナーを回転中心として、回転させながら行うことができる。これにより、流動性を有する熱硬化性樹脂組成物が重力によって滴り、脱落することを防止できる。熱硬化性樹脂組成物の脱落は、フィラメントワインディング成形品の繊維体積含有率(Vf:%)を上昇させ、製品性能を悪化させるおそれがある。また、脱落した熱硬化性樹脂組成物は多くの場合廃棄され、製品歩留まりが悪化する。保持中に成形品中間体を回転させることによって、熱硬化性樹脂組成物の脱落による影響を排除することができる。
成形品中間体の保持において、保持温度は常温であるが、好ましくは常温の範囲内であって、熱硬化性樹脂組成物の種類および使用条件に応じて定まる任意の温度±5℃とすることができる。この任意の温度±5℃の範囲が常温の範囲を超過するとき、超過分は切り捨てるものとする。熱硬化性樹脂組成物は、種類および使用条件によっては、温度が高い場合、熱硬化性樹脂組成物のゲル化が速やかに進行し、十分な樹脂流動時間を確保できない恐れがある。また、温度が低い場合、熱硬化性樹脂組成物の粘度が低下し、温度が高い場合に比べて、同程度の空隙低減効果を得るために、多くの時間を要する恐れがある。したがって、保持温度は常温であれば特に制限されるものではないが、使用する熱硬化性樹脂組成物の種類や使用条件に応じて決定される範囲であることが好ましい。
熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維複合材の硬化物を得る工程(c)では、常温保持後の成形品中間体を加熱し熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させるが、その方法は限定されず、ヒーターや誘導加熱コイル等任意の方法を用いて加熱することができる。加熱中は、成形品中間体を回転させつつ保持することができる。成形品中間体を回転保持することにより、熱硬化性樹脂組成物の脱落を防止することができる。
成形品中間体を準備する工程(a)、成形品中間体を常温で保持する工程(b)、および熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維複合材の硬化物を得る工程(c)は、実施する場所を限定されない。すなわち、工程(a)と工程(b)の間で成形品中間体を移動させてもよく、移動させずに連続して工程を実施することもできる。また、工程(b)と工程(c)の間で成形品中間体を移動させてもよく、移動させず連続して工程を実施することができる。さらに、工程(b)と工程(c)の間で成形品中間体を移動させる場合、移動させる場所は、工程(a)が行われた場所で行うこともできる。
本発明で得られるフィラメントワインディング成形品は、圧力容器、ロール、プロペラシャフト、フライホイール、釣竿およびゴルフクラブシャフトをはじめ、航空宇宙用途、レジャー用途および一般産業用途に広く用いることができる。特に、強度が求められる圧力容器等の用途に好適に用いることができる。本発明で製造される圧力容器は、水素ガス自動車や天然ガス自動車に限らず、船舶と航空機等、および、地上に固定されて使用される据え置き型や病院や消防士が使用する空気呼吸器等に好適に用いられる。また、この圧力容器で保管される物質としては、窒素、酸素、アルゴン、液化石油ガスおよび水素等の気体であってもよいし、前記物質を液化したもの等が挙げられる。
<成形収縮率>
本発明の実施形態のライナーに用いる熱可塑性樹脂材料は金型冷却固化時の収縮異方性を低減する必要があり、収縮異方性の指標である成形収縮率の流れ方向(MD)/直交方向(TD)の比率が0.6以上1.0以下の範囲にする必要がある。MD/TD比率が1.0より大きくなるとライナーの口金部品取り付けのねじ寸法精度が不足し取り付けできない。一方でMD/TD比率が0.6より小さくなる場合は、板状の無機フィラーが多量に配合され金型転写不良が発生する。
本発明の成形収縮率は、フィルムゲート形状で(長さ)70mm×(幅)70mm×(厚み)2.0mmのプレートを用い、金型寸法に対する射出成形品の寸法変化率を樹脂流れ方向(MD)、樹脂流れ方向に対して直交方向(TD)で算出し、MD/TDの比率で表したものである。成形温度、金型温度、圧力などの成形条件は使用する熱可塑性樹脂材料に応じて適宜変更する。
<引張破断伸び>
本発明の実施形態の熱可塑性樹脂材料を用いてASTM1号ダンベル試験片を射出成形で作成し、ASTM3039に準拠して引張試験(各n=5)を実施し、引張破断伸びを測定した。本発明のライナーに優れた耐圧性を付与するためには引張破断伸びを10%以上にする必要ある。10%未満の場合は耐圧性能が著しく損なわれるため好ましくない。熱可塑性樹脂材料の引張破断伸びの上限は400%であり、それ以上は引張試験の測定限界を超えるため測定できない。
<ヒートサグ変形量>
本発明の実施形態のライナーに用いる熱可塑性樹脂材料は金型内で十分に結晶化させる必要があり、結晶化完了の指標であるヒートサグ変形量が5mm以下である必要があり、好ましくは3mm以下であり、2mm以下であることがさらに好ましい。本発明のヒートサグ変形量の下限値は1mmであり、1mmより小さくするには無機フィラーを多量に配合するため樹脂引張伸びが大きく損なわれるため好ましくない。また、本発明の熱可塑性樹脂材料のヒートサグ変形量が5mm以上である場合、熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維を樹脂ライナーに巻き付けて硬化処理する工程で、樹脂ライナーが熱収縮し、図6に示すように樹脂ライナーと口金部品の間に隙間が発生し、ライナー内部で加圧するとリークするため好ましくない。
本発明のヒートサグ変形量は、ライナー本体から(幅)15mm×(長さ)70mm×(厚み)1mmのヒートサグ試験片を切り出し、片端10mmを保持し、試験片が水平になるように片持ち状態で固定しながら、100℃の熱風オーブンで60分処理した後、保持した部分と反対側の先端が、水平状態から自重によって垂れ下がった距離をハイトゲージにて測定したものである。
<DSC測定におけるΔT>
本発明の実施形態におけるライナーに用いる熱可塑性樹脂材料は回転成形の冷却固化時速やかに結晶化を完結させる必要があり、材料設計の指標としてDSC測定におけるΔT(=融点(Tm)-降温結晶化温度(Tmc))を10℃以上40℃以下の範囲にコントロールすることが好ましい。ΔTが10℃より小さいと冷却固化が速すぎて成形品内部に空隙ができやすくなり、ΔTが40℃よりも大きいと冷却固化が遅くなって結晶化が十分に進行せず、成形品内部に非晶状態が多く残り、耐熱性低下の原因になるため好ましくない。
本発明の融点(Tm)、降温結晶化温度(Tmc)はTAインスツルメント社製示差走査熱量計(DSC Q20)を用いて、測定する試料5~7mgを秤量し、窒素雰囲気下、20℃から昇温速度20℃/minで400℃まで昇温し、その後400℃から50℃まで降温速度20℃/分で降温させた。昇温時に現れる吸熱ピークの頂点がTm(融点)であり、降温時に現れる発熱ピークの頂点が降温結晶化温度(Tmc)である。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。各実施例および比較例における物性評価は下記の方法に従って実施した。
〔DSC特性(Tm、Tmc、Tg)〕
TAインスツルメント社製示差走査熱量計(DSC Q20)を用いて、各実施例および比較例で用いる熱可塑性樹脂材料を5~7mg秤量し、下記の測定条件にて融点(Tm)、降温結晶化温度(Tmc)、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
<測定条件>
・窒素雰囲気下(流量:50mL/分)
・昇温速度20℃/分
・降温速度20℃/分
・到達昇温温度400℃(3分間保持)、到達降温温度50℃
〔成形収縮率〕
住友重機械社製射出成形機SE75DUZを用い、樹脂温度Tm+10℃以上、金型温度Tg+20℃以上とする条件にて、各実施例および比較例の熱可塑性樹脂材料を用いて、(長さ)70mm×(幅)70mm×(厚み)2.0mm(ゲート形状:フィルムゲート)のプレートを成形した。このプレートを用いて、金型初期寸法に対する実成形品の収縮に伴う寸法変化量を樹脂流れ方向(MD)、樹脂流れ方向に対する直交方向(TD)で測定し、MD/TDの比率を求めた。
〔引張物性〕
住友重機械社製射出成形機SE75DUZを用い、樹脂温度Tm+10℃以上、金型温度Tg+20℃以上とする条件にて、各実施例および比較例の熱可塑性樹脂材料を用いてASTM1号ダンベルを成形した。このASTM1号ダンベルを用いて、ASTM3039に準拠して引張試験(各n=5)を実施し、引張破断伸びを測定した。
〔ヒートサグ変形量〕
樹脂ライナー本体から(幅)15mm×(長さ)70mm×(厚み)1mmのヒートサグ試験片を切り出し、片端10mmを保持し、試験片が水平になるように片持ち状態で固定しながら、100℃の熱風オーブンで60分処理した後、保持した部分と反対側の先端が、水平状態から自重によって垂れ下がった距離をハイトゲージにて測定したものである。
〔口金と樹脂ライナーのクリアランス測定〕
図6、図7に示すように樹脂ライナーと口金部品を組み付けてクリアランス部(701)に厚み違いのシムテープを挿入して、クリアランス量を測定した。
〔熱可塑性樹脂材料の製造方法〕
各実施例および比較例に示した各成分をドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型二軸押出機(スクリュー径30mm、L/D=45、ニーディング部5箇所、同方向回転完全噛み合い型スクリュー)を用い、スクリュー回転数200rpm、吐出量30Kg/hrにて、ダイス出樹脂温度が融点+10℃以上となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。このペレットを用いて、DSC測定、成形収縮率および引張物性評価を行った。
[樹脂ライナーの製造方法]
スイコー製二軸運動回転成形装置(加熱方式:オイルジャケット)を用いて、各実施例および比較例の回転成形条件にて、図7に示した樹脂ライナー形状(肉厚:2mm
±0.1mm、ネジ部分:内径φ13mm、外径φ24mm)を得た。
[フィラメントワインディング法による圧力容器製造方法および耐圧試験(耐圧性)]
フィラメントワインディング成形装置に、前記で得られたライナーを設置し当該巻芯に対し、液状の熱硬化性樹脂組成物(エポキシ主剤:硬化剤=100:32質量比で25℃常温で均一混合したもの)の入った樹脂を東レ(株)製炭素繊維“トレカ”(登録商標)T700SC-24Kの糸束1本に含浸させながら給糸した。巻芯の軸方向に対して、±83°の巻き角度で幅60mmの範囲に巻きつけ、厚さ1mm積層し、成形品中間体を用意した。繊維巻き付け後、前記中間体を速度7rpmで回転させつつ20℃環境下で15分間保持した。保持開始時、樹脂の粘度は、1100mPa・sであった。
前記保持後、前記の成形品中間体を80℃の温度で2時間、110℃の温度で4時間加熱し、前記の樹脂を硬化させ、耐圧試験用圧力容器を得た。次いで、図8に示す圧力容器水圧破裂試験装置に、前記で得られた圧力容器を設置して、水圧ポンプにより送水・加圧して、容器破裂した時の破裂圧力を測定(N=3)し、下記の判定基準を設けて耐圧性能を評価した。
<耐圧性能/判定基準>
〇 :破裂圧力70MPa以上
△ :破裂圧力60MPa以上70MPa未満
× :破裂圧力60MPa未満
〔原料〕
実施例および比較例において、原料は以下に示すものを用いた。
<参考例1>熱可塑性樹脂
ナイロン6樹脂 :CM1056(東レ(株)製、高粘度・高衝撃ブロー成形用グレード、“アミラン”(登録商標))
ポリエチレン樹脂 :HB-216R(日本ポリエチレン(株)製、中空大型ブロー成形用高密度ポリエチレン、“ノバテック”(登録商標))
フッ素樹脂 :P-66P(AGC製、ブロー成形用テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、“Fluоn”(登録商標))
<参考例2>板状の無機フィラー
マイカ1 :体積平均粒子径:25μm、アスペクト比:150
マイカ2 :体積平均粒子径:60μm、アスペクト比:50
ガラスフレーク:体積平均粒子径:30μm、アスペクト比:200
上記体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置HORIBA社製LA-300により求めた。厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子(株)社製JSM-6360LV)を用いて2000倍の倍率で観察した。画像から無作為に10個のサンプルを選び、厚みを測定し、その数平均値を求めた。アスペクト比は体積平均粒子径(μm)/数平均厚み(μm)として算出した。
<参考例3>結晶核剤
タルク :FH104(富士タルク(株)製、メディアン径4μm、超微粉グレード)
<参考例4>液状の熱硬化性樹脂組成物
エポキシ主剤 :ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(“jER”(登録商標)828 (三菱化学(株)製))
硬化剤 :ポリ(プロピレングリコール)ジアミン、イソホロンジアミン、シクロヘキシルアミン、ポリプレピレングリコールの混合物(“ARADUR”(登録商標)3486 (ハンツマンジャパン(株)製))
Figure 2023047521000002
Figure 2023047521000003
上記のとおり、実施例と比較例の比較により、本発明の樹脂ライナーおよび圧力容器
は、回転成形時の収縮異方性、結晶化特性を改善することで、耐圧性能の飛躍的な向上を実現していることがわかる。
101 圧力容器
102 強化繊維複合材
103 ライナー容器
104 口金部分
201 円筒状の直胴部
202 直胴部の両端に設けられた半球状のドーム部
301 射出成形ライナー半割部品
302 射出成形ライナー(半割部品を溶着接合したもの)
501 一軸回転+揺動運動
502 二軸回転
601 回転成形ライナー
602 口金部品
701 クリアランス部

Claims (6)

  1. 筒状の直胴部と、前記直胴部の両端に設けられ、前記直胴部から離れるにつれて窄む形状のドーム部とを備えた熱可塑性樹脂製ライナー本体と、前記ライナー本体の外表面を強化繊維複合材の硬化物からなる補強層で覆われた外殻とで形成された圧力容器であって、前記ライナー本体は回転成形により製造され、前記ライナーに用いる熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、体積平均粒子径が1μm以上30μm以下、アスペクト比が100以上200以下である板状の無機フィラーを1重量部以上30重量部以下と、結晶核剤0.01重量部以上0.05重量部以下を含む樹脂組成物からなるとともに、成形収縮率の流れ方向/直交方向の比率が0.6以上1.0以下、引張破断伸びが10%以上400%以下を有する樹脂組成物であることを特徴とする圧力容器。
  2. 前記ライナー本体の直胴部から幅15mm×長さ70mm×厚み1mmの試験片を切り出し、100℃、60分間熱処理したときのヒートサグ変形量が1mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧力容器。
  3. 前記ライナー本体の一部をDSC測定したときの温度変化ΔT(=Tm[融点:℃]―Tmc[降温結晶化温度:℃])が10℃以上40℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力容器。
  4. 前記ライナー本体に用いる熱可塑性樹脂材料が、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂およびフッ素樹脂のいずれか一つから選ばれることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の圧力容器。
  5. 前記板状の無機フィラーがガラスフレーク、マイカおよびカオリンのいずれか一つから選ばれることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の圧力容器。
  6. 筒状の直胴部と、前記直胴部の両端に設けられ、前記直胴部から離れるにつれて窄む形状のドーム部とを備えた熱可塑性樹脂製ライナー本体と、前記ライナー本体の外表面を強化繊維複合材の硬化物からなる補強層で覆われた外殻とで形成された圧力容器の製造方法であって、前記ライナー本体に用いる熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、体積平均粒子径が1μm以上30μm以下、アスペクト比が100以上200以下である板状の無機フィラーを1重量部以上30重量部以下と、結晶核剤0.01重量部以上0.05重量部以下を含む樹脂組成物からなるとともに、あらかじめ熱可塑性樹脂、無機フィラーおよび結晶核剤を溶融混錬しペレット加工してから金型内に投入し、金型昇温速度20℃/分~40℃/分、成形温度を前記熱可塑性樹脂材料のTm(融点)+10[℃]以上Tm+100[℃]以下、金型冷却速度20℃/分~35℃/分、成形品取り出し温度を熱可塑性樹脂材料のTg(ガラス転移温度)+10[℃]以上Tg+50[℃]以下、の成形条件にて回転成形により成形し、前記ライナー本体に強化繊維複合材を巻き付け、硬化させて外殻を形成することを特徴とする圧力容器の製造方法。
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