JP2023046974A - 配線基板の製造方法及び配線基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】密着性が高く、微細な金属パターンを形成することができる配線基板の製造方法、及び金属パターンの密着性が高い配線基板を提供する。【解決手段】本発明の一形態は、基板上に樹脂パターンを形成する工程、上記樹脂パターンが形成された基板上に、化合物αを含む表面処理剤を塗布する工程、及び上記表面処理剤が塗布された基板上に、めっき処理により金属パターンを形成する工程を備え、上記化合物αが、上記基板と反応して結合することが可能な第1官能基と、金属と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する、配線基板の製造方法である。【選択図】図1f
Description
本発明は、配線基板の製造方法及び配線基板に関する。
配線基板の回路パターンを形成する方法として、セミアディティブ法が広く利用されている(特許文献1参照)。セミアディティブ法は、電解めっき処理とエッチングとにより回路パターンを形成する方法である。具体的には、まず、表面に金属薄膜(銅めっき薄膜等)を有する基板の表面に、ドライフィルムレジスト等によりマスクパターン(めっきレジスト)を設ける。そして、電解めっき処理により、金属薄膜が露出している部分に金属めっき膜を設ける。その後、マスクパターンを除去し、エッチングにより金属めっき膜が設けられていない部分の金属薄膜を除去することにより回路パターンが得られる。
一方、フルアディティブ法により回路パターンを形成する方法も知られている(特許文献2参照)。フルアディティブ法は、金属薄膜を有していない基板を用い、無電解めっき処理により回路パターンを形成する方法である。例えば特許文献2には、少なくとも表面が絶縁性である基板の表面に無電解めっき用の第1の触媒核を形成する第1の工程と、前記基板上にめっきレジストをパターニングする第2の工程と、前記めっきレジストの形成されていない前記基板の表面に無電解めっき用の第2の触媒核を形成する第3の工程と、前記第1の触媒核および第2の触媒核が形成された前記基板の表面に無電解めっき膜からなる導電回路を形成する第4の工程とを含むことを特徴とする印刷配線板の製造方法が記載されている。
セミアディティブ法を用いる場合、不要部分の金属薄膜をエッチングにより除去するため、回路パターン(金属パターン)表面の荒れが生じ易い。回路パターン表面が荒れている場合、電気信号の伝送損失が大きくなり、電気回路としての性能が低下する。また、金属膜の厚みの差を利用したエッチングを行うため、回路パターンの厚さ、線幅、間隔等の微細化に限界がある。さらに、エッチングにより金属薄膜の多くを廃棄することになるため、コスト高となり、また環境負荷の懸念もある。これに対し、フルアディティブ法を用いる場合、回路パターン表面の荒れ等は生じ難く、また、回路パターンの微細化も可能となる。しかし、従来のフルアディティブ法を用いて形成された回路パターン(金属パターン)は、基板との密着性が十分ではないといった不都合を有する。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、密着性が高く、微細な金属パターンを形成することができる配線基板の製造方法、及び金属パターンの密着性が高い配線基板を提供することである。
本発明の一形態は、基板上に樹脂パターンを形成する工程、上記樹脂パターンが形成された基板上に、化合物αを含む表面処理剤を塗布する工程、及び上記表面処理剤が塗布された基板上に、めっき処理により金属パターンを形成する工程を備え、上記化合物αが、上記基板と反応して結合することが可能な第1官能基と、金属と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する、配線基板の製造方法である。
本発明の他の形態は、基板と、上記基板の表面の一部に、化合物αを介して積層された金属パターンとを備え、上記化合物αが、上記基板と反応して結合することが可能な第1官能基と、金属と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する、配線基板である。
本発明の一形態によれば、密着性が高く、微細な金属パターンを形成することができる配線基板の製造方法、及び金属パターンの密着性が高い配線基板を提供することができる。
<配線基板の製造方法>
本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法は、
基板上に樹脂パターンを形成する工程(樹脂パターン形成工程)、
上記樹脂パターンが形成された基板上に、化合物αを含む表面処理剤を塗布する工程(表面処理剤塗布工程)、及び
上記表面処理剤が塗布された基板上に、めっき処理により金属パターンを形成する工程(金属パターン形成工程)
を備え、
上記化合物αが、上記基板と反応して結合することが可能な第1官能基と、金属と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する。
本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法は、
基板上に樹脂パターンを形成する工程(樹脂パターン形成工程)、
上記樹脂パターンが形成された基板上に、化合物αを含む表面処理剤を塗布する工程(表面処理剤塗布工程)、及び
上記表面処理剤が塗布された基板上に、めっき処理により金属パターンを形成する工程(金属パターン形成工程)
を備え、
上記化合物αが、上記基板と反応して結合することが可能な第1官能基と、金属と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する。
当該配線基板の製造方法により得られる配線基板においては、基板と金属パターンとの間に化合物αが介在する。このため、当該配線基板の製造方法によれば、基板に対する密着性が高い金属パターンを形成することができる。なお、「化合物αが介在している」とは、化合物αが反応しており、基板又は金属パターンを構成する分子又は原子と結合した状態で基板と金属パターンとの間に存在している場合も含む意味である。また、当該配線基板の製造方法によれば、エッチング処理を行わないため、微細な金属パターンを形成することができ、金属パターン表面の荒れも抑えられる。さらに、当該配線基板の製造方法によれば、不要部分の金属薄膜をエッチングにより除去することもないため、環境負荷も少ない。
なお、本明細書において「塗布する」とは、液体を対象の物体に「付着させる」又は「接触状態で存在させる」ことをいい、刷毛等により塗ることの他、滴下、スプレー、スピンコート、ロール、インクジェット等の印刷、浸漬等の方法により「付着させる」又は「接触状態で存在させる」ことを含む。また、化合物αが有する「金属と反応して結合することが可能な第2官能基」における「金属」は、金属パターンを構成する金属であってもよく、その他、例えばめっき処理に用いられるめっき触媒(金属触媒)に含まれる金属であってもよい。
当該配線基板の製造方法は、樹脂パターンを剥離する工程(樹脂パターン剥離工程)をさらに備えていることが好ましい。樹脂パターン剥離工程は、表面処理剤塗布工程と金属パターン形成工程との間に行ってもよいし、金属パターン形成工程の後に行ってもよい。
但し、樹脂パターンが設けられた状態の基板に対して無電解めっき処理により金属パターンを形成する場合、アルカリ性の無電解めっき液により樹脂パターンが溶解及び崩壊し、溶解した樹脂成分がめっき液中の不純物となることなどで、金属パターン(無電解めっき膜)の形成に影響を与えることがある。このようなことからは、樹脂パターン剥離工程は、表面処理剤塗布工程と金属パターン形成工程との間に行うことが好ましい。なお、当該配線基板の製造方法においては、樹脂パターンを剥離した状態でめっき処理を行った場合においても、樹脂パターンが設けられていなかった領域に化合物αを含む表面処理剤が塗布されていることから、この領域にめっき触媒及びめっき液中の金属成分が優先的に付着し、良好な形状の金属パターンが得られる。
一方、厚みのある金属パターンを形成する場合、無電解めっき膜が形成されやすい基板に対して金属パターンを形成する場合等には、樹脂パターンが設けられている状態で金属パターン形成工程を行い、その後、樹脂パターン剥離工程を行うことが好ましい。
また、表面処理剤塗布工程と金属パターン形成工程との間に、塗布された化合物αに対する紫外線照射及び加熱の少なくとも一方の処理を行う工程(UV照射・加熱工程)をさらに備えることが好ましい。UV照射・加熱工程は、表面処理剤塗布工程の次の工程として行うことがより好ましい。すなわち、例えば表面処理剤塗布工程と金属パターン形成工程との間に、樹脂パターン剥離工程を行う場合、樹脂パターン剥離工程の前に、UV照射・加熱工程を行うことが好ましい。
以下、当該配線基板の製造方法の具体的な形態について好適な順に沿って説明する。但し、本発明の配線基板の製造方法における各工程の順は、以下の順に限定されるものではない。
(樹脂パターン形成工程)
樹脂パターン形成工程は、基板上に樹脂パターンを形成する工程である。
樹脂パターン形成工程は、基板上に樹脂パターンを形成する工程である。
基板は、通常、絶縁性材料から形成されている。すなわち、基板は、絶縁性基板であってよい。基板は、樹脂基板、シリコン基板、ガラス基板、絶縁材料で被覆された金属基板等を用いることができるが、樹脂基板であることが好ましい。樹脂基板とは、樹脂を主成分とする基板をいう。本明細書において「主成分」とは、質量基準で最も含有量が多い成分を意味し、含有量が50質量%以上の成分であることが好ましく、70質量%以上の成分であることがより好ましい。
基板(樹脂基板)に含まれる樹脂としては特に限定されず、ポリイミド(PI)、変性ポリイミド(MPI)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、ナイロン(ナイロン6,10、ナイロン4,6等)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド等)、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリアミド、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマー(COP)、エポキシ樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。これらの中でも、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、シクロオレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)及び変性ポリイミド(MPI)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。これらの樹脂は、通常、無電解めっき処理によるめっき膜が形成され難い樹脂であるが、当該配線基板の製造方法によれば、このような樹脂を含む基板に対しても無電解めっき処理によって密着性の高い金属パターン(めっき膜)を形成することができる。樹脂は、1種又は2種以上を用いることができる。
基板(樹脂基板)における樹脂の含有量の下限は、70質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、基板における樹脂の含有量の上限は、100質量%であってもよく、99質量%であってもよい。
基板には、必要に応じて、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、充填剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよい。
基板の形状は特に限定されず、例えば、シート状、板状等が挙げられる。基板の平均厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、下限としては、1μmが好ましく、10μmがより好ましく、30μm又は50μmがさらに好ましい場合もある。基板の平均厚さを上記下限以上とすることで、十分な強度を保つことなどができる。一方、基板の平均厚さの上限としては、3mmが好ましく、1mmがより好ましく、500μmがさらに好ましく、300μmがよりさらに好ましい。基板の平均厚さを上記上限以下とすることで、得られる配線基板の薄型化及び軽量化等を図ることなどができる。なお、本明細書において「平均厚さ」とは、任意の10ヶ所で測定した厚さの平均値を意味する。
樹脂パターン形成工程は、基板上に感光性樹脂層を設ける工程(感光性樹脂層配置工程)、上記感光性樹脂層を露光する工程(露光工程)、及び露光後の上記感光性樹脂層を現像する工程(現像工程)を備えることが好ましい。
(感光性樹脂層配置工程)
感光性樹脂層配置工程は、図1aに示すように、基板11の一方の面(図1aにおける上面)上に感光性樹脂層12を設ける工程である。
感光性樹脂層配置工程は、図1aに示すように、基板11の一方の面(図1aにおける上面)上に感光性樹脂層12を設ける工程である。
なお、感光性樹脂層配置工程の前に、脱脂洗浄工程及び表面改質前処理工程の少なくとも一方を設けてもよい。脱脂洗浄工程は、溶剤等を用いて基板11を洗浄する工程である。例えば、基板11をアセトン、エタノール等の溶剤に浸漬して超音波洗浄し、乾燥させることにより行うことができる。
また、表面改質前処理工程は、基板11に対して表面改質のための前処理を行う工程である。前処理としては、基板11に対して酸素プラズマ、大気プラズマ等のプラズマで処理するプラズマ処理、基板11の表面にコロナ放電照射を行うコロナ放電処理、酸処理、アルカリ処理、紫外線照射処理、基板11の表面をシランカップリング剤等のカップリング剤を混入した燃焼ガスの燃焼炎にさらすイトロ処理、例えば基板11がフッ素樹脂を含む場合の基板11をアルカリ金属溶液に浸漬して脱フッ素化を行う脱フッ素化処理等が挙げられる。各前処理を施した基板11に対して、シリコンクリーナ、酸クリーナ等の洗浄溶剤に浸漬して超音波洗浄することが好ましい。なお、例えば前処理がプラズマ処理、紫外線照射処理等である場合、表面改質前処理工程は、樹脂パターン形成工程と表面処理剤塗布工程との間に行ってもよい。また、予めこれらの前処理が施された基板11を用いることもできる。
感光性樹脂層12は、ネガ型の感光性を有する層であってもよく、ポジ型の感光性を有するものであってもよい。感光性樹脂層12はネガ型であることが好ましい場合がある。なお、図1a等における感光性樹脂層12及び図1c等における樹脂パターン13は、ネガ型の感光性を有する感光性樹脂層、及びこのような感光性樹脂層から得られた樹脂パターンとして図示している。
感光性樹脂層12は、液状の感光性樹脂組成物の塗布及び乾燥により形成してもよく、感光性ドライフィルムの貼り付けにより行ってもよい。感光性樹脂層12は、例えば、光重合開始剤、架橋性成分及び現像性成分を含有することが好ましい。感光性樹脂層12が光重合開始剤及び架橋性成分を含有することにより、露光によって架橋構造が形成され、露光部が硬化することができる。また、感光性樹脂層12が、アルカリ水溶液等の現像液に対する溶解性を有する現像性成分を含有することにより、アルカリ水溶液等を用いた現像によってパターン構造を形成することができる。この現像性成分は、例えば、カルボキシ基等の酸性基を有する成分であってよく、アルカリ可溶性の樹脂であってもよい。架橋性成分と現像性成分とは同一の成分であってもよい。その他、感光性樹脂層12には、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、光発色剤、熱発色防止剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱硬化剤、表面張力調整剤、撥水剤、撥油剤等の添加剤が含有されていてもよい。
感光性樹脂層配置工程を、感光性ドライフィルムの貼り付けにより行うことが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む感光性ドライフィルムの貼り付けにより行うことがより好ましい。感光性ドライフィルムを用いることで、膜厚の均一性の高い感光性樹脂層12を効率的に設けることができる。また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む感光性ドライフィルムは化合物αと結合し難く、このような感光性ドライフィルムを用いることで、露出した基板11の表面に優先的に化合物αを付着させることができるという利点がある。(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、通常、上記した架橋性成分の一種である。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、多官能(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を有する構造単位を含む重合体等を用いることができる。
感光性樹脂層12を形成するための液状の感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムとしては、市販品を用いることができる。感光性ドライフィルムの市販品は、ドライフィルムレジスト等と称されるものであってもよい。感光性ドライフィルムとしては、化合物αが結合し難いなどの理由から、アクリル系の感光性ドライフィルムを好適に用いることができる。
感光性樹脂層12の平均厚さとしては、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上60μm以下がより好ましく、10μm以上40μm以下がさらに好ましい。
(露光工程)
露光工程は、図1bに示すように、基板11上の感光性樹脂層12の表面に、フォトマスク20を介して放射線を照射する工程である。すなわち、露光工程では、感光性樹脂層12の表面の一部にのみ放射線が照射され、感光性樹脂層12においては、露光部と非露光部とが生じる。照射する放射線としては、通常、紫外線が用いられるが、感光性樹脂層12の成分等に応じて、他の放射線を用いることもできる。ここで、放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線などを意味する。このような放射線を発生する放射線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどが挙げられる。
露光工程は、図1bに示すように、基板11上の感光性樹脂層12の表面に、フォトマスク20を介して放射線を照射する工程である。すなわち、露光工程では、感光性樹脂層12の表面の一部にのみ放射線が照射され、感光性樹脂層12においては、露光部と非露光部とが生じる。照射する放射線としては、通常、紫外線が用いられるが、感光性樹脂層12の成分等に応じて、他の放射線を用いることもできる。ここで、放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線などを意味する。このような放射線を発生する放射線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどが挙げられる。
感光性樹脂層12がネガ型である場合、この露光工程により、通常、露光部が硬化し、露光部の現像液に対する溶解性が低下する。また、感光性樹脂層12がポジ型である場合、この露光工程により、露光部の現像液に対する溶解性が向上する。
(現像工程)
現像工程は、露光後の感光性樹脂層12を現像する工程である。現像工程を経ることで、図1cに示すように、基板11上に樹脂パターン13が形成される。現像は、例えばアルカリ現像液を用いた従来公知の方法により行うことができる。感光性樹脂層12の成分、感光特性等に応じて、他の現像液等により現像することもできる。
現像工程は、露光後の感光性樹脂層12を現像する工程である。現像工程を経ることで、図1cに示すように、基板11上に樹脂パターン13が形成される。現像は、例えばアルカリ現像液を用いた従来公知の方法により行うことができる。感光性樹脂層12の成分、感光特性等に応じて、他の現像液等により現像することもできる。
なお、樹脂パターン形成工程は、感光性樹脂層配置工程、露光工程及び現像工程を行う方法以外の方法により行ってもよい。例えば、印刷等により基板上に樹脂パターンを形成してもよい。
(表面処理剤塗布工程)
表面処理剤塗布工程は、図1dに示すように、樹脂パターン13が形成された基板11上に、化合物αを含む表面処理剤14を塗布する工程である。これにより、基板11の表面における樹脂パターン13が設けられていない部分(基板11が露出している部分)には、化合物αを含む表面処理剤14が付着し、表面処理剤14の塗膜が形成される。表面処理剤14は、樹脂パターン13の表面に付着していてもよい。
表面処理剤塗布工程は、図1dに示すように、樹脂パターン13が形成された基板11上に、化合物αを含む表面処理剤14を塗布する工程である。これにより、基板11の表面における樹脂パターン13が設けられていない部分(基板11が露出している部分)には、化合物αを含む表面処理剤14が付着し、表面処理剤14の塗膜が形成される。表面処理剤14は、樹脂パターン13の表面に付着していてもよい。
(化合物α)
以下、表面処理剤に含まれる化合物αについて説明する。化合物αは、基板11と反応して結合することが可能な第1官能基と、金属と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する。
以下、表面処理剤に含まれる化合物αについて説明する。化合物αは、基板11と反応して結合することが可能な第1官能基と、金属と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する。
化合物αは、2つの物質の接合体(結合体)を界面分子結合により形成させるための材料であると考えられる。界面分子結合は、2つの物質の界面に、ある化合物を介在させ、化学反応により各物質と上記化合物とをそれぞれ化学結合させて上記2つの物質を結合させること、又はその結果生じる結合を意味する。
第1官能基は、樹脂と反応して結合する基であることが好ましい。第1官能基としては、アミノ基、ヒドラジノ基、ヒドロキシ基、チオール基、オキシラニル基、オキセタニル基、カルボキシ基、アジリジニル基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基等が挙げられ、アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基(以下、「アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基」をアジド基等とも称する。)が好ましい。アジド基等は、化学反応により、主に、樹脂等の有機物と「-N-C-タイプ」等の化学結合を形成することができる。第1官能基がアジド基等である場合、基板11とより強固な結合が可能となる。
化合物αは、芳香環を有することが好ましい。さらには、化合物αは芳香環を有し、第1官能基が、この芳香環に直接結合したアジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基であることがより好ましい。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭素環、及びチオフェン環、フラン環、トリアジン環等の芳香族複素環等が挙げられる。芳香環としては、これらの中でも、芳香族炭素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。アジド基等がベンゼン環に直接結合している場合、そうでない場合と比べて、紫外線照射又は加熱により、アジド基等から窒素分子(N2)が脱離する反応の反応速度が大きくなる。従って、ベンゼン環にアジド基等が直接結合した化合物αを用いることで、比較的低温度及び短時間の加熱処理で且つ紫外線照射を行わなくても、良好な密着性が発現される。このためこのような化合物αを用いることで、効率的な処理が可能となる。また、ベンゼン環にアジド基等が直接結合した化合物αを用いることで、基板11の劣化が生じ難い長波長の紫外線を照射した場合でも、良好な密着性が発現される。
第2官能基は、金属と反応して結合する基である。第2官能基は、形成される金属パターン(図1fにおける金属パターン16)を構成する金属、及びめっき触媒に含まれる金属の少なくとも一方の金属と反応して結合する基であることが好ましく、形成される金属パターンを構成する金属と反応して結合する基であることがより好ましい。第2官能基としては、アミノ基、チオール基、カテコール基、カルボキシ基、ホスホン酸基、シラノール基、アルコキシシリル基等が挙げられ、シラノール基又はアルコキシシリル基が好ましい。シラノール基及びアルコキシシリル基は、化学反応により、主に、金属等の無機物Mと「-Si-O-M-タイプ」の化学結合を形成することができる。第2官能基がこれらの基である場合、金属パターン16とより強固な結合が可能となる。
アルコキシシリル基とは、ケイ素原子にアルコキシ基(オキシ炭化水素基)が結合した基をいう。アルコキシ基とは、酸素原子に炭化水素基が結合した基をいい、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ビニルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。ケイ素原子に結合しているアルコキシ基の数は、1、2又は3であってよく、3が好ましい。アルコキシシリル基においては、ケイ素原子にアルコキシ基以外の基が結合していてもよく、このような基としては、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、水素原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1から12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1から3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基がより好ましい。アルコキシシリル基の例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリベンジルオキシシリル基などが挙げられる。また、通常、アルコキシシリル基が加水分解することで、シラノール基が生じる。
化合物αの好適な一形態としては、
下記式(1)又は(2)で表される化合物α1、及び
化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物α2
が挙げられる。化合物αが、化合物α1及び化合物α2のうちの少なくとも一方である場合、比較的低温度及び短時間の加熱処理で且つ紫外線照射を行わなくても、良好な密着性が発現される。このためこれらの化合物を用いることで、効率的な処理が可能となる。
下記式(1)又は(2)で表される化合物α1、及び
化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物α2
が挙げられる。化合物αが、化合物α1及び化合物α2のうちの少なくとも一方である場合、比較的低温度及び短時間の加熱処理で且つ紫外線照射を行わなくても、良好な密着性が発現される。このためこれらの化合物を用いることで、効率的な処理が可能となる。
(化合物α1)
化合物α1は、下記式(1)又は(2)で表される化合物である。すなわち、化合物α1は、第1官能基としてベンゼン環に直接結合したアジド基等を有し、第2官能基としてシラノール基又はアルコキシシリル基を有する化合物αの一例である。
化合物α1は、下記式(1)又は(2)で表される化合物である。すなわち、化合物α1は、第1官能基としてベンゼン環に直接結合したアジド基等を有し、第2官能基としてシラノール基又はアルコキシシリル基を有する化合物αの一例である。
上記式(1)中、R1は、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、フェニル基、炭素数1から12のアルコキシ基、又はヒドロキシ基である。複数のR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基である。X1は、アジド基、アジドスルホニル基、又はジアゾメチル基である。Y1は、単結合、エステル基、エーテル基、チオエーテル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、-NHR3-で表される基、又は下記式(3a)若しくは(3b)で表される基である。R3は、炭素数1から6のアルキル基である。Z1は、単結合、メチレン基、炭素数2から12のアルキレン基、又は炭素数2から12のアルキレン基の末端若しくは炭素-炭素結合間に-NH-、-O-、-S-及び-S(O)-のうちの1つ以上の基を含む基である。mは、1から3の整数である。R1、X1、Y1及びZ1が、それぞれ複数の場合、これらはそれぞれ独立して上記定義を満たす。但し、1又は複数のR1の少なくとも1つは、炭素数1から12のアルコキシ基である。
上記式(2)中、複数のR4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、フェニル基、炭素数1から12のアルコキシ基、又はヒドロキシ基であり、複数のR4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、炭素数1から12のアルコキシ基である。複数のR7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基である。X2は、アジド基、アジドスルホニル基、又はジアゾメチル基である。複数のZ2は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、炭素数2から12のアルキレン基、又は炭素数2から12のアルキレン基の末端若しくは炭素-炭素結合間に-NH-、-O-、-S-及び-S(O)-のうちの1つ以上の基を含む基である。
上記式(3a)中、R8は、水素原子又はメチル基である。
R1、R4、R5及びR6で表される炭素数1から12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等が挙げられる。
R1、R4、R5及びR6で表される炭素数1から12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
R2及びR7で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
R2及びR7で表される1価の有機基としては、1価の炭化水素基、アルコキシ基、-Y1-Z1-Si-R1 3(Y1、Z1及びR1は、式(1)中のY1、Z1及びR1とそれぞれ同義である。)で表される基、-COO-N-(-Z2-SiR4R5R6)2(Z2、R4、R5及びR6は、式(2)中のZ2、R4、R5及びR6とそれぞれ同義である。)、後述する式(14)で表される基等が挙げられる。
R3で表される炭素数1から6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
R1、R4、R5及びR6で表される炭素数1から12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
R2及びR7で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
R2及びR7で表される1価の有機基としては、1価の炭化水素基、アルコキシ基、-Y1-Z1-Si-R1 3(Y1、Z1及びR1は、式(1)中のY1、Z1及びR1とそれぞれ同義である。)で表される基、-COO-N-(-Z2-SiR4R5R6)2(Z2、R4、R5及びR6は、式(2)中のZ2、R4、R5及びR6とそれぞれ同義である。)、後述する式(14)で表される基等が挙げられる。
R3で表される炭素数1から6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
式(1)で表される化合物の好適な形態は以下の通りである。
R1としては、炭素数1から12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1から6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1から3のアルコキシ基がさらに好ましい。
R2としては、水素原子が好ましい。
X1としては、アジド基及びアジドスルホニル基が好ましい。X1は、Y1等を含む基に対してパラ位又はメタ位に結合していることが好ましい。
Y1としては、アミド基が好ましく、*-CONH-(*は、ベンゼン環との結合部位を示す。)で表されるアミド基がより好ましい。
Z1としては、炭素数2から12のアルキレン基が好ましく、炭素数2から6のアルキレン基がより好ましい。
mは、3が好ましい。
R1としては、炭素数1から12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1から6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1から3のアルコキシ基がさらに好ましい。
R2としては、水素原子が好ましい。
X1としては、アジド基及びアジドスルホニル基が好ましい。X1は、Y1等を含む基に対してパラ位又はメタ位に結合していることが好ましい。
Y1としては、アミド基が好ましく、*-CONH-(*は、ベンゼン環との結合部位を示す。)で表されるアミド基がより好ましい。
Z1としては、炭素数2から12のアルキレン基が好ましく、炭素数2から6のアルキレン基がより好ましい。
mは、3が好ましい。
式(2)で表される化合物の好適な形態は以下の通りである。
R4、R5及びR6としては、炭素数1から12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1から6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1から3のアルコキシ基がさらに好ましい。
R7としては、水素原子が好ましい。
X2としては、アジド基及びアジドスルホニル基が好ましい。X2は、-COO-N-(-Z2-SiR4R5R6)2で表される基に対してパラ位又はメタ位に結合していることが好ましい。
Z2としては、炭素数2から12のアルキレン基が好ましく、炭素数2から6のアルキレン基がより好ましい。
R4、R5及びR6としては、炭素数1から12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1から6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1から3のアルコキシ基がさらに好ましい。
R7としては、水素原子が好ましい。
X2としては、アジド基及びアジドスルホニル基が好ましい。X2は、-COO-N-(-Z2-SiR4R5R6)2で表される基に対してパラ位又はメタ位に結合していることが好ましい。
Z2としては、炭素数2から12のアルキレン基が好ましく、炭素数2から6のアルキレン基がより好ましい。
化合物α1は、下記式(11)、(12)又は(13)で表される化合物であってもよい。
上記式(11)~(14)中、X10、X11及びX12は、それぞれ独立して、アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基である。E11及びE12は、それぞれ独立して、カルボニル基、メチレン基又は炭素数2から12のアルキレン基である。Y11、Y12、Y13及びY14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、又は-J13-Si(OA10)3-k(R10)kで表される基である。J11、J12及びJ13は、それぞれ独立して、メチレン基、炭素数2から12のアルキレン基、又は炭素数2から12のアルキレン基の炭素-炭素結合間に酸素原子(-O-)を含む基である。Y15は、-R15又は-OA15で表される基である。Y16は、-R16又は-OA16で表される基である。A10、A15及びA16は、それぞれ独立して、炭素数1から4のアルキル基、ベンジル基又は水素原子である。R10、R15及びR16は、それぞれ独立して、炭素数1から4のアルキル基又はベンジル基である。kは、0から2の整数である。Q10は、水素原子又は式(4)で表される有機基である。式(11)及び(12)において、Y11とY12との少なくとも一方は、酸素原子を含む。式(13)において、Y15とY16との少なくとも一方は酸素原子を含む。式(13)において、ベンゼン環に結合している基X11及びX12は、それぞれ独立して、パラ位又はメタ位に結合している。
(化合物α1の合成方法)
化合物α1の合成方法は特に限定されないが、例えば、アルコキシシリル基と、アルコキシシリル基以外の反応性基aとを有するシランカップリング剤Aと、上記反応性基aと結合反応可能な反応性基bと、ベンゼン環と、アジド基、アジドスルホニル基及びジアゾメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基とを有する化合物Bとを公知の方法により反応させることにより得ることができる。反応性基aと反応性基bとの組み合わせとしては、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基等と、カルボキシ基との組み合わせなどが挙げられる。
化合物α1の合成方法は特に限定されないが、例えば、アルコキシシリル基と、アルコキシシリル基以外の反応性基aとを有するシランカップリング剤Aと、上記反応性基aと結合反応可能な反応性基bと、ベンゼン環と、アジド基、アジドスルホニル基及びジアゾメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基とを有する化合物Bとを公知の方法により反応させることにより得ることができる。反応性基aと反応性基bとの組み合わせとしては、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基等と、カルボキシ基との組み合わせなどが挙げられる。
シランカップリング剤Aとしては、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-アミノプロピル)ジエトキシシラン、ビス(3-アミノプロピル)ジメトキシシラン等が挙げられる。
化合物Bとしては、アジド安息香酸、アジドスルホニル安息香酸、ジアゾメチル安息香酸、3-(4-アジドフェニル)プロピオン酸、これらのカルボン酸の塩化物、アジドアニリン、アジドフェノール等が挙げられる。
(化合物α2)
化合物α2においては、通常、未反応のアルコキシシリル基が残存している。すなわち、化合物α2も、第1官能基としてベンゼン環に直接結合したアジド基等を有し、第2官能基としてシラノール基又はアルコキシシリル基を有する化合物αの一例である。
化合物α2においては、通常、未反応のアルコキシシリル基が残存している。すなわち、化合物α2も、第1官能基としてベンゼン環に直接結合したアジド基等を有し、第2官能基としてシラノール基又はアルコキシシリル基を有する化合物αの一例である。
化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物α2は、化合物α1に由来する構造単位Aを有する。化合物α2は、構造が化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物と同一であれば、他の合成方法により得られたものであってもよい。化合物α2は、シルセスキオキサン化合物であることが好ましい。化合物α2は、アルコキシシリル基及びヒドロキシシリル基の少なくとも一方を有することが好ましく、ヒドロキシシリル基を有することがより好ましい。
構造単位Aとしては、下記式(4)で表される構造単位が挙げられる。下記式(4)で表される構造単位は、mが3である式(1)で表される化合物α1に由来する構造単位である。
式(4)中、R1、R2、X1、Y1及びZ1は、式(1)中のR1、R2、X1、Y1及びZ1とそれぞれ同義である。aは、0から2の整数である。
式(4)中のR1、R2、X1、Y1及びZ1の具体例は、式(1)中のR1、R2、X1、Y1及びZ1の具体例と同様である。式(4)中のR1は、反応性等の観点からはヒドロキシ基又はアルコキシ基であることが好ましく、ヒドロキシ基であることがより好ましい。aは、1が好ましい。
化合物α2における全構造単位に対する構造単位Aの含有量の下限は、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限は、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましい。
化合物α2は、アミノ基(-NH2)を含む構造単位Bを有することが好ましい。化合物α2が構造単位Bを有する場合、化合物α2の水溶性が向上するなどの利点がある。構造単位Bを与える加水分解性シラン化合物としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
化合物α2における全構造単位に対する構造単位Bの含有量の下限は、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限は、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましい。
化合物α2は、構造単位A及び構造単位B以外の構造単位Cを有していてもよい。構造単位Cを与える加水分解性シラン化合物としては、下記式(C)で表される化合物が挙げられる。
式(C)中、Rdは、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数6から15のアリール基、又は反応性基を有する有機基であり、複数のRdはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Reは、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から6のアシル基、又は炭素数6から15のアリール基であり、複数のReはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。xは0から3の整数を表す。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体及び置換体のどちらでもよく、特性に応じて選択できる。
Rd及びReで表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-グリシドキシプロピル基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕プロピル基、3-メルカプトプロピル基、3-イソシアネートプロピル基等が挙げられる。Rdで表されるアルケニル基の具体例としては、ビニル基、3-アクリロキシプロピル基、3-メタクリロキシプロピル基等が挙げられる。Rd及びReで表されるアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p-ヒドロキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチル基、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチル基、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基等が挙げられる。Rdで表される反応性基を有する有機基としては、イソシアネート基、イソシアヌレート構造とアルコキシシリル基とを有する基等が挙げられる。Rdで表される反応性基を有する有機基の炭素数としては、1以上40以下が好ましい。Reで表されるアシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。
式(C)において、x=0の場合は4官能性シラン、x=1の場合は3官能性シラン、x=2の場合は2官能性シラン、x=3の場合は1官能性シランである。
式(C)で表される加水分解性シラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどの4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn-ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn-ブトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、p-メトキシフェニルトリメトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、1-ナフチルトリメトキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸などの3官能性シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn-ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシランなどの2官能性シラン、トリメチルメトキシシラン、トリn-ブチルエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの1官能性シランが挙げられる。
また、式(C)で表される加水分解性シラン化合物には、1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート等、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を5個以上有する化合物も含まれる。
加水分解性シラン化合物は、1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物α2の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、好ましくはGPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィ)で測定されるポリスチレン換算で1,000以上100,000以下、さらに好ましくは2,000以上50,000以下である。
(化合物α2の合成方法)
化合物α2は、(i)化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得る方法、(ii)加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であって、構造単位Bを有する化合物に対して、「アミノ基と結合反応可能な反応性基と、ベンゼン環と、アジド基、アジドスルホニル基及びジアゾメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基とを有する化合物X」(アジド安息香酸、アジドスルホニル安息香酸、ジアゾメチル安息香酸等)を反応させて得る方法などが挙げられる。上記(ii)においては、構造単位B中のアミノ基が化合物Xと反応することにより、構造単位Aが形成される。
化合物α2は、(i)化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得る方法、(ii)加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であって、構造単位Bを有する化合物に対して、「アミノ基と結合反応可能な反応性基と、ベンゼン環と、アジド基、アジドスルホニル基及びジアゾメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基とを有する化合物X」(アジド安息香酸、アジドスルホニル安息香酸、ジアゾメチル安息香酸等)を反応させて得る方法などが挙げられる。上記(ii)においては、構造単位B中のアミノ基が化合物Xと反応することにより、構造単位Aが形成される。
化合物α2を得るための加水分解縮合には、一般的な方法を用いることができる。例えば、加水分解性シラン化合物に溶媒、水、必要に応じて触媒を添加し、30から150℃で0.5から100時間程度加熱撹拌する。なお、撹拌中、必要に応じて、蒸留によって加水分解副生物(メタノールなどのアルコール)及び縮合副生物(水)等の留去を行ってもよい。
必要に応じて添加される触媒に特に制限はないが、酸触媒及び塩基触媒が好ましく用いられる。酸触媒の具体例としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、多価カルボン酸又はその無水物、イオン交換樹脂等が挙げられる。塩基触媒の具体例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシラン、イオン交換樹脂等が挙げられる。触媒の添加量は、加水分解性シラン化合物100質量部に対して0.01から10質量部が好ましい。
化合物α2を含む溶液の貯蔵安定性の観点から、加水分解縮合後の溶液には触媒が含まれないことが好ましく、必要に応じて触媒の除去を行うことができる。除去方法としては特に制限は無いが、好ましくは水洗浄又はイオン交換樹脂の処理が挙げられる。水洗浄とは、溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して得られた有機層をエバポレーターで濃縮する方法である。イオン交換樹脂での処理とは、溶液を適当なイオン交換樹脂に接触させる方法である。
加水分解縮合の反応に用いる溶媒は特に制限はないが、好ましくはアルコール性水酸基を有する化合物が用いられる。アルコール性水酸基を有する化合物は特に制限されないが、好ましくは大気圧下の沸点が110から250℃である化合物である。
アルコール性水酸基を有する化合物の具体例としては、アセトール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、4-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、5-ヒドロキシ-2-ペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールなどが挙げられる。なお、これらのアルコール性水酸基を有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、溶媒としては、アルコール性水酸基を有する化合物と共にその他の溶媒を用いてもよい。その他の溶媒としては、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-1-ブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテート、アセト酢酸エチルなどのエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、などのエーテル類、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、炭酸プロピレン、N-メチルピロリドン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどが挙げられる。
化合物α1及び化合物α2としては、より具体的には下記式(15)、(16)、(17)、(18a)、(18b)、(18c)又は(19)で表される化合物を挙げることができる。式(15)、(16)、(17)、(18a)、(18b)又は(18c)で表される化合物は、化合物α1の具体例である。式(19)で表される化合物は、化合物α2の具体例である。式(15)、(16)及び(17)中、Etはエチル基を表す。
式(19)で表される化合物は、式(19)中に示された3種類の構造単位が、それぞれl個、m個、n個結合して構成されるシルセスキオキサン化合物であり、Xはアジド基であり、lは0以上の任意の整数、mは1以上の任意の整数、nは0以上の任意の整数である。Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は-O-である。Rfは、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数2以上10以下のアルケニル基、炭素数6以上15以下のアリール基、又は反応性基を有する有機基であり、複数のRfはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体及び置換体のどちらでもよく、特性に応じて選択できる。式(19)で表される化合物(「IMB-4KP」)は、例えば、l:m:n=1:1:0の場合には水溶性である。一般に、この化合物は、比l/(m+n)の値が0に近い場合(例えば、0.2未満又は0.1未満)を除いて水溶性である。すなわち、比l/(m+n)の値の下限は、水溶性の観点から、0.2が好ましく、0.5がより好ましく、1がさらに好ましい。比l/(m+n)の値の上限は、5が好ましく、2がより好ましい。
化合物αの他の形態としては、
下記式(5)で表される化合物α3、及び
化合物α3を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物α4
が挙げられる。
下記式(5)で表される化合物α3、及び
化合物α3を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物α4
が挙げられる。
(化合物α3)
化合物α3は、下記式(5)で表される化合物である。
化合物α3は、下記式(5)で表される化合物である。
式(5)中、X21は、第1官能基である。X22は、第1官能基又は-N(R21)2で表される基である。複数のR21は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上24以下の炭化水素基、又は-R22-Si(OR23)3-p(R24)pで表される基である。R22は、メチレン基又は炭素数2以上12以下のアルキレン基である。R23は、水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基である。R24は、炭素数1以上4以下のアルキル基である。pは、0以上2以下の整数である。但し、式(5)で表される化合物が有する複数のR21のうちの少なくとも一つは、-R22-Si(OR23)3-p(R24)pで表される基である。
X21又はX22で表される第1官能基としては、アミノ基、チオール基、アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基が好ましく、アジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基がより好ましく、アジド基がさらに好ましい。
X22は、第1官能基であることが好ましい。
化合物α3としては、例えば(株)いおう化学研究所製のn-TES、P-TES、A-TES等を用いることができる。
化合物α3の具体例としては、2,4-ジアジド-6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン(以下、「IMB-P」と呼ぶ)、2,4-ジアジド-6-(4-トリエトキシシリルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン、6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、2,4-ジアミノ-6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
(化合物α4)
化合物α4は、化合物α3を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物である。化合物α4は、化合物α1に替えて化合物α3が用いられていること以外は化合物α2と同様の加水分解縮合物である。
化合物α4は、化合物α3を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物である。化合物α4は、化合物α1に替えて化合物α3が用いられていること以外は化合物α2と同様の加水分解縮合物である。
化合物αは、一種又は二種以上を用いることができる。
化合物αを含む表面処理剤は、通常、化合物αと溶媒とを含む溶液である。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、セルソルブ、カルビトール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、フタル酸メチル等のエステル、テトラヒドロフラン(THF)、エチルブチルエーテル、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエーテル、水等を用いることができる。また、加水分解縮合に用いられる溶媒として例示した溶媒も用いることができる。これらの中でも、アルコール、エーテル及び水が好ましい。溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
表面処理剤(化合物αを含む溶液)における化合物αの濃度としては、0.05質量%以上5質量%以下が好ましい。化合物αの濃度を上記範囲とすることで、適度な厚さの化合物αの層15を効果的に形成することなどができるため、基板11と金属パターン16との結合性(接着性)を高めることができる。
表面処理剤は、化合物α及び溶媒以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、化合物αを合成したときの未反応物、副反応生成物、界面活性剤等を挙げることができる。但し、当該表面処理剤における全固形分(溶媒以外の全成分)に対する化合物αの含有量としては、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。当該表面処理剤における全固形分に対する化合物αの含有量は100質量%であってもよい。
表面処理剤を基材の表面に塗布する方法としては、従来公知のコーティング方法、例えば、インクジェット方式、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等が挙げられる。表面処理剤を塗布したときの塗膜の厚さ(ウェット厚さ)の下限としては、例えば100nmが好ましく、1μmがより好ましく、3μmがさらに好ましい。一方、この塗膜の厚さ(ウェット厚さ)は、例えば、樹脂パターン13の厚さ(高さ)以下であってもよく、樹脂パターンの厚さの1/2以下であってもよい。ディップコート方式を用いた場合の浸漬時間としては、例えば3秒以上60秒以下が好ましい。
(UV照射・加熱工程)
UV照射・加熱工程は、樹脂パターン13が形成された基板11上に塗布された化合物α(化合物αを含む表面処理剤14)に対して、紫外線照射及び加熱の少なくとも一方の処理を行う工程である。この紫外線照射は、例えば230nm以上300nm以下の波長領域を含む紫外線を照射することが好ましい。また、加熱温度の下限としては、例えば80℃が好ましく、90℃がより好ましい。加熱温度の上限としては、150℃が好ましく、120℃がより好ましい。加熱時間としては、1分以上60分以下が好ましい。また、UV照射・加熱工程の前に、塗布された表面処理剤14を乾燥させる工程を別途設けてもよいし、このUV照射・加熱工程において、塗布された表面処理剤14を乾燥させてもよい。なお、紫外線照射と加熱とを併用してもよい。紫外線照射と加熱とを併用する場合、いずれか一方を先に行ってもよく、同時に行ってもよい。
UV照射・加熱工程は、樹脂パターン13が形成された基板11上に塗布された化合物α(化合物αを含む表面処理剤14)に対して、紫外線照射及び加熱の少なくとも一方の処理を行う工程である。この紫外線照射は、例えば230nm以上300nm以下の波長領域を含む紫外線を照射することが好ましい。また、加熱温度の下限としては、例えば80℃が好ましく、90℃がより好ましい。加熱温度の上限としては、150℃が好ましく、120℃がより好ましい。加熱時間としては、1分以上60分以下が好ましい。また、UV照射・加熱工程の前に、塗布された表面処理剤14を乾燥させる工程を別途設けてもよいし、このUV照射・加熱工程において、塗布された表面処理剤14を乾燥させてもよい。なお、紫外線照射と加熱とを併用してもよい。紫外線照射と加熱とを併用する場合、いずれか一方を先に行ってもよく、同時に行ってもよい。
(樹脂パターン剥離工程)
樹脂パターン剥離工程は、樹脂パターン13を剥離する工程である。この樹脂パターン剥離工程を経ることで、図1eに示すように、基板11上に部分的に積層された化合物αの層15が現像された状態となる。化合物αの層15は、通常、非常に薄い層であり、その平均厚さの下限は、1nmであってもよく、10nmであってもよい。化合物αの層15の平均厚さの上限は、例えば10μmであってもよく、1μmであってもよく、100nmであってもよい。
樹脂パターン剥離工程は、樹脂パターン13を剥離する工程である。この樹脂パターン剥離工程を経ることで、図1eに示すように、基板11上に部分的に積層された化合物αの層15が現像された状態となる。化合物αの層15は、通常、非常に薄い層であり、その平均厚さの下限は、1nmであってもよく、10nmであってもよい。化合物αの層15の平均厚さの上限は、例えば10μmであってもよく、1μmであってもよく、100nmであってもよい。
樹脂パターン13の剥離は、従来公知の剥離液を用いて行うことができる。このような剥離液としては、例えば、アミン化合物や3~10質量%程度の水酸化ナトリウムを含有するアルカリ剥離液を用いることができる。通常、アルカリ性の剥離液は、現像工程で用いるアルカリ性の現像液よりもアルカリ性が強く、現像液では除去されなかった樹脂パターン13を剥離することができる。また、現像工程における現像液との接触時間と、樹脂パターン剥離工程における剥離液との接触時間との差異等により、現像工程では残存した樹脂パターン13が樹脂パターン剥離工程では剥離される。剥離液は市販品を用いることができる。
(金属パターン形成工程)
金属パターン形成工程は、表面処理剤が塗布された基板11上に、換言すれば、部分的に化合物αの層15が設けられた基板11の表面に、めっき処理により金属パターン16を形成する工程である。この金属パターン形成工程により、図1fに示すように、基板11上に部分的に積層された化合物αの層15を被覆するように金属パターン16が形成される。
金属パターン形成工程は、表面処理剤が塗布された基板11上に、換言すれば、部分的に化合物αの層15が設けられた基板11の表面に、めっき処理により金属パターン16を形成する工程である。この金属パターン形成工程により、図1fに示すように、基板11上に部分的に積層された化合物αの層15を被覆するように金属パターン16が形成される。
金属パターン形成工程におけるめっき処理は、無電解めっき処理を含むことが好ましい。また、まず、無電解めっき処理を行い、続けて電解めっき処理を行ってもよい。例えば、金属パターン16にある程度の厚さが必要な場合には、無電解めっき処理の後で、電解めっき処理を行って厚膜化を図ってもよい。めっき処理される金属としては、例えば、銅、ニッケル、銀、パラジウム、亜鉛等特に限定されないが、銅が好ましい。すなわち、金属パターン16は、銅から形成されていること、換言すれば銅めっき膜であることが好ましい。
無電解めっき処理は、従来公知の方法により行うことができる。無電解めっき処理は、例えば、プレディップ工程と、触媒付与工程と、アクセラレータ工程と、無電解めっき工程とを備えるものであってよい。
プレディップ工程では、化合物αの層15が設けられた基板11をプレディップ液に浸漬する処理を行う。続いて、触媒付与工程では、この化合物αの層15が設けられた基板11をキャタリスト液に浸漬してパラジウム触媒等のめっき触媒を付与する。キャタリスト液としては、例えばキャタポジット44(ローム&ハース電子材料株式会社製)等を用いることができる。続いて、アクセラレータ工程では、化合物αの層15が設けられた基板11をアクセラレータ液に浸漬するアクセラレータ処理を施して、めっき触媒を活性化する。アクセラレータ液としては、例えば所定濃度の塩酸を用いることができる。続いて、無電解めっき工程では、化合物αの層15が設けられた基板11に無電解めっきを施す。例えば、無電解めっきにより銅をめっきする場合、めっき液としては、硫酸銅と、還元剤と、水性媒体、有機溶剤等の溶媒とを含有するものを用いることが好ましい。形成される金属パターン16(めっき膜)は、基板11の表面に担持された化合物αを介した界面分子結合により、基板11と化学結合により結合すると考えられる。
無電解めっき処理によって形成されるめっき膜の平均厚さとしては、例えば0.5μm以上5μm以下が好ましく、1μm以上3μm以下がより好ましい。但し、無電解めっき処理に続いて電解めっき処理を行う場合は、無電解めっき処理によって形成されるめっき膜の平均厚さは、より薄くてもよく、例えば0.1μm以上0.5μm以下の範囲であってもよい。
電解めっき処理は、従来公知の方法により行うことができる。
めっき処理後には、アニール処理を行うことが好ましい。アニール処理における処理温度及び処理時間としては、例えば、90~130℃及び3~60分である。アニール処理により、めっき応力が低減され、剥離強度が向上する。
<配線基板>
本発明の一実施形態に係る配線基板は、図1fに示されるように、基板11と、基板11の表面の一部に、化合物α(化合物αの層15)を介して積層された金属パターン16とを備える。
本発明の一実施形態に係る配線基板は、図1fに示されるように、基板11と、基板11の表面の一部に、化合物α(化合物αの層15)を介して積層された金属パターン16とを備える。
当該配線基板は、上記した本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法により好適に製造することができる。当該配線基板を構成する、基板11、化合物αの層15及び金属パターン16の具体的形態及び好適形態は、本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法において説明したこれらと同様である。当該配線基板においては、基板11と金属パターン16との間に化合物αが介在するため、金属パターン16の基板11に対する密着性が高い。また、当該配線基板は、金属パターン16表面の荒れも少ない。
当該配線基板における金属パターン16の平均厚さの下限としては、例えば0.5μmが好ましく、1μmがより好ましい。一方、金属パターン16の平均厚さの上限としては、10μmが好ましく、5μmがより好ましく、3μmがさらに好ましい。金属パターン16の平均厚さは、基板11の表面を基準とした高さとし、化合物αの層15の厚さが含まれていてもよい。金属パターン16の最小幅としては、例えば5μm以上200μmが好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。金属パターン16の最小間隔しては、例えば5μm以上200μmが好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。当該配線基板は、このような微細な金属パターン16を備えることができる。
本発明の一実施形態に係る配線基板は、従来公知の配線基板、プリント配線板等と同様の用途に用いることができる。本発明の一実施形態に係る配線基板は、例えば、半導体素子、弾性表面波素子、固体撮像素子等の電子部品及びその実装に用いることができる。当該配線基板は、金属パターン表面の荒れが小さく、高周波信号であっても伝送損失が小さいため、高周波信号(例えば、1GHz以上300GHz以下の周波数の信号)の伝送用の配線基板として特に好適である。
<その他の実施形態>
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
例えば、本発明の配線基板は、基板、化合物αの層及び金属パターン以外の構成をさらに有していてもよい。また、本発明の配線基板は、金属パターン(配線)が多層に設けられた多層配線基板であってもよく、ビアホール等が設けられているものであってもよい。
また、上記したように、金属パターンを形成する工程の後に、樹脂パターンを剥離する工程を行う配線基板の製造方法も、本発明の好適な一形態である。この場合の金属パターンを形成する工程、及び樹脂パターンを剥離する工程は、上記したこれらの工程と同様の方法又は異なった方法により行うことができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
以下の合成物の同定には、(株)島津製作所製のフーリエ変換赤外分光光度計IRTracer-100、日本電子(株)製の核磁気共鳴スペクトル装置 NMR spectrometer Z、及び(株)島津製作所製のガスクロマトグラフ質量分析計 GCMS-QP2020 NXを用いた。
[合成例]各種化合物αの合成
(1)上記式(19)で表される化合物(IMB-4KP)の合成
3-アジド安息香酸クロリド(N3C6H4COCl)をTHF(テトラヒドロフラン)に溶かした。窒素ガスの雰囲気下、3-アミノプロピルトリエトキシシランの加水分解縮合物である原料オリゴマー(米国Gelest)とTEA(トリエチルアミン)とをTHFに溶かし、撹拌しながら室温で滴下した。反応を完結させるためさらに撹拌を続けた。反応終了後、THFを含む溶液を留去し、得られた粗生成物を精製して目的物を得た。この目的物が、式(19)で表されるシルセスキオキサン化合物(IMB-4KP)であった。スペクトルから、生成物においては、式(19)におけるlとmとnとの比が、l:m:n=1:1:0であることを確認した。
(1)上記式(19)で表される化合物(IMB-4KP)の合成
3-アジド安息香酸クロリド(N3C6H4COCl)をTHF(テトラヒドロフラン)に溶かした。窒素ガスの雰囲気下、3-アミノプロピルトリエトキシシランの加水分解縮合物である原料オリゴマー(米国Gelest)とTEA(トリエチルアミン)とをTHFに溶かし、撹拌しながら室温で滴下した。反応を完結させるためさらに撹拌を続けた。反応終了後、THFを含む溶液を留去し、得られた粗生成物を精製して目的物を得た。この目的物が、式(19)で表されるシルセスキオキサン化合物(IMB-4KP)であった。スペクトルから、生成物においては、式(19)におけるlとmとnとの比が、l:m:n=1:1:0であることを確認した。
塩化メチレン(CH2Cl2)30mLとDMF(N,N-ジメチルホルムアミドC3H7NO)0.3mLとの混合溶媒に、4-アジド安息香酸(N3C6H4COOH)2.6gを溶解させた。窒素ガスの雰囲気下、撹拌しながら、塩化メチレン20mLに溶かした塩化チオニル(SOCl2)7.3gを、室温で滴下した。反応を完結させるためさらに2時間撹拌を続けた。反応終了後、塩化メチレンを含む低沸点物を留去し、4-アジド安息香酸クロリド(N3C6H4COCl)を含む黄色油状物を得た。この油状物は、更に精製することなく、直接に次の反応に供した。
4-アジド安息香酸クロリド(N3C6H4COCl)1.8gをTHF(テトラヒドロフラン)15mLに溶かした。窒素ガスの雰囲気下、3-トリエトキシシリルプロピルアミン3.6g、及びTEA(トリエチルアミン)2.1gをTHF20mLに溶かし、撹拌しながら室温で滴下した。反応を完結させるためさらに2時間撹拌を続けた。反応終了後、THFを含む溶液を留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(溶離液:アセトン/ヘキサン=85/15)により精製し収率66%(2.4g)で淡黄色オイルを得た。
IR、NMR及びQCMSの各分析から、生成物が、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-アジドベンズアミドであることを確認した。
IR、NMR及びQCMSの各分析から、生成物が、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-アジドベンズアミドであることを確認した。
3-アジド安息香酸クロリド(N3C6H4COCl)1.8gをTHF15mLに溶かした。窒素ガスの雰囲気下、3-トリエトキシシリルプロピルアミン(H2N(CH2)2Si(OC2H5)3)3.6g、及びTEA2.1gをTHF20mLに溶かし、撹拌しながら室温で滴下した。反応を完結させるためさらに2時間撹拌を続けた。反応終了後、THFを含む溶液を留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(溶離液:アセトン/ヘキサン=85/15)により精製し収率62%(2.2g)で淡黄色オイルを得た。スペクトル等から、生成物はN-(3-トリエトキシシリルプロピル)-3-アジドベンズアミドであることを確認した。
4-アジド安息香酸クロリド(N3C6H4COCl)1.8gをTHF15mLに溶かした。窒素ガスの雰囲気下、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン(HN((CH2)3Si(OC2H5)3)2)6g、及びTEA2.1gをTHF20mLに溶かし、撹拌しながら室温で滴下した。反応を完結させるためさらに2時間撹拌を続けた。反応終了後、THFを含む溶液を留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(溶離液:アセトン/ヘキサン=85/15)により精製し収率61%で淡黄色オイルを得た。スペクトル等から、生成物は、N,N-ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-アジドベンズアミドであることを確認した。
3-アジド安息香酸クロリド(N3C6H4COCl)1.8gをTHF15mLに溶かした。窒素ガスの雰囲気下、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン(HN((CH2)3Si(OC2H5)3)2)6g、及びTEA2.1gをTHF20mLに溶かし、撹拌しながら室温で滴下した。反応を完結させるためさらに2時間撹拌を続けた。反応終了後、THFを含む溶液を留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(溶離液:アセトン/ヘキサン=85/15)により精製し収率62%で淡黄色オイルを得た。スペクトル等から、生成物は、N,N-ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)-3-アジドベンズアミドであることを確認した。
4-アジド安息香酸クロリド(N3C6H4COCl)2.8gをTHF30mLに溶かした。窒素ガスの雰囲気下、ビス(3-アミノプロピル)ジエトキシシラン(2.3mL)と、TEA2.1gをTHF20mLに溶かし、撹拌しながら室温で滴下した。室温で一晩撹拌した。反応を完結させるためさらに2時間撹拌を続けた。反応終了後、THFを含む溶液を留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(溶離液:アセトン/ヘキサン=85/15)により精製し収率50%で淡黄色オイルを得た。スペクトルから、生成物は、N,N’-((ジエトキシシランジイル)ビス(3-プロピル-3,1-ジイル)ビス(4-アジドベンズアミド)であることを確認した。
実施例及び比較例で使用した基板を以下に示す。
・PTFE基板1
平均厚さ1.0mm、中興化成工業株式会社「PTFEシート MFT-100」
・PTFE基板2
平均厚さ100μm、日東電工株式会社「ニトフロン 902UL」(脱フッ素化処理済み)
・フッ素系複合樹脂基板
平均厚さ168μm、ロジャース「RO4350B」
・MPI基板
平均厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社「カプトン 100LK」
・COP基板
平均厚さ50μm、日本ゼオン株式会社「L-24」
・LCP基板
平均厚さ50μm、株式会社クラレ「ベクスター」
・PEEK基板
平均厚さ100μm、信越ポリマー株式会社「信越セプラフィルムPEEK」
・PTFE基板1
平均厚さ1.0mm、中興化成工業株式会社「PTFEシート MFT-100」
・PTFE基板2
平均厚さ100μm、日東電工株式会社「ニトフロン 902UL」(脱フッ素化処理済み)
・フッ素系複合樹脂基板
平均厚さ168μm、ロジャース「RO4350B」
・MPI基板
平均厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社「カプトン 100LK」
・COP基板
平均厚さ50μm、日本ゼオン株式会社「L-24」
・LCP基板
平均厚さ50μm、株式会社クラレ「ベクスター」
・PEEK基板
平均厚さ100μm、信越ポリマー株式会社「信越セプラフィルムPEEK」
[実施例1]
基板としてPTFE基板1を用いた。この基板をエタノールに浸漬して、5分間の超音波洗浄をすることで、脱脂洗浄を行った。
次いで、この基板に対して、表面改質前処理として、Naナフタレン錯体溶液に5秒浸漬することで、脱フッ素化処理を行った。
次いで、感光性ドライフィルム(平均厚さ15μm、昭和電工マテリアルズ株式会社「フォテック RY-5115」)を基板の表面に貼り付け、感光性樹脂層を設けた。
次いで、感光性樹脂層を設けた面に対し、フォトマスクを介して露光を行った。なお、以下の2つの金属パターンが形成されるように、対応したフォトマスクを用いた。
左右一対の入り組んだ櫛の歯パターンA L/S=67μm/133μm
左右一対の入り組んだ櫛の歯パターンB L/S=43μm/57μm
次いで、感光性樹脂層を設けた基板について、アルカリ現像液(1質量%炭酸ナトリウム水溶液)を用いて30℃において現像し、感光性樹脂層における非露光部を除去し、樹脂パターンを得た。
次いで、現像後の基板を、化合物αを含む表面処理剤に10秒浸漬させた。この表面処理剤は、合成例で得られた化合物(IMB-4KP)を、濃度が2.5質量%となるようにイソプロパノールに溶解したものを用いた。その後、表面処理剤が塗布された基板に対して、100℃で10分間の加熱処理を行った。
次いで、剥離液(モノエタノールアミン(20質量%)、ベンジルアルコール(58質量%)、水(20質量%)及びベンズトリアゾール(2質量%)を含む液)を用いて、40℃の条件下で、基板表面の樹脂パターンを除去した。
次いで、基板に対して、以下の手順で無電解めっき処理を行った。基板をプレディップ液に1分浸漬させ、次いで、55℃のキャタリスト液(ローム&ハース電子材料株式会社「キャタポジット44」)に3分浸漬させ、その後、基板の水洗、アクセラレータ液への浸漬及び水洗を行い、めっき触媒(Pd触媒)を基板の表面にパターン状に付着させた。次いで、基板を、無電解銅めっき液(奥野製薬(株)「ARGカッパー」、pH12.5)に浸漬し、平均厚さ1μmの金属パターン(銅めっき膜)を設けた。その後、100℃1時間のアニール処理を行い、実施例1の配線基板を得た。
基板としてPTFE基板1を用いた。この基板をエタノールに浸漬して、5分間の超音波洗浄をすることで、脱脂洗浄を行った。
次いで、この基板に対して、表面改質前処理として、Naナフタレン錯体溶液に5秒浸漬することで、脱フッ素化処理を行った。
次いで、感光性ドライフィルム(平均厚さ15μm、昭和電工マテリアルズ株式会社「フォテック RY-5115」)を基板の表面に貼り付け、感光性樹脂層を設けた。
次いで、感光性樹脂層を設けた面に対し、フォトマスクを介して露光を行った。なお、以下の2つの金属パターンが形成されるように、対応したフォトマスクを用いた。
左右一対の入り組んだ櫛の歯パターンA L/S=67μm/133μm
左右一対の入り組んだ櫛の歯パターンB L/S=43μm/57μm
次いで、感光性樹脂層を設けた基板について、アルカリ現像液(1質量%炭酸ナトリウム水溶液)を用いて30℃において現像し、感光性樹脂層における非露光部を除去し、樹脂パターンを得た。
次いで、現像後の基板を、化合物αを含む表面処理剤に10秒浸漬させた。この表面処理剤は、合成例で得られた化合物(IMB-4KP)を、濃度が2.5質量%となるようにイソプロパノールに溶解したものを用いた。その後、表面処理剤が塗布された基板に対して、100℃で10分間の加熱処理を行った。
次いで、剥離液(モノエタノールアミン(20質量%)、ベンジルアルコール(58質量%)、水(20質量%)及びベンズトリアゾール(2質量%)を含む液)を用いて、40℃の条件下で、基板表面の樹脂パターンを除去した。
次いで、基板に対して、以下の手順で無電解めっき処理を行った。基板をプレディップ液に1分浸漬させ、次いで、55℃のキャタリスト液(ローム&ハース電子材料株式会社「キャタポジット44」)に3分浸漬させ、その後、基板の水洗、アクセラレータ液への浸漬及び水洗を行い、めっき触媒(Pd触媒)を基板の表面にパターン状に付着させた。次いで、基板を、無電解銅めっき液(奥野製薬(株)「ARGカッパー」、pH12.5)に浸漬し、平均厚さ1μmの金属パターン(銅めっき膜)を設けた。その後、100℃1時間のアニール処理を行い、実施例1の配線基板を得た。
[実施例2~14]
表1に記載の基板及び化合物αを用いたこと、並びに表1に記載の表面改質前処理を行った又は表面改質前処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、実施例2~14の各配線基板を得た。
表1に記載の基板及び化合物αを用いたこと、並びに表1に記載の表面改質前処理を行った又は表面改質前処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、実施例2~14の各配線基板を得た。
なお、表1に記載の各表面改質前処理は以下の通りである。また、表1中の表面改質前処理の欄における「-」は、表面改質前処理を行わなかったことを示す。
脱フッ素化処理:Naナフタレン錯体溶液に5秒浸漬
アルカリ処理:NaOH水溶液に5秒浸漬
酸素プラズマ処理:酸素流量200mL/分、処理時間10分、処理出力500W
アルゴンプラズマ処理:アルゴン流量200mL/分、処理時間10分、処理出力500W
脱フッ素化処理:Naナフタレン錯体溶液に5秒浸漬
アルカリ処理:NaOH水溶液に5秒浸漬
酸素プラズマ処理:酸素流量200mL/分、処理時間10分、処理出力500W
アルゴンプラズマ処理:アルゴン流量200mL/分、処理時間10分、処理出力500W
[比較例1]
基板としてPTFE基板1を用いた。この基板をエタノールに浸漬して、5分間の超音波洗浄をすることで、脱脂洗浄を行った。
次いで、実施例1と同じ感光性ドライフィルムを基板の表面に貼り付け、感光性樹脂層を設けた。
次いで、感光性樹脂層を設けた面に対し、フォトマスクを介して露光を行った。なお、実施例1と同様の2つの金属パターンが形成されるように、対応したフォトマスクを用いた。
次いで、感光性樹脂層を設けた基板について、実施例1と同じアルカリ現像液を用いて現像し、感光性樹脂層における非露光部を除去し、樹脂パターンを得た。
次いで、この基板に対して、表面改質前処理として、酸素プラズマ処理を行った。
次いで、実施例1と同じ剥離液を用いて、基板表面の樹脂パターンを除去した。
次いで、基板に対して、実施例1等と同様の手順で無電解めっき処理を行った。
基板としてPTFE基板1を用いた。この基板をエタノールに浸漬して、5分間の超音波洗浄をすることで、脱脂洗浄を行った。
次いで、実施例1と同じ感光性ドライフィルムを基板の表面に貼り付け、感光性樹脂層を設けた。
次いで、感光性樹脂層を設けた面に対し、フォトマスクを介して露光を行った。なお、実施例1と同様の2つの金属パターンが形成されるように、対応したフォトマスクを用いた。
次いで、感光性樹脂層を設けた基板について、実施例1と同じアルカリ現像液を用いて現像し、感光性樹脂層における非露光部を除去し、樹脂パターンを得た。
次いで、この基板に対して、表面改質前処理として、酸素プラズマ処理を行った。
次いで、実施例1と同じ剥離液を用いて、基板表面の樹脂パターンを除去した。
次いで、基板に対して、実施例1等と同様の手順で無電解めっき処理を行った。
[比較例2~7]
表1に記載の基板を用いたこと、及び表1に記載の表面改質前処理を行った又は表面改質前処理を行わなかったこと以外は比較例1と同様にして、比較例2~7を行った。なお、比較例1~7においては、化合物αを含む表面処理剤の塗布は行わなかった。
表1に記載の基板を用いたこと、及び表1に記載の表面改質前処理を行った又は表面改質前処理を行わなかったこと以外は比較例1と同様にして、比較例2~7を行った。なお、比較例1~7においては、化合物αを含む表面処理剤の塗布は行わなかった。
[評価]外観、密着性及び絶縁性
実施例1~14及び比較例1~7について、形成されたそれぞれ2つの金属パターンの外観、密着性及び絶縁性について評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1~14及び比較例1~7について、形成されたそれぞれ2つの金属パターンの外観、密着性及び絶縁性について評価した。評価結果を表1に示す。
(外観)
それぞれの金属パターンの外観を目視にて以下の基準で評価した。
A+:欠損が無く、均一性が良好であった。
A :欠損が無く、均一性がやや良好であった(A+よりは均一性が劣り、多少不均一な部分が確認された)。
B :部分欠損があった。
C :全面欠損があった。または、金属パターン(めっき膜)が形成されなかった。
それぞれの金属パターンの外観を目視にて以下の基準で評価した。
A+:欠損が無く、均一性が良好であった。
A :欠損が無く、均一性がやや良好であった(A+よりは均一性が劣り、多少不均一な部分が確認された)。
B :部分欠損があった。
C :全面欠損があった。または、金属パターン(めっき膜)が形成されなかった。
(密着性)
それぞれの金属パターン表面に市販の接着テープ(4N/cm)を貼り付け、その後接着テープを剥離することにより、金属パターンの密着性を以下の基準で評価した。
A+:剥離無し(100%密着)。
A :僅かに剥離あり(90%以上100%未満密着)。
B :部分剥離あり(0%超90%未満密着)。
C :全面剥離(0%密着)。
- :密着性の評価不可。
それぞれの金属パターン表面に市販の接着テープ(4N/cm)を貼り付け、その後接着テープを剥離することにより、金属パターンの密着性を以下の基準で評価した。
A+:剥離無し(100%密着)。
A :僅かに剥離あり(90%以上100%未満密着)。
B :部分剥離あり(0%超90%未満密着)。
C :全面剥離(0%密着)。
- :密着性の評価不可。
(絶縁性)
それぞれの金属パターンの左右の櫛の歯パターン間の絶縁性をテスタで確認し、以下の基準で評価した。
A :短絡無し。
C :短絡有り。
- :絶縁性の評価不可。
それぞれの金属パターンの左右の櫛の歯パターン間の絶縁性をテスタで確認し、以下の基準で評価した。
A :短絡無し。
C :短絡有り。
- :絶縁性の評価不可。
表1に記載のように、実施例1~14の各配線基板は、外観、密着性及び絶縁性が良好な金属パターンが形成されていることが確認できた。
[参考例1-1~1-5]シクロオレフィンポリマー(COP)基板に対する金属めっき膜の形成
[参考例1-1]
COP基板(平均厚さ0.1mm)について、平均厚さ20μmの金属めっき膜(銅めっき膜)を形成し、密着性を試験した。まず、脱脂洗浄として、アセトンによる処理を行った。次いで、表面改質前処理として、酸素プラズマ処理(100mL/分、2分、200W)を施した。次いで、表面処理剤の塗布として、IMB-4Kのエタノール溶液に30秒間浸漬した。次いで、UV照射・加熱として、試料にUV-LED照射器から被照射エネルギー200mJ/cm2で紫外線を照射し、次いで、125℃で15分の加熱を行った。表面処理剤の塗布とUV照射・加熱とは、2回反復して行った。その後、無電解めっき及び電解めっきを行い、平均厚さ20μmの銅めっき膜を形成した。めっき後においては、110℃で60分のアニール処理を行い、COP基板と金属めっき膜との積層体を得た。
COP基板(平均厚さ0.1mm)について、平均厚さ20μmの金属めっき膜(銅めっき膜)を形成し、密着性を試験した。まず、脱脂洗浄として、アセトンによる処理を行った。次いで、表面改質前処理として、酸素プラズマ処理(100mL/分、2分、200W)を施した。次いで、表面処理剤の塗布として、IMB-4Kのエタノール溶液に30秒間浸漬した。次いで、UV照射・加熱として、試料にUV-LED照射器から被照射エネルギー200mJ/cm2で紫外線を照射し、次いで、125℃で15分の加熱を行った。表面処理剤の塗布とUV照射・加熱とは、2回反復して行った。その後、無電解めっき及び電解めっきを行い、平均厚さ20μmの銅めっき膜を形成した。めっき後においては、110℃で60分のアニール処理を行い、COP基板と金属めっき膜との積層体を得た。
[参考例1-2~1-5]
表面処理剤の塗布で用いる化合物αの種類、及びUV照射・加熱で加熱のみを行うのか(「H」と表す)、又は紫外線照射と加熱との両方を行うのか(「UV+H」と表す)、という点を表2に記載の通りとしたこと以外は参考例1-1と同様にして、参考例1-2~1-5を実施し、各積層体を得た。
表面処理剤の塗布で用いる化合物αの種類、及びUV照射・加熱で加熱のみを行うのか(「H」と表す)、又は紫外線照射と加熱との両方を行うのか(「UV+H」と表す)、という点を表2に記載の通りとしたこと以外は参考例1-1と同様にして、参考例1-2~1-5を実施し、各積層体を得た。
(評価)ピール強度
参考例1-1~1-5で得られた積層体について、金属めっき膜のピール強度(剥離強度)を測定した。縦型電動計測スタンドMX2-500N((株)イマダ)にフォースゲージZTA-50Nを取り付け、90°剥離のピール強度試験機を構成した。剥離速度は50mm/分とした。各積層体について3つのサンプルを作製してそれぞれについて計測を行い、ピール強度の平均値を求めた。測定結果を表2に示す。
参考例1-1~1-5で得られた積層体について、金属めっき膜のピール強度(剥離強度)を測定した。縦型電動計測スタンドMX2-500N((株)イマダ)にフォースゲージZTA-50Nを取り付け、90°剥離のピール強度試験機を構成した。剥離速度は50mm/分とした。各積層体について3つのサンプルを作製してそれぞれについて計測を行い、ピール強度の平均値を求めた。測定結果を表2に示す。
[参考例2-1、2-2]脱フッ素化PTFE基板に対する金属めっき膜の形成
脱フッ素化されたPTFE基板(平均厚さ180μm:日東電工「900UL」)をエタノールに浸漬して、3分間の超音波洗浄をすることで、脱脂洗浄を行い、その後エアブロー乾燥を行った。
次いで、化合物αのエタノール溶液にPTFE基板を30秒間浸漬させた。参考例2-1においては、化合物αとして、IMB-4Kを用いた。参考例2-2においては、化合物αとして、2,4-ジアジド-6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン(IMB-P)を用いた。その後、表面処理剤が塗布されたPTFE基板に対して、100℃で10分間の加熱処理を行った。
次いで、以下の手順で金属めっき膜(銅めっき膜)を形成した。PTFE基板をプレディップ液に浸漬させ、次いで、キャタリスト液(ローム&ハース電子材料株式会社「キャタポジット44」)に浸漬させた。次いで、脱フッ素化PTFEフィルムを1v/v%濃度の塩酸に浸漬させた後、無電解めっきを施し、平均厚さ0.1μmの無電解銅めっき膜を設けた。その後、110℃1時間のアニール処理を施した。その後、電解めっきを施し、無電解銅めっき膜とあわせて平均厚さ20μmの銅めっき膜を形成した。以上により、参考例2-1及び2-2の各積層体を得た。
脱フッ素化されたPTFE基板(平均厚さ180μm:日東電工「900UL」)をエタノールに浸漬して、3分間の超音波洗浄をすることで、脱脂洗浄を行い、その後エアブロー乾燥を行った。
次いで、化合物αのエタノール溶液にPTFE基板を30秒間浸漬させた。参考例2-1においては、化合物αとして、IMB-4Kを用いた。参考例2-2においては、化合物αとして、2,4-ジアジド-6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン(IMB-P)を用いた。その後、表面処理剤が塗布されたPTFE基板に対して、100℃で10分間の加熱処理を行った。
次いで、以下の手順で金属めっき膜(銅めっき膜)を形成した。PTFE基板をプレディップ液に浸漬させ、次いで、キャタリスト液(ローム&ハース電子材料株式会社「キャタポジット44」)に浸漬させた。次いで、脱フッ素化PTFEフィルムを1v/v%濃度の塩酸に浸漬させた後、無電解めっきを施し、平均厚さ0.1μmの無電解銅めっき膜を設けた。その後、110℃1時間のアニール処理を施した。その後、電解めっきを施し、無電解銅めっき膜とあわせて平均厚さ20μmの銅めっき膜を形成した。以上により、参考例2-1及び2-2の各積層体を得た。
[参考比較例2-1]
化合物αのエタノール溶液への浸漬及びその後の加熱処理を行わなかったこと以外は参考例2-1と同様にして、参考比較例2-1の積層体を得た。
化合物αのエタノール溶液への浸漬及びその後の加熱処理を行わなかったこと以外は参考例2-1と同様にして、参考比較例2-1の積層体を得た。
(評価)外観
参考例2-1、2-2の各積層体においては、金属めっき膜の剥離も膨れも無く良好であった。参考比較例2-1の積層体においては、部分的に金属めっき膜が剥離する部分があり、不良であった。
参考例2-1、2-2の各積層体においては、金属めっき膜の剥離も膨れも無く良好であった。参考比較例2-1の積層体においては、部分的に金属めっき膜が剥離する部分があり、不良であった。
(評価)ピール強度
参考例2-1~2-2の各積層体について、金属めっき膜のピール強度(剥離強度)を参考例1-1等と同様の方法で測定した。各積層体について3つのサンプルを作製して各々計測を行い、ピール強度の最大値及び平均値を求めた。評価結果を表3に示す。
参考例2-1~2-2の各積層体について、金属めっき膜のピール強度(剥離強度)を参考例1-1等と同様の方法で測定した。各積層体について3つのサンプルを作製して各々計測を行い、ピール強度の最大値及び平均値を求めた。評価結果を表3に示す。
表2、3に示されるように、各種の化合物αを用いることで樹脂基板と金属めっき膜との密着性を高めることができることが確認できた。
11 基板
12 感光性樹脂層
13 樹脂パターン
14 表面処理剤
15 化合物αの層
16 金属パターン
20 フォトマスク
12 感光性樹脂層
13 樹脂パターン
14 表面処理剤
15 化合物αの層
16 金属パターン
20 フォトマスク
Claims (13)
- 基板上に樹脂パターンを形成する工程、
上記樹脂パターンが形成された基板上に、化合物αを含む表面処理剤を塗布する工程、及び
上記表面処理剤が塗布された基板上に、めっき処理により金属パターンを形成する工程
を備え、
上記化合物αが、上記基板と反応して結合することが可能な第1官能基と、金属と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する、配線基板の製造方法。 - 上記表面処理剤を塗布する工程と上記金属パターンを形成する工程との間に、
上記樹脂パターンを剥離する工程をさらに備える、請求項1に記載の配線基板の製造方法。 - 上記金属パターンを形成する工程の後に、
上記樹脂パターンを剥離する工程をさらに備える、請求項1に記載の配線基板の製造方法。 - 上記樹脂パターンを形成する工程が、
上記基板上に感光性樹脂層を設ける工程、
上記感光性樹脂層を露光する工程、及び
露光後の上記感光性樹脂層を現像する工程
を備える、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の配線基板の製造方法。 - 上記感光性樹脂層を設ける工程を、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む感光性ドライフィルムの貼り付けにより行う、請求項4に記載の配線基板の製造方法。
- 上記基板が、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー及び変性ポリイミドからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
- 上記めっき処理が、無電解めっき処理を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
- 上記表面処理剤を塗布する工程と上記金属パターンを形成する工程との間に、
上記化合物αに対する紫外線照射及び加熱の少なくとも一方の処理を行う工程をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。 - 上記化合物αが芳香環を有し、
上記第1官能基が、上記芳香環に直接結合したアジド基、アジドスルホニル基又はジアゾメチル基である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。 - 上記芳香環がベンゼン環である、請求項9に記載の配線基板の製造方法。
- 上記第2官能基が、シラノール基又はアルコキシシリル基である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
- 上記化合物αが、
下記式(1)又は(2)で表される化合物α1、及び
上記化合物α1を含む加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して得られる化合物α2
の少なくとも一方である、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
上記式(2)中、複数のR4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、フェニル基、炭素数1から12のアルコキシ基、又はヒドロキシ基であり、複数のR4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、炭素数1から12のアルコキシ基である。複数のR7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基である。X2は、アジド基、アジドスルホニル基、又はジアゾメチル基である。複数のZ2は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、炭素数2から12のアルキレン基、又は炭素数2から12のアルキレン基の末端若しくは炭素-炭素結合間に-NH-、-O-、-S-及び-S(O)-のうちの1つ以上の基を含む基である。
- 基板と、
上記基板の表面の一部に、化合物αを介して積層された金属パターンと
を備え、
上記化合物αが、上記基板と反応して結合することが可能な第1官能基と、金属と反応して結合することが可能な第2官能基とを有する、配線基板。
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JP2021155845A JP2023046974A (ja) | 2021-09-24 | 2021-09-24 | 配線基板の製造方法及び配線基板 |
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