JP2023046102A - 発現促進剤及びメンタルヘルス増進用機能食品 - Google Patents

発現促進剤及びメンタルヘルス増進用機能食品 Download PDF

Info

Publication number
JP2023046102A
JP2023046102A JP2021154812A JP2021154812A JP2023046102A JP 2023046102 A JP2023046102 A JP 2023046102A JP 2021154812 A JP2021154812 A JP 2021154812A JP 2021154812 A JP2021154812 A JP 2021154812A JP 2023046102 A JP2023046102 A JP 2023046102A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mental health
pro
leu
expression
promoting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021154812A
Other languages
English (en)
Inventor
邦義 清水
Kuniyoshi Shimizu
充寛 寺本
Mitsuhiro Teramoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kashu Kogyo Co Ltd
Kyushu University NUC
Original Assignee
Kashu Kogyo Co Ltd
Kyushu University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kashu Kogyo Co Ltd, Kyushu University NUC filed Critical Kashu Kogyo Co Ltd
Priority to JP2021154812A priority Critical patent/JP2023046102A/ja
Priority to PCT/JP2022/034668 priority patent/WO2023048071A1/ja
Publication of JP2023046102A publication Critical patent/JP2023046102A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/10Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof using additives
    • A23L33/17Amino acids, peptides or proteins
    • A23L33/18Peptides; Protein hydrolysates
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/04Peptides having up to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • A61K38/05Dipeptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/30Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds
    • A61K8/64Proteins; Peptides; Derivatives or degradation products thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/20Hypnotics; Sedatives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q1/00Make-up preparations; Body powders; Preparations for removing make-up
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q11/00Preparations for care of the teeth, of the oral cavity or of dentures; Dentifrices, e.g. toothpastes; Mouth rinses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q19/00Preparations for care of the skin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q19/00Preparations for care of the skin
    • A61Q19/10Washing or bathing preparations
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q5/00Preparations for care of the hair
    • A61Q5/04Preparations for permanent waving or straightening the hair
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q5/00Preparations for care of the hair
    • A61Q5/10Preparations for permanently dyeing the hair

Abstract

【課題】メンタルヘルスの増進、特に認知症の改善が期待できるメンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤やメンタルヘルス増進用機能食品を提供する。【解決手段】メンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤であって、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有することとした。また、前記メンタルヘルス関連遺伝子は、脳由来神経栄養因子遺伝子であることにも特徴を有する。また、メンタルヘルス増進用機能食品は、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有することとした。【選択図】なし

Description

本発明は、発現促進剤及びメンタルヘルス増進用機能食品に関する。
認知症は大きな社会問題であり、高齢化社会に直面している本邦では今後も増加傾向にあるため、その対応が喫緊の課題である。
症状の発現度合いにもよるが、認知症は生活上での混乱や周囲とのトラブルの発生してしまう原因となる場合もあり、家族や知人などによる理解や介助が重要であることから、これらの者に負担を強いる側面もある。
そこで従来、認知症に由来する生活上の不具合をできるだけ解消すべく、医療機関では投薬治療が行われている(例えば、非特許文献1参照。)。
田平武,"アルツハイマー病の治療:現状と未来",日本老年医学会雑誌,一般社団法人日本老年医学会,2012年,第49巻,p.402-418
ところで、認知症の予防や改善を図ることは、個々人の健康問題は勿論のこと、国の医療財政的側面からも極めて有意義である。
特に、日々の食生活において認知症の予防や改善を図ることが可能であれば、医療機関によるサポートによらず長きに亘り生活の質を向上させることができ、認知症の発症による人的、財政的負担を軽減することが可能である。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、メンタルヘルスの増進、特に認知症の改善が期待できるメンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤やメンタルヘルス増進用機能食品、皮膚外用品を提供する。
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る発現促進剤では、(1)メンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤であって、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有することとした。
また、本発明に係る発現促進剤の選択的な態様として、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記メンタルヘルス関連遺伝子は、脳由来神経栄養因子遺伝子であること。
(3)前記ジペプチドは少なくともLeu-Proを含み、前記メンタルヘルス関連遺伝子は脳由来神経栄養因子遺伝子とアリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子であること。
また、本発明に係る増進用機能食品では、(4)Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有することとした。
また、本発明に係る皮膚外用品では、(5)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の発現促進剤を含有することとした。
また本発明では、(6)脳由来神経栄養因子遺伝子の発現促進に由来する認知症の予防や改善を目的としたメンタルヘルス増進用機能食品において、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを前記改善のための主要成分原料として使用することとした。
また本発明では、(7)脳由来神経栄養因子遺伝子の発現促進に由来する認知症の予防や改善と、アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現促進に由来する睡眠の改善と、を目的としたメンタルヘルス増進用機能食品において、Leu-Proで表されるジペプチドを前記予防又は改善のための主要成分原料として使用することとした。
本発明に係る発現促進剤によれば、メンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤であって、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有することとしたため、メンタルヘルスの増進、特に認知症の改善が期待できるメンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤を提供することができる。
また、前記メンタルヘルス関連遺伝子は、脳由来神経栄養因子遺伝子であることとすれば、より堅実な認知症の改善が期待できる。
また、前記ジペプチドは少なくともLeu-Proを含み、前記メンタルヘルス関連遺伝子は脳由来神経栄養因子遺伝子とアリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子であることとすれば、認知症の改善と併せて睡眠の改善を図ることによるメンタルヘルスの増進が期待可能な発現促進剤を提供することができる。
また、本発明に係るメンタルヘルス増進用機能食品によれば、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有することとしたため、メンタルヘルスの増進、特に認知症の改善が期待できるメンタルヘルス増進用機能食品を提供することができる。
また、本発明に係る皮膚外用品によれば、前述の発現促進剤を含有することとしたため、経皮的にメンタルヘルスの増進、特に認知症の改善が期待できる皮膚外用品を提供することができる。
また本発明によれば、脳由来神経栄養因子遺伝子の発現促進に由来する認知症の予防や改善を目的としたメンタルヘルス増進用機能食品において、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを前記改善のための主要成分原料として使用したため、認知症の改善が期待できるメンタルヘルス増進用機能食品を提供でき、日々の食生活においてメンタルヘルスの増進を図ることができる。
また本発明によれば、脳由来神経栄養因子遺伝子の発現促進に由来する認知症の予防や改善と、アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現促進に由来する睡眠の改善と、を目的としたメンタルヘルス増進用機能食品において、Leu-Proで表されるジペプチドを前記予防又は改善のための主要成分原料として使用することとしたため、認知症の改善と併せて睡眠の改善を図ることによるメンタルヘルスの増進が期待可能な発現促進剤を提供でき、日々の食生活においてメンタルヘルスの増進を図ることができる。
本発明は、メンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤に関し、特にメンタルヘルスの増進、中でも認知症の改善が期待できるメンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤を提供するものである。
ここでメンタルヘルスとは、心の健康や精神保健を意味するものであり、本明細書では認知症や睡眠に関する事項を含む概念である。
また、本実施形態に係る発現促進剤の特徴としては、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有する点が挙げられる。
Gly-Proは、グリシンとプロリンがペプチド結合したジペプチド(グリシルプロリン)であり、下記構造式(i)にて表される化合物である。
Figure 2023046102000001
またLeu-Proは、ロイシンとプロリンがペプチド結合したジペプチド(ロイシルプロリン)であり、下記構造式(ii)にて表される化合物である。
Figure 2023046102000002
追って実験結果を参照しつつ説明するが、これらのジペプチドは、メンタルヘルス関連遺伝子の発現を促進する作用を有しており、メンタルヘルスの増進、特に認知症の改善が期待できるメンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤を提供することが可能となる。
また、このメンタルヘルス関連遺伝子は、脳由来神経栄養因子遺伝子とすることも可能である。
脳由来神経栄養因子(BDNF; brain derived neurotrophic factor)遺伝子の発現促進は、腸管の活性化を介した脳機能制御機構に影響を及ぼし、神経系の成長や維持の増強、さらに脳機能制御機構により認知症を緩和・抑制することが期待できる。
また、記憶力向上、気力の向上(うつ病の予防または改善)、食欲抑制(過食や肥満の抑制)などの面においてもメンタルヘルスの増進への寄与が期待される。
また、ジペプチドは少なくともLeu-Proを含み、メンタルヘルス関連遺伝子は脳由来神経栄養因子遺伝子とアリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ(AANAT; arylalkylamine-N-acetyltransferase)遺伝子であることとしても良い。
このような構成とすることにより、前述の脳由来神経栄養因子遺伝子の発現亢進に由来した作用に加え、アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現亢進に由来する睡眠改善効果を期待することができる。
すなわち、覚醒と睡眠を切り替えて自然な眠りを誘導する作用を有する物質としてメラトニンが知られているが、アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼはメラトニン生合成の律速酵素であり、アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現を促進することはメラトニン量を増やすことができるため、所定のタイミングでの使用により円滑な入眠など睡眠の改善を行うことが可能である。
また本明細書では、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有するメンタルヘルス増進用機能食品についても提供する。
すなわち、本実施形態に係るメンタルヘルス増進用機能食品は、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを含有しており、これらジペプチドに由来する上記作用に由来して、認知症の改善や睡眠の改善が期待できる。
なお、「機能惹起のための主要成分として含有する」とは、医薬品に置き換えて表現するならば「有効成分として含有する」程度の意味である。すなわち、保健機能食品を想定すれば、機能性表示食品では機能性関与成分、栄養機能食品では栄養成分、特定保健用食品では関与成分など、表現は異なれど機能や効能を発揮させるための成分として上記ジペプチドを含有することを意味している。また、メンタルヘルス増進用機能食品には飲料も含まれる。
また本明細書では、上述の発現促進剤を含有する皮膚外用品についても提供する。ここで皮膚外用品とは、皮膚や頭髪に対し塗着や噴霧等により使用されるトイレタリー用品等であり、医薬部外品や化粧品などを概念として含む。
例えば、化粧品としては基礎化粧品(スキンケア化粧品)や仕上化粧品(メイクアップ化粧品)は勿論のこと、ハンドソープやシャンプー、ボディーソープなども含まれる。また医薬部外品としては、例えば、染毛剤やパーマネント・ウェーブ剤、浴用剤、口中清涼剤、育毛剤、除毛剤などを挙げることができる。
そして、このような皮膚外用品によれば、ジペプチドを経皮的に摂取させることができ、経皮的にメンタルヘルスの増進、特に認知症の改善が期待できる皮膚外用品を提供することができる。すなわち、医薬部外品や化粧品など、経皮的にジペプチドを吸収させるような製品態様とすることも可能である。
また本明細書では、メンタルヘルス増進用機能食品における、ジペプチドの主要成分原料としての使用方法についても提供する。
具体的には、第1の態様として、脳由来神経栄養因子遺伝子の発現促進に由来する認知症の予防や改善を目的としたメンタルヘルス増進用機能食品において、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを前記改善のための主要成分原料として使用する方法について提供する。
このような使用方法によれば、認知症の改善が期待できるメンタルヘルス増進用機能食品を提供でき、日々の食生活においてメンタルヘルスの増進を図ることができる。
また第2の態様として、脳由来神経栄養因子遺伝子の発現促進に由来する認知症の予防や改善と、アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現促進に由来する睡眠の改善と、を目的としたメンタルヘルス増進用機能食品において、Leu-Proで表されるジペプチドを前記予防又は改善のための主要成分原料として使用する方法も提供する。
そして、このような使用方法によれば、認知症の改善と併せて睡眠の改善を図ることによるメンタルヘルスの増進が期待可能な発現促進剤を提供でき、日々の食生活においてメンタルヘルスの増進を図ることができる。
以下、本実施形態に係る発現促進剤やメンタルヘルス増進用機能食品に関し、これら製剤や食品に添加されるジペプチドの作用確認試験について、試験結果を交えつつ更に説明する。
〔1.脳由来神経栄養因子遺伝子の発現を指標とした抗認知症評価試験〕
本試験では、2種のジペプチド(Gly-Pro、Leu-Pro)を用い、脳由来神経栄養因子遺伝子の発現変動について検討した。
まずヒト結腸癌由来細胞(Caco-2)の細胞培養を行った。Caco-2細胞はDulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)(高グルコース)(含1 %ペニシリン-ストレプトマイシンおよび10 %ウシ胎児血清(FBS))を用いて、コンフルエントになるまでφ10cmディッシュにて前培養した。
その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、培地に再懸濁後、24穴プレートに1.0×105 cells/wellの濃度で播種し、CO2インキュベーター(37℃, 5% CO2)でオーバーナイト培養した。
次に、オーバーナイト培養した細胞の培地を、いずれかのジペプチドを含有する無血清DMEM培地(含1 %ペニシリン-ストレプトマイシン)に交換し、CO2インキュベーターにて24時間培養した。なおジペプチドは、いずれも培地中での終濃度が400 μg/mLとなるように添加した。
次に、リアルタイムPCRによる遺伝子の発現量の比較を行った。具体的には、ジペプチドを添加して培養した後のCaco-2細胞を回収し、PureLink RNA Mini kit (Invitrogen社製)を用いてtotal RNAを抽出した。
次に、ReverTra Ace qPCR RT Master Mix with gDNA Remover (TOYOBO社製)にて、抽出したtotal RNAからcDNAを合成した。
次に、合成したcDNAを鋳型としてAriaMX リアルタイムPCR装置(アジレント・テクノロジー社製)でリアルタイムPCRを行った。
リアルタイムPCR反応には、THUNDERBIRD SYBR qPCR Mix (TOYOBO社製)を用いた。脳由来神経栄養因子遺伝子用プライマーとして5’-GTCAAGTTGGGAGCCTGAAATAGTG-3’(配列番号1)および5’-AGGATGCTGGTCCAAGTGGTG-3’(配列番号2)を、内部標準GAPDH用プライマーとして5’-GCACCGTCAAGGCTGAGAAC-3’(配列番号3)および5’-ATGGTGGTGAAGACGCCAGT-3’(配列番号4)を使用した。リアルタイムPCR反応条件として、95℃、3分の初期変性後、95℃、3秒での変性、60℃、30秒のアニーリング/伸長という2ステップのPCR反応を40サイクル行った。その結果を表1に示す。
Figure 2023046102000003
表1は、ジペプチド添加後のCaco-2細胞における脳由来神経栄養因子遺伝子の発現変動(n=3, 平均±SD., *p<0.05, **p<0.01)を示している。表1からも分かるように、脳由来神経栄養因子遺伝子はコントロール(水)と比較して、Gly-Pro添加時には約1.5倍、Leu-Pro添加時には約1.2倍とそれぞれ有意に発現が上昇することが確認された。
これらの結果から、Gly-ProとLeu-Proには、脳由来神経栄養因子産生を増強し、産生された脳由来神経栄養因子が神経細胞の活性化を促すという腸管の活性化を介した脳機能制御機構により認知症を緩和・抑制することが期待できる。
すなわち、本実施形態に係る発現促進剤やメンタルヘルス増進用機能食品は、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを含むことにより、認知症を緩和・抑制することが期待できることが示された。
〔2.メラトニン生合成関連酵素遺伝子の発現を指標とした睡眠評価試験〕
本試験では、ジペプチドとしてLeu-Proを用い、アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現変動について検討した。
まず、ヒト神経芽細胞腫由来のSH-SY5Y細胞の培養を行った。SH-SY5Y細胞はDulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)(高グルコース)(含1 %ペニシリン-ストレプトマイシンおよび10 %ウシ胎児血清(FBS))を用いて、コンフルエントになるまでφ10cmディッシュにて前培養した。
その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、培地に再懸濁後、24穴プレートに1.0×105 cells/wellの濃度で播種し、CO2インキュベーター(37℃, 5% CO2)でオーバーナイト培養した。
次に、オーバーナイト培養した細胞の培地を、ジペプチドを含有する無血清DMEM培地(含1 %ペニシリン-ストレプトマイシン)に交換し、CO2インキュベーターにて24時間培養した。なおジペプチドは、培地中での終濃度が400μg/mLとなるように添加した。
次に、リアルタイムPCRによる遺伝子の発現量の比較を行った。具体的には、ジペプチドを添加して培養した後のSH-SY5Y細胞を回収し、PureLink RNA Mini kit (Invitrogen社製)を用いてtotal RNAを抽出した。
次に、ReverTra Ace qPCR RT Master Mix with gDNA Remover (TOYOBO社製)にて、抽出したtotal RNAからcDNAを合成した。
次に、合成したcDNAを鋳型としてAriaMX リアルタイムPCR装置(アジレント・テクノロジー社製)でリアルタイムPCRを行った。
リアルタイムPCR反応には、THUNDERBIRD SYBR qPCR Mix (TOYOBO社製)を用いた。アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子用プライマーとして5’-TCCTGTGGAGATACCTTCACCA-3’(配列番号5)および5’-CACAGTTCAGAAGGCAAGAGGT-3’(配列番号6)を、内部標準GAPDH用プライマーとして5’-GCACCGTCAAGGCTGAGAAC-3’(配列番号3)および5’-ATGGTGGTGAAGACGCCAGT-3’(配列番号4)を使用した。リアルタイムPCR反応条件として、95℃、3分の初期変性後、95℃、3秒での変性、60℃、30秒のアニーリング/伸長という2ステップのPCR反応を40サイクル行った。その結果を表2に示す。
Figure 2023046102000004
表2は、ジペプチド添加後のSH-SY5Y細胞におけるアリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現変動(n=3, 平均±SD., *p<0.05, **p<0.01)を示している。表2からも分かるように、Leu-Pro添加時には、アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現が、コントロール(水)と比較して約1.2倍と有意に上昇することが確認された。
これらの結果から、Leu-Proには、メラトニン生合成の律速酵素であるアリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現を促進させることでメラトニン量を増加させ、睡眠を改善することが期待できる。
すなわち、本実施形態に係る発現促進剤やメンタルヘルス増進用機能食品は、Leu-Proで表されるジペプチドを含むことにより、睡眠の改善が期待できることが示された。
上述してきたように、本実施形態に係る発現促進剤によれば、メンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤であって、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有することとしたため、メンタルヘルスの増進、特に認知症の改善が期待できるメンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤を提供することができる。
また、本発明に係るメンタルヘルス増進用機能食品によれば、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有することとしたため、メンタルヘルスの増進、特に認知症の改善が期待できるメンタルヘルス増進用機能食品を提供することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。

Claims (7)

  1. メンタルヘルス関連遺伝子の発現促進剤であって、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有する発現促進剤。
  2. 前記メンタルヘルス関連遺伝子は、脳由来神経栄養因子遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の発現促進剤。
  3. 前記ジペプチドは少なくともLeu-Proを含み、前記メンタルヘルス関連遺伝子は脳由来神経栄養因子遺伝子とアリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の発現促進剤。
  4. Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドを機能惹起のための主要成分として含有するメンタルヘルス増進用機能食品。
  5. 請求項1~3いずれか1項に記載の発現促進剤を含有する皮膚外用品。
  6. 脳由来神経栄養因子遺伝子の発現促進に由来する認知症の予防や改善を目的としたメンタルヘルス増進用機能食品における、Gly-Pro及び/またはLeu-Proで表されるジペプチドの前記改善のための主要成分原料としての使用。
  7. 脳由来神経栄養因子遺伝子の発現促進に由来する認知症の予防や改善と、アリルアルキルアミン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現促進に由来する睡眠の改善と、を目的としたメンタルヘルス増進用機能食品における、Leu-Proで表されるジペプチドの前記予防又は改善のための主要成分原料としての使用。
JP2021154812A 2021-09-22 2021-09-22 発現促進剤及びメンタルヘルス増進用機能食品 Pending JP2023046102A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021154812A JP2023046102A (ja) 2021-09-22 2021-09-22 発現促進剤及びメンタルヘルス増進用機能食品
PCT/JP2022/034668 WO2023048071A1 (ja) 2021-09-22 2022-09-16 発現促進剤及びメンタルヘルス増進用機能食品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021154812A JP2023046102A (ja) 2021-09-22 2021-09-22 発現促進剤及びメンタルヘルス増進用機能食品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023046102A true JP2023046102A (ja) 2023-04-03

Family

ID=85720699

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021154812A Pending JP2023046102A (ja) 2021-09-22 2021-09-22 発現促進剤及びメンタルヘルス増進用機能食品

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2023046102A (ja)
WO (1) WO2023048071A1 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040005304A1 (en) * 2002-07-08 2004-01-08 Mak Wood, Inc. Novel compositions and methods for treating neurological disorders and associated gastrointestinal conditions
JP2015120667A (ja) * 2013-12-24 2015-07-02 キリン株式会社 認知機能を改善する脂肪酸アミドを含む医薬、食品、組成物
US10052359B2 (en) * 2014-06-16 2018-08-21 Kirin Kabushiki Kaisha Composition for enhancing memory and learning function and/or cognitive function
JP2016193865A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 キリン株式会社 ミクログリア貪食活性亢進のための組成物及びミクログリア貪食活性亢進作用の予測方法
JP6550357B2 (ja) * 2016-08-24 2019-07-24 日本ハム株式会社 イミダゾールジペプチドを含有する、グリア細胞における神経栄養因子等の遺伝子の発現誘導剤
JP2022120386A (ja) * 2021-02-05 2022-08-18 国立大学法人九州大学 セラミド合成酵素遺伝子発現促進剤、肌質改善剤、肌質改善用機能食品及び化粧料並びにジペプチドの使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023048071A1 (ja) 2023-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009161449A (ja) Ppar活性促進剤並びに美容用飲食品、皮膚外用剤及び医薬
JP5162174B2 (ja) 育毛剤及び抗肥満剤
Kim et al. Effects of bamboo salt and its component, hydrogen sulfide, on enhancing immunity
JP5890100B2 (ja) 皮膚コラーゲン産生促進剤
JP5403942B2 (ja) グルタチオン産生促進剤およびグルタチオンの欠乏に起因する疾患の予防・治療剤
KR101705338B1 (ko) 항산화, 항노화 및 자가포식 활성을 가지는 조성물 및 이의 용도
JP6259207B2 (ja) エラスチン産生促進剤
JP2011506429A (ja) テアニンを含むプロリンリサイクリング促進用皮膚外用剤または美容食品組成物
JP2023046102A (ja) 発現促進剤及びメンタルヘルス増進用機能食品
KR101432892B1 (ko) 메트포민을 이용한 루프스를 포함하는 면역질환의 예방 또는 치료용 조성물
JP2012077019A (ja) 皮膚コラーゲン産生促進剤
JP5819209B2 (ja) 幹細胞から褐色脂肪細胞への分化促進剤
US20240000747A1 (en) Sirtuin 6 activator
JP2006045092A (ja) 線維芽細胞増殖促進剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品
JP5923375B2 (ja) Cgrp応答性促進剤
JP7430010B2 (ja) 幹細胞の機能強化用組成物
JP5980519B2 (ja) Ampk活性化剤
JP2005015364A (ja) 抗酸化組成物、皮膚老化防止用組成物、抗炎症組成物及び脂質代謝改善用組成物
JP2008162927A (ja) 神経細胞保護剤、及びこれを含有する医薬品組成物、化粧料組成物並びに食品
JP2019077643A (ja) Wnt発現抑制剤
JPWO2018066707A1 (ja) 老化抑制剤、軟部組織の石灰化抑制剤、及び肺組織破壊抑制剤
JP6792753B2 (ja) フェルラ酸誘導体含有組成物及びその製造方法
JP6529791B2 (ja) 幹細胞の未分化状態維持剤及び増殖促進剤
KR20150068865A (ko) 진세노사이드 Rg3를 유효성분으로 포함하는 노화세포 회춘용 조성물
WO2020203217A1 (ja) Ltbp-1発現促進用組成物及びltbp-1発現促進作用を有する物質のスクリーニング方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230725