JP2023046061A - 鉛蓄電池用セパレータおよびそれを含む鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池用セパレータおよびそれを含む鉛蓄電池 Download PDF

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Abstract

Figure 2023046061000001
【課題】寿命性能の向上および生産性の向上に寄与できる鉛蓄電池用セパレータを提供する。
【解決手段】開示される鉛蓄電池用セパレータは、多孔質膜と前記多孔質膜の表面に配置された炭素材料とを含む。前記多孔質膜は、結晶質領域と非晶質領域とを含む。前記多孔質膜のX線回折スペクトルにおいて、A/(A+A)で表される比率Rは、0.70以上である。Aは、前記結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが最大である第1回折ピークの面積である。Aは、前記結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが2番目に高い第2回折ピークの面積である。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉛蓄電池用セパレータおよびそれを含む鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池は、車載用、産業用の他、様々な用途で使用されている。鉛蓄電池は、正極板および負極板と、これらの間に介在するセパレータと、電解液と、を含む。鉛蓄電池のセパレータには、様々な性能が要求される。
特許文献1は、「ポリオレフィン系樹脂20~60質量%と、無機粉体80~40質量%と、これらの配合物に対して40~240質量%の鉱物オイルとの混合物からなる原料組成物を加熱溶融し、混練しながら、リブを有するシート状に成形した後、該オイルを溶解し得る有機溶剤の浸漬槽に浸漬して該オイルの一部を抽出除去し、加熱乾燥して得られる、該オイルを5~30質量%含有した鉛蓄電池用リブ付きセパレータにおいて、該セパレータのリブ部とベース部におけるオイル含有率の差を5質量%以下としたことを特徴とする鉛蓄電池用リブ付きセパレータ。」を開示している。
特許文献2は、「鉛蓄電池セパレータであって、前記鉛蓄電池セパレータは、多孔質膜及び/又は繊維状マット、ならびに前記多孔質膜及び/又は前記繊維状マットの内部又は上部に1つ以上の導電性要素又は核生成添加剤、を備える、鉛蓄電池セパレータ。」を開示している。
特開2001-338631号公報 特開2020-533741号公報
アイドリングストップ車用の電池など、現在の鉛蓄電池には、過去の鉛蓄電池とは異なる使用条件における性能が求められている。その中で、鉛蓄電池の寿命性能を向上させること、および、生産性を向上させることが常に求められてきた。そのため、寿命性能の向上および生産性の向上に寄与できる新しい技術が求められている。
本開示の一側面は、鉛蓄電池用セパレータに関する。当該鉛蓄電池用セパレータは、多孔質膜と前記多孔質膜の表面に配置された炭素材料とを含み、前記多孔質膜は、結晶質領域と非晶質領域とを含み、前記多孔質膜のX線回折スペクトルにおいて、A/(A+A)で表される比率Rが、0.70以上であり、Aは、前記結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが最大である第1回折ピークの面積であり、Aは、前記結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが2番目に高い第2回折ピークの面積である。
本開示の他の一側面は、鉛蓄電池に関する。当該鉛蓄電池は、極板群および電解液を含む少なくとも1つのセルを含み、前記極板群は、正極板と、負極板と、前記正極板および前記負極板の間に介在するセパレータとを含み、前記セパレータは、上記一側面の鉛蓄電池用セパレータである。
本開示によれば、鉛蓄電池の寿命性能および生産性を向上することが可能なセパレータが得られる。
本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池の外観と内部構造を示す一部切り欠き斜視図である。 実施例で作製した鉛蓄電池用セパレータの一例のX線回折スペクトルである。 実験例3の結果の一部を示すグラフである。 実験例3の結果の他の一部を示すグラフである。
以下では、本開示に係る実施形態の例について説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値B」という記載は、数値Aおよび数値Bを含み、「数値A以上で数値B以下」と読み替えることが可能である。以下の説明において、特定の物性や条件などの数値に関して下限と上限とを例示した場合、下限が上限以上とならない限り、例示した下限のいずれかと例示した上限のいずれかとを任意に組み合わせることができる。
(鉛蓄電池用セパレータ)
本発明の一側面の鉛蓄電池用セパレータは、多孔質膜と前記多孔質膜の表面に配置された炭素材料とを含む。当該多孔質膜を、以下では「多孔質膜(F)」と称する場合がある。多孔質膜(F)は、結晶質領域と非晶質領域とを含む。多孔質膜(F)のX線回折スペクトル(X-ray diffraction:XRD)において、A/(A+A)で表される比率Rは、0.70以上である。ここで、Aは、前記結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが最大である回折ピーク(第1回折ピーク)の面積である。Aは、前記結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが2番目に高い回折ピーク(第2回折ピーク)の面積である。
鉛蓄電池は、過酷な条件下で使用される場合がある。鉛蓄電池の代表的な用途の1つに自動車用途がある。近年、自動車が、渋滞に巻き込まれたり、商用車のように常時使用されたりすることで、鉛蓄電池が過充電状態に晒される機会が増加している。また、温暖化に伴い、夏期には、より高い温度環境下で鉛蓄電池が使用される機会が増加している。そのため、近年、鉛蓄電池には、従来に比べて、さらに高いレベルの寿命性能(例えば高温過充電寿命性能)が求められるようになりつつある。
鉛蓄電池の寿命を短くする要因の1つとして、セパレータの酸化劣化が挙げられる。セパレータの表面であって正極板に対向する表面にリブを設けると、セパレータと正極板との間に隙間が形成される。そのため、リブを設けることによって、セパレータの酸化劣化が軽減される傾向がある。しかし、鉛蓄電池の高性能化に伴い、従来に比べて、1つのセルにつき、厚さの小さい極板を数多く収容することが多くなっている。そのため、リブを設けるだけではセパレータの酸化劣化を抑制するには不十分である。セパレータがオイルを含有する場合にも、セパレータの酸化劣化をある程度軽減できる。しかし、絶縁性のオイルがセパレータの細孔を塞ぐため、セパレータの抵抗が大きくなり、極板の反応性が低下する傾向がある。そのため、高性能の鉛蓄電池では、セパレータ中のオイルの含有率を高めることが難しい。このように、従来のセパレータでは、鉛蓄電池の寿命性能を高いレベルまで向上させることは困難である。
比率Rは、多孔質膜(F)の結晶性を示している。すなわち、高い比率Rは、多孔質膜(F)の高い結晶性を示す。多孔質膜(F)の比率Rは0.70以上であるため、多孔質膜(F)の耐酸化性が高い。オイルによって耐酸化性を高める場合とは異なり、結晶性を高めることによって耐酸化性を高める場合には、それによって抵抗が増加するといったデメリットがほとんどない。そのため、高性能の鉛蓄電池でも、優れた寿命性能を確保することができる。
鉛蓄電池用のセパレータは、リチウムイオン二次電池などのセパレータとは異なり、ある程度大きな厚さを有する。また、鉛蓄電池では、リチウムイオン二次電池と比べると、過充電時の正極電位も低いため、従来の使用環境または使用形態であればリブやオイルなどによって十分な耐酸化性が確保できていた。また、セパレータの厚さが大きいほど、結晶性を高めることが難しくなる傾向があることに加え、結晶性が高くなると、セパレータが硬く脆くなる傾向がある。このような観点から、従来は、鉛蓄電池用のセパレータの結晶性を制御することはなされていなかった。従来の鉛蓄電池用のセパレータの比率Rは少なくとも0.65以下またはそれよりも低かった。このような従来の常識に対し、本実施形態のセパレータに用いられる多孔質膜(F)の比率Rを0.70以上としている。これによって、寿命性能(例えば高温過充電寿命性能)を大きく向上できる。
また、鉛蓄電池の寿命は、電解液の濃度の不均一化(成層化)によっても大きく低下する。鉛蓄電池では、電池の上部の電解液の濃度が下部の電解液の濃度よりも低くなることがあり、それによって電池の寿命性能が低下する。
本実施形態のセパレータは、表面に配置された炭素材料を含む。この炭素材料は、鉛蓄電池内において電極(正極または負極)と接触するため、電極と電気的に接続される。その結果、鉛蓄電池が充電される際(例えば充電末期)に、炭素材料で水が電気分解されてガスが発生しうる。発生したガスによって電解液が攪拌されるため、電解液の成層化が抑制される。
ただし、セパレータの表面で水の電気分解が生じる場合、発生した酸素ガスによるセパレータの酸化を抑制することが重要になる。本実施形態のセパレータでは、結晶性が高い樹脂膜(F)を用いているため、セパレータの酸化を抑制することが可能である。
また、鉛蓄電池では、多数の薄い極板を用いることによる高性能化が進められている。多数の薄い極板を用いる鉛蓄電池では、セパレータの強度不足による製造時の不良発生率が高くなる。そのため、セパレータの強度を高めることは、高性能な鉛蓄電池の信頼性および生産性の向上に特に重要になる。
本願発明者らは、樹脂膜(F)と炭素材料とを組み合わせることによって、予想を超える強度を有するセパレータが得られることを見出した。すなわち、本実施形態のセパレータによれば、寿命性能および生産性が高い高性能な鉛蓄電池を構成することが可能である。
セパレータの厚さは、100μm以上300μm以下であることが好ましい。厚さがこのような範囲である場合、セパレータの酸化劣化を抑制する効果がさらに高まり、寿命性能をさらに向上することができる。
比率Rは、0.90以下であることが好ましい。この場合、セパレータの柔軟性を担保し易いことに加え、製造が容易である。
セパレータは、オイルを含むことが好ましい。この場合、セパレータの酸化劣化を抑制する効果がさらに高まり、より高い寿命性能を確保することができる。
多孔質膜(F)の細孔の屈曲度は5以上であることが好ましい。この場合、セパレータの強度をさらに高めることができる。
多孔質膜(F)は、ポリオレフィンを含むことが好ましく、少なくともエチレン単位を含むポリオレフィンを含むことがより好ましい。このような多孔質膜(F)は、強度が比較的低くなる傾向があるが、比率Rの調節が比較的容易であり、比率Rを調節することで多孔質膜(F)の強度を高めることができる。少なくともエチレン単位を含むポリオレフィンを多孔質膜(F)が含む場合、第1回折ピークは、結晶質領域による(110)面に相当し、第2回折ピークは、結晶質領域による(200)面に相当する。
(炭素材料)
炭素材料としては、導電性を有する炭素材料を用いることができる。導電性を有する炭素材料の例には、黒鉛、活性炭、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブなどが含まれる。導電性カーボンブラックの例には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、高表面積カーボンブラックなどが含まれる。生産性の点で、カーボンブラックを用いることが好ましく、例えば、アセチレンブラック、高表面積カーボンブラック、ケッチェンブラックを用いることが好ましい。炭素材料は、導電性カーボンブラックおよび導電性炭素繊維からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。炭素材料は、多孔質膜(F)の表面に層状に配置されてもよい。炭素材料の配置の方法については後述する。
炭素材料は、多孔質膜(F)の2つの主面のうち、一方の主面(正極板側の主面または負極板側の主面)のみに配置されてもよいし、両方の主面に配置されてもよい。換言すれば、セパレータの少なくとも一方の表面には炭素材料が存在する。好ましい一例では、炭素材料は、多孔質膜(F)の一方の主面のみに配置される。後述するように、炭素材料は、多孔質膜(F)の負極板側の主面のみに配置されてもよい。
炭素材料は、多孔質膜(F)の主面を覆うように層状に配置されてもよいし、層状ではない形態で配置されてもよい。層状ではない形態の例には、分散している島状に配置される形態が含まれる。炭素材料が層状に配置される場合、セパレータの強度を高める観点から、その厚さは、5μm以上であってもよい。炭素材料の層の厚さは、5μm~30μmの範囲(例えば10μm~20μmの範囲)にあってもよい。炭素材料の層の厚さは、セパレータの厚さと同様の方法で測定できる。
セパレータ中の炭素材料(多孔質膜(F)の表面に配置される炭素材料)の含有率は、2質量%以上であってもよく、好ましくは3質量%以上である。当該含有率を2質量%以上とすることによって、セパレータの耐酸化性および強度を特に高めることが可能となる。当該含有率は、40質量%以下、または30質量%以下であってもよい。
(多孔質膜(F))
多孔質膜(F)は、多孔質膜(F)の構成材料の分子が比較的規則正しく配列した(つまり、配列性が高い)結晶質領域と、配列性が低い非晶質領域とを含む。そのため、多孔質膜(F)のXRDスペクトルでは、結晶質領域による回折ピークが観察されるとともに、非晶質領域による散乱光がハローとして観察される。多孔質膜(F)のXRDスペクトルにおいて、A/(A+A)で表される比率Rが0.70以上であることによって、優れた寿命性能が得られる。ここで、Aは、結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが最大である回折ピーク(第1回折ピーク)の面積であり、Aは、結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが2番目に高い回折ピーク(第2回折ピーク)の面積である。
例えば、エチレン単位を含むポリオレフィンを含む多孔質膜(F)のXRDスペクトルでは、結晶質領域の(110)面に相当する回折ピークが、2θが20°以上22.5°以下の範囲に観察され、結晶質領域の(200)面に相当する回折ピークが、2θが23°以上24.5°以下の範囲に観察される。また、非晶質領域のハローは、2θが17°以上27°以下の範囲に観察される。結晶質領域による回折ピークのうち、(110)面に相当する回折ピークは、ピーク高さが最大であり、第1回折ピークに相当する。(200)面に相当する回折ピークは、ピーク高さが2番目に高く、第2回折ピークに相当する。
比率Rは、0.70以上である。セパレータのより高い強度を確保する観点からは、比率Rは、0.75以上であってもよい。比率Rは、0.90以下であってもよく、0.85以下、または0.80以下であってもよい。比率Rがこのような範囲である場合、セパレータの柔軟性を担保し易いことに加え、製造が容易である。
比率Rは、0.70以上0.90以下、または0.75以上0.90以下であってもよい。これらの範囲において、上限を0.85以下または0.80以下としてもよい。
回折ピークの面積は、多孔質膜(F)のXRDスペクトルにおいて、結晶質領域による回折ピークをフィッティングすることによって求められる。求められた第1回折ピークの面積Aおよび第2回折ピークの面積Aを用いて、上記の式から比率Rが求められる。
多孔質膜(F)は、ポリマー材料(以下、ベースポリマーとも称する。)を含む。多孔質膜(F)は、結晶質領域を含むため、ベースポリマーは、通常、結晶性ポリマーを含む。多孔質膜(F)は、例えば、ポリオレフィンを含む。ポリオレフィンとは、少なくともオレフィン単位を含む重合体(つまり、少なくともオレフィンに由来するモノマー単位を含む重合体)である。
ベースポリマーとして、ポリオレフィンと他のベースポリマーとを併用してもよい。多孔質膜(F)に含まれるベースポリマー全体に占めるポリオレフィンの比率は、例えば、50質量%以上であり、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよい。ポリオレフィンの比率は、例えば、100質量%以下である。ベースポリマーをポリオレフィンのみで構成してもよい。ポリオレフィンの比率がこのように多い場合、多孔質膜(F)の耐酸化性が低くなる傾向があるが、このような場合であっても、比率Rを上記の範囲とすることによって、高い寿命性能を確保することができる。
ポリオレフィンには、例えば、オレフィンの単独重合体、異なるオレフィン単位を含む共重合体、オレフィン単位および共重合性モノマー単位を含む共重合体が包含される。オレフィン単位および共重合性モノマー単位を含む共重合体は、1種または2種以上のオレフィン単位を含んでいてもよい。また、オレフィン単位および共重合性モノマー単位を含む共重合体は、1種または2種以上の共重合性モノマー単位を含んでいてもよい。共重合性モノマー単位とは、オレフィン以外で、かつオレフィンと共重合可能な重合性モノマーに由来するモノマー単位である。
ポリオレフィンとしては、例えば、少なくともC2-3オレフィンをモノマー単位として含む重合体が挙げられる。C2-3オレフィンとして、エチレンおよびプロピレンからなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、C2-3オレフィンをモノマー単位として含む共重合体(例えば、エチレン-プロピレン共重合体)がより好ましい。ポリオレフィンの中では、少なくともエチレン単位を含むポリオレフィン(ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体など)を用いることが好ましい。エチレン単位を含むポリオレフィン(ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体など)と他のポリオレフィンとを併用してもよい。
セパレータ(より詳細には多孔質膜(F))は、オイルを含むことが好ましい。セパレータがオイルを含む場合、セパレータの酸化劣化を抑制する効果をさらに高めることができるため、より高い寿命性能を確保することができる。オイルとは、室温(20℃以上35℃以下の温度)で液状であり、水と分離する疎水性物質を言う。オイルには、天然由来のオイル、鉱物オイル、および合成オイルが包含される。オイルとしては、鉱物オイル、合成オイルなどが好ましい。オイルとしては、例えば、パラフィンオイル、シリコーンオイルが挙げられる。セパレータは、オイルを一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。
セパレータ中のオイルの含有率は、11質量%以上18質量%以下が好ましい。オイルの含有率がこのような範囲である場合、セパレータの酸化劣化を抑制する効果がさらに高まる。また、セパレータの抵抗を比較的低く抑えることができる。
セパレータは、シート状であってもよい。また、蛇腹状に折り曲げたシートをセパレータとして用いてもよい。セパレータは袋状に形成してもよい。正極板または負極板のうちのいずれか一方を袋状のセパレータに包んでもよい。
セパレータは、リブを有してもよく、リブを有さなくてもよい。リブを有するセパレータは、例えば、ベース部とベース部の表面から立設されたリブとを備える。リブは、セパレータまたは各ベース部の一方の表面のみに設けてもよく、両方の表面にそれぞれ設けてもよい。なお、セパレータのベース部とは、セパレータの構成部位のうち、リブなどの突起を除く部分であり、セパレータの外形を画定するシート状の部分をいう。
セパレータの厚さは、100μm以上である。より高い寿命性能が得られる観点からは、セパレータの厚さは、好ましくは150μm以上である。セパレータの厚さは、例えば、300μm以下である。セパレータの抵抗を低く抑える観点からは、セパレータの厚さは、250μm以下または200μm以下であってもよい。セパレータの厚さとは、セパレータの電極材料に対向する部分における平均厚さを意味する。セパレータが、ベース部とベース部の少なくとも一方の表面から立設されたリブとを備える場合には、セパレータの厚さとは、ベース部における平均厚さである。セパレータに貼付部材(マット、ペースティングペーパなど)が貼り付けられている場合には、貼付部材の厚さは、セパレータの厚さには含まれない。
セパレータの厚さは、100μm以上300μm以下、100μm以上250μm以下、100μm以上200μm以下であってもよい。これらの範囲の下限は、120μm以上、または150μm以上であってもよい。
セパレータがリブを有する場合、リブの高さは、0.05mm以上であってもよい。また、リブの高さは、1.2mm以下であってもよい。リブの高さは、ベース部の表面から突出した部分の高さ(突出高さ)である。
セパレータの領域のうち正極板と対向する領域に設けられるリブの高さは、0.4mm以上であってもよい。セパレータの領域のうち正極板と対向する領域に設けられるリブの高さは、1.2mm以下であってもよい。
炭素材料は、形成された多孔質膜(F)の表面に配置される。炭素材料を配置する方法に特に限定はない。例えば、炭素材料は、炭素材料、炭素材料を含む組成物、または炭素材料を含む分散液を多孔質膜(F)の表面に塗布することによって形成してもよい。塗布の方法に特に限定はなく、ドクターブレード法、ローラーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬法、蒸着法、その他の印刷法などを用いてもよい。炭素材料を含む分散液の例には、炭素材料を分散媒(水および/または有機溶媒)に分散させた分散液が含まれる。多孔質膜(F)の表面に配置される炭素材料の量や厚さは、塗布する炭素材料の量を制御することによって調整できる。
多孔質膜(F)は、例えば、ベースポリマーと、造孔剤と、浸透剤(界面活性剤)とを含む樹脂組成物をシート状に押出成形し、延伸処理した後、造孔剤の少なくとも一部を除去することにより得られる。少なくとも一部の造孔剤を除去することで、ベースポリマーのマトリックス中に微細孔が形成される。シート状の多孔質膜(F)は、造孔剤を除去した後、必要に応じて乾燥処理される。例えば、押出成形する際のシートの冷却速度、延伸処理の際の延伸倍率、および乾燥処理の際の温度からなる群より選択される少なくとも1つを調節することによって、比率Rが調節される。例えば、押出成形する際にシートを急冷したり、延伸倍率を高くしたり、または乾燥処理の際の温度を低くしたりすると、比率Rが高くなる傾向がある。延伸処理は、二軸延伸によって行ってもよいが、通常、一軸延伸によって行われる。シート状のセパレータは、必要に応じて、蛇腹状に折り曲げたり、袋状に加工したりしてもよい。多孔質膜(F)の一主面のみに炭素材料を配置したセパレータを袋状に加工した場合、炭素材料は、袋の内側の面または外側の面のいずれかに配置される。
リブを有するセパレータでは、リブは、樹脂組成物をシート状に押出成形する際に形成してもよい。また、リブは、樹脂組成物をシート状に成形した後または造孔剤を除去した後に、各リブに対応する溝を有するローラでシートを押圧することにより形成してもよい。
造孔剤としては、液状造孔剤および固形造孔剤などが挙げられる。造孔剤は、少なくともオイルを含むことが好ましい。オイルを用いることで、オイルを含有するセパレータが得られ、酸化劣化を抑制する効果がさらに高まる。造孔剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。オイルと他の造孔剤とを併用してもよい。液状造孔剤と、固形造孔剤とを併用してもよい。なお、室温(20℃以上35℃以下の温度)において、液状の造孔剤を液状造孔剤、固形の造孔剤を固形造孔剤と分類する。
液状造孔剤としては、上述のオイルが好ましい。固形造孔剤としては、例えば、ポリマー粉末が挙げられる。
多孔質膜(F)中の造孔剤の量は、造孔剤の種類によっては変化することがある。多孔質膜(F)中の造孔剤の量は、ベースポリマー100質量部あたり、例えば、30質量部以上である。造孔剤の量は、ベースポリマー100質量部あたり、例えば、60質量部以下である。
例えば、造孔剤としてのオイルを用いて形成されるシートから、溶剤を用いて一部のオイルを抽出除去することによって、オイルを含有する多孔質膜(F)が形成される。溶剤は、例えば、オイルの種類に応じて選択される。例えば、溶剤の種類および組成、抽出条件(抽出時間、抽出温度、溶剤を供給する速度など)などを調節することによって、多孔質膜(F)中のオイルの含有率が調節される。
浸透剤としての界面活性剤としては、例えば、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれであってもよい。界面活性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
多孔質膜(F)中の浸透剤の含有率は、例えば、0.01質量%以上であり、0.1質量%以上であってもよい。多孔質膜(F)中の浸透剤の含有率は、10質量%以下であってもよい。
多孔質膜(F)(または多孔質膜(F)の製造に供される樹脂組成物)は、無機粒子を含んでもよい。なお、この無機粒子には、多孔質膜(F)の表面に配置される炭素材料は含まれない。
無機粒子としては、例えば、セラミックス粒子が好ましい。セラミックス粒子を構成するセラミックスとしては、例えば、シリカ、アルミナ、およびチタニアからなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
多孔質膜(F)中の炭素材料以外の無機粒子の含有率は、例えば、40質量%以上であってもよい。無機粒子の含有率は、例えば、80質量%以下であり、70質量%以下であってもよい。
多孔質膜(F)の細孔の屈曲度は、例えば、5以上であり、20以上であってもよい。細孔の屈曲度は、例えば、150以下であり、70以下であってもよい。細孔の屈曲度を5以上とすることによって、セパレータの強度をさらに高めることができる。また、高い浸透短絡抑制効果が得られるとともに、高容量が得られる。
セパレータにおいて、細孔の屈曲度は、5以上(または20以上)150以下、あるいは5以上(または20以上)70以下であってもよい。
細孔の屈曲度は、水銀圧入法により求められる。屈曲度は、下記式で表される。
Figure 2023046061000002
(式中、ξ:屈曲度、ρ:密度、K:浸透率、Vtot:全細孔容積、X:微分細孔分布である。)
屈曲度は、造孔剤とベースポリマーとの親和性を調節したり、無機粒子の種類および/または粒子径を選択したり、ならびに/もしくは、無機粒子の表面に存在する官能基および/または原子などの量を調節したりすることにより、調節することができる。また、屈曲度は、造孔剤を抽出除去する際の溶剤の種類および組成、抽出条件(抽出時間、抽出温度、溶剤を供給する速度など)などを調節することによっても調節することができる。
(セパレータの分析またはサイズの計測)
(セパレータの準備)
セパレータの分析またはサイズの計測には、未使用のセパレータまたは使用初期の満充電状態の鉛蓄電池から取り出したセパレータが用いられる。鉛蓄電池から取り出したセパレータは、分析または計測に先立って、洗浄および乾燥される。なお、多孔質膜(F)のXRDスペクトルの測定は、表面に炭素材料を配置する前の多孔質膜(F)を用いて行ってもよい。また、片面にのみ炭素材料が配置されている多孔質膜(F)のXRDスペクトルの測定は、炭素材料が配置されていない側の表面を用いて行ってもよい。
鉛蓄電池から取り出したセパレータの洗浄および乾燥は、次の手順で行われる。鉛蓄電池から取り出したセパレータを純水中に1時間浸漬し、セパレータ中の硫酸を除去する。次いで浸漬していた液体からセパレータを取り出して、25℃±5℃環境下で、16時間以上静置し、乾燥させる。なお、両面に炭素材料が配置されているセパレータについては、炭素材料を研磨することによって除去してから、XRDスペクトルを測定する。
本明細書中、鉛蓄電池の満充電状態とは、JIS D 5301:2019の定義によって定められる。より具体的には、25℃±2℃の水槽中で、鉛蓄電池を、定格容量として記載の数値の1/10の電流(A)で、15分ごとに測定した充電中の端子電圧(V)または20℃に温度換算した電解液密度が3回連続して有効数字3桁で一定値を示すまで充電した状態が満充電状態である。定格容量として記載の数値は、単位をAh(アンペアアワー)とした数値である。定格容量として記載の数値を元に設定される電流の単位はA(アンペア)とする。
満充電状態の鉛蓄電池は、既化成の鉛蓄電池を満充電した鉛蓄電池である。鉛蓄電池の満充電は、化成後であれば、化成直後でもよく、化成から時間が経過した後に行ってもよい(例えば、化成後で、使用中(好ましくは使用初期)の鉛蓄電池を満充電してもよい)。
本明細書中、使用初期の電池とは、使用開始後、それほど時間が経過しておらず、ほとんど劣化していない電池である。
(XRDスペクトル)
多孔質膜(F)のXRDスペクトルは、多孔質膜(F)の表面に垂直な方向からX線を照射することによって測定される。測定用のサンプルは、多孔質膜(F)のうち電極材料に対向する部分を短冊状に加工することによって作製される。リブを有する多孔質膜(F)では、リブを含まないように、ベース部を短冊状に加工してサンプルを作製する。XRDスペクトルの測定およびフィッティングは、以下の測定条件で行われる。
(測定条件)
測定装置:RINT-TTR2、リガク社製
フィッティング:FT(ステップスキャン)法
測定角度範囲:15-35°
ステップ幅:0.02°
計測速度:5°/min
XRDデータ処理:XRDパターン解析ソフト(PDXL2、リガク製)を使用。
(セパレータの厚さおよびリブの高さ)
セパレータの厚さは、セパレータの断面写真において、任意に選択した5箇所について厚さを計測し、平均化することによって求められる。炭素材料が層状である場合には、同様の方法で、炭素材料の層の厚さが求められる。
リブの高さは、以下の手順で求められる。まず、セパレータの断面写真において、リブの任意の10箇所を選択する。次に、選択された10箇所のそれぞれにおいて、リブの高さ(ベース部の表面からの高さ)を計測する。次に、計測された10箇所の高さを平均することによってリブの高さが求められる。
(多孔質膜(F)中のオイル含有率)
セパレータのうち電極材料に対向する部分を短冊状に加工してサンプル(以下、サンプルAと称する)を作製する。このとき、多孔質膜(F)の表面の炭素材料は研磨によって除去してサンプルを作製する。リブを有するセパレータでは、リブを含まないように、ベース部を短冊状に加工してサンプルAを作製する。
サンプルAの約0.5gを採取し、正確に秤量し、初期のサンプルの質量(m0)を求める。秤量したサンプルAを、適当な大きさのガラス製ビーカーに入れ、n-ヘキサン50mLを加える。次いで、ビーカーごと、サンプルに約30分間、超音波を付与することにより、サンプルA中に含まれるオイル分をn-ヘキサン中に溶出させる。次いで、n-ヘキサンからサンプルを取り出し、大気中、室温(20℃以上35℃以下の温度)で乾燥させた後、秤量することにより、オイル除去後のサンプルの質量(m1)を求める。そして、下記式により、オイルの含有率を算出する。10個のサンプルAについてオイルの含有率を求め、平均値を算出する。得られる平均値を多孔質膜(F)中のオイルの含有率とする。
オイルの含有率(質量%)=100×(m0-m1)/m0
(多孔質膜(F)中の無機粒子の含有率)
上記と同様に作製したサンプルAの一部を採取し、正確に秤量した後、白金坩堝中に入れ、ブンゼンバーナーで白煙が出なくなるまで加熱する。次に、得られるサンプルを、電気炉(酸素気流中、550℃±10℃)で、約1時間加熱して灰化し、灰化物を秤量する。サンプルAの質量に占める灰化物の質量の比率(百分率)を算出し、上記の無機粒子の含有率(質量%)とする。10個のサンプルAについて無機粒子の含有率を求め、平均値を算出する。得られる平均値を多孔質膜(F)中の無機粒子(炭素材料以外の無機粒子)の含有率とする。
(多孔質膜(F)中の浸透剤の含有率)
上記と同様に作製したサンプルAの一部を採取し、正確に秤量した後、室温(20℃以上35℃以下の温度)で大気圧より低い減圧環境下で、12時間以上乾燥させる。乾燥物を白金セルに入れて、熱重量測定装置にセットし、昇温速度10K/分で、室温から800℃±1℃まで昇温する。室温から250℃±1℃まで昇温させたときの重量減少量を浸透剤の質量とし、サンプルBの質量に占める浸透剤の質量の比率(百分率)を算出し、上記の浸透剤の含有率(質量%)とする。熱重量測定装置としては、T.A.インスツルメント社製のQ5000IRが使用される。10個のサンプルAについて浸透剤の含有率を求め、平均値を算出する。得られる平均値を多孔質膜(F)中の浸透剤の含有率とする。
(屈曲度)
屈曲度を求めるための上記式における各項(密度、全細孔容積、浸透率、および微分細孔分布)は、以下の手順で求められる。まず、多孔質膜(F)のうち電極材料に対向する部分を縦20mm×横5mmのサイズにカットしてサンプル(サンプルB)を作製する。次に、当該サンプルについて、水銀ポロシメータを用いて下記の条件で測定することによって、上記の各項が求められる。
水銀ポロシメータ:オートポアIV9510、(株)島津製作所製
測定の圧力範囲:4psia(≒27.6kPa)以上60,000psia(≒414MPa)以下
細孔分布:0.01μm以上50μm以下
(鉛蓄電池)
本発明の一側面の鉛蓄電池は、極板群および電解液を含む少なくとも1つのセルを含む。極板群は、正極板と、負極板と、正極板および負極板の間に介在するセパレータとを含む。セパレータは、本実施形態の鉛蓄電池用セパレータである。本実施形態のセパレータを用いることによって、鉛蓄電池の寿命性能および生産性を大幅に向上できる。
鉛蓄電池は、制御弁式電池(VRLA型電池)であってもよいが、液式電池(ベント型電池)が好ましい。
セパレータの炭素材料は、多孔質膜(F)の2つの主面の両方に配置されていてもよいし、正極板側または負極板側の主面に配置されていてもよい。例えば、セパレータの炭素材料は、多孔質膜(F)の2つの主面のうち負極板側の主面に配置されていてもよい。充電時に水の電気分解が生じる場合、正極側では酸素ガスが発生する。炭素材料を負極板側に配置することによって、セパレータ内で酸素ガスが発生して多孔質膜(F)が酸化されることを抑制できる。
本明細書中、鉛蓄電池または鉛蓄電池の構成要素(極板、電槽、セパレータなど)の上下方向は、鉛蓄電池が使用される状態において、鉛蓄電池の鉛直方向における上下方向を意味する。なお、正極板および負極板の各極板は、外部端子と接続するための耳部を備えており、液式電池では、耳部は、極板の上部に上方に突出するように設けられている。鉛蓄電池の構成要素の例について、以下に説明する。
(正極板)
正極板としては、ペースト式正極板が用いられる。ペースト式正極板は、正極集電体と、正極電極材料とを備える。正極電極材料は、正極集電体に保持されている。正極電極材料は、正極板から正極集電体を除いた部分である。なお、極板には、マット、ペースティングペーパなどの部材が貼り付けられていることがある。このような部材(貼付部材とも称する)は極板と一体として使用されるため、極板に含まれる。正極板が貼付部材を含む場合には、正極電極材料は、正極板から正極集電体および貼付部材を除いた部分である。
正極板に含まれる正極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛または鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、例えば、エキスパンド加工または打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。正極集電体として格子状の集電体を用いると、正極電極材料を担持させ易いため好ましい。
正極集電体に用いる鉛合金としては、耐食性および機械的強度の点で、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金が好ましい。正極集電体は、組成の異なる鉛合金層を有してもよく、合金層は1層であってもよく、複数層でもよい。
正極板に含まれる正極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する正極活物質(二酸化鉛もしくは硫酸鉛)を含む。正極電極材料は、必要に応じて、他の添加剤(補強材など)を含んでもよい。
補強材としては、例えば、繊維(無機繊維、有機繊維など)が挙げられる。有機繊維を構成する樹脂(または高分子)としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンアリーレート(ポリエチレンテレフタレートなど)を含む)、およびセルロース類(セルロース、セルロース誘導体(セルロースエーテル、セルロースエステルなど)など)からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。セルロース類には、レーヨンも含まれる。
正極電極材料中の補強材の含有率は、例えば、0.03質量%以上である。また、正極電極材料中の補強材の含有率は、例えば、0.5質量%以下である。
未化成のペースト式正極板は、正極集電体に、正極ペーストを充填し、熟成および乾燥することにより得られる。正極ペーストは、鉛粉、アンチモン化合物、および必要に応じて他の添加剤(補強材など)に、水および硫酸を加えて混練することで調製される。
未化成の正極板を化成することにより正極板が得られる。化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の正極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。
(負極板)
鉛蓄電池の負極板は、負極集電体と、負極電極材料とで構成されている。負極電極材料は、負極板から負極集電体を除いた部分である。なお、負極板には、上述のような貼付部材が貼り付けられている場合がある。この場合、貼付部材は、負極板に含まれる。負極板が貼付部材を含む場合には、負極電極材料は、負極板から負極集電体および貼付部材を除いた部分である。
負極集電体は、正極集電体の場合と同様にして形成できる。正極集電体および負極集電体の少なくとも一方が、エキスパンド加工により形成された集電体であってもよい。エキスパンド加工により形成された集電体を用いた極板では、極板の製造工程において、製造装置との干渉によって極板の隅部が変形することがある。このような極板を用いて鉛蓄電池を作製すると、初期の段階で、極板の隅部がセパレータを突き破って短絡が起こり易い。本実施形態のセパレータは高い強度を有するため、エキスパンド格子を用いた極板と組み合わせる場合でも、極板の変形に伴う初期の短絡を抑制することができる。正極板および負極板の少なくとも一方がエキスパンド格子を含んでいてもよい。
負極集電体に用いる鉛合金は、Pb-Sb系合金、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金のいずれであってもよい。これらの鉛もしくは鉛合金は、更に、添加元素として、Ba、Ag、Al、Bi、As、Se、Cuなどからなる群より選択された少なくとも1種を含んでもよい。負極集電体は、組成の異なる鉛合金層を有してもよく、合金層は1層であってもよく、複数層でもよい。
負極板に含まれる負極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する負極活物質(鉛もしくは硫酸鉛)を含んでおり、有機防縮剤、炭素質材料、硫酸バリウムなどを含んでもよい。負極電極材料は、必要に応じて、他の添加剤(補強材など)を含んでもよい。
有機防縮剤としては、リグニン、リグニンスルホン酸、合成有機防縮剤(フェノール化合物のホルムアルデヒド縮合物など)などが挙げられる。負極電極材料は、有機防縮剤を一種含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
負極電極材料中の有機防縮剤の含有率は、例えば、0.01質量%以上である。有機防縮剤の含有率は、例えば、1質量%以下である。
負極電極材料中の炭素質材料としては、カーボンブラック、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛など)、ハードカーボン、ソフトカーボンなどが挙げられる。負極電極材料は、炭素質材料を一種含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
負極電極材料中の炭素質材料の含有率は、例えば、0.1質量%以上である。炭素質材料の含有率は、例えば、3質量%以下であってもよい。
負極電極材料中の硫酸バリウムの含有率は、例えば、0.1質量%以上である。硫酸バリウムの含有率は、例えば、3質量%以下である。
補強材としては、例えば、繊維(無機繊維、有機繊維(正極電極材料の補強材について記載した樹脂で構成された有機繊維など)など)が挙げられる。
負極電極材料中の補強材の含有率は、例えば、0.03質量%以上である。また、負極電極材料中の補強材の含有率は、例えば、0.5質量%以下である。
充電状態の負極活物質は、海綿状鉛であるが、未化成の負極板は、通常、鉛粉を用いて作製される。
負極板は、負極集電体に、負極ペーストを充填し、熟成および乾燥することにより未化成の負極板を作製し、その後、未化成の負極板を化成することにより形成できる。負極ペーストは、鉛粉と有機防縮剤および必要に応じて各種添加剤に、水と硫酸を加えて混練することで作製する。熟成工程では、室温より高温かつ高湿度で、未化成の負極板を熟成させることが好ましい。
化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の負極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。化成により、海綿状鉛が生成する。
1つのセルに含まれる正極板および負極板の枚数に特に限定はない。しかし、本実施形態のセパレータは、1つのセルに多数の正極板および負極板が収容される鉛蓄電池に特に好ましく用いられる。合計で12枚以上の正極板および負極板を1つのセルに収容する場合、セパレータの引っ張り強度が特に重要になる。
(電解液)
電解液は、硫酸を含む水溶液である。電解液は、必要に応じてゲル化させてもよい。
電解液は、さらに、Naイオン、Liイオン、Mgイオン、およびAlイオンからなる群より選択される少なくとも一種の金属イオンなどを含んでもよい。
電解液の20℃における比重は、例えば、1.10以上である。電解液の20℃における比重は、1.35以下であってもよい。なお、これらの比重は、満充電状態の鉛蓄電池の電解液についての値である。
(1)寿命性能
鉛蓄電池の寿命性能(高温過充電寿命性能)は、下記の手順で、高温過充電耐久試験を行い、このときの鉛蓄電池の寿命に基づいて評価される。
(a)全試験期間を通して、蓄電池を75℃±3℃の気槽中に置く。
(b)蓄電池を寿命試験装置に接続し、連続的に次に示す放電及び充電のサイクルを繰り返す。この放電と充電とのサイクルを寿命1回(1サイクル)とする。
放電:放電電流25.0A±0.1Aで60秒±1秒
充電:充電電圧14.80V±0.03V(制限電流25.0A±0.1A)で600秒±1秒
(c)試験中、480サイクルごとに56時間放置し、その後定格コールドクランキング電流390Aで30秒間連続放電を行い、30秒目電圧を記録する。その後、(b)の充電を行う。なお、これらの放電及び充電も寿命回数(サイクル数)に加算する。
(d)(c)の試験で測定した30秒目電圧が7.2V以下となり、再び上昇しないことを確認した時点で試験を終了し、このときの合計サイクル数(以下では「サイクル数N」と称する場合がある)を寿命性能の指標とする。
なお、定格コールドクランキング電流とは、エンジン始動性能を表す尺度で、-18℃±1℃の温度で放電し、30秒目電圧が7.2V以上となるように定められた放電電流のことである。
(2)引っ張り強度
セパレータの引っ張り強度は、以下の手順で測定される。まず、セパレータを10mm×40mmの大きさにカットすることによって試験片を得る。この試験片に対して、精密万能試験機(島津製作所、製品名:AGS-X)を用い、チャック間距離20mm、引っ張り速度5mm/分、25℃条件で引っ張り試験を行い、破断時の応力を引っ張り強度とする。
以下では、本実施形態に係る鉛蓄電池の一例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する一例の鉛蓄電池の構成要素には、上述した構成要素を適用できる。また、以下で説明する一例の鉛蓄電池の構成要素は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。また、以下で説明する実施形態において、本実施形態に係る鉛蓄電池に必須ではない構成要素は省略してもよい。
図1は、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池の一例の外観を示す。鉛蓄電池1は、極板群11と電解液(図示せず)とを収容する電槽12を具備する。電槽12内は、隔壁13により、複数のセル室14に仕切られている。各セル室14には、極板群11が1つずつ収納されている。電槽12の開口部は、負極端子16および正極端子17を具備する蓋15で閉じられる。蓋15には、セル室毎に液口栓18が設けられている。補水の際には、液口栓18を外して補水液が補給される。液口栓18は、セル室14内で発生したガスを電池外に排出する機能を有してもよい。
極板群11は、それぞれ複数枚の負極板2および正極板3を、セパレータ4を介して積層することにより構成されている。ここでは、負極板2を収容する袋状のセパレータ4を示すが、セパレータの形態は特に限定されない。電槽12の一方の端部に位置するセル室14では、複数の負極板2を並列接続する負極棚部6が貫通接続体8に接続され、複数の正極板3を並列接続する正極棚部5が正極柱7に接続されている。正極柱7は蓋15の外部の正極端子17に接続されている。電槽12の他方の端部に位置するセル室14では、負極棚部6に負極柱9が接続され、正極棚部5に貫通接続体8が接続される。負極柱9は蓋15の外部の負極端子16と接続されている。各々の貫通接続体8は、隔壁13に設けられた貫通孔を通過して、隣接するセル室14の極板群11同士を直列に接続している。
本明細書中に記載した事項は、任意に組み合わせることができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
実験例1では、下記の手順で、複数のセパレータおよび複数の鉛蓄電池を作製した。
(1)セパレータの作製および評価
ポリエチレン100質量部と、シリカ粒子160質量部と、造孔剤としてのパラフィン系オイル80質量部と、2質量部の浸透剤とを含む樹脂組成物を、シート状に押出成形し、延伸処理した後、造孔剤の一部を除去することによって、片面にリブを有する多孔質膜を作製した。このとき、既述の手順で求められる多孔質膜の比率Rが表1に示す値となるように、押出成形されたシートの冷却速度および延伸処理の倍率を調節した。
次に、形成されたそれぞれの多孔質膜の一方の主面(負極板側の主面)に、以下の手順で炭素材料を配置した。まず、セパレータ上にシリカと炭素材料との混合物を堆積させ、次いで、その上にローラーコーティング法またはスプレーコーティング法で純粋な炭素層を堆積した。このようにして、炭素材料を配置した。炭素材料の厚さは、各多孔質膜で同じとした。具体的には、10μmとした。以上の手順によって、多孔質膜の比率Rが異なる複数のセパレータを作製した。
既述の手順で求められるセパレータのオイル含有率は、11~18質量%であり、シリカ粒子の含有率は、60質量%であった。既述の手順で求められるリブの高さは0.6mmであった。既述の手順で求められるセパレータの厚さ(ベース部の厚さ)を表1に示す。
上記の手順で得られたシート状のセパレータを、外面にリブが配置されるように二つ折りにして袋を形成した。次に、重ね合わせた両端部を圧着することによって、袋状セパレータを得た。袋状のセパレータの内側の表面は、炭素材料が配置された表面である。
なお、セパレータにおける多孔質膜(F)の比率R、オイル含有率、シリカ粒子の含有率、セパレータの厚さ、およびリブの高さは、鉛蓄電池の作製前のセパレータについて求めた値である。これらの値は、作製後の鉛蓄電池から取り出したセパレータについて既述の手順で測定した値とほぼ同じである。
(2)正極板の作製
鉛酸化物、補強材(合成樹脂繊維)、水および硫酸を混合して正極ペーストを調製した。正極ペーストを、アンチモンを含まないPb-Ca-Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成および乾燥を行うことによって、幅100mm、高さ110mm、厚さ1.6mmの未化成の正極板を得た。
(3)負極板の作製
鉛酸化物、カーボンブラック、硫酸バリウム、リグニン、補強材(合成樹脂繊維)、水および硫酸を混合して負極ペーストを調製した。負極ペーストを、アンチモンを含まないPb-Ca-Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成および乾燥を行うことによって、幅100mm、高さ110mm、厚さ1.3mmの未化成の負極板を得た。カーボンブラック、硫酸バリウム、リグニンおよび合成樹脂繊維の使用量は、満充電状態の鉛蓄電池から取り出した負極板について各成分の含有率が、それぞれ0.3質量%、2.1質量%、0.1質量%および0.1質量%になるように調節した。
(4)鉛蓄電池の作製
未化成の負極板を、袋状セパレータに収容し、正極板と積層し、未化成の負極板7枚と未化成の正極板6枚とで極板群を形成した。
正極板の耳部同士および負極板の耳部同士をそれぞれキャストオンストラップ(COS)方式で正極棚部および負極棚部と溶接した。極板群をポリプロピレン製の電槽に挿入し、電解液を注液して、電槽内で化成を施して、定格電圧12Vおよび定格容量が30Ah(5時間率容量(定格容量に記載のAhの数値の1/5の電流(A)で放電するときの容量))の液式の鉛蓄電池を組み立てた。なお、電槽内では6個の極板群が直列に接続されている。
電解液としては、硫酸水溶液を用いた。化成後の電解液の20℃における比重は1.285であった。
電池A1のセパレータで用いた多孔質膜について、既述の手順で測定されたXRDスペクトルを図2に示す。図2に示されるように、ポリエチレンの結晶質領域の(110)面に相当する回折ピークが、2θ=21.5°~22.5°の範囲に観察され、(200)面に相当する回折ピークが、2θ=23°~24.5°の範囲に観察された。そして、非晶質領域によるハローが2θ=17°~27°の広い範囲にブロードに観察された。
得られた鉛蓄電池を用いて、既述の手順で寿命性能(サイクル数N)を評価した。寿命性能は、各鉛蓄電池のサイクル数Nの相対値で評価した。サイクル数Nの相対値は、電池CA1のサイクル数Nを90としたときの値である。評価結果を表1に示す。電池A1~A4は発明例の電池であり、電池CA1は比較例の電池である。
Figure 2023046061000003
表1に示されるように、多孔質膜の比率Rが.0.70以上である場合、比率Rが0.65の場合と比べて、寿命性能が大幅に向上した。これは、多孔質膜の結晶性が高いことによってセパレータの耐酸化性が向上したためであると考えられる。
(実験例2)
実験例2では、セパレータを変えたことを除いて実験例1と同様に鉛蓄電池を作製して評価した。具体的には、多孔質膜の比率Rとセパレータの厚さととを変化させるための製造条件を変えたことを除いて、実験例1の方法と同様の方法で、複数のセパレータを作製した。炭素材料は、実験例1のセパレータと同様の条件で配置した。
作製されたセパレータおよび鉛蓄電池を、実験例1と同様に評価した。評価結果を表2に示す。電池B1~B12は発明例であり、電池CB1~CB4は比較例である。表2の寿命性能(サイクル数N)は、電池B1のサイクル数Nを100としたときの相対値である。
Figure 2023046061000004
表2に示すように、セパレータの厚さを100μm以上とすることによって、寿命性能を大幅に高めることができた。セパレータが薄い場合(多孔質膜が薄い場合)、多孔質膜を形成する際の樹脂成型時に金型への樹脂回りが悪くなり、厚さのばらつきや細孔のばらつきが大きくなったり、割れ(セパレータが裂ける)が部分的に発生したりすることがあると考えられる。一方、セパレータの厚さが100μm以上(多孔質膜の厚さが90μm以上)の場合は、樹脂回りが良化して均質な多孔質膜が得られる。それに加えて、多孔質膜の表面に炭素材料を配置することによって、後述するようにセパレータの引っ張り強度が大幅に向上する。そのため、寿命特性が大幅に向上したと考えられる。
(実験例3)
実験例3では、作製条件を変えて複数のセパレータを作製した。具体的には、多孔質膜の比率Rとセパレータの厚さとを変化させるための製造条件、および、炭素材料の配置の有無を変えたことを除いて実験例1の方法と同様の方法で、複数のセパレータを作製した。作製したセパレータについて、実験例1と同様に評価した。
さらに、作製されたセパレータについて、上述した方法で引っ張り強度を測定した。セパレータの評価結果を表3におよび表4示す。セパレータS1~S10は発明例のセパレータであり、セパレータCS1~CS12は比較例のセパレータである。なお、引っ張り強度は、セパレータCS1の引っ張り強度を100としたときの相対値である。
Figure 2023046061000005
Figure 2023046061000006
表3の結果を図3に示し、表4の結果を図4に示す。表3および図3に示すように、炭素材料を表面に配置するとともに多孔質膜の比率Rを0.70以上とすることによって、セパレータの引っ張り強度を大幅に高めることができた。表4及び図4に示すように、炭素材料を表面に配置するとともに厚さを100μm以上とすることによって、セパレータの引っ張り強度を大幅に高めることができた。
図3に示すように、炭素材料が配置されたセパレータでは、比率Rを高めることによる引っ張り強度の増大の効果が、炭素材料が配置されていないセパレータよりも高かった。図4に示すように、炭素材料が配置されたセパレータでは、セパレータを厚くすることによる引っ張り強度の増大の効果が、炭素材料が配置されていないセパレータよりも高かった。これらの理由は明確ではないが、多孔質膜の表面に炭素材料を配置することが、何らかの相乗効果を奏していると考えられる。
本発明は、鉛蓄電池およびそれに用いられるセパレータに利用できる。本発明の鉛蓄電池用セパレータは、例えば、IS用途(ISS車用の鉛蓄電池など)、様々な車両(自動車、バイクなど)の始動用電源などに適している。当該鉛蓄電池用セパレータは、電動車両(フォークリフトなど)などの産業用蓄電装置などの電源にも好適に利用できる。なお、これらの用途は単なる例示である。本発明の鉛蓄電池用セパレータおよび鉛蓄電池の用途は、これらに限定されない。
1:鉛蓄電池、2:負極板、3:正極板、4:セパレータ、5:正極棚部、6:負極棚部、7:正極柱、8:貫通接続体、9:負極柱、11:極板群、12:電槽、13:隔壁、14:セル室、15:蓋、16:負極端子、17:正極端子、18:液口栓

Claims (10)

  1. 鉛蓄電池用セパレータであって、
    多孔質膜と前記多孔質膜の表面に配置された炭素材料とを含み、
    前記多孔質膜は、結晶質領域と非晶質領域とを含み、
    前記多孔質膜のX線回折スペクトルにおいて、A/(A+A)で表される比率Rが、0.70以上であり、
    は、前記結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが最大である第1回折ピークの面積であり、
    は、前記結晶質領域に相当する回折ピークのうちピーク高さが2番目に高い第2回折ピークの面積である、鉛蓄電池用セパレータ。
  2. 100μm以上300μm以下の厚さを有する、請求項1に記載の鉛蓄電池用セパレータ。
  3. 前記比率Rは、0.90以下である、請求項1または2に記載の鉛蓄電池用セパレータ。
  4. オイルを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の鉛蓄電池用セパレータ。
  5. 前記多孔質膜の細孔の屈曲度が5以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の鉛蓄電池用セパレータ。
  6. ポリオレフィンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の鉛蓄電池用セパレータ。
  7. 前記ポリオレフィンは、少なくともエチレン単位を含み、
    前記第1回折ピークは、前記結晶質領域の(110)面に相当し、
    前記第2回折ピークは、前記結晶質領域の(200)面に相当する、請求項6に記載の鉛蓄電池用セパレータ。
  8. 前記炭素材料は、導電性カーボンブラックおよび導電性炭素繊維からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1~7のいずれか1項に記載の鉛蓄電池用セパレータ。
  9. 鉛蓄電池であって、
    前記鉛蓄電池は、極板群および電解液を含む少なくとも1つのセルを含み、
    前記極板群は、正極板と、負極板と、前記正極板および前記負極板の間に介在するセパレータとを含み、
    前記セパレータは、請求項1~8のいずれか1項に記載の鉛蓄電池用セパレータである、鉛蓄電池。
  10. 前記セパレータの前記炭素材料は、前記多孔質膜の2つの主面のうち前記負極板側の主面に配置されている、請求項9に記載の鉛蓄電池。
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