JP2023045094A - テープ状プリプレグの製造方法、及び短冊状プリプレグの製造方法 - Google Patents

テープ状プリプレグの製造方法、及び短冊状プリプレグの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023045094A
JP2023045094A JP2021153307A JP2021153307A JP2023045094A JP 2023045094 A JP2023045094 A JP 2023045094A JP 2021153307 A JP2021153307 A JP 2021153307A JP 2021153307 A JP2021153307 A JP 2021153307A JP 2023045094 A JP2023045094 A JP 2023045094A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tape
fiber
thermoplastic resin
shaped prepreg
reinforcing fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021153307A
Other languages
English (en)
Inventor
信彦 中切
Nobuhiko Nakagiri
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2021153307A priority Critical patent/JP2023045094A/ja
Publication of JP2023045094A publication Critical patent/JP2023045094A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Abstract

【課題】 含浸性と生産性とを同時に満足させることができる、繊維強化熱可塑性樹脂成形品用のテープ状プリプレグ又は短冊状プリプレグの製造方法を提供する。【解決手段】 強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有するテープ状プリプレグの製造方法であって、連続強化繊維の繊維束を開繊する開繊工程、開繊された連続強化繊維の繊維束を溶融した熱可塑性樹脂を含む槽に通して熱可塑性樹脂を含浸する含浸工程、及び、熱可塑性樹脂を含浸した連続強化繊維の繊維束を賦形ローラーで潰し、冷却固化してテープ状プリプレグとする冷却固化工程を上記の順に有し、前記繊維束は複数本あり、前記含浸工程において、熱可塑性樹脂を含む槽までの間に繊維束同士が接触しない糸道安定化部品を有することを特徴とするテープ状プリプレグの製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂成形品の原料となるテープ状プリプレグ、及び短冊状プリプレグの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、製造装置において連続強化繊維の繊維束の糸道を安定させることにより、高い含浸性と生産性に優れた、物性ばらつきの少ないテープ状プリプレグ、及び短冊状プリプレグの製造方法に関する。
従来、複合材料のマトリックスには、熱硬化性樹脂が多く用いられてきた。しかし、貯蔵安定性、靭性、作業環境等の問題などから、近年、熱可塑性樹脂が注目され、開発が盛んに行われている。特に連続した強化繊維を使用する製造方法としては、例えば、強化繊維束中に微粉状の樹脂を含浸させたパウダー含浸法、マトリックス樹脂を繊維化して強化繊維と一緒に混繊させた混繊糸法、溶融樹脂を溜めた樹脂槽中に強化繊維を通過させることによって強化繊維中に含浸させる引抜成形法等がある。
例えば特許文献1では、解舒機から引き出された繊維束を、幅方向に折れ曲がりやねじれを生じさせることなく繊維束を安定させて、所定の引き出し方向に収束させる繊維束の引き出し方法および装置について示されているが、含浸装置内における繊維束の糸道固定についての検討は無く、含浸装置を使用した生産機において十分に安定した生産ができない。
特許文献2では、テープ状繊維束の搬送、案内する際に鍔付きロールなどで糸道を規制する場合には、繊維束の擦れ、折り畳まれの原因となり、それを回避するため、糸道と直角にねじれた位置に回転軸を有するガイドロールを有し、糸道の変動に対応して回転軸を糸道に対して傾けることにより、繊維束が本来の糸道位置に自動的に案内されるように構成された糸道ガイドである。しかし、特許文献1と同様、含浸装置内における繊維束の糸道固定についての記載が無く、かつ、複数の糸束同士における接触を避ける目的での糸道ガイドでは無いため、含浸装置を利用した機台における安定生産には不十分である。
特許文献3、4は、箱状のチャンバー内に溶融樹脂を満たし、その装置中にて強化繊維を引き抜いて含浸させる装置について開示されている。その特徴は、含浸装置出口側に位置するノズル形状の工夫によって、機台の生産速度向上に伴うノズルでの繊維切れや、溶融樹脂の含浸レベルの低下を避けるための技術であり、含浸装置入口側にて繊維束の糸道固定についての記載はされていない。このため、含浸装置における繊維同士の接触に伴う繊維切れについての対策ではないため、安定生産のためには不十分である。
特許第4332606号公報 特許第4618132号公報 特許第4872020号公報 特許第5027929号公報
上記の方法のうち、特に引抜成形方法では含浸装置にて連続強化繊維が通過する通路において、樹脂が強化繊維に被覆(含浸)される前の繊維束同士が接触する場合、繊維が擦れ合うことで損傷し、含浸装置の工程通過性が悪化する場合がある。経験的に、その傾向は、強化繊維が炭素繊維束の場合において顕著である。
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものである。その目的とするところは、含浸性と生産性とを同時に満足させることである。強化繊維束同士の接触を回避し、高い工程安定性が得られることで、良好な繊維強化熱可塑性樹脂成形品用のテープ状プリプレグ、及び短冊状プリプレグの製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、連続強化繊維(の繊維束)が通過する含浸装置の部品形状を工夫することで、熱可塑性樹脂が連続強化繊維に被覆(含浸)される前の連続強化繊維束同士が接触しないように改善した。具体的には、連続強化繊維が含浸工程の含浸前において接触する圧力が最も高まる位置において、糸道が固定されるように形状変更を行った。
本発明は以下の通りである。
[1] 強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有するテープ状プリプレグの製造方法であって、
連続強化繊維の繊維束を開繊する開繊工程、
開繊された連続強化繊維の繊維束を溶融した熱可塑性樹脂を含む槽に通して熱可塑性樹脂を含浸する含浸工程、及び、
熱可塑性樹脂を含浸した連続強化繊維の繊維束を賦形ローラーで潰し、冷却固化してテープ状プリプレグとする冷却固化工程、
を上記の順に有し、前記繊維束は複数本あり、前記含浸工程において、熱可塑性樹脂を含む槽までの間に繊維束同士が接触しない糸道安定化部品を有することを特徴とするテープ状プリプレグの製造方法。
[2] テープ状プリプレグに含有される強化繊維と熱可塑性樹脂との質量比(強化繊維/熱可塑性樹脂)が85/15~30/70である、[1]に記載のテープ状プリプレグの製造方法。
[3] 前記強化繊維がガラス繊維又は/及び炭素繊維である、[1]又は[2]に記載のテープ状プリプレグの製造方法。
[4] 前記糸道安定化部品が曲面ダイである、[1]から[3]のいずれかに記載のテープ状プリプレグの製造方法。
[5] 前記曲面ダイの上に、繊維束の進行方向に沿って、繊維束同士の接触を避けるための連続突起が設置されている、[4]に記載のテープ状プリプレグの製造方法。
[6] 前記連続突起の形状が半円状の断面形状である、[5]に記載のテープ状プリプレグの製造方法。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載のテープ状プリプレグの製造方法において、得られたテープ状プリプレグをカッティングして短冊状プリプレグとするカッティング工程を有する短冊状プリプレグの製造方法。
[8] 前記短冊状プリプレグは、長さ5mm~100mm、幅4mm~60mm、厚み0.05mm~0.4mmである、[7]に記載の短冊状プリプレグの製造方法。
本発明によれば、含浸性と生産性とを同時に満足させ、連続強化繊維束同士の接触を回避することができる。そのことで、結果的に高い工程安定性が得られる。さらに、連続強化繊維束の糸道が安定化したことで、VF(繊維含有率)調整が容易となり、機台立ち上げ(生産開始)から生産品を採取するまでの時間が短縮され、VFが安定しない不良品の廃棄量も少なくなるという効果も有する。
実施例1と比較例1でそれぞれ用いた曲面ダイの模式図であり、Xは正面図、Yは正面図のA-Aの面、B-Bの面で切ったそれぞれの断面図、Zは曲面ダイの上部の斜視図である。
本発明における「テープ状プリプレグ」は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂を含有する。「短冊状プリプレグ」は、強化繊維と熱可塑性樹脂を含有し、「テープ状プリプレグ」を短冊状にカットしたものである。テープ状プリプレグや短冊状プリプレグは、後工程にて予備成形体(シート状の成形体など)に成形後、所望の最終成形体(繊維強化熱可塑性樹脂成形品)に再成形可能である。
[強化繊維]
強化繊維は特に限定されないが、代表例としては、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維などの無機繊維、ボロン繊維などの金属繊維、アラミド繊維などの有機繊維が挙げられる。コスト、ならびに得られる成形品の弾性率および機械的強度の点から、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維が好ましい。
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂は特に限定されないが、代表例としては、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド46などのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、変性されたものであっても良い。
特に好ましい熱可塑性樹脂の代表例は、以下の通りである。これらは、成形品の用途(または所望の特性)に応じて、適宜使用され得る。
(1)低コスト、成形時の流動性、耐水性、耐熱水性、または耐化学薬品性が要求される場合には、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。入手が容易であるという理由で、ポリプロピレンが特に好ましく、本発明においては、酸変性されたポリプロピレンを用いることが好ましい。前述の強化繊維との接着性に特に優れるからである。
(2)耐摩耗性、耐油性、または長期耐熱特性が要求される場合には、ポリアミド系樹脂が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6樹脂が特に好ましい。
(3)耐熱性、機械的強度、クリープ特性、耐薬品性、または耐油性が要求される場合には、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
[開繊工程]
本発明は、連続強化繊維の繊維束を開繊する開繊工程を有する。開繊工程は、撚りが殆ど入らない状態で行われるのが望ましく、通常、ローラーおよび空気開繊工程が用いられるが、これに限定されるものではない。
[含浸工程]
本発明は、開繊された連続強化繊維の繊維束を溶融した熱可塑性樹脂を含む槽に通して熱可塑性樹脂を含浸する含浸工程を有する。本発明で使用される含浸装置は、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で、熱可塑性樹脂を溶融し充填した高圧の槽(以下、樹脂槽と称する場合もある)内にて、連続強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させるものである。
熱可塑性樹脂を連続的に効率よく含浸させるため、0.1MPa以上の圧力を有する樹脂槽を通すのが好ましい。0.1MPa未満である場合、含浸性が十分に得られにくくなる。樹脂槽内の圧力は高い方がより含浸性が向上し好ましく、より好ましくは0.3MPa以上、更に好ましくは、0.5MPa以上である。樹脂槽内の圧力は高い方がより含浸性が向上し好ましいが、設備コストも高くなるので、2MPa以下であることが好ましい。また、連続強化繊維が樹脂槽に入る前に、樹脂吐出スリットを有する曲面ダイに接触させる事が好ましい。樹脂吐出スリットから溶融させた熱可塑性樹脂を吐出させて、連続強化繊維の繊維束が曲面ダイに接触している側から熱可塑性樹脂の一部を含浸させることで、連続強化繊維が開繊された状態を保持したまま、プレ含浸が良好に行われ得るためである。
含浸装置前後には、連続強化繊維が通過する穴が設けられており、特に、含浸装置入口側の連続強化繊維の形状がテープ状プリプレグの含浸性に重要であることが経験的に知られている。具体的には、繊維間の樹脂浸透性を良好にするために繊維の開繊を良好にすること、本発明のように複数の繊維束により製造する場合には繊維束同士の重なりが少ないことが重要である。使用できる連続強化繊維の種類は特に限定はないが、当該含浸装置において製造する場合、繊維束同士の接触により損傷が著しい繊維種として炭素繊維がある。
含浸装置入口側において、熱可塑性樹脂が被覆していない状態における炭素繊維同士が接触すると、損傷が著しく、損傷した繊維が短繊維状の毛羽となり、含浸装置内に発生した炭素繊維の毛羽が蓄積される。含浸装置出口側からも、含浸装置内に蓄積された毛羽は順次排出されるが、排出量に比べて発生量が多い場合、含浸装置出口側の穴が閉塞すると同時に、その位置においてテープ状プリプレグが切断し操業停止となる。含浸装置入口側において、特に強化繊維が炭素繊維の場合、糸道を固定化して繊維束同士が接触しないようにすることが重要である。
これまで、含浸装置入口側には、樹脂が被覆していない連続強化繊維の糸道を固定し調整するために、くし歯状のガイドを設置し、糸道を調整・固定化を行ってきた。生産開始前に含浸装置入口側の糸道をくし歯状ガイドにて調整完了しても、連続強化繊維を取付けた解舒機から繊維を含浸装置入口側に送り出すボビントラバース等の影響を受け、含浸装置入口側の繊維束の糸道は数mm単位で機台TD方向に振動する。そのため、特に連続強化繊維が炭素繊維の場合、含浸装置入口側において繊維束同士が接触しないように調整完了しても、操業経過に伴って繊維束同士が接触し、機台停止する場合が生じる。なお、繊維束同士の接触を回避するため繊維束を必要以上に離して糸道調整を行うと繊維束同士の接触リスクは下がるが、離した繊維束間から樹脂が漏れ出し、結果的に生産しているテープ状プリプレグの含浸性低下につながる。連続強化繊維に炭素繊維を選択した場合、繊維束同士が接触しない、近接した状態を保持したまま、糸道の固定化できることがテープ状プリプレグの品質安定も含めた機台操業性に非常に重要である。
[糸道安定化部品]
具体的な方策として、含浸装置入口側で、糸道安定化部品を用いることが重要である。連続強化繊維の繊維束同士が接触しないように、連続強化繊維が含浸装置入口側において接触する圧力が最も高まる位置である曲面ダイにおいて、糸道が固定されるように糸道安定化部品を用いることが有効である。各繊維束が近接した状態で糸道が固定化されるように、曲面ダイの接糸部において機台MD方向(繊維束の進行方向)に、繊維束同士が接触するのを避ける凸状の突起(分離帯形状)を設けた。
突起の長さは、曲面ダイの接糸長(機台MD方向)にわたって、全長に設置されているのが好ましい。つまり、突起は繊維束の進行方向に沿って、繋がって設置された連続突起であることが好ましい。部分的に、あるいは点状に設置されている場合、局所的に連続強化繊維との接触圧が急激に高まり繊維の損傷につながる可能性がある。含浸装置に入る繊維束の数は、2本~5本であることが好ましく、曲面ダイに設置される連続突起は1本~4本であることが好ましい。
突起の高さは、特に規定はないが、各繊維束の糸道が確実に固定されれば良く、0.1mm~5mmが好ましい。高さが0.1mm未満であると糸道の固定化が難しく、5mmより高いと必要以上の高さでありオーバースペックである。さらに好ましくは、0.5mm~3mmの高さである。
突起の断面は、特に限定されないが、開繊させたい繊維束を効率的に開繊させる必要がある。炭素繊維のような繊維同士の接触で損傷しやすい繊維の場合、断面形状に角があると接触圧が急激に高まり繊維の損傷につながる可能性があるため特に炭素繊維に対してはラウンド形状が好ましい。より具体的には上に凸の半円形状が好ましく、半径rが0.1mm~5mmが好ましい。半径rが0.1mm未満であると、糸道の固定化が難しく、半径が5mmより大きいと必要以上の幅と高さとなり、オーバースペックとなる。さらに好ましくは、半径rが0.25mm~1.50mmである。
曲面ダイ上における一本の繊維束が通過する幅は、使用する強化繊維のフィラメント数によって左右されるが、3mm~30mmが好ましい。繊維束が通過する幅が3mmより狭い場合、曲面ダイ上で繊維束を集束することとなり繊維束への含浸性が不良となる。30mmより広いと、樹脂吐出スリットを有する曲面ダイでプレ含浸させた場合、繊維束両端からの樹脂漏れが生じる可能性がある。例えば12Kフィラメントの炭素繊維を使用する場合は、5mm~15mmが好ましい。
以上のような最適形状化された突起を設置した曲面ダイを使用することで、含浸装置中における糸道を固定化することが可能となり、安定した品質のテープ状プリプレグや短冊状プリプレグを生産する事が可能となる。
[冷却固化工程]
本発明は、熱可塑性樹脂を含浸した連続強化繊維の繊維束を賦形ローラーで潰し、冷却固化してテープ状プリプレグとする冷却固化工程を有する。樹脂槽を通過した連続強化繊維は、引取張力により集束しやすく、この状態では連続強化繊維の細部に熱可塑性樹脂が含浸しきれていない。賦形ローラーで潰し冷却固化させることにより樹脂含浸性と、取り扱い性を向上させることができる。
[カッティング工程]
本発明は、テープ状プリプレグをカッティングして短冊状プリプレグとするカッティング工程を有する。カッティングは通常、ファンカッターで行われるが、特に限定はされない。
[テープ状プリプレグ]
テープ状プリプレグに含有される強化繊維と熱可塑性樹脂との質量比(強化繊維/熱可塑性樹脂)は、85/15~40/60である事が好ましい。強化繊維が、炭素繊維であり、熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合、この質量比を繊維体積含有率(Vf)で表すと、74%~25%となる。この質量比、繊維体積含有率は、短冊状プリプレグでも同様である。テープ状プリプレグのサイズは、長さは特に限定されず、幅4mm~60mm、厚み0.05mm~0.4mmが好ましい。
[短冊状プリプレグ]
生産されたテープ状プリプレグは、使用しやすいようにカッティングし、短冊状プリプレグとする。短冊状プリプレグのサイズは、長さ5mm~100mm、幅4mm~60mm、厚み0.05mm~0.4mmが好ましい。
厚みが0.05mm未満であると生産効率が悪く、0.4mmを超えると含浸性が不足する傾向となる。厚みは、より好ましくは0.07mm~0.2mmの範囲内である。また幅は4mm未満、もしくは、60mmを超えると、後工程で予備成形体を生産する際に生産効率が悪くなる傾向がある。幅は、より好ましくは10mm~50mmの範囲である。長さに関しても5mm未満、若しくは100mmを超える場合、後工程で予備成形体を生産する際に生産性が悪くなる傾向がある。長さは、より好ましくは10mm~50mmの範囲内である。含有される強化繊維の質量比も85%を超えると樹脂含浸性が不十分となり破壊の起点となりやすく、40%未満の場合、強化繊維補強効果が得られにくくなる。強化繊維と熱可塑性樹脂のより好ましい質量比の範囲は、80/20~50/50である。この場合も、上記と同じVfは、66.7%~33.3%となる。
また、テープ状プリプレグ、及び短冊状プリプレグは、必要に応じて、熱劣化防止剤、酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤、などの添加剤を含有し得る。これらの添加剤の含有量は、目的に応じて変化し得るが、通常、テープ状プリプレグ、又は短冊状プリプレグの質量に対し、それぞれ0.5質量%以下が好ましく、より好ましくはそれぞれ0.2~0.5質量%の範囲内で添加される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
強化繊維として、連続炭素繊維の繊維束(東レ(株)製、TR700、800Tex、12,000f、巻長7,500m)を2本使用し、直径2cmのローラーに通し開繊後、0.6MPa以上の圧力を有する、溶融した酸変性されたポリプロピレン樹脂(アサヒテクノ工業(株)製、G2H、融点160℃)を含む240℃の樹脂槽を通し、樹脂を連続的に含浸させ、その後、賦形ローラーで潰し冷却固化させてテープ状プリプレグを得た後、カッティングし、炭素繊維66.7質量部にポリプロピレン33.3質量部(Vf=50%)が含浸されてなる、幅15mm、長さ35mm、厚み0.1mmの短冊状プリプレグを作製した。その際、樹脂槽直前に位置する、形状を工夫した曲面ダイを使用した。形状は、図1に示すように、各繊維束が近接した状態で糸道が固定化されるように、曲面ダイ接糸部において機台MD方向に繊維束同士が確実に固定されるように、凸状の突起(分離帯形状)Vを設けた。突起は、曲面ダイ接糸部の全長にわたって設置する連続突起とした。突起の断面は半円形状とした。半円形状は、半径0.5mmの半円形状であるため、高さ0.5mm、繊維束間の距離1mmの断面形状となる。また、炭素繊維束の1本あたりが曲面ダイ底面を通過する幅は9mmである。この曲面ダイは、樹脂吐出スリットを有するもので、樹脂吐出スリットから溶融させた前記の樹脂を吐出させて、連続炭素繊維の繊維束が曲面ダイに接触している側から樹脂の一部を含浸させること(プレ含浸)ができるようにした。なお、曲面ダイの前には、くし歯状の糸道固定ガイドが設置されており、糸道固定ガイドを使用して生産を行った。以下の評価を実施し、結果を表1に記す。
(操業停止回数)
1ロット(連続炭素繊維7,500m分)生産中、連続炭素繊維の繊維束又はテープ状プリプレグの切断により、操業を停止した回数を数えた。
(繊維束からの樹脂漏れ)
曲面ダイとして連続突起を有さない曲面ダイを用いた比較例1では、曲面ダイ上の繊維束の間から漏れる樹脂量は多かった。曲面ダイ上に漏れる樹脂量が、比較例1より大幅(半分量以下)に減少した場合、「少ない」、比較例1と同程度の場合、「多い」とした。
(生産品採取までの時間)
機台の立ち上げから、生産品(短冊状プリプレグ)採取開始までの時間(分)を測定した。
(基材樹脂ロス率)
下記の式で、ロス率(%)求めた。
{(使用した熱可塑性樹脂の質量-採取した生産品中の熱可塑性樹脂の質量)/(使用した熱可塑性樹脂の質量)}×100
(基材繊維ロス率)
下記の式で、ロス率(%)求めた。
{(使用した強化繊維の質量-採取した生産品中の強化繊維の質量)/(使用した強化繊維の質量)}×100
実施例1では、1ロット生産中、繊維束同士は近接した状態を保ちながら接触することなく、安定して生産することができた。併せて、後記する比較例1に比し、曲面ダイ上の繊維束間からの樹脂漏れも大幅に抑えられ、かつ、機台立ち上げ直後より早期に曲面ダイ上の糸道が安定するため、生産品採取までの時間が短縮され、基材樹脂ロス率、基材繊維ロス率が改善した。
(実施例2)
強化繊維/熱可塑性樹脂の質量比を57/43(Vf=40%)へ変更した以外は、実施例1と同法にて短冊状プリプレグを生産した。評価結果を表1に記す。実施例1と同程度の評価結果であった。
(実施例3)
強化繊維として、連続炭素繊維の繊維束(東レ(株)製、TR700、800Tex、12、000f、巻長7、500m)を2本と、あらかじめ繊維束1本あたりの繊度を約287Texに調整した連続ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、約500f、巻長9.500m)2本を用意した。この繊度を調整した連続ガラス繊維束2本と連続炭素繊維束2本をそれぞれ解舒機から巻き出し、曲面ダイに入る前において曲面ダイの1レーンあたり連続炭素繊維束1本と連続ガラス繊維束1本を混繊させ1束とし、直径2cmのローラーに通し開繊後、0.6MPa以上の圧力を有する、溶融した酸変性されたポリプロプレン樹脂(アサヒテクノ工業(株)製、G2H、融点160℃)を含む240℃の樹脂槽を通過させて、強化繊維81質量部にポリプロピレン19質量部(Vf=50%[炭素繊維40%、ガラス繊維10%])が含浸されてなる、幅15mm、長さ35mm、厚み0.1mmの短冊状プリプレグを生産した。実施例1と同様に、樹脂槽直前に、形状を工夫した曲面ダイを使用し、実施例1と同様の手順で生産した。評価結果を表1に記す。実施例1と同程度の評価結果であった。
(実施例4)
実施例1において、曲面ダイ上の連続突起の断面形状を半円形状から四角状の物に変更した以外は、実施例1と同法にて短冊状プリプレグを生産した。曲面ダイの連続突起は、断面形状が四角形であり、高さ1mm、繊維束間1mmである。評価結果を表1に記す。
生産中、断面が半円形状の連続突起とした実施例1~3と同様、繊維束同士は近接した状態を保ちながら接触することはなかったが、断面形状が四角形で角があるため、繊維束が損傷し断続的に毛羽が発生した。そのため、発生した毛羽が含浸装置内に供給され、含浸ダイに蓄積された毛羽は順次含浸装置出口側から排出されるが、排出量に比べて曲面ダイからの毛羽発生量が多いため、含浸装置出口側の穴が閉塞し、テープ状プリプレグが切断する操業停止が1ロット中に2回発生した。それに伴い、基材樹脂ロス率、基材繊維ロス率ともに、実施例1~3に比較して多くなった。
(比較例1)
図1に示す、曲面ダイとして連続突起を有さない曲面ダイを用いた以外は、実施例1と同法にて短冊状プリプレグを生産した。曲面ダイの形状は、凸状の連続突起がなく、断面形状はフラットである。2本の繊維束が通る曲面ダイ底面の幅は20mmであり、それぞれの繊維束が通る糸道は、特に区分されていない状態である。なお、実施例1と同様、曲面ダイの前には糸道固定ガイドは使用した。評価結果を表1に記す。
曲面ダイ上の糸道を調整したにもかかわらず、繊維束同士の接触を十分回避できず、1ロット生産中に繊維束の接触が原因の強化繊維束切れにより、3回の機台停止を生じた。また、曲面ダイ上の繊維束からの樹脂漏れが絶え間なく生じること、機台の立ち上げから生産品採取までの時間を長く要することもあり、基材樹脂・繊維ロス率は実施例1に比較して大きいものとなった。
(比較例2)
強化繊維/熱可塑性樹脂の質量比を57/43(Vf=40%)へ変更した以外は、比較例1と同法にて短冊状プリプレグを生産した。評価結果を表1に記す。比較例1と同様、生産品採取までに曲面ダイ上の糸道を調整したにも関わらず、1ロット生産中に繊維束の接触が原因の強化繊維束切れにより、3回の機台停止を生じ、比較例1と同程度の評価結果であった。
(比較例3)
強化繊維として、実施例3と同じものを用意した。曲面ダイとして比較例1で使用したものを用いた以外は、実施例3と同様に短冊状プリプレグを生産した。評価結果を表1に記す。混繊された異なる2種類の強化繊維が曲面ダイ上を通過するため、生産品採取開始までの糸道調整を丹念に調整したが、1ロット生産中に繊維束中の接触が原因の強化繊維束切れによる機台停止が5回生じた。そのため、基材ロス率は、比較例1、2に比較しても多い水準となった。
Figure 2023045094000002
本発明によれば、テープ状プリプレグ、及び短冊状プリプレグ生産に際して引抜成形方法にて生産した場合、特に連続強化繊維を炭素繊維に選択した際に、繊維束同士を近接した状態を保ちながら接触することなく、安定して生産することができる。結果的に、高い含浸性を有する、物性ばらつきの少ない繊維強化熱可塑性樹脂であるプリプレグの製造方法が提供できる。
V 突起

Claims (8)

  1. 強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有するテープ状プリプレグの製造方法であって、
    連続強化繊維の繊維束を開繊する開繊工程、
    開繊された連続強化繊維の繊維束を溶融した熱可塑性樹脂を含む槽に通して熱可塑性樹脂を含浸する含浸工程、及び、
    熱可塑性樹脂を含浸した連続強化繊維の繊維束を賦形ローラーで潰し、冷却固化してテープ状プリプレグとする冷却固化工程、
    を上記の順に有し、前記繊維束は複数本あり、前記含浸工程において、熱可塑性樹脂を含む槽までの間に繊維束同士が接触しない糸道安定化部品を有することを特徴とするテープ状プリプレグの製造方法。
  2. テープ状プリプレグに含有される強化繊維と熱可塑性樹脂との質量比(強化繊維/熱可塑性樹脂)が85/15~30/70である、請求項1に記載のテープ状プリプレグの製造方法。
  3. 前記強化繊維がガラス繊維又は/及び炭素繊維である、請求項1又は2に記載のテープ状プリプレグの製造方法。
  4. 前記糸道安定化部品が曲面ダイである、請求項1から3のいずれかに記載のテープ状プリプレグの製造方法。
  5. 前記曲面ダイの上に、繊維束の進行方向に沿って、繊維束同士の接触を避けるための連続突起が設置されている、請求項4に記載のテープ状プリプレグの製造方法。
  6. 前記連続突起の形状が半円状の断面形状である、請求項5に記載のテープ状プリプレグの製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のテープ状プリプレグの製造方法において、得られたテープ状プリプレグをカッティングして短冊状プリプレグとするカッティング工程を有する短冊状プリプレグの製造方法。
  8. 前記短冊状プリプレグは、長さ5mm~100mm、幅4mm~60mm、厚み0.05mm~0.4mmである、請求項7に記載の短冊状プリプレグの製造方法。
JP2021153307A 2021-09-21 2021-09-21 テープ状プリプレグの製造方法、及び短冊状プリプレグの製造方法 Pending JP2023045094A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021153307A JP2023045094A (ja) 2021-09-21 2021-09-21 テープ状プリプレグの製造方法、及び短冊状プリプレグの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021153307A JP2023045094A (ja) 2021-09-21 2021-09-21 テープ状プリプレグの製造方法、及び短冊状プリプレグの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023045094A true JP2023045094A (ja) 2023-04-03

Family

ID=85777213

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021153307A Pending JP2023045094A (ja) 2021-09-21 2021-09-21 テープ状プリプレグの製造方法、及び短冊状プリプレグの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023045094A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6083377B2 (ja) 炭素繊維複合材料
KR102253272B1 (ko) 부분 분섬 섬유 다발과 그의 제조 방법, 및 부분 분섬 섬유 다발을 사용한 섬유 강화 수지 성형 재료와 그의 제조 방법
US20210086404A1 (en) Method for manufacturing fiber-reinforced resin molding material, and device for manufacturing fiber-reinforced resin molding material
KR101935700B1 (ko) 섬유 강화 열 가소성 수지 테이프의 제조 방법 및 제조 장치
JP2008246782A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂テープ製造装置及び繊維強化熱可塑性樹脂テープの製造方法
KR102253276B1 (ko) 부분 분섬 섬유 다발과 그의 제조 방법, 및 부분 분섬 섬유 다발을 사용한 섬유 강화 수지 성형 재료와 그의 제조 방법
KR20140105477A (ko) 보강 섬유 스트랜드의 제조 방법
US20210362406A1 (en) Continuous Fiber Reinforced Thermoplastic Resin Composite Material and Method for Producing Same
JP2004025482A (ja) ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレット及びその製造方法
WO2019151076A1 (ja) 部分分繊繊維束、中間基材、成形品およびそれらの製造方法
JP5467828B2 (ja) 長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの製造方法
KR102253926B1 (ko) 부분 분섬 섬유 다발의 제조 방법과 부분 분섬 섬유 다발, 및 부분 분섬 섬유 다발을 사용한 섬유 강화 수지 성형 재료와 그의 제조 방법
JP2003305779A (ja) 長繊維強化熱可塑性樹脂材料の製造装置および製造方法
JP2007038599A (ja) 長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の製造方法及び製造装置
JP2023045094A (ja) テープ状プリプレグの製造方法、及び短冊状プリプレグの製造方法
JP5098228B2 (ja) 樹脂含浸長繊維の製造方法および含浸用ダイス
JP6728889B2 (ja) 筒体の製造装置およびその製造方法
JPH06293023A (ja) 長繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法
JP2007254566A (ja) 長繊維ペレット、その製造方法、及び繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品の製造方法
JPH11200160A (ja) チョップド炭素繊維およびその製造方法
JPH0473235A (ja) コンポジット用混繊糸の製造方法
JP2021011644A (ja) 開繊機構
JPH06143273A (ja) 成形材料及びフィラメントワインディング成形品
EP0628391B1 (en) Process for preparing a fiber-reinforced thermoplastic resin structure
EP0950504B1 (en) Thermoplastic resin-combined glass fiber base material, process for its production and its use

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20230407

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240829