JP2023045055A - 積層体および包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】モノマテリアルでありながら、手切れ性に優れる積層体および包装体を提供する。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂から形成されたシーラント層11と、ポリオレフィン系樹脂から形成された基材層12と、を有する積層体10であって、積層体10を厚さ方向に貫通することなく、少なくとも基材層12の厚さ方向の一部をレーザーの照射により除去した切れ目14が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体および包装体に関する。
特許文献1の段落0010には、従来から包装袋に使用されるフィルムとして、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等の基材フィルムに、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をシーラント層として積層した積層フィルムが記載されている。また、特許文献1の段落0014には、レーザーによってハーフカット線を形成することが記載されている。
特開2013-39932号公報
近年、プラスチック製容器包装の使用後の回収に関して、2種以上の樹脂を含む包装袋は、プラスチック製容器包装としてのリサイクルが難しいという問題がある。リサイクルを容易にするため、単一の樹脂を用いるモノマテリアルの容器包装が提唱されている。単一の樹脂として、ポリエチレン系樹脂は安価で加工も容易であるが、エネルギー線の吸収性が低いため、レーザーを照射しても、ハーフカット線が形成しにくい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、モノマテリアルでありながら、手切れ性に優れる積層体および包装体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、ポリオレフィン系樹脂から形成されたシーラント層と、ポリオレフィン系樹脂から形成された基材層と、を有する積層体であって、前記積層体を厚さ方向に貫通することなく、少なくとも前記基材層の厚さ方向の一部をレーザーの照射により除去した切れ目が形成されていることを特徴とする積層体を提供する。
前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であってもよい。
前記基材層の側から、前記シーラント層に隣接する層の厚さ方向の一部まで前記切れ目が形成されていてもよい。
前記積層体が延伸ポリエチレン系樹脂層を有し、前記基材層の側から、前記延伸ポリエチレン系樹脂層まで前記切れ目が形成されていてもよい。
前記シーラント層の少なくとも一部が、前記レーザーの吸収剤を含有してもよい。
前記基材層の少なくとも一部が、前記レーザーの吸収剤を含有してもよい。
前記シーラント層が前記積層体の最内層となるときの反対側である前記積層体の最外面のうち、少なくとも前記切れ目を形成する箇所に、前記レーザーの吸収剤を含有する塗布層または印刷層が形成されていてもよい。
前記シーラント層に隣接する層が、延伸ポリエチレン系樹脂層であってもよい。
前記基材層において、ポリエチレン系樹脂層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体層と共押出により積層されていてもよい。
前記基材層の前記シーラント層側の面に、金属蒸着層が形成されていてもよい。
前記基材層は、前記積層体の厚さ方向において、前記シーラント層に近い側に配置された第1基材層と、前記シーラント層から遠い側である第2基材層とを有し、前記第1基材層が延伸ポリエチレン系樹脂層であり、前記第1基材層の前記第2基材層側の面に、金属蒸着層が形成されていてもよい。
前記第1基材層の延伸ポリエチレン系樹脂層が、二軸延伸ポリエチレン系樹脂層であってもよい。
前記第1基材層の厚さが40μm以下であってもよい。
前記シーラント層と前記基材層とが前記レーザーを吸収する接着層を介して積層されていてもよい。
また、本発明は、前記積層体から形成された包装体を提供する。
前記包装体が、詰め替え用パウチであってもよい。
本発明によれば、モノマテリアルでありながら、手切れ性に優れる積層体および包装体を提供することができる。
第1実施形態の積層体を例示する断面図である。 第2実施形態の積層体を例示する断面図である。 第3実施形態の積層体を例示する断面図である。 第4実施形態の積層体を例示する断面図である。 第5実施形態の積層体を例示する断面図である。
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。実施形態の積層体は、ポリオレフィン系樹脂から形成されたシーラント層と、ポリオレフィン系樹脂から形成された基材層と、を有する。そして、積層体を厚さ方向に貫通することなく、少なくとも基材層の厚さ方向の一部をレーザーの照射により除去した切れ目が形成されている。
レーザーとしては、フィルム等の樹脂加工に使用されるレーザーであれば特に限定されないが、固体レーザー、ガスレーザー、ファイバーレーザー、半導体レーザー、エキシマーレーザー等が挙げられる。レーザーの波長は、赤外線領域、可視光領域、紫外線領域のいずれもでもよい。例えば、COレーザーは、出力波長が約9~11μm程度と比較的長波長の赤外線領域にあり、樹脂加工性に優れるので好ましい。
波長の長いレーザーをフィルムに照射すると、照射された箇所で局所的にフィルムが発熱し、樹脂の一部が除去される。細い幅で樹脂を除去することにより、線状の切れ目が形成される。切れ目は長さ方向に連続した線状でもよく、長さ方向で断続した破線状または点線状でもよい。切れ目の長さ方向が直線状でもよく、曲線状や屈曲状でもよい。
ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂は、分子構造が比較的単純なため、赤外線の吸光波長帯が限られており、レーザーのエネルギーを吸収しにくい。しかし、ポリオレフィン系樹脂は融点が比較的低いため、材料にエネルギーが吸収されると、比較的容易に溶融、切断等の加工が可能である。このため、ポリエチレン系樹脂層またはその近傍に、レーザーを吸収する材料を配置することにより、ポリエチレン系樹脂層を容易に加工することができる。
従来の積層フィルムでは、PETフィルム等を基材層としたため、PETフィルムがレーザーを吸収することにより、積層フィルムにハーフカット線などの切れ目を容易に形成することができる。しかし、ポリオレフィン系樹脂層を主体とするモノマテリアル材料の場合は、切れ目の位置、深さに応じて、レーザーを吸収する材料を配置する必要がある。
次に、図1を参照して、第1実施形態の積層体10について説明する。この積層体10は、ポリオレフィン系樹脂から形成されたシーラント層11と、ポリオレフィン系樹脂から形成された基材層12とが接着層13を介して積層されており、基材層12には、厚さ方向の少なくとも一部をレーザーの照射により除去した切れ目14が形成されている。切れ目14は、基材層12の外面に開口していてもよい。
基材層12の少なくとも一部が、レーザー吸収剤を含有することにより、基材層12に切れ目14を形成することができる。基材層12においてレーザー吸収剤を含有する樹脂層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂から形成することができる。基材層12が2層以上のポリオレフィン系樹脂層を有する場合は、そのうち少なくとも1層が、レーザー吸収剤を含有するポリオレフィン系樹脂層であればよい。切れ目14を設けることにより、刃物を使用しなくても、引き裂きによる易カット性、手切れ性を付与することができる。
レーザー吸収剤としては、特に限定されないが、カーボンブラック等の炭素系材料、酸化チタンや酸化鉄等の無機系材料、顔料や染料等の着色性材料、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の樹脂材料が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂層にレーザー吸収剤を配合する場合は、レーザー吸収剤を粉末状にして溶融混練してもよい。
切れ目14の深さは適宜調節することができ、切れ目14が基材層12の厚さ方向の一部だけに形成されてもよく、切れ目14が接着層13に達してもよい。切れ目14がシーラント層11を貫通しないように、シーラント層11が、レーザー吸収剤を含有しないポリエチレン系樹脂層から形成されてもよい。この場合、レーザー照射によって切れ目14がシーラント層11に達したとき、レーザーがシーラント層11を透過するため、シーラント層11に対する加工を抑制することができる。
レーザーがシーラント層11を透過することを抑制するため、シーラント層11の少なくとも一部が、レーザー吸収剤を含有してもよい。シーラント層11においてレーザー吸収剤を含有する樹脂層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂から形成することができる。シーラント層11が2層以上のポリオレフィン系樹脂層を有する場合は、そのうち少なくとも1層が、レーザー吸収剤を含有するポリオレフィン系樹脂層であればよい。これにより、基材層12側から照射されたレーザーがシーラント層11を透過して、意図しない箇所にレーザーが作用することを防止することができる。
シーラント層11は、シーラント樹脂から形成することが好ましい。シーラント樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等の相対的に密度が低いポリエチレン系樹脂、あるいは無延伸のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。シーラント層11が、1種のポリオレフィン系樹脂から形成されてもよく、2種以上のポリオレフィン系樹脂を含有してもよい。
シーラント層11の厚さは、特に限定されないが、例えば、50~180μm程度が挙げられる。シーラント層11が単層のシーラントフィルムであってもよく、多層のシーラントフィルムでもよい。多層のシーラントフィルムは、共押出法、押出ラミネート法、サンドイッチラミネート法、熱ラミネート法等により、フィルム状のシーラント樹脂を2層以上積層して形成することができる。多層のシーラントフィルムとしては、EVOHなどの樹脂層を含むこともできる。
基材層12は、二軸延伸、一軸延伸等で延伸されたポリオレフィン系樹脂層でもよく、無延伸のポリオレフィン系樹脂層でもよい。基材層12は、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の相対的に密度が高いポリエチレン系樹脂、あるいはポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。基材層12が1種のポリオレフィン系樹脂から形成されてもよく、2種以上のポリオレフィン系樹脂を含有してもよい。基材層12の厚さは、特に限定されないが、例えば、10~50μm程度が挙げられる。基材層12が多層構成でもよい。多層構成の基材層12は、共押出法、押出ラミネート法、サンドイッチラミネート法、熱ラミネート法等により、接着剤を使用しないで、2層以上の樹脂層を積層して形成することができる。なお、接着層を介して複数の基材層を積層した構成については後述する。
シーラント層11または基材層12に使用されるポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)でもよく、エチレンを主体とする共重合体(コポリマー)でもよい。エチレン以外のモノマー(コモノマー)としては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、ノルボルネン等の環状オレフィン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸等のビニル系モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。ポリエチレン系樹脂にコモノマーを用いる場合は、コモノマーが1種でも、2種以上でもよい。
ポリエチレン系樹脂の構成モノマーにおけるエチレンの割合は、50重量%以上が好ましく、例えば、80~100重量%でもよい。ポリエチレン系樹脂に使用されるエチレンまたはコモノマーは、石油等の化石資源に由来する化合物でもよく、植物等のバイオマスに由来する化合物でもよい。ポリエチレン系樹脂層を形成する材料が、1種のポリエチレン系樹脂でもよく、2種以上のポリエチレン系樹脂のブレンドでもよい。ポリエチレン系樹脂層がリサイクルポリエチレンを含んでもよい。
シーラント層11または基材層12にポリプロピレン(PP)系樹脂を使用してもよい。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモPP)でもよく、プロピレン-エチレン共重合体等におけるランダム共重合体(ランダムPP)またはブロック共重合体(ブロックPP)でもよい。プロピレン以外のモノマー(コモノマー)としては、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸等のビニル系モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂にコモノマーを用いる場合は、コモノマーが1種でも、2種以上でもよい。ポリプロピレン系樹脂の構成モノマーにおけるプロピレンの割合は、50重量%以上が好ましく、例えば、80~100重量%でもよい。ポリプロピレン系樹脂層がリサイクルポリプロピレンを含んでもよい。
シーラント層11または基材層12に含まれる樹脂が、ポリオレフィン系樹脂のみ、ポリエチレン系樹脂のみ、あるいは、ポリプロピレン系樹脂のみでもよい。シーラント層11または基材層12が、樹脂以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、架橋剤等が挙げられる。添加剤は、樹脂に相溶する成分でもよく、樹脂に相溶しない成分でもよい。
シーラント層11と基材層12との間は、ドライラミネート等により、接着層13を介して接合されてもよい。特に図示しないが、シーラント層11と基材層12との間に接着層13を介在させることなく、押出ラミネート、熱ラミネート等を用いてもよい。シーラント層11または基材層12の少なくとも一方に、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、放電処理、火炎処理等の表面処理を施したりしてもよい。
接着層13は、接着剤から形成されてもよく、アンカーコート剤から形成されてもよい。接着層13を形成する材料としては、特に限定されないが、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、ポリエチレンイミン、チタンアルコキシド等の有機チタン化合物等が挙げられる。接着層13の厚さは、例えば、0.1~10μm程度、1~6μm程度、3~4μm程度が挙げられる。接着層13が樹脂を含んでもよく、樹脂を含まない接着層でもよい。
基材層12に切れ目14を形成し、レーザーがシーラント層11を透過することを抑制するため、接着層13が、レーザーを吸収してもよい。接着剤等の材料がレーザーを吸収する構造を有してもよく、接着剤等の材料に上述のレーザー吸収剤を添加してもよい。積層体10のうち、レーザーを吸収するシーラント層11、レーザーを吸収する基材層12、レーザーを吸収する接着層13から選択されるレーザー吸収層を少なくとも1層以上有することが好ましい。
次に、図2を参照して、第2実施形態の積層体20について説明する。この積層体20は、それぞれポリオレフィン系樹脂から形成されたシーラント層21、第1基材層22および第2基材層23が、接着層24,25を介して積層されており、第2基材層23から第1基材層22にかけて、厚さ方向の少なくとも一部をレーザーの照射により除去した切れ目26が形成されている。積層体20の厚さ方向において、第1基材層22はシーラント層21に近い側に配置され、第2基材層23はシーラント層21から遠い側に配置されている。
第1基材層22および第2基材層23の少なくとも一方に、レーザー吸収剤を含有するポリオレフィン系樹脂層を有することにより、基材層22,23に切れ目26を形成することができる。切れ目26が第1基材層22と第2基材層23との間の接着層25に連続して形成されてもよい。切れ目26の深さは適宜調節することができ、切れ目26が第1基材層22の厚さ方向の一部だけに形成されてもよく、切れ目14が接着層24に達してもよい。切れ目26が第2基材層23を貫通することが好ましい。図示例では、第2基材層23の側から、シーラント層11に隣接する樹脂層である第1基材層22の厚さ方向の一部まで、切れ目26が形成されている。第1実施形態と同様にして、切れ目26がシーラント層21を貫通しないようにしたり、レーザーがシーラント層21を透過しないようにしたりしてもよい。
第2実施形態の積層体20は、基材層22,23および接着層24,25をそれぞれ2層ずつ有すること以外は、第1実施形態の積層体10と同様に製造することができる。シーラント層21の材料等は、第1実施形態のシーラント層11と同様にしてもよい。基材層22,23の材料等は、第1実施形態の基材層12と同様にしてもよい。接着層24,25の材料等は、第1実施形態の接着層13と同様にしてもよい。
特に図示しないが、第1または第2実施形態の積層体10,20において、基材層12,22,23の片面または両面に印刷層を設けてもよい。印刷層は、グラビア印刷、凸版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット等の印刷方式でインキをベタ状またはパターン状に印刷することにより、形成することができる。印刷層の厚さは、特に限定されないが、0.5~10μm程度が挙げられる。印刷層は、基材層12,22,23の全面に形成してもよく、面内の一部に形成してもよい。2層以上の印刷層を重ね合わせてもよい。印刷層を省略してもよい。
第1または第2実施形態の積層体10,20の全重量に対し、特定樹脂の合計が80重量%以上であり、特定樹脂以外の材料の合計が20重量%以下であることが好ましく、特定樹脂の合計が90重量%以上であり、特定樹脂以外の材料の合計が10重量%以下であることがより好ましい。これにより、積層体10,20にレーザー吸収剤、接着剤等が使用されていても、特定樹脂のモノマテリアル材料を実現することができる。特定樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂のいずれかが挙げられる。積層体10,20が、特定樹脂に該当する樹脂を2種以上使用してもよい。
次に、図3を参照して、第3実施形態の積層体30について説明する。この積層体30は、ポリオレフィン系樹脂から形成されたシーラント層31と、ポリオレフィン系樹脂から形成された基材層32とが接着層33を介して積層されている。基材層32の外面には、レーザー吸収剤を含有するレーザー吸収層34が形成され、基材層32には、厚さ方向の少なくとも一部をレーザーの照射により除去した切れ目35が形成されている。基材層32の外面は、シーラント層31が最内層となるときにおける積層体30の最外面である。
レーザー吸収層34は、ニス等から形成した塗布層であってもよい。塗布後の乾燥、硬化等でレーザー吸収層34を形成することができる耐熱ニスが好ましい。ニスは、樹脂および溶剤を含有してもよく、無溶剤の樹脂を含有してもよい。ニスの溶剤は、ポリエチレン系樹脂に塗布する際の性能等を考慮して、適宜選択することができる。粉末状のレーザー吸収剤をニスに配合してもよい。ニスを形成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
レーザー吸収層34は、印刷インキ等から形成した印刷層であってもよい。印刷層を形成するためのインキは、顔料、染料等の着色材と、バインダーを含んでもよい。バインダーとしては、特に限定されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル系重合体、ポリブタジエン、環化ゴム等が挙げられる。インキは、水、有機溶剤、植物油などの溶剤を含有してもよい。印刷後は、溶剤の揮発やインキの硬化等によりインキを乾燥させることができる。インキの乾燥を促進するため、加熱、紫外線照射等を実施してもよい。
第3実施形態の積層体30は、レーザー吸収層34を有すること以外は、第1実施形態の積層体10と同様に製造することができる。シーラント層31、基材層32、接着層33の構成は、それぞれ、第1実施形態のシーラント層11、基材層12、接着層13と同様にしてもよい。
第3実施形態の積層体30において、シーラント層31および基材層32は、それぞれレーザー吸収剤を含有してもよいし、レーザー吸収剤を含有しなくてもよい。レーザー吸収層34がレーザー照射により発熱すると、基材層32の少なくとも一部が除去されて、切れ目35が形成される。基材層32がレーザー吸収剤を含有する場合は、基材層32もレーザー照射により発熱して除去され、切れ目35が形成される。
基材層32は2層以上であってもよいが、基材層32がレーザー吸収剤を含有しない場合は、基材層32を1層とし、また、二軸延伸、一軸延伸等で延伸された樹脂層とすることが好ましい。図示例では、シーラント層31に隣接する樹脂層である基材層32の厚さ方向の一部まで、切れ目35が形成されている。レーザー吸収層34の発熱により切れ目35が形成されるため、基材層32がレーザー吸収剤を含有しなくてもよいことから、基材層32の延伸が容易になる。寸法安定性が高い二軸延伸、一軸延伸等で延伸された樹脂フィルムを基材層32に用いることにより、基材層32上で塗布または印刷によるレーザー吸収層34の形成が容易になる。
レーザー吸収層34は、積層体30の面内で切れ目35が形成される領域にパターン状に形成してもよい。例えば、切れ目35を線状に形成する場合は、切れ目35の幅および長さを含む線状または帯状にレーザー吸収層34を形成してもよい。レーザー吸収層34のパターンは特に限定されず、積層体30の全面でもよいし、線状、帯状、ジグザグ状、多角形状、円形状等の一部領域であってもよい。パターン状の塗布または印刷をグラビア印刷により実施してもよい。レーザー吸収層34が着色等により可視性である場合は、切れ目35に関する表示を文字や図柄とともに作成してもよい。
次に、図4を参照して、第4実施形態の積層体40について説明する。この積層体40は、それぞれポリオレフィン系樹脂から形成されたシーラント層41、第1樹脂層42および第2樹脂層43が積層されており、第2樹脂層43から第1樹脂層42にかけて、厚さ方向の少なくとも一部をレーザーの照射により除去した切れ目46が形成されている。シーラント層41と第1樹脂層42との間は、接着層44を介して積層されている。第1樹脂層42と第2樹脂層43との間は、レーザー吸収層45を介して積層されている。
樹脂層42,43の少なくとも一方を基材層としてもよい。第1樹脂層42を第1基材層とし、第2樹脂層43を第2基材層としてもよい。第2樹脂層43が基材層で、第1樹脂層42が、基材層とシーラント層との間に介在する中間樹脂層であってもよい。
レーザー吸収層45が、樹脂層42,43のポリエチレン系樹脂と共押出が可能であって、かつ、レーザー吸収性を有する樹脂から形成されてもよい。このような樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)が挙げられる。ポリエチレン系樹脂とEVOH樹脂層とを共押出により積層すると、EVOH樹脂層を薄く形成して、ポリエチレン系樹脂のリサイクル性を保持することができる。また、EVOH樹脂層によりバリア性を付与することもできる。この場合は、樹脂層42,43およびレーザー吸収層45の3層が共押出された基材であってもよい。
EVOHは、エチレンをビニルエステル系モノマーと共重合させ、得られた共重合体をケン化して、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位に変換する等により得られる。ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステルが挙げられる。EVOHはビニルアルコール単位の割合が大きいほどバリア性が向上するが、耐湿性が低下するため、適宜のエチレン含有率を有することが好ましい。EVOHのエチレン含有率としては、例えば20~60mol%が挙げられる。EVOHのケン化度は100mol%に限られないが、例えば80mol%以上が好ましい。
第1樹脂層42と第2樹脂層43との間のレーザー吸収層45は、第3実施形態のレーザー吸収層34と同様に、印刷インキから形成した印刷層としてもよい。第1樹脂層42の外面に印刷層を形成して、第1樹脂層42側の印刷層と第2樹脂層43との間を接着層(図示せず)で接着してもよい。第2樹脂層43の内面に印刷層を形成して、第2樹脂層43側の印刷層と第1樹脂層42との間を接着層(図示せず)で接着してもよい。印刷層が形成される樹脂層42,43は、基材層であることが好ましい。
第4実施形態の積層体40は、レーザー吸収層45を有すること以外は、第2実施形態の積層体20と同様に製造することができる。シーラント層41、第1樹脂層42、第2樹脂層43、接着層44の構成は、それぞれ、第2実施形態のシーラント層21、第1基材層22、第2基材層23、接着層24,25と同様にしてもよい。
第1樹脂層42とシーラント層41との間に、更に樹脂層を設けることもできる。例えば、積層体40の手切れ性を向上するためには二軸延伸、一軸延伸等で延伸された延伸ポリエチレン系樹脂層を設けることが好ましい。第2樹脂層43を基材層とし、第1樹脂層42を延伸ポリエチレン系樹脂層としてもよい。基材層の側から、延伸ポリエチレン系樹脂層まで切れ目が形成されていることが好ましい。切れ目46を有する延伸ポリエチレン系樹脂層と、シーラント層41との間に、押出等により、無延伸ポリエチレン系樹脂層などの樹脂層が積層されていてもよい。この場合、切れ目46が、無延伸ポリエチレン系樹脂層などの樹脂層に到達していなくてもよい。積層体40に含まれる樹脂層が、基材層、延伸ポリエチレン系樹脂層、無延伸ポリエチレン系樹脂層、シーラント層の4種を順に含んでいてもよい。接着層44を省略して、基材層の第2樹脂層43/レーザー吸収層45/延伸ポリエチレン系樹脂の第1樹脂層42/無延伸ポリエチレン系樹脂層/シーラント層41の順に積層された積層体としてもよい。基材層または延伸ポリエチレン系樹脂層が、レーザー吸収剤を含有する場合は、層間のレーザー吸収層45を省略してもよい。
また、シーラント層41に隣接する第1樹脂層42として二軸延伸、一軸延伸等で延伸された延伸ポリエチレン系樹脂層を採用し、基材層の第2樹脂層43/レーザー吸収層45/延伸ポリエチレン系樹脂の第1樹脂層42/接着層44/シーラント層41の順に積層された積層体としてもよい。また、接着層44を省略して、基材層の第2樹脂層43/レーザー吸収層45/延伸ポリエチレン系樹脂の第1樹脂層42/シーラント層41の順に積層された積層体としてもよい。これらの例では、シーラント層41に隣接する樹脂層が、単層の延伸ポリエチレン系樹脂層である。また、図示例では、基材層の第2樹脂層43側から、シーラント層41に隣接する第1樹脂層42の厚さ方向の一部まで、切れ目46が形成されている。
次に、図5を参照して、第5実施形態の積層体50について説明する。この積層体50は、それぞれポリオレフィン系樹脂から形成されたシーラント層51、第1基材層52および第2基材層53を有する。シーラント層51と第1基材層52との間は、接着層54を介して積層されている。第1基材層52の外面には金属蒸着層55が形成され、金属蒸着層55と第2基材層53との間は、接着層56を介して積層されている。
金属蒸着層55は、レーザー反射層であるので、シーラント層51および第1基材層52側へのレーザーの貫通を抑制することができる。金属蒸着層55を薄く形成して、ポリオレフィン系樹脂のリサイクル性を保持することができる。また、金属蒸着層55によりバリア性を付与することもできる。蒸着される金属としては、特に限定されないが、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、クロム(Cr)等の金属または合金等が挙げられる。
第1基材層52の上に金属蒸着層55を形成する際、蒸着を制御するため、第1基材層52が延伸ポリエチレン系樹脂層であることが好ましい。第1基材層52の単体フィルム上で金属蒸着層55を形成してもよい。接着層54を介してシーラント層51と積層された多層フィルムの第1基材層52上で金属蒸着層55を形成してもよい。第1基材層52の延伸ポリエチレン系樹脂層は、一軸延伸樹脂層であってもよく、二軸延伸樹脂層であってもよい。
第1基材層52等における延伸ポリエチレン系樹脂層の延伸方向は特に限定されないが、搬送(MD)方向または交差(TD)方向でもよい。MD方向およびTD方向の二軸延伸でもよい。延伸倍率としては、例えば2~10倍程度が挙げられる。一軸延伸または二軸延伸における延伸方向が、MD方向およびTD方向に交差した斜め方向でもよい。延伸ポリエチレン系樹脂層はHDPE、MDPE、LLDPE、LDPEが好ましく、LLDPEがより好ましい。
金属蒸着層55の外側に配置される第2基材層53は、レーザー吸収剤を含有してもよい。金属蒸着層55の内側に配置される第1基材層52は、レーザー吸収剤を含有しなくてもよい。第1基材層52の厚さが40μm以下であってもよく、より好ましくは25μm以下であってもよい。これにより、切れ目57が第1基材層52まで達しない場合の手切れ性を確保することができる。第1基材層52が一軸延伸樹脂層である場合、一軸延伸の方向を切れ目57の方向と合わせることにより、切れ目57に沿った破断を容易にすることができる。
第5実施形態の積層体50は、金属蒸着層55を有すること以外は、第2実施形態の積層体20と同様に製造することができる。シーラント層51、第1基材層52、第2基材層53、接着層54,56の構成は、それぞれ、第2実施形態のシーラント層21、第1基材層22、第2基材層23、接着層24,25と同様にしてもよい。
特に図示しないが、第5実施形態の積層体50において、第1基材層52および接着層56を省略し、シーラント層51/接着層54/金属蒸着層55/基材層53の順に積層してもよい。このように、基材層53のシーラント層51側の面に、金属蒸着層55が形成されることにより、基材層53に切れ目57を形成し、かつ、レーザーがシーラント層51を透過することを抑制することができる。金属蒸着層55より外側に積層される基材層53が2層以上であってもよい。金属蒸着層55とシーラント層51との間に、更に樹脂層を設けてもよい。
上述の実施形態の積層体10,20,30,40,50は、ポリオレフィン系樹脂を主体とした積層フィルム状であり、種々の用途に用いることができる。積層フィルムを形成する方法は、特に限定されないが、ドライラミネート、押出ラミネート、熱ラミネート、共押出、コーティング等が挙げられる。各層を積層するために、それぞれ異なる方法を用いてもよい。シーラント層11,21,31,41,51を向かい合わせて、融着により積層体10,20,30,40,50を接合することができる。
実施形態の積層体は、包装体の作製に用いることができる。包装体の少なくとも1の部材が、実施形態の積層体から形成されていればよい。包装体としては、パウチ、バッグなどの包装袋、チューブ、コンテナ、スリーブ包装、ストリップ包装、蓋材等が挙げられる。包装袋の具体例としては、三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、ガセット袋、スタンディングパウチ等が挙げられる。積層体が柔軟な積層フィルムである場合は、軟包装の包装体を形成することができる。詰め替えや廃棄が容易なため、詰め替え用パウチ等の詰め替え用包装体に好適に利用することができる。
包装体は、充填口、注出口等を有してもよい。例えば、包装体の上部で前後の胴部材の間が開口されて、内容物の充填または注出に用いることができる。内容物の充填後に胴部材の間を接合して、包装体を密封してもよい。注出口が包装体の上部または隅部で細く突出する形状に形成されてもよい。
上述した非貫通の切れ目14,26,35,46,57は、包装体の胴部または注出口を横断するように形成することが好ましい。切れ目14,26,35,46,57の形成工程が、製袋前の積層体10,20,30,40,50に対して実施されてもよく、製袋後の包装体に対して実施されてもよい。
包装体の開封を容易にするため、開封部に上述した非貫通の切れ目14,26,35,46,57を形成することに加えて、開封部の周囲にノッチ等の積層体を貫通した切欠部を形成してもよい。積層体を貫通した切欠部は、包装体の密封性を確保するため、積層体の内面を接合したシール部に形成される。
包装体の寸法は、特に限定されるものではないが、例えば詰め替え容器の用途では、上下方向の高さが100~500mm程度、左右方向の幅が70~300mm程度、充填量としては100cm~5000cm程度が挙げられる。内容物の状態としては、液体、粉体、粒体等の流体が挙げられる。内容物の種類としては、特に限定されないが、洗剤、薬剤、化粧品、医薬品、飲料、調味料、インキ、塗料、燃料等が挙げられる。
包装体は、実施形態の積層体10,20,30,40,50のみから形成してもよく、ラベル、タグ、ストロー、外箱等の付属部材と組み合わせてもよい。リサイクルの観点では、付属部材を包装体から分離できることが好ましい。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
10,20,30,40,50…積層体
11,21,31,41,51…シーラント層
12,22,23,32,52,53…基材層
13,24,25,33,44,54,56…接着層
14,26,35,46,57…切れ目
34,45…レーザー吸収層
42,43…樹脂層
55…金属蒸着層

Claims (16)

  1. ポリオレフィン系樹脂から形成されたシーラント層と、ポリオレフィン系樹脂から形成された基材層と、を有する積層体であって、前記積層体を厚さ方向に貫通することなく、少なくとも前記基材層の厚さ方向の一部をレーザーの照射により除去した切れ目が形成されていることを特徴とする積層体。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材層の側から、前記シーラント層に隣接する層の厚さ方向の一部まで前記切れ目が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記積層体が延伸ポリエチレン系樹脂層を有し、前記基材層の側から、前記延伸ポリエチレン系樹脂層まで前記切れ目が形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記シーラント層の少なくとも一部が、前記レーザーの吸収剤を含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記基材層の少なくとも一部が、前記レーザーの吸収剤を含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記シーラント層が前記積層体の最内層となるときの反対側である前記積層体の最外面のうち、少なくとも前記切れ目を形成する箇所に、前記レーザーの吸収剤を含有する塗布層または印刷層が形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記シーラント層に隣接する層が、延伸ポリエチレン系樹脂層であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記基材層において、ポリエチレン系樹脂層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体層と共押出により積層されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記基材層の前記シーラント層側の面に、金属蒸着層が形成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記基材層は、前記積層体の厚さ方向において、前記シーラント層に近い側に配置された第1基材層と、前記シーラント層から遠い側である第2基材層とを有し、前記第1基材層が延伸ポリエチレン系樹脂層であり、前記第1基材層の前記第2基材層側の面に、金属蒸着層が形成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 前記第1基材層の延伸ポリエチレン系樹脂層が、二軸延伸ポリエチレン系樹脂層であることを特徴とする請求項11に記載の積層体。
  13. 前記第1基材層の厚さが40μm以下であることを特徴とする請求項11または12に記載の積層体。
  14. 前記シーラント層と前記基材層とが前記レーザーを吸収する接着層を介して積層されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の積層体。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載の積層体から形成された包装体。
  16. 詰め替え用パウチであることを特徴とする請求項15に記載の包装体。
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