JP2023043955A - 一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物 - Google Patents
一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023043955A JP2023043955A JP2021151727A JP2021151727A JP2023043955A JP 2023043955 A JP2023043955 A JP 2023043955A JP 2021151727 A JP2021151727 A JP 2021151727A JP 2021151727 A JP2021151727 A JP 2021151727A JP 2023043955 A JP2023043955 A JP 2023043955A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thermosetting composition
- epoxy resin
- epoxy
- storage stability
- curability
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Epoxy Resins (AREA)
Abstract
【課題】優れた保存安定性と硬化性を両立する一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物を開示する。【解決手段】保存安定性と硬化性はトレードオフの関係にあり、それらを両立する一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物が難しい。しかし、エポキシ樹脂と特定の構造をもつチオールと特定の潜在性硬化触媒を混合することで、優れた保存安定性と硬化性を両立する一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物が得られることを見出した。より具体的には、エポキシ樹脂と、多官能二級チオールと、30℃以下において固体である熱潜在性硬化触媒による一液性熱硬化性組成物によって、優れた保存安定性と硬化性を両立する一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物が得られる。【選択図】なし
Description
本発明は、多官能二級チオールを硬化剤とする一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物に関する。
エポキシ樹脂組成物は長期間にわたって高い強度や防食性、絶縁性などを示すことから広く利用されている熱硬化性樹脂である。中でも近年は、作業性の改善や廃棄削減による環境負荷低減の観点から、一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物が求められている。
従来、一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物は安定に保存できる一方、硬化に高温で長時間の加熱が必要であった。一方で、チオール硬化剤を使用するとエポキシ樹脂をより低温・短時間で硬化できることが知られている。
特許文献1には、チオール基含有化合物および一液性エポキシ樹脂組成物が開示されている。ここでは、3つの一級チオール基を含有する化合物を用いた例が開示されている。また、特許文献2には、液状潜在性硬化剤組成物が開示され、この液状潜在性硬化剤組成物を用いた、一液性の硬化性エポキシド組成物が開示されている。
このような試みにも関わらず、チオール硬化剤を使用するとエポキシ樹脂は、その反応性の高さのため、十分な保存安定性を有する一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物を作成することが難しかった。
一般に保存安定性と硬化性はトレードオフの関係にあり、それらを両立する一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物が難しかった。発明者が鋭意検討した結果、エポキシ樹脂と特定の構造をもつチオールと特定の潜在性硬化触媒を混合することで、優れた保存安定性と硬化性を両立する一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物が得られることを見出した。
[1]エポキシ樹脂と多官能二級チオールと30℃以下において固体である熱潜在性硬化触媒からなる一液性熱硬化性組成物
[2]前記多官能二級チオールが二級メルカプト基を有するカルボン酸と多価アルコールとのエステルである上記[1]に記載の熱硬化性組成物
[3]前記多官能二級チオールが後述の式(1)~(4)から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[2]のいずれかに記載の熱硬化性組成物
[4]潜在性硬化触媒がエポキシ変性イミダゾール化合物、エポキシ変性アミン化合物、尿素結合を有する三級アミン化合物から選ばれる塩基性化合物である上記[1]~[3]のいずれかに記載の熱硬化性組成物
[5]前記熱硬化性組成物中に含有されるエポキシ基とメルカプト基の物質量比が1:0.9~1:1である上記[1]~[4]のいずれかに記載の熱硬化性組成物
[6]前記熱硬化性組成物中に含有される潜在性硬化触媒の量がエポキシ基100質量部に対して0.05~10質量部である上記1.~5.のいずれかに記載の熱硬化性組成物
[2]前記多官能二級チオールが二級メルカプト基を有するカルボン酸と多価アルコールとのエステルである上記[1]に記載の熱硬化性組成物
[3]前記多官能二級チオールが後述の式(1)~(4)から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[2]のいずれかに記載の熱硬化性組成物
[4]潜在性硬化触媒がエポキシ変性イミダゾール化合物、エポキシ変性アミン化合物、尿素結合を有する三級アミン化合物から選ばれる塩基性化合物である上記[1]~[3]のいずれかに記載の熱硬化性組成物
[5]前記熱硬化性組成物中に含有されるエポキシ基とメルカプト基の物質量比が1:0.9~1:1である上記[1]~[4]のいずれかに記載の熱硬化性組成物
[6]前記熱硬化性組成物中に含有される潜在性硬化触媒の量がエポキシ基100質量部に対して0.05~10質量部である上記1.~5.のいずれかに記載の熱硬化性組成物
本発明によれば、優れた保存安定性と硬化性を両立する一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物が得られる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
本発明の一液性熱硬化性組成物はエポキシ樹脂、チオール硬化剤、硬化触媒から成り、さらにその他の成分を含んでいても良い。一液性熱硬化性組成物とは、反応開始のために別液をさらに混合する必要なく、そのものを特定の温度以上に加熱することのみで硬化反応を起こすことのできる熱硬化性組成物を言う。
エポキシ樹脂とは求核剤によるエポキシ開環付加反応を起こすエポキシ基を有する化合物である。具体的には、ビスフェノールA、ハロゲン化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ハロゲン化ビスフェノールF、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、4,4‘-ジヒドロキシビフェニル、1,5-ヒドロキシナフタレン等の多価フェノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールおよびオキシ安息香酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸にエピクロロヒドリンを付加させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂の中でも、熱硬化性組成物の硬化を十分に進める観点から、分子内に2個以上のエポキシ基を持つ化合物を用いることが好ましい。
市販されているエポキシ樹脂としては、三菱ケミカル(株)製のjER(商標登録)828、806、630、YX8000、YX4000、(株)ADEKA製のアデカレジンEP-4100、EP-4901、(株)大阪ソーダ製のLX-01、LX-02F、住友化学(株)製のスミエポキシELM-434、昭和電工(株)製のショウフリーCDMDG、PETG、BATG等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種のみ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
硬化剤とはエポキシ基と付加反応することで熱硬化性組成物を硬化させることのできる物質を言う。チオール硬化剤とはエポキシ基と付加反応する官能基がメルカプト基である硬化剤を言う。
多官能二級チオールとは分子内に2つ以上の二級メルカプト基をもつ化合物、またはそれら化合物の混合物を言う。二級メルカプト基は一級メルカプト基と比較して反応性が低いため、二級チオールを硬化剤として使用すると保存安定性に優れる一液性熱硬化性組成物を得ることができる。分子内に2つ以上のメルカプト基があると、エポキシ基と反応することで分子鎖の網目構造を形成し、機械的強度や耐熱性に優れる硬化物を得ることができる。
多官能二級チオールとしては二級メルカプト基を有するカルボン酸と多価アルコールとのエステルを使用することができる。多官能二級チオールは、1種のみの化合物を含有していてもよいし、2種以上含有する混合物でもよい。
二級メルカプト基を有するカルボン酸としては、2-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトブタン酸、3-メルカプトブタン酸などが挙げられる。
多価アルコールとしては、1,4-ブタンジオール、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
多官能二級チオールは、以下に示す理由により、3-メルカプトブタン酸と多価アルコールとのエステル(3-メルカプトブタン酸エステル)であることが好ましい。すなわち、3-メルカプトブタン酸は、二級メルカプト基を有するカルボン酸としては、構造が単純であり、最も入手が容易な化合物の一つである。また、多価アルコールは、様々な構造のものを比較的容易に入手できる。これらのことから、多官能二級チオールが3-メルカプトブタン酸エステルである場合、様々な官能基数および骨格構造を有する多官能二級チオールを比較的容易に入手できる。
3-メルカプトブタン酸エステルとしては、例えば、式(1)で表される1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、式(2)で表される1,3,5-トリス(2-(3-スルファニルブタノイルオキシ)エチル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、式(3)で表されるトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、式(4)で表されるペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)などが挙げられる。
多官能二級チオールは、従来公知の方法により製造できる。例えば、多官能二級チオールが、3-メルカプトブタン酸エステルである場合、3-メルカプトブタン酸と多価アルコールとをエステル化反応させる方法により製造できる。式(1)~(4)で表される3-メルカプトブタン酸エステルは、例えば、特開2011-084479号公報に記載された方法より合成できる。
市販されている多官能二級チオールとしては、昭和電工(株)製のカレンズMT BD1、NR1、TPMB、PE1等が挙げられる。
これらの多官能二級チオールは、1種のみ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
硬化触媒とは、硬化反応を促進するために加えられる物質を言う。チオール硬化剤とともに使用される硬化触媒としては塩基性化合物を好ましく用いることができる。塩基性化合物がチオール硬化剤による硬化反応を促進する機構としては、塩基性化合物がメルカプト基の水素イオンを引き抜くことにより、極めて求核性の高いチオレートアニオンが生じ、チオレートアニオンがエポキシ基と非常に速く反応するため、塩基性化合物を加えない場合に比べて硬化反応が速く進行する。
熱潜在性硬化触媒とは、調製および保管温度以下では殆ど塩基性を示さず、特定の温度以上に加熱されることで塩基性を示す物質を言う。特定の温度以上で塩基性を示すようになる機構としては、例えば特定の温度未満では固体であり、特定の温度以上で融解や溶解によりメルカプト基と反応しやすくなるというものが挙げられる。
熱潜在性硬化触媒としては、イミダゾール化合物、アミン化合物等が使用できる。
市販されている熱潜在性硬化触媒としては、四国化成工業(株)製のイミダゾール化合物であるキュアゾール2MZ-A、味の素ファインテクノ(株)製のエポキシ樹脂アミンアダクトであるアミキュア(登録商標)PN-23、PN-40、PN-50、PN-H、MY-24、MY-25、旭化成(株)製のエポキシ樹脂アミンアダクトであるノバキュアHX-3742、HX-3721、T&K TOKA(株)製の尿素結合を有する変性脂肪族ポリアミンであるフジキュアーFXR-1030、FXR-1081、FXR-1110等が挙げられる。
市販されている熱潜在性硬化触媒としては、四国化成工業(株)製のイミダゾール化合物であるキュアゾール2MZ-A、味の素ファインテクノ(株)製のエポキシ樹脂アミンアダクトであるアミキュア(登録商標)PN-23、PN-40、PN-50、PN-H、MY-24、MY-25、旭化成(株)製のエポキシ樹脂アミンアダクトであるノバキュアHX-3742、HX-3721、T&K TOKA(株)製の尿素結合を有する変性脂肪族ポリアミンであるフジキュアーFXR-1030、FXR-1081、FXR-1110等が挙げられる。
これらの中でも、特に保存安定性に優れる一液性熱硬化性組成物が得られることからアミキュア(登録商標)PN-50が好ましく、特に硬化性に優れる一液性熱硬化性組成物が得られることからフジキュアーFXR-1030が好ましい。
これらの熱潜在性硬化触媒は、1種のみ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明において塩基性とはメルカプト基の水素イオンを引き抜くことができる性質を言う。典型的には、塩基性物質に水素イオンが付加した共役酸の水中におけるpKaが9以上であるとメルカプト基の水素イオンを効率よく引き抜くことができるため好ましいが、メルカプト基の水素イオンに対する反応性は溶媒や共存物質などの他の要因によって変化するため、必ずしもこの限りではない。
一液性熱硬化性組成物中のエポキシ基とメルカプト基の含有量は物質量比で1:0.9~1:1であることが好ましい。エポキシ基とメルカプト基の物質量比が1:0.9以上であると、硬化物中に未反応のエポキシ基が残存することにより硬化が不十分になったり、硬化物の耐久性が悪化したりすることがない。また、エポキシ基とメルカプト基の物質量比が1:1以下であると、硬化物中に未反応のメルカプト基が残存することによって硬化が不十分になったり、硬化物の耐久性が悪化したりすることがない。
一液性熱硬化性組成物中の熱潜在性硬化触媒の含有量は、エポキシ基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部である。熱潜在性硬化触媒の含有量が0.05質量部以上であると、熱硬化性組成物の重合反応の進行が遅すぎたり、重合反応させるために高い温度が必要となったりすることがない。また、熱潜在性硬化触媒の含有量が10質量部以下であると、熱硬化性組成物の保存安定性が良好となる。
一液性熱硬化性組成物が保存安定性に優れるとは、一液性熱硬化性組成物を一定温度下で保存する際に、より高い温度で、またはより長い期間保管しても組成物の物性や性能の変化が小さいことを言う。保存安定性を評価するための変化の指標としては、例えば、一液性熱硬化性組成物は保存中にも徐々に硬化反応が進行し、粘度が上昇することが知られていることから、粘度を指標として用いることができる。
一液性熱硬化性組成物が硬化性に優れるとは、一液性熱硬化性組成物を一定温度下で硬化反応させる際に、より低い温度で、またはより短い時間で組成物を硬化できることを言う。硬化性を評価する方法としては、例えば、組成物を一定温度で加熱した際のゲル化時間を用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下に示す実施例および比較例のチオール含有組成物、光硬化性組成物および熱硬化性組成物を製造する際に使用した原料は、下記のとおりである。
以下に示す実施例および比較例のチオール含有組成物、光硬化性組成物および熱硬化性組成物を製造する際に使用した原料は、下記のとおりである。
・エポキシ樹脂:jER(商標登録)828(三菱ケミカル(株)製)(エポキシ当量185g/mol)
・多官能二級チオール:カレンズMT PE1(昭和電工(株)製)(SH当量135g/mol)
・硬化触媒:アミキュア(登録商標)PN-50(味の素ファインテクノ(株)製)(イミダゾールとビスフェノールA型エポキシ樹脂のアダクト)、フジキュアーFXR-1030(T&K TOKA(株))(尿素結合を有する変性脂肪族ポリアミン)、2E4MZ(四国化成(株)製)(融点約40℃のイミダゾール化合物)
・多官能二級チオール:カレンズMT PE1(昭和電工(株)製)(SH当量135g/mol)
・硬化触媒:アミキュア(登録商標)PN-50(味の素ファインテクノ(株)製)(イミダゾールとビスフェノールA型エポキシ樹脂のアダクト)、フジキュアーFXR-1030(T&K TOKA(株))(尿素結合を有する変性脂肪族ポリアミン)、2E4MZ(四国化成(株)製)(融点約40℃のイミダゾール化合物)
以下に示す実施例および比較例では、以下に示す方法を用いて、一液性熱硬化性組成物の保存安定性および硬化性を評価した。
(一液性熱硬化性有組成物の保存安定性)
一液性熱硬化性有組成物の保存安定性は、組成物を一定温度で保存し、粘度が調製直後の2倍に達するまでの期間を評価した。
組成物の粘度が調製直後の2倍に達するまでの期間をその温度におけるライフと言う。
組成物は保存容器に入れて恒温槽中に保管し、適宜取り出してせん断粘度を測定した。
保管容器としては、蓋つきのポリプロピレン製容器(アイボーイ(登録商標)、広口びん50mL、アズワン株式会社製)を使用した。
粘度測定はAnton Paar製レオメーターMCR300にコーンプレートCP―50(50mm)を装着して使用し、23℃で、せん断速度1/sで測定した。
一液性熱硬化性有組成物の保存安定性は、組成物を一定温度で保存し、粘度が調製直後の2倍に達するまでの期間を評価した。
組成物の粘度が調製直後の2倍に達するまでの期間をその温度におけるライフと言う。
組成物は保存容器に入れて恒温槽中に保管し、適宜取り出してせん断粘度を測定した。
保管容器としては、蓋つきのポリプロピレン製容器(アイボーイ(登録商標)、広口びん50mL、アズワン株式会社製)を使用した。
粘度測定はAnton Paar製レオメーターMCR300にコーンプレートCP―50(50mm)を装着して使用し、23℃で、せん断速度1/sで測定した。
(一液性熱硬化性有組成物の硬化性)
一液性熱硬化性有組成物の硬化性は、調製直後の組成物を一定温度で加熱した際のゲル化時間を評価した。
ゲル化時間は、動的粘弾性測定により貯蔵弾性率および損失弾性率を測定し、加熱測定開始から貯蔵弾性率≧損失弾性率となるまでの時間を言う。
動的粘弾性測定はAnton Paar製レオメーターMCR301にディスポーザブルプレートD-PP25/ALS07(25mm)およびディスポーザブルディッシュを装着して使用し、歪み1%、周波数1Hzで測定した。
一液性熱硬化性有組成物の硬化性は、調製直後の組成物を一定温度で加熱した際のゲル化時間を評価した。
ゲル化時間は、動的粘弾性測定により貯蔵弾性率および損失弾性率を測定し、加熱測定開始から貯蔵弾性率≧損失弾性率となるまでの時間を言う。
動的粘弾性測定はAnton Paar製レオメーターMCR301にディスポーザブルプレートD-PP25/ALS07(25mm)およびディスポーザブルディッシュを装着して使用し、歪み1%、周波数1Hzで測定した。
[実施例1]
jER(商標登録)828を30gとPE1を22g(エポキシ基:メルカプト基=1:0.98)とPN-50を0.15g(0.5質量部)とを混合し、実施例1の一液性熱硬化性組成物を調製した。そして、上記の方法により、実施例1の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは240日超、23℃のライフは46日、80℃のゲル化時間は33分、100℃のゲル化時間は5.1分であった。
jER(商標登録)828を30gとPE1を22g(エポキシ基:メルカプト基=1:0.98)とPN-50を0.15g(0.5質量部)とを混合し、実施例1の一液性熱硬化性組成物を調製した。そして、上記の方法により、実施例1の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは240日超、23℃のライフは46日、80℃のゲル化時間は33分、100℃のゲル化時間は5.1分であった。
[実施例2]
PN-50を0.3g(1質量部)用いた他は実施例1と同様にして実施例2の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例2の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは240日、23℃のライフは21日、80℃のゲル化時間は22分、100℃のゲル化時間は3.1分であった。
PN-50を0.3g(1質量部)用いた他は実施例1と同様にして実施例2の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例2の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは240日、23℃のライフは21日、80℃のゲル化時間は22分、100℃のゲル化時間は3.1分であった。
[実施例3]
PN-50を0.6g(2質量部)用いた他は実施例1と同様にして実施例3の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例3の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは104日、23℃のライフは8.0日、80℃のゲル化時間は15分、100℃のゲル化時間は1.6分であった。
PN-50を0.6g(2質量部)用いた他は実施例1と同様にして実施例3の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例3の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは104日、23℃のライフは8.0日、80℃のゲル化時間は15分、100℃のゲル化時間は1.6分であった。
[実施例4]
PN-50を1.5g(5質量部)用いた他は実施例1と同様にして実施例4の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例4の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは32日、23℃のライフは2.9日、80℃のゲル化時間は8.8分、100℃のゲル化時間は0.9分であった。
PN-50を1.5g(5質量部)用いた他は実施例1と同様にして実施例4の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例4の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは32日、23℃のライフは2.9日、80℃のゲル化時間は8.8分、100℃のゲル化時間は0.9分であった。
[実施例5]
PN-50の代わりにFXR-1030を用いた他は実施例1と同様にして実施例5の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例5の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは240日超、23℃のライフは41日、80℃のゲル化時間は15分、100℃のゲル化時間は3.2分であった。
PN-50の代わりにFXR-1030を用いた他は実施例1と同様にして実施例5の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例5の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは240日超、23℃のライフは41日、80℃のゲル化時間は15分、100℃のゲル化時間は3.2分であった。
[実施例6]
PN-50の代わりにFXR-1030を用いた他は実施例2と同様にして実施例6の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例6の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは134日、23℃のライフは17日、80℃のゲル化時間は10分、100℃のゲル化時間は2.0分であった。
PN-50の代わりにFXR-1030を用いた他は実施例2と同様にして実施例6の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例6の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは134日、23℃のライフは17日、80℃のゲル化時間は10分、100℃のゲル化時間は2.0分であった。
[実施例7]
PN-50の代わりにFXR-1030を用いた他は実施例3と同様にして実施例7の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例7の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは49日、23℃のライフは6.9日、80℃のゲル化時間は6.7分、100℃のゲル化時間は1.3分であった。
PN-50の代わりにFXR-1030を用いた他は実施例3と同様にして実施例7の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例7の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは49日、23℃のライフは6.9日、80℃のゲル化時間は6.7分、100℃のゲル化時間は1.3分であった。
[実施例8]
PN-50の代わりにFXR-1030を用いた他は実施例4と同様にして実施例8の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例8の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは16日、23℃のライフは1.1日、80℃のゲル化時間は4.6分、100℃のゲル化時間は0.7分であった。
PN-50の代わりにFXR-1030を用いた他は実施例4と同様にして実施例8の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、実施例8の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは16日、23℃のライフは1.1日、80℃のゲル化時間は4.6分、100℃のゲル化時間は0.7分であった。
[比較例1]
PN-50の代わりに2E4MZを用いた他は実施例1と同様にして比較例1の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、比較例1の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは4.3日、23℃のライフは0.8日、80℃のゲル化時間は25分、100℃のゲル化時間は9.3分であった。
PN-50の代わりに2E4MZを用いた他は実施例1と同様にして比較例1の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、比較例1の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは4.3日、23℃のライフは0.8日、80℃のゲル化時間は25分、100℃のゲル化時間は9.3分であった。
[比較例2]
PN-50の代わりに2E4MZを用いた他は実施例2と同様にして比較例2の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、比較例2の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは2.7日、23℃のライフは0.5日、80℃のゲル化時間は21分、100℃のゲル化時間は6.3分であった。
PN-50の代わりに2E4MZを用いた他は実施例2と同様にして比較例2の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、比較例2の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは2.7日、23℃のライフは0.5日、80℃のゲル化時間は21分、100℃のゲル化時間は6.3分であった。
[比較例3]
PN-50の代わりに2E4MZを用いた他は実施例3と同様にして比較例3の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、比較例3の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは1.4日、23℃のライフは0.3日、80℃のゲル化時間は14分、100℃のゲル化時間は4.1分であった。
PN-50の代わりに2E4MZを用いた他は実施例3と同様にして比較例3の一液性熱硬化性組成物を調製した。
そして、上記の方法により、比較例3の熱硬化性組成物の保存安定性と硬化性を評価した。その結果、5℃のライフは1.4日、23℃のライフは0.3日、80℃のゲル化時間は14分、100℃のゲル化時間は4.1分であった。
全ての実施例および比較例において、同じ硬化触媒を使用した場合には、硬化触媒の含量が多いほど、また温度が高いほど、ライフおよびゲル化時間が短くなる傾向が見られた。
2E4MZを使用した比較例1~3の組成物はいずれも混合時に硬化触媒が溶解し透明液であり、ライフが短かった。
一方、PN-50を使用した実施例1~4またはFXR-1030を用いた実施例5~8の組成物はいずれも硬化触媒粉末が溶解せず分散した半透明液であり、2E4MZを使用した比較例1~3と比べてライフが長く、良好な保存安定性を示した。中でもPN-50を使用した実施例1~4の組成物は特に良好な保存安定性を示した。
2E4MZを使用した比較例1~3の組成物はいずれも混合時に硬化触媒が溶解し透明液であり、ライフが短かった。
一方、PN-50を使用した実施例1~4またはFXR-1030を用いた実施例5~8の組成物はいずれも硬化触媒粉末が溶解せず分散した半透明液であり、2E4MZを使用した比較例1~3と比べてライフが長く、良好な保存安定性を示した。中でもPN-50を使用した実施例1~4の組成物は特に良好な保存安定性を示した。
また、PN-50を使用した実施例1~3は、2E4MZを使用した比較例1~3と比べて、80℃のゲル化時間は同程度であり、100℃のゲル化時間はより短く、同等以上の良好な硬化性を示した。さらに、FXR-1030を使用した実施例5~7は、2E4MZを使用した比較例1~3と比べて、80℃および100℃の両方でゲル化時間がより短く、特に良好な硬化性を示した。
以上から、熱潜在性硬化触媒であるPN-50またはFXR-1030を使用した実施例1~8では、潜在性でない硬化触媒2E4MZを使用した比較例1~3と比べて、ライフがより長いにも関わらず、ゲル化時間が同程度かまたはより短く、従って、エポキシ樹脂と多官能二級チオールと熱潜在性硬化触媒を使用することにより、優れた保存安定性と硬化性を両立する一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物が得られることが示された。
Claims (6)
- エポキシ樹脂と、多官能二級チオールと、30℃以下において固体である熱潜在性硬化触媒からなる、一液性熱硬化性組成物。
- 前記多官能二級チオールが二級メルカプト基を有するカルボン酸と多価アルコールとのエステルである、請求項1に記載の一液性熱硬化性組成物。
- 潜在性硬化触媒がエポキシ変性イミダゾール化合物、エポキシ変性アミン化合物、尿素結合を有する三級アミン化合物から選ばれる塩基性化合物である、請求項1~3のいずれかに記載の一液性熱硬化性組成物。
- 前記一液性熱硬化性組成物中に含有されるエポキシ基とメルカプト基の物質量比が1:0.9~1:1である、請求項1~4のいずれかに記載の一液性熱硬化性組成物。
- 前記熱硬化性組成物中に含有される潜在性硬化触媒の量がエポキシ基100質量部に対して0.05~10質量部である請求項1~5いずれかに記載の一液性熱硬化性組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021151727A JP2023043955A (ja) | 2021-09-17 | 2021-09-17 | 一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021151727A JP2023043955A (ja) | 2021-09-17 | 2021-09-17 | 一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023043955A true JP2023043955A (ja) | 2023-03-30 |
Family
ID=85725856
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021151727A Pending JP2023043955A (ja) | 2021-09-17 | 2021-09-17 | 一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023043955A (ja) |
-
2021
- 2021-09-17 JP JP2021151727A patent/JP2023043955A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5716871B2 (ja) | 樹脂硬化剤および一液性エポキシ樹脂組成物 | |
KR100546232B1 (ko) | 에폭시 수지 조성물 | |
JPS6072917A (ja) | エポキシ樹脂用潜在性硬化剤 | |
JP2018506543A (ja) | 耐寒性シーラント及びその構成成分 | |
JP7019715B2 (ja) | 置換バルビツール酸を使用するエポキシ安定化 | |
JPS6311362B2 (ja) | ||
TWI607989B (zh) | Compounds containing thiol groups and single-liquid epoxy resin compositions | |
JP5934245B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
KR20200053525A (ko) | 경화성 에폭시/티올 수지 조성물을 포함하는 (메트)아크릴레이트 매트릭스를 포함하는 접착제 필름, 테이프 및 방법 | |
JPWO2011068092A1 (ja) | エポキシ樹脂組成物 | |
JP2016514755A (ja) | ヒドロキシアルキルアミノシクロアルカンを含む1成分形エポキシ硬化剤 | |
JP4843256B2 (ja) | 硬化促進剤 | |
JP2020501000A (ja) | 新規な低温酸無水物エポキシ硬化系 | |
JPH03177418A (ja) | 一成分系加熱硬化性エポキシ樹脂組成物 | |
JP2023043955A (ja) | 一液性エポキシ樹脂熱硬化性組成物 | |
JP7148848B2 (ja) | 一液型樹脂組成物 | |
KR20210078480A (ko) | 수지 조성물 | |
JP6174461B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物および硬化物 | |
SI9200114A (en) | Curable epoxy resin composition containing a blocked accelerator | |
JPH0312417A (ja) | 半導体封止用エポキシ樹脂組成物 | |
BR112012023821B1 (pt) | Composição de dois componentes de resina epóxi, sistema de dosagem e método para unir e/ou reparar partes | |
JP2011213869A (ja) | 新規エポキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 | |
JPS61148228A (ja) | 一液性エポキシ樹脂組成物 | |
JP2018162361A (ja) | エポキシ樹脂組成物 | |
JPS6030334B2 (ja) | 硬化性混合物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20230201 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20230202 |