JP2023042525A - 締結工具 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023042525000001
【課題】ネジを締める方向へドライバビットを移動させる動作で、ドライバビットの移動速度を制御できるようにした締結工具を提供する。
【解決手段】締結工具1は、ドライバビット2を着脱可能に保持し、ドライバビット2の周方向に回転可能及び軸方向に移動可能なビット保持部3と、ビット保持部3を回転させるビット回転モータ40と、ビット保持部3を軸方向に沿って移動させるビット移動モータ50と、ビット保持部3の軸方向に沿った位置を、ビット移動モータ50の回転数で制御する制御部100を備え、制御部100は、ビット回転モータ40の回転によりネジが締結対象物に締結されることで、ネジが移動する際の移動速度と、ビット移動モータ50の回転により移動するビット保持部3の移動速度を追従させる制御を行う。
【選択図】図1A

Description

本発明は、ネジにドライバビットを係合させ、ドライバビットでネジを押して締結対象物に押し付け、ドライバビットを回転させて捩じ込む締結工具に関する。
エアコンプレッサから供給される圧縮空気の空気圧や、ガスの燃焼圧を利用し、マガジンに装填された連結止め具を、ドライバガイドの先端から順次打ち出す可搬形の打込機と称す工具が知られている。
ビットを回転させてネジを締めると共に、ネジを締める方向にビットを移動させる工具では、従来、エアモータでビットを回転させ、ネジを締める方向にはエア圧で移動させる空気圧式ネジ打ち機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ネジを回転させるモータの駆動力でバネを圧縮し、バネの付勢でネジを打ち込むネジ打ち機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第5262461号 特許第6197547号
ネジを締める方向にビットを移動させる構成を備えた工具では、ネジの回転速度で決まるねじの前進速度よりもビットの前進速度が速い程、工具本体が締結対象物から離れる所謂反動が大きくなる。反動が大きくなると、作業者が工具本体を締結対象物に押し付ける力に抵抗して、工具本体が締結対象物から浮き上がる可能性がある。
しかし、反動によって工具本体が締結対象物から浮き上がってしまうと、ネジを完全に締め込めない状態で作業完了となってしまうことがある。このため、ネジ締めの品質を向上させるには、反動を押さえること、つまり、ねじの回転速度に合わせてビットを適切な速度で動作(前進)させることが必要となる。
しかし、従来の締結工具では、ビットの前進速度を回転速度に合わせて制御するという発想が存在しなかった。また、空気圧を利用するネジ打ち機、バネの付勢でネジを打ち込むネジ打ち機の何れも、ネジを締める方向へドライバビットを移動させる動作で、ドライバビットの移動速度を制御することが難しかった。
本発明は、このような課題を解決するためされたもので、ネジを締める方向へドライバビットを移動させる動作で、ドライバビットの移動速度を制御できるようにした締結工具を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、ドライバビットを着脱可能に保持し、前記ドライバビットの周方向に回転可能及び軸方向に移動可能なビット保持部と、ビット保持部を回転させる第1のモータと、ビット保持部を軸方向に沿って移動させる第2のモータと、ビット保持部の軸方向に沿った位置を、第2のモータの回転数で制御する制御部とを備え、制御部は、第1のモータの回転によりネジが締結対象物に締結されることで、ネジが移動する際の移動速度と、第2のモータの回転により移動する前記ビット保持部の移動速度を追従させる制御を行う締結工具である。
本発明では、ネジが締結対象物に締結される際のネジの移動速度に、ドライバビットの移動速度が追従する。
また、本発明は、ドライバビットを着脱可能に保持し、前記ドライバビットの周方向に回転可能及び軸方向に移動可能なビット保持部と、ビット保持部を回転させる第1のモータと、ビット保持部を軸方向に沿って移動させる第2のモータと、ビット保持部の軸方向に沿った位置を、第2のモータの回転数で制御する制御部とを備え、制御部は、第1のモータの回転速度に対し、第2のモータの回転によるビット保持部の移動速度を制御する締結工具である。
本発明では、ネジが締結対象物に押し付けられる動作、ネジが締結対象物に締結される動作のそれぞれで、ドライバビットの移動速度が制御される。
本発明では、ネジを締める方向へドライバビットを移動させる動作で、ドライバビットの移動速度を制御できる。
本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す側断面図である。 本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す上面断面図である。 本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す正面断面図である。 本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す分解斜視図である。 本実施の形態の締結工具の一例を示す外観斜視図である。 本実施の形態の締結工具の要部構成の一例を示す斜視図である。 本実施の形態の締結工具の要部構成の一例を示す斜視図である。 本実施の形態の締結工具の要部構成の一例を示す断面斜視図である。 本実施の形態の締結工具の要部構成の一例を示す断面斜視図である。 本実施の形態の締結工具の要部構成の一例を示す断面斜視図である。 本実施の形態の締結工具の要部構成の一例を示す上面断面図である。 本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す上面断面図である。 本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す上面断面図である。 着脱保持機構の一例を示す断面図である。 着脱保持機構の一例を示す断面図である。 着脱保持機構の一例を示す斜視図である。 着脱保持機構の一例を示す斜視図である。 本実施の形態のネジ送り部及びノーズ部の一例を示す斜視図である。 本実施の形態の締結工具の一例を示す後方から見た斜視図である。 本実施の形態の締結工具の一例を示す後方から見た斜視図である。 本実施の形態の締結工具の一例を示す後方から見た斜視図である。 設定部の一例を示す斜視図である。 本実施の形態の締結工具の一例を示すブロック図である。 本実施の形態の締結工具の動作の一例を示す側断面図である。 本実施の形態の締結工具の動作の一例を示す上面断面図である。 本実施の形態の締結工具の動作の一例を示すフローチャートである。 ネジの締結状態を示す断面図である。 ネジの締結状態を示す断面図である。 ネジの締結状態を示す断面図である。 第1の初期化動作において保持部材及び移動部材の待機位置を設定する動作の一例を示す説明図である。 第1の初期化動作において保持部材及び移動部材の待機位置を設定する動作の一例を示す説明図である。 第1の初期化動作において保持部材及び移動部材の待機位置を設定する動作の一例を示す説明図である。 第1の初期化動作において保持部材及び移動部材の待機位置を設定する動作の一例を示す説明図である。 第2の初期化動作において保持部材及び移動部材を待機位置に移動させる動作の一例を示す説明図である。 第2の初期化動作において保持部材及び移動部材を待機位置に移動させる動作の一例を示す説明図である。 第2の初期化動作において保持部材及び移動部材を待機位置に移動させる動作の一例を示す説明図である。 第1の初期化動作と第2の初期化動作を選択する動作の一例を示すフローチャートである。 本実施の形態の締結工具の動作の変形例を示すフローチャートである。 コンタクトスイッチ部の出力とビット回転モータ及びビット移動モータの制御の関係を示すグラフである。 本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートである。 負荷とビット回転モータの制御の関係を示すグラフである。 負荷とビット回転モータの制御の関係を示すグラフである。 本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートである。 フィードバック制御によるビット回転モータとビット移動モータの回転速度の関係を示すグラフである。 フィードバック制御によるビット回転モータの回転によるネジの移動速度とビット移動モータによるドライバビットの移動速度の関係を示すグラフである。 本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートである。 負荷とビット移動モータの制御の関係を示すグラフである。 負荷とビット移動モータの制御の関係を示すグラフである。 本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートである。 本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートである。 本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すブロック図である。 本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートである。 本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートである。 ネジ締め時における負荷とビット移動モータの制御の関係を示すグラフである。 ネジ締め時におけるドライバビットとネジのリセスとの係合状態を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の締結工具の実施の形態について説明する。
<本実施の形態の締結工具の構成例>
図1Aは、本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す側断面図、図1Bは、本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す上面断面図、図1Cは、本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す正面断面図である。また、図2Aは、本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す分解斜視図、図2Bは、本実施の形態の締結工具の一例を示す外観斜視図である。
本実施の形態の締結工具1は、ドライバビット2を回転可能、及び、軸方向に移動可能に保持するビット保持部3と、ビット保持部3で保持されたドライバビット2を回転させる第1の駆動部4と、ビット保持部3で保持されたドライバビット2を軸方向に移動させる第2の駆動部5を備える。
また、締結工具1は、ネジ200が収納されるネジ収納部6と、ネジ収納部6に収納されたネジを送るネジ送り部7と、ネジ200が締結される締結対象物に押し付けられると共に、ネジが射出されるノーズ部8を備える。
更に、締結工具1は、工具本体10とハンドル11を備える。また、締結工具1は、ハンドル11の端部に、バッテリ12が着脱可能に取り付けられるバッテリ取付部13を備える。
締結工具1は、工具本体10が矢印A1、A2で示すドライバビット2の軸方向に沿った一の方向に延伸し、工具本体10の延伸方向に対して交差する他の方向にハンドル11が延伸する。締結工具1は、工具本体10が延伸する方向、すなわち、矢印A1、A2で示すドライバビット2の軸方向を前後方向とする。また、締結工具1は、ハンドル11が延伸する方向を上下方向とする。更に、締結工具1は、工具本体10の延伸方向及びハンドル11の延伸方向に直交する方向を左右方向とする。
第1の駆動部4は、ハンドル11を挟んで、工具本体10の一方の側である後方に設けられる。また、第2の駆動部5は、ハンドル11を挟んで、工具本体10の他方の側である前方に設けられる。
ネジ収納部6は、複数のネジ200が連結帯で連結され、渦巻き状に巻かれた連結ネジが収納される。
図3A、図3Bは、本実施の形態の締結工具の要部構成の一例を示す斜視図、図4A~図4Cは、本実施の形態の締結工具の要部構成の一例を示す断面斜視図、図5は、本実施の形態の締結工具の要部構成の一例を示す上面断面図であり、ビット保持部3及び第1の駆動部4の詳細を示す。次に、各図を参照して、ビット保持部3及び第1の駆動部4について説明する。
ビット保持部3は先端工具保持部の一例で、先端工具の一例であるドライバビット2を着脱可能に保持する保持部材30と、保持部材30をドライバビット2の軸方向に沿った矢印A1、A2で示す前後方向へ移動可能に支持すると共に、保持部材30と共に回転する回転ガイド部材31と、保持部材30を回転ガイド部材31に沿って前後方向に移動させる移動部材32と、移動部材32を矢印A2で示す後方向へ付勢する付勢部材33を備える。
保持部材30は、回転ガイド部材31の内径より外径が若干小さく、回転ガイド部材31の内側に入れられる例えば円柱状の部材で構成される。保持部材30は、ドライバビット2の軸方向に沿った前側の端部に、ドライバビット2の断面形状と合致した形状の開口30aが設けられる。保持部材30は、ドライバビット2を着脱可能に保持する着脱保持機構30cを開口30aに備える。保持部材30は、開口30aが回転ガイド部材31の内側に露出し、開口30aにドライバビット2が着脱可能に挿入される。
回転ガイド部材31は、工具本体10の延伸方向、すなわち、ドライバビット2の軸方向に沿った矢印A1、A2で示す前後方向に沿って延伸する。回転ガイド部材31は、内側に保持部材30が入る円筒形状で、前側の端部が、工具本体10の外装を構成する樹脂製のケース10aの前側に設けられる金属製の前フレーム10bに、軸受の一例であるベアリング34aを介して回転可能に支持される。また、回転ガイド部材31は、後側の端部が第1の駆動部4と連結される。
回転ガイド部材31は、ドライバビット2の軸方向に沿った矢印A1、A2で示す前後方向に延伸する溝部31aが、径方向に対向する側部の2箇所に形成される。回転ガイド部材31は、保持部材30を径方向に貫通し、保持部材30の両側方から突出した連結部材30bが溝部31aに入ることで、連結部材30bを介して保持部材30と連結される。
保持部材30は、ドライバビット2の回転方向に対して垂直方向に貫通した穴部が設けられ、この穴部に連結部材30bが挿入、ピン30fで固定される。連結部材30bは、断面形状が長円形状の筒状の部材で構成される。
連結部材30bは、長円形状の長手方向が、矢印A1、A2で示すドライバビット2の軸方向と平行な溝部31aの延伸方向に沿った向き、長円形状の短手方向が、矢印B1、B2方向で示す溝部31aの延伸方向と直交する向き、すなわち、回転ガイド部材31の回転方向に沿った向きとなる。そして、連結部材30bは、長円形状の短手方向の幅、すなわち、回転ガイド部材31の回転方向に沿った幅が、溝部31aの同方向に沿った幅より若干小さく構成される。
これにより、溝部31aに入れられた連結部材30bは、回転ガイド部材31の軸方向に沿って移動可能に溝部31aに支持される。また、連結部材30bは、回転ガイド部材31に対して回転方向に沿った移動が、溝部31aの延伸する方向に沿った溝部31aの一方の側面と他方の側面との間で規制される。よって、連結部材30bは、回転ガイド部材31が回転する動作で、回転ガイド部材31の回転方向に応じて溝部31aの一方の側面または他方の側面に押され、回転ガイド部材31から回転方向である周方向の力を受ける。
従って、保持部材30は、回転ガイド部材31が回転すると、連結部材30bが回転ガイド部材31の溝部31aに押されることで、回転ガイド部材31と共に回転する。また、保持部材30は、連結部材30bが回転ガイド部材31の溝部31aにガイドされ、ドライバビット2の軸方向に沿った前後方向に移動する。
移動部材32は伝達部材の一例で、保持部材30と共に回転し、保持部材30を回転ガイド部材31に沿って前後方向に移動させる第1の移動部材32aと、ベアリング32bを介して第1の移動部材32aに支持され、ベアリング32bを介して第1の移動部材32aを押す第2の移動部材32cと、第2の移動部材32cの後側に取り付けられる緩衝部材32dを備える。
第1の移動部材32aは、回転ガイド部材31の外径より内径が若干大きく、回転ガイド部材31の外側に入れられる例えば円筒状の部材で構成される。第1の移動部材32aは、回転ガイド部材31の溝部31aから突出した連結部材30bを介して保持部材30と連結されることで、回転ガイド部材31の軸方向に沿って移動可能に支持される。
ベアリング32bは軸受の一例で、第1の移動部材32aの外周と第2の移動部材32cの内周の間に挿入される。第1の移動部材32aは、ベアリング32bの内輪を保持する軸受内輪保持部材を構成し、第2の移動部材32cは、ベアリング32bの外輪を保持する軸受外輪保持部材を構成する。ベアリング32bは、内輪が第1の移動部材32aの外周に回転方向と軸方向の移動を不能に支持され、外輪が第2の移動部材32cの内周に回転方向と軸方向の移動を不能に支持される。
これにより、第2の移動部材32cは、第1の移動部材32aに対して、軸方向に沿った前後方向への移動が規制された状態で、ベアリング32bを介して連結される。また、第2の移動部材32cは、ベアリング32bを介して第1の移動部材32aを回転可能に支持する。
従って、第1の移動部材32aは、第2の移動部材32cが軸方向に沿った前後方向に移動する動作で、ベアリング32bを介して第2の移動部材32cに押され、第2の移動部材32cと共に軸方向に沿った前後方向に移動する。また、第1の移動部材32aは、回転ガイド部材31に対して非回転な第2の移動部材32cに対して回転可能である。
付勢部材33は、本例ではコイルバネで構成され、回転ガイド部材31の外側で、工具本体10のケース10aの前側に設けられる前フレーム10bと、移動部材32の第2の移動部材32cとの間に入れられ、ベアリング32bの外輪の端面に接触するように配置されたばね座32fに当接する。付勢部材33は、移動部材32が矢印A1で示す前方向に移動することで圧縮され、移動部材32を矢印A2で示す後方向に押す力を移動部材32に掛ける。
第1の駆動部4は、バッテリ12から供給される電気で駆動されるビット回転モータ40と、減速機41を備える。ビット回転モータ40はモータまたは第1のモータの一例で、ビット回転モータ40の軸40aが、減速機41と連結され、減速機41の軸41aが、回転ガイド部材31に連結される。第1の駆動部4は、減速機41が遊星歯車を利用した構成で、ビット回転モータ40が回転ガイド部材31及び保持部材30と、保持部材30に保持されたドライバビット2と同軸上に配置される。
第1の駆動部4は、工具本体10のケース10aの後側に設けられる金属製の後フレーム10cに、ビット回転モータ40及び減速機41が取り付けられ、減速機41の軸41aが、ベアリング42を介して後フレーム10cに支持される。回転ガイド部材31は、後側の端部が、減速機41の軸41aと連結され、軸41aが、ベアリング42を介して後フレーム10cに支持されることで、軸受の一例であるベアリング42を介して回転可能に支持される。
ビット保持部3と第1の駆動部4は、前フレーム10bと後フレーム10cが、前後方向に延伸する結合部材10dで連結されることで、一体に組み立てられ、前フレーム10bが、工具本体10のケース10aにネジ10eにより固定される。
また、ビット保持部3は、回転ガイド部材31の前側の端部が、工具本体10のケース10aの前側に固定される前フレーム10bにベアリング34aを介して支持され、回転ガイド部材31の後側の端部が、ケース10aの後側に固定される後フレーム10cに、減速機41の軸41a及びベアリング42を介して支持される。よって、ビット保持部3は、回転ガイド部材31が工具本体10に回転可能に支持される。
これにより、第1の駆動部4は、ビット回転モータ40により回転ガイド部材31を回転させる。ドライバビット2が保持される保持部材30は、回転ガイド部材31が回転すると、連結部材30bが回転ガイド部材31の溝部31aに押されることで、回転ガイド部材31と共に回転する。
ビット保持部3は、第2の移動部材32cにガイド部材32gが設けられる。結合部材10dは、ガイド部材32gの直径より若干大きな間隔を空けて、一対のガイド壁部10gが設けられ、一対のガイド壁部10gの間にガイド部材32gが入ることで、一対のガイド壁部10gがガイド部材32gの周面と対向する。
これにより、第2の移動部材32cは、ガイド部材32gが結合部材10dにガイドされることで、ドライバビット2の軸方向に沿った矢印A1、A2で示す前後方向に移動可能で、かつ、回転ガイド部材31に追従した回転が規制される。
図6A及び図6Bは、本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す上面断面図であり、第2の駆動部5の詳細を示す。次に、各図を参照して、第2の駆動部5について説明する。
第2の駆動部5は、バッテリ12から供給される電気で駆動されるビット移動モータ50と、減速機51を備える。ビット移動モータ50はモータまたは第2のモータの一例で、ビット移動モータ50の軸50aが、減速機51と連結され、減速機51の軸51aが伝達部材の一例であるプーリ52と連結される。第2の駆動部5は、プーリ52がベアリング53を介して工具本体10に支持される。第2の駆動部5は、ビット移動モータ50の軸50aがハンドル11の延伸方向に沿って配置される。
第2の駆動部5は、伝達部材の一例である線状のワイヤ54の一端がプーリ52に連結され、プーリ52が回転することでワイヤ54がプーリ52に巻かれる。また、ワイヤ54の他端が、移動部材32の第2の移動部材32cに設けたワイヤ連結部32hに連結される。
これにより、第2の駆動部5は、ビット移動モータ50によりプーリ52を回転させて、ワイヤ54を巻き取ることで、第2の移動部材32cを矢印A1で示す前方向に移動させる。ビット保持部3は、第2の移動部材32cが前方向に移動することで、ベアリング32bを介して第1の移動部材32aが押され、第1の移動部材32aが第2の移動部材32cと共に軸方向に沿った前方向に移動する。第1の移動部材32aが前方向に移動することで、第1の移動部材32aと連結部材30bを介して連結された保持部材30が前方向に移動し、保持部材30で保持されたドライバビット2が、矢印A1で示す前方向に移動する。
第2の駆動部5は、プーリ52においてワイヤ54が巻かれる部位の接線方向が、回転ガイド部材31の延伸方向に沿うように、締結工具1の左右方向における略中心に対し一方の側にオフセットされて配置される。すなわち、プーリ52の中心、本例では、ビット移動モータ50の軸50aが、回転ガイド部材31に対して一方の側にオフセットされ、プーリ52の軸方向から見て、プーリ52においてワイヤ54が巻かれる部位52aが、回転ガイド部材31と重なる配置である。
また、プーリ52と第2の移動部材32cとの間のワイヤ54は、図6A,図6Bに示すように、プーリ52の径方向において、回転ガイド部材31の軸方向と平行となり、かつ、図1Aに示すように、プーリ52の径方向と直交するビット移動モータ50の軸方向においても、回転ガイド部材31の軸方向と平行となるように、プーリ52等が配置される。
更に、プーリ52にワイヤ54が重ねて巻かれると、巻き数に応じてプーリ52の中心からワイヤ54までの距離が変化することから、プーリ52が1回転したときのドライバビット2の移動量が変化する。また、プーリ52と第2の移動部材32cとの間でワイヤ54が延伸する方向と、回転ガイド部材31の軸方向に沿ったドライバビット2の移動方向との成す角度が変化する。
そこで、ドライバビット2を所定量移動させるために必要なプーリ52の回転量αが、360°未満となるように、プーリ52の径等が設定される。
これにより、ドライバビット2を所定量移動させるために、プーリ52がワイヤ54を巻き取る動作で、図6Bに示すように、プーリ52にワイヤ54が重ねて巻かれることがなく、ドライバビット2の移動量が不正確になることが抑制される。また、プーリ52と第2の移動部材32cとの間でワイヤ54が延伸する方向と、回転ガイド部材31の軸方向に沿ったドライバビット2の移動方向との平行度の変化が抑制される。
従って、ビット移動モータ50の回転数と、保持部材30の移動量との関係が、保持部材30の移動可能範囲の全域において、1対1の関係となり、ビット移動モータ50の回転数を制御することで、回転ガイド部材31の軸方向に沿った保持部材30の移動量を制御できる。すなわち、ビット移動モータ50の回転数を制御することで、保持部材30に取り付けられたドライバビット2の移動量を制御可能となる。
また、ワイヤ54の巻き取り量に関わらず、ワイヤ54に掛かる張力は回転ガイド部材31の軸方向に沿ったドライバビット2の移動方向と常に平行になり、ドライバビット2の移動及びドライバビット2を介してネジ200を押すための力の伝達効率の低下を抑制できる。
これにより、プーリ52と第2の移動部材32cとの間のワイヤ54が、移動部材32の移動方向に沿った直線状に延伸し、プーリ52でワイヤ54を巻き取る際の負荷の増加、プーリ52からワイヤ54が引き出される際の負荷の増加が抑制される。
なお、ワイヤ54は、プーリ52に巻き取ることが可能な可撓性を有することから、第2の移動部材32cを押して移動部材32を後方へ移動させることができない。そこで、移動部材32が矢印A1で示す前方向に移動することで圧縮され、移動部材32を矢印A2で示す後方向に押す力を移動部材32に掛ける付勢部材33を備える。これにより、プーリ52でワイヤ54を巻き取り、ドライバビット2を前進させる構成で、前進後のドライバビット2を後進させることができる。
また、ドライバビット2を保持する保持部材30は、保持部材30に設けた連結部材30bと、回転ガイド部材31に設けた溝部31aとの係合で、回転ガイド部材31に対して前後方向に移動可能に支持されると共に、回転ガイド部材31と共に回転する。
よって、ビット回転モータ40が回転ガイド部材31及び保持部材30と、保持部材30に保持されたドライバビット2と同軸上に配置される構成で、ビット回転モータ40を前後方向に移動させることなく、ドライバビット2を回転させると共に、ドライバビット2を前後方向に移動させる構成を実現することができる。
なお、ビット回転モータ40をドライバビット2と同軸上に配置する構成では、送りネジを利用して、ビット回転モータ40の回転動作を、ドライバビット2の前後方向への移動に変換する構成が考えられる。
しかし、送りネジを利用した構成では、モータ1回転あたりのドライバビット2の前進量を大きく取れないことから、モータの回転速度を上げても、ドライバビット2の移動速度を速くすることが難しい。
締結工具1では、ドライバビット2でネジ200を締結対象物に押し付けるまでの時間を短縮するため、ドライバビット2の移動速度を速くする必要があるが、送りネジを利用した構成では、ドライバビット2でネジ200を締結対象物に押し付けるまでの時間を短縮することが難しい。
これに対し、ドライバビット2を保持する保持部材30が、回転ガイド部材31に対して前後方向に移動可能に支持され、第2の駆動部5によりプーリ52を回転させてワイヤ54を巻き取り、保持部材30を前方向に移動させる構成では、ビット移動モータ50の回転速度に応じて、ドライバビット2の移動速度を速くすることができる。よって、ドライバビット2でネジ200を締結対象物に押し付けるまでの時間を短縮することができる。
図7A、図7Bは、着脱保持機構の一例を示す断面図、図8A、図8Bは、着脱保持機構の一例を示す斜視図であり、着脱保持機構30cの詳細を示す。次に、各図を参照して、着脱保持機構30cについて説明する。
着脱保持機構30cは、開口30a内に露出するボール30dと、ボール30dを開口30a内に露出する方向に付勢するバネ30eを備える。バネ30eは、環状の板バネで構成され、保持部材30の外周に嵌められる。
ドライバビット2の差込み部20が、保持部材30の開口30aに挿入されると、着脱保持機構30cは、差込み部20に押されたボール30dが、環状のバネ30eの径が大きくなる方向にバネ30eを変形させながら、保持部材30の外周方向へ退避する。
差込み部20の外周に形成された溝部20aが、ボール30dと対向する位置まで、ドライバビット2の差込み部20が保持部材30の開口30aに挿入されると、バネ30eで付勢されたボール30dが溝部20aに嵌る。これにより、ドライバビット2が保持部材30から不用意に抜けることが抑制される。
また、ドライバビット2を保持部材30から抜く方向に所定以上の力が掛かると、環状のバネ30eの径が大きくなる方向にバネ30eを変形させながら、ボール30dが退避することで、ドライバビット2を保持部材30から抜くことが可能である。
ドライバビット2の差込み部20が、保持部材30の開口30aに挿抜される動作では、ボール30dが保持部材30の外周方向へ退避する。このため、保持部材30の外周に、ボール30dが退避する空間が必要となる。一方、保持部材30は、筒状の回転ガイド部材31の内部に挿入されており、保持部材30の外周と回転ガイド部材31の内周の間には、ボール30dが退避する空間を確保できない。
また、保持部材30の外周と回転ガイド部材31の内周の間に、ボール30dが退避する空間を確保するため、保持部材30と回転ガイド部材31との径差を設定すると、ドライバビット2の径方向の寸法が決められていることで、保持部材30の外径を小さくできないことから、回転ガイド部材31の外径を大きくする必要がある。このため、装置が大型化する。
これに対し、回転ガイド部材31は、連結部材30bをガイドする溝部31aが設けられる。溝部31aは、回転ガイド部材31の内周側から外周側へ表裏貫通しており、回転ガイド部材31の軸方向に延伸する。
そこで、着脱保持機構30cは、ボール30dが、回転ガイド部材31の溝部31aの位置に合わせて設けられる。すなわち、保持部材30は、連結部材30bと、着脱保持機構30cのボール30dが、回転ガイド部材31の軸方向に沿った同軸上に設けられる。これにより、着脱保持機構30cは、回転ガイド部材31及び保持部材30が回転する動作、保持部材30が回転ガイド部材31に対して軸方向に移動する動作の何れでも、ボール30dが回転ガイド部材31の溝部31aに露出する。
従って、ドライバビット2の差込み部20が、保持部材30の開口30aに挿抜される動作で、保持部材30の外周方向へ退避するボール30dが、回転ガイド部材31の溝部31aに入る。
よって、筒状の回転ガイド部材31の内部に保持部材30が挿入される構成で、着脱保持機構30cのボール30dが退避する空間を確保できる。また、連結部材30bが入る溝部31aを、ボール30dが退避する空間として兼用することで、回転ガイド部材31に設けられる開口の面積が抑制され、強度を確保できる。
更に、保持部材30と回転ガイド部材31との径差を大きくして、保持部材30の外周と回転ガイド部材31の内周の間に、ボール30dが退避する空間を確保する必要がなく、装置の大型化を抑制できる。
図9は、本実施の形態のネジ送り部及びノーズ部の一例を示す斜視図であり、ネジ送り部7及びノーズ部8の詳細を示す。次に、各図を参照して、ネジ送り部7及びノーズ部8について説明する。
ネジ送り部7は、ネジ送りモータ70と、ネジ送りモータ70の軸に減速機を介して取り付けられるピニオンギア71と、ピニオンギア71と噛み合うラックギア72と、ラックギア72と連結され、ネジ収納部6から送られる連結ネジと係合する係合部73を備える。
ネジ送り部7は、ラックギア72が、連結ネジの送り方向に沿った上下方向に移動可能に支持される。ネジ送り部7は、ネジ送りモータ70が正転及び逆転することで、連結ネジと係合する係合部73が上下方向に移動し、連結ネジが送られる。
ノーズ部8は、ネジ送り部7によりネジ200が供給されると共に、ドライバビット2が通る射出通路80と、射出通路80と連通する射出口81aを有し、締結対象物に接触するコンタクト部材81と、コンタクト部材81と連動して前後方向に移動するコンタクトアーム82と、コンタクトアーム82の移動量を規制する調整部83を備える。また、ノーズ部8は、ネジ収納部6から射出通路80までのネジ200が通る経路を開閉可能に覆うカバー部材88を備える。
締結工具1は、射出通路80、コンタクト部材81及びコンタクトアーム82を構成する各部品が組み立てられてノーズ部8が構成され、工具本体10を構成する前フレーム10b及びノーズ本体部10fに固定される。また、締結工具1は、コンタクトアーム82に押されて作動するコンタクトスイッチ部84を備える。
ノーズ部8は、コンタクト部材81が矢印A1、A2で示す前後方向に移動可能に支持され、コンタクト部材81と連動してコンタクトアーム82が前後方向に移動する。ノーズ部8は、コンタクト部材81が図示しない付勢部材で前方向に付勢され、締結対象物に押し付けられて後方に移動したコンタクト部材81が、付勢部材で付勢されて前方向に移動する。
ノーズ部8は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられてコンタクトアーム82が後方へ移動し、コンタクトスイッチ部84が作動するまでのコンタクトアーム82の移動量が調整部83で調整される。コンタクトスイッチ部84は、コンタクトアーム82に押されることで作動の有無が切り替えられ、本例では、コンタクトアーム82に押されておらず、コンタクトスイッチ部84が非作動な状態をコンタクトスイッチ部84のオフ、コンタクトアーム82に押されてコンタクトスイッチ部84が作動した状態をコンタクトスイッチ部84のオンとする。
次に、各図を参照して、締結工具1の制御及び操作に関する構成について説明する。締結工具1は、操作を受けるトリガ9と、トリガ9の操作で作動するトリガスイッチ部90を備える。トリガ9は、ハンドル11の前側に設けられ、ハンドル11を把持する手の指で操作可能に構成される。トリガスイッチ部90は、トリガ9に押されて作動する。
トリガスイッチ部90は、トリガ9に押されることで作動の有無が切り替えられ、本例では、トリガ9が操作されておらず、トリガ9でトリガスイッチ部90が押されずトリガスイッチ部90が非作動な状態をトリガスイッチ部90のオフ、トリガ9が操作され、トリガ9に押されてトリガスイッチ部90が作動した状態をトリガスイッチ部90のオンとする。
締結工具1は、トリガ9の操作で作動するトリガスイッチ部90及びコンタクト部材81に押されて作動するコンタクトスイッチ部84の出力に基づき、第1の駆動部4、第2の駆動部5及びネジ送り部7を制御する制御部100を備える。
制御部100は、各種電子部品が実装された基板で構成され、ネジ収納部6とハンドル11との間で、ネジ収納部6の裏面側に設けた基板収納部111に設けられる。
ハンドルを手で持って使用される電動工具では、ネジ等の消耗品が収納される収納部が、ハンドルの前方に設けられる。そして、ハンドルを手で把持できるようにするため、ハンドルと収納部の間には、手の指が入る空間が必要である。
そこで、締結工具1は、ネジ収納部6とハンドル11との間の空間を利用して、ネジ収納部6の裏面側に基板収納部111を備える。
ハンドルを手で持って使用される電動工具では、ハンドルの下部にバッテリが取り付けられると共に、ハンドルとバッテリの間に基板が設けられる構成が提案されている。このような構成であると、ハンドルの延伸方向に沿った電動工具の上下方向の寸法が拡大する。
これに対し、ネジ収納部6の裏面側に基板収納部111を備えることで、ハンドル11の延伸方向に沿った締結工具1の上下方向の寸法が拡大することが抑制される。また、ネジ収納部6は、渦巻き状に巻かれた連結ネジが収納されるため、ネジ収納部6においてハンドル11と対向する面は略円形である。これにより、締結工具1の大型化を抑制しながら、基板収納部111の容積を確保できる。
図10A~図10Cは、本実施の形態の締結工具の一例を示す後方から見た斜視図、図11は、設定部の一例を示す斜視図であり、設定部110の詳細を示す。次に、各図を参照して、設定部110について説明する。
締結工具1は、ドライバビット2を軸方向に沿った前後方向に移動させる第2の駆動部5を備え、第2の駆動部5がビット移動モータ50で駆動され、ビット移動モータ50で駆動されて回転するプーリ52とワイヤ54で連結された移動部材32及び移動部材32と連結された保持部材30が、回転ガイド部材31に沿って、ドライバビット2の軸方向に沿った前方向に移動する構成である。
これにより、ビット移動モータ50の回転数を制御することで、ドライバビット2の移動量(前進量)を制御できる。すなわち、ネジ200を締結する方向にドライバビット2を回転させるビット回転モータ40の回転に連動して、ビット移動モータ50を回転させることで、ネジ200の締結に伴い、ネジ200に追従して前進させるドライバビット2の前進量を、ビット移動モータ50の回転数で制御して、ドライバビット2の軸方向に沿った停止位置を制御できる。
そこで、締結工具1は、ドライバビット2の前進量を設定する設定部110を備える。設定部110は設定手段の一例で、複数の設定値の中から任意の設定値が選択可能、または、任意の設定値が無段階で選択可能に構成される。
設定部110は、本例では、ボタンで構成される操作部110aで設定値が選択される構成である。また、操作部110aは、回転式のダイヤルで設定値が選択される構成でも良い。また、設定部110は、現在の設定値を作業者が容易に把握できるよう、ラベルや刻印等で現在値を示す方法や、LED等の表示部110bで現在値を示す方法等により、選択された設定値を表示する構成を備えても良い。
設定部110は、ネジ収納部6の裏面側に設けた基板収納部111において、ハンドル11と対向する側の面の左右両側にそれぞれ設けられる。
これにより、締結工具1を後方からみた場合に、ハンドル11の左右両側から設定部110を視認することが可能である。
ハンドル11を手で持つ使用形態では、ネジ収納部6のハンドル11と対向する側の面が、締結工具1を持つ作業者に向く。これにより、ネジ収納部6の裏面側に設けた基板収納部111において、ハンドル11と対向する側の面に設定部110を備えることで、設定部110に設けた表示部110bが視線に入りやすい。よって、作業者が表示を見逃す可能性を低減できる。なお、表示部110bに表示される内容としては、ドライバビット2の前進量で規定されるネジ深さの設定値に加え、電源のON/OFFの状態、選択可能な各種運転モードの中から選択された運転モード、ネジの有無、ネジの残量、異常の有無等である。
また、ハンドル11を手で持つ使用形態で、設定部110に設けたボタン等の操作部110aも視線に入りやすい。よって、一方の手でハンドル11を持った状態で、操作部110aを視認しながら、もう一方の手で操作部110aを操作でき、操作を確実にできる。
更に、基板収納部111には、制御部100を構成する基板が収納されている。この基板において、ハンドル11と対向する側の面に、操作部110aを構成するスイッチ類等、表示部110bを構成するランプ類等を実装することで、制御部100とは別に、設定部110用の基板を省略できる。
図12は、本実施の形態の締結工具の一例を示すブロック図である。締結工具1は、上述したように、ドライバビット2を軸方向に沿った前後方向に移動させる第2の駆動部5を備え、第2の駆動部5がビット移動モータ50で駆動される。ドライバビット2が取り付けられる保持部材30は移動部材32と連結され、移動部材32がビット移動モータ50で駆動されて回転するプーリ52とワイヤ54で連結される。そして、保持部材30及び移動部材32が、回転ガイド部材31に沿って、ドライバビット2の軸方向に沿った前方向に移動する構成である。
これにより、制御部100は、ビット移動モータ50の回転数を制御することで、ドライバビット2の移動量(前進量)を制御できる。すなわち、ネジ200を締結する方向にドライバビット2を回転させるビット回転モータ40の回転に連動して、ビット移動モータ50を回転させることで、ネジ200の締結に伴い、ネジ200に追従して前進させるドライバビット2の前進量を、ビット移動モータ50の回転数で制御して、ドライバビット2の軸方向に沿った停止位置を制御できる。
また、制御部100は、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数が、設定部110で設定される。更に、制御部100は、コンタクトスイッチ部84のオン、オフと、トリガスイッチ部90のオン、オフの組み合わせに基づき、第2の駆動部5のビット移動モータ50と第1の駆動部4のビット回転モータ40の駆動の有無を制御する。
<本実施の形態の締結工具の動作例>
図13Aは、本実施の形態の締結工具の動作の一例を示す側断面図、図13Bは、本実施の形態の締結工具の動作の一例を示す上面断面図、図14は、本実施の形態の締結工具の動作の一例を示すフローチャートであり、次に、各図を参照して、本実施の形態の締結工具の締結動作について説明する。
締結工具1は、待機状態では、図1Aに示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、図14のステップSA1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数を設定する。制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSA2でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSA3でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSA4で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動すると共に、ステップSA5で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られる。プーリ52にワイヤ54が巻き取られることで、ワイヤ54と連結された第2の移動部材32cが、回転ガイド部材31にガイドされ軸方向に沿った前方向に移動する。第2の移動部材32cが前方向に移動すると、第1の移動部材32aがベアリング32bを介して第2の移動部材32cに押され、第2の移動部材32cと共に、付勢部材33を圧縮しながら軸方向に沿った前方向に移動する。
第1の移動部材32aが前方向に移動すると、第1の移動部材32aと連結部材30bで連結された保持部材30が、回転ガイド部材31の溝部31aに連結部材30bがガイドされて、ドライバビット2の軸方向に沿った前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が矢印A1で示す前方向に移動し、ノーズ部8の射出口81aに供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、回転ガイド部材31が正方向に回転する。回転ガイド部材31が正方向に回転すると、保持部材30と連結された連結部材30bが回転ガイド部材31の溝部31aに押されることで、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、ビット回転モータ40に掛かる負荷、ビット回転モータ40の回転数、ビット移動モータ50に掛かる負荷、ビット移動モータ50の回転数等に基づき、第2の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。本実施の形態において、ビット回転モータ40等に掛かる負荷とは、ネジ200が締結対象物にねじ込まれる際のネジ200と締結対象物との間に生じる摩擦力等を含む抵抗に基づく力である。
制御部100は、ステップSA6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、図13A、図13Bに示すように、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したと判断すると、ステップSA7でビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ステップSA8でビット移動モータ50の正方向への回転を停止した後、ステップSA9でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出される。ワイヤ54がプーリ52から引き出されることで、第2の移動部材32cが前方向に移動することで圧縮されていた付勢部材33が伸び、第2の移動部材32cを後方向に押す。
第2の移動部材32cは、付勢部材33により後方向に押されることで、回転ガイド部材31にガイドされ軸方向に沿った後方向に移動する。第2の移動部材32cが後方向に移動すると、第1の移動部材32aがベアリング32bを介して第2の移動部材32cに引かれ、第2の移動部材32cと共に軸方向に沿った後方向に移動する。
第1の移動部材32aが後方向に移動すると、第1の移動部材32aと連結部材30bで連結された保持部材30が、回転ガイド部材31の溝部31aに連結部材30bがガイドされて、ドライバビット2の軸方向に沿った後方向に移動する。
制御部100は、ステップSA10で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が逆転し、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻る位置まで、保持部材30及び移動部材32が後方向に移動すると、ステップSA11でビット移動モータ50の逆転を停止する。
なお、移動部材32は、第2の移動部材32cの後側にゴム等による緩衝部材32dを備えることで、第2の移動部材32cが後方向に移動する動作で、第2の移動部材32cが直接後フレーム10cに当たることが抑制され、音の発生や損傷を抑制することができる。制御部100は、トリガスイッチ部90がオフになると、ネジ送りモータ70を一の方向に回転させることで、係合部73を下降させる。係合部73が次のネジ200と係合する位置まで下降すると、制御部100は、ネジ送りモータ70を逆転させることで、係合部73を上昇させ、次のネジ200を射出通路80に供給する。
図15A~図15Cは、ネジの締結状態を示す断面図で、図15Aは、ネジ200の頭部201が、締結対象物202の表面から浮き上がったり埋まったりしない所謂面一な状態、図15Bは、ネジ200の頭部201が、締結対象物202から浮いた状態、図15Cは、ネジ200の頭部201が、締結対象物202に埋まった状態を示す。
締結工具1は、ドライバビット2の先端が作動終了位置P2に到達したとき、ネジ200が皿ネジである場合、図15Aに示すように、ネジ200の頭部201の表面が、締結対象物202の表面と同一となる所謂面一な状態となるように、ドライバビット2の前進量が設定されていることが好ましい。なお、ネジ200は皿ネジに限らず、なべ、バインド、トラス等であれば、ネジ200の頭部201の座面が、締結対象物202の表面と接して、ネジ200の頭部201が締結対象物202から浮いた状態とならないように、ドライバビット2の前進量が設定されていることが好ましい。
ドライバビット2の先端が作動終了位置P2に到達したとき、ネジ200の頭部201が、図15Bに示すように締結対象物202から浮いた状態である場合、ドライバビット2の移動量(前進量)を設定部110で設定し、ビット移動モータ50の回転数(回転量)を増加させることでドライバビット2の前進量を増加させて、作動終了位置P2を前進させる。一方、ネジ200の頭部201が、図15Cに示すように締結対象物202に埋まった状態である場合、ドライバビット2の移動量(前進量)を設定部110で設定し、ビット移動モータ50の回転数を減少させることでドライバビット2の前進量を減少させて、作動終了位置P2を後退させる。
上述したように、ドライバビット2の移動量(前進量)は、ビット移動モータ50の回転数で規定される。そして、ドライバビット2の初期位置である待機位置P1を起点として、設定部110で設定された回転数だけビット移動モータ50を回転させた後、ビット移動モータ50を回転停止または逆転させることで、作動終了位置P2が制御される。よって、締め込む深さを調整することができる。
このように、保持部材30に保持されたドライバビット2の先端位置を、所定の待機位置P1を基準として、ビット移動モータ50の回転数に基づき所定量前進できるようにするため、ドライバビット2が取り付けられる保持部材30及び保持部材30を移動させる移動部材32の待機位置が設定される。保持部材30及び移動部材32の待機位置を設定する動作を、第1の初期化動作と称す。
そして、打ち込み、締結動作開始前に保持部材30及び移動部材32を設定された待機位置に移動させ、待機位置を基準としてビット移動モータ50の回転数により保持部材30及び移動部材32の位置を制御する。そして、保持部材30及び移動部材32を、設定された待機位置から所定の移動量(前進量)まで前進させて、締結動作を行う。保持部材30及び移動部材32を第1の初期化動作で設定された待機位置に移動させる動作を第2の初期化動作と称す。
第1の初期化動作における保持部材30及び移動部材32の待機位置の設定手段としてはセンサを用いるものや、保持部材30及び移動部材32の前後動可能な範囲の最大位置を基準にするものが考えられる。センサを用いる場合には、センサの検出位置あるいは検出位置から規定量移動させた位置を待機位置として設定する。
また、前後動可能な範囲の最大位置を用いる場合には、保持部材30及び移動部材32を、前端位置あるいは後端位置から規定量移動させた位置を待機位置として設定する。
図16A~図16Dは、第1の初期化動作において保持部材及び移動部材の待機位置を設定する動作の一例を示す説明図で、次に、保持部材30及び移動部材32の待機位置を設定する動作について説明する。なお、図16A~図16Dでは、保持部材30及び移動部材32の前後動可能な範囲の最大位置を用いて待機位置を設定する動作の一例である。
制御部100は、図16Aに示すように、保持部材30及び移動部材32が任意の位置にある状態から、ビット移動モータ50を一の方向である正方向に回転させる。ビット移動モータ50が正転すると、ワイヤ54がプーリ52に巻き取られることで、移動部材32及び移動部材32と連結された保持部材30が、回転ガイド部材31に沿って、ドライバビット2の軸方向に沿った前方向に移動する。
制御部100は、図16Bに示すように、保持部材30及び移動部材32が、一方の端部位置である前端位置PFに移動するまでビット移動モータ50が正転すると、ビット移動モータ50の正転を停止し、保持部材30及び移動部材32を前端位置PFまで移動させる。
次に、制御部100は、ビット移動モータ50を他の方向である逆方向に回転させる。ビット移動モータ50が逆転すると、ワイヤ54がプーリ52から引き出されることで、付勢部材33により移動部材32が後方向に押され、移動部材32及び移動部材32と連結された保持部材30が、回転ガイド部材31に沿って、ドライバビット2の軸方向に沿った後方向に移動する。
制御部100は、図16Cに示すように、保持部材30及び移動部材32が、他方の端部位置である後端位置PEに移動するまでビット移動モータ50が逆転すると、ビット移動モータ50の逆転を停止し、付勢部材33の付勢により保持部材30及び移動部材32を後端位置PEまで移動させる。
制御部100は、保持部材30及び移動部材32の前端位置PFから後端位置PEまでの移動量を全体距離L1として取得する。前端位置PFから後端位置PEまでの移動量は、ビット移動モータ50の回転数から求められる。
制御部100は、保持部材30及び移動部材32の待機位置から、前端位置PFまでの移動量が、目標移動量L2としてあらかじめ設定される。制御部100は、前端位置PFから後端位置PEまでの全体距離L1と、予め設定された目標移動量L2との差分を待機位置移動量L3に設定し、これを記憶する。待機位置移動量L3は、保持部材30及び移動部材32の後端位置PEからの移動量である。
制御部100は、図16Dに示すように、ビット移動モータ50を正転させ、保持部材30及び移動部材32を後端位置PEから前方向に移動させる。制御部100は、待機位置移動量L3に相当する回転数、ビット移動モータ50を正転させると、ビット移動モータ50の正転を停止し、保持部材30及び移動部材32を待機位置まで移動させ、保持部材30に保持されたドライバビット2の先端を待機位置P1に移動させる。
なお、前端位置PF及び後端位置PEへ保持部材30及び移動部材32を移動させる際には、第2の移動部材32cが緩衝部材32dに当たる際等に、工具の耐久性に影響を与えない程度の低速で駆動させることが望ましい。
図17A~図17Cは、第2の初期化動作において保持部材及び移動部材を待機位置に移動させる動作の一例を示す説明図で、次に、保持部材30及び移動部材32を予め設定された待機位置に移動させる動作について説明する。
制御部100は、図17Aに示すように、保持部材30及び移動部材32が任意の位置にある状態から、ビット移動モータ50を他の方向である逆方向に回転させる。ビット移動モータ50が逆転すると、ワイヤ54がプーリ52から引き出されることで、付勢部材33により移動部材32が後方向に押され、移動部材32及び移動部材32と連結された保持部材30が、回転ガイド部材31に沿って、ドライバビット2の軸方向に沿った後方向に移動する。
制御部100は、図17Bに示すように、保持部材30及び移動部材32が後端位置PEに移動するまでビット移動モータ50が逆転すると、ビット移動モータ50の逆転を停止し、付勢部材33の付勢により保持部材30及び移動部材32を後端位置PEまで移動させる。
制御部100は、図17Cに示すように、ビット移動モータ50を正転させ、保持部材30及び移動部材32を後端位置PEから前方向に移動させる。制御部100は、待機位置移動量L3に相当する回転数、ビット移動モータ50を正転させると、ビット移動モータ50の正転を停止し、保持部材30及び移動部材32を待機位置まで移動させ、保持部材30に保持されたドライバビット2の先端を待機位置P1に移動させる。
図16A~図16Dで説明した第1の初期化動作において、保持部材30及び移動部材32の待機位置を設定する動作は、例えば、ユーザの操作によらず、製品の出荷時等に工場で行われて予め待機位置移動量L3が記憶される。
一方、図17A~図17Cで説明した第2の初期化動作において、保持部材30及び移動部材32を待機位置移動量L3に基づき待機位置に移動させる動作は、安定した締結動作を行えるようにするため、締結工具1の毎電源投入時に行うことが好ましい。
そこで、保持部材30及び移動部材32の待機位置に関する初期化動作である第1の初期化動作と第2の初期化動作が選択可能に構成される。
図18は、第1の初期化動作と第2の初期化動作を選択する動作の一例を示すフローチャートである。
制御部100は、図18のステップSB1で電源が投入されると、ステップSB2で、実行する初期化動作を選択する。制御部100は、第1の初期化動作の実行を選択すると、ステップSB3で、上述した図16A~図16Dで説明した第1の初期化動作を実行して、保持部材30及び移動部材32の待機位置を設定する。制御部100は、第2の初期化動作の実行を選択すると、ステップSB4で、上述した図17A~図17Cで説明した第2の初期化動作を実行して、保持部材30及び移動部材32を待機位置移動量L3に基づき待機位置に移動させる。制御部100は、第2の初期化動作を実行した後、ステップSB5で、上述した図14のフローチャート等に従い、通常の締結動作を実行する。
上述したように、第1の初期化動作では、保持部材30及び移動部材32を前端位置PFから後端位置PEまで低速で移動させて、前端位置PFから後端位置PEまでの全体距離L1を取得し、前端位置PFからの移動量が所定の目標移動量L2となるように定めた後端位置PEからの移動量を待機位置移動量L3として設定し、制御部100を構成する図示しない基板上のメモリに記録する。これにより、公差の範囲内での寸法の違い等、機械の各種ばらつきを排除して、保持部材30及び移動部材32の待機位置を、例えば前端位置PFからの一定位置に設定することができる。
また、第2の初期化動作では、ユーザが使用するための電源投入時毎に、保持部材30及び移動部材32を後端位置PEから待機位置移動量L3に応じて待機位置に移動させることで、保持部材30及び移動部材32の移動量を最低限とすることができる。更に、第2の初期化動作では、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給された状態で、第2の初期化動作を実行できる。
上述したように、ドライバビット2の移動量(前進量)は、保持部材30及び移動部材32の待機位置、すなわち、ドライバビット2の待機位置P1を起点として、ビット移動モータ50の回転数で規定される。このため、保持部材30及び移動部材32の待機位置、すなわち、ドライバビット2の待機位置P1がばらつくと、設定部110で設定された締め込み深さがばらつく。
これに対し、電源投入時毎に第2の初期化動作を行うことで、保持部材30及び移動部材32の待機位置、すなわち、ドライバビット2の待機位置P1を起点として、設定部110で設定された回転数だけビット移動モータ50を回転させる動作により、ネジの締め込み深さの調整を正確にできる。
図19は、本実施の形態の締結工具の動作の変形例を示すフローチャート、図20は、コンタクトスイッチ部の出力とビット回転モータ及びビット移動モータの制御の関係を示すグラフであり、次に、各図を参照して、本実施の形態の締結工具の締結動作の他の例について説明する。この変形例では、コンタクトスイッチ部84の出力から、締結対象物に対する締結工具1の浮き上がりの有無を検知して、ビット回転モータ40及びビット移動モータ50を制御する。
締結工具1は、待機状態では、図1Aに示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、図19のステップSC1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数を設定する。制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSC2でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSC3でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSC4で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動すると共に、ステップSC5で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られ、第2の移動部材32cがワイヤ54と連結された移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が矢印A1で示す前方向に移動し、ノーズ部8の射出口81aに供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、ビット回転モータ40に掛かる負荷、ビット回転モータ40の回転数、ビット移動モータ50に掛かる負荷、ビット移動モータ50の回転数等に基づき、第2の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、ステップSC6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したと判断すると、ステップSC7でビット移動モータ50の駆動を停止する。
制御部100は、ステップSC7でビット移動モータ50の駆動を停止すると、ステップSC8でコンタクトスイッチ部84がオンであるか判断する。制御部100は、コンタクトスイッチ部84がオンであると、締結工具1が締結対象物から離れる方向に浮き上がっていないと判断し、締結動作を終了するため、ステップSC9でビット回転モータ40の正方向への回転を停止し、ステップSC10でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出され、第2の移動部材32cが付勢部材33で押される移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が後方向に移動する。
制御部100は、ステップSC11で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が逆転し、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻る位置まで、保持部材30及び移動部材32が後方向に移動すると、ステップSC12でビット移動モータ50の逆転を停止する。
制御部100は、ステップSC8で、コンタクトスイッチ部84がオフであると、締結工具1が締結対象物から離れる方向に浮き上がっていると判断し、ビット移動モータ50の駆動を停止した状態で、ビット回転モータ40を正方向に回転させる駆動を継続する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向に回転させ、締結対象物に更にねじ込むことで、締結工具1が締結対象物に近づく方向へ移動する。よって、コンタクトアーム82に対して締結工具1が相対的に移動し、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、コンタクトスイッチ部84がオンとなる。制御部100は、コンタクトスイッチ部84がオンであると、締結動作を終了するため、上述したステップSC9~SC12の処理を実行し、ビット回転モータ40の停止、ビット移動モータ50の逆転によるドライバビット2の待機位置への復帰動作を行う。
また、制御部100は、コンタクトスイッチ部84がオフとなり、ビット移動モータ50の駆動を停止した状態で、ビット回転モータ40を正方向に回転させる動作の間、ビット移動モータ50が外力で回転しないような制動動作と称す制御を行うことで、保持部材30及び移動部材32と、保持部材30に保持されたドライバビット2が、作動終了位置P2で停止した状態を維持する。
但し、ビット移動モータ50の駆動を停止した状態で、ビット回転モータ40を正方向に回転させる動作の間、締結工具1が作業者により締結対象物に押し付けられる方向に力が加えられながら、ネジ200を締める状態となる。このため、ビット移動モータ50に対して制動動作を行っても、作業者により加えられる力により、保持部材30及び移動部材32と、保持部材30に保持されたドライバビット2が、作動終了位置P2から後方向に移動する可能性がある。
そこで、制御部100は、ステップSC13で、ビット移動モータ50の逆転の有無を検知し、ビット移動モータ50の逆転を検知すると、ステップSC5に戻り、ビット移動モータ50を正転させて、保持部材30及び移動部材32を前方向に移動させ、ドライバビット2を作動終了位置P2に戻す。そして、ビット移動モータ50の正転を停止し、制動動作を行う。
なお、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84のオンとオフが切り替わるためには、コンタクトアーム82が所定量移動する必要がある。このため、上述したように、ステップSC8で、コンタクトスイッチ部84がオフであることを検知し、ビット移動モータ50の駆動を停止した状態で、ビット回転モータ40を正方向に回転させる駆動を継続して、コンタクトスイッチ部84がオフからオンに切り替わるまで、コンタクトアーム82が移動する間に、保持部材30及び移動部材32の位置が変動する可能性がある。そこで、コンタクトアーム82の位置を検知する検出部を備えることが望ましい。なお、ビット保持部3の回転と、ビット保持部3の軸方向への移動を、単一のモータで行う構成でもよく、制御部100は、上述したコンタクトスイッチ部84の作動の有無に基づき、上述した単一のモータの駆動を停止するタイミングを制御するようにしても良い。
図21は、本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャート、図22A、図22Bは、負荷とビット回転モータの制御の関係を示すグラフであり、次に、各図を参照して、本実施の形態の締結工具の締結動作の他の変形例について説明する。この変形例では、ビット回転モータ40に掛かる負荷を検知して、ビット回転モータ40を制御する。
締結工具1は、待機状態では、図1Aに示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、図21のステップSD1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数を設定する。制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSD2でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSD3でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSD4で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動すると共に、ステップSD5で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られ、第2の移動部材32cがワイヤ54と連結された移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が矢印A1で示す前方向に移動し、ノーズ部8の射出口81aに供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、ビット回転モータ40に掛かる負荷、ビット回転モータ40の回転数、ビット移動モータ50に掛かる負荷、ビット移動モータ50の回転数等に基づき、第2の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、ステップSD6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したか判断する。制御部100は、ビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値に到達していないと判断すると、ステップSD7で、ビット回転モータ40に掛かる負荷を検知し、所定の負荷を検知すると、ステップSD8でビット回転モータ40を制御する。
ビット回転モータ40に掛かる負荷の大小により、ドライバビット2の回転速度に差が生じ、ビット回転モータ40に印加する電流値、電圧値が同じであれば、ビット回転モータ40に掛かる負荷が高い程、回転速度が低下する。そこで、制御部100は、ビット回転モータ40の回転速度が変動する要因を検知する変動検知部として、ビット回転モータ40に掛かる負荷を検知し、ビット回転モータ40に掛かる負荷が低い程、負荷が高い場合と比較してビット回転モータ40に印加する電圧値を下げる、ビット回転モータ40に流す電流値を下げる等、ビット回転モータ40の出力を低下させる。例えば、負荷の大小を判断する際の基準となる閾値を予め設定しておき、検知したビット回転モータ40に掛かる負荷が閾値以上の場合にはビット回転モータ40等の電圧値、電流値または出力を下げるように制御し、検知したビット回転モータ40に掛かる負荷が閾値未満の場合にはビット回転モータ40等の電圧値、電流値または出力を上げるように制御しても良い。
これにより、ビット回転モータ40に掛かる負荷が低い場合、ビット回転モータ40の回転速度を低下させることで、負荷が高い場合と比較して、回転速度が高くなることが抑制され、ビット回転モータ40に掛かる負荷の大小により、ビット回転モータ40の回転速度に差が生じることが抑制される。よって、ネジ200を締結する速度にばらつきが生じることが抑制される。
制御部100は、ステップSD6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したと判断すると、ステップSD9でビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ステップSD10でビット移動モータ50の正方向への回転を停止した後、ステップSD11でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出され、第2の移動部材32cが付勢部材33で押される移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が後方向に移動する。
制御部100は、ステップSD12で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が逆転し、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻る位置まで、保持部材30及び移動部材32が後方向に移動すると、ステップSD13でビット移動モータ50の逆転を停止する。
ビット回転モータ40の出力を低下させる制御では、図22Aに示すように、所定の負荷検知後、ドライバビット2が作動終了位置に移動する回転数、ビット回転モータ40が回転するまで、一定の回転速度となるように出力を低下させても良い。また、図22Bに示すように、所定の負荷検知後、ドライバビット2が作動終了位置に移動する回転数、ビット回転モータ40が回転するまでに、目標とする回転速度となるように、徐々に出力を低下させても良い。
なお、電源電圧の変動により、ドライバビット2の回転速度に差が生じ、電源電圧が低い程、回転速度が低下する。そこで、制御部100は、ビット回転モータ40の回転速度が変動する要因を検知する変動検知部として、電源電圧を検知し、電源電圧が高い程、電源電圧が低い場合と比較してビット回転モータ40の出力を低下させる。
これにより、電源電圧が高い場合、電源電圧が低い場合と比較してビット回転モータ40の回転速度を低下させることで、電源電圧の変動により、ビット回転モータ40の回転速度に差が生じることが抑制される。よって、ネジ200を締結する速度にばらつきが生じることが抑制される。
また、制御部100は、ビット回転モータ40の目標回転速度が設定されると共に、ビット回転モータ40の回転速度を検知し、検知したビット回転モータ40の回転速度と、予め設定されたビット回転モータ40の目標回転速度を比較して、目標回転速度となるように、ビット回転モータ40を制御しても良い。
さて、ビット回転モータ40の回転速度を低下させると、ネジを締結対象物に締結する作業速度が低下する要因となる。一方、設定部110で設定された目標とするネジ締め込み深さまでネジを締め込んだ後のビット回転モータ40の停止処理中において、ビット回転モータ40の回転が完全に停止しきるまで、ドライバビット2が回転することでネジが締結対象物に締め込まれる。このため、ビット回転モータ40の回転停止直前における回転速度が速い程、ネジが目標以上に締め込まれる。
このように、ビット回転モータ40の回転速度の差によりネジ締め込み作業の品質が低下する要因は、ビット回転モータ40の回転停止直前における回転速度にある。よって、保持部材30及び移動部材32の移動量(前進量)が、設定部110で設定された目標とするネジ締め込み深さに到達する直前に、ビット回転モータ40の回転速度が負荷の影響を排除して一定となっていれば所期の効果が得られる、
ビット回転モータ40に掛かる負荷は、ネジの締結対象物への締め込みが開始されると大きくなるが、締結対象物の素材等により負荷は変動する。そこで、ビット回転モータ40の回転速度を制御するための上述した負荷の検知以降で、目標とするネジ締め込み深さに到達するまでに、負荷、電源電圧等に基づく上述したビット回転モータ40の回転速度の制御を実行する。
なお、計時部を備え、制御部100は、ビット回転モータ40の駆動(正転)を開始してから所定の時間経過後に、負荷、電源電圧等に基づく上述したビット回転モータ40の回転速度の制御を実行しても良い。また、保持部材30及び移動部材32の位置を検知する位置検知部を備え、保持部材30及び移動部材32の位置が所定の位置に到達した後、負荷、電源電圧等に基づく上述したビット回転モータ40の回転速度の制御を実行しても良い。ビット回転モータ40の回転速度の制御を実行する保持部材30及び移動部材32の所定の位置は、ビット回転モータ40の回転速度を制御するための上述した負荷が検知される位置から、目標とするネジ締め込み深さに到達する位置までの間に設定される。
また、ビット回転モータ40の目標回転速度を設定し、出力を制御する方法では、制御実施区間の長さ等の影響により、目標とする回転速度にまでビット回転モータ40の回転速度が低下するより前に、目標とするネジ締め込み深さに到達してしまうことが考えられる。そこで、目標とする回転速度にまでビット回転モータ40の回転速度を低下させる制御の間に、ビット回転モータ40の制動制御を行なっても良い。例えば、ビット回転モータ40の目標回転速度と、検知した実際の回転速度の偏差が大きい場合に、実際の回転速度と目標回転速度との偏差が規定の範囲内となるまでビット回転モータ40の制動制御を行い、上記偏差が規定の範囲内となると、目標とする回転速度にまでビット回転モータ40の回転速度を低下させる制御を行なっても良い。
更に、目標とするネジ締め込み深さにドライバビット2が到達した後、ドライバビット2とネジの係合が外れれば、ドライバビット2が回転してもネジはそれ以上締め込まれないことから、ドライバビット2が目標とするネジ締め込み深さに到達するまで前進した後、ビット回転モータ40の回転停止より前にビット移動モータ50を逆転させても良い。なお、ビット保持部3の回転と、ビット保持部3の軸方向への移動を、単一のモータで行う構成でもよく、制御部100は、単一のモータに掛かる負荷等、同モータの回転速度が変動する要因を検知し、同モータを制御しても良い。
図23は、本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャート、図24Aは、フィードバック(FB)制御によるビット回転モータとビット移動モータの回転速度の関係を示すグラフ、図24Bは、フィードバック(FB)制御によるビット回転モータの回転によるネジの移動速度とビット移動モータによるドライバビットの移動速度の関係を示すグラフであり、次に、各図を参照して、本実施の形態の締結工具の締結動作の他の変形例について説明する。この変形例では、ビット回転モータ40の回転によるネジの移動速度と、ビット移動モータ50によるドライバビットの移動速度を、フィードバック制御で同期させる。
締結工具1は、待機状態では、図1Aに示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、図23のステップSE1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数を設定する。制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSE2でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSE3でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSE4で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動すると共に、ステップSE5で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られ、第2の移動部材32cがワイヤ54と連結された移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が矢印A1で示す前方向に移動し、ノーズ部8の射出口81aに供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、第2の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、ステップSE6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したか判断する。制御部100は、ビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値に到達していないと判断すると、ステップSE7で、ビット移動モータ50に掛かる負荷を検知し、所定の負荷を検知すると、ステップSE8で、ビット回転モータ40の回転速度とビット移動モータ50の回転速度を取得する。
制御部100は、ステップSE9で、ビット回転モータ40の回転によりネジ200が締結対象物に締結されることで、ネジ200が前方向に移動する際の移動速度と、ビット移動モータ50の回転により前方向に移動する保持部材30及び移動部材32と、保持部材30に取り付けられたドライバビット2の移動速度が、図24Bに示すように略一致するように、ビット回転モータ40の減速機のギア比とビット回転モータ40の回転速度に基づきビット移動モータ50の目標回転速度を算出、またはビット移動モータ50の減速機のギア比とビット移動モータ50の回転速度に基づきビット回転モータ40の目標回転速度を算出する。
制御部100は、ステップSE10で、ビット回転モータ40の目標回転速度とビット移動モータ50の目標回転速度、減速機のギア比等に基づくフィードバック制御で、本例では、ビット移動モータ50を制御する。例えば、ビット移動モータ50へのPWM出力を増減させて、回転速度を調整することで制御する。
制御部100は、ステップSE6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したと判断すると、ステップSE11でビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ステップSE12でビット移動モータ50の正方向への回転を停止した後、ステップSE13でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出され、第2の移動部材32cが付勢部材33で押される移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が後方向に移動する。
制御部100は、ステップSE14で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が逆転し、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻る位置まで、保持部材30及び移動部材32が後方向に移動すると、ステップSE15でビット移動モータ50の逆転を停止する。
なお、上述したフィードバック制御は、締結対象物とネジ200が接触して、ビット回転モータ40及びビット移動モータ50に負荷が変動してから必要となる制御である。そこで、フィードバック制御を非実行時の制御を第1の制御モードとし、フィードバック制御の実行時の制御を第2の制御モードとして、ビット回転モータ40またはビット移動モータ50の何れか、あるいは両方で所定の負荷を検知する前は、第1の制御モードが実行される。そして、ビット回転モータ40またはビット移動モータ50の何れか、あるいは両方で所定の負荷を検知すると、第1の制御モードを第2の制御モードに切り替え、第2の制御モードが実行される。これにより、作業時間の遅延を抑制できる。
また、フィードバック制御の応答性を向上させ、より安定した作業品質を実現する手段として、ビット移動モータ50への加減速制限値を、負荷検知後のフィードバック制御実行時と、負荷検知前のフィードバック制御非実行時で変更しても良い。通常、モータへPWM出力を行う際には、モータの出力を安定させるために単位時間毎の加速量を制限することで特に起動時の加速電流が過大にならないようにする制御が実行される。しかし、ビット移動モータ50へ起動時の加速制限を行ったまま上述したフィードバック制御を実行すると、フィードバック制御で生成したPWM出力が制限されてビット移動モータ50に印可されてしまうため、フィードバック制御に対する応答性が悪くなる。そこで、フィードバック制御の実行中は、加速制限量をフィードバック制御非実行時のモータ起動時よりも大きく設定することが望ましい。
図25は、本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャート、図26A、図26Bは、負荷とビット移動モータの制御の関係を示すグラフであり、次に、各図を参照して、本実施の形態の締結工具の締結動作の他の変形例について説明する。この変形例では、ビット移動モータ50に掛かる負荷を検知して、ビット移動モータ50を制御する。
締結工具1は、待機状態では、図1Aに示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、図25のステップSF1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数を設定する。制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSF2でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSF3でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSF4で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動すると共に、ステップSF5で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られ、第2の移動部材32cがワイヤ54と連結された移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が矢印A1で示す前方向に移動し、ノーズ部8の射出口81aに供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、第2の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、ステップSF6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したか判断する。制御部100は、ビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値に到達していないと判断すると、ステップSF7で、ビット移動モータ50に掛かる負荷を検知し、所定の負荷を検知すると、ステップSF8でビット移動モータ50を制御する。
ビット移動モータ50の駆動により保持部材30及び移動部材32が前方向に移動することで、ネジ200が締結対象物に押し付けられる際に、過大な衝撃の発生を抑制するためには、締結速度を低下させないため、ビット回転モータ40は想定される範囲内の最大出力で行うと共に、ビット移動モータ50に印加する電圧値を下げる、ビット移動モータ50に流す電流値を下げる等により、ビット移動モータ50の出力を制限する。
ビット回転モータ40の1回転当たりのネジの前進量に対する、ビット移動モータ50の1回転当たりのドライバビット2の前進量の比が低くなると、ビット移動モータ50によるドライバビット2の前進量が、ビット回転モータ40によるネジの前進量に追いつかなくなるためカムアウトが発生する。一方、ビット回転モータ40の1回転当たりのネジの前進量に対する、ビット移動モータ50の1回転当たりのドライバビット2の前進量の比が高くなると、ビット移動モータ50によるドライバビット2の前進量が、ビット回転モータ40によるネジの前進量を大きく上回るため、作業者により締結工具1を締結対象物方向へ押さえつけるのに過大な力が必要となる。
そこで、出力制限の目標値としては、ビット回転モータ40の1回転当たりのネジの前進量に対する、ビット移動モータ50の1回転当たりのドライバビット2の前進量の比が0.8倍~5倍程度とすることが好ましい。これにより、カムアウトの発生を抑制し、かつ、作業者により締結工具1を締結対象物方向へ押さえつけるのに過大な力を必要せずに、ネジ200が締結対象物に押し付けられる際に、過大な衝撃の発生を抑制することができる。
また、締結対象物とネジ200の接触後に発生するビット移動モータ50の負荷を検知すると、ビット移動モータ50の出力を制限することで、ネジ200が締結対象物に押し付けられる際に、保持部材30及び移動部材32の減速させることで、さらなる衝撃の抑制効果を得られる。
ビット移動モータ50の出力を制限する制御では、図26Aに示すように、所定の負荷検知後、ドライバビット2が作動終了位置に移動する回転数、ビット回転モータ40が回転するまで、ビット移動モータ50を一定の回転速度となるように出力を制限しても良い。また、図26Bに示すように、所定の負荷を検知するまでは、第1の回転速度でビット移動モータ50を正転させる。所定の負荷検知後、ネジ200が締結対象物に押し付けられた際の衝撃を弱めるために回転速度を低くした第2の回転速度でビット移動モータ50を正転させる。更に、ネジ200が締結対象物に押し付けられた際の衝撃が弱まる所定の緩衝時間経過後、第1の回転速度より遅く、第2の回転速度より速い第3の回転速度で、ドライバビット2が作動終了位置に移動する回転数、ビット回転モータ40が回転するまで、一定の回転速度となるように出力を制限しても良い。
なお、電源電圧の変動により、保持部材30及び移動部材32の移動速度(前進速度)に差が生じ、電源電圧が高い程、移動速度が速くなり、ネジ200が締結対象物に押し付けられる際に、過大な衝撃が発生しやすくなる。そこで、制御部100は、電源電圧を検知し、電源電圧が高い程、電源電圧が低い場合と比較してビット移動モータ50の出力を低下させる。
これにより、電源電圧の変動により、ビット移動モータ50の回転速度に差が生じることが抑制される。よって、ネジ200が締結対象物に押し付けられる際に、過大な衝撃が発生することが抑制されると共に、ネジ200を締結対象物に押し付ける速度にばらつきが生じることが抑制される。
制御部100は、ステップSF6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したと判断すると、ステップSF9でビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ステップSF10でビット移動モータ50の正方向への回転を停止した後、ステップSF11でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出され、第2の移動部材32cが付勢部材33で押される移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が後方向に移動する。
制御部100は、ステップSF12で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が逆転し、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻る位置まで、保持部材30及び移動部材32が後方向に移動すると、ステップSF13でビット移動モータ50の逆転を停止する。
図27は、本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートであり、次に、各図を参照して、本実施の形態の締結工具の締結動作の他の変形例について説明する。この変形例では、ビット移動モータ50等に掛かる負荷を検知して、ネジがない状態での駆動を抑制する。
締結工具1は、待機状態では、図1Aに示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、図27のステップSG1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数を設定する。制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSG2でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSG3でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSG4で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動すると共に、ステップSG5で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られ、第2の移動部材32cがワイヤ54と連結された移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が矢印A1で示す前方向に移動し、ノーズ部8の射出口81aに供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、第2の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、ステップSG6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したか判断する。制御部100は、ビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値に到達していないと判断すると、ステップSG7で、ビット回転モータ40またはビット移動モータ50の何れか、あるいは両方に掛かる負荷を検知する。ネジ200が締結対象物に押し付けられることで、所定の負荷を検知すると、ビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値に到達するまで、ビット移動モータ50の正方向への回転を継続する。
制御部100は、ステップSG6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したと判断すると、ステップSG8でビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ステップSG9でビット移動モータ50の正方向への回転を停止した後、ステップSG10でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出され、第2の移動部材32cが付勢部材33で押される移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が後方向に移動する。
制御部100は、ステップSG11で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が逆転し、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻る位置まで、保持部材30及び移動部材32が後方向に移動すると、ステップSG12でビット移動モータ50の逆転を停止する。
ネジ200が射出口81aにない状態で、ビット回転モータ40及びビット移動モータ50がそれぞれ正方向に回転すると、ネジ200が締結対象物に押し付けられないことから、ビット回転モータ40及びビット移動モータ50に掛かる負荷が増加しない。このため、装填される最小のネジ200の長さを基準にした規定の移動量、保持部材30に取り付けられたドライバビット2が前進しても、所定の負荷が検知されなければ、ネジ200がないと判断できる。
そこで、制御部100は、ステップSG13で、装填される最小のネジ200の長さを基準にした規定の移動量、保持部材30に取り付けられたドライバビット2が前進する空転検出規定量、ビット移動モータ50が回転したか判断する。そして、制御部100は、ビット回転モータ40またはビット移動モータ50の何れか、あるいは両方で所定の負荷を検知していないと判断し、かつ、空転検出規定量、ビット移動モータ50が回転したと判断すると、ネジ200がないと判断し、ステップSG14でエラーを通知する。また、上述したステップSG8~SG12の処理で、ビット回転モータ40及びビット移動モータ50の駆動を停止する。
制御部100は、ビット回転モータ40またはビット移動モータ50の何れか、あるいは両方に掛かる負荷を、モータの起動時に発生する電流変化を除きモータに流れる電流の変化によって検出しても良い。また、モータの起動時に発生する電圧変化を除きモータに流れる電圧の変化によって検出しても良い。なお、ビット保持部3の回転と、ビット保持部3の軸方向への移動を、単一のモータで行う構成でもよく、制御部100は、単一のモータに掛かる負荷を検知して、ネジがない状態での駆動を抑制しても良い。
次に、本実施の形態の締結工具の締結動作の他の変形例について説明する。この変形例では、ビット回転モータ40の回転によるネジの移動速度にビット移動モータ50によるドライバビットの移動速度を追従(同期)させるフィードバック制御において、前回のネジ締め作業時に取得したネジ200のリード長を用いて、ビット保持部3の移動速度を算出する。なお、本変形例において、ネジ200のリード長とは、ネジ200が1回転で進む距離を意味する。
図28は、本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートである。なお、フィードバック(FB)制御によるビット回転モータとビット移動モータの回転速度の関係を示すグラフについては図24Aと共通し、フィードバック(FB)制御によるビット回転モータの回転によるネジの移動速度とビット移動モータによるドライバビットの移動速度の関係を示すグラフについては図24Bと共通するため、各グラフの説明については図24A及び図24Bを参照して説明する。
締結工具1は、待機状態では、図1Aに示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、図28のステップSH1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数を設定する。制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSH2でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSH3でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSH4で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動すると共に、ステップSH5で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られ、第2の移動部材32cがワイヤ54と連結された移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が矢印A1で示す前方向に移動し、ノーズ部8の射出口81aに供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、第2の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、ステップSH6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したか判断する。制御部100は、ビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値に到達していないと判断すると、ステップSH7で、ビット回転モータ40及びビット移動モータ50の少なくとも一方に掛かる負荷を検知し、所定の負荷を検知すると、ステップSH8で、ビット回転モータ40の回転速度とビット移動モータ50の回転速度を取得する。
制御部100は、ステップSH9で、前回のネジ締め作業時に取得したネジ200のリード長の情報を用いてビット移動モータ50の目標回転速度等を算出する。具体的には、ビット回転モータ40の回転によりネジ200が締結対象物に締結されることで、ネジ200が前方向に移動する際の移動速度と、ビット移動モータ50の回転により前方向に移動する保持部材30及び移動部材32と、保持部材30に取り付けられたドライバビット2の移動速度が、図24Bに示すように略一致するように、ネジ200のリード長、ビット回転モータ40の回転速度、減速機のギア比等に基づき、ビット移動モータ50の目標回転速度を求める。例えば、制御部100は、以下の式(1)に基づいてビット移動モータ50の目標回転速度を算出する。
ビット移動モータ50の目標回転速度=(ビット移動モータ50の減速機のギア比/ビット回転モータ40の減速機のギア比×プーリ52の円周長/ネジ200のリード長)×ビット回転モータ40の回転速度・・・(1)
制御部100は、ステップSH10で、ビット回転モータ40の回転速度減速機のギア比等に基づくフィードバック制御で、本例では、算出した目標回転速度となるようにビット移動モータ50を制御する。例えば、ビット移動モータ50へのPWM出力を増減させて、回転速度を調整することで制御する。
制御部100は、ステップSH11で、ビット回転モータ40またはビット移動モータ50に掛かる負荷の検知後におけるビット回転モータ40の回転数を計測する。また、制御部100は、ステップSH12で、ビット回転モータ40またはビット移動モータ50に掛かる負荷の検知後におけるビット移動モータ50の回転数を計測する。ステップSH11及びステップSH12で計測したビット回転モータ40の回転数及びビット移動モータ50の回転数は、図示しないメモリに記憶され、次回のネジ締め作業時のネジ200のリード長を算出するステップSH18で用いられる。ステップSH12での計測が完了したらステップSH6に戻る。
制御部100は、ステップSH6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したと判断すると、ステップSH13でビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ステップSH14でビット移動モータ50の正方向への回転を停止した後、ステップSH15でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出され、第2の移動部材32cが付勢部材33で押される移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が後方向に移動する。
制御部100は、ステップSH16で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が逆転し、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻る位置まで、保持部材30及び移動部材32が後方向に移動すると、ステップSH17でビット移動モータ50の逆転を停止する。
一連のネジ締め作業が終了すると、制御部100は、ステップSH18で、ネジ200のリード長を以下の手順で算出する。なお、ネジ200のリード長の算出は、ネジ締め作業終了後以外にも、ステップSH13またはステップS14の処理の前後に、ビット移動モータ50等の逆転制御と並列で実行しても良い。
まず、ネジ200の回転数を以下の式(2)に基づいて算出する。
ネジ200の回転数=ネジ締め開始(負荷検出後)からネジ200が締まりきるまでのビット回転モータ40の回転数(ステップSH11)/ビット回転モータ40の減速機のギア比・・・(2)
なお、上記式(2)では、ビット回転モータ40の回転数を負荷検出後からネジ200が締まりきるまでの全区間の間で取得したが、これに限定されることはなく、全区間のうち一部の区間でビット回転モータ40の回転数を取得するようにしても良い。
次に、ネジ200の長さを以下の式(3)に基づいて算出する。
ネジ200の長さ(ネジ締め開始からネジ200が締まりきるまでのドライバビット2の移動量)=ネジ締め開始からネジが締まりきるまでのビット移動モータ50の回転数(ステップSH12)/ビット移動モータ50の減速機のギア比×プーリ52の円周長・・・(3)
なお、上記式(3)では、ビット移動モータ50の回転数を負荷検出後からネジ200が締まりきるまでの全区間の間で取得したが、これに限定されることはなく、全区間のうち一部の区間でビット移動モータ50の回転数を取得するようにしても良い。
次に、ネジ200のリード長を以下の式(4)に基づいて算出する。
ネジ200のリード長=ネジ200の長さ(式(3))/ネジ200の回転数(式(2))・・・(4)
制御部100は、算出したネジ200のリード長を、図示しないメモリに記憶するとともに、次回のネジ締め作業時における負荷検出後のビット移動モータ50の回転速度等を算出する際に用いるリード長として再設定する。このように、本変形例では、1サイクルのネジ締め動作から使用したネジ200のリード長を割り出し(算出し)、この割り出したリード長を用いて次回のネジ締め作業時におけるドライバビット2の1回転当たりの締結対象物に対する侵入速度(移動速度)、ビット移動モータ50の回転速度を算出する。
本変形例によれば、ネジ締め作業に使用するネジ200のリード長を推測することで、ビット回転モータ40の駆動による締結対象物へのネジ200の侵入深さや侵入速度を正確に算出できる。これにより、負荷検出後のネジ締め中にドライバビット2の移動速度をネジ200の侵入速度に高精度に追従させることができ、ネジ締め時の締結工具1を押さえる力を少なくすることで作業負担の軽減を図りつつ、締結工具1の浮き上がりの発生を抑制することで打ち込み品質の向上を図ることができる。
次に、本実施の形態の締結工具の締結動作の他の変形例について説明する。この変形例では、ビット回転モータ40の回転によるネジの移動速度にビット移動モータ50によるドライバビットの移動速度を追従させるフィードバック制御において、リード長設定部120で設定したネジのリード長を用いてビット移動モータ50の目標回転速度を算出する。
図29は、本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すブロック図である。図29に示すように、締結工具1Aの制御部100には、ビット回転モータ40、ビット移動モータ50、コンタクトスイッチ部84、トリガスイッチ部90、設定部110及びリード長設定部120がそれぞれ接続される。
リード長設定部120は、ネジ200の種類に応じたリード長の設定を受け付け、受け付けたリード長の情報を制御部100に出力する。例えば、リード長設定部120は工具本体10に設けても良い。この場合、リード長設定部120を例えばボタンや回転式のダイヤル等の操作部で構成し、ユーザがこれらのボタン等を操作することで、ネジ200のリード長を手動で直接入力するようにしても良いし、予め設定された複数のリード長の中からユーザが特定のリード長を選択できるようにしても良い。また、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット及びスマートフォン等の情報処理端末にリード長設定部120の機能を持たせ、情報処理端末で入力したネジ200のリード長を、有線または無線通信により締結工具1内の制御部100に送信するようにしても良い。
制御部100は、後述するビット移動モータ50の回転速度を算出する際に用いるリード長を、リード長設定部120で設定されたネジ200のリード長に変更する。これにより、前回のネジ締め作業時におけるネジ200のリード長の情報から今回のネジ締め作業に使用するネジ200の種類に一致したリード長の情報に切り替えることができる。
図30は、本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャートである。なお、フィードバック(FB)制御によるビット回転モータとビット移動モータの回転速度の関係を示すグラフについては図24Aと共通し、フィードバック(FB)制御によるビット回転モータの回転によるネジの移動速度とビット移動モータによるドライバビットの移動速度の関係を示すグラフについては図24Bと共通するため、各グラフの説明については図24A及び図24Bを参照して説明する。
締結工具1Aは、待機状態では、図1Aに示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、図30のステップSI1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数を設定する。
リード長設定部120は、ステップSI2で、作業者の操作に基づくネジ200の種類に応じたリード長の設定を受け付ける。リード長の設定を受け付けたらステップSI3に進む。ネジ200のリード長の設定の受け付けがない場合には、前回のネジ締め作業時に使用したリード長の設定を維持する。
制御部100は、ステップSI3で、リード長設定部120で受け付けたネジ200のリード長を、後述するビット移動モータ50の回転速度を算出する際に用いるリード長として設定する。また、リード長設定部120で受け付けたネジ200のリード長の情報を図示しないメモリに記憶する。新しいリード長に設定したらステップSI4に進む。
制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSI4でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSI5でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSI6で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動すると共に、ステップSI7で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られ、第2の移動部材32cがワイヤ54と連結された移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が前方向に移動する。これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が矢印A1で示す前方向に移動し、ノーズ部8の射出口81aに供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、第2の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、ステップSI8でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したか判断する。制御部100は、ビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値に到達していないと判断すると、ステップSI9に進む。
制御部100は、ステップSI9でビット回転モータ40及びビット移動モータ50の少なくとも一方に負荷が掛かっているか否かを検知し、所定の負荷を検知すると、ステップSI10で、ビット回転モータ40の回転速度とビット移動モータ50の回転速度をそれぞれ取得する。
制御部100は、ステップSI11で、ビット回転モータ40の回転によりネジ200が締結対象物に締結されると、ネジ200が前方向に移動する際の移動速度と、ビット移動モータ50の回転により前方向に移動するドライバビット2の移動速度とが、略一致するように(図24B参照)、リード長設定部120で設定されたネジ200のリード長、ビット回転モータ40の回転速度とビット移動モータ50の回転速度、減速機のギア比等に基づき、ビット回転モータ40、ビット移動モータ50の目標回転速度を求める。例えば、制御部100は、以下の式(5)に基づいてビット移動モータ50の目標回転速度を算出する。
ビット移動モータ50の目標回転速度=(ビット移動モータ50の減速機のギア比/ビット回転モータ40の減速機のギア比×プーリ52の円周長/ネジ200のリード長)×ビット回転モータ40の回転速度・・・(5)
制御部100は、ステップSI12で、ビット回転モータ40の回転速度とビット移動モータ50の回転速度、減速機のギア比等に基づくフィードバック制御で、本例では、算出した目標回転速度となるようにビット移動モータ50を制御する。例えば、ビット移動モータ50へのPWM出力を増減させて、回転速度を調整することで制御する。
制御部100は、ステップSI8でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したと判断すると、ステップSI13でビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ステップSI14でビット移動モータ50の正方向への回転を停止した後、ステップSI15でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出され、第2の移動部材32cが付勢部材33で押される移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が後方向に移動する。
制御部100は、ステップSI16で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が逆転し、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻る位置まで、保持部材30及び移動部材32が後方向に移動すると、ステップSI17でビット移動モータ50の逆転を停止する。
ネジ200のリード長の設定を切り替える手段としては、リード長設定部120以外であっても良い。具体的には、締結工具1A等に通信部を設け、ネジ収納部6に装填される複数のネジ200が取り付けられた連結帯(リール)側に非電源通信部を設け、通信部と非電源通信部との間で近距離無線通信を行うようにしても良い。非無線通信部には、例えば、ネジ200の種類とこのネジ200のリード長とが対応付けられて記憶されたICチップが格納される。通信部は、ネジ収納部6に連結帯が収納されたときに、非無線通信部との間で無線通信することで、ネジ締め作業を行うネジ200のリード長を取得し、制御部100はリード長の設定を取得した新しいリード長に切り替える。近距離無線通信の方式としては、例えば電磁界や電波などを用いた非接触方式、ブルートゥース(登録商標)等が挙げられる。
また、ネジ200のリード長の設定を切り替える手段としては、ネジ収納部6に装填される連結帯の寸法を機械的に識別する識別手段であっても良い。この場合、ネジ200の種類によってリード長が異なり、これに伴い、連結帯の幅、溝の位置、個数等も異なるので、これらの連結帯の違いから機械的に連結帯の種類を識別してネジ200のリード長を取得する。
本変形例によれば、使用するネジ200の種類が異なる場合でも、リード長設定部120でリード長の設定を切り替えることができる。そのため、実際にネジ締め作業で使用するネジ200のリード長に切り替えることができるので、例えば前回のリード長を用いてビット移動モータ50の回転速度を算出する場合と比べて、ビット回転モータ40の駆動による締結対象物へのネジ200の侵入深さや侵入速度を正確に算出できる。これにより、負荷検出後のネジ締め中にドライバビット2の移動速度をネジ200の侵入速度に高精度に追従させることができ、ネジ締め時の締結工具1Aを押さえる力を少なくすることで作業負担の軽減を図りつつ、締結工具1Aの浮き上がりの発生を抑制することで打ち込み品質の向上を図ることができる。
次に、本実施の形態の締結工具の締結動作の他の変形例について説明する。この変形例では、ビット回転モータ40の回転によるネジの移動速度にビット移動モータ50によるドライバビットの移動速度を追従(同期)させるフィードバック制御において、ネジ締め動作中にビット移動モータ50の電流値が規定値の範囲内に収まるように制御する。
図31は、本実施の形態の締結工具の動作の他の変形例を示すフローチャート、図32は、負荷とビット移動モータの制御の関係を示すグラフ、図33は、ネジ締め時におけるドライバビットとネジのリセスとの係合状態を示す図である。
締結工具1は、待機状態では、図1Aに示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、図31のステップSJ1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転数を設定する。制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSJ2でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSJ3でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSJ4で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動すると共に、ステップSJ5で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られ、第2の移動部材32cがワイヤ54と連結された移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が矢印A1で示す前方向に移動し、ノーズ部8の射出口81aに供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、第2の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、ステップSJ6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したか判断する。制御部100は、ビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値に到達していないと判断すると、ステップSJ7で、ビット移動モータ50に掛かる負荷を検知し、所定の負荷を検知すると、ステップSJ8で、ビット移動モータ50の回転数を取得する。
制御部100は、ステップSJ9で、所定の負荷の検知によってネジ締め動作中であると判断すると、取得したビット移動モータ50の回転数に応じて、予め設定した規定値の範囲内に収まるようにビット移動モータ50の電流値を設定する。これにより、ネジの締め付け作業時に、例えば締結対象物の状態によりネジ200の前進が速い場合や遅い場合でも、出力トルクが一定となるので、前進するネジ200に対してドライバビット2を追従させた上で、作業者が締結工具1を締結対象物に押さえ付けるのに過大な力を必要とせずにネジ締め作業を行うことが可能となる。
また、図32に示すように、ネジ締めの負荷を検出後、ビット移動モータ50の電流の目標値を、ネジ締め作業時の負荷の上昇やネジ締め作業中のビット回転モータ40の回転速度の低下に合わせて、徐々に増加するように設定する。これは、以下の理由による。ネジ締め作業時にはドライバビット2とネジリセスの係合を維持させ続けることが必要となるが、ネジ締め作業が進行し、ねじ締め作業中の負荷が増大していくと、図33に示すように、ネジリセスの係合部の壁面200aに沿ってドライバビット2とネジ200の係合が外れる方向B1及び方向B2に働く力が増大する。そのため、ドライバビット2とネジ200の係合が外れないようにドライバビット2をネジ200に押し付ける力を増加させる必要があり、ビット移動モータ50の電流値をネジ締め作業が進行するごとに増大させることが望ましいからである。
そこで、制御部100は、図32に示すように、ネジ締め作業の負荷が検出された直後の電流値を第1の規定値T1とし、ねじ締め作業の終了時の電流値を第2の規定値T2としたとき、一例として、第1の規定値T1を10A以上30A以下の範囲内に収まるように設定し、第2の規定値T2を30A超60A以下の範囲内に収まるように設定する。この場合、制御部100は、電流制御実施期間において、設定した第1の規定値T1から第2の規定値T2に向かって徐々に大きくなるようにビット移動モータ50の電流値を設定する。また、ステップSJ8で取得したビット移動モータ50の回転数が予め設定された閾値よりも少ない場合には、ビット移動モータ50の回転数が閾値よりも多い場合と比べて、第1の規定値T1及び第2の規定値T2の電流値を設定した範囲内で高く設定することが好ましい。なお、各第1の規定値T1及び第2の規定値T2は、作業者が操作部等から適宜変更できるようにしても良い。各規定値を設定したらステップSJ10に進む。
制御部100は、ステップSJ10で、設定した第1の規定値T1と第2の規定値T2との間の範囲内に収まるようにビット移動モータ50の電流値を制御する。例えば、制御部100は、駆動回路のスイッチング素子のオンまたはオフの切り替えによるPWM制御によりビット移動モータ50の電流値を第1の規定値T1と第2の規定値T2との間の範囲内に制御し、ビット移動モータ50の回転速度を調整する。
制御部100は、ステップSJ6でビット移動モータ50の回転数が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達したと判断すると、ステップSJ11でビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ステップSJ12でビット移動モータ50の正方向への回転を停止した後、ステップSJ13でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出され、第2の移動部材32cが付勢部材33で押される移動部材32及び移動部材32と第1の移動部材32aで連結された保持部材30が後方向に移動する。
制御部100は、ステップSJ14で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が逆転し、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻る位置まで、保持部材30及び移動部材32が後方向に移動すると、ステップSJ15でビット移動モータ50の逆転を停止する。
本変形例によれば、ビット移動モータ50の電流値を第1の規定値T1と第2の規定値T2との間の範囲内に収まるように制御するので、ドライバビット2によるネジ200を押し付ける力(負荷)を一定に制御することができる。これにより、作業状態によりネジ200の前進が速い場合や遅い場合でも、ドライバビット2とネジ200のリセスとの係合を維持した状態で、ネジ200の侵入速度にドライバビット2の移動速度を追従させることができる。その結果、ネジ締め時の締結工具1の過度な押し付けとならずに作業負担の軽減を図りつつ、締結工具1の浮き上がりの発生を抑制して打ち込み品質の向上を図ることができる。
1,1A・・・締結工具、10・・・工具本体、10a・・・ケース、10b・・・前フレーム、10c・・・後フレーム、10d・・・結合部材、10e・・・ネジ、10f・・・ノーズ本体部、11・・・ハンドル、12・・・バッテリ、13・・・バッテリ取付部、2・・・ドライバビット、3・・・ビット保持部、30・・・保持部材、30a・・・開口、30b・・・連結部材、31・・・回転ガイド部材、31a・・・溝部、32・・・移動部材、32a・・・第1の移動部材、32b・・・ベアリング(軸受)、32c・・・第2の移動部材、33・・・付勢部材、34a・・・ベアリング(軸受)、4・・・第1の駆動部、40・・・ビット回転モータ(モータ、第1のモータ)、40a・・・軸、41・・・減速機、41a・・・軸、42・・・ベアリング(軸受)、5・・・第2の駆動部、50・・・ビット移動モータ(モータ、第2のモータ)、50a・・・軸、51・・・減速機、51a・・・軸、52・・・プーリ(伝達部材)、53・・・ベアリング、54・・・ワイヤ(伝達部材)、6・・・ネジ収納部、7・・・ネジ送り部、70・・・ネジ送りモータ、71・・・ピニオンギア、72・・・ラックギア、73・・・係合部、8・・・ノーズ部、80・・・射出通路、81・・・コンタクト部材、81a・・・射出口、82・・・コンタクトアーム、83・・・調整部、84・・・コンタクトスイッチ部、9・・・トリガ、90・・・トリガスイッチ部、100・・・制御部、110・・・設定部、120・・・リード長設定部、T1・・・第1の規定値(規定値)、T2・・・第2の規定値(規定値)

Claims (10)

  1. ドライバビットを着脱可能に保持し、前記ドライバビットの周方向に回転可能及び軸方向に移動可能なビット保持部と、
    前記ビット保持部を回転させる第1のモータと、
    前記ビット保持部を軸方向に沿って移動させる第2のモータと、
    前記ビット保持部の軸方向に沿った位置を、前記第2のモータの回転数で制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記第1のモータの回転によりネジが締結対象物に締結されることで、ネジが移動する際の移動速度と、前記第2のモータの回転により移動する前記ビット保持部の移動速度を追従させる制御を行う
    締結工具。
  2. 前記制御部は、前記第1のモータの回転速度に基づき前記第2のモータの回転速度を制御、または前記第2のモータの回転速度に基づき前記第1のモータの回転速度を制御する
    請求項1に記載の締結工具。
  3. 前記制御部は、前記第1のモータまたは前記第2のモータで負荷を検知すると、前記第1のモータの回転によりネジが移動する際の移動速度と、前記第2のモータの回転により移動する前記ビット保持部の移動速度を追従させる制御を行う
    請求項1または請求項2に記載の締結工具。
  4. 前記制御部は、前記ビット保持部の移動速度を、ネジのリード長に基づいて算出する
    請求項1に記載の締結工具。
  5. 前記制御部は、前記第1のモータまたは前記第2のモータに掛かる負荷の検知後に計測された前記第1のモータの回転数または前記ビット保持部の移動量を用いて前記ネジの前記リード長を算出し、算出した前記リード長に基づいて前記ビット保持部の移動速度を算出する
    請求項4に記載の締結工具。
  6. リード長を設定可能なリード長設定部を備え、
    前記制御部は、前記リード長設定部により設定されたネジの前記リード長に基づいて前記ビット保持部の移動速度を算出する
    請求項4に記載の締結工具。
  7. ドライバビットを着脱可能に保持し、前記ドライバビットの周方向に回転可能及び軸方向に移動可能なビット保持部と、
    前記ビット保持部を回転させる第1のモータと、
    前記ビット保持部を軸方向に沿って移動させる第2のモータと、
    前記ビット保持部の軸方向に沿った位置を、前記第2のモータの回転数で制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記第1のモータの回転速度に対し、前記第2のモータの回転による前記ビット保持部の移動速度を制御する
    締結工具。
  8. 前記制御部は、前記第1のモータまたは前記第2のモータに掛かる負荷に基づき、前記第2のモータの回転による前記ビット保持部の移動速度を制御する
    請求項7に記載の締結工具。
  9. 前記制御部は、電源電圧の変動に基づき、前記第2のモータの回転による前記ビット保持部の移動速度を制御する
    請求項7または請求項8に記載の締結工具。
  10. 前記制御部は、前記負荷の検知後、前記第2のモータの負荷が規定値の範囲内に収まるように制御する
    請求項8に記載の締結工具。
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