JP2022135116A - 締結工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータの駆動力でネジを締結対象物に押し付けられるようにした締結工具を提供する。
【解決手段】締結工具1は、ドライバビット2を回転可能、及び、軸方向に沿った前後方向に移動可能に保持する保持部材30及び保持部材30を前後方向に移動させる移動部材32を有したビット保持部3と、ビット保持部3で保持部材30に保持されたドライバビット2を、軸方向に沿って移動させるビット移動モータ50と、ビット移動モータ50の駆動力で回転するプーリ52と、プーリ52に巻かれ、移動部材32と連結されるワイヤ54を備え、ビット移動モータ50の駆動力をワイヤ54で移動部材32に伝達して、ドライバビット2に係合されたネジを締結対象物に押し付け、ネジの締結に伴いネジが進む方向に保持部材30を前進させる。
【選択図】図1
【解決手段】締結工具1は、ドライバビット2を回転可能、及び、軸方向に沿った前後方向に移動可能に保持する保持部材30及び保持部材30を前後方向に移動させる移動部材32を有したビット保持部3と、ビット保持部3で保持部材30に保持されたドライバビット2を、軸方向に沿って移動させるビット移動モータ50と、ビット移動モータ50の駆動力で回転するプーリ52と、プーリ52に巻かれ、移動部材32と連結されるワイヤ54を備え、ビット移動モータ50の駆動力をワイヤ54で移動部材32に伝達して、ドライバビット2に係合されたネジを締結対象物に押し付け、ネジの締結に伴いネジが進む方向に保持部材30を前進させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ネジにドライバビットを係合させ、ドライバビットでネジを押して締結対象物に押し付け、ドライバビットを回転させて捩じ込む締結工具に関する。
エアコンプレッサから供給される圧縮空気の空気圧や、ガスの燃焼圧を利用し、マガジンに装填された連結止め具を、ドライバガイドの先端から順次打ち出す可搬形の打込機と称す工具が知られている。
ガスの燃焼圧を利用した打込機として、小形のガスボンベを打込機本体に搭載し、コードレスで使用可能な打込機があり、打ち込まれる連結止め具としてネジを用いるネジ打ち機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ネジを回転させるモータの駆動力でバネを圧縮し、バネの付勢でネジを打ち込むネジ打ち機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ガスの燃焼圧を利用するネジ打ち機では、バッテリとガスボンベの両方が必要である。また、バネの付勢でネジを打ち込むネジ打ち機では、ネジを打ち込む力の過不足の調整が難しい。
本発明は、このような課題を解決するためされたもので、モータの駆動力でネジを締結対象物に押し付けられるようにした締結工具を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、ドライバビットを回転可能、及び、軸方向に移動可能に保持するビット保持部と、ビット保持部で保持されたドライバビットを、ドライバビットに係合されたネジを締結対象物に押し付ける軸方向に沿って移動させるモータとを備えた締結工具である。
本発明では、電気で駆動されるモータの駆動力で、ドライバビットに係合されたネジが締結対象物に押し付けられる。
また、本発明は、ドライバビットを回転可能、及び、軸方向に移動可能に保持するビット保持部と、ビット保持部で保持されたドライバビットを回転させる第1のモータを有した第1の駆動部と、ビット保持部で保持されたドライバビットを、軸方向に沿って移動させる第2のモータを有した第2の駆動部とを備えた締結工具である。
本発明では、ドライバビットを回転させる第1の駆動部と、ドライバビットを軸方向に沿った前後方向に移動させる第2の駆動部が、独立したモータで駆動される。
本発明では、モータの駆動力で、ドライバビットに係合されたネジが締結対象物に押し付けられるので、ネジを締結対象物に押し付ける力の過不足の調整を容易に行うことができ、ネジを適正な力で締結対象物に押し付けることができる。
また、本発明では、単一の駆動源で2つの動作を行う構成と比較して、駆動力の伝達機構や、所定のタイミングで駆動力の伝達が行われるようにする機構等が不要であり、構成を簡素化できる。また、構成を簡素化できることで、軽量化を図ることができる。更に、2つの動作の連動を制御で行うことができる。
以下、図面を参照して、本発明の締結工具の実施の形態について説明する。
<本実施の形態の締結工具の構成例>
図1は、本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す側断面図、図2A~図2Cは、本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す一部破断斜視図である。また、図3Aは、本実施の形態の締結工具の一例を示す側面図、図3Bは、本実施の形態の締結工具の一例を示す正面図、図3Cは、本実施の形態の締結工具の一例を示す上面図である。なお、図1における切断面は、図3BのA-A線である。更に、図4A~図4Bは、本実施の形態の締結工具の一例を示す斜視図である。
図1は、本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す側断面図、図2A~図2Cは、本実施の形態の締結工具の内部構造の一例を示す一部破断斜視図である。また、図3Aは、本実施の形態の締結工具の一例を示す側面図、図3Bは、本実施の形態の締結工具の一例を示す正面図、図3Cは、本実施の形態の締結工具の一例を示す上面図である。なお、図1における切断面は、図3BのA-A線である。更に、図4A~図4Bは、本実施の形態の締結工具の一例を示す斜視図である。
本実施の形態の締結工具1は、工具本体10とハンドル11を備える。締結工具1は、一の方向に延伸する工具本体10の延伸方向に対して交差する他の方向にハンドル11が延伸する。締結工具1は、工具本体10が延伸する方向を前後方向、ハンドル11が延伸する方向を上下方向とする。また、締結工具1は、ハンドル11の下部に、バッテリ12が着脱可能に取り付けられるバッテリ取付部13を備える。
締結工具1は、ドライバビット2を回転可能、及び、軸方向に沿った前後方向に移動可能に保持するビット保持部3と、ビット保持部3で保持されたドライバビット2を回転させる第1の駆動部4と、ビット保持部3で保持されたドライバビット2を、軸方向に沿った前後方向に移動させる第2の駆動部5を備える。
また、締結工具1は、ネジ200が収納されるネジ収納部6と、ネジ収容部6に収納されたネジを送るネジ送り部7と、ネジが締結される締結対象物に押し付けられると共に、ネジが射出されるノーズ部8を備える。
ビット保持部3は、ドライバビット2を着脱可能に保持する保持部材30と、保持部材30をドライバビット2の軸方向に沿った前後方向へ移動可能に支持すると共に、保持部材30と共に回転する回転ガイド部材31と、保持部材30をガイド部材31に沿って前後方向に移動させる移動部材32と、移動部材32を後方向へ付勢する付勢部材33を備える。
保持部材30は、回転ガイド部材31の内径より外径が若干小さく、回転ガイド部材31の内側に入れられる例えば円柱状の部材で構成される。保持部材30は、軸方向に沿った前側の端部に、ドライバビット2の差込み部20の断面形状と合致した形状の開口30aが設けられる。保持部材30は、ドライバビット2の差込み部20を、公知の機構で着脱可能に保持する機構を開口30aに備える。保持部材30は、開口30aが回転ガイド部材31の内側に露出し、開口30aにドライバビット2の差込み部20が着脱可能に挿入される。
回転ガイド部材31は、工具本体10の延伸方向に沿って延伸し、内側に保持部材30が入る円筒形状で、前側の端部が、工具本体10の外装を構成する樹脂製のケース10aの前側に設けられる金属製の前フレーム10bに、ベアリング34aを介して回転可能に支持される。また、回転ガイド部材31は、後側の端部が第1の駆動部4と連結される。
回転ガイド部材31は、ドライバビット2の軸方向に沿った前後方向に延伸する溝部31aが、径方向に対向する側部の2箇所に形成される。回転ガイド部材31は、保持部材30を径方向に貫通し、保持部材30の両側方から突出した連結部材30bが溝部31aに入ることで、連結部材30bを介して保持部材30と連結される。
これにより、保持部材30は、回転ガイド部材31が回転すると、連結部材30bが回転ガイド部材31の溝部31aに押されることで、回転ガイド部材31と共に回転する。また、保持部材30は、連結部材30bが回転ガイド部材31の溝部31aにガイドされ、ドライバビット2の軸方向に沿った前後方向に移動する。
移動部材32は伝達部材の一例で、保持部材30と共に回転し、保持部材30を回転ガイド部材31に沿って前後方向に移動させる第1の移動部材32aと、ベアリング32bを介して第1の移動部材32aに支持され、ベアリング32bで第1の移動部材32aを押す第2の移動部材32cと、第2の移動部材32cの後側に取り付けられる緩衝部材32dを備える。
第1の移動部材32aは、回転ガイド部材31の外径より内径が若干大きく、回転ガイド部材31の外側に入れられる例えば円筒状の部材で構成される。第1の移動部材32aは、回転ガイド部材31の溝部31aから突出した連結部材30bを介して保持部材30と連結される。
ベアリング32bは、第1の移動部材32aの外周と第2の移動部材32cの内周の間に挿入され、第2の移動部材32cに対して第1の移動部材32aを回転可能に支持する。
第2の移動部材32cは、第1の移動部材32aに対して、軸方向に沿った前後方向への移動が規制された状態で、ベアリング32bを介して連結される。
これにより、第1の移動部材32aは、第2の移動部材32cが軸方向に沿った前後方向に移動する動作で、ベアリング32bを介して第2の移動部材32cに押され、第2の移動部材32cと共に軸方向に沿った前後方向に移動する。また、第1の移動部材32aは、第2の移動部材32cに対して回転可能である。
付勢部材33は、本例ではコイルバネで構成され、回転ガイド部材31の外側で、工具本体10のケース10aの前側に設けられる前フレーム10bと、移動部材32の第2の移動部材32cとの間に入れられ、ベアリング32bの外輪の端面に接触する様に配置されたばね座に当接する。付勢部材33は、移動部材32が前方向に移動することで圧縮され、移動部材32を後方向に押す力を移動部材32に掛ける。
第1の駆動部4は、バッテリ12から供給される電気で駆動されるビット回転モータ40と、減速機41を備える。ビット回転モータ40は第1のモータの一例で、ビット回転モータ40の軸40aが、減速機41と連結され、減速機41の軸41aが、回転ガイド部材31に連結される。第1の駆動部4は、減速機41が遊星歯車を利用した構成で、ビット回転モータ40が回転ガイド部材31及び保持部材30に保持されたドライバビット2と同軸上に配置される。
第1の駆動部4は、工具本体10のケース10aの後側に設けられる金属製の後フレーム10cに、ビット回転モータ40及び減速機41が取り付けられ、減速機41の軸41aが、ベアリング42を介して後フレーム10cに支持される。
ビット保持部3と第1の駆動部4は、前フレーム10bと後フレーム10cが、前後方向に延伸する結合部材10dで連結されることで、一体に組み立てられてユニット化され、工具本体10のケース10aにネジ10eにより固定される。ビット保持部3と第1の駆動部4は、各部品が組み立てられた状態で工具本体10に着脱可能に構成され、各部品を独立して工具本体10に固定する構成ではなく、組付け性が向上する。
また、ビット保持部3は、回転ガイド部材31の前側の端部が、工具本体10のケース10aの前側に設けられる前フレーム10bにベアリング34aを介して支持され、回転ガイド部材31の後側の端部が、ケース10aの後側に設けられる後フレーム10cに、減速機41の軸41a及びベアリング42を介して支持される。よって、ビット保持部3は、回転ガイド部材31が工具本体10に回転可能に支持される。
これにより、第1の駆動部4は、ビット回転モータ40により回転ガイド部材31を回転させる。ドライバビット2が保持される保持部材30は、回転ガイド部材31が回転すると、連結部材30bが回転ガイド部材31の溝部31aに押されることで、回転ガイド部材31と共に回転する。
第2の駆動部5は、バッテリ12から供給される電気で駆動されるビット移動モータ50と、減速機51を備える。ビット移動モータ50はモータ、第2のモータの一例で、ビット移動モータ50の軸50aが、減速機51と連結され、減速機51の軸51aが伝達部材の一例であるプーリ52と連結される。第2の駆動部5は、プーリ52がベアリング53を介して工具本体10に支持される。第2の駆動部5は、ビット移動モータ50の軸50aがハンドル11の延伸方向に沿って配置される。
第2の駆動部5は、プーリ52に伝達部材の一例であるワイヤ54が巻かれ、ワイヤ54が移動部材32の第2の移動部材32cに連結される。
これにより、第2の駆動部5は、ビット移動モータ50によりプーリ52を回転させて、ワイヤ54を巻き取ることで、第2の移動部材32cを前方向に移動させる。ビット保持部3は、第2の移動部材32cが前方向に移動することで、ベアリング32bを介して第1の移動部材32aが押され、第1の移動部材32aが第2の移動部材32cと共に軸方向に沿った前方向に移動する。第1の移動部材32aが前方向に移動することで、第1の移動部材32aと連結部材30bを介して連結された保持部材30が前方向に移動する。
第2の駆動部5は、プーリ52においてワイヤ54が巻かれる部位の接線方向が、回転ガイド部材31の延伸方向に沿うように、締結工具1の左右方向における略中心に対し一方の側にオフセットされて配置される。これにより、プーリ52と第2の移動部材32cとの間のワイヤWが、移動部材32の移動方向に沿った直線状に延伸し、プーリ52でワイヤ54を巻き取る際の負荷の増加、プーリ52からワイヤWが引き出される際の負荷の増加が抑制される。
第1の駆動部4は、ハンドル11を挟んで、工具本体10の一方の側である後方に設けられる。また、第2の駆動部5は、ハンドル11を挟んで、工具本体10の他方の側である前方に設けられる。
ネジ収納部6は、複数のネジ200が連結帯で連結され、螺旋状に巻かれた連結ネジが収納される。
図5は、本実施の形態のネジ送り部の詳細を示す斜視図である。ネジ送り部7は、ネジ送りモータ70と、ネジ送りモータ70の軸に取り付けられるピニオンギア71と、ピニオンギア71と噛み合うラックギア72と、ラックギア72と連結され、ネジ収容部6から送られる連結ネジと係合する係合部73を備える。ネジ送り部7は、ピニオンギア71及びラックギア72で、ネジ送りモータ70の駆動力を係合部73に伝達するネジ送り伝達部を構成する。係合部73は、ラックギア72が形成される部品を介して図示しない圧縮バネにより上方に付勢されており、ネジ送りモータ70に電源が供給されていない状態で、係合部73及びネジ200が重さで下降しないように構成される。
ネジ送り部7は、ネジ送りモータ70がサブフレーム74に固定されると共に、ラックギア72が、連結ネジの送り方向に沿った上下方向に移動可能にサブフレーム74に支持される。ネジ送り部7は、各部品が爪等の凹凸形状の嵌合、ネジ75の締結等により一体に組み立てられてユニット化される。
図6A、図6Bは、本実施の形態のノーズ部の一例を示す斜視図である。ノーズ部8は第1のノーズ部の一例で、ネジ送り部7によりネジ200が供給されると共に、ドライバビット2が通る射出通路80を構成する射出通路構成部80aと、射出通路80と連通する射出口81aを有し、締結対象物に接触するコンタクト部材81と、コンタクト部材81と連動して前後方向に移動するコンタクトアーム82と、コンタクトアーム82の移動量を規制する調整部83を備える。また、ノーズ部8は、ネジ収納部6から射出通路80までのネジ200が通る経路を開閉可能に覆うカバー部材88を備える。
締結工具1は、図2Cに示すように、コンタクトアーム82に押されて作動するコンタクトスイッチ部84を備える。また、締結工具1は、図1Aに示すように、工具本体10にノーズ本体部10fを備え、ノーズ本体部10fに、ノーズ部8の射出通路構成部80aとの組み合わせで射出通路80を構成する射出通路構成部80bを備える。ノーズ本体部10fは第2のノーズ部の一例で、例えば前フレーム10bと一体で構成される。なお、ノーズ本体部10fは、前フレーム10bとは独立した部品が前フレーム10bに固定される構成でも良い。
ノーズ部8は、コンタクト部材81が前後方向に移動可能に支持され、コンタクト部材81と連動してコンタクトアーム82が前後方向に移動する。ノーズ部8は、コンタクト部材81が図示しない付勢部材で前方向に付勢され、締結対象物に押し付けられて後方に移動したコンタクト部材81が、付勢部材で付勢されて前方向に移動する。
ノーズ部8は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられてコンタクトアーム82が後方へ移動し、コンタクトスイッチ部84が作動するまでのコンタクトアーム82の移動量が調整部83で調整される。コンタクトスイッチ部84は、コンタクトアーム82に押されることで作動の有無が切り替えられ、本例では、コンタクトアーム82に押されておらず、コンタクトスイッチ部84が非作動な状態をコンタクトスイッチ部84のオフ、コンタクトアーム82に押されてコンタクトスイッチ部84が作動した状態をコンタクトスイッチ部84のオンとする。
ノーズ部8は、射出通路80、コンタクト部材81及びコンタクトアーム82を構成する各部品が爪等の凹凸形状の嵌合、ネジ85の締結等により一体サブフレーム86に組み立てられてユニット化され、工具本体10を構成する前フレーム10bに、ネジ87により固定される。ノーズ部8が前フレーム10bに固定されると、工具本体10側に固定されるノーズ本体部10fの射出通路構成部80bと、ノーズ部8側の部品である射出通路構成部80aにより射出通路80が構成される。
ノーズ部8を工具本体10に固定する機能を有したサブフレーム86は、射出通路80の一部を構成する射出通路構成部80aが形成されており、工具本体10に対して射出通路80の位置決めを行う機能も有する。これにより、ノーズ部8を前フレーム10bに固定すると、射出通路構成部80aが正しく位置合わせされ、ノーズ部8を工具本体10に対して着脱可能な構成としても、射出通路80がドライバビット2の移動経路に対して特に径方向に位置ずれを起こすことが抑制される。また、コンタクトスイッチ部84は、工具本体10側に取り付けられており、ノーズ部8を前フレーム10bに固定すると、コンタクトアーム82のコンタクトスイッチ部84と対向する側の位置が、コンタクトスイッチ部84と合う。
ネジ送り部7は、前フレーム10bと一体に構成されること、または、前フレーム10に固定されることで、工具本体10を構成するノーズ本体部10fに、サブフレーム74がネジ76により固定される。
締結工具1は、操作を受けるトリガ9と、トリガ9の操作で作動するトリガスイッチ部90を備える。トリガ9は、ハンドル11の前側に設けられ、ハンドル11を把持する手の指出操作可能に構成される。トリガスイッチ部90は、トリガ9に押されて作動する。
トリガスイッチ部90は、トリガ9に押されることで作動の有無が切り替えられ、本例では、トリガ9が操作されておらず、トリガ9でトリガスイッチ部90が押されずトリガスイッチ部90が非作動な状態をトリガスイッチ部90のオフ、トリガ9が操作され、トリガ9に押されてトリガスイッチ部90が作動した状態をトリガスイッチ部90のオンとする。
締結工具1は、トリガ9の操作で作動するトリガスイッチ部90及びコンタクト部材81に押されて作動するコンタクトスイッチ部84の出力に基づき、第1の駆動部4、第2の駆動部5及びネジ送り部7を制御する制御部100を備える。制御部100は、本例では、ハンドル11の下部に設けられるバッテリ取付部13の内部に設置される。
<本実施の形態の締結工具の動作例>
図7は、本実施の形態の締結工具の動作の一例を示す側断面図、図8A,図8Bは、本実施の形態の締結工具の動作の一例を示す一部破断斜視図であり、以下に、各図を参照して、本実施の形態の締結工具の締結動作について説明する。
図7は、本実施の形態の締結工具の動作の一例を示す側断面図、図8A,図8Bは、本実施の形態の締結工具の動作の一例を示す一部破断斜視図であり、以下に、各図を参照して、本実施の形態の締結工具の締結動作について説明する。
締結工具1は、待機状態では、図1に示すように、ドライバビット2の先端が、射出通路80の後方の待機位置P1に位置し、射出通路80にネジ200を供給可能である。
制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されてコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されてトリガスイッチ部90がオンになると、第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動すると共に、所定のタイミングで、第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52が正方向に回転することでワイヤ54がプーリ52に巻き取られる。プーリ52にワイヤ54が巻き取られることで、ワイヤ54と連結された第2の移動部材32cが、回転ガイド部材31にガイドされ軸方向に沿った前方向に移動する。第2の移動部材32cが前方向に移動すると、第1の移動部材32aがベアリング32bを介して第2の移動部材32cに押され、第2の移動部材32cと共に、付勢部材33を圧縮しながら軸方向に沿った前方向に移動する。
第1の移動部材32aが前方向に移動すると、第1の移動部材32aと連結部材30bで連結された保持部材30が、回転ガイド部材31の溝部31aに連結部材30bがガイドされて、ドライバビット2の軸方向に沿った前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が前方向に移動し、ノーズ部8の射出口80に供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、回転ガイド部材31が正方向に回転する。回転ガイド部材31が正方向に回転すると、保持部材30と連結された連結部材30bが回転ガイド部材31の溝部31aに押されることで、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、ビット回転モータ40に掛かる負荷、ビット回転モータ40の回転数、ビット移動モータ50に掛かる負荷、ビット移動モータ50の回転数等に基づき、第1の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、図7に示すように、ドライバビット2の先端が、コンタクト部材81の射出口81aから突出し、所定の作動終了位置P2に到達すると、ビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ビット移動モータ50を逆転させる。制御部100は、ビット移動モータ50の回転数に基づき、ドライバビット2の先端が作動終了位置P2に到達したと判断しても良いし、ビット回転モータ40に掛かる負荷、ビット回転モータ40の回転数、ビット移動モータ50に掛かる負荷、ビット移動モータ50の回転数等に基づき、作動終了位置P2を可変としても良い。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、プーリ52が逆方向に回転することでワイヤ54がプーリ52から引き出される。ワイヤ54がプーリ52から引き出されることで、第2の移動部材32cが前方向に移動することで圧縮されていた付勢部材33が伸び、第2の移動部材32cを後方向に押す。
第2の移動部材32cは、付勢部材33により後方向に押されることで、回転ガイド部材31にガイドされ軸方向に沿った後方向に移動する。第2の移動部材32cが後方向に移動すると、第1の移動部材32aがベアリング32bを介して第2の移動部材32cに引かれ、第2の移動部材32cと共に軸方向に沿った後方向に移動する。
第1の移動部材32aが後方向に移動すると、第1の移動部材32aと連結部材30bで連結された保持部材30が、回転ガイド部材31の溝部31aに連結部材30bがガイドされて、ドライバビット2の軸方向に沿った後方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が後方向に移動し、ドライバビット2の先端が、待機位置P1に戻る。なお、移動部材32は、第2の移動部材32cの後側にゴム等による緩衝部材32dを備えることで、第2の移動部材32cが後方向に移動する動作で、第2の移動部材32cが直接後フレーム10cに当たることが抑制され、音の発生や損傷を抑制することができる。制御部100は、第2の移動部材32cが付勢部材33により後方向に押され、ドライバビット2の先端が待機位置P1に戻ると、ビット移動モータ50の回転を停止させる。制御部100は、トリガスイッチ部90がオフになると、ネジ送りモータ70を一の方向に回転させることで、係合部73を下降させる。係合部73が次のネジ200と係合する位置まで下降すると、制御部100は、ネジ送りモータ70を逆転させることで、係合部73を上昇させ、次のネジ200を供給通路80に供給する。
締結工具1は、ハンドル11に設けられるバッテリ取付部13にバッテリ12が着脱可能に取り付けられ、このバッテリ12から供給される電気で駆動されるビット回転モータ40でドライバビット2を回転させる第1の駆動部4と、バッテリ12から供給される電気で駆動されるビット移動モータ50で、ドライバビット2を軸方向に沿った前後方向に移動させる第2の駆動部5を備える。これにより、空気圧で駆動される締結工具のように、ホースを接続する必要がなく、作業性が向上する。
また、締結工具1は、ドライバビット2を軸方向に沿った前後方向に移動させる第2の駆動部5を備えることで、コンタクト部材81を締結対象物に突き当てた状態で、締結工具1を締結対象物に近づく方向に移動させることなく、ネジの締結を行うことができる。これより、通常のドリルドライバやインパクトドライバのように、工具本体を締結対象物に近づく方向に移動させる動きが必要なく、作業性が向上する。
更に、第2の駆動部5は、ビット移動モータ50の駆動力で、ドライバビット2に係合されたネジを締結対象物に押し付けるので、ネジを締結対象物に押し付ける力の過不足の調整を容易に行うことができ、ネジを適正な力で締結対象物に押し付けることができる。
また、第1の駆動部4は、ハンドル11を挟んで、工具本体10の一方の側である後方に設けられ、第2の駆動部5は、ハンドル11を挟んで、工具本体10の他方の側である前方に設けられる。これにより、ハンドル11を挟んだ前後に、それぞれモータを有して比較的重量が重い第1の駆動部4と第2の駆動部5が分散して配置される。従って、ハンドル11を手で持ち、工具本体10の延伸方向が略水平な向きとして締結作業を行う場合に、ハンドル11を挟んだ前後の重量バランスが略均等になり、作業性が向上する。
更に、第2の駆動部5は、締結工具1の左右方向における略中心に対し一方の側である左側にオフセットされて配置され、ネジ送り部7は、ネジ送りモータ70が締結工具1の左右方向における略中心に対し他方の側である右側にオフセットされて配置される。これにより、左右の重量バランスも略均等になり、作業性が向上する。
締結工具1は、上述したように、ドライバビット2を回転させる第1の駆動部4と、ドライバビット2を軸方向に沿った前後方向に移動させる第2の駆動部5が独立したモータで駆動される。これにより、単一の駆動源で2つの動作を行う構成と比較して、駆動力の伝達機構や、所定のタイミングで駆動力の伝達が行われるようにする機構等が不要であり、構成を簡素化できる。また、構成を簡素化できることで、軽量化を図ることができる。更に、2つの動作の連動を制御で行うことができる。
また、ネジ送り部7についても、ネジ送りモータ70を駆動源とすることで、バッテリ12から供給される電気で駆動することができ、空気圧の供給が不要である。更に、ネジ送り部7がドライバビット2の回転や移動とは独立したモータで駆動されることで、単一の駆動源で2つあるいは3つの動作を行う構成と比較して、構成を簡素化できる。また、複数の動作の連動を制御で行うことができる。
ネジ送り部7は、各部品がユニット化され組み立てられた状態で工具本体10を構成するノーズ本体部10fに着脱可能に構成される。これにより、ネジ送りモータ70等の各部品を独立して工具本体10に固定する構成ではなく、組付け性が向上し、整備、点検時の交換等も容易に行える。また、各部品を独立して工具本体10に固定する構成と比較して、各部品間の精度を向上させることができる。更に、ネジ送り部7が固定されるノーズ本体部10fは、工具本体10を構成する前フレーム10bと一体または前フレーム10bに固定されるので、ネジ送り部7の工具本体10に対する取付位置の精度を向上させることができる。また、ノーズ本体部10fは、ドライバビット2が通る射出通路80の一部を構成するので、ネジ送り部7の射出通路80に対する取付位置の精度を向上させることができる。
図9A、図9Bは、本実施の形態の締結工具におけるドライバビットの着脱動作の一例を示す斜視図で、次に、各図を参照して、ドライバビット2を着脱する動作について説明する。
締結工具1では、図1に示すように、待機位置P1に位置するドライバビット2の先端は、ノーズ部8の奥方に位置し、コンタクト部材81の射出口81aに露出しない。そこで、ドライバビット2を交換する場合、ノーズ部8を着脱する。
ノーズ部8の着脱は、まず、ネジ87を外す。ネジ87を外すことで、図9Bに示すように、ノーズ部8を締結工具1から外すことができる。ノーズ部8は、各部品が組み立てられた状態で工具本体10に着脱可能に構成されており、工具本体10の前側の端部を覆うコンタクト部材81や射出口80を構成する部品等が一体で外れる。ノーズ部8が工具本体10を構成する前フレーム10bから取り外されると、工具本体10側に固定されるノーズ本体部10fの射出通路構成部80bから、ノーズ部側8側の部品である射出通路構成部80aが外れ、射出通路80が露出する。
これにより、回転ガイド部材31の前側の端部が工具本体10の前側の端部に露出し、回転ガイド部材31の前側の端部の開口からドライバビット2が露出する。よって、ペンチ等の工具でドライバビットをつかみ、これを引っ張ることで、ドライバビット2を保持部材30から外すことができる。
ドライバビット2の取り付けは、回転ガイド部材31の開口からドライバビット2を入れ、保持部材30の開口30aに押し込むことで、ドライバビット2が保持部材30に保持される。そして、ノーズ部8を工具本体10の前側の端部に装着し、ネジ87を締結することで、ノーズ部8が工具本体10に固定される。
なお、第2の駆動部5の減速機51の減速比の関係から、ビット移動モータ50を停止させた状態で、プーリ52に外力が加わっても、プーリ52が回転しない構成であれば、ドライバビット2の先端を回転ガイド部材31から所定量突出させる交換位置まで移動部材33を移動させた状態でビット移動モータ50の回転を停止させるビット交換モードを設けても良い。
ノーズ部8は、射出通路80、コンタクト部材81及びコンタクトアーム82を構成する各部品がユニット化され組み立てられた状態で工具本体10に着脱可能に構成される。これにより、コンタクトアーム82等の各部品を独立して工具本体10に固定する構成ではなく、組付け性が向上する。また、各部品を独立して工具本体10に固定する構成と比較して、各部品間の精度を向上させることができる。更に、配線が必要なコンタクトスイッチ部84は、工具本体10側に取り付けられることで、配線の接続や切り離しが不要である。
<本実施の形態の締結工具の変形例>
図10Aは、本実施の形態の締結工具の変形例を示す側断面図、図10Bは、本実施の形態の締結工具の他の変形例を示す側断面図、図11は、本実施の形態の締結工具の変形例を示すブロック図である。
図10Aは、本実施の形態の締結工具の変形例を示す側断面図、図10Bは、本実施の形態の締結工具の他の変形例を示す側断面図、図11は、本実施の形態の締結工具の変形例を示すブロック図である。
締結工具1は、上述したように、ドライバビット2を軸方向に沿った前後方向に移動させる第2の駆動部5を備え、第2の駆動部5がビット移動モータ50で駆動され、ビット移動モータ50で駆動されて回転するプーリ52とワイヤ54で連結された移動部材32及び移動部材32と連結された保持部材30が、回転ガイド部材31に沿って、ドライバビット2の軸方向に沿った前方向に移動する構成である。これにより、ビット移動モータ50の回転量を制御することで、ドライバビット2の移動量(前進量)を制御できる。すなわち、ネジ200を締結する方向にドライバビット2を回転させるビット回転モータ40の回転に連動して、ビット移動モータ50を回転させることで、ネジ200の締結に伴い、ネジ200に追従して前進させるドライバビット2の前進量を、ビット移動モータ50の回転量で制御して、ドライバビット2の軸方向に沿った停止位置を制御できる。
図12A~図12Cは、ネジの締結状態を示す断面図で、図12Aは、ネジ200の頭部201が、締結対象物202の表面から浮き上がったり埋まったりしない所謂面一な状態、図12Bは、ネジ200の頭部201が、締結対象物202から浮いた状態、図12Cは、ネジ200の頭部201が、締結対象物202に埋まった状態を示す。
締結工具1は、ドライバビット2の先端が作動終了位置P2に到達したとき、ネジ200が皿ネジである場合、図12Aに示すように、ネジ200の頭部201の表面が、締結対象物202の表面と同一となる所謂面一な状態となるように、ドライバビット2の前進量が設定されていることが好ましい。なお、ネジ200は皿ネジに限らず、なべ、バインド、トラス等であれば、ネジ200の頭部201の座面が、締結対象物202の表面と接して、ネジ200の頭部201が締結対象物201から浮いた状態とならないように、ドライバビット2の前進量が設定されていることが好ましい。
ドライバビット2の先端が作動終了位置P2に到達したとき、ネジ200の頭部201が、図12Bに示すように締結対象物202から浮いた状態である場合、ドライバビット2の前進量を増加させて、作動終了位置P2を前進させればよい。一方、ネジ200の頭部201が、図12Cに示すように締結対象物202に埋まった状態である場合、ドライバビット2の前進量を減少させて、作動終了位置P2を後退させればよい。
そこで、ドライバビット2の前進量を設定する設定部110を備える。設定部110は設定手段の一例で、複数の設定値が選択可能、または、任意の設定値が無段階で選択可能に構成される。設定部110は、例えば、図10Aに示すように、回転式のダイヤルで設定値が選択される構成である。
ドライバビット2の移動量(前進量)を設定するため、専用の設定手段を設ける方式の内、上述回転式のダイヤルを備える構成では、作業者の操作を電気信号に変換する手段として、ダイヤルが接続された軸の回転角度により抵抗値が変化するポテンショメータや、回転角度に応じたパルスを出力するロータリエンコーダ等を用いる方式が考えられる。制御部100がこれらの電圧値やパルス数を読み取り、ドライバビット2の移動量(前進量)を決めるビット移動モータ50の回転回数(回転量)を設定する。
コンタクトアーム82に押されて作動するコンタクトスイッチ部84と、トリガ9の操作で作動するトリガスイッチ部90の両方がオンとなり、ネジ締結開始の条件が成立すると、ドライバビット2の初期位置である待機位置P1を起点として、設定された回転量だけビット移動モータ50を回転させた後、回転停止または逆転させることで、作動終了位置P2を制御して、締め込む深さを調整することができる。
また、設定部110は、図10Bに示すように、ボタンで設定値が選択される構成でも良い。ボタン等、押下により作動するスイッチを用いた方式では、例えば複数、本例では2個のタクトスイッチ(モーメンタリスイッチ)を用い、押下されたスイッチに応じてビット移動モータ50の回転回数(回転量)を設定する方式が考えられる。この方式の場合、工具本体の電源が一度遮断されると、次回電源投入時には前回の設定値が不明となるため、EEPROM等の記憶素子を用いて設定値を記憶させておくことも考えられる。
設定部110は、レバー式のスイッチや、タッチパネルでも良い。また、設定部110は、複数の設定手段を組み合わせたものでも良く、例えば、上述したダイヤル方式とスイッチ方式を組み合わせても良い。この場合、ダイヤル操作で締め込み量を調整できるようにするとともに、一時的な隅打ち等、斜め打ちしなければならない場合にスイッチの操作で締め込み量を深く設定できるようにしても良い。
更に、設定部110は、現在の設定値を作業者が容易に把握できるよう、ラベルや刻印等で現在値を示す方法や、LED等で現在値を示す方法等により、選択された設定値を表示する構成を備えても良い。なお、ノイズ等による設定の誤判断を防止するため、設定信号をビット移動モータ50の停止時にのみ検出するようにしてもよい。また、ポテンショメータは故障により、通常の操作範囲外の異常な電圧を示すことも考えられるため、異常値は採用しないことや、LEDやブザー等により、故障したことを作業者に報知することも考えられる。
ストッパの位置を移動させる等、機械的な構成でドライバビット2の前進量を調整する構成では、ストッパの位置を移動させる設定部をノーズ部8の近傍に設けるがある。これに対して、本実施の形態の締結工具1では、ビット移動モータ50の回転量を制御することで、ドライバビット2の移動量(前進量)を電気的に制御できる。このため、設定部110を設ける位置の制約が少ない。そこで、設定部110は、図10A、図10Bの例では、ハンドル11の下部に設けられるバッテリ取付部13の一方の側部に設けられる。なお、ハンドル11を右手で持つ場合、設定部110は左手で操作することになることから、設定部110は、バッテリ取付部13の左側の側部に設ける構成とすると良い。
図13は、設定部の一例を示す平面図である。図13に示す設定部110は、図10Bに示す締結工具1に設けられたもので、ドライバビット2の前進量を段階的に減少させる設定値が選択されるボタン110aと、ドライバビット2の前進量を段階的に増加させる設定値が選択されるボタン110bを備える。
また、設定部110は、ボタン110aの操作で選択される設定値を視覚的に認識可能とするため、ガイド図110a1を備える。ガイド図110a1は、ボタン110aに設けても良いし、ボタン110aの近傍に設けても良い。同様に、設定部110は、ボタン110bの操作で選択される設定値を視覚的に認識可能とするため、ガイド図110b1を備える。ガイド図110b1は、ボタン110bに設けても良いし、ボタン110bの近傍に設けても良い。
更に、設定部110は、選択された設定値を表示するランプ110cを備える。ランプ110cは表示部の一例で、複数のランプ110cが点灯する数により、選択された設定値を表示する。例えば、ドライバビット2の前進量を減少させる場合は、点灯するランプ110cの数を少なく、ドライバビット2の前進量を増加させる場合は、点灯するランプ110cの数を増やす。また、ランプ110cの色、設定値に応じて変更しても良い。
ドライバビット2の移動量(前進量)を設定するため、専用の設定手段を設ける方式以外に、設定手段として、コンタクトスイッチ部84やトリガスイッチ部90を用いても良い。コンタクトスイッチ部84やトリガスイッチ部90等、既存の操作手段を設定手段として用いた方式では、コンタクトアーム82やトリガ9を、通常の締結動作を実行する操作と異なる所定の設定操作を行うことで、ビット移動モータ50の回転回数(回転量)を設定可能とする。例えば、コンタクトアーム82を作動させず、所定時間内にトリガ9を引く、離す連続操作が所定回数行われると、ビット移動モータ50の回転回数(回転量)を設定する設定操作であると判断する。具体的には、トリガ9のみを素早く3回操作する等の所定の操作を繰り返す度に、締め込み深さを段階的に調整することが考えられる。
コンタクトスイッチ部84やトリガスイッチ部90等、既存の操作手段を設定手段として用いた方式では、締め込み量調整のための別の操作手段や設定手段が不要となるため、工具本体を小型化、コストダウンすることができる。
図14は、本実施の形態の変形例の締結工具の動作例を示すフローチャートであり、次に、各図を参照して、ドライバビット2の前進量を設定して締結する動作について説明する。
制御部100は、図14のステップSA1で、設定部110で選択された設定値に基づき、ドライバビット2の前進量を規定するビット移動モータ50の回転量を設定する。制御部100は、コンタクト部材81が締結対象物に押し付けられ、コンタクトアーム82によりコンタクトスイッチ部84が押されて、ステップSA2でコンタクトスイッチ部84がオンとなり、トリガ9が操作されて、ステップSA3でトリガスイッチ部90がオンになると、ステップSA4で第2の駆動部5のビット移動モータ50を駆動すると共に、ステップSA5で第1の駆動部4のビット回転モータ40を駆動する。
ビット移動モータ50が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、プーリ52とワイヤ54で連結された移動部材32及び移動部材32と連結された保持部材30が、回転ガイド部材31に沿って、ドライバビット2の軸方向に沿った前方向に移動する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が前方向に移動し、ノーズ部8の射出口80に供給されたネジ200と係合してネジ200を前方向に移動させ、締結対象物に押し付ける。
また、ビット回転モータ40が駆動されて一の方向である正方向に回転すると、保持部材30が回転ガイド部材31と共に回転する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2がネジ200を正方向(時計回り)に回転させ、締結対象物にねじ込む。制御部100は、第1の駆動部4でドライバビット2を回転させてネジを締結対象物にねじ込む動作に連動させて、ビット回転モータ40に掛かる負荷、ビット回転モータ40の回転数、ビット移動モータ50に掛かる負荷、ビット移動モータ50の回転数等に基づき、第1の駆動部5でドライバビット2を前方向に移動させることで、締結対象物にねじ込まれるネジにドライバビット2を追従させる。
制御部100は、ステップSA6でビット移動モータ50の回転量が、設定部110で選択された設定値となり、ドライバビット2の先端が設定された作動終了位置P2に到達すると、ステップSA7でビット回転モータ40の駆動を停止すると共に、ステップSA8でビット移動モータ50を逆転させる。
ビット移動モータ50が他の方向である逆方向に回転すると、ワイヤ54がプーリ52から引き出されることで、付勢部材33により移動部材32が後方向に押され、移動部材32及び移動部材32と連結された保持部材30が、回転ガイド部材31に沿って、ドライバビット2の軸方向に沿った後方向に移動する。
制御部100は、ステップSA9で、プーリ52からワイヤ54が所定量引き出される初期位置までビット移動モータ50が初期位置まで逆転すると、ステップSA10でビット移動モータ50の逆転を停止する。
これにより、保持部材30に保持されたドライバビット2が後方向に移動し、ドライバビット2の先端が、待機位置P1に戻る。
締結工具1では、ビット移動モータ50の回転量を制御することで、ドライバビット2の移動量(前進量)を制御できる。これにより、ストッパの位置を移動させる等、機械的な構成でドライバビット2の前進量を調整可能とする構成と比較して、簡素な構成で、ドライバビット2の先端位置の高精度な調整が可能である。従って、図12Bに示すように、ネジ200の頭部201が締結対象物202から浮いたり、図12Cに示すように、締結対象物202に沈み過ぎることを抑制して、図12Aに示すように、所謂面一な状態とすることができ、締結作業後の仕上がりが綺麗なものとなる。
図15A~図15Dは、設定部の設置位置の変形例を示す斜視図である。上述したように、本実施の形態の締結工具1では、ビット移動モータ50の回転量を制御することで、ドライバビット2の移動量(前進量)を電気的に制御できるので、設定部110を設ける位置の制約が少ない。
そこで、図15Aでは、設定部110は、ハンドル11の下部に設けられるバッテリ取付部13の上部に設けられる。また、図15Bでは、設定部110は、バッテリ取付部13の後部に設けられる。バッテリ取付部13の上部または後部で、左右方向の中央付近に設定部110を設けることで、ハンドル11を持つ利き手によらず、設定部110の操作が可能である。
更に、設定部110は、工具本体10側に設けても良く、図15Cでは、設定部110は、工具本体10の側部に設けられる。ハンドル11を右手で持つ場合、設定部110は左手で操作することになることから、設定部110は、工具本体10の左側の側部に設ける構成とすると良い。
また、図15Dでは、設定部110は、工具本体10の後部、本例では、第1の駆動部4を覆うカバー部43の後部に設けられる。工具本体10の後部で、左右方向の中央付近に設定部110を設けることで、ハンドル11を持つ利き手によらず、設定部110の操作が可能である。なお、設定部110は、工具本体10の上部に設けても良い。
このように、ドライバビット2の軸方向に沿った移動量の設定が、電気信号で行うことができるので、設定部110の配置に制約が少なく、締め込み深さ調整の操作性を考慮した最適化が容易である。
1・・・締結工具、10・・・工具本体、10a・・・ケース、10b・・・前フレーム、10c・・・後フレーム、10d・・・結合部材、10e・・・ネジ、10f・・・ノーズ本体部、11・・・ハンドル、12・・・バッテリ、13・・・バッテリ取付部、2・・・ドライバビット、3・・・ビット保持部、30・・・保持部材、30a・・・開口、30b・・・連結部材、31・・・回転ガイド部材、31a・・・溝部、32・・・移動部材(伝達部材)、32a・・・第1の移動部材、32b・・・ベアリング、32c・・・第2の移動部材、33・・・付勢部材、4・・・第1の駆動部、40・・・ビット回転モータ(第1のモータ)、40a・・・軸、41・・・減速機、41a・・・軸、42・・・ベアリング、5・・・第2の駆動部、50・・・ビット移動モータ(モータ、第2のモータ)、50a・・・軸、51・・・減速機、51a・・・軸、52・・・プーリ(伝達部材)、53・・・ベアリング、54・・・ワイヤ(伝達部材)、6・・・ネジ収納部、7・・・ネジ送り部、70・・・ネジ送りモータ、71・・・ピニオンギア(ネジ送り伝達部)、72・・・ラックギア(ネジ送り伝達部)、73・・・係合部、74・・・サブフレーム、75、76・・・ネジ、8・・・ノーズ部、80・・・射出通路、80a、80b・・・射出通路構成部、81・・・コンタクト部材、81a・・・射出口、82・・・コンタクトアーム、83・・・調整部、84・・・コンタクトスイッチ部、85・・・ネジ、86・・・サブフレーム、87・・・ネジ、88・・・カバー部材、9・・・トリガ、90・・・トリガスイッチ部、100・・・制御部、110・・・設定部
Claims (9)
- ドライバビットを回転可能、及び、軸方向に移動可能に保持するビット保持部と、
前記ビット保持部で保持されたドライバビットを、ドライバビットに係合されたネジを締結対象物に押し付ける軸方向に沿って移動させるモータとを備えた
締結工具。 - ドライバビットを回転可能、及び、軸方向に移動可能に保持するビット保持部と、
前記ビット保持部で保持されたドライバビットを回転させる第1のモータを有した第1の駆動部と、
前記ビット保持部で保持されたドライバビットを、軸方向に沿って移動させる第2のモータを有した第2の駆動部とを備えた
締結工具。 - 一の方向に延伸する工具本体と、
前記工具本体の延伸方向に対して交差する他の方向に延伸するハンドルとを備え、
前記第1の駆動部は、前記ハンドルを挟んで前記工具本体の延伸方向に沿った一方の側に設けられ、
前記第2の駆動部は、前記ハンドルを挟んで前記工具本体の延伸方向に沿った他方の側に設けられる
請求項2に記載の締結工具。 - 前記第1の駆動部は、前記第1のモータが前記ビット保持部で保持されたドライバビットと同軸上に配置される
請求項2または請求項3に記載の締結工具。 - 前記第2のモータの駆動力によってドライバビットに係合されたネジを締結対象物に押し付ける方向に、前記ビット保持部を移動させる伝達部材を備えた
請求項2~請求項4の何れか1項に記載の締結工具。 - 前記第2の駆動部は、前記第2のモータの軸が前記ハンドルの延伸方向に沿って配置される
請求項2~請求項5の何れか1項に記載の締結工具。 - 前記第2の駆動部は、前記第2のモータに駆動されて回転するプーリと、前記プーリに巻かれるワイヤにより、前記第2のモータの駆動力が前記ビット保持部に伝達される
請求項2~請求項6の何れか1項に記載の締結工具。 - 前記モータに電気を供給するバッテリが取り付けられるバッテリ取付部を備えた
請求項1に記載の締結工具。 - 前記第1のモータ及び前記第2のモータに電気を供給するバッテリが取り付けられるバッテリ取付部を備えた
請求項2~請求項7の何れか1項に記載の締結工具。
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