JP2023041681A - プリント配線板用熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板、プリント配線板及び半導体パッケージ - Google Patents

プリント配線板用熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板、プリント配線板及び半導体パッケージ Download PDF

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Yuma Yoshida
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Yuichi Shimayama
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Abstract

【課題】ポリイミド系樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、優れた耐熱性、低熱膨張性及び高弾性率と共に、高接着強度及び耐デスミア性が得られるプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】カルボキシラートアニオンを対イオンとするホスホニウム塩(a)と、少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(b)と、を含有してなる、プリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板用熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板、プリント配線板及び半導体パッケージに関する。
近年の電子機器の小型化及び高性能化の流れに伴い、プリント配線板では配線密度の高度化、高集積化が進展し、これに伴って、配線用積層板の耐熱性の向上等による信頼性向上への要求が強まっている。特に、半導体用パッケージ基板では、部品実装時及びパッケージ組み立て時において、チップと基板との熱膨張率の差に起因した反りが大きな課題となっている。
このような理由から、プリント配線板及び半導体パッケージにおいては、優れた耐熱性、低熱膨張性、及び高弾性率が要求されている。
エポキシ樹脂は、寸法安定性、耐薬品性、耐吸湿性及び電気絶縁性に優れることが知られ、配線板材料、封止材、接着剤及び塗料等に使用されている。しかし、エポキシ樹脂は熱膨張係数が大きいため、芳香環を有するエポキシ樹脂の選択及びシリカ等の無機充填材の高充填化によって低熱膨張係数化を図っている(例えば、特許文献1参照)。無機充填材を高い割合で充填することにより、さらなる低熱膨張率化を図ることも可能であるが、無機充填材の充填量を増やすことは吸湿による絶縁信頼性の低下、樹脂組成物層-配線層間の密着力の不足、及びプレス成形不良を起こすことが知られている。
一方、ポリイミド系樹脂は、他の高分子樹脂材料と比較して非常に優れた強度、耐熱性及び低熱膨張性を有し、電気絶縁性にも優れるが、接着強度の小ささに課題がある。接着強度が小さい場合、上記実装時に生じる反りにより配線が剥離し、断線する等の問題が発生する可能性がある。
さらに、多層プリント回路基板を製造する過程において、ドリル加工又はレーザ加工によりビアホールを形成した後、穴の内外に付着するスミアを、過マンガン酸溶液等を含有するデスミア液で処理する。この際、熱硬化性樹脂の耐デスミア性が低いと、ビアホール内の樹脂も同時に削られ、凹凸が大きくなり、接続不良が発生したり、より多くの金メッキが必要となったりするため、コストが増加する要因となる。そのため、多層プリント回路基板に適用される熱硬化性樹脂には、優れた耐デスミア性が要求される。
特開平5-148343号公報
前述のとおり、プリント配線板及び半導体パッケージにおいては、優れた耐熱性、低熱膨張性、高弾性率、高接着強度及び耐デスミア性等が要求されるが、熱硬化性樹脂の種類によるこれらの特性改善には限界があり、ポリイミド系樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物においては、高接着強度と耐デスミア性とを満足させることが必ずしも容易ではない。
そこで、本発明の課題は、ポリイミド系樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、優れた耐熱性、低熱膨張性及び高弾性率と共に、高接着強度及び耐デスミア性が得られるプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の硬化促進剤と特定のマレイミド化合物とを含有してなる熱硬化性樹脂組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供するものである。
[1]カルボキシラートアニオンを対イオンとするホスホニウム塩(a)と、少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(b)と、を含有してなる、プリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
[2]前記(a)成分が、下記一般式(a1)で表されるホスホニウムカチオンと、下記一般式(a2)~(a4)のいずれかで表されるポリカルボン酸のアニオン残基からなるホスホニウム塩を含む、上記[1]に記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
Figure 2023041681000001

(式(a1)中、R~Rは各々独立に、炭素数1~16のアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基である。)
Figure 2023041681000002

(式(a2)中、Rは、メチレン基又はエチレン基であり、R~Rは各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はカルボキシル基である。)
Figure 2023041681000003

(式(a3)中、R10~R13は各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はカルボキシル基である。)
Figure 2023041681000004

(式(a4)中、R14は、炭素数1~10のアルキル基である。nは0~2の整数である。)
[3]さらに、熱可塑性エラストマー(c)を含有してなる、上記[1]又は[2]に記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
[4]さらに、熱硬化性樹脂(d)を含有してなる、上記[1]~[3]のいずれかに記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
[5]さらに、無機充填材(f)を含有してなる、上記[1]~[4]のいずれかに記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
[6]上記[1]~[5]のいずれかに記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物を含有してなるプリプレグ。
[7]上記[6]に記載のプリプレグを含有してなる積層板。
[8]上記[7]に記載の積層板を含有してなるプリント配線板。
[9]上記[8]に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
本発明によれば、優れた耐熱性、低熱膨張性及び高弾性率と共に、高接着強度及び耐デスミア性が得られるプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物であれば、220℃以上の高温でないと十分に硬化しない傾向にあるポリイミド系樹脂を含有するにも関わらず、低温(180~200℃程度)での硬化性に優れており、且つ、常温での保存安定性(潜在性)にも優れている。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。数値範囲の下限値および上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値又は上限値と任意に組み合わせられる。
また、本明細書に例示する各成分及び材料等は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
[プリント配線板用熱硬化性樹脂組成物]
本発明のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物(以下、単に「熱硬化性樹脂組成物」ともいう)は、カルボキシラートアニオンを対イオンとするホスホニウム塩(a)[以下、単に「ホスホニウム塩(a)」又は「(a)成分」ともいう]と、少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(b)[以下、「マレイミド化合物(b)」又は「(b)成分」ともいう]と、を含有してなるものである。
<カルボキシラートアニオンを対イオンとするホスホニウム塩(a)>
(a)成分は、カルボキシラートアニオンを対イオンとするホスホニウム塩であれば、特に限定されず、全て含まれる。(a)成分は、ホスホニウムカチオンとカルボキシラートアニオンとが1モル対1モル又は2モル対1モルの比率で構成されたものであることが好ましい。また、(a)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
該(a)成分を使用することにより、耐熱性、低熱膨張性及び高弾性率を十分なものとしながら、高接着強度及び耐デスミア性を改善することができる。さらに、該(a)成分を使用することにより、次の利点も有する。一般的に、ポリイミド系樹脂、例えば本発明で使用する(b)成分のマレイミド化合物は、220℃以上の高温でないと十分に硬化しない傾向にあるにも関わらず、該(a)成分を使用することにより、低温(180~200℃程度)でも十分に硬化させることができる(以下、当該特性を「低温硬化性」と称することがある。)。このように低温で十分に硬化させることができるような硬化促進剤は、それだけ活性が高いということであり、そのため、熱硬化性樹脂組成物の常温での保存安定性(潜在性)が悪化する傾向がある。しかし、前記(a)成分を使用する本発明ではそのような結果にならず、常温での保存安定性(潜在性)にも優れる。
(a)成分としては、市販品を使用することもできる。耐熱性、低熱膨張性、高弾性率、高接着強度、耐デスミア性、低温硬化性及び保存安定性の観点から、例えば、下記一般式(a1)で表されるホスホニウムカチオンと、下記一般式(a2)~(a4)のいずれかで表されるポリカルボン酸のアニオン残基からなるホスホニウム塩を含むことが好ましい。なお、下記一般式(a2)又は(a3)で表されるポリカルボン酸は、脂肪族ポリカルボン酸に分類され、下記一般式(a4)で表されるポリカルボン酸は、芳香族ポリカルボン酸に分類される。
Figure 2023041681000005

(式(a1)中、R~Rは各々独立に、炭素数1~16のアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基である。)
Figure 2023041681000006

(式(a2)中、Rは、メチレン基又はエチレン基であり、R~Rは各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はカルボキシル基である。)
Figure 2023041681000007

(式(a3)中、R10~R13は各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はカルボキシル基である。)
Figure 2023041681000008

(式(a4)中、R14は、炭素数1~10のアルキル基である。nは0~2の整数である。)
前記式(a1)中、R~Rは各々独立に、炭素数1~16のアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基である。
~Rが表す炭素数1~16のアルキル基としては、炭素数1~16の直鎖状アルキル基、炭素数1~16の分岐鎖状アルキル基が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、さらに好ましくは3~6である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。これらの中でも、n-ブチル基が好ましく、特に、R~Rの全てがn-ブチル基であることがより好ましい。
~Rが表す置換もしくは無置換のフェニル基において、置換フェニル基の置換基としては、例えば、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシル基等が挙げられる。炭素数1~10のアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基、炭素数1~10の分岐鎖状アルキル基が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、さらに好ましくは1である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルコキシル基としては、アルキル基部位が前記炭素数1~10のアルキル基で例示したもの等が挙げられる。該アルコキシル基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、さらに好ましくは1である。該アルコキシル基としては、メトキシ基が好ましい。
置換もしくは無置換のフェニル基としては、上記の中でも、フェニル基、4-メチルフェニル基、4-メトキシフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましく、特に、R~Rの全てがフェニル基であることがより好ましい。
特に、R~Rとしては、n-ブチル基、フェニル基が好ましく、R~Rの全てがn-ブチル基であるか、R~Rの全てがフェニル基であることがより好ましく、R~Rの全てがn-ブチル基であることがさらに好ましい。
前記一般式(a1)で表されるホスホニウムカチオンの具体例としては、例えば、テトラ-n-ブチルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、テトラキス(4-メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラキス(4-メトキシフェニル)ホスホニウムカチオン、フェニルトリス(4-メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、フェニルトリス(4-メトキシフェニル)ホスホニウムカチオン、フェニルトリブチルホスホニウムカチオン、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムカチオン、(4-メトキシフェニル)トリフェニルホスホニウムカチオン、ブチルトリフェニルホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらの中でも、テトラ-n-ブチルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオンが好ましく、テトラ-n-ブチルホスホニウムカチオンがより好ましい。
前記一般式(a2)~(a4)のいずれかで表されるポリカルボン酸のアニオン残基とは、カルボキシル基の水素原子が外れてカルボキシルアニオンとなったものをいう。例えば、一般式(a2)又は(a3)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基としては、一般式(a2)又は(a3)で表されるポリカルボン酸中の1つのカルボキシル基の水素原子が外れて1価又は2価(好ましくは1価)のカルボキシルアニオンとなったものが挙げられる。また、一般式(a4)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基としては、一般式(a4)で表されるポリカルボン酸中の2つのカルボキシル基の水素原子が外れて2価のカルボキシルアニオンとなったもの、より具体的には、一般式(a4)で表されるポリカルボン酸の1位と、4位又は5位のカルボキシル基の水素原子が外れて、2価のカルボキシルアニオンとなったものが挙げられる。
前記一般式(a2)中、Rは、メチレン基又はエチレン基であり、R~Rは各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はカルボキシル基である。
としては、好ましくはメチレン基である。
~Rが表す炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
~Rとしては、水素原子、メチル基が好ましい。
特に、耐熱性、低熱膨張性、高弾性率、高接着強度、耐デスミア性、低温硬化性及び保存安定性の観点から、前記一般式(a2)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基としては、(i)Rがメチレン基であり、且つR~Rは全て水素原子であるポリカルボン酸のアニオン残基であるか、又は、(ii)Rがメチレン基であり、且つR~Rのいずれか1つがメチル基であって、残り3つが水素原子であるポリカルボン酸のアニオン残基であるか、又は(iii)これら前記ポリカルボン酸のアニオン残基の混合物であることが好ましい。
前記一般式(a3)中、R10~R13は各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はカルボキシル基である。
10~R13が表す炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
10~R13としては、水素原子、メチル基、カルボキシル基が好ましい。
特に、耐熱性、低熱膨張性、高弾性率、高接着強度、耐デスミア性、低温硬化性及び保存安定性の観点から、前記一般式(a3)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基としては、R10~R13が全て水素原子であるポリカルボン酸のアニオン残基であるか、又は、R10~R13のうちの2つが(特に、R11及びR12が)カルボキシル基であって、残り2つが水素原子である脂環族ポリカルボン酸のアニオン残基であることが好ましく、R10~R13が全て水素原子であるポリカルボン酸のアニオン残基であることがより好ましい。
前記一般式(a4)中、R14は、炭素数1~10のアルキル基である。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
nは0~2の整数であり、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。nが2のとき、2つのR14は同一であっても異なっていてもよい。なお、nが0であるとき、R14がベンゼン環に置換していないことを意味し、その場合、一般式(a4)で表されるポリカルボン酸はピロメリット酸である。
(ホスホニウム塩(a)の製造方法)
前記(a)成分は、公知の方法により製造できる。例えば、前記一般式(a2)又は(a3)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基を用いる場合は、特開2015-63661号公報等に記載の方法を参照して製造することができる。また、前記一般式(a4)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基を用いる場合は、国際公開第2018/021548号等に記載の方法を参照して製造することができる。
前記一般式(a2)又は(a3)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基を有するホスホニウム塩(a)の場合は、例えば、まず、テトラ置換ホスホニウムハライドの溶液(溶媒は、水、メタノール等)を、イオン交換することによりテトラ置換ホスホニウムヒドロキシドの溶液(溶媒は、水、メタノール等)とする。次に、該溶液中で、得られたテトラ置換ホスホニウムヒドロキシド1モルに対して前記一般式(a2)又は(a3)で表されるポリカルボン酸を0.5~5モル(より好ましくは0.5~2モル)用いて中和することにより塩形成する方法等が挙げられる。
得られた塩を含む反応混合物から、例えば減圧蒸留等により溶媒を除去して、目的の塩を分離する。必要に応じて、再結晶して純度を高めることが好ましい。なお、上記テトラ置換ホスホニウムヒドロキシドは市販されているものを使用してもよい。また、一般式(a2)又は(a3)で表されるポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物を使用してもよい。
当該方法によって得られる塩は、通常は、ホスホニウムカチオン1モルとポリカルボン酸のアニオン残基1モルとの塩が主成分である。
一方、前記一般式(a4)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基を有するホスホニウム塩(a)の場合は、例えば、一般式(a4)で表されるポリカルボン酸のジアルカリ金属塩を常法で合成(溶媒は、水、メタノール等)した後、そのポリカルボン酸のジアルカリ金属塩0.5モルに対してテトラ置換ホスホニウムハライドを1モル仕込み反応させることにより塩形成する方法等が挙げられる。この場合、テトラ置換ホスホニウムハライドとポリカルボン酸のジアルカリ金属塩とをそれぞれ単独で使用してもよいし、又はそれぞれ2種以上を併用して塩を形成させてもよい。2種以上を併用する場合としては、例えば、2種以上のテトラ置換ホスホニウムハライド及び1種のポリカルボン酸のジアルカリ金属塩同士を混合し、2種以上のビス(テトラ置換ホスホニウム)ジハイドロジェンピロメリテートを形成させてもよいし、別々に2種以上のビス(テトラ置換ホスホニウム)ジハイドロジェンピロメリテートを製造した後にそれらを単純に混合してもよい。
また、テトラ置換ホスホニウムヒドロキシド1モルに対して一般式(a4)で表されるポリカルボン酸またはその無水物を0.5モル用いて中和することにより塩を形成してもよい。
得られた反応物から純度の高い結晶を析出させ、未反応の原料および副生する無機塩を除去すること等を目的に、得られた反応物を、水、アルコール系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、およびこれらの混合溶媒等で洗浄し、必要に応じて再結晶してもよい。
なお、上記テトラ置換ホスホニウムハライド、テトラ置換ホスホニウムヒドロキシド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸無水物、および溶媒はいずれも市販されているものを使用してもよい。
当該方法によって得られる塩は、通常は、ホスホニウムカチオン2モルとポリカルボン酸の2価のアニオン残基1モルとの塩が主成分である。
(ホスホニウム塩(a)の構造)
前記一般式(a1)で表されるホスホニウムカチオンと、前記一般式(a2)又は(a3)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基からなるホスホニウム塩において、主成分となるホスホニウムカチオン1モルとポリカルボン酸のアニオン残基1モルとの塩は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2023041681000009

(式(I)中、R~Rは、前記一般式(a1)中のR~Rと同じである。)
一般式(I)中、Xは、前記一般式(a2)で表される脂環族ポリカルボン酸及び前記一般式(a3)で表される脂環族ポリカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリカルボン酸のアニオン残基(1価のアニオン残基)を示す。すなわち、一般式(I)において、Xは、前記一般式(a2)で表される脂環族ポリカルボン酸及び前記一般式(a3)で表される脂環族ポリカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂環族ポリカルボン酸の複数のカルボキシル基のうちの一つがカルボキシルアニオン(-COO)となったアニオン残基である。
また、前記一般式(a1)で表されるホスホニウムカチオンと、前記一般式(a4)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基からなるホスホニウム塩において、主成分となるホスホニウムカチオン2モルとポリカルボン酸の2価のアニオン残基1モルとの塩は、下記一般式(II)で表される。
Figure 2023041681000010

(式(II)中、R~Rは、前記一般式(a1)中のR~Rと同じである。R14及びnは、前記一般式(a1)中のR14及びnと同じである。)
前記一般式(II)において、アニオン部は、式(a4)で表されるポリカルボン酸のアニオン残基(2価のアニオン残基)を示し、厳密には、複数のカルボキシル基又はカルボキシルアニオンのうち、o-フェニレン鎖を隔てて存在するカルボキシル基及びカルボキシルアニオンがホスホニウムカチオンに配位したアニオン残基である。このとき、カルボキシル基及びカルボキシルアニオンは、実際には等価である。
熱硬化性樹脂組成物中におけるホスホニウム塩(a)の含有量は、耐熱性、低熱膨張性及び高弾性率を十分なものとしながら、高接着強度及び耐デスミア性を改善する観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、0.01~3質量部が好ましく、0.05~1.5質量部がより好ましく、0.1~1.0質量部がさらに好ましく、0.1~0.7質量部が特に好ましい。
ここで、本明細書において、樹脂成分とは、前記(a)成分と(b)成分及び必要に応じて配合する(c)成分及び(d)成分等であり、無機充填材(f)は含まれない。
<少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(b)>
マレイミド化合物(b)は、少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物であれば特に限定されない。
マレイミド化合物(b)としては、2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が好ましく、下記一般式(b-1)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2023041681000011

(一般式(b-1)中、Xb1は、下記一般式(b1-1)、(b1-2)、(b1-3)又は(b1-4)で表される基である。)
Figure 2023041681000012

(一般式(b1-1)中、Rb1は各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。pは0~4の整数である。)
Figure 2023041681000013

(一般式(b1-2)中、Rb2及びRb3は各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Xb2は炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基、単結合又は下記一般式(b1-2-1)で表される基である。q及びrは各々独立に0~4の整数である。)
Figure 2023041681000014

(一般式(b1-2-1)中、Rb4及びRb5は各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Xb3は炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合である。s及びtは各々独立に0~4の整数である。)
Figure 2023041681000015

(一般式(b1-3)中、n1は1~10の整数である。)
Figure 2023041681000016

(一般式(b1-4)中、Rb6及びRb7は各々独立に、水素原子又は炭素数1~5の脂肪族炭化水素基である。uは1~8の整数である。)
前記一般式(b1-1)中、Rb1が表す脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数1~3の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはメチル基である。また、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
以上の中でも、Rb1としては炭素数1~5の脂肪族炭化水素基が好ましい。
pは0~4の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。pが2以上の整数である場合、複数のRb1同士は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(b1-2)中、Rb2及びRb3が表す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、前記Rb1の場合と同じものが挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数1~3の脂肪族炭化水素基、より好ましくはメチル基及びエチル基、さらに好ましくはエチル基である。
b2が表す炭素数1~5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2-ジメチレン基、1,3-トリメチレン基、1,4-テトラメチレン基、1,5-ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、好ましくは炭素数1~3のアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基である。
b2が表す炭素数2~5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
b2としては、上記選択肢の中でも、炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基が好ましい。より好ましいものは前述のとおりである。
q及びrは各々独立に0~4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0又は2である。q又はrが2以上の整数である場合、複数のRb2同士又はRb3同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(b1-2-1)中、Rb4及びRb5が表す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、前記Rb2及びRb3の場合と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
b3が表す炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基としては、前記Xb2が表す炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
b3としては、上記選択肢の中でも、好ましくは炭素数2~5のアルキリデン基であり、より好ましいものは前述のとおりである。
s及びtは0~4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。s又はtが2以上の整数である場合、複数のRb4同士又はRb5同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(b1-2-1)は、下記一般式(b1-2-1’)で表されることが好ましい。
Figure 2023041681000017

(一般式(b1-2-1’)中のXb3、Rb4、Rb5、s及びtは、それぞれ、一般式(b1-2-1)中のものと同じであり、好ましいものも同じである。)
前記一般式(b1-2)で表される基は、下記一般式(b1-2’)で表される基であることが好ましく、下記(b1-i)~(b1-iii)のいずれかで表される基であることがより好ましく、下記(b1-i)又は(b1-iii)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 2023041681000018

(一般式(b1-2’)中のXb2、Rb2、Rb3、q及びrは、それぞれ、一般式(b1-2)中のものと同じであり、好ましいものも同じである。)
Figure 2023041681000019
前記一般式(b1-3)中、nは、1~10の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数である。
前記一般式(b1-4)中、Rb6及びRb7が表す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、前記一般式(b1-1)中のRb1の場合と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。uは1~8の整数であり、好ましくは1~3の整数、より好ましくは1である。
前記一般式(b-1)中、Xb1は、前記一般式(b1-1)、(b1-2)、(b1-3)又は(b1-4)で表される基のいずれであってもよく、これらの中でも、低反り性、寸法安定性、耐熱性及び入手容易性の観点から、前記一般式(b1-2)又は(b1-3)で表される基であることが好ましい。
マレイミド化合物(b)の具体例としては、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、反応性が高く、より高耐熱性化できるという観点から、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましく、溶媒への溶解性の観点から、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンがより好ましく、製造コストの観点から、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物中におけるマレイミド化合物(b)の含有量は、低反り性、寸法安定性、低熱膨張性、低弾性、耐熱性及び金属回路との接着強度の観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、30~90質量部が好ましく、35~85質量部がより好ましく、40~70質量部がさらに好ましい。
(アミノ変性シロキサン化合物(x1))
本発明のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物は、反りの抑制及び寸法安定性の向上の観点から、アミノ変性シロキサン化合物(x1)を含有してなるものであってもよい。又は、該アミノ変性シロキサン化合物(x1)を前記(b)成分と反応させて、シロキサン変性ポリイミド[以下、シロキサン変性ポリイミド(X)と称する。]としたものを前記(b)成分の代わりに使用してもよい(この観点から、シロキサン変性ポリイミド(X)は前記(b)成分の下位概念である。)し、前記(b)成分と併用してもよい。
以下、アミノ変性シロキサン化合物(x1)、シロキサン変性ポリイミド(X)の順に詳述する。
アミノ変性シロキサン化合物(x1)としては、2個の第1級アミノ基を有するシロキサン化合物であることが好ましい。
アミノ変性シロキサン化合物(x1)は、第1級アミノ基を、シロキサン骨格の側鎖又は末端のいずれか又は両方に有していればよく、入手容易性及び低反り性の観点から、末端に有することが好ましく、両末端に有することがより好ましい(以下、両末端に第1級アミノ基を有するシロキサン化合物を「両末端アミノ変性シロキサン化合物」ともいう)。同様の観点から、アミノ変性シロキサン化合物(x1)は、下記一般式(x1-1)で表されることが好ましい。
Figure 2023041681000020

(一般式(x1-1)中、Rx1、Rx2、Rx3及びRx4は各々独立に、アルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を表す。Xx1及びXx2は各々独立に、2価の有機基を表し、mは1~50の整数である。)
一般式(x1-1)中、Rx1、Rx2、Rx3及びRx4が表すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、好ましくは炭素数1~5のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
置換フェニル基におけるフェニル基が有する置換基としては、例えば、炭素数1~5のアルキル基、炭素数2~5のアルケニル基、炭素数2~5のアルキニル基等が挙げられる。該炭素数1~5のアルキル基としては、前記したものと同じものが挙げられる。該炭素数2~5のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。炭素数2~5のアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
以上の中でも、Rx1、Rx2、Rx3及びRx4としては、メチル基又はフェニル基が好ましい。
x1及びXx2が表す2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、-O-又はこれらが組み合わされた2価の連結基等が挙げられる。該アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1~10のアルキレン基が挙げられる。該アルケニレン基としては、炭素数2~10のアルケニレン基が挙げられる。該アルキニレン基としては、炭素数2~10のアルキニレン基が挙げられる。該アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6~20のアリーレン基が挙げられる。
mは1~50の整数であり、好ましくは4~46の整数、より好ましくは10~42の整数である。mが2以上の整数である場合、複数のRx1同士又はRx2同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
アミノ変性シロキサン化合物(x1)は、市販品を用いることができ、例えば、側鎖にメチル基を有する(x1)成分としては、「KF-8010」(アミノ基の官能基当量;430g/mol)、「X-22-161A」(アミノ基の官能基当量;800g/mol)、「X-22-161B」(アミノ基の官能基当量;1,500g/mol)、「KF-8012」(アミノ基の官能基当量;2,200g/mol)、「KF-8008」(アミノ基の官能基当量;5,700g/mol)、「X-22-9409」(アミノ基の官能基当量;700g/mol)(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、側鎖にフェニル基を有する(x1)成分としては、「X-22-1660B-3」(アミノ基の官能基当量;2,200g/mol)(信越化学工業株式会社製)、「BY-16-853U」(アミノ基の官能基当量;460g/mol)、「BY-16-853」(アミノ基の官能基当量;650g/mol)、「BY-16-853B」(アミノ基の官能基当量;2,200g/mol)(以上、東レダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、低吸水率の点から、「X-22-161A」、「X-22-161B」、「KF-8012」、「KF-8008」、「X-22-1660B-3」、「BY-16-853B」が好ましく、低熱膨張性の点から、「X-22-161A」、「X-22-161B」、「KF-8012」、「X-22-1660B-3」がより好ましい。
(x1)成分が有するアミノ基の官能基当量は、300~3,000g/molが好ましく、400~2,500g/molがより好ましく、600~2,300g/molがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物がアミノ変性シロキサン化合物(x1)を含有する場合、その含有量は、低反り性、寸法安定性、低熱膨張性、低弾性、耐熱性及び金属回路との接着強度の観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、8~50質量部が好ましく、8~45質量部がより好ましく、10~40質量部がさらに好ましい。
次に、シロキサン変性ポリイミド(X)は、前記(x1)成分と前記(b)成分とを反応させて得られるものであり、(x1)成分由来の構造単位(x1’)と、(b)成分由来の構造単位(b’)と、を含有するものである。
(x1)成分と(b)成分との反応方法に特に制限はない。反応温度は、生産性及び十分に反応を進行させる観点から、70~200℃が好ましく、80~150℃がより好ましく、100~130℃がさらに好ましい。また、反応時間に特に制限はないが、0.5~10時間が好ましく、1~6時間がより好ましい。
(x1)成分と(b)成分との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチルエステル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、溶解性の観点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ-ブチロラクトンが好ましく、低毒性であるという観点及び揮発性が高く残溶媒として残り難いという観点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミドが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
有機溶媒の使用量に特に制限はないが、溶解性及び反応速度の観点から、(x1)成分と(b)成分との合計100質量部に対し、25~1,000質量部が好ましく、40~500質量部がより好ましく、50~200質量部がさらに好ましい。
上記反応終了後、特に反応物を精製することなく、得られた反応混合液をそのままその他の成分と混合して、シロキサン変性ポリイミド(X)を含有する熱硬化性樹脂組成物を調製することができる。
前記反応において、(x1)成分と(b)成分の使用割合は、ゲル化の防止及び耐熱性の観点から、(b)成分のマレイミド基の当量が、(x1)成分の第1級アミノ基の当量を超えることが好ましい。すなわち、(b)成分のマレイミド基の当量と、(x1)成分の第1級アミノ基の当量との比[(b)/(x1)]は、1を超えることが好ましく、2~35がより好ましく、10~35がさらに好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物がシロキサン変性ポリイミド(X)を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、40~95質量部が好ましく、50~85質量部がより好ましい。
シロキサン変性ポリイミド(X)中における構造単位(x1’)の含有量は、低反り性、寸法安定性、低熱膨張性、低弾性、耐熱性及び金属回路との接着強度の観点から、8~50質量%が好ましく、10~45質量%がより好ましく、12~40質量%がさらに好ましい。
シロキサン変性ポリイミド(X)中における構造単位(b’)の含有量は、低反り性、寸法安定性、低熱膨張性、低弾性、耐熱性及び金属回路との接着強度の観点から、50~92質量%が好ましく、55~90質量%がより好ましく、60~88質量%がさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の固形分100質量部を基準とした場合における、熱硬化性樹脂組成物中の構造単位(x1’)、構造単位(b’)の好適な含有量は、各々、前記熱硬化性樹脂組成物中における(x1)成分、(b)成分の含有量の好適な態様と同じである。
但し、熱硬化性樹脂組成物が、シロキサン変性ポリイミド(X)とは別に、さらに(x1)成分及び(b)成分からなる群から選ばれる1種以上を含有する場合、各成分と各成分由来の構造単位との合計含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物中における(x1)成分、(b)成分の含有量の好適な態様となることが好ましい。
<熱可塑性エラストマー(c)>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、さらに、熱可塑性エラストマー(c)を含有してなるものであってもよい。
熱可塑性エラストマー(c)としては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、その誘導体等が挙げられる。これらは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分とからなり立っており、一般に前者が耐熱性及び強度に、後者が柔軟性及び強靭性に寄与している。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマーが好ましく、アクリル系熱可塑性エラストマーがより好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、下記一般式(c-1)で表されるスチレン由来の構造単位を有する熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
Figure 2023041681000021
スチレン系熱可塑性エラストマーが有するスチレン由来の構造単位以外の構造単位としては、ブタジエン由来の構造単位、イソプレン由来の構造単位、マレイン酸由来の構造単位、無水マレイン酸由来の構造単位等が挙げられる。これらは1種が単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
前記ブタジエン由来の構造単位及び前記イソプレン由来の構造単位は、水素添加されていることが好ましい。水素添加されている場合、ブタジエン由来の構造単位はエチレン単位とブチレン単位とが混合した構造単位となり、イソプレン由来の構造単位はエチレン単位とプロピレン単位とが混合した構造単位となる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、低熱膨張性、金属回路との接着強度、耐熱性、弾性率及び高周波特性の観点から、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物がより好ましい。
なお、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物としては、炭素-炭素二重結合の水素添加率が通常90%以上(好ましくは95%以上)であるSEBSと、ブタジエンブロック中の1,2-結合部位の炭素-炭素二重結合が部分的に水素添加されたSBBS(全体の炭素-炭素二重結合に対する水素添加率はおよそ60~85%)とがある。これらの中でも、SEBSがより好ましい。
熱可塑性エラストマー(c)は、分子末端及び分子鎖中のうち少なくとも一方に反応性官能基を有していてもよい。反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアナト基、アクリル基、(メタ)アクリル基、ビニル基等が挙げられる。反応性官能基を有することにより、他の樹脂成分との相溶性が向上し、熱硬化性樹脂組成物の硬化時に発生する内部応力をより効果的に低減することができ、結果として、プリント配線板及び半導体パッケージの反りを顕著に低減することが可能となる。特に、低熱膨張性及び金属回路との接着強度の観点からは、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基及びアミド基からなる群から選ばれる1種以上を有することが好ましく、耐熱性及び絶縁信頼性の観点から、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる1種以上を有することがより好ましい。
前記アクリル系熱可塑性エラストマーとしては、少なくともアクリル酸エステルに由来する構造単位を含む分子で形成される重合体である。アクリル系熱可塑性エラストマーは、分子中に異なる複数種のアクリル酸エステルに由来する構造単位を含み、さらに、アクリル酸エステル以外の単量体に由来する構造単位を含んでもよい。また、アクリル系熱可塑性エラストマーは、複数種のアクリル酸エステルに由来する構造単位からなるものであってもよい。
アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル以外の単量体としては、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、エチレン、プロピレン及びブタジエン等の、アクリル酸エステル以外のビニル系単量体などが挙げられる。アクリル酸エステル以外の単量体は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
アクリル系熱可塑性エラストマーは、分子末端又は分子鎖中に分子末端及び分子鎖中のうちの少なくとも一方に前記反応性官能基を有することが好ましい。特に、金属箔との密着性の観点から、アクリル系熱可塑性エラストマーが有していてもよい反応性官能基は、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基が好ましく、耐熱性及び絶縁信頼性の観点から、エポキシ基、水酸基、アミノ基がより好ましく、エポキシ基がさらに好ましい。
アクリル系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量(Mw)に特に制限はないが、10,000~2,000,000が好ましく、50,000~1,200,000がより好ましく、100,000~900,000がさらに好ましく、500,000~900,000が特に好ましい。重量平均分子量(Mw)が10,000以上であれば、低弾性率を維持し易い傾向にあり、2,000,000以下であれば、相溶性及び流動性が良好となる傾向にある。
熱硬化性樹脂組成物が熱可塑性エラストマー(c)を含有する場合、その含有量は、他の樹脂成分との相溶性を良好にし、硬化物の低硬化収縮性及び低熱膨張性を効果的に発現させる観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、0.1~50質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましく、5~30質量部がさらに好ましく、10~30質量部が特に好ましい。
<熱硬化性樹脂(d)>
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、熱硬化性樹脂(d)を含有してなるものであってもよい。但し、該熱硬化性樹脂(d)は、(b)成分及び前記シロキサン変性ポリイミド(X)を含まない。
熱硬化性樹脂(d)としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂(但し、前記(b)成分を含まない)、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂(但し、前記(x1)成分を含まない)、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、成形性及び電気絶縁性の観点、並びに金属回路との接着強度の観点から、エポキシ樹脂及びシアネート樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、エポキシ樹脂がより好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物、これらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐熱性及び難燃性の観点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、α-ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂(d)を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の固形分100質量部に対して、1~45質量部が好ましく、2~40質量部がより好ましく、5~35質量部がさらに好ましく、10~35質量部が特に好ましい。
<前記(a)成分以外の硬化促進剤(e)>
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、前記(a)成分以外の硬化促進剤(e)(以下、単に硬化促進剤(e)ともいう)を含有してなるものであってもよい。
該硬化促進剤(e)としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;イミダゾール類及びその誘導体;前記(a)成分以外の有機リン系化合物;第二級アミン類;第三級アミン類;第四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤(e)としては市販品を用いてもよい。市販品としては、イソシアネートマスクイミダゾール(第一工業製薬株式会社製、商品名:G-8009L)、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(北興化学工業株式会社製、商品名:TPP-S)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が硬化促進剤(e)を含有する場合、その含有量は、前記(a)成分による本発明の効果を阻害しないようにする観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下がさらに好ましいが、熱硬化性樹脂組成物は硬化促進剤(e)を含有しないことが最も好ましい。
<無機充填材(f)>
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、無機充填材(f)を含有してなるものであってもよい。
無機充填材(f)としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、石英粉末、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラス等が挙げられる。ガラスとしては、Eガラス、Tガラス、Dガラス等が好ましく挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、誘電特性、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられる。乾式法シリカは、さらに、製造法の違いにより、破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカ等に分類される。これらの中でも、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の流動性の観点から、溶融球状シリカが好ましい。
無機充填材(f)の平均粒子径は、0.1~10μmが好ましく、0.3~8μmがより好ましく、0.3~3μmがさらに好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保てる傾向にあり、10μm以下であると、粗大粒子の混入確率を低減し、粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる傾向にある。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
無機充填材(f)は、カップリング剤で表面処理されたものであってもよい。カップリング剤による表面処理の方式は、配合前の無機充填材(f)に対して乾式又は湿式で表面処理する方式であってもよく、表面未処理の無機充填材(f)を、他の成分に配合して組成物とした後、該組成物にシランカップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよい。
カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオリゴマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が無機充填材(f)を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、20~300質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましく、70~200質量部がさらに好ましく、100~160質量部が特に好ましい。無機充填材(f)の含有量が前記範囲内であると、成形性及び低熱膨張性が良好となる。
<その他の成分>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性の性質を損なわない程度に、必要に応じて、酸性置換基を有するアミン化合物、有機充填材、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、接着性向上剤等を含有していてもよい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸性置換基を有するアミン化合物としては、水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基等の酸性置換基を有していれば特に制限はないが、下記一般式(g)で表される化合物が好ましい。
Figure 2023041681000022

(式中、Rg1は、各々独立に、酸性置換基である、水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基であり、Rg2は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。xは1~5の整数、yは0~4の整数である。)
前記式(g)中、Rg1が示す酸性置換基としては、溶解性及び反応性の観点から、好ましくは水酸基、カルボキシ基であり、耐熱性も考慮すると、より好ましくは水酸基である。
xは1~5の整数であり、高耐熱性、低比誘電率、高ガラス転移温度、低熱膨張性及び成形性の観点から、好ましくは1~3の整数、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
g2が示す炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、好ましくは炭素数1~3のアルキル基である。
g2が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
yは0~4の整数であり、高耐熱性、低比誘電率、高ガラス転移温度、低熱膨張性及び成形性の観点から、好ましくは0~3の整数、より好ましくは0~2の整数、さらに好ましくは0又は1、特に好ましくは0である。
なお、xが2~5の整数の場合、複数のRg1は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、yが2~4の整数の場合、複数のRg2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
酸性置換基を有するアミン化合物としては、具体的には、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、p-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、o-アミノ安息香酸、o-アミノベンゼンスルホン酸、m-アミノベンゼンスルホン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸、3,5-ジヒドロキシアニリン、3,5-ジカルボキシアニリン等が挙げられる。これらの中でも、溶解性及び合成収率の観点から、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、p-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、3,5-ジヒドロキシアニリンが好ましく、耐熱性の観点から、m-アミノフェノール、p-アミノフェノールがより好ましく、低熱膨張性の観点から、p-アミノフェノールがさらに好ましい。
有機充填材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等よりなる樹脂フィラー;アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、共役ジエン系樹脂等よりなるゴム状態のコア層と、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、シアン化ビニル系樹脂等よりなるガラス状態のシェル層を持つコアシェル構造の樹脂フィラーなどが挙げられる。
難燃剤としては、例えば、臭素、塩素等を含有する含ハロゲン系難燃剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤;スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤;シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤;三酸化アンチモン等の無機系難燃剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤が挙げられる。
蛍光増白剤としては、例えば、スチルベン誘導体の蛍光増白剤等が挙げられる。
接着性向上剤としては、例えば、尿素シラン等の尿素化合物、前記カップリング剤などが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、プリプレグ等の製造に用い易いように、各成分が有機溶媒中に溶解又は分散されたワニスの状態であってもよい。
該有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、各成分の溶解性の観点からは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、メチルエチルケトンがより好ましく、また、低毒性であるという観点からは、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
ワニスの固形分濃度は、40~90質量%が好ましく、50~80質量%がより好ましい。ワニスの固形分濃度が前記範囲内であると、塗工性を良好に保ち、熱硬化性樹脂組成物の含有量が適切なプリプレグを得ることができる。ここで、固形分とは、熱硬化性樹脂組成物を構成する成分から揮発性の成分(例えば有機溶媒)を除外した残分を意味する。
(特性)
本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて、実施例に示す方法でプリプレグ及び積層板を作製し、該積層板を用いて実施例に示す方法で測定された熱膨張係数は、低反り性の観点から、9.0ppm/℃以下が好ましく、7.0ppm/℃以下がより好ましく、6.0ppm/℃以下がさらに好ましい。熱膨張係数の下限値としては特に制限されるものではないが、例えば、3.0ppm/℃以上であってもよく、4.0ppm/℃以上であってもよい。
同様に、曲げ弾性率は、11.0GPa以上が好ましく、12.0GPa以上がより好ましい。曲げ弾性率の上限値に特に制限はないが、例えば、16.0GPa以下であってもよく、14.0GPa以下であってもよい。
同様に、ガラス転移温度は、耐熱性の観点から、240℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、260℃以上がさらに好ましく、270℃以上が特に好ましく、280℃以上が最も好ましい。ガラス転移温度の上限値に特に制限はないが、例えば、310℃以下であってもよく、300℃以下であってもよく、290℃以下であってもよい。
同様に、接着強度(銅箔ピール強度)は、0.40kN/m以上が好ましく、0.50kN/m以上がより好ましく、0.60kN/m以上がさらに好ましい。接着強度(銅箔ピール強度)の上限値に特に制限はないが、例えば、1.0kN/m以下であってもよく、0.90kN/m以下であってもよく、0.80kN/m以下であってもよい。
同様に、耐デスミア性は、デスミア処理後の重量減少量が1.70g/m以下が好ましく、1.60g/m以下がより好ましく、1.50g/m以下がさらに好ましい。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、本発明のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物を含有してなるものである。
本発明のプリプレグは、例えば、前記熱硬化性樹脂組成物を、繊維基材に含浸し、加熱等により半硬化(Bステージ化)して製造することができる。
繊維基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質の例としては、Eガラス、Sガラス、低誘電ガラス、Qガラス等の無機物繊維;低誘電ガラスポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン等の有機繊維;並びにそれらの混合物などが挙げられる。特に、誘電特性の観点から、無機物繊維が好ましく、低誘電ガラス、Qガラスがより好ましい。
これらの繊維基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有する。
繊維基材の材質及び形状は、目的とする成形物の用途、性能等により適宜選択され、必要により、1種の材質及び1種の形状からなる繊維基材であってもよいし、2種以上の材質からなる繊維基材であってもよいし、2種以上の形状を有する繊維基材であってもよい。
繊維基材の厚さは、例えば、10μm~0.5mmであり、低反り性及び高密度配線を可能にする観点から、10~100μmが好ましく、10~80μmがより好ましく、15~50μmがさらに好ましい。これらの繊維基材は、耐熱性、耐湿性、加工性等の観点から、シランカップリング剤等で表面処理したもの、機械的に開繊処理を施したものであることが好ましい。
本発明のプリプレグ中における熱硬化性樹脂組成物の含有量は、プリプレグの全固形分中、例えば、20~90質量%であり、低反り性及び配線の埋め込み性を良好にする観点から、50~85質量%が好ましく、60~80質量%がより好ましい。
本発明のプリプレグの厚さは、例えば、10μm~0.5mmであり、反りを低減する観点及び高密度配線を可能にする観点から、10μm~100μmが好ましく、10μm~80μmがより好ましく、15μm~50μmがさらに好ましい。
本発明のプリプレグは、例えば、プリプレグ中の熱硬化性樹脂組成物の含有量が前記範囲内となるように熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸した後、100~200℃の温度で1~30分間、加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、製造することができる。
[積層板、金属張り積層板]
本発明の積層板は、本発明のプリプレグを含有してなる積層板である。
本発明の積層板は、本発明のプリプレグを積層成形することで得られる。具体的には、本発明のプリプレグを1枚用いるか、又は2~20枚(好ましくは2~8枚)重ねたものを用い、その片面又は両面に金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。該製造方法により、本発明のプリプレグを用いて形成された絶縁層と、その片面又は両面に配置された金属箔と、を有する積層板が得られる。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されない。なお、積層板の片面又は両面に金属箔が配置された構成の積層板を、特に、金属張り積層板と称する。
積層板及び金属張り積層板を製造する際の成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100~250℃、圧力0.2~10MPa、加熱時間0.1~5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、積層板を製造することもできる。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の積層板(金属張り積層板)を含有してなるものである。より詳細には、本発明の積層板(金属張り積層板)に回路加工することにより、本発明のプリント配線板が得られる。
回路加工方法としては、回路形成加工の方法としては、公知の方法、つまり、穴開け加工、金属めっき加工、金属箔のエッチング等による回路形成加工する方法が挙げられる。また、本発明のプリプレグを介して配線加工した積層板を複数積層し、加熱プレス加工することによって一括して多層化することもできる。その後、ドリル加工又はレーザ加工によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、めっき又は導電性ペーストによる層間配線の形成を経て多層プリント配線板を製造することができる。
[半導体パッケージ]
本発明の半導体パッケージは、本発明のプリント配線板に半導体素子を搭載してなるものである。本発明の半導体パッケージは、本発明のプリント配線板の所定の位置に、半導体チップ、メモリ等を搭載して製造することができる。
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
なお、以下の実施例で得られたプリプレグ又は銅張積層板について、以下の方法で性能を測定及び評価した。
(プリプレグの特性)
(1)保存安定性(潜在性)
各例で得たプリプレグをアルミパック中に挿入したものをそれぞれ5つずつ用意し、これらを真空梱包した。1つ目は3日後、2つ目は7日後、3つ目は12日後、4つ目は20日後、5つ目は30日後に開封し、目視にてボイドの有無を観察した。何日後に開封したものにボイドが観察されたかを表1及び2に示した。30日後にもボイドが観察されなかった場合には、「>30」と表記した。なお、真空梱包時の真空度は30kPa、保管温度は25℃とした。
(銅張積層板の特性)
(2)成形性
残銅率60%で回路加工された銅張積層板を準備し、これに対して、各例で得たプリプレグの樹脂層1(後述の樹脂フィルムA)が回路側となるよう、配線板上にプリプレグを配し、その上面に厚さ12μmの銅箔を配置した。次いで、これを厚み1.8mm、530mm角のSUS製鏡板で挟み、多段真空プレスを用いて、真空雰囲気下、製品温度60~160℃の領域の昇温速度3~5℃/min、圧力2.5MPa、最高保持温度200~220℃の条件で90分間プレスすることで銅張積層板を作製した。得られた銅張積層板の銅箔をエッチングにより取り除き、硬化後のプリプレグの外観を目視により観察することにより、下記評価基に従って成形性を評価した。
A:ボイドが観察されなかった。
B:端部を中心に、ボイドが観察された。
C:全面的にボイドが観察された。
(3)熱膨張率
各例で得た銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除くことで、縦(X方向)5mm×横(Y方向)5mm×厚み(Z方向)0.15mmの評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、商品名:TMA2940)を用いて圧縮法で熱機械分析を行った。評価基板を前記装置にX方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における30℃から100℃までの平均熱膨張率を算出し、これを熱膨張率の値とした。
(4)曲げ弾性率
各例で得た銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた50mm×25mmの評価基板を作製し、テンシロン万能試験機「RTC-1350A」(株式会社オリエンテック製)を用い、クロスヘッド速度1mm/min、スパン間距離20mmの条件で曲げ弾性率を測定した。値が大きいほど、剛性が高い。
(5)ガラス転移温度(Tg)
各例で得た銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除くことで、縦(X方向)5mm×横(Y方向)5mm×厚み(Z方向)0.15mmの評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、商品名:TMA2940)を用いて圧縮法で熱機械分析を行った。評価基板を前記装置にX方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における熱膨張曲線の異なる接線の交点で示されるTgを求め、耐熱性の指標とした。Tgが高いほど、耐熱性に優れる。
(6)接着強度(銅箔ピール強度)
各例で得た銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより、外層銅層を3mm幅に形成し、この一端を外層銅層と絶縁層との界面で剥がしてつかみ具でつかみ、引張り試験機を用いて垂直方向に引張り速度約50mm/分、室温中で引き剥がしたときの接着強度(銅箔ピール強度)を測定した。値が大きいほど、接着強度に優れる。
(7)耐デスミア性(デスミア処理後の重量減少量)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた40mm×40mmの評価基板を、膨潤液である、「スエリングディップ・セキュリガントP」(グリコールエーテル類、水酸化ナトリウムの水溶液、アトテックジャパン株式会社製)に60℃で10分間浸漬し、次に粗化液として、「コンセントレート・コンパクトP」(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液、アトテックジャパン株式会社製)に80℃で20分間浸漬し、最後に中和液として、「リダクションショリューシン・セキュリガントP」(硫酸の水溶液、アトテックジャパン株式会社製)に40℃で5分間浸漬し、その後80℃で10分間乾燥することで、デスミア処理を行った。
デスミア処理前の乾燥重量に対するデスミア処理後の重量減少量(g/m)を算出し、これを耐デスミア性の指標とした。デスミア処理後の重量減少量が小さい程、耐デスミア性に優れる。
実施例1~8、比較例1~6
以下に示す各成分を表1又は2に示す配合割合(表中の各成分の配合量は、溶液の場合には固形分換算量を示す。)で混合し、溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度65質量%のワニスを作製した。次に、このワニスを厚さ25μmのTガラスクロスに含浸塗工し、130℃で10分間、加熱乾燥して熱硬化性樹脂組成物の含有量が68質量%のプリプレグを得た。
このプリプレグを4枚重ね、3μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、表1又は表2に記載の硬化温度で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。得られた銅張積層板について、前記方法に従って各評価を行った。結果を表1~2に示す。
各例で使用した成分を以下に示す。
〔カルボキシラートアニオンを対イオンとするホスホニウム塩(a)〕
・TBP3S:特許第5191131号の製造例1に記載の方法に従って製造した下記式で表されるテトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート
Figure 2023041681000023

・BTBPピロメリット酸:国際公開第2018/021548号の製造例2に記載の方法に従って製造した下記式で表されるビス(テトラ-n-ブチルホスホニウム)ジハイドロジェンピロメリテート
Figure 2023041681000024

(上記式中、Buはn-ブチル基を示す。)
〔ホスホニウム塩(a)以外の硬化促進剤(e)〕
・C11Z:2-ウンデシルイミダゾール〔四国化成工業株式会社製、商品名〕
・2PZ:2-フェニルイミダゾール〔四国化成工業株式会社製、商品名〕
・TPP:トリフェニルホスフィン〔北興化学工業株式会社製、商品名〕
〔少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(b)〕
・BMI:ビス(4-マレイミドフェニル)メタン〔ケイ・アイ化成株式会社製、商品名〕
・BMI-4000:2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン〔大和化成工業株式会社製、商品名〕
・BMI-3000:m-フェニレンビスマレイミド〔大和化成工業株式会社製、商品名〕
〔熱可塑性エラストマー(c)〕
・SG-P3:エポキシ基含有アクリルポリマ〔ナガセケムテックス株式会社製、商品名:テイサンレジン(登録商標)SG-P3、重量平均分子量:85万〕
〔熱硬化性樹脂(d)〕
・NC-3000:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂〔日本化薬株式会社製、商品名〕
〔無機充填材(f)〕
・球状溶融シリカ〔株式会社アドマテックス製、商品名、平均粒径:0.5μm〕
Figure 2023041681000025
Figure 2023041681000026
表1より、実施例で調製した熱硬化性樹脂組成物は、優れた耐熱性、低熱膨張性及び高弾性率と共に、高接着強度及び耐デスミア性にも優れており、プリント配線板用途に適していることが分かる。さらに、実施例2及び実施例4では、ポリイミド系樹脂の一般的な硬化温度(220℃以上)を下回る硬化温度(180℃)で硬化させたが、積層板の特性は十分なものとなっているため、十分に硬化されたと考えられる。また、実施例2及び実施例4で使用した熱硬化性樹脂組成物は低温にて十分に硬化が進行するほど活性が高いにも関わらず、常温における保存安定性が高く、工業的な有用性が高い。
一方、表2に記載の各比較例で調製した熱硬化性樹脂組成物は、高接着強度及び耐デスミア性の少なくとも一方が実施例に比べて劣っている。比較例3では、硬化促進剤の配合量を増やしたところ、成形性が大幅に低下した。また、比較例4では、活性の高い硬化促進剤を用いたところ、保存安定性が低下したことが分かる。
(低温硬化性に優れている理由の検証)
前述のとおり、実施例2及び実施例4では、ポリイミド系樹脂の一般的な硬化温度(220℃以上)を下回る硬化温度(180℃)にて十分に硬化させることができた。この理由を解析するために、前記BMIを15mmolと下記表3に記載の各硬化促進剤0.06mmolとの組み合わせからなる熱硬化性樹脂組成物について、示差走査熱量計(DSC)分析を行った。具体的には、示差熱熱量計(TAインスツルメント社製、商品名:Q200型示差熱熱量計)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で25℃から340℃まで昇温した際の反応開始温度及びピーク温度を測定し、さらにそれらの温度差(ΔT)を算出した。なお、反応開始(硬化開始)温度は、得られたDSC曲線において、硬化発熱ピークの最大傾斜点の接線とベースラインとの交点の温度とした。
結果を表3に示す。
Figure 2023041681000027
表3より、本発明で使用するホスホニウム塩(a)(TBP3S、BTBPピロメリット酸)をBMIへ配合した場合、硬化促進剤を配合しないか、又はその他の硬化促進剤(TPP、C11Z)を配合した場合と比べて、ピーク温度が低くなっており、且つ、反応開始温度からピーク温度までの温度差(ΔT)も小さくなっている。反応開始からピーク温度に到達するまでが早く、且つピーク温度が低温となるために、低温硬化性に優れる結果に繋がったと考えられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、優れた耐熱性、低熱膨張性及び高弾性率と共に、高接着強度及び耐デスミア性が得られるため、該熱硬化性樹脂組成物を用いて得られるプリプレグ及び積層板は、多層プリント配線板及び半導体パッケージ等の電子部品用途に好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. カルボキシラートアニオンを対イオンとするホスホニウム塩(a)と、少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(b)と、を含有してなる、プリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(a)成分が、下記一般式(a1)で表されるホスホニウムカチオンと、下記一般式(a2)~(a4)のいずれかで表されるポリカルボン酸のアニオン残基からなるホスホニウム塩を含む、請求項1に記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2023041681000028

    (式(a1)中、R~Rは各々独立に、炭素数1~16のアルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基である。)
    Figure 2023041681000029

    (式(a2)中、Rは、メチレン基又はエチレン基であり、R~Rは各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はカルボキシル基である。)
    Figure 2023041681000030

    (式(a3)中、R10~R13は各々独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はカルボキシル基である。)
    Figure 2023041681000031

    (式(a4)中、R14は、炭素数1~10のアルキル基である。nは0~2の整数である。)
  3. さらに、熱可塑性エラストマー(c)を含有してなる、請求項1又は2に記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
  4. さらに、熱硬化性樹脂(d)を含有してなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
  5. さらに、無機充填材(f)を含有してなる、請求項1~4のいずれか1項に記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のプリント配線板用熱硬化性樹脂組成物を含有してなるプリプレグ。
  7. 請求項6に記載のプリプレグを含有してなる積層板。
  8. 請求項7に記載の積層板を含有してなるプリント配線板。
  9. 請求項8に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
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