JP2023041121A - 着色樹脂組成物、着色膜および有機el表示装置 - Google Patents

着色樹脂組成物、着色膜および有機el表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外領域を用いるフォトリソグラフィーにおいて高感度であり、かつ、着色部形成後の工程への適応性に優れた着色樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)着色材、(B)アルカリ可溶性樹脂および(C)感光剤を含有し、前記(A)着色材として少なくとも(A-1)ジルコニア化合物粒子と、少なくとも1種類以上の(A-2)着色顔料を含有し、着色材の全量に対し(A-1)ジルコニア化合物粒子の含有量が45~74重量%であり、(A-2)着色顔料が波長550~650nmの間に吸収ピークを持ち、波長550~650nmにおける透過率の最大値が30%以下である着色樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、着色樹脂組成物、着色膜および有機EL表示装置に関する。
スマートフォン、タブレットPCおよびテレビなどの薄型表示装置において、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」)表示装置を用いた製品が多く開発されている。特に近年、有機EL表示装置の画素分割層に遮光性を付与し着色隔壁とすることで、太陽光などの外光反射を低減し、表示装置の視認性およびコントラストを向上させる試みがなされている。更には、マイクロLED表示装置、蛍光体または量子ドットを用いた色変換型の表示装置、固体撮像素子またはカラーフィルターにおいても画素分割層として着色隔壁を形成することが求められる。しかしながら、従来の技術を用いた遮光材を含有する感光性の着色樹脂組成物のフォトリソグラフィーにおいては、特に厚膜の着色隔壁を形成する際、膜底部における光硬化または光溶解が不十分となり、感度が低下する課題があった。そこで、フォトリソグラフィーに一般的に用いられる紫外領域(波長365nm)における光透過性と、可視領域における遮光性を向上させ、高感度の着色樹脂組成物を提供する試みがなされている(特許文献1参照)。また、着色層形成後の工程において、露光時にマスク位置合わせのためのマークを認識できるよう、赤外線の透過率を確保することが必要になる課題があった。そこで特定の有機顔料等を適用し含有割合を特定範囲にすることで、波長900nm付近の透過率を確保した感光性着色組成物を提供する試みがなされている(特許文献2参照)。
国際公開第2019/059359号 国際公開第2018/151079号
しかしながら、ジルコニア化合物粒子を用いた特許文献1に記載の技術は、赤外線の透過率が十分でないため、着色部形成後の工程において、露光時のマスク位置合わせのマークを認識できない課題があった。また特定の有機顔料等を適用した特許文献2に記載の技術は、紫外領域における光透過性が十分ではないため感度が不足する上に、赤外線として波長800nm付近を用いる方式においては透過率が十分ではなくマスク位置合わせのマークを認識することができない課題があった。そこで、本発明は、紫外領域を用いるフォトリソグラフィーにおいて高感度であり、かつ、着色部形成後の工程への適応性に優れた着色樹脂組成物を提供することを目的とする。
樹脂組成物の着色材としてジルコニア化合物粒子と少なくとも1種類以上の特定の着色顔料を用いて、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、(A)着色材、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)有機溶剤および(D)感光剤を含有する着色樹脂組成物であって、前記(A)着色材として少なくとも(A-1)ジルコニア化合物粒子と、少なくとも1種類以上の(A-2)着色顔料を含有し、着色材の全量に対し(A-1)ジルコニア化合物粒子の含有量が45~74重量%であり、(A-2)着色顔料が波長550~650nmの間に吸収ピークを持ち、波長550~650nmにおける透過率の最大値が30%以下であることを特徴とする着色樹脂組成物である。
本発明の着色樹脂組成物は、紫外領域(波長365nm)における光透過性、可視領域における遮光性および赤外線領域(波長800nm)における光透過性に優れ、さらに、感光性を有する場合には高い感度を有し、着色部形成後の工程における露光時のマスク位置合わせに赤外線を用いる方式へ適応することができる。
本発明の着色樹脂組成物は、(A)着色材、(B)アルカリ可溶性樹脂および(C)感光剤を含有する。(A)着色材として少なくとも(A-1)ジルコニア化合物粒子と、少なくとも1種類以上の(A-2)着色顔料を含有し、着色材の全量に対し(A-1)ジルコニア化合物粒子の含有量が45~74重量%であることを特徴とする。かかるジルコニア化合物粒子は、紫外領域(波長365nm)における光透過性に優れる一方、可視領域における光透過性が低いことから遮光性に優れる。(A)着色材としてかかるジルコニア化合物粒子を含有することにより、フォトリソグラフィーにおいて膜底部まで十分に光を透過させて光硬化または光溶解させることができ、感度を高くすることができる。さらに、本発明の着色樹脂組成物から得られる着色膜は高い紫外線透過性を有することから、着色膜を介して他の部材に紫外線を照射することもできる。さらに、本発明の着色樹脂組成物から得られる着色膜は赤外領域(波長800nm)における光透過性に優れることから、着色部形成後の工程における露光時のマスク位置合わせに赤外線を用いる方式へ適応することができる。
本発明の着色樹脂組成物は、(A)着色材として、窒化ジルコニウム(ZrN)を含有するジルコニア化合物粒子を含有する。窒化ジルコニウムを着色材として用いることにより、可視領域における遮光性と絶縁性を高いレベルで両立することができる。一般的に、ジルコニア化合物粒子は、製造工程における副成分として、酸化ジルコニウム(ZrO)、Zr2n-1(1≦n≦20)で表される低次酸化ジルコニウム、ZrO(0<x<2.0,0.1<y<2.0)で表される酸窒化ジルコニウム等を含有する。
窒化ジルコニウム、酸化ジルコニウムおよび/または酸窒化ジルコニウムを含有するジルコニア化合物粒子の、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルは、ZrNの場合、(111)面に由来するピークが回折角2θ=33.5~34.0°近傍に観測される。ZrOの場合、(011)面に由来するピークが回折角2θ=30.3°近傍に、(-111)面に由来するピークが回折角2θ=28.2°近傍に観測される。Zrの場合、(211)面に由来するピークが2θ=33.4°近傍に観測される。そして、これらのX線回折ピークの半値幅から、下記式(1)に示すシェラーの式により、結晶子サイズを算出することができる。本発明においては、窒化ジルコニウムの結晶子サイズを算出する。
Figure 2023041121000001
上記式(1)におけるKは定数0.9であり、λは0.15406[nm]である。βは下記式(2)で表される。θは上記のとおりである。
Figure 2023041121000002
上記式(2)における、βは回折ピークの半値幅、βは半値幅の補正値(0.12[°])である。但し、β、βeおよびβはラジアンで計算される。
X線回折スペクトルは、X線源をCuKα線として、広角X線回折法により測定する。X線回折装置としては、(株)理学製RU-200Rを用いることができる。測定条件は、出力は50kV/200mA、スリット系は1°-1°-0.15mm-0.45mm、測定ステップ(2θ)は0.02°、スキャン速度は2°/分とする。
本発明の効果を顕著なものとするため、窒化ジルコニウムを含有するジルコニア化合物粒子には、副生成物となる酸化ジルコニウムおよび酸窒化ジルコニウムを含有しないことが好ましく、X線回折ピークとして観察されない程度に低減されていることが好ましい。
本発明において、ジルコニア化合物粒子は、窒化ジルコニウムと金属粒子からなる複合微粒子であることが好ましい。窒化ジルコニアに対して、金属粒子を複合化させることにより、窒化ジルコニウムの酸化を抑制することが可能となり、可視光遮光性の向上および粒子としての安定性向上が可能となる。
本発明で用いられる金属粒子の「金属」とは、化学の分野における通常の意味であり、例えば、「岩波理化学辞典(第5版)」(1998年岩波書店発行)に記載の「金属」(444頁)に記載されている通りである。岩波理化学辞典(第5版)には、「金属」の定義として次のように記載されている。
「金属光沢をもち,電気と熱をよく導き,固体状態では展性,延性に富む物質.水銀以外は室温ですべて固体である.ふつう種々の機械的加工を施すことができる.液化しても光学的・電気的性質は保たれることが多い.単体の金属結晶の大部分は面心立方,六方最密,体心立方のいずれかの構造をとり,通常は微結晶の集合体をなす.結晶中の原子は金属結合によって結ばれ,電子の一部は自由電子として存在する.金属の性質は金属結合に由来する.単体アンチモン,ビスマスなど自由電子の数が少ない金属を半金属とよぶ.単体に限らず2種以上の金属元素,または金属元素とある種の非金属元素(ホウ素,炭素など)を含む相にも金属性を示すものがある.なお,金属の電気伝導は温度の上昇とともに減少するが,非金属では増加するので,このことから両者を明確に区別することができる.」
金属としては特に限定されず、好ましい例としては、チタン、アルミニウム、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、カルシウム、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、またはこれらの合金、から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。さらに好ましい金属としてはチタン、アルミニウムが挙げられる。
ジルコニア複合微粒子における金属粒子の含有量としては、ジルコニア複合微粒子の全質量に対して2質量%以上20質量%以下であることが好ましく、さらには3質量%以上10質量%以下であることが好ましい。金属粒子の含有量を2質量%以上とすることにより、遮光性をより向上させることができる。一方、金属粒子の含有量を20質量%以下とすることにより、紫外線透過率をより向上させることができる。
ここで、ジルコニア原子の含有量および金属原子の含有量は、ICP発光分光分析法により分析することができる。窒素原子の含有量は不活性ガス融解-熱伝導度法により分析することができる。酸素原子の含有量は不活性ガス融解-赤外線吸収法により分析することができる。
本発明において、ジルコニア化合物粒子に含まれる窒化ジルコニウムは、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルにおける(111)面に由来するX線回折ピークの半値幅から計算した結晶子サイズが10nm以上60nm以下であることが好ましい。窒化ジルコニウムの結晶子サイズを上記範囲とすることにより、着色膜の透過光はそのピーク波長が400nm以下であるような青紫色を呈し、紫外領域における光透過性を向上させることができる。従来の遮光材よりも紫外領域(特にi線(365nm))における透過性に優れるため、感光性の着色樹脂組成物とした際にも、膜底部まで光硬化または光溶解が十分進み、感度を向上させることができる。窒化ジルコニウムの結晶子サイズが10nm未満であると、粒子表面が酸化されやすくなり、遮光性が低下する。窒化ジルコニウムの結晶子サイズは、20nm以上がより好ましい。一方、窒化ジルコニウムの結晶子サイズが60nmを超えると、着色膜とした際の透過ピークが長波長へシフトして紫外領域における光透過性が低下するとともに、可視領域における遮光性が低下する。窒化ジルコニウムの結晶子サイズは、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましい。結晶子サイズを前記範囲とする手段としては、例えば、気相反応による粒子合成の際に、結晶成長条件を調整する方法が挙げられる。例えば、熱プラズマ法においては、粒子を気化した後の冷却時間・冷却速度を調整することにより、結晶子サイズを前述の範囲に容易に調整することができる。
ジルコニア化合物粒子の比表面積は、5m/g以上100m2/g以下が好ましい。ジルコニア化合物粒子の比表面積を5m/g以上とすることにより、粒子を微細に分散させやすく、着色樹脂組成物中における分散安定性や、着色膜の平坦性および密着性を向上させることができる。ジルコニア化合物粒子の比表面積は、20m/gより大きいことがより好ましい。また、前述の金属粒子を含まない場合には、比表面積が29.7m/gより大きいことがより好ましい。一方、ジルコニア化合物粒子の比表面積を100m2/g以下とすることにより、粒子の再凝集を抑制し、着色樹脂組成物中における分散安定性や、着色膜の遮光性をより向上させることができる。ジルコニア化合物粒子の比表面積は、60m/g以下がより好ましい。ここで、ジルコニア化合物粒子の比表面積は、ガス吸着式比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着法によるBET多点法により求めることができる。比表面積を前記範囲とする手段としては、例えば、気相反応による粒子合成の際に、結晶成長条件を調整する方法が挙げられる。例えば、熱プラズマ法においては、粒子を気化した後の冷却時間・冷却速度を調整することにより、比表面積を前述の範囲に容易に調整することができる。
窒化ジルコニウムを含有するジルコニア化合物粒子の製造方法としては、一般的に、電気炉法や熱プラズマ法等の気相反応法が用いられる。これらの中でも、不純物の混入が少なく、粒子径が揃いやすく、生産性の高い熱プラズマ法が好ましい。熱プラズマを発生させる方法としては、例えば、直流アーク放電、多層アーク放電、高周波(RF)プラズマ、ハイブリッドプラズマ等が挙げられる。これらの中でも、電極からの不純物の混入が少ない高周波プラズマが好ましい。具体的には、熱プラズマ法によりジルコニウムを窒素雰囲気中で気化・微粒子化させ窒化ジルコニウムを合成する方法(例えば、表面科学Vol5(1984)、No.4)、電気炉法によりジルコニウム塩化物とアンモニアを気相反応させ窒化ジルコニウムを合成する方法(例えば、表面科学Vol8(1987)、No.5)、二酸化ジルコニウムと酸化マグネシウムと金属マグネシウムとの混合物を窒素雰囲気下において高温焼成し、低次酸化ジルコニウム・窒化ジルコニウム複合体を得る方法(例えば、特開2009-91205号)などが挙げられる。
(A)着色材の含有量は、(B)アルカリ可溶性樹脂および(A)着色材の合計含有量100重量部に対して、4~18重量部が好ましい。(A)着色材の含有量が4重量部以上であると、着色膜を十分に着色することができる。一方、(A)着色材の含有量が18重量部以下であると、(A)着色材の分散安定性を向上させることができる。
(A-1)ジルコニア化合物粒子の含有量は、(A)着色材全量100重量部に対して45~74重量部とするものであり、50~60重量部が好ましい。ジルコニア化合物粒子の含有量が45重量部未満であると、紫外領域における光透過性と可視領域における遮光性に劣り、紫外線に対する感度が低く、パターン加工性に劣る。一方、ジルコニア化合物粒子の含有量が74重量部を超えると、赤外領域における光透過性と可視領域における遮光性に劣り、赤外線の透過性が低く、着色部形成後の工程における露光時のマスク位置合わせに赤外線を用いる方式へ適応することができない。
本発明では(A)着色材として少なくとも1種類以上の(A-2)着色顔料を含有する。着色顔料を含有することで、可視光の遮光性を維持しつつ、赤外領域(波長800nm)における光透過性に優れる。本発明において、着色顔料は、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルの主ピークより得られる半値幅より算出した該着色顔料の結晶子サイズが5nm以上30nm以下であることが好ましく、5nm以上20nm以下であることがより好ましい。かかる結晶子サイズは、着色膜中における顔料の分散状態の指標であり、結晶子サイズが小さいほど、顔料が着色膜中において微分散していることを意味する。なお、着色顔料を2種類以上含有する場合、全ての着色顔料において結晶子サイズが5nm以上30nm以下であることが望ましい。着色顔料の結晶子サイズが30nmよりも大きい場合には、赤外線透過性が低下し、透過散乱光が増加するため、着色膜を介して得られる赤外線画像の鮮明性が低下し、着色部形成後の工程における露光時のマスク位置合わせに赤外線を用いる方式へ適応できない。より鮮明な赤外線画像を得るためには、着色顔料の結晶子サイズを20nm以下とすることがより好ましい。一方、着色膜における着色顔料の結晶子サイズが5nm未満である場合には、顔料の分散安定化が困難となり、顔料再凝集による透過散乱光の増加や、可視光遮光性の低下の課題が生じる。着色膜における顔料の結晶子サイズを上記の範囲とする手段としては、樹脂中に顔料を再凝集させることなく微細な状態で安定かつ均一に分散させることが好ましく、より具体的には、結晶子サイズの小さい顔料を用いる方法や、後述するビーズミルを用いる方法により着色樹脂組成物を製造する方法などが挙げられる。
前記着色顔料として、波長550~650nmの間での透過率が低い着色顔料を用いることで、可視光遮光性を向上させることができる。具体的には、波長550~650nmの間に吸収ピークを持ち、波長550~650nmにおける透過率の最大値が30%以下とするものであり、10%以下であることが好ましい。窒化ジルコニウムの透過率が高い波長550~650nmにおける透過率の最大値が30%を超えると、効果的に可視光遮光性を達成することができないし、より漆黒性の高い反射色調の塗膜を得ることもできない。
ここで、着色顔料の透過率は、(A-2)着色顔料1種類と(B)アルカリ可溶性樹脂および(C)有機溶剤からなる樹脂組成物を、透明基材上に塗布、硬化して得られた着色膜の透過率を測定することで算出できる。なお、本発明においては(A)着色材と(B)アルカリ可溶性樹脂からなる固形成分の総合計含有量に対して、(A-2)着色顔料の含有量が15重量%となるように配合された樹脂組成物を用い、硬化後の膜厚が2μmとなるように着色膜を形成した際の値とする。
着色顔料としては、電子情報材料の分野で一般的に用いられる、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料;アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料;銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料;キナクリドン系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリノン系顔料;ペリレン系顔料;チオインジゴ系顔料;イソインドリン系顔料;イソインドリノン系顔料;キノフタロン系顔料;スレン系顔料;金属錯体系顔料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレットなどが挙げられる。
黒色の着色顔料としては、例えば、黒色有機顔料、混色有機顔料、黒色無機顔料等が挙げられる。黒色有機顔料としては、例えば、カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック、ベンゾフラノン系顔料などが挙げられる。混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダ、シアンなどの色を有する2種以上の顔料を混色して疑似黒色化したものが挙げられる。黒色無機顔料としては、例えば、グラファイト;チタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属の微粒子;上記金属の酸化物、複合酸化物、硫化物、窒化物、酸窒化物などが挙げられる。
白色の着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、炭酸バリウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、二酸化珪素などが挙げられる。
(A-2)着色顔料の含有量は、(A)着色材全量100重量部に対して26~70重量部程度が好ましく、30~60重量部程度がより好ましい。着色顔料の含有量が26重量部以上であると、赤外領域における光透過性と可視領域における遮光性に優れ、赤外線の透過性が高く、着色部形成後の工程における露光時のマスク位置合わせに赤外線を用いる方式へ適応することができる。一方、着色顔料の含有量が70重量部以下であると、紫外領域における光透過性と可視領域における遮光性に優れ、紫外線に対する感度が高く、パターン加工性を向上させることができる。
本発明における(B)アルカリ可溶性樹脂とは、アルカリ可溶性基として水酸基および/またはカルボキシル基を有し、酸価が10mgKOH/g以上で、かつ、重量平均分子量(Mw)が500以上150,000以下である樹脂を指す。ここで、重量平均分子量(Mw)とは、テトラヒドロフランをキャリヤーとするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分析し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値を指す。
(B)アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、前記のアルカリ可溶性樹脂の条件を満たす、カルド樹脂、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリアミド樹脂、シロキサン樹脂などが挙げられる。
また、本発明の着色樹脂組成物は、(B)アルカリ可溶性樹脂および(C)感光剤を含有することにより、感光性を有する着色樹脂組成物となる。
(C)感光剤の種類を選択することにより、露光部のアルカリ溶解性を未露光部のアルカリ溶解性よりも高くし、アルカリ現像液により露光部を除去してパターン形成する、いわゆるポジ型の感光性を有するようにもできるし、露光部のアルカリ溶解性を低下させて、アルカリ現像液により未露光部を除去してパターン形成する、いわゆるネガ型の感光性を有するようにもできる。
ポジ型の感光性樹脂組成物において好ましく用いられる(B)アルカリ可溶性樹脂としては、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリアミノアミド、ポリアミド、アルカリ可溶性基を有するラジカル重合性モノマーから得られる重合体、カルド樹脂、フェノール樹脂、環状オレフィン重合体、シロキサン樹脂などが挙げられるが、これに限定されない。これらの樹脂を2種以上含有してもよい。これらのアルカリ可溶性樹脂の中でも、耐熱性に優れ、高温下におけるアウトガス量が少ないものが好ましい。具体的には、ポリイミド、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体の中から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ可溶性樹脂またはそれらの共重合体が好ましい。これらの樹脂は、着色材の分散安定化の観点からアセテート溶媒等の低極性溶媒に可溶であることが好ましい。低極性溶媒に可溶なポリイミド前駆体としては、国際公告WO2017/057143に例示の樹脂が好ましく用いられる。
(B)アルカリ可溶性樹脂として用いることができるポリイミド、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体の中から選ばれるアルカリ可溶性樹脂またはそれらの共重合体は、アルカリ可溶性を付与するため、樹脂の構造単位中および/またはその主鎖末端に酸性基を有することが好ましい。酸性基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基などが挙げられる。これらの中で、カルボキシル基またはフェノール性水酸基が、硫黄原子を含まない点で好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂は、フッ素原子を有することが好ましく、アルカリ水溶液で現像する際に、膜と基材との界面に撥水性を付与し、界面へのアルカリ水溶液のしみこみを抑制することができる。アルカリ可溶性樹脂中のフッ素原子含有量は、界面へのアルカリ水溶液のしみこみ防止効果の観点から5重量%以上が好ましく、アルカリ水溶液に対する溶解性の点から20重量%以下が好ましい。
ポリイミドは下記一般式(3)で表される構造単位を有することが好ましい。ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体は下記一般式(4)で表される構造単位を有することが好ましい。これらを2種以上含有してもよいし、一般式(3)で表される構造単位および一般式(4)で表される構造単位を共重合した樹脂を用いてもよい。
Figure 2023041121000003
一般式(3)中、Rは4~10価の有機基、Rは2~8価の有機基を表す。RおよびRはカルボキシル基、またはフェノール性水酸基を表し、それぞれ単一のものであっても異なるものが混在していてもよい。pおよびqは0~6の整数を表す。ただし、p+q>0である。)
Figure 2023041121000004
一般式(4)中、Rは2~8価の有機基、Rは2~8価の有機基を表す。RおよびRはフェノール性水酸基、またはCOORを表し、それぞれ単一のものであっても異なるものが混在していてもよい。Rは水素原子または炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。rおよびsは0~6の整数を表す。ただしr+s>0である。
ポリイミド、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体から選ばれるアルカリ可溶性樹脂またはそれらの共重合体は、一分子中に一般式(3)または(4)で表される構造単位を5~100000有することが好ましい。また、一般式(3)または(4)で表される構造単位に加えて、他の構造単位を有してもよい。この場合、一般式(3)または(4)で表される構造単位を、全構造単位数のうち50モル%以上有することが好ましい。
上記一般式(3)中、R-(Rは酸二無水物の残基を表す。Rは4価~10価の有機基であり、なかでも芳香族環または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5~40の有機基が好ましい。
酸二無水物としては、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9-ビス{4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、および下記に示した構造の酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物や、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族のテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
Figure 2023041121000005
10は酸素原子、C(CF、またはC(CHを表す。R11およびR12は、それぞれ独立に水素原子、または水酸基を表す。
上記一般式(4)中、R-(Rは酸の残基を表す。Rは2価~8価の有機基であり、なかでも芳香族環または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5~40の有機基が好ましい。
酸としては、ジカルボン酸の例としてテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、トリフェニルジカルボン酸など;トリカルボン酸の例としてトリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸など;テトラカルボン酸の例としてピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸および下記に示した構造の芳香族テトラカルボン酸や、ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族のテトラカルボン酸などを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
Figure 2023041121000006
10は酸素原子、C(CF、またはC(CHを表す。R11およびR12は、それぞれ独立に水素原子、または水酸基を表す。
これらのうち、トリカルボン酸、テトラカルボン酸では1つまたは2つのカルボキシル基が一般式(4)におけるR基に相当する。また、上に例示したジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸のカルボキシル基の水素原子を、一般式(4)におけるR基、好ましくは水酸基で1~4個置換したものがより好ましい。これらの酸は、そのまま、あるいは酸無水物、活性エステルとして使用できる。
上記一般式(3)のR-(Rおよび上記一般式(4)のR-(Rはジアミンの残基を表す。RおよびRは2~8価の有機基であり、なかでも芳香族環または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5~40の有機基が好ましい。
ジアミンの具体的な例としては、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジ(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンあるいはこれらの芳香族環の水素原子の少なくとも一部をアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンおよび下記に示した構造のジアミンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
Figure 2023041121000007
10は酸素原子、C(CF、またはC(CHを表す。R11~R14はそれぞれ独立に水素原子、または水酸基を表す。
これらのジアミンは、ジアミンとして、または対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンとして使用できる。
また、これらの樹脂の末端を、酸性基を有するモノアミン、酸無水物、酸クロリド、モノカルボン酸により封止することで、主鎖末端に酸性基を有する樹脂を得ることができる。
このようなモノアミンの好ましい例としては、5-アミノ-8-ヒドロキシキノリン、1-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-4-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-カルボキシ-7-アミノナフタレン、1-カルボキシ-6-アミノナフタレン、1-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-カルボキシ-7-アミノナフタレン、2-カルボキシ-6-アミノナフタレン、2-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-アミノサリチル酸、5-アミノサリチル酸、6-アミノサリチル酸、3-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
また、このような酸無水物、酸クロリド、モノカルボン酸の好ましい例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3-ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、3-カルボキシフェノール、4-カルボキシフェノール、3-カルボキシチオフェノール、4-カルボキシチオフェノール、1-ヒドロキシ-7-カルボキシナフタレン、1-ヒドロキシ-6-カルボキシナフタレン、1-ヒドロキシ-5-カルボキシナフタレン、1-メルカプト-7-カルボキシナフタレン、1-メルカプト-6-カルボキシナフタレン、1-メルカプト-5-カルボキシナフタレン、などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5-ジカルボキシナフタレン、1,6-ジカルボキシナフタレン、1,7-ジカルボキシナフタレン、2,6-ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類の1つのカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN-ヒドロキシベンゾトリアゾールやN-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
上記したモノアミン、酸無水物、酸クロリド、モノカルボン酸などの末端封止剤の含有量は、樹脂を構成する酸およびアミン成分の総和100モル%に対して、2~25モル%が好ましい。
樹脂中に導入された末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入された樹脂を、酸性溶液に溶解し、樹脂の構成単位であるアミン成分と酸成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、末端封止剤を容易に検出できる。これとは別に、末端封止剤が導入された樹脂を直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよび13C-NMRスペクトル測定することで検出することが可能である。
(A)アルカリ可溶性樹脂は公知の方法により合成することができる。
ポリアミド酸またはポリアミド酸エステルの場合、製造方法として、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後アミンと縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、アミンと反応させる方法などで合成することができる。
ポリヒドロキシアミドの場合、製造方法としては、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸を縮合反応させることで得ることができる。具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のような脱水縮合剤と酸を反応させ、ここにビスアミノフェノール化合物を加える方法やピリジンなどの3級アミンを加えたビスアミノフェノール化合物の溶液にジカルボン酸ジクロリドの溶液を滴下する方法などがある。
ポリイミドの場合、前述の方法で得られたポリアミド酸またはポリアミド酸エステルを加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することにより得ることができる。
一方、着色樹脂組成物がネガ型の感光性を有する場合、パターン加工性と塗膜信頼性の観点から、カルド樹脂、アクリル樹脂およびポリイミド樹脂から選ばれた樹脂が好ましい。
カルド樹脂を用いることで、より紫外線感度の高い樹脂組成物とすることができる。そのような樹脂組成物を用いることで、膜厚が厚い塗膜においても容易にフォトリソ加工が可能となり、矩形形状の着色隔壁を形成することが可能となる。
カルド樹脂とは、カルド構造、即ち、環状構造を構成している4級炭素原子に二つの環状構造が結合した骨格構造、を有する樹脂である。
環状構造を構成している4級炭素原子に二つの環状構造が結合した骨格構造の具体例としては、フルオレン骨格、ビスフェノールフルオレン骨格、ビスアミノフェニルフルオレン骨格、エポキシ基を有するフルオレン骨格、アクリル基を有するフルオレン骨格等が挙げられる。カルド構造の一般的なものはフルオレン環にベンゼン環が結合したものである。
カルド樹脂は、このカルド構造を有する骨格がそれに結合している官能基間の反応等により重合して形成される。カルド樹脂は、主鎖と嵩高い側鎖が一つの元素で繋がれた構造(カルド構造)をもち、主鎖に対してほぼ垂直方向に環状構造を有している。
カルド構造を有する単量体の具体例としては、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノ-ル類や9,9-ビス(シアノメチル)フルオレン等の9,9-ビス(シアノアルキル)フルオレン類、9,9-ビス(3-アミノプロピル)フルオレン等の9,9-ビス(アミノアルキル)フルオレン類等が挙げられる。
カルド樹脂は、カルド構造を有する単量体以外の共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。本発明に用いられるカルド樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合基を有するカルド樹脂が好ましい。カルド樹脂の主鎖から分岐した側鎖にエチレン性不飽和二重結合基を容易に導入可能である。エチレン性不飽和二重結合基を有する場合、カルド樹脂は光硬化性樹脂であり、露光時にUV硬化させることで炭素-炭素結合の三次元架橋構造が形成される。従って、側鎖にエチレン性不飽和二重結合基を有するカルド樹脂をネガ型着色感光性樹脂組成物に含有させることで、露光時の感度を向上させることができる。
カルド樹脂としては、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物、トリカルボン酸またはジカルボン酸などのカルボン酸を有する構造単位を含有することが好ましい。カルド樹脂がカルボン酸を有する構造単位を含有することで、アルカリ可溶性を付与できる。
なお、本発明において、耐熱性や着色材の分散安定性向上の観点から、アルカリ可溶ではない樹脂を併用しても良い。アルカリ可溶ではない樹脂としては、前記のアルカリ可溶性樹脂の条件を満たさない、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、着色樹脂組成物の貯蔵安定性や着色膜の耐熱性の観点から、アクリル樹脂またはポリイミド樹脂が好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、エーテル類、アセテート類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、アミド類、アルコール類などが挙げられる。
エーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アセテート類としては、例えば、ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3―メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート等が挙げられる。
エステル類としては、例えば、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸i-ペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸i-プロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレンなどが挙げられる。アミド類としては、例えば、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
アルコール類としては、例えば、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ-ル、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
これらの中でも、本発明の感光性樹脂組成物は、前記有機溶剤が、大気圧下における沸点150℃以上の環状エステル系溶剤(E-1)(以下、(E-1)成分と呼ぶ場合がある)と、大気圧下における沸点150℃未満の有機溶剤(E-2)(以下、(E-2)成分と呼ぶ場合がある)を含み、有機溶剤成分100質量%中の(E-1)成分の含有量が10質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。
(E-1)成分を含み、かつ有機溶剤成分100質量%中の(E-1)成分の含有量が10質量%以上、40質量%以下であることにより、本発明の(B)成分中における(A)成分の分散安定性を向上させることができる。
(E-1)成分としては、具体的にγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトンまたはε-カプロラクトンなどが挙げられるが、(B)成分の溶解性の観点から、γ―ブチロラクトンを含むことが好ましく、γ-ブチロラクトンのみから成ることがより好ましい。さらに、有機溶剤成分中の(E-1)の含有量は、(A)成分の分散安定性を十分に向上させる観点から10質量%以上が好ましく、硬化膜作成時の感光性樹脂膜の乾燥速度を早める観点から40質量%以下が好ましい。
また、(E-2)成分を含むことで、ダイコーティング装置による塗布における好適な揮発性や乾燥性を実現できる。
(E-2)成分としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、乳酸メチル、トルエン、キシレン等が挙げられる。この中でも、アルカリ可溶性樹脂の溶解性と感光性樹脂組成物とした場合の乾燥時の溶媒残存量を少なくし、残パターン部の現像膜減りが小さく、残パターン部からの溶出物付着による開口部への残渣を抑制する観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび/または乳酸メチルを含むことがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび/または乳酸メチルのみから成ることがさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(E-1)成分、(E-2)成分以外にも任意の有機溶剤を含むことができる。
(E-1)成分の質量をWc1とし、(E-2)成分の質量をWc2とした時の、有機溶剤成分中の(E-1)成分と(E-2)成分の質量比率Wc2/Wc1は(A)成分の分散安定性を高める観点から9.0以下であることが好ましい。さらに、Wc2/Wc1を1.5以上とすることにより、塗布時における好適な揮発性や乾燥性を実現でき、例えばポジ型感光性樹脂組成物としたときの未露光部の現像膜減りが小さく、パターニング特性に優れた硬化膜を得ることが容易となる。
本発明の着色樹脂組成物における、有機溶剤の含有量は、塗布工程における塗布膜の膜厚均一性の観点から、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。一方、有機溶剤の含有量は、顔料沈降を抑制する観点から、95重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物にポジ型の感光性を付与する場合は、(C)感光剤として光酸発生剤を含有することにより、露光部のアルカリ溶解性を相対的に高めて、ポジ型の感光性を付与することができるので好ましい。
光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられる。光酸発生剤の中でも、露光後の加熱処理を経ることなく高感度で高解像度のパターンを得ることができる点でキノンジアジド化合物が特に好ましい。
キノンジアジド化合物は、フェノール性水酸基を有した化合物にナフトキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合した化合物が好ましい。ここで用いられるフェノール性水酸基を有する化合物としては、Bis-Z、BisP-EZ、TekP-4HBPA、TrisP-HAP、TrisP-PA、TrisP-SA、TrisOCR-PA、BisOCHP-Z、BisP-MZ、BisP-PZ、BisP-IPZ、BisOCP-IPZ、BisP-CP、BisRS-2P、BisRS-3P、BisP-OCHP、(商品名、本州化学工業(株)製)、BIR-OC、BIP-PC、BIR-PC、BIR-PTBP、BIR-PCHP、BIP-BIOC-F、4PC、BIR-BIPC-F、TEP-BIP-A、(商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6-ジメトキシメチル-4-tert-ブチルフェノール、2,6-ジメトキシメチル-p-クレゾール、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP-AP(商品名、本州化学工業(株)製)などの化合物に4-ナフトキノンジアジドスルホン酸あるいは5-ナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル結合で導入したものが好ましいものとして例示することが出来るが、これ以外の化合物を使用することもできる。
4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。
従って、露光する波長によって4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、または5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、光酸発生剤は、同一分子中に4-ナフトキノンジアジドスルホニル基と5-ナフトキノンジアジドスルホニル基の両方をもつ、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を含有することもできるし、4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を混合して含有することもできる。
上記ナフトキノンジアジド化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、キノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応によって、合成することが可能であって、公知の方法により合成することができる。これらのナフトキノンジアジド化合物を使用することで解像度、感度、残膜率がより向上する。
光酸発生剤の含有量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、150質量部以下である。光酸発生剤の含有量を0.1質量部以上とすることでパターン形成可能で、150質量部以下とすることで光酸発生剤由来のアウトガス量を抑制することができる。
本発明の着色樹脂組成物にネガ型の感光性を付与する場合は、(C)感光剤として光重合開始剤を含有し、さらに(D)ラジカル重合性化合物を含有することにより、露光部がラジカル重合反応により光硬化する、ネガ型の感光性を付与することができるので好ましい。
光重合開始剤とは、露光によって結合開裂および/または反応してラジカルを発生する化合物をいう。光重合開始剤を含有させることにより、露光により、(D)ラジカル重合性化合物を光硬化させることができる。
光重合開始剤としては、例えば、カルバゾール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、後述する露光工程において、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)からなる混合線に対する感度が高いことから、カルバゾール系光重合開始剤またはオキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤の含有量は、露光に対する感度向上の観点から、(E)ラジカル重合性化合物100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。一方、光重合開始剤の含有量は、露光に対する深部硬化性の観点から、(D)ラジカル重合性化合物100重量部に対して、60重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましい。
(D)ラジカル重合性化合物としては、2つ以上のラジカル重合性基を有する化合物が好ましい。(D)ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、露光時の感度向上および硬化膜の硬度向上の観点から、(メタ)アクリル基が好ましい。ここでいう(メタ)アクリル基とは、メタクリル基またはアクリル基を指す。
(D)ラジカル重合性化合物の含有量は、露光に対する感度向上の観点から、前述のアルカリ可溶性樹脂と(D)ラジカル重合性化合物の合計含有量100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、15重量部以上がより好ましい。一方、(D)ラジカル重合性化合物の含有量は、キュア工程におけるリフロー性の観点から、アルカリ可溶性樹脂と(D)ラジカル重合性化合物の合計含有量100重量部に対して、80重量部以下が好ましく、60重量部以下がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、高分子分散剤を含有してもよい。高分子分散剤とは、顔料表面への化学的結合または吸着作用を有する顔料親和性基と、親溶媒性を有する高分子鎖または基とを併せ持つものをいう。高分子分散剤は、湿式メディア分散処理において、顔料の分散媒への濡れ性を向上させて顔料の解凝集を促進し、立体障害および/または静電反発効果により粒度および粘度を安定化させ、さらに、着色樹脂組成物の貯蔵時あるいは塗布時の色分離の発生を抑制する効果を奏する。
高分子分散剤としては、例えば、ポリエステル系高分子分散剤、アクリル系高分子分散剤、ポリウレタン系高分子分散剤、ポリアリルアミン系高分子分散剤、カルボジイミド系分散剤などが挙げられる。高分子分散剤は、アミン価が1mgKOH/g以上であり酸価が1mgKOH/g未満である分散剤、酸価が1mgKOH/g以上でありアミン価が1mgKOH/g未満である分散剤、アミン価が1mgKOH/g以上であり酸価が1mgKOH/g以上である分散剤、アミン価が1mgKOH/g未満であり酸価が1mgKOH/g未満である分散剤に分類される。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、アミン価が1mgKOH/g以上である分散剤が好ましい。
アミン価が1mgKOH/g以上であり酸価が1mgKOH/g未満である高分子分散剤としては、例えば、“DISPERBYK”(登録商標)102,160,161,162,2163,164,2164,166,167,168,2000,2050,2150,2155,9075,9077、“BYK”(登録商標)-LP N6919,“DISPERBYK”(登録商標)-LP N21116,“DISPERBYK”(登録商標)-LP N21234(以上、いずれもビックケミー社製)、“EFKA”(登録商標)4015,4020,4046,4047,4050,4055,4060,4080,4300,4330,4340,4400,4401,4402,4403,4800(以上、いずれもBASF社製)、“アジスパー”(登録商標)PB711(味の素ファインテクノ(株)製)、“SOLSPERSE”(登録商標)13240,13940,20000,71000,76500(以上、いずれもルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。
アミン価が1mgKOH/g以上であり酸価が1mgKOH/g以上である高分子分散剤としては、例えば、“DISPERBYK”(登録商標)142,145,2001,2010,2020,2025,9076、Anti-Terra(登録商標)-205(以上、いずれもビックケミー社製)、“SOLSPERSE”(登録商標)24000(ルーブリゾール(株)社製)、“アジスパー”(登録商標)PB821,PB880,PB881(以上、いずれも味の素ファインテクノ(株)製)、“SOLSPERSE”(登録商標)9000,11200,13650,24000SC,24000GR,32000,32500,32550,326000,33000,34750,35100,35200,37500,39000、56000(ルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物中が高分子分散剤を含有する場合、高分子分散剤の含有量は、分散安定性を向上させる観点から、(A)着色材100重量部に対して、10重量部以上が好ましく、20重量部以上がより好ましい。一方、高分子分散剤の含有量は、着色膜の耐熱性や密着性を向上させる観点から、(A)着色材100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、60重量部以下がより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、熱架橋剤を含有することができる。熱架橋剤とは、アルコキシメチル基、メチロール基、エポキシ基、オキセタニル基をはじめとする熱反応性の官能基を分子内に少なくとも2つ有する化合物を指す。熱架橋剤はアルカリ可溶性樹脂(B)またはその他添加成分を架橋し、熱硬化後の膜の耐熱性、耐薬品性および硬度を高めることができる。
アルコキシメチル基またはメチロール基を少なくとも2つ有する化合物の好ましい例としては、例えば、TriML-P、TriML-35XL、TML-HQ、TML-BP、TML-pp-BPF、TML-BPE、TML-BPA、TML-BPAF、TML-BPAP、TMOM-BP、TMOM-BPE、TMOM-BPA、TMOM-BPAF、TMOM-BPAP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、NIKALAC(登録商標) MX-290、NIKALAC MX-280、NIKALAC MX-270、NIKALAC MX-279、NIKALAC MW-100LM、NIKALAC MX-750LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられる。
エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物の好ましい例としては、例えばデナコールEX-212L、デナコールEX-214L、デナコールEX-216L、デナコールEX-850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)、GAN、GOT(以上、日本化薬(株)製)、エピコート828、エピコート1002、エピコート1750、エピコート1007、YX8100-BH30、E1256、E4250、E4275(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、エピクロンEXA-9583、HP4032(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、VG3101(三井化学(株)製)、テピックS、テピックG、テピックP(以上、日産化学工業(株)製)、NC6000(日本化薬(株)製)、エポトートYH-434L(東都化成(株)製)、EPPN502H、NC3000(日本化薬(株)製)、などが挙げられる。
オキセタニル基を少なくとも2つ有する化合物の好ましい例としては、例えば、エタナコールEHO、エタナコールOXBP、エタナコールOXTP、エタナコールOXMA(以上、宇部興産(株)製)、オキセタン化フェノールノボラックなどが挙げられる。
熱架橋剤は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱架橋剤の含有量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下が好ましい。熱架橋剤の含有量が0.1質量部以上30質量部以下であれば、焼成後または硬化後の膜の耐薬品性および硬度を高めることができ、感光性樹脂組成物の保存安定性にも優れる。
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、密着改良剤を含有してもよい。密着改良剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤、芳香族アミン化合物とアルコキシ基含有ケイ素化合物を反応させて得られる化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの密着改良剤を含有することにより、感光性樹脂膜を現像する場合などに、シリコンウェハー、ITO(Indium Tin Oxide)、SiO、窒化ケイ素などの下地基材との密着性を高めることができる。また、洗浄などに用いられる酸素プラズマ、UVオゾン処理に対する耐性を高めることができる。密着改良剤の含有量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、必要に応じて基板との濡れ性を向上させたり、感光性樹脂膜の膜厚均一性を向上させたりする目的で界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は市販の化合物を用いることができ、具体的にはシリコーン系界面活性剤としては、東レダウコーニングシ4リコーン社のSHシリーズ、SDシリーズ、STシリーズ、ビックケミー・ジャパン社のBYKシリーズ、信越シリコーン社のKPシリーズ、日本油脂社のディスフォームシリーズ、東芝シリコーン社のTSFシリーズなどが挙げられ、フッ素系界面活性剤としては、大日本インキ工業社の“メガファック(登録商標)”シリーズ、住友スリーエム社のフロラードシリーズ、旭硝子社の“サーフロン(登録商標)”シリーズ、“アサヒガード(登録商標)”シリーズ、新秋田化成社のEFシリーズ、オムノヴァ・ソルーション社のポリフォックスシリーズなどが挙げられ、アクリル系および/またはメタクリル系の重合物からなる界面活性剤としては、共栄社化学社のポリフローシリーズ、楠本化成社の“ディスパロン(登録商標)”シリーズなどが挙げられるが、これらに限定されない。
界面活性剤の含有量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.001質量部以上1質量部以下が好ましい。
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、必要に応じて感光性樹脂組成物のアルカリ現像性を補う目的で、フェノール性水酸基を有する化合物を含有してもよい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、Bis-Z、BisOC-Z、BisOPP-Z、BisP-CP、Bis26X-Z、BisOTBP-Z、BisOCHP-Z、BisOCR-CP、BisP-MZ、BisP-EZ、Bis26X-CP、BisP-PZ、BisP-IPZ、BisCRIPZ、BisOCP-IPZ、BisOIPP-CP、Bis26X-IPZ、BisOTBP-CP、TekP-4HBPA(テトラキスP-DO-BPA)、TrisPHAP、TrisP-PA、TrisP-PHBA、TrisP-SA、TrisOCR-PA、(商品名、本州化学工業(株)製)、BIR-OC、BIP-PC、BIR-PC、BIR-PTBP、BIR-PCHP、BIP-BIOC-F、4PC、BIR-BIPC-F、TEP-BIP-A(商品名、旭有機材工業(株)製)、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2,4-ジヒドロキシキノリン、2,6-ジヒドロキシキノリン、2,3-ジヒドロキシキノキサリン、アントラセン-1,2,10-トリオール、アントラセン-1,8,9-トリオール、8-キノリノールなどが挙げられる。本発明の着色樹脂組成物にポジ型の感光性を付与する場合、これらのフェノール性水酸基を有する化合物を含有することで、得られる感光性樹脂組成物は、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間で現像が容易になる。そのため、感度が向上しやすくなる。
このようなフェノール性水酸基を有する化合物の含有量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して1質量部以上100質量部以下が好ましい。
本発明の着色組成物の製造方法としては、例えば、分散機を用いて(A)着色材、(B)アルカリ可溶性樹脂、必要に応じて分散剤および(C)有機溶剤を含有する樹脂溶液を分散させて、着色材濃度の高い着色材分散液を調製し、さらに(B)アルカリ可溶性樹脂や、必要に応じて感光剤などの他の成分を添加して撹拌する方法が好ましい。必要に応じて濾過を行ってもよい。
分散機としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなどが挙げられる。これらの中でも、分散効率化および微分散化のため、ビーズミルが好ましい。ビーズミルとしては、例えば、コボールミル、バスケットミル、ピンミル、ダイノーミルなどが挙げられる。ビーズミルに用いるビーズとしては、例えば、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズが挙げられる。ビーズミルのビーズ径は、0.03~1.0mmが好ましい。(A)着色材の一次粒子径および一次粒子が凝集して形成された二次粒子の粒子径が小さい場合には、径が0.03~0.10mmの微小なビーズを用いることが好ましい。この場合には、微小なビーズと分散液とを分離することが可能な、遠心分離方式によるセパレーターを備えるビーズミルが好ましい。一方で、サブミクロン程度の粗大な粒子を含む着色材を分散させる場合には、十分な粉砕力を得るために、径が0.10mm以上のビーズを用いることが好ましい。
次に、本発明の着色樹脂組成物を硬化させて着色膜および着色隔壁を形成する方法についてポジ型の感光性の着色樹脂組成物を例に挙げて説明する。
感光性樹脂組成物を硬化する方法としては加熱硬化が挙げられる。具体的には後述する加熱硬化の方法で行うことが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜形成する方法について以下に詳しく説明する。硬化膜の製造方法は、感光性樹脂組成物を塗布し感光性樹脂膜を形成する工程、前記感光性樹脂膜を乾燥する工程、前記感光性樹脂膜を露光する工程、露光された感光性樹脂膜を現像する工程、および加熱硬化をする工程を含む。
以下に各工程の詳細について述べる。なお、本発明においては、基板上に形成された膜のうち、基板上に感光性樹脂組成物を塗布後、加熱硬化する前までの間の膜を感光性樹脂膜といい、加熱硬化後の膜を硬化膜という。
まず、感光性樹脂組成物を塗布し感光性樹脂膜を形成する工程について述べる。この工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基板にスピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、スプレーコート法、印刷法などで塗布し、感光性樹脂膜を得る。これらの中でスリットコート法が好ましく用いられる。スリットコート法での塗布速度は10mm/秒~400mm/秒の範囲が一般的である。感光性樹脂膜の膜厚は、感光性樹脂組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.1~20μm、好ましくは0.3~5μmになるように塗布される。基板としては例えば、ガラス、石英、シリコン、セラミック、プラスチックおよびそれらの上に部分的にITO、Cu、Agなどの電極が形成されたものなどが挙げられる。塗布に先立ち、感光性樹脂組成物を塗布する基板を予め前述した密着改良剤で前処理してもよい。例えば、密着改良剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PGME、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5~20質量%溶解させた溶液を用いて、基材表面を処理する方法が挙げられる。基材表面の処理方法としては、スピンコート、スリットダイコート、バーコート、ディップコート、スプレーコート、蒸気処理などの方法が挙げられる。
次に、感光性樹脂膜を乾燥する工程について述べる。この工程では、感光性樹脂組成物を塗布後、感光性樹脂膜を乾燥する。この工程における乾燥とは、減圧乾燥または加熱乾燥を表す。減圧乾燥と加熱乾燥は両方実施してもよいし、いずれか一方のみでもよい。加熱乾燥について述べる。この工程をプリベークとも言う。乾燥はホットプレート、オーブン、赤外線などを使用する。加熱温度は感光性樹脂膜の種類や目的により様々であり、50℃から180℃の範囲で1分間~数時間行うことが好ましい。
次に、前記感光性樹脂膜を露光する工程について述べる。この工程では、得られた感光性樹脂膜からパターンを形成するために、感光性樹脂膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いることが好ましい。ポジ型の感光性を有する場合、露光部が現像液に溶解する。
次に、露光された感光性樹脂膜を現像する工程について述べる。この工程では、露光後、現像液を用いてポジ型の場合は露光部を除去することによって所望のパターンを形成する。現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下、TMAH)、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。現像方式としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。次に、現像によって形成したパターンを蒸留水にてリンス処理をすることが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを蒸留水に加えてリンス処理をしてもよい。
次に、加熱硬化する工程について述べる。この工程では、加熱硬化により耐熱性の低い成分を除去できるため、耐熱性および耐薬品性を向上させることができる。特に、本発明の感光性樹脂組成物が、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体の中から選ばれるアルカリ可溶性樹脂、またはそれらとポリイミドとの共重合体であるアルカリ可溶性樹脂を含む場合は、加熱硬化によりイミド環、オキサゾール環を形成できるため、耐熱性および耐薬品性を向上させることができ、また、アルコキシメチル基、メチロール基、エポキシ基、またはオキタニル基を少なくとも2つ有する化合物を含む場合は、加熱硬化により熱架橋反応を進行させることができ、耐熱性および耐薬品性を向上させることができる。加熱温度は150~300℃が好ましく、加熱時間は0.25~5時間が好ましい。加熱温度を連続的に変化させてもよいし、段階的に変化させてもよい。
着色膜の光透過率は、透明基材上に、着色樹脂組成物の塗膜を形成し、ホットプレート等により塗膜を乾燥させた後、熱風オーブン等で加熱処理して着色膜を得て、透明基材の光透過率をリファレンスとして、紫外-可視分光光度計を用いて測定することができる。測定に用いる紫外可視分光光度計としては、UV-2600((株)島津製作所製)が好ましく、透明基材としては、透光性ガラス基材であるテンパックス(AGCテクノグラス(株)製)が好ましい。なお、塗膜や着色膜のOD値は、光学濃度計(361TVisual;X-Rite社製)を用いて、塗膜または着色膜の入射光および透過光の強度をそれぞれ測定し、下記式(5)により算出することができる。
OD値 = log10(I/I) ・・・ 式(5)
:入射光強度
I:透過光強度。
本発明の着色樹脂組成物は、光学濃度(OD値)が2となるように塗膜を形成したときの、塗膜の波長365nmにおける光透過率が2%以上となることが好ましく、3%以上となることがより好ましい。一定の光学濃度において、波長365nmにおける光透過率が高いほど、紫外領域における光透過性と可視領域における遮光性により優れる。塗膜や着色膜の波長365nmにおける光透過率を前述の範囲とすることにより、紫外線に対する感度が高く、パターン加工性を向上させることができる。塗膜や着色膜の波長365nmにおける光透過性を向上させるためには、ジルコニア化合物粒子に含まれる不純物であるZrOを低減することが好ましく、紫外線域、とりわけ365nm以上における吸光度係数の小さな感光剤を選択することが好ましい。
また、光学濃度(OD値)が2となるように、着色樹脂組成物の硬化膜からなる着色膜を形成したときの、着色膜の波長800nmにおける光透過率が15%以上となることが好ましく、20%以上となることがより好ましい。一定の光学濃度において、波長800nmにおける光透過率が高いほど、赤外領域における光透過性と可視領域における遮光性により優れる。塗膜や着色膜の波長800nmにおける光透過率を前述の範囲とすることにより、赤外線の透過性が高く、着色部形成後の工程における露光時のマスク位置合わせに赤外線を用いる方式へ適応することができる。
また、上記塗膜の波長550nmにおける光透過率に対する波長365nmにおける光透過率の比(365nm/550nm)は、0.5以上が好ましい。かかる比が0.5以上であると、遮光性が非常に高い場合であっても、密着性に優れ、高精細で形状に優れたパターンを形成することができる。光透過率の比(365nm/550nm)は、1.0以上がより好ましい。波長550nmにおける光透過率に対する波長365nmにおける光透過率の比を大きくするためには、ジルコニア化合物粒子に含まれる不純物であるZrOを低減することが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物を硬化させることにより、本発明の着色膜を得ることができる。本発明の着色膜は、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、ブラックマトリクス等の遮光画像、および着色隔壁等の作製に好適に用いることができる。
また、本発明の着色樹脂組成物は、着色隔壁間に色変換発光材料を有する表示装置に好適に用いられる。着色隔壁によって隔てられた画素に含有される色変換材料としては、無機蛍光体および/または有機蛍光体を含有することが好ましい。
無機蛍光体としては、例えば、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、サイアロン系蛍光体、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体、量子ドットと称される無機半導体等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、量子ドットが好ましい。量子ドットとしては、例えば、II-IV族、III-V族、IV-VI族、IV族の半導体などが挙げられる。これらの無機半導体としては、例えば、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Alなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
有機蛍光体としては、ペリレン系誘導体、ポルフィリン系誘導体、オキサジン系誘導体、ピラジン系誘導体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
着色隔壁間に色変換発光材料を有する表示装置の製造方法について、本発明の着色隔壁を具備する基板と有機ELセルを有する表示装置の一例を挙げて説明する。ガラス基板上に、感光性ポリイミド樹脂を塗布し、フォトリソグラフィー法により絶縁膜を形成する。その上にスパッタによりアルミニウム膜を形成した後、フォトリソグラフィー法によりアルミニウム膜のパターニングを行い、絶縁膜の無い開口部に背面電極層を形成する。続いて、電子輸送層としてトリス(8-キノリノラト)アルミニウム(以下、Alq3と略す)を真空蒸着法により成膜した後、さらに発光層としてAlq3にジシアノメチレンピラン、キナクリドンおよび4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニルをドーピングした白色発光層を形成する。次に、正孔輸送層としてN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(α-ナフチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミンを真空蒸着法にて成膜する。最後に、透明電極としてITOをスパッタリングにて成膜し、白色発光層を有する有機ELセルを作製する。このように作製した有機ELセルと前述の着色隔壁を具備する基板とを対向させて封止剤により貼り合せることにより、表示装置を作製することができる。
本発明の着色膜は、カラー液晶表示装置等に用いるカラーフィルターの表示特性向上のために、着色パターンの間隔部、周辺部分、TFTの外光側等に遮光画像(ブラックマトリクスを含む)を設けるために用いることができ、液晶表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた遮光膜や、赤、青、緑の着色画素間の格子状やストライプ状の黒色の部分、さらに好ましくはTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等のブラックマトリクスとして用いることができる。
カラーフィルターに用いる場合、基板上に、画素を有し、画素間にブラックマトリクスを有することが好ましい。カラーフィルターは、必要に応じて、固定されたスペーサーやオーバーコート層を有しており、本発明の着色膜は、ブラックマトリクスとして画素間に配置されてもよいし、画素の額縁部に配置されてもよい。本発明の着色膜をカラーフィルターに用いることにより、得られる液晶表示装置のコントラストを向上させ、光による液晶表示装置の駆動素子の誤作動を防止することができる。
固定されたスペーサーとは、特開平4-318816号公報に示されるように液晶表示装置用基板の特定の場所に固定され、液晶表示装置を作製した際に電極基板と接するものである。スペーサーにより、カラーフィルターと電極基板との間に一定のギャップが保持され、このギャップ間に液晶が注入される。固定されたスペーサーを配することにより、液晶表示装置の製造工程において、球状スペーサーを散布する行程や、シール剤内にロッド状のスペーサーを混練りする工程を省略することができる。
オーバーコート層は、画素に設けられた穴や段差を平坦化し、画素中の成分の液晶層への溶出を抑制する作用を有する。オーバーコート層の材質としては、エポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド、ケイ素含有ポリイミド、ポリイミドシロキサン等が挙げられる。オーバーコート層の厚みは、凹凸のある基板上においては、オーバーコート層のレベリング性により、凹部(周囲より低い部分)では厚く、凸部(周囲より高い部分)では薄くなる傾向がある。オーバーコートの厚みは0.04~3μmが好ましい。
本発明の着色膜を液晶表示装置に用いる場合、前述したカラーフィルターと、カラーフィルターに対向して配置される電極基板と、カラーフィルターおよび電極基板上にそれぞれ設けられた液晶配向膜と、これらの液晶配向膜間に空間を確保するスペーサーと、空間内に充填された液晶とを具備することが好ましい。
前述したカラーフィルターを用いた液晶表示装置の製造方法一例について述べる。前述したカラーフィルターと電極基板とを、それらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させて貼り合わせる。電極基板上には、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、走査線、信号線などが設けられる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。次に、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置を得ることができる。
本発明の着色樹脂組成物を硬化させてなる着色膜は、厚膜においても、高精細かつ矩形形状で形成が可能なため、固体撮像素子向けの着色隔壁として好適に用いられる。本発明の着色隔壁を有する基板を固体撮像素子の全面に配することで、入射する迷光を低減することが可能となり、撮像素子の感度を向上することができる。
以下に本発明を実施例および比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
<評価方法>
[窒化ジルコニウムおよび着色顔料の結晶子サイズ]
着色膜中の顔料の結晶子サイズ測定サンプルとして、各実施例および比較例により得られた着色膜をガラス基板より削りだしてアルミ製標準試料ホルダーに詰めた。これらの測定サンプルについて、(株)Bruker AXS製X線回折装置DS ADVANCE(商品名)を用いて、X線源をCuKα線として、広角X線回折法によりX線回折スペクトルを測定した。測定条件としては、出力は40kV/40mA、スリット系はDiv.Slit:0.3°、測定ステップ(2θ)は0.0171°、計測時間は0.5秒/ステップとした。窒化ジルコニウムについては、回折角2θ=33.8°付近に観察されるZrN(111)面に由来するピークの回折角および半値幅を測定し、前記式(1)で表されるシェラーの式を用いて、粒子を構成する結晶子サイズを求めた。着色顔料については、顔料に由来する主ピークの回折角および半値幅を測定し、前記式(1)で表されるシェラーの式を用いて、顔料を構成する結晶子サイズを求めた。
[着色顔料の透過率、吸収ピーク位置]
各製造例で使用した(A-2)着色顔料120g、合成例4により得られたアクリル樹脂(P-1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)35重量%溶液171g、高分子分散剤としてアミン系高分子分散剤“BYK LPN-21116”20gおよびPGMEA689gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。ビーズ径0.50mmφのジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した寿工業(株)製分散機ウルトラアペックスミルUAM015に、得られた予備分散液を供給し、回転速度12m/sで20分間分散を行い、続いて、分散処理後の液を、ビーズ径0.05mmφのジルコニアビーズを75体積%充填したウルトラアペックスミルUAM015に供給し、回転速度8m/sで90分間分散を行い、固形分濃度20重量%、着色顔料/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色顔料分散液を得た。合成例4により得られたアクリル樹脂を添加し、固形成分の総合計含有量に対して着色材の含有量が15重量%となるように配合された樹脂組成物を作製した。作製した樹脂組成物を、ガラス基板に硬化後の膜厚が2μmとなるように形成して得られた着色膜について、(株)島津製作所製紫外-可視分光光度計UV-2600を用いて、波長550~650nmにおける透過率の最大値と、吸収ピークの位置を求めた。
[遮光性]
各実施例および比較例により得られた着色膜について、X-Rite社製光学濃度計361TVisualを用いて、膜厚1μmあたりのOD値を算出した。
[光透過性]
各実施例および比較例により得られた着色膜について、(株)島津製作所製紫外-可視分光光度計UV-2600を用いて、OD値が2となる膜厚における、波長365nmおよび550nmおよび800nmにおける透過率を測定した。波長365nmにおける透過率が高いほど、紫外領域における光透過性に優れる。波長800nmにおける透過率が高いほど、赤外領域における光透過性に優れる。また、波長550nmにおける光透過率に対する波長365nmにおける光透過率の比を算出した。
[平坦性]
各実施例および比較例により得られた着色膜について、接触式膜厚計(“DEKTAK”(登録商標)150;アルバック社販売)を用いて、触針圧5mgでの表面粗度(nm)を測定した。
[感度]
各実施例および比較例により得られた着色膜に、線幅20μm、間隔1対1のライン・アンド・スペースパターンが配置されたフォトマスクを介して500mJ/cmを最大露光量として、10mJ/cmごとに露光量を下げて露光し、所定のアルカリ現像液でシャワー現像した後に、パターンおよびスペースの線幅を顕微鏡にて観察した。ライン・アンド・スペースパターンを1対1で形成できる最低露光量を感度とした。
[アライメント性]
基材として、厚さ100nmのメタルマークを設けた無アルカリガラス基板(AN100)を使用し、ミカサ(株)製スピンナー(MS-A150)を用いて、各実施例および比較例の着色樹脂組成物をOD値が2となるように塗布し、着色膜を100℃のホットプレート上で2分間加熱乾燥した。この着色膜を赤外線顕微鏡で観察することにより、アライメントマークの視認性を確認した。アライメントマークが視認できる場合は“良好“,視認できない場合は“不可”と判定した。
(合成例1:ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(HA))
2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下、BAHFと呼ぶ)18.3g(0.05モル)をアセトン100mL、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、-15℃に冷却した。ここに3-ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、-15℃で4時間撹拌し、その後室温に戻した。析出した白色固体を濾別し、50℃で真空乾燥した。得られた白色固体30gを300mLのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセルソルブ250mLに分散させ、5%パラジウム-炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、濾過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン化合物(以下、HAと呼ぶ)を得た。
Figure 2023041121000008
(合成例2:アルカリ可溶性樹脂(P-1))
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたHAを21.2g(0.035mol)、DAEを7.0g(0.035mol)、SiDAを1.2g(0.005mol)をNMP400gに溶解した。ここに、ODPA31.0g(0.10mol)をNMP50gとともに加えて、40℃で1時間撹拌した。その後、MAP5.5g(0.050mol)を加えて40℃で1時間撹拌した。さらに、NMP10gにN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(以下、DFAと呼ぶ)16.7g(0.14mol)を溶かした溶液を10分かけて滴下した。滴下終了後、40℃で3時間攪拌した。撹拌終了後、溶液を室温まで冷却した後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、酸当量366g/molのポリイミド前駆体からなるアルカリ可溶性樹脂(P-1)を得た。
(合成例3:キノンジアジド化合物(C-1))
乾燥窒素気流下、TrisP-PA(商品名、本州化学工業(株)製)21.22g(0.05モル)と5-ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド36.27g(0.135モル)を1,4-ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4-ジオキサン50gと混合したトリエチルアミン15.18gを、系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入した。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記式で表されるキノンジアジド化合物(C-1)を得た。
Figure 2023041121000009
(合成例4 アクリル樹脂(P-2)の合成)
特許第3120476号明細書の実施例1に記載の方法により、メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体(重量比30/40/30)を合成した。得られた共重合体100重量部に対し、グリシジルメタクリレート40重量部を付加させ、精製水で再沈し、濾過および乾燥することにより、重量平均分子量15,000、酸価110mgKOH/gのアルカリ可溶性のアクリル樹脂(P-2)を得た。なお、アクリル樹脂の酸価は、アクリル樹脂1gを中和するのに要した水酸化カリウムの量(mg)とし(単位:mgKOH/g)、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー(株)製試験装置)を用いて、キャリヤーをテトラヒドロフランとして、ポリスチレン換算により測定した。
(製造例1 着色材分散液(DB-1)の製造)
熱プラズマ法により製造した窒化ジルコニウム粒子Zr-1(日清エンジニアリング(株)製)37.5g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-ブチロラクトン(以下、γ-BLと呼ぶ場合がある)562.5g、および乳酸エチル(以下、ELと呼ぶ場合がある)562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-1)を得た。
(製造例2 着色材分散液(DB-2)の製造)
熱プラズマ法により製造した窒化ジルコニウム粒子(日清エンジニアリング(株)製)21.75g、 “No.700-10 FG CY. BLUE” (ピグメントブルー15:4(以下、PB15:4と呼ぶ場合がある))(PB15:4)(トーヨーカラー(株)製)15.75g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-2)を得た。
(製造例3 着色材分散液(DB-3)の製造)
熱プラズマ法により製造した窒化ジルコニウム粒子Zr-1(日清エンジニアリング(株)製)18.75g、 “No.700-10 FG CY. BLUE”(PB15:4)(トーヨーカラー(株)製)18.75g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-3)を得た。
(製造例4 着色材分散液(DB-4)の製造)
熱プラズマ法により製造した窒化ジルコニウム粒子Zr-1(日清エンジニアリング(株)製)16.88g、 “No.700-10 FG CY. BLUE”(PB15:4)(トーヨーカラー(株)製)20.63g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-4)を得た。
(製造例5 着色材分散液(DB-5)の製造)
スルホン酸基により表面が修飾されたカーボンブラック(キャボットジャパン(株)製)21.75g、 “No.700-10 FG CY. BLUE”(PB15:4)(トーヨーカラー(株)製)15.75g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-5)を得た。
(製造例6 着色材分散液(DB-6)の製造)
熱プラズマ法により製造した窒化ジルコニウム粒子Zr-1(日清エンジニアリング(株)製)28.13g、 “No.700-10 FG CY. BLUE”(PB15:4)(トーヨーカラー(株)製)9.38g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-6)を得た。
(製造例7 着色材分散液(DB-7)の製造)
“No.700-10 FG CY. BLUE”(PB15:4)(トーヨーカラー(株)製)37.5g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-7)を得た。
(製造例8 着色材分散液(DB-8)の製造)
熱プラズマ法により製造した窒化ジルコニウム粒子Zr-1(日清エンジニアリング(株)製)9.38g、 “No.700-10 FG CY. BLUE”(PB15:4)(トーヨーカラー(株)製)28.13g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-8)を得た。
(製造例9 着色材分散液(DB-9)の製造)
市販の窒化ジルコニウム粒子Zr-2(日本新金属(株)製)21.75g、 “No.700-10 FG CY. BLUE”(PB15:4)(トーヨーカラー(株)製)15.75g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-9)を得た。
(製造例10 着色材分散液(DB-10)の製造)
熱プラズマ法により製造した窒化ジルコニウム粒子Zr-1(日清エンジニアリング(株)製)21.75g、 “No.700-10 FG CY. BLUE”(PB15:4)(トーヨーカラー(株)製)15.75g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.40mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-10)を得た。
(製造例11 着色材分散液(DB-11)の製造)
熱プラズマ法により製造した窒化ジルコニウム粒子Zr-1(日清エンジニアリング(株)製)21.75g、 “Paliotol Yellow D1155”(ピグメントイエロー185(以下、PY185と呼ぶ場合がある))(BASF(株)製)15.75g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)87.5g、γ-BL562.5g、およびEL562.5gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度9m/sで3時間分散を行い、固形分濃度10質量%、着色材/樹脂(質量比)=30/70の着色材分散液(DB-11)を得た。
Figure 2023041121000010
(実施例1)
435.0gの着色材分散液(DB-2)に、アルカリ可溶性樹脂(P-1)を25.7g、光酸発生剤としてキノンジアジド化合物(D-1)を17.0g、フェノール化合物ビスフェノール-AF(東京化成工業(株)製)13.6g、シリコーン系界面活性剤“BYK”(登録商標)333(ビックケミー社製)0.2g、γ-ブチロラクトン254.0g、PGME254.0gを添加して、全固形分濃度10質量%、顔料/樹脂(質量比)=13/87の着色樹脂組成物(PB-1)を得た。
次に、得られた着色樹脂組成物(PB-1)を、無アルカリガラス基板(AN100)上に、ミカサ(株)製スピンナー(MS-A150)を用いて、着色膜のOD値が2となるように塗布し、着色膜を100℃のホットプレート上で2分間加熱乾燥した。この着色膜に対して、ユニオン光学(株)製マスクアライナー(PEM-6M)を用いて、HOYA(株)製ポジマスク(ストライプ設計線幅20μm)を介して、紫外線を500mJ/cmを最大露光量として、10mJ/cmごとに露光量を下げて露光し、2.38質量%TMAH水溶液のアルカリ現像液で現像することでパターニング基板を得た。このパターニング基板に対して、ユニオン光学(株)製マスクアライナー(PEM-6M)を用いて、紫外線を500mJ/cm全面に露光した。得られた基板を熱風オーブン中230℃で60分間焼成して硬化膜(BK-1)を得た。この硬化膜について、前述の方法により評価した結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-3)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-2)および、その硬化膜(BK-2)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-4)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-3)および、その硬化膜(BK-3)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-2)を145.0g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)の量を54.7g、γ-ブチロラクトンの量を385.0g、PGMEの量を385.0gとすることで、着色樹脂組成物(PB-4)および、その硬化膜(BK-4)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(実施例5)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-2)を290.0g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)の量を40.2g、γ-ブチロラクトンの量を320.0g、PGMEの量を320.0gとすることで、着色樹脂組成物(PB-5)および、その硬化膜(BK-5)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(実施例6)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-2)を580.0g、アルカリ可溶性樹脂(P-1)の量を11.2g、γ-ブチロラクトンの量を189.0g、PGMEの量を189.0gとすることで、着色樹脂組成物(PB-6)および、その硬化膜(BK-6)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(実施例7)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-9)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-7)および、その硬化膜(BK-7)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(実施例8)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-10)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-8)および、その硬化膜(BK-8)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-1)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-9)および、その硬化膜(BK-9)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-6)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-10)および、その硬化膜(BK-10)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-8)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-11)および、その硬化膜(BK-11)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(比較例4)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-7)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-12)および、その硬化膜(BK-12)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(比較例5)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-11)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-13)および、その硬化膜(BK-13)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
(比較例6)
実施例1と同様の方法で、投入する着色材分散液として(DB-5)を用いることで、着色樹脂組成物(PB-14)および、その硬化膜(BK-14)を得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。
Figure 2023041121000011
実施例の着色樹脂組成物は、紫外線(365nm)透過率が高く、感度も優れていることがわかる。一方、比較例の着色樹脂組成物は、紫外線(365nm)透過率が低く、塗膜の底部まで紫外線が透過しないため、感度が低い結果となった。
また、実施例の着色樹脂組成物は、赤外線(800nm)透過率が高く、アライメント性も優れていることがわかる。一方、比較例の着色樹脂組成物は、赤外線(800nm)透過率が低く、塗膜中を赤外線が透過しないため、アライメント性が劣る結果となった。
また、実施例の着色樹脂組成物は遮光性が高く、OD=2の膜を形成することができる。一方、比較例5および9の着色樹脂組成物では、遮光性が低く、OD=2の膜を形成できない結果となった。
本発明の着色膜は、有機EL表示装置の画素分割層に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. (A)着色材、(B)アルカリ可溶性樹脂および(C)感光剤を含有し、前記(A)着色材として少なくとも(A-1)ジルコニア化合物粒子と、少なくとも1種類以上の(A-2)着色顔料を含有し、着色材の全量に対し(A-1)ジルコニア化合物粒子の含有量が45~74重量%であり、(A-2)着色顔料が波長550~650nmの間に吸収ピークを持ち、波長550~650nmにおける透過率の最大値が30%以下である着色樹脂組成物。
  2. 着色材の全量に対し、(A-2)着色顔料の含有量が26~70重量%である請求項1に記載の着色樹脂組成物。
  3. 前記(A-1)ジルコニア化合物粒子に含まれる窒化ジルコニウムの、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルにおける(111)面に由来するピークの半値幅より求めた結晶子サイズが10nm以上60nm以下であり前記(A-2)着色顔料の、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルの主ピークより得られる半値幅より算出した該(A-2)着色顔料の結晶子サイズが5nm以上30nm以下である請求項1または2に記載の着色樹脂組成物。
  4. 前記(A)着色材の含有量が、固形成分の全量に対して、4~18重量%である請求項1~3のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
  5. 総露光量500mj/cmの工程を経て光学濃度(OD値)が2となる着色膜を形成したときの、前記着色膜の波長365nmにおける光透過率が2%以上かつ波長800nmにおける光透過率が15%以上となる請求項1~4のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
  6. 前記(C)感光剤として光酸発生剤を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
  7. 前記(C)感光剤として光重合開始剤を含有し、(D)ラジカル重合性化合物をさらに含有する請求項1~6のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項記載の着色樹脂組成物の硬化物からなる、着色膜。
  9. 請求項8記載の着色膜からなる着色隔壁。
  10. 請求項9記載の着色隔壁を具備する、有機EL表示装置。
JP2021148301A 2021-09-13 2021-09-13 着色樹脂組成物、着色膜および有機el表示装置 Pending JP2023041121A (ja)

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