JP2023040734A - ケーブルの製造方法、ケーブルの製造装置 - Google Patents

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Tatsunori Rinka
裕子 山口
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Abstract

【課題】被加熱物を短時間で加熱できる加熱工程を備えたケーブルの製造方法を提供する。【解決手段】中心導体の外表面に被覆層が配置されたケーブルの製造方法であって、誘導コイル内に前記中心導体を通し、誘導加熱により加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱された前記中心導体の外表面に前記被覆層を被覆する被覆工程と、を有するケーブルの製造方法。【選択図】 図1A

Description

本開示は、ケーブルの製造方法、ケーブルの製造装置に関する。
特許文献1には、絶縁電線の製造方法として、導体の外表面に絶縁層を押出成形により形成する際、導体を加熱炉に通して予備加熱し、予備加熱された導体を押出機に導入することが開示されている。
特開2017-157491号公報
特許文献1に開示されているように、電線等のケーブルの製造過程において、導体の外表面に絶縁層を押出成形により形成する際などに、導体等の被加熱物を加熱炉により加熱することがなされていた。
しかしながら、ヒーター等の加熱炉を用いて導体等の被加熱物を加熱する場合、被加熱物が所望の温度に到達するまでに時間を要するため、加熱時間を長くする必要があった。このため、加熱炉の長さが長くなり、生産効率が低下する等の問題があった。
そこで、本開示は、被加熱物を短時間で加熱できる加熱工程を備えたケーブルの製造方法を提供することを目的とする。
本開示のケーブルの製造方法は、中心導体の外表面に被覆層が配置されたケーブルの製造方法であって、
誘導コイル内に前記中心導体を通し、誘導加熱により加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱された前記中心導体の外表面に前記被覆層を被覆する被覆工程と、を有する。
本開示によれば、被加熱物を短時間で加熱できる加熱工程を備えたケーブルの製造方法を提供できる。
図1Aは、本開示の一態様に係るケーブルの製造方法、ケーブルの製造装置の説明図である。 図1Bは、本開示の一態様に係るケーブルの製造方法、ケーブルの製造装置の説明図である。 図2は、本開示の一態様に係るケーブルの製造方法、ケーブルの製造装置で用いる誘導コイルの説明図である。 図3は、本開示の一態様に係るケーブルの製造方法により製造できるケーブルの説明図である。 図4は、本開示の一態様に係るケーブルの製造方法により製造できるケーブルの説明図である。 図5は、本開示の一態様に係るケーブルの製造方法により製造できるケーブルの説明図である。
実施するための形態について、以下に説明する。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
(1)本開示の一態様に係るケーブルの製造方法は、中心導体の外表面に被覆層が配置されたケーブルの製造方法であって、
誘導コイル内に前記中心導体を通し、誘導加熱により加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱された前記中心導体の外表面に前記被覆層を被覆する被覆工程と、を有する。
本開示の一態様に係るケーブルの製造方法によれば、誘導加熱により中心導体を加熱するため、被加熱物である中心導体を短時間で加熱できる。このため、生産ラインに占める加熱装置の割合を抑制し、生産性を高められる。また、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
また、本開示の一態様に係るケーブルの製造方法によれば、被覆工程の前に加熱工程で中心導体を加熱するため、被覆工程で中心導体の外表面に被覆層となる樹脂を配置した際に、中心導体と樹脂との温度差を抑制し、中心導体と被覆層との密着性を高められる。
(2) 前記誘導コイルの内径が、前記中心導体の外径の5倍以上であってもよい。
誘導コイルの内径を、中心導体の外径の5倍以上とすることで中心導体を過熱することなく、適切な温度に加熱できる。
(3) 前記誘導コイルのターン数が1ターン以上15ターン以下であってもよい。
ターン数を15ターン以下することで、中心導体を過熱することなく、適切な温度に加熱できる。また、ターン数を1ターン以上とすることで、過度の電力を加えることなく、中心導体を所望の温度まで容易に加熱できる。
(4) 前記加熱工程において、前記中心導体を50℃以上200℃以下で、2秒間以下加熱してもよい。
中心導体を、50℃以上で加熱することで、被覆工程で中心導体の外表面に被覆層を押出成形する際に、中心導体と、被覆層を構成する樹脂との温度差を抑制し、中心導体と被覆層との密着性を高められる。
また、加熱工程では、被覆工程において、中心導体と、被覆する樹脂との温度差が小さくなるように加熱できればよく、中心導体を過度の高温に加熱する必要は無い。そして、中心導体を200℃以下で加熱することで、中心導体の表面が酸化等することを抑制できる。
加熱時間を2秒間以下とすることで、従来方法と比較してケーブルの生産性を特に高めることができる。
(5) 前記加熱工程で加熱された前記中心導体の温度を測定し、前記中心導体の温度に基づいて前記誘導コイルによる加熱条件を制御する温度制御工程を有してもよい。
加熱工程で加熱された中心導体の温度を測定し、該中心導体の温度に基づいて誘導コイルによる加熱条件を制御することで、中心導体について、特に精密な温度制御が可能になる。このため、中心導体と、被覆層との密着性を特に高め、被覆層の樹脂材料が過熱されることを特に防止できる。
(6) 本開示の一態様に係るケーブルの製造方法は、長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体、被覆層、シールド層、および外周被覆を有するケーブルの製造方法であって、
誘導コイル内に、前記シールド層の外表面に前記外周被覆を配置した前駆体を通し、誘導加熱により前記シールド層を加熱し、前記被覆層、および前記外周被覆から選択された1以上の部材を、前記シールド層に密着させる加熱工程を有する。
本開示の一態様に係るケーブルの製造方法によれば、誘導加熱により前駆体内のシールド層を加熱するため、被加熱物であるシールド層を短時間で加熱できる。このため、生産ラインに占める加熱装置の割合を抑制し、生産性を高められる。また、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
また、本開示の一態様に係るケーブルの製造方法によれば、前駆体が有するシールド層を十分な温度に加熱できる。このため、シールド層近傍に配置した接着剤、例えばシールド層が有する接着剤や、外周被覆が有する接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着される層間の密着性を高められる。
(7) 前記誘導コイルのターン数が1ターン以上15ターン以下であってもよい。
ターン数を15ターン以下することで、前駆体のシールド層を過熱することなく、適切な温度に加熱できる。
また、ターン数を1ターン以上とすることで、前駆体のシールド層を十分な温度に加熱できる。このため、シールド層近傍に配置した接着剤、例えばシールド層が有する接着剤や、外周被覆が有する接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着される層間の密着性を高められる。
(8) 前記加熱工程において、前記シールド層を60℃以上180℃以下で、2秒間以下加熱してもよい。
シールド層を、60℃以上で加熱することで、シールド層近傍に配置した接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着させる層間の密着性を高められる。
また、加熱工程では、前駆体に含まれるシールド層や、外周被覆が有する接着剤を溶解できればよく、シールド層を過度の高温に加熱する必要は無い。そして、シールド層を180℃以下で加熱することで、接着剤以外の部材が変形等することを抑制できる。
加熱時間を2秒間以下とすることで、従来方法と比較してケーブルの生産性を特に高めることができる。
(9) 前記加熱工程で加熱された前記外周被覆の温度を測定し、前記外周被覆の温度に基づいて前記誘導コイルによる加熱条件を制御する温度制御工程を有してもよい。
温度制御工程を実施することで、加熱工程における前駆体内のシールド層の加熱温度をより適切に制御できる。このため、シールド層近傍に配置した接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着される層間の密着性を特に高められる。また、被覆層や外周被覆の樹脂材料が過熱され、樹脂材料が劣化することを特に防止できる。
(10) 本開示の一態様に係るケーブルの製造装置は、中心導体の外表面に被覆層が配置されたケーブルの製造装置であって、
前記中心導体を搬送するように構成された搬送装置と、
誘導コイルと発振装置とを備え、前記搬送装置により前記誘導コイル内に前記中心導体を通すことで、前記中心導体を誘導加熱により加熱するように構成された誘導加熱装置と、
加熱された前記中心導体の外表面に前記被覆層を配置するように構成された成形機と、を有する。
本開示の一態様に係るケーブルの製造装置によれば、誘導加熱装置により中心導体を加熱するため、被加熱物である中心導体を短時間で加熱できる。このため、生産ラインに占める加熱装置の割合を抑制し、生産性を高められる。また、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
本開示の一態様に係るケーブルの製造装置によれば、中心導体を誘導加熱装置で加熱した後に成形機に供給するため、成形機で中心導体の外表面に被覆層となる樹脂を配置した際に、中心導体と樹脂との温度差を抑制し、中心導体と被覆層との密着性を高められる。
(11) 本開示の一態様に係るケーブルの製造装置は、長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体、被覆層、シールド層、および外周被覆を有するケーブルの製造装置であって、
前記シールド層の外表面に前記外周被覆を配置した前駆体を搬送するように構成された搬送装置と、
誘導コイルと発振装置とを備え、前記搬送装置により前記誘導コイル内に前記前駆体を通すことで、前記前駆体内の前記シールド層を誘導加熱により加熱するように構成された誘導加熱装置と、を有する。
本開示の一態様に係るケーブルの製造装置によれば、誘導加熱装置により前駆体内のシールド層を加熱するため、被加熱物であるシールド層を短時間で加熱できる。このため、生産ラインに占める加熱装置の割合を抑制し、生産性を高められる。また、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
また、本開示の一態様に係るケーブルの製造装置によれば、誘導加熱装置により前駆体が有するシールド層を十分な温度に加熱できる。このため、シールド層近傍に配置した接着剤、例えばシールド層が有する接着剤や、外周被覆が有する接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着される層間の密着性を高められる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)に係るケーブルの製造方法、およびケーブルの製造装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
[ケーブルの製造方法]
(1)本実施形態のケーブルの製造方法により製造できるケーブルの構成例について
以下、本実施形態のケーブルの製造方法を詳述する前に、本実施形態のケーブルの製造方法により製造できるケーブルの構成例について説明する。
後述するように、本実施形態のケーブルの製造方法によれば、中心導体の外表面を被覆層で被覆したケーブルや、外表面側から順に外周被覆と、シールド層とを有するケーブルを製造できる。このため、各種絶縁ケーブルや、シールド層を有する同軸ケーブル、二芯平行ケーブル、多芯ケーブル等を製造できる。
以下、本実施形態のケーブルの製造方法により製造できるケーブルの構成例について、図3~図5を用いながら説明する。
(1-1)同軸ケーブル
図3に同軸ケーブル30の長手方向と垂直な断面図を示す。
同軸ケーブル30は、長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体31、被覆層32、シールド層33、外周被覆34を有することができる。
例えば後述する第1の実施形態のケーブルの製造方法において、中心導体31の外表面に被覆層32を配置することができ、中心導体31と被覆層32との密着性を高めることができる。また、後述する第2の実施形態のケーブルの製造方法において、シールド層33の外表面に外周被覆34を配置した後に加熱することで、シールド層33と外周被覆34との密着性や、被覆層32とシールド層33との密着性を高めることができる。
(中心導体)
中心導体31の材料としては、例えば銅や、アルミニウム、銅合金等が挙げられる。中心導体31は、表面に銀やスズのめっき処理が施されていてもよい。このため、中心導体31として、例えば銀めっき銅合金や、スズめっき銅合金等を用いることもできる。中心導体31は、単線(素線)であってもよく、複数の素線を撚り合わせた撚線であってもよい。
(被覆層)
被覆層32を構成する材料は特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の樹脂を用いることができる。
(シールド層)
シールド層33は、被覆層32の外表面に金属線を編組形状、またはスパイラル形状に配置した構造を有することができる。また、シールド層33は、被覆層32の外表面に金属箔を配置した構造を有することもできる。
シールド層33が金属線を有する場合、金属線の材料としては、銅や、アルミニウム、銅合金等を用いることができる。金属線は、表面に銀やスズのめっき処理が施されていてもよい。このため、金属線としては、例えば銀めっき銅合金や、スズめっき銅合金等を用いることもできる。
シールド層33が金属箔を有する場合、金属箔の材料としては、銅やアルミニウム等を用いることができる。
シールド層33は、被覆層32側の面に接着剤を有することもできる。該接着剤は、後述するケーブルの製造方法の第2の実施形態における加熱工程で加熱することで溶解し、加熱工程後に冷却されることで凝固することが好ましい。接着剤が上述のように溶解、凝固することで、被覆層32とシールド層33との密着性を高められる。
(外周被覆)
外周被覆34の材料は特に限定されないが、被覆層32で既述のフッ素樹脂や、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の樹脂を用いることができる。
外周被覆34は、シールド層33側の面に接着剤を有することもできる。該接着剤は、後述するケーブルの製造方法の第2の実施形態における加熱工程で加熱することで溶解し、加熱工程後に冷却されることで凝固することが好ましい。接着剤が上述のように溶解、凝固することで、外周被覆34とシールド層33との密着性を高められる。
ここでは同軸ケーブルを例に説明したが、本実施形態のケーブルの製造方法によれば、シールド層33内に複数本の絶縁線を有する多芯ケーブルを製造することもでき、この場合には、シールド層33内に複数本の絶縁線を配置する点以外は同様に構成できる。なお、複数本の絶縁線は撚り合わせていても良く、撚り合わさなくても良い。また、構成する一部の絶縁ケーブルを2本ずつ撚り合わせた対撚絶縁線としてシールド層内に配置することもできる。
(1-2)二芯平行ケーブル
図4に二芯平行ケーブル40の長手方向と垂直な断面図を示す。
二芯平行ケーブル40は、ツイナックスケーブルとも呼ばれ、2本の信号線41と、2本の信号線41の外周を覆うシールド層42とを有することができる。シールド層42の外周には外周被覆43を有することもできる。
各信号線41は、中心導体411と、中心導体411の外周を覆う被覆層412とを有することができる。なお、図4では2本の信号線41が個別に被覆層412を有する例を示したが、係る形態に限定されない。例えば、2本の中心導体の外表面に被覆層を一体となるように配置、形成することもできる。すなわち、2本の中心導体を被覆層によりまとめて被覆した1本の信号線とすることもできる。
二芯平行ケーブル40は、図4に示すように、長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体411、被覆層412、シールド層42、および外周被覆43を有することができる。
例えば後述する第1の実施形態のケーブルの製造方法において、中心導体411の外表面に被覆層412を被覆することができ、中心導体411と被覆層412との密着性を高めることができる。また、後述する第2の実施形態のケーブルの製造方法において、シールド層42の外表面に外周被覆43を配置した後に加熱することで、シールド層42と外周被覆43との密着性や、被覆層412とシールド層42との密着性を高めることができる。
(中心導体)
中心導体411の材料としては、例えば銅や、アルミニウム、銅合金等が挙げられる。中心導体411は、表面に銀やスズのめっき処理が施されていてもよい。このため、中心導体411として、例えば銀めっき銅合金や、スズめっき銅合金等を用いることもできる。中心導体411は、単線(素線)であってもよく、複数の素線を撚り合わせた撚線であってもよい。
(被覆層)
被覆層412を構成する材料は特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の樹脂を用いることができる。
2本の信号線41は撚り合わされず、図4に示した様に並んで配置できる。
(シールド層)
シールド層42は、2本の信号線41の外周に金属線を編組形状、またはスパイラル形状に配置した構造を有することができる。また、シールド層42は、2本の信号線41の外周に金属箔を配置した構造を有することもできる。
シールド層42が金属線を有する場合、金属線の材料としては、銅や、アルミニウム、銅合金等を用いることができる。金属線は、表面に銀やスズのめっき処理が施されていてもよい。このため、金属線としては、例えば銀めっき銅合金や、スズめっき銅合金等を用いることもできる。
シールド層42が金属箔を有する場合、金属箔の材料としては、銅やアルミニウム等を用いることができる。
シールド層42は、2本の信号線41側の面に接着剤を有することもできる。該接着剤は、後述するケーブルの製造方法の第2の実施形態における加熱工程で加熱することで溶解し、冷却されることで凝固することが好ましい。接着剤が上述のように溶解、凝固することで、被覆層412とシールド層42との密着性を高められる。
(外周被覆)
外周被覆43の材料は特に限定されないが、被覆層412で既述のフッ素樹脂や、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の樹脂を用いることができる。
外周被覆43は、シールド層42側の面に接着剤を有することもできる。該接着剤は、後述するケーブルの製造方法の第2の実施形態における加熱工程で加熱することで溶解し、加熱工程後に冷却されることで凝固することが好ましい。接着剤が上述のように溶解、凝固することで、外周被覆43とシールド層42との密着性を高められる。
(1-3)絶縁ケーブル
図5に絶縁ケーブル50の長手方向と垂直な断面図を示す。
絶縁ケーブル50は、長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体51と、被覆層52とを有する。
例えば後述する第1の実施形態のケーブルの製造方法において、中心導体51の外表面に被覆層52を被覆することができ、中心導体51と被覆層52との密着性を高めることができる。
(中心導体)
中心導体51の材料としては、例えば銅や、アルミニウム、銅合金等が挙げられる。中心導体51は、表面に銀やスズのめっき処理が施されていてもよい。このため、中心導体として、例えば銀めっき銅合金や、スズめっき銅合金等を用いることもできる。中心導体51は、単線(素線)であってもよく、複数の素線を撚り合わせた撚線であってもよい。
(被覆層)
被覆層52を構成する材料は特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の樹脂を用いることができる。
(2)ケーブルの製造方法
(2-1)第1の実施形態
本実施形態のケーブルの製造方法は、中心導体の外表面に被覆層が配置されたケーブルの製造方法であって、以下の加熱工程と、被覆工程とを有することができる。
加熱工程では、誘導コイル内に中心導体を通し、誘導加熱により加熱できる。
被覆工程では、加熱工程で加熱された中心導体の外表面に被覆層を被覆できる。
具体的には、例えば図1Aに示したケーブルの製造装置100により実施することができる。
以下、工程毎に図1Aを用いながら説明する。
(2-1-1)加熱工程
図1Aに示すように、中心導体14を、図中の矢印に沿って搬送できる。中心導体14は、例えば搬送装置15により搬送できる。なお、図1Aでは搬送装置15として、2つのドラム151、152により中心導体14を搬送するロールツーロールの搬送装置を例として示しているが、係る形態に限定されない。搬送装置15は、中心導体14を搬送し、搬送経路上で加熱工程と、被覆工程とを実施できる搬送装置であれば特に限定されることなく使用できる。
そして、加熱工程S11では、搬送されている中心導体14を、誘導加熱により加熱できる。
具体的には、中心導体14の搬送経路上に設けられた誘導コイル111内に、中心導体14を通すことで、中心導体14の加熱を行うことができる。
誘導コイル111には、発振装置112を接続しておくことができ、中心導体14を加熱する温度に合わせた電力を印加できる。なお、発振装置112は、誘導コイル111により誘導加熱ができるように、所定の周波数の電流を供給でき、係る周波数は特に限定されないが、例えば750kHz以上1150kHz以下の周波数の電流を供給できる。
このように、誘導加熱を行うことで、ヒーターを用いた抵抗加熱等により加熱する場合と比較して短時間で均一に中心導体14の加熱を行うことが可能になる。
(A)誘導コイル
(内径)
誘導コイル111の構成は特に限定されないが、誘導コイル111の内径D111は、被加熱物である中心導体14の外径の5倍以上であることが好ましい。
誘導コイルの内径D111を、中心導体14の外径の5倍以上とすることで中心導体14を過熱することなく、適切な温度に加熱できる。
なお、中心導体14の外径とは、図3に示した同軸ケーブル30の場合、中心導体31の外径D31になる。図4に示した二芯平行ケーブル40の場合であれば信号線41の中心導体411の外径D411であり、図5に示した絶縁ケーブル50の場合は中心導体51の外径D51になる。各ケーブルの外径はJIS C 3005(2014)に準じてマイクロメータ等により測定できる。
また、誘導コイルの内径D111については、誘導コイル111の中心軸と垂直な任意の一断面内において、直交する2本の直径に沿って誘導コイル111の内径を測定し、その平均値を該誘導コイル111の内径D111とすることができる。
誘導コイル111の内径D111の上限値は特に限定されないが、例えば中心導体14の外径の30倍以下であることが好ましい。
(ターン数)
誘導コイル111は、例えば図2に示すように、コイル形状を有することができ、そのターン数は特に限定されないが、1ターン以上15ターン以下であることが好ましく、1ターン以上6ターン以下であることがより好ましく、2ターン以上6ターン以下であることがさらに好ましい。
ここでいうターン数とは、誘導コイル111に含まれる円環部分の数を意味しており、例えば図2に示した様に、円環形状になり始める起点21を基準に、誘導コイル111を構成する管が形成する円環の数を意味する。
図2に示した誘導コイル111の場合、円環形状になり始める起点21を基準に、誘導コイル111を構成する管部が1周するまでの点211で1ターンとなる。図2に示した誘導コイル111は、構成する管部が、上記起点21を基準としてさらに点212、点213で1周ずつしており、3ターンのコイルとなる。
ターン数を15ターン以下することで、中心導体14を過熱することなく、適切な温度に加熱できる。また、ターン数を1ターン以上とすることで、過度の電力を加えることなく、中心導体14を所望の温度まで容易に加熱できる。
(コイル長)
また、誘導コイル111のコイル長L111(図2を参照)についても特に限定されないが、例えば10mm以上200mm以下であることが好ましく、10mm以上100mm以下であることがより好ましい。
コイル長L111は、誘導コイル111の中心軸に沿った最大長さを意味する。
コイル長L111を10mm以上とすることで、中心導体14を十分な時間加熱でき、誘導コイル111に印加する電力を過度に高めることなく、より確実に所望の温度まで加熱できる。コイル長L111を200mm以下とすることで、加熱工程S11を実施する領域を短くでき、生産性を高めることができる。また、生産ラインに占める加熱工程S11の領域を十分に抑制できるため、生産ラインの設計の自由度を高められる。
(B)加熱条件
加熱工程においては、誘導コイル111内に被加熱物である中心導体14を通すことで、加熱できる。この際、中心導体14は、誘導コイル111の中心軸に沿って搬送することが好ましい。
(搬送速度)
この際の中心導体14の搬送速度、すなわち生産するケーブルのスピードは特に限定されないが、30m/min以上100m/min以下であることが好ましい。
中心導体14の搬送速度を30m/min以上とすることで、ケーブルの生産効率を高めることができる。中心導体14の搬送速度を100m/min以下とすることで、加熱工程において、中心導体14を十分な温度まで加熱でき、後述する被覆工程で被覆層を被覆した際に、中心導体と、被覆層との密着性を特に高められる。
(加熱温度)
加熱温度についても特に限定されないが、中心導体14を50℃以上200℃以下で加熱することが好ましく、80℃以上150℃以下で加熱することがより好ましい。
中心導体14を、50℃以上で加熱することで、後述する被覆工程で中心導体14の外表面に被覆層を押出成形する際に、中心導体14と、被覆層を構成する樹脂との温度差を抑制し、中心導体と被覆層との密着性を高められる。
また、加熱工程では、後述する被覆工程において、中心導体と、被覆する樹脂との温度差が小さくなるように加熱できればよく、中心導体14を過度の高温に加熱する必要は無い。そして、中心導体14を200℃以下で加熱することで、中心導体14の表面が酸化等することを抑制できる。
(加熱時間)
加熱時間についても特に限定されないが、例えば2秒間以下であることが好ましく、1秒間以下であることがより好ましい。加熱時間の下限値は特に限定されないが0.4秒間以上であることが好ましい。
加熱炉を用いた従来の加熱の場合、例えば5秒間以上の加熱時間を要していたところ、加熱時間を2秒間以下とすることで、従来方法と比較してケーブルの生産性を特に高めることができる。
また、加熱時間を0.4秒間以上とすることで、被加熱物である中心導体をより確実に所望の温度まで加熱できる。
加熱工程終了時、中心導体14は加熱され、温度が上昇している点以外は、加熱工程前と同様の状態になっている。
(2-1-2)被覆工程
被覆工程S12では、加熱工程S11で加熱された中心導体の外表面に被覆層を被覆できる。
具体的には、例えば成形機12により、中心導体14の外周に被覆層を被覆、形成し、被覆層付き中心導体13とすることができる。該被覆層付き中心導体13はそのまま絶縁ケーブル50(図5を参照)とすることもでき、該絶縁ケーブルを有する同軸ケーブル30(図3を参照)や、二芯平行ケーブル40(図4を参照)、該絶縁ケーブルを複数本有する多芯ケーブル等とすることもできる。
被覆工程で用いる被覆層の材料は特に限定されず、製造するケーブルの被覆層に要求される性能等に応じて選択できる。
(2-1-3)温度制御工程
本実施形態のケーブルの製造方法は、加熱工程S11の間、予め定めた一定の条件で誘導コイル111に電力を供給し、中心導体14を加熱することもできる。また、本実施形態のケーブルの製造方法は、加熱工程S11後の中心導体14や、被覆工程S12後の被覆層の温度を測定し、誘導コイル111に供給する電力の条件を制御し、加熱することもできる。後者の場合、本実施形態のケーブルの製造方法は温度制御工程をさらに有することができる。
温度制御工程S13では、加熱工程S11で加熱された中心導体14、および被覆工程S12で被覆した被覆層から選択された1以上の部材の温度を測定し、該温度に基づいて誘導コイル111による加熱条件を制御できる。
温度制御工程S13を実施することで、加熱工程S11における中心導体14の加熱温度をより適切に制御できる。このため、中心導体と、被覆層との密着性を特に高め、被覆層の樹脂材料が過熱され、樹脂材料等が劣化することを特に防止できる。
温度制御工程S13では、加熱工程S11で加熱された中心導体14の温度を測定し、該中心導体14の温度に基づいて誘導コイル111による加熱条件を制御することが好ましい。
加熱工程S11で加熱された中心導体14の温度を測定し、該中心導体14の温度に基づいて誘導コイル111による加熱条件を制御することで、中心導体14について、特に精密な温度制御が可能になる。このため、中心導体14と、被覆層との密着性を特に高め、被覆層の樹脂材料が過熱されることを特に防止できる。
なお、温度制御工程S13では、加熱工程S11で加熱後の中心導体14、および被覆工程S12で被覆した被覆層の両方の温度を測定し、測定した両温度に基づいて誘導コイル111による加熱条件を制御しても良い。中心導体14、および被覆層の温度を測定し、両方の温度に基づいて誘導コイル111による加熱条件を制御することで、被覆層が過熱され、被覆層を構成する樹脂材料等が劣化することをより確実に防ぐことができる。
温度制御工程S13において、中心導体14、および被覆層から選択された1以上の部材の温度を測定する温度計16の種類は特に限定されず、例えば放射温度計等の非接触型の温度センサや、熱電対、測温抵抗体等の各種温度センサが挙げられる。なお、温度計16として熱電対等のように検出部を被測定物の近傍に配置する温度計を用いる場合には、例えば該中心導体14等の搬送を阻害しないように、中心導体14等に近接して温度計16を設置し、温度を測定できる。
温度制御工程S13において、中心導体14、および被覆層から選択された1以上の部材の温度を測定する温度計16は、例えば誘導コイル111と成形機12との間、および成形機12とドラム152との間から選択された1以上の場所に設置できる。温度計16は、特に誘導コイル111と成形機12との間に設置することが好ましい。
誘導コイル111と成形機12との間に温度計16を設置し、中心導体14の温度を測定することで、既述のように中心導体14について特に精密な温度制御が可能になる。
温度計16で測定した温度により、誘導コイル111に供給する電力を制御できるように、温度計16と発振装置112との間には測定データを送信するための信号線を設けておくこともできる。
温度制御工程S13において、誘導コイル111による加熱条件を制御する具体的な制御内容は特に限定されない。例えば中心導体14や、被覆層についての測定温度と、予め定めた目標温度とに基づいて、発振装置112から誘導コイル111に供給する電力の電圧値、および周波数から選択された1種類以上を変化させることができる。上記制御を行うことにより、測定温度が目標温度に近づくように制御できる。
以上に説明した本実施形態のケーブルの製造方法によれば、誘導加熱により中心導体を加熱するため、被加熱物である中心導体を短時間で加熱できる。このため、生産ラインに占める加熱装置の割合を抑制し、生産性を高められる。また、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
また、本実施形態のケーブルの製造方法によれば、被覆工程の前に加熱工程で中心導体を加熱するため、被覆工程で中心導体の外表面に被覆層を構成する樹脂を配置した際に、中心導体と樹脂との温度差を抑制し、中心導体と被覆層との密着性を高められる。
(2-2)第2の実施形態
本実施形態のケーブルの製造方法は、長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体、被覆層、シールド層、および外周被覆を有するケーブルの製造方法であって、
、以下の加熱工程を有することができる。
加熱工程では、誘導コイル内に、シールド層の外表面に外周被覆を配置した前駆体を通し、誘導加熱によりシールド層を加熱し、被覆層、および外周被覆から選択された1以上の部材を、シールド層に密着させる。
具体的には、例えば図1Bに示したケーブルの製造装置101により実施することができる。
以下、図1Bを用いながら説明する。
(2-2-1)加熱工程
図1Bに示すように、シールド層の外表面に外周被覆を配置した前駆体141を、図中の矢印に沿って搬送できる。前駆体141は、製造するケーブルに対応した構造を有することができ、長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体、被覆層、シールド層、および外周被覆を有することができる。前駆体141は、例えば搬送装置15により搬送できる。なお、図1Bでは搬送装置15として、2つのドラム151、152により前駆体141を搬送するロールツーロールの搬送装置を例として示しているが、係る形態に限定されない。搬送装置15は、前駆体141を搬送し、搬送経路上で加熱工程を実施できる装置であれば特に限定されることなく使用できる。
そして、加熱工程S21では、搬送されている前駆体141を、誘導加熱により加熱できる。
具体的には、前駆体141の搬送経路上に設けられた誘導コイル111内に、前駆体141を通すことで、シールド層の加熱を行うことができる。該加熱を行うことで、被覆層、および外周被覆から選択された1以上の部材を、シールド層に密着させることができる。被覆層および外周被覆から選択された1以上の部材を、シールド層に密着させるとは、加熱後に得られたケーブルにおいて、加熱前の前駆体と比較して、被覆層および外周被覆から選択された1以上の部材と、シールド層との間の隙間が低減していることを意味する。なお、上記評価は、加熱後に得られるケーブル、および加熱前の前駆体について、長手方向と垂直な任意の一断面において、選択した部材と、シールド層との間の隙間の面積を比較することで実施できる。
誘導コイル111には、発振装置112を接続しておくことができ、前駆体141内のシールド層を加熱する温度に合わせた電力を印加できる。なお、発振装置112は、誘導コイル111により誘導加熱ができるように、所定の周波数の電流を供給でき、係る周波数は特に限定されないが、例えば750kHz以上1150kHz以下の周波数の電流を供給できる。
このように、誘導加熱を行うことで、ヒーターを用いた抵抗加熱等により加熱する場合と比較して短時間で均一に加熱を行うことが可能になる。また、被加熱物が金属の場合には、通電加熱を行うこともできるが、本実施形態のように表面に絶縁体である外周被覆が配置されている場合、通電加熱を行うことはできなかった。これに対して、本実施形態のケーブルの製造方法によれば、表面に外周被覆が配置されていても、シールド層が発熱するため、加熱を行うことができる。
(A)誘導コイル
(内径)
誘導コイル111の構成は特に限定されないが、誘導コイル111の内径D111は、被加熱物である前駆体141の外径の5倍以上であることが好ましい。
誘導コイルの内径D111を、前駆体141の外径の5倍以上とすることで前駆体141を過熱することなく、適切な温度に加熱できる。
なお、前駆体141の外径とは、図3に示した同軸ケーブル30の場合、加熱前の外周被覆34の外径D30になる。図4に示した二芯平行ケーブル40の場合、加熱前の外周被覆43の最大径(長軸径)と、最小径(短軸径)との平均値が前駆体141の外径になる。
誘導コイル111の内径D111の上限値は特に限定されないが、例えば前駆体141の外径の30倍以下であることが好ましい。
ケーブルの外径や、誘導コイル111の内径D111の測定方法については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
(ターン数)
誘導コイル111は、例えば図2に示すように、コイル形状を有することができ、そのターン数は特に限定されないが、1ターン以上15ターン以下であることが好ましく、2ターン以上6ターン以下であることがより好ましい。
特に、発熱体となるシールド層の構成により誘導コイルのターン数を選択することが好ましく、シールド層が金属テープ構造を有する場合、2ターン以上6ターン以下であることが好ましい。
また、シールド層が編組形状や、スパイラル形状を有する場合、誘導コイルのターン数は1ターン以上15ターン以下であることが好ましい。
ターン数の数え方については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
ターン数を15ターン以下することで、前駆体141のシールド層を過熱することなく、適切な温度に加熱できる。
また、ターン数を1ターン以上とすることで、前駆体141のシールド層を十分な温度に加熱できる。このため、シールド層近傍に配置した接着剤、例えばシールド層が有する接着剤や、外周被覆が有する接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着される層間の密着性を高められる。例えば図3に示した同軸ケーブル30の場合、シールド層33の外表面に外周被覆34を形成し、シールド層33と外周被覆34との密着性や、被覆層32とシールド層33との密着性を高めることができる。
(コイル長)
また、誘導コイル111のコイル長L111(図2を参照)についても特に限定されないが、例えば10mm以上200mm以下であることが好ましく、10mm以上100mm以下であることがより好ましい。
コイル長L111を10mm以上とすることで、前駆体141のシールド層を十分な時間加熱でき、誘導コイル111に印加する電力を過度に高めることなく、より確実に所望の温度まで加熱できる。コイル長L111を200mm以下とすることで、加熱工程S21を実施する領域を短くでき、生産性を高めることができる。また、生産ラインに占める加熱工程S21の領域を十分に抑制できるため、生産ラインの設計の自由度を高められる。
コイル長L111については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
(B)加熱条件
加熱工程においては、誘導コイル111内に被加熱物である前駆体141を通すことで、加熱できる。この際、前駆体141は、誘導コイル111の中心軸に沿って搬送することが好ましい。
(搬送速度)
この際の前駆体141の搬送速度、すなわち生産するケーブルのスピードは特に限定されないが、2m/min以上30m/min以下であることが好ましい。
前駆体141の搬送速度を2m/min以上とすることで、ケーブルの生産効率を高めることができる。前駆体141の搬送速度を30m/min以下とすることで、加熱工程において、前駆体141内のシールド層を十分な温度にまで加熱できる。このため、シールド層近傍に配置した接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着される層間の密着性を高められる。
(加熱温度)
加熱温度についても特に限定されないが、前駆体141内のシールド層を60℃以上180℃以下で加熱することが好ましく、80℃以上150℃以下で加熱することがより好ましい。
前駆体141を、60℃以上で加熱することで、シールド層近傍に配置した接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着させる層間の密着性を高められる。
また、加熱工程では、前駆体に含まれるシールド層や、外周被覆が有する接着剤を溶解できればよく、シールド層を過度の高温に加熱する必要は無い。そして、シールド層を180℃以下で加熱することで、接着剤以外の部材が変形等することを抑制できる。
なお、加熱工程においては、シールド層の外表面には外周被覆が配置されているが、外周被覆は通常薄いため、外周被覆について測定した温度を上記シールド層の温度とすることができる。
(加熱時間)
加熱時間についても特に限定されないが、例えば2秒間以下であることが好ましく、1秒間以下であることがより好ましい。加熱時間の下限値は特に限定されないが0.4秒間以上であることが好ましい。
加熱炉を用いた従来の加熱の場合、例えば10秒間以上の加熱時間を要していたところ、加熱時間を2秒間以下とすることで、従来方法と比較してケーブルの生産性を特に高めることができる。
また、加熱時間を0.4秒間以上とすることで、被加熱物である前駆体141をより確実に所望の温度まで加熱できる。
(2-2-2)温度制御工程
本実施形態のケーブルの製造方法は、加熱工程S21の間、予め定めた一定の条件で誘導コイル111に電力を供給し、前駆体141内のシールド層を加熱することもできる。また、本実施形態のケーブルの製造方法は、加熱工程S21後の外周被覆の温度を測定し、誘導コイル111に供給する電力の条件を制御し、加熱することもできる。後者の場合、本実施形態のケーブルの製造方法は温度制御工程をさらに有することができる。
温度制御工程S22では、加熱工程S21で加熱された外周被覆の温度を測定し、測定した外周被覆の温度に基づいて誘導コイル111による加熱条件を制御できる。
このように温度制御工程S22を実施することで、加熱工程S21における前駆体141内のシールド層の加熱温度をより適切に制御できる。このため、シールド層近傍に配置した接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着される層間の密着性を特に高められる。また、被覆層や外周被覆の樹脂材料が過熱され、樹脂材料が劣化することを特に防止できる。
特に、温度制御工程S22では、加熱工程S21で加熱された直後の外周被覆の温度を測定し、該外周被覆の温度に基づいて誘導コイル111による加熱条件を制御することが好ましい。
加熱工程S21で加熱された直後の外周被覆の温度を測定し、該外周被覆の温度に基づいて誘導コイル111による加熱条件を制御することで、前駆体141内のシールド層について、特に精密な温度制御が可能になる。
温度制御工程S22において、外周被覆の温度を測定する温度計16の種類は特に限定されず、例えば放射温度計等の非接触型の温度センサや、熱電対、測温抵抗体等の各種温度センサが挙げられる。なお、温度計16として熱電対等のように検出部を被測定物の近傍に配置する温度計を用いる場合には、例えば前駆体141等の搬送を阻害しないように、前駆体141等に近接して温度計16を設置し、温度を測定できる。
温度制御工程S22において、外周被覆の温度を測定する温度計16は、例えば誘導コイル111と、ドラム152との間に配置でき、特に前駆体141の搬送経路のうち、誘導コイル111の直後に設置することが好ましい。
誘導コイル111の直後に温度計16を設置し、外周被覆の温度を測定することで、既述のように前駆体141内のシールド層について特に精密な温度制御が可能になる。
温度計16で測定した温度により、誘導コイル111に供給する電力を制御できるように、温度計16と発振装置112との間には測定データを送信するための信号線を設けておくこともできる。
温度制御工程S22において、誘導コイル111による加熱条件を制御する具体的な制御内容は特に限定されない。例えば外周被覆についての測定温度と、予め定めた目標温度とに基づいて、発振装置112から誘導コイル111に供給する電力の電圧値、および周波数から選択された1種類以上を変化させることができる。上記制御を行うことにより、測定温度が目標温度に近づくように制御できる。
以上に説明した本実施形態のケーブルの製造方法によれば、誘導加熱により前駆体内のシールド層を加熱するため、被加熱物であるシールド層を短時間で加熱できる。このため、生産ラインに占める加熱装置の割合を抑制し、生産性を高められる。また、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
また、本実施形態のケーブルの製造方法によれば、前駆体が有するシールド層を十分な温度に加熱できる。このため、シールド層近傍に配置した接着剤、例えばシールド層が有する接着剤や、外周被覆が有する接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着される層間の密着性を高められる。
[ケーブルの製造装置]
(1)第1の実施形態
本実施形態のケーブルの製造装置によれば、既述のケーブルの製造方法の第1の実施形態を実施できる。このため、既に説明した事項については説明を省略する。
本実施形態のケーブルの製造装置は、中心導体の外表面に被覆層が配置されたケーブルの製造装置に関する。図1Aに示すように、本実施形態のケーブルの製造装置100は、搬送装置15と、誘導加熱装置11と、成形機12とを有することができる。
搬送装置15は、中心導体14を搬送するように構成することができる。図1Aでは搬送装置15として、2つのドラム151、152により中心導体14を搬送するロールツーロールの搬送装置を例として示しているが、係る形態に限定されない。搬送装置15は、中心導体14を搬送し、誘導加熱装置11や、成形機12に中心導体14を供給できる装置であれば特に限定されることなく使用できる。
誘導加熱装置11は、誘導コイル111と発振装置112とを備えることができる。そして搬送装置15により誘導コイル111内に中心導体14を通すことで、中心導体14を誘導加熱により加熱するように構成できる。
誘導コイル111、発振装置112については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
成形機12は、加熱された中心導体14の外表面に被覆層を配置するように構成できる。成形機12としては、例えば押出成形機を用いることができる。
また、本実施形態のケーブルの製造装置100は、中心導体14、および被覆層から選択された1以上の部材の温度を測定する手段である、温度計16を有することもできる。
温度計16は、例えば誘導コイル111と成形機12との間、および成形機12とドラム152との間から選択された1以上の場所に設置できる。温度計16は、特に誘導コイル111と成形機12との間に設置することが好ましい。温度計16で測定した温度により、誘導コイル111に供給する電力を制御できるように、温度計16と発振装置112との間には測定データを送信するための信号線を設けておくこともできる。また、この場合、発振装置112は、温度計16で測定した中心導体14、および被覆層から選択された1以上の部材の温度に基づいて、誘導コイルによる加熱条件を制御できる。
温度計16等については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
以上に説明した本実施形態のケーブルの製造装置によれば、誘導加熱装置により中心導体を加熱するため、被加熱物である中心導体を短時間で加熱できる。このため、生産ラインに占める加熱装置の割合を抑制し、生産性を高められる。また、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
また、本実施形態のケーブルの製造装置によれば、中心導体を誘導加熱装置で加熱した後に成形機に供給するため、成形機で中心導体の外表面に被覆層となる樹脂を配置した際に、中心導体と樹脂との温度差を抑制し、中心導体と被覆層との密着性を高められる。
(2)第2の実施形態
本実施形態のケーブルの製造装置によれば、既述のケーブルの製造方法の第2の実施形態を実施できる。このため、既に説明した事項については説明を省略する。
本実施形態のケーブルの製造装置は、長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体、被覆層、シールド層、および外周被覆を有するケーブルの製造装置に関する。図1Bに示すように、本実施形態のケーブルの製造装置101は、搬送装置15と、誘導加熱装置11とを有することができる。
搬送装置15は、シールド層の外表面に外周被覆を配置した前駆体141を搬送するように構成することができる。図1Bでは搬送装置15として、2つのドラム151、152により前駆体141を搬送するロールツーロールの搬送装置を例として示しているが、前駆体141を搬送し、誘導加熱装置に前駆体を供給できる搬送装置であれば特に限定されることなく使用できる。
誘導加熱装置11は、誘導コイル111と発振装置112とを備え、搬送装置15により誘導コイル111内に前駆体141を通すことで、前駆体141内のシールド層を誘導加熱により加熱するように構成できる。
誘導コイル111、発振装置112については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
また、本実施形態のケーブルの製造装置101は、外周被覆の温度を測定する手段である、温度計16を有することもできる。
温度計16は、例えば誘導コイル111と、ドラム152との間に配置でき、特に前駆体141の搬送経路のうち、誘導コイル111の直後に設置することが好ましい。温度計16で測定した温度により、誘導コイル111に供給する電力を制御できるように、温度計16と発振装置112との間には測定データを送信するための信号線を設けておくこともできる。また、この場合、発振装置112は、温度計16で測定した外周被覆の温度に基づいて、誘導コイルによる加熱条件を制御できる。
温度計16等については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
以上に説明した本実施形態のケーブルの製造装置によれば、誘導加熱装置により前駆体内のシールド層を加熱するため、被加熱物であるシールド層を短時間で加熱できる。このため、生産ラインに占める加熱装置の割合を抑制し、生産性を高められる。また、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
また、本実施形態のケーブルの製造装置によれば、誘導加熱装置により前駆体が有するシールド層を十分な温度に加熱できる。このため、シールド層近傍に配置した接着剤、例えばシールド層が有する接着剤や、外周被覆が有する接着剤を溶解し、該接着剤を介して接着される層間の密着性を高められる。
100、101 ケーブルの製造装置
11 誘導加熱装置
111 誘導コイル
112 発振装置
D111 誘導コイルの内径
L111 コイル長
12 成形機
13 被覆層付き中心導体
14 中心導体
141 前駆体
15 搬送装置
151、152 ドラム
16 温度計
21 起点
211、212、213 点
S11 加熱工程
S12 被覆工程
S13 温度制御工程
S21 加熱工程
S22 温度制御工程
30 同軸ケーブル
D30 外径
31 中心導体
D31 中心導体の外径
32 被覆層
33 シールド層
34 外周被覆
40 二芯平行ケーブル
41 信号線
411 中心導体
D411 中心導体の外径
412 被覆層
42 シールド層
43 外周被覆
50 絶縁ケーブル
51 中心導体
D51 中心導体の外径
52 被覆層

Claims (11)

  1. 中心導体の外表面に被覆層が配置されたケーブルの製造方法であって、
    誘導コイル内に前記中心導体を通し、誘導加熱により加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程で加熱された前記中心導体の外表面に前記被覆層を被覆する被覆工程と、を有するケーブルの製造方法。
  2. 前記誘導コイルの内径が、前記中心導体の外径の5倍以上である請求項1に記載のケーブルの製造方法。
  3. 前記誘導コイルのターン数が1ターン以上15ターン以下である請求項1または請求項2に記載のケーブルの製造方法。
  4. 前記加熱工程において、前記中心導体を50℃以上200℃以下で、2秒間以下加熱する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のケーブルの製造方法。
  5. 前記加熱工程で加熱された前記中心導体の温度を測定し、前記中心導体の温度に基づいて前記誘導コイルによる加熱条件を制御する温度制御工程を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のケーブルの製造方法。
  6. 長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体、被覆層、シールド層、および外周被覆を有するケーブルの製造方法であって、
    誘導コイル内に、前記シールド層の外表面に前記外周被覆を配置した前駆体を通し、誘導加熱により前記シールド層を加熱し、前記被覆層、および前記外周被覆から選択された1以上の部材を、前記シールド層に密着させる加熱工程を有するケーブルの製造方法。
  7. 前記誘導コイルのターン数が1ターン以上15ターン以下である請求項6に記載のケーブルの製造方法。
  8. 前記加熱工程において、前記シールド層を60℃以上180℃以下で、2秒間以下加熱する請求項6または請求項7に記載のケーブルの製造方法。
  9. 前記加熱工程で加熱された前記外周被覆の温度を測定し、前記外周被覆の温度に基づいて前記誘導コイルによる加熱条件を制御する温度制御工程を有する請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のケーブルの製造方法。
  10. 中心導体の外表面に被覆層が配置されたケーブルの製造装置であって、
    前記中心導体を搬送するように構成された搬送装置と、
    誘導コイルと発振装置とを備え、前記搬送装置により前記誘導コイル内に前記中心導体を通すことで、前記中心導体を誘導加熱により加熱するように構成された誘導加熱装置と、
    加熱された前記中心導体の外表面に前記被覆層を配置するように構成された成形機と、を有するケーブルの製造装置。
  11. 長手方向と垂直な断面において、中心側から順に中心導体、被覆層、シールド層、および外周被覆を有するケーブルの製造装置であって、
    前記シールド層の外表面に前記外周被覆を配置した前駆体を搬送するように構成された搬送装置と、
    誘導コイルと発振装置とを備え、前記搬送装置により前記誘導コイル内に前記前駆体を通すことで、前記前駆体内の前記シールド層を誘導加熱により加熱するように構成された誘導加熱装置と、を有するケーブルの製造装置。
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