JP2023038537A - 湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体 - Google Patents

湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2023038537A
JP2023038537A JP2021145318A JP2021145318A JP2023038537A JP 2023038537 A JP2023038537 A JP 2023038537A JP 2021145318 A JP2021145318 A JP 2021145318A JP 2021145318 A JP2021145318 A JP 2021145318A JP 2023038537 A JP2023038537 A JP 2023038537A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
residue
moisture
acid
resin composition
curable polyurethane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021145318A
Other languages
English (en)
Inventor
宏之 千々和
Hiroyuki CHIJIWA
善典 金川
Yoshinori Kanekawa
優 山崎
Masaru Yamazaki
崇史 野口
Takashi Noguchi
寛樹 所
Hiroki Tokoro
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp, Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical DIC Corp
Priority to JP2021145318A priority Critical patent/JP2023038537A/ja
Priority to CN202210382181.3A priority patent/CN115772377A/zh
Priority to TW111115074A priority patent/TW202325765A/zh
Publication of JP2023038537A publication Critical patent/JP2023038537A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、生地(特に、撥水性生地)との接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、及び、機械物性に優れる湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物を提供することである。【解決手段】本発明は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、下記式(1)、又は、(2)で表されるポリエステル改質剤(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供するものである。また、本発明は、前記湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤を提供するものである。更に、本発明は、少なくとも、生地、及び、前記湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする積層体を提供するものである。【選択図】なし

Description

本発明は、湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体に関する。
透湿性と防水性とを併せ持つ透湿防水機能性衣料は、透湿性フィルムを接着剤で生地に貼り合わせた構成体であり、前記接着剤としては、透湿性フィルムと生地との双方との密着性が良好な点から、ウレタン系接着剤が一般的に使用されている。また、前記ウレタン系接着剤の中でも、昨今の世界的な溶剤排出規制や残留溶剤規制から、無溶剤型である湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物の使用量が徐々に増加しつつある(例えば、特許文献1を参照。)。
一方で、使用される生地は、高機能化から細デニール化と撥水度とが向上しており、その分接着剤との接着性が悪くなる課題が指摘されており、現行の湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物では、特に超撥水生地に対する高い密着性を発現するものは見出されていないのが現状である。
更に、昨今の海洋プラスチック問題が着目されるように、石化資源からの脱却を目指したバイオベース樹脂への注目度も日に日に上昇しており、湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物も例外ではない。
特開2017-202608号公報
本発明が解決しようとする課題は、生地(特に、撥水性生地)との接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、及び、機械物性に優れる湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物を提供することである。
本発明は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、下記式(1)又は(2)で表されるポリエステル改質剤(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を提供するものである。
Figure 2023038537000001
(前記式(1)及び(2)中、
11及びB12は、それぞれ独立に、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
21及びB22は、それぞれ独立に、炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基を表す。
Gは、炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基又は炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基を表す。
Aは、炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基を表す。
m及びnはそれぞれ括弧で括られた繰り返し単位数を表し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数である。
括弧で括られた繰り返し単位毎にA及びGはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
また、本発明は、前記湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤を提供するものである。更に、本発明は、少なくとも、生地、及び、前記湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする積層体を提供するものである。
本発明の湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物は、バイオマス原料を用いるものであり、環境対応型の材料である。また、本発明の湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物は、様々な生地に対する接着性に優れるものであり、撥水性生地に対しても優れた接着性を有するものである。
本発明で用いる湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、特定のポリエステル改質剤(ii)を含有するものである。
前記ウレタンプレポリマー(i)は、イソシアネート基を有するものであり、例えば、ポリオール(A)、及び、ポリイソシアネート(B)の反応物を用いることができる。
前記ポリオール(A)としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリアクリルポリオールなどを用いることができる。これらのポリオールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリオール(A)の数平均分子量としては、例えば、500~100,000の範囲が挙げられる。なお、前記その他のポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記ポリオール(A)としては、前記した中でも、より一層優れたより一層優れた接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、及び、機械物性が得られる点から、ポリエステルポリオールが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、バイオマス由来のポリエステルポリオール(a1)、それ以外の結晶性ポリエステルポリオール、非晶性ポリエステルポリオールなどを用いることができる。これらのポリエステルポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたより一層優れた接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、及び、機械物性が得られ、バイオマス度を向上できる点から、バイオマス由来のポリエステルポリオール(a1)を用いることが好ましい。
前記バイオマス由来のポリエステルポリオール(a1)としては、例えば、バイオマス由来の多塩基酸(x)とバイオマス由来のグリコール(y)との反応物を用いることができる。
前記バイオマス由来の他塩基酸(x)としては、セバシン酸、コハク酸、ダイマー酸、2,5-フランジカルボン酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記セバシン酸としては、例えば、ひまし油等の植物油脂の苛性アルカリによる公知の開裂反応で得られたものなどを用いることができる。前記コハク酸としては、例えば、トウモロコシ、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ等を公知の方法で発酵させたものなどを用いることができる。前記ダイマー酸としては、例えば、植物由来の天然油脂脂肪酸の不飽和脂肪酸を公知の方法で二量化したものなどを用いることができる。前記2,5-フランジカルボン酸としては、例えば、フルクトースを原料とするもの;フルフラール誘導体であるフランカルボン酸と二酸化炭素とを用いた公知の方法で得られたものなどを用いることができる。
前記バイオマス由来の他塩基酸(x)としては、前記したものの中でも、より一層優れたより一層優れた接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、及び、機械物性が得られる点から、が得られる点から、セバシン酸、及び/又は、コハク酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
前記バイオマス由来のグリコール(y)としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,10-デカンジオール、ダイマージオール、イソソルバイド等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記エチレングリコールとしては、例えば、公知の方法で得られたバイオエタノールからエチレンを経て得られたものなどを用いることができる。前記1,2-プロパンジオールとしては、例えば、糖類の発酵で得られたもの;バイオディーゼルの副生成物として製造されるグリセリンを公知の方法で高温水素化して得られたものなどを用いることができる。前記1,3-プロパジオールとしては、例えば、グリセロール、グルコース、その他糖類から公知の発酵法により、3-ヒドロキシプロピオンアルデヒドを生成した後、さらに1,3-プロパンジオールに転化したもの;グルコースやその他糖類から発酵法により直接得られたものなどを用いることができる。
前記1,4-ブタンジオールとしては、例えば、グルコースを公知の発酵法で得られたもの;発酵法により得られた1,3-ブタジエンから得られたもの;コハク酸を還元触媒により水添して得られたものなどを用いることができる。前記1,10-デカンジオールとしては、例えば、セバシン酸を直接またはエステル化反応後に水素添加することで得られたものなどを持ちることができる。前記ダイマージオールは、ダイマー酸を公知の方法で還元して得られたものなどを用いることができる。前記イソソルバイドとしては、例えば、デンプンから得られるソルビトールを公知の方法で脱水縮合して得られたものなどを用いることができる。
前記バイオマス由来のグリコール(y)としては、前記したものの中でも、より一層優れた接着性、柔軟性、耐熱性、低温特性、及び、機械物性が得られる点から、1,3-プロパンジオール、及び/又は、1,4-ブタンジオールが好ましく、1,3-プロパンジオールがより好ましい。
前記ポリエステルポリオール(a1)は、前記バイオマス由来の多塩基酸(x)及び前記バイオマス由来のグリコール(y)を必須原料として用いるが、本発明の効果を損なわない範囲で、それ以外の多塩基酸、及び/又は、グリコールを併用してもよい。
前記ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量としては、より一層優れた機械的強度、及び、生地への接着性が得られる点から、500~100,000の範囲が好ましく、700~50,000の範囲がより好ましく、800~10,000の範囲が更に好ましい。なお、前記ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記バイオマス由来のポリエステルポリオール(a1)の使用量としては、ポリオール(A)中10質量%以上が好ましく、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
前記バイオマス由来のポリエステルポリオール(a1)の使用量としては、ポリエステルポリオール中10質量%以上が好ましく、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
前記ポリオール(A)としては、更に非晶性ポリエステルポリオールを用いることが、より一層優れた接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、及び、機械物性が得られる点から好ましい。
なお、本発明において、前記「結晶性」とは、JISK7121:2012に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、結晶化熱あるいは融解熱のピークを確認できるものを示し、前記「非晶性」とは、前記ピークを確認できないものを示す。
前記非晶性ポリエステルポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有する化合物と多塩基酸との反応物を用いることができる。
前記水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールAやビスフェノールF、及びそのアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。これらの中でも、より一層優れた接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、成膜性、及び、機械物性が得られる点から、水酸基を2個有する直鎖化合物と、水酸基を2個又は3個有する分岐状化合物とを併用することが好ましい。
前記多塩基酸としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ダイマー酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を用いることができる。これらの中でも、より一層優れた生地への接着性、フィルム強度、及び、成膜性が得られる点から、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、及び、テレフタル酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物を多塩基酸を用いることが好ましい。
前記非晶性ポリエステルポリオールの数平均分子量としては、より一層優れた接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、成膜性、及び、機械物性が得られる点から、500~50,000の範囲が好ましく、700~10,000の範囲がより好ましい。
前記非晶性ポリエステルポリオールを用いる場合の使用量としては、より一層優れた接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、成膜性、及び、機械物性が得られる点から、前記ポリオール(A)中10~80質量%が好ましく、20~50質量%がより好ましい。
前記ポリイソシアネート(B)としては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた反応性、及び、生地への接着性が得られる点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
前記ポリイソシアネート(B)の使用量としては、ウレタンプレポリマー(i)を構成する原料の合計質量中5~40質量%の範囲であることが好ましく、10~30質量%の範囲であることがより好ましい。
前記ホットメルトウレタンプレポリマー(i)は、前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)とを反応させて得られるものであり、空気中や湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物が塗布される基材中に存在する水分と反応して架橋構造を形成しうるイソシアネート基を有するものである。
前記ホットメルトウレタンプレポリマー(i)の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(A)の入った反応容器に、前記ポリイソシアネート(B)を入れ、前記ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基が、前記ポリオール(A)の有する水酸基に対して過剰となる条件で反応させることによって製造することができる。
前記ホットメルトウレタンプレポリマー(i)を製造する際の、前記ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基と前記ポリオール(A)が有する水酸基との当量比(イソシアネート基/水酸基)としては、より一層優れた接着性が得られる点から、1.1~5であることが好ましく、1.3~2.5であることがより好ましい。
以上の方法によって得られたホットメルトウレタンプレポリマー(i)のイソシアネート基含有率(以下、「NCO%」と略記する。)としては、より一層優れた接着性が得られる点から、1.1~5.0の範囲であることが好ましく、1.5~3.5の範囲がより好ましい。なお、前記ホットメルトウレタンプレポリマー(i)のNCO%は、JISK1603-1:2007に準拠し、電位差滴定法により測定した値を示す。
次に、前記ポリエステル改質剤(ii)について説明する。
前記ポリエステル改質剤(ii)は、下記式(1)又は式(2)で表されるポリエステルであり、前記ウレタンプレポリマー(i)に添加することで、優れた接着性、柔軟性、相溶性(前記ウレタンプレポリマー(i)と前記ポリエステル改質剤(ii)との相溶性)、低温特性、及び、機械物性が得られる。
Figure 2023038537000002
(前記式(1)及び(2)中、
11は、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
12は、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
21は、炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基を表す。
22は、炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基を表す。
Gは、炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基又は炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基を表す。
Aは、炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基を表す。
m及びnはそれぞれ括弧で括られた繰り返し単位数を表し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数である。
括弧で括られた繰り返し単位毎にA及びGはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
本発明において「カルボン酸残基」とは、カルボン酸が有するカルボキシル基を除いた残りの有機基を示すものである。尚、「カルボン酸残基」の炭素原子数については、カルボキシ基中の炭素原子は含まないものとする。
本発明において「アルコール残基」とは、アルコールから水酸基を除いた残りの有機基を示すものである。
本発明において「グリコール残基」とは、グリコールから水酸基を除いた残りの有機基を示すものである。
11及びB12の炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基としては、例えばカプリル酸残基、カプリン酸残基、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、ペンタデシル酸残基、パルミチン酸残基、マルガリン酸残基、ステアリン酸残基、アラキジン酸残基等が挙げられる。
11及びB12の炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基は、脂肪鎖に2級水酸基及び/又は3級水酸基を有してもよく、12-ヒドロキシステアリン酸残基等を含む。
11及びB12は、好ましくは炭素数11~17の脂肪族モノカルボン酸残基であり、より好ましくはラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基又はステアリン酸残基である。
式(1)で表されるポリエステルのB11及びB12のうち、少なくとも1つが炭素数11~17の脂肪族モノカルボン酸残基であることで、改質剤としてより一層優れた効果を発揮することができる。
21及びB22の炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基としては、例えばノルマルオクタノール、2-エチルヘキサノール、イソノニルアルコール等が挙げられる。
21及びB22は、好ましくは炭素原子数7~10の脂肪族モノアルコール残基であり、より好ましくは炭素原子数8又は9の脂肪族モノアルコール残基である。
Aの炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基としては、例えば、アゼライン酸残基、セバシン酸残基、ドデカンジカルボン酸残基、シクロヘキサンジカルボン酸残基、ヘキサヒドロフタル酸残基等が挙げられる。
Aの炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基は、好ましくは炭素原子数7~10のアルキレンジカルボン酸残基であり、より好ましくはアゼライン酸残基、セバシン酸残基又はドデカン二酸残基であり、さらに好ましくはセバシン酸残基である。
Gの炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基としては、1,2-プロピレングリコール残基、1,3-プロピレングリコール残基、1,2-ブタンジオール残基、1,3-ブタンジオール残基、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、1,5-ペンタンジオール残基、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)残基、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロ-ルペンタン)残基、2-n-ブチル-2-エチル-1,3プロパンジオール(3,3-ジメチロールヘプタン)残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基、シクロヘキサンジメタノール残基、2,2,4-トリメチル1,3-ペンタンジオール残基、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール残基、2-メチル-1,8-オクタンジオール残基、1,9-ノナンジオール残基、1,10-デカンジオール残基、ジエチレングリコール残基等が挙げられる。
Gの炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基は、好ましくは炭素原子数3~6のアルキレングリコール残基であり、より好ましくは1,2-プロパンジオール残基、1,3-ブタンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、ネオペンチルグリコール残基、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基又はジエチレングリコール残基である。
Gの炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基は、例えば前記炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基の炭素原子の1つを酸素原子に置き換えたものであり、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、テトラエチレングリコール残基、ジプロピレングリコール残基、トリプロピレングリコール残基等が挙げられる。
Gの炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基は、好ましくは炭素原子数4~6のオキシアルキレングリコール残基であり、より好ましくはジエチレングリコール残基又はトリエチレングリコール残基である。
m及びnのそれぞれの上限は、特に限定されないが例えば15である。
本発明で用いる前記ポリエステル改質剤(ii)は、例えば、前記式(1)中のmが互いに異なるポリエステル樹脂の混合物、及び/又は、前記式(2)中のnが互いに異なるポリエステル樹脂の混合物として使用されてもよい。このとき、mの平均値は例えば1~9の範囲であり、nの平均値は例えば1~9の範囲である。
尚、m及びnの平均値はポリエステルの数平均分子量から確認できる。
前記ポリエステル改質剤(ii)の数平均分子量(Mn)は、例えば500~5000であり、好ましくは1000~3500であり、より好ましくは1200~2800であり、さらに好ましくは1600~2400である。
本発明のポリエステルの数平均分子量(Mn)が上記範囲にあることで、より一層優れた接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、及び、機械物性が得られる。なお、上記数平均分子量(Mn)はゲルパーミエージョンクロマトグラフィー(GPC)測定に基づきポリスチレン換算した値であり、実施例に記載の方法により測定する。
前記ポリエステル改質剤(ii)の酸価は、好ましくは2.0以下であり、より好ましくは1.0以下である。なお、前記ポリエステル改質剤(ii)の水酸基価は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。
前記ポリエステル改質剤(ii)の粘度は、好ましくは7000mPa・s以下であり、より好ましくは5000mPa・s以下である。なお、前記ポリエステル改質剤(ii)の酸価、水酸基価及び粘度は実施例に記載の方法にて確認する。
前記ポリエステル改質剤(ii)の性状は、数平均分子量や組成などによって異なるが、通常、常温にて液体、固体、ペースト状などである。
前記ポリエステル改質剤(ii)は、例えばモノカルボン酸、モノアルコール、グリコール及びジカルボン酸から選択される1以上を含む反応原料を用いて得られるものである。ここで反応原料とは、本発明のポリエステルを構成する原料という意味であり、ポリエステルを構成しない溶媒や触媒を含まない意味である。
前記ポリエステル改質剤(ii)の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができ、下記の製造方法により製造することができる。
前記ポリエステル改質剤(ii)は、モノカルボン酸、モノアルコール、グリコール及びジカルボン酸から選択される1以上を含めばよく、その他の原料を含んでもよい。
本発明のポリエステルの反応原料は、反応原料の全量に対して好ましくは90質量%以上がモノカルボン酸、モノアルコール、グリコール及びジカルボン酸から選択される1以上であり、より好ましくはモノカルボン酸、モノアルコール、グリコール及びジカルボン酸から選択される1以上のみからなる。
前記ポリエステル改質剤(ii)の製造に用いるモノカルボン酸は、B11及びB12の炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基に対応するモノカルボン酸であり、使用するモノカルボン酸は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステル改質剤(ii)の製造に用いるモノアルコールは、B21及びB22の炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基に対応するモノアルコールであり、使用するモノアルコールは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステル改質剤(ii)の製造に用いるグリコールは、Gの炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基又は炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基に対応するグリコールであり、使用するグリコールは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステル改質剤(ii)の製造に用いるジカルボン酸は、Aの炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基に対応するジカルボン酸であり、使用するジカルボン酸は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(1)で表され、式中のmが1以上であるポリエステルは、例えば、下記に示す方法で得ることができる。
方法1:式(1)で表されるポリエステルの各残基を構成するモノカルボン酸、ジカルボン酸及びグリコールを一括で仕込み、これらを反応させる方法。
方法2:式(1)で表されるポリエステルの各残基を構成するジカルボン酸とグリコールとを、水酸基の当量がカルボキシル基の当量よりも多くなる条件下で反応させて水酸基を主鎖の末端に有するポリエステルを得た後、得られたポリエステル樹脂とB11及びB12を構成するモノカルボン酸とを反応させる方法。
前記式(2)で表され、式中のnが1以上であるポリエステルは、例えば、下記に示す方法で得ることができる。
方法3:式(2)で表されるポリエステルの各残基を構成するモノアルコール、ジカルボン酸及びグリコールを一括で仕込み、これらを反応させる方法。
方法4:式(2)で表されるポリエステルの各残基を構成するジカルボン酸とグリコールとを、カルボキシル基の当量が水酸基の当量よりも多くなる条件下で反応させてカルボキシル基を主鎖の末端に有するポリエステルを得た後、得られたポリエステルとB21及びB22を構成するモノアルコールとを反応させる方法。
前記式(1)で表されるポリエステル改質剤(ii)の製造に用いる脂肪族モノカルボン酸として、水添植物油脂肪酸を使用してもよい。当該水添植物油脂肪酸としては、水添ヤシ油脂肪酸、水添パーム核油脂肪酸、水添パーム油脂肪酸、水添オリーブ油脂肪酸、水添ヒマシ油脂肪酸、水添ナタネ油脂肪酸等が挙げられる。これらは、それぞれヤシ、パーム核、パーム、オリーブ、ヒマシ、ナタネから得られる油剤を加水分解及び水素添加して得られるものであり、いずれも炭素原子数8~21の脂肪族モノカルボン酸を含む2種以上の長鎖脂肪族モノカルボン酸の混合物である。
尚、前記式(1)で表されるポリエステル改質剤(ii)の製造に用いる脂肪族モノカルボン酸として、本発明の効果を損なわない範囲で水素添加をしていない上記植物油脂肪酸を用いてもよい。また、植物油脂肪酸は上記に限定されない。
前記式(1)で表されるポリエステル改質剤(ii)の製造に用いる脂肪族モノカルボン酸として、上記水添植物油脂肪酸を使用する場合、得られるポリエステルは、2種以上の式(1)で表されるポリエステルの混合物として得られる。
前記ポリエステル改質剤(ii)は、好ましくは炭素原子数3~10のアルキレングリコール、炭素原子数8~14のアルキレンジカルボン酸、及び水添植物油脂肪酸とを反応原料とするポリエステルである。
上記ポリエステル改質剤(ii)について、脂肪族モノカルボン酸として水添植物油脂肪酸、アルキレンジカルボン酸としてセバシン酸、アルキレングリコールとして1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種以上である場合、反応原料を全てバイオマス由来の原料とすることができる。
前記ポリエステル改質剤(ii)の製造において、前記反応原料の反応は、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば180~250℃の温度範囲内で10~25時間の範囲でエステル化反応させるとよい。
尚、エステル化反応の温度、時間などの条件は特に限定されず、適宜設定してよい。
前記エステル化触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒;ジブチル錫オキサイド等のスズ系触媒;p-トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸系触媒などが挙げられる。
前記エステル化触媒の使用量は、適宜設定すればよいが、通常、反応原料の全量100質量部に対して、0.001~0.1質量部の範囲で使用する。
前記ポリエステル改質剤(ii)の使用量としては、より一層優れたの接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、及び、機械物性が得られる点から、前記ウレタンプレポリマー(i)100質量部に対して、5~50質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましい。
本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、前記ウレタンプレポリマー(i)、及び、前記ポリエステル改質剤(ii)を必須成分として含有するものであるが、必要に応じて、その他の添加剤を用いてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、耐光安定性、硬化触媒、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、充填材、染料、顔料、蛍光増白剤、シランカップリング剤、ワックス、熱可塑性樹脂等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物としては、そのバイオマス度が、40%以上であること好ましく、50%以上がより好ましい。なお、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物のバイオマス度は、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の総重量に対する、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を製造する際に使用するバイオマス由来原料の合計重量割合を示す。
以上、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、バイオマス原料を用いるものであり、環境対応型の材料である。また、本発明の湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物は、様々な生地に対する接着性に優れるものであり、撥水性生地に対しても優れた接着性を有するものである。よって、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、透湿防水機能性衣料を製造する際の接着剤として特に好適に使用することができる。
次に、本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は、少なくとも、生地(i)、及び、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化物を有するものである。
前記生地(i)としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、グラスファイバー、炭素繊維、それらの混紡繊維等による不織布、織布、編み物等の繊維基材;前記不織布にポリウレタン樹脂等の樹脂を含浸させたもの;前記不織布に更に多孔質層を設けたもの;樹脂基材などを用いることができる。
また、本発明は前記生地(i)として、前記したものに撥水処理を施したもの(以下、「撥水性生地」と略記する。)であっても優れた接着性を示す。なお、本発明において前記撥水性生地の「撥水性」とは、下記計算により得られる表面自由エネルギーが50mJ/m以下であるものを示す。
前記生地(i)上での測定用液(水及びジヨードメタン)の接触角を、接触角計(協和界面科学社製「DM500」)を使用して測定した。この結果に基づき、下記の式(1)を用いて生地(i)の表面自由エネルギーを算出した。
(1+cosA)・γL/2=(γsd・γLd)1/2+(γsp・γLp)1/2
A;生地(i)上の測定用液の接触角
γL;測定用液の表面張力
γLd;測定用液の表面自由エネルギーの分散力成分
γLp;測定用液の表面自由エネルギーの極性力成分
γsd;生地(i)の表面自由エネルギーの分散力成分
γsp;生地(i)の表面自由エネルギーの極性力成分
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を塗工する方法としては、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、グラビアロールコーター、コンマコーター、T-ダイコーター、アプリケーター、ディスペンサー等を使用する方法が挙げられる。
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を塗工後は、公知の方法により乾燥・養生することができる。
前記湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化物の厚さとしては、例えば、5~300μmの範囲である。
なお、本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物が透湿防水機能性衣料の接着剤として用いられる場合には、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、グラビアロールコーター、ディスペンサーにより間欠塗布し、生地(i)と公知の透湿フィルムとを貼り合わせることが好ましい。係る場合の前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化物の厚さとしては、例えば、5~50μmの範囲である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
[合成例1]ウレタンプレポリマー(i-1)の合成
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、バイオマスポリエステルポリオール(セバシン酸(豊国製油株式会社製「セバシン酸」)と1,3-プロパンジオール(Dupont社製「SUSTERRA プロパンジオール」)との反応物、数平均分子量;2,000、以下「バイオPEs(1)」と略記する。)を247質量部、非晶性ポリエステルポリオール(ネオペンチルグリコール、及びオルトフタル酸を反応させたもの、数平均分子量;1000)を133質量部入れ、混合し、100℃で減圧加熱することにより、フラスコ内の水分が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、フラスコ内を90℃に冷却し、70℃で溶融した4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを115.8質量部加え、窒素雰囲気下でイソシアネート基含有量が一定となるまで110℃で約3時間反応させることによって、NCO%;3.4質量%のウレタンプレポリマー(i-1)を得た。
[合成例2]ウレタンプレポリマー(i-2)の合成
前記バイオPEs(1)に代え、バイオマスポリエステルポリオール(セバシン酸(豊国製油株式会社製「セバシン酸」)と1,4-ブタンジオール(Genomatica社製「Bio-BDO」)との反応物、数平均分子量;2,000、以下「バイオPEs(2)」と略記する。)を用いた以外は、実施例1と同様にしてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i-2)を得た。
[合成例3]ウレタンプレポリマー(i-3)の合成
前記バイオPEs(1)に代え、バイオマスポリエステルポリオール(コハク酸(SUCCINITY社製「コハク酸」)と1,3-プロパンジオールDupont社製「SUSTERRA プロパンジオール」)との反応物、数平均分子量;2,000、以下「バイオPEs(3)」と略記する。)を用いた以外は、実施例1と同様にしてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i-3)を得た。
[合成例4]ポリエステル改質剤(ii-1)の合成
反応容器に、セバシン酸1,010g(5.0モル)、1,2-プロパンジオール152g(2.0モル)、1,3-ブタンジオール180g(2.0モル)を、温度計、撹拌器、および還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃まで段階的に昇温した。次いで、水添ヤシ油脂肪酸410g(2.0モル)、エステル化触媒としてテトライソプロポキシチタン0.1gを加え、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、ポリエステル改質剤(ii-1)(数平均分子量1,860、粘度680mPa・s、酸価0.8、水酸基価6.0)を得た。
[合成例5]ポリエステル改質剤(ii-2)の合成
反応容器に、セバシン酸808g(4.0モル)、1,2-プロパンジオール380g(5.0モル)を、温度計、撹拌器、および還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら220℃まで段階的に昇温した。次いで、水添ヤシ油脂肪酸410g(2.0モル)、エステル化触媒としてテトライソプロポキシチタン0.1gを加え、生成する水を連続的に除去した。反応後、同温度で減圧留去することによって、ポリエステル改質剤(ii-2)(数平均分子量1,800、粘度700mPa・s、酸価0.4、水酸基価7.0)を得た。
[比較合成例1]その他のエステル改質剤(iiR-1)の合成
反応容器に、アジピン酸(旭化成ケミカルズ社製)327g(2.24モル)、1,2-プロピレングリコール(旭硝子株式会社製)401g(5.28モル)、安息香酸(Kalama社製)545g(4.47モル)、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.120gを、温度計、攪拌器、及び還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃まで段階的に昇温し、酸価が5以下になるまで230℃で加熱を続け、生成する水を連続的に除去した。反応後、230~200℃で未反応の1,2-プロピレングリコールを減圧留去することによって、エステル改質剤(iiR-1)(酸価0.5、粘度672mPa・s(25℃))を988g得た。
[実施例1]
合成例1で得られたウレタンプレポリマー(i-1)277.9質量部、合成例4で得られたポリエステル改質剤(ii-1)41.7質量部を混合して、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[実施例2]
合成例1で得られたウレタンプレポリマー(i-1)602.7質量部、合成例5で得られたポリエステル改質剤(ii-2)156.7質量部を混合して、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[実施例3]
合成例1で得られたウレタンプレポリマー(i-2)409.8質量部、合成例4で得られたポリエステル改質剤(ii-1)41.0質量部を混合して、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[実施例4]
合成例1で得られたウレタンプレポリマー(i-3)420.1質量部、合成例4で得られたポリエステル改質剤(ii-1)88.2質量部を混合して、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[比較例1]
ポリエステル改質剤(ii-1)41.7質量部を0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
[比較例2]
ポリエステル改質剤(ii-1)4.17質量部を、比較合成例1で得られたその他のエステル改質剤(iiR-1)97.3質量部に変更した以外は実施例1と同様にして湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を得た。
本願実施例において、ポリエステル改質剤(ii)の酸価、水酸基価及び粘度の値は、下記方法により評価した値である。
<酸価の測定方法>
JIS K0070-1992に準じた方法により測定した。
<水酸基価の測定方法>
JIS K0070-1992に準じた方法により測定した。
<粘度の測定方法>
JIS K6901-1986に準じた方法により測定した。
本願実施例において、ポリエステル改質剤(ii)の数平均分子量は、GPC測定に基づきポリスチレン換算した値であり、測定条件は下記の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製高速GPC装置「HLC-8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSK GURDCOLUMN SuperHZ-L」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM-M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM-M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ-2000」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ-2000」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「EcoSEC Data Analysis バージョン1.07」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
測定試料:試料7.5mgを10mlのテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液をマイクロフィルターでろ過したものを測定試料とした。
試料注入量:20μl
標準試料:前記「HLC-8320GPC」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-300」
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-1000」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
東ソー株式会社製「F-40」
東ソー株式会社製「F-80」
東ソー株式会社製「F-128」
東ソー株式会社製「F-288」
[数平均分子量の測定方法]
実施例及び比較例で用いたポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
[機械物性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を100℃で溶融した後に、ロールコーターを使用して、厚さ100μmとなるように塗工し、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で2日間放置してフィルムを得た。得られたフィルムを、幅5mm、長さ50mmの短冊状に裁断し、引張試験機「オートグラフAG-I」(株式会社島津製作所製)を用いて、温度23℃の雰囲気下で、クロスヘッドスピード10mm/秒の条件で引張り、破断強度(MPa)を測定し、以下のように評価した。
「〇」:抗張力が20MPa以上である。
「×」:抗張力が20MPa未満である。
[相溶性の評価方法]
前記[機械物性の評価方法]と同様にして得られたフィルムを、幅5cm×長さ5cmに切り出し、温度70℃、湿度95%で7日間放置した。その後、フィルム表面の状態を下記基準で評価した。
「〇」:フィルム表面を目視観察で粉状や粘性状等の異物(ブリード)が確認できない、且つ、シート表面を指で触れてブリードが確認できない。
「×」:フィルム表面を目視観察で粉状や粘性状等の異物(ブリード)が確認できる、または、シート表面を指で触れてブリードが確認できる。
[低温特性評価]
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を使用した加工布を-10℃の冷凍庫に3時間放置した。その後、冷凍庫より取り出した直後の加工布の触感を下記の基準で評価した。
「○」:ごわつきが無い、且つ、柔らかい触感である。
「×」:ごわつきが有り、または、硬い触感である。
[生地との接着性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を100℃で溶融した後に、グラビアロールコーター(40L/inch、130depth、付量;10g/m)を使用して透湿フィルム(株式会社加平製「VENTEX」)上に塗工し、超撥水生地(表面自由エネルギー;10mJ/mの下回るのもの。)と貼り合わせ、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で2日間放置して加工布を得た。得られた加工布を1inch幅にカットし、株式会社島津製作所製「オートグラフAG-1」を使用して、透湿フィルムと生地との剥離強度(N/inch)を測定し、以下のように評価した。
「〇」;6.0(N/inch)以上
「×」;6.0(N/inch)未満
[柔軟性の評価方法]
前記[生地との接着性の評価方法]において得られた加工布(撥水生地使用品)を、恒温恒湿室にて、23℃x50%RH.に24時間放置後、ISO 17235:2015(IULTCS/IUP 36)に準拠して、ソフトネステスター(皮革ソフトネス計測装置ST300:英国、MSAエンジニアリングシステム社製)を用いて、測定用リング直径25mmを装着した際の3回測定したその平均値を柔軟性とした。測定結果は数値が大きいほど風合いが柔らかいことを示す。
「〇」:数値が3以上である。
「×」:数値が3未満である。
Figure 2023038537000003

本発明の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、バイオマス度が高く、かつ、優れた撥水性生地との接着性、柔軟性、相溶性、低温特性、及び、機械物性が得られることが分かった。
一方、比較例1は、ポリエステル改質剤(ii)を用いない態様であるが、低温特性および柔軟性が不良であった。
比較例2は、ポリエステル改質剤(ii)の代わりに、その他の改質剤を用いた態様であるが、ウレタンプレポリマーとの相溶性が不良であった。

Claims (13)

  1. イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(i)、及び、下記式(1)又は(2)で表されるポリエステル改質剤(ii)を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
    Figure 2023038537000004
    (前記式(1)及び(2)中、
    11及びB12は、それぞれ独立に、炭素原子数7~20の脂肪族モノカルボン酸残基を表す。
    21及びB22は、それぞれ独立に、炭素原子数6~10の脂肪族モノアルコール残基を表す。
    Gは、炭素原子数3~10のアルキレングリコール残基又は炭素原子数3~10のオキシアルキレングリコール残基を表す。
    Aは、炭素原子数6~12のアルキレンジカルボン酸残基を表す。
    m及びnはそれぞれ括弧で括られた繰り返し単位数を表し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数である。
    括弧で括られた繰り返し単位毎にA及びGはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)
  2. 前記Aが、セバシン酸残基である請求項1記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  3. 前記Gが、1,2-プロパンジオール残基、1,3-ブタンジオール残基、1,4-ブタンジオール残基、ネオペンチルグリコール残基、2-メチル-1,3-プロパンジオール残基、3-メチル-1,5-ペンタンジオール残基、1,6-ヘキサンジオール残基又はジエチレングリコール残基である請求項1又は2記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル改質剤(ii)が、炭素原子数3~10のアルキレングリコール、炭素原子数8~14のアルキレンジカルボン酸及び水添植物油脂肪酸を反応原料とするポリエステルである請求項1~3のいずれか1項記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  5. 前記水添植物油脂肪酸が、水添ヤシ油脂肪酸、水添パーム核油脂肪酸、水添パーム油脂肪酸、水添オリーブ油脂肪酸、水添ヒマシ油脂肪酸及び水添ナタネ油脂肪酸からなる群から選択される1以上である請求項4記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  6. 前記ポリエステル改質剤(ii)の数平均分子量が500~5000である請求項1~5のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂用可塑剤。
  7. 前記ウレタンプレポリマー(i)が、バイオマス由来の多塩基酸(x)とバイオマス由来のグリコール(y)とを原料とするポリエステルポリオール(a1)を含むポリオール(A)、及び、ポリイソシアネート(B)の反応物である請求項1~6のいずれか1項記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  8. 前記バイオマス由来の多塩基酸(x)が、セバシン酸、及び/又は、コハク酸である請求項7記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物。
  9. 前記バイオマス由来のグリコール(y)が、1,3-プロパンジオール、及び/又は、1,4-ブタンジオールである請求項1~8のいずれか1項記載の湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
  10. 前記ポリオール(A)が、更に非晶性ポリエステルポリオールを含むものである請求項1~9のいずれか1項記載の湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか1項記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤。
  12. 少なくとも、生地、及び、請求項1~10のいずれか1項記載の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする積層体。
  13. 前記生地(i)が、撥水性生地である請求項12記載の積層体。
JP2021145318A 2021-09-07 2021-09-07 湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体 Pending JP2023038537A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021145318A JP2023038537A (ja) 2021-09-07 2021-09-07 湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体
CN202210382181.3A CN115772377A (zh) 2021-09-07 2022-04-13 湿气硬化型聚氨基甲酸酯热熔树脂组合物、接着剂及层叠体
TW111115074A TW202325765A (zh) 2021-09-07 2022-04-20 濕氣硬化型聚胺基甲酸酯熱熔樹脂組成物、接著劑及積層體

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021145318A JP2023038537A (ja) 2021-09-07 2021-09-07 湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023038537A true JP2023038537A (ja) 2023-03-17

Family

ID=85388247

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021145318A Pending JP2023038537A (ja) 2021-09-07 2021-09-07 湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2023038537A (ja)
CN (1) CN115772377A (ja)
TW (1) TW202325765A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
CN115772377A (zh) 2023-03-10
TW202325765A (zh) 2023-07-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6503917B2 (ja) 合成皮革用ポリウレタン
KR20140026391A (ko) 폴리우레탄 조성물, 발수제, 피혁상 시트의 표피층 형성용 폴리우레탄 수지 조성물 및 피혁상 시트
KR20180072796A (ko) 습기 경화형 우레탄 핫멜트 수지 조성물, 및 적층체
KR102642770B1 (ko) 우레탄 수지 조성물, 피막, 및, 합성 피혁
JP6323205B2 (ja) 合成皮革用ポリウレタン
JP7004115B2 (ja) 湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体
KR20220044987A (ko) 우레탄 수지 조성물, 및, 피혁 시트
JP6984794B2 (ja) 透湿防水布帛
JP7246286B2 (ja) ウレタンホットメルト接着剤組成物
JP2023038537A (ja) 湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体
JP6962505B2 (ja) 湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体
JP6631863B1 (ja) 湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物、及び、その硬化物
JP7004114B2 (ja) ウレタン樹脂組成物、及び、透湿フィルム
JP6981578B2 (ja) 湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物、接着剤、及び、積層体
JP2021024998A (ja) 湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物、及び、その硬化物
TWI840573B (zh) 透濕防水機能性衣料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240515