JP2023038489A - 偏光フィルム及び偏光板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】95℃を超える高温環境下に晒した場合に、層間充填構成をとる場合には黄変抑制効果が優れ、かつ層間充填構成をとらない場合には単体透過率の低下を抑制することのできる偏光フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理液に接触させる処理工程を含み、該処理液は、硝酸塩、ホウ酸及びヨウ化亜鉛を含み、かつ25℃におけるpHが4.3以上である、偏光フィルムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光フィルム及び偏光板の製造方法に関する。
近年、偏光板を含む画像表示装置は、携帯電話やタブレット端末などのモバイル機器に加えて、カーナビゲーション装置やバックモニターなどの車載用の画像表示装置としても使用されるなど、その用途は広がっている。これに伴い、画像表示装置には、従来要求されてきたよりも、より過酷な環境下(例えば、高温環境下)における高い耐久性が求められている。
特許文献1には、偏光子のpHを低下させて、光学特性及び湿熱耐久性に優れる偏光板を提供することが開示されている。特許文献1には、偏光子のpHを低下させる方法として硬膜液のpHを1.5乃至3.2にする方法が記載されている。
また、偏光子の処理液に塩化亜鉛のような金属塩化物を添加して偏光子の耐久性を向上させる方法が知られている。しかし、環境への影響低減のために塩素フリー(例えば、塩素が900ppm以下)にすることが求められており、偏光板に求められる高耐久性との両立が課題となっていた。
特開2005-62458号公報 特開平11-174417号公報
偏光板に含まれる偏光フィルムは、高温環境下に晒された場合に、層間充填構成をとるときには、ポリビニルアルコールのポリエン化が進行するため、黄変するという問題が生じる。特に、95℃を超える過酷な温度条件下(例えば105℃など)においては、黄変の進行がより顕著になる傾向がある。ここで、層間充填構成とは、画像表示パネルの視認側表面に配置される偏光板とさらにその視認側に配置されるガラス等の透明部材が、粘着剤やUV硬化型接着剤によって接着されている構成をいう(例えば特許文献2参照)。
また、偏光板に含まれる偏光フィルムは、95℃を超えるような高温環境下に晒された場合に、層間充填構成をとらない場合は、ポリビニルアルコールのポリエン化の進行は起きないが、可視光における短波長側の吸光度が上昇し単体透過率が低下してしまう問題が生じる。
従来、層間充填構成をとる場合に起きるポリビニルアルコールのポリエン化を抑制しようとすると、その偏光フィルムでは層間充填構成をとらない場合に単体透過率の低下が起きるといったトレードオフの関係があり、使用される構成に対して個別に最適な偏光フィルムを作製する必要があった。
本発明の目的は、95℃を超える高温環境下に晒した場合に、層間充填構成をとる場合には黄変抑制効果が優れ、かつ層間充填構成をとらない場合には単体透過率の低下を抑制することのできる偏光フィルムの製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、上記偏光フィルムを備える偏光板の製造方法を提供することにある。
本発明は、以下に示す偏光フィルムの製造方法及び偏光板の製造方法を提供する。
〔1〕 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理液に接触させる処理工程を含み、
前記処理液は、硝酸塩、ホウ酸及びヨウ化亜鉛を含み、かつ25℃におけるpHが4.3以上である、偏光フィルムの製造方法。
〔2〕 前記処理液は、25℃におけるpHが6.5以下である、〔1〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法により偏光フィルムを製造する工程と、
前記偏光フィルムの片面又は両面に貼合層を介して保護フィルムを貼合する貼合工程と、を有する偏光板の製造方法。
本発明によれば、95℃を超える高温環境下に晒した場合に、層間充填構成をとる場合には黄変抑制効果が優れ、かつ層間充填構成をとらない場合には単体透過率の低下を抑制することのできる偏光フィルムの製造方法、及び、該偏光フィルムを備える偏光板の製造方法を提供することができる。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルム製造装置の一例を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
<偏光フィルムの製造方法>
本実施形態において偏光フィルムは、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素(ヨウ素や二色性染料)が吸着配向しているものである。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。そのケン化度は、通常約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%以上である。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等であることができる。共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等を挙げることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常約1000~10000、好ましくは約1500~5000である。
これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等も使用し得る。
本実施形態では、偏光フィルム製造の開始材料として、厚みが通常65μm以下(例えば60μm以下)、好ましくは50μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下のポリビニルアルコール系樹脂フィルム(原反フィルム)を用いる。これにより市場要求が益々高まっている薄膜の偏光フィルムを得ることができる。原反フィルムの幅は特に制限されず、例えば400~6000mmであることができる。原反フィルムは、例えば長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロール(原反ロール)として用意される。
偏光フィルムは、上記の長尺の原反フィルムを原反ロールから巻出しつつ、偏光フィルム製造装置のフィルム搬送経路に沿って連続的に搬送させて、処理槽に収容された処理液(以下、「処理浴」ともいう)に浸漬させた後に引き出す所定の処理工程を実施した後に乾燥工程を実施することにより長尺の偏光フィルムとして連続製造することができる。なお、処理工程は、フィルムに処理液を接触させて処理する方法であればフィルムを処理浴に浸漬させる方法に限定されることはなく、噴霧、流下、滴下等により処理液をフィルム表面に付着させてフィルムを処理する方法であってもよい。処理工程が、フィルムを処理浴に浸漬させる方法によってなされる場合、一つの処理工程を行う処理浴は一つに限定されることはなく、二つ以上の処理浴にフィルムを順次浸漬させて一つの処理工程を完成させてもよい。
上記処理液としては、膨潤液、染色液、架橋液、補色液、洗浄液等が例示される。そして、上記処理工程としては、原反フィルムに膨潤液を接触させて膨潤処理を行う膨潤工程と、膨潤処理後のフィルムに染色液を接触させて染色処理を行う染色工程と、染色処理後のフィルムに架橋液を接触させて架橋処理を行う架橋工程と、架橋処理後のフィルムに補色液を接触させて補色処理を行う補色工程と、補色処理後のフィルムに洗浄液を接触させて洗浄処理を行う洗浄工程とが例示される。また、これら一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理を施す。必要に応じて他の処理工程を付加してもよい。
本発明の製造方法は、硝酸塩、ホウ酸及びヨウ化亜鉛を含み、かつ25℃におけるpHが4.3以上の処理液で処理する工程を含む。処理液は通常、水溶液である。処理液は、硝酸塩、ホウ酸及びヨウ化亜鉛を含むことから、染色処理後に、フィルムを架橋する架橋処理に用いることもでき、フィルムの色相を調整する補色処理に用いることもできる。また、前記処理液は、pHの数値範囲が限定されていることから、フィルムのpHを調整するpH調整処理に用いることもできる。このような処理工程を経ることで、95℃を超える高温環境下においても層間充填構成をとる場合における黄変抑制効果を得ることができるものであり、したがって塩化物を含むことにより黄変抑制効果を得る方法と比較すると、塩素による環境への影響を低減することができる。さらに、このような処理工程を経ることで、95℃を超える高温環境下においても層間充填構成をとらない場合における単体透過率の低下を効果的に抑制することができる。
硝酸塩は、硝酸アルミニウム、硝酸銅、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸亜鉛、及び硝酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。硝酸塩は、硝酸亜鉛を含むことが好ましい。
処理液中の硝酸塩の濃度は、水100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましい。硝酸塩の濃度は、水100質量部に対し、30質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。
処理液中の塩化物の濃度は、水100質量部に対し、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。処理液は、塩化物を含まなくてもよい。
以下、図1を参照しながら、本発明に係る偏光フィルムの製造方法の一例を詳細に説明する。図1は、本発明に係る偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルム製造装置の一例を模式的に示す断面図である。図1に示される偏光フィルム製造装置は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルム10を、原反ロール11より連続的に巻出しながらフィルム搬送経路に沿って搬送させることにより、フィルム搬送経路上に設けられる膨潤浴(膨潤槽内に収容された膨潤液)13、染色浴(染色槽内に収容された染色液)15、架橋浴(架橋槽内に収容された架橋液)17、補色浴(補色槽内に収容された補色液)18、及び洗浄浴(洗浄槽内に収容された洗浄液)19を順次通過させ、最後に乾燥炉21を通過させるように構成されている。図1における矢印は、フィルムの搬送方向を示している。
図1の説明において、「処理槽」は、膨潤槽、染色槽、架橋槽、補色槽及び洗浄槽を含む総称であり、「処理液」は、膨潤液、染色液、架橋液、補色液及び洗浄液を含む総称であり、「処理浴」は、膨潤浴、染色浴、架橋浴、補色浴及び洗浄浴を含む総称である。膨潤浴、染色浴、架橋浴、補色浴及び洗浄浴は、それぞれ、本実施形態の製造装置における膨潤部、染色部、架橋部、補色部及び洗浄部を構成する。
偏光フィルム製造装置のフィルム搬送経路は、上記処理浴の他、搬送されるフィルムを支持する、あるいはさらにフィルム搬送方向を変更することができるガイドロール30~48,60,61や、搬送されるフィルムを押圧・挟持し、その回転による駆動力をフィルムに与えることができる、あるいはさらにフィルム搬送方向を変更することができるニップロール50~55を適宜の位置に配置することによって構築することができる。ガイドロールやニップロールは、各処理浴の前後や処理浴中に配置することができ、これにより処理浴へのフィルムの導入・浸漬及び処理浴からの引き出しを行うことができる〔図1参照〕。例えば、各処理浴中に1以上のガイドロールを設け、これらのガイドロールに沿ってフィルムを搬送させることにより、各処理浴にフィルムを浸漬させることができる。
図1に示される偏光フィルム製造装置は、各処理浴の前後にニップロールが配置されており(ニップロール50~54)、これにより、いずれか1以上の処理浴中で、その前後に配置されるニップロール間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸を実施することが可能になっている。以下、各工程について説明する。
(膨潤工程)
膨潤工程は、原反フィルム10表面の異物除去、原反フィルム10中の可塑剤除去、易染色性の付与、原反フィルム10の可塑化等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつ原反フィルム10の極端な溶解や失透等の不具合を生じない範囲で決定される。
図1を参照して、膨潤工程は、原反フィルム10を原反ロール11より連続的に巻出しながら、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、原反フィルム10を膨潤浴13に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。図1の例において、原反フィルム10を巻き出してから膨潤浴13に浸漬させるまでの間、原反フィルム10は、ガイドロール60,61及びニップロール50によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送される。膨潤処理においては、ガイドロール30~32及びニップロール51によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送される。
膨潤浴13の膨潤液としては、純水のほか、ホウ酸(特開平10-153709号公報)、塩化物(特開平06-281816号公報)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類等を約0.01~10質量%の範囲で添加した水溶液を使用することも可能である。
膨潤浴13の温度は、例えば10~50℃、好ましくは10~40℃、より好ましくは15~30℃である。原反フィルム10の浸漬時間は、好ましくは10~300秒程度、より好ましくは20~200秒である。また、原反フィルム10が予め気体中で延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムである場合、膨潤浴13の温度は、例えば20~70℃、好ましくは30~60℃である。原反フィルム10の浸漬時間は、好ましくは30~300秒、より好ましくは60~240秒程度である。
膨潤処理では、原反フィルム10が幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るといった問題が生じやすい。このシワを取りつつフィルムを搬送するための1つの手段として、ガイドロール30,31及び/又は32にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることが挙げられる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は延伸処理を施すことである。例えば、ニップロール50とニップロール51との周速差を利用して膨潤浴13中で一軸延伸処理を施すことができる。
膨潤処理では、フィルムの搬送方向にもフィルムが膨潤拡大するので、フィルムに積極的な延伸を行わない場合は、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、例えば、膨潤浴13の前後に配置するニップロール50,51の速度をコントロールする等の手段を講ずることが好ましい。また、膨潤浴13中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴13中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)等を併用したりすることも有用である。
図1に示される例において、膨潤浴13から引き出されたフィルムは、ガイドロール32、ニップロール51、ガイドロール33を順に通過して染色浴15へ導入される。
(染色工程)
染色工程は、膨潤処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させる等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解や失透等の不具合が生じない範囲で決定される。図1を参照して、染色工程は、ニップロール51、ガイドロール33~36及びニップロール52によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、膨潤処理後のフィルムを染色浴15(染色槽に収容された処理液)に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。二色性色素の染色性を高めるために、染色工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理を施したフィルムであることが好ましく、又は染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行うことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色浴15の染色液には、例えば、濃度が質量比でヨウ素/ヨウ化カリウム/水=約0.003~3/約0.1~10/100である水溶液を用いることができる。ヨウ化カリウムに代えて、ヨウ化亜鉛等の他のヨウ化物を用いてもよく、ヨウ化カリウムと他のヨウ化物を併用してもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、ホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルト等を共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合は、ヨウ素を含む点で後述する架橋処理及び補色処理と区別され、水溶液が水100質量部に対し、ヨウ素を約0.003質量部以上含んでいるものであれば、染色浴15とみなすことができる。フィルムを浸漬するときの染色浴15の温度は、通常10~45℃、好ましくは10~40℃であり、より好ましくは20~35℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常30~600秒、好ましくは60~300秒である。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、染色浴15の染色液には、例えば、濃度が質量比で二色性染料/水=約0.001~0.1/100である水溶液を用いることができる。この染色浴15には、染色助剤等を共存させてもよく、例えば、硫酸ナトリウム等の無機塩や界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上の二色性染料を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの染色浴15の温度は、例えば20~80℃、好ましくは30~70℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常30~600秒、好ましくは60~300秒である。
上述のように染色工程では、染色浴15でフィルムの一軸延伸を行うことができる。フィルムの一軸延伸は、染色浴15の前後に配置したニップロール51とニップロール52との間に周速差をつけるなどの方法によって行うことができる。
染色処理においても、膨潤処理と同様にフィルムのシワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するために、ガイドロール33,34,35及び/又は36にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は、膨潤処理と同様、延伸処理を施すことである。
図1に示される例において、染色浴15から引き出されたフィルムは、ガイドロール36、ニップロール52、及びガイドロール37を順に通過して架橋浴17へ導入される。
(架橋工程)
架橋工程は、耐水性向上等のためにフィルムを架橋する処理である。図1を参照して、架橋工程は、ニップロール52,ガイドロール37~40及びニップロール53aによって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、架橋浴17(架橋槽に収容された架橋液)に染色処理後のフィルムを所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
架橋液としては、架橋剤を溶媒に溶解した溶液を使用できる。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。溶媒としては、例えば水が使用できるが、さらに、水と相溶性のある有機溶媒を含んでも良い。架橋溶液における架橋剤の濃度は、これに限定されるものではないが、1~20質量%の範囲にあることが好ましく、6~15質量%であることがより好ましい。
架橋液としては、水100質量部に対してホウ酸を例えば約1~10質量部含有する水溶液であることができる。架橋液は、染色処理で使用した二色性色素がヨウ素の場合、ホウ酸に加えてヨウ化物を含有することが好ましく、その量は、水100質量部に対して、例えば1~30質量部とすることができる。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。2種以上のヨウ化物を含有させてもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等を共存させてもよい。また、硝酸塩を共存させてもよい。硝酸塩は、硝酸アルミニウム、硝酸銅、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸亜鉛、及び硝酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。硝酸塩は、硝酸亜鉛を含むことが好ましい。
架橋処理においては、その目的によって、ホウ酸及びヨウ化物の濃度、並びに架橋浴17の温度を適宜変更することができる。架橋液は、例えば、濃度が質量比でホウ酸/ヨウ化物/水=3~10/1~20/100の水溶液であることができる。必要に応じ、ホウ酸に代えて他の架橋剤を用いてもよく、ホウ酸と他の架橋剤を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの架橋浴17の温度は、通常50~70℃、好ましくは53~65℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常10~600秒、好ましくは20~300秒、より好ましくは20~200秒である。また、膨潤処理前に予め延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して染色処理及び架橋処理をこの順に施す場合、架橋浴17の温度は、通常50~85℃、好ましくは55~80℃である。
架橋処理は複数回行ってもよく、例えば2~5回行ってもよい。この場合、使用する各架橋浴の組成及び温度は、上記の範囲内であれば同じであってもよく、異なっていてもよい。ニップロール52とニップロール53aとの周速差を利用して架橋浴17中で一軸延伸処理を施すこともできる。
架橋処理においても、膨潤処理と同様にフィルムのシワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するために、ガイドロール37,38,39,及び/又は40にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は、膨潤処理と同様、延伸処理を施すことである。
(補色工程)
補色工程は、フィルムの色相を調整する処理である。図1を参照して、補色工程は、ニップロール53a,ガイドロール41~44及びニップロール53bによって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、補色浴18(補色槽に収容された補色液)に架橋工程後のフィルムを所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
補色液としては、水100質量部に対してホウ酸を例えば約1~10質量部含有する水溶液であることができる。補色液は、染色処理で使用した二色性色素がヨウ素の場合、ホウ酸に加えてヨウ化物を含有することが好ましく、その量は、水100質量部に対して、例えば1~30質量部とすることができる。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。2種以上のヨウ化物を含有させてもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等を共存させてもよい。また、硝酸塩を共存させてもよい。硝酸塩は、硝酸アルミニウム、硝酸銅、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸亜鉛、及び硝酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。硝酸塩は、硝酸亜鉛を含むことが好ましい。
補色液においては、例えば、二色性色素としてヨウ素を用いた場合、濃度が質量比でホウ酸/ヨウ化物/水=1~5/3~30/100を使用することができる。フィルムを浸漬するときの補色浴18の温度は、通常10~45℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常1~300秒、好ましくは2~100秒である。
補色処理は複数回行ってもよく、例えば2~5回行ってもよい。この場合、使用する各補色浴の組成及び温度は、上記の範囲内であれば同じであってもよく、異なっていてもよい。また、ニップロール53aとニップロール53bとの周速差を利用して補色浴18中で一軸延伸処理を施すこともできる。
補色処理においても、膨潤処理と同様にフィルムのシワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するために、ガイドロール41,42,43及び/又は44にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は、膨潤処理と同様、延伸処理を施すことである。
図1に示される例において、補色浴18から引き出されたフィルムは、ガイドロール44、ニップロール53bを順に通過して洗浄浴19へ導入される。
(洗浄工程)
図1に示される例においては、補色工程後の洗浄工程を含む。洗浄処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに付着した余分なホウ酸やヨウ素等の薬剤を除去する目的で行われる。洗浄工程は、例えば、補色処理したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄浴19に浸漬することによって行われる。なお、洗浄工程は、洗浄浴19にフィルムを浸漬させる工程に代えて、フィルムに対して洗浄液をシャワーとして噴霧することにより、若しくは洗浄浴19への浸漬と洗浄液の噴霧とを併用することによって行うこともできる。
図1には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄浴19に浸漬して洗浄処理を行う場合の例を示している。洗浄処理における洗浄浴19の温度は、通常2~40℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常2~120秒である。
なお、洗浄処理においても、シワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送する目的で、ガイドロール45,46,47及び/又は48にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。また、フィルム洗浄処理において、シワの発生を抑制するために延伸処理を施してもよい。
(延伸工程)
上述のように原反フィルム10は、上記一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理される。一軸延伸処理の具体的方法は、例えば、フィルム搬送経路を構成する2つのニップロール(例えば、処理浴の前後に配置される2つのニップロール)間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸、特許第2731813号公報に記載されるような熱ロール延伸、テンター延伸等であることができ、好ましくはロール間延伸である。一軸延伸工程は、原反フィルム10から偏光フィルム23を得るまでの間に複数回にわたって実施することができる。上述のように延伸処理は、フィルムのシワの発生の抑制にも有利である。
原反フィルム10を基準とする、偏光フィルム23の最終的な累積延伸倍率は通常、4.5~7倍であり、好ましくは5~6.5倍である。延伸工程はいずれの処理工程で行ってもよく、2以上の処理工程で延伸処理を行う場合においても延伸処理はいずれの処理工程で行ってもよい。
(処理工程)
処理工程は、フィルムを処理液に接触させる工程であり、該処理液は、硝酸塩、ホウ酸及びヨウ化亜鉛を含み、かつ25℃におけるpHが4.3以上である。処理液の25℃におけるpHは4.6以上であることが好ましく、4.7以上であることが好ましく、4.8以上であることがさらに好ましい。また、処理液の25℃におけるpHは6.8以下であることが好ましく、6.5以下であることがより好ましく、6.3以下であることがさらに好ましい。処理工程は、例えば、上述の補色工程である。処理工程が補色工程である場合には、上述の補色工程の説明をそのまま処理工程の説明に当てはめることができる。処理液は、硝酸塩、ホウ酸及びヨウ化亜鉛を含み、かつpHが4.3以上である。処理液として、例えば、濃度が質量比で硝酸塩/ホウ酸/ヨウ化亜鉛/水=0.5~2.2/1~10/1~30/100の水溶液を使用することができる。処理液は、水100質量部に対して、例えば1~20質量部のヨウ化カリウムを含有していてもよい。
処理液は通常、さらにpH調整剤を含む。pH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が例示される。処理液は、pH調整剤の添加量を調整して25℃におけるpHが4.3以上となるように調整される。本実施形態においては、処理工程を有することにより95℃を超える高温環境下においても層間充填構成をとる場合における黄変抑制効果が優れ、かつ層間充填構成をとらない場合における単体透過率の低下を効果的に抑制することができる偏光フィルムを提供することができる。
(第2の処理工程)
本発明においては、第2処理工程を含んでいてもよい。これは、フィルムを第2処理液に接触させる工程であり、第2処理液は、硝酸塩、ホウ酸及びヨウ化物を含み、かつ25℃におけるpHが4.3未満であるものを用いる。第2処理工程は、例えば、上述の架橋工程である。第2処理工程が架橋工程である場合には、上述の架橋工程の説明をそのまま第2処理工程の説明に当てはめることができる。第2処理液は、硝酸塩、ホウ酸及びヨウ化物を含み、かつ25℃におけるpHが4.3未満である。第2処理液として、濃度が質量比で硝酸塩/ホウ酸/ヨウ化物/水=0.5~2.2/3~10/1~20/100の水溶液を使用することができる。第2処理液は、例えば、硝酸塩、ホウ酸、及びヨウ化物の添加量を調整してpHを4.3未満にしてもよいし、酸pH調整剤を添加して25℃におけるpHを4.3未満にしてもよい。第2処理液は、ホウ酸の添加量を調整して25℃におけるpHが4.3未満となるように調整されることが好ましい。
前記第2処理工程を含む場合には、処理工程より前に行われることが好ましく、第2処理工程、処理工程の順に処理されることが好ましく、洗浄工程を含む場合には、第2処理工程、処理工程、洗浄工程の順に処理がなされることが好ましい。第2処理工程と処理工程とは、例えば、架橋工程と補色工程、第1の補色工程と第2の補色工程、第1の架橋工程と第2の架橋工程等である。
(乾燥工程)
最後に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる処理を行うことが好ましい。フィルムの乾燥は特に制限されないが、図1に示される例のように乾燥炉21を用いて行うことができる。乾燥炉21は例えば熱風乾燥機を備えるものとすることができる。乾燥温度は、例えば30~100℃であり、乾燥時間は、例えば30~600秒である。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる処理は、遠赤外線ヒーターを用いて行うこともできる。
(ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対するその他の処理工程)
上記した処理以外の処理を付加することもできる。追加されうる処理の例は、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液への浸漬処理を含む。
以上のようにして得られた偏光フィルムは、巻取ロールに順次巻き取ってロール形態としてもよいし、巻き取ることなくそのまま偏光板の製造方法に供することもできる。ロール形態とした偏光フィルムは、その後、偏光板の製造方法に供することもできる。偏光板の製造方法の一態様は、偏光フィルムの片面又は両面に貼合層を介して保護フィルムを貼合する貼合工程を有する。
<偏光フィルム>
本実施形態に係る偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してなるものであることが好ましい。偏光フィルムの厚みは、5μm以上60μm以下であることが好ましく、7μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。
偏光板の視感度補正単体透過率Tyは、視感度補正偏光度Pyとのバランスを考慮して、35~47%であることが好ましく、36~45%であることがより好ましい。視感度補正偏光度Pyは、99.9%以上であることが好ましく、99.95%以上であることがより好ましい。このような偏光板を構成する偏光フィルムは、上述の製造方法により得ることができる。
偏光フィルムの塩素含有量は、例えば900ppm以下とすることができる。下限は限定されないが、偏光フィルムの塩素含有量は、0ppm以上であることができる。偏光フィルムの塩素含有量は、偏光フィルムの製造工程で用いられる処理液中の塩化物の量を少なくすることにより、低減することができる。
<偏光板>
本実施形態に係る偏光板は、上述の偏光フィルムの片面又は両面に、貼合層を介して保護フィルムを貼合することにより得ることができる。保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂からなるフィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム;アクリル系樹脂フィルム;ポリプロピレン系樹脂の鎖状オレフィン系樹脂からなるフィルムが挙げられる。
偏光フィルムと保護フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルム及び/又は保護フィルムの貼合面に、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。偏光フィルムと保護フィルムとの間に介在される貼合層は、接着剤又は粘着剤を用いて形成することができる。接着剤としては、紫外線硬化性接着剤のような活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液、又はこれに架橋剤が配合された水溶液、ウレタン系エマルジョン接着剤のような水系接着剤を挙げることができる。水系接着剤には、硝酸亜鉛等の亜鉛化合物が添加されていてよい。紫外線硬化型接着剤は、アクリル系化合物と光ラジカル重合開始剤の混合物や、エポキシ化合物と光カチオン重合開始剤の混合物等であることができる。また、カチオン重合性のエポキシ化合物とラジカル重合性のアクリル系化合物とを併用し、開始剤として光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
<画像表示装置>
偏光板は、画像表示装置に用いることができる。画像表示装置に用いる画像表示素子としては、例えば液晶表示素子、有機EL表示素子等が挙げられる。液晶表示装置を構築するにあたって本発明に係る偏光板は、視認側に配置して用いられてもよいし、バックライト側に配置して用いられてもよいし、視認側及びバックライト側の双方に用いられてもよい。本発明の画像表示装置は、テレビ、パーソナルコンピューター、携帯電話やタブレット端末等のモバイル機器用途に用いることができることに加え、高温環境下における黄変に対する高い抑制効果又は単体透過率低下に対する高い抑制効果を有し、長期間安定した画像表示機能を発現し得ることから、より過酷な温度条件下に曝されやすい車載用途に特に好適に用いることができる。車載用途としては、例えば、カーナビゲーション装置、スピードメーター、エアコン用タッチパネル、バックモニター及びリアモニター等に用いる画像表示装置等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)偏光フィルムの厚さの測定:
株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH-15M」を用いて測定した。
(2)偏光板の視感度補正単体透過率の測定:
積分球付き分光光度計〔日本分光株式会社製の「V7100」、2度視野;C光源〕を用いて測定した。
(3)pH値の測定:
pHメータ(HORIBA社製の「D-54」)を用いて測定した。
(4)イエローインデックス(黄色度)の測定:
コニカミノルタ製の分光測色計「CM-3700A」を使用した。SCIモードで反射光の測定を行い、3刺激値(X、Y、Z)を求め、ASTM E 313-73の規格に基づき下記式でイエローインデックス(YI)を計算した。
YI=100×(1.000-0.847×Z/Y)
<実施例1>
(1)偏光フィルム1の作製
図1に示す製造装置を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから実施例1の偏光フィルムを製造した。具体的には、厚み45μmの長尺のポリビニルアルコール(PVA)原反フィルム〔クラレ(株)製の商品名「VF-PE#4500」、ケン化度99.9モル%以上〕をロールから巻き出しながら連続的に搬送し、23℃の純水からなる膨潤浴に浸漬時間110秒で浸漬させ、2.1倍に一軸延伸を行った(膨潤工程)。その後、膨潤浴から引き出したフィルムを、ヨウ素/ホウ酸/水が1.0/0.5/100(質量比)であるヨウ素を含む染色液からなる23℃の染色浴に浸漬時間163秒で浸漬させ、1.22倍に一軸延伸を行った(染色工程)。次いで、染色浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が2.3/3.7/100(質量比)である架橋液からなる59℃の架橋浴に浸漬時間92秒で浸漬させ、2.24倍に一軸延伸を行った(延伸・架橋工程)。
続いて、架橋浴から引き出したフィルムを、硝酸亜鉛六水和物/ヨウ化亜鉛/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が0.55/1.76/2.7/5.0/100(質量比)である溶液に水酸化カリウム水溶液を添加した補色液からなる45℃の補色浴に浸漬時間14秒で浸漬させ、1.02倍に一軸延伸を行った(補色工程、処理工程)。続いて、引き出したフィルムを、温度55℃の乾燥炉内に90秒間滞留させて乾燥した(乾燥工程)。なお、補色液の25℃におけるpHは4.30であった。得られた偏光フィルム1の厚みは19μmであった。
(2)接着剤1の調製
アセトアセチル基を含有する変性PVA系樹脂(三菱ケミカル株式会社製「ゴーセネックスZ-410」)50質量部を950質量部の純水に溶解し、90℃で2時間加熱後常温に冷却し、接着剤用PVA溶液を得た(以下、「PVA溶液A」とする)。
上記で作製したPVA溶液A、純水、グリオキサール40質量%溶液、及びメタノールを接着剤100質量部当たりで、下記に示す含有量になるように配合し、接着剤1を調製した。
PVA含有量 : 3質量部
メタノール含有量 : 36質量部
グリオキサール含有量 : 0.3質量部
純水 : 60.7質量部
(3)透明保護フィルム1の作製
市販のセルロースアシレートフィルム「TD40N」(富士フイルム株式会社製、厚み40μm)を、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗した。その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、さらに水洗浴を30秒流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返して水を落とした後に、70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製し、透明保護フィルム1とした。
(4)偏光板1の作製
接着剤1を介して、偏光フィルム1の両面に透明保護フィルム1を、ロール貼合機を用いて貼合した後に、65℃で12分加熱処理を行うことにより、接着剤1を乾燥させ偏光板1を得た。偏光板1の視感度補正単体透過率は、40.8%であった。
(5)偏光板1(偏光フィルム1)の含水率の調整
偏光板1の含水率を、温度20℃、相対湿度40%の条件で72時間保管して調整した。
なお、保管66時間、69時間及び72時間の段階でカールフィッシャー法を用いて、含水率を測定したところ、いずれの段階でも含水率の値は同じであった。したがって、含水率調整後の偏光板1の含水率は、上記保管環境における平衡含水率と同じになっているとみなすことができる。偏光板1の含水率が、ある保管環境で平衡に達したときは、偏光板1中の偏光フィルム1の含水率も同様に、その保管環境で平衡に達したとみなすことができる。また、偏光板1中の偏光フィルム1の含水率が、ある保管環境で平衡に達したときは、偏光板1の含水率も同様に、その保管環境で平衡に達したとみなすことができる。
<比較例1>
(1)偏光フィルム2の作製
延伸・架橋工程までは実施例1と同じ処理を行った。続いて、架橋浴から引き出したフィルムを、硝酸亜鉛六水和物/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が2.20/2.7/5.0/100(質量比)である溶液に水酸化カリウム水溶液を添加した補色液からなる45℃の補色浴に浸漬時間14秒で浸漬させ、1.02倍に一軸延伸を行った(補色工程、処理工程)。続いて、引き出したフィルムを、温度55℃の乾燥炉内に90秒間滞留させて乾燥した(乾燥工程)。なお、補色液の25℃におけるpHは3.40であった。得られた偏光フィルム2の厚みは19μmであった。
(2)偏光板2の作製
接着剤1を介して、偏光フィルム2の両面に透明保護フィルム1を、ロール貼合機を用いて貼合した後に、65℃で12分加熱処理を行うことにより、接着剤1を乾燥させ偏光板2を得た。偏光板2の視感度補正単体透過率は、40.8%であった。
(3)偏光板2(偏光フィルム2)の含水率の調整
偏光板2の含水率を、温度20℃、相対湿度40%の条件で72時間保管して調整した。
なお、保管66時間、69時間及び72時間の段階でカールフィッシャー法を用いて、含水率を測定したところ、いずれの段階でも含水率の値は同じであった。したがって、含水率調整後の偏光板2の含水率は、上記保管環境における平衡含水率と同じになっているとみなすことができる。偏光板2の含水率が、ある保管環境で平衡に達したときは、偏光板2中の偏光フィルム2の含水率も同様に、その保管環境で平衡に達したとみなすことができる。また、偏光板2中の偏光フィルム2の含水率が、ある保管環境で平衡に達したときは、偏光板2の含水率も同様に、その保管環境で平衡に達したとみなすことができる。
<評価>
(1)高温耐久性評価-イエローインデックスYI-
含水率を調整した偏光板1、2の両面にアクリル系粘着剤(リンテック株式会社製、品番「#7」)を形成した。さらに偏光板の吸収軸が長辺と平行になるように、110mm×60mmの大きさに裁断して、それぞれの粘着剤表面に無アルカリガラス(コーニング社製「EAGLE XG」、サイズ120mm×70mm)を貼合することによって評価サンプルを作製した。評価用サンプルに対して、50℃5気圧の条件下で15分のオートクレーブ処理を行った後、105℃の環境に168時間晒して、高温耐久試験を行った。168時間経過後の偏光板1のYIは46であった。168時間経過後の偏光板2のYIは40であった。偏光板1及び偏光板2は、168時間経過後のYIがいずれも50以下であり、塩素フリーでありながら、YIの観点からは、優れた高温耐久性評価を示すことがわかった。
(2)高温耐久性評価-単体透過率-
含水率を調整した偏光板1、2の片面にアクリル系粘着剤(リンテック株式会社製、品番「#7」)を形成した。さらに偏光板の吸収軸が長辺と平行になるように、40mm×35mmの大きさに裁断して、それぞれの粘着剤表面に無アルカリガラス(コーニング社製「EAGLE XG」、サイズ50mm×40mm)を貼合することによって評価サンプルを作製した。評価用サンプルに対して、50℃5気圧の条件下で15分のオートクレーブ処理を行った後、分光光度計「V-7100(日本分光株式会社)」にて分光測定を行った。同サンプルを105℃の環境に1000時間晒した後にも同様に分光測定を行った。1000時間後の480nmにおける単体透過率変化量は、偏光板1が0.02%であったのに対して、偏光板2が5.06%であった。偏光板1の方が高温耐久試験後の単体透過率変化量を抑制することができた。
10 ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルム、11 原反ロール、13 膨潤浴、15 染色浴、17 架橋浴、18 補色浴、19 洗浄浴、21 乾燥炉、23 偏光フィルム、30~48,60,61 ガイドロール、50~52,53a,53b,54,55 ニップロール。

Claims (3)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理液に接触させる処理工程を含み、
    前記処理液は、硝酸塩、ホウ酸及びヨウ化亜鉛を含み、かつ25℃におけるpHが4.3以上である、偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記処理液は、25℃におけるpHが6.5以下である、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の偏光フィルムの製造方法により偏光フィルムを製造する工程と、
    前記偏光フィルムの片面又は両面に貼合層を介して保護フィルムを貼合する貼合工程と、を有する偏光板の製造方法。
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