JP2023037429A - 鋼部品及び鋼部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦係数を低減可能な鋼部品を提供する。【解決手段】本実施形態の鋼部品(1)は、円板状又は円柱状の主体部(10)を備え、主体部(10)は、表層に形成されている浸炭硬化層と、浸炭硬化層よりも内部の芯部とを備える。浸炭硬化層は、特定集合組織領域を含む。特定集合組織領域では、主体部(10)の軸方向に垂直な断面のうち、浸炭硬化層の表面から深さ10μm、幅50μmの最表層矩形域での主体部(10)の軸方向(L)の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率が7.0%以上である。【選択図】図1

Description

本開示は、鋼部品及び鋼部品の製造方法に関し、さらに詳しくは、表層に浸炭硬化層を含む鋼部品及び鋼部品の製造方法に関する。
シャフトに代表される部品は、例えば、自動車のトランスミッションの部品として利用される。これらの部品の多くは、鋼からなる。以降の説明において、鋼からなる部品を「鋼部品」という。
上述の用途に用いられる鋼部品には、高い疲労強度が求められる。これらの鋼部品の疲労強度を高める手段として、浸炭処理が知られている。浸炭処理には、ガス浸炭処理と、真空浸炭処理とが含まれる。本明細書において、ガス浸炭処理は、ガス浸炭処理だけでなく、ガス浸炭窒化処理も含む。真空浸炭処理は、真空浸炭処理だけでなく、真空浸炭窒化処理も含む。
浸炭処理された鋼部品の表層には、浸炭硬化層が形成されている。浸炭硬化層により、鋼部品の表層の硬さが高まる。そのため、鋼部品の疲労強度が高まる。
浸炭処理により疲労強度を高めた鋼部品(以下、浸炭鋼部品ともいう)は、例えば、特開2019-026899号公報(特許文献1)、及び、特開2019-031745号公報(特許文献2)に提案されている。
特許文献1に開示された浸炭鋼部品は、SCR420に基づく化学組成を有する。さらに、この浸炭鋼部品の化学組成では、Si、Cu、Ni及びCr含有量が、所定の関係となるように調整されている。さらに、表層の浸炭硬化層の炭化物面積率が5~40%に調整されている。これにより、浸炭鋼部品の浸炭層の残留オーステナイト量が抑制され、疲労強度が高まる、と特許文献1には記載されている。
特許文献2に開示された浸炭鋼部品は、所定の化学組成を有する。そして、浸炭鋼部品の表層の旧オーステナイトの結晶粒度番号、表面C濃度、及び、有効硬化層深さが、所定の範囲に調整されている。これにより、高い面疲労強度が得られる、と特許文献2には記載されている。
特開2019-026899号公報 特開2019-031745号公報
ところで、最近、自動車の燃費のさらなる向上が求められている。トランスミッションでのエネルギー損失を抑制できれば、燃費のさらなる向上が実現できる。トランスミッションでのエネルギー損失のうちの一つに、動力伝達の摩擦損失がある。この摩擦損失を低減できれば、エネルギー損失を低減できる。
動力伝達の摩擦損失を低減するためには、動力伝達に関与する鋼部品の摩擦係数(静止摩擦係数及び動摩擦係数)を低減することが有効である。ここで、静止摩擦係数とは、鋼部品が回転等の動作を開始するときに、その動作を妨げるように作用する摩擦力に比例する係数である。動摩擦係数とは、鋼部品が回転中に、その動作を妨げるように作用する摩擦力に比例する係数である。摩擦係数(静止摩擦係数及び動摩擦係数)を抑えることができれば、静止摩擦力及び動摩擦力が抑えられる。その結果、動力伝達の摩擦損失を低減できる。
本開示の目的は、摩擦係数を低減可能な鋼部品及び鋼部品の製造方法を提供することである。
本開示による鋼部品は、次の構成を有する。
鋼部品であって、
円板状又は円柱状の主体部を備え、
前記主体部は、
表層に形成されている浸炭硬化層と、
前記浸炭硬化層よりも内部の芯部とを備え、
前記浸炭硬化層は、
前記主体部の軸方向に垂直な断面のうち、前記浸炭硬化層の表面を含み、前記浸炭硬化層の表面から深さ10μm、幅50μmの最表層矩形域での前記主体部の軸方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率が7.0%以上である特定集合組織領域を含む、
鋼部品。
本開示による鋼部品の製造方法は、次の工程を含む。
上述の鋼部品の製造方法であって、
表層に形成されている浸炭硬化層と、前記浸炭硬化層よりも内部の芯部とを備え、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであり、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である、中間品を準備する中間品準備工程と、
前記中間品の前記浸炭硬化層の表面に、前記中間品よりも硬い圧下工具を荷重200~900Nで押し当てながら、前記圧下工具を前記浸炭硬化層の表面上で摺動させて、前記浸炭硬化層の最表層領域を塑性変形させ、前記特定集合組織領域を形成する、最表層結晶方位調整工程とを備える、
鋼部品の製造方法。
本開示による鋼部品では、摩擦係数の低減が可能である。本開示による鋼部品の製造方法は、上述の鋼部品を製造できる。
図1は、本実施形態の鋼部品の斜視図である。 図2は本実施形態の鋼部品の一例であるシャフトの斜視図である。 図3は、図1に示す最表層矩形域での方位マッピングの一例を示す図である。 図4Aは、鋼部品の最表層矩形域での{203}結晶方位の面積率と、静止摩擦係数との関係を示す図である。 図4Bは、鋼部品の最表層矩形域での{203}結晶方位の面積率と、動摩擦係数との関係を示す図である。 図5は、表層塑性加工を実施するための装置(表層塑性加工装置)の模式図である。 図6は、ブロックオンリング試験の模式図である。 図7は、ブロックオンリング試験での2回目以降の回転試験で得られた摩擦係数のグラフの一例を示す図である。
本発明者らは、鋼部品の摩擦係数(静止摩擦係数及び動摩擦係数)を低減できる手段を検討した。初めに、本発明者らは、浸炭処理を実施して鋼部品の表層に浸炭硬化層を形成し、鋼部品の表面硬さを高めれば、摩擦係数が抑制されると考えた。
しかしながら、鋼部品の表面硬さを高めただけでは、摩擦係数を十分に低減することができなかった。そこで、本発明者らは、摩擦係数を低減するために、他の手段を検討した。
表層に浸炭硬化層を含む鋼部品において、浸炭硬化層の表面が他の鋼部品と接触して動作する場合を想定する。このような鋼部品はたとえば、シャフト等である。
本発明者らは、鋼部品の浸炭硬化層の最表層での結晶方位の配向性が、摩擦係数に影響を与えるのではないかと考えた。そこで、本発明者らは、浸炭硬化層の最表層での結晶方位の配向性と、摩擦係数との関係について調査及び検討した。
本発明者らは、複数種類の鋼部品を製造して、各鋼部品の軸方向に垂直な断面での浸炭硬化層の最表層において、軸方向の結晶方位解析を実施して方位マッピングを作成した。さらに、これらの鋼部品の摩擦係数を求め、方位マッピングと摩擦係数との関係を調査した。その結果、本発明者らは、浸炭硬化層の最表層において、{203}結晶方位の面積率が高いほど、摩擦係数が抑制されることを見出した。そして、さらなる検討の結果、浸炭硬化層の最表層において、{203}結晶方位の面積率が7.0%以上であれば、摩擦係数(静止摩擦係数及び動摩擦係数)を十分に抑制できることを初めて見出した。
本実施形態の鋼部品は、上述の技術思想に基づいて完成したものであり、次の構成を有する。
[1]
鋼部品であって、
円板状又は円柱状の主体部を備え、
前記主体部は、
表層に形成されている浸炭硬化層と、
前記浸炭硬化層よりも内部の芯部とを備え、
前記浸炭硬化層は、
前記主体部の軸方向に垂直な断面のうち、前記浸炭硬化層の表面を含み、前記浸炭硬化層の表面から深さ10μm、幅50μmの最表層矩形域での前記主体部の軸方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率が7.0%以上である特定集合組織領域を含む、
鋼部品。
[2]
[1]に記載の鋼部品であって、
前記鋼部品はシャフトである、
鋼部品。
[3]
[1]又は[2]に記載の鋼部品であって、
前記{203}結晶方位の前記面積率が10.0%以上である、
鋼部品。
[4]
[3]に記載の鋼部品であって、
前記{203}結晶方位の前記面積率が12.5%以上である、
鋼部品。
[5]
[1]~[4]のいずれか1項に記載の鋼部品の製造方法であって、
表層に形成されている浸炭硬化層と、前記浸炭硬化層よりも内部の芯部とを備え、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであり、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である、中間品を準備する中間品準備工程と、
前記中間品の前記浸炭硬化層の表面に、前記中間品よりも硬い圧下工具を荷重200~900Nで押し当てながら、前記圧下工具を前記浸炭硬化層の表面上で摺動させて、前記浸炭硬化層の最表層領域を塑性変形させ、前記特定集合組織領域を形成する、最表層結晶方位調整工程とを備える、
鋼部品の製造方法。
[6]
[5]に記載の鋼部品の製造方法であって、
前記中間品準備工程は、
鋼材を加工する加工工程と、
加工された前記鋼材に対して浸炭処理及び焼戻しを実施して、前記鋼材の表層に前記浸炭硬化層を形成し、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を10.0~40.0%とする熱処理工程とを含む、
鋼部品の製造方法。
[7]
[6]に記載の鋼部品の製造方法であって、
前記中間品準備工程はさらに、
前記熱処理工程後の前記鋼材の前記浸炭硬化層の表面粗さを調整して、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmである前記中間品を製造する表面粗さ調整工程を含む、
鋼部品の製造方法。
以下、本実施形態による鋼部品について詳述する。
[鋼部品の構成]
図1は、本実施形態の鋼部品の模式図である。図1を参照して、鋼部品1は、円板状又は円柱状の主体部10を備える。図1中のL方向は、主体部10の軸方向を意味する。主体部10の軸Lは、回転軸になり得る。
上述のとおり、主体部10は円板状又は円柱状である。主体部10を備える鋼部品1は例えば、図2に例示された、シャフトである。
主体部10は、浸炭硬化層と芯部とを備える。つまり、鋼部品1のうち、少なくとも主体部10では、浸炭処理が施されている。
浸炭硬化層は、主体部10の表層に形成されている。芯部は、主体部10のうち、浸炭硬化層よりも内部の部分である。
浸炭硬化層と芯部とはミクロ組織が異なる。具体的には、浸炭硬化層のミクロ組織は主としてマルテンサイトからなる。一方、芯部はマルテンサイトを実質的に含まない。したがって、周知のミクロ組織観察を行うことにより、浸炭硬化層の有無を判断できることは、当業者に周知である。
上述のとおり、本明細書において、浸炭処理は、浸炭処理と、浸炭窒化処理とを含む。したがって、本明細書において、「浸炭硬化層」は、浸炭窒化硬化層も含む概念である。なお、浸炭処理は、ガス浸炭処理及び真空浸炭処理を含む。つまり、ガス浸炭処理は、ガス浸炭処理だけでなく、ガス浸炭窒化処理も含む。真空浸炭処理は、真空浸炭処理だけでなく、真空浸炭窒化処理も含む。
[鋼部品の化学組成]
鋼部品1は、鋼からなる。鋼部品1を構成する鋼の化学組成は特に限定されない。鋼部品1を構成する鋼の化学組成は例えば、90.0%以上のFeを含有する。鋼部品1を構成する鋼の化学組成は例えば、90.0%以上のFeと、0.05~0.28%のCと、0.10~2.00%のSiと、0.30~2.00%のMnとを含有する。
さらに好ましくは、本実施形態の鋼部品1を構成する鋼の化学組成は、C:0.05~0.28%、Si:0.10~2.00%、Mn:0.30~2.00%、P:0.030%未満、S:0.030%未満、Ni:0~3.50%、Cr:0~2.50%、Mo:0~0.60%、Cu:0~0.50%、Al:0.001~0.100%、N:0.0250%以下、O:0.0050%以下、V:0~0.200%、Nb:0~0.100%、Ti:0~0.200%、B:0~0.0050%、及び、Ca:0~0.0050%を含有し、残部はFe及び不純物からなる。Si含有量の好ましい上限は1.90%であり、さらに好ましくは1.85%である。Cr含有量の好ましい上限は2.30%であり、さらに好ましくは2.10%である。
本実施形態の鋼部品1を構成する鋼の化学組成は例えば、JIS G4053:2016に規定のSMn420、SCr420、SCM420、SNC415及びSNCM420のいずれかを満たしてもよい。また、例えば、JIS G4053:2016に規定のSMnC420、SCr415、SCM415、SCM418、SCM421、SCM425、SCM822、SNC815、SNCM220、SNCM415、SNCM616及びSNCM815のいずれかを満たしてもよい。本実施形態の鋼部品1を構成する鋼の化学組成は上述のとおり、公知のものでよい。
[鋼部品の化学組成の測定方法]
本実施形態の鋼部品1の化学組成は、周知の成分分析法で測定できる。具体的には、ドリル等の切削工具を用いて、鋼部品1の芯部から切粉を採取する。採取された切粉を酸に溶解させて溶液を得る。溶液に対して、ICP-AES(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry)を実施して、化学組成の元素分析を実施する。C含有量及びS含有量については、周知の高周波燃焼法(燃焼-赤外線吸収法)により求める。N含有量については、周知の不活性ガス溶融-熱伝導度法により求める。
[特定集合組織領域について]
本実施形態の鋼部品1の主体部10の浸炭硬化層は、最表層に特定集合組織領域を含む。特定集合組織領域は、次のとおり定義される。
図1を再び参照して、鋼部品1の主体部10の表面(周面)S1を含む表層に浸炭硬化層が形成されているとする。このとき、主体部10の軸方向Lに垂直な断面CSのうち、表面S1を含み、かつ、表面S1から深さDが10μmであり、幅Wが50μmの矩形状の任意の領域を、「最表層矩形域」20と定義する。最表層矩形域20は、鋼部品1の主体部10の浸炭硬化層に含まれる。
最表層矩形域20において、軸方向Lの結晶方位解析を実施して、最表層矩形域20での方位マッピングを得る。図3は、最表層矩形域20での方位マッピングの一例を示す図である。図3を参照して、最表層矩形域20中の黒色の領域は、{203}結晶方位の領域である。
得られた方位マッピングにおいて、{203}結晶方位の面積率を求める。最表層矩形域20での{203}結晶方位の面積率が7.0%以上であれば、その最表層矩形域20を「特定集合組織領域」と定義する。
図4Aは、鋼部品1の主体部10の浸炭硬化層の最表層矩形域での{203}結晶方位の面積率と、静止摩擦係数との関係を示す図である。図4Bは、鋼部品1の主体部10の浸炭硬化層の最表層矩形域での{203}結晶方位の面積率と、動摩擦係数との関係を示す図である。図4A及び図4Bは、後述のブロックオンリング試験により得られた摩擦係数(静止摩擦係数及び動摩擦係数)を用いて作成した。
図4A及び図4Bを参照して、鋼部品1の主体部10の軸方向Lに垂直な断面CSの最表層矩形域20での軸方向Lの結晶方位解析により得られた{203}結晶方位の面積率が7.0%となるまでの間は、{203}結晶方位面積の面積率が増加しても、摩擦係数(静止摩擦係数、動摩擦係数)にそれほど変化が見られない。一方、{203}結晶方位の面積率が7.0%以上となった場合、{203}結晶方位の面積率が増加するに伴い、摩擦係数(静止摩擦係数、動摩擦係数)が顕著に低下する。つまり、図4A及び図4Bのグラフは、{203}結晶方位の面積率が7.0%近傍で、変曲点を有する。
したがって、鋼部品1の主体部10の軸方向Lに垂直な断面CSのうち、浸炭硬化層の表面から深さ10μm、幅50μmの最表層矩形域20での軸方向Lの結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率が7.0%以上である特定集合組織領域では、摩擦係数を十分に抑制することができる。つまり、鋼部品1の主体部10の浸炭硬化層が特定集合組織領域を含む場合、鋼部品1の主体部10の摩擦係数は十分に抑制される。
特定集合組織領域での{203}結晶方位の面積率の好ましい下限は10.0%であり、さらに好ましくは12.5%であり、さらに好ましくは15.0%であり、さらに好ましくは20.0%であり、さらに好ましくは25.0%である。特定集合組織領域の{203}結晶方位の面積率の上限は特に限定されない。特定集合組織領域の{203}結晶方位の面積率の上限は例えば、80.0%であり、さらに好ましくは70.0%であり、さらに好ましくは65.0%であり、さらに好ましくは60.0%であり、さらに好ましくは50.0%であり、さらに好ましくは40.0%であり、さらに好ましくは35.0%である。
[最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率の測定方法]
鋼部品1の主体部10の軸方向Lに垂直な断面CSでの最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率は、電子線後方散乱回折(EBSD:Electron Back Scatter Diffraction)を用いて、次の方法により求める。
図1に示すとおり、鋼部品1の主体部10の軸方向Lに垂直な断面CSを有し、最表層矩形域20を含む試験片を採取する。試験片のサイズは、最表層矩形域20を含んでいれば、特に限定されない。
最表層矩形域20を含む断面CSを、観察面と定義する。観察面に対して鏡面研磨を実施する。鏡面研磨された観察面のうち、任意の最表層矩形域20(浸炭硬化層の表面S1を含み、幅Wが50μm、深さDが10μmの矩形領域)を選択する。選択された最表層矩形域20に対して、EBSD測定を実施する。EBSD測定では、加速電圧を15kVとし、照射間隔を0.04μmとする。EBSD測定により、最表層矩形域20内の各測定点の位置に関する情報(以下、位置情報という)と、測定点での結晶方位に関する情報(以下、方位情報という)とが得られる。得られた位置情報及び方位情報に基づいて、方位マッピングを作成する。作成された方位マッピングにおいて、{203}結晶方位の領域を特定する。このとき、許容方位差を10°とする。また、信頼性指数(Confidence Index:CI値)が0.1よりも大きいデータを採用する。
方位マッピングでは、図3に示すとおり、特定の結晶方位を区別することが可能である。そこで、得られた方位マッピングを用いて、{203}結晶方位の面積率を求める。具体的には、最表層矩形域20の面積に対する{203}結晶方位の領域の面積の比率を、{203}結晶方位の面積率(%)と定義する。以上の方法により、最表層矩形域20の{203}結晶方位を示す領域の面積率を測定できる。方位マッピングは例えば、周知の解析ソフトウェア(OIM Analysis Ver.7.3.1:株式会社TSLソリューションズ製)を用いてコンピュータに実行させることが可能である。
以上の構成を有する鋼部品1では、摩擦係数(静止摩擦係数及び動摩擦係数)が低い。そのため、鋼部品1が使用されるエンジンやパワートレイン等の動力源での摩擦損失を低減でき、燃費の向上に寄与することができる。
なお、本実施形態の鋼部品1の主体部10では、表層全体に浸炭硬化層を含んでいてもよいし、表層の一部に浸炭硬化層を含んでいてもよい。つまり、鋼部品1は、少なくとも一部の表層に浸炭硬化層を含む。
また、本実施形態の鋼部品1の主体部10の浸炭硬化層は、浸炭硬化層の全体に特定集合組織領域を含んでいてもよいし、浸炭硬化層の一部に特定集合組織領域を含んでもよい。つまり、鋼部品1の浸炭硬化層は、少なくとも一部に特定集合組織領域を含む。
[鋼部品1の製造方法]
本実施形態による鋼部品1の製造方法の一例を説明する。以降に説明する鋼部品1の製造方法は、本実施形態による鋼部品1を製造するための一例である。したがって、上述の構成を有する鋼部品1は、以降に説明する製造方法以外の他の製造方法により製造されてもよい。しかしながら、以降に説明する製造方法は、本実施形態による鋼部品1の製造方法の好ましい一例である。
本実施形態の鋼部品の製造方法の一例は、次の工程を含む。
(1)中間品準備工程
(2)最表層結晶方位調整工程
以下、各工程について説明する。
[(1)中間品準備工程]
中間品準備工程では、表層に形成されている浸炭硬化層と、浸炭硬化層よりも内部の芯部とを含む主体部を備える中間品を準備する。主体部は、円板状又は円柱状である。中間品は、最終製品に近い形状を有する。中間品は第三者から提供されたものでもよい。また、中間品を製造して準備してもよい。
準備する中間品はさらに、次の構成を有する。
(A)JIS B 0601:2013に準拠した浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmである。
(B)浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である。
[(A)浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaについて]
中間品の主体部の浸炭硬化層の表面粗さは、後述の最表層結晶方位調整工程での鋼部品1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率に影響する。中間品の主体部の浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05μm未満であれば、中間品が構成(B)を有していても、最表層結晶方位調整工程後の鋼部品1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率が7.0%未満となる。したがって、中間品の主体部の浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05μm以上である。
一方、中間品の主体部の浸炭硬化層の表面粗さが過剰に粗くなれば、最表層結晶方位調整工程後の鋼部品1の表面に割れが発生する場合がある。したがって、中間品の浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaを2.00μm以下とする。
[(B)浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率について]
中間品の主体部の浸炭硬化層中の残留オーステナイトの体積率は、鋼部品1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率に影響する。残留オーステナイトの体積率が10.0%未満、又は、40.0%を超えれば、最表層結晶方位調整工程を実施しても、鋼部品1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率が7.0%未満となる。したがって、構成(A)を有する中間品の主体部の浸炭硬化層中の残留オーステナイトの体積率を10.0~40.0%とする。この場合、最表層結晶方位調整工程を実施することにより、鋼部品1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率を7.0%以上とすることができる。
以上の構成を有する中間品は、例えば、次の製造工程で製造される。
(11)加工工程
(12)熱処理工程
(13)表面粗さ調整工程
以下、各工程について説明する。
[(11)加工工程]
加工工程では、鋼部品の素材となる鋼材を加工して、鋼材を、最終製品(鋼部品)の形状に近い形状とする。
鋼材の加工方法は周知の方法でよい。たとえば、鋼材を熱間加工して、鋼材を所定形状にしてもよい。熱間加工方法はたとえば、熱間鍛造、熱間圧延等である。鋼材を冷間加工して、鋼材を所定形状にしてもよい。冷間加工方法はたとえば、冷間鍛造、冷間引抜等である。鋼材を切削加工して、鋼材を所定形状にしてもよい。鋼材を熱間加工又は冷間加工した後、さらに切削加工を実施して、鋼材を所定形状にしてもよい。
[(12)熱処理工程]
熱処理工程では、加工された鋼材に対して熱処理を実施して、中間品の表層に浸炭硬化層を形成する。具体的には、加工された鋼材に対して、浸炭処理及び焼戻しを実施する。本製造工程例での浸炭処理は、浸炭工程と、焼入れ工程とを含む。つまり、熱処理工程は、次の工程を含む。
(121)浸炭工程
(122)焼入れ工程
(123)焼戻し工程
熱処理工程を実施することにより、中間品の主体部の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を10~40%に調整する。以下、各工程について説明する。
[(121)浸炭工程]
浸炭工程では、ガス浸炭処理、ガス浸炭窒化処理、真空浸炭処理、真空浸炭窒化処理のいずれかを実施する。浸炭工程により、中間品の主体部の表層のC濃度を、芯部のC濃度よりも高める。以降の説明では、ガス浸炭処理とガス浸炭窒化処理を合わせて、「ガス浸炭処理」と称する。また、真空浸炭処理と真空浸炭窒化処理とを合わせて、「真空浸炭処理」と称する。
[ガス浸炭処理]
ガス浸炭処理の浸炭工程は、時系列順に、加熱工程、ガス浸炭工程、拡散工程を含む。
加熱工程では、熱処理炉内に装入された鋼材を浸炭温度まで加熱する。加熱工程での浸炭温度は例えば、830~1100℃である。
ガス浸炭工程は、加熱工程後に実施される。ガス浸炭工程では、所定のカーボンポテンシャルCp1及び浸炭温度で、鋼材を所定時間(保持時間)保持する。浸炭工程におけるカーボンポテンシャルCp1は、たとえば0.5~1.2%であり、浸炭温度での保持時間は例えば、60~240分である。
拡散工程は、ガス浸炭工程後に実施される。拡散工程では、所定のカーボンポテンシャルCp2及び浸炭温度で、鋼材を所定時間(保持時間)保持する。拡散工程では、浸炭工程で鋼材に侵入したCを鋼材内で拡散させる。拡散工程でのカーボンポテンシャルCp2は例えば、0.5~1.2%である。拡散工程での浸炭温度での保持時間は例えば、30~90分である。拡散工程でのカーボンポテンシャルCp2は、浸炭工程でのカーボンポテンシャルCp1よりも低くしてもよいし、カーボンポテンシャルCp1と同じであってもよい。
なお、ガス浸炭工程及び拡散工程は1回ずつ実施されてもよいし、交互に複数回実施されてもよい。
[真空浸炭処理]
真空浸炭処理の浸炭工程は、時系列順に加熱工程、真空浸炭工程、拡散工程を含む。
加熱工程では、熱処理炉内に装入された鋼材を浸炭温度まで加熱する。加熱工程での浸炭温度は例えば、830~1100℃である。加熱工程ではさらに、炉内を真空又は減圧する。例えば、炉内を1kPa以下まで減圧する。
真空浸炭工程は、加熱工程後に実施される。真空浸炭工程では、真空又は減圧下において、炉内に炭化水素系のガスを導入し、上記浸炭温度で鋼材を所定時間(保持時間)保持する。真空浸炭工程における導入ガスは炭化水素系ガスであれば特に限定されない。炭化水素系ガスは例えば、アセチレン、プロパン等である。浸炭温度での保持時間は特に限定されない。浸炭温度での保持時間は、例えば、5~120分である。真空又は減圧下で浸炭を実施することにより、ガス浸炭の場合と比較して、鋼材の表層に侵入するC濃度を高めることができる。
拡散工程は、真空浸炭工程後に実施される。拡散工程では、炉内に炭化水素系のガスを導入しない状態で、浸炭温度で所定時間(保持時間)保持する。拡散工程における炉内の圧力は、真空浸炭工程と同じでもよい。また、拡散工程における炉内の圧力は、真空浸炭工程における残留ガスを取り除くため、真空浸炭工程よりも減圧してもよい(例えば、100Pa以下)。拡散工程での浸炭温度での保持時間は特に限定されないが、例えば、5~150分である。
なお、真空浸炭工程及び拡散工程は1回ずつ実施されてもよいし、交互に複数回実施されてもよい。
[(122)焼入れ工程]
焼入れ工程は、浸炭工程後に実施される。焼入れ工程では、浸炭工程後の鋼材に対して、周知の焼入れを実施する。具体的には、焼入れ工程では、浸炭工程後の鋼材をAr3点以上の焼入れ温度で保持する。その後、鋼材を急冷して焼入れする。
焼入れ温度での保持時間は特に限定されないが、たとえば、30~60分である。焼入れ温度は、浸炭温度よりも低い方が好ましい。焼入れ処理における冷却方法は、油冷又は水冷である。具体的には、冷却媒体である油又は水を収納した冷却浴に、焼入れ温度に保持された鋼材を浸漬して急冷する。冷却媒体である油又は水の温度は、たとえば、室温~200℃である。また、必要に応じて、サブゼロ処理を実施してもよい。
[(123)焼戻し工程]
焼戻し工程は、焼入れ工程後に実施される。焼戻し工程では、焼入れ工程後の鋼材に対して、周知の焼戻しを実施する。焼戻し温度は例えば、100~200℃である。焼戻し温度での保持時間は例えば、90~150分である。
上述のとおり、熱処理工程において、中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を10.0~40.0%に調整する。残留オーステナイトの体積率は、ガス浸炭工程のカーボンポテンシャルCp1、Cp2、ガス浸炭工程及び真空浸炭工程における浸炭温度、浸炭温度での保持時間、拡散工程における浸炭温度での保持時間、焼入れ工程での冷却媒体(水又は油)の温度、を適宜調整することにより、10.0~40.0%に調整できる。
[(13)表面粗さ調整工程]
表面粗さ調整工程では、熱処理工程後の鋼材に対して、研削加工を実施したり、ショットピーニングを実施したりして、中間品の主体部の浸炭硬化層の表面粗さを所定の粗さに調整する。具体的には、表面粗さ調整工程では、最表層結晶方位調整工程前の中間品の主体部の浸炭硬化層の表面での算術平均粗さRaを0.05~2.00μmの範囲に調整する。算術平均粗さRaの好ましい下限は0.10μmであり、さらに好ましくは0.15μmであり、さらに好ましくは0.20μmであり、さらに好ましくは0.25μmである。算術平均粗さRaの好ましい上限は、1.50μmである。なお、算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2013に準拠して測定される。
切削加工は周知の方法を採用すればよい。また、ショットピーニングも周知の方法を採用すればよい。特に限定されないが、ショットピーニングはたとえば、直径が0.7mm以下のショット粒を用い、アークハイトが0.4mm以上の条件で行ってもよい。
本製造工程例では、表面粗さ調整工程により、結晶方位調整工程前の中間品の浸炭硬化層の表面粗さを敢えて粗くする。これにより、最表層結晶方位調整工程において、{203}結晶方位の面積率を高めることができる。
なお、熱処理工程後の中間品の主体部の浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであれば、表面粗さ調整工程は省略されてもよい。
以上の工程により、浸炭硬化層と芯部とを備え、浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであり、浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である主体部を備える中間品を準備する。
[中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率、及び、中間品の表面の算術平均粗さRaの測定方法]
中間品の残留オーステナイトの体積率、及び、中間品の表面の算術平均粗さRaは、次の方法で測定できる。
[残留オーステナイトの体積率]
中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を、X線回折法により求める。具体的には、中間品から、浸炭硬化層を含むサンプルを採取する。サンプルの浸炭硬化層の表面に対してX線回折を実施して、bcc構造の(221)面と、fcc構造の(220)面の回折ピークの積分強度比を得る。得られた回折強度比に基づいて、残留オーステナイトの体積率(%)を求める。光源にはCr管球を使用する。
[表面の算術平均粗さRa]
中間品の浸炭硬化層表面の算術平均粗さRaを、JIS B 0601:2013に規定された測定方法に準拠して測定する。具体的には、中間品の浸炭硬化層の表面において、任意の10箇所を測定箇所とする。測定箇所において、軸方向Lに延びる評価長さで、算術平均粗さRaを測定する。評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とする。算術平均粗さRaの測定は、触針式の粗さ計を用いて行い、測定速度は、0.2mm/secとする。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、算術平均粗さRa(μm)と定義する。
[(2)最表層結晶方位調整工程]
最表層結晶方位調整工程では、JIS B 0601:2013に準拠した浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであり、浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である主体部を備える中間品の浸炭硬化層の最表層領域において、軸方向Lの結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率を高める。
具体的には、中間品の主体部の浸炭硬化層の表面に、中間品よりも硬い圧下工具を荷重200~900Nで押し当てる。さらに、荷重200~900Nでの圧下工具の押し当てながら、圧下工具を浸炭硬化層の表面上で摺動させて、浸炭硬化層の最表層領域を塑性変形させる。以上の工程により、浸炭硬化層の最表層に特定集合組織領域を形成する。以下、この点について説明する。
図5は、表層塑性加工を実施するための装置(表層塑性加工装置)の模式図である。図5を参照して、表層塑性加工装置30は、支持治具31と、圧下工具32とを備える。圧下工具32は半球状の形状を有する。圧下工具32の凸部が中間品100の主体部の浸炭硬化層の表面S100に接触するように、圧下工具32を配置する。支持治具31は、下端に圧下工具32を固定して、圧下工具32を支持する。圧下工具32は、中間品よりも硬い材質からなる。圧下工具32は例えば、超硬工具であり、例えば、ダイヤモンドチップである。
表層塑性加工装置30を用いた表層塑性加工は次のとおり実施される。初めに、表層塑性加工装置30の圧下工具32を、中間品100の浸炭硬化層の表面S100に荷重F1で押し当てる。圧下工具32を荷重F1で押し当てながら、圧下工具32を、浸炭硬化層の表面S100上で摺動させて、浸炭硬化層の最表層領域を塑性変形させる。図5では、圧下工具32を押し当てたまま、中間品100の主体部を、中間品100の主体部の中心軸L1周りに回転させる。このとき、中間品100の主体部を中心軸L1周りに回転させながら、軸方向Lに移動させる。これにより、圧下工具32は、荷重F1で浸炭硬化層の表面S100に押し当てられながら、浸炭硬化層の表面S100上を軸方向Lに摺動する。これにより、中間品100の最表層領域が塑性変形する。このとき、最表層領域において、塑性変形に起因した結晶方位回転が発生する。
表層塑性加工装置30を用いた表層塑性加工では、次の条件を満たす加工を実施する。
(C)表層塑性加工において、圧下工具32を200~900Nの荷重F1で中間品100の主体部の浸炭硬化層の表面に押し当てる。
荷重F1が200N未満であれば、構成(A)及び構成(B)を有する中間品を用いても、最終製品である鋼部品1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率が7.0%未満となる。一方、荷重F1が高すぎれば、鋼部品1の表面に割れが発生してしまう。したがって、荷重F1を200~900Nとする。
上記(A)及び(B)の構成を有する中間品に対して(C)の条件で表層塑性加工を実施すれば、鋼部品1の浸炭硬化層の最表層矩形域20での軸方向Lにおいて、{203}結晶方位の集積度が高まる。その結果、最表層矩形域20での{203}結晶方位の面積率が7.0%以上となる。
以上の製造方法により、本実施形態の鋼部品1は製造される。上記の製造方法は本実施形態の鋼部品1の製造方法の一例である。したがって、鋼部品1が上述の構成を有すれば、本実施形態の鋼部品1は、他の製造方法により製造されてもよい。
以下、実施例により本実施形態の鋼部品1の一態様の効果をさらに具体的に説明する。以下の実施例での条件は、本実施形態の鋼部品1の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例である。したがって、本実施形態の鋼部品1はこの一条件例に限定されない。
表1に示す化学組成を有する鋼材(丸棒)を準備した。
Figure 2023037429000002
表1の各試験番号の鋼材(丸棒)に対して、表2に示す浸炭処理(熱処理)を実施した。
Figure 2023037429000003
表2中の「浸炭種類」欄の「ガス」は、熱処理工程として、以下の条件のガス浸炭処理を実施したことを意味する。「真空」は、熱処理工程として、以下の条件の真空浸炭処理を実施したことを意味する。
[ガス浸炭処理]
ガス浸炭処理を次の条件で実施した。鋼材を熱処理炉に装入し、930℃で60分均熱した。その後、ガス浸炭工程を実施した。具体的には、930℃の浸炭温度で100分保持した。このとき、カーボンポテンシャルCp1及びCp2を0.6~1.2で調整した。ガス浸炭工程後、拡散工程を実施した。拡散工程では、ガス浸炭工程と同じ浸炭温度で60分保持した。カーボンポテンシャルCp1及びCp2を上記の範囲で調整して、中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を調整した。
拡散工程後、焼入れ工程を実施した。焼入れ工程は、ガス浸炭処理と同じ炉内で、拡散工程に引き続き実施した。焼入れ工程では、鋼材を860℃で30分保持した。その後、鋼材を60℃の油を用いて油冷した。
焼入れ工程後の鋼材に対して、焼戻し工程を実施した。焼戻し工程では、丸棒を180℃で120分保持した。その後、鋼材を常温の水を用いて水冷した。
[真空浸炭処理]
真空浸炭処理を次の条件で実施した。鋼材を熱処理炉に装入し、930℃で60分均熱した。その後、炉内を1kPaまで減圧した。減圧後、真空浸炭工程を実施した。具体的には、炉内にアセチレンガスを導入しながら、930℃の浸炭温度で20~120分保持した。真空浸炭工程後、拡散工程を実施した。拡散工程では、アセチレンガスの導入を停止した状態で、減圧下において930℃で60~150分保持した。以上の工程において、真空浸炭工程の保持時間、及び、拡散工程の保持時間を調整して、中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を調整した。
拡散工程後、焼入れ工程を実施した。焼入れ工程は、真空浸炭処理と同じ炉内で、拡散工程に引き続き実施した。焼入れ工程では、鋼材を860℃で30分保持した。その後、鋼材を60℃の油を用いて油冷した。
焼入れ工程後の鋼材に対して、焼戻し工程を実施した。焼戻し工程では、丸棒を180℃で120分保持した。その後、鋼材を大気中で放冷した。
浸炭処理後の鋼材に対して、表面粗さ調整工程を実施した。具体的には、鋼材の表面に対して、研削加工を実施して、表面粗さを調整した。
以上の工程により、各試験番号の中間品を製造した。
[表面粗さ調整工程後の各試験番号の中間品の残留オーステナイトの体積率及び表面の算術平均粗さRaの測定試験]
表面粗さ調整工程後の各試験番号の中間品の残留オーステナイトの体積率及び表面の算術平均粗さRaを次の方法で求めた。
[残留オーステナイトの体積率]
中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を、X線回折法により求めた。具体的には、各試験番号の中間品から、浸炭硬化層を含むサンプルを採取した。サンプルの浸炭硬化層の表面に対してX線回折を実施して、bcc構造の(221)面と、fcc構造の(220)面の回折ピークの積分強度比を得た。得られた回折強度比に基づいて、残留オーステナイトの体積率(%)を求めた。なお、X線回折には、株式会社リガク製の商品名:RINT-2500HL/PCを使用した。また、光源にはCr管球を使用した。得られた残留オーステナイトの体積率を表2の「残留γ(体積%)」欄に示す。
[表面の算術平均粗さRa]
各試験番号の中間品の浸炭硬化層表面の算術平均粗さRaを、JIS B 0601:2013に規定された測定方法に準拠して測定した。具体的には、中間品の浸炭硬化層の表面において、任意の10箇所を測定箇所とした。測定箇所において、軸方向Lに延びる評価長さで、算術平均粗さRaを測定した。評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とした。算術平均粗さRaの測定は、触針式の粗さ計を用いて行い、測定速度は、0.2mm/secとした。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、算術平均粗さRaと定義した。
接触式の粗さ計として、株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定機(商品名:サーフテストSJ-301)を用いた。得られた算術平均粗さRa(μm)を表2の「Ra(μm)」欄に示す。
表面粗さ調整工程後の中間品に対して、最表層結晶方位調整工程を実施した。具体的には、図5に示す表層塑性加工装置30を用いて、各試験番号の中間品に対して、表層塑性加工を実施した。圧下工具32として、ダイヤモンドチップを用いた。表層塑性加工時の荷重F1は、表2の「F1(N)」欄に記載のとおりであった。
以上の製造工程により、円柱状の主体部を有する各試験番号の鋼部品(丸棒)を製造した。
[評価試験]
各試験番号の鋼部品に対して、次の評価試験を実施した。
[最表層領域での{203}結晶方位の面積率測定試験]
各試験番号の鋼部品(丸棒)の主体部の軸方向に垂直な断面を有し、後述の最表層矩形域を含む試験片を採取した。試験片のうち、最表層矩形域を含む断面(鋼部品の軸方向に垂直な断面)を、観察面と定義した。
観察面に対して鏡面研磨を実施した。鏡面研磨された観察面のうち、任意の最表層矩形域(鋼部品の表面を含み、幅が50μm、深さが10μmの矩形領域)を選択した。選択された最表層矩形に対して、EBSD測定を実施した。EBSD測定では、加速電圧を15kVとし、照射間隔を0.04μmとした。EBSD測定により得られた位置情報及び方位情報に基づいて、鋼部品の軸方向の方位マッピングを作成した。作成された方位マッピングにおいて、{203}結晶方位の領域を特定した。このとき、許容方位差を10°とした。また、信頼性指数CI値が0.1よりも大きいデータを採用した。
得られた方位マッピングを用いて、{203}方位の面積率を求めた。具体的には、最表層領域の面積に対する{203}方位の領域の面積の比率を、{203}方位の面積率(%)と定義した。得られた{203}結晶方位の面積率を、表2の「{203}面積率(%)」欄に示す。
[最大静止摩擦係数測定試験]
各試験番号の鋼部品に対して、ブロックオンリング試験を実施して、最大静止摩擦係数を求めた。
図6は、ブロックオンリング試験の模式図である。図6を参照して、ブロックオンリング試験機200は、潤滑油202を貯めた浴槽201と、リング試験片203とを備えた。潤滑油202として、100℃における動粘度が5.4mm/sの市販のエンジンオイルを使用した。
各試験番号の鋼部品の主体部からリング試験片203を作成した。リング試験片203の外径Dは、鋼部品の外径と同じ34.99mmであった。リング試験片203の幅Wは8.74mmであった。リング試験片203の周面は、各試験番号の鋼部品の主体部の浸炭硬化層の表面に相当した。
ブロック試験片300の材質は、SAEO1とした。ブロック試験片300の表面のうち、リング試験片203の周面と接触する表面(接触面という)は長さ6.35mm×幅0.06mmであった。
図6に示すとおり、リング試験片203の下部を浴槽201中の潤滑油202内に漬けた。そして、リング試験片203の上方にブロック試験片300を配置した。このとき、ブロック試験片300の接触面が、リング試験片203の周面に対向するように、ブロック試験片300を配置した。
以上の準備をした後、次の工程1~4を10回繰り返した。
工程1:
ブロック試験片300の上方から下方に向かって100Nの荷重Pで、ブロック試験片
300をリング試験片203の周面に押し付けた。
工程2:
潤滑油202を、ブロック試験片300の接触面と、リング試験片203の周面との間から排出させるため、工程1の状態で30秒保持した。
工程3:
すべり速度0.1m/秒(55rpm)で、リング試験片203の回転を開始し、その後、30秒回転させた。
工程4:
30秒回転させた後、荷重Pを除荷した。その後、リング試験片203の回転を停止した。
工程1~工程4の実施中において、ブロック試験片300に加わる力Fを、ロードセルで測定した。そして、次の式により摩擦係数μ(-)を求めた。
F=μP
得られた摩擦係数μと試験時間との関係とを求めた。図7は、2回目以降の回転試験の摩擦係数のグラフの一例を示す図である。図7のグラフの横軸は時間、縦軸は摩擦係数である。図7を参照して、リング回転時の摩擦係数のピーク(図中の丸領域内)を、静止摩擦係数と定義した。2回目~10回目の試験で得られた静止摩擦係数の算術平均値を、各試験番号の静止摩擦係数(-)と定義した。
なお、1回目の試験では、潤滑油がリング試験片203に十分に馴染んでいないため、1回目の試験で得られた静止摩擦係数は、2回目~10回目の試験で得られた静止摩擦係数よりも顕著に大きかった。そのため、1回目の試験で得られた静止摩擦係数は対象から除外した。
[動摩擦係数測定試験]
各試験番号の鋼部品に対して、静止摩擦係数測定試験と同様のブロックオンリング試験を実施して、動摩擦係数を求めた。
図6に示すブロックオンリング試験において、潤滑油202の動粘度、リング試験片203の外径D、及びリング試験片203の幅W、ブロック試験片300の材質、ブロック試験片300の表面のうち、リング試験片203の周面と接触する接触面のサイズは、いずれも、静止摩擦係数測定試験と同じであった。
図6に示すとおり、リング試験片203の下部を浴槽201中の潤滑油202内に漬けた。そして、リング試験片203の上方にブロック試験片300を配置した。このとき、ブロック試験片300の接触面が、リング試験片203の周面に対向するように、ブロック試験片300を配置した。
以上の準備をした後、次の工程1~3を行った。
工程1:
すべり速度1.0m/秒(550rpm)で、リング試験片203の回転を開始した。
工程2:
ブロック試験片300の上方から下方に向かって300Nの荷重Pで、ブロック試験片
300をリング試験片203の周面に押し付けた。
工程3:
300秒回転させた後、荷重Pを除荷した。その後、リング試験片203の回転を停止した。
工程1~工程3の実施中において、ブロック試験片300に加わる力Fを、ロードセルで測定した。そして、次の式により摩擦係数μ(-)を求めた。
F=μP
300秒間の回転中に得られた摩擦係数μのピークを除いた算術平均値を、各試験番号の動摩擦係数(-)と定義した。
[試験結果]
試験番号1~20は、最表層結晶方位調整工程前の中間品の浸炭硬化層の算術平均粗さRa、及び、浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が適切であった。さらに、最表層結晶方位調整工程での荷重F1が適切であった。そのため、製造された鋼部品の軸方向に垂直な断面のうち、表面(周面)から深さが10μm、幅50μmの最表層矩形域での軸方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率は、7.0%以上であった。その結果、静止摩擦係数が0.185未満と低く、動摩擦係数も0.085未満と低かった。
一方、試験番号21及び22では、最表層結晶方位調整工程前の中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が低すぎた。そのため、鋼部品の最表層矩形域での{203}結晶方位の面積率は、7.0%未満であった。そのため、静止摩擦係数が0.185以上と高く、動摩擦係数も0.085以上と高かった。
試験番号23及び24では、最表層結晶方位調整工程前の中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が高すぎた。そのため、鋼部品の最表層矩形域での{203}結晶方位の面積率は、7.0%未満であった。そのため、静止摩擦係数が0.185以上と高く、動摩擦係数も0.085以上と高かった。
試験番号25及び26では、最表層結晶方位調整工程前の中間品の浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが低すぎた。そのため、鋼部品の最表層矩形域での{203}結晶方位の面積率は、7.0%未満であった。そのため、静止摩擦係数が0.185以上と高く、動摩擦係数も0.085以上と高かった。
試験番号27及び28では、最表層結晶方位調整工程での荷重F1が低すぎた。そのため、鋼部品の最表層矩形域での{203}結晶方位の面積率は、7.0%未満であった。そのため、静止摩擦係数が0.185以上と高く、動摩擦係数も0.085以上と高かった。
以上、本開示の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。したがって、本開示は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。

Claims (7)

  1. 鋼部品であって、
    円板状又は円柱状の主体部を備え、
    前記主体部は、
    表層に形成されている浸炭硬化層と、
    前記浸炭硬化層よりも内部の芯部とを備え、
    前記浸炭硬化層は、
    前記主体部の軸方向に垂直な断面のうち、前記浸炭硬化層の表面を含み、前記浸炭硬化層の表面から深さ10μm、幅50μmの最表層矩形域での前記主体部の軸方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率が7.0%以上である特定集合組織領域を含む、
    鋼部品。
  2. 請求項1に記載の鋼部品であって、
    前記鋼部品はシャフトである、
    鋼部品。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の鋼部品であって、
    前記{203}結晶方位の前記面積率が10.0%以上である、
    鋼部品。
  4. 請求項3に記載の鋼部品であって、
    前記{203}結晶方位の前記面積率が12.5%以上である、
    鋼部品。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の鋼部品の製造方法であって、
    表層に形成されている浸炭硬化層と、前記浸炭硬化層よりも内部の芯部とを備え、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであり、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である、中間品を準備する中間品準備工程と、
    前記中間品の前記浸炭硬化層の表面に、前記中間品よりも硬い圧下工具を荷重200~900Nで押し当てながら、前記圧下工具を前記浸炭硬化層の表面上で摺動させて、前記浸炭硬化層の最表層領域を塑性変形させ、前記特定集合組織領域を形成する、最表層結晶方位調整工程とを備える、
    鋼部品の製造方法。
  6. 請求項5に記載の鋼部品の製造方法であって、
    前記中間品準備工程は、
    鋼材を加工する加工工程と、
    加工された前記鋼材に対して浸炭処理及び焼戻しを実施して、前記鋼材の表層に前記浸炭硬化層を形成し、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を10.0~40.0%とする熱処理工程とを含む、
    鋼部品の製造方法。
  7. 請求項6に記載の鋼部品の製造方法であって、
    前記中間品準備工程はさらに、
    前記熱処理工程後の前記鋼材の前記浸炭硬化層の表面粗さを調整して、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmである前記中間品を製造する表面粗さ調整工程を含む、
    鋼部品の製造方法。
JP2021144187A 2021-09-03 2021-09-03 鋼部品及び鋼部品の製造方法 Pending JP2023037429A (ja)

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