JP2023037408A - スクロール圧縮機及び冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Sayumi Nishikawa
義友 塚
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Abstract

【課題】油上がりを抑制可能なスクロール圧縮機を提供する。【解決手段】スクロール圧縮機は、圧縮機構20、モータ70、モータの駆動力を圧縮機構に伝えるクランク軸80、内部に油溜空間16が形成されるケーシング10、及びモータと油溜空間との間に配置される油分離部材140を備える。油分離部材は、クランク軸の回転軸Oの軸方向視において外縁142が円弧状である。モータのステータ72とケーシングの内面12bとの間には、圧縮後の冷媒が油溜空間に向かって流れる冷媒流路76が形成される。クランク軸の回転軸の軸方向視で、クランク軸の回転軸回りの周方向において、冷媒流路の存在する位置を中央とするクランク軸の周方向に90°の第1角度領域における油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離の平均値daは、第1角度領域以外における油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離の平均値dbよりも小さい。【選択図】図8

Description

スクロール圧縮機、及び、スクロール圧縮機を備える冷凍サイクル装置に関する。
特許文献1(特開2015-38330号公報)のように、モータとケーシング内の油溜空間との間に油分離部材を配置したスクロール圧縮機が知られている。
油分離部材をスクロール圧縮機に設けることで、圧縮機構が吐出し、ステータとケーシングの内面との間の冷媒流路を油溜空間に向かって流れる冷媒から油を分離して、スクロール圧縮機外に冷媒と共に持ち出される油の量を低減することができる。なお、油分離部材が冷媒から分離した油は、油分離部材とケーシングとの間の隙間を通過して、油溜空間へと移動する。
本願開示者は、油分離部材を設けることで上述のようにスクロール圧縮機外への油の持ち出しを低減できるものの、ステータとケーシングの内面との間の冷媒流路を油溜空間に向かって流れる冷媒が、油分離部材とケーシングとの間の隙間を通過して油溜空間内の油に衝突して油を巻き上げる結果、油が冷媒と共にスクロール圧縮機外に持ち出される可能性があることを見出した。そして、スクロール圧縮機を使用する冷凍サイクル装置において、スクロール圧縮機外への油の持ち出し量が増えると、冷凍サイクル装置の熱交換器の伝熱効率が低下する、スクロール圧縮機が故障する、等の不具合が生じ得る。
第1観点のスクロール圧縮機は、圧縮機構と、モータと、クランク軸と、ケーシングと、油分離部材と、を備える。モータは、ステータとロータとを有する。クランク軸は、モータの駆動力を圧縮機構に伝える。ケーシングは、圧縮機構、モータ及びクランク軸を収容する。ケーシングの内部には、油溜空間が形成される。油分離部材は、モータと油溜空間との間に配置される。油分離部材は、クランク軸の回転軸の軸方向視において外縁が円弧状である。ステータとケーシングの内面との間には、圧縮機構が吐出する圧縮後の冷媒が、油溜空間に向かって流れる冷媒流路が形成される。クランク軸の回転軸の軸方向視で、クランク軸の回転軸回りの周方向において冷媒流路の存在する位置を中央とする90°の第1角度領域における油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離の平均値は、第1角度領域以外における油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離の平均値よりも小さい。
第1観点のスクロール圧縮機では、ステータとケーシングの内面との間の冷媒流路を油溜空間に向かって流れる冷媒が、油分離部材とケーシングとの間の隙間を通過して油溜空間内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機外への油の持ち出し(油上がり)を抑制できる。
第2観点のスクロール圧縮機は、第1観点のスクロール圧縮機であって、第1角度領域内に、油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離が最小になる第1区画が含まれる。
第2観点のスクロール圧縮機では、冷媒が油分離部材とケーシングとの間の隙間を通過して油溜空間内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機外への油の持ち出しが抑制されやすい。
第3観点のスクロール圧縮機は、第2観点のスクロール圧縮機であって、軸方向視で、クランク軸の回転軸回りの周方向において、第1角度領域のうち、冷媒流路の存在する角度領域内に第1区画が配置される。
第3観点のスクロール圧縮機では、油分離部材とケーシングとの間の隙間を冷媒が通過して油溜空間内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機外への油の持ち出しが抑制されやすい。
第4観点のスクロール圧縮機は、第2観点又は第3観点のスクロール圧縮機であって、油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離の最小値は、1mm以下である。
第4観点のスクロール圧縮機では、第1区画において油分離部材とケーシングとの間の隙間を冷媒が通過して油溜空間内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機外への油の持ち出しが抑制されやすい。
第5観点のスクロール圧縮機は、第1観点のスクロール圧縮機であって、第1角度領域内に、油分離部材の外縁とケーシングの内面とが接触する第2区画が含まれる。
第5観点のスクロール圧縮機には、第1角度領域内に油分離部材の外縁とケーシングの内面とが接触する区画(油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離がゼロとなる区画)が存在する。そのため、第5観点のスクロール圧縮機では、冷媒が油分離部材とケーシングとの間の隙間を通過して油溜空間内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機外への油の持ち出しが抑制されやすい。
第6観点のスクロール圧縮機は、第1観点から第5観点のいずれかのスクロール圧縮機であって、軸方向視において、油分離部材の外縁は、第1点を中心とする円弧形状である。軸方向視において、ケーシングの内面は、第2点を中心とする円形状である。軸方向視において、第1点は、第2点に対し、第1角度領域側にずれて配置されている。
第6観点のスクロール圧縮機では、スクロール圧縮機の組立の際に、油分離部材をケーシングの中心に対して第1角度領域側にずらして配置することで、特殊な形状の油分離部材を用いなくても、第1角度領域における油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離の平均値を、第1角度領域以外における油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離の平均値より小さくできる。
第7観点のスクロール圧縮機は、第1観点から第5観点のいずれかのスクロール圧縮機であって、軸方向視において、油分離部材の外縁は、第1点を中心とする円弧形状である。第1角度領域における油分離部材の外縁の第1点からの平均半径は、第1角度領域以外における油分離部材の外縁の第1点からの平均半径よりも大きい。
第7観点のスクロール圧縮機では、スクロール圧縮機の組立時に特別な配慮をしなくても、第1角度領域における油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離の平均値を、第1角度領域以外における油分離部材の外縁とケーシングの内面との距離の平均値より小さくできる。
第8観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第7観点のいずれかのスクロール圧縮機と、凝縮器と、蒸発器と、膨張機構と、を有する冷媒回路を備える。
第8観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第7観点のいずれかのスクロール圧縮機を圧縮機として用いることで、スクロール圧縮機外への油の持ち出しに伴う不具合の発生を抑制できる。
一実施形態に係る冷凍サイクル装置の概略構成図である。 一実施形態に係るスクロール圧縮機の概略縦断面図である。 図2のIII-III矢視の概略断面図である。 クランク軸の回転軸の軸方向視における、図2のスクロール圧縮機の下部ハウジングの平面図である。 クランク軸の回転軸の軸方向視における、図2のスクロール圧縮機の油分離部材の平面図である。 クランク軸の回転軸の軸方向視における、図4の下部ハウジングに図5の油分離部材が重ねられた状態の平面図である。 図2のスクロール圧縮機の内部を描画した、スクロール圧縮機の部分的な透視斜視図である。 図2のスクロール圧縮機内の冷媒の流れを説明するための、スクロール圧縮機内を模式的に示した部分的な縦断面図である。 図2のスクロール圧縮機の、油分離部材の外縁とケーシングの内面との隙間の大きさを説明するための図であり、ケーシングの円筒部材の断面と、油分離部材の輪郭とを模式的に示した図である。 油分離部材の外縁とケーシングの内面との隙間の大きさの他の例を説明するための図であり、ケーシングの円筒部材の断面と、油分離部材の輪郭とを模式的に示した図である。 変形例Aのスクロール圧縮機の、ケーシングの円筒部材の断面と、油分離部材の輪郭とを模式的に示した図である。
本開示のスクロール圧縮機及び、本開示のスクロール圧縮機を備える冷凍サイクル装置の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
以下では、特にスクロール圧縮機における位置や向きを説明するため、「上」、「下」等の表現を用いる場合がある。これらの表現は、説明の便宜上用いるものであって、本開示を限定するものではない。なお、断りの無い場合、「上」、「下」等の表現の表す位置や向きは、図中の矢印に従う。
また、以下では、「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」等の表現を用いる場合があるが、これらの表現は、厳密な意味で「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」である場合に限定されない。「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」等の表現は、実質的に「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」である場合を含む意味で用いられる。
(1)冷凍サイクル装置の構成
一実施形態に係る、スクロール圧縮機100を備えた冷凍サイクル装置1000について、図1を参照しながら説明する。図1は、冷凍サイクル装置の一実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。
冷凍サイクル装置1000は、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用して、温度調整対象を冷却したり、加熱したりする装置である。冷凍サイクル装置1000は、例えば、温度調整対象としての空調対象空間の空気を冷却したり加熱したりする空気調和装置である。ここでは、冷凍サイクル装置1000が空気調和装置である場合を例に、冷凍サイクル装置1000を説明する。ただし、冷凍サイクル装置1000の種類は、空気調和装置に限定されるものではなく、給湯装置、床暖房装置、冷蔵装置等であってもよい。
冷凍サイクル装置1000は、図1のように、主として冷媒回路600を備える。冷媒回路600は、図1のように、スクロール圧縮機100と、流路切換機構200と、熱源熱交換器300と、利用熱交換器400と、膨張機構500と、を有する。冷媒回路600では、スクロール圧縮機100と、流路切換機構200と、熱源熱交換器300と、利用熱交換器400と、膨張機構500と、が、冷媒配管により接続されている。
スクロール圧縮機100は、冷凍サイクルにおける低圧(以後、単に低圧と呼ぶ場合がある)のガス冷媒を吸入して加圧し、冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒(以後、単に高圧と呼ぶ場合がある)として吐出する装置である。スクロール圧縮機100についての詳細は後述する。
流路切換機構200は、冷媒回路600の状態を、冷房状態と、暖房状態と、の間で切り換える機構である。限定するものではないが、流路切換機構200は、四路切換弁である。冷媒回路600が冷房状態にある時には、冷媒は、スクロール圧縮機100、流路切換機構200、熱源熱交換器300、膨張機構500、利用熱交換器400、流路切換機構200、スクロール圧縮機100の順に冷媒回路600を流れる(図1の流路切換機構200内の実線を参照)。冷媒回路600が暖房状態にある時には、冷媒は、スクロール圧縮機100、流路切換機構200、利用熱交換器400、膨張機構500、熱源熱交換器300、流路切換機構200、スクロール圧縮機100の順に冷媒回路600を流れる(図1の流路切換機構200内の破線を参照)。
熱源熱交換器300は、熱源となる媒体(例えば空気)と冷媒との間で熱交換を行わせる熱交換器である。冷媒回路600の状態が冷房状態にある時、熱源熱交換器300は、冷媒の凝縮器(放熱器)として機能する。冷媒回路600の状態が暖房状態にある時、熱源熱交換器300は、冷媒の蒸発器(吸熱器)として機能する。
利用熱交換器400は、温度調整対象(ここでは、空調対象空間の空気)と冷媒との間で熱交換を行わせる熱交換器である。冷媒回路600の状態が冷房状態にある時、利用熱交換器400は、冷媒の蒸発器(吸熱器)として機能する。冷媒回路600の状態が暖房状態にある時、利用熱交換器400は、冷媒の凝縮器(放熱器)として機能する。
膨張機構500は、膨張機構500を通過する高圧の冷媒(主に液体の冷媒)を減圧し、低圧の冷媒(液体と気体とからなる二相の冷媒)にする。膨張機構500は、例えば電子膨張弁である。ただし、膨張機構500の種類は電子膨張弁に限定されず、感温筒を有する温度自動膨張弁や、キャピラリチューブであってもよい。
冷凍サイクル装置1000の行う冷房運転と暖房運転とについて説明する。
冷凍サイクル装置1000が冷房運転を行う場合、スクロール圧縮機100は、低圧のガス冷媒を吸入して加圧し、高圧のガス冷媒として吐出する。スクロール圧縮機100が吐出する高圧のガス冷媒は、流路切換機構200を通過して、凝縮器として機能する熱源熱交換器300に供給される。熱源熱交換器300は、熱源となる媒体と高圧のガス冷媒とを熱交換させて、高圧のガス冷媒を凝縮させ、高圧の液冷媒にする。熱源熱交換器300から流出する高圧の液冷媒は、膨張機構500を通過して低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器として機能する利用熱交換器400に供給される。利用熱交換器400は、空調対象空間の空気と低圧の気液二相冷媒とを熱交換させて、気液二相冷媒に含まれる液冷媒を蒸発させ、低圧のガス冷媒にする。この際、空調対象空間の空気は、冷媒により冷却される。利用熱交換器400から流出する低圧のガス冷媒は、流路切換機構200を通過し、スクロール圧縮機100に再び吸入される。
冷凍サイクル装置1000が暖房運転を行う場合、スクロール圧縮機100は、低圧のガス冷媒を吸入して加圧し、高圧のガス冷媒として吐出する。スクロール圧縮機100が吐出する高圧のガス冷媒は、流路切換機構200を通過して、凝縮器として機能する利用熱交換器400に供給される。利用熱交換器400は、空調対象空間の空気と高圧のガス冷媒とを熱交換させて、高圧のガス冷媒を凝縮させ、高圧の液冷媒にする。この際、空調対象空間の空気は、冷媒により加熱される。利用熱交換器400から流出する高圧の液冷媒は、膨張機構500を通過して低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器として機能する熱源熱交換器300に供給される。熱源熱交換器300は、熱源となる媒体と低圧の気液二相冷媒とを熱交換させて、気液二相冷媒に含まれる液冷媒を蒸発させ、低圧のガス冷媒にする。熱源熱交換器300から流出する低圧のガス冷媒は、流路切換機構200を通過し、スクロール圧縮機100に再び吸入される。
なお、ここでは、冷凍サイクル装置1000の一例としての空気調和装置が、冷房運転と暖房運転とを実行する装置である場合を例に説明したが、空気調和装置は、冷房運転と暖房運転との一方だけを行う装置であってもよい。この場合には、冷凍サイクル装置1000の一例としての空気調和装置は、流路切換機構200を有していなくてもよい。
(2)スクロール圧縮機の全体構成
一実施形態に係るスクロール圧縮機100の概要を、図2を参照しながら説明する。図2は、スクロール圧縮機100の概略縦断面図である。
スクロール圧縮機100は、前述のように冷凍サイクル装置1000において用いられ、低圧のガス冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して高圧のガス冷媒にして吐出する。冷媒は、例えばHFC冷媒のR32である。なお、R32は冷媒の種類の例示に過ぎず、スクロール圧縮機100は、R32以外のHFC冷媒や、HFO冷媒を圧縮する装置であってもよい。また、例えば、スクロール圧縮機100は、二酸化炭素等の自然冷媒を圧縮して吐出する装置であってもよい。
スクロール圧縮機100は、図2に示すように、ケーシング10と、圧縮機構20と、モータ70と、クランク軸80と、冷媒ガイド130と、下部ハウジング90と、油分離部材140と、を主に有する。
(3)スクロール圧縮機の詳細構成
ケーシング10、圧縮機構20、モータ70、クランク軸80、冷媒ガイド130、下部ハウジング90、及び油分離部材140の詳細を、図2に加えて、図3~図9を参照しながら説明する。
図3は、図2のII-II矢視の概略断面図である。図4は、下部ハウジング90を、クランク軸80の回転軸Oの軸方向視における、下部ハウジング90の平面図である。以後、クランク軸80の回転軸Oの軸方向を、単にクランク軸80の軸方向と呼ぶ場合がある。図5は、クランク軸80の回転軸Oの軸方向視における、油分離部材140の平面図である。図6は、クランク軸80の回転軸Oの軸方向視における、下部ハウジング90に油分離部材140が重ねられた状態の平面図である。図7は、スクロール圧縮機100の内部を描画した、スクロール圧縮機100の部分的な透視斜視図である。図8は、スクロール圧縮機100内の冷媒の流れを説明するための、スクロール圧縮機100内を模式的に示した部分的な縦断面図である。図9は、油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの隙間の大きさを説明するための図であり、ケーシング10の円筒部材12の断面と、油分離部材140の輪郭とを模式的に示した図である。なお、これらの図面は、説明のための図に過ぎず、本開示の内容を限定するものではない。
(3-1)ケーシング
スクロール圧縮機100は、縦長円筒状のケーシング10を有する(図2参照)。
ケーシング10は、図2に示すように、円筒部材12と、上蓋14aと、下蓋14bと、を主に有する。円筒部材12は、中心軸Ocに沿って延びる上下が開口した円筒状の部材である。上蓋14aは、円筒部材12の上方に設けられ、円筒部材12の上方の開口を塞ぐ。下蓋14bは、円筒部材12の下方に設けられ、円筒部材12の下方の開口を塞ぐ。円筒部材12と、上蓋14a及び下蓋14bとは、気密を保つように溶接により固定される。
ケーシング10は、圧縮機構20、モータ70、クランク軸80、冷媒ガイド130、下部ハウジング90、及び油分離部材140を含む、スクロール圧縮機100を構成する各種部材を内部に収容する(図2参照)。ケーシング10内の上部には、圧縮機構20が配置されている。圧縮機構20の下方には、モータ70が配置されている。圧縮機構20とモータ70との間には、冷媒ガイド130が配置されている。モータ70の下方には、下部ハウジング90が配置されている。下部ハウジング90の上部には、油分離部材140が取り付けられている。油分離部材140の下方の、ケーシング10の底部には、油溜空間16が形成されている。油溜空間16には、スクロール圧縮機100の各種摺動部を潤滑するための油(冷凍機油)が溜められている。
モータ70は、スクロール圧縮機100の第1空間S1に配置される。第1空間S1は、ケーシング10の内部の、圧縮機構20のハウジング50より下方の空間である。本実施形態では、第1空間S1は、圧縮機構20により圧縮された高圧の冷媒が流入する空間である。言い換えれば、本実施形態のスクロール圧縮機100は、いわゆる高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。
ケーシング10には、吸入管18a、吐出管18b及びインジェクション管18cが、ケーシング10の内部と外部とを連通するように取り付けられている(図2参照)。
吸入管18aは、図2のように、ケーシング10の上蓋14aを貫通して設けられる。吸入管18aの一端(ケーシング10の外部の端部)は、冷凍サイクル装置の図示しない配管に接続され、吸入管18aの他端(ケーシング10の内部の端部)は、圧縮機構20の固定スクロール30の吸入ポート36aに接続される。吸入管18aは、吸入ポート36aを介して後述する圧縮機構20の外周側の圧縮室Scと連通する。スクロール圧縮機100は、吸入管18aを介して、冷凍サイクル装置の冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入する。
吐出管18bは、図2のように、円筒部材12の上下方向における中央部に、円筒部材12を貫通して設けられる。吐出管18bの一端(ケーシング10の外部の端部)は、冷凍サイクル装置の図示しない配管に接続され、吐出管18bの他端(ケーシング10の内部の端部)は、第1空間S1のハウジング50とモータ70との間に配置される。スクロール圧縮機100は、圧縮機構20による圧縮後の高圧の冷媒を吐出管18bを介して吐出する。
インジェクション管18cは、図2のように、ケーシング10の上蓋14aを貫通して設けられる。インジェクション管18cの一端(ケーシング10の外部の端部)は、冷凍サイクル装置の図示しない配管に接続され、インジェクション管18cの他端(ケーシング10の内部の端部)は、圧縮機構20の固定スクロール30に接続される。インジェクション管18cは、固定スクロール30に形成された図示しない通路を介して、圧縮機構20の圧縮途中の圧縮室Scと連通している。インジェクション管18cが連通する圧縮途中の圧縮室Scには、冷凍サイクル装置の冷媒回路から、冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒が、インジェクション管18cを介して供給される。なお、冷凍サイクルにおける中間圧とは、冷凍サイクルにおける低圧と高圧との中間の圧力を意味する。以後、冷凍サイクルにおける中間圧と記載する代わりに、単に中間圧と呼ぶ場合がある。
(3-2)圧縮機構
圧縮機構20は、固定スクロール30と、可動スクロール40と、ハウジング50と、を主に有する。固定スクロール30と可動スクロール40とは、組み合わされて圧縮室Scを形成する。圧縮機構20は、圧縮室Scで冷媒を圧縮し、圧縮後の冷媒を吐出する。
(3-2-1)固定スクロール
固定スクロール30は、ハウジング50上に載置され、図示しない固定手段(例えばボルト)によりハウジング50に固定されている。
固定スクロール30は、図2に示すように、固定側鏡板32と、固定側ラップ34と、周縁部36と、を主に有する。
固定側鏡板32は、円板状の部材である。固定側ラップ34は、固定側鏡板32の前面32a(下面)から可動スクロール40側に突出する壁状の部材である。固定スクロール30を下方から見ると、固定側ラップ34は、固定側鏡板32の中心付近から外周側に向かって渦巻状(インボリュート形状)に形成されている。周縁部36は、固定側鏡板32の前面32aから可動スクロール40側に突出する厚肉円筒状の部材である。周縁部36は、固定側ラップ34の周囲を取り囲むように配置される。周縁部36には、吸入ポート36aが形成される。吸入ポート36aには、吸入管18aの下端が接続される。
固定スクロール30の固定側ラップ34と、後述する可動スクロール40の可動側ラップ44とは、組み合わされて圧縮室Scを形成する。具体的には、固定スクロール30と可動スクロール40とは、固定側鏡板32の前面32aと後述する可動側鏡板42の前面42a(上面)とが対向する状態で組み合わされる。その結果、固定側鏡板32と、固定側ラップ34と、可動側ラップ44と、後述する可動スクロール40の可動側鏡板42と、に囲まれた圧縮室Scが形成される(図2参照)。可動スクロール40が固定スクロール30に対して旋回すると、吸入管18aから吸入ポート36aを介して周縁側の圧縮室Scに流入した低圧の冷媒は、中央側の圧縮室Scへと移動するにつれ圧縮されて圧力が上昇する。
固定側鏡板32の略中心には、圧縮機構20により圧縮された冷媒を吐出する吐出ポート33が、固定側鏡板32を厚さ方向(上下方向)に貫通して形成されている(図2参照)。吐出ポート33は、圧縮機構20の中心側(最内側)の圧縮室Scと連通している。固定側鏡板32の上方には、吐出ポート33を開閉する吐出弁22が取り付けられている。吐出ポート33が連通する最内側の圧縮室Scの圧力が、吐出弁22より上方の吐出空間Saの圧力に比べて所定値以上大きくなった場合、吐出弁22が開き、最内側の圧縮室Scの冷媒が吐出ポート33を通過して固定側鏡板32の上方の吐出空間Saに流入する。吐出空間Saは、固定スクロール30及びハウジング50にわたって形成されている冷媒通路26(図8参照)と連通している。冷媒通路26は、吐出空間Saとハウジング50の下方の第1空間S1とを連通する通路である。冷媒通路26には、固定スクロール30に形成されている第1通路26aと、ハウジング50に形成されている第2通路26bと、を含む。第1通路26aの一端は、吐出空間Saに開口している。第1通路26aの他端は、第2通路26bの一端と連通している。第2通路26bの他端は、第1空間S1に開口している。吐出空間Saに流入する圧縮機構20による圧縮後の冷媒は、第1通路26a、第2通路26bを順に通過して第1空間S1へ流入する。
(3-2-2)可動スクロール
可動スクロール40は、図2に示すように、可動側鏡板42と、可動側ラップ44と、ボス部46と、を主に有する。
可動側鏡板42は、円板状の部材である。可動側ラップ44は、可動側鏡板42の前面42a(上面)から固定スクロール30側に突出する壁状の部材である。可動スクロール40を上方から見ると、可動側ラップ44は、可動側鏡板42の中心付近から外周側に向かって渦巻状(インボリュート形状)に形成されている。ボス部46は、可動側鏡板42の背面42b(下面)からモータ70側に突出する円筒状の部材である。
スクロール圧縮機100の運転中には、可動スクロール40は、可動側鏡板42の背面42b側の、後述するクランク室52及び背圧空間54の圧力により固定スクロール30に押し付けられる。可動スクロール40が固定スクロール30に押し付けられることで、固定側ラップ34の歯先と可動側鏡板42との間の隙間や、可動側ラップ44の歯先と固定側鏡板32との間の隙間からの冷媒の漏れが抑制される。
ボス部46は、ハウジング50により形成される後述するクランク室52内に配置される。ボス部46は、円筒状に形成されている。ボス部46は、可動側鏡板42の背面42bから下方に突出するように延びる。円筒状のボス部46の上部は、可動側鏡板42により閉じられている。ボス部46の中空部には、軸受メタル47が配置される。ボス部46の中空部には、後述するクランク軸80の偏心部84が挿入される(図2参照)。クランク軸80は、後述するようにモータ70のロータ74と連結されているため、モータ70が運転されてロータ74が回転すると、可動スクロール40が旋回する。
なお、モータ70により旋回させられる可動スクロール40は、可動スクロール40の背面42b側に配置されているオルダム継手24(図2参照)の働きで、自転することなく、固定スクロール30に対して公転する。
可動スクロール40が固定スクロール30に対して公転させられると、圧縮機構20の圧縮室Sc内のガス冷媒が圧縮される。具体的には、可動スクロール40が公転させられると、吸入管18aから吸入ポート36aを介して周縁側の圧縮室Scにガス冷媒が吸引され、その後、圧縮室Scは圧縮機構20の中心側(固定側鏡板32の中心側)に移動する。圧縮室Scが圧縮機構20の中心側に移動するにつれ、圧縮室Scの容積は減少し、圧縮室Sc内の圧力が上昇する。その結果、中央側の圧縮室Scは、周縁側の圧縮室Scに比べ高い圧力になる。圧縮機構20により圧縮されて高圧となったガス冷媒は、中央側の圧縮室Scから固定側鏡板32に形成された吐出ポート33を通って吐出空間Saに吐出される。吐出空間Saに吐出された冷媒は、固定スクロール30及びハウジング50に形成された冷媒通路26を通過して、ハウジング50の下方の第1空間S1へ流入する。
(3-2-3)ハウジング
ハウジング50は、固定スクロール30及び可動スクロール40を支持する。また、ハウジング50は、クランク軸80を軸支する。
ハウジング50は、図2のように、本体部120と、上部軸受ハウジング110と、を主に含む。
本体部120は、ケーシング10に固定される円筒状の部分である。上部軸受ハウジング110も、円筒状に形成される。上部軸受ハウジング110は、クランク軸80の軸方向において、本体部120よりモータ70側に配置される。
本体部120には、固定スクロール30が固定されている。具体的には、固定スクロール30は、固定スクロール30の周縁部36の下面がハウジング50の上面と対向する状態でハウジング50に載置され、図示しない固定部材(例えばボルト)によりハウジング50に固定されている。ハウジング50は、本体部120に固定されている固定スクロール30を支持する。本体部120には、上述の冷媒通路26の第2通路26bが形成されている。
ハウジング50は、固定スクロール30に加え、固定スクロール30とハウジング50の本体部120との間に配置される可動スクロール40を支持する。具体的には、ハウジング50は、可動スクロール40を、ハウジング50の上方に配置されているオルダム継手24を介して下方から支持する。
本体部120は、ケーシング10の円筒部材12の内面12bに固定されている。具体的には、ハウジング50は、ケーシング10の円筒部材12に圧入されており、本体部120の外周面122は、クランク軸80の軸方向において、少なくとも部分的に、全周にわたって円筒部材12の内面12bと密接している。ハウジング50は、更に溶接によってケーシング10の円筒部材12に固定されてもよい。
本体部120は、図2に示すように、中央に凹むように配置される第1凹部56と、第1凹部56を囲むように配置される第2凹部58と、を有する。第1凹部56は、可動スクロール40のボス部46が配置されるクランク室52の側面を囲む。第2凹部58は、可動側鏡板42の背面42b側に環状の背圧空間54を形成する。
スクロール圧縮機100の定常運転時には(スクロール圧縮機100の運転が安定した状態では)、クランク室52の圧力は、冷凍サイクルにおける高圧になる。その結果、スクロール圧縮機100の定常運転時には、クランク室52に面する可動側鏡板42の背面42bの中央部は、高圧で固定スクロール30に向かって押される。
背圧空間54は、スクロール圧縮機100の運転中に可動スクロール40が旋回すると、可動スクロール40が1回転する間に、所定の期間、可動側鏡板42に形成されている図示しない穴を介して圧縮途中の圧縮室Scと連通する。そのため、スクロール圧縮機100の定常運転時には、背圧空間54の圧力は、冷凍サイクルにおける中間圧になる。その結果、スクロール圧縮機100の定常運転時には、背圧空間54に面する可動側鏡板42の背面42bの周縁部は、中間圧で固定スクロール30に向かって押される。
なお、クランク室52と背圧空間54とは、第1凹部56と第2凹部58との境界に配置されている環状の壁部57により隔てられている(図2参照)。可動側鏡板42の背面42bと対向する壁部57の上端には、クランク室52と背圧空間54との間をシールするように、図示しないシールリングが配置されている。
上部軸受ハウジング110は、円筒状に形成されている。円筒状の上部軸受ハウジング110の内部には、クランク軸80を回転可能に支持する軸受メタル112が設けられる。スクロール圧縮機100の運転中、クランク軸80には、クランク軸80を転倒させるようなモーメントが作用する場合がある。クランク軸80にモーメントが作用した際に上部軸受ハウジング110の傾きを許容するように、上部軸受ハウジング110と本体部120との接続部には弾性溝115が形成される。
(3-3)冷媒ガイド
クランク軸80の軸方向において、ハウジング50とモータ70との間には、冷媒ガイド130が配置されている。冷媒ガイド130は、ケーシング10の円筒部材12の内面12bに取り付けられている。
冷媒ガイド130には、固定スクロール30及びハウジング50に形成されている冷媒通路26を通過してくる冷媒が流入する。本実施形態では、具体的には、冷媒通路26から下方に吹き出す冷媒が、上部の開口部から、冷媒ガイド130に流入する。冷媒ガイド130は、流入した冷媒を、2つの方向に案内する。具体的には、冷媒ガイド130は、流入した冷媒を、ケーシング10の円筒部材12の周方向と、クランク軸80の軸方向であってモータ70へと向かう方向(本実施形態では下方)と、に案内する。この結果、冷媒通路26を通過してくる冷媒の一部は、水平に進行しながら、円筒部材12の内面に沿って旋回する流れを形成する。また、冷媒通路26を通過してくる冷媒の他の一部は、下方へ進行し、後述するモータ70のステータ72のステータコア73の切り欠き73aの少なくとも1つと、円筒部材12の内面12bの間に形成される冷媒流路76へと導かれる。
(3-4)モータ
モータ70は、ケーシング10の円筒部材12の内面12bに固定された環状のステータ72と、ステータ72の内側に配置されたロータ74と、を有する(図2参照)。
ステータ72は、主として、ステータコア73と、図示を省略するコイルとから構成される(図2及び図3参照)。ステータコア73は、ケーシング10の円筒部材12の内面12bに固定される円筒形状の部材である。ステータコア73は、図3のように、その内周側に、ロータ74に向かって延びる複数のティース73bを有する。ティース73bに巻線が巻き回されることで、ステータ72のコイルが形成される。
ステータコア73は、固定方法を限定するものではないが、例えば圧入により円筒部材12に固定される。ステータコア73は、前述のように円筒形状の部材であり、その外周面は円筒部材12の内面12bと密接する。ただし、円筒形状のステータコア73の外周面には、軸方向に延びるコアカットとも呼ばれる切り欠き73aが形成されている。切り欠き73aは、クランク軸80の回転軸Oの軸方向に沿って、ステータコア73の全長にわたって形成される。ステータコア73の切り欠き73aの部分は、円筒部材12の内面12bとは接触せず、ステータコア73の切り欠き73aと円筒部材12の内面12bとの間には空間が形成される。
1のステータコア73の切り欠き73aと円筒部材12の内面12bとの間に形成される空間は、冷媒ガイド130が下方へとガイドする冷媒(圧縮機構20が吐出する圧縮後の冷媒)が油溜空間16に向かって流れる冷媒流路76として機能する(図3参照)。
他の1のステータコア73の切り欠き73aと円筒部材12の内面12bとの間に形成される空間は、圧縮機構20の摺動部分等を潤滑した油を下方の油溜空間16へと導く油戻し流路78として主に機能する(図3参照)。
その他のステータコア73の切り欠き73aと円筒部材12の内面12bとの間に形成される空間は、冷媒流路76を流れた冷媒が、モータ70とハウジング50との間の空間へと戻る際に流れる流路として機能する。
ロータ74は、ステータ72の内側に、ステータ72と僅かな隙間(エアギャップ75)を空けて回転自在に収容される(図3参照)。ロータ74は、クランク軸80を介して、圧縮機構20の可動スクロール40と連結されている。具体的には、ロータ74は、クランク軸80を介して、可動スクロール40のボス部46と連結されている(図2参照)。モータ70は、ロータ74を回転させることで、可動スクロール40を旋回させる。
(3-5)クランク軸
クランク軸80は、モータ70の駆動力を圧縮機構20に伝える部材である。具体的には、クランク軸80は、モータ70のロータ74と、圧縮機構20の可動スクロール40とを連結する。クランク軸80は、図2のように回転軸Oに沿って延びる。本実施形態のスクロール圧縮機100では、回転軸Oは上下方向である。クランク軸80は、回転軸O周りを回転する。本実施形態では、クランク軸80の回転軸Oと、ケーシング10の円筒部材12の中心軸Ocとは一致する。クランク軸80は、モータ70の駆動力を圧縮機構20の可動スクロール40に伝達する。
クランク軸80は、主軸82と、偏心部84と、を主に有する(図2参照)。
主軸82は、油溜空間16からクランク室52まで上下方向に延びる。主軸82は、上部軸受ハウジング110の軸受メタル112、及び後述する下部ハウジング90の軸受メタル91により、回転自在に支持される。また、主軸82は、ハウジング50の上部軸受ハウジング110と下部ハウジング90との間で、モータ70のロータ74に挿通され、ロータ74に連結される。主軸82の中心軸は、クランク軸80の回転軸Oと一致する。
偏心部84は、主軸82の端部(本実施形態では上端)に配置されている。偏心部84の中心軸は、クランク軸80の回転軸Oに対して偏心している。偏心部84は、可動スクロール40のボス部46の内部に挿入され、ボス部46の内部に配置されている軸受メタル47により回転可能に支持されている。
クランク軸80の内部には、油通路86が形成されている。油通路86は、主経路86aと、分岐経路(図示せず)と、を有する。主経路86aは、クランク軸80の中心軸Ocに沿って、クランク軸80の下端から上端まで延びる。分岐経路は、主経路から、クランク軸80の軸方向と交差する方向に延びる。油溜空間16の油は、クランク軸80の下端に設けられたポンプ(図示せず)により汲み上げられ、油通路86を通って、クランク軸80と軸受メタル47,112,91との摺動部や、圧縮機構20の摺動部等に供給される。
(3-6)下部ハウジング
下部ハウジング90は、図2及び図4に示すように、下部軸受92と、アーム94と、を主に含む。下部ハウジング90は、クランク軸80を軸支するための構造である。また、下部ハウジング90は、下部ハウジング90に取り付けられる油分離部材140を支持するための構造である。
下部軸受92は、クランク軸80を回転可能に支持する。下部軸受92は、クランク軸80を回転可能に支持する軸受メタル91を含む。
アーム94は、下部軸受92を支持する。アーム94は、棒状の部材である。下部ハウジング90は、複数のアーム94を含む。アーム94の数を限定するものではないが、下部ハウジング90は3本のアーム94を有する(図4参照)。各アーム94は、下部軸受92から、ケーシング10に向かって延びる。3本のアーム94は、下部軸受92の外周面に、クランク軸80の周方向に概ね等間隔だけ離して(約120度ずつ離して)設けられている。3本のアーム94の端部は、ケーシング10(特にはケーシング10の円筒部材12の内面12b)に固定される。
(3-7)油分離部材
油分離部材140は、冷媒と油とを分離するための部材である。また、油分離部材140は、冷媒が油溜空間16に存在する油の油面に衝突して油を飛散させることを抑制するための部材である。
油分離部材140は、形状や構造を限定するものではないが、図5及び図7に示すような、薄肉の板を成形して形成されている概ね円環状の部材である。油分離部材140は、モータ70と、油溜空間16との間に配置される。油分離部材140は、下部ハウジング90に取り付けられ、下部ハウジング90により支持される。ただし、これに限定されるものではなく、油分離部材140は、下部ハウジング90以外の部材に取り付けられ、この部材により支持されてもよい。
クランク軸80の軸方向視において、油分離部材140の外縁142は、円弧状である。本実施形態では、油分離部材140の外縁142の円弧の半径は、ケーシング10の円筒部材12の内半径と概ね等しい。ただし、油分離部材140をケーシング10の円筒部材12の内部に収容できるように、油分離部材140の外縁142の円弧の半径は、ケーシング10の円筒部材12の内半径よりは小さい。油分離部材140の外縁142の円弧の半径が、ケーシング10の円筒部材12の内半径より小さいため、油分離部材140の外縁142と、ケーシング10の円筒部材12の内面12bとの間には、少なくとも部分的に隙間が生じる。
油分離部材140の外周は、図6に示すように全体が円弧状であるのではなく、部分的に、内周側に凹むように切り欠き144及び切り欠き146が形成されている。
切り欠き144は、油分離部材140が取り付けられている下部ハウジング90のアーム94を収容する(図6のように、外周側の端部において上方側に延びるアーム94を差し込む)ための切り欠きである。クランク軸80の軸方向視において、油分離部材140には、図6のように、下部ハウジング90のアーム94と同数の切り欠き144が、下部ハウジング90のアーム94のそれぞれに対応する位置に設けられている。
切り欠き146は、油を油溜空間16へ導くための切り欠きである。切り欠き146は、ステータコア73の1の切り欠き73aと円筒部材12の内面12bとの間に形成される油戻し流路78と対応する位置に設けられる。具体的には、クランク軸80の軸方向視において、油分離部材140の切り欠き146と円筒部材12の内面12bとの間に形成される空間は、油戻し流路78と少なくとも部分的に重なっている。油戻し流路78下方に流れてくる油は、切り欠き146を通過して油溜空間16へと落下する。また、油分離部材140により冷媒から分離され、油分離部材140上に存在する油の一部も、切り欠き146を通過して油溜空間16へと落下する。なお、油分離部材140上に存在する油の一部は、油分離部材140の外縁142と円筒部材12の内面12bとの間の隙間を通過して、油溜空間16へと落下する。
クランク軸80の軸方向視において、油分離部材140の中央部には、下部ハウジング90の下部軸受92の部分を収容するように(下部軸受92の一部が差し込まれるように)円形の穴148が形成されている。
下部ハウジング90の下部軸受92が穴148に挿通され、下部ハウジング90のアーム94が切り欠き144に挿通されように下部ハウジング90上に取り付けられた油分離部材140は、例えば図示しないボルトによって下部ハウジング90に固定される。
前述のように、油分離部材140の外縁142と、ケーシング10の円筒部材12の内面12bとの間には、少なくとも部分的に隙間が生じる。本開示のスクロール圧縮機100では、場所によって、油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの間の距離(隙間)の大きさが異なる。場所による油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの間の距離の違いについて説明する。
この説明をする上で、第1角度領域Aを定義する。
これに先立ち、クランク軸80の軸方向視において、冷媒流路76の存在する位置Pを定義する。ここでは、冷媒流路76の存在する位置Pは、クランク軸80の軸方向視において、冷媒流路76の存在している領域の重心の位置と定義される。なお、冷媒流路76の存在している領域とは、冷媒流路76を形成するステータコア73の切り欠き73aと、冷媒流路76を形成するケーシング10の円筒部材12の内面12bとにより囲まれた領域である。図9では、破線のハッチングを付して示した領域である。
このような冷媒流路76の存在する位置Pの定義において、第1角度領域Aは、クランク軸80の回転軸O周りの周方向において、冷媒流路76の存在する位置Pを中央とする90°の角度領域を意味する。なお、クランク軸80の回転軸O周りの周方向において、位置Pを中央とする90°の角度領域とは、クランク軸80の回転軸Oの軸方向視において、クランク軸80の回転軸Oを中心とする、位置Pに対して±45°の角度範囲を意味する(図9参照)。なお、本実施形態では、ケーシング10の円筒部材12の中心軸Ocは、クランク軸80の回転軸Oと一致するため、“クランク軸80の回転軸O周りの周方向において、位置Pを中央とする90°の角度領域”とは、“円筒部材12の中心軸Oc周りの周方向において、位置Pを中央とする90°の角度領域”とも言い換えられる。
本開示のスクロール圧縮機100では、クランク軸80の軸方向視において、第1角度領域Aにおける油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの距離の平均値daは、第1角度領域A以外の角度領域における油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの距離の平均値dbよりも小さい。以後では、記載が煩雑になることを避けるため、クランク軸80の軸方向視において、第1角度領域Aにおける油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの距離の平均値daを、単に平均値daと呼ぶ場合がある。また、以後では、記載が煩雑になることを避けるため、クランク軸80の軸方向視において、第1角度領域A以外の角度領域における油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの距離の平均値dbを、単に平均値dbと呼ぶ場合がある。
平均値daを平均値dbより小さくすることで、冷媒流路76を油溜空間16に向かって下方に流れる冷媒の流れは、油分離部材140によって遮られやすく、多量の冷媒が油溜空間16に存在する油の油面に向かって直接流れて、油が飛散する不具合の発生を抑制できる。その結果、本実施形態のスクロール圧縮機100では、油分離部材140とケーシング10との隙間を通過して油溜空間16内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機100外への油の持ち出し(油上がり)を抑制できる。
好ましくは、第1角度領域A内には、油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの距離が最小になる(図9中のdminになる)第1区画A1が含まれる。好ましくは、油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの距離の最小値dmin(>0mm)は、1mm以下(例えば、0.8mm)である。さらに、好ましくは、クランク軸80の軸方向視において、第1角度領域Aにおける油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの距離の平均値daも、1mm以下である。なお、第1角度領域A以外の角度領域における油分離部材140の外縁142(切り欠き144,146の部分は除く)とケーシング10の円筒部材12の内面12bとの距離の平均値は、平均値daより大きく、数mm程度(例えば、1.5mm程度)である。
特に好ましくは、クランク軸80の軸方向視で、クランク軸80回転軸O回りの周方向において(言い換えれば、円筒部材12の中心軸Oc周りにおいて)、第1角度領域Aのうち、冷媒流路76の存在する角度領域B内に、第1区画A1が配置される。なお、冷媒流路76の存在する角度領域Bは、図9において、直線L1と、直線L2とに囲まれた領域である。なお、直線L1は、クランク軸80の軸方向視において、クランク軸80の回転軸O(第2点C2)と、点K1を結んだ直線である。点K1は、冷媒流路76を規定する切り欠き73aと、円筒部材12の内面12bと接するステータコア73の円弧部との境界点である。直線L2は、クランク軸80の軸方向視において、クランク軸80の回転軸Oと、点K2とを結んだ直線である。点K2は、冷媒流路76を規定する切り欠き73aと、円筒部材12の内面12bと接するステータコア73の円弧部との境界点である。
なお、油分離部材140が、何らかの原因で振動し、円筒部材12の内面12bと接触して騒音を発生させるという不具合の発生を抑制するためには、油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとは接触していないことが好ましい。ただし、これに限定されるものではなく、油分離部材140の外縁142の一部が、ケーシング10の円筒部材12の内面12bと接触していてもよい。そして、油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとが接触する第2区画A2が、図10のように第1角度領域A内に含まれていてもよい。この場合、好ましくは、クランク軸80の軸方向視において、クランク軸80回転軸O回りの周方向において、第1角度領域Aのうち、冷媒流路76の存在する角度領域B内に、第2区画A2が配置される。
なお、第1角度領域Aにおける距離の平均値daを、第1角度領域A以外の角度領域における距離の平均値dbよりも小さくするため、本実施形態では、以下のような構成を有する。
クランク軸80の軸方向視において、ケーシング10の円筒部材12の内面12bは、円筒部材12の中心軸Ocの通過する第2点C2を中心とする円形状である。クランク軸80の軸方向視において、油分離部材140の外縁142は、第1点C1を中心とする円弧形状である。具体的には、クランク軸80の軸方向視において、油分離部材140の外縁142の全体は、図9に示すように、第1点C1を中心とする円Q(二点鎖線で描画)上に配置される。そして、クランク軸80の軸方向視において、第1点C1は、第2点C2に対し第1角度領域A側にずれて配置されている(偏寄している)。言い換えれば、クランク軸80の軸方向視において、第1点C1は、第2点C2よりも、冷媒流路76の近くに配置される。特に好ましくは、クランク軸80の軸方向視において、第1点C1は、第1点C1と冷媒流路76の存在する位置Pとを結んだ直線M上であって、第1点C1と位置Pとの間に配置される。
このように構成は、例えば、以下のような方法で実現される。
油分離部材140を下部ハウジング90にボルトで固定するような場合、一般に、油分離部材140の位置は、数mm程度は位置調整可能である。この油分離部材140の位置調整可能代を、ここでは組立余裕代と呼ぶ。この組立余裕代を利用することで、油分離部材140を、第1点C1を、第2点C2に対し第1角度領域A側にずらして配置することができる。組立余裕代を利用することで、油分離部材140に特殊な形状を採用しなくても、第1角度領域Aにおける距離の平均値daが、第1角度領域A以外の角度領域における距離の平均値dbよりも小さい構成を実現できる。
あるいは、油分離部材140の外縁142の円弧の中心と、円筒部材12の中心軸Ocの通過する位置(言い換えれば、クランク軸80の回転軸Oの追加する位置、更に言い換えれば、クランク軸80を軸支する下部軸受92を受け入れる穴148の中心の位置)と、をずらしておくことで、第1点C1を、第2点C2に対し第1角度領域A側にずらして配置してもよい。このような形状の油分離部材140を利用することで、組立の際に特に考慮しなくても、第1角度領域Aにおける距離の平均値daが、第1角度領域A以外の角度領域における距離の平均値dbよりも小さい構成が実現されやすい。
また、第1角度領域Aには、切り欠き146は配置されない。このように構成されることで、冷媒流路76を油溜空間16に向かって流れる冷媒が、油溜空間16に存在する油の油面に直接当たって油を飛散させる不具合の発生を抑制できる。
切り欠き144は、その下方が下部ハウジング90のアーム94により塞がれている。しかし、切り欠き144と下部ハウジング90のアーム94と間には多少の隙間が存在するため、冷媒流路76を油溜空間16に向かって流れる冷媒は、切り欠き144と下部ハウジング90のアーム94との間の隙間を通過して、油溜空間16へと流入するおそれがある。そのため、好ましくは、切り欠き144も第1角度領域Aには配置されない。
(4)スクロール圧縮機の動作及びケーシング内の冷媒の流れ
スクロール圧縮機100の動作と、ケーシング10内の冷媒の流れについて説明する。
モータ70が駆動されると、ロータ74が回転し、ロータ74と連結されたクランク軸80も回転する。クランク軸80が回転すると、オルダム継手24の働きにより、可動スクロール40は、自転せずに固定スクロール30に対して公転する。そして、吸入管18aから流入した冷凍サイクル装置の冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入ポート36aを介して圧縮機構20の周縁側の圧縮室Scに吸入される。そして、可動スクロール40が公転し、圧縮室Scの容積が減少するのに伴って、圧縮室Scの圧力が上昇する。また、圧縮途中の圧縮室Scには、インジェクション管18cから、適宜、冷凍サイクル装置の冷凍サイクルにおける中間圧(低圧と高圧との間の圧力)の冷媒がインジェクションされる。冷媒が、周縁側(外側)の圧縮室Scから、中央側(内側)の圧縮室Scへ移動するに連れて冷媒の圧力は上昇し、最終的に冷凍サイクル装置の冷凍サイクルにおける高圧となる。
圧縮機構20によって圧縮された冷媒は、固定側鏡板32の中央付近に位置する吐出ポート33から吐出され、固定スクロール30及びハウジング50に形成されている冷媒通路26を通過して冷媒ガイド130へと流れる(図8中の矢印X1参照)。冷媒ガイド130は、流入した冷媒を、ケーシング10の円筒部材12の周方向(図8中の矢印X2参照)と、クランク軸80の軸方向であって油溜空間16へと向かう方向(図8中の矢印X3参照)と、にそれぞれ案内する。冷媒ガイド130により下方へと案内された冷媒は、モータ70のステータ72のステータコア73の切り欠き73aの少なくとも1つと、円筒部材12の内面12bの間に形成される冷媒流路76を下方に流れる。冷媒流路76を油溜空間16に向かって流れる冷媒の大半は、下部ハウジング90に取り付けられている油分離部材140に衝突し、流れ方向を変え、モータ70のステータコア73の切り欠き73a(冷媒流路76を形成する切り欠き73a以外の切り欠き73a)と、円筒部材12の内面12bの間に形成される空間や、ステータ72とロータ74との間のエアギャップを通過して、モータ70とハウジング50との間の空間に流入する(図8中の矢印X4~X7参照)。モータ70下方からモータ70とハウジング50との間の空間に流入した冷媒と、冷媒ガイド130から円筒部材12の周方向に吹き出した冷媒とは、最終的に吐出管18bから吐出される(図8中の矢印X8参照)。
なお、冷媒が油分離部材140に衝突する際、冷媒に混入していた油は油分離部材140で分離され、分離後の油分離部材140上の油は、切り欠き146等を通過して油溜空間16に流入する。
(5)特徴
(5-1)
本実施形態のスクロール圧縮機100は、圧縮機構20と、モータ70と、クランク軸80と、ケーシング10と、油分離部材140と、を備える。モータ70は、ステータ72とロータ74とを有する。クランク軸80は、モータ70の駆動力を圧縮機構20に伝える。ケーシング10は、圧縮機構20、モータ70及びクランク軸80を収容する。ケーシング10の内部には、油溜空間16が形成される。油分離部材140は、モータ70と油溜空間16との間に配置される。油分離部材140は、クランク軸80の回転軸Oの軸方向視(以後、クランク軸80の軸方向視と呼ぶ)において外縁142が円弧状である。ステータ72とケーシング10の内面(円筒部材12の内面12b)との間には、圧縮機構20が吐出する圧縮後の冷媒が、油溜空間16に向かって流れる冷媒流路76が形成される。クランク軸80の回転軸の軸方向視で、冷媒流路76の存在する位置Pを中央とする、クランク軸80の周方向に90°の第1角度領域Aにおける油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の平均値daは、第1角度領域A以外における油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の平均値dbよりも小さい。
このスクロール圧縮機100では、ステータ72とケーシング10の内面12bとの間の冷媒流路76を油溜空間16に向かって流れる冷媒が、油分離部材140とケーシング10との間の隙間を通過して油溜空間16内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機100外への油の持ち出し(油上がり)を抑制できる。
(5-2)
スクロール圧縮機100では、第1角度領域A内に、油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離が最小になる第1区画A1が含まれることが好ましい。
このように構成されることで、冷媒が油分離部材140とケーシング10との間の隙間を通過して油溜空間16内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機100外への油の持ち出しが抑制されやすい。
(5-3)
より好ましくは、スクロール圧縮機100では、クランク軸80の軸方向視で、クランク軸80の回転軸O回りの周方向において、第1角度領域Aのうち、冷媒流路76の存在する角度領域Bに第1区画A1が配置される。
このように構成されることで、油分離部材140とケーシング10との間の隙間を冷媒が通過して油溜空間16内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機100外への油の持ち出しが特に抑制されやすい。
(5-4)
スクロール圧縮機100では、油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の最小値dminは、1mm以下であることが好ましい。
このように構成されることで、油分離部材140とケーシング10との間の隙間を冷媒が通過して油溜空間16内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機100外への油の持ち出しが特に抑制されやすい。
さらに好ましくは、クランク軸80の軸方向視において、第1角度領域Aにおける油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の平均値daは、1mm以下である。
(5-5)
他の例に係るスクロール圧縮機100では、第1角度領域A内に、油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとが接触する第2区画A2が含まれる。
このように構成される場合には、第1角度領域A内に油分離部材140の外縁142とケーシング10の円筒部材12の内面12bとが接触する区画(油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離がゼロとなる区画)が存在する。そのため、冷媒が油分離部材140とケーシング10との間の隙間を通過して油溜空間16内の油に衝突することに起因する、スクロール圧縮機100外への油の持ち出しが抑制されやすい。
(5-6)
本実施形態のスクロール圧縮機100は、クランク軸80の軸方向視において、油分離部材140の外縁142は、第1点C1を中心とする円弧形状である。クランク軸80の軸方向視において、ケーシング10の内面12bは、第2点C2を中心とする円形状である。クランク軸80の軸方向視において、第1点C1は、第2点C2に対し、第1角度領域A側にずれて配置されている。
なお、第2点C2は、クランク軸80の軸方向視において、円筒部材12の中心軸Ocの通過する点である。言い換えれば、第2点C2は、クランク軸80の回転軸Oの通過する点である。
このように構成されることで、スクロール圧縮機100の組立の際に、油分離部材140をケーシング10の中心(円筒部材12の中心軸Oc)に対して第1角度領域A側にずらして配置してすることで、特殊な形状の油分離部材140を用いなくても、第1角度領域Aにおける油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の平均値daを、第1角度領域A以外における油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の平均値dbよりも小さくできる。
(5-7)
本実施形態の冷凍サイクル装置1000は、スクロール圧縮機100と、冷房運転時に凝縮器として機能し、暖房運転時に蒸発器として機能する熱源熱交換器300と、冷房運転時に蒸発器として機能し、暖房運転時に凝縮器として機能する利用熱交換器400と、膨張機構500と、を有する冷媒回路600を備える。
この冷凍サイクル装置1000は、上記特徴のスクロール圧縮機100を圧縮機として用いることで、スクロール圧縮機100外への油の持ち出しに伴う不具合の発生を抑制できる。
(6)変形例
以下に上記実施形態の変形例を示す。以下の変形例は、互いに矛盾しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
(6-1)変形例A
上記の実施形態では、クランク軸80の軸方向視において、第1点C1(油分離部材140の外縁142の円弧の中心)を、第2点C2(ケーシング10の内面12bの円弧の中心)に対して第1角度領域A側にずらして配置することで、第1角度領域Aにおける油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の平均値daを、第1角度領域A以外における油分離部材140の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の平均値dbよりも小さくしている。
ただし、これに限定されるものではなく、クランク軸80の軸方向視において、油分離部材140’の外縁142の円弧の中心である第1点C1と、ケーシング10の内面12bの円弧の中心である第2点C2とは、図11に示すように同じ位置であってもよい。そして、クランク軸80の軸方向視において、第1角度領域Aにおける油分離部材140’の外縁142の第1点C1からの平均半径R1aを、第1角度領域A以外における油分離部材140’の外縁142の第1点C1からの平均半径R2aよりも大きくしてもよい。
このように構成されることで、スクロール圧縮機100の組立時に特別な配慮をしなくても、第1角度領域Aにおける油分離部材140’の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の平均値daが、第1角度領域A以外における油分離部材140’の外縁142とケーシング10の内面12bとの距離の平均値dbよりも小さいという構成を実現できる。
(6-2)変形例B
上記実施形態では、クランク軸80の軸方向が鉛直方向である縦型のスクロール圧縮機を例に説明しているが、圧縮機は、クランク軸80の軸方向が水平方向である横型の圧縮機であってもよい。
<付記>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
本開示は、スクロール圧縮機に広く適用でき有用である。
10 ケーシング
12b 内面
16 油溜空間
20 圧縮機構
70 モータ
72 ステータ
74 ロータ
76 冷媒流路
80 クランク軸
100 スクロール圧縮機
300 熱源熱交換器(凝縮器、蒸発器)
400 利用熱交換器(蒸発器、凝縮器)
500 膨張機構
600 冷媒回路
1000 冷凍サイクル装置
140,140’ 油分離部材
142 外縁
A 第1角度領域
A1 第1区画
A2 第2区画
B 角度領域
C1 第1点
C2 第2点
O 回転軸
P 位置
R1a 第1角度領域における平均半径
R2a 第1角度領域以外における平均半径
da 第1角度領域における油分離部材外縁とケーシング内面との距離の平均値
db 第1角度領域以外での油分離部材外縁とケーシング内面との距離の平均値
特開2015-38330号公報

Claims (8)

  1. 圧縮機構(20)と、
    ステータ(72)とロータ(74)とを有するモータ(70)と、
    前記モータの駆動力を前記圧縮機構に伝えるクランク軸(80)と、
    前記圧縮機構、前記モータ及び前記クランク軸を収容し、内部に、油が貯留される油溜空間(16)が形成されるケーシング(10)と、
    前記モータと前記油溜空間との間に配置される、前記クランク軸の回転軸(O)の軸方向視において外縁(142)が円弧状の油分離部材(140,140’)と、
    を備え、
    前記ステータと前記ケーシングの内面(12b)との間には、前記圧縮機構が吐出する圧縮後の冷媒が、前記油溜空間に向かって流れる冷媒流路(76)が形成され、
    前記軸方向視で、前記クランク軸の前記回転軸回りの周方向において前記冷媒流路の存在する位置(P)を中央とする90°の第1角度領域(A)における前記油分離部材の前記外縁と前記ケーシングの前記内面との距離の平均値(da)は、前記第1角度領域以外における前記油分離部材の前記外縁と前記ケーシングの前記内面との距離の平均値(db)よりも小さい、
    スクロール圧縮機(100)。
  2. 前記第1角度領域内に、前記油分離部材の前記外縁と前記ケーシングの前記内面との距離が最小になる第1区画(A1)が含まれる、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記軸方向視で、前記クランク軸の前記回転軸回りの周方向において、前記第1角度領域のうち、前記冷媒流路の存在する角度領域(B)内に前記第1区画が配置される、
    請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記油分離部材の前記外縁と前記ケーシングの前記内面との距離の最小値は、1mm以下である、
    請求項2又は3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記第1角度領域内に、前記油分離部材の前記外縁と前記ケーシングの前記内面とが接触する第2区画(A2)が含まれる、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記軸方向視において、前記油分離部材(140)の前記外縁は、第1点(C1)を中心とする円弧形状であり、
    前記軸方向視において、前記ケーシングの前記内面は、第2点(C2)を中心とする円形状であり、
    前記軸方向視において、前記第1点は、前記第2点に対し前記第1角度領域側にずれて配置されている、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記軸方向視において、前記油分離部材(140’)の前記外縁は、第1点(C1)を中心とする円弧形状であり、
    前記第1角度領域における前記油分離部材の前記外縁の前記第1点からの平均半径(R1a)は、前記第1角度領域以外における前記油分離部材の前記外縁の前記第1点からの平均半径(R2a)よりも大きい、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機(100)と、凝縮器(300,400)と、蒸発器(400,300)と、膨張機構(500)と、を有する冷媒回路(600)を備える、
    冷凍サイクル装置(1000)。
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