JP2023037100A - 金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法 - Google Patents

金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を表現する材料モデルのモデル定数を、簡易な単軸引張試験の結果に基づいて決定し、これによって金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を予測することができる金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法を提供する。【解決手段】本発明に係る金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法は、材料モデルのモデル定数を決定することで引張圧縮反転負荷挙動を予測する方法であって、金属材料の単軸引張挙動に関連する因子を含む金属材料試験データを入力変数、該金属材料の引張圧縮試験に基づいて決定したモデル定数の値を出力変数として機械学習させた学習済モデルに対して、予測対象の金属材料の金属材料試験データを入力することによって、当該金属材料のモデル定数の値を取得するステップを含み、単軸引張挙動に関連する因子には、単軸引張試験から得られた単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データが含まれている。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法に関する。
従来、自動車部品のプレス成形における割れ、しわ、スプリングバックなどの成形不良を予測するためにFEM解析が活用されており、その解析精度は自動車開発に多大な影響を及ぼす。精度の高い解析を実施するためには、金属材料の挙動を考慮して、適切な解析条件を設定する必要がある。
適切な解析条件を設定するために考慮する必要がある金属材料の挙動の例を図16に基づいて説明する。
図16は、金属材料が受ける応力とひずみの関係を示したものであり(応力-ひずみ曲線)、縦軸の応力は、正が引張方向の応力の大きさ、負が圧縮方向の応力の大きさを示している。
引張方向に負荷を与えて塑性変形させた金属材料に対し、一度除荷した後に再び引張方向に負荷を与えた場合、再負荷時の降伏応力は除荷前の応力とほぼ同等になる。
これに対し、初めの引張方向の負荷を除荷した後に負荷方向を反転して圧縮方向に再負荷した場合には、図16に示すように、引張方向に再負荷した場合の降伏応力よりも低い応力で降伏する(図中の破線円参照)。この現象は、圧縮-除荷-引張の場合も同様に現れる。
上記のような、反転負荷時の早期降伏現象はバウシンガー効果と呼ばれ、残留応力の大きさに影響する。したがって、プレス成形FEM解析の高精度化には、金属材料に与えられる荷重が引張から圧縮(または圧縮から引張)に反転した場合の挙動(以下、「引張圧縮反転負荷挙動」又は、単に「引張圧縮挙動」という)を考慮することが重要である。特に、高張力鋼板材はバウシンガー効果が顕著に現れるため、解析精度への影響も大きい。
これまでに、非特許文献1のY-Uモデルに代表されるような、バウシンガー効果を表現する材料モデル(構成式)が多く報告されている。このような材料モデルを用いて金属材料の引張圧縮挙動を表現するには、材料モデル内に含まれているモデル定数(パラメータ)を適切に定める必要がある。
材料モデルのモデル定数を決定する方法としては、対象となる金属材料に引張圧縮負荷応力反転試験(以下、単に「引張圧縮試験」という)を実施して当該金属材料の応力-ひずみ曲線を取得し、該応力-ひずみ曲線に基づいてモデル定数を同定する方法が一般的である。
しかし、上記のようなバウシンガー効果を評価する引張圧縮試験では、圧縮時に材料が座屈変形を起こす場合があり、特に、試験対象材料の強度が高くて板厚が薄くなると座屈変形が更に発生しやすくなるため、精度の高い試験が難しいという課題があった。
そこで、従来から薄板での引張圧縮試験方法が検討されており、そのような試験方法の例が特許文献1、2に開示されている。
特許文献1、2に開示の技術は、形状を特定した試験片の側面部に弾性体で固定した伸び計により負荷繰り返し試験時のひずみを測定し、さらに圧縮時の座屈を防止する治具(座屈防止治具及び座屈防止ベース治具)を用い、高精度で負荷繰り返し試験時のひずみを計測するものである。
特許第5991055号公報 特許第5991278号公報
Yoshida,F.,Uemori,T.:Int.J.Plasticity,18(2002),661-686
しかしながら、上述した特許文献1、2のような引張圧縮試験には特殊な試験機を用いるため、結果を得るために金銭的・時間的コストを要する。そのため、引張圧縮試験に代わる簡易な試験の結果に基づいて前述した材料モデルのモデル定数を決定したいという要望があった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を表現する材料モデルのモデル定数を、特殊な試験方法や治具を必要としない簡易な試験の結果に基づいて決定し、これによって金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を予測することができる金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法を提供することを目的とする。
まず、本発明に至った経緯を説明する。
金属材料の引張圧縮挙動の一例として、1180MPa級ハイテン材を対象として実施した引張圧縮試験により得られた繰返し応力-ひずみ曲線を図17に示す。図17の縦軸は、正が引張方向の真応力の大きさ、負が圧縮方向の真応力の大きさを示している。
図17に示すように、対象素材に対して引張変形を与えて降伏させたあと、引張方向の荷重を除荷(真応力を0まで減少)し、圧縮方向の荷重を再負荷して圧縮変形させたとき(図中白丸から下に延びる線参照)、当該部分において直線で示される弾性変形から曲線で示される塑性変形に変化する点が再降伏点である。この再降伏後の応力の変化量をΔσ、ひずみの変化量をΔεとする。
上記のように、引張変形による降伏後、圧縮変形によって再降伏する場合の再降伏後の圧縮挙動を表現する材料モデルとして、発明者が導出した式である下記式(1)がある。以下、下記式(1)を「再降伏後の圧縮挙動モデル」又は単に「圧縮挙動モデル」という。
Figure 2023037100000002
上記式(1)は、再降伏後の応力の変化量Δσと再降伏後の塑性ひずみの変化量Δεpの関係を3つのモデル定数Y、A、Bを用いて表現したものである。ここで、塑性ひずみの変化量Δεpとは、ひずみの変化量Δεから弾性ひずみの変化量Δεeを除いたものである。
式(1)の3つのモデル定数におけるYは負荷方向反転後の再降伏応力、Aは負荷方向反転後の再降伏応力からの応力変化に相当する収束応力、Bはバウシンガー効果の程度を表している。
上記式(1)の回帰精度について、図18を用いて説明する。図18の実線(実験値)は、図17の引張圧縮試験結果における再降伏後の応力の変化量(Δσ)と塑性ひずみの変化量(Δεp)の関係をプロットしたものである。破線(回帰値)は、図18の実験値に基づいて式(1)のモデル定数Y、A、Bを同定し、モデル定数Y、A、Bが同定された式(1)を用いて、ΔσとΔεpの関係をプロットしたものである。
図18に示されるように、実験値を示す実線と式(1)の回帰値を示す破線はほぼ一致しており、式(1)の圧縮挙動モデルが再降伏後の圧縮挙動に対して十分な回帰精度を有していることがわかる。
ところで、「バウシンガー効果とは予変形時の加工硬化挙動に異方性が存在し、負荷方向反転後の材料強度が同一方向に負荷した場合に比べて低下する現象である。このことは、予変形中にその方向の変化を妨げ、かつ逆方向の変形を助けるような方向に作用する応力(ここでは、“逆応力”と呼ぶ)が材料中に発生することを意味する。したがって、バウシンガー効果は加工硬化と密接に関連した現象」(鉄と鋼 第70 1984年 第11号 P.1551-1558 バウシンガー効果に関する研究の歴史と現状、八高)とされており、このことから、金属材料を単軸引張して加工硬化させた時の挙動が、同金属材料を引張圧縮させたときのバウシンガー効果の挙動に影響すると推定される。
単軸引張における挙動を示す指標には、例えば、降伏応力(YP)、最大引張応力(TS)、一様伸び(u-EL)等の代表的機械特性値がある。これらの機械特性値は、金属材料に単軸引張試験を実施し、試験結果として得られる応力-ひずみ曲線から求めることができる。
また、単軸引張における加工硬化挙動を表す特性値として、単軸引張における真ひずみと、真応力の間にn乗硬化式σ=Cεnの成立を仮定したときの式中のベキ数n(n値)がある。ただし、n値は一様伸び(u-EL)と強い相関関係があることが知られている。
そこで、発明者らは、前述した式(1)の圧縮挙動モデルにおけるモデル定数Y、A、Bと、上述した降伏応力(YP)、最大引張応力(TS)、一様伸び(u-EL)との関連を確認するため、下記のような実験を行った。
まず、590MPa級~1470MPa級のハイテン材(高強度鋼板)について、それぞれ引張圧縮試験を実施し、応力-ひずみ曲線(図17参照)を取得した。取得した応力-ひずみ曲線におけるΔεpとΔσとの関係(図18参照)に基づき、式(1)のモデル定数Y、A、Bを回帰により同定した。
次に、同ハイテン材について、それぞれ単軸引張試験を実施し、単軸引張応力-ひずみ曲線を取得し(図示なし)、取得した単軸引張応力-ひずみ曲線から降伏応力(YP)、最大引張応力(TS)、一様伸び(u-EL)を求めた。
そして、同一素材におけるモデル定数Y、A、Bと、機械特性値YP、TS、u-ELの対応関係について検討した。検討結果を図19に示す。
図19(a)は、各ハイテン材におけるモデル定数Yと降伏応力(YP)との関係を示したものである。図19(a)に示されるように、負荷方向反転後の再降伏応力であるYと降伏応力(YP)には強い相関関係があることが分かった。
図19(b)は、各ハイテン材におけるモデル定数Aと最大引張応力(TS)との関係を示したものである。図19(b)に示されるように、負荷方向反転後の収束応力であるAと最大引張応力(TS)には強い相関関係があることが分かった。
図19(c)は、各ハイテン材におけるモデル定数Bと、一様伸び(u-EL)との関係を示したものである。図19(c)に示されるように、バウシンガー効果の程度を規定するBと一様伸び(u-EL)には強くはないものの一定の相関関係が認められた。
以上より、発明者は、バウシンガー効果を表現する材料モデルのモデル定数を、引張圧縮試験から得られる繰返し応力-ひずみ曲線から同定する代わりに、単軸引張試験から得られるYS、TS、u-EL等の代表的機械特性値との関係により、重回帰モデル等によって定式化し得ると考えた。
しかし、高強度鋼板(ハイテン)の強化機構が異なる素材、例えば軟質のフェライト層と硬質のマルテンサイト層とが並存した二層組織による組織強化型のハイテン(DP鋼)と、微量のNb、V、Ti等の合金元素の添加による析出強化型の高張力低合金鋼(HSLA鋼)とでは、金属組織の違いにより、同じ最大引張応力(TSグレード)であっても、単軸引張における材料の変形(加工硬化)の挙動が異なる。
したがって、単軸引張試験から得られる応力-ひずみ曲線上の1点であるYS、TS、u-EL等の代表的機械特性値では、上記のような挙動の違いを表現できない。そのため、機械特性値を説明変数とし、モデル定数を目的変数とする重回帰モデルでは、十分な回帰精度を得ることができなかった。
また、同じ最大引張応力で強化機構が同一の鋼種であっても、製造条件(熱延条件、焼鈍条件等)のばらつきに起因する金属組織の変化によって加工硬化の挙動も変化するので、代表的機械特性値のみを説明変数とする重回帰モデルでは、推定精度の点でも問題があった。
そこで発明者らは、単軸引張試験の単軸引張応力-ひずみ曲線から求められる代表的機械特性値に代えて、これらの代表値に関する情報とバウシンガー効果と密接に関連する加工硬化の挙動に関する情報を包含する単軸引張試験の単軸引張応力-ひずみ曲線そのものを離散化した点列データ(真ひずみ、真応力)を説明変数として用いることができれば、上記のような問題を解決して精度よくモデル定数を導けると考えた。
そして、前記点列データを入力変数(説明変数)として扱うために、入力変数の選択に制限のないニューラルネットワーク(NN:Neural Network)を用いることに思い至った。
本発明は、上記のような経緯を得てなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係る金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法は、金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を表現する材料モデルのモデル定数を決定することで引張圧縮反転負荷挙動を予測する方法であって、金属材料の単軸引張挙動に関連する因子を含む金属材料試験データを入力変数とし、該金属材料の引張圧縮試験に基づいて決定した前記モデル定数の値を出力変数として機械学習させた学習済モデルに対して、予測対象の金属材料の前記金属材料試験データを入力することによって、当該金属材料の前記モデル定数の値を取得するステップを含み、前記単軸引張挙動に関連する因子には、単軸引張試験から得られた単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データが含まれていることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記単軸引張挙動に関連する因子には、さらに降伏応力、最大引張応力、一様伸びを含む機械特性値の集合が含まれていることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記金属材料試験データには、さらに鋼種情報を含むことを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記材料モデルを下記式(1)で表される鋼材の圧縮挙動モデルとし、前記モデル定数を、下記式(1)のY、A、Bとすることを特徴とするものである。
Figure 2023037100000003
ただし、Δσは、再降伏後の応力の変化量
Δεpは、再降伏後の塑性ひずみの変化量
本発明においては、金属材料の単軸引張挙動に関連する因子を含む金属材料試験データを入力変数とし、該金属材料の引張圧縮試験に基づいて決定したモデル定数の値を出力変数として機械学習させた学習済モデルに対して、予測対象の金属材料の金属材料試験データを入力することによって、当該金属材料のモデル定数を取得するステップを含み、単軸引張挙動に関連する因子には、単軸引張試験から得られた単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データが含まれていることにより、簡易な単軸引張試験の結果に基づいて金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を表現する材料モデルのモデル定数の値を決定することができる。そして、該決定した値を材料モデルに代入することで、特殊な試験機を要する引張圧縮試験を行うことなく、金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を予測することができる。
本発明の実施の形態1に係る金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法の説明図である。 図1の(i)学習フェーズを実施するための各ステップを説明するフロー図である。 単軸引張試験から得られる単軸引張応力-ひずみ曲線と、該単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データを示す図である。 図1の学習済モデル(ニューラルネットワーク)の構成を示す模式図である。 図1の(ii)認識フェーズを実施するための各ステップを説明するフロー図である。 本発明の実施の形態2に係る金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法の説明図である。 図6の学習済モデル(ニューラルネットワーク)の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態3に係る金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法の説明図である。 図8の学習済モデル(ニューラルネットワーク)の構成を示す模式図である。 実施例における発明例の学習済モデルの学習精度を説明するグラフである。 実施例における比較例の予測精度を説明するグラフである。 実施例における発明例1の予測精度を説明するグラフである。 実施例における発明例2の予測精度を説明するグラフである。 実施例における発明例3の予測精度を説明するグラフである。 実施例における比較例と発明例1~3の予測精度を比較するグラフである。 バウシンガー効果の説明図である。 引張圧縮試験によって得られる繰返し応力-ひずみ曲線の一例である。 図17における再降伏後の圧縮挙動に対し、式(1)の圧縮挙動モデルを用いて回帰した場合の回帰精度を説明するグラフである。 式(1)の圧縮挙動モデルのモデル定数Y、A、Bと単軸引張試験から得られる機械特性値YP、TS、u-ELの相関関係を示すグラフである。
[実施の形態1]
本発明の実施の形態に係る金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法は、金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を表現する材料モデルのモデル定数を決定することで引張圧縮反転負荷挙動を予測する方法である。
本実施の形態は、図1に示すように、ニューラルネットワークに機械学習させる学習フェーズと、学習フェーズで学習したニューラルネットワークを用いて金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を予測する認識フェーズとを備えている。
以下、本発明の実施の形態1の各フェーズについて具体的に説明する。
<学習フェーズ>
学習フェーズは、図2に示すように、ニューラルネットワークの機械学習に用いる学習用データを作成する学習用データ作成ステップと、学習用データ作成ステップで作成した学習用データを用いてニューラルネットワークを機械学習させることにより、学習済モデルを構築する機械学習ステップを備えている。
≪学習用データ作成ステップ≫
学習用データ作成ステップは、ニューラルネットワークの機械学習に用いる入力データと正解データ(教師データともいう)を作成するステップである。学習用データ作成ステップにおいては、種々の金属材料の単軸引張試験の結果に基づいて入力データを作成し、同金属材料の引張圧縮試験の結果に基づいて正解データを作成する。具体的には下記のとおりである。
入力データの作成においては、まず、複数の金属材料を対象として単軸引張試験を実施し、対象材の単軸引張挙動を示す単軸引張応力-ひずみ曲線(図3参照)をそれぞれ取得する。なお、取得する単軸引張応力-ひずみ曲線は、単軸引張試験において試験片に局部くびれが発生するまでの均等伸びを示す範囲のものとする。
次に、上記単軸引張試験によって得られた単軸引張応力-ひずみ曲線に対し、離散化処理を実施する。離散化処理とは、単軸引張応力-ひずみ曲線を所定の区分Nに離散化して(N+1)個の点列データに変換する処理である。この点について、図3に基づき具体的に説明する。
図3は、単軸引張応力-ひずみ曲線を100の区分に離散化した例である。離散化した単軸引張応力-ひずみ曲線から、各区分の境界点及び始点と終点の座標(真ひずみε,真応力σ)を取得し、101個の座標データ(ε11)~(ε101101)からなる点列データを生成する。この101個の座標データ(点列データ)を、ニューラルネットワークの機械学習に用いる入力データとする。なお、点列データの始点座標である(ε11)が入力変数の入力1となり、(ε11)に隣接する座標データ(ε22)が入力2となる。以下終点の(ε101101)まで順に、入力変数の入力1~入力101に対応している。
正解データの作成においては、上記入力データの作成に用いた種々の金属材料を対象とした引張圧縮試験を実施し、当該材の引張圧縮挙動を示す繰返し応力-ひずみ曲線(図17参照)をそれぞれ取得する。
そして、上記引張圧縮試験によって得られた繰返し応力-ひずみ曲線に基づき、引張圧縮挙動を表現する材料モデルのモデル定数を同定する。なお、本実施の形態においては、材料モデルとして、前述した式(1)の圧縮挙動モデルを用いるものとする。
各金属材料の繰返し応力-ひずみ曲線に対して圧縮挙動モデルを用いて回帰し、その結果同定されたモデル定数Y、A、Bの値を、ニューラルネットワークの機械学習に用いる正解データとする。
≪機械学習ステップ≫
機械学習ステップは、学習用データ作成ステップで作成した入力データと正解データを用いてニューラルネットワークを機械学習させ、学習済モデルを構築するステップである。機械学習ステップで構築される学習済モデルについて、図4を用いて説明する。
図4は、学習済モデルの構成を示す模式図である。
学習済モデルは、図4に示すように、入力層、一層以上の中間層(隠れ層)、及び出力層を備えている。各層はAffineレイヤーであり、中間層の出力は、Sigmoid関数、ReLu関数等の適当な活性化関数を有している。
機械学習ステップにおいては、学習用データ作成ステップで作成した同じ金属材料の入力データ(点列データ(ε11)~(ε101101))と正解データ(モデル定数Y、A、Bの値)を組として、入力層と出力層にそれぞれ与えて機械学習を実施し、図4の学習済モデルを構築する。
<認識フェーズ>
認識フェーズは、図5に示すように、予測対象の金属材料に対する単軸引張試験の結果に基づいて学習済モデルに入力する入力データを作成する入力データ作成ステップと、入力データ作成ステップで作成した入力データに基づいて金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を予測する引張圧縮反転負荷挙動予測ステップを備えている。
≪入力データ作成ステップ≫
入力データ作成ステップは、予測対象の金属材料に対する単軸引張試験の結果に基づいて、学習済モデルに入力する入力データを作成するステップである。
本ステップにおける入力データの作成も、学習フェーズの学習用データ作成ステップにおいて機械学習に用いる入力データの作成と同様に行う。
具体的には、予測対象の金属材料に対して単軸引張試験を実施し、単軸引張挙動を示す単軸引張応力-ひずみ曲線を取得する。そして、得られた単軸引張応力-ひずみ曲線に対して離散化処理を実施して点列データ(ε11)~(ε101101)を生成する(図3参照)。
≪引張圧縮反転負荷挙動予測ステップ≫
引張圧縮反転負荷挙動予測ステップは、入力データ作成ステップで作成した入力データを学習済モデルに入力し、該入力に基づいて学習済モデルが出力するモデル定数の予測値を取得し、該予測値を圧縮挙動モデルに代入して引張圧縮反転負荷挙動を予測するステップである。
まず、予測対象の金属材料の単軸引張挙動を示す点列データ(ε11)~(ε101101)を学習済モデル(図4参照)に入力することにより、学習済モデルの出力として、モデル定数Yの予測値Ye、モデル定数Aの予測値Ae、モデル定数Bの予測値Beを取得する。
取得した予測値Ye、Ae、Beを前述した式(1)の圧縮挙動モデルのモデル定数Y、A、Bに代入する(下記式(2)参照)。下記式(2)より、予測対象の金属材料の再降伏後の圧縮挙動が予測できる。
Figure 2023037100000004
ただし、Δσは、再降伏後の応力の変化量
Δεpは、再降伏後の塑性ひずみの変化量
上記のように本実施の形態によれば、予測対象の金属材料に対する単軸引張試験の結果に基づき、学習済モデルを用いて材料モデル(本例では再降伏後の圧縮挙動モデル)のモデル定数を決定することで、予測対象の金属材料に対して引張圧縮試験を実施することなく、引張圧縮反転負荷挙動(本例では再降伏後の圧縮挙動)を予測することができる。
また、上記式(2)の関係式をFEM解析に設定すれば、当該金属材料における引張圧縮反転負荷挙動を考慮したプレス成形FEM解析を実施することができる。
[実施の形態2]
本発明は、金属材料における単軸引張挙動に関連する因子と、引張圧縮挙動に関連する因子(材料モデルのモデル定数)との関係性をニューラルネットワークに機械学習させることで、予測対象の金属材料の単軸引張挙動から引張圧縮反転負荷挙動を予測できるようにしたものである。
そして、上述した実施の形態1は、単軸引張挙動に関連する因子として、単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データを用いた。
本実施の形態2では、単軸引張挙動に関連する因子として、さらに予測対象の金属材料の機械特性値も用いることで、引張圧縮反転負荷挙動の予測精度をより高める例を説明する。
本実施の形態2に係る金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法は、図6に示すように、実施の形態1と同様の学習フェーズと認識フェーズとを備えている。
実施の形態1との違いは、学習フェーズ及び認識フェーズにおける入力データに金属材料の単軸引張挙動に関連する因子である機械特性値の集合が含まれている点である。この点について以下具体的に説明する。
本実施の形態2の学習フェーズでは、学習用データ作成ステップにおいて、実施の形態1と同様に単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データを作成する(図3参照)。この際、当該単軸引張応力-ひずみ曲線から機械特性値も取得する。
ここで、機械特性値とは、前述した降伏応力(YP)、最大引張応力(TS)、一様伸び(u-EL)である。
そして、機械学習ステップでは、単軸引張試験から得られる単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データ及び機械特性値の集合(YP、TS、u-EL)を入力データ、引張圧縮試験から得られる繰返し応力-ひずみ曲線に基づいて同定したモデル定数Y、A、Bの値を正解データとして、ニューラルネットワークの機械学習を実施する。
上記の機械学習によって構築される学習済モデルの例を図7に示す。
認識フェーズの入力データ作成ステップにおいても、学習用データ作成ステップと同様に、単軸引張応力-ひずみ曲線から点列データに加え、さらに機械特性値を取得する。
そして、引張圧縮反転負荷挙動予測ステップにおいて、予測対象の金属材料の単軸引張挙動に基づく点列データ(入力1~入力101)と機械特性値の集合(YP、TS、u-EL)を図7の学習済モデルに入力することで、モデル定数Y、A、Bの予測値Ye、Ae、Beを取得できる。
本実施の形態によれば、単軸引張挙動に関連する因子として、さらに金属材料の機械特性値も含めたことにより、引張圧縮反転負荷挙動の予測精度のさらなる向上が期待できる。
[実施の形態3]
実施の形態1で説明したように、学習フェーズ及び認識フェーズにおける入力データに単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データを用いることで、引張圧縮反転負荷挙動を精度よく予測することができる。
また、実施の形態2で説明したように、単軸引張挙動に関連する因子である機械特性値を上記入力データに加えることで、予測精度の向上が期待できる。
さらに、入力データには、単軸引張挙動に関連する因子の他、単軸引張試験に関する試験データ(例えば鋼種情報など)を含めるようにしてもよい。このような例について、以下に説明する。
本実施の形態3に係る金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法は、図8に示すように、実施の形態1、2と同様の学習フェーズと認識フェーズとを備えている。
実施の形態1、2との違いは、学習フェーズ及び認識フェーズにおける入力データに金属材料の鋼種情報が含まれている点である。この点について以下具体的に説明する。
本実施の形態3の学習フェーズでは、ニューラルネットワークの機械学習に用いる入力データとして、実施の形態1で説明した単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データ、実施の形態2で説明した機械特性値の集合(YP、TS、u-EL)に加え、鋼種情報を用いる。
ここで、鋼種情報とは、単軸引張試験に用いた金属材料の鋼種を示す情報である。例えば、最大引張応力を表すTSグレード(590~1470MPa級)と強化機構を表す略号(DP、HSLA、FM等)を組み合わせた文字列を用いることができる。この場合、980MPa級のDP鋼であれば「980DP」、590MPa級のHSLA鋼であれば「590HSLA」という文字列を鋼種情報として用いる。
単軸引張試験から得られる単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データ、機械特性値の集合(YP、TS、u-EL)、鋼種情報を入力データ、引張圧縮試験から得られる繰返し応力-ひずみ曲線に基づいて同定したモデル定数Y、A、Bの値を正解データとして、ニューラルネットワークの機械学習を実施し、構築される学習済モデルの例を図9に示す。
図9の学習済モデルに予測対象の金属材料の単軸引張挙動に基づく点列データ(入力1~入力101)、機械特性値の集合(YP、TS、u-EL)及び鋼種情報を入力することで、モデル定数Y、A、Bの予測値を取得できる。
本実施の形態3によれば、単軸引張挙動に関連する因子に加えて鋼種情報も入力データに含めたことにより、引張圧縮反転負荷挙動の予測精度のさらなる向上が期待できる。
なお、上記は、入力データに機械特性値の集合(YP、TS、u-EL)を含めた例であるが、点列データと鋼種情報のみを入力データとしてもよい。
なお、上記の実施の形態1~3においては、金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を表現する材料モデルとして式(1)の圧縮挙動モデルを用いたが、本発明においては材料モデルが限定されることはなく、上記以外の材料モデルを用いることができることは言うまでもなく、当該材料モデルにおけるモデル定数を決定対象とすればよい。
なお、材料モデルの例としては、従来知られている移動硬化モデルが挙げられる。
より具体的には、移動硬化モデルの一例である非特許文献1のY-Uモデルを挙げることができ、この場合には、当該文献におけるY、C、B、Rsat、b、m、hの7つのパラメータを本発明のモデル定数として扱うことができる。
また、材料モデルの他の例として、Y-Uモデルを進化させた特許第5582211号に開示の「応力-ひずみ関係シミュレート方法」に用いられる弾塑性構成式を挙げることができ、この場合にも当該式のパラメータ、具体的には、Y、Rsat、b、m、h、Cc、A1、A2、n1、n2の10のパラメータ、を本発明のモデル定数として扱うことができる。
本発明における引張圧縮反転負荷挙動の予測精度を確認する実験を行ったので、その結果について以下に説明する。
本実施例においては、機械学習に用いる学習用データ作成のため、TSグレードや強化機構が異なる29種類の学習用ハイテン材を用意した。学習用ハイテン材にはTSグレードが590~1470MPa級のものが含まれており、強化機構としてはDP鋼、HSLA鋼およびFM(フェライト‐マルテンサイト)鋼であるものが含まれている。
そして、引張圧縮反転負荷挙動を予測する対象として、上記29サンプルに含まれない980MPa級、1180MPa級及び1470MPa級の予測用ハイテン材3種類を用意した。
上述した各学習用ハイテン材につき、単軸引張試験を実施し、得られた単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データを作成した(実施の形態1参照)。
また、各学習用ハイテン材につき、単軸引張試験から得られる機械特性値である降伏応力(YP)、最大引張応力(TS)、一様伸び(u-EL)をそれぞれ求めた(実施の形態2参照)。
さらに、各学習用ハイテン材の鋼種を示す鋼種情報を作成した(実施の形態3参照)。
そして、各学習用ハイテン材につき、引張圧縮試験を実施し、得られた繰返し応力-ひずみ曲線に対し、最小自乗法回帰を用いて式(1)の圧縮挙動モデルを同定し、モデル定数Y、A、Bの値を求めた。
[発明例1]
各学習用ハイテン材における点列データを入力データ、同定したモデル定数Y、A、Bの値を正解データとしてニューラルネットワークに機械学習させ、図4に示したような学習済モデルを構築した。
そして、該学習済モデルを用い、実施の形態1の方法で予測用ハイテン材のモデル定数の予測値Ye、Ae、Beをそれぞれ取得した。
[発明例2]
各学習用ハイテン材における点列データと機械特性値を入力データ、同定したモデル定数Y、A、Bの値を正解データとしてニューラルネットワークに機械学習させ、図7に示したような学習済モデルを構築した。
そして、該学習済モデルを用い、実施の形態2の方法で予測用ハイテン材のモデル定数の予測値Ye、Ae、Beをそれぞれ取得した。
[発明例3]
各学習用ハイテン材における点列データと機械特性値、及び鋼種情報を入力データ、同定したモデル定数Y、A、Bの値を正解データとしてニューラルネットワークに機械学習させ、図9に示したような学習済モデルを構築した。
そして、該学習済モデルを用い、実施の形態3の方法で予測用ハイテン材のモデル定数の予測値Ye、Ae、Beをそれぞれ取得した。
[比較例]
各学習用ハイテン材における単軸引張試験から得られる機械特性値(YP、TS、u-EL)及び同定したモデル定数Y、A、Bの値に基づき、機械特性値(YP、TS、u-EL)を説明変数、モデル定数Y、A、Bをそれぞれ目的変数とする重回帰モデルを作成した。
そして、該重回帰モデルを用い、予測用ハイテン材のモデル定数の予測値Ye、Ae、Beをそれぞれ求めた。
上記発明例1~3及び比較例の予測精度について説明する前に、まず、発明例1~3の学習済モデルの学習精度と比較例の重回帰モデルの回帰精度について確認したので、これについて説明する。
発明例1~3の学習済モデルの学習精度を確認するため、発明例1~3の学習済モデルに学習用データの入力データを改めて入力し、該入力に基づいて学習済モデルが出力したモデル定数の予測値Ye、Ae、Beと、学習用データの正解データとを比較した。
同様に、比較例の重回帰モデルに学習用ハイテン材の機械特性値(YP、TS、u-EL)を代入して予測値Ye、Ae、Beを求め、学習用データの正解データと比較した。
上記の方法で学習精度(比較例は回帰精度)を検討した結果を図10に示す。
図10(a)は、モデル定数Yに関する学習精度(比較例は回帰精度)を示すグラフである。学習精度を示す値として、発明例1~3及び比較例における予測値Yeと、機械学習の正解データとして用いたYの値と差に基づき、全ての学習用ハイテン材における予測誤差の平均値(ave)と標準偏差(σ)を示している。なお予測誤差は、正解データのYの値と予測値Yeとの差を正解データのYの値で除して100を乗じ、パーセント値で算出した。
同様に、図10(b)に、モデル定数Aに関する学習精度(比較例は回帰精度)を示すグラフ、図10(c)に、モデル定数Bに関する学習精度(比較例は回帰精度)を示すグラフを示す。
図10(a)においては、発明例1~3における誤差割合の平均値(ave)及び標準偏差(σ)の大きさがいずれも比較例より小さい。これは、発明例1~3の学習済モデルにおけるモデル定数Yに関する学習精度が、比較例の回帰精度よりもわずかに高いことを示している。
また、図10(b)に示すように発明例1~3におけるモデル定数Aの学習精度に関しては、比較例の回帰精度と比較しても大きな優位点は見られなかった。これは、前述したように、モデル定数YとAは機械特性値YP、TSと強い相関関係にあり、機械特性値に基づく重回帰モデルを用いた比較例も十分な回帰精度を有していたからと考えられる。
一方、図10(c)に示すモデル定数Bの学習精度については、誤差割合の標準偏差(σ)が比較例よりも大幅に減少している。これは、発明例1~3のモデル定数Bに関する学習精度が、比較例の回帰精度よりも大幅に向上していることを示しており、平均で約55%改善した。
次に、比較例及び発明例1~3の予測精度について説明する。
予測用ハイテン材の再降伏後の圧縮挙動について、比較例を用いて予測した結果を図11に示す。
図11の「予測」の曲線は、前述した予測用ハイテン材に対し、比較例の重回帰モデルを用いて式(1)のモデル定数を予測し、予測した予測値Ye、Ae、Beを式(1)に代入して得られたものである。また、「実績」の曲線は、予測用ハイテン材に引張圧縮試験を実施し、得られた繰返し応力-ひずみ曲線に基づき式(1)を用いて同定したものである。「予測」の曲線と「実績」の曲線が近いほど予測精度が高いことを示す。
同様に、発明例1~3を用いて予測した結果を図12~図14に示す。
上述した図11~図14の予測結果より、比較例及び発明例1~3の予測精度を下記のように算出した。
図11~図14の各グラフの「予測」曲線と「実績」曲線において、塑性ひずみ変化量Δεpが0から0.05までの0.001ピッチの各点において、Δσの予測値と実績値との差を、実績値で除して100を乗じ、パーセント値で予測誤差を算出した。
980MPa級、1180MPa級及び1470MPa級の予測用ハイテン材の各50点ずつの予測誤差のデータから平均値(ave)及び標準偏差(σ)を算出し、予測精度を評価した。その結果を表1及び図15に示す。
Figure 2023037100000005
表1及び図15に示すように、予測誤差の平均値(ave)は、比較例と比べて、発明例1~3で平均50.2%(発明例1が31.2%、発明例2が30.5%、発明例3が88.9%)改善した。また、予測誤差の標準偏差(σ)は、発明例1~3で平均45.7%(発明例1が42.9%、発明例2が42.9%、発明例3が51.2%)改善した。以上より、本発明の有効性が実証された。

Claims (4)

  1. 金属材料の引張圧縮反転負荷挙動を表現する材料モデルのモデル定数を決定することで引張圧縮反転負荷挙動を予測する方法であって、
    金属材料の単軸引張挙動に関連する因子を含む金属材料試験データを入力変数とし、該金属材料の引張圧縮試験に基づいて決定した前記モデル定数の値を出力変数として機械学習させた学習済モデルに対して、
    予測対象の金属材料の前記金属材料試験データを入力することによって、当該金属材料の前記モデル定数の値を取得するステップを含み、
    前記単軸引張挙動に関連する因子には、単軸引張試験から得られた単軸引張応力-ひずみ曲線を離散化した点列データが含まれていることを特徴とする金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法。
  2. 前記単軸引張挙動に関連する因子には、さらに降伏応力、最大引張応力、一様伸びを含む機械特性値の集合が含まれていることを特徴とする請求項1記載の金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法。
  3. 前記金属材料試験データには、さらに鋼種情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法。
  4. 前記材料モデルを下記式(1)で表される鋼材の圧縮挙動モデルとし、
    前記モデル定数を、下記式(1)のY、A、Bとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属材料の引張圧縮反転負荷挙動予測方法。
    Figure 2023037100000006
    ただし、Δσは、再降伏後の応力の変化量
    Δεpは、再降伏後の塑性ひずみの変化量
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