JP2023036051A - 精神性疲労の予防または改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善または自律神経調節機能を改善または認知機能を改善するために好適に使用される経口組成物を提供する。【解決手段】スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を有効成分として含有する精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの少なくともいずれかを予防または改善または自律神経調節機能を改善または認知機能を改善する目的で使用される改善剤、並びにスルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を経口組成物に配合して、当該経口組成物に対して精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの少なくともいずれかを予防または改善または自律神経調節機能を改善または認知機能を改善する作用を付与するための、黒大豆種皮抽出物の使用方法。【選択図】なし

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、黒大豆種皮由来の低重合度プロアントシアニジンを有効成分として含む精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善するために好適に使用される経口組成物に関する。また、本発明は、自律神経調節機能を改善または認知機能を改善するために好適に使用される経口組成物に関する。
疲労とは、単なる肉体的な運動性疲労に留まらず、免疫疾患や機能低下に伴う感染性疲労や精神的・環境的ストレス、睡眠・リズム障害による疲労などの精神性疲労が知られている。また、近年においては、デスクワークによる長時間労働、特にコンピュータのディスプレイなど表示機器を使用したVDT(Visual Display Terminal)作業を長時間続けたことにより生じる眼精疲労や肩こり、精神性疲労が増加している。これらの精神性疲労が慢性化すると、気力、意欲、集中力の低下、精神不安、眠気、自律神経調節機能の低下などを引き起こし、日常生活にも支障をきたすため、精神性疲労や自律神経調節機能の低下を効果的に改善させる薬剤や飲食物に対する需要が高まっている。
精神性疲労や眠気を改善する方法として、例えば、γ-アミノ酪酸(GABA)(特許文献1)やカフェイン、テアニン及びアルギニン(特許文献2)、フラボノイド及び/または糖転移フラボノイド(特許文献3)、トウガラシ抽出物及び/またはショウガ抽出物とテアニン(特許文献4)が提案されている。また、眼精疲労や肩こりを改善する方法としては、例えば、シアニジン3-グルコシドを含む黒大豆種皮抽出物(特許文献5)、シアニジン3-グルコシドを含む黒大豆種皮抽出物とビタミンE、セレン(特許文献6)、アスタキサンチン、ルテイン、黒大豆種皮エキス、ビルベリーエキスおよびDHA(特許文献7)が提案されている。また、自律神経調節機能や認知機能を改善する方法としては、例えば、セドロール(特許文献8)、アスパラガス擬葉(特許文献9)、チリロサイド(特許文献10)、β-ユーデスモール(特許文献11)、エレウテロサイドE(特許文献12)、ロスマリン酸(特許文献13)、カカオポリフェノール(特許文献14)を使用することが提案されている。
ところで、黒大豆種皮にはプロアントシアニジンを含むポリフェノール類が多く含まれ、黒大豆種皮抽出物はその抽出方法によって得られるポリフェノール成分やその含有量が異なることが知られている。本願出願人は、高重合度プロアントシアニジンもしくはプロアントシアニジンの構成モノマーを含有するプロアントシアニジン原料を、スルホ基含有化合物の存在下において低温加熱処理することにより低重合度プロアントシアニジンを増産することができることを見出し、その製造方法について出願、開示している(特許文献15)。当該出願の実施例において、スルホ基含有化合物の存在下において製造する方法により得られる黒大豆種皮抽出物は、重合度が2~5量体の低重合度プロアントシアニジンを多く含むことを開示している。一方、特許文献5および6において用いられる黒大豆種皮抽出物は、シアニジン3-グルコシドを主体とする黒大豆種皮抽出物であり、その抽出方法において塩酸を使用していることから低重合度プロアントシアニジンを含まないものである。今までに、低重合度プロアントシアニジンを多く含む黒大豆種皮抽出物を用いることによって、黒大豆種皮抽出物の経口摂取において、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりが、予防または改善する効果を有することは知られていない。また、低重合度プロアントシアニジンを多く含む黒大豆種皮抽出物を用いることによって、黒大豆種皮抽出物の経口摂取において、自律神経調節機能または認知機能を改善する効果を有することは知られていない。
特開2006-273733号公報 特開2002-322063号公報 国際公開公報第2010/029913号 特開2013-180960号公報 特開2002-128689号公報 特開2005-261237号公報 特開2016-183121号公報 国際公開公報第2001/058435号 特開2011-153125号公報 特開2013-35786号公報 特開2013-95756号公報 国際公開公報第2018/174294号 特開2019-206566号公報 国際公開公報第2019/054461号 国際公開公報第2014/054174号
本発明は、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善するために好適に使用される経口組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、自律神経調節機能または認知機能を改善または低下を抑制するために好適に使用される経口組成物を提供することを課題とする
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、スルホ基含有化合物の存在下において抽出する製造方法により得られた黒大豆種皮抽出物を経口摂取すると、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善すること、自律神経調節機能または認知機能が改善または低下を抑制することを見出した。このことから、スルホ基含有化合物の存在下において抽出する製造方法により得られた黒大豆種皮抽出物を摂取することで、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善すること、自律神経調節機能または認知機能を改善または低下を抑制することが期待される。
本発明は、以下に例示する(1)~(9)に関する。
(1)精神性疲労の予防または改善剤であって、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を含む剤。
(2)眠気の予防または改善剤であって、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を含む剤。
(3)眼精疲労の予防または改善剤であって、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を含む剤。
(4)肩こりの予防または改善剤であって、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を含む剤。
(5)自律神経調節剤であって、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を含む剤。
(6)認知機能改善剤であって、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を含む剤。
(7)経口剤である、(1)~(6)のいずれか一項に記載の剤。
(8)飲食品組成物である、(1)~(6)のいずれか一項に記載の剤。
(9)精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりのいずれかの予防または改善剤、自律神経調節剤または認知機能改善剤の製造におけるスルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物の使用。
本発明によると、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防または改善剤、自律神経調節剤または認知機能改善剤を提供することができる。また本発明の使用方法によれば、経口剤または飲食品組成物に対して精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防または改善、自律神経調節機能の改善または認知機能の改善の少なくともいずれかの作用を付与するために用いることができる。つまり、本発明の使用方法は、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防または改善の効果に優れた経口剤または飲食品組成物(経口医薬品、経口医薬部外品、飲食品)を調製し、提供することができる。また、本発明の使用方法は、自律神経調節機能の改善または自律神経調節機能の低下抑制、または認知機能の改善または認知機能の低下抑制の効果に優れた経口剤または飲食品組成物(経口医薬品、経口医薬部外品、飲食品など)を調製し、提供することができる。
図1は試験デザインを示す図である。 図2は被験者のフローチャートを示す図である。
以下、本発明の精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防または改善剤、経口剤・飲食品組成物、本発明の自律神経調節剤または認知機能改善剤、経口・飲食品組成物及びスルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物の使用方法、製造方法について、実施形態を示して説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
〔1〕精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防・改善剤、自律神経調節剤、認知機能改善剤
本発明の精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防・改善剤、自律神経調節剤、認知機能改善剤(以下、単に「本改善剤」とも称する)は、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
本明細書において、精神性疲労とは、身体的な運動によって局部的、全身的な筋肉疲労などの肉体的疲労を除く疲労のことであり、ストレスが生体に負荷された場合、肉体的運動を伴わなくても知覚されるストレス負荷に起因して知覚される疲労のことをいう。精神性疲労の予防・改善とは、例えば、倦怠感、不快感、だるさ感、感情の低下・不安定化や集中力・思考力の低下などを予防または改善することを知覚するものであり、Visual Analogue Scale(VAS)、Profile OF Mood States 2nd Edition(POMS2)、自覚症しらべなどで測定してもよい。
本明細書において、眠気とは、本明細書の精神性疲労を伴う作業負荷により生じる眠気のことをいい、眠気の改善とは、精神性疲労を伴う作業負荷に伴う眠気を軽減または緩和、予防することを意味する。
本明細書において、眼精疲労とは、例えば、目が疲れる、目が重い・だるい、目が痛い、物が見えにくい、光がまぶしい、目のかすみ、焦点調節力の低下、目の奥の痛み、目の充血等の症状に見られる疲労のことをいい、眼精疲労には、休息によって回復する一過性の眼の疲労感である「目疲労」と、休息によっても十分な回復が得られない慢性疲労である「眼精疲労」とがあるが、本願発明においては、目疲労または眼精疲労のいずれか、あるいは双方が含まれる。眼精疲労の改善とは、これらの諸症状を軽減または緩和、予防することを意味する。
本明細書において、肩こりとは、後頭部から肩、および肩甲部にかけての筋肉の緊張を中心とする不快感、圧迫感、違和感、鈍痛などの不快症状のことをいい、肩こりの改善とは、これらの諸症状を軽減または緩和、予防することを意味する。
本明細書において、自律神経調節とは、交感神経活動亢進作用、交感神経活動亢進の抑制作用、交感神経活動抑制作用、副交感神経活動亢進作用、副交感神経活動亢進の抑制作用、副交感神経活動抑制作用を含み、好ましくは交感神経活動亢進作用のことをいう。自律神経調節機能の改善とは、例えば、身体活動時における交感神経活動の亢進および休息時における副交感神経活動の亢進、あるいは自律神経の交感神経と副交感神経のバランスの乱れによる自律神経に関連した任意の疾患、諸症状である、全身倦怠感、易疲労、息切れ、動悸、手足のしびれ、肩こり、目の疲れ、頭痛、めまい、のぼせ、イライラ、不安感、食欲不振、倦怠感、眠気、不眠や集中力低下等の種々の不定愁訴症候群症状の発症を防ぎあるいは症状を軽減または緩和することを意味する。自律神経は、当該分野で既知の方法によって測定することができ、例えば、指尖加速度脈波の周波数解析、心電図を用いた心拍変動解析などによって測定してもよい。
本明細書において、認知機能改善とは、計画力、記憶力、注意力、空間認識力、見当識の少なくともいずれか一つ以上を改善または維持ことをいう。例えば、記憶力はもの事を忘れずに覚えておき、必要な時に取り出す力であり、注意力は五感から入ってくる情報を適時適切な取捨選択する力であり、計画力は状況を予測し最適な計画を考え遂行する力であり、見当識は日時や自分のいる場所など基本的な状況を把握する力であり、空間認識力は物体の空間に占めている状態や関係を素早く正確に把握する力であり、これらの力を改善または維持することを意味する。認知機能は、当該分野で既知の方法によって測定することができ、例えば、理化学研究所の監修により開発された8つのタスクで構成された認知機能測定の「CogEvo Ri」(トータルブレインケア製)やオーストラリアメルボルン大学を中心に開発された「CogHealth」(コグステート製)などによって測定してもよい。
スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物は、低重合度プロアントシアニジンを多く含み、低重合度プロアントシアニジンとは、通常、プロアントシアニジンの2~9量体、好ましくは2~5量体、より好ましくは生体内への吸収性が高まる2~4量体を示すものである。本発明の製法により得られる低重合度プロアントシアニジンは、天然型であることから、例えば、プロシアニジンB1(2量体),B2(2量体),C1(3量体),シンナムタンニン(cinnamtannin)A2(4量体)といったものがあげられる。
本発明において用いられる黒大豆とは、マメ科ダイズ属Glycine max(L.)Merrillに属する短日性の一年生草木の黒い種子(子実)(黒大豆)である。黒大豆には、例えば中生光黒、トカチクロ、いわいくろ、玉大黒、丹波黒、信濃黒及び雁喰などの品種があるが、黒大豆であればどの品種の種子を使用しても良い。
黒大豆を、例えば分別機等に供することで種皮と胚(子葉および胚軸)とに分別することができる。本発明では当該分別により得られる黒大豆の種皮を加工原料として使用することができる。加工処理に際して、黒大豆の種皮は、分別したそのままの状態(生または乾燥物)のものであっても、またそれを破砕若しくは粉砕した状態のもの(破砕物、粉砕物、及び粉末状物を含む)であってもよい。
黒大豆種皮からの抽出方法としては、スルホ基含有化合物を含む水溶性溶媒中に、生または乾燥処理した黒大豆種皮(そのままの形状、若しくは粗末、細切、破砕、粉砕状)を浸漬する方法;必要に応じて攪拌しながら抽出する方法;またはパーコレーション法等を挙げることができる。
抽出に使用する水溶性溶媒としては、特に制限されないが、水、低級アルコール、またはこれらの混合物を挙げることができる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1~4の低級アルコールを例示することができる。低級アルコールとして好ましくはエタノールを挙げることができる。水溶性溶媒として好ましくは、水、または含水低級アルコール(特に含水エタノール)であり、より好ましくは抽出時または精製時の作業容易性が高い水である。尚、含水低級アルコールを溶媒として使用する場合、それに含まれる低級アルコール量は80容量%以下であることが好ましい。
上記スルホ基含有化合物としては、各種のものを用いることができるが、好ましくは、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、10-カンファースルホン酸、およびスルホ基含有イオン交換樹脂がよく、より好ましくは硫酸であり、低重合度プロアントシアニジンが多く、シアニジン3-グルコシドの含量が低いポリフェノール組成物をより効率的に得ることができる点において好ましい。
抽出条件は、低温加熱で行い、通常は40~100℃、好ましくは50~80℃、より好ましくは60~70℃の温度条件で行う。すなわち、このような低温加熱により、ラセミ化を生じさせることなく、低重合度プロアントシアニジンをより効率的に得ることができる。そして、低温加熱は、好ましくは10~240分間、より好ましくは30~120分間行う。
さらに、上記スルホ基含有化合物の存在下での低温加熱は、通常はpH4.0以下、好ましくはpH2.0以下、より好ましくはpH0.3~1.5の条件で行われる。すなわち、このような条件で行うと、目的とする低重合度プロアントシアニジンをより効率的に得ることができる。なお、水溶性溶媒における酸の規定度は、水溶性溶媒が上記pH範囲になるような範囲であれば特に制限されないものの、好ましくは0.01~0.5Nの範囲、より好ましくは0.03~0.5Nの範囲である。
得られた抽出液は、そのままでも本改善剤として使用することができるが、必要に応じて、さらにろ過、共沈または遠心分離による固形物の除去、活性炭処理、吸着処理等の精製処理を行ってもよい。例えば、黒大豆種皮抽出物中のポリフェノールの濃度を高める目的で合成吸着剤を用いて精製処理することができる。合成吸着剤としては、スチレン、メタアクリル酸エステル等の多孔質架橋重合体の樹脂であり、スチレン系樹脂としては例えば、ダイアイオンHP20、HP21、セパビーズSP825、SP70、SP700などが、アクリル系樹脂としてはダイアイオンHP2MGL、アンバーライトXAD7HPなどが使用できる。合成吸着剤による精製処理は、従来公知の方法で行えばよく、例えば、得られた抽出液をガラス管に充填した合成吸着剤に対して通液して吸着させ、次いで水で不純物や酸を洗い流した後、有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒を用いて樹脂に吸着されたポリフェノールを溶出させることができる。
斯くして調製される黒大豆種皮抽出物は、そのままでも本改善剤として使用することができるが、服用の観点や飲食物製造の観点から、濃縮処理または/及び乾燥処理してもよい。さらに必要に応じて、該抽出液の細菌数の低減や保存性を高める目的で、本発明の効果を損なわない範囲において、前記加工処理の前または後にUHT殺菌、レトルト殺菌処理といった公知の方法による殺菌処理を行ってもよい。なお、本発明における黒大豆種皮抽出物とは、抽出液、該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、または該抽出物を乾燥して得られる乾燥物のいずれかを意味するものとする。
前記のようにして調製された黒大豆種皮抽出物は、好ましくは、ポリフェノールを約30%w/w以上、例えば約40%w/w以上、例えば約50%w/w~70%w/wの含有量で含む。より好ましくは、前記黒大豆種皮抽出物は、ポリフェノールのなかでも、プロアントシアニジン(Proanthocyanidin)およびプロアントシアニジンを構成する単量体であるカテキン(Catechin)、エピカテキン(Epicatechin)を合計で10%w/w以上、好ましくは15%w/w以上、より好ましくは20%w/w以上、さらに好ましくは25%w/w以上、よりさらに好ましくは30%w/w以上の含有量で含む。前記黒大豆種皮抽出物は、特に低重合度プロアントシアニジン(2~9量体)を多く含み、例えば、ポリフェノールを約60%w/wの含有量で含むように調整した場合、低重合度プロアントシアニジン(2~9量体)は総量で、前記抽出物中、例えば7w/w%以上、好ましくは9w/w%以上、より好ましくは13w/w%以上、さらに好ましくは18w/w%以上、よりさらに好ましくは22w/w%以上、よりさらに好ましくは27w/w%以上程度含まれる。さらに好ましくは、前記黒大豆種皮抽出物は、プロシアニジンB2(Procyanidin B2)、プロシアニジンC1(Procyanidin C1)、シンナムタンニンA2(Cinnamtannin A2)などを含む2量体から4量体の低重合度プロアントシアニジンや、プロアントシアニジンを構成する単量体であるカテキン、エピカテキンを含むことにより、摂取時の生体内への吸収性を高めることができる。
〔2〕経口剤・飲食品組成物
本改善剤は、経口投与形態であれば、その形態を特に問わない。また経口投与(経口摂取)形態を有するものである限り、その用途の別(医薬品、医薬部外品、飲食物[特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能性食品などの保健機能性食品やサプリメントを含む])は、特に制限されるものではない。また、本改善剤は、ヒト以外の動物(家畜や家禽、ペットを含む)を対象とした飼料やペットフードに適用されるものであってもよい。さらに本改善剤は、医薬品、医薬部外品、飲食物、飼料またはペットフードに対して添加される添加剤であってもよい。
経口投与形態として、具体的には、上記抽出方法により調製される抽出液を液剤(エキス形態やシロップを含む)またはゼリー剤の形態に調製したもの;抽出液を常法により粉末状または顆粒状に製剤化した散剤、細粒剤、または顆粒剤;液剤や散剤または顆粒剤をカプセルに充填したカプセル剤(硬質カプセル剤、軟質カプセル剤);または粉末または顆粒をさらに打錠して錠剤形態としたものなどを挙げることができる(固形製剤)。
本改善剤は、上記黒大豆種皮抽出物と薬学的に、または食品や飼料として許容される従来公知の可食性の担体、賦形剤等を組み合わせて各種剤型(経口投与形態)に調製することもできる。
本改善剤を液状製剤の形態とする場合、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えば液剤及びシロップ剤の製造に適切な添加物は、例えば、水、エタノール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖、マルトース、還元水あめ等を使用できる。
本改善剤を固形剤の形態とする場合、例えば、錠剤の場合であれば、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用することができる。このような担体としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、アルギン酸ナトリウム等の結合剤;乾燥デンプン、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、クロスポビドン、ポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。また、前記有効成分を含有する組成物を、ゼラチン、プルラン、デンプン、アラビアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等を原料とする従来公知のカプセルに充填して、カプセル剤とすることができる。
また、丸剤の形態とする場合、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
上記以外に、添加剤として、例えば、界面活性剤、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤など、製剤の形態に応じて適宜選択し使用することができる。
これらの形態はいずれも当該分野における通常の方法を用いて調製でき、例えば、錠剤は、上記有効成分とその他錠剤を得るために必要な賦形剤等を適宜添加し、よく混合分散させたのち打錠して得ることができる。また、散剤は、上記有効成分とその他散剤を得る為に必要な賦形剤等を適宜添加し、好適な方法にて混合、粉体化して得ることができる。
本改善剤は、前述する製剤形態のほか、通常の飲食物の形態を有するものであってもよい。当該飲食物は、前述する黒大豆種皮抽出物または後述する黒大豆種皮抽出物を含有する添加剤を種々の飲食物に添加することにより製造することができる。飲食物は、溶液、懸濁液、乳濁液、ゼリー(ゲル)、ゾル、粉末、固体成形物など、経口摂取可能な形態であればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品などの即席食品類;清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料などの飲料類;パン、パスタ、麺、ケーキミックス、唐揚げ粉、パン粉などの小麦粉製品;飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子などの菓子類;ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素類などの調味料;加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズなどの油脂類;乳飲料、ヨーグルト類、チーズ、発酵乳、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類などの乳製品;プリンやマヨネーズなどの卵加工品;魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品などの水産加工品;畜肉ハム・ソーセージなどの畜産加工品;農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアルなどの農産加工品;冷凍食品、栄養食品などを挙げることができる。制限されないものの、黒大豆種皮抽出物由来のポリフェノールは酸性側で安定性が高いことから沈殿や色味の低下を抑制するという点からは、好ましくは酸性の食品とすることが好ましい。
また本改善剤は、通常の飼料やペットフードの形態を有するものであってもよい。これらの当該飼料やペットフードも、前述する黒大豆種皮抽出物を種々の飼料やペットフードに添加することにより製造することができる。
本改善剤における黒大豆種皮抽出物の含有量は、100質量%を上限として、前述する形態の種類や用途の種類(医薬品、食品、飼料・ペットフード等)等に応じて適宜設定することができる。本改善剤の投与量(摂取量)は、ヒトや動物の種類、被験者の性別や年齢、被験者の状態や症状の程度によって適宜変更され得る。制限されないものの、例えば、ヒト成人一人(体重50kg)に対する1日あたりの投与量(摂取量)は、本改善剤に含まれる黒大豆種皮抽出物(乾燥量)の量に換算して通常10~500mg程度を挙げることができる。通常、一日1回または2~3回に分けて経口投与(摂取)の形態で用いられる。服用時刻は、特に限定されず、例えば朝、昼、晩の食事時のいずれか1以上の時間帯を例示することができる。また制限されないが、食事と一緒、または食前若しくは食後の30分以内であってもよい。
本改善剤の投与(摂取)対象者は、疲労やストレスの自覚症状を有する者であるか、そうした疲労やストレスの予防を要望する者であればよく、この限りにおいて特に制限されない。これらの者には、VDT(Visual Display Terminal)作業またはこれと類似するデスクワーク作業に従事する者や、慢性疲労症候群、鬱、慢性疲労、おっくう感、意欲低下、集中力低下、記憶力低下、判断力低下などの脳機能低下の自覚症状を有する者や、これらの予防効果を享受する必要またはそれを要望する者も含まれる。
また、本改善剤は、例えば、精神性疲労負荷後に効果を奏する。「精神性疲労」としては、例えば知的労働や精神的活動、緊張による疲労、人間関係、家族関係、仕事の悩みなどの自覚的なストレスによる疲労などであり、複雑な計算や記憶または思考などの心理活動ばかりでなく、単純な反復作業、我慢や緊張または時間に追われて作業をすることのイライラ感等が挙げられる。したがって、本改善剤の対象者は、疲労やストレスによる自律神経失調の自覚症状を有する者であるか、または認知機能の低下の自覚症状を有する者であればよく、この限りにおいて特に制限されない。これらの者には、VDT(Visual Display Terminal)作業またはこれと類似するデスクワーク作業に従事する者や、慢性疲労症候群、鬱、慢性疲労、おっくう感、意欲低下、集中力低下、記憶力低下、判断力低下などの脳機能低下の自覚症状を有する者や、これらの予防効果を享受する必要またはそれを要望する
本改善剤を経口的に服用(投与、摂取)することにより、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善することができる。本改善剤の服用(投与、摂取)により、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善する効果は、VAS(Visual Analogue Scale)検査によって評価、確認することができる。また、精神性疲労、眠気を予防または改善する効果は、自覚症しらべによって評価、確認することができる。
また、本改善剤を経口的に服用(投与、摂取)することにより、自律神経調節機能または認知機能を改善または低下抑制することができる。例えば、本改善剤の服用(投与、摂取)により、自律神経調節機能は加速度脈波計を用いて、認知機能は理化学研究所の監修により開発された8つのタスクで構成された認知機能測定(CogEvo Ri)を用いることによってそれらの機能改善効果を評価、確認することができる。なお、自律神経調節機能は、加速度脈波計を用いた周波数解析して得られる低周波領域(0.04~0.15Hz)パワー値(LF)は交感神経と副交感神経の両方の活動性を反映し、高周波領域(0.15~0.40Hz)パワー値(HF)は副交感神経機能の指標であるとされている。
〔3〕黒大豆種皮抽出物の使用方法
本発明はまた、黒大豆種皮抽出物の使用方法を提供する。その使用方法の1つは、経口組成物に対して、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善する作用を付与するための黒大豆種皮抽出物の使用方法である。他の使用方法の1つは、経口剤または飲食品組成物に対して、自律神経調節機能を改善する、または認知機能の低下抑制または改善する作用を付与するための黒大豆種皮抽出物の使用方法である。
当該方法は、黒大豆種皮抽出物が有する精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善する作用に基づいて、対象とする経口組成物を製造するための、前記抽出物の使用方法を用いることができる。また、当該方法は、黒大豆種皮抽出物が有する自律神経調節機能の改善または低下抑制、または認知機能の改善または低下抑制の作用に基づいて、対象とする経口剤または飲食品組成物を製造するための、前記抽出物の使用方法を用いることができる。なお、黒大豆種皮抽出物に代えて、黒大豆種皮抽出物を有効成分とする前述する本改善剤を用いることもできる。
対象とする経口組成物には、人に対して経口的に投与する組成物または人が摂取する組成物、具体的には経口医薬品、経口医薬部外品、及び飲食物が含まれる。好ましくは飲食物である。また非ヒト動物を対象とする場合、経口組成物として、飼料やペットフードを用いることができる。
本発明の方法で用いる黒大豆種皮抽出物の原料として使用する黒大豆の種類、黒大豆種皮の取得方法、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物の調製方法は、上述した〔1〕精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防・改善剤、自律神経調節剤、認知機能改善剤で説明した通りであり、本欄において援用することができる。
経口剤または飲食品組成物に対する黒大豆種皮抽出物の配合量は、経口剤または飲食品組成物に、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善する作用が付与できる量であればよく、その限りにおいて特に制限されない。その評価は、被験者に黒大豆種皮抽出物を配合した経口組成物(対象組成物)を継続的に摂取させた場合と、被験者に黒大豆種皮抽出物を配合しない経口組成物(比較組成物)を継続的に摂取させた場合とで、VAS(Visual Analogue Scale)検査によって評価、確認することができる。また、精神性疲労、眠気を予防または改善する効果は、自覚症しらべによって評価、確認することができる。
また、経口剤または飲食品組成物に対する黒大豆種皮抽出物の配合量は、経口剤または飲食品組成物に、自律神経調節機能の改善または低下抑制、または認知機能の改善または低下抑制の作用が付与できる量であればよく、その限りにおいて特に制限されない。その評価は、被験者に黒大豆種皮抽出物を配合した経口剤または飲食品組成物(対象組成物)を継続的に摂取させた場合と、被験者に黒大豆種皮抽出物を配合しない経口組成物(比較組成物)を継続的に摂取させた場合とにおいて、例えば、それぞれ加速度脈波計および認知機能検査(CogEvo Ri:見当識(時間管理)、計画力(ルート99))によって評価、確認することができる。
本発明はまた、黒大豆種皮抽出物を対象に投与することを含む、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善するための方法を提供する。さらに、本発明は、黒大豆種皮抽出物を対象に投与することを含む、自律神経を調節するための方法を提供する。さらに、本発明は、黒大豆種皮抽出物を対象に投与することを含む、認知機能を改善するための方法を提供する。対象としては、例えば、ヒト、およびヒト以外の動物(例えば、家畜、家禽、ペット等)が挙げられる。黒大豆種皮抽出物は、本改善剤の形態であってもよい。黒大豆種皮抽出物の投与量は、対象の種類、性別や年齢、対象の状態や症状の程度によって適宜決定され得る。制限されないものの、例えば、ヒト成人一人(体重50kg)に対する1日あたりの投与量は、通常10~500mg程度、例えば25~400mg程度、好ましくは50~300mg程度を挙げることができる。通常、一日1回または2~3回に分けて経口投与される。
以下に実験例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
〔実施例1〕黒大豆種皮抽出物の精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防・改善効果
最初に黒大豆種皮抽出物および試験食の調製方法、次いで精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防・改善に関する試験方法とその結果について説明する。
〔黒大豆種皮抽出物〕
黒大豆種皮抽出物(スルホ基含有化合物の存在下で抽出された酸性熱水抽出物)は下記の方法により調製した。
(1)黒大豆種皮(生)1kgを抽出溶媒として希硫酸(0.3%w/v)30Lに浸漬し、55~60℃に加熱しながら20分間撹拌抽出する。
(2)抽出後、黒大豆種皮と液とを固液分離し、液を回収する。
(3)回収した液を遠心分離を行ない、固液分離では取り除けない浮遊固形物を除去する。
(4)得られた抽出液を合成吸着樹脂(セパビーズSP700:三菱化学(株)製)を入れたカラムに投入し、樹脂に吸着させる。
(5)カラム内に残存する硫酸を洗い流すため、カラムに水を通液して樹脂を洗浄する。
(6)カラムに59容量%濃度のアルコ-ル水溶液を通液して、樹脂に吸着されたポリフェノールを溶出させる。
(7)回収した溶出液(アルコール溶液)を減圧下で加熱することにより蒸発させ、濃縮する。
(8)得られた濃縮液に、賦形剤としてデキストリンを添加する。
(9)加熱殺菌する。
(10)加熱殺菌後の濃縮液を噴霧乾燥して黒大豆種皮抽出物(85g、ポリフェノール含量61.1%)を得た。
〔黒大豆種皮抽出物の成分組成〕
上記より得られた黒大豆種皮抽出物(スルホ基含有化合物の存在下で抽出された酸性熱水抽出物)の成分組成を下記の方法により分析した。結果を表1に示す。
(1)Total Polyphenol分析
黒大豆種皮抽出物を70%エタノールで7.5mg/100ml濃度に調整して試料溶液とし、試料溶液1mlにフォーリンシオカルト溶液5mlを添加、反応させる。これに0.7M炭酸ナトリウム水溶液4mlを加えて撹拌し、30℃で60分間静置した後、分光光度計にて765nmの吸光度を測定した。カテキン(SIGMA社製、「(+)-catechin hydrate」C1251-5G)の検量線を同時に作製し、総Polyphenol量をカテキン当量として算出した。
(2)Total Flavan-3-ol分析
黒大豆種皮抽出物を50%エタノールで12.5mg/100ml濃度に調整して試料溶液とし、試料溶液1mlに4%バニリン溶液を3ml加えて撹拌し、濃塩酸を1.5ml加えて撹拌し、30℃で20分間静置した後、分光光度計にて500nmの吸光度を測定した。なお、対照区には4%バニリン溶液の代わりに100%メタノールを加えた。分光光度計測定は、試験区の吸光度をA、対照区の吸光度をB、ブランク区の吸光度をCとし、検体の吸光度=A-B-Cとして測定した。カテキン(SIGMA社製、「(+)-catechin hydrate」C1251-5G)の検量線を同時に作製し、総Flavan-3-ol量をカテキン当量として算出した。
(3)Catechin, Epicatechin, Procyanidin B2, Procyanidin C1, Cinnamtannin A2分析
黒大豆種皮抽出物を50%エタノールで0.1mg/ml濃度に調整して試料溶液とし、以下の分析条件でHPLCに供試して測定した。分析条件は、移動相Aに0.1%ギ酸溶液、移動相Bにアセトニトリルを使用し、下記濃度勾配および条件で溶出した。またCatechin, Epicatechin, Procyanidin B2, Procyanidin C1, Cinnamtannin A2の標準溶液を同時にHPLCに供試し、検量線を作成して定量した。
濃度勾配:0~45分/B:5~15%,45~50分/B:15~80%,50~53分/B:80%,53~70分/B:5%,流量:0.7 mL / min,注入量:10μL,カラムオーブン温度:40℃,蛍光:励起波長276 nm 発光:316 nm,Cadenza CL-C18カラム(φ250 mm×4.6 mm、3μm、Imtakt),ガードカラム(Cadenza CL-C18、φ5 mm×2 mm、3μm、Imtakt)
(4)Cyanidin 3-glucoside分析
黒大豆種皮抽出物を1%塩酸-メタノール(1:37, v/v)で0.1mg/ml濃度に調整して試料溶液とし、以下の分析条件でHPLCに供試し測定した。分析条件は、移動相Aにギ酸:水(3:97,v/v)溶液、移動相Bにギ酸:アセトニトリル:水(3:30:67,v/v)を使用し、下記濃度勾配および条件で溶出した。またCyanidin 3-glucosideの標準溶液を同時にHPLCに供試し、検量線を作成して定量した。
濃度勾配:0~50分/B:25~50%,50~55分/B:50~100%,55~60分/B:100%,60~70分/B:25%,流量:0.6 mL / min,注入量:10μL,カラムオーブン温度:40℃,UV:測定波長520 nm,Cadenza CL-C18カラム(φ250 mm×4.6 mm、3μm、Imtakt),ガードカラム(Cadenza CL-C18、φ5 mm×2 mm、3μm、Imtakt)
Figure 2023036051000001
〔試験食〕
試験食は、黒大豆種皮抽出物含有食(被検食)、及び対照食(プラセボ)を用いた。試験食の配合を以下に示す。
(被検食) 黒大豆種皮抽出物100mg(ポリフェノール含量61.1%)とデキストリン110mgを含有するカプセル剤(合計210mg)
(プラセボ) デキストリン250mgを含有するカプセル剤
なお、プラセボは、熱量等において、被検食と大きな差がないように作製された。表2に各試験食の栄養成分表を示した。
Figure 2023036051000002
〔試験方法〕
(実施体制)
本試験はヘルシンキ宣言(2013)-東京、ベニス、香港、サマーセットウェスト、エジンバラ修正、ワシントン、東京注釈追加、ソウル修正、フォルタレザ修正-の精神に則り、常に被験者の人権保護に配慮し、医療法人弘正会ふくだ内科クリニック倫理審査委員会(IRB)の承認を得て、医師の管理下において実施した。実施に当たっては、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年12月22日公布)」に従って実施した。
(被験者)
被験者は、試験責任医師により本試験への参加に適当と判断され、被験者候補77名からスクリーニング検査を実施し、年齢が20歳以上65歳未満の健常者である男女の計24名(男女各12名)とし、また、本試験参加に際し、事前に当該試験の説明を受け、その内容が理解でき、趣旨に賛同できる者であり、被験者本人による文書同意が得られる者とした。前記健常者は、基本的には認知機能低下の自覚症状がある人ではない。ただし、大豆アレルギーの者、薬を常用している者、重篤な心血管障害、肝機能障害、腎機能障害、呼吸器障害、内分泌障害、代謝障害に罹患している者、またはこれらの既往歴がある者、慢性疲労症候群(CFS)の者、または試験責任医師が特発性慢性疲労など重度の疲労を有していると判断する者、疲労回復あるいは肉体疲労時の栄養補給を効能効果としている医薬品や医薬部外品を常用している者、疲労感に関する機能性を表示している機能性表示食品を常用している者、妊娠中もしくは授乳中の者、または妊娠の予定のある者、本試験開始前1ヶ月以内に200 mL、または3ヶ月以内に400 mLを超える採血(献血など)をした者、過去3ヶ月以内に他の臨床試験に参加した者、および現在他の臨床試験に参加中の者、その他試験責任医師が不適当と判断した者は除外した。
(試験食の摂取)
試験食は、1日1粒を夕食後に4週間継続して摂取させた。なお、試験期間中、疲労回復あるいは肉体疲労時の栄養補給を効能効果としている医薬品や医薬部外品、疲労感に関する機能性を表示している機能性表示食品、抗酸化物質を多く含む健康食品など抗疲労作用を有する可能性がある飲食物については摂取を禁止した。
(試験方法)
試験デザインは、ランダム化二重盲検プラセボ対比クロスオーバー比較試験とした。図1に試験デザインを示した。
試験方法は、試験第1期の摂取開始時検査日および摂取4週間後検査日、ウォシュアウト期間4週間を経た後のクロスオーバーによる試験第2期の摂取開始時検査日および摂取4週間後検査日に精神作業負荷を設定した。なお、検査日と前日はアルコール、コーヒーの摂取を禁止した。また、試験期間中、運動について特に制限することはしなかったが、通常の運動習慣(頻度、運動の種類等)を極力維持することとし、突然激しいトレーニングを行ったりフルマラソンを走ったり、あるいは継続していた運動を突如中止する等急激に状態を変えることを禁止した。本試験の被験者となった時点から試験終了時まで医薬品を試験責任医師の許可なしに使用させないこととした。
(精神作業負荷)
精神作業負荷は、VDT(Visual Display Terminal)作業による疲労負荷として、2-back課題30分間、およびATMT(Advanced Trail Making Test,ABC課題)30分間の計1時間を1セットとし、2セット(2時間)実施した。(なお、本試験の検査前日に2-back課題とATMT(ABC課題)のインストラクションを実施した。)
(1)2-back課題
3秒毎にランダムにアルファベットがパソコンの画面上に表示され、現在表示されているアルファベットと2つ前に表示されたアルファベットが同じであれば右クリック、異なっていれば左クリックする短期記憶課題とした。
(2)ATMT (ABC課題)
パソコンの画面上にランダムに表示された1から25までの25 個の数字を1から25まで順にすばやくクリックしていく視覚探索課題。A、B、C の3 種類の課題を順に実施した。A課題は1から25までの数字の配置が変わらない課題、B 課題は1から25の配置は変わらないが、クリックした数字が消えて26以降の新たな数字が追加される課題、C 課題はB 課題に加えてさらに25までの数字の配置が変わる課題とした。
(検査項目)
(1)VAS(Visual Analogue Scale)検査
摂取開始時検査日、摂取4週間後検査日の負荷前、負荷1時間後、負荷2時間後、回復1時間後、回復2時間後の5回にVAS検査を実施した。質問項目は、疲労感、眠気、眼精疲労、肩こりとした。
VASについては疲労感の評価方法として日本疲労学会で推奨されている。VASの自己評価スコアは、長さ10.0cmの水平な直線を提示し、両端をそれぞれの左端を最も否定的(感じない)、右端をもっとも肯定的(感じる)とし、各質問項目に対する被験者自身の感覚がどの程度のレベルに位置するか、その線分上に印を記入させた。評価結果の測定は、各被験者が印した点の位置を左端からの距離として測定し、数値化した。最も否定的な端(左端)を0点、最も肯定的な端(右端)を10.0点とした。
(2)自覚症しらべ
摂取開始時検査日、摂取4週間後検査日に来院時、負荷2時間後、回復2時間後の3回、自覚症しらべ(産業疲労研究会、自覚症状アンケート)を実施した。
自覚症しらべについては、作業に伴う疲労状況の経時的変化をとらえる疲労感の評価方法として産業疲労研究会で推奨されている。25項目の設問で構成され、5群別に合計スコアを求め、群別に疲労状況を評価するものである。5群とは、1群:ねむけ感、2群:不安定感、3群:不快感、4群:だるさ感、5群:ぼやけ感である。
(3)自律神経機能評価
摂取開始時検査日、摂取4週間後検査日に来院時、負荷1時間後、負荷2時間後、回復1時間後、回復2時間後の5回、アルテットCDN(株式会社ユメディカ)を用いて加速度脈波を測定し、主要解析を最大エントロピー法(MEM)、副次解析を高速フーリエ変換(FFT)によるa-a間隔の周波数解析により自律神経機能を評価した。具体的には、パワースペクトルを、0.04Hz から0.15Hz まで積分してLF (Low Frequency,低周波成分) のパワー値を、0.15Hz から0.4Hz まで積分してHF (High Frequency,高周波成分) のパワー値を得て、得られたLF、HFそれぞれのTotal power (全周波数範囲積分値)に対する割合(%値)であるLF%、HF%を算出した。自律神経活動の指標値として、交感神経活動指標を表すLF/HF(低周波成分/高周波成分)を算出した。
(4)認知機能検査
摂取開始時検査日、摂取4週間後検査日に来院時、負荷2時間後、回復2時間後の3回、CogEvo Ri(株式会社トータルブレインケア)を用いて認知機能検査を実施した。CogEvo Riは高齢者分野を中心に認知機能にかかわる様々な医療や生活分野における臨床研究に使用されており、臨床試験における認知機能評価の妥当性が示されている。タブレット端末を用いて認知機能に関わる課題を実施し、得点により認知機能を評価した。
(5)統計学的処理
試験データを集計し、項目ごとに統計解析を行った。統計処理ソフトはSPSS Ver.22.0(日本アイ・ビー・エム(株))を使用し、試験条件間の比較においては、対応のあるt検定を実施した。有意水準は両側検定で5%とし、10%を傾向ありとした。
〔結果〕
(被験者)
被験者24名を男女比率が同一となるようにランダムに2グループ(被検食群12名、プラセボ群12名)に割り付け、クロスオーバー試験を行った。期間中1名が試験第2期から脱落しクロスオーバー比較ができないものを除外とした。図2に被験者のフローチャートを示した。
(1)VAS(Visual Analogue Scale)検査
(1-1)疲労感
実測値において、被検食群はプラセボ群と比較して、疲労感が摂取4週間後検査日の来院時、負荷1時間後、負荷2時間後で有意な低値がみられた。負荷前である来院時において有意な低値がみられたことから、被検食の4週間摂取により、日常生活によって生じる疲労感が軽減されることが確認された。また、負荷1時間後、負荷2時間後において有意な低値がみられ、精神作業負荷を実施した場合においても疲労感の軽減が持続されていることが確認された。表3にVAS実測値の結果を示す。数値は平均値とその標準誤差である。
(1-2)眠気
実測値において、被検食群はプラセボ群と比較して、眠気が摂取4週間後検査日の来院時、負荷2時間後で有意な低値がみられた。疲労により眠気を誘発することが考えられることから、黒大豆種皮抽出物を含む被検食の疲労感軽減効果に伴う変化であると考えられた。表3にVAS実測値の結果を示す。数値は平均値とその標準誤差である。
(1-3)肩こり
実測値において、被検食群はプラセボ群と比較して、肩こりが摂取4週間後検査日の負荷1時間後で低値傾向がみられ、精神作業負荷に伴う肩こりの症状を軽減することが示唆された。表3にVAS実測値の結果を示す。数値は平均値とその標準誤差である。
(1-4)眼精疲労
VASの摂取開始時検査日からの変化において、眼の疲れが摂取4週間後検査日で有意な低下がみられ、黒大豆種皮抽出物を含む被検食が眼の疲れの軽減効果を有することが示唆された。表4にVASの摂取開始時検査日からの変化の結果を示す。数値は平均値とその標準誤差である。
(2)自覚症しらべ
(2-1)不快感
実測値において、被検食群はプラセボ群と比較して、3群(不快感)が摂取4週間後検査日の来院時、負荷2時間後で有意な低値がみられ、黒大豆種皮抽出物を含む被検食が疲労に伴う不快感の軽減効果を有することが確認された。不快感は、多くの場合疲労とともに認められる感覚であることから、黒大豆種皮抽出物の精神性疲労を軽減する効果を示す結果である。表5に自覚症しらべの実測値の結果を示す。数値は平均値とその標準誤差である。
(2-2)眠気
実測値において、被検食群はプラセボ群と比較して、1群(ねむけ感)が摂取4週間後検査日の来院時で低下傾向、負荷2時間後で有意な低値がみられ、VASで確認された眠気の軽減を支持する結果が得られた。表5に自覚症しらべの実測値の結果を示す。数値は平均値とその標準誤差である。
(3)自律神経機能評価
自律神経機能評価の来院時からの変化の摂取前後差において、被検食群はプラセボ群と比較して、LF%-MEM、LF%-FFT、LF/HF-MEMが回復1時間後で有意な低下、HF-MEM、HF-FFTが負荷2時間後、回復1時間後で有意な上昇がみられた(表6)。
一方、作業負荷前である来院時においては、被検食群はプラセボ群と比較してHF-MEMの実測値が有意な低値、LF/HF-FFTの実測値が有意な高値であった(表7)。LFは主に交感神経活動、HFは副交感神経活動を反映し、疲労状態では交感神経活動優位となることが知られている。被験食群は、作業負荷後においては回復に適した副交感神経活動優位な状態、作業負荷前は活動時に適した交感神経優位な状態となっていることが確認された。
(4)認知機能検査
認知機能検査の実測値において、見当識/時間管理の得点が摂取4週間後検査日の負荷2時間後で有意な高値がみられた(表8)。また、計画力/ルート99の得点についても負荷2時間後において上昇がみられた(表8)。被験食品群はプラセボ群と比較して、精神作業負荷によって生じた認知機能の低下を改善することが確認された。
Figure 2023036051000003
Figure 2023036051000004
Figure 2023036051000005
Figure 2023036051000006
Figure 2023036051000007
Figure 2023036051000008
この結果から、被検食(黒大豆種皮抽出物)を経口摂取することで、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善すること、また自律神経調節機能または認知機能を改善することがわかる。用量の範囲としては、少なくとも今回検討した黒大豆種皮抽出物(スルホ基含有化合物の存在下で抽出された酸性熱水抽出物)によれば、乾燥重量として100mg以上の範囲において、本発明の所望の効果が得られることがわかる。
黒大豆種皮抽出物の処方例を以下に示す。
処方例1 ソフトカプセル
下記の原料を用いて、定法に従ってソフトカプセルを調製した。なお、黒大豆種皮抽出物として、実験例1の方法に従って調製した黒大豆種皮抽出物を用いた。
植物油脂:158.6mg
ゼラチン:135.2mg
黒大豆種皮抽出物:100mg
グリセリン:30.2mg
レシチン:30mg
ミツロウ:26mg
ビタミンE:20mg。
処方例2 錠剤
下記の原料を用いて、定法に従って錠剤を調製した。なお、黒大豆種皮抽出物として、実施例1方法に従って調製した黒大豆種皮抽出物を用いた。
デキストリン:179.69mg
黒大豆種皮抽出物:100mg
還元水あめ:28.56mg
結晶セルロース:26.51mg
ステアリン酸カルシウム:5.25mg
微粒二酸化ケイ素:5.25mg
ヒドロキシプロピルセルロース:4.77mg。
処方例3 個包装スティックゼリー
下記の原料を用いて、定法に従って個包装スティックゼリーを調製した。なお、黒大豆種皮抽出物として、実施例1の方法に従って調製した黒大豆種皮抽出物を用いた。
希少糖含有シロップ:1000mg
黒大豆種皮抽出物:100mg
ゲル化剤(増粘多糖類):100mg
甘味料(キシリトール、スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム):70mg
香料:20mg
水:8710mg
本発明のスルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を有効成分として含有する予防または改善剤は、精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりを予防または改善すること、自律神経調節機能または認知機能を改善することができる。したがって、本発明の精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりの予防または改善剤は、医薬品、医薬部外品、機能性表示食品、サプリメントなど広い適用範囲で利用できるため有用である。

Claims (6)

  1. 精神性疲労、眠気、眼精疲労、または肩こりの予防または改善剤であって、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を含む剤。
  2. 自律神経調節剤であって、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を含む剤。
  3. 認知機能改善剤であって、スルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物を含む剤。
  4. 経口剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の剤。
  5. 飲食品組成物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の剤。
  6. 精神性疲労、眠気、眼精疲労または肩こりのいずれかの予防または改善剤、あるいは自律神経調節剤または認知機能改善剤の製造におけるスルホ基含有化合物の存在下で抽出された黒大豆種皮抽出物の使用。
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