JP2023036036A - 極性基含有オレフィン共重合体、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】側鎖にラクトン構造が導入されている新規な極性基含有オレフィン共重合体を提供する。【解決手段】エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位(A)と、下記一般式(I)で表される構造単位及び下記一般式(II)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(B)と、を含むことを特徴とする極性基含有オレフィン共重合体。JPEG2023036036000025.jpg57138【選択図】なし

Description

本開示は、新規な極性基含有オレフィン共重合体及びその製造方法に関し、詳しくは、側鎖にラクトン構造が導入されている新規な極性基含有オレフィン共重合体及びその製造方法に関するものである。
エチレン重合体及びエチレンとα-オレフィンの共重合体などのオレフィン系重合体は、樹脂材料の中で物性や成形性などの諸性質に優れ、経済性や環境問題適合性なども高い。そのため、オレフィン系重合体は、非常に汎用されかつ重要な産業資材である。
しかし、オレフィン系重合体は極性基を持たないため、他の材料との接着性や印刷適性、或いはフィラーなどとの相溶性の物性が要求される用途への適用は困難であった。
近年、ポリオレフィンに極性基が導入された極性基含有オレフィン共重合体のニーズが増加し、種々の共重合体例が報告されている。
極性基含有オレフィン共重合体としては、従来、側鎖に極性基を有する共重合体が知られている。例えば、エチレンと、アクリル酸エステルやビニルケトンとを共重合することで得られる、側鎖にカルボニル基を有する共重合体等がある(例えば、特許文献1)。
一方、二酸化炭素は、安価で入手容易な炭素源であり、有効利用が望まれる。特許文献2には、高分子材料に二酸化炭素を利用した例として、二酸化炭素と1,3-ジエン類から製造したラクトンモノマーを、ラジカル重合することにより得られた単独重合体が開示されている。また、特許文献3には、前記ラクトンモノマーとメタクリル酸エステルモノマーとのラジカル共重合から得られたメタクリル酸エステル系共重合体が開示されている。当該メタクリル酸エステル系共重合体は、主鎖骨格にラクトン環を有していると記載されている。特許文献3は、ポリメタクリル酸エステル系樹脂の光学的透明性や加工性を損なうことなく、耐熱性を改善した樹脂材料を提供することを目的としている。
特許第6309206号 特開2014-240476号公報 特開2018-168301号公報
特許文献2及び3には、前記ラクトンモノマーを非極性モノマーであるオレフィンモノマーと共重合することは、一切記載がない。
本開示は、オレフィン系重合体の高機能化のために、ポリマー鎖の側鎖にラクトン構造が導入されている、新規な極性基含有オレフィン共重合体を提供することを目的とする。
本開示は以下の[1]~[6]に関する。
[1] エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位(A)と、
下記一般式(I)で表される構造単位及び下記一般式(II)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(B)と、
を含むことを特徴とする極性基含有オレフィン共重合体。
Figure 2023036036000001
[一般式(I)中、
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、RおよびRは存在しない。]
Figure 2023036036000002
[一般式(II)中、
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
17、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、R13およびR14は存在しない。]
[2] ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5~5.0の範囲であることを特徴とする、前記[1]に記載の極性基含有オレフィン共重合体。
[3] 前記構造単位(A)がエチレンに由来し、且つ、13C-NMRにより算出されるメチル分岐度が、炭素1,000個当たり20.0以下であることを特徴とする、前記[1]又は[2]に記載の極性基含有オレフィン共重合体。
[4] 前記[1]~[3]のいずれか1項に記載の極性基含有オレフィン共重合体を製造する方法であって、周期表第4~10族の遷移金属触媒の存在下で前記極性基含有オレフィン共重合体を製造することを特徴とする、極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
[5] 前記遷移金属触媒が、ニッケル又はパラジウム金属にキレート性ホスフィン化合物又はキレート性カルベン化合物が配位した遷移金属触媒であることを特徴とする、前記[4]に記載の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
[6] 周期表第4~10族の遷移金属を含む触媒の存在下で、
下記モノマー(A)と下記モノマー(B)とを重合させることを特徴とする、極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
モノマー(A):エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種
モノマー(B):下記一般式(1)で表されるラクトンモノマー及び下記一般式(2)で表されるラクトンモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種
Figure 2023036036000003
[一般式(1)中、
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、RおよびRは存在しない。]
Figure 2023036036000004
[一般式(2)中、
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
17、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合しR13およびR14は存在しない。]
本開示によれば、ポリマー鎖の側鎖にラクトン構造が導入されている、新規な極性基含有オレフィン共重合体を提供することができる。
図1は、実施例8の極性基含有オレフィン共重合体8のH-NMR測定結果を示す。 図2は、実施例11の極性基含有オレフィン共重合体11のH-NMR測定結果を示す。 図3は、実施例12の極性基含有オレフィン共重合体12の13C-NMR測定結果を示す。
以下、本開示の極性基含有オレフィン共重合体について、項目毎に詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの各々を示す。
また、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
さらに、アルキル基の構造異性体の接頭辞において、「i」はイソ、「n]はノルマル、「s」はセカンダリー、「t」はターシャリーを表す。なお、アルキル基に構造異性体の接頭辞が記載されていない場合は、ノルマル構造であることを示す。
1.極性基含有オレフィン共重合体
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位(A)と、
下記一般式(I)で表される構造単位及び下記一般式(II)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(B)と、
を含むことを特徴とする。
Figure 2023036036000005
[一般式(I)中、
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、RおよびRは存在しない。]
Figure 2023036036000006
[一般式(II)中、
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
17、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、R13およびR14は存在しない。]
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、ポリマー鎖の側鎖にラクトン構造が導入されている、新規な極性基含有オレフィン共重合体であり、オレフィン系重合体の高機能化に寄与する。
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、例えば下記のように、導入されている側鎖のラクトン構造を加水分解することにより、酸やアルコールを有する極性基含有オレフィン共重合体を容易に作ることができる。
Figure 2023036036000007
また、本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、例えば前記一般式(I)で表される構造単位を有する場合、側鎖にエチレン性不飽和基を有するため後変性を行うことが可能である。後変性の例としては、架橋が挙げられ、本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、マクロモノマーとしても有望である。
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、例えば前記一般式(I)で表される構造単位を有する場合、側鎖にエノン構造を有するため、例えばMichael付加反応などの基質として利用することも可能である。
以上のように、本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、多様な複合材料へと変換される原料になり得ることが期待できる。
また、前記構造単位(B)を誘導するエチレン性不飽和基を有する6員環のラクトンモノマーは、二酸化炭素からも誘導できることから、本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、カーボンリサイクル樹脂としての新しい付加価値がある。
(1)構造単位(A)
構造単位(A)は、エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー(A)に由来する構造単位である。
本開示に用いられるモノマー(A)は、エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。炭素数3~20のオレフィンは、鎖状オレフィンであっても環状オレフィンであってもよく、炭素数3~20のα-オレフィン及び炭素数4~20の環状オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本開示に用いられる炭素数3~20のα-オレフィンは、構造式:CH=CHR20で表される炭素数3~20のα-オレフィン(R20は炭素数1~18の炭化水素基であり、直鎖構造であっても分岐を有していてもよい)であり、より好ましくは、炭素数3~12のα-オレフィンである。
また、炭素数4~20の環状オレフィンは、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等が挙げられる。
モノマー(A)の具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、及びノルボルネン等が挙げられる。モノマー(A)としては、重合体の製造効率の点から、中でも、エチレン、プロピレン、1-ブテン、及びノルボルネンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、更に、エチレンまたはプロピレンであることが好ましい。
また、構造単位(A)は、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。
二種の組み合わせとしては、エチレン-プロピレン、エチレン-1-ブテン、エチレン-1-ヘキセン、エチレン-1-オクテン、プロピレン-1-ブテン、プロピレン-1-ヘキセン、プロピレン-1-オクテン、エチレン-ノルボルネンなどに由来する構造単位が挙げられる。
三種の組み合わせとしては、エチレン-プロピレン-1-ブテン、エチレン-プロピレン-1-ヘキセン、エチレン-プロピレン-1-オクテン、プロピレン-1-ブテン-ヘキセン、プロピレン-1-ブテン-1-オクテンに由来する構造単位などが挙げられる。
本開示においては、構造単位(A)に用いられるモノマー(A)としては、好ましくは、エチレン及びプロピレンの少なくとも1種を必須で含み、より好ましくは、エチレンまたはプロピレンを必須で含み、必要に応じて少なくとも1種の炭素数3~20のα-オレフィンをさらに含んでもよい。
モノマー(A)中のエチレンは、モノマー(A)全体100mol%に対して、65mol%~100mol%であってもよく、70mol%~100mol%であってもよく、90mol%~100mol%であってもよい。
モノマー(A)中のプロピレンは、モノマー(A)全体100mol%に対して、65mol%~100mol%であってもよく、70mol%~100mol%であってもよく、90mol%~100mol%であってもよい。
(2)構造単位(B)
構造単位(B)は、下記一般式(I)で表される構造単位及び下記一般式(II)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位である。
Figure 2023036036000008
[一般式(I)中、
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、RおよびRは存在しない。]
Figure 2023036036000009
[一般式(II)中、
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
17、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、R13およびR14は存在しない。]
一般式(I)及び一般式(II)中、置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基における炭素数1~30の炭化水素基としては、例えば、直鎖、分岐、環状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。前記炭素数1~30の炭化水素基としては、例えば、下記炭素数1~30のアルキル基の例の他、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基、フェニル基、メチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、i-プロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、i-ブチルフェニル基、s-ブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基、n-ヘキシルフェニル基、トリメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等のアラルキル基等を挙げることができる。
また、炭素数1~30のアルキル基としては、例えば、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、1-ノニル基、1-デシル基、t-ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、イソプロピル基、1-ジメチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、イソブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、2-プロピルヘプチル基、2-オクチル基、3-ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ノルボルニル基、等を挙げることができる。
前記炭素数1~30の炭化水素基としては、炭素数1~10の炭化水素基であってよく、炭素数1~6の炭化水素基であってよく、炭素数1~3の炭化水素基であってよい。
前記炭素数1~3の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、1-プロピル基、又はイソプロピル基であってよく、メチル基又はエチル基であってよく、メチル基であってよい。
置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基は、置換基を有する炭素数1~30の炭化水素基と置換基を有しない炭素数1~30の炭化水素基を包含する。
前記炭化水素基が置換基を有する場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、エポキシ基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数1~30の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~30のアシルオキシ基、炭素数1~30のアシル基、炭素数1~30のアルコキシカルボニル基、炭素数6~30のアリールオキシカルボニル基等が挙げられる。なお、置換基に含まれる炭素数は、前記炭化水素基の炭素数に含まれないものとする。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、炭素数1~30のアルコキシ基は、-ORで示される1価の基であり、ここでRは、炭素数1~30のアルキル基又は炭素数7~30のアラルキル基を示す。当該アルコキシ基における炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1~30のアルキル基及び炭素数7~30のアラルキル基は、前記炭素数1~30の炭化水素基のうち、炭素数1~30のアルキル基及び炭素数7~30のアラルキル基に相当するものを挙げることができる。
炭素数1~30のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基,i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、n-ヘキシロキシ基、シクロプロポキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキシロキシ基、n-オクトキシ基、n-デシルオキシ基、ベンジルオキシ基等を好適に挙げることができる。
また、炭素数6~30のアリールオキシ基は、-ORa’で示される1価の基であり、ここでRa’は、炭素数6~30のアリール基を示す。当該アリール基における炭素数は、下限値が6以上であればよく、8以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、12以下であってもよい。
a’における炭素数6~30のアリール基は、前記炭素数1~30の炭化水素基のうち、炭素数6~30のアリール基に相当するものを挙げることができる。
炭素数6~30のアリールオキシ基の具体例としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n-ブチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、フルオレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等を挙げることができる。
炭素数1~30の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基は、-N(R)Rで示される1価の基であり、ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~30の炭化水素基を示す。当該置換アミノ基に置換される炭化水素基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
及びRにおける炭素数1~30の炭化水素基は、前記炭素数1~30の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
炭素数1~30の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基の具体例としては、例えば、アミノ基(-NH)、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、モノフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を好適に挙げることができる。
前記炭素数1~30のアシルオキシ基は、-OCORで示される1価の基であり、ここでRは、炭素数1~30の炭化水素基を示す。
前記炭素数1~30のアシル基は、-CORで示される1価の基であり、ここでRは、炭素数1~30の炭化水素基を示す。
炭素数1~30のアルコキシカルボニル基は、-COORで示される1価の基であり、ここでRは、炭素数1~30のアルキル基又は炭素数7~30のアラルキル基を示す。また、炭素数6~30のアリールオキシカルボニル基は、-COORf’で示される1価の基であり、ここでRf’は、炭素数6~30のアリール基を示す。
当該アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基における炭素数は、カルボニル基の炭素数は含まれず、前記R、R、R、及びRf’における炭素数をいい、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
炭素数1~30の炭化水素基としては、前記炭素数1~30の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。R、及びRf’は、R、及びRa’と同様であってよい。
炭素数1~30のアシルオキシ基の具体例としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等を好適に挙げることができる。
炭素数1~30のアシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、(メタ)アクリロイル基、ベンゾイル基等を好適に挙げることができる。
炭素数1~30のアルコキシカルボニル基の具体例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、2-エチルヘキシロキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等を好適に挙げることができる。
炭素数6~30のアリールオキシカルボニル基の具体例としては、フェノキシカルボニル基等を好適に挙げることができる。
一般式(I)及び一般式(II)中、nは0、1又は2である。
n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、一般式(I)において、RおよびRは存在せず、一般式(II)において、R13およびR14は存在しない。n=0のとき、5員環のラクトンである。
n=1のとき、一般式(I)においてC(R)(R)は1つ存在し、一般式(II)においてC(R13)(R14)は1つ存在し、6員環のラクトンである。
n=2のとき、一般式(I)においてC(R)(R)は2つ存在し、一般式(II)においてC(R13)(R14)は2つ存在し、7員環のラクトンである。
一般式(I)中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であってよく、水素原子、メチル基又はエチル基であってよく、水素原子又はメチル基であってよい。
一般式(I)中、R、R、RおよびRは、水素原子であってよく、R及びRの一方が水素原子で他方がメチル基であってよい。
また、一般式(I)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基であってよく、水素原子又はメチル基であってよい。
nは0、1又は2であるが、n=1であってよい。
一般式(II)中、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であってよく、水素原子、メチル基又はエチル基であってよく、水素原子又はメチル基であってよい。
一般式(II)中、R13およびR14は水素原子であってよく、R15およびR16はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であってよく、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であってよく、両方ともメチル基であってよい。
また、一般式(II)中、R17、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基であってよく、水素原子又はメチル基であってよい。
nは0、1又は2であるが、n=1であってよい。
構造単位(B)としては、例えば以下の構造単位が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2023036036000010
側鎖にエチレン性不飽和基を有するため後変性が可能である点から、前記構造単位(B)は、一般式(I)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位であってよい。
(3)その他の構造単位(C)
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、前記構造単位(A)、及び構造単位(B)とは異なるその他の構造単位(C)をさらに含んでいてもよい。その他の構造単位(C)としては、例えば、後述する周期表第4~10族の遷移金属触媒の存在下でモノマー(A)と共重合可能なモノマー由来の構造単位であってよい。そのようなモノマー(C)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ビニルアミド、酢酸ビニル、酢酸アリル、3-酢酸ブテニル、3-シアノプロペン、メチルビニルエーテル、3-クロロプロペン、N-プロピリデンエテンアミン、3-(メチルチオ)-1-プロペン、3-(メチルスルフィニル)-1-プロペン、3-(メチルスルホニル)-1-プロペン、2-プロペン-1-スルホン酸メチル、及び2-プロペニルホスホン酸ジメチル、5-メトキシカルボニル-2-ノルボルネン、2-ノルボルネン-5-メタノール、9-エポキシ-1-デセン、炭酸ビニレン、ウンデセン酸エステル、ウンデセノール等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、前記構造単位(B)とは異なるラクトンモノマー由来の構造単位を含んでもよいが、含んでいないものでよい。
(4)極性基含有オレフィン共重合体
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位(A)と、前記一般式(I)で表される構造単位及び前記一般式(II)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(B)とを含むものである。
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、構造単位(A)及び構造単位(B)をそれぞれ少なくとも1種含有し、合計2種以上のモノマーに由来する構造単位を含むことが必要である。
本開示において、極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位(A)の含量は、所望の物性に応じて適宜選択されればよい。極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位(A)の含量は、例えば、構造単位全体100mol%に対して、下限値が80.00mol%以上であってよく、90.00mol%以上であってよく、好ましくは95.00mol%以上であってよく、97.00mol%以上であってよく、99.00mol%以上であってもよい。一方、上限値は99.99mol%以下であってよく、99.98mol%以下であってよく、好ましくは99.90mol%以下であってよく、99.80mol%以下であってもよい。前記上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。この中でも特に好ましくは、極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位(A)の含量は、構造単位全体100mol%に対して、90.00mol%~99.98mol%であってよく、90.00mol%~99.90mol%であってよく、90.00mol%~99.80mol%であってよい。
極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位(B)の含量は、平均分子量や所望の物性に応じて適宜選択されればよい。極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位(B)の含量は、例えば、構造単位全体100mol%に対して、下限値が0.01mol%以上であってよく、好ましくは0.02mol%以上であってよく、0.10mol%以上であってよく、0.20mol%以上であってもよい。一方、上限値は20.00mol%以下であってよく,好ましくは10.00mol%以下であってよく、5.00mol%以下であってよく、3.00mol%以下であってよく、1.00mol%以下であってもよい。前記上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。この中でも特に好ましくは極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位(B)の含量は、構造単位全体100mol%に対して、0.02mol%~10.00mol%であってよく、0.10mol%~10.00mol%であってよく、0.20mol%~10.00mol%であってよい。
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、さらに、その他の構造単位(C)を少なくとも1種含むものであってもよい。
本開示の極性基含有オレフィン共重合体がその他の構造単位(C)を含む場合、極性基含有オレフィン共重合体中のその他の構造単位(C)の含量は、構造単位全体100mol%に対して、上限値は10mol%以下であってよく、好ましくは6mol%以下であってよく、より好ましくは2mol%以下であってよい。本開示の極性基含有オレフィン共重合体がその他の構造単位(C)は0mol%であってよく、すなわち、極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位(A)と構造単位(B)の合計含量が、構造単位全体100mol%に対して100mol%であってもよい。
なお、各モノマー1分子に由来する構造を、極性基含有オレフィン共重合体中の1構造単位と定義する。
そして、極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位全体を100mol%とした時に各構造単位の比率をmol%で表したものが構造単位量である。
本開示の極性基含有オレフィン共重合体では、構造単位(A)、構造単位(B)、及び必要に応じて含まれるその他の構造単位等のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。これらの中では、構造単位(B)を多く含むことが可能なランダム共重合体であってよい。
なお、構造単位量は、以下の方法で制御することが可能である。
1)触媒の選択
2)重合時に添加する各構造単位を誘導するモノマーの量
3)重合圧力
4)重合温度
共重合体中の構造単位(B)の構造単位量を増加させる具体的手段としては、重合時に添加するモノマー(B)の量の増加、モノマー(A)の量の減少、及び、重合温度の上昇等が有効である。例えば、これらの因子を調節し、目的とするコポリマー領域に制御することが求められる。
本開示における極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位量はH-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルを用いて求められる。NMRスペクトルは後述の実施例に記載した方法によって測定することができる。
特に前記構造単位(A)がエチレンに由来する場合、本開示における極性基含有オレフィン共重合体の13C-NMRにより算出されるメチル分岐度は、炭素1,000個当たり20.0以下であってよく、15.0以下であってよく、10.0以下であってよく、8.0以下であってよく、6.0以下であってよい。メチル分岐度が、この範囲を満たすと、弾性率が高く、成形体の機械強度も高くなりやすい。このメチル分岐度は、重合に使用する触媒の選択や、重合温度で制御することが可能である。オレフィン共重合体のメチル分岐度を低下させる具体的手段として、重合温度の低下が有効である。例えば、これらの因子を調節して、目的とするコポリマー領域に制御することができる。
なお、メチル分岐数の測定は、以下のように行われる。まず、2ppm~60ppm、及び170ppm~180ppmの炭素によるピークの積分強度の総和(Iトータル)を1,000に規格化する。次に、20ppmのメチル分岐のメチル炭素による信号の積分強度と33ppmのメチル分岐のメチン炭素による信号の積分強度と37ppmのメチル分岐のメチレン炭素による信号の積分強度との総和を4で割った値を求める(IB1)。そして、炭素1,000個あたりのメチル分岐数は、このIB1および次式を用いて計算される。
メチル分岐数(個/炭素1000個)=IB1×1000/Iトータル
化学シフトは、ヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定する。他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とする。
本開示における極性基含有オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000~2,000,000、好ましくは10,000~1,500,000、更に好ましくは20,000~1,000,000、より好ましくは31,000~800,000、より更に好ましくは35,000~800,000の範囲である。Mwが1,000以上であると機械的強度や耐衝撃性などの物性が充分となりやすく、Mwが2,000,000以下であると成形加工が困難となることを抑制しやすい。
本開示における極性基含有オレフィン共重合体の数平均分子量(Mn)は、通常1,000~2,000,000、好ましくは3,000~1,500,000、更に好ましくは4,000~1,000,000、より好ましくは5,000~800,000、より更に好ましくは5,000~600,000の範囲である。Mnが1,000以上であると機械的強度や耐衝撃性などの物性が充分となりやすく、Mnが200万以下であると成形加工が困難となることを抑制しやすい。
本開示における極性基含有オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.5~5.0の範囲であってよく、好ましくは2.0~4.0、更に好ましくは2.2~3.5の範囲である。Mw/Mnが1.5以上であると各種加工性が充分になりやすく、5.0以下であると機械物性が良好になりやすい。
また、本開示においては(Mw/Mn)を分子量分布パラメーターと表現することがある。
本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる。
本開示におけるGPCの測定は、後述の実施例に記載した方法によって測定することができる。
2.極性基含有オレフィン共重合体の製造方法
本開示の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法は、前記本開示の極性基含有オレフィン共重合体を製造する方法であって、周期表第4~10族の遷移金属触媒の存在下で前記極性基含有オレフィン共重合体を製造することを特徴とする。
また、本開示の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法は、周期表第4~10族の遷移金属を含む触媒の存在下で、
下記モノマー(A)と下記モノマー(B)とを重合させることを特徴とする。
モノマー(A):エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種
モノマー(B):下記一般式(1)で表されるラクトンモノマー及び下記一般式(2)で表されるラクトンモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種
Figure 2023036036000011
[一般式(1)中、
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、RおよびRは存在しない。]
Figure 2023036036000012
[一般式(2)中、
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
17、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合しR13およびR14は存在しない。]
(1)触媒
前記本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、周期表第4~10族の遷移金属触媒を含む触媒の存在下で重合してよい。この場合、前記構造単位(A)と前記構造単位(B)とを含む共重合体を製造しやすい。
前記周期表第4~10族の遷移金属触媒を含む触媒としては、前記構造単位(A)を誘導するエチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーと前記構造単位(B)を誘導するエチレン性不飽和基を有するラクトンモノマーとを重合させることが可能なものであれば特に限定されない。遷移金属触媒は、例えば、周期表第5~10族の遷移金属化合物であってよく、さらに、キレート性配位子を有する周期表第5~10族の遷移金属化合物が挙げられる。
好ましい遷移金属の具体例として、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、白金、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、及びパラジウムなどが挙げられる。これらの中で好ましくは、第8~10族の遷移金属であり、さらに好ましくは第10族遷移金属である。当該第10族遷移金属としては、ニッケル、パラジウム、及び白金が挙げられる。特に好ましくはニッケル(Ni)、及びパラジウム(Pd)である。これらの遷移金属は、単一であっても複数を併用してもよい。
キレート性配位子は、P、N、O、C、及びSからなる群より選択される少なくとも2個の原子を有しており、二座配位(bidentate)又は多座配位(multidentate)であるリガンドを含み、電子的に中性又は陰イオン性である。Brookhartらによる総説に、その構造が例示されている(Chem.Rev.,2000,100,1169)。
好ましくは、二座アニオン性P、O配位子として、例えば、リンスルホナート、リンカルボキシラート、リンフェノキシド、リンアルコキシド、リンエノラートが挙げられる。また、二座アニオン性N、O配位子として、例えば、サリチルアルドイミナートやピリジンカルボキシラートが挙げられる。そして、二座アニオン性C、O配位子として、例えば、カルベンフェノキシド、カルベンアルコキシド、カルベンカルボキシラートが挙げられる。その他に、ジイミン配位子、ジフェノキシド配位子、ジアミド配位子が挙げられる。
重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から、前記遷移金属を含む触媒としては、第8族~第10族遷移金属からなる群より選ばれる後周期遷移金属を含む触媒であることが好ましい。中でも、第10族遷移金属を含む触媒であることが好ましい。更に、第10族遷移金属を含む触媒であり、当該10族遷移金属への配位点として一つ以上のリン原子または酸素原子を含むキレート配位子を有することが好ましい。
重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から、前記遷移金属を含む触媒としては、中でも、下記一般式(101)、下記一般式(201)、及び下記一般式(202)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。また、ニッケル又はパラジウム金属にキレート性ホスフィン化合物又はキレート性カルベン化合物が配位した遷移金属触媒であってよい。
Figure 2023036036000013
(一般式(101)中、Mは第10族遷移金属を示す。QはA[-S(=O)-O-]M、A[-C(=O)-O-]M、A[-O-]M、A[-P(=O)(R)-O-]M、又はA[-S-]Mの「[ ]」の中に示される2価の基を示し、Rは官能基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を示す(ただし、両側のA、Mは基の結合方向を示すために記載している)。Aは、Qとリン原子を連結する炭素数1~30の2価の炭化水素基で官能基を有していてもよい。Lは金属から脱離可能な0価の配位子を示す。R25は水素原子、又は官能基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を示す。R26とR27は官能基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を示す。R25とLは環を形成してもよく、R26とR27は環を形成してもよく、R26又はR27はAと結合して環を形成してもよい。)
一般式(101)中、Mは第10族遷移金属を示し、中でも、Ni、又はPdであることが好ましい。
Qは、-S(=O)-O-、-C(=O)-O-、-O-、-P(=O)(R)-O-、又は-S-で示される2価の基を表し、Mに1電子配位する部位である。前記各式の左側がAに結合し、右側がMに結合している。これらの中でも触媒活性の面から、Qは、-S(=O)-O-が特に好ましい。
Rは官能基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を示し、後述のR25における官能基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基と同様であってよい。
Aは、Qとリン原子を連結する炭素数1~30の2価の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、官能基を有していてもよい。
炭素数1~30の2価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1~12の2価の炭化水素基であり、より好ましくはアルキレン基、及びアリーレン基等、特に好ましくはアリーレン基が挙げられる。
Aにおける炭化水素基の官能基としては、例えば、ハロゲン原子、-ORα、-COα、-COM’、-CON(Rβ、-CORα、-SRα、-SOα、-SORα、-OSOα、-PO(ORα2-y(Rβ、-CN、-NHRα、-N(Rα、-Si(ORβ3-x(Rβ、-OSi(ORβ3-x(Rβ、-NO、-SOM’、-POM’、-P(O)(ORαM’、またはエポキシ含有基等が挙げられる(ここで、Rβは、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表し、Rαは、炭素数1~20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はホスホニウムを表し、xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す)。
ここでの炭素数1~20の炭化水素基は、前記一般式(I)及び前記一般式(II)における炭素数1~30の炭化水素基のうち、炭素数1~20の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
Aにおける炭素数1~30の2価の炭化水素基としては、例えば、下記式(a-1)~(a-7)が挙げられる。下記式において、R101は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の炭化水素基、又は官能基である。R101における、炭素数1~30の炭化水素基は、前記一般式(I)及び前記一般式(II)における炭素数1~30の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。当該炭素数1~30の炭化水素基は、中でも炭素数1~20の炭化水素基が好ましく、炭素数1~10の炭化水素基が更に好ましい。
Aにおける炭素数1~30の2価の炭化水素基としては、中でも、触媒活性の面から、下記式(a-7)であってよい。
Figure 2023036036000014
Lは金属から脱離可能な0価の配位子を示す。
Lは、電子供与性基を有し、遷移金属Mに配位して金属錯体を安定化させることのできる化合物であることが好ましい。Lは、遷移金属に配位可能な原子として、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を有する炭素数1~20の炭化水素化合物、或いは、遷移金属に配位可能な炭素-炭素不飽和結合を有する炭化水素化合物(ヘテロ原子を含有していてもよい)も使用することができる。Lの炭素数は、好ましくは1~16であり、更に好ましくは1~10である。
好ましいLとしては、ピリジン類、ピペリジン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類、環状不飽和炭化水素類などを挙げることができる。
硫黄原子を有するLとして、ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
窒素原子を有するLとして、アルキル基の炭素数1~10のトリアルキルアミン、アルキル基の炭素数1~10のジアルキルアミン、ピリジン、2,6-ジメチルピリジン(別名:2,6-ルチジン)、アニリン、2,6-ジメチルアニリン、2,6-ジイソプロピルアニリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、アセトニトリル、ベンゾニトリル、キノリン、2-メチルキノリンなどが挙げられる。酸素原子を有するLとして、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンが挙げられる。錯体の安定性及び触媒活性の観点から、Lとしては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ピリジン、2,6-ジメチルピリジン(別名:2,6-ルチジン)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)が好ましく、ジメチルスルホキシド(DMSO)、2,6-ジメチルピリジン(別名:2,6-ルチジン)がより好ましい。
なお、R25とLは環を形成してもよい。そのような例として、シクロオクタ-1-エニル基を挙げることができ、これも本開示における好ましい態様である。
25は水素原子、又は官能基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を示し、R26とR27は官能基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を示す。
25とR26とR27における炭素数1~30の炭化水素基は、前記一般式(I)及び前記一般式(II)における炭素数1~30の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
25とR26とR27における官能基は、前記Aにおける官能基と同様であってよい。
25としては、好ましくは炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、或いは、アルコキシ基又はアリールオキシ基で置換された炭素数1~20の炭化水素基である。そして、前記炭化水素基の炭素数はより好ましくは1~10である。R25としては、具体的には、より好ましくは、炭素数1~3のアルキル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、1-(メトキシメチル)エチル基、1-(エトキシメチル)エチル基、1-(フェノキシメチル)エチル基、または1-(2,6-ジメチルフェノキシ基メチル)エチル基であり、より更に好ましくはメチル基又はベンジル基である。
26及びR27は、遷移金属Mの近傍にあって、立体的及び/又は電子的に遷移金属Mに相互作用を及ぼす。こうした効果を及ぼすためには、R26及びR27は嵩高い方が好ましい。R26及びR27の好ましい炭素数は3~30、より更に好ましくは6~20である。
26及びR27はそれぞれ、官能基を有していてもよい炭素数3~10のアルキル基、官能基を有していてもよい炭素数6~20のシクロアルキル基、官能基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基であることが好ましい。
26及びR27における前記炭素数3~10のアルキル基としては、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基が好ましい。
26及びR27における官能基を有していてもよい炭素数6~20のシクロアルキル基としては、官能基を有していてもよく、炭素数3~10の直鎖又は分岐アルキル基が置換されていてもよいシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
また、例えば特開2018-141138号公報の段落0104~0113に記載されているシクロアルキル基(特開2018-141138号公報の段落0104~0113におけるXは、本開示の一般式(101)においてP(リン原子)の結合位置を示す)であってもよい。
26及びR27は、中でも、重合体分子量制御および極性モノマー共重合性制御の点から、炭素数3~10の直鎖又は分岐アルキル基が置換されていてもよいシクロヘキシル基であることが好ましく、炭素数3~10の直鎖又は分岐アルキル基が置換されているシクロヘキシル基であることがより好ましい。R26及びR27は、シクロヘキシル基や、2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル基(メンチル基)であってよい。
また、R26及びR27における官能基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。当該アリール基は官能基を有していてもよく、更に炭素数3~10の直鎖又は分岐アルキル基が置換されていてもよい。当該炭素数6~20のアリール基は、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む官能基が置換されていることが好ましい。当該炭素数6~20のアリール基が酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む官能基で置換されている場合、当該官能基は、リンに結合した炭素に対してオルト位に置換されていることが好ましい。このようにすることによって、R26及びR27中の酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種が遷移金属Mと相互作用を持つように空間的配置をとることができるからである。
好ましいR26及びR27の具体例としては、2-メトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、2,4,6-トリメトキシフェニル基、4-メチル-2,6-ジメトキシフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジメトキシフェニル基、1,3-ジメトキシ-2-ナフチル基、2,6-ジエトキシフェニル基、2,4,6-トリエトキシフェニル基、4-メチル-2,6-ジエトキシフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジエトキシフェニル基、1,3-ジエトキシ-2-ナフチル基、2,6-ジフェノキシフェニル基、2,4,6-トリフェノキシフェニル基、4-メチル-2,6-ジフェノキシフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジフェノキシフェニル基、1,3-ジフェノキシ-2-ナフチル基、2,6-ジメトキシメチルフェニル基、2,4,6-トリメトキシメチルフェニル基、4-メチル-2,6-ジメトキシメチルフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジメトキシメチルフェニル基、1,3-ジメトキシメチル-2-ナフチル基、2,6-ジフェノキシメチルフェニル基、2,4,6-トリフェノキシメチルフェニル基、4-メチル-2,6-ジフェノキシメチルフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジフェノキシメチルフェニル基、1,3-ジフェノキシメチル-2-ナフチル基、2,6-ジ(2-メトキシエチル)フェニル基、2,4,6-トリ(2-メトキシエチル)フェニル基、4-メチル-2,6-ジ(2-メトキシエチル)フェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジ(2-メトキシエチル)フェニル基、1,3-ジ(2-メトキシエチル)-2-ナフチル基、2,6-ジ(2-フェノキシエチル)フェニル基、2,4,6-トリ(2-フェノキシエチル)フェニル基、4-メチル-2,6-ジ(2-フェノキシエチル)フェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジ(2-フェノキシエチル)フェニル基、1,3-ジ(2-フェノキシエチル)-2-ナフチル基などを挙げることができる。
26及びR27は、Aと結合して環構造を形成してもよい。具体的には例えば特開2018-141138号公報の段落0120~0121に記載されている構造(なお、ここでの例は、置換基R26とAが結合して環構造を形成している場合を示しており、PとQは本開示の一般式(101)と同義であり、R17は本開示の一般式(101)のR27と同義であり、R104は本開示の一般式(101)のR101と同義である。)が挙げられる。
本開示の一般式(101)で表される化合物の中でも、下記一般式(102)で表される化合物であることが、重合体の製造効率の点から好ましい。
Figure 2023036036000015
(一般式(102)中、M、L、R25、R26及びR27は、それぞれ前記一般式(101)と同義であり、R111、R112、R113及びR114はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の炭化水素基、又は官能基である。)
一般式(102)中、R111、R112、R113及びR114における炭素数1~30の炭化水素基及び官能基は、前記Aに説明したものと同様のものであってよい。
111、R112、R113及びR114は全て水素原子であってもよい。
111は、嵩高い方が、高分子量の重合体を与える傾向にある。そのため、R111は、t-ブチル基、トリメチルシリル基、フェニル基、9-アントラセニル基、4-t-ブチルフェニル基、2,4-ジ-t-ブチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等の置換基が適宜選択されてもよい。
Figure 2023036036000016
一般式(201)又は一般式(202)において、
201は、周期表第8~10族の遷移金属を表す。M201としては、Fe、Co、Ni、Pd、Ptが挙げられる。
201及びL202は、M201に配位子したリガンドを表し、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水素原子、ヘテロ原子を含有する炭素数1~20の炭化水素基を表す。L201及びL202は、互いに連結して環を形成してもよい。L201及びL202としては、ハロゲン原子、メチル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジン、2,6-ルチジンなどが挙げられる。
201は、酸素原子、硫黄原子、OR203、SR203、SO、SO203、N=CR203204、CR203=NR204、N(R203)、N(R203、P(R203)、P(R203、CO、CO203、C(O)N(R203、CO、C(O)R203、SO203、SOR203、OSO203、P(O)(OR2032-y(R204、又はP(R203(O)を表す。(ここで、R203及びR204は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、yは0~2の整数を表す)。
201及びR202は、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~40の炭化水素基である。ここで、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~40の炭化水素基の具体例としては、C(O)CH、C(O)CHCH、CHOCH、CHOCHCH、CHNH、CHCHNHなどが例示される。炭化水素基は、好ましくは炭素数1~33の炭化水素基であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい具体例は、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、1-ノニル基、1-デシル基、t-ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1-ジメチル-2-フェニルエチル基、イソプロピル基、1-ジメチルプロピル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジベンズヒドリル-4-メチルフェニル基などである。
201は、炭素数3~9の飽和又は不飽和の二価の炭化水素基を表し、X201が形成する環上に置換基を有していてもよい。
は、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~10の炭化水素基であり、CH、CHCH、C(O)CH、C(O)CHCH、CHOCH、CHOCHCH、CHNH、CHCHNHなどが例示される。Rは、X201から成る環の一部と縮環してもよい。
は、カウンターカチオンを表す。Aとしては、任意の陽イオンとして、K、Naが例示される。M201の価数及びZ201、L201及びL202の種類によって、錯体全体としてマイナスに荷電することがあり、この場合カウンターカチオンAが必要になる。ここで、M201の価数とは、有機金属化学で用いられる形式酸化数(formal oxidation number)を意味する。
前記一般式(201)又は一般式(202)で表される化合物の具体例は、例えば特開2016-135777公報やJ.Am.Chem.Soc.2015,137,10934.を参照することができる。
本開示に用いられる遷移金属錯体は、従来公知の方法で調製することができる。前記一般式(101)で表される化合物は、例えば特開2018-141138号公報等を参照して、製造することができる。また、前記一般式(201)又は一般式(202)で表される化合物は、例えば特開2016-135777公報等を参照して、製造することができる。
また、本開示に用いられる遷移金属を含む触媒は、前記の遷移金属錯体を主要な触媒成分とするものであり、必要により、活性化剤、担体などを併用することができる。上記活性化剤としては、メタロセン触媒で使用される助触媒であるアルキルアルモキサンやホウ素含有化合物が例示される。
また、担体としては、本発明の主旨をそこなわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。担体としては、一般に、無機酸化物やポリマー担体が好適に使用できる。
担体としては具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、及び、これらの混合物などが挙げられ、SiO-Al、SiO-V、SiO-TiO、SiO-MgO、SiO-Crなどの混合酸化物も使用することができる。また、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
(2)モノマー
本開示の製造方法においては、前記構造単位(A)を誘導する下記モノマー(A)と、前記構造単位(B)を誘導する下記モノマー(B)とを少なくとも重合してよい。
モノマー(A):エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種
モノマー(B):前記一般式(1)で表されるラクトンモノマー及び前記一般式(2)で表されるラクトンモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種
エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー(A)は、前記構造単位(A)で説明したモノマー(A)と同様のものを用いることができる。
前記一般式(1)で表されるラクトンモノマー及び前記一般式(2)で表されるラクトンモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー(B)において、一般式(1)中、R~R、及びnはそれぞれ、前記構造単位(B)において説明したR~R、及びnと同様であってよく、一般式(2)中、R11~R19、及びnはそれぞれ、前記構造単位(B)において説明したR11~R19、及びnと同様であってよい。
モノマー(B)としては、例えば以下の構造単位が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2023036036000017
前記モノマー(B)は、当該技術分野において公知の手法で合成することができ、或いは市販のものを用いることができる。
前記一般式(1)で表されるラクトンモノマーは、例えば二酸化炭素と、ブタジエン等のジエン類を用いて合成することが可能である。ジエン類としては、例えば、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、イソプレン、1,2-ブタジエン等が挙げられる。前記一般式(1)で表されるラクトンモノマーは、例えばJ. Organomet.Chem.1983,255,263-268、英国特許出願公開第2550876号公報等を参照して合成することができる。前記一般式(1)で表されるラクトンモノマーにおける置換基は、1,3-ジエン類において公知の方法で導入してもよい。
また、前記一般式(2)で表されるラクトンモノマーは、例えばSYNLETT,2015,26,2237-2242、Chem.Sci.2012,3,789-793、J.Org.Chem.1993,58,5298-5300.等の不飽和カルボン酸の分子内環化反応等を参照して合成することができる。前記一般式(2)で表されるラクトンモノマーにおける置換基は、不飽和カルボン酸合成において公知の方法で導入してもよいし、ラクトンモノマーにおいて公知の方法で導入してもよい。
或いは、構造単位(B)における置換基はラクトンモノマーを重合後に導入してもよい。
その他の構造単位(C)を誘導するモノマー(C)としては、前記周期表第4~10族の遷移金属触媒の存在下でモノマー(A)と共重合可能なモノマーを用いることができ、前記構造単位(C)で説明したモノマー(C)と同様のものを用いることができる。
(3)重合方法
本開示の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法における重合方法は限定されない。
媒体中に全ての生成重合体が溶解する溶液重合、媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、又は液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合などが用いられる。
重合形式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。
具体的な製造プロセス及び条件については、例えば、特開2010-260913号公報、特開2010-202647号公報を参照することができる。
未反応モノマーや媒体は、生成重合体から分離し、リサイクルして使用してもよい。リサイクルの際、これらのモノマーや媒体は、精製して再使用してもよいし、精製せずに再使用してもよい。生成重合体と未反応モノマー及び媒体との分離には、従来の公知の方法が使用できる。例えば、濾過、遠心分離、溶媒抽出、貧溶媒を使用した再沈などの方法が使用できる。
重合温度、重合圧力及び重合時間に特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。
即ち、重合温度は、通常-20℃~290℃、好ましくは0℃~250℃、より好ましくは0℃~200℃、さらに好ましくは10℃~150℃、特に好ましくは20℃~100℃である。重合圧力は、0.1MPa~100MPa、好ましくは、0.3MPa~90MPa、より好ましくは0.5MPa~80MPa、さらに好ましくは1.0MPa~70MPa、特に好ましくは1.3MPa~60MPaである。重合時間は、0.1分~50時間、好ましくは、0.5分~40時間、更に好ましくは1分~30時間の範囲から選ぶことができる。
本開示において、重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。
重合反応器への触媒とモノマーの供給に関しても特に制限はなく、目的に応じて様々な供給法をとることができる。例えばバッチ重合の場合、予め所定量のモノマーを重合反応器に供給しておき、そこに触媒を供給する手法をとることが可能である。この場合、追加のモノマーや追加の触媒を重合反応器に供給してもよい。また、連続重合の場合、所定量のモノマーと触媒を重合反応器に連続的に、又は間歇的に供給し、重合反応を連続的に行う手法をとることができる。
共重合体の組成の制御に関しては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)モノマーの供給比率を変える
2)触媒の構造の違いによるモノマー反応性比の違いを利用する
3)モノマー反応性比の重合温度依存性を利用する
共重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができ、例えば以下の方法が挙げられる。
1)重合温度の制御
2)モノマー濃度の制御
3)遷移金属錯体中の配位子構造の制御
4)水素など公知の連鎖移動剤の使用
次に本開示を実施例によって具体的に説明するが、本開示はその趣旨を逸脱しない限りこれらの実施例によって制約を受けるものではない。なお、極性基含有オレフィン共重合体等の物性等は、以下の方法で測定した。
[極性基含有オレフィン共重合体の構造]
極性基含有オレフィン共重合体の構造は、BRUKER(株)製Ascend500またはBRUKER(株)製AVANCE400を用いたH-NMR及び13C-NMR解析により決定した。
NMR測定の溶媒は、1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2を用いた。H-NMR測定の重合体濃度は5質量%、13C-NMRの重合体濃度は15質量%とした。NMR測定は、120℃で行った。または、NMR測定の一部は、約150mgの極性基含有オレフィン共重合体を1,2-ジクロロベンゼン:ブロモベンゼン-d5=1:2の混合溶媒2.4mLに加熱溶解して均一な溶液として120℃で行った。
H-NMR測定は、以下の条件で実施し、定量分析を行った。
パルス:50マイクロ秒の30°パルス
スペクトル幅:10kHz
緩和時間:5秒
取り込み時間:3.2秒
FIDの積算回数:128回
13C-NMR測定は、緩和試薬としてクロム(III)アセチルアセトナートを用い、逆ゲート付きデカップリング法を用いて以下の条件で実施し、定量分析を行った。
パルス:9.0マイクロ秒の90°パルスまたは15.8マイクロ秒の90°パルス
スペクトル幅:31kHzまたは25kHz
緩和時間:10秒または50秒
取り込み時間:10秒または1.5秒
FIDの積算回数:5,000~10,000回または1,024回
[極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位(B)の含量]
構造単位(B)の含量は、H-NMRを用いて以下の通りに行った。
エチレン共重合体の例として実施例8の共重合体8のH-NMRを図1に示す。
図1中の化学シフト4.2-4.3ppm(Cの位置)の固有の孤立ピークは、構造単位(B)由来の1H(水素1個分)に相当し、そのピーク面積をIBとした。溶媒を除くすべてのピーク面積の合計をIAとした。全モノマー単位中の構造単位(B)の比率は、IB×4/(IA-IB×8)として求めた。
プロピレン共重合体の例として、実施例11の共重合体11のH-NMRを図2に示す。
図2中の化学シフト4.2-4.3ppm(Cの位置)の固有の孤立ピークは構造単位(B)由来の1Hに相当し、そのピーク面積をIBとした。溶媒を除くすべてのピーク面積の合計をIAとした。全モノマー単位中の構造単位(B)の比率は、IB×6/(IA-IB×6)として求めた。
[極性基含有オレフィン共重合体中のその他の構造単位の含量]
その他の構造単位(C)としてアクリル酸メチル由来の構造単位を含む時の各構造単位の含量は、逆ゲートデカップリング付き13C-NMRを用いて以下の通りに行った。
エチレン共重合体の例として実施例12の共重合体12の13C-NMRを図3に示す。
図3中の化学シフト13~14ppm(Dの位置)の固有の孤立ピークは構造単位(B)由来の1C(炭素1個分)に相当する。化学シフト22~23ppm(Fの位置)の固有の孤立ピークは構造単位(B)由来の1Cに相当する。化学シフト24~25ppm(Gの位置)の固有の孤立ピークは構造単位(B)由来の1Cに相当する。化学シフト126~128ppm(Bの位置)の固有の孤立ピークは構造単位(B)由来の1Cに相当する。化学シフト138~140ppm(Cの位置)の固有の孤立ピークは構造単位(B)由来の1Cに相当する。これら5つのピーク面積の平均値をIBとした。図3中の化学シフト176~177ppm(bの位置)の固有の孤立ピークは、その他の構造単位(アクリル酸メチル)由来の1Cに相当し、そのピーク面積をICとした。溶媒を除くすべてのピーク面積の合計をIAとした。全モノマー単位中の構造単位(B)の比率は、(100×IB)/(((IA-IB×9-IC×4)/2)+IB+IC)として求めた。全モノマー単位中の構造単位(アクリル酸メチル)の比率は、(100×IC)/(((IA-IB×9-IC×4)/2)+IB+IC)として求めた。
[数平均分子量及び重量平均分子量]
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトグラフィーにより以下の条件から算出した。
装置:東ソー(株)製高温GPC装置HLC-8321GPC/HT
カラム:東ソー(株)製、TSKgel GMHHR-H(S)HTカラム(7.8mmI.D.×30cmを2本直列)
溶媒:1,2-ジクロロベンゼン
温度:145℃
または
装置:Waters(株)製高温GPC装置、ALC/GPC 150C
カラム:昭和電工(株)製、AT-806MSカラム(8.0mmI.D.×25cmを3本直列)
溶媒:1,2-ジクロロベンゼン
温度:140℃
[遷移金属錯体の合成]
(合成例1)
下記化学式(A)において、Rがいずれもメンチル(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)で、Lutが2,6-ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(A)を、特開2017-031300号公報に記載の通りに合成した。なお、本明細書においてMeはメチルを示す。
Figure 2023036036000018
(合成例2)
前記化学式(A)において、Rがいずれもシクロヘキシルで、Lutが2,6-ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(B)を、特開2011-068881号公報に記載の通りに合成した。
(合成例3)
前記化学式(A)において、Rがいずれもイソプロピルで、Lutが2,6-ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(C)を、特開2013-079347号公報に記載の通りに合成した。
(合成例4)
前記化学式(A)において、Rがいずれも2-メトキシフェニルで、Lutが2,6-ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(D)を、特開2007-046032号公報に記載の通りに合成した。
(合成例5)
下記化学式(B)において、Rが2,4,6-トリメチルフェニルで、Lutが2,6-ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(E)を、J.Am.Chem.Soc.2015,137,10934.に記載の通りに合成した。
Figure 2023036036000019
(合成例6)
前記化学式(B)において、Rが2,6-ジイソプロピルフェニルで、Lutが2,6-ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(F)を、J.Am.Chem.Soc.2015,137,10934.に記載の通りに合成した。
(実施例1)
50mLオートクレーブに、窒素雰囲気中で、触媒としての遷移金属錯体(A)(6.9mg、0.010mmol)、溶媒としてのトルエン(10mL)、モノマー(B)としての6-エテニル-3-エチリデンテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン(1.0mL、6.6mmol)を順次加えた。当該オートクレーブをエチレン(モノマー(A))(3.0MPa)で加圧しつつ、反応温度80℃で3時間撹拌した。当該オートクレーブを室温に戻し、メタノール(20mL)を加えた。析出した固体を、濾過により回収し、メタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた極性基含有オレフィン共重合体1は509mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体1の各種分析結果を表1に示した。
(実施例2)
触媒を遷移金属錯体(B)(5.8mg、0.010mmol)に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン共重合体2は1479mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体2の各種分析結果を表1に示した。
(実施例3)
触媒を遷移金属錯体(C)(5.0mg、0.010mmol)に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン共重合体3は549mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体3の各種分析結果を表1に示した。
(実施例4)
触媒を遷移金属錯体(D)(6.3mg、0.010mmol)に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン共重合体4は382mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体4の各種分析結果を表1に示した。
(実施例5)
触媒を遷移金属錯体(E)(5.7mg、0.010mmol)に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン共重合体5は17mgであった。
当該極性基含有オレフィン共重合体5の各種分析結果を表1に示した。
(実施例6)
触媒を遷移金属錯体(F)(5.3mg、0.010mmol)に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン共重合体6は73mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体6の各種分析結果を表1に示した。
(実施例7)
反応温度を60℃に変更した以外は、実施例6と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン共重合体7は61mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体7の各種分析結果を表1に示した。
(実施例8)
反応温度を100℃に変更した以外は、実施例6と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン共重合体8は61mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体8の各種分析結果を表1に示した。
(実施例9)
モノマー(B)としての6-エテニル-3-エチリデンテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンを0.5mL、3.3mmolに変更した以外は、実施例6と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン共重合体9は150mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体9の各種分析結果を表1に示した。
(実施例10)
モノマー(B)としての6-エテニル-3-エチリデンテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンを0.2mL、1.3mmolに変更した以外は、実施例6と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン共重合体10は284mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体10の各種分析結果を表1に示した。
(実施例11)
50mLオートクレーブに、窒素雰囲気中で、触媒としての遷移金属錯体(E)(5.7mg、0.010mmol)、溶媒としてのトルエン(10mL)、モノマー(B)としての6-エテニル-3-エチリデンテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン(0.1mL、0.66mmol)を順次加えた。当該オートクレーブを0℃に冷却し、プロピレン(モノマー(A))(10g)で加圧した後に密閉し、反応温度80℃で12時間撹拌した。当該オートクレーブを室温に戻し、メタノール(20mL)を加えた。析出した固体を、濾過により回収し、メタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた極性基含有オレフィン共重合体11は50mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体11は、数平均分子量が2700、分子量分布Mw/Mnが2.1、構造単位(B)の含量が1.9モル%であった。
(実施例12)
50mLオートクレーブに、窒素雰囲気中で、触媒としての遷移金属錯体(C)(5.0mg、0.010mmol)、溶媒としてのトルエン(10mL)、モノマー(B)としての6-エテニル-3-エチリデンテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン(1.0mL、6.6mmol)、その他の構造単位となるモノマー(C)としてのアクリル酸メチル(1.0mL、11mmol)を順次加えた。当該オートクレーブをエチレン(モノマー(A))(3.0MPa)で加圧しつつ、反応温度80℃で3時間撹拌した。当該オートクレーブを室温に戻し、メタノール(20mL)を加えた。析出した固体を、濾過により回収し、メタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた極性基含有オレフィン共重合体12は876mgであった。当該極性基含有オレフィン共重合体12は、数平均分子量が126600、分子量分布Mw/Mnが1.0、構造単位(B)の含量が0.14モル%、アクリル酸メチルに由来する構造単位(その他の構造単位(C))の含量が0.78モル%であった。メチル分岐度は、炭素1000個当たり0.22個であった。
Figure 2023036036000020
実施例1~12の極性基含有オレフィン共重合体には、構造単位(B)とは異なるラクトンモノマー由来の構造単位は含まれていなかった。
本開示の新規な極性基含有オレフィン共重合体は、ポリマー鎖の側鎖にラクトン構造が導入されている、新規な極性基含有オレフィン共重合体であり、オレフィン系重合体の高機能化に種々応用可能である。
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、例えば、導入されている側鎖のラクトン構造を加水分解することにより、酸やアルコールを有する極性基含有オレフィン共重合体を容易に作ることができ、当該カルボキシ基や水酸基を利用可能である。
また、本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、例えば、前記一般式(I)で表される構造単位を有する場合、側鎖にエチレン性不飽和基を有するため後変性を行うことが可能であり、例えば架橋が可能であったり、マクロモノマーとしても有望である。
本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、例えば、前記一般式(I)で表される構造単位を有する場合、側鎖にエノン構造を有するため、例えばMichael付加反応などの基質として利用することも可能である。
以上のように、本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、多様な複合材料へと変換される原料になり得ることが期待できる。
また、前記構造単位(B)を誘導するエチレン性不飽和基を有する6員環のラクトンモノマーは、二酸化炭素からも誘導できることから、本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、カーボンリサイクル樹脂としても付加価値がある。

Claims (6)

  1. エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位(A)と、
    下記一般式(I)で表される構造単位及び下記一般式(II)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(B)と、
    を含むことを特徴とする極性基含有オレフィン共重合体。
    Figure 2023036036000021
    [一般式(I)中、
    、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
    nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、RおよびRは存在しない。]
    Figure 2023036036000022
    [一般式(II)中、
    11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
    17、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
    nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、R13およびR14は存在しない。]
  2. ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5~5.0の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の極性基含有オレフィン共重合体。
  3. 前記構造単位(A)がエチレンに由来し、且つ、13C-NMRにより算出されるメチル分岐度が、炭素1,000個当たり20.0以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の極性基含有オレフィン共重合体。
  4. 請求項1又は2に記載の極性基含有オレフィン共重合体を製造する方法であって、周期表第4~10族の遷移金属触媒の存在下で前記極性基含有オレフィン共重合体を製造することを特徴とする、極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
  5. 前記遷移金属触媒が、ニッケル又はパラジウム金属にキレート性ホスフィン化合物又はキレート性カルベン化合物が配位した遷移金属触媒であることを特徴とする、請求項4に記載の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
  6. 周期表第4~10族の遷移金属を含む触媒の存在下で、
    下記モノマー(A)と下記モノマー(B)とを重合させることを特徴とする、極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
    モノマー(A):エチレン及び炭素数3~20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種
    モノマー(B):下記一般式(1)で表されるラクトンモノマー及び下記一般式(2)で表されるラクトンモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種
    Figure 2023036036000023
    [一般式(1)中、
    、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
    nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合し、RおよびRは存在しない。]
    Figure 2023036036000024
    [一般式(2)中、
    11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基であり、
    17、R18およびR19は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であり、
    nは0、1又は2であり、n=0のとき隣接する炭素原子同士は直接結合しR13およびR14は存在しない。]
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