JP2023035884A - 磁気軸受装置及び真空ポンプ - Google Patents
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Abstract
Description
これらの半導体は、極めて純度の高い半導体基板に不純物をドープして電気的性質を与えたり、エッチングにより半導体基板上に微細な回路を形成したりなどして製造される。
そして、これらの作業は空気中の塵等による影響を避けるため高真空状態のチャンバ内で行われる必要がある。このチャンバの排気には、一般に真空ポンプが用いられているが、特に残留ガスが少なく、保守が容易等の点から真空ポンプの中の一つであるターボ分子ポンプが多用されている。
更に、ターボ分子ポンプは、電子顕微鏡等の設備において、粉塵等の存在による電子ビームの屈折等を防止するため、電子顕微鏡等のチャンバ内の環境を高度の真空状態にするのにも用いられている。
このターボ分子ポンプは回転体を磁気浮上制御するため磁気軸受装置を備えている。そして、この磁気軸受装置では、回転体の加速運転中に共振点を通過する際や定速運転中にノイズが発生した際等に、高速かつ強い力での回転体の位置制御をする必要がある。
この異常の発生に対し特許文献1では、自動リセット可の設定がされている場合に、磁気軸受装置に対し再起動によるリセットを行って運転を継続することで正常復帰させ、一方、自動リセット不可の設定がされている場合には磁気軸受装置を運転停止させる例が開示されている。
更に、ロータの曲げ固有振動数はロータの回転数に応じて変化する。その変化が発生しても安定に制御可能なフィルタの設定方法が特許文献4では開示されている。
しかしながら、上記した特許文献1のようにリセットのみでは、例えば、回転数、温度、時間など系の状態が変化したような場合には正常に復帰が出来ないおそれがある。これらによる異常から復帰するためには、制御パラメータを再調整する必要がある。
更に、特許文献4では、事前に指定された固有振動モードに対して、回転数による固有振動の変化を考慮したフィルタの設定方法が言及されている。
しかし、ポンプの運転中に、想定外の固有振動モードに起因する発振等の異常が発生した場合や、事前に設定したノッチフィルタの減衰や線幅が不適切な場合、温度変化や経時変化による固有振動数の変化などには、対応できないおそれがある。
また、ポンプの運転中には、瞬間的なノイズが予期せずに出現することがある。このようなノイズの場合に、必ずしも警報等を行う必要はなく、運転を継続しても問題の無いことも多くある。このため、ノイズが検出された場合であっても、誤動作とならないようにするために、2秒程度異常信号が続くか否かを判断し、続いた場合に警報を鳴動若しくは表示させるようにした例が開示されている(特許文献5)。
仮にポンプの運転中に制御パラメータの再調整を行った場合には、誤った再調整などにより異常が悪化してタッチダウンし、機器の破損などが発生する可能性がある。このため、不安全かつ修理の時間・コストが必要となる。
また、磁気軸受装置の制御パラメータの設定不良などにより、安定限界に極めて近い状態で運転されている場合には、わずかな環境変化に対して発振等の異常が発生しやすい。このような状態では、製造ばらつきや設置環境の影響を受けやすい。
更に、磁気軸受装置の制御パラメータを修正する際には、修正に伴うノイズが発生することがある。そして、このノイズは磁気軸受装置によって異常状態と判断される可能性がある。しかし、これは一時的なものであり、対応の必要なく自然に解消する。従って、異常と判断されるべきではない。
特許文献5に記載の方法では、制御パラメータ修正に伴うノイズによる異常誤検知を減らすことができる一方で、制御パラメータ修正時以外には異常検知が遅れてしまう。特に回転体の発振時には、直ちに異常検知して対応しなければ、回転体がタッチダウンベアリングに接触し、タッチダウンベアリングの寿命を縮める恐れがある。
また、回転体の減速運転中に再調整を行うようにしたので、再調整時の回転数は異常検知時よりも小さい。タッチダウン時のダメージは回転数が小さいほど小さく、特に所定の回転数以下でならば、無視することができる。従って、再調整中に異常が増大し、タッチダウンが発生した場合のダメージを小さくすることが出来る。このため、安全性が向上する。
また、回転体を減速又は運転停止後に再調整する場合と比べて、より早く定格回転数に到達できるため、運転効率が向上する。
回転体を減速又は運転停止後に再調整する場合と比べて、より早く定格回転数に到達できるため、運転効率が向上する。
制御パラメータ修正時には、変位信号に大きなノイズが現れやすい一方で、その他の信号のノイズは小さい。そのため、制御パラメータの修正を行なう際のノイズを誤検知せず、かつ、制御パラメータの修正と同時にたまたま発生した、例えば停電等の異常状態を高速に検知することが可能となり、信頼性が向上する。
回転翼102(102a、102b、102c・・・)とわずかの空隙を隔てて複数枚の固定翼123(123a、123b、123c・・・)が配設されている。回転翼102(102a、102b、102c・・・)は、それぞれ排気ガスの分子を衝突により下方向に移送するため、ロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成されている。固定翼123(123a、123b、123c・・・)は、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
固定翼スペーサ125はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。固定翼スペーサ125の外周には、わずかの空隙を隔てて外筒127が固定されている。外筒127の底部にはベース部129が配設されている。ベース部129には排気口133が形成され、外部に連通されている。チャンバ(真空チャンバ)側から吸気口101に入ってベース部129に移送されてきた排気ガスは、排気口133へと送られる。
また、上側径方向センサ107と回転体103の間のステータコラム122の上端部には、タッチダウンベアリング141が配設されている。一方、下側径方向センサ108の下方には、タッチダウンベアリング143が配設されている。
図2に制御パラメータ修正手段による修正により、制御パラメータを再調整する方法の概念フローチャートを示す。ステップ1(図中S1と略す。以下同旨)で、制御装置の中央演算処理装置(CPU)が第1の異常を所定の判断基準に基づき検知する。
また、この第1の異常の判断基準としては、変位時間波形のpeak to peak値が例えば20μmに至ったときを設定してもよい。この値は時間波形なのでフーリエ変換は不要であり、中央演算処理装置(CPU)の演算量を軽減できる。
更に、この第1の異常の判断基準としては、電流時間波形のpeak to peak値が例えば1Aに至ったときを設定してもよい。
また、この第1の異常の判断基準は、運転状態によって変更してもよい。例えば、モータ121の非通電時には上記の通り変位スペクトル振幅0.5μmを判断基準値とするが、モータ121の通電時には変位スペクトル振幅1μmを判断基準値とする。これは非通電時の方が変位信号のS/N比がよいためである。
更に、この修正は、中央演算処理装置(CPU)が、制御パラメータの比例ゲインや積分ゲインや微分ゲインを変更することで行っても良い。
第2の異常の所定の判断基準は、具体的には、第1の異常の所定の判断基準よりも大きい値である。例えば、第1の異常の条件を、変位スペクトルの振幅が0.5μmに至ったとき、あるいは、電流スペクトル振幅が0.2Aに至ったときと設定した場合、第2の異常の条件を、変位スペクトルの振幅が5μmに至ったとき、あるいは、電流スペクトル振幅が0.5Aに至ったときと設定する。
また、例えば、第1の異常の条件を、変位時間波形のpeak to peak値が20μmに至ったとき、あるいは、電流時間波形のpeak to peak値が1Aに至ったときとした場合、第2の異常の判断基準を、変位時間波形のpeak to peak値が50μmに至ったとき、あるいは、電流時間波形のpeak to peak値が2Aに至ったときと設定する。この値は時間波形なのでフーリエ変換は不要であり、中央演算処理装置(CPU)の演算量を軽減できる。
また、この第2の異常の判断基準は、運転状態によって変更してもよい。例えば、モータ121の非通電時には上記の通り変位スペクトル振幅5μmを判断基準値とするが、モータ121の通電時には変位スペクトル振幅10μmを判断基準値とする。これは非通電時の方が変位信号のS/N比がよいためである。
また、この第2の異常の判断基準は、制御パラメータの再調整を所定の回数行っても第1の異常が解消しなかったときに設定されてもよい。あるいは、所定の時間を経過しても第1の異常が解消しなかったときに設定されてもよい。
なお、この第2の異常の判断基準は運転状態によって変更してもよい。例えば、回転体103の回転数がゼロのときには、上記したタッチダウンベアリング141及びタッチダウンベアリング143への接触を第2の異常の判断基準から除外してポンプの運転を継続する。これは、回転体103の回転数がゼロのときには、回転体103がタッチダウンベアリング141及びタッチダウンベアリング143に接触しても安全なためである。一方、回転体103が回転中のときにはタッチダウンベアリング141及びタッチダウンベアリング143への接触が判断されたときにはポンプの運転を停止する。
そして、ステップ9で中央演算処理装置(CPU)が第2の異常を検知したときには、ステップ11で中央演算処理装置(CPU)はポンプの運転を停止する。このときの運転の停止方法は、回転数指令値をゼロに設定し減速することで行う。そして、このときには、回転体103の浮上を継続する。
この運転停止は、回転体103の回転中には、回転数指令値をゼロに設定し減速することで行う方法と、磁気軸受の通電を停止する方法のいずれかを選択可能である。一方、静止浮上時においては、磁気軸受の通電を停止する方法のみが可能である。
図2で示す制御パラメータの再調整方法は、上述の通り中央演算処理装置(CPU)の演算で行うことが可能である。しかしながら、外部設定された装置で行うようにしてもよい。
以上のように、制御パラメータの再調整により系の状態変化による異常に対応できる。従って、磁気軸受制御のロバスト性が増加し、運転効率が向上する。また、運転を止めることなく制御パラメータを再調整できる。このため、復帰までの時間短縮により運転効率が向上する。更に、複数の異常基準を設け、必要な場合には運転を停止させるので安全性を確保できる。
このとき、中央演算処理装置(CPU)により、第1の異常が検知され、かつ、第2の異常が検知されていない状況を仮想する。図4の時系列番号0は初期状態、つまり、第1の異常検知直前の状態である。時系列番号1は、第1の異常が検知された直後の調整ステップを表す。第1の異常が検知されたので、ステップ23に進み、初期状態である時系列番号0の制御パラメータを中央演算処理装置(CPU)に記憶する。そして、ステップ25で、中央演算処理装置(CPU)は制御パラメータを変更し(変更工程)、その制御パラメータをもって磁気軸受制御を行う(制御工程)。即ち、図4の時系列番号1で示すように、このときフィルタaを中央演算処理装置(CPU)に追加した形で中央演算処理装置(CPU)は磁気軸受制御を行う。なお、以下では簡単のため制御パラメータ修正をフィルタの追加として説明するが、その他の手法でも良い。
そして、ステップ27で第1の異常の状態が改善したか否かを中央演算処理装置(CPU)は判断する(状態改善判断工程)。即ち、時系列番号5で、第1の異常状態が1ステップ前と比べて改善されたか否かが判断される。図4の時系列番号5では、ステップ27で第1の異常状態が改善したと判断されたので、その時点の制御パラメータを保持し、ステップ29へ進み、第1の異常が解消されたか否かが判断される(第1の異常解消判断工程)。ステップ29で第1の異常が解消されたと判断されたので、その時点の制御パラメータを保持し、ステップ35に進む。ステップ35では、この時点で設定されているフィルタaとフィルタbとフィルタdとフィルタeが保存され、再調整が完了する。従って、図4の時系列番号5が終了した時点で設定されているフィルタはフィルタaとフィルタbとフィルタdとフィルタeになる。以降の運転は、ステップ35で保存された制御パラメータによって行われる。
なお、図4の時系列番号0-5では、簡単のためにステップ41での第2の異常は検知されなかったと仮想した。
図5において、時系列番号0から時系列番号3までは図4と同じなので説明は省略する。図5の時系列番号4では、まず、ステップ23で、時系列番号3で設定した制御パラメータであるフィルタaとフィルタbを中央演算処理装置(CPU)に記憶する。ステップ25で、中央演算処理装置(CPU)はフィルタaとフィルタbに加えて、フィルタdを追加し(変更工程)、その制御パラメータをもって磁気軸受制御を行う(制御工程)。
以上のように、再調整によって状態が却って悪化し直ちに運転停止が必要な場合にも、制御パラメータを過去の値に戻すことで、比較的安全な状態にて運転停止できる。
また、安全を確保するためには、第2の異常は発生時に直ちに検知され、運転が停止されることが重要である。従って、第1の異常検知後の再調整のステップとは独立に、なるべく高頻度にステップ41を実行することが望ましい。
図6の時系列番号5では、図5と同様にステップ41で、中央演算処理装置(CPU)により第2の異常が検知された。このため、強制的にステップ43に進み制御パラメータが過去の値に戻される。即ち、図6の場合には、制御パラメータが中央演算処理装置(CPU)により初期値に戻される。フィルタは初期値のままでステップ45に進み、ポンプの運転停止状態に移行する。
図7において、ステップ51で中央演算処理装置(CPU)が第1の異常を前述した所定の判断基準に基づき検知する。また、図7のステップ71で、中央演算処理装置(CPU)が第2の異常を前述した所定の判断基準に基づき検知する。
そして、ステップ54で第1の異常の状態が改善したか否かを中央演算処理装置(CPU)は判断する(状態改善判断工程)。改善されていない場合には、ステップ56で制御パラメータを元に戻した後、ステップ52に戻る。一方改善された場合には、その時点の制御パラメータを保持し、ステップ55に進み、中央演算処理装置(CPU)により第1の異常が解消されたか否かが判断される(状態改善判断工程)。第1の異常が解消されていない場合にはステップ52に戻る。一方、ステップ55で第1の異常が解消されたと判断された場合には、ステップ57に進み、中央演算処理装置(CPU)により安定性評価が行われる(安定性評価工程)。これは第1の異常が解消されたことの確認だけではなく、その解消が一時的なものではなく安定的なのかどうかを判断するものである。この安定性評価は、例えば中央演算処理装置(CPU)が加振信号を発生させて磁気軸受装置に与え、中央演算処理装置(CPU)がその伝達関数を測定することで行う。あるいは、中央演算処理装置(CPU)が加振信号を発生させて磁気軸受装置に与え、中央演算処理装置(CPU)がステップ応答を測定したり、インパルス応答を測定する。
これにより、安定性を考慮した再調整が可能となる。第1の異常を解消したが、また異常が発生するような状態を防ぐことが出来る。このため、運転効率が向上し、安全性が向上する。
なお、ステップ71で中央演算処理装置(CPU)が第2の異常を検知した場合には、ステップ73でポンプの運転を停止する。
まず、図8の運用例では、ポンプの起動の際に、図中「X1」で示す地点で中央演算処理装置(CPU)が第1の異常を検知したとき、中央演算処理装置(CPU)は回転体103の減速制御をしつつ再調整を行う。ここに減速制御とは、モータを回生運転する、発電機を出力させる、等のように回転数を低下させるトルクを与える制御を意味する。そして、「X2」で示す地点で、中央演算処理装置(CPU)が第1の異常の解消を確認後には、中央演算処理装置(CPU)は回転体103を加速させる。
また、回転体103の減速動作中に中央演算処理装置(CPU)が再調整を行うようにしたので、再調整時の回転数は異常検知時よりも小さい。タッチダウン時のダメージは回転数が小さいほど小さく、特に所定の回転数以下でならば、無視することができる。従って、再調整中に異常が増大し、タッチダウンが発生した場合のダメージを小さくすることが出来る。このため、安全性が向上する。
その後、「X13」で示す地点で、中央演算処理装置(CPU)が第1の異常が解消したことを確認したときには、中央演算処理装置(CPU)は回転体103を加速させる。このことにより、「X14」で示す地点で定格回転数に至るまでの時間を節約できるため、定格回転数への復帰が早くなる。
このことにより、制御パラメータが不適切であったために、発振等の異常を生じた場合であっても、ポンプの運転を停止することなく復帰できる。
例えば、比例ゲイン、微分ゲイン、位相進みフィルタ、ノッチフィルタ、ABS(Auto Balance System)などの制御パラメータを修正する場合には、制御パラメータの変更が行われる。この制御パラメータの変更時には、制御系にノイズが生じ易い。しかし、このノイズは異常によるものではないので、中央演算処理装置(CPU)が誤検知しないようにする。その一方で、制御パラメータの変更以外により生じたノイズは、中央演算処理装置(CPU)が異常として素早く検知できるようにする。
図19のステップ81では、通常状態の異常検知条件にて運転がされている。図20のタイミングチャートでは、時刻0から時刻t1までの間で、この通常状態の異常検知条件での運転がされている。通常状態の異常検知条件とは、例えば先述した実施例の場合には、第1の異常状態、第2の異常状態を検知できるように設定された条件である。ステップ83では、中央演算処理装置(CPU)が、所定の制御パラメータの変更を行なうための条件が満たされたと判断する。このときの判断は、例えば、図4の時系列番号1で示すようにフィルタaを中央演算処理装置(CPU)に追加するというような制御パラメータの変更を行なうための準備が整ったことを中央演算処理装置(CPU)が判断したという意味である。そして、ステップ85では、図20の時刻t1において異常検知条件を緩和状態に切り替える。このように異常検知条件を緩和状態に切り替えるのは、制御パラメータを変更する処理を行ったことに伴い生じたノイズにより、中央演算処理装置(CPU)で異常が検知されないように異常検知条件を緩和するためである。
また、中央演算処理装置(CPU)において、異常検知条件の基準値を大きくしてもよい。例えば、第1の異常の判断基準として、緩和時には変位スペクトル振幅1μmとし、通常運転の場合には、変位スペクトル振幅0.5μmとする。
更に、特定の周波数成分を無視するようにしてもよい。例えば、緩和時には100Hz以下の振動成分を無視し、通常運転の場合には、100Hz以下を含めた全周波数成分で異常を検知する。制御パラメータの変更に伴うノイズによる変位信号の応答は、回転翼の固有振動と比べて遅いため、制御パラメータの変更に伴うノイズの影響を低減しながら、回転翼の固有振動による異常を直ちに検知することができる。
この間の運転を図20を基に詳述すると、制御パラメータ変更の時刻をt0として、変更前の時刻t1から変更後の時刻t2までの時間のみ、第1の異常検知条件と第2の異常検知条件の内のいずれか少なくとも一つを緩和する。即ち、図20の塗りつぶし部で、異常検知条件を緩和する。
制御パラメータを修正する場合の例としては、例えば、(1)所定の回転数に応じてフィルタを変更する場合であったり、(2)第1の異常が検知され、中央演算処理装置(CPU)の制御パラメータ修正手段が制御パラメータを修正する場合であったり、(3)外部通信による制御パラメータ修正指令が磁気軸受制御器に入力される場合である。
制御パラメータ修正時には修正に伴うノイズを異常であると誤検知せず、制御パラメータ
修正時以外には、従来のように緩和時間を設定しないために、常に異常検出後の一定の緩和時間を設定している場合に比べて、異常検出の速度を速くでき、磁気軸受装置の信頼性が向上する。
即ち、中央演算処理装置(CPU)が緩和時間を設定している例えば2秒の間には制御パラメータ修正によるノイズを誤検知しないと共に、それ以外の時間帯では、瞬時に異常の生じたことを検出できる。
まず、上記(1)の所定の回転数に応じてフィルタを変更する場合についての動作例を説明する。
所定の回転数以上で、変位信号から回転数同期成分を取り除くフィルタABS(Auto Balance System)に対し、例えば、定格回転数27,000rpmの真空ポンプにおいて、回転数12,000rpm以上でABSをONとし、回転数12,000rpm未満でABSをOFFとする。この場合には、加速中、回転数11,940rpmに到達したら異常検知条件を緩和し、回転数12,000rpmに到達したらABSをOFFからONに切り替え、12,240rpmに到達したら異常検知条件を通常状態に戻す。
この場合、例えば、定格回転数27,000rpmで回転中、中央演算処理装置(CPU)の制御パラメータ修正手段が中心周波数の800Hzのノッチフィルタを新たに設定する。図21に示すように、時刻t1で、まず異常検知条件を緩和し、その0.005秒後の時刻t0で制御パラメータを変更し、さらに2秒経過後の時刻t2において異常検知条件を通常状態に戻す。あるいは、まず異常検知条件の緩和と制御パラメータの変更を同時に行い、2秒経過後に異常検知条件を通常状態に戻すようにしてもよい。
ポンプの運転中、図23に示すように、時刻t3において、ユーザー操作によって外部通信による制御パラメータの修正指令が磁気軸受制御器に入力された場合である。ユーザー操作が行なわれるのは、例えば、定格回転数27,000rpmで回転中、中心周波数の800Hzノッチフィルタが新たに設定される場合や、ノッチフィルタの中心周波数が800Hzから900Hzに変更される場合、比例ゲインが直前と比較して0.9倍に変更される場合などである。この場合、時刻t1で、制御装置の中央演算処理装置(CPU)が指令を送信する。中央演算処理装置(CPU)は、まず異常検知条件を緩和し、その0.005秒後の時刻t0に制御パラメータを変更する。そして、更に2秒経過後の時刻t2に異常検知条件を通常状態に戻す。
なお、中央演算処理装置(CPU)に実装される異常検知条件は先述した通り、発振による過大な変位や電流、変位スペクトルや電流スペクトルの変動等、タッチダウンベアリング141、143の接触、DCリンク電圧であるが、一時的に緩和する異常検知条件は、これらの実装された異常検知条件の一部でもよいし、全部でもよい。好適には、変位信号に基づく異常検知条件のみを緩和し、そのほかの異常検知条件を緩和しない。制御パラメータ修正時には、変位信号に大きなノイズが現れやすい一方で、その他の信号のノイズは小さい。これにより、制御パラメータ修正によるノイズを誤検知せず、かつ、制御パラメータ修正によるノイズと同時にたまたま発生した、例えば停電などのノイズ以外の異常状態を高速に検知することが可能となり、信頼性が向上する。
本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことが出来、そして、本発明が当該改変されたものにも及ぶことは当然である。また、上述した各実施形態は種々組み合わせても良い。
102 回転翼
103 回転体
104 上側径方向電磁石
105 下側径方向電磁石
106A、106B 軸方向電磁石
107 上側径方向センサ
108 下側径方向センサ
109 軸方向センサ
111 金属ディスク
113 ロータ軸
121 モータ
141、143 タッチダウンベアリング
Claims (17)
- 回転体と、
該回転体を磁力で空中に浮上支持する磁気軸受と、
該磁気軸受を制御する磁気軸受制御器とを備えた磁気軸受装置であって、
前記磁気軸受制御器による制御の異常を所定の第1の異常条件に基づき検知する第1の異常検知手段と、
該第1の異常検知手段で前記制御の異常が検知されたとき、前記磁気軸受装置の運転を継続しつつ前記磁気軸受制御器の制御パラメータを修正する制御パラメータ修正手段と、
前記磁気軸受制御器による前記制御の異常を前記第1の異常条件よりも異常の度合いの大きい所定の第2の異常条件に基づき検知する第2の異常検知手段と、
該第2の異常検知手段で前記制御の異常が検知されたとき前記磁気軸受装置の運転を停止する停止手段とを備えたことを特徴とする磁気軸受装置。 - 前記制御パラメータ修正手段が、
前記制御パラメータを1ステップ前の制御パラメータから変更する変更工程と、
該変更工程で変更された制御パラメータをもって前記磁気軸受制御器による制御を行う制御工程と、
該制御工程で制御を行った結果、該制御工程の前記1ステップ前に行われた制御の結果と比べて前記制御の異常の状態に改善があったか否かを判断し、前記制御の異常の状態に改善があったと判断したときに、前記制御パラメータとして変更後の値を保持し、一方、前記制御の異常の状態に改善が無かったと判断したときに、前記制御パラメータを前記1ステップ前の制御パラメータに戻す状態改善判断工程とを備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気軸受装置。 - 前記制御パラメータ修正手段には、前記状態改善判断工程にて前記制御の異常の状態に改善があったと判断した場合の後段に、前記第1の異常条件に基づき前記制御の異常の状態が解消したか否かを判断し、前記第1の異常条件で判断される前記制御の異常の状態が解消していないと判断したとき前記変更工程に戻り、一方、前記第1の異常条件で判断される前記制御の異常の状態が解消したと判断したときその時点の前記制御パラメータを保持する、第1の異常解消判断工程を備えたことを特徴とする請求項2記載の磁気軸受装置。
- 前記制御パラメータ修正手段には、前記第1の異常解消判断工程にて前記第1の異常条件で判断される前記制御の異常の状態が解消したと判断した場合の後段に、前記第1の異常解消判断工程にて保存された前記制御パラメータを適用した前記磁気軸受装置の運転が、前記磁気軸受制御器による前記制御の異常が生じない所定の安定性を有するものになっているか否かを評価する安定性評価工程を更に備え、
該安定性評価工程で前記安定性が十分でないと評価されるとき、前記磁気軸受制御器の前記制御パラメータの修正をやり直すことを特徴とする請求項3に記載の磁気軸受装置。 - 前記安定性評価工程が、加振信号の印加、前記磁気軸受制御器の制御ゲインの増加、及び、前記磁気軸受制御器の制御ゲインの減少の少なくともいずれか一つを用いて評価されることを特徴とする請求項4に記載の磁気軸受装置。
- 前記制御パラメータ修正手段による前記制御パラメータの修正の過程において、前記第2の異常条件に基づき判断される前記制御の異常が検知されたとき、前記制御パラメータ修正手段が過去に設定された前記制御パラメータを適用した上で前記磁気軸受装置の運転を停止することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気軸受装置。
- 前記制御パラメータ修正手段では、前記第1の異常検知手段で前記制御の異常が検知されたとき、前記回転体の減速運転をしつつ前記磁気軸受制御器の前記制御パラメータを修正することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気軸受装置。
- 前記制御パラメータ修正手段では、前記第1の異常検知手段で前記制御の異常が検知されたとき、前記回転体の回転数制御を停止し、該回転体がフリーランの状態で前記磁気軸受制御器の前記制御パラメータを修正することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気軸受装置。
- 前記制御パラメータ修正手段では、前記第1の異常検知手段で前記制御の異常が検知されたとき、前記回転体の回転数制御を該異常が検知されたときの回転数にて定速制御を行いつつ前記磁気軸受制御器の前記制御パラメータを修正することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気軸受装置。
- 前記制御パラメータ修正手段では、前記第1の異常検知手段で前記制御の異常が検知されたとき、前記回転体の加速運転をしつつ前記磁気軸受制御器の前記制御パラメータを修正することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気軸受装置。
- 前記磁気軸受制御器の前記制御パラメータを修正後に、前記第1の異常条件での異常状態が解消されたとき前記回転体の加速が行われる請求項7に記載の磁気軸受装置。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気軸受装置を搭載した真空ポンプ。
- 回転体と、
該回転体を磁力で空中に浮上支持する磁気軸受と、
該磁気軸受を制御する磁気軸受制御器とを備えた磁気軸受装置であって、
前記磁気軸受制御器による制御の異常を所定の異常条件に基づき検知する異常検知手段と、
前記磁気軸受制御器の制御パラメータを修正する制御パラメータ修正手段と、
該制御パラメータ修正手段が前記制御パラメータの修正を行なう、時間軸上、回転数軸上、周波数軸上のいずれかの地点を含み設定された所定範囲の領域と、
該所定範囲の領域において前記所定の異常条件を緩和する緩和手段とを備えたことを特徴とする磁気軸受装置。 - 前記所定の異常条件は複数種類で構成され、
前記緩和手段で緩和される異常条件には、変位信号に基づく異常条件が含まれることを特徴とする請求項13に記載の磁気軸受装置。 - 前記所定範囲の領域が前記地点よりも前方の前方領域と、前記地点よりも後方の後方領域とで構成され、該後方領域が前記前方領域よりも大きいことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の磁気軸受装置。
- 前記所定範囲の領域が前記地点よりも後方の後方領域のみで構成されたことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の磁気軸受装置。
- 請求項13又は請求項14に記載の磁気軸受装置を搭載した真空ポンプ。
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