本開示は、加湿装置に関する。
特許文献1には、無給水式の加湿器(空気調和装置)が開示されている。空気調和装置は、室外空気中の水分を加湿ロータによって吸着する。ヒータで加熱された空気が加湿ロータを流れると、加湿ロータの吸着剤から水分が脱離する。脱離した水分を含む空気は、ホースを通じて空調室内機へ送られる。空調室内機は、水分を含んだ空気を対象空間へ供給する。これにより、対象空間の空気が加湿される。
室外空気の湿度が低い条件下では、加湿ロータに吸着される水分量が少なくなる。それにも拘わらず、加湿ロータを再生するためのヒータなど再生部の出力を通常の出力とすると、無駄に電力を消費してしまうという問題があった。
本開示の目的は、吸着部材の再生に要するエネルギーを無駄に消費することを抑制することである。
第1の態様は、加湿装置を対象とする。加湿装置は、室外空気の水分を吸着する吸着部材(22)と、対象空間(I)に供給される水分を該吸着部材(22)から脱離させる再生部(25,26)と、室外空気の絶対湿度が第1湿度であるときに前記再生部(25,26)の出力を第1値とし、該室外空気の絶対湿度が前記第1湿度より低い第2湿度であるときに前記再生部(25,26)の出力を前記第1値より小さい第2値とする制御部(C)とを備える。
第1の態様では、室外空気の絶対湿度が第1湿度より小さい第2湿度であるときに、制御部(C)が、再生部(25,26)の出力を第1値よりも小さい第2値とする。これにより、吸着部材(22)に吸着される水分量が比較的少なくなる条件下において、再生部(25,26)の出力を小さくできる。この結果、吸着部材(22)の再生に要するエネルギーを無駄に消費することを抑制できる。
第2の態様は、第1の態様において、再生部はヒータ(25)を含む。
第2の態様では、吸着部材(22)に吸着される水分量が比較的少なくなる条件下において、ヒータ(25)の出力を小さくできる。
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記再生部は、前記吸着部材(22)から脱離した水分を含む空気を前記対象空間(I)へ搬送する第1ファン(26)を含む。
第3の態様では、吸着部材(22)に吸着される水分量が比較的少なくなる条件下において、ファン()の出力を小さくできる。
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、吸着部材(22)に吸着させる水分を含む室外空気を搬送する第2ファン(23)を備え、前記制御部(C)は、前記室外空気の絶対湿度が前記第2湿度であるときに、前記第2ファン(23)の風量を増大させる。
第4の態様では、室外空気の絶対湿度が第1湿度より小さい第2湿度であるときに、第2ファン(23)の風量を増大させる。これにより、室外空気の湿度が比較的低い条件下において、吸着部材(22)に吸着される水分量を増大できる。
第5の態様は、第4の態様において、前記制御部(C)は、前記室外空気の絶対湿度が前記第2湿度であるときに、前記第2ファン(23)の風量を増大させ、その後に前記再生部(25,26)の出力を前記第2値とする。
第5の態様では、室外空気の絶対湿度が第1湿度より小さい第2湿度であるときに、まずは第2ファン(23)の風量を増大させる。これにより、室外空気の湿度が比較的小さい条件下において、吸着部材(22)に吸着される水分量を増大できる。しかしながら、室外空気の湿度が比較的低い条件下では、吸着部材(22)に吸着される水分量が十分でないことがある。これに対し、制御部(C)は、再生部(25,26)の出力を低くするので、再生部(25,26)の出力が過剰になることを抑制できる。
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記制御部(C)は、室外空気の絶対湿度が前記第1湿度である条件下において、前記対象空間(I)の加湿量を増大させる要求があると、前記再生部(25,26)の出力を、前記要求がないときの出力よりも大きい第1値とする 第6の態様では、室外空気の湿度が比較的高い条件下においては、制御部(C)は、再生部(25,26)の出力を第2値より大きい第1値とする。ここで、加湿量の要求があるときの第1値は、加湿量の要求がないときの第1値よりも大きい。さらに、室外空気の湿度が比較的高い条件下では、吸着部材(22)に吸着される水分量も多くなる。したがって、このようにして再生部(25,26)の出力を比較的大きくすることで、対象空間(I)へ供給される水分量が多くなり、加湿量を増大させる要求に応えることができる。
第7の態様は、第6の態様において、前記制御部(C)は、前記対象空間(I)の空気の湿度に基づいて必要加湿量を求めるとともに、前記室外空気の絶対湿度と前記必要加湿量とに基づいて前記再生部(25,26)の出力を制御する。
第7の態様の制御部(C)は、室外空気の湿度と必要加湿量とに基づいて再生部(25,26)の出力を制御する。これにより、吸着部材(22)に吸着される水分量と、対象空間(I)の必要加湿量とを考慮した加湿制御を実現できる。
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、前記対象空間(I)の加湿量を増大させる要求があり且つ室外空気の絶対湿度が前記第2湿度であるときに、加湿能力が低下していることに関する情報を報知する報知部(41)を備えている。
第8の態様では、室外空気の絶対湿度が比較的低い第2湿度であると、制御部(C)は、再生部(25,26)の出力を比較的小さい第2値とする。このため、吸着部材(22)の再生に要するエネルギーを無駄に消費することを抑制できる。一方、このように再生部(25,26)の出力を小さくすると、加湿量を増大させる要求に応えることができない可能性がある。そこで、本態様では、報知部(41)が、加湿能力が低下していることに関する情報を報知する。
第9の態様は、前記制御部(C)が、前記対象空間(I)の空気の絶対湿度が所定値以下になるように、前記再生部(25,26)の出力を制限する。
第9の態様では、対象空間(I)の空気の絶対湿度が所定値以下なると、制御部(C)が再生部(25,26)の出力を制限するので、対象空間(I)に供給される空気中の水分が結露することを抑制できる。
図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略の全体構成図である。
図2は、空気調和装置の冷媒配管および空気流れを示す構成図である。
図3は、空調室内機の縦断面図である。
図4は、空気調和装置の主な要素を含むブロック図である。
図5は、加湿運転のフローチャートである。
図6は、変形例1の加湿運転のフローチャートである。
図7は、変形例2の加湿運転のフローチャートである。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(1)空気調和装置の構成の概要
空気調和装置(1)は、加湿装置の一例である。空気調和装置(1)は、対象空間の空気の温度および湿度を調節する。本例の対象空間は、室内空間(I)である。図1に示すように、空気調和装置(1)は、空調室外機(10)と空調室内機(30)とを有する。空調室外機(10)は室外に設置され、空調室内機(30)は室内に設置される。空気調和装置(1)は、1つの空調室内機(30)と1つの空調室外機(10)とを有するペア式である。空気調和装置(1)は、加湿ユニット(20)を有する。空気調和装置(1)は、空気を加湿する機能を有する。空気調和装置(1)は、室内空間(I)を換気する機能をさらに有する。
図1および図2に示すように、空気調和装置(1)は、ホース(2)と、液連絡管(3)と、ガス連絡管(4)とを有する。空調室内機(30)と加湿ユニット(20)とは、ホース(2)を介して互いに接続される。空調室内機(30)と空調室外機(10)とは、液連絡管(3)およびガス連絡管(4)を介して互いに接続される。これにより、冷媒回路(R)が構成される。冷媒回路(R)には、冷媒が充填される。冷媒は、ジフルオロメタンである。ただし、冷媒はジフルオロメタンに限定されない。冷媒回路(R)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
冷媒回路(R)は、主として、圧縮機(12)と、室外熱交換器(14)と、膨張弁(15)と、四方切換弁(16)と、室内熱交換器(34)とを有する。
冷媒回路(R)は、四方切換弁(16)の切り換えに応じて第1冷凍サイクルと第2冷凍サイクルとを行う。第1冷凍サイクルは、室内熱交換器(34)を蒸発器として機能させ、室外熱交換器(14)を放熱器として機能させる冷凍サイクルである。第2冷凍サイクルは、室外熱交換器(14)を放熱器として機能させ、室内熱交換器(34)を蒸発器として機能させる冷凍サイクルである。
(2)詳細構成
(2-1)空調室外機
図2および図4に示すように、空調室外機(10)は、室外ケーシング(11)と、圧縮機(12)と、室外ファン(13)と、室外熱交換器(14)と、膨張弁(15)と、四方切換弁(16)とを有する。
室外ケーシング(11)は、圧縮機(12)、室外ファン(13)、室外熱交換器(14)、膨張弁(15)および四方切換弁(16)を収容する。室外ケーシング(11)には、室外吸込口(11a)と、室外吹出口(11b)とが形成される。室外吸込口(11a)は、室外ケーシング(11)の後側に形成される。室外吸込口(11a)は、室外の空気を吸い込むための開口である。室外吹出口(11b)は、室外ケーシング(11)の前側に形成される。室外吹出口(11b)は、室外熱交換器(14)を通過した空気を吹き出すための開口である。室外ケーシング(11)の内部には、室外吸込口(11a)から室外吹出口(11b)に亘って室外空気通路(11c)が形成される。
圧縮機(12)は、低圧のガス冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機(12)は、第1モータ(M1)によって駆動される。圧縮機(12)は、インバータ回路から第1モータ(M1)へ電力が供給される可変容量式の圧縮機である。圧縮機(12)は、第1モータ(M1)の運転周波数(回転数)を調整することで、運転容量が変更可能に構成される。
室外ファン(13)は、室外空気通路(11c)に配置される。室外ファン(13)は、第2モータ(M2)の駆動により回転する。室外ファン(13)により搬送される空気は、室外吸込口(11a)から室外ケーシング(11)内に吸い込まれる。この空気は、室外空気通路(11c)を流れて、室外吹出口(11b)から室外ケーシング(11)の外部に吹き出される。室外ファン(13)は、室外熱交換器(14)を通過させるように室外の空気を搬送する。
室外熱交換器(14)は、室外空気通路(11c)において室外ファン(13)の上流側に配置される。本例の室外熱交換器(14)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。室外熱交換器(14)は、熱源熱交換器の一例である。室外熱交換器(14)は、その内部を流れる冷媒と、室外ファン(13)によって搬送される室外空気とを熱交換させる。
膨張弁(15)は、減圧機構の一例である。膨張弁(15)は、冷媒を減圧する。膨張弁(15)は、開度が調節可能な電動式の膨張弁である。減圧機構は、感温式の膨張弁、膨張機、キャピラリーチューブなどであってもよい。膨張弁(15)は、冷媒回路(R)の液ラインに接続されていればよく、空調室内機(30)に設けられてもよい。
四方切換弁(16)は、流路切換機構の一例である。四方切換弁(16)は、第1ポート(P1)と、第2ポート(P2)と、第3ポート(P3)と、第4ポート(P4)を有する。第1ポート(P1)は、圧縮機(12)の吐出部に繋がる。第2ポート(P2)は、圧縮機(12)の吸入部に繋がる。第3ポート(P3)は、室外熱交換器(14)のガス端部に繋がる。第4ポート(P4)は、ガス連絡管(4)に繋がる。
四方切換弁(16)は、第1状態(図2の実線で示す状態)と、第2状態(図2の破線で示す状態)とに切り換えられる。第1状態の四方切換弁(16)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通させ、且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通させる。第2状態の四方切換弁(16)は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とを連通させ、且つ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とを連通させる。
(2-2)加湿ユニット
加湿ユニット(20)は、室外に設置される。本例の加湿ユニット(20)は、空調室外機(10)と一体化される。加湿ユニット(20)は、室外空気中の水分を空調室内機(30)に送る。加湿ユニット(20)は、加湿ケーシング(21)と、加湿ロータ(22)と、第2ファン(23)と、切換ダンパ(24)と、ヒータ(25)と、第1ファン(26)とを有する。
加湿ケーシング(21)は、室外ケーシング(11)に一体に取り付けられている。加湿ケーシング(21)は、加湿ロータ(22)、第2ファン(23)、切換ダンパ(24)、ヒータ(25)、および第1ファン(26)を収容する。加湿ケーシング(21)には、加湿吸込口(21a)と、加湿排気口(21b)と、吸排気口(21c)とが形成される。加湿吸込口(21a)および吸排気口(21c)は、加湿ケーシング(21)の後側に形成される。加湿排気口(21b)は、加湿ケーシング(21)の前側に形成される。
加湿吸込口(21a)は、室外の空気を吸い込むための開口である。加湿排気口(21b)は、加湿ロータ(22)に水分を付与した後の空気を排出するための開口である。吸排気口(21c)は、室外の空気を吸い込む、または室内から送られる空気を排出するための開口である。加湿ケーシング(21)の内部には、加湿吸込口(21a)から加湿排気口(21b)まで続く第1通路(27)が形成される。加湿ケーシング(21)の内部には、吸排気口(21c)から接続口(21d)まで続く第2通路(28)が形成される。接続口(21d)には、ホース(2)が接続される。
加湿ロータ(22)は、第1通路(27)と第2通路(28)とに亘って配置される。加湿ロータ(22)は空気中の水分を吸着する吸着部材である。加湿ロータ(22)は、例えば、ハニカム構造を有する円盤状の調湿用ロータである。加湿ロータ(22)は、シリカゲル、ゼオライト、アルミナなどの吸着剤を保持する。吸着剤は、空気中の水分を吸着する性質を有する。吸湿剤は、加熱されることにより、吸着した水分を脱離する性質を有する。
加湿ロータ(22)は、第3モータ(M3)の駆動によって回転する。加湿ロータ(22)は、空気中の水分を吸着する吸湿領域(22A)と、空気中に水分を脱離する放湿領域(22B)とを有する。吸湿領域(22A)は、加湿ロータ(22)のうち第1通路(27)に位置する部分によって構成される。放湿領域(22B)は、加湿ロータ(22)のうち第2通路(28)に位置する部分によって構成される。
第2ファン(23)は、第1通路(27)に配置される。第2ファン(23)は、第4モータ(M4)の駆動によって回転する。第2ファン(23)は、第4モータ(M4)の回転数を調整することで、風量を複数段階に切り換え可能に構成される。第2ファン(23)により搬送される空気は、加湿吸込口(21a)から加湿ケーシング(21)内に吸い込まれる。この空気は、第1通路(27)を流れて、加湿排気口(21b)から加湿ケーシング(21)の外部に排出される。第2ファン(23)は、加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)を通過させるように室外の空気を搬送する。第1通路(27)を流れる室外の空気に含まれる水分は、加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)に吸着される。
切換ダンパ(24)は、第2通路(28)に配置される。切換ダンパ(24)は、第1出入口(24a)と、第2出入口(24b)とを有する。第1出入口(24a)は、吸排気口(21c)と連通する。第2出入口(24b)は、加湿ケーシング(21)におけるホース(2)との接続口(21d)と連通する。切換ダンパ(24)は、第1状態と第2状態とに切り換えられる。第1状態の切換ダンパ(24)は、空気を吸い込む入口を第1出入口(24a)とし、空気を排出する出口を第2出入口(24b)とする。第2状態の切換ダンパ(24)は、空気を吸い込む入口を第2出入口(24b)とし、空気を排出する出口を第1出入口(24a)とする。切換ダンパ(24)の状態は、第5モータ(M5)の駆動によって切り換えられる。
ヒータ(25)は、再生部の一例である。ヒータ(25)は、第2通路(28)において吸排気口(21c)と切換ダンパ(24)との間に配置される。ヒータ(25)は、第2通路(28)を流れる空気を加熱する。ヒータ(25)は、出力を可変に構成される。ヒータ(25)を通過する空気の温度は、ヒータ(25)の出力に応じて変化する。
第1ファン(26)は、切換ダンパ(24)の第1出入口(24a)と第2出入口(24b)との間に配置される。第1ファン(26)は、第6モータ(M6)の駆動によって回転する。第1ファン(26)は、第6モータ(M6)の回転数を調整することで、風量を複数段階に切り換え可能に構成される。第1ファン(26)により搬送される空気の流れは、切換ダンパ(24)の状態に応じて変化する。具体的には、切換ダンパ(24)が第1状態であるときには、図2の実線矢印で示すように、第1出入口(24a)から吸い込まれた空気が第2出入口(24b)に流出する。切換ダンパ(24)が第2状態であるときには、図2の破線矢印で示すように、第2出入口(24b)から吸い込まれた空気が第1出入口(24a)に流出する。
(2-3)空調室内機
図1~図3に示すように、空調室内機(30)は、室内に設置される。空調室内機(30)は、室内空間(I)を形成する部屋の壁(WL)に設置される、壁掛け式である。空調室内機(30)は、室内ケーシング(31)と、室内ファン(32)と、エアフィルタ(33)と、室内熱交換器(34)と、ドレンパン(35)と、風向調節部(36)とを有する。
室内ケーシング(31)は、室内ファン(32)、エアフィルタ(33)、室内熱交換器(34)およびドレンパン(35)を収容する。室内ケーシング(31)には、室内吸込口(31a)と、室内吹出口(31b)とが形成される。室内吸込口(31a)は、室内ケーシング(31)の上側に配置される。室内吸込口(31a)は、室内の空気を吸い込むための開口である。室内吹出口(31b)は、室内ケーシング(31)の下側に配置される。室内吹出口(31b)は、熱交換後の空気または加湿用の空気を吹き出すための開口である。室内ケーシング(31)の内部には、室内吸込口(31a)から室内吹出口(31b)に続く室内空気通路(31c)が設けられている。
室内ファン(32)は、室内空気通路(31c)の略中央部分に配置される。室内ファン(32)は、送風機の一例である。室内ファン(32)は、例えばクロスフローファンである。室内ファン(32)は、第7モータ(M7)の駆動により回転する。室内ファン(32)は、室内の空気を室内空気通路(31c)に取り込んで搬送する。室内ファン(32)により搬送される空気は、室内吸込口(31a)から室内ケーシング(31)内に吸い込まれる。この空気は、室内空気通路(31c)を流れて、室内吹出口(31b)から室内ケーシング(31)の外部に吹き出される。
室内ファン(32)は、室内熱交換器(34)を通過させるように室内の空気を搬送する。室内吹出口(31b)から吹き出された空気は、室内空間に供給される。室内ファン(32)は、第7モータ(M7)の回転数を調整することで、風量を複数段階に切り換え可能に構成される。
エアフィルタ(33)は、室内空気通路(31c)において室内熱交換器(34)の上流側に配置される。エアフィルタ(33)は、室内熱交換器(34)に供給される空気が実質的に全て通過するように室内ケーシング(31)に取り付けられる。エアフィルタ(33)は、室内吸込口(31a)から吸い込まれる空気中の塵埃を捕集する。
室内熱交換器(34)は、室内空気通路(31c)において室内ファン(32)の上流側に配置される。本例の室内熱交換器(34)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。室内熱交換器(34)は、利用熱交換器の一例である。室内熱交換器(34)は、その内部の冷媒と、室内ファン(32)によって搬送される室内の空気とを熱交させる。
ドレンパン(35)は、室内熱交換器(34)の前方下側および後方下側に配置される。ドレンパン(35)は、空調室内機(30)の室内ケーシング(31)の内部で発生した結露水を受ける。室内熱交換器(34)のフィンの表面に発生した結露水は、その表面を伝って自重により流下し、ドレンパン(35)で受けられる。
風向調節部(36)は、室内吹出口(31b)から吹き出される空気の風向きを調節する。風向調節部(36)は、フラップ(37)を有する。フラップ(37)は、室内吹出口(31b)の長手方向に沿って延びる長板状に形成される。フラップ(37)は、モータの駆動により回動する。フラップ(37)は、その回動に伴い室内吹出口(31b)を開閉する。
フラップ(37)は、傾斜角度を段階的に変えられるように構成される。本例のフラップ(37)が調節される位置は、6つの位置を含む。これら6つの位置は、閉位置と、5つの開位置とを含む。5つの開位置には、図3に示す略水平吹出位置を含む。閉位置のフラップ(37)は、室内吹出口(31b)を実質的に閉じる。閉位置のフラップ(37)と室内吹出口(31b)との間には、隙間が形成されてもよい。
(2-4)リモートコントローラ
リモートコントローラ(40)は、室内においてユーザが操作可能な位置に配置される。リモートコントローラ(40)は、表示部(41)と入力部(42)とを有する。表示部(41)は、所定の情報を表示する。表示部(41)は、例えば液晶モニタによって構成される。所定の情報は、空気調和装置(1)の運転状態や設定温度などを示す情報である。入力部(42)は、ユーザからの各種設定を行う入力操作を受け付ける。入力部(42)は、例えば物理的な複数のスイッチで構成される。ユーザは、リモートコントローラ(40)の入力部(42)を操作することで、空気調和装置(1)の運転モード、目標温度、目標湿度などを設定できる。
表示部(41)は、報知部の一例である。表示部(41)は、詳細は後述する加湿運転において、加湿能力が低下している情報を報知する。
(2-5)センサ
図2に示すように、空気調和装置(1)は、複数のセンサを有する。複数のセンサは、冷媒用のセンサと、空気用のセンサとを含む。冷媒用のセンサは、高圧冷媒の温度や圧力を検出するセンサ、低圧冷媒の温度や圧力を検出するセンサを含む(図示省略)。
空気用のセンサは、外気温度センサ(51)、外気湿度センサ(52)、内気温度センサ(53)、および内気湿度センサ(54)を含む。外気温度センサ(51)は、空調室外機(10)に設けられる。外気温度センサ(51)は、室外空気の温度を検出する。外気湿度センサ(52)は、加湿ユニット(20)に設けられる。外気湿度センサ(52)は、室外空気の湿度を検出する。本例の外気湿度センサ(52)は、室外空気の相対湿度を検出するが、絶対湿度を検出してもよい。内気温度センサ(53)および内気湿度センサ(54)は、空調室内機(30)に設けられる。内気温度センサ(53)は、室内空気の温度を検出する。内気湿度センサ(54)は、室内空気の湿度を検出する。内気湿度センサ(54)は、室内空気の相対湿度を検出するが、絶対湿度を検出してもよい。
(2-6)制御部
空気調和装置(1)は、制御部(C)を有する。制御部(C)は、冷媒回路(R)の動作を制御する。制御部(C)は、空調室外機(10)、加湿ユニット(20)、および空調室内機(30)の動作を制御する。制御部(C)は、室外制御部(OC)と、室内制御部(IC)と、リモートコントローラ(40)とを含む。室外制御部(OC)は空調室外機(10)に設けられる。室内制御部(IC)は空調室内機(30)に設けられる。室内制御部(IC)および室外制御部(OC)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
室外制御部(OC)には、外気温度センサ(51)の検出値、および外気湿度センサ(52)の検出値が入力される。
室外制御部(OC)は、圧縮機(12)、室外ファン(13)、膨張弁(15)および四方切換弁(16)に接続される。室外制御部(OC)は、空調室外機(10)の運転の実行および停止を行うための制御信号を、圧縮機(12)、室外ファン(13)、膨張弁(15)、および四方切換弁(16)に出力する。室外制御部(OC)は、圧縮機(12)の第1モータ(M1)の運転周波数、室外ファン(13)の第2モータ(M2)の回転数、四方切換弁(16)の状態および膨張弁(15)の開度を制御する。
室外制御部(OC)はさらに、加湿ロータ(22)、第2ファン(23)、切換ダンパ(24)、ヒータ(25)、および第1ファン(26)に接続される。室外制御部(OC)は、加湿ユニット(20)の運転の実行および停止を行うための制御信号を、加湿ロータ(22)、第2ファン(23)、切換ダンパ(24)、第1ファン(26)、およびヒータ(25)に出力する。室外制御部(OC)は、第2ファン(23)の第4モータ(M4)および第1ファン(26)の第6モータ(M6)の回転数と、加湿ロータ(22)および切換ダンパ(24)の動作と、ヒータ(25)の出力とを制御する。
室内制御部(IC)には、内気温度センサ(53)の検出値、および内気湿度センサ(54)の検出値が入力される。
室内制御部(IC)は、リモートコントローラ(40)と通信可能に接続される。室内制御部(IC)は、室内ファン(32)に接続される。室内制御部(IC)は、空調室内機(30)の運転の実行および停止を行うための制御信号を、室内ファン(32)に出力する。室内制御部(IC)は、室内ファン(32)の第7モータ(M7)の回転数を制御する。室内制御部(IC)は、室外制御部(OC)と通信可能に接続される。
リモートコントローラ(40)は、室内制御部(IC)と通信可能に接続される。リモートコントローラ(40)は、入力部(42)でのユーザの操作に応じて、空気調和装置(1)の運転を指示する指示信号を室内制御部(IC)に送信する。室内制御部(IC)は、リモートコントローラ(40)からの指示信号を受信すると、その指示信号を室外制御部(OC)に送信する。室内制御部(IC)は、その指示信号に従い、空調室内機(30)の上述した各機器の動作を制御する。室外制御部(OC)が、室内制御部(IC)からの指示信号を受信すると、空調室外機(10)および加湿ユニット(20)の上述した各機器の動作を制御する。
(3)運転動作
空気調和装置(1)が実行する運転モードは、冷房運転、暖房運転、加湿運転、給気運転、および排気運転を含む。制御部(C)は、リモートコントローラ(40)からの指示信号に基づいて、これらの運転を実行させる。
(3-1)冷房運転
冷房運転は、蒸発器とした室内熱交換器(34)により室内の空気を冷却する運転である。冷房運転での設定温度は、冷房運転の開始時または冷房運転中にリモートコントローラ(40)から指示される。冷房運転では、制御部(C)が、圧縮機(12)、室外ファン(13)、および室内ファン(32)を運転させる。制御部(C)は、四方切換弁(16)を第1状態に設定する。制御部(C)は、膨張弁(15)の開度を適宜調節する。冷房運転では、圧縮した冷媒が室外熱交換器(14)で放熱し、室内熱交換器(34)で蒸発する第1冷凍サイクルが行われる。
冷房運転では、内気温度センサ(53)で検出する室内温度が設定温度に収束するように、制御部(C)が室内熱交換器(34)の目標蒸発温度を調節する。制御部(C)は、室内熱交換器(34)の冷媒の蒸発温度が目標蒸発温度に収束するように、圧縮機(12)の回転数を制御する。冷房運転では、室内ファン(32)により搬送された空気が室内熱交換器(34)を通過する際に冷却される。室内熱交換器(34)によって冷却された空気は、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内空間(I)へ供給される。
(3-2)暖房運転
暖房運転は、放熱器とした室内熱交換器(34)により室内の空気を加熱する運転である。暖房運転での設定温度は、暖房運転の開始時または暖房運転中にリモートコントローラ(40)から指示される。暖房運転では、制御部(C)が、圧縮機(12)、室外ファン(13)、および室内ファン(32)を運転させる。制御部(C)は、四方切換弁(16)を第2状態に設定する。制御部(C)は、膨張弁(15)の開度を適宜調節する。暖房運転では、圧縮機(12)で圧縮した冷媒が室内熱交換器(34)で放熱し、室外熱交換器(14)で蒸発する第2冷凍サイクルが行われる。
暖房運転では、内気温度センサ(53)によって検出される室内温度が設定温度に収束するように、制御部(C)が室内熱交換器(34)の目標凝縮温度を調節する。制御部(C)は、室内熱交換器(34)の冷媒の凝縮温度が目標凝縮温度に収束するように、圧縮機(12)の回転数を制御する。暖房運転では、室内ファン(32)により搬送された空気が室内熱交換器(34)を通過する際に加熱される。室内熱交換器(34)で加熱された空気は、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内空間(I)へ供給される。
(3-3)加湿運転
加湿運転は、加湿ユニット(20)により室内の空気を加湿する運転である。加湿運転では、図2の実線の矢印で示すように、室外空気がホース(2)を通じて空調室内機(30)へ送られる。加湿運転では、制御部(C)が、ヒータ(25)、加湿ロータ(22)および第2ファン(23)を運転させる。制御部(C)は、第1ファン(26)を運転させる。制御部(C)は、切換ダンパ(24)を第1状態に設定する。
加湿運転において、第2ファン(23)によって搬送される室外の空気が加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)を通過し、室外の空気に含まれる水分が加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)に吸着される。加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)として水分を吸着した部分は、加湿ロータ(22)の回転により第2通路(28)に移動して、放湿領域(22B)を構成する。加湿ロータ(22)の放湿領域(22B)には、ヒータ(25)で加熱された室外の空気が通過し、加湿ロータ(22)から加熱された空気へと水分の脱離が生じる。加湿運転では、加湿ロータ(22)で水分が付与された高湿度の空気が、ホース(2)を通じて空調室内機(30)に送られ、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内空間(I)へ供給される。なお、暖房運転と同時に加湿運転を行ってもよい。
(3-4)給気運転
給気運転は、室外の空気を室内に供給する運転である。給気運転では、図2の実線の矢印で示すように、室外空気がホース(2)を通じて空調室内機(30)へ送られる。給気運転では、制御部(C)がヒータ(25)、加湿ロータ(22)、および第2ファン(23)を停止させ、第1ファン(26)を運転させる。制御部(C)は、切換ダンパ(24)を第1状態に設定する。給気運転において、第1ファン(26)によって搬送される室外の空気は、ホース(2)を通じて空調室内機(30)に送られ、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内空間(I)へ供給される。なお、冷房運転または暖房運転と同時に給気運転を行ってもよい。
(3-5)排気運転
排気運転は、室内の空気を室外に排出する運転である。排気運転では、図2の破線の矢印で示すように、室内空気がホース(2)を介して加湿ユニット(20)へ送られる。排気運転では、制御部(C)がヒータ(25)、加湿ロータ(22)、および第2ファン(23)を停止させ、第1ファン(26)を運転させる。排気運転において、第1ファン(26)によって搬送される室内の空気は、ホース(2)を通じて加湿ユニット(20)に送られ、加湿ユニット(20)の吸排気口(21c)から室外へ排出される。なお、冷房運転または暖房運転と同時に排気運転を行ってもよい。
(4)室外空気の絶対湿度を考慮した制御例
本例の空気調和装置(1)は、上述した加湿運転(加湿運転と暖房運転との同時運転も含む)において、室外空気の絶対湿度を考慮した制御を行う。
(4-1)課題
室外空気の絶対湿度(以下、外気湿度(Ho)ともいう)が低い条件下で加湿運転を行うと、第2通路(28)から加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)を流れる空気中の水分が少なくなる。このような条件下では、吸湿領域(22A)の吸着剤に吸着される水分量が少なくなる。この場合、加湿ロータ(22)の放湿領域(22B)で脱着可能な水分量も少なくなる。したがって、放湿領域(22B)で脱着可能な水分量に対して、ヒータ(25)の出力が過剰となり、ヒータ(25)の電力を無駄に消費してしまう可能性がある。
一方、外気湿度が高い条件下では、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着される水分量が多くなる。このような条件下において、放湿領域(22B)で脱着可能な水分量に対して、ヒータ(25)の出力が不足すると、加湿ロータ(22)に吸着した水分を室内空間(I)の加湿に十分に利用できない可能性がある。加えて、放湿領域(22B)における水分の吸着に利用したエネルギー(例えば第2ファン(23)の動力)を無駄に消費してしまう可能性がある。
(4-2)制御例
本実施形態の空気調和装置(1)は、上記の課題を考慮し、外気湿度(Ho)に基づいて次の制御を行う。
図5に示すように、加湿運転が開始すると、ステップS31において、制御部(C)は室外空気の絶対湿度を取得する。本例の制御部(C)は、外気湿度センサ(52)で検出した室外空気の相対湿度と、外気温度センサ(51)で検出した室外空気の温度とに基づき、室外空気の絶対湿度(外気湿度(Ho))を取得する。
ステップS32において、制御部(C)は、外気湿度(Ho)と第1閾値とを比較する。第1閾値は、室外空気が高湿であるか、低湿であるかを判定する値である。第1閾値より高い湿度が第1湿度に対応し、第1閾値以下の湿度が第2湿度に対応する。第1閾値は、例えば0.0054(kg/kg(DA)である。外気湿度(Ho)が第1閾値以下の場合(ステップS32のNO)、言い換えると外気湿度(Ho)が第1湿度よりも小さい第2湿度である場合、制御部(C)は、ステップS33の処理を行う。
ステップS33において、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力を第2値(30%)とする。第2値は、詳細は後述する第1値よりも小さい出力である。外気湿度(Ho)が第2湿度である場合、上述したように加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着された水分量が少なくなる。ヒータ(25)の出力を小さくすることで、ヒータ(25)の出力が過剰に大きくなることを抑制できる。ここで、「ヒータ(25)の出力」は、ヒータ(25)の発熱量に相当する。
次いで、ステップS34では、制御部(C)は、加湿量を増大させる要求があるか否かを判定する。ここで、加湿量を増大させる要求は、言い換えると、空気調和装置(1)の加湿能力を増大させる要求である。加湿量を増大させる要求があることの条件は、例えばリモートコントローラ(40)に入力した設定湿度(目標湿度)に対して、内気湿度センサ(54)で検出した湿度が低い場合に成立する。
ステップS34において、制御部(C)が加湿量の増大要求があると判定すると、ステップS35において、リモートコントローラ(40)の表示部(41)は、加湿能力が低下している情報をユーザに報知する。具体的には、表示部(41)は、加湿能力が低下していることを示す情報を、文字、図形、アイコン、などにより表示する。加湿能力が低下していることを示す情報は、例えば対象空間の加湿に時間がかかってしまうこと、室外空気の湿度が低いことも含む。
ステップS33において、ヒータ(25)の出力を比較的小さくすると、加湿量の増大要求に十分に応じることができない。ユーザは、このことを報知部(41)により知ることができるので、空気調和装置(1)に何らかの異常が発生していると誤解したり、現状の加湿能力に不満を感じたりすることを抑制できる。
ステップS32において、外気湿度(Ho)が第1閾値よりも高い場合(ステップS32のYES)、言い換えると外気湿度(Ho)が第2湿度よりも大きい第1湿度である場合、制御部(C)は、ステップS36の処理を行う。
ステップS36において、制御部(C)が加湿量の増大要求がないと判定すると、ステップS37において、制御部(C)はヒータ(25)の出力を第2値よりも大きい第1値である所定出力(例えば70%)とする。外気湿度(Ho)が第1閾値より大きい条件下では、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着された水分量が多い。このため、ヒータ(25)の出力を第2値よりも大きくしても、ヒータ(25)の出力が過剰になることを抑制できる。言い換えると、ヒータ(25)の出力を効率よく対象空間(I)の加湿に利用できる。
ステップS36において、制御部(C)が加湿量の増大要求があると判定すると、ステップS38において、制御部(C)はヒータ(25)の出力を第2値よりも大きい第1値である所定出力(例えば100%)とする。外気湿度が第1湿度であり、加湿量を増大させる要求がある場合には、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力を、加湿量の増大要求がないときのステップS37のヒータ(25)の出力(例えば70%)よりも大きい第1値(例えば100%)とする。
外気湿度(Ho)が第1閾値より大きい条件下では、外気が高湿度であり、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着される水分量が多い。このため、ヒータ(25)の出力を加湿量の増大要求がないときの出力よりも大きくすることで、吸着剤に吸着された水分を十分に脱着させることができる。この結果、水分を多く含む空気を室内空間(I)に供給でき、加湿量の増大要求に速やかに応えることができる。特に、本例では、ヒータ(25)の出力を最大出力とするため、この効果が顕著になる。
(5)特徴
(5-1)
空気調和装置(1)は、室外空気の水分を吸着する加湿ロータ(22)と、室内空間(I)に供給される水分を加湿ロータ(22)から脱離させるヒータ(25)と、室外空気の絶対湿度が第1湿度であるときに、ヒータ(25)の出力を第1値とし、室外空気の絶対湿度が第1湿度より低い第2湿度であるときに、ヒータ(25)の出力を前記第1値より小さい第2値とする制御部(C)とを備える。
具体的には、外気湿度(Ho)が第2湿度であり、加湿ロータ(22)に吸着される水分量が少ないときには、ステップS33において、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力を第2値よりも小さい第1値(例えば30%)とする。このため、加湿ロータ(22)から脱離可能な水分量に対し、ヒータ(25)の出力が過剰になることを抑制できる。したがって、加湿ロータ(22)の再生に要するエネルギーを無駄に消費することを抑制できる。
外気湿度(Ho)が第1湿度であり、加湿ロータ(22)に吸着される水分量が少ないときには、ステップS34において、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力を第1値より大きい第2値(例えばステップS37の70%、あるいはステップS38の100%)とする。このため、加湿ロータ(22)に吸着した水分に対し、ヒータ(25)の出力が不足することを抑制できる。したがって、加湿ロータ(22)に吸着した水分を室内空間(I)の加湿に十分に利用できる。加湿ロータ(22)に水分を吸着させるために消費した電力(例えば第2ファン(23)の動力)を無駄に消費してしまうことを抑制できる。
(5-2)
制御部(C)は、室外空気の絶対湿度が第1湿度である条件下において、室内空間(I)の加湿量を増大させる要求があると、ヒータ(25)の出力を、要求がないときの出力よりも大きい第1値とする。
具体的には、制御部(C)は、室外空気の絶対湿度が第1湿度である条件下において、加湿量を増大させる要求あると(ステップS36のYES)、加湿量を増大させる要求がない場合(ステップS36のNO)と比べてヒータ(25)の出力を大きくする(ステップS38)。これにより、加湿量を増大させる要求があるときには、加湿ロータ(22)に吸着した十分な量の水分を、室内空間(I)の加湿に十分に利用できる。この結果、加湿量を増大させる要求に速やかに応えることができる。
(5-3)
空気調和装置(1)は、対象空間(I)の加湿量を増大させる要求があり且つ室外空気の絶対湿度が第2湿度であるときに、加湿能力が低下していることに関する情報を報知する報知部(41)を備えている。
ステップS33において、ヒータ(25)の出力を低くすると、加湿量の増大要求に十分に応えることができないことがある。この場合、報知部である表示部(41)は、加湿能力が低下していることをユーザなどに知らせる。その結果、ユーザなどが、空気調和装置(1)に何らかの異常が発生していると誤解したり、現状の加湿能力に不満を感じたりすることを抑制できる。
(6)変形例
上述した実施形態においては、以下のような変形例の構成としてもよい。以下の説明では、上述した実施形態と異なる点について説明する。
(6-1)変形例1
変形例1では、外気湿度(Ho)が第2湿度であるときに、制御部(C)がまず第2ファン(23)の風量を増大させ、その後に再生部(25,26)の出力を第2値とする。変形例1に係る制御の一例を、図6に示す。
外気湿度(Ho)が第1閾値以下であると(ステップS32のNO)、ステップS41において、制御部(C)は、第2ファン(23)の風量を所定量増大させる。言い換えると、ステップS41において、制御部(C)は、第2ファン(23)の第4モータ(M4)の回転数を増大させる。第2ファン(23)の風量が増大すると、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着される水分量が多くなる。
次いで、ステップS42では、制御部(C)がヒータ(25)の出力が過剰か否かを判定するステップS42の判定は、例えば現在の第2ファン(23)の風量、外気湿度(Ho)、第1ファン(26)の風量、ヒータ(25)の出力、室内空間(I)の必要加湿量などに基づく。室内空間(I)の必要加湿量は、リモートコントローラ(40)に入力された設定湿度(目標湿度)、および内気湿度センサ(54)で検出した内気湿度とに基づいて算出される。
ステップS42において、ヒータ(25)の出力が過剰でないと判定されると、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力が第2値より大きい第1値とする。本例では、例えばステップS37に移行し、制御部(C)が再生部(25,26)の出力を第1値である70%とする。ステップS37に代えて、制御部(C)は、必要加湿量を処理できるように、ヒータ(25)の出力を調整してもよい。
ステップS42において、ヒータ(25)の出力が過剰と判定されると、制御部(C)はステップS43の処理を行う。ステップS43では、制御部(C)は、第2ファン(23)の風量が最大であるか否かを判定する。第2ファン(23)の風量が最大でない場合、制御部(C)は、ステップ41において、第2ファン(23)の風量を増大させる。ステップS43において、第2ファン(23)の風量が最大である場合、第2ファン(23)の風量を最大としても、なおヒータ(25)の出力が過剰であると判断できる。そこで、制御部(C)は、ステップS44において、ヒータ(25)の出力を第1値よりも小さい第2値(例えば40%)とする。ステップS44において、制御部(C)は、第2ファン(23)の風量が大きくなるほど第2値を大きくするのが好ましい。第2ファン(23)の風量が大きくなると、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着される水分量が多くなるからである。
以上のように変形例1では、外気湿度(Ho)が第2湿度である場合に、まず第2ファン(23)の風量を増大させる。これにより、加湿ロータ(22)で吸着できる水分量を多くすることができるので、ヒータ(25)の出力が過剰になってしまうことを抑制できる。特に、本例では、第2ファン(23)の風量を最大とすることで、この効果が顕著となる。
その後、制御部(C)は、第2ファン(23)の風量が最大であるにも拘わらず、ヒータ(25)の出力が過剰となるときに、ヒータ(25)の出力を第2値とする。したがって、ヒータ(25)の出力が小さくなることに起因して、室内空間(I)の加湿量が不足してしまうことを抑制できる。
(6-2)変形例2
変形例2では、対象空間である室内空間(I)の室内空気の湿度(以下、内気湿度(Hi)ともいう)が所定値以下になるように、制御部(C)が強制的にヒータ(25)の出力を制限する。変形例2に係る制御の一例を、図7に示す。
図7にステップS51において、制御部(C)は内気湿度(Hi)が第2閾値より大きいか否かを判定する。ここで、第2閾値は、ホース(2)や空調室内機(30)の内部を流れる空気中の水分の結露を抑制するために設定された所定値である。内気湿度(Hi)は、内気湿度センサ(54)によって検出される。
ステップS51において、内気湿度(Hi)が第2閾値より大きい場合、ステップS52において、制御部(C)はヒータ(25)の出力を所定値以下に制限する。これにより、加湿ロータ(22)から対象空間(I)まで供給される空気の湿度が低くなる。したがって、ホース(2)や空調室内機(30)の内部を流れる空気中の水分が結露することを抑制できる。
(6-3)変形例3
変形例3は制御部(C)は、外気湿度(Ho)と必要加湿量とに基づいてヒータ(25)の出力を制御する。例えば外気湿度(Ho)が第2湿度と低く、加湿ロータ(22)に吸着された水分量だけでは必要加湿量を満たすことができない場合に、制御部(C)はヒータ(25)の出力を第2値(例えば30%)とする。一方、制御部(C)は、外気湿度(Ho)が第2湿度と低いが、それでも必要加湿量を満たすことができる場合、ヒータ(25)の出力を、必要加湿量を満たすことができない場合のヒータ(25)の出力よりも大きい第2値とする(例えば40%とする)。
変形例3の制御部(C)は、外気湿度(Ho)が第1湿度と高いときに、必要加湿量に応じて第2値よりも大きい第1値を調節してもよい。
(7)その他の実施形態
実施形態の再生部はヒータ(25)である。再生部は第1ファン(26)を含み、制御部(C)は、第1ファン(26)の風量を調節することにより再生部の出力を制御してもよい。
実施形態の吸着部材は、吸着剤を有する加湿ロータ(22)である。吸着部材は、吸着剤が担持された吸着素子や、吸着剤が担持された熱交換器(吸着熱交換器)であってもよい。吸着熱交換器は、その内部を流れる冷媒や熱媒体により吸着剤を加熱することにより、吸着剤の水分を脱離させる。
実施形態の報知部は、表示部(41)である。報知部は、音により加湿能力が低下していることを報知する音発生部や、光により加湿能力が低下していることを報知する発光部であってもよい。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
以上に説明したように、本開示は、加湿装置について有用である。
C 制御部
1 空気調和装置(加湿装置)
22 加湿ロータ(吸着部材)
23 第2ファン
25 ヒータ(再生部)
26 第1ファン(再生部)
本開示は、加湿装置に関する。
特許文献1には、無給水式の加湿器(空気調和装置)が開示されている。空気調和装置は、室外空気中の水分を加湿ロータによって吸着する。ヒータで加熱された空気が加湿ロータを流れると、加湿ロータの吸着剤から水分が脱離する。脱離した水分を含む空気は、ホースを通じて空調室内機へ送られる。空調室内機は、水分を含んだ空気を対象空間へ供給する。これにより、対象空間の空気が加湿される。
本開示の目的は、吸着部材の再生に要するエネルギーを無駄に消費することを抑制することである。
第1の態様は、加湿装置を対象とする。加湿装置は、加湿吸込口(21a)から加湿排気口(21b)まで続き室外空気が流れる第1通路(27)と、吸込口(21c)から接続口(21d)まで続く第2通路(28)とが形成されるケーシング(21)と、前記第1通路(27)と前記第2通路(28)とに亘って配置され、前記第1通路(27)に位置し空気中の水分を吸着する吸湿領域(22A)と、前記第2通路(28)に位置し空気中に水分を脱離する放湿領域(22B)とを有する加湿ロータ(22)と、前記第2通路(28)に配置されるヒータ(25)と、前記第1通路(27)の空気を搬送するファン(23)と、前記接続口(21d)に接続され、室内へと室外空気を送るホース(2)と、前記第1通路(27)における前記加湿ロータ(22)よりも空気流れの上流側に配置されるとともに前記室外空気の湿度を検出する外気湿度センサ(52)とを備える。
第2の態様は、第1の態様において、前記第1通路(27)では、空気流れの上流側から下流側に向かって、前記外気湿度センサ(52)、前記加湿ロータ(22)、前記ファン(23)が順に配置される。
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記加湿ロータ(22)は、前記第1通路(27)および前記第2通路(28)に亘って配置され、前記外気湿度センサ(52)は、前記加湿ロータ(22)の第1面側に配置され、前記ヒータ(25)は、前記加湿ロータ(22)における前記第1面と逆側の第2面側に配置される。
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つにおいて、前記外気温度センサ(52)の検出値に基づいて、前記加湿装置(1)の運転を制御する制御部(C)を備えている。
第5の態様は、第4の態様において、前記制御部(C)は、前記外気温度センサ(52)の検出値に基づいて、前記ヒータ(25)の出力を制御する。
第6の態様は、第4または第5の態様において、前記制御部(C)は、前記外気温度センサ(52)の検出値に基づいて、前記ファン(23)を制御する。
第7の態様は、第4~第6のいずれか1つの態様において、前記制御部(C)は、前記外気温度センサ(52)の検出値に基づいて、前記加湿ロータ(22)を制御する。
図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略の全体構成図である。
図2は、空気調和装置の冷媒配管および空気流れを示す構成図である。
図3は、空調室内機の縦断面図である。
図4は、空気調和装置の主な要素を含むブロック図である。
図5は、加湿運転のフローチャートである。
図6は、変形例1の加湿運転のフローチャートである。
図7は、変形例2の加湿運転のフローチャートである。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(1)空気調和装置の構成の概要
空気調和装置(1)は、加湿装置の一例である。空気調和装置(1)は、対象空間の空気の温度および湿度を調節する。本例の対象空間は、室内空間(I)である。図1に示すように、空気調和装置(1)は、空調室外機(10)と空調室内機(30)とを有する。空調室外機(10)は室外に設置され、空調室内機(30)は室内に設置される。空気調和装置(1)は、1つの空調室内機(30)と1つの空調室外機(10)とを有するペア式である。空気調和装置(1)は、加湿ユニット(20)を有する。空気調和装置(1)は、空気を加湿する機能を有する。空気調和装置(1)は、室内空間(I)を換気する機能をさらに有する。
図1および図2に示すように、空気調和装置(1)は、ホース(2)と、液連絡管(3)と、ガス連絡管(4)とを有する。空調室内機(30)と加湿ユニット(20)とは、ホース(2)を介して互いに接続される。空調室内機(30)と空調室外機(10)とは、液連絡管(3)およびガス連絡管(4)を介して互いに接続される。これにより、冷媒回路(R)が構成される。冷媒回路(R)には、冷媒が充填される。冷媒は、ジフルオロメタンである。ただし、冷媒はジフルオロメタンに限定されない。冷媒回路(R)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
冷媒回路(R)は、主として、圧縮機(12)と、室外熱交換器(14)と、膨張弁(15)と、四方切換弁(16)と、室内熱交換器(34)とを有する。
冷媒回路(R)は、四方切換弁(16)の切り換えに応じて第1冷凍サイクルと第2冷凍サイクルとを行う。第1冷凍サイクルは、室内熱交換器(34)を蒸発器として機能させ、室外熱交換器(14)を放熱器として機能させる冷凍サイクルである。第2冷凍サイクルは、室外熱交換器(14)を放熱器として機能させ、室内熱交換器(34)を蒸発器として機能させる冷凍サイクルである。
(2)詳細構成
(2-1)空調室外機
図2および図4に示すように、空調室外機(10)は、室外ケーシング(11)と、圧縮機(12)と、室外ファン(13)と、室外熱交換器(14)と、膨張弁(15)と、四方切換弁(16)とを有する。
室外ケーシング(11)は、圧縮機(12)、室外ファン(13)、室外熱交換器(14)、膨張弁(15)および四方切換弁(16)を収容する。室外ケーシング(11)には、室外吸込口(11a)と、室外吹出口(11b)とが形成される。室外吸込口(11a)は、室外ケーシング(11)の後側に形成される。室外吸込口(11a)は、室外の空気を吸い込むための開口である。室外吹出口(11b)は、室外ケーシング(11)の前側に形成される。室外吹出口(11b)は、室外熱交換器(14)を通過した空気を吹き出すための開口である。室外ケーシング(11)の内部には、室外吸込口(11a)から室外吹出口(11b)に亘って室外空気通路(11c)が形成される。
圧縮機(12)は、低圧のガス冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機(12)は、第1モータ(M1)によって駆動される。圧縮機(12)は、インバータ回路から第1モータ(M1)へ電力が供給される可変容量式の圧縮機である。圧縮機(12)は、第1モータ(M1)の運転周波数(回転数)を調整することで、運転容量が変更可能に構成される。
室外ファン(13)は、室外空気通路(11c)に配置される。室外ファン(13)は、第2モータ(M2)の駆動により回転する。室外ファン(13)により搬送される空気は、室外吸込口(11a)から室外ケーシング(11)内に吸い込まれる。この空気は、室外空気通路(11c)を流れて、室外吹出口(11b)から室外ケーシング(11)の外部に吹き出される。室外ファン(13)は、室外熱交換器(14)を通過させるように室外の空気を搬送する。
室外熱交換器(14)は、室外空気通路(11c)において室外ファン(13)の上流側に配置される。本例の室外熱交換器(14)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。室外熱交換器(14)は、熱源熱交換器の一例である。室外熱交換器(14)は、その内部を流れる冷媒と、室外ファン(13)によって搬送される室外空気とを熱交換させる。
膨張弁(15)は、減圧機構の一例である。膨張弁(15)は、冷媒を減圧する。膨張弁(15)は、開度が調節可能な電動式の膨張弁である。減圧機構は、感温式の膨張弁、膨張機、キャピラリーチューブなどであってもよい。膨張弁(15)は、冷媒回路(R)の液ラインに接続されていればよく、空調室内機(30)に設けられてもよい。
四方切換弁(16)は、流路切換機構の一例である。四方切換弁(16)は、第1ポート(P1)と、第2ポート(P2)と、第3ポート(P3)と、第4ポート(P4)を有する。第1ポート(P1)は、圧縮機(12)の吐出部に繋がる。第2ポート(P2)は、圧縮機(12)の吸入部に繋がる。第3ポート(P3)は、室外熱交換器(14)のガス端部に繋がる。第4ポート(P4)は、ガス連絡管(4)に繋がる。
四方切換弁(16)は、第1状態(図2の実線で示す状態)と、第2状態(図2の破線で示す状態)とに切り換えられる。第1状態の四方切換弁(16)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通させ、且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通させる。第2状態の四方切換弁(16)は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とを連通させ、且つ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とを連通させる。
(2-2)加湿ユニット
加湿ユニット(20)は、室外に設置される。本例の加湿ユニット(20)は、空調室外機(10)と一体化される。加湿ユニット(20)は、室外空気中の水分を空調室内機(30)に送る。加湿ユニット(20)は、加湿ケーシング(21)と、加湿ロータ(22)と、第2ファン(23)と、切換ダンパ(24)と、ヒータ(25)と、第1ファン(26)とを有する。
加湿ケーシング(21)は、室外ケーシング(11)に一体に取り付けられている。加湿ケーシング(21)は、加湿ロータ(22)、第2ファン(23)、切換ダンパ(24)、ヒータ(25)、および第1ファン(26)を収容する。加湿ケーシング(21)には、加湿吸込口(21a)と、加湿排気口(21b)と、吸排気口(21c)とが形成される。加湿吸込口(21a)および吸排気口(21c)は、加湿ケーシング(21)の後側に形成される。加湿排気口(21b)は、加湿ケーシング(21)の前側に形成される。
加湿吸込口(21a)は、室外の空気を吸い込むための開口である。加湿排気口(21b)は、加湿ロータ(22)に水分を付与した後の空気を排出するための開口である。吸排気口(21c)は、室外の空気を吸い込む、または室内から送られる空気を排出するための開口である。加湿ケーシング(21)の内部には、加湿吸込口(21a)から加湿排気口(21b)まで続く第1通路(27)が形成される。加湿ケーシング(21)の内部には、吸排気口(21c)から接続口(21d)まで続く第2通路(28)が形成される。接続口(21d)には、ホース(2)が接続される。
加湿ロータ(22)は、第1通路(27)と第2通路(28)とに亘って配置される。加湿ロータ(22)は空気中の水分を吸着する吸着部材である。加湿ロータ(22)は、例えば、ハニカム構造を有する円盤状の調湿用ロータである。加湿ロータ(22)は、シリカゲル、ゼオライト、アルミナなどの吸着剤を保持する。吸着剤は、空気中の水分を吸着する性質を有する。吸湿剤は、加熱されることにより、吸着した水分を脱離する性質を有する。
加湿ロータ(22)は、第3モータ(M3)の駆動によって回転する。加湿ロータ(22)は、空気中の水分を吸着する吸湿領域(22A)と、空気中に水分を脱離する放湿領域(22B)とを有する。吸湿領域(22A)は、加湿ロータ(22)のうち第1通路(27)に位置する部分によって構成される。放湿領域(22B)は、加湿ロータ(22)のうち第2通路(28)に位置する部分によって構成される。
第2ファン(23)は、第1通路(27)に配置される。第2ファン(23)は、第4モータ(M4)の駆動によって回転する。第2ファン(23)は、第4モータ(M4)の回転数を調整することで、風量を複数段階に切り換え可能に構成される。第2ファン(23)により搬送される空気は、加湿吸込口(21a)から加湿ケーシング(21)内に吸い込まれる。この空気は、第1通路(27)を流れて、加湿排気口(21b)から加湿ケーシング(21)の外部に排出される。第2ファン(23)は、加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)を通過させるように室外の空気を搬送する。第1通路(27)を流れる室外の空気に含まれる水分は、加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)に吸着される。
切換ダンパ(24)は、第2通路(28)に配置される。切換ダンパ(24)は、第1出入口(24a)と、第2出入口(24b)とを有する。第1出入口(24a)は、吸排気口(21c)と連通する。第2出入口(24b)は、加湿ケーシング(21)におけるホース(2)との接続口(21d)と連通する。切換ダンパ(24)は、第1状態と第2状態とに切り換えられる。第1状態の切換ダンパ(24)は、空気を吸い込む入口を第1出入口(24a)とし、空気を排出する出口を第2出入口(24b)とする。第2状態の切換ダンパ(24)は、空気を吸い込む入口を第2出入口(24b)とし、空気を排出する出口を第1出入口(24a)とする。切換ダンパ(24)の状態は、第5モータ(M5)の駆動によって切り換えられる。
ヒータ(25)は、再生部の一例である。ヒータ(25)は、第2通路(28)において吸排気口(21c)と切換ダンパ(24)との間に配置される。ヒータ(25)は、第2通路(28)を流れる空気を加熱する。ヒータ(25)は、出力を可変に構成される。ヒータ(25)を通過する空気の温度は、ヒータ(25)の出力に応じて変化する。
第1ファン(26)は、切換ダンパ(24)の第1出入口(24a)と第2出入口(24b)との間に配置される。第1ファン(26)は、第6モータ(M6)の駆動によって回転する。第1ファン(26)は、第6モータ(M6)の回転数を調整することで、風量を複数段階に切り換え可能に構成される。第1ファン(26)により搬送される空気の流れは、切換ダンパ(24)の状態に応じて変化する。具体的には、切換ダンパ(24)が第1状態であるときには、図2の実線矢印で示すように、第1出入口(24a)から吸い込まれた空気が第2出入口(24b)に流出する。切換ダンパ(24)が第2状態であるときには、図2の破線矢印で示すように、第2出入口(24b)から吸い込まれた空気が第1出入口(24a)に流出する。
(2-3)空調室内機
図1~図3に示すように、空調室内機(30)は、室内に設置される。空調室内機(30)は、室内空間(I)を形成する部屋の壁(WL)に設置される、壁掛け式である。空調室内機(30)は、室内ケーシング(31)と、室内ファン(32)と、エアフィルタ(33)と、室内熱交換器(34)と、ドレンパン(35)と、風向調節部(36)とを有する。
室内ケーシング(31)は、室内ファン(32)、エアフィルタ(33)、室内熱交換器(34)およびドレンパン(35)を収容する。室内ケーシング(31)には、室内吸込口(31a)と、室内吹出口(31b)とが形成される。室内吸込口(31a)は、室内ケーシング(31)の上側に配置される。室内吸込口(31a)は、室内の空気を吸い込むための開口である。室内吹出口(31b)は、室内ケーシング(31)の下側に配置される。室内吹出口(31b)は、熱交換後の空気または加湿用の空気を吹き出すための開口である。室内ケーシング(31)の内部には、室内吸込口(31a)から室内吹出口(31b)に続く室内空気通路(31c)が設けられている。
室内ファン(32)は、室内空気通路(31c)の略中央部分に配置される。室内ファン(32)は、送風機の一例である。室内ファン(32)は、例えばクロスフローファンである。室内ファン(32)は、第7モータ(M7)の駆動により回転する。室内ファン(32)は、室内の空気を室内空気通路(31c)に取り込んで搬送する。室内ファン(32)により搬送される空気は、室内吸込口(31a)から室内ケーシング(31)内に吸い込まれる。この空気は、室内空気通路(31c)を流れて、室内吹出口(31b)から室内ケーシング(31)の外部に吹き出される。
室内ファン(32)は、室内熱交換器(34)を通過させるように室内の空気を搬送する。室内吹出口(31b)から吹き出された空気は、室内空間に供給される。室内ファン(32)は、第7モータ(M7)の回転数を調整することで、風量を複数段階に切り換え可能に構成される。
エアフィルタ(33)は、室内空気通路(31c)において室内熱交換器(34)の上流側に配置される。エアフィルタ(33)は、室内熱交換器(34)に供給される空気が実質的に全て通過するように室内ケーシング(31)に取り付けられる。エアフィルタ(33)は、室内吸込口(31a)から吸い込まれる空気中の塵埃を捕集する。
室内熱交換器(34)は、室内空気通路(31c)において室内ファン(32)の上流側に配置される。本例の室内熱交換器(34)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。室内熱交換器(34)は、利用熱交換器の一例である。室内熱交換器(34)は、その内部の冷媒と、室内ファン(32)によって搬送される室内の空気とを熱交させる。
ドレンパン(35)は、室内熱交換器(34)の前方下側および後方下側に配置される。ドレンパン(35)は、空調室内機(30)の室内ケーシング(31)の内部で発生した結露水を受ける。室内熱交換器(34)のフィンの表面に発生した結露水は、その表面を伝って自重により流下し、ドレンパン(35)で受けられる。
風向調節部(36)は、室内吹出口(31b)から吹き出される空気の風向きを調節する。風向調節部(36)は、フラップ(37)を有する。フラップ(37)は、室内吹出口(31b)の長手方向に沿って延びる長板状に形成される。フラップ(37)は、モータの駆動により回動する。フラップ(37)は、その回動に伴い室内吹出口(31b)を開閉する。
フラップ(37)は、傾斜角度を段階的に変えられるように構成される。本例のフラップ(37)が調節される位置は、6つの位置を含む。これら6つの位置は、閉位置と、5つの開位置とを含む。5つの開位置には、図3に示す略水平吹出位置を含む。閉位置のフラップ(37)は、室内吹出口(31b)を実質的に閉じる。閉位置のフラップ(37)と室内吹出口(31b)との間には、隙間が形成されてもよい。
(2-4)リモートコントローラ
リモートコントローラ(40)は、室内においてユーザが操作可能な位置に配置される。リモートコントローラ(40)は、表示部(41)と入力部(42)とを有する。表示部(41)は、所定の情報を表示する。表示部(41)は、例えば液晶モニタによって構成される。所定の情報は、空気調和装置(1)の運転状態や設定温度などを示す情報である。入力部(42)は、ユーザからの各種設定を行う入力操作を受け付ける。入力部(42)は、例えば物理的な複数のスイッチで構成される。ユーザは、リモートコントローラ(40)の入力部(42)を操作することで、空気調和装置(1)の運転モード、目標温度、目標湿度などを設定できる。
表示部(41)は、報知部の一例である。表示部(41)は、詳細は後述する加湿運転において、加湿能力が低下している情報を報知する。
(2-5)センサ
図2に示すように、空気調和装置(1)は、複数のセンサを有する。複数のセンサは、冷媒用のセンサと、空気用のセンサとを含む。冷媒用のセンサは、高圧冷媒の温度や圧力を検出するセンサ、低圧冷媒の温度や圧力を検出するセンサを含む(図示省略)。
空気用のセンサは、外気温度センサ(51)、外気湿度センサ(52)、内気温度センサ(53)、および内気湿度センサ(54)を含む。外気温度センサ(51)は、空調室外機(10)に設けられる。外気温度センサ(51)は、室外空気の温度を検出する。外気湿度センサ(52)は、加湿ユニット(20)に設けられる。外気湿度センサ(52)は、室外空気の湿度を検出する。本例の外気湿度センサ(52)は、室外空気の相対湿度を検出するが、絶対湿度を検出してもよい。内気温度センサ(53)および内気湿度センサ(54)は、空調室内機(30)に設けられる。内気温度センサ(53)は、室内空気の温度を検出する。内気湿度センサ(54)は、室内空気の湿度を検出する。内気湿度センサ(54)は、室内空気の相対湿度を検出するが、絶対湿度を検出してもよい。
(2-6)制御部
空気調和装置(1)は、制御部(C)を有する。制御部(C)は、冷媒回路(R)の動作を制御する。制御部(C)は、空調室外機(10)、加湿ユニット(20)、および空調室内機(30)の動作を制御する。制御部(C)は、室外制御部(OC)と、室内制御部(IC)と、リモートコントローラ(40)とを含む。室外制御部(OC)は空調室外機(10)に設けられる。室内制御部(IC)は空調室内機(30)に設けられる。室内制御部(IC)および室外制御部(OC)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
室外制御部(OC)には、外気温度センサ(51)の検出値、および外気湿度センサ(52)の検出値が入力される。
室外制御部(OC)は、圧縮機(12)、室外ファン(13)、膨張弁(15)および四方切換弁(16)に接続される。室外制御部(OC)は、空調室外機(10)の運転の実行および停止を行うための制御信号を、圧縮機(12)、室外ファン(13)、膨張弁(15)、および四方切換弁(16)に出力する。室外制御部(OC)は、圧縮機(12)の第1モータ(M1)の運転周波数、室外ファン(13)の第2モータ(M2)の回転数、四方切換弁(16)の状態および膨張弁(15)の開度を制御する。
室外制御部(OC)はさらに、加湿ロータ(22)、第2ファン(23)、切換ダンパ(24)、ヒータ(25)、および第1ファン(26)に接続される。室外制御部(OC)は、加湿ユニット(20)の運転の実行および停止を行うための制御信号を、加湿ロータ(22)、第2ファン(23)、切換ダンパ(24)、第1ファン(26)、およびヒータ(25)に出力する。室外制御部(OC)は、第2ファン(23)の第4モータ(M4)および第1ファン(26)の第6モータ(M6)の回転数と、加湿ロータ(22)および切換ダンパ(24)の動作と、ヒータ(25)の出力とを制御する。
室内制御部(IC)には、内気温度センサ(53)の検出値、および内気湿度センサ(54)の検出値が入力される。
室内制御部(IC)は、リモートコントローラ(40)と通信可能に接続される。室内制御部(IC)は、室内ファン(32)に接続される。室内制御部(IC)は、空調室内機(30)の運転の実行および停止を行うための制御信号を、室内ファン(32)に出力する。室内制御部(IC)は、室内ファン(32)の第7モータ(M7)の回転数を制御する。室内制御部(IC)は、室外制御部(OC)と通信可能に接続される。
リモートコントローラ(40)は、室内制御部(IC)と通信可能に接続される。リモートコントローラ(40)は、入力部(42)でのユーザの操作に応じて、空気調和装置(1)の運転を指示する指示信号を室内制御部(IC)に送信する。室内制御部(IC)は、リモートコントローラ(40)からの指示信号を受信すると、その指示信号を室外制御部(OC)に送信する。室内制御部(IC)は、その指示信号に従い、空調室内機(30)の上述した各機器の動作を制御する。室外制御部(OC)が、室内制御部(IC)からの指示信号を受信すると、空調室外機(10)および加湿ユニット(20)の上述した各機器の動作を制御する。
(3)運転動作
空気調和装置(1)が実行する運転モードは、冷房運転、暖房運転、加湿運転、給気運転、および排気運転を含む。制御部(C)は、リモートコントローラ(40)からの指示信号に基づいて、これらの運転を実行させる。
(3-1)冷房運転
冷房運転は、蒸発器とした室内熱交換器(34)により室内の空気を冷却する運転である。冷房運転での設定温度は、冷房運転の開始時または冷房運転中にリモートコントローラ(40)から指示される。冷房運転では、制御部(C)が、圧縮機(12)、室外ファン(13)、および室内ファン(32)を運転させる。制御部(C)は、四方切換弁(16)を第1状態に設定する。制御部(C)は、膨張弁(15)の開度を適宜調節する。冷房運転では、圧縮した冷媒が室外熱交換器(14)で放熱し、室内熱交換器(34)で蒸発する第1冷凍サイクルが行われる。
冷房運転では、内気温度センサ(53)で検出する室内温度が設定温度に収束するように、制御部(C)が室内熱交換器(34)の目標蒸発温度を調節する。制御部(C)は、室内熱交換器(34)の冷媒の蒸発温度が目標蒸発温度に収束するように、圧縮機(12)の回転数を制御する。冷房運転では、室内ファン(32)により搬送された空気が室内熱交換器(34)を通過する際に冷却される。室内熱交換器(34)によって冷却された空気は、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内空間(I)へ供給される。
(3-2)暖房運転
暖房運転は、放熱器とした室内熱交換器(34)により室内の空気を加熱する運転である。暖房運転での設定温度は、暖房運転の開始時または暖房運転中にリモートコントローラ(40)から指示される。暖房運転では、制御部(C)が、圧縮機(12)、室外ファン(13)、および室内ファン(32)を運転させる。制御部(C)は、四方切換弁(16)を第2状態に設定する。制御部(C)は、膨張弁(15)の開度を適宜調節する。暖房運転では、圧縮機(12)で圧縮した冷媒が室内熱交換器(34)で放熱し、室外熱交換器(14)で蒸発する第2冷凍サイクルが行われる。
暖房運転では、内気温度センサ(53)によって検出される室内温度が設定温度に収束するように、制御部(C)が室内熱交換器(34)の目標凝縮温度を調節する。制御部(C)は、室内熱交換器(34)の冷媒の凝縮温度が目標凝縮温度に収束するように、圧縮機(12)の回転数を制御する。暖房運転では、室内ファン(32)により搬送された空気が室内熱交換器(34)を通過する際に加熱される。室内熱交換器(34)で加熱された空気は、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内空間(I)へ供給される。
(3-3)加湿運転
加湿運転は、加湿ユニット(20)により室内の空気を加湿する運転である。加湿運転では、図2の実線の矢印で示すように、室外空気がホース(2)を通じて空調室内機(30)へ送られる。加湿運転では、制御部(C)が、ヒータ(25)、加湿ロータ(22)および第2ファン(23)を運転させる。制御部(C)は、第1ファン(26)を運転させる。制御部(C)は、切換ダンパ(24)を第1状態に設定する。
加湿運転において、第2ファン(23)によって搬送される室外の空気が加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)を通過し、室外の空気に含まれる水分が加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)に吸着される。加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)として水分を吸着した部分は、加湿ロータ(22)の回転により第2通路(28)に移動して、放湿領域(22B)を構成する。加湿ロータ(22)の放湿領域(22B)には、ヒータ(25)で加熱された室外の空気が通過し、加湿ロータ(22)から加熱された空気へと水分の脱離が生じる。加湿運転では、加湿ロータ(22)で水分が付与された高湿度の空気が、ホース(2)を通じて空調室内機(30)に送られ、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内空間(I)へ供給される。なお、暖房運転と同時に加湿運転を行ってもよい。
(3-4)給気運転
給気運転は、室外の空気を室内に供給する運転である。給気運転では、図2の実線の矢印で示すように、室外空気がホース(2)を通じて空調室内機(30)へ送られる。給気運転では、制御部(C)がヒータ(25)、加湿ロータ(22)、および第2ファン(23)を停止させ、第1ファン(26)を運転させる。制御部(C)は、切換ダンパ(24)を第1状態に設定する。給気運転において、第1ファン(26)によって搬送される室外の空気は、ホース(2)を通じて空調室内機(30)に送られ、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内空間(I)へ供給される。なお、冷房運転または暖房運転と同時に給気運転を行ってもよい。
(3-5)排気運転
排気運転は、室内の空気を室外に排出する運転である。排気運転では、図2の破線の矢印で示すように、室内空気がホース(2)を介して加湿ユニット(20)へ送られる。排気運転では、制御部(C)がヒータ(25)、加湿ロータ(22)、および第2ファン(23)を停止させ、第1ファン(26)を運転させる。排気運転において、第1ファン(26)によって搬送される室内の空気は、ホース(2)を通じて加湿ユニット(20)に送られ、加湿ユニット(20)の吸排気口(21c)から室外へ排出される。なお、冷房運転または暖房運転と同時に排気運転を行ってもよい。
(4)室外空気の絶対湿度を考慮した制御例
本例の空気調和装置(1)は、上述した加湿運転(加湿運転と暖房運転との同時運転も含む)において、室外空気の絶対湿度を考慮した制御を行う。
(4-1)課題
室外空気の絶対湿度(以下、外気湿度(Ho)ともいう)が低い条件下で加湿運転を行うと、第2通路(28)から加湿ロータ(22)の吸湿領域(22A)を流れる空気中の水分が少なくなる。このような条件下では、吸湿領域(22A)の吸着剤に吸着される水分量が少なくなる。この場合、加湿ロータ(22)の放湿領域(22B)で脱着可能な水分量も少なくなる。したがって、放湿領域(22B)で脱着可能な水分量に対して、ヒータ(25)の出力が過剰となり、ヒータ(25)の電力を無駄に消費してしまう可能性がある。
一方、外気湿度が高い条件下では、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着される水分量が多くなる。このような条件下において、放湿領域(22B)で脱着可能な水分量に対して、ヒータ(25)の出力が不足すると、加湿ロータ(22)に吸着した水分を室内空間(I)の加湿に十分に利用できない可能性がある。加えて、放湿領域(22B)における水分の吸着に利用したエネルギー(例えば第2ファン(23)の動力)を無駄に消費してしまう可能性がある。
(4-2)制御例
本実施形態の空気調和装置(1)は、上記の課題を考慮し、外気湿度(Ho)に基づいて次の制御を行う。
図5に示すように、加湿運転が開始すると、ステップS31において、制御部(C)は室外空気の絶対湿度を取得する。本例の制御部(C)は、外気湿度センサ(52)で検出した室外空気の相対湿度と、外気温度センサ(51)で検出した室外空気の温度とに基づき、室外空気の絶対湿度(外気湿度(Ho))を取得する。
ステップS32において、制御部(C)は、外気湿度(Ho)と第1閾値とを比較する。第1閾値は、室外空気が高湿であるか、低湿であるかを判定する値である。第1閾値より高い湿度が第1湿度に対応し、第1閾値以下の湿度が第2湿度に対応する。第1閾値は、例えば0.0054(kg/kg(DA)である。外気湿度(Ho)が第1閾値以下の場合(ステップS32のNO)、言い換えると外気湿度(Ho)が第1湿度よりも小さい第2湿度である場合、制御部(C)は、ステップS33の処理を行う。
ステップS33において、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力を第2値(30%)とする。第2値は、詳細は後述する第1値よりも小さい出力である。外気湿度(Ho)が第2湿度である場合、上述したように加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着された水分量が少なくなる。ヒータ(25)の出力を小さくすることで、ヒータ(25)の出力が過剰に大きくなることを抑制できる。ここで、「ヒータ(25)の出力」は、ヒータ(25)の発熱量に相当する。
次いで、ステップS34では、制御部(C)は、加湿量を増大させる要求があるか否かを判定する。ここで、加湿量を増大させる要求は、言い換えると、空気調和装置(1)の加湿能力を増大させる要求である。加湿量を増大させる要求があることの条件は、例えばリモートコントローラ(40)に入力した設定湿度(目標湿度)に対して、内気湿度センサ(54)で検出した湿度が低い場合に成立する。
ステップS34において、制御部(C)が加湿量の増大要求があると判定すると、ステップS35において、リモートコントローラ(40)の表示部(41)は、加湿能力が低下している情報をユーザに報知する。具体的には、表示部(41)は、加湿能力が低下していることを示す情報を、文字、図形、アイコン、などにより表示する。加湿能力が低下していることを示す情報は、例えば対象空間の加湿に時間がかかってしまうこと、室外空気の湿度が低いことも含む。
ステップS33において、ヒータ(25)の出力を比較的小さくすると、加湿量の増大要求に十分に応じることができない。ユーザは、このことを報知部(41)により知ることができるので、空気調和装置(1)に何らかの異常が発生していると誤解したり、現状の加湿能力に不満を感じたりすることを抑制できる。
ステップS32において、外気湿度(Ho)が第1閾値よりも高い場合(ステップS32のYES)、言い換えると外気湿度(Ho)が第2湿度よりも大きい第1湿度である場合、制御部(C)は、ステップS36の処理を行う。
ステップS36において、制御部(C)が加湿量の増大要求がないと判定すると、ステップS37において、制御部(C)はヒータ(25)の出力を第2値よりも大きい第1値である所定出力(例えば70%)とする。外気湿度(Ho)が第1閾値より大きい条件下では、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着された水分量が多い。このため、ヒータ(25)の出力を第2値よりも大きくしても、ヒータ(25)の出力が過剰になることを抑制できる。言い換えると、ヒータ(25)の出力を効率よく対象空間(I)の加湿に利用できる。
ステップS36において、制御部(C)が加湿量の増大要求があると判定すると、ステップS38において、制御部(C)はヒータ(25)の出力を第2値よりも大きい第1値である所定出力(例えば100%)とする。外気湿度が第1湿度であり、加湿量を増大させる要求がある場合には、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力を、加湿量の増大要求がないときのステップS37のヒータ(25)の出力(例えば70%)よりも大きい第1値(例えば100%)とする。
外気湿度(Ho)が第1閾値より大きい条件下では、外気が高湿度であり、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着される水分量が多い。このため、ヒータ(25)の出力を加湿量の増大要求がないときの出力よりも大きくすることで、吸着剤に吸着された水分を十分に脱着させることができる。この結果、水分を多く含む空気を室内空間(I)に供給でき、加湿量の増大要求に速やかに応えることができる。特に、本例では、ヒータ(25)の出力を最大出力とするため、この効果が顕著になる。
(5)特徴
(5-1)
空気調和装置(1)は、室外空気の水分を吸着する加湿ロータ(22)と、室内空間(I)に供給される水分を加湿ロータ(22)から脱離させるヒータ(25)と、室外空気の絶対湿度が第1湿度であるときに、ヒータ(25)の出力を第1値とし、室外空気の絶対湿度が第1湿度より低い第2湿度であるときに、ヒータ(25)の出力を前記第1値より小さい第2値とする制御部(C)とを備える。
具体的には、外気湿度(Ho)が第2湿度であり、加湿ロータ(22)に吸着される水分量が少ないときには、ステップS33において、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力を第2値よりも小さい第1値(例えば30%)とする。このため、加湿ロータ(22)から脱離可能な水分量に対し、ヒータ(25)の出力が過剰になることを抑制できる。したがって、加湿ロータ(22)の再生に要するエネルギーを無駄に消費することを抑制できる。
外気湿度(Ho)が第1湿度であり、加湿ロータ(22)に吸着される水分量が少ないときには、ステップS34において、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力を第1値より大きい第2値(例えばステップS37の70%、あるいはステップS38の100%)とする。このため、加湿ロータ(22)に吸着した水分に対し、ヒータ(25)の出力が不足することを抑制できる。したがって、加湿ロータ(22)に吸着した水分を室内空間(I)の加湿に十分に利用できる。加湿ロータ(22)に水分を吸着させるために消費した電力(例えば第2ファン(23)の動力)を無駄に消費してしまうことを抑制できる。
(5-2)
制御部(C)は、室外空気の絶対湿度が第1湿度である条件下において、室内空間(I)の加湿量を増大させる要求があると、ヒータ(25)の出力を、要求がないときの出力よりも大きい第1値とする。
具体的には、制御部(C)は、室外空気の絶対湿度が第1湿度である条件下において、加湿量を増大させる要求あると(ステップS36のYES)、加湿量を増大させる要求がない場合(ステップS36のNO)と比べてヒータ(25)の出力を大きくする(ステップS38)。これにより、加湿量を増大させる要求があるときには、加湿ロータ(22)に吸着した十分な量の水分を、室内空間(I)の加湿に十分に利用できる。この結果、加湿量を増大させる要求に速やかに応えることができる。
(5-3)
空気調和装置(1)は、対象空間(I)の加湿量を増大させる要求があり且つ室外空気の絶対湿度が第2湿度であるときに、加湿能力が低下していることに関する情報を報知する報知部(41)を備えている。
ステップS33において、ヒータ(25)の出力を低くすると、加湿量の増大要求に十分に応えることができないことがある。この場合、報知部である表示部(41)は、加湿能力が低下していることをユーザなどに知らせる。その結果、ユーザなどが、空気調和装置(1)に何らかの異常が発生していると誤解したり、現状の加湿能力に不満を感じたりすることを抑制できる。
(6)変形例
上述した実施形態においては、以下のような変形例の構成としてもよい。以下の説明では、上述した実施形態と異なる点について説明する。
(6-1)変形例1
変形例1では、外気湿度(Ho)が第2湿度であるときに、制御部(C)がまず第2ファン(23)の風量を増大させ、その後に再生部(25,26)の出力を第2値とする。変形例1に係る制御の一例を、図6に示す。
外気湿度(Ho)が第1閾値以下であると(ステップS32のNO)、ステップS41において、制御部(C)は、第2ファン(23)の風量を所定量増大させる。言い換えると、ステップS41において、制御部(C)は、第2ファン(23)の第4モータ(M4)の回転数を増大させる。第2ファン(23)の風量が増大すると、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着される水分量が多くなる。
次いで、ステップS42では、制御部(C)がヒータ(25)の出力が過剰か否かを判定するステップS42の判定は、例えば現在の第2ファン(23)の風量、外気湿度(Ho)、第1ファン(26)の風量、ヒータ(25)の出力、室内空間(I)の必要加湿量などに基づく。室内空間(I)の必要加湿量は、リモートコントローラ(40)に入力された設定湿度(目標湿度)、および内気湿度センサ(54)で検出した内気湿度とに基づいて算出される。
ステップS42において、ヒータ(25)の出力が過剰でないと判定されると、制御部(C)は、ヒータ(25)の出力が第2値より大きい第1値とする。本例では、例えばステップS37に移行し、制御部(C)が再生部(25,26)の出力を第1値である70%とする。ステップS37に代えて、制御部(C)は、必要加湿量を処理できるように、ヒータ(25)の出力を調整してもよい。
ステップS42において、ヒータ(25)の出力が過剰と判定されると、制御部(C)はステップS43の処理を行う。ステップS43では、制御部(C)は、第2ファン(23)の風量が最大であるか否かを判定する。第2ファン(23)の風量が最大でない場合、制御部(C)は、ステップ41において、第2ファン(23)の風量を増大させる。ステップS43において、第2ファン(23)の風量が最大である場合、第2ファン(23)の風量を最大としても、なおヒータ(25)の出力が過剰であると判断できる。そこで、制御部(C)は、ステップS44において、ヒータ(25)の出力を第1値よりも小さい第2値(例えば40%)とする。ステップS44において、制御部(C)は、第2ファン(23)の風量が大きくなるほど第2値を大きくするのが好ましい。第2ファン(23)の風量が大きくなると、加湿ロータ(22)の吸着剤に吸着される水分量が多くなるからである。
以上のように変形例1では、外気湿度(Ho)が第2湿度である場合に、まず第2ファン(23)の風量を増大させる。これにより、加湿ロータ(22)で吸着できる水分量を多くすることができるので、ヒータ(25)の出力が過剰になってしまうことを抑制できる。特に、本例では、第2ファン(23)の風量を最大とすることで、この効果が顕著となる。
その後、制御部(C)は、第2ファン(23)の風量が最大であるにも拘わらず、ヒータ(25)の出力が過剰となるときに、ヒータ(25)の出力を第2値とする。したがって、ヒータ(25)の出力が小さくなることに起因して、室内空間(I)の加湿量が不足してしまうことを抑制できる。
(6-2)変形例2
変形例2では、対象空間である室内空間(I)の室内空気の湿度(以下、内気湿度(Hi)ともいう)が所定値以下になるように、制御部(C)が強制的にヒータ(25)の出力を制限する。変形例2に係る制御の一例を、図7に示す。
図7にステップS51において、制御部(C)は内気湿度(Hi)が第2閾値より大きいか否かを判定する。ここで、第2閾値は、ホース(2)や空調室内機(30)の内部を流れる空気中の水分の結露を抑制するために設定された所定値である。内気湿度(Hi)は、内気湿度センサ(54)によって検出される。
ステップS51において、内気湿度(Hi)が第2閾値より大きい場合、ステップS52において、制御部(C)はヒータ(25)の出力を所定値以下に制限する。これにより、加湿ロータ(22)から対象空間(I)まで供給される空気の湿度が低くなる。したがって、ホース(2)や空調室内機(30)の内部を流れる空気中の水分が結露することを抑制できる。
(6-3)変形例3
変形例3は制御部(C)は、外気湿度(Ho)と必要加湿量とに基づいてヒータ(25)の出力を制御する。例えば外気湿度(Ho)が第2湿度と低く、加湿ロータ(22)に吸着された水分量だけでは必要加湿量を満たすことができない場合に、制御部(C)はヒータ(25)の出力を第2値(例えば30%)とする。一方、制御部(C)は、外気湿度(Ho)が第2湿度と低いが、それでも必要加湿量を満たすことができる場合、ヒータ(25)の出力を、必要加湿量を満たすことができない場合のヒータ(25)の出力よりも大きい第2値とする(例えば40%とする)。
変形例3の制御部(C)は、外気湿度(Ho)が第1湿度と高いときに、必要加湿量に応じて第2値よりも大きい第1値を調節してもよい。
(7)その他の実施形態
実施形態の再生部はヒータ(25)である。再生部は第1ファン(26)を含み、制御部(C)は、第1ファン(26)の風量を調節することにより再生部の出力を制御してもよい。
実施形態の吸着部材は、吸着剤を有する加湿ロータ(22)である。吸着部材は、吸着剤が担持された吸着素子や、吸着剤が担持された熱交換器(吸着熱交換器)であってもよい。吸着熱交換器は、その内部を流れる冷媒や熱媒体により吸着剤を加熱することにより、吸着剤の水分を脱離させる。
実施形態の報知部は、表示部(41)である。報知部は、音により加湿能力が低下していることを報知する音発生部や、光により加湿能力が低下していることを報知する発光部であってもよい。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
以上に説明したように、本開示は、加湿装置について有用である。
C 制御部
1 空気調和装置(加湿装置)
2 ホース
21 加湿ケーシング(ケーシング)
21a 加湿吸込口
21b 加湿排気口
21c 吸排気口(吸込口)
21d 接続口
22 加湿ロータ
22A 吸湿領域
22B 放湿領域
23 ファン(第2ファン)
25 ヒータ
27 第1通路
28 第2通路
52 外気湿度センサ