JP2023034443A - 草刈刃の回転方向切替機構、自走草刈機、及び、草刈方法 - Google Patents

草刈刃の回転方向切替機構、自走草刈機、及び、草刈方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的簡易な構造でありながら草刈刃の回転方向の切替動作の確実性が向上した草刈刃の回転方向切替機構、自走草刈機及び草刈方法を提供する。【解決手段】自走草刈機1は、本体部2、走行手段部3、原動機4、本体部2の進行方向に対して作業可能な箇所に配設され、原動機4で駆動する回転式の草刈刃5、草刈刃5と原動機4の間に配置され、入力軸となる第1軸61、出力軸となる第2軸62、第1軸と第2軸の間に配設された第1動力伝達部63及び第2動力伝達部64、及び切替部65を有する草刈刃の回転方向切替機構6を備える。切替部65は、第2軸に沿ってスライド可能に取り付けた外歯部材651、外歯部材よりも第2軸の軸端方向に配設され、外歯部材が嵌合可能で、歯溝の形状が横断面視半円弧形であって外歯と噛合可能な内歯を内周に設けた第1嵌合部材653及び第2嵌合部材654を含む構造である。【選択図】図1

Description

本発明は、草刈刃の回転方向切替機構、自走草刈機、及び、草刈方法に関する。詳しくは、比較的簡易な構造でありながら草刈刃の回転方向の切替動作の確実性が向上した草刈刃の回転方向切替機構、自走草刈機、及び、草刈方法に関する。
従来から機体の外周に草刈刃が設けられたシャフトを進行方向に対してアップカット方向又はダウンカット方向に回転させて草を刈る機構の草刈機が存在する。
ところで、アップカットによる草刈作業は、ダウンカットの場合と比較して作業後の仕上がりが良いものの、草刈刃が小石を進行方向へ飛ばしてしまう危険性があり、一方で、ダウンカットによる草刈作業は、前述の危険性は少ないものの、アップカットの場合と比較して、草刈刃が最下点に到達するまでに刈り取られなかった草が草刈刃で押圧されて地面に倒れ込み、刈り残しになることがある。つまり、草刈刃の回転方向がアップカット方向である場合もダウンカット方向である場合も、各々に一長一短がある。
このような問題を解決すべく、例えば、特許文献1に記載されたような草刈作業機が提案されている。特許文献1記載の草刈作業機は、回転駆動式の草刈機と、前記草刈機の駆動源および走行装置が設けられた車両本体とを備え、前記草刈機は、回転するシャフトの外周に複数のハンマーナイフが設けられたカッターと、前記シャフトの回転方向を進行方向に対してダウンカット方向もしくはアップカット方向のいずれかに切替自在な動力伝達装置とを備えていることを特徴とするものである。同草刈作業機によれば、草をダウンカットするかアップカットするかを作業環境に応じて自在に変更でき、この際、動力伝達装置は、草刈機側に設けられるので、駆動源が搭載される車輌本体側の入り組んだ部分に設ける従来に比し、切替操作やメンテナンスを容易にできる、とされている。
特開2012-16332号公報
しかしながら、特許文献1記載の草刈作業機に係る動力伝達装置は、前記シャフトの回転方向を進行方向に対してダウンカット方向もしくはアップカット方向のいずれかに切替可能な第1動力伝達装置、前記シャフトを進行方向に対してダウンカット方向にのみ回転させる第2動力伝達装置、前記シャフトを進行方向に対してアップカット方向にのみ回転させる第3動力伝達装置が用意され、これら第1ないし第3動力伝達装置の中から選択的に用いられる構造が開示されるのみである。
そして、同構造は、明細書段落0028~0034及び図7~12に具体的に開示されているが、入力軸であるシャフト33に設けられた外歯を有する第1ギヤ361が出力軸であるシャフト34に設けられた外歯を有する第2ギヤ362と直接噛合すると共に、移動した第1ギヤ361がシャフト34に設けられた外歯を有する第4ギヤ364と間接的に噛合する構造であって、第1ギヤ361と第4ギヤ364は、シャフト37に設けられた外歯を有する第3ギヤ363を介している。
つまり、3軸且つ軸毎に設けられた外歯のギヤが噛合する構造であるので、構造が複雑であり、シャフトの回転方向切替の際に、ギヤの位置によってはスムーズな切替動作を行うことができないことがあり、切替操作が容易にできる、とは言い難い。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、比較的簡易な構造でありながら草刈刃の回転方向の切替動作の確実性が向上した草刈刃の回転方向切替機構、自走草刈機、及び、草刈方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の草刈刃の回転方向切替機構は、原動機により駆動する回転式の草刈刃を有する自走草刈機に装備されて、前記原動機からの動力を入力可能に設けられた第1軸と、該第1軸と間隔を開けて平行に配設された第2軸と、前記第1軸と前記第2軸の間に配設された第1動力伝達部及び第2動力伝達部と、切替部と、を備え、前記第1動力伝達部は、前記第1軸の長手方向中間部に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第1動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第1動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第2動力伝達部材を有し、前記第1動力伝達部材と前記第2動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第1動力伝達部材からの動力が同第2動力伝達部材へ伝達される構造であり、前記第2動力伝達部は、前記第1動力伝達部材と間隔を開けて前記第1軸の先部方向に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第3動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第3動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第4動力伝達部材を有し、前記第3動力伝達部材と前記第4動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第3動力伝達部材からの動力が同第4動力伝達部材へ伝達される構造であり、前記切替部は、外歯部材、操作部材、第1嵌合部材及び第2嵌合部材を有し、前記外歯部材は、外周に外歯が設けられた平歯車で、前記第2動力伝達部材と前記第4動力伝達部材の間に配置され、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸と一体的に回転可能であると共に、同第2動力伝達部材と同第4動力伝達部材の間を同第2軸に沿ってスライド可能に取り付けられ、前記操作部材は、前記第2軸に沿って前記外歯部材をスライド操作可能に設けられ、前記第1嵌合部材は、前記第2動力伝達部材に連設されて前記第4動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられ、前記第2嵌合部材は、前記第4動力伝達部材に連設されて前記第2動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられた構造であり、前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第1嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をダウンカット方向にのみ回転する第1運転と、前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第2嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をアップカット方向にのみ回転可能な第2運転と、を切り替え可能に構成されている。
ここで、本発明の草刈刃の回転方向切替機構は、自走草刈機に装備されるものであり、同自走草刈機において、同自走草刈機の進行方向に対して第2軸をダウンカット方向にのみ回転する第1運転と、第2軸をアップカット方向にのみ回転可能な第2運転とを切り替える機能を付与することができる。
そして、同構造の自走草刈機によれば、作業者が作業環境や草の性質に応じて草刈刃の回転方向をダウンカット又はアップカットのいずれの方向にするかを判断し、同判断に基づいて第1運転又は第2運転を選択し自在に切り替えて、最適な運転で草刈作業を行うことができる。なお、「作業環境」の一例としては地形や季節(若葉であるか枯れ草なのか)等の情報が挙げられ、「草の性質」の一例としては草丈の長短、葉や茎部分の硬軟等の情報が挙げられる。
本発明の草刈刃の回転方向切替機構の各部の作用について説明する。
前述の第1軸は、原動機からの動力を入力することができる。また、第2軸は、第1動力伝達部又は第2動力伝達部のいずれか、及び切替部を介して第1軸から動力が伝達されて、出力することができる。つまり、この草刈刃の回転方向切替機構が装備された自走草刈機では、前述の構造から第1軸が入力軸で第2軸が出力軸となり、草刈刃が第2軸と直接又は間接的に接続される構造になる。
第1動力伝達部において、第1動力伝達部材は所定位置に固着されて第1軸の回転に追従して回転し、第2動力伝達部材は前述の配置で第1動力伝達部材と接続されていることにより、第1動力伝達部材からの動力を第2動力伝達部材へ伝達することができる。
そして、切替部において、第1嵌合部材は外歯部材がある方向に開口している構造であるので、操作部材によって外歯部材を第2軸に沿ってスライドさせる操作を行い、第2動力伝達部材に連設された第1嵌合部材と外歯部材を嵌合させると、第2動力伝達部材が第2軸の周りを空転しない(即ち、第2軸に固定された)状態になる。
この嵌合状態において、第2動力伝達部材の回転に追従して第2軸が回転し、一方で、外歯部材は第2嵌合部材と非嵌合状態であり、第4動力伝達部材は第2軸の周りを空転する(即ち、第2動力伝達部を介して第1軸から第2軸に動力が伝達されない)。この状態では、原動機からの動力が、第1軸から、第1動力伝達部(第1動力伝達部材と第2動力伝達部材)及び切替部を介して、第2軸に伝達されて、前述した第1運転となり、第2軸がダウンカット方向にのみ回転する。これにより、例えば、第2軸と直接又は間接的に接続された回転式の草刈刃を、ダウンカット方向にのみ回転させる運転を行うことができる。
第2動力伝達部において、第3動力伝達部材は所定位置に固着されて第1軸の回転に追従して回転し、第4動力伝達部材は前述の配置で第3動力伝達部材と接続されていることにより、第3動力伝達部材からの動力を第4動力伝達部材へ伝達することができる。
そして、切替部において、第2嵌合部材は外歯部材がある方向に開口している構造であるので、操作部材によって外歯部材を第2軸に沿ってスライドさせる操作を行い、第4動力伝達部材に連設された第2嵌合部材と外歯部材を嵌合させると、第4動力伝達部材が第2軸の周りを空転しない(即ち、第2軸に固定された)状態になる。
この嵌合状態において、第4動力伝達部材の回転に追従して第2軸が回転し、一方で、外歯部材は第1嵌合部材と非嵌合状態であり、第2動力伝達部材は第2軸の周りを空転する(即ち、第1動力伝達部を介して第1軸から第2軸に動力が伝達されない)。この状態では、原動機からの動力が、第1軸から、第2動力伝達部(第3動力伝達部材と第4動力伝達部材)及び切替部を介して、第2軸に伝達されて、前述した第2運転となり、第2軸がアップカット方向にのみ回転する。これにより、例えば、第2軸と直接又は間接的に接続された回転式の草刈刃を、アップカット方向にのみ回転させる運転を行うことができる。
なお、第1嵌合部材は、その歯溝の形状が、一般的な構造のギヤよりも歯溝の幅が広い形状である横断面視半円弧形であって、外歯と噛合可能な内歯が内周に設けられていることにより、第1運転への切替時において外歯部材の外歯が入りやすく、第1嵌合部材と外歯部材のスムーズな嵌合(即ち、運転状態のスムーズな切替)を実現することができる。第2嵌合部材も歯溝の形状及び構造が第1嵌合部材と同様であって、第2運転への切替時において外歯部材の外歯が入りやすく、第2嵌合部材と外歯部材のスムーズな嵌合を実現することができる。
ところで、特許文献1記載の草刈作業機は、その動力伝達装置が、3つの軸毎に設けられた外歯のギヤが噛合し、入力軸及び出力軸の間に配置された切替ギヤを有する第3軸の動作によって回転方向切替を行う構造であって、噛合状態において入力軸のギヤと切替ギヤ又は出力軸のギヤと切替ギヤが相互に逆回転し、切替を行う際には、ギヤ間に生じる逆方向の応力に起因してギヤが斜めになろうとする力が発生し、これによって軸との摩擦が大きくなる。
更に、図9(a)に示すように、特許文献1記載の草刈作業機に係る動力伝達装置は、各ギヤの噛合状態において、各ギヤが噛合する箇所は1箇所のみであり、噛合する外歯が各々のギアに設けられた数の約10%程度に過ぎず、また、図9(b)に示すように、噛合状態におけるバックラッシュが0.4度程度に過ぎないため、ギヤの位置によっては、シャフト(草刈刃の回転方向)の回転方向切替の際にスムーズな切替動作を行うことができないことが多い。
なお、特許文献1記載の草刈作業機に係る動力伝達装置に対し、回転方向切替の際にスムーズな切替動作を実現すべく、例えば、外歯の数を間引いて単にバックラッシュを大きくする加工、あるいは、外歯の先部に面取り加工を施す等の方法が考えられるが、スムーズな切替動作というメリットと引き換えに、外歯の強度低下、騒音の増加、噛合時の滑りによる動力ロスの増加といったデメリットが生じうる。
これに対し、本発明は、切替部が2軸構造であって、特許文献1記載の草刈作業機に係る動力伝達装置と比較して部品点数が少なくても済むという簡素な構造であり、これにより、製造工程の簡略化、製造コストの低減化、及び、草刈刃の回転方向切替機構全体の軽量化を図ることができる。加えて、回転方向切替のための第3軸のクリアランス加工が不要となることも、製造工程の簡略化、製造コストの低減化に寄与する。
更に、本発明に係る第1嵌合部材に設けられた内歯が、その形状が外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であることで、一般的な構造のギヤよりも歯溝の幅が広く、且つ、角度バックラッシュが大きな形状となっており、第1運転への切替の際に、外歯部材の外歯が内歯の歯溝に入りやすい構造となっている。これにより、特許文献1記載の草刈作業機と比較して、第1嵌合部材と外歯部材がスムーズに嵌合し、即ち、運転状態のスムーズな切替を実現することができる。なお、第2嵌合部材に関しても同様である。
加えて、本発明は、切替部に係る第1嵌合部材の内歯の歯数が、外歯の歯数と同じであるか又は外歯の歯数よりも多数であり、外歯との噛合状態において外歯の全てが内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられていることで、全ての外歯とこれに対応する数の内歯が噛合することになる。これにより、全ての外歯が内歯と常時噛合して動力伝達が成されることから、特許文献1記載の草刈作業機と比較して、動力の伝達効率が良い。また、動力伝達の際に、噛合した外歯と内歯の接触部位に加わる荷重が多数箇所に分散されることから、内歯に係る歯溝の形状として、特許文献1記載の草刈作業機のギアよりもバックラッシュが大きくなる「横断面視半円弧形」に採用したとしても、荷重の集中により内歯が破損しにくい構造となっている。なお、第2嵌合部材に関しても同様である。
なお、内歯の歯数が外歯の歯数と同数である場合は、内歯の歯数が外歯の歯数よりも多数である場合よりも、外歯と内歯の接触箇所の数が増えて動力の伝達効率が良く、且つ、噛合した外歯と内歯の接触部位に加わる荷重が最も分散する構造となる。一方、内歯の歯数が外歯の歯数よりも多数である場合は、内歯の数が外歯の数と同数である場合よりも、切替作業の際に一回で内歯の歯溝に外歯が入る確率が向上し、第1嵌合部材と外歯部材がスムーズに嵌合しやすい構造となる。
「内歯の歯数が外歯の歯数よりも多数である」とは、例えば、外歯の歯数が内歯の歯数の10%以上90%以下であることが挙げられ、更に好ましくは、外歯の歯数が内歯の歯数の30%以上70%以下であることが挙げられる。外歯の歯数が内歯の歯数の10%未満である場合は、切替作業の際に一回で内歯の歯溝に外歯が入る確率が極めて高いが、外歯と内歯の接触箇所の数が少なく、動力の伝達効率の低下を招き、且つ、噛合した外歯と内歯の接触部位において荷重集中を招くおそれがあるため好ましくない。一方、外歯の歯数が内歯の歯数の90%を超える場合は、外歯と内歯の接触箇所の数が多いことから、動力の伝達効率が良く、且つ、噛合した外歯と内歯の接触部位に加わる荷重が分散する構造となるが、切替作業の際に一回で内歯の歯溝に外歯が入る確率が90%以下の場合よりも若干低下する可能性がある。加えて、外歯は、前述の理由から、歯数が少なくとも3つであって、各歯が外歯の外周円方向へ等間隔に配置されていることが好ましい。
更に、本発明は、切替部が同軸上(即ち第2軸)に前述した第1嵌合部材、外歯部材及び第2嵌合部材を配設した構造であるため、特許文献1記載の草刈作業機に係る動力伝達装置と比較して、回転方向の切替(即ち、第1運転又は第2運転への切替)がスムーズである。理由は必ずしも定かでは無いが、特許文献1記載の草刈作業機に係る動力伝達装置では、入力軸(出力軸)のギヤと切替ギヤが噛合状態において相互に逆方向に回転し、ギヤチェンジする際にギヤが斜めになろうとする力が発生して軸との摩擦が大きくなる構造であるのに対して、本発明の切替部は、同軸上(即ち第2軸)に前述した第1嵌合部材、外歯部材及び第2嵌合部材を配設されていること、及び、第1嵌合部材又は第2嵌合部材のいずれか一方と外歯部材とが嵌合した際に他方が第2軸の周りで空転する構造であることから、第1嵌合部材又は第2嵌合部材のいずれか一方と外歯部材とが嵌合した際に、嵌合した外歯及び内歯の全ての歯にほぼ均等に力が加わって、斜めになろうとする力が軽減され、その結果、摩擦の上昇を抑えることに起因するのではないかと推察される。
本願の明細書及び特許請求の範囲において、前述した「ダウンカット」とは、回転式の草刈刃の回転方向と、前進時における自走草刈機における車輪等の走行手段の回転方向とが同一である草刈刃の回転の向きを意味する。また、前述した「アップカット」とは、回転式の草刈刃の回転方向と、前進時における自走草刈機における車輪等の走行手段の回転方向とが逆である草刈刃の回転の向きを意味する。
本願の明細書及び特許請求の範囲において、前述した第1動力伝達部材と第2動力伝達部材が直接的に接続された態様としては、例えば、第1動力伝達部材と第2動力伝達部材が外歯を有するギヤであって両部材が噛合しているものが挙げられる。また、第1動力伝達部材と第2動力伝達部材が間接的に接続された態様としては、例えば、第1動力伝達部材と第2動力伝達部材が外歯を有するスプロケットであって両部材がチェーンで接続されたものや、第1動力伝達部材と第2動力伝達部材がプーリーであって両部材がベルトで接続されたものが挙げられるが、他の公知手段を除外するものではない。
このように、本発明の草刈刃の回転方向切替機構は、前述した構成とこれに基づく作用を奏することにより、比較的簡易な構造でありながら草刈刃の回転方向の切替動作の確実性が向上したものとなっている。
また、内歯の歯溝の一端側と外歯部材の外歯が接触した状態において生じる角度バックラッシュが、0.5度以上19度以下に設定された構造である場合は、第1運転又は第2運転への切替時において、第1嵌合部材又は第2嵌合部材に対して外歯部材の外歯が十分に入りやすく、第1嵌合部材又は第2嵌合部材と外歯部材のスムーズな嵌合を実現することができると共に、第1嵌合部材又は第2嵌合部材の内歯と外歯部材の外歯が十分に噛み合い、動力伝達が成される構造となる。
特許文献1記載の第1動力伝達装置のようにギヤ等の一般的な外歯部材を2以上の組み合わせたものである場合、動力伝達ロスを回避するため角度バックラッシュは、例えば0.4度程度になるように設計されているが、この場合、回転方向切替時にギヤが入りにくいことがある。しかしながら、本発明のように、角度バックラッシュが、0.5度以上19度以下に設定された構造であれば、第1嵌合部材又は第2嵌合部材の歯溝に対して外歯部材の外歯が十分に入りやすく、且つ、第1嵌合部材又は第2嵌合部材の内歯と外歯部材の外歯が十分に噛み合い、動力伝達が成される。
なお、角度バックラッシュが、0.5度未満の場合は、前述のように第1嵌合部材又は第2嵌合部材に対して外歯部材の外歯が入りにくくなるため好ましくなく、また、角度バックラッシュが、19度を超える場合は、第1嵌合部材又は第2嵌合部材の歯溝内で外歯部材の外歯が滑って動力伝達ロスが生じたり、歯飛びが生じる可能性が生じたりするため好ましくない。なお、生産性と機能性の両立を考慮すると、角度バックラッシュは6度以上14度以下に設定された構造であることが更に好ましい。
また、外歯部材は、その外周面の幅方向略中間となる箇所に、外面を一周する連続した受け溝が形成され、操作部材は、受け溝への嵌入部分を有し、該嵌入部分が、同受け溝との嵌合状態において外歯部材の回転動作の阻害を抑制する形状に設けられ、嵌入部分が受け溝に嵌合する態様で操作部材と前記外歯部材が接続された構造である場合は、外歯部材と操作部材の両部材に関し、簡易な接続構造でありながら、外歯部材の操作性が良く且つ効率的な動作を実現することができる。
より詳しくは、前述の通り、外歯部材に形成された受け溝に対して、操作部材が有する嵌入部分を嵌合させて接続した構造であるので、外歯部材と操作部材を接続しても外歯部材の回転動作の阻害が常時抑制される。これにより、操作部材による外歯部材の操作時及び不操作時を問わず、当該接続部分に起因とする動力ロスを低減することができる。
また、第2軸と外歯部材との接合部分が、スプライン嵌合構造である場合は、外歯部材が第2軸の軸線方向に移動する動作をスムーズに行いうると共に、外歯部材が第2軸周りを空転しない構造となっている。そして、第2軸から外歯部材を取り外すことができる構造でもあるので、外歯部材が磨損した際には交換が容易で整備性が向上したものとなっており、また、外歯部材のみを交換すれば済むため、運用コスト低減に寄与するものとなっている。
また、第1動力伝達部材及び第2動力伝達部材が、外周に外歯が設けられたギヤであり、同第1動力伝達部材の外歯と同第2動力伝達部材の外歯が常時噛合した構造である場合は、スプロケット及びチェーンから成る構造である場合と比較して、原動機から伝達される動力ロスを低減することができる。なお、この場合、第1動力伝達部材及び前記第2動力伝達部材であるギヤのほか、減速調整のための中間ギヤ等を含む構造であってもよい。
また、第3動力伝達部材及び第4動力伝達部材が、外周に外歯が設けられたスプロケットであり、同第3動力伝達部材の外歯と同第4動力伝達部材の外歯に掛け渡されたチェーンによって接続された構造である場合は、ギヤ構造である場合と比較して、第1運転又は第2運転への切替時において生じうる衝撃や捻れ方向への応力を緩和することができると共に、第1軸と第2軸の軸間距離の変動に対して許容範囲が広い構造とすることができる。なお、この場合、第3動力伝達部材及び第4動力伝達部材であるスプロケットのほか、チェーンのたるみ調整やテンション調整のためのテンションスプロケット等を含む構造であってもよい。
ところで、作業中の草刈機では、噛み混んだ草木等により回転する草刈刃が急停止又は急減速することがあり、出力軸側に最も近い第4動力伝達部材とこれに接続する第3動力伝達部材がギヤである場合は、生じた衝撃や荷重に起因してギヤの欠損等が起きる可能性があるが、前述の第3動力伝達部材及び第4動力伝達部材であれば、構造上急停止等による衝撃を緩和することができ、このような故障が生じる可能性を低減することができる。
上記の目的を達成するために、本発明の自走草刈機は、走行手段部を有する本体部と、該本体部に搭載された原動機と、前記本体部の進行方向に対して作業可能となる箇所に配設され、前記原動機により駆動する回転式の草刈刃と、該草刈刃と前記原動機の間に配置されて、同原動機からの動力を入力可能に設けられた第1軸、該第1軸と間隔を開けて平行に配設された第2軸、前記第1軸と前記第2軸の間に配設された第1動力伝達部及び第2動力伝達部、及び、切替部を有する草刈刃の回転方向切替機構とを備え、前記第1動力伝達部は、前記第1軸の長手方向中間部に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第1動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第1動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第2動力伝達部材を含み、前記第1動力伝達部材と前記第2動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第1動力伝達部材からの動力が同第2動力伝達部材へ伝達される構造であり、前記第2動力伝達部は、前記第1動力伝達部材と間隔を開けて前記第1軸の先部方向に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第3動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第3動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第4動力伝達部材を含み、前記第3動力伝達部材と前記第4動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第3動力伝達部材からの動力が同第4動力伝達部材へ伝達される構造であり、前記切替部は、外歯部材、操作部材、第1嵌合部材及び第2嵌合部材を有し、前記外歯部材は、外周に外歯が設けられた平歯車で、前記第2動力伝達部材と前記第4動力伝達部材の間に配置され、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸と一体的に回転可能であると共に、同第2動力伝達部材と同第4動力伝達部材の間を同第2軸に沿ってスライド可能に取り付けられ、前記操作部材は、前記第2軸に沿って前記外歯部材をスライド操作可能に設けられ、前記第1嵌合部材は、前記第2動力伝達部材に連設されて前記第4動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられ、前記第2嵌合部材は、前記第4動力伝達部材に連設されて前記第2動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられた構造であり、前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第1嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をダウンカット方向にのみ回転する第1運転と、前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第2嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をアップカット方向にのみ回転可能な第2運転と、を切り替え可能に構成されている。
ここで、本発明の自走草刈機は、前述した本体部、原動機、回転式の草刈刃、及び、草刈刃の回転方向切替機構を備えることにより、自走して草刈作業を行うことができると共に、同自走草刈機において、同自走草刈機の進行方向に対してダウンカット方向にのみ草刈刃を回転させる第1運転と、アップカット方向にのみ草刈刃を回転させる第2運転とを切り替えることができる。つまり、作業者は、作業環境や草の性質に応じて草刈刃の回転方向をダウンカット又はアップカットのいずれの方向にするかを判断し、同判断に基づいて第1運転又は第2運転を選択し自在に切り替えて、最適な運転で草刈作業を行うことができる。
前述の草刈刃の回転方向切替機構の各部の作用について説明する。
前述の第1軸は、原動機からの動力を入力することができる。また、第2軸は、第1動力伝達部又は第2動力伝達部のいずれか、及び切替部を介して第1軸から動力が伝達されて、出力することができる。つまり、この自走草刈機では、前述の構造から第1軸が入力軸で第2軸が出力軸となり、草刈刃が第2軸と接続された構造になる。
第1動力伝達部において、第1動力伝達部材は所定位置に固着されて第1軸の回転に追従して回転し、第2動力伝達部材は前述の配置で第1動力伝達部材と接続されていることにより、第1動力伝達部材からの動力を第2動力伝達部材へ伝達することができる。そして、切替部において、操作部材によって外歯部材を第2軸に沿ってスライドさせる操作を行い、第2動力伝達部材に連設された第1嵌合部材と外歯部材を嵌合させると、第2動力伝達部材が第2軸の周りを空転しない(即ち、第2軸に固定された)状態になる。
この嵌合状態において、第2動力伝達部材の回転に追従して第2軸が回転し、一方で、外歯部材は第2嵌合部材と非嵌合状態であり、第4動力伝達部材は第2軸の周りを空転する(即ち、第2動力伝達部を介して第1軸から第2軸に動力が伝達されない)。この状態では、原動機からの動力が、第1軸から、第1動力伝達部(第1動力伝達部材と第2動力伝達部材)及び切替部を介して、第2軸に伝達されて、前述した第1運転となり、第2軸がダウンカット方向にのみ回転する。これにより、第2軸と接続された回転式の草刈刃を、ダウンカット方向にのみ回転させる運転を行うことができる。
第2動力伝達部において、第3動力伝達部材は所定位置に固着されて第1軸の回転に追従して回転し、第4動力伝達部材は前述の配置で第3動力伝達部材と接続されていることにより、第3動力伝達部材からの動力を第4動力伝達部材へ伝達することができる。そして、切替部において、操作部材によって外歯部材を第2軸に沿ってスライドさせる操作を行い、第4動力伝達部材に連設された第2嵌合部材と外歯部材を嵌合させると、第4動力伝達部材が第2軸の周りを空転しない(即ち、第2軸に固定された)状態になる。
この嵌合状態において、第4動力伝達部材の回転に追従して第2軸が回転し、一方で、外歯部材は第1嵌合部材と非嵌合状態であり、第2動力伝達部材は第2軸の周りを空転する(即ち、第1動力伝達部を介して第1軸から第2軸に動力が伝達されない)。この状態では、原動機からの動力が、第1軸から、第2動力伝達部(第3動力伝達部材と第4動力伝達部材)及び切替部を介して、第2軸に伝達されて、前述した第2運転となり、第2軸がアップカット方向にのみ回転する。これにより、第2軸と接続された回転式の草刈刃を、アップカット方向にのみ回転させる運転を行うことができる。
なお、第1嵌合部材は、その歯溝の形状が、一般的な構造のギヤよりも歯溝の幅が広い形状である横断面視半円弧形であって、外歯と噛合可能な内歯が内周に設けられていることにより、第1運転への切替時において外歯部材の外歯が入りやすく、第1嵌合部材と外歯部材のスムーズな嵌合(即ち、運転状態のスムーズな切替)を実現することができる。第2嵌合部材も歯溝の形状及び構造が第1嵌合部材と同様であって、第2運転への切替時において外歯部材の外歯が入りやすく、第2嵌合部材と外歯部材のスムーズな嵌合を実現することができる。
本発明の自走草刈機は、草刈刃の回転方向切替機構を有することにより、特許文献1記載の草刈作業機と比較して、
・部品点数が少なくても済むという簡素な構造であり、これにより、製造工程の簡略化、製造コストの低減化、及び、草刈刃の回転方向切替機構全体の軽量化を図ることができ、
・第1嵌合部材に設けられた内歯の形状に起因して、第1運転への切替の際に第1嵌合部材と外歯部材がスムーズに嵌合し、即ち、運転状態のスムーズな切替を実現することができ(第2運転への切替の際における第2嵌合部材に関しても同様)、
・第1嵌合部材及び第2嵌合部材共に、全ての外歯が内歯と常時噛合して動力伝達が成されることから、動力の伝達効率が良く、動力伝達の際に噛合した外歯と内歯の接触部位に加わる荷重が多数箇所に分散されて、内歯が破損しにくい構造となっており、
・切替部が同軸上(即ち第2軸)に前述した第1嵌合部材、外歯部材及び第2嵌合部材を配設した構造であることに起因して、回転方向の切替(即ち、第1運転又は第2運転への切替)がスムーズである、
という作用効果を奏する。
本願の明細書及び特許請求の範囲において、前述した「走行手段部」としては、例えば、車輪や履帯式走行構造が挙げられるが、他の公知の走行手段を除外するものではない。
このように、本発明の自走草刈機は、前述した構成とこれに基づく作用を奏することにより、比較的簡易な構造でありながら草刈刃の回転方向の切替動作の確実性が向上したものとなっている。
上記の目的を達成するために、本発明の草刈方法は、走行手段部を備える本体部と、該本体部に搭載された原動機と、該原動機により駆動する回転式の草刈刃と、該草刈刃と前記原動機の間に配置されて、同原動機からの動力を入力可能に設けられた第1軸、該第1軸と間隔を開けて平行に配設された第2軸、前記第1軸と前記第2軸の間に配設された第1動力伝達部及び第2動力伝達部、及び、切替部を有する草刈刃の回転方向切替機構とを備え、前記第1動力伝達部は、前記第1軸の長手方向中間部に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第1動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第1動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第2動力伝達部材を含み、前記第1動力伝達部材と前記第2動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第1動力伝達部材からの動力が同第2動力伝達部材へ伝達される構造であり、前記第2動力伝達部は、前記第1動力伝達部材と間隔を開けて前記第1軸の先部方向に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第3動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第3動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第4動力伝達部材を含み、前記第3動力伝達部材と前記第4動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第3動力伝達部材からの動力が同第4動力伝達部材へ伝達される構造であり、前記切替部は、外歯部材、操作部材、第1嵌合部材及び第2嵌合部材を有し、前記外歯部材は、外周に外歯が設けられた平歯車で、前記第2動力伝達部材と前記第4動力伝達部材の間に配置され、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸と一体的に回転可能であると共に、同第2動力伝達部材と同第4動力伝達部材の間を同第2軸に沿ってスライド可能に取り付けられ、前記操作部材は、前記第2軸に沿って前記外歯部材をスライド操作可能に設けられ、前記第1嵌合部材は、前記第2動力伝達部材に連設されて前記第4動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられ、前記第2嵌合部材は、前記第4動力伝達部材に連設されて前記第2動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられた構造である自走草刈機を使用し、前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第1嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をダウンカット方向にのみ回転する第1運転工程と、前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第2嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をアップカット方向にのみ回転する第2運転工程と、を適宜切り替えて行うものである。
本発明の草刈方法によれば、前述した自走草刈機を使用することにより、回転式の草刈刃について、自走草刈機の進行方向に対してダウンカット方向にのみ回転する第1運転工程と、自走草刈機の進行方向に対してアップカット方向にのみ回転可能な第2運転工程と、を切り替えて草刈作業を行うことができ、運転切替の際には、従来の自走草刈機よりも高い確実性を以て草刈刃の回転方向の切替動作を行うことができる。
加えて、本発明の草刈方法によれば、前述した自走草刈機を使用することにより、特許文献1記載の草刈作業機を使用した草刈方法と比較して、
・第1嵌合部材に設けられた内歯の形状に起因して、第1運転への切替の際に第1嵌合部材と外歯部材がスムーズに嵌合し、即ち、運転状態のスムーズな切替を実現することができ(第2運転への切替の際における第2嵌合部材に関しても同様)、
・第1嵌合部材及び第2嵌合部材共に、全ての外歯が内歯と常時噛合して動力伝達が成されることから、動力の伝達効率が良く、動力伝達の際に噛合した外歯と内歯の接触部位に加わる荷重が多数箇所に分散されて、内歯が破損しにくく、
・切替部が同軸上(即ち第2軸)に前述した第1嵌合部材、外歯部材及び第2嵌合部材を配設した構造であることに起因して、回転方向の切替(即ち、第1運転又は第2運転への切替)がスムーズである、
という作用効果を奏する。
本発明によれば、比較的簡易な構造でありながら草刈刃の回転方向の切替動作の確実性が向上した草刈刃の回転方向切替機構、自走草刈機、及び、草刈方法を提供することができる。
本発明の自走草刈機を上方から見た斜視図であり、(a)は機体正面方向視で自走草刈機の左側面及び背面を示す斜視図であり、(b)は機体正面方向視で自走草刈機の右側面及び背面を示す斜視図である。 図1に示す自走草刈機の機体前方部分の左側面を示す拡大図である。 図2に示す自走草刈機に装備された草刈刃の回転方向切替機構であり、(a)は第2軸側から見た斜視図、(b)は第1軸側から見た斜視図、である。 図3に示す草刈刃の回転方向切替機構の第2軸側の構造を分解して示しており、(a)は第1嵌合部材の開口方向から見た斜視図、(b)は第2嵌合部材の開口方向から見た斜視図、である。 図4に示す草刈刃の回転方向切替機構において、外歯部材が中立位置にある状態の切替部を拡大して示しており、(a)は機体後方から見た拡大図、(b)は機体前方から見た拡大図、である。 図5に示す外歯部材が第1嵌合部材と嵌合した位置にある状態の切替部を拡大して示しており、(a)は機体後方から見た拡大図、(b)は機体前方から見た拡大図、である。 図5に示す外歯部材が第2嵌合部材と嵌合した位置にある状態の切替部を拡大して示しており、(a)は機体後方から見た拡大図、(b)は機体前方から見た拡大図、である。 図4に示す草刈刃の回転方向切替機構において、第1運転時及び第2運転時の各部材の配置を説明しており、(a)は第1運転の模式図、(b)は第2運転の模式図、である。 (a)は一般的なギヤ同士の噛合状態を示す正面図であり、(b)は(a)に係る噛合部分の拡大図である。 (a)は外歯部材後方から第1嵌合部材への方向視で、本発明の外歯部材と第1嵌合部材とが嵌合した状態を示す正面図であり、(b)は(a)に係る嵌合部分の拡大図である。 図3に示す草刈刃の回転方向切替機構のロック機構を示しており、(a)はロックがオンの状態の斜視図、(b)はロックがオフの状態の斜視図、である。
図1~図11を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。なお、図1~図11の図中に示す矢印に係る符号は説明上の方向を示し、符号Fは「前方向」を、Bは「後方向」を、Rは「右方向」を、Lは「左方向」を、Uは「上方向」を、Dは「下方向」を、それぞれ意味している。
〔自走草刈機1〕
図1~図11を参照して、自走草刈機1について説明する。自走草刈機1は、本体部2、走行手段部3、原動機4、回転式の草刈刃5(以下「草刈刃5」という)、及び、草刈刃の回転方向切替機構6(以下「回転方向切替機構6」という)、及び、草刈刃カバー7を備える(図1、図2参照)。各部について以下詳述する。
(本体部2)
本体部2は、フレーム20、操作ハンドル21、及び、ステップ22を有する。
フレーム20は、剛性素材(本実施形態では金属材)で形成され、機体中央から後部にかけて配置されている。
操作ハンドル21は、平面視略V字状の両手型であって、作業車の把持部となる先端が機体後方に延びており、基端がフレーム20に取り付けられて、機体上下方向に上げ下げ可能に支持されている。本実施形態の操作ハンドル21は、握ると機体が右に旋回する第1サイドクラッチレバー、握ると機体が左に旋回する第2サイドクラッチレバー、上げると機体が走行する走行クラッチレバー、原動機4の回転数を調整するスロットルレバー、上げると草刈刃5が回転する草刈刃クラッチレバー、握るとハンドル位置を左右に変更可能なハンドル位置左右調整レバー、及び、握るとハンドル位置を上下に変更可能なハンドル位置上下調整レバー、が設けられている。
ステップ22は、フレーム20後方に配置された板体で、作業者を載置可能な程度の耐荷重性を有する構造になっている。
(走行手段部3)
走行手段部3は、本体部2下方に配置された左右一対の後部走行構造部31、及び、本体部2前方に配置された左右一対の前部走行構造部32を有する。
後部走行構造部31は、履帯式走行構造であり、フレーム201を挟んで機体の左右に配置されている。後部走行構造部31は、地面側に配置された前後一対の転輪311、各転輪の上方に配置された起動輪312、及び、起動輪312及び前後各転輪311に回しかけられた履帯313を有する。起動輪312は、原動機4から供給される動力を以て駆動する。機体左右の後部走行構造部31は、各々略同じ構造である。
前部走行構造部32は、支持フレーム321、及び、走行車輪322を有する。支持フレーム321は、その基部近傍がフレーム20前方に取り付けられると共に、先部が機体前方に延びた左右一対のアーム部分を有し、アーム部分が機体上下方向に上げ下げ可能に支持されている。走行車輪322は、支持フレーム321のアーム部分先端近傍に取り付けられており、左右合わせて一対が配設されている。
(原動機4)
原動機4は、フレーム20後方に配置されており、本実施形態ではエンジンである。原動機4は、ベルト(図示省略)とプーリー(図示省略)の組み合わせによる動力伝達構造41を介して、後部走行構造部31及び(回転方向切替機構6を介して)草刈刃5に動力を供給している。
(草刈刃5)
草刈刃5は、取付基部51、切断刃52、及び、草刈刃回転軸53を有する。
取付基部51は、円筒状であって、その基端に草刈刃回転軸53が接続されて回転可能に設けられ、取付基部51の周面には、切断刃52の取付部54が複数設けられている(図2(b)参照。なお、図2(b)では切断刃52を省略)。
切断刃52は、略L字状であって、両刃に形成された刃部分と、取付基部51への取り付け箇所である基端部分を有する。切断刃52は、刃部分が取付基部51の回転軸と平行になる態様で、基端部分が取付部54を介して取付基部51に取り付けられている(図2(a)参照)。また、切断刃52は、その軸線と取付基部51の端面視の円半径が一致する態様で、所定間隔を空けて複数(本実施形態では3つ)設けられている(図2(a)参照)。更に、取付基部51は、切断刃52を取り付けた状態で、切断刃52先端による回転軌跡の下端と草刈刃カバー7の下縁(換言すると、下方に設けた開口部分の口縁)が略一致する態様で取り付けられている。
(回転方向切替機構6)
回転方向切替機構6は、フレーム20前部であって原動機4と草刈刃5の間に配置されており(図1及び図2参照)、第1軸61、第2軸62、第1軸61と第2軸62の間に配設された第1動力伝達部63及び第2動力伝達部64、切替部65、及び、切替レバーのロック機構66(以下「ロック機構66」)を有する(図3~図8参照)。
<第1軸61>
第1軸61は、原動機4からの動力を入力可能に設けられている。本実施形態では、第1軸61にはプーリー611が設けられていると共に、プーリー611と反対方向の端部はベアリング612により回動可能に軸支され、原動機4に設けられた動力取り出し軸に取り付けられたプーリー(図示省略)との間に掛け渡されたベルト(図示省略)を介して、原動機4からの動力が第1軸61に伝達される構造である。
<第2軸62>
第2軸62は、第1軸61と間隔を開けて平行に配設されている。本実施形態では、第2軸62は後述する外歯部材651が軸方向へ所定の距離スライド可能な長さのスプラインが設けられたスプライン軸である。更に本実施形態では、第2軸62にはプーリー621が設けられていると共に、プーリー621と反対方向の端部はベアリング622により回動可能に軸支され、草刈刃回転軸53に取り付けられたプーリー(図示省略)との間に掛け渡されたベルト(図示省略)を介して、第2軸62から出力された動力が草刈刃5(取付基部51及び切断刃52)に伝達される構造である。
<第1動力伝達部63>
第1動力伝達部63は、第1動力伝達部材631、及び、第2動力伝達部材632を有している。
第1動力伝達部材631は、第1軸61においてプーリー611寄りの長手方向中間部に配置されており、第1軸61の軸線方向へ移動不能に固着されている。
第2動力伝達部材632は、第2軸62が中心に挿通されると共に、第2軸62周りで空転可能に取り付けられ、第1動力伝達部材631と並列となる箇所に移動不能に配置されている。
なお、本実施形態では、第1動力伝達部材631は外周に外歯が設けられたギヤであり、第2動力伝達部材632も外周に外歯が設けられたギヤであって、第1動力伝達部材631の外歯と第2動力伝達部材632の外歯が常時噛合した構造(換言すると、第1動力伝達部材631と第2動力伝達部材632が直接的に接続されて、第1動力伝達部材631からの動力が第2動力伝達部材632へ伝達される構造)である。
<第2動力伝達部64>
第2動力伝達部64は、第3動力伝達部材641、及び、第4動力伝達部材642を有している。
第3動力伝達部材641は、第1動力伝達部材631と間隔を開けて第1軸61の先部方向に配置され、第1軸61の軸線方向へ移動不能に固着されている。
第4動力伝達部材642は、第2軸62が中心に挿通されると共に、第2軸62周りで空転可能に取り付けられ、第3動力伝達部材641と並列となる箇所に移動不能に配置されている。
なお、本実施形態では、第3動力伝達部材641は外周に外歯が設けられたスプロケットであり、第4動力伝達部材642は外周に外歯が設けられたスプロケットであって、第3動力伝達部材641の外歯と第4動力伝達部材642の外歯に掛け渡されたチェーン643によって接続された構造(換言すると、第3動力伝達部材641と第4動力伝達部材642がチェーン643を介して間接的に接続されて、第3動力伝達部材641からの動力が第4動力伝達部材642へ伝達される構造)である。
切替部65は、第2動力伝達部材632と第4動力伝達部材642の間に配置され、外歯部材651、操作部材652、第1嵌合部材653、及び、第2嵌合部材654を含む構造である。主に図4を参照して切替部65の各部について説明する。
外歯部材651は、外周に外歯が設けられると共に、軸方向中心に貫通した軸挿通孔が形成されており、この軸挿通孔は本実施形態ではスプライン孔となっている。また、本実施形態では、外歯部材651の外周面の幅方向略中間(換言すると外歯の軸線方向略中間)となる箇所に、外面を一周する連続した受け溝651aが形成されている。
そして、外歯部材651は、この軸挿通孔に第2軸62を挿通し、第2動力伝達部材632と第4動力伝達部材642の間に取り付けられている。即ち、第2軸62と外歯部材651との接合部分はスプライン嵌合構造であって、外歯部材651は、第2軸62と一体的に回転可能で、且つ、第2動力伝達部材632と第4動力伝達部材642の間を第2軸62に沿ってスライド可能なものとなっている。
操作部材652は、外歯部材651を第2軸62に沿ってスライドさせる操作が可能な部材である。
操作部材652は、操作棒部652a及び接続片部652bを有する。
操作棒部652aは、切替部操作レバー655に接続され、切替部操作レバー655の操作に追従して、操作棒部652aの軸方向に進退可能な構造である。
接続片部652bは、板面が操作棒部652aの軸方向と交差するように取り付けられた板体であって、基部が操作棒部652aに連結されると共に、先部が受け溝651aへの嵌入部分となった構造である。
接続片部652bの嵌入部分は、受け溝651aの内底に沿う形状の凹円弧状の切欠であって、切欠端面が滑面であり、受け溝651aの溝幅よりも僅かに小さい厚みに設けられている。つまり、前述の嵌入部分を設けた接続片部652bを有する操作部材652は、嵌入部分が、受け溝651aに嵌合する態様で操作部材652と外歯部材651が接続された構造であると共に、受け溝651aとの嵌合状態において外歯部材651の回転動作の阻害を抑制する形状に設けられている。
第1嵌合部材653は、第2動力伝達部材632に連設されて第4動力伝達部材642の方向へ開口していると共に、外歯部材651が嵌入可能な内径に形成された円筒形である(特に図4(a)参照)。そして、第1嵌合部材653は、歯溝の形状が横断面視半円弧形であって、外歯部材651の外歯と噛合可能な内歯が内周に設けられている(図4(a)及び図10参照)。
第1嵌合部材653は、その内歯の歯溝の一端側と外歯部材651の外歯が接触した状態において生じる角度バックラッシュRが、10.4度に設定された構造である(図10参照)。
第2嵌合部材654は、第4動力伝達部材642に連設されて第2動力伝達部材632の方向へ開口していると共に、外歯部材651が嵌入可能な内径に形成された円筒形である(特に図4(b)参照)。そして、第2嵌合部材654は、歯溝の形状が横断面視半円弧形であって、外歯部材651の外歯と噛合可能な内歯が内周に設けられている(図4(a)。なお、図10は第1嵌合部材653を表したものであるが、第2嵌合部材654に係る歯溝及び外歯の形状も、これと同様である)。
第2嵌合部材654は、その内歯の歯溝の一端側と外歯部材651の外歯が接触した状態において生じる角度バックラッシュが、10.4度に設定された構造である(図示省略。但し、なお、図10は第1嵌合部材653を表したものであるが、第2嵌合部材654に係る角度バックラッシュについても、これと同様である。)。
切替部65は、前述の構成を有することにより、操作部材652を以て第2軸62に沿ってスライドさせた外歯部材651と第1嵌合部材653のみが嵌合した嵌合状態(図6参照)で、自走草刈機1の進行方向に対して第2軸62をダウンカット方向にのみ回転する第1運転と、操作部材652を以て第2軸62に沿ってスライドさせた外歯部材651と第2嵌合部材654のみが嵌合した嵌合状態で、自走草刈機1の進行方向に対して第2軸62をアップカット方向にのみ回転可能な第2運転と、を切り替え可能な構造となっている。
<ロック機構66>
図11を参照する。図11に示すロック機構66は、ハンドルに設けた草刈刃用クラッチレバーと連動する構造になっており、草刈刃用クラッチレバーがオフの場合にのみ、外歯部材651を操作可能な構造となっている。ロック機構66は、切替部65のケーシング近傍に設けられ、ロックピン661、支持ステー662、及び、ロックピン操作部663を有する。
ロックピン661は、所定長さの棒体であって、少なくともその先部が、切替部操作レバー655を操作する作業者の力による押圧力で曲がらない程度の剛性を有する素材で形成されている。なお、切替部操作レバー655は、切替部65のケーシング外部に設けられ、外歯部材651を操作する操作棒部652aに接続された部材であり、ロックピン661は、進出時(即ちロック動作時)において少なくともその先部が切替部操作レバー655に当接し、切替部操作レバー655の回動を停止可能な位置に配設されている。
支持ステー662は、ロックピン661を進退動可能に支持する部材である。本実施形態では、支持ステー662は、所定の間隔を空けて板面が相対するように配置された2枚の板体であって、各板体の相対する位置にロックピン661を挿通させる貫通孔が形成され、同貫通孔にロックピン661がスライド可能且つ脱落しないように嵌挿されている。
ロックピン操作部663は、ロックピン661に接続されて、ロックピン661を進退動させる部材である。ロックピン操作部663は、ワイヤー664に接続され、ワイヤー664を介して草刈刃用クラッチレバーに接続されている。
ロック機構66は、前述の構成であることにより、草刈刃用クラッチレバーがオフ(即ち、前述した第1運転及び第2運転のいずれでも無い状態)の場合には、ロックピン661が後退して切替部操作レバー655と当接不能状態となり、これにより切替部操作レバー655が動かせる構造になっている(図11(b)参照)。
一方、ロック機構66は、草刈刃用クラッチレバーがオン(即ち、前述した第1運転又は第2運転のいずれかである状態)の場合には、ロックピン661が進出して切替部操作レバー655と当接可能となり、これにより切替部操作レバー655が動かせない構造になっている(図11(a)参照)
(草刈刃カバー7)
草刈刃カバー7は、草刈刃5の上方、前方、後方、側方を覆う形状に設けられており、下方に開口した構造であり、本体部2前方に配設されている。
〔草刈方法〕
本実施形態に係る草刈方法は、前述した自走草刈機1を使用し、作業状況等に応じて、作業者が第1運転又は第2運転の適宜切り替えて行うものである。なお、第1運転又は第2運転を切り替える際には、草刈刃用クラッチレバーをオフにしておく。
<第1運転>
作業者は、切替部操作レバー655を使用して操作部材652を操作し、外歯部材651を第2軸62に沿ってスライドさせ、外歯部材651と第1嵌合部材653を嵌合させる。この外歯部材651と第1嵌合部材653のみが嵌合した嵌合状態では、第2軸62が自走草刈機1の進行方向に対してダウンカット方向にのみ回転する。つまり、第2軸62に接続されたプーリー621も回転し、プーリー621と接続された草刈刃回転軸53を介して取付基部51がダウンカット方向に回転するので、取付基部51に取り付けた切断刃52の回動を以てダウンカット方向への草刈りを行う事ができる。
<第2運転>
作業者は、切替部操作レバー655を使用して操作部材652を操作し、外歯部材651を第2軸62に沿ってスライドさせ、外歯部材651と第2嵌合部材654を嵌合させる。この外歯部材651と第2嵌合部材654のみが嵌合した嵌合状態では、第2軸62が自走草刈機1の進行方向に対してアップカット方向にのみ回転する。つまり、第2軸62に接続されたプーリー621も回転し、プーリー621と接続された草刈刃回転軸53を介して取付基部51がアップカット方向に回転するので、取付基部51に取り付けた切断刃52の回動を以てアップカット方向への草刈りを行う事ができる。
前述の草刈方法によれば、自走草刈機1の進行方向に対して草刈刃5がダウンカット方向にのみ回転する第1運転工程と、自走草刈機1の進行方向に対して草刈刃5がアップカット方向にのみ回転可能な第2運転工程と、を選択的に切り替える草刈作業を行うことができ、加えて、運転切替の際には、従来の自走草刈機よりも高い確実性を以て草刈刃の回転方向の切替動作を行うことができる。
(作 用)
前述した草刈方法を実施する際の自走草刈機1各部の作用について、更に詳述する。
自走草刈機1は、前述した本体部2等を備えることにより、自走して草刈作業を行うことができると共に、自走草刈機1の進行方向に対して草刈刃5をダウンカット回転方向DCにのみ回転させる第1運転と、草刈刃5をアップカット回転方向UCにのみ回転させる第2運転とを切り替えることができる(図2(a)参照)。つまり、作業者は、作業環境や草の性質に応じて草刈刃5の回転方向をダウンカット又はアップカットのいずれの方向にするかを判断し、同判断に基づいて第1運転又は第2運転を選択し自在に切り替えて、最適な運転で草刈作業を行うことができる。
本体部2は、フレーム20を有することにより、各部の取り付け基体となる。また、前述した操作ハンドル21を有することにより、自走草刈機1の走行方向を操作すると共に、所定の機体各部の操作を行うことができる。また、ステップ22を有することにより、作業者が立位で乗車することができる。
走行手段部3は、機体の移動又は草刈作業の際に、後部走行構造部31が履帯式走行構造であることにより、悪路や不整地での走行性が良く、更に傾斜地における作業中の安定性も良い。そして、方向転換の際に後部走行構造部31を片方の車軸をロックすることで、その場で素早く旋回させることができるので、小回りが効いて操作性も良い。また、原動機4は、動力伝達構造41を介して、後部走行構造部31及び(回転方向切替機構6を介して)草刈刃5に動力を供給する。
草刈刃5は、前述の構造であることにより、機体と略同寸幅で、機体の進行方向へ草を刈ることができる。また、草刈刃カバー7は、前述の構造であることにより、草刈刃5で刈った直後の草、及び、草刈刃5で跳ね上げた土石が舞い上がることを防止し、機体下方に向かうようにガイドする。これにより作業者や機体周囲に居る者の安全性を高め、汚染を抑制している。
回転方向切替機構6の各部の作用について説明する。
第1軸61は、動力伝達構造41に接続されて、原動機4からの動力を入力することができる。また、第2軸62は、第1動力伝達部63又は第2動力伝達部64のいずれか、及び切替部65を介して第1軸61から動力が伝達されて、出力することができる。
作業者が切替部65を操作する場合、まず、草刈刃用クラッチレバーをオフにする。これにより、ロック機構66のロックピン661が後退して切替部操作レバー655が動かすことができる(図11(b)参照)。そして、作業者は、図5に示すように第1嵌合部材653と第2嵌合部材654の中間位置にある外歯部材651を、切替部操作レバー655を動かすことで、第1運転又は第2運転を行う。このとき、第2軸62と外歯部材651との接合部分がスプライン嵌合構造であることにより、外歯部材651が第2軸62の軸線方向に移動する動作がスムーズであり、且つ、外歯部材651が第2軸62周りを空転することがない。
なお、外歯部材651及び操作部材652は、前述した構成であることにより、簡易な接続構造でありながら、外歯部材651の操作性が良く且つ効率的な動作を実現している。更に、外歯部材651及び操作部材652は、両部材を接続しても外歯部材651の回転動作の阻害が常時抑制され、外歯部材651の操作時及び不操作時を問わず、当該接続部分に起因とする動力ロスが低減している。
図6及び図8(a)を参照する。
第1動力伝達部63において、第1動力伝達部材631は第1軸61の回転に追従して回転し、第2動力伝達部材632は第1動力伝達部材631と接続されていることにより、第1動力伝達部材631からの動力が常時伝達されている。
そして、第1運転を選択した作業者が、切替部操作レバー655を第1運転となる側に動かすと、切替部操作レバー655に接続された操作部材652を介して、外歯部材651が第2軸62に沿ってスライドし、第1嵌合部材653と嵌合する(即ち、切替部65の操作)。
外歯部材651と第1嵌合部材653が嵌合すると、第2動力伝達部材632が第2軸62の周りを空転しない(即ち、第2軸62に固定された)状態になる。この嵌合状態において、第2動力伝達部材632の回転に追従して第2軸62が回転するので、第1軸61に入力された動力は、第1動力伝達部63及び切替部65を介して第2軸62に伝達し出力される第1運転となり、第2軸62がダウンカット方向にのみ回転する。
なお、このとき、外歯部材651は第2嵌合部材654と非嵌合状態であり、第4動力伝達部材642は第2軸62の周りを空転する(即ち、第2動力伝達部64を介して第1軸61から第2軸62に動力が伝達されない)。
第1運転への切替が完了した後に草刈刃用クラッチレバーをオンにすると、第2軸62と接続された草刈刃5をダウンカット方向にのみ回転させて行う草刈作業を行うことができる。
第1動力伝達部63は、第1動力伝達部材631及び第2動力伝達部材632がギヤであって外歯が常時噛合した構造であるので、原動機から伝達される動力ロスが低減されている。
図6及び図8(b)を参照する。
第2動力伝達部64において、第3動力伝達部材641は第1軸61の回転に追従して回転し、第4動力伝達部材642は第3動力伝達部材641と接続されていることにより、第3動力伝達部材641からの動力が常時伝達されている。
そして、第2運転を選択した作業者が、切替部操作レバー655を第2運転となる側に動かすと、切替部操作レバー655に接続された操作部材652を介して、外歯部材651が第2軸62に沿ってスライドし、第2嵌合部材654と嵌合する(即ち、切替部65の操作)。
外歯部材651と第2嵌合部材654が嵌合すると、第4動力伝達部材642が第2軸62の周りを空転しない(即ち、第2軸62に固定された)状態になる。この嵌合状態において、第3動力伝達部材632の回転に追従して第2軸62が回転するので、第1軸61に入力された動力は、第2動力伝達部64及び切替部65を介して第2軸62に伝達し出力される第2運転となり、第2軸62がアップカット方向にのみ回転する。
なお、このとき、外歯部材651は第1嵌合部材653と非嵌合状態であり、第2動力伝達部材632は第2軸62の周りを空転する(即ち、第1動力伝達部63を介して第1軸61から第2軸62に動力が伝達されない)。
第2運転への切替が完了した後に草刈刃用クラッチレバーをオンにすると、第2軸62と接続された草刈刃5をアップカット方向にのみ回転させて行う草刈作業を行うことができる。
第2動力伝達部64は、第3動力伝達部材641及び第4動力伝達部材642がスプロケットであって、これらに掛け渡されたチェーン643によって接続された構造であるので、ギヤ構造である場合と比較して、第1運転又は第2運転への切替時において生じうる衝撃や捻れ方向への応力を緩和することができ、第1軸と第2軸の軸間距離の変動に対して許容範囲が広い構造にもなっている。また、自走草刈機1は、その作業中に噛み混んだ草木等により回転する草刈刃が急停止又は急減速する可能性もあり、出力軸側に最も近い第2動力伝達部64がギヤ構造を採用していると衝撃や荷重に起因してギヤの欠損等が起きる可能性があるが、前述の第2動力伝達部64であれば、構造上急停止等による衝撃を緩和することができ、このような故障が生じる可能性を低減することができる。
なお、第1嵌合部材653及び第2嵌合部材654は、前述した通り、歯溝の形状が横断面視半円弧形であって、外歯部材651の外歯と噛合可能な内歯が内周に設けられ、且つ、その内歯の歯溝の一端側と外歯部材651の外歯が接触した状態において生じる角度バックラッシュRが、10.4度に設定された構造であることにより、第1運転又は第2運転への切替時において、第1嵌合部材653又は第2嵌合部材654に対して外歯部材651の外歯が十分に入りやすく、第1嵌合部材653又は第2嵌合部材654と外歯部材651のスムーズな嵌合を実現することができると共に、第1嵌合部材653又は第2嵌合部材654の内歯と外歯部材651の外歯が十分に噛み合い、動力伝達が成される構造となる(図6、図7、図10参照)。
ところで、本実施形態に係る回転方向切替機構6の場合、第1嵌合部材653及び第2嵌合部材654に係る角度バックラッシュが他製品よりも大きく設定されており、その結果内歯が先鋭になっていることから、草刈刃の回転中に運転切替操作を行うと、回転方向切替機構6の破損事故が起きる可能性がある。
このような事故を防止するために従来技術としては、回転方向切替レバーのロック方法はネジ式のものが多くみられるが、草刈刃用クラッチがオンの状態でも切替レバーの操作が可能であったため、事故防止効果が期待しにくい。一方、事故防止効果が期待できるセンサー式のものもあるが、構造が複雑であり、機体の製造コストも高くなる。
このような課題を解決すべく、本発明者らは、鋭意研究を重ね、センサー式のものと比較して簡易な構造でありながら、ネジ式のものよりも高い確実性を以て破損事故を抑制可能なロック機構66を想到するに至った。
本実施形態において、草刈刃5は前述した構造であるが、これに限定するものではなく、例えば、機体の進行方向に対して左右の両方向又は左右のいずれかの方向に所定幅で張り出した構造であってもよく、切断刃の形状及び取り付け態様についても各種変形態様を除外するものではない。また、草刈刃5は、機体後方に配置する態様を除外するものではない。
本実施形態において、操作ハンドル21は前述した構造であるが、これに限定するものではなく、例えば、T字状のハンドルや、ステアリング・ホイール型のものであってもよい。また、操作ハンドル21に設けた各部操作手段は、その一部又は全部を操作ハンドル以外の箇所に配置した態様であってもよい。
本実施形態において、走行手段部3は、駆動する後部走行構造部31(履帯式走行構造)と従動する前部走行構造部32(車輪)の組み合わせであるが、これに限定するものではなく、例えば、後部走行構造部は独立した走行輪であってもよいし、また、全輪駆動型であってもよく、各種変形態様を除外するものではない。
本実施形態において、草刈刃5に対する草刈刃カバー7を設けているが、これに限定するものではなく、草刈刃カバー7を設けない態様であってもよいし、草刈刃カバー7の形状も各種変形態様を除外するものではない。
なお、本実施形態に記載した回転方向切替機構6を評価するために、以下の条件で機械的測定試験を行った。
(試験方法)
本試験では、後述の比較対象を後述の条件で試験を行い、ギヤの入りやすさを測定した。なお、後述の表中の用語「ギヤ」については、本発明の回転方向切替機構6における外歯部材651と第1嵌合部材653(又は第2嵌合部材654)がこれに該当する。
(比較対象)
比較対象は、図9に示す従来のシフトギヤ(回転方向切替機構6と同様に回転方向の切替可能な機構であって、角度バックラッシュが0.4度、3軸構造のもの)と、本実施形態に記載した回転方向切替機構6(角度バックラッシュが10.4度、2軸構造のもの)である。
(測定条件)
従来のシフトギヤ及び本実施形態に記載した回転方向切替機構6について、ギヤの切替動作(換言すると、ギヤの入り切り)を、100回試行した。
Figure 2023034443000002
Figure 2023034443000003
(考察)
表1及び表2から分かる通り、従来のシフトギヤと比較して、回転方向切替機構6の方が、ギヤがスムーズに入った回数が約10%多く、ギヤが入らなかった回数が3分の1である。つまり、回転方向切替機構6によれば、従来のシフトギヤよりも、ギヤがスムーズに入ることが確認できた。
更に、本発明の回転方向切替機構6における外歯部材651と第1嵌合部材653(又は第2嵌合部材654)は、第1嵌合部材653(又は第2嵌合部材654)の歯溝形状に加えて、同一軸に設けられていることも、ギヤがスムーズに入ることに寄与するのではないかと推察される。
このように、本発明の自走草刈機1及びこれに備わる回転方向切替機構6は、前述した構成とこれに基づく作用を奏することにより、比較的簡易な構造でありながら草刈刃の回転方向の切替動作の確実性が向上したものとなっている。
本明細書および特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。また、第一、第二等の言葉は、等級や重要度を意味するものではなく、一つの要素を他の要素から区別するために使用したものである。
1 自走草刈機
2 本体部
20 フレーム
21 操作ハンドル
22 ステップ
3 走行手段部
31 後部走行構造部
311 転輪
312 起動輪
313 履帯
32 前部走行構造部
321 支持フレーム
322 走行車輪
4 原動機
41 動力伝達構造
5 草刈刃
51 取付基部
52 切断刃
53 草刈刃回転軸
54 取付部
6 回転方向切替機構
61 第1軸
611 プーリー
612 ベアリング
62 第2軸
621 プーリー
622 ベアリング
63 第1動力伝達部
631 第1動力伝達部材
632 第2動力伝達部材
64 第2動力伝達部
641 第3動力伝達部材
642 第4動力伝達部材
643 チェーン
65 切替部
651 外歯部材
651a 受け溝
652 操作部材
652a 操作棒部
652b 接続片部
653 第1嵌合部材
654 第2嵌合部材
655 切替部操作レバー
66 ロック機構
661 ロックピン
662 支持ステー
663 ロックピン操作部
7 草刈刃カバー
R 角度バックラッシュ
UC アップカット回転方向
DC ダウンカット回転方向

Claims (8)

  1. 原動機により駆動する回転式の草刈刃を有する自走草刈機に装備されて、前記原動機からの動力を入力可能に設けられた第1軸と、該第1軸と間隔を開けて平行に配設された第2軸と、前記第1軸と前記第2軸の間に配設された第1動力伝達部及び第2動力伝達部と、切替部と、を備え、
    前記第1動力伝達部は、前記第1軸の長手方向中間部に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第1動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第1動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第2動力伝達部材を有し、前記第1動力伝達部材と前記第2動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第1動力伝達部材からの動力が同第2動力伝達部材へ伝達される構造であり、
    前記第2動力伝達部は、前記第1動力伝達部材と間隔を開けて前記第1軸の先部方向に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第3動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第3動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第4動力伝達部材を有し、前記第3動力伝達部材と前記第4動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第3動力伝達部材からの動力が同第4動力伝達部材へ伝達される構造であり、
    前記切替部は、外歯部材、操作部材、第1嵌合部材及び第2嵌合部材を有し、
    前記外歯部材は、外周に外歯が設けられた平歯車で、前記第2動力伝達部材と前記第4動力伝達部材の間に配置され、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸と一体的に回転可能であると共に、同第2動力伝達部材と同第4動力伝達部材の間を同第2軸に沿ってスライド可能に取り付けられ、
    前記操作部材は、前記第2軸に沿って前記外歯部材をスライド操作可能に設けられ、
    前記第1嵌合部材は、前記第2動力伝達部材に連設されて前記第4動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられ、
    前記第2嵌合部材は、前記第4動力伝達部材に連設されて前記第2動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられた構造であり、
    前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第1嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をダウンカット方向にのみ回転する第1運転と、前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第2嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をアップカット方向にのみ回転可能な第2運転と、を切り替え可能に構成されている
    草刈刃の回転方向切替機構。
  2. 前記内歯の歯溝の一端側と前記外歯部材の外歯が接触した状態において生じる角度バックラッシュが、0.5度以上19度以下に設定された構造である
    請求項1に記載の草刈刃の回転方向切替機構。
  3. 前記外歯部材は、その外周面の幅方向略中間となる箇所に、外面を一周する連続した受け溝が形成され、
    前記操作部材は、前記受け溝への嵌入部分を有し、該嵌入部分が、同受け溝との嵌合状態において前記外歯部材の回転動作の阻害を抑制する形状に設けられ、
    前記嵌入部分が前記受け溝に嵌合する態様で前記操作部材と前記外歯部材が接続された構造である
    請求項1又は請求項2に記載の草刈刃の回転方向切替機構。
  4. 前記第2軸と前記外歯部材との接合部分が、スプライン嵌合構造である
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の草刈刃の回転方向切替機構。
  5. 前記第1動力伝達部材及び前記第2動力伝達部材が、外周に外歯が設けられたギヤであり、同第1動力伝達部材の外歯と同第2動力伝達部材の外歯が常時噛合した構造である
    請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の草刈刃の回転方向切替機構。
  6. 前記第3動力伝達部材及び前記第4動力伝達部材が、外周に外歯が設けられたスプロケットであり、同第3動力伝達部材の外歯と同第4動力伝達部材の外歯に掛け渡されたチェーンによって接続された構造である
    請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の草刈刃の回転方向切替機構。
  7. 走行手段部を有する本体部と、該本体部に搭載された原動機と、前記本体部の進行方向に対して作業可能となる箇所に配設され、前記原動機により駆動する回転式の草刈刃と、該草刈刃と前記原動機の間に配置されて、同原動機からの動力を入力可能に設けられた第1軸、該第1軸と間隔を開けて平行に配設された第2軸、前記第1軸と前記第2軸の間に配設された第1動力伝達部及び第2動力伝達部、及び、切替部を有する草刈刃の回転方向切替機構とを備え、
    前記第1動力伝達部は、前記第1軸の長手方向中間部に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第1動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第1動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第2動力伝達部材を含み、前記第1動力伝達部材と前記第2動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第1動力伝達部材からの動力が同第2動力伝達部材へ伝達される構造であり、
    前記第2動力伝達部は、前記第1動力伝達部材と間隔を開けて前記第1軸の先部方向に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第3動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第3動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第4動力伝達部材を含み、前記第3動力伝達部材と前記第4動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第3動力伝達部材からの動力が同第4動力伝達部材へ伝達される構造であり、
    前記切替部は、外歯部材、操作部材、第1嵌合部材及び第2嵌合部材を有し、前記外歯部材は、外周に外歯が設けられた平歯車で、前記第2動力伝達部材と前記第4動力伝達部材の間に配置され、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸と一体的に回転可能であると共に、同第2動力伝達部材と同第4動力伝達部材の間を同第2軸に沿ってスライド可能に取り付けられ、前記操作部材は、前記第2軸に沿って前記外歯部材をスライド操作可能に設けられ、前記第1嵌合部材は、前記第2動力伝達部材に連設されて前記第4動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられ、前記第2嵌合部材は、前記第4動力伝達部材に連設されて前記第2動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられた構造であり、
    前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第1嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をダウンカット方向にのみ回転する第1運転と、前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第2嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をアップカット方向にのみ回転可能な第2運転と、を切り替え可能に構成されている
    自走草刈機。
  8. 走行手段部を備える本体部と、該本体部に搭載された原動機と、該原動機により駆動する回転式の草刈刃と、該草刈刃と前記原動機の間に配置されて、同原動機からの動力を入力可能に設けられた第1軸、該第1軸と間隔を開けて平行に配設された第2軸、前記第1軸と前記第2軸の間に配設された第1動力伝達部及び第2動力伝達部、及び、切替部を有する草刈刃の回転方向切替機構とを備え、
    前記第1動力伝達部は、前記第1軸の長手方向中間部に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第1動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第1動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第2動力伝達部材を含み、前記第1動力伝達部材と前記第2動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第1動力伝達部材からの動力が同第2動力伝達部材へ伝達される構造であり、
    前記第2動力伝達部は、前記第1動力伝達部材と間隔を開けて前記第1軸の先部方向に配置され、同第1軸の軸線方向へ移動不能に固着された第3動力伝達部材、及び、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸周りで空転可能に取り付けられ、前記第3動力伝達部材と並列となる箇所に移動不能に配置された第4動力伝達部材を含み、前記第3動力伝達部材と前記第4動力伝達部材が直接的又は間接的に接続されて、同第3動力伝達部材からの動力が同第4動力伝達部材へ伝達される構造であり、
    前記切替部は、外歯部材、操作部材、第1嵌合部材及び第2嵌合部材を有し、前記外歯部材は、外周に外歯が設けられた平歯車で、前記第2動力伝達部材と前記第4動力伝達部材の間に配置され、前記第2軸が中心に挿通されて同第2軸と一体的に回転可能であると共に、同第2動力伝達部材と同第4動力伝達部材の間を同第2軸に沿ってスライド可能に取り付けられ、前記操作部材は、前記第2軸に沿って前記外歯部材をスライド操作可能に設けられ、前記第1嵌合部材は、前記第2動力伝達部材に連設されて前記第4動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられ、前記第2嵌合部材は、前記第4動力伝達部材に連設されて前記第2動力伝達部材の方向へ開口すると共に、内周面に内歯が設けられた開口部が形成され、該内歯は、歯溝の形状が前記外歯と噛合可能な横断面視半円弧形であって、歯数が同外歯の歯数と同じであるか又は同外歯の歯数よりも多数であり、同外歯との噛合状態において同外歯の全ての歯が同内歯の歯溝のいずれかに嵌合するように設けられた構造である自走草刈機を使用し、
    前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第1嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をダウンカット方向にのみ回転する第1運転工程と、
    前記操作部材を以て前記第2軸に沿ってスライドさせた前記外歯部材と前記第2嵌合部材のみが嵌合した嵌合状態で、前記自走草刈機の進行方向に対して前記第2軸をアップカット方向にのみ回転する第2運転工程と、
    を適宜切り替えて行う
    草刈方法。

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