JP2023034355A - レンズモジュールの製造方法及び熱硬化型接着剤 - Google Patents

レンズモジュールの製造方法及び熱硬化型接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】仮硬化後の接着強度が十分に得られるレンズモジュールの製造方法及び熱硬化型接着剤を提供する。【解決手段】レンズモジュール1の製造方法は、イメージセンサ4が実装された回路基板3とセンサフレーム8との間、及び/又は、センサフレーム8と、レンズ5とレンズ筐体13とを含む光学ユニット11との間に、着色剤を含む熱硬化型接着剤10d,10eを塗布する工程A1と、レンズ5とイメージセンサ4との焦点が合わせられた接合体15を形成する工程B1と、熱硬化型接着剤10d,10eに対し、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段16を用いて熱硬化型接着剤10d,10eを仮硬化させる工程C1と、接合体15を加熱して熱硬化型接着剤10d,10eをさらに硬化させる工程D1とを有する。【選択図】図4

Description

本技術は、レンズモジュールの製造方法及び熱硬化型接着剤に関する。
カメラモジュールのレンズ固定精度を向上させるために、アクティブアライメント工法が適用されている。アクティブアライメント工法は、紫外線硬化成分を用いて仮硬化を秒単位で行い、その後、熱硬化による本硬化を行う工法である。アクティブアライメント工法を実現させるために、異なる2種の硬化系、例えば、紫外線硬化と熱硬化又は湿気硬化とを併用した1液型接着剤が広く使用されている。製造のタクトを考慮すると、アクティブアライメント工法では、紫外線硬化を用いて仮硬化を行う際に、秒単位のタクトで充分な固定精度が得られることが重要である。また、アクティブアライメント工法では、通常、紫外線で仮硬化を行うため、紫外線領域に透過性を有する接着剤を用いる必要がある。
例えば、特許文献1には、光学部品を含むレンズと、光学部品を内部に保持するレンズバレルと、イメージセンサを含むイメージャーと、レンズホルダーとを備える車載用カメラにおいて、レンズバレルが、硬化した接着剤によって結合されており、接着剤がUV光への曝露を含む初期硬化プロセスで最初に硬化可能であり、最初に硬化された接着剤は、二次硬化プロセスでさらに硬化可能であり、二次硬化プロセスが、最初に硬化された接着剤に熱を導入することを含むことが記載されている。
特許文献1に記載の技術では、初期硬化プロセスがUV光への曝露を含むため、紫外線波長領域に透過性を有する接着剤を用いる必要がある。そのため、特許文献1に記載された技術では、カメラのデザイン(例えば、カメラの小型化)などによっては、接着剤の使用箇所(カメラの接着部)から外部光が侵入し、ゴーストやフレアと呼ばれる映像障害が発生してしまうおそれがあり、遮光性が必要となる場合がある。
現行のアクティブアライメント工法では、紫外線硬化性を確保するために、完全な遮光性を付与することは難しい。例えば、特許文献1に記載の技術において、紫外線波長領域の透過性が低い接着剤(例えば、黒色化した接着剤)を用いると、接着剤が十分に仮硬化しないことにより、仮硬化後の接着強度が十分に得られず、その結果、十分な精度が得られないおそれがある。
US8542451B1号公報
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、仮硬化後の接着強度が十分に得られるレンズモジュールの製造方法及び熱硬化型接着剤を提供する。
本技術に係るレンズモジュールの製造方法は、イメージセンサが実装された回路基板とセンサフレームとの間、イメージセンサが実装された回路基板とハウジングとの間、センサフレームと、レンズとレンズ筐体とを含む光学ユニットとの間、及び、ハウジングと、レンズを保持するレンズバレルとの間の少なくともいずれかに、着色剤を含む熱硬化型接着剤を塗布する工程Aと、レンズとイメージセンサとの焦点が合わせられた接合体を形成する工程Bと、熱硬化型接着剤に対し、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段を用いて熱硬化型接着剤を仮硬化させる工程Cと、接合体を加熱して熱硬化型接着剤をさらに硬化させる工程Dとを有する。
本技術は、イメージセンサが実装された回路基板とセンサフレームとの間、イメージセンサが実装された回路基板とハウジングとの間、センサフレームと、レンズとレンズ筐体とを含む光学ユニットとの間、及び、ハウジングと、レンズを保持するレンズバレルとの間の少なくともいずれかを固定するための熱硬化型接着剤であって、カチオン硬化性化合物と、熱カチオン硬化剤と、着色剤とを含み、下記条件1~3の少なくとも1つを満たす。
条件1:当該熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率が3.0%以下である。
条件2:当該熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率が0.3%以下である。
条件3:当該熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率が0.008%以下である。
本技術によれば、仮硬化後の接着強度が十分に得られるレンズモジュールの製造方法及び熱硬化型接着剤を提供できる。
図1は、本技術に係るレンズモジュールの製造方法で得られるレンズモジュールの一例を示す断面図である。 図2は、レンズモジュールの製造方法の工程A1の一例を説明するための断面図である。 図3は、レンズモジュールの製造方法の工程B1の一例を説明するための断面図である。 図4は、レンズモジュールの製造方法の工程C1の一例を説明するための断面図である。 図5は、レンズモジュールの製造方法の工程D1の一例を説明するための斜視図である。 図6は、本技術に係るレンズモジュールの製造方法で得られるレンズモジュールの一例を示す断面図である。 図7は、レンズモジュールの製造方法の工程A2の一例を説明するための斜視図である。 図8は、レンズモジュールの製造方法の工程A2の一例を説明するための断面図である。 図9は、レンズモジュールの製造方法の工程C2の一例を説明するための断面図である。 図10は、実験例1~10の組成物の仮硬化性の評価方法を説明するための斜視図である。 図11は、実験例6,7,10の組成物の透過率の測定結果を示すグラフである。
<レンズモジュールの製造方法>
[第1の実施の形態]
図1は、本技術に係るレンズモジュールの製造方法で得られるレンズモジュール1の一例を示す断面図である。レンズモジュール1は、例えば、フレキシブル基板2(FPC:Flexible Printed Circuits)と、回路基板3と、イメージセンサ4と、レンズ5と、レンズバレル6と、ハウジング7と、センサフレーム8と、IRカットフィルタ9とを備える。レンズモジュール1は、レンズ5と、回路基板3上に配置されたイメージセンサ4との焦点距離が、熱硬化型接着剤の硬化物14d,14eによって固定されている。
以下、レンズ5と、レンズバレル6と、ハウジング7とを一括して光学ユニット11とも称する。また、フレキシブル基板2と、回路基板3と、イメージセンサ4とを一括してセンサユニット12とも称する。また、レンズバレル6と、ハウジング7とを一括してレンズ筐体13とも称する。
フレキシブル基板2としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板などが挙げられる。フレキシブル基板2は、回路基板3と接続するための端子を有する。フレキシブル基板2は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
回路基板3は、イメージセンサ4、センサフレーム8などが実装される基板である。回路基板3には、イメージセンサ4などの信号を伝達する配線が配置される。回路基板3は、例えば、プリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)で構成されている。回路基板3は、フレキシブル基板2と接続するための端子を有し、接続材料(例えば接着剤)の硬化物を介してフレキシブル基板2の端子と接続されている。
イメージセンサ4は、レンズが集光した光を受光して電気信号に変換する。イメージセンサ4は、例えば、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)や、相補型金属酸化物半導体(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)で構成されている。イメージセンサは4、回路基板3上に配置されている。イメージセンサ4は、例えば、ボンディングワイヤにより、回路基板3に形成されたパッドに接続されている。このパッドは、回路基板3の配線に接続されている。
レンズ5は、被写体からの光を集光するためのものである。レンズ5は、イメージセンサ4の受光面に光(画像)を収束させるために、所定の位置で、レンズバレル6に取り付けられている。レンズ5は、レンズバレル6に沿って配置された複数の光学要素を備える。例えば、図1に示すように、レンズ5は、熱硬化型接着剤の硬化物14aによって、レンズバレル6に固定されている。レンズ5は、例えば、ガラス、プラスチックなどで構成されたものを用いることができる。
レンズバレル6は、レンズ5を保持するための鏡筒であり、例えば筒形状に構成されている。レンズバレル6は、熱硬化型接着剤の硬化物14bによって、ハウジング7に固定されている。
ハウジング7は、レンズバレル6を保持するための筐体である。ハウジング7は、熱硬化型接着剤の硬化物14bによってレンズバレル6に固定されるとともに、熱硬化型接着剤の硬化物14dによってセンサフレーム8に固定されている。
センサフレーム8は、熱硬化型接着剤の硬化物14dによってハウジング7に固定されるとともに、熱硬化型接着剤の硬化物14eによって回路基板3に固定されている。
IRカットフィルタ9は、レンズ5を通過した光に含まれる可視光を透過するとともに赤外線をカットする機能を備えたフィルタである。IRカットフィルタ9は、センサフレーム8とレンズ5との間に配置されている。IRカットフィルタ9は、硬化型接着剤の硬化物14cによってセンサフレーム8に固定されている。
レンズモジュール1では、外部からの入射光が、レンズ5、IRカットフィルタ9を順次透過した後、イメージセンサ4に到達するようになっている。
レンズモジュール1の製造方法は、以下の工程A1、工程B1、工程C1及び工程D1を有する。
[工程A1]
図2は、レンズモジュールの製造方法の工程A1の一例を説明するための断面図である。工程A1は、イメージセンサ4が実装された回路基板3とセンサフレーム8との間、及び/又は、センサフレーム8と、レンズ5とレンズ筐体13とを含む光学ユニット11との間に、熱硬化型接着剤を塗布する。例えば、工程A1は、図2に示すように、イメージセンサ4が実装された回路基板3の表面に熱硬化型接着剤10eを塗布すること、及び、イメージセンサ4が実装された回路基板3上に配置されたセンサフレーム8の表面に熱硬化型接着剤10dを塗布することの少なくとも一方を含む。
なお、イメージセンサ4が実装された回路基板3と、センサフレーム8とが予め固定されている場合、工程A1では、熱硬化型接着剤10dのみを塗布すればよい。また、例えば、イメージセンサ4が実装された回路基板3と、センサフレーム8とが予め固定されていない場合、工程A1では、熱硬化型接着剤10d,10eの両方を塗布すればよい。また、例えば、センサフレーム8と、光学ユニット11とが予め固定されている場合、工程A1では、熱硬化型接着剤10eのみを塗布すればよい。
以下、工程A1において、熱硬化型接着剤10d,10eの両方を塗布する場合を例に挙げて説明する。すなわち、一例としての工程A1では、イメージセンサ4が実装された回路基板3とセンサフレーム8との間に熱硬化型接着剤10eを塗布することと、センサフレーム8と光学ユニット11との間に熱硬化型接着剤10dを塗布することを含む。
熱硬化型接着剤10d,10eの塗布方法は、特に限定されず、例えば、ロールコーティング法、ドクターナイフ法、ダイコート法、ディップコート法、バーコーティング法、インクジェット法、ジェットディスペンス法などが挙げられる。
[工程B1]
図3は、レンズモジュールの製造方法の工程B1の一例を説明するための断面図である。工程B1では、イメージセンサ8が実装された回路基板3と、センサフレーム8と、光学ユニット11とを備え、レンズ5とイメージセンサ4との焦点が合わせられた接合体15を形成する。例えば、工程B1では、熱硬化型接着剤10d上に光学ユニット11を配置し、光学ユニット11を構成するレンズ5と、イメージセンサ4との焦点が合わせられた接合体15を形成する。このように、工程B1では、レンズ5とイメージセンサ4との調心を行う。
工程B1では、光学ユニット11の光軸を調整する。光軸ユニット11の光軸の調整は、例えば、アクティブアライメント法により、光学ユニット11を変位させることにより行うことができる。光学ユニット11の光軸の調整は、例えば、x、y及びz軸における調整や、回転角の調整を含む。
[工程C1]
図4は、レンズモジュールの製造方法の工程C1の一例を説明するための断面図である。工程C1では、接合体15中の熱硬化型接着剤10d,10eに対し、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段16を用いて、熱硬化型接着剤10d,10eを仮硬化させる。このように、工程C1では、工程B1で形成した接合体15を正しい位置、すなわち、レンズ5とイメージセンサ4との焦点が合わせられた状態で仮固定させる。
従来のレンズモジュールの製造方法では、紫外線で接着剤(紫外線波長領域に透過性を有する接着剤)を仮硬化させていた。例えば、特許文献1に記載の技術では、レンズとイメージセンサとの調心を行った後に、紫外線により、紫外線硬化性及び熱硬化性の接着剤を仮硬化させ、その後、バッチ処理により接着剤を熱硬化させていた。このような従来のレンズモジュールの製造方法では、紫外線照射で接着剤の仮硬化を行うため、紫外線波長領域に透過性を有する接着剤を用いる必要がある。また、従来のレンズモジュールの製造方法では、紫外線が接着剤の表面で吸収されやすい傾向にあり、接着剤の内部まで十分に仮硬化しないおそれがある。さらに、従来のレンズモジュールの製造方法では、紫外線波長領域に透過性を有する接着剤を用いる必要があるため、接着剤の使用箇所から外部光が侵入し、ゴーストやフレアと呼ばれる映像障害が発生してしまうおそれがある。
一方、本技術に係るレンズモジュールの製造方法では、熱源である加熱手段16を用いて熱硬化型接着剤を仮硬化させるため、従来の方法のように、紫外線波長領域に透過性を有する接着剤を用いなくてもよい。また、本技術に係るレンズモジュールの製造方法では、熱硬化型接着剤として、紫外線波長領域の透過性が低い接着剤を用いることができ、このような熱硬化型接着剤を用いることで、例えば、加熱手段16による加熱時間をコントロールして、例えば熱硬化型接着剤10d,10eなどのより深部まで熱を到達させることができる。また、本技術に係るレンズモジュールの製造方法では、紫外線波長領域に透過性を有する接着剤を用いなくてもよいため、熱硬化型接着剤に遮光性を付与することが可能となる。
工程C1において、例えば熱硬化型接着剤10d,10eを仮硬化させるとは、工程B1で形成した接合体15のレンズ5とイメージセンサ4との焦点がずれない程度に硬化させることを意味する。例えば、工程C1において仮硬化後の接合体15を構成する熱硬化型接着剤10d,10eの接着強度を0.3MPa以上とすればよく、2.0MPa以上であってもよい。
工程C1では、接合体15中の熱硬化型接着剤10d,10eに対し、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段16が用いられる。このような加熱手段16を用いることにより、接続体15中の熱硬化型接着剤10d,10eの仮硬化後の接着強度が十分に得られるとともに、接続体15を構成する部材へのダメージを軽減することができる。
加熱手段16は、接合体15中の熱硬化型接着剤10d,10eに対し、近距離から直径数cm以内の領域を加熱できるものを用いることができる。加熱手段16は、例えば、スポットヒーター、具体的には、赤外線ランプをスポット光源とした照射装置、キセノンランプをスポット光源とした線照射装置などを用いることができる。ここで、近距離とは、例えば、加熱手段16の照射距離、すなわち、加熱手段16の光源と熱硬化型接着剤10d,10eとの距離が数cm以内であることが好ましい。一例として、工程C1では、加熱手段16として、キセノンランプをスポット光源とした照射装置を用いる場合、キセノンランプと熱硬化型接着剤10d,10eとの距離が5cm以内となるようにして、キセノンランプからの光を接合体15の外側から照射することが好ましい。
加熱手段16のスポット径は、レンズモジュール1の用途に応じて適宜選択することができ、例えば、数cm以内とすることができる。加熱手段16のスポット径は、例えば、車載用のレンズモジュール(カメラモジュール)の場合は0.5~2cm程度とすることができ、スマートフォン用のレンズモジュールの場合は0.5~1cm程度とすることができる。
工程C1の一態様として、図4に示すように、接合体15を構成する熱硬化型接着剤10d,10eに対して、キセノンランプをスポット光源とした照射装置からの光を接合体15の外側(側面)から照射することにより、熱硬化型接着剤10d,10eをスポット的に加熱して仮硬化させる方法が挙げられる。
ここで、キセノンランプは、紫外線領域及び赤外線領域に波長を有する光源(UV-IR光源)である。加熱手段16としてキセノンランプを用いることにより、接続体15の外側から加熱した場合でも、キセノンランプから照射された赤外線(熱)が熱硬化型接着剤10d,10eの内部(図4中のイメージセンサ4側の熱硬化型接着剤10d,10e)まで十分に到達する。また、キセノンランプから照射された光に含まれる紫外線が、熱硬化型接着剤10d,10eの表面で吸収されやすく、熱硬化型接着剤10dの表面の熱的な反応を促進できる。したがって、キセノンランプをスポット光源とした照射装置を用いることにより、熱硬化型接着剤10d,10eの表面と内部をより加熱できるため、仮硬化後の熱硬化型接着剤10d,10eの接着強度をより向上させることができる。
キセノンランプの照射条件は、印加電圧、パルス幅、照射時間、照射距離(光源と熱硬化型接着剤10d,10eとの距離)、照射エネルギー等を任意に設定することができる。
工程C1において、加熱手段16としてキセノンランプを用いる場合、キセノンランプからの光を熱硬化型接着剤10d,10eに吸収させる効率を上げるために、黒色化された熱硬化型接着剤10d,10eを用いることが好ましい。
図4に示すように、キセノンランプをスポット光源とした照射装置を用いて、接合体15中の熱硬化型接着剤10d,10eに対し、近傍からスポット的に加熱する場合、例えば、加熱側(外側)の熱硬化型接着剤10dを仮固定強度が十分に得られるまで硬化させ、加熱側とは反対側の熱硬化型接着剤10dをほぼ硬化させないようにすることもできる。
工程C1における加熱条件は、例えば、熱硬化型接着剤10dの成分、所望とする硬化率、加熱手段16の種類などに応じて適宜設定することができる。工程C1における加熱温度は、例えば、80℃以上とすることができ、90℃以上であってもよく、100℃以上であってもよい。また、工程C1における加熱時間は、例えば、1秒以上とすることができ、2秒以上であってもよく、3秒以上であってもよく、4秒以上であってもよく、8秒以上であってもよく、12秒以上であってもよい。
[工程D1]
図5は、レンズモジュールの製造方法の工程D1の一例を説明するための斜視図である。工程D1では、工程C1で得られた接合体15を加熱して、硬化型接着剤10d,10eをさらに硬化させる。工程D1では、例えば熱硬化型接着剤10d,10eを完全に硬化させる。工程D1における加熱は、例えば図5に示すようなオーブン17を用いて行うことができる。工程D1を行うことにより、図1に示すようなレンズモジュール1が得られる。
工程D1における加熱条件は、例えば、熱硬化型接着剤10d,10eの成分、所望とする硬化率などに応じて適宜設定することができる。工程D1における加熱条件は、例えば、70℃以上とすることができ、80℃以上であってもよく、90℃以上であってもよく、100℃以上であってもよい。また、工程D1における加熱時間は、加熱温度に応じて定めることができ、加熱温度を高くするほど短くすることができる。工程D1における加熱条件は、例えば、80℃で1時間とすることができ、100℃で30分とすることもでき、120℃で5分とすることもできる。
以上のように、本技術に係るレンズモジュールの製造方法では、工程C1において、例えば、接合体15中の熱硬化型接着剤10d,10eに対し、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段16を用いて熱硬化型接着剤10d,10eを仮硬化させることにより、仮硬化後の熱硬化型接着剤10d,10eの接着強度が十分に得られる。
なお、上述した説明では、加熱手段16を用いて熱硬化型接着剤10d,10eを仮硬化させることを前提にしたが、この例に限定されず、熱硬化型接着剤10dのみを仮硬化させてもよいし、熱硬化型接着剤10eのみを仮硬化させてもよい。工程C1において、熱硬化型接着剤10d,10eを仮硬化させる場合、複数の加熱手段16を用いて熱硬化型接着剤10d,10eを同時に仮硬化させてもよいし、熱硬化型接着剤10d,10eを順次仮硬化させてもよいし、熱硬化型接着剤10d,10eの仮硬化の程度を変えるようにしてもよい。
また、図1に示す熱硬化接着剤の硬化物14a~14cや、図2~図4に示す熱硬化接着剤10a~10cは、熱硬化接着剤に限定されず、例えば、紫外線硬化型接着剤や、紫外線硬化性及び熱硬化性の1液型接着剤を用いてもよい。
[第2の実施の形態]
図6は、本技術に係るレンズモジュールの製造方法で得られるレンズモジュールの一例を示す断面図である。レンズモジュール31は、フレキシブル基板2と、回路基板3と、イメージセンサ4と、レンズ32と、レンズバレル33と、ハウジング34とを備える。レンズモジュール31は、レンズ32と、回路基板3上に配置されたイメージセンサ4との焦点距離が、熱硬化型接着剤の硬化物14f,14gによって固定されている。なお、レンズモジュール31において、上述したレンズモジュール1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
レンズ32は、レンズ5と同様に、複数の光学要素を備え、被写体からの光を集光するためのものである。レンズ32は、レンズバレル33に取り付けられている。レンズ32は、例えば、ガラス、プラスチックなどで構成されたものを用いることができる。
レンズバレル33は、レンズ32を保持するための鏡筒であり、例えば筒形状に構成されている。レンズバレル33は、熱硬化型接着剤の硬化物14gによって、ハウジング34に固定されている。レンズバレル33の最大径は、ハウジング34の最大径とほぼ同じである。また、レンズバレル33の一部は、ハウジング34の直径よりも小さく形成されている。そのハウジング34の直径よりも小さく形成されたレンズバレル33の一部は、ハウジング34の内部に位置する。
ハウジング34は、レンズバレル33を保持するための筐体であり、筒状に構成されている。ハウジング34は、熱硬化型接着剤の硬化物14gによってハウジング34の一端側がレンズバレル33に固定されるとともに、熱硬化型接着剤の硬化物14fによってハウジング34の他端側が回路基板3に固定されている。
レンズモジュール31の製造方法の一例について説明する。レンズモジュール31の製造方法は、以下の工程A2、工程B2、工程C2及び工程D2を有する。
[工程A2]
図7は、レンズモジュール31の製造方法の工程A2の一例を説明するための斜視図である。図8は、レンズモジュール31の製造方法の工程A2の一例を説明するための断面図である。工程A2は、イメージセンサ4が実装された回路基板3とハウジング34との間、及び/又は、ハウジング34と、レンズ32を保持するレンズバレル33との間に、熱硬化型接着剤を塗布する。例えば、工程A2は、イメージセンサ4が実装された回路基板3の表面に熱硬化型接着剤10fを塗布すること、及び、イメージセンサ4が実装された回路基板3上に配置されたハウジング34の表面に熱硬化型接着剤10gを塗布することの少なくとも一方を含む。
なお、イメージセンサ4が実装された回路基板3と、ハウジング34とが予め固定されている場合、工程A2では、熱硬化型接着剤10gのみを塗布すればよい。また、例えば、イメージセンサ4が実装された回路基板3と、ハウジング34とが予め固定されていない場合、工程A2では、熱硬化型接着剤10f,10gの両方を塗布する。また、例えば、ハウジング34と、レンズ32を保持するレンズバレル33とが予め固定されている場合、工程A2では、熱硬化型接着剤10fのみを塗布すればよい。以下、工程A2において、熱硬化型接着剤10f,10gの両方を塗布する場合を例に挙げて説明する。すなわち、一例としての工程A2では、イメージセンサ4が実装された回路基板3とハウジング34との間に熱硬化型接着剤10fを塗布することと、ハウジング34とレンズ32を保持するレンズバレル33との間に熱硬化型接着剤10gを塗布することを含む。
熱硬化型接着剤10f,10gの塗布方法の好ましい条件は、上述した工程A1における熱硬化型接着剤10d,10eの塗布方法と同様である。
[工程B2]
工程B2は、イメージセンサ4が実装された回路基板3と、ハウジング34と、レンズ32を保持するレンズバレル33とを備え、レンズ32とイメージセンサ4との焦点が合わせられた接合体30を形成する。工程B2では、例えば図7,8に示すように、熱硬化型接着剤10gが塗布されたハウジング34上に、レンズ32を保持するレンズバレル33を配置し、レンズ32とイメージセンサ4との焦点が合わせられた接合体30を形成する。このように、工程B2では、レンズ32とイメージセンサ4との調心を行う。
[工程C2]
図9は、レンズモジュール31の製造方法の工程C2の一例を説明するための断面図である。工程C2では、熱硬化型接着剤10f,10gに対し、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段16を用いて熱硬化型接着剤10f,10gを仮硬化させる。このように、工程C2では、工程B2で形成した接合体30を正しい位置、すなわち、レンズ32とイメージセンサ4との焦点が合わせられた状態で仮固定させる。
[工程D2]
工程D2では、接合体30を加熱して熱硬化型接着剤10f,10gをさらに硬化させる。工程D2を行うことにより、上述した図6に示すレンズモジュール31が得られる。工程D2における加熱条件の好ましい範囲は、上述した工程D1と同様である。
以上のように、本技術に係るレンズモジュールの製造方法は、イメージセンサ4が実装された回路基板3とセンサフレーム8との間、イメージセンサ4が実装された回路基板3とハウジング34との間、センサフレーム8と、レンズ5とレンズ筐体13とを含む光学ユニット11との間、及び、ハウジング34と、レンズ32を保持するレンズバレル33との間の少なくともいずれかに、着色剤を含む熱硬化型接着剤10を塗布する工程Aと、レンズ5とイメージセンサ4との焦点が合わせられた接合体15(又は接合体30)を形成する工程Bと、熱硬化型接着剤10に対し、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段16を用いて熱硬化型接着剤10を仮硬化させる工程Cと、接合体15(又は接合体30)を加熱して熱硬化型接着剤10をさらに硬化させる工程Dとを有する。
<熱硬化型接着剤>
本技術に係る熱硬化型接着剤は、カチオン硬化性化合物と、熱カチオン硬化剤と、着色剤とを含み、下記の条件1~3の少なくとも1つを満たすことが好ましい。このような熱硬化型接着剤は、例えば、上述したレンズモジュールの製造方法における熱硬化型接着剤10d~10gとして用いることができる。以下、熱硬化型接着剤10d~10gを総称して熱硬化型接着剤10ということもある。
条件1:熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率が3.0%以下である。
条件2:熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率が0.3%以下である。
条件3:熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率が0.008%以下である。
熱硬化型接着剤が、条件1~3の少なくとも1つを満たすことにより、例えば、上述したレンズモジュールの製造方法の工程C1,C2において、加熱手段16から熱線を熱硬化型接着剤10に吸収させる効率を上げることができ、熱線を熱硬化型接着剤10の内部までより効果的に到達させることができる。これにより、例えば、上述した工程C1,C2において、加熱手段16を用いて熱硬化型接着剤10をより効果的に仮硬化させることができる。また、上述した工程C1,C2において、加熱手段16による加熱時間をコントロールすることにより、熱硬化型接着剤10のより深部まで仮硬化させることができる。
さらに、熱硬化型接着剤は、条件1~3の少なくとも1つを満たすため、紫外線波長領域の透過性が少ない。そのため、熱硬化型接着剤は、使用箇所から外部光が侵入し、ゴーストやフレアと呼ばれる映像障害が発生してしまうことを防止でき、良好な遮光性を付与できる。このように、熱硬化型接着剤は、使用箇所の遮光性を良好にするととともに、仮硬化後の接着強度が十分に得られる。
条件1について、熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率が低いほど、遮光性や仮硬化後の接着強度の観点では望ましい。例えば、熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率が3.0%以下であってもよく、2.0%以下であってもよく、1.0%以下であってもよく、0.60%以下であってもよく、0.50%以下であってもよく、0.30%以下であってもよく、0.20%以下であってもよく、0.10%以下であってもよい。また、熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率の下限値が0.10%以上であってもよく、0.20%以上であってもよい。
条件2について、熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率が低いほど、遮光性や仮硬化後の接着強度の観点では望ましい。例えば、熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率が0.3%以下であってもよく、0.25%以下であってもよく、0.20%以下であってもよく、0.15%以下であってもよく、0.10%以下であってもよく、0.05%以下であってもよい。また、熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率の下限値が0.03%以上であってもよく、0.04%以上であってもよい。
条件3について、熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率が低いほど、遮光性や仮硬化後の接着強度の観点では望ましい。例えば、熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率が0.008%以下であってもよく、0.005%以下であってもよい。また、熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率の下限値が0.001%以上であってもよい。
熱硬化型接着剤は、遮光性や仮硬化後の接着強度の観点では、条件1~3のうち少なくとも2つの条件を満たしていることが好ましく、上述した条件1~3を全て満たしていることが好ましい。特に、熱硬化型接着剤は、遮光性や仮硬化後の接着強度の観点では、下記条件1A~3Aを全て満たしていることが好ましい。
条件1A:熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率が0.60%以下である。
条件2A:熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率が0.10%以下である。
条件3A:熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率が0.008%以下である。
熱硬化型接着剤の光透過率の測定方法は、後述する実施例に記載の通りである。
熱硬化型接着剤は、条件1~3の少なくとも1つを満たすために、例えば、黒色化されていることが好ましい。具体例として、熱硬化型接着剤が、カチオン硬化性化合物と熱カチオン硬化剤に加えて、着色剤として、カーボンブラックをさらに含むことができる。
[カチオン硬化性化合物]
カチオン硬化性化合物は、成膜成分として用いられる。カチオン硬化性化合物としては、例えば、エポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を1つ有する単官能エポキシ化合物であってもよいし、1分子中にエポキシ基を2つ有する2官能エポキシ化合物であってもよいし、1分子中にエポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ化合物であってもよい。
エポキシ樹脂は、常温で固体状であってもよいし、常温で液状のものであってもよい。常温とは、JIS K 0050:2019(化学分析方法通則)に規定される15~25℃の範囲をいう。エポキシ樹脂が有するエポキシ基は、脂環式のエポキシ基であってもよいし、非脂環式のエポキシ基であってもよい。
エポキシ樹脂の具体例としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エステル型エポキシ樹脂などを用いることができる。環式エポキシ樹脂は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを用いることができる。
エポキシ樹脂としては、樹脂特性の観点では、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)と脂環式エポキシ化合物とを併用することが好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、150~300g/eqの範囲とすることができ、180~220g/eqの範囲であってもよい。
エポキシ樹脂の25℃における粘度は、1000mPa・s以上であってもよいし、2000mPa・s以上であってもよく、5000mPa・s以上であってもよく、8000mPa・s以上であってもよく、10000mPa・s以上であってもよい。また、エポキシ樹脂の25℃における粘度は、20,000mPa・s以下であってもよく、15,000mPa・s以下であってもよく、13,000mPa・s以下であってもよく、11,000mPa・s以下であってもよい。
エポキシ樹脂の製品例としては、エピクロン850CRP(DIC社製)、CEL2021P(ダイセル社製)などが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱硬化型接着剤中のカチオン硬化性化合物の含有量は、特に限定されないが、仮硬化後の接着強度の観点から、例えば、25質量%以上とすることができ、30質量%以上であってもよいし、35質量%以上であってもよい。また、熱硬化型接着剤中のカチオン硬化性化合物の含有量の上限は、60質量%以下とすることができ、45質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、38質量%以下であってもよい。なお、熱硬化型接着剤が2種以上のエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂の総量が上述した数値範囲を満たすことが好ましい。
また、カチオン硬化性化合物として、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂と脂環式エポキシ化合物とを併用する場合、熱硬化型接着剤中のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の量は、脂環式エポキシ化合物の量よりも多いことが好ましい。
[熱カチオン硬化剤]
熱カチオン硬化剤は、カチオン硬化性化合物の硬化剤であり、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤(アルミニウムキレート系硬化剤)を用いることが好ましい。このように、硬化剤としてアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を用いることにより、熱硬化型接着剤が一剤型であっても保存安定性を良好にすることができる。
アルミニウムキレート系潜在性硬化剤としては、例えば、マイクロカプセル化法で、アルミニウムキレート系硬化剤を潜在化したものが挙げられる。アルミニウムキレート系潜在性硬化剤としては、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得た多孔性樹脂に、アルミニウムキレート剤を保持させたものが挙げられる。また、多官能イソシアネート化合物を界面重合させると同時に、ラジカル重合開始剤の存在下で多官能ラジカル重合性化合物をラジカル重合させて得た多孔性樹脂にアルミニウムキレート剤を保持させたものが挙げられる。より具体的には、多孔性樹脂マトリックス中に存在する微細な多数の孔に、アルミニウムキレート剤が保持された構造のものが挙げられる。
アルミニウムキレート系潜在性硬化剤の形状は、例えば球状である。アルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、硬化性及び分散性の観点では、粒子径を0.5~100μmとすることができる。また、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、硬化性及び潜在性の観点では、孔の大きさを5~150nmとすることができる。
アルミニウムキレート剤としては、例えば、下記式Aで表される、3つのβ-ケトエノラート陰イオンがアルミニウムに配位した錯体化合物が挙げられる。
(式A)
Figure 2023034355000002
式A中、R、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基又はアルコキシル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。アルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、オレイルオキシ基などが挙げられる。
式Aで表される化合物としては、例えば、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(オレイルアセトアセテート)などが挙げられる。
アルミニウムキレート系潜在性硬化剤の詳細は、例えば、特開2009-197206号公報の内容を参照することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
熱硬化型接着剤中、熱カチオン硬化剤の含有量は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化型接着剤中のカチオン硬化性化合物の総量を100質量部としたときに、1質量部以上とすることができ、2質量部以上とすることもでき、3質量部以上とすることもでき、4質量部以上とすることもできる。また、熱カチオン硬化剤の含有量の上限値は、例えば、熱硬化型接着剤中のカチオン硬化性化合物の総量を100質量部としたときに、10質量部以下とすることができ、8質量部以下とすることもでき、6質量部以下とすることもでき、5質量部とすることもできる。また、熱カチオン硬化剤の含有量は、熱硬化型接着剤中のカチオン硬化性化合物の総量を100質量部としたときに、1~10質量部の範囲とすることもでき、2~6質量部の範囲とすることもでき、3~5質量部の範囲とすることもできる。
[シラノール化合物]
熱硬化型接着剤は、カチオン硬化性化合物の硬化反応をより促進させる観点から、熱カチオン硬化剤に加えて、シラノール化合物を含むことが好ましい。例えば、熱硬化型接着剤が、カチオン硬化性化合物としてグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を含む場合、シラノール化合物、好ましくは高立体障害性のシラノール化合物を用いることにより、熱硬化型接着剤をより低温速硬化でカチオン重合させることができる。
シラノール化合物としては、トリアルコキシ基を有している従来のシランカップリング剤とは異なり、高立体障害性のシラノール化合物、具体的には、下記式Bで表されるアリールシラノールを用いることが好ましい。
(Ar)Si(OH) (B)
式B中、mは2又は3であり、mとnとの合計が4である。従って、式B中のシラノール化合物は、モノまたはジオール体となる。式B中のArは、無置換のアリール基又は置換基を有するアリール基である。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、フロオレニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等が挙げられ、入手容易性やコストの観点ではフェニル基が好ましい。式B中のm個のArは、同一でもよいし、異なっていてもよいが、入手容易性の観点では、全て同一であることが好ましい。
式B中のアリール基が置換基を有する場合、1~3個の置換基を有していてもよい。また、式B中、一部のアリール基のみが置換基を有していてもよい。置換基として、電子供与基や電子吸引基が挙げられる。電子供与基としては、例えば、クロロ、ブロモ等のハロゲン基;トリフルオロメチル基;ニトロ基;スルホ基;カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ホルミル基等が挙げられる。また、電子供与基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アミノ基;モノメチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基等が挙げられる。
式Bで表されるシラノール化合物の具体例としては、トリフェニルシラノール、ジフェニルシラノールなどが挙げられ、トリフェニルシラノールが好ましい。
なお、熱カチオン硬化剤が、多官能イソシアネート化合物を界面重合させると同時に、ラジカル重合開始剤の存在下で多官能ラジカル重合性化合物をラジカル重合させて得た多孔性樹脂に保持されているアルミニウムキレート系潜在性硬化剤である場合、この多孔性樹脂に、式Bで表されるシラノール化合物が保持されたものを用いてもよい。この態様の詳細は、例えば、特開2010-168449号公報の内容を参照することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
熱硬化型接着剤中、シラノール化合物の含有量は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化型接着剤中のカチオン硬化性化合物の総量を100質量部としたときに、1質量部以上とすることができ、3質量部以上とすることもでき、5質量部以上とすることもでき、6質量部以上とすることもできる。また、シラノール化合物の含有量の上限値は、例えば、熱硬化型接着剤中のカチオン硬化性化合物の総量を100質量部としたときに、20質量部以下とすることができ、15質量部以下とすることもでき、10質量部以下とすることもでき、8質量部とすることもできる。また、シラノール化合物の含有量は、熱硬化型接着剤中のカチオン硬化性化合物の総量を100質量部としたときに、3~10質量部の範囲とすることもでき、3~9質量部の範囲とすることもでき、5~8質量部の範囲とすることもできる。シラノール化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[その他の成分]
熱硬化型接着剤は、上述した成分以外に、必要に応じて、例えば、シランカップリング剤、シリカ、マイカなどの充填剤、カーボンブラック以外の着色剤(顔料、染料)などをさらに含んでいてもよい。また、熱硬化型接着剤は、遮光性や仮硬化後の接着強度の観点では、紫外線硬化成分(例えば、アクリル系モノマーなどの紫外線硬化樹脂や光重合開始剤)の含有量が少ないことが好ましく、例えば、熱硬化型接着剤中の紫外線硬化成分の量が1質量%以下であってもよく、0.1質量%以下であってもよく、実質的に0%であってもよい。また、金属腐食のリスクを防止する観点では、熱硬化型接着剤中の有機酸(例えば光酸発生剤など)の量が少ないことが好ましく、例えば、熱硬化型接着剤中の有機酸の濃度が100ppm未満であることが好ましい。熱硬化型接着剤中の有機酸の濃度の測定方法は、後述する実施例に記載の方法と同様である。
シランカップリング剤は、熱カチオン硬化剤としてのアルミニウムキレート剤と共働してカチオン硬化性化合物(例えばエポキシ樹脂)のカチオン重合を開始させる機能を有する。そのため、熱硬化型接着剤が、熱カチオン硬化剤としてアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を含む場合、シランカップリング剤を併用することにより、カチオン硬化性化合物の硬化をより効果的に促進させることができる。
シランカップリング剤は、分子中に1~3の低級アルコキシ基を有し、分子中にカチオン硬化性化合物の官能基に対して反応性を有する基、例えば、ビニル基、スチリル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等を有していてもよい。
シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-スチリルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
熱硬化型接着剤がシランカップリング剤を含む場合、熱硬化型接着剤中のシランカップリング剤の量は、例えば、熱硬化型接着剤中のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の総量を100質量部としたときに、1~300質量部の範囲とすることができ、1~250質量部の範囲とすることもでき、30~200質量部の範囲とすることもでき、60~200質量部の範囲とすることもできる。シランカップリング剤の量を上述した範囲とすることにより、本技術の効果がより得られやすい傾向にある。シランカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱硬化型接着剤が含むことができるシリカの形状は、例えば球状、破砕状などが挙げられる。シリカの具体例としては、例えば、TS-720(キャボットカーボン社製)、クリスタライトVX-S2(龍森社製)などが挙げられる。熱硬化型接着剤がシリカを含む場合、熱硬化型接着剤中のシリカの量は、例えば、熱硬化型接着剤中、30~70質量%の範囲とすることができ、40~65質量%の範囲とすることもでき、50~65質量%の範囲とすることもできる。シリカは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱硬化型接着剤の25℃における粘度は、特に限定されず、例えば、10,000mPa・s以上であってもよく、22,000mPa・s以上であってもよく、23,000mPa・s以上であってもよく、30,000mPa・s以上であってもよく、35,000mPa・s以上であってもよい。また、熱硬化型接着剤の25℃における粘度の上限値は、例えば、45,000mPa・s以下であってもよく、40,000mPa・s以下であってもよく、39,000mPa・s以下であってもよい。熱硬化型接着剤の粘度は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
熱硬化型接着剤のチキソ比(チキソトロピー比)は、特に限定されないが、例えば、1.5~6の範囲とすることが好ましい。熱硬化型接着剤のチキソ比は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
以下、本技術の実施例について説明する。本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
<アルミニウムキレート潜在性硬化触媒の製造>
蒸留水800質量部と、界面活性剤(ニューレックスR-T、日油社製)0.05質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA-205、クラレ社製)4質量部とを、温度計を備えた界面重合容器に入れ、均一に混合した。この混合液に、更に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24質量%イソプロパノール溶液(アルミキレートD、川研ファインケミカル(株))100質量部と、多官能イソシアネート化合物としてメチレンジフェニル-4,4’-ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D-109、三井化学社製)70質量部と、ラジカル重合性化合物としてジビニルベンゼン(メルク社)30質量部と、ラジカル重合開始剤(パーロイルL、日油社製)0.3質量部とを、酢酸エチル100質量部に溶解した油相を投入し、ホモジナイザー(10000rpm/5分:T-50、IKAジャパン社製)で乳化混合後、80℃で6時間、界面重合とラジカル重合を行った。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、重合粒子を濾過により濾別し、自然乾燥することにより、粒子径2μm程度の球状のアルミニウムキレート潜在性硬化触媒を得た。
本実施例で用いた化合物は以下の通りである。
エピクロン850CRP:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC社製
エピクロン830CRP:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC社製
CEL2021P:脂環式エポキシ樹脂、ダイセル社製
段落0105に記載の方法で得られたアルミニウムキレート潜在性硬化触媒
アミキュアPN-23:硬化触媒(イミダゾール、アニオン)、味の素ファインテクノ社製
トリフェニルシラノール
SR444:アクリルモノマー(3官能)
PI2074:4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、UV硬化触媒(カチオンタイプ)、ローディア社製
イルガキュア184D:UV硬化触媒(ラジカルタイプ)、BASF社製
KBM-403:シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
TS-720:疎水性微粉末シリカ(キャボットカーボン社製)
カーボンブラック(製品名:カーボン3050B、三菱ケミカル社製)
クリスタライトVX-S2:結晶性シリカ(破砕状)、龍森社製
結晶性シリカ(球状)、龍森社製
表4に示す配合比となるように、各成分を均一に混合することにより、実験例1~10の組成物(後述する接着剤20)を調製した。表中、部数とは質量部を表し、配合比とは組成物中における各成分の割合(%)を表す。
<粘度>
表4に示す各組成物の25℃における粘度(mPa・s)を測定した。具体的には、各成分を均一に混合した組成物を調製し、25℃における粘度を、レオメータ(装置名:HAAKE MARS60)を用いて測定した。結果を表4に示す。
<チキソ比>
表4に示す各組成物のチキソ比を以下の式1から求めた。
rpm/V10rpm (式1)
式1中のVrpmは、回転粘度計を使用して、回転数1rpmで測定した25℃における組成物の粘度を表す。式1中のV10rpmは、回転粘度計を使用して、回転数10rpmで測定した25℃における組成物の粘度を表す。より具体的には、回転粘度計として、Thermo ELECTRON CORPORATION社製の「HAAKE MARS60」を用い、25℃において、C20/2°のコーンを使用し、所定の回転数で組成物の粘度を測定した。結果を表4に示す。
<仮硬化性>
表2に示す各組成物の仮硬化時の接着強度を評価した。具体的には、UV照射による仮硬化時の接着強度と、熱(UV-IR)による仮硬化時の接着強度を評価した。
(熱による仮硬化性の評価)
図10は、各組成物の仮硬化性の評価方法を説明するための斜視図である。まず、一対の矩形状の被着体(LCP:Liquid Crystal Polymer)19a,19bを準備し、図10(A)に示すように、一方の被着体19aの表面の対向する一対の辺に沿って、1辺につき接着剤20を3mg塗布し、接着剤20を塗布した一方の被着体19a上に、他方の被着体19bを載せた接合体21を得た。次に、図10(B)に示すように、接着剤20に対して、2cm離れた距離から、キセノンランプをスポット光源とした照射装置(装置名:SPIR(USHIO社製)、出力50%)22から光を照射した。なお、熱による仮硬化性の評価を目的としているため、波長900~1800nmの領域を透過させるロングパスフィルタ(トーカイ社製)を通して、UV-IR光を接着剤20に照射した。そして、図10(C)に示すように、テストプローブ(装置名:dage4000Plus、ノードソン社製)23を用いて、接合体21における被着体19aと被着体19bとの接着強度を測定した。結果を表2に示す。
(UV照射による仮硬化性の評価)
図10(A)に示すように、被着体19aの表面の対向する一対の辺に沿って、1辺につき接着剤20を3mg塗布し、接着剤20を塗布した一方の被着体19a上に、他方の被着体19bを載せた接合体21を得た。次に、図10(B)に示すように、接着剤20に対して、LED照射装置から波長365nmの光を積算光量が2000mW/cmとなるように照射して接着剤20を仮硬化させた。そして、図10(C)に示すように、テストプローブ(装置名:dage4000Plus、ノードソン社製)23を用いて、接合体21における被着体19aと被着体19bとの接着強度を測定した。結果を表2に示す。
(本硬化性の評価)
熱またはUV照射により接着剤20を仮硬化させた接合体21について、本硬化後の被着体19aと被着体19bとの接着強度を仮硬化性と同様の方法で測定した。本硬化は、100℃の環境のオーブンを用いて30分間行った。結果を表2に示す。
<硬度>
各組成物の硬化状態の硬度を測定した。具体的には、JIS K 6253に準拠する方法により、デュロメータ硬度計(タイプD)を用いて、デュロメータD硬さを測定した。結果を表4に示す。表4中、例えば、D90とは、デュロメータD硬さの測定値が90であったことを表す。
<透過率>
各組成物の透過率を測定した。具体的には、厚み0.5mmのときの波長800nm、波長500nm及び波長300nmにおける透過率を測定した。結果を表1に示す。図11は、表1の実験例6,7,10の組成物の透過率の測定結果を示すグラフである。図11中、横軸は波長(nm)を表し、縦軸は透過率(%)を表す。また、図11中、実線Aは実験例6,7の組成物の透過率の測定結果を表し、破線Bは実験例10の組成物の透過率の測定結果を表す。
<金属腐食(有機酸影響)>
各組成物について、有機酸の影響による金属腐食のリスクを評価した。結果を表3に示す。表3中、「○」とは、有機酸の影響による金属腐食のリスクが低く、有機酸の濃度が100ppm未満であること(OK)を表し、「×」とは、有機酸の影響による金属腐食のリスクがあり、有機酸濃度が100ppm以上であること(NG)を表す。具体的には、キセノンランプをスポット光源とした照射装置(装置名:SPIR、USHIO社製、出力50%)を用いて4秒間、各組成物に対し照射した後、100℃で30分間、恒温槽で硬化させたサンプルを作製した。このサンプルを約0.2gに削り出し、10mLの超純水とともに50mlのPP(ポリプロピレン)容器に入れ、100℃のオーブンに20時間放置して試料とした。この試料をイオンクロマトグラフィーにより有機酸濃度分析を行った。
Figure 2023034355000003
Figure 2023034355000004
Figure 2023034355000005
Figure 2023034355000006
表1に示すように、実験例6~8の組成物は、上述した条件1~3を満たすことが分かった。一方、表1に示すように、実験例9,10の組成物は、上述した条件1~3を満たさないことが分かった。表1に示す結果から、熱硬化型接着剤中の着色剤(カーボンブラック)の量に応じて熱硬化型接着剤の光透過率を調整でき、上述した条件1~3を満たす熱硬化型接着剤が得られることが分かった。
表2に示すように、実験例3,5~9の組成物は、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段を用いたときに、仮硬化後の接着強度が十分に得られることが分かった。一方、実験例1,2,10の組成物は、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段を用いたときに、仮硬化後の接着強度が十分に得られないことが分かった。なお、実験例9の組成物は、キセノンランプをスポット光源とした照射装置22から光を長時間照射することで、仮硬化後の接着強度を高めることができる。すなわち、実験例9の組成物を用いる場合、キセノンランプをスポット光源とした照射装置22から光を長時間照射する必要があるため、被着部材へのダメージが大きくなることや、タクトが長くなることが懸念されるが、仮硬化後の接着強度が十分に得られることが分かった。
表3に示すように、実験例5~10の組成物は、金属腐食のリスクが低いことが分かった。実験例5~10の組成物は、カチオン性UV硬化触媒を含まなかったためと考えられる。
表4に示すように、実験例3,5~9の組成物は、25℃における粘度が23,000~38,000mPa・sの範囲であり、チキソ比が上述した1.5~6の範囲を満たし、デュロメータD硬さが94であることが分かった。
1 レンズモジュール、2 フレキシブル基板、3 回路基板、4 イメージセンサ、5 レンズ、6 レンズバレル、7 ハウジング、8 センサフレーム、9 IRカットフィルタ、10d,10e,10f,10g 熱硬化型接着剤、11 光学ユニット、12 センサユニット、13 レンズ筐体、14 熱硬化型接着剤の硬化物、15 接合体、16 加熱手段、17 オーブン、19 被着体、20 接着剤、21 接合体、22 照射装置、23 テストプローブ、30 接合体、31 レンズモジュール、32 レンズ、33 レンズバレル、34 ハウジング

Claims (16)

  1. イメージセンサが実装された回路基板とセンサフレームとの間、イメージセンサが実装された回路基板とハウジングとの間、センサフレームと、レンズとレンズ筐体とを含む光学ユニットとの間、及び、ハウジングと、レンズを保持するレンズバレルとの間の少なくともいずれかに、着色剤を含む熱硬化型接着剤を塗布する工程Aと、
    上記レンズと上記イメージセンサとの焦点が合わせられた接合体を形成する工程Bと、
    上記熱硬化型接着剤に対し、近傍からスポット的に加熱することが可能な加熱手段を用いて上記熱硬化型接着剤を仮硬化させる工程Cと、
    上記接合体を加熱して上記熱硬化型接着剤をさらに硬化させる工程Dと
    を有するレンズモジュールの製造方法。
  2. 上記熱硬化型接着剤は、下記の条件1~3の少なくとも1つを満たす、請求項1に記載のレンズモジュールの製造方法。
    条件1:上記熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率が3.0%以下である。
    条件2:上記熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率が0.3%以下である。
    条件3:上記熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率が0.008%以下である。
  3. 上記熱硬化型接着剤は、下記条件1A~3Aを全て満たす、請求項1又は2に記載のレンズモジュールの製造方法。
    条件1A:上記熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率が0.60%以下である。
    条件2A:上記熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率が0.10%以下である。
    条件3A:上記熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率が0.008%以下である。
  4. 上記工程Cでは、キセノンランプをスポット光源とした照射装置からの光を上記接合体の外側から照射することにより、上記熱硬化型接着剤を仮硬化させる、請求項1~3のいずれか1項に記載のレンズモジュールの製造方法。
  5. 上記加熱手段のスポット径が0.5~2.0cmの範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載のレンズモジュールの製造方法。
  6. 上記工程Cでは、上記キセノンランプと上記熱硬化型接着剤との距離が5cm以内となるようにして、上記キセノンランプをスポット光源とした照射装置からの光を上記接合体の外側から照射する、請求項4に記載のレンズモジュールの製造方法。
  7. 上記工程Cで仮硬化させた後の上記熱硬化型接着剤の接着強度が0.3MPa以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載のレンズモジュールの製造方法。
  8. 上記着色剤がカーボンブラックである、請求項1~7のいずれか1項に記載のレンズモジュールの製造方法。
  9. 上記工程Aが、イメージセンサが実装された回路基板とハウジングとの間、及び/又は、ハウジングと、レンズを保持するレンズバレルとの間に、熱硬化型接着剤を塗布する工程A2であり、
    上記工程Bが、イメージセンサが実装された回路基板と、ハウジングと、レンズを保持するレンズバレルとを備え、上記レンズと上記イメージセンサとの焦点が合わせられた接合体を形成する工程B2である、請求項1~8のいずれか1項に記載のレンズモジュールの製造方法。
  10. イメージセンサが実装された回路基板とセンサフレームとの間、イメージセンサが実装された回路基板とハウジングとの間、センサフレームと、レンズとレンズ筐体とを含む光学ユニットとの間、及び、ハウジングと、レンズを保持するレンズバレルとの間の少なくともいずれかを固定するための熱硬化型接着剤であって、
    カチオン硬化性化合物と、
    熱カチオン硬化剤と、
    着色剤とを含み、
    下記条件1~3の少なくとも1つを満たす、熱硬化型接着剤。
    条件1:当該熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率が3.0%以下である。
    条件2:当該熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率が0.3%以下である。
    条件3:当該熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率が0.008%以下である。
  11. 下記条件1A~3Aを全て満たす、請求項10に記載の熱硬化型接着剤。
    条件1A:当該熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長800nmの光透過率が0.60%以下である。
    条件2A:当該熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長500nmの光透過率が0.10%以下である。
    条件3A:当該熱硬化型接着剤は、厚み0.5mmのときの波長300nmの光透過率が0.008%以下である。
  12. 上記着色剤がカーボンブラックである、請求項10又は11に記載の熱硬化型接着剤。
  13. 上記カチオン硬化性化合物が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と脂環式エポキシ樹脂とを含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の熱硬化型接着剤。
  14. 上記熱カチオン硬化剤が、アルミニウムキレート系硬化剤を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の熱硬化型接着剤。
  15. シラノール化合物をさらに含む、請求項10~14のいずれか1項に記載の熱硬化型接着剤。
  16. シランカップリング剤をさらに含む、請求項10~15のいずれか1項に記載の熱硬化型接着剤。
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