JP2023033941A - 解析装置、および解析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被験者により放出されたボールの回転軸を、より簡易に精度よく算出することが可能な解析装置を提供する。【解決手段】解析装置は、ボールに固定された第1座標系におけるボールのスピン軸を算出し、ボールのスピン量を算出し、被験者がボールを放出する時刻を示す基準時刻の前後の所定期間における3軸加速度データおよび3軸地磁気データとに基づいて、基準時刻の第1座標系におけるボールの放出方向を算出し、基準時刻の第1座標系における、ボールの放出前に被験者の腕が描く円弧状の軌跡を含むスイング平面に垂直な軸を算出し、第1座標系におけるスピン軸と、基準時刻の第1座標系におけるボールの放出方向と、基準時刻の第1座標系におけるスイング平面に垂直な軸とを座標変換することにより、絶対空間に固定された第2座標系におけるボールのスピン軸を算出する。【選択図】図13
Description
本開示は、解析装置、および解析方法に関する。
近年、ボールに内蔵されたセンサからの情報を用いることで、回転速度、回転軸の方向等のパラメータを計測する手法が知られている。例えば、特開2017-90433号公報(特許文献1)には、ボール回転方向検出システムが開示されている。ボール回転方向検出システムは、ボールに固定された磁気センサと、加速度センサと、移動方角を記憶する方角記憶部と、地磁気の伏角を記憶する伏角記憶部と、演算部とを有する。演算部は、地磁気ベクトルと加速度ベクトルと移動方角と伏角と、地磁気ベクトルまたは加速度ベクトルの時間変化とを基に、進行方向および重力方向に対するボールの回転軸の向きおよび回転方向を算出する。
特許文献1に係る技術によると、ボールの回転軸の向きおよび回転方向を計算するために、静止時の地磁気の3次元情報から得られる地磁気の伏角情報を用いる必要がある。静止時の地磁気は、場所および時間等により変化する場合があるため計算誤差を発生させる要因となり得る。また、計測前にボールを静止させるプロセスが必要となる。
本開示のある局面における目的は、被験者により放出されたボールの回転軸を、より簡易に精度よく算出することが可能な解析装置、および解析方法を提供することである。
ある実施の形態に従う解析装置は、被験者により放出されるボールに内蔵されたセンサにより検出される時系列の3軸加速度データおよび3軸地磁気データを取得する取得部と、3軸地磁気データに基づいて、ボールに固定された第1座標系におけるボールのスピン軸を算出するスピン軸算出部と、3軸地磁気データとスピン軸とに基づいて、ボールのスピン量を算出するスピン量算出部と、被験者がボールを放出する時刻を示す基準時刻における3軸加速度データおよび3軸地磁気データと、基準時刻の前後の所定期間における3軸加速度データおよび3軸地磁気データとに基づいて、基準時刻の第1座標系におけるボールの放出方向を算出する方向算出部と、基準時刻における3軸地磁気データと、基準時刻より前の第1時刻における3軸地磁気データとに基づいて、基準時刻の第1座標系における、ボールの放出前に被験者の腕が描く円弧状の軌跡を含むスイング平面に垂直な軸を算出するスイング平面算出部と、第1座標系におけるスピン軸と、基準時刻の第1座標系におけるボールの放出方向と、基準時刻の第1座標系におけるスイング平面に垂直な軸とを座標変換することにより、絶対空間に固定された第2座標系におけるボールのスピン軸を算出する座標変換部とを備える。
他の実施の形態に従う解析方法は、被験者により放出されるボールに内蔵されたセンサにより検出される時系列の3軸加速度データおよび3軸地磁気データを取得するステップと、3軸地磁気データに基づいて、ボールに固定された第1座標系におけるボールのスピン軸を算出するステップと、3軸地磁気データとスピン軸とに基づいて、ボールのスピン量を算出するステップと、被験者がボールを放出する時刻を示す基準時刻における3軸加速度データおよび3軸地磁気データと、基準時刻の前後の所定期間における3軸加速度データおよび3軸地磁気データとに基づいて、基準時刻の第1座標系におけるボールの放出方向を算出するステップと、基準時刻における3軸地磁気データと、基準時刻より前の第1時刻における3軸地磁気データとに基づいて、基準時刻の第1座標系における、ボールの放出前に被験者の腕が描く円弧状の軌跡を含むスイング平面に垂直な軸を算出するステップと、第1座標系におけるスピン軸と、基準時刻の第1座標系におけるボールの放出方向と、基準時刻の第1座標系におけるスイング平面に垂直な軸とを座標変換することにより、絶対空間に固定された第2座標系におけるボールのスピン軸を算出するステップとを含む。
本開示によると、被験者により放出されたボールの回転軸を、より簡易に精度よく算出することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<全体構成>
図1は、解析装置1000の全体構成を説明するための図である。図1を参照して、解析装置1000は、投手である被験者5が放出する(例えば、投げた)野球用のボール2の回転軸(以下、「スピン軸」とも称する。)を解析するための装置である。
図1は、解析装置1000の全体構成を説明するための図である。図1を参照して、解析装置1000は、投手である被験者5が放出する(例えば、投げた)野球用のボール2の回転軸(以下、「スピン軸」とも称する。)を解析するための装置である。
解析装置1000は、端末装置10と、センサ機器20が内蔵されたボール2とを含む。本実施の形態では、センサ機器20は、ボール2のスピン軸を解析する機能を有し、端末装置10は、センサ機器20による解析結果を表示する機能を有する。
端末装置10は、スマートフォンで構成される。ただし、端末装置10は、種類を問わず任意の装置として実現できる。例えば、端末装置10は、ラップトップPC(personal Computer)、タブレット端末、デスクトップPC等であってもよい。
端末装置10は、無線通信方式によりセンサ機器20と通信する。例えば、無線通信方式としては、BLE(Bluetooth(登録商標) low energy)が採用される。ただし、端末装置10は、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(local area network)等のその他の無線通信方式を採用してもよい。
センサ機器20は、ボール2に固定された座標系(以下、「ボール座標系」とも称する。)における加速度および磁場(磁束密度)を検出する。具体的には、センサ機器20は、加速度センサと、地磁気センサとを含む。加速度センサは、互いに直交する3つの軸(x軸,y軸,z軸)方向の加速度を示す時系列の加速度データ(例えば、加速度ベクトル)を検出する。地磁気センサは、互いに直交する3つの軸方向の磁場(磁束密度)を示す時系列の地磁気データ(例えば、地磁気ベクトル)を検出する。地磁気センサには、例えば、MR(Magnet resistive)素子、MI(Magnet impedance)素子、ホール素子等が用いられる。
センサ機器20は、検出したセンサデータ(例えば、時系列の加速度データおよび地磁気データ)に基づいて、所定の解析処理を実行して、ボール2のスピン軸およびスピン量を算出する。端末装置10は、スピン軸およびスピン量等をセンサ機器20から受信して、それらをディスプレイに表示する。
<ハードウェア構成>
(端末装置10)
図2は、端末装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図3を参照して、端末装置10は、主たる構成要素として、プロセッサ(Central Processing Unit)102と、メモリ104と、タッチパネル106と、ディスプレイ110と、無線通信部112と、通信アンテナ113と、メモリインターフェイス(I/F)114と、スピーカ116と、マイク118と、通信インターフェイス(I/F)120とを含む。また、記録媒体115は、外部の記憶媒体である。
(端末装置10)
図2は、端末装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図3を参照して、端末装置10は、主たる構成要素として、プロセッサ(Central Processing Unit)102と、メモリ104と、タッチパネル106と、ディスプレイ110と、無線通信部112と、通信アンテナ113と、メモリインターフェイス(I/F)114と、スピーカ116と、マイク118と、通信インターフェイス(I/F)120とを含む。また、記録媒体115は、外部の記憶媒体である。
プロセッサ102は、メモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、端末装置10の各部の動作を制御する。プロセッサ102は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Multi Processing Unit)といった演算処理部である。メモリ104は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどによって実現される。メモリ104は、プロセッサ102によって実行されるプログラム、またはプロセッサ102によって用いられるデータなどを記憶する。
タッチパネル106は、表示部としての機能を有するディスプレイ110上に設けられている。無線通信部112は、通信アンテナ113を介して移動体通信網に接続し無線通信のための信号を送受信する。
メモリインターフェイス(I/F)114は、外部の記録媒体115からデータを読み出す。プロセッサ102は、メモリインターフェイス114を介して外部の記録媒体115に格納されているデータを読み出して、当該データをメモリ104に格納する。プロセッサ102は、メモリ104からデータを読み出して、メモリインターフェイス114を介して当該データを外部の記録媒体115に格納する。記録媒体115としては、USB(Universal Serial Bus)メモリ、ハードディスクなどの不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
スピーカ116は、プロセッサ102からの命令に基づいて音声を出力する。マイク118は、端末装置10に対する発話を受け付ける。通信インターフェイス(I/F)120は、例えば、端末装置10とセンサ機器20との間でデータを送受信するための通信インターフェイスである。通信方式としては、例えば、BLE、無線LANなどによる無線通信である。
(センサ機器20)
図3は、センサ機器20のハードウェア構成を示すブロック図である。図3を参照して、センサ機器20は、主たる構成要素として、各種処理を実行するためのプロセッサ202と、プロセッサ202によって実行されるプログラム、データなどを格納するためのメモリ204と、加速度センサ205と、地磁気センサ206と、端末装置10と通信するための通信インターフェイス(I/F)210と、センサ機器20の各種構成要素に電力を供給する蓄電池212とを含む。
図3は、センサ機器20のハードウェア構成を示すブロック図である。図3を参照して、センサ機器20は、主たる構成要素として、各種処理を実行するためのプロセッサ202と、プロセッサ202によって実行されるプログラム、データなどを格納するためのメモリ204と、加速度センサ205と、地磁気センサ206と、端末装置10と通信するための通信インターフェイス(I/F)210と、センサ機器20の各種構成要素に電力を供給する蓄電池212とを含む。
<動作例>
図4は、解析装置1000の動作例を説明するためのフローチャートである。典型的には、図4に示す各ステップのうち、端末装置10によるステップは、プロセッサ102により実現され、センサ機器20によるステップは、プロセッサ202により実現される。ここでは、解析装置1000が、被験者5により投じられたボール2に内蔵されたセンサにより検出されたセンサデータを解析して、各種情報を表示するまでの流れを説明する。
図4は、解析装置1000の動作例を説明するためのフローチャートである。典型的には、図4に示す各ステップのうち、端末装置10によるステップは、プロセッサ102により実現され、センサ機器20によるステップは、プロセッサ202により実現される。ここでは、解析装置1000が、被験者5により投じられたボール2に内蔵されたセンサにより検出されたセンサデータを解析して、各種情報を表示するまでの流れを説明する。
センサ機器20(プロセッサ202)は、加速度センサ205により検出された時系列の3軸方向の加速度データ(以下「3軸加速度データ」とも称する。)と、地磁気センサ206により検出された時系列の3軸方向の地磁気データ(以下「3軸地磁気データ」とも称する。)とを取得する(ステップS10)。取得される3軸加速度データおよび3軸地磁気データは、ボール座標系におけるデータである。
センサ機器20は、時系列の3軸加速度データおよび3軸地磁気データをスプライン補間により内挿する(ステップS12)。理想的には一定のサンプリング間隔(例えば、2ms)で3軸加速度データおよび3軸地磁気データが取得されるはずだが、通信の不具合等によりデータが欠落する場合がある。ステップS12の処理は、この欠落データをスプライン補間により内挿する処理である。
センサ機器20は、地磁気センサ206のオフセット処理を実行する(ステップS14)。地磁気センサ206は、その特性によりオフセット量が加算された値が観測される場合が多い。そのため、地磁気センサ206の3軸地磁気データを(MRx,MRy,MRz)とし、各チャンネルの最大値(MRx.max,MRy.max,MRz.max)および最小値(MRx.min,MRy.min,MRz.min)を求めることによりオフセット量の除去を行なう。式(1)のように定義して、式(2)によりオフセット量の除去を行なう。
続いて、センサ機器20は、3軸加速度データに基づいて、被験者5がボール2を放出した(リリース)した基準時刻t0を算出する(ステップS16)。例えば、センサ機器20は、3軸加速度データ(ax,ay,az)のうちの最大加速度が閾値Th以上になった時刻を基準時刻t0として算出する。センサ機器20は、基準時刻t0をメモリ204に記憶する。
センサ機器20は、3軸地磁気データに基づいて、スピン解析を行なう解析区間Txを設定する(ステップS18)。
図5は、解析区間Txの設定方式を説明するための図である。図5の波形は、あるチャンネルの時系列の地磁気データ(例えば、オフセット処理後の地磁気データMx)を示している。ここでは、センサ機器20は、地磁気データMxを利用して、差分の符号が反転するタイミング(すなわち、ゼロクロス時刻)を判定する。好ましくは、3軸地磁気データのうち、振幅が最大(すなわち、最大値と最小値との差が最大)の地磁気データが用いられる。最初の状態をk=0として、k≧4になるまで以下の式(3)に従う処理を実行する。具体的には、時刻(t+Δt)の地磁気データMx.t+Δtと時刻tの地磁気データMx.tとの差分と、地磁気データMx.tと時刻(t-Δt)の地磁気データMx.t-Δtとの差分との積が負である場合、kがインクリメントされる。なお、Δtはサンプリング間隔を示している。
センサ機器20は、時刻t2から時刻(t4-Δt)までの区間を解析区間Txに設定する。以下、解析区間Txのサンプリング数をNとする。
再び、図4を参照して、センサ機器20は、ボール2の速度を算出する(ステップS20)。本実施の形態では、被験者5からリリースされたボール2は、他の人物(例えば、キャッチャー)によってキャッチングされる。キャッチング時刻においては、加速度が急激に増大する。したがって、センサ機器20は、ボール2がリリースされた基準時刻t0以降において、3軸加速度データ(ax,ay,az)のうちの最大加速度が閾値Th以上になった時刻tfをキャッチング時刻として算出する。そして、センサ機器20は、被験者5とキャッチャーとの距離Dと、式(4)とを用いてボール速度Vを算出する。
センサ機器20は、3軸地磁気データに基づいて、ボール座標系におけるスピン軸を算出する(ステップS22)。
図6は、ボールのスピン軸の計算原理を説明するための図である。図6を参照して、ボール2が一定の回転数ω(すなわち、スピン量ω)を有する場合、絶対空間に固定された定数ベクトルr(例えば、地磁気ベクトル)は、ボール2に固定された座標系(すなわち、ボール座標系)においては、それ自体(定数ベクトルr)を母線とする円錐を描く。また、定数ベクトルrの先端は、ボール座標系上ではスピン軸に垂直な平面Q上で円を描く。平面Qに垂直なスピン軸の方向余弦を(lω,mω,nω)、平面Qと原点O(すなわち、ボール2の中心)との距離をhとすると、地磁気ベクトル(Mx,My,Mz)を用いて、以下の式(5)が成立する。
ここで、本明細書では、キャレット付き記号に関し、たとえば記号が“h”である場合に、表記の都合上、以下の式(6)のように表現する。
すなわち、記号hの上にキャレットを付したものと、同じ記号hの横にキャレットを付したものとは、同一の変数を示す。キャレットを上に付した記号は数式中で使用され、キャレットを横に付した記号は文章中で使用される。
センサ機器20は、式(7)を用いて最小二乗法の式(8)を解くことにより、式(9)および式(10)に示すように、ボール座標系におけるスピン軸の方向余弦(lω,mω,nω)および距離hを算出する。式(8)は、式(5)の右辺と左辺との差の二乗和を極小にするための条件である。なお、以下の説明では、ボール座標系を座標系C0とも記載する。
上記の処理により、センサ機器20は、ボール座標系におけるスピン軸の方向(すなわち、方向余弦)を算出する。
再び、図4を参照して、センサ機器20は、地磁気ベクトルを平面Qへ投影することにより、スピン量を算出する(ステップS24)。スピン量の算出方式の詳細については後述する。
センサ機器20は、基準時刻t0前後の時刻tに観測された加速度データに基づいて、ボール2が放出される(投じられる)方向(以下、「投球方向」とも称する)を算出する。(ステップS26)。
図7は、投球方向の算出方式を説明するための概念図である。図7を参照して、センサ機器20は、基準時刻t0前後の任意の時刻tに観測されたボール座標系における加速度ベクトルaを、基準座標系における加速度ベクトルa*に座標変換する。基準座標系は、基準時刻t0におけるボール座標系を示す。また、基準座標系は、絶対空間に固定されており、ボール2が回転しても変わらないものとする。
この座標変換によって、各時刻tの地磁気ベクトルを一致させるとともに、各時刻tの加速度ベクトルを、基準時刻t0における地磁気ベクトルおよび加速度ベクトルにより構成される平面に拘束する。絶対座標系で加速度の方向が変化しない場合には上記拘束条件は適切である。そのため、加速度の方向の変化が微小である場合には、この座標変換は近似的には妥当であると考えられる。したがって、基準座標系における加速度ベクトルa*は、絶対座標系における加速度ベクトルと一致するとみなすことができる。
そして、センサ機器20は、基準時刻t0前後の所定時間において、基準座標系での加速度を積分することによりボール2の速度変化を算出する。センサ機器20は、ボール2の速度変化の方向を基準座標系における投球方向として算出する。投球方向の算出方式の詳細について後述する。
再び、図4を参照して、センサ機器20は、ボール2の放出前に被験者5の腕が描く円弧状の軌跡を含むスイング平面を算出する(ステップS28)。
図8は、スイング平面を説明するための概念図である。図8に示すように、投手である被験者5は、ボール2を投げるために腕をスイングする。そのため、ボール2をリリースする直前の投球動作において、被験者5の腕の円弧運動が観測される。本実施の形態では、絶対空間において円弧状の軌跡が描く平面(図8の網掛け部分)を“スイング平面”と称する。
リリース前のボール2のスピン軸の方向は、一定(紙面奥行き方向)でありスイング平面と直交している。ボール2のリリース前後の遷移期においては、スピン軸の方向は変化するが、遷移期を経た後スピン軸の方向は一定となる。
リリース前に絶対空間におけるスイング平面上でボール2に並進速度が与えられると考えられる。人体の特性上、この運動は体幹近傍の任意の点を固定点とした腕の角運動により実現されるとみなされる。ボールのスピンは、リリース直前にボールに与えられることが知られており、リリース直前に観測されるボールのスピン量は、腕の円弧運動によるものであると考えられる。そのため、絶対空間において、リリース直前のボール2のスピン軸は、スイング平面に垂直な軸と一致するとみなすことができる。
したがって、センサ機器20は、並進加速度のピーク値が現れる瞬間である基準時刻t0における地磁気ベクトルと、基準時刻t0よりも一定時間前の時刻における地磁気ベクトルとに直交している軸を、基準座標系におけるスイング平面に垂直な軸として算出する。これにより、スイング平面が特定される。スイング平面の算出方式の詳細については後述する。
再び、図4を参照して、センサ機器20は、ステップS22で算出されたボール座標系におけるスピン軸と、ステップS26で算出された基準座標系における投球方向と、ステップS28で算出された基準座標系におけるスイング平面に垂直な軸とに基づいて、所定の座標変換処理を実行することによって、絶対座標系におけるスピン軸を算出する(ステップS30)。
図9は、絶対座標系におけるスピン軸の算出方式の概念図である。図9を参照して、投球方向がx軸に設定され、スイング平面511に垂直な軸501がz-x平面上に設定される。x軸および軸501に垂直な軸をy軸とする。x軸およびy軸に垂直な軸をz軸とする。この段階においては、スイング平面511は、必ずしも投球方向(すなわち、x軸)と平行にはならない。図9に示すスピン軸521,523は、ボール2のリリース後のスピン軸を示している。
次に、スイング平面511が投球方向と平行になるようにスイング平面511をx軸周りに回転させると、回転後のスイング平面513が得られる。必要な回転角度は、スイング平面511の円弧の頂点と回転後の円弧の頂点とのz方向の距離と、各円弧の前方の端点とx軸とのz方向の距離とが一致することを条件とすればよい。すなわち、線分550の長さが、線分552の長さと一致することを条件とすればよい。上記回転に伴って、スイング平面513に垂直な軸503が得られる。また、スピン軸521を上記のように回転させてスピン軸523が得られる。このスピン軸523が絶対座標系における最終的なスピン軸となる。絶対座標系におけるスピン軸の算出方式の詳細については後述する。
再び、図4を参照して、センサ機器20は、所定の軌道算出方式を用いて、ボール2の軌道を算出する(ステップS32)。軌道算出方式の詳細については後述する。端末装置10(プロセッサ102)は、センサ機器20により算出されたスピン量、スピン軸等の各種情報を受信して、ディスプレイ110に各種情報を表示する(ステップS34)。
<スピン量の算出方式>
図4のステップS24におけるスピン量の算出方式の詳細について説明する。
図4のステップS24におけるスピン量の算出方式の詳細について説明する。
センサ機器20は、地磁気ベクトルの先端の平面Q(図6参照)への投影を計算する。具体的には、方向余弦(l1^,m1^,n1^)を式(11)のように定義し、式(12)および式(13)を用いて方向余弦(l2,m2,n2)を求め、式(14)を用いて方向余弦(l1,m1,n1)を定義する。
式(12)は、方向余弦(l2^,m2^,n2^)が、ボール座標系におけるスピン軸の方向余弦(lω,mω,nω)と方向余弦(l1^,m1^,n1^)との外積で表されることを示している。式(14)は、方向余弦(l1,m1,n1)が、方向余弦(l2,m2,n2)と方向余弦(lω,mω,nω)との外積で表されることを示している。したがって、方向余弦(l1,m1,n1)および方向余弦(l2,m2,n2)は、それぞれボール座標系におけるスピン軸の方向余弦(lω,mω,nω)と直交することが理解される。そして、(u,v)を式(15)のように定義する。
これにより、行列(u,v)の転置行列(u,v)Tが、平面Qに投影された地磁気ベクトルとして求められる。地磁気ベクトル(u,v)Tは理論的には円弧を描く。
一定のスピン量ωでボール2が回転している段階では、絶対空間に固定されたベクトルでは、ボール座標系において、スピン軸の方向余弦(lω,mω,nω)周りに一定のサンプリング間隔Δtにおける角変位Δθが生じる。平面Qに投影された地磁気ベクトル(u,v)Tを用いて角変位Δθを計算できる。具体的には、(c,s)を式(16)のように定義すれば、式(17)が成立する。式(17)に基づくと、式(18)の関係が導出される。
解析区間Tx全体において式(18)の関係を用いて、式(19)で定義される(C,S)を算出する。スピンが安定している状態では、理論的には式(17)および式(18)における(c,s)および「(ut
2+vt
2)1/2」は一定値となるが、ノイズによる変動を考慮する必要がある。そのため、式(19)では、解析区間全体にわたって式(18)の右辺を加算して(C,S)を求めている。式(19)において算出された(C,S)を用いて、式(20)では、大きさが1になる単位ベクトルとしての(c,s)が算出される。算出された(c,s)を用いてΔθは式(21)で示される。よって、スピン量ωは式(22)のように求められる。
<投球方向の算出方式>
図4のステップS26における投球方向の算出方式の詳細について説明する。上述したように、各時刻tの地磁気ベクトルを一致させるとともに、各時刻tの加速度ベクトルを、基準時刻t0における地磁気ベクトル(Mx0,My0,Mz0)および加速度ベクトル(ax0,ay0,az0)により構成される平面に拘束する。まず、基準時刻t0の地磁気ベクトル(Mx0,My0,Mz0)の単位ベクトルe1,0を式(23)のように定義する。次に、地磁気ベクトル(Mx0,My0,Mz0)および加速度ベクトル(ax0,ay0,az0)によって張られる平面に垂直な方向の単位ベクトルをe3,0とすると、式(24)および式(25)が成立する。
図4のステップS26における投球方向の算出方式の詳細について説明する。上述したように、各時刻tの地磁気ベクトルを一致させるとともに、各時刻tの加速度ベクトルを、基準時刻t0における地磁気ベクトル(Mx0,My0,Mz0)および加速度ベクトル(ax0,ay0,az0)により構成される平面に拘束する。まず、基準時刻t0の地磁気ベクトル(Mx0,My0,Mz0)の単位ベクトルe1,0を式(23)のように定義する。次に、地磁気ベクトル(Mx0,My0,Mz0)および加速度ベクトル(ax0,ay0,az0)によって張られる平面に垂直な方向の単位ベクトルをe3,0とすると、式(24)および式(25)が成立する。
単位ベクトルe1,0および単位ベクトルをe3,0に垂直な単位ベクトルe2,0は、式(26)のように定義される。各単位ベクトルe1,0,e2,0,e3,0によって構成されるモード行列S0は、式(27)のように示される。モード行列S0は直交行列である。
同様に、時刻tの地磁気ベクトルの単位ベクトルをe1,t、時刻tの地磁気ベクトルおよび加速度ベクトルで張られる平面に垂直な方向の単位ベクトルをe3,t、これら2つの単位ベクトルに垂直な単位ベクトルをe2,tとすると、モード行列Stは式(28)のように示される。モード行列Stも直交行列である。したがって、モード行列S0,Stを構成するベクトルの性質を考慮すると、モード行列S0とモード行列Stとの関係は式(29)のように表される。
Rtは、時刻tのボール座標系から、基準時刻t0のボール座標系(すなわち、座標系C0)を示す基準座標系への座標変換を与える行列である。式(29)から式(30)が導出されるため、時刻tの基準座標系における加速度ベクトル(a*
x,a*
y,a*
z)は、ボール座標系における加速度ベクトル(ax,ay,az)を用いて式(31)のように表される。
ここで、時刻(t0-kΔt)から時刻(t0+kΔt)までの(2k+1)個のサンプリングポイントで基準座標系での加速度ベクトルが得られているとする。時間2kΔtにおける速度の変化(Δvx,Δvy,Δvz)は式(32)で表される。この速度変化の方向を基準座標系における投球方向とみなす。この場合、基準時刻t0における座標系C0(すなわち、基準座標系)での投球方向の方向余弦(lp,mp,np)は式(33)で表される。
<スイング平面の算出方式>
図4のステップS28のスイング平面の算出方式の詳細について説明する。上述したように、絶対空間において、リリース直前のボール2のスピン軸は、スイング平面に垂直な軸と一致するとみなすことができる。そのため、基準時刻t0における地磁気ベクトル(lM0,mM0,nM0)と、時刻t1(<t0)における地磁気ベクトル(lM1,mM1,nM1)とに直交している軸をスイング平面に垂直な軸として算出する。基準座標系(すなわち、基準時刻t0における座標系C0)でのスイング平面に垂直な軸の方向余弦(lthrow,mthrow,nthrow)は、式(34)のように定義された(Lthrow,Mthrow,Nthrow)を用いて、式(35)で表される。
図4のステップS28のスイング平面の算出方式の詳細について説明する。上述したように、絶対空間において、リリース直前のボール2のスピン軸は、スイング平面に垂直な軸と一致するとみなすことができる。そのため、基準時刻t0における地磁気ベクトル(lM0,mM0,nM0)と、時刻t1(<t0)における地磁気ベクトル(lM1,mM1,nM1)とに直交している軸をスイング平面に垂直な軸として算出する。基準座標系(すなわち、基準時刻t0における座標系C0)でのスイング平面に垂直な軸の方向余弦(lthrow,mthrow,nthrow)は、式(34)のように定義された(Lthrow,Mthrow,Nthrow)を用いて、式(35)で表される。
式(34)によると、方向余弦(Lthrow,Mthrow,Nthrow)は、地磁気ベクトル(lM0,mM0,nM0)と地磁気ベクトル(lM1,mM1,nM1)との外積で表される。そのため、式(34)および式(35)によると、方向余弦(lthrow,mthrow,nthrow)は、地磁気ベクトル(lM0,mM0,nM0)および地磁気ベクトル(lM1,mM1,nM1)に直交していることが理解される。この方向余弦(lthrow,mthrow,nthrow)が示す軸は、スイング平面に垂直な軸とみなすことができる。
<座標変換方式>
図4のステップS30の座標変換方式の詳細について説明する。ここでは、ボールに固定されたボール座標系(すなわち、座標系C0)で得られたベクトルを、絶対空間に固定された新たな座標系(以下、「座標系C1」とも称する。)に変換することを考える。座標系C1では、スピン軸がz軸と一致するように、初期地磁気ベクトルがz-x平面に拘束されるように定義される。まず、式(36)~(39)のように定義して、式(40)に示す座標変換行列R01を準備する。そして、式(41)に示すように、座標変換行列R01を用いて必要なベクトルを座標系C0から座標系C1に座標変換する。
図4のステップS30の座標変換方式の詳細について説明する。ここでは、ボールに固定されたボール座標系(すなわち、座標系C0)で得られたベクトルを、絶対空間に固定された新たな座標系(以下、「座標系C1」とも称する。)に変換することを考える。座標系C1では、スピン軸がz軸と一致するように、初期地磁気ベクトルがz-x平面に拘束されるように定義される。まず、式(36)~(39)のように定義して、式(40)に示す座標変換行列R01を準備する。そして、式(41)に示すように、座標変換行列R01を用いて必要なベクトルを座標系C0から座標系C1に座標変換する。
ここでは、座標変換行列R01を用いて、座標系C0におけるスピン軸、基準時刻t0の座標系C0における投球方向、スイング平面に垂直な軸、および初期地磁気方向が、それぞれ座標系C1におけるスピン軸、投球方向、スイング平面に垂直な軸および初期地磁気方向に変換される。座標系C1におけるスピン軸、投球方向、スイング平面に垂直な軸および初期地磁気方向は、それぞれ、式(42)、式(43)、式(44)および式(45)で表される。
式(45)によると、初期地磁気ベクトルのx-y平面への投影は、x軸と一致する。
続いて、各時刻の地磁気ベクトルの方向が初期地磁気ベクトル方向と一致するように、各時刻の地磁気ベクトルをスピン軸周り(すなわち、z軸周り)に回転させる。時刻tの地磁気ベクトル(Mx.t,My.t,Mz.t)が初期地磁気ベクトル方向と一致するための条件は、地磁気ベクトル(Mx.t,My.t,Mz.t)のx-y平面の投影がx軸と一致することである。したがって、(ct,st)を式(46)のように定義すると、式(47)に示す回転が条件を満たす。
ここで、リリース時刻からボール2の回転が安定するまでの間に、スピン軸(ここでは、z軸)以外の角速度成分が発生する可能性がある。この補正すべき角速度成分は、z軸と垂直な平面(すなわち、x-y平面)内に存在する必要がある。ここまでの処理を終えた段階で、各時刻の地磁気ベクトル(Mx.t,My.t,Mz.t)はすべてz-x平面上に存在する。したがって、補正すべき角速度成分はy軸周りの回転を考えればよい。
解析区間Txの平均地磁気ベクトル(Mx.mean,My.mean,Mz.mean)を式(48)で定義し、その方向余弦(lM1,mM1,nM1)を式(49)で定義する。
時刻tの地磁気ベクトルの方向が初期地磁気ベクトル方向と一致しており、初期地磁気ベクトルが式(45)で示されるため、(lM1,mM1,nM1)=(lM1,0,nM1)が成立する。したがって、式(50)により所望の回転補正を行なうことができる。
同様の回転補正を、投球方向およびスイング平面に垂直な軸の方向余弦に対しても実行する。これにより、補正後の投球方向およびスイング平面に垂直な軸の方向余弦は、それぞれ式(51)および式(52)で表される。
なお、この回転補正により、スイング平面に垂直な軸と初期地磁気ベクトルとの直交性の保証は失われる。
続いて、上記の各ベクトルの回転補正後に、絶対空間に固定された座標系C1から、絶対空間に固定された座標系C2への座標変換を考える。座標系C2では、投球方向がx軸、重力方向上向きがy軸、x軸およびy軸に直交する軸がz軸となるように定義される。座標系C2は、図9に示す座標系に対応する。投手である被験者5が右手でボール2を投げる場合、z軸はピッチャーマウンドから三塁への方向となる。まず、投球方向をx軸、スイング平面に垂直な軸をz-x平面にそれぞれ拘束するようにする。式(53)~(56)のように定義して、式(57)に示す座標変換行列R^12を準備する。
座標変換行列R^12を用いて、スイング平面に垂直な軸を、座標系C1から座標系C2に座標変換することを考える。この場合、座標系C2におけるスイング平面に垂直な軸の方向余弦(lth3,mth3,nth3)は式(58)で表される。スイング平面に垂直な軸および投球方向の軸(すなわち、x軸)に垂直な軸の方向余弦(lth2,mth2,nth2)はy軸方向と一致する。したがって、式(59)が成立する。
方向余弦(lth2,mth2,nth2)および方向余弦(lth3,mth3,nth3)に垂直な軸の方向余弦(lth1,mth1,nth1)は式(60)で表される。
しかし、nth1≠0である。これは、スイング平面が投球方向と一致していないことを意味する。したがって、各方向余弦を投球方向の軸(すなわち、x軸)周りに回転させて、回転後の各方向余弦を求めることにより、この問題を解決する。これは、図9において、スイング平面に垂直な軸501、スイング平面511、スピン軸521をそれぞれx軸周りに回転させることにより、スイング平面に垂直な軸503、スイング平面513、スピン軸521を求めることに対応している。各方向余弦を(lth,k,mth,k,nth,k)とすると(k=1~3)、x軸周りに角度θ回転させたときの各方向余弦(lth,k
*,mth,k
*,nth,k
*)は式(61)で示される。
スイング平面と投球方向とを一致させるためには、nth,1
*=nth,2
*とすればよいため、式(62)の関係が得られる。そして、式(62)から角度θは式(63)で表される。
角度θは、スイング平面に対する鉛直方向軸(すなわち、y軸)の傾きに相当する。角度θを用いて座標変換行列R^12を修正した座標変換行列R12は式(64)で表される。そして、式(65)に示すように、最終的な座標変換行列R12を用いて必要なベクトルを座標系C1から座標系C2に座標変換する。
具体的には、式(66)、式(67)および式(68)に示すように、スピン軸、投球方向およびスイング平面に垂直な軸を、座標系C1から座標系C2に座標変換する。これにより、図9に示すスイング平面に垂直な軸503、スイング平面513、スピン軸523が得られる。
式(66)により得られたスピン軸の方向余弦を用いると、方位角θazimuthおよび仰角θelevationは、それぞれ式(69)および式(70)で表される。さらに、鉛直平面に対するスイング平面の角度θxは、式(71)で表される。
これにより、座標系C2におけるスピン軸の向き(例えば、方位角θazimuthおよび仰角θelevation)が特定される。
<ボールの軌道算出方式>
図4のステップS32のボール2の軌道算出方式の詳細について説明する。
図4のステップS32のボール2の軌道算出方式の詳細について説明する。
まず、空力計算に必要な係数を求めるために、座標系C2におけるボール2の投球方向とスピン軸の方向とのなす角を示す方位角φと、スピンパラメータSPとを算出する。
軌道上のある瞬間におけるボール2の速度ベクトルの方向余弦を(lv,mv,nv)、当該瞬間におけるボール2の角速度ベクトルの方向余弦を(lω*,mω*,nω*)とすると、方位角φは式(72)で表される。これらの方向余弦は、絶対座標系におけるパラメータである。
φ=0である場合には投球方向にスピン軸が直交していることを意味し、φ=±π/2である場合には投球方向とスピン軸とが一致することを意味する。次に、スピン量ωおよび軌道上のある瞬間におけるボール速度Vabsを用いて、スピンパラメータSPは式(73)で表される。ボール速度Vabsは、3軸方向の速度vx,vy,vzの二乗和の平方根で表される。3軸方向の速度vx,vy,vzは、時系列の3軸加速度データから求められる。
rは、ボール2の半径(例えば、約3.7cm)である。なお、ボール2の円周は例えば、22.9~23.5cmである。方位角φとスピンパラメータSPを用いて、空力実験等により得られた公知のデータに基づき、抗力係数CD、揚力係数CL、横力係数CSが決定される。これらの係数を用いると、抗力FD、揚力FLおよび横力FSがそれぞれ式(74)、式(75)および式(76)に示すように計算される。
力の単位は全てニュートン(N)である.ここで、ρは空気の比重(kg/m3)、A(=πr2)はボール2の投影面積(m2)である。なお、ボール速度Vの単位は(m/s)である。比重ρは、気圧P(Pa)、温度tp(℃)、乾燥空気の気体定数R(=287)(J/kg・K)を用いると、式(77)で表される。
続いて、空力力の作用する方向の単位ベクトルをそれぞれeD、eL、eSとすると、式(78)~(81)が成立する。
ある瞬間の位置ベクトルを(x,y,z)T、速度ベクトルを(vx,vy,vz)Tと定義すると、式(82)に示す連立微分方程式が得られる。
Mはボール2の質量、gは重力加速度(すなわち、9.8m/s2)である。ボール2の基準時刻t0におけるボール2の位置ベクトルおよび速度ベクトル(すなわち、初速ベクトル)が与えられると、Runge-Kutta法等を用いて連立微分方程式を解くことにより、ボール2の軌道を算出することができる。なお、リリース後のスピン量およびスピン方向の変化は無視できるほど小さいものとする。
なお、空力項の成分を無視した(すなわち、抗力FD、揚力FLおよび横力FSを0とした)場合の計算結果と、空力項の成分を無視しない場合の計算結果との差は、ボール2のスピンにより生じた変化量に対応する。具体的には、この変化量は、ボール2が重力の影響のみを受けて到達した地点を原点とした場合の左右方向および上下方向の変化量である。
<各種情報の算出>
端末装置10で表示される各種情報の算出方式について説明する。センサ機器20により算出されるスピン量ωおよびスピン軸の方向を示す情報(例えば、θazimuthおよび仰角θelevation)は、例えば、図10に示すように表示される。
端末装置10で表示される各種情報の算出方式について説明する。センサ機器20により算出されるスピン量ωおよびスピン軸の方向を示す情報(例えば、θazimuthおよび仰角θelevation)は、例えば、図10に示すように表示される。
図10は、ユーザインターフェイス画面を示す図である。図10を参照して、端末装置10は、センサ機器20から受信したスピンに関する情報を含むユーザインターフェイス画面600をディスプレイ110に表示する。図10では、スピン量ω(例えば、1673.4rpm)と仰角θelevation(例えば、23°)の表示例が示されている。
また、センサ機器20は、算出した時系列のスピン量ωに基づいて、スピン生成時間およびスピン生成躍度を算出する。
図11は、スピン量の時間変化を示す図である。図11のグラフの横軸は時間を示しており、縦軸はスピン量(rad/s)を示している。横軸において、ボール2の加速度が最大となる基準時刻t0を“時刻0ms”としている。時刻(-12ms)から時刻8msまでの間スピン量はほぼ一定であり、時刻8msから急激にスピン量が増大し、時刻23ms以降においてスピン量は再度ほぼ一定となる。
時刻(-12ms)から時刻8msまでの間の一定のスピン量は、被験者5の腕のスイング角速度を示している。また、時刻23ms以降の一定のスピン量は、ボール2のスピン角速度を示している。センサ機器20は、スピン量が大きく変化する時間(すなわち、時刻8ms~時刻23msまでの時間)をスピン生成時間として算出する。また、センサ機器20は、スピン生成時間におけるスピン量の変化率(傾き)をスピン生成躍度として算出する。スピン生成時間は、投手のパフォーマンスを評価する指標となり得る。また、スピン生成躍度は、球種の技術評価の指標となり得る。
また、センサ機器20は、上述したスピン軸の計算過程において使用した変数を用いて、被験者5の投球フォームに関する情報を特定することもできる。
図12は、各種パラメータを説明するための図である。具体的には、図12は、図9に各種パラメータを追記したものである。式(71)で算出されたスイング平面と鉛直平面とのなす角度θxは、投球フォームを評価する指標となり得る。具体的には、角度θxが0°に近ければ投球フォームがオーバースローに近いことを意味し、角度θxが90°に近ければサイドスローに近いことを意味する。
また、スイング平面上の円弧の半径は、被験者5の腕のスイングアーク長に相当する。ボール2の並進速度は、スイングアーク長と投球腕のスイング角速度との積に等しい。スイングアーク長が大きいことは、全身を大きく使ったスイングフォームであることを意味し、スイングアーク長が小さいことは、腕をコンパクトに使ったスイングフォームであることを意味する。このように、投球フォームを定量的に評価することが可能となる。
<機能構成>
図13は、センサ機器20の機能構成例を示すブロック図である。図13を参照して、センサ機器20は、取得部250と、スピン軸算出部252と、スピン量算出部254と、投球方向算出部256と、スイング平面算出部258と、座標変換部260と、軌道算出部262とを含む。これらは、基本的には、センサ機器20のプロセッサ202等によって実現される。なお、これらの機能構成の一部または全部は、ハードウェアで実現されていてもよい。
図13は、センサ機器20の機能構成例を示すブロック図である。図13を参照して、センサ機器20は、取得部250と、スピン軸算出部252と、スピン量算出部254と、投球方向算出部256と、スイング平面算出部258と、座標変換部260と、軌道算出部262とを含む。これらは、基本的には、センサ機器20のプロセッサ202等によって実現される。なお、これらの機能構成の一部または全部は、ハードウェアで実現されていてもよい。
取得部250は、被験者5により放出されるボール2に内蔵されたセンサにより検出される時系列の3軸加速度データおよび3軸地磁気データを取得する。取得部250は、3軸加速度データおよび3軸地磁気データをスプライン補間により内挿する。また、取得部250は、取得した3軸地磁気データに対して、地磁気センサ206のオフセット量を除去するオフセット処理を施す。
スピン軸算出部252は、3軸地磁気データに基づいて、ボール2に固定された座標系(すなわち、ボール座標系)におけるボール2のスピン軸を算出する。具体的には、スピン軸算出部252は、上記の図6のステップS22で説明した処理を実行して、スピン軸の方向余弦(lω,mω,nω)および距離hを算出する。
スピン量算出部254は、3軸地磁気データとボール座標系におけるスピン軸とに基づいて、ボール2のスピン量ωを算出する。具体的には、スピン量算出部254は、上記の<スピン量の算出方式>にて説明した処理を実行して、スピン量ωを算出する。
他の局面では、スピン量算出部254は、時系列のスピン量に基づいて、スピン量の変化率が閾値Th1以上に達してから閾値Th1未満になるまでの時間を示すスピン生成時間と、スピン生成時間における変化率の大きさを示すスピン生成躍度とを算出する(図11参照)。
投球方向算出部256は、被験者5がボール2を放出する時刻を示す基準時刻t0における3軸加速度データおよび3軸地磁気データと、基準時刻t0の前後の所定期間(例えば、時刻(t0-kΔt)から時刻(t0+kΔt)までの期間)における3軸加速度データおよび3軸地磁気データとに基づいて、基準時刻t0のボール座標系(すなわち、基準座標系)におけるボール2の放出方向(投球方向)を算出する。具体的には、投球方向算出部256は、<投球方向の算出方式>にて説明した処理を実行して、基準座標系における投球方向の方向余弦(lp,mp,np)を算出する。
スイング平面算出部258は、基準時刻t0における3軸地磁気データと、基準時刻t0より前の時刻t1における3軸地磁気データとに基づいて、基準座標系における、スイング平面に垂直な軸を算出する。具体的には、スイング平面算出部258は、上記の<スイング平面の算出方式>にて説明した処理を実行して、基準座標系におけるスイング平面に垂直な軸の方向余弦(lthrow,mthrow,nthrow)を算出する。
座標変換部260は、ボール座標系(すなわち、座標系C0)におけるスピン軸と、基準時刻t0の座標系C0(すなわち、基準座標系)におけるボール2の投球方向と、基準時刻t0の座標系C0におけるスイング平面に垂直な軸とを座標変換することにより、絶対空間に固定された座標系(すなわち、座標系C2)におけるボール2のスピン軸を算出する。座標変換部260は、上記の<座標変換方式>にて説明した処理を実行して、座標系C2におけるスピン軸の向き(例えば、方位角θazimuthおよび仰角θelevation)を算出する。
具体的には、座標変換部260は、スピン軸と、投球方向と、スイング平面に垂直な軸を座標系C0から座標系C1に座標変換する。座標系C1は、絶対空間に固定された座標系であって、スピン軸がz軸に一致し、基準時刻t0における3軸地磁気データに基づく初期地磁気ベクトルがz-x平面に拘束されるように定義される。次に、座標変換部260は、スピン軸と、投球方向と、スイング平面に垂直な軸を座標系C1から座標系C2に座標変換する。座標系C2は、絶対空間に固定された座標系であって、投球方向がx軸、重力方向上向きがy軸、x軸およびy軸に直交する軸がz軸となるように定義される。
他の局面では、座標変換部260は、スイング平面に含まれる円弧状の軌跡の半径を、被験者5のスイングアーク長として算出する。座標変換部260は、鉛直平面に対する、座標系C2におけるスイング平面の角度θxを算出する。
軌道算出部262は、ボール2の軌道を算出する。具体的には、軌道算出部262は、絶対座標系(すなわち、座標系C2)におけるスピン軸とボール2の投球方向とのなす角度φと、ボール2のボール速度Vabsと、スピン量ωとに基づいて空力係数(例えば、抗力係数CD、揚力係数CL、横力係数CS)を算出する。軌道算出部262は、空力係数に基づいてボール2に与えられる空力(例えば、抗力FD、揚力FLおよび横力FS)を算出する。軌道算出部262は、基準時刻t0におけるボール2の位置ベクトルおよび速度ベクトルと、空力と、所定の微分方程式とに基づいて、ボール2の軌道を算出する。また、軌道算出部262は、空力を無視しない場合のボール2の軌道と、空力を無視した場合のボール2の軌道との変化量を算出する。詳細には、軌道算出部262は、上記の<ボールの軌道算出方式>にて説明した処理を実行する。
<利点>
本実施の形態によると、地磁気センサのキャリブレーション、ボール2を静止させるプロセスが不要となる。また、投球方向、スピン軸およびスイング平面を独立して求め、これらの組み合わせにより絶対座標系におけるスピン軸を算出するため、高速処理が可能である。地磁気が影響を受けやすい環境においても精度よくスピン軸を算出することができる。投球フォーム等の評価指標となり得る各種情報(例えば、スピン軸、スピン生成時間、スピン生成躍度、スイングアーク長等)を提供することができる。
本実施の形態によると、地磁気センサのキャリブレーション、ボール2を静止させるプロセスが不要となる。また、投球方向、スピン軸およびスイング平面を独立して求め、これらの組み合わせにより絶対座標系におけるスピン軸を算出するため、高速処理が可能である。地磁気が影響を受けやすい環境においても精度よくスピン軸を算出することができる。投球フォーム等の評価指標となり得る各種情報(例えば、スピン軸、スピン生成時間、スピン生成躍度、スイングアーク長等)を提供することができる。
<その他の実施の形態>
(1)上述した実施の形態では、センサが内蔵されたボール2が野球用のボールである構成を例に挙げて説明したが、当該構成に限られない。例えば、ボール2がソフトボール用のボールであっても同様に適用可能である。
(1)上述した実施の形態では、センサが内蔵されたボール2が野球用のボールである構成を例に挙げて説明したが、当該構成に限られない。例えば、ボール2がソフトボール用のボールであっても同様に適用可能である。
(2)上述した実施の形態では、センサ機器20が3軸加速度センサおよび3軸地磁気センサを含む構成について説明したが、センサ機器20は3軸角速度センサをさらに含んでもよい。この場合、取得部250は、3軸角速度センサにより検出される時系列の3軸角速度データをさらに取得する。3軸角速度データもスプライン補間により内挿される。
当該構成によると、センサ機器20は、3軸角速度センサにより検出されたスピン量を採用することもできる。したがって、ボール2のスピン量が著しく小さい場合等、3軸地磁気センサの地磁気データに基づいてスピン量を精度よく算出できない場合には、3軸角速度センサにより検出されたスピン量を採用してもよい。
(3)上述した実施の形態において、センサ機器20の一部の機能を、端末装置10が有する構成であってもよい。例えば、図13のセンサ機器20の機能を、端末装置10が有する構成であってもよい。この場合、端末装置10の取得部は、センサ機器20のセンサにより検出されたセンサデータ(例えば、加速度、地磁気、角速度等)を受信して上述した処理を実行する。他の機能構成については、図13で説明した機能構成と同様である。
(4)コンピュータを機能させて、上述の実施の形態で説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
(5)上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 ボール、5 被験者、10 端末装置、20 センサ機器、102,202 プロセッサ、104,204 メモリ、106 タッチパネル、110 ディスプレイ、112 無線通信部、113 通信アンテナ、114 メモリインターフェイス、115 記録媒体、116 スピーカ、118 マイク、205 加速度センサ、206 地磁気センサ、212 蓄電池、250 取得部、252 スピン軸算出部、254 スピン量算出部、256 投球方向算出部、258 スイング平面算出部、260 座標変換部、262 軌道算出部、511,513 スイング平面、521,523 スピン軸、600 ユーザインターフェイス画面、1000 解析装置。
Claims (10)
- 被験者により放出されるボールに内蔵されたセンサにより検出される時系列の3軸加速度データおよび3軸地磁気データを取得する取得部と、
前記3軸地磁気データに基づいて、前記ボールに固定された第1座標系における前記ボールのスピン軸を算出するスピン軸算出部と、
前記3軸地磁気データと前記スピン軸とに基づいて、前記ボールのスピン量を算出するスピン量算出部と、
前記被験者が前記ボールを放出する時刻を示す基準時刻における3軸加速度データおよび3軸地磁気データと、前記基準時刻の前後の所定期間における3軸加速度データおよび3軸地磁気データとに基づいて、前記基準時刻の前記第1座標系における前記ボールの放出方向を算出する方向算出部と、
前記基準時刻における3軸地磁気データと、前記基準時刻より前の第1時刻における3軸地磁気データとに基づいて、前記基準時刻の前記第1座標系における、前記ボールの放出前に前記被験者の腕が描く円弧状の軌跡を含むスイング平面に垂直な軸を算出するスイング平面算出部と、
前記第1座標系における前記スピン軸と、前記基準時刻の前記第1座標系における前記ボールの放出方向と、前記基準時刻の前記第1座標系における前記スイング平面に垂直な軸とを座標変換することにより、絶対空間に固定された第2座標系における前記ボールのスピン軸を算出する座標変換部とを備える、解析装置。 - 前記座標変換部は、前記ボールのスピン軸、前記ボールの放出方向、および前記スイング平面に垂直な軸の各々を前記第1座標系から、絶対空間に固定された第3座標系に座標変換し、
前記第3座標系は、前記ボールのスピン軸がz軸に一致し、前記基準時刻における3軸地磁気データに基づく初期地磁気ベクトルがz-x平面に拘束されるように定義され、
前記座標変換部は、前記ボールのスピン軸、前記ボールの放出方向、および前記スイング平面に垂直な軸の各々を前記第3座標系から前記第2座標系に座標変換し、
前記第2座標系は、前記ボールの放出方向がx軸、重力方向上向きがy軸、x軸およびy軸に直交する軸がz軸となるように定義される、請求項1に記載の解析装置。 - 前記スピン量算出部は、時系列の前記スピン量に基づいて、前記スピン量の変化率が第1閾値以上に達してから前記第1閾値未満になるまでの時間を示すスピン生成時間と、前記スピン生成時間における前記変化率の大きさを示すスピン生成躍度とを算出する、請求項1または2に記載の解析装置。
- 前記座標変換部は、前記スイング平面に含まれる円弧状の軌跡の半径を、前記被験者のスイングアーク長として算出する、請求項1~3のいずれか1項に記載の解析装置。
- 前記座標変換部は、鉛直平面に対する、前記第2座標系における前記スイング平面の角度を算出する、請求項1~4のいずれか1項に記載の解析装置。
- 前記ボールの軌道を算出する軌道算出部をさらに備え、
前記軌道算出部は、
前記第2座標系における前記スピン軸と前記ボールの放出方向とのなす角度と、前記ボールの速度と、前記スピン量とに基づいて、空力係数を算出し、
前記空力係数に基づいて、前記ボールに与えられる空力を算出し、
前記基準時刻における前記ボールの位置ベクトルおよび速度ベクトルと、前記空力と、所定の微分方程式とに基づいて、前記ボールの軌道を算出する、請求項1~5のいずれか1項に記載の解析装置。 - 前記軌道算出部は、前記空力を無視しない場合の前記ボールの軌道と、前記空力を無視した場合の前記ボールの軌道との変化量を算出する、請求項6に記載の解析装置。
- 前記取得部は、前記センサにより検出される時系列の3軸角速度データをさらに取得する、請求項1~7のいずれか1項に記載の解析装置。
- 時系列の前記3軸加速度データ、前記3軸地磁気データおよび前記3軸角速度データは、スプライン補間により内挿される請求項8に記載の解析装置。
- 被験者により放出されるボールに内蔵されたセンサにより検出される時系列の3軸加速度データおよび3軸地磁気データを取得するステップと、
前記3軸地磁気データに基づいて、前記ボールに固定された第1座標系における前記ボールのスピン軸を算出するステップと、
前記3軸地磁気データと前記スピン軸とに基づいて、前記ボールのスピン量を算出するステップと、
前記被験者が前記ボールを放出する時刻を示す基準時刻における3軸加速度データおよび3軸地磁気データと、前記基準時刻の前後の所定期間における3軸加速度データおよび3軸地磁気データとに基づいて、前記基準時刻の前記第1座標系における前記ボールの放出方向を算出するステップと、
前記基準時刻における3軸地磁気データと、前記基準時刻より前の第1時刻における3軸地磁気データとに基づいて、前記基準時刻の前記第1座標系における、前記ボールの放出前に前記被験者の腕が描く円弧状の軌跡を含むスイング平面に垂直な軸を算出するステップと、
前記第1座標系における前記スピン軸と、前記基準時刻の前記第1座標系における前記ボールの放出方向と、前記基準時刻の前記第1座標系における前記スイング平面に垂直な軸とを座標変換することにより、絶対空間に固定された第2座標系における前記ボールのスピン軸を算出するステップとを含む、解析方法。
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