JP2023033738A - タッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルムおよびタッチセンサフィルム - Google Patents

タッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルムおよびタッチセンサフィルム Download PDF

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Katsuyuki Nukui
大悟 澤木
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Abstract

【課題】タッチセンサフィルムの故障を抑制しながらも製造効率を向上できるタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルムおよびタッチセンサフィルムを提供する。【解決手段】タッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム(1)は、基板(2)と、基板(2)上に配置された検知電極(11、21)と、基板(2)上の検知電極(11、22)の周辺に配置された周辺配線(13、23)とを有し、検知電極(11、21)と周辺配線(13、23)は、互いに同一の組成からなり、且つ、互いに隔離されている。【選択図】 図2

Description

この発明は、タッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルムおよびタッチセンサフィルムに関する。
近年、携帯情報機器を始めとした各種の電子機器において、液晶表示装置等の表示装置と組み合わせて用いられ、画面に接触することによる電子機器への入力操作を検知するタッチセンサフィルムの普及が進んでいる。
例えば、特許文献1には、タッチ操作を検知するためのメッシュ形状の検知電極を有するタッチセンサフィルムが開示されている。特許文献1では、いわゆるロールトゥロール方式により長尺の支持体を搬送しながら、その支持体上に検知電極を含む複数の導電パターンを形成することにより、複数のタッチセンサフィルムが製造される。
特開2018-124713号公報
一般的に、例えばロールトゥロール方式で支持体が巻き取られる場合等に、支持体上に形成された導電パターン同士が重なり合うことがある。この状態から支持体同士が剥離されると、剥離した支持体上に形成された導電パターンが帯電して、導電パターン内で電位差が生じることがある。この電位差により導電パターン内でスパークが生じ、導電パターンが焼き切れる等の故障が生じることがあった。
また、近年では、複数の検知電極の外側の領域を狭くすることにより、いわゆる狭額縁化が試みられている。狭額縁化が行われる場合には、複数の周辺配線間の間隔および周辺配線と検知電極との間隔が狭くなり、導電パターンにおいてさらにスパークが発生しやすくなるという問題があった。
特許文献1では、長尺の支持体をロールトゥロール方式で搬送する際に支持体同士が互いに重なり合うが、支持体上に形成される導電パターンの間隔を導電パターンの寸法よりも広くすることで導電パターン同士の重なり合いを解消し、導電パターンにおけるスパークの発生を抑制している。
しかしながら、特許文献1の技術では、スパークの発生によるタッチセンサフィルムの故障を抑制できるが、支持体上に形成される導電パターンの間隔が導電パターンの寸法よりも広くなるように設計されているため、支持体の面積に対して製造されるタッチセンサフィルムの面積の割合が小さいため、製造効率の向上という観点では改善の余地があった。
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、タッチセンサフィルムの故障を抑制しながらも製造効率を向上できるタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルムおよびタッチセンサフィルムを提供することを目的とする。
この発明に係るタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルムは、基板と、基板上に配置された検知電極と、基板上の検知電極の周辺に配置された周辺配線とを有し、検知電極と周辺配線は、互いに同一の組成からなり、且つ、互いに隔離されていることを特徴とする。
前駆体フィルムの検知電極は、メッシュ形状を有することができる。
基板は、複数の検知電極が形成される複数の電極領域を有し、前駆体フィルムの周辺配線の一端部は、電極領域の内側に配置されることができる。
また、前駆体フィルムの周辺配線は、第1方向に沿って延びる第1基部と、第1方向に対して交差する第2方向に沿って第1基部から検知電極に向かって延びる複数の第1櫛歯状部を含む第1櫛状パターンを有し、検知電極は、第1方向に沿って延びる第2基部と、第2方向に沿って第2基部から第1櫛状パターンに向かって延びる複数の第2櫛歯状部を含み、第1櫛状パターンに対向するように配置された第2櫛状パターンを有し、第1櫛状パターン部と第2櫛状パターン部は、第1方向において、第1櫛歯状部と第2櫛歯状部が交互に配列されるように、互いに隔離して配置されることができる。
前駆体フィルムの検知電極と周辺配線は、基板の両面に配置されることができる。
この発明に係るタッチセンサフィルムは、基板と、基板上に配置された検知電極と、基板上の検知電極の周辺に配置された周辺配線と、検知電極と周辺配線とを電気的に接続する接続部とを有し、検知電極と周辺配線は、互いに同一の組成からなり、且つ、互いに隔離され、接続部は、検知電極の表面と周辺配線の表面とに接触していることを特徴とする。
タッチセンサフィルムの検知電極は、メッシュ形状を有することができる。
基板は、複数の検知電極が形成される複数の電極領域を有し、タッチセンサフィルムの周辺配線の一端部は、電極領域の内側に配置されることができる。
また、タッチセンサフィルムの周辺配線は、第1方向に沿って延びる第1基部と、第1方向に対して交差する第2方向に沿って第1基部から検知電極に向かって延びる複数の第1櫛歯状部を含む第1櫛状パターンを有し、検知電極は、第1方向に沿って延びる第2基部と、第2方向に沿って第2基部から第1櫛状パターンに向かって延びる複数の第2櫛歯状部を含み、第1櫛状パターンに対向するように配置された第2櫛状パターンを有し、第1櫛状パターン部と第2櫛状パターン部は、第1方向において、第1櫛歯状部と第2櫛歯状部が交互に配列されるように、互いに隔離して配置されることができる。
タッチセンサフィルムの検知電極と周辺配線は、基板の両面に配置されることができる。
この発明によれば、タッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルムが、基板と、基板上に配置された検知電極と、基板上の検知電極の周辺に配置された周辺配線とを有し、検知電極と周辺配線は、互いに同一の組成からなり、且つ、互いに隔離されているため、タッチセンサフィルムの故障を抑制しながらも製造効率を向上できる。
本発明の実施の形態1に係る前駆体フィルムの部分断面図である。 本発明の実施の形態1に係る前駆体フィルムを示す平面図である。 本発明の実施の形態1に係る前駆体フィルムの第1周辺配線と第1検知電極を拡大して示す平面図である。 本発明の実施の形態1におけるタッチセンサフィルムの第1周辺配線と第1検知電極と接続部を拡大して示す平面図である。 本発明の実施の形態1におけるタッチセンサフィルムの部分断面図である。 本発明の実施の形態1の変形例に係る前駆体フィルムの第1周辺配線と第1検知電極を拡大して示す平面図である。 本発明の実施の形態2に係る前駆体フィルムの第1周辺配線と第1検知電極を拡大して示す平面図である。 本発明の実施の形態2におけるタッチセンサフィルムの第1周辺配線と第1検知電極と接続部を拡大して示す平面図である。 本発明の実施の形態2の変形例に係る前駆体フィルムの第1周辺配線と第1検知電極を拡大して示す平面図である。 本発明の実施の形態3に係る前駆体フィルムの第1周辺配線と第1検知電極を拡大して示す平面図である。 本発明の実施の形態3におけるタッチセンサフィルムの第1周辺配線と第1検知電極と接続部を拡大して示す平面図である。 比較例に係る前駆体フィルムの第1周辺配線と第1検知電極を拡大して示す平面図である。 ロールトゥロール方式を用いた前駆体フィルムの製造装置の例を示す図である。 ロールトゥロール方式により製造された実施例の試料片を示す図である。
以下に、添付の図面に示す好適な実施の形態に基づいて、この発明に係るタッチパネル用導電部材を詳細に説明する。
なお、以下において、数値範囲を示す表記「~」は、両側に記載された数値を含むものとする。例えば、「sが数値t1~数値t2である」とは、sの範囲は数値t1と数値t2を含む範囲であり、数学記号で示せばt1≦s≦t2である。
「直交」および「平行」等を含め角度は、特に記載がなければ、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
「透明」とは、光透過率が、波長400nm~800nmの可視光波長域において、少なくとも40%以上のことであり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上のことである。光透過率は、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率および全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
実施の形態1
図1に、本発明の実施の形態1に係るタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム1の構成を示す。
前駆体フィルム1は、図示しないタッチセンサフィルムの製造途中において得られるものであり、透明で且つ絶縁性を有する基板2と、基板2の第1面2A上に配置された第1導電層3Aと、基板2の第2面2B上に配置された第2導電層3Bを有する。
図2に示すように、基板2は、第1面2Aにおいて、一定の方向に沿って延び且つその方向に対して直交する方向に沿って配列された複数の第1電極領域Q1を有している。
基板2の第1面2A上に配置された第1導電層3Aは、複数の第1電極領域Q1のそれぞれに配置され且つ第1電極領域Q1が延びる方向と同一の方向に延びる複数の第1検知電極11と、複数の第1検知電極11の周辺に配置された、複数の第1検知電極11の数に対応する数の複数の第1周辺配線13と、複数の第1周辺配線13に電気的に接続された複数の第1電極パッド14を有している。複数の第1検知電極11、複数の第1周辺配線13および複数の第1電極パッド14は、互いに同一の組成からなる。また、複数の第1検知電極11、複数の第1周辺配線13および複数の第1電極パッド14は、同時に形成される。
ここで、説明のために、複数の第1検知電極11が延びる一定の方向をX方向と呼び、X方向に直交する複数の第1検知電極11の配列方向をY方向と呼び、X方向およびY方向に直交する複数の第1検知電極11の厚み方向をZ方向と呼ぶ。
複数の第1周辺配線13は、それぞれ、その一端部が対応する第1検知電極11のX方向の片側の端部の近傍に配置され、他端部が第1電極パッド14に連結されている。第1検知電極11の近傍に配置される第1周辺配線13の一端部は、第1検知電極11の周辺に配置され且つ一端部が第1電極パッド14に連結される配線部15と、配線部15の他端部に連結され且つY方向に沿って延びる端末部16を有している。
この端末部16と第1検知電極11は、図3に示すように、X方向において互いに隔離されており、より具体的には、間隔L1を互いに隔てて配置されている。そのため、第1検知電極11と第1周辺配線13は、互いに電気的に絶縁されている。
また、第1検知電極11は、第1電極領域Q1内に形成された複数の金属細線MWにより構成されており、複数の金属細線MWにより、ひし形のメッシュ形状のパターンMPが形成されている。
ところで、通常、タッチセンサフィルムは、例えば第1周辺配線と第1検知電極とが互いに連結することにより、第1検知電極と第1周辺配線とが互いに電気的に接続されるように設計されることが多い。また、通常、製造工程を少なくするために、互いに電気的に接続された第1検知電極と第1周辺配線とが同時に形成されることが多い。
このようにして製造される従来のタッチセンサフィルムは、例えばいわゆるロールトゥロール方式における巻き取りの工程等で他のタッチセンサフィルムと重ね合わされることがある。この状態からタッチセンサフィルム同士が剥離すると、剥離したタッチセンサフィルムの第1導電層が帯電して、第1導電層内で電位差が生じることがある。この電位差により、第1導電層内でスパークが生じ、第1導電層を構成する複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドを含む導電パターンが焼き切れる等の故障が生じることがあった。
また、近年では、複数の検知電極の外側の領域を狭くすることにより、いわゆる狭額縁化が試みられている。この狭額縁化のために、複数の周辺配線間の間隔および周辺配線と検知電極との間隔が狭くなるが、これにより、導電パターン内でスパークが生じやすくなるという問題があった。
本発明の実施の形態1に係るタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム1においては、第1検知電極11と第1周辺配線13とが互いに電気的に絶縁しているため、第1導電層3Aが帯電して第1導電層3A内で電位差が生じた場合でも、第1導電層3A内でスパークが生じることを抑制でき、複数の第1検知電極11、複数の第1周辺配線13および複数の第1電極パッド14を含む導電パターンが焼き切れる等の故障も抑制できる。
また、タッチセンサフィルムを狭額縁化するために、前駆体フィルム1の複数の第1周辺配線13の間隔および複数の第1周辺配線13と複数の第1検知電極11との間隔を狭くした場合でも、第1検知電極11と第1周辺配線13とが互いに電気的に絶縁しているため、第1導電層3A内の導電パターンにおけるスパークを抑制し、第1導電層3A内の導電パターンが焼き切れる等の故障を抑制できる。
また、図2に示すように、基板2は、第2面2Bにおいて、Y方向に沿って延び且つX方向に沿って配列された複数の第2電極領域Q2を有している。
基板2の第2面2B上に配置された第2導電層3Bは、複数の第2電極領域Q2のそれぞれに配置され且つY方向に沿って延びる複数の第2検知電極21と、複数の第2検知電極21の周辺に配置された、複数の第2検知電極21の数に対応する数の複数の第2周辺配線23と、複数の第2周辺配線23に電気的に接続された複数の第2電極パッド24を有している。複数の第2検知電極21、複数の第2周辺配線23および複数の第2電極パッド24は、互いに同一の組成からなる。また、複数の第2検知電極21、複数の第2周辺配線23および複数の第2電極パッド24は、同時に形成される。
複数の第2周辺配線23は、それぞれ、その一端部が対応する第2検知電極21のY方向の片側の端部の近傍に配置され、他端部が第2電極パッド24に連結されている。第2検知電極21の近傍に配置される第2周辺配線23の一端部は、第2検知電極21の周辺に配置され且つ一端部が第2電極パッド24に連結される配線部25と、配線部25の他端部に連結され且つX方向に沿って延びる端末部26を有している。この端末部26と第2検知電極21は、Y方向において互いに隔離されている。そのため、第2検知電極21と第2周辺配線23は、互いに電気的に絶縁されている。
このように、第2導電層3Bにおいても第1導電層3Aと同様に、第2検知電極21と第2周辺配線23が互いに電気的に絶縁されているため、第2導電層3Bが帯電して電位差を生じた場合でも第2導電層3B内のスパークの発生を抑制でき、第2導電層3Bを構成する導電パターンが断線する等の故障も抑制できる。
また、図示しないが、第2検知電極21は、第2電極領域Q2内に形成された複数の金属細線MWにより構成されており、第1検知電極11と同様に、複数の金属細線MWによりメッシュ形状のパターンMPが形成されている。
ここで、図4に示すように第1検知電極11の表面および第1周辺配線13の表面に接触するように基板2の第1面2A側の前駆体フィルム1の一方の面上に導電材料からなる接続部C1を形成し、第2検知電極21の表面および第2周辺配線23の表面に接触するように基板2の第2面2B側の前駆体フィルム1の他方の面上に接続部C1を形成することにより、タッチセンサフィルム41が製造される。このようにして前駆体フィルム1の一方の面上と他方の面上に接続部C1が形成されることにより、第1検知電極11と第1周辺配線13とが互いに電気的に接続され、第2検知電極21と第2周辺配線23とが互いに電気的に接続される。
このようにして、基板2の第1面2A上、第1検知電極11上および第1周辺配線13上に接続部C1が形成されるため、図5に示すように、第1検知電極11と第1周辺配線13との接続部分は、最大で、第1検知電極11の厚み(第1周辺配線13の厚み)と接続部C1の厚みとの合計の厚みTにより基板2の第1面2Aから突出する。なお、図5は、第1検知電極11を構成する金属細線MWおよび第1周辺配線13の端末部16を通るようにタッチセンサフィルム41をXZ平面で切断した場合のタッチセンサフィルム41の部分断面図を示している。
タッチセンサフィルム41における基板2の第1面2A側に他のタッチセンサフィルム41が重ね合わされた場合に、第1検知電極11と第1周辺配線13との接続部分の厚みTにより、互いのタッチセンサフィルム41間に隙間を形成して接触面積を小さくすることができる。これにより、タッチセンサフィルム41上に他のタッチセンサフィルム41が重ね合わされた状態から互いを剥離する場合にタッチセンサフィルム41が帯電することを抑制して、スパークによるタッチセンサフィルム41の故障を抑制できる。
また、図示しないが、第2検知電極21と第2周辺配線23との接続部分も、第1検知電極11と第1周辺配線13との接続部分と同様にして、最大で、第2検知電極21の厚み(第2周辺配線23の厚み)と接続部C1の厚みとの合計の厚みTにより基板2の第2面2Bから突出する。そのため、タッチセンサフィルム41における基板2の第2面2B側に異なるタッチセンサフィルム41が重ね合わされた後で互いに剥離された場合でも、互いのタッチセンサフィルム41間に隙間を形成して接触面積を小さくすることにより、タッチセンサフィルム41が帯電することを抑制して、スパークによるタッチセンサフィルム41の故障を抑制できる。
以上から、本発明の実施の形態1の前駆体フィルム1によれば、第1検知電極11と第1周辺配線13とが互いに隔離され、第2検知電極21と第2周辺配線23とが互いに隔離されているため、第1導電層3Aが帯電して第1導電層3A内で電位差が生じた場合、または、第2導電層3Bが帯電して第2導電層3B内で電位差が生じた場合でも、第1導電層3A内および第2導電層3B内でスパークが生じることを抑制して、前駆体フィルム1の故障を抑制できる。
また、本発明の実施の形態1におけるタッチセンサフィルム41によれば、第1検知電極11と第1周辺配線13との接続部分を第1導電層3Aと接続部C1の厚みとの合計の厚みTで基板2の第1面2Aから突出させ、第2検知電極21と第2周辺配線23との接続部分を第2導電層3Bと接続部C1の厚みとの合計の厚みTで基板2の第2面2Bから突出させるため、タッチセンサフィルム41と、異なるタッチセンサフィルム41とを互いに重ね合わせた場合でも、互いのタッチセンサフィルム41間に隙間を形成して接触面積を小さくできる。そのため、互いにタッチセンサフィルム41が重ね合わされた状態から、互いに剥離された場合に、タッチセンサフィルム41が帯電することを抑制して、スパークによるタッチセンサフィルム41の故障を抑制できる。
なお、第1検知電極11を構成する複数の金属細線MWおよび第2検知電極21を構成する複数の金属細線MWの線幅は、観察者に視認されにくくするように、すなわち、視認性を確保するために、0.5μm以上10.0μm以下の範囲内に設定されることが好ましく、1.0μm~5.0μmの範囲内に設定されることがより好ましく、1.5μm以上3.0μm以下の範囲内に設定されることが特に好ましい。
また、第1周辺配線13および第2周辺配線23の線幅は、十分な導電性を確保するために、5.0μm以上100.0μm以下、より好ましくは3.0μm以上20.0μm以下の範囲内に設定されることが好ましい。
また、第1導電層3Aの厚み、すなわち、第1検知電極11、第1周辺配線13および第1電極パッド14の厚みと、第2導電層3Bの厚み、すなわち、第2検知電極21、第2周辺配線23および第2電極パッド24の厚みは、前駆体フィルム1またはタッチセンサフィルム41を折り曲げた場合に断線等の故障を防止する観点と、十分な導電性を得る観点から、0.01μm以上10.00μm以下が好ましく、0.05μm以上3.00μm以下がより好ましく、0.10μm以上1.00μm以下がさらに好ましい。
また、接続部C1の厚みは、第1検知電極11と第1周辺配線13とを十分に電気的に接続し、第2検知電極21と第2周辺配線23とを十分に電気的に接続し、さらに、複数のタッチセンサフィルム41が重ね合わされた場合に、タッチセンサフィルム41間に十分な隙間を形成するために、1.0μm以上20.0μm以下が好ましい。
また、前駆体フィルム1において、基板2の第1面2Aに第1導電層3Aが配置され、基板2の第2面2Bに第2導電層3Bが配置されているが、前駆体フィルム1は、第1導電層3Aと第2導電層3Bのうちいずれか一方のみを有していてもよい。この場合でも、前駆体フィルム1が第1導電層3Aと第2導電層3Bの双方を有している場合と同様にして、第1導電層3A内または第2導電層3B内でスパークが生じることを抑制して、前駆体フィルム1の故障を抑制できる。
また、タッチセンサフィルム41も、第1導電層3Aと第2導電層3Bのうちいずれか一方のみを有していてもよい。この場合でも、タッチセンサフィルム41が第1導電層3Aと第2導電層3Bの双方を有している場合と同様にして、タッチセンサフィルム41が帯電することを抑制して、スパークによるタッチセンサフィルム41の故障を抑制できる。
また、第1検知電極11および第2検知電極21は、ひし形のメッシュ形状のパターンMPを有していることが説明されているが、メッシュの開口形状は、ひし形に限るものではなく、正三角形、正四角形、正六角形、その他の正多角形、ランダムな形状を有する多角形でもよく、さらに、曲線を含む形状とすることもできる。
また、第1検知電極11および第2検知電極21は、いずれもメッシュ状に配置された複数の金属細線MWからなることが説明されているが、タッチセンサフィルム用の検知電極として使用できるものであれば、その形状と材料は特に限定されない。例えば、第1検知電極11および第2検知電極21は、板状の酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明導電性酸化物により形成されることもできる。
この場合に、例えば図6に示すように、前駆体フィルム1Aは、透明導電性酸化物からなり且つX方向に配列され板状の複数の電極部S1と、透明導電性酸化物からなり且つ複数の電極部S1間を連結する複数の連結部J1により構成される第1検知電極11Aを有することができる。第1周辺配線13Aと第1検知電極11Aは、X方向において互いに間隔L2を隔てて配置されている。また、図示しないが、前駆体フィルム1Aは、Y方向に配列される板状の複数の電極部と、複数の電極部間を連結する複数の連結部により構成される第2検知電極を有することができる。第2周辺配線と第2検知電極は、X方向において互いに間隔L2を隔てて配置される。
このように、第1検知電極11Aと第2検知電極が板状の透明導電性酸化物により形成される場合でも、第1検知電極11Aと第1周辺配線13Aとが互いに隔離され、第2検知電極と第2周辺配線とが互いに隔離されているため、前駆体フィルム1Aに対して、異なる前駆体フィルム1Aが重ね合わされることで前駆体フィルム1Aが帯電した場合でも、前駆体フィルム1A内におけるスパークの発生を抑制し、前駆体フィルム1Aの故障を抑制できる。
また、図6に示す点線で囲まれた領域R1に導電性を有する接続部C1を配置して第1検知電極11Aと第1周辺配線13Aとを電気的に接続し、第2検知電極と第2周辺配線の双方に接触するように接続部C1を配置して第2検知電極と第2周辺配線とを電気的に接続することにより、タッチセンサフィルムが製造される。この場合でも、図4に示すタッチセンサフィルム41と同様に、第1検知電極11Aと第1周辺配線13Aとの接続部分が、最大で、第1検知電極11Aの厚み(第1周辺配線13Aの厚み)と接続部C1の厚みとの合計の厚みにより基板2の第1面2Aから突出し、第2検知電極と第2周辺配線との接続部分が、最大で、第2検知電極の厚み(第2周辺配線の厚み)と接続部C1の厚みとの合計の厚みにより基板2の第2面2Bから突出する。
そのため、このタッチセンサフィルムによれば、タッチセンサフィルムと、異なるタッチセンサフィルムとを互いに重ね合わせた場合でも、図4に示すタッチセンサフィルム41と同様にして、互いのタッチセンサフィルム間に隙間を形成して、接触面積を小さくし、タッチセンサフィルムの帯電を抑制し、スパークによるタッチセンサフィルムの故障を抑制できる。
また、図2、3および4に、第1電極領域Q1と第2電極領域が矩形の形状を有していることが示されているが、第1検知電極11と第2検知電極21によりタッチ操作を検出することができれば、第1電極領域Q1の形状と第2電極領域Q2の形状は、特に限定されない。
実施の形態2
実施の形態1の前駆体フィルム1においては、第1周辺配線13が配線部15と端末部16を有し、第2周辺配線23が配線部25と端末部26を有しているが、第1検知電極11と第1周辺配線13が互いに隔離され、第2検知電極21と第2周辺配線23が互いに隔離されていれば、第1検知電極11、第2検知電極21、第1周辺配線13および第2周辺配線23の形状は特に限定されない。
図7に、実施の形態2に係る前駆体フィルム1Bの第1検知電極11Bと第1周辺配線13Bを示す。
第1検知電極11Bは、第1電極領域Q3内に形成された複数の金属細線MWにより構成され、実施の形態1における第1検知電極11Aと同様に、複数の金属細線MWによりメッシュ形状のパターンMPが形成されている。また、第1検知電極11Bは、X方向の一端部において、金属細線MWが途切れることで形成された断線部DPを有している。
第1周辺配線13Bは、実施の形態1における第1周辺配線13において、配線部15と端末部16により構成される代わりに、配線部31のみにより構成されたものである。配線部31は、第1検知電極11Bの断線部DPを通って第1電極領域Q3の内側にまで延びている。これにより、第1周辺配線13Bの一端部は、第1電極領域Q3の内側に配置されるが、第1検知電極11Bを構成する金属細線MWからは隔離されており、第1検知電極11Bと第1周辺配線13Bは、互いに電気的に絶縁されている。
また、図示しないが、第2検知電極は、第2電極領域内に形成された複数の金属細線MWにより構成され、第1検知電極11Bと同様に、複数の金属細線MWによりメッシュ形状のパターンMPが形成されている。また、第2検知電極は、第1検知電極11Bと同様にして、Y方向の一端部において、金属細線MWが途切れることにより形成された断線部DPを有している。
また、第2周辺配線も、第1周辺配線13Bと同様にして配線部のみにより構成されており、その一端部は、断線部DPを通って第2電極領域の内側に配置されている。また、第2検知電極と第2周辺配線とは互いに隔離され、互いに電気的に絶縁されている。
このように、実施の形態2の前駆体フィルム1Bによれば、第1検知電極11Bと第1周辺配線13Bとが互いに隔離され、第2検知電極と第2周辺配線とが互いに隔離されているため、実施の形態1の前駆体フィルム1と同様に、第1導電層3A内および第2導電層3B内でスパークが生じることを抑制して、前駆体フィルム1の故障を抑制できる。
また、図8に示すように第1検知電極11B上および第1周辺配線13B上に接続部C2を形成し、図示しないが第2検知電極上および第2周辺配線上に接続部C2を形成することにより、実施の形態2におけるタッチセンサフィルム41Bが製造される。
これにより、第1検知電極11Bと第1周辺配線13Bとの接続部分は、最大で、第1検知電極11Bの厚み(第1周辺配線13Bの厚み)と接続部C2の厚みとの合計の厚みにより基板2の第2面2Bから突出する。また、第2検知電極と第2周辺配線との接続部分は、最大で、第2検知電極の厚み(第2周辺配線の厚み)と接続部C2の厚みとの合計の厚みにより基板2の第2面2Bから突出する。そのため、タッチセンサフィルム41Bに対して、異なるタッチセンサフィルム41Bが重ね合わされた後で互いに剥離された場合でも、互いのタッチセンサフィルム41B間に隙間を形成して接触面積を小さくすることにより、タッチセンサフィルム41Bが帯電することを抑制して、スパークによるタッチセンサフィルム41Bの故障を抑制できる。
また、図7に示すように、実施の形態2の前駆体フィルム1Bでは、第1周辺配線13Bの一端部が第1電極領域Q3の内側に配置され、第1周辺配線13Bの一端部が第1検知電極11Bの一部とY方向において重なっているため、図3に示す実施の形態1の前駆体フィルム1に比べて、第1検知電極11Bと第1周辺配線13Bの双方に接触する位置に、接続部C2をより確実に配置できる。
また、図示しないが、第2周辺配線の一端部が第2電極領域の内側に配置され、第2周辺配線の一端部が第2検知電極の一部とX方向において重なっているため、実施の形態1の前駆体フィルム1に比べて、第2検知電極と第2周辺配線の双方に接触する位置に、接続部C2をより確実に配置できる。
そのため、実施の形態2の前駆体フィルム1Bによれば、タッチセンサフィルム41Bの製造工程における接続部C2を作製する際の設置位置ずれに対する結線不良のリスク低減ができるため、製造者がタッチセンサフィルム41Bを容易に製造することができる。また、接続部C2の面積が小さくとも結線が可能であり、接続部C2の設置位置ずれを加味した接続部C2を設置するための範囲を狭めることができ、その結果、狭額縁化にも寄与できる。
なお、実施の形態2の態様は、第1検知電極11Bおよび第2検知電極を板状の透明導電性酸化物により形成する場合にも適用できる。
この場合に、例えば図9に示すように、前駆体フィルム1Cは、透明導電性酸化物からなり且つX方向に配列される板状の複数の電極部S2と、透明導電性酸化物からなり且つ複数の電極部S2間を連結する複数の連結部J2により構成される第1検知電極11Cを有することができる。第1周辺配線13Cの近傍に配置された電極部S2には、X方向の端部に第1周辺配線13Cの先端部が収容される凹部F1が形成されている。第1周辺配線13Cは、その先端部が凹部F1内すなわち第1検知電極11Cが配置される第1電極領域内に配置されながらも、第1検知電極11Cに対して隔離されるように配置されている。また、図示しないが、前駆体フィルム1Cは、Y方向に配列される板状の複数の電極部と、複数の電極部間を連結する複数の連結部により構成される第2検知電極を有することができる。第2周辺配線と第2検知電極は、互いに隔離されるように配置されている。
このように、第1検知電極11Cと第2検知電極が板状の透明導電性酸化物により形成される場合でも、第1検知電極11Cと第1周辺配線13Cとが互いに隔離され、第2検知電極と第2周辺配線とが互いに隔離されているため、前駆体フィルム1Cに対して、異なる前駆体フィルム1Cが重ね合わされることで前駆体フィルム1Cが帯電した場合でも、前駆体フィルム1C内におけるスパークの発生を抑制し、前駆体フィルム1Cの故障を抑制できる。
また、図9に示す点線で囲まれた領域R2に接続部C2を配置して第1検知電極11Cと第1周辺配線13Cとを電気的に接続し、第2検知電極と第2周辺配線の双方に接触するように接続部C2を配置して第2検知電極と第2周辺配線とを電気的に接続することにより、タッチセンサフィルムが製造される。この場合でも、図8に示すタッチセンサフィルム41Bと同様に、第1検知電極11Cと第1周辺配線13Cとの接続部分が、最大で、第1検知電極11Cの厚み(第1周辺配線13Cの厚み)と接続部C2の厚みとの合計の厚みにより基板2の第1面2Aから突出し、第2検知電極と第2周辺配線との接続部分が、最大で、第2検知電極の厚み(第2周辺配線の厚み)と接続部C2の厚みとの合計の厚みにより基板2の第2面2Bから突出する。
そのため、このタッチセンサフィルムによれば、タッチセンサフィルムと、異なるタッチセンサフィルムとを互いに重ね合わせた場合でも、図8に示すタッチセンサフィルム41Bと同様にして、互いのタッチセンサフィルム間に隙間を形成して、接触面積を小さくし、タッチセンサフィルムの帯電を抑制し、スパークによるタッチセンサフィルムの故障を抑制できる。
また、第1検知電極11Bと第2検知電極が断線部DPを有することが説明されているが、第1周辺配線13Bの一端部が第1電極領域Q3の内側に配置され、第2周辺配線の一端部が第2電極領域の内側に配置されていれば、第1検知電極11Bと第2検知電極は断線部DPを有していなくてもよい。
実施の形態3
図10に、実施の形態3に係る前駆体フィルム1Dの第1検知電極11Dと第1周辺配線13Dを示す。
第1周辺配線13Dは、実施の形態1における第1周辺配線13において、配線部15と端末部16の代わりに配線部32と第1櫛状パターン部33を有するものである。配線部32は、配線部15と同一である。また、第1櫛状パターン部33は、Y方向に沿って延びる第1基部33Aと、X方向に沿って第1基部33Aから第1検知電極11Dに向かって延びる複数の第1櫛歯状部33Bを有している。
第1検知電極11Dは、第1電極領域Q4内に形成された複数の金属細線MWにより構成されている。また、第1検知電極11Dは、X方向の片側の端部において、第1周辺配線13Dの第1櫛状パターン部33に対向する第2櫛状パターン部51を有している。第2櫛状パターン部51は、第1検知電極11DのX方向端部に配置され、Y方向に沿って延びる第2基部51Aと、X方向に沿って第2基部51Aから第1櫛状パターン部33に向かって延びる複数の第2櫛歯状部51Bを有している。
第1櫛状パターン部33と第2櫛状パターン部51は、Y方向において、第1櫛歯状部33Bと第2櫛歯状部51Bが交互に配列されるように隔離して配置されている。
また、図示しないが、第2周辺配線は、第1周辺配線13Dの第1櫛状パターン部33を、複数の第1櫛歯状部33Bが第2検知電極に向かってY方向に沿って延びるように90度回転させた第1櫛状パターン部を有する。
また、第2検知電極は、第2電極領域内に形成された複数の金属細線MWにより構成されている。また、第2検知電極は、第1検知電極11Dの第2櫛状パターン部51を、複数の第2櫛歯状部51Bが第2周辺配線の第1櫛状パターン部に向かってY方向に沿って延びるように90度回転させた第2櫛状パターン部を有する。
第2周辺配線の第1櫛状パターン部と第2検知電極の第2櫛状パターン部は、X方向において、第1櫛歯状部と第2櫛歯状部が交互に配列されるように隔離して配置されている。
このように、第1周辺配線13Dが第1櫛状パターン部33を有し、第1検知電極11Dが第2櫛状パターン部51を有し、第2周辺配線が第1櫛状パターン部を有し、第2検知電極が第2櫛状パターン部を有する場合でも、第1検知電極11Dと第1周辺配線13Dが互いに隔離して配置され、第2検知電極と第2周辺配線が互いに隔離して配置される。そのため、実施の形態3の前駆体フィルム1Dによれば、実施の形態1の前駆体フィルム1と同様にして、前駆体フィルム1Dが帯電することにより前駆体フィルム1D内で電位差が生じた場合でも、スパークによる前駆体フィルム1Dの故障を抑制できる。
また、図11に示すように第1検知電極11D上および第1周辺配線13D上に接続部C3を形成し、図示しないが第2検知電極上および第2周辺配線上に接続部C3を形成することにより、実施の形態3におけるタッチセンサフィルム41Dが製造される。
これにより、第1検知電極11Dと第1周辺配線13Dとの接続部分は、最大で、第1検知電極11Dの厚み(第1周辺配線13Dの厚み)と接続部C3の厚みとの合計の厚みにより基板2の第1面2Aから突出する。また、第2検知電極と第2周辺配線との接続部分は、最大で、第2検知電極の厚み(第2周辺配線の厚み)と接続部C3の厚みとの合計の厚みにより基板2の第2面2Bから突出する。そのため、タッチセンサフィルム41Dに対して、異なるタッチセンサフィルム41Dが重ね合わされた後で互いに剥離された場合でも、互いのタッチセンサフィルム41D間に隙間を形成して接触面積を小さくすることにより、タッチセンサフィルム41Dが帯電することを抑制して、スパークによるタッチセンサフィルム41Dの故障を抑制できる。
また、図10に示すように、実施の形態3の前駆体フィルム1Dでは、第1周辺配線13Dの第1櫛歯状部33Bと第1検知電極11Dの第2櫛歯状部51BがY方向において交互に配列されるように、第1櫛状パターン部33と第2櫛状パターン部51が配置され、第1櫛状パターン部33と第2櫛状パターン部51がY方向において互いに重なっているため、製造者は、図3に示す実施の形態1の前駆体フィルム1に比べて、第1検知電極11Dと第1周辺配線13Dの双方に接触する位置に、接続部C3をより確実に配置できる。
また、図示しないが、第2周辺配線の第1櫛歯状部と第2検知電極の第2櫛歯状部がX方向において交互に配列されるように、第2周辺配線の第1櫛状パターン部と第2検知電極の第2櫛状パターン部が配置され、第2周辺配線の第1櫛状パターン部と第2検知電極の第2櫛状パターン部がX方向において互いに重なっているため、製造者は、第2検知電極と第2周辺配線の双方に接触する位置に、接続部C3をより確実に配置できる。
そのため、実施の形態3の前駆体フィルム1Dによれば、タッチセンサフィルム41Dの製造工程における接続部C3の位置ずれを抑制できるため、製造者がタッチセンサフィルム41Dを容易に製造することができる。
なお、第1櫛状パターン部33の第1基部33Aと第2櫛状パターン部51の第2基部51AがY方向に沿って延び、第1櫛状パターン部33の複数の第1櫛歯状部33Bと第2櫛状パターン部51複数の第2櫛歯状部51BがX方向に沿って延びることが説明されているが、第1基部33Aと第2基部51Aが延びる第1方向および複数の第1櫛歯状部33Bと複数の第2櫛歯状部51Bが延びる第2方向は、互いに交差していれば特に限定されない。
以下では、実施の形態1のタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム1およびタッチセンサフィルム41を構成する各部材について説明する。なお、実施の形態2の前駆体フィルム1Bおよびタッチセンサフィルムと、実施の形態3の前駆体フィルム1Dを構成する各部材についても、実施の形態1のタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム1およびタッチセンサフィルム41を構成する各部材に準ずるものとする。
<基板>
基板2は、透明で電気絶縁性を有し、第1導電層3Aと第2導電層3Bとを支持することができれば、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂基板またはガラス基板等が用いられる。より具体的に、基板2を構成する材料として、例えば、ガラス、強化ガラス、無アルカリガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN:polyethylene naphthalate)、シクロオレフィンポリマー(COP:cyclo-olefin polymer)、環状オレフィン・コポリマー(COC:cyclic olefin copolymer)、ポリカーボネート(PC:polycarbonate)、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリスチレン(PS:polystylene)、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC:polyvinylidene chloride)、トリアセチルセルロース(TAC:cellulose triacetate)等を使用することができる。透明絶縁基板5の厚みは、例えば、20μm~1100μmが好ましく、20μm~500μmがより好ましい。特に、PETのような有機樹脂基板の場合は、厚み20μm~200μmであることが好ましく、30μm~100μmであることがより好ましい。
基板2の全光線透過率は、40%~100%であることが好ましい。全光透過率は、例えば、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率および全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
基板2の好適態様の1つとしては、大気圧プラズマ処理、コロナ放電処理および紫外線照射処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理が施された処理済基板が挙げられる。上述の処理が施されることにより、処理された透明絶縁基板5の表面にOH基等の親水性基が導入される。これにより、基板2と第1導電層3Aとの密着性および基板2と第2導電層3Bとの密着性が向上する。また、上述の処理の中でも、基板2と第1導電層3Aとの密着性および基板2と第2導電層3Bとの密着性がより向上する点で、大気圧プラズマ処理が好ましい。
<下塗り層>
基板2と第1導電層3Aとの密着性および基板2と第2導電層3Bとの密着性を向上させるために、基板2と第1導電層3Aとの間および基板2と第2導電層3Bとの間に、それぞれ、下塗り層を配置することもできる。この下塗り層は、高分子を含んでおり、基板2と第1導電層3Aとの密着性および基板2と第2導電層3Bとの密着性がより向上する。
下塗り層の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば、高分子を含む下塗り層形成用組成物を基板上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。また、高分子を含む下塗り層形成用組成物として、ゼラチン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、無機または高分子の微粒子を含むアクリル・スチレン系ラテックス等を使用してもよい。
なお、必要に応じて、前駆体フィルム1は、基板2と第1導電層3Aとの間および基板2と第2導電層3Bとの間に、それぞれ、他の層として、上述の下塗り層以外に、屈折率調整層を備えていてもよい。屈折率調整層として、例えば、屈折率を調整する酸化ジルコニウム等の金属酸化物の粒子が添加された有機層を使用できる。
<導電層および接続部>
複数の第1検知電極11、複数の第1周辺配線13および複数の第1電極パッド14を有する第1導電層3Aと、複数の第2検知電極21、複数の第2周辺配線23および複数の第2電極パッド24を有する第2導電層3Bと、接続部C1は、金属または合金を形成材料とし、例えば、銅、アルミニウムまたは銀から形成することができる。合金としては、例えば、金、銀または銅等が含まれていてもよい。また、第1導電層3A、第2導電層3Bおよび接続部C1は、金属銀およびゼラチンまたはアクリル・スチレン系ラテックス等の高分子バインダーが含有されたものでもよい。その他の好ましいものとして、アルミニウム、銀、モリブデン、チタンの金属およびその合金である。また、これらの積層構造であってもよく、例えば、モリブデン/銅/モリブデン、モリブデン/アルミニウム/モリブデン等の積層構造が使用できる。また、第1導電層3A、第2導電層3Bおよび接続部C1は、金属酸化物粒子、銀ペーストおよびは銅ペースト等の金属ペースト、並びに銀ナノワイヤおよび銅ナノワイヤ等の金属ナノワイヤ粒子を含むものであってもよい。
また、第1検知電極11および第2検知電極21を構成する金属細線MWの視認性を向上させるために、観察者に視認される金属細線MWの表面に黒化層を形成してもよい。黒化層としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物または金属硫化物等が使用され、代表的には、酸窒化銅、窒化銅、酸化銅または酸化モリブデン等が使用できる。
次に、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bの形成方法について説明する。第1導電層3Aおよび第2導電層3Bとしては、例えば、スパッタ法、めっき法、銀塩法および印刷法等が適宜利用可能である。
スパッタ法による第1導電層3Aおよび第2導電層3Bの形成方法について説明する。まず、スパッタにより、導電材料の層を形成し、フォトリソグラフィおよびエッチングにより導電材料の層から配線を形成することにより、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bを形成することができる。なお、スパッタの代わりに、いわゆる蒸着により導電材料の層を形成することもできる。導電材料の層は、スパッタまたは蒸着以外にも、電解金属箔が利用可能である。より具体的には、特開2014-29614号公報に記載の銅配線を形成する工程を利用することができる。
めっき法による第1導電層3Aおよび第2導電層3Bの形成方法について説明する。例えば、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bは、無電解めっき下地層に無電解めっきを施すことにより下地層上に形成される金属めっき膜を用いて構成することができる。この場合、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bは、少なくとも金属微粒子を含有する触媒インクを基材上にパターン状に形成した後に、基材を無電解めっき浴に浸漬し、金属めっき膜を形成することにより形成される。より具体的には、特開2014-159620号公報に記載の金属被膜基材の製造方法を利用することができる。
また、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bは、少なくとも金属触媒前駆体と相互作用し得る官能基を有する樹脂組成物を基材上にパターン状に形成した後、触媒または触媒前駆体を付与し、基材を無電解めっき浴に浸漬し、金属めっき膜を形成することにより形成される。より具体的には、特開2012-144761号公報に記載の金属被膜基材の製造方法を応用することができる。
また、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bは、銀塩法で形成した配線パターンに無電解めっきを施して形成してもよい。この場合に、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bは、写真感材が塗布された膜を露光および現像する工程、場合によってはさらにゼラチンを除去する工程を含む方法で形成された銀粒子からなるパターンに対し、無電解めっきまたは銅めっきを施すことで金属めっき膜を形成することにより、形成される。より具体的には。国際公開第2020/158494号、国際公開第2021/059812号または国際公開第2021/065226号に記載の製造方法を適用することができる。
銀塩法による第1導電層3Aおよび第2導電層3Bの形成方法について説明する。まず、ハロゲン化銀が含まれる銀塩乳剤層に、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bとなる露光パターンを用いて露光処理を施し、その後現像処理を行うことで、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bを形成することができる。より具体的には、特開2012-6377号公報、特開2014-112512号公報、特開2014-209332号公報、特開2015-22397号公報、特開2016-192200号公報および国際公開第2016/157585号に記載の第1導電層3Aおよび第2導電層3Bの製造方法を利用することができる。
印刷法による第1導電層3Aおよび第2導電層3Bの形成方法について説明する。まず、導電性粉末を含有する導電性ペーストを第1導電層3Aおよび第2導電層3Bと同じパターンとなるように基板に塗布し、その後、加熱処理を施すことにより第1導電層3Aおよび第2導電層3Bを形成することができる。導電性ペーストを用いたパターン形成は、例えば、インクジェット法またはスクリーン印刷法によりなされる。導電性ペーストとしては、より具体的には、特開2011-28985号公報に記載の導電性ペーストを利用することができる。
接続部C1は、第1導電層3Aおよび第2導電層3Bが基板2上に形成された後で、第1導電層3Aの第1検知電極11と第1周辺配線13の双方に接触するように、また、第2導電層3Bの第2検知電極21と第2周辺配線23の双方に接触するように、前駆体フィルム1の両面に形成される。接続部C1の形成方法としては、例えば、フォトリソグラフィ法、インクジェット法、スクリーン印刷法および凸版印刷法等が適宜利用可能であり、中でもスクリーン印刷法が好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容および処理手順は、本発明の主旨を逸脱しない限り適宜変更することができ、本発明の範囲は、以下の実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液および3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液および5液を8分間にわたって加え、更に、下記の2液および3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。更に、ヨウ化カリウム0.15gを加え、5分間熟成し粒子形成を終了した。
1液:
水 750ml
ゼラチン 8.6g
塩化ナトリウム 3g
1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。更に3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作を更に1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩工程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ゼラチン2.5g、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7-テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に得られた乳剤は、沃化銀を0.08モル%含み、塩臭化銀の比率を塩化銀70モル%、臭化銀30モル%とする、平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤であった。
(感光性層形成用組成物の調整)
上述の乳剤に1,3,3a,7-テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10ー2モル/モルAg、クエン酸3.0×10ー4モル/モルAg、2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-1,3,5-トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAg、微量の硬膜剤を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
上述の塗布液に、含有するゼラチンに対して、下記式(P-1)で表されるポリマーとジアルキルフェニルPEO硫酸エステルからなる分散剤を含有するポリマーラテックス(分散剤/ポリマーの質量比が2.0/100=0.02)とをポリマー/ゼラチン(質量比)=0.5/1になるように添加した。
さらに、架橋剤としてEPOXY RESIN DY 022(商品名:ナガセケムテックス社製)を添加した。なお、架橋剤の添加量は、後述するハロゲン化銀含有感光性層中における架橋剤の量が0.09g/mとなるように調整した。
以上のようにして感光性層形成用組成物を調製した。
なお、下記式(P-1)で表されるポリマーは、特許第3305459号および特許第
3754745号を参照して合成した。
Figure 2023033738000002
(感光性層形成工程)
絶縁基板にコロナ放電処理を施した後、絶縁基板の両面に、下塗層として厚み0.1μmのゼラチン層、さらに下塗層上に光学濃度が約1.0で現像液のアルカリにより脱色する染料を含むアンチハレーション層を設けた。上記アンチハレーション層の上に、上記感光性層形成用組成物を塗布し、さらに厚み0.15μmのゼラチン層を設け、両面に感光性層が形成された絶縁基板を得た。両面に感光性層が形成された絶縁基板をフィルムAとする。形成された感光性層は、銀量6.0g/m、ゼラチン量1.0g/mであった。
(露光現像工程)
上記フィルムAの一方の面に、図3に示す実施の形態1における複数の第1検知電極11、複数の第1周辺配線13および複数の第1電極パッド14のパターンに対応したフォトマスクを介し、高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光を行った。露光後、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X-R、富士フィルム社製)を用いて現像処理を行った。さらに、純水でリンスし、乾燥することで、両面にAg線からなる導電部材とゼラチン層とが形成された絶縁基板を得た。ゼラチン層はAg線間に形成されていた。得られたフィルムをフィルムBとする。
(現像液の組成)
現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N-メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
(ゼラチン分解処理)
フィルムBに対して、タンパク質分解酵素(ナガセケムテックス社製ビオプラーゼAL-15FG)の水溶液(タンパク質分解酵素の濃度:0.5質量%、液温:40℃)への浸漬を120秒間行った。フィルムBを水溶液から取り出し、温水(液温:50℃)に120秒間浸漬し、洗浄した。ゼラチン分解処理後のフィルムをフィルムCとする。
(低抵抗化処理)
上記のフィルムCに対して、金属製ローラからなるカレンダ装置を用いて、30kNの圧力でカレンダ処理を行った。このとき、線粗さRa=0.2μm、Sm=1.9μm(株式会社キーエンス製形状解析レーザ顕微鏡VK-X110にて測定(JIS-B-0601-1994))の粗面形状を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム2枚を、これらの粗面が上記のフィルムCの表面および裏面と向き合うように共に搬送して、上記のフィルムCの表面および裏面に粗面形状を転写形成した。
上記のカレンダ処理後、温度150℃の過熱蒸気槽を120秒間かけて通過させて、加熱処理を行った。加熱処理後のフィルムをフィルムDとする。このフィルムDがタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルムである。
このようにして、実施例1の前駆体フィルムが得られた。この前駆体フィルムにおいて、第1検知電極と第1周辺配線との間隔は、最小で10μmであった。また、第1検知電極はひし形のメッシュ形状であり、このひし形のメッシュ形状における金属細線の交点から隣接する金属細線の交点までの金属細線の長さは400μm、金属細線と第1検知電極が延びる方向とがなす角度は59°であり、金属細線の線幅は1.8μm、第1周辺配線の線幅は20μmであった。
<実施例2>
感光性層形成工程において、図7に示す実施の形態2における複数の第1検知電極11B、複数の第1周辺配線13Bおよび複数の第1電極パッド14のパターンに対応したフォトマスクを使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2の前駆体フィルムを製造した。
<実施例3>
感光性層形成工程において、図10に示す実施の形態3における複数の第1検知電極11D(第2櫛状パターン部51Bの長さが290μm)、複数の第1周辺配線13D(第1櫛状部33Bの長さが290μm)、第1基部33Aと第2基部51Aの間隔を300μm、および、複数の第1電極パッド14のパターンに対応したフォトマスクを使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3の前駆体フィルムを製造した。
<比較例1>
感光性層形成工程において、図12に示すタッチセンサフィルム61の複数の第1検知電極62、複数の第1周辺配線63および複数の第1電極パッド14のパターンに対応したフォトマスクを使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1のタッチセンサフィルムを製造した。図12に示すタッチセンサフィルム61において、第1周辺配線63は、配線部71と端末部72により構成されている。また、端末部72は、第1検知電極62を構成する複数の金属細線MWと連結している。そのため、第1検知電極62と第1周辺配線63は、互いに電気的に接続されており、タッチセンサフィルムとして使用可能である。
<実施例4>
以下に示すロールトゥロール方式の製造方法により、実施例1と同一の複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドからなる複数の第1導電層を長尺の支持体上に形成し、その支持体を巻き取ることによって支持体ロールを製造した。
実施例4の前駆体フィルムを製造する際に、図13に示す製造装置81を使用した。製造装置81は、前駆体フィルムの基板として使用される長尺の支持体91が巻き取られた支持体ロールK1が充填される回転軸82Aを有している。また、製造装置81は、回転軸82Aに対し、支持体91の搬送方向DFの上流側から順に配置された第1パスローラ83A、第2パスローラ83Bおよび第3パスローラ83Cを有している。また、製造装置81は、第3パスローラ83Cの下流に、フィードローラ84Aとニップローラ84Bからなるローラ対を有し、ローラ対の下流に後述する形成部85を有している。また、製造装置81は、形成部85の下流に第4パスローラ83Dを有し、最も下流に、長尺の支持体91を巻き取って支持体ロールK2を形成する回転軸82Bを有している。
第1パスローラ83A~第4パスローラ83Dは、支持体91を案内する回転ローラである。第1パスローラ83A、第3パスローラ83Cおよび第4パスローラ83Dは、支持体91の裏面91Bに巻き掛けられ、第2パスローラ83Bは支持体91の表面91Aに巻き掛けられる。
フィードローラ84Aは支持体91の表面91Aに接するように配置され、支持体91が搬送方向DFに搬送されるように回転する。ニップローラ84Bは支持体91の裏面91Bに接するように配置され、支持体91をフィードローラ84Aに押し付ける。これにより、支持体91は、フィードローラ84Aとニップローラ84Bに挟まれた状態で搬送方向DFに搬送され、形成部85に送られる。なお、フィードローラ84Aはモータにより回転してもよく、モータがない回転ローラでもよい。
形成部85は、例えば、実施例1のハロゲン化銀乳剤の調製の工程から加熱工程までを自動的に行って、支持体91上に複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドを有する複数の試料片(前駆体フィルム)を形成する。このようにして複数の試料片が形成された支持体91は、最下流に配置された回転軸82Bに巻き取られる。
実施例4では、形成部85において実施例1で使用されたフォトマスクと同一のフォトマスクを使用し、図14に示すように複数の試料片SP(前駆体フィルム)が形成され且つ搬送方向DFにおいて500mの長さを有する支持体91を巻き取ることにより支持体ロールK2を得た。試料片SPは、前駆体フィルムに相当するものであり、実施例1と同一の複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドが支持体91上の、搬送方向DFに沿った幅W1と、搬送方向DFに直交する方向に沿った幅W2を有する矩形の領域内に形成された。また、試料片SPは、搬送方向DFにおいて周期Pで配列されるように形成された。なお、周期Pは、搬送方向DFにおいて隣り合う試料片の重心間の距離により規定される。実施例4では、幅W1が30cm、幅W2が20cm、周期Pが34cmであった。
<実施例5>
製造装置81の形成部85において実施例2で使用されたフォトマスクと同一のフォトマスクを使用する以外は実施例4と同様にして実施例5の支持体ロールを製造した。実施例5の試料片SP(前駆体フィルム)は、実施例2と同一の複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドが支持体91上に形成されたものであった。
<実施例6>
製造装置81の形成部85において実施例3で使用されたフォトマスクと同一のフォトマスクを使用する以外は実施例4と同様にして実施例6の支持体ロールを製造した。実施例6の試料片SP(前駆体フィルム)は、実施例3と同一の複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドが支持体91上に形成されたものであった。
<比較例2>
製造装置81の形成部85において比較例1で使用されたフォトマスクと同一のフォトマスクを使用する以外は実施例4と同様にして比較例2の支持体ロールを製造した。比較例2の試料片SP(タッチセンサフィルム)は、比較例1と同一の複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドが支持体91上に形成されたものであった。
<比較例3>
搬送方向DFにおける試料片SPの周期Pを61cmとする以外は、比較例2と同様にして比較例3の支持体ロールを製造した。
<実施例7>
図4に示す接続部C1のように、実施例1の前駆体フィルムの第1検知電極の表面上と第1周辺配線の表面上の双方に接触する接続部を、以下のようにして作製したメタルインクを用いてスクリーン印刷法で形成した。接続部の形成により、第1検知電極と第1周辺配線が互いに電気的に接続された。これにより、実施例7のタッチセンサフィルムを得た。
(メタルインクの作製)
Carey-Leaの銀ゾル調製法(M.CareyLea,Brit.J.Photog.,24巻297頁(1877)および27巻279頁(1880)参照)に準拠して、硝酸銀溶液を還元し、金属銀粒子を含む溶液を調製した。その後、得られた溶液に塩化金酸溶液を加え、銀を主成分とする銀金粒子を含む溶液を調製し、限外ろ過を行って、副生成する塩を除いた。得られた粒子の粒子サイズは、電子顕微鏡観察の結果、ほぼ10nmであった。導電性成分であるこの粒子およびラテックスを混合し、メタルインクを作製した。
<実施例8>
実施例2と同様に作成した前駆体フィルムに対し、実施例7と同様にメタルインクを用いたスクリーン印刷法で図8に示す接続部を形成し、第1検知電極と第1周辺配線が互いに電気的に接続された実施例8のタッチセンサフィルムを得た。
<実施例9>
実施例3と同様に作成した前駆体フィルムに対し、実施例7と同様にメタルインクを用いたスクリーン印刷法で図11に示す接続部を形成し、第1検知電極と第1周辺配線が互いに電気的に接続された実施例9のタッチセンサフィルムを得た。
<実施例10>
実施例4で使用された製造装置81の形成部85において、実施例4と同様にして支持体91上に複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドを形成した後で、さらに、実施例7と同様のメタルインクを用いたスクリーン印刷法を用いて、図4に示すように、第1検知電極の表面上と第1周辺配線の表面上の双方に接触する接続部を形成した。接続部により、第1検知電極と第1周辺配線が互いに電気的に接続された。これにより、試料片SPとして複数のタッチセンサフィルムを含む実施例10の支持体ロールK2を得た。
<実施例11>
実施例5における支持体ロールに対して、実施例10と同様のスクリーン印刷法を用いて、図8に示すように、第1検知電極の表面上と第1周辺配線の表面上の双方に接触する接続部を形成した。接続部により、第1検知電極と第1周辺配線が互いに電気的に接続された。試料片SPとして複数のタッチセンサフィルムを含む実施例11の支持体ロールK2を得た。
<実施例12>
実施例6における支持体ロールに対して、実施例10と同様のスクリーン印刷法を用いて、図11に示すように、第1検知電極の表面上と第1周辺配線の表面上の双方に接触する接続部を形成した。接続部により、第1検知電極と第1周辺配線が互いに電気的に接続された。これにより、試料片SPとして複数のタッチセンサフィルムを含む実施例12の支持体ロールK2を得た。
以上のようにして得られた実施例1~3の前駆体フィルムと、実施例7~9および比較例1のタッチセンサフィルムに対して、以下に示す第1の導通評価を行った。
(第1の導通評価)
前駆体フィルムを200枚重ね合わせ、その状態で1日経過させた。その後、前駆体フィルムを1枚ずつ取り出し、複数の第1検知電極と複数の第1周辺配線のそれぞれに対して、互いに近接して配置された第1検知電極の一端部と第1周辺配線の一端部とを導電テープにより電気的に接続し、第1検知電極の他端部と第1周辺配線の他端部との間の抵抗値を測定した。この際に、抵抗値が測定できない(オーバーロード)箇所が1つでも存在する前駆体フィルムを導通不良の前駆体フィルムと判定し、200枚のすべての前駆体フィルムに対する導通不良の前駆体フィルムの数の割合を導通不良率として算出した。
また、タッチセンサフィルムについても同様に200枚重ね合わせ、その状態で1日経過させた。その後、タッチセンサフィルムを1枚ずつ取り出し、第1検知電極の端部と第1周辺配線の端部との間の抵抗値を測定した。この際に、抵抗値が測定できない箇所が1つでも存在するタッチセンサフィルムを導通不良のタッチセンサフィルムと判定し、200枚のすべてのタッチセンサフィルムに対する導通不良のタッチセンサフィルムの数の割合を導通不良率として算出した。
また、いずれもロールトゥロール方式の製造方法で製造された、試料片SPとして複数の前駆体フィルムを含む実施例4~6の支持体ロールK2と、試料片SPとして複数のタッチセンサフィルムを含む実施例10~12、比較例2および3の支持体ロールK2に対して、以下に示す第2の導通評価を行った。
(第2の導通評価)
実施例4~6の支持体ロールK2からフィルムを引き出し、200枚の前駆体フィルムを切り出した。その後、切り出された前駆体フィルムの複数の第1検知電極と複数の第1周辺配線のそれぞれに対して、互いに近接して配置された第1検知電極の一端部と第1周辺配線の一端部とを導電テープにより電気的に接続し、第1検知電極の他端部と第1周辺配線の他端部との間の抵抗値を測定した。この際に、抵抗値が測定できない(オーバーロード)箇所が1つでも存在する前駆体フィルムを導通不良の前駆体フィルムと判定し、200枚のすべての前駆体フィルムに対する導通不良の前駆体フィルムの数の割合を導通不良率として算出した。さらに、支持体ロールK2の面積に対する、抵抗値が測定できた前駆体フィルムの合計の面積の割合を、製品面積比率として算出した。
また、実施例10~12、比較例2および3の支持体ロールK2からフィルムを引き出し、200枚のタッチセンサフィルムを切り出した。その後、切り出されたタッチセンサフィルムの第1検知電極の端部と第1周辺配線の端部との間の抵抗値を測定した。この際に、抵抗値が測定できない箇所が1つでも存在するタッチセンサフィルムを導通不良のタッチセンサフィルムと判定し、200枚のすべてのタッチセンサフィルムに対する導通不良のタッチセンサフィルムの数の割合を導通不良率として算出した。さらに、支持体ロールK2の面積に対する、抵抗値が測定できたタッチセンサフィルムの合計の面積の割合を、製品面積比率として算出した。
以下の表1に、実施例1~3および比較例1に対する第1の導通評価の結果を示す。なお、表1では、第1検知電極と第1周辺配線との隔離部分の構造として、図3に示すように第1検知電極と第1周辺配線とが隔離されているものを単純断線型と呼び、図7に示すように第1検知電極と第1周辺配線とが隔離されているものを配線貫通型と呼び、図10に示すように第1検知電極と第1周辺配線とが隔離されているものを入れ子型と呼んでいる。
Figure 2023033738000003
表1に示すように、第1検知電極と第1周辺配線とが互いに隔離されている実施例1~3の前駆体フィルムは、導通不良率が0.0%であり、スパークによる故障が抑制されていることがわかる。
一方で、比較例1のタッチセンサフィルムは、導通不良率が18.5%であり、第1検知電極と第1周辺配線とが互いに接続されているため、複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドを含む導電パターン内でスパークが発生することにより断線等の故障が生じてしまったと考えられる。
以下の表2に、実施例4~6、比較例1および2に対する第2の導通評価の結果を示す。
Figure 2023033738000004
表2に示すように、第1検知電極と第1周辺配線とが互いに隔離されている実施例4~6の前駆体フィルムは、導通不良率が0.0%であり、スパークによる故障が抑制されていることがわかる。また、実施例4~6の前駆体フィルムは、製品面積比率が71%であり、十分な製造効率が得られることがわかる。
一方で、比較例2のタッチセンサフィルムは、製品面積比率が71%であり十分な製造効率が得られているが、導通不良率が39.0%であり、第1検知電極と第1周辺配線とが互いに接続されているため、複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドを含む導電パターン内でスパークが発生することにより断線等の故障が生じてしまったと考えられる。
また、比較例3のタッチセンサフィルムは、導通不良率が0.5%であり、第1検知電極と第1周辺配線とが互いに接続されているため、複数の第1検知電極、複数の第1周辺配線および複数の第1電極パッドを含む導電パターン内でスパークが発生することによりスパークが発生し、断線等の故障が生じてしまうと考えられる。また、比較例3のタッチセンサフィルムは、試料片SPの周期Pを61cmとしたために製品面積比率が39%となり、十分な製造効率が得られなかった。
以下の表3に、実施例7~9および比較例1に対する第1の導通評価の結果を示す。
Figure 2023033738000005
表3に示すように、互いに隔離されている第1検知電極と第1周辺配線の上に接続部が形成された実施例7~9のタッチセンサフィルムは、導通不良率が0.0%であった。実施例7~9では、複数のタッチセンサフィルムが重ね合わされた状態において、第1検知電極と第1周辺配線との接続部分の厚みによりタッチセンサフィルム間に隙間が形成され、タッチセンサフィルムの帯電が抑制されるため、スパークによる故障が抑制されると考えられる。
以下の表4に、実施例10~12、比較例1および2に対する第2の導通評価の結果を示す。
Figure 2023033738000006
表4に示すように、互いに隔離されている第1検知電極と第1周辺配線の上に接続部が形成された実施例10~12のタッチセンサフィルムは、導通不良率が0.0%であった。実施例10~12では、支持体が巻き取られた状態において、第1検知電極と第1周辺配線との接続部分の厚みによりタッチセンサフィルム間に隙間が形成され、タッチセンサフィルムの帯電が抑制されるため、スパークによる故障が抑制されると考えられる。また、実施例10~12のタッチセンサフィルムは、製品面積比率が71%であり、十分な製造効率が得られることがわかる。
1,1B,1C、1D 前駆体フィルム、2 基板、2A 第1面、2B 第2面、3A 第1導電層、3B 第2導電層、11,11B,11C,11D,62 第1検知電極、13,13B,13C,13D,63 第1周辺配線、14 第1電極パッド、15,25,31,32,71 配線部、16,26,72 端末部、21 第2検知電極、23 第2周辺配線、24 第2電極パッド、33 第1櫛状パターン部、33A 第1基部、33B 第1櫛歯状部、41,41B,41D,61 タッチセンサフィルム、51 第2櫛状パターン部、51A 第2基部、51B 第2櫛歯状部、81 製造装置、82A,82B 回転軸、83A 第1パスローラ、83B 第2パスローラ、83C 第3パスローラ、83D 第4パスローラ、84A フィードローラ、84B ニップローラ、85 形成部、91 支持体、91A 表面、91B 裏面、C1,C2,C3 接続部、DF 搬送方向、DP 断線部、F1 凹部、J1,J2 連結部、K1,K2 支持体ロール、L1,L2 間隔、MP パターン、MW 金属細線、P 周期、Q1,Q3,Q4 第1電極領域、Q2 第2電極領域、R1,R2 領域、S1,S2 電極部、SP 試料片、T1 厚み、W1,W2 幅。

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上に配置された検知電極と、
    前記基板上の前記検知電極の周辺に配置された周辺配線とを有し、
    前記検知電極と前記周辺配線は、互いに同一の組成からなり、且つ、互いに隔離されている
    タッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム。
  2. 前記検知電極は、メッシュ形状を有する請求項1に記載のタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム。
  3. 前記基板は、前記複数の検知電極が形成される複数の電極領域を有し、
    前記周辺配線の一端部は、前記電極領域の内側に配置される請求項1または2に記載のタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム。
  4. 前記周辺配線は、前記第1方向に沿って延びる第1基部と、前記第1方向に対して交差する第2方向に沿って前記第1基部から前記検知電極に向かって延びる複数の第1櫛歯状部を含む第1櫛状パターンを有し、
    前記検知電極は、前記第1方向に沿って延びる第2基部と、前記第2方向に沿って前記第2基部から前記第1櫛状パターンに向かって延びる複数の第2櫛歯状部を含み、前記第1櫛状パターンに対向するように配置された第2櫛状パターンを有し、
    前記第1櫛状パターン部と前記第2櫛状パターン部は、前記第1方向において、前記第1櫛歯状部と前記第2櫛歯状部が交互に配列されるように、互いに隔離して配置される請求項1または2に記載のタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム。
  5. 前記検知電極と前記周辺配線は、前記基板の両面に配置される請求項1~4のいずれか一項に記載のタッチセンサフィルム製造用の前駆体フィルム。
  6. 基板と、
    前記基板上に配置された検知電極と、
    前記基板上の前記検知電極の周辺に配置された周辺配線と、
    前記検知電極と前記周辺配線とを電気的に接続する接続部とを有し、
    前記検知電極と前記周辺配線は、互いに同一の組成によりからなり、且つ、互いに隔離され、
    前記接続部は、前記検知電極の表面と前記周辺配線の表面とに接触している
    タッチセンサフィルム。
  7. 前記検知電極は、メッシュ形状を有する請求項6に記載のタッチセンサフィルム。
  8. 前記基板は、前記複数の検知電極が形成される複数の電極領域を有し、
    前記周辺配線の一端部は、前記電極領域の内側に配置される請求項6または7に記載のタッチセンサフィルム。
  9. 前記周辺配線は、前記第1方向に沿って延びる第1基部と、前記第1方向に対して交差する第2方向に沿って前記第1基部から前記検知電極に向かって延びる複数の第1櫛歯状部を含む第1櫛状パターンを有し、
    前記検知電極は、前記第1方向に沿って延びる第2基部と、前記第2方向に沿って前記第2基部から前記第1櫛状パターンに向かって延びる複数の第2櫛歯状部を含み、前記第1櫛状パターンに対向するように配置された第2櫛状パターンを有し、
    前記第1櫛状パターン部と前記第2櫛状パターン部は、前記第1方向において、前記第1櫛歯状部と前記第2櫛歯状部が交互に配列されるように、互いに隔離して配置される請求項6または7に記載のタッチセンサフィルム。
  10. 前記検知電極と前記周辺配線は、前記基板の両面に配置される請求項6~9のいずれか一項に記載のタッチセンサフィルム。
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