JP2023032965A - 積層体 - Google Patents

積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2023032965A
JP2023032965A JP2021139358A JP2021139358A JP2023032965A JP 2023032965 A JP2023032965 A JP 2023032965A JP 2021139358 A JP2021139358 A JP 2021139358A JP 2021139358 A JP2021139358 A JP 2021139358A JP 2023032965 A JP2023032965 A JP 2023032965A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
sensitive adhesive
adhesive sheet
less
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021139358A
Other languages
English (en)
Inventor
一樹 箕浦
Kazuki Minoura
直宏 加藤
Naohiro Kato
康 武蔵島
Yasushi Musashijima
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2021139358A priority Critical patent/JP2023032965A/ja
Priority to KR1020247009962A priority patent/KR20240055779A/ko
Priority to PCT/JP2022/031803 priority patent/WO2023027091A1/ja
Priority to CN202280056855.9A priority patent/CN117836385A/zh
Publication of JP2023032965A publication Critical patent/JP2023032965A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J133/00Adhesives based on homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by only one carboxyl radical, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides, or nitriles thereof; Adhesives based on derivatives of such polymers
    • C09J133/04Homopolymers or copolymers of esters
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J175/00Adhesives based on polyureas or polyurethanes; Adhesives based on derivatives of such polymers
    • C09J175/04Polyurethanes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J7/00Adhesives in the form of films or foils
    • C09J7/10Adhesives in the form of films or foils without carriers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J7/00Adhesives in the form of films or foils
    • C09J7/20Adhesives in the form of films or foils characterised by their carriers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J7/00Adhesives in the form of films or foils
    • C09J7/30Adhesives in the form of films or foils characterised by the adhesive composition
    • C09J7/38Pressure-sensitive adhesives [PSA]

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】耐反発性と耐歪み性とを両立しうる積層体を提供する。【解決手段】芯体と、該芯体の一方の表面に配置された、粘着剤層を含む第1の粘着シートと、該芯体の他方の表面に配置された、粘着剤層を含む第2の粘着シートと、を備える積層体が提供される。上記積層体の総厚さTtotalは50μm以上400μm以下であり、上記芯体のヤング率EA[MPa]と厚さTA[μm]の積(EA×TA)は500000以上であり、上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方は、120℃における貯蔵弾性率G′(120℃)が0.015MPa以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、芯体と該芯体の各表面に配置された粘着シートとを含む積層体に関する。
一般に粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)は、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する。かかる性質を活かして、粘着剤は、作業性がよく接着信頼性の高い接合手段として、家電製品から自動車、OA機器等の各種産業分野において広く利用されている。例えば、粘着剤は、スマートフォンその他の携帯電子機器内における部材の接合や固定、保護等の目的でも広く利用されている。携帯電子機器の部材固定に用いられる粘着テープに関する技術文献として特許文献1~2が挙げられる。
特開2019-70102号公報 特開2018-28051号公報
近年、携帯電子機器は大画面化(表示画面の広面積化)やデザイン性が重視される傾向にあり、これに伴い、例えば携帯電子機器の端部付近の筐体内部で、表示画面の構成部材等(例えばフレキシブルプリント配線板)が折り曲げられて配置されることがある。このように折り曲げられた部材を接合または固定をするために用いられる粘着剤には、部材が折り曲げられた状態から元の状態に戻ろうとする力(反発力)に耐えて、接着性を維持することができる性能(以下、このような性能のことを「耐反発性」ともいう。)が求められる。
また、粘着剤には被着体を保護する性能が求められる。特に、携帯電子機器は、その携帯性から外部より衝撃や荷重が付与されやすい傾向にあるため、携帯電子機器に用いられる粘着剤には、衝撃等によって他の部材(被着体や、被着体の背面側に配置される部材等)に変形(歪み)が生じることを抑制する性能が求められる。被着体の保護性に劣る粘着剤によると、例えば被着体が、電子部品が固定されたフレキシブルプリント配線板である場合に、該電子部品が外部からの衝撃等によって変形して破損するなどの不具合が発生するおそれがある。したがって、粘着剤には、衝撃等によって他の部材に変形(歪み)が生じることを抑制する性能(以下、このような性能のことを「耐歪み性」ともいう。)が求められる。
従来の粘着剤の構成によって、耐反発性と被着体の保護性とを両立して改善させることは容易ではない。本発明は、上記の事情に鑑みて創出されたものであり、耐反発性と耐歪み性とを両立しうる構造体(積層体)を提供することを目的とする。
一の粘着剤層のみでシート状に構成される粘着シートのように、単一要素で構成される構造によると、互いに異なる2以上の性能を高いレベルで両立させることは困難になりがちである。発明者らは、少なくとも粘着剤層を含む2以上の構成要素が積層して構成される積層体を採用することにより、上記耐反発性と上記耐歪み性とを両立して向上させ得ることを見出した。
この明細書によると、芯体と、該芯体の一方の表面に配置された第1の粘着シートと、該芯体の他方の表面に配置された第2の粘着シートと、を備える積層体が提供される。ここで、第1の粘着シートおよび第2の粘着シートはそれぞれ粘着剤層を含む。上記積層体の総厚さTtotalは50μm以上400μm以下である。この積層体において、上記芯体のヤング率E[MPa]と厚さT[μm]の積(E×T)は500000以上である。かかる芯体を用いることにより、総厚さTtotalが上記範囲である積層体であっても、優れた耐歪み性が達成されやすくなる。また、上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの少なくとも一方は、120℃における貯蔵弾性率G′(120℃)が0.015MPa以上である。かかる粘着シートを用いることにより、積層体の耐反発性が向上する傾向にある。したがって、上記構成の積層体によると、耐反発性と耐歪み性とが両立して達成され得る。
積層体に含まれる第1の粘着シートおよび第2の粘着シートは、基材を含まない基材レス粘着シートであってもよく、基材を含む基材付き粘着シートであってもよい。上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方が基材レス粘着シートである場合の、いくつかの好ましい態様において、該基材レス粘着シートの厚さは10μm以上70μm以下である。また、上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方が基材付き粘着シートである場合の、いくつかの好ましい態様において、該基材付き粘着シートの厚さは20μm以上270μm以下である。かかる基材レス粘着シートまたは基材付き粘着シートを用いることによって、積層体の薄膜化と接着性が達成されやすくなる。
いくつかの好ましい態様において、上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方は、25℃における貯蔵弾性率G′(25℃)が0.15MPa以上である。かかる粘着シートを用いることにより、積層体の耐反発性が向上する傾向にある。
いくつかの好ましい態様において、上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方は、85℃における貯蔵弾性率G′(85℃)が0.02MPa以上である。かかる粘着シートを用いることにより、積層体の耐反発性が向上する傾向にある。
いくつかの好ましい態様において、上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方に含まれる粘着剤層は、重量平均分子量(Mw)が50×10以上のベースポリマーを含む。かかるベースポリマーを用いると、粘着シートの貯蔵弾性率G´が好適に向上しやすい。
いくつかの好ましい態様において、上記芯体の厚さTは、10μm以上300μm以下である。かかる構成によると、積層体の薄膜化と優れた耐歪み性が達成されやすくなる。
いくつかの好ましい態様において、上記芯体のヤング率Eは、3000MPa以上である。かかる構成によると、積層体の薄膜化と優れた耐歪み性が達成されやすくなる。
いくつかの好ましい態様において、積層体の光透過率Ctotalは10%以下である。かかる積層体は、バックライトモジュール等の光源を含む製品に用いられて、該光源からの光漏れの抑制(遮光性)や、意匠性付与に優れる傾向にある。
ここに開示される積層体は、電子機器に好ましく用いられ得る。特に、ここに開示される積層体は、その耐反発性および耐歪み性に優れるというという特長を活かして、折れ曲げられた部材を含んだり、外部からの衝撃や荷重負荷が生じたりしやすい、携帯電子機器に好ましく用いられる。ここに開示される積層体は、厚さが制限されているので、この観点からも、薄膜化や軽量化が進行している携帯電子機器に好ましく用いられる。
なお、本明細書に記載された各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれ得る。
一実施形態に係る積層体の構成を示す模式的断面図である。 他の実施形態に係る積層体の構成を示す模式的断面図である。 他の実施形態に係る積層体の構成を示す模式的断面図である。 耐反発性試験の方法を説明した模式図である。 耐歪み性試験の方法を説明した模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、製品として実際に提供される本発明の積層体または粘着シートのサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
本明細書において「粘着剤」とは、前述のように、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料をいう。ここでいう粘着剤は、「C. A. Dahlquist, “Adhesion : Fundamentals and Practice”, McLaren & Sons, (1966) P. 143」に定義されているとおり、一般的に、複素引張弾性率E(1Hz)<10dyne/cmを満たす性質を有する材料(典型的には、25℃において上記性質を有する材料)であり得る。
<積層体の構成例>
ここに開示される積層体は、非剥離性の芯体と、該芯体の一方の表面に配置された第1の粘着シートと、該芯体の他方の表面に配置された第2の粘着シートを含む。ここで、第1の粘着シートは粘着剤層を含む粘着シートであり、第2の粘着シートもまた粘着剤層を含む粘着シートである。上記第1の粘着シートは、非剥離性の基材(支持基材)の両面に粘着剤層を有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、非剥離性の基材を有しない基材レス粘着シートであってもよい。また、上記第2の粘着シートは、非剥離性の基材(支持基材)の両面に粘着剤層を有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、非剥離性の基材を有しない基材レス粘着シートであってもよい。
ここでいう積層体の概念には、基材付き粘着シートと称されるものが包含され得る。またここでいう積層体の概念には、粘着シート、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。ここに開示される積層体は、典型的にはシート状であり、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の積層体であってもよい。
第1の粘着シートおよび第2の粘着シートの両方が、両面粘着タイプの基材レス粘着シート(基材レス両面粘着シート)である場合の積層体の構成例を図1に示す。図1に示す積層体1は、芯体15を含み、芯体15の第一面15Aおよび第二面15B(いずれも非剥離性)に、第1の粘着シート11および第2の粘着シート12がそれぞれ設けられている。ここで、第1の粘着シート11は粘着剤層で構成されている。また、第2の粘着シート12は粘着剤層で構成されている。使用前(被着体への貼り付け前)の積層体1は、図1に示すように、前面21Aおよび背面21Bがいずれも剥離面である剥離ライナー21と重ね合わされて渦巻き状に巻回された形態であり得る。かかる形態の積層体1は、第2の粘着シート12の粘着面12Aが剥離ライナー21の前面21Aにより、第1の粘着シート11の粘着面11Aが剥離ライナー21の背面21Bにより、それぞれ保護されている。あるいは、粘着面11Aおよび粘着面12Aが2枚の独立した剥離ライナーによりそれぞれ保護された形態であってもよい。
第1の粘着シートが両面粘着タイプの基材レス粘着シート(基材レス両面粘着シート)であって、第2の粘着シートが両面粘着タイプの基材付き粘着シート(基材付き両面粘着シート)である場合の積層体の構成例を図2に示す。図2に示す積層体1は、芯体15を含み、芯体15の第一面15Aおよび第二面15B(いずれも非剥離性)に、第1の粘着シート11および第2の粘着シート12がそれぞれ設けられている。第1の粘着シート11は粘着剤層で構成されている。第2の粘着シート12は基材35を含み、基材35の第一面および第二面(いずれも非剥離性)に、それぞれ粘着剤層32、34が設けられている。使用前(被着体への貼り付け前)の積層体1は、図2に示すように、前面21Aおよび背面21Bがいずれも剥離面である剥離ライナー21と重ね合わされて渦巻き状に巻回された形態であり得る。かかる形態の積層体1は、粘着剤層34の表面(粘着面34A)が剥離ライナー21の前面21Aにより、第1の粘着シート11の粘着面11Aが剥離ライナー21の背面21Bにより、それぞれ保護されている。あるいは、粘着面11Aおよび粘着面34Aが2枚の独立した剥離ライナーによりそれぞれ保護された形態であってもよい。
第1の粘着シートおよび第2の粘着シートの両方が、両面粘着タイプの基材付き粘着シート(基材付き両面粘着シート)である場合の積層体の構成例を図3に示す。図3に示す積層体1は、芯体15を含み、芯体15の第一面15Aおよび第二面15B(いずれも非剥離性)に、第1の粘着シート11および第2の粘着シート12がそれぞれ設けられている。第1の粘着シート11は、基材25を含み、基材25の第一面および第二面(いずれも非剥離性)にそれぞれ、粘着剤層36、38が設けられている。また、第2の粘着シート12は、基材35を含み、基材35の第一面および第二面(いずれも非剥離性)にそれぞれ、粘着剤層32、34が設けられている。使用前(被着体への貼り付け前)の積層体1は、図3に示すように、前面21Aおよび背面21Bがいずれも剥離面である剥離ライナー21と重ね合わされて渦巻き状に巻回された形態であり得る。かかる形態の積層体1は、粘着剤層34の表面(粘着面34A)が剥離ライナー21の前面21Aにより、粘着剤層36の表面(粘着面36A)が剥離ライナー21の背面21Bにより、それぞれ保護されている。あるいは、粘着面34Aおよび粘着面36Aが2枚の独立した剥離ライナーによりそれぞれ保護された形態であってもよい。
<芯体>
ここに開示される芯体は、第1の粘着シートと第2の粘着シートを支持する支持部材である。ここに開示される技術において、上記芯体は、ヤング率と厚さの積が所定値以上であることを特徴とする。具体的には、単位をMPaとするときの芯体のヤング率の値Eと、単位をμmとするときの芯体の厚さの値Tとを掛け合わせて算出される値E×Tが500000以上である。かかる芯体を用いると、積層体の耐歪み性が向上する傾向にある。
いくつかの好ましい態様において、上記E×Tは、70×10以上であり、より好ましくは90×10以上(例えば100×10以上、110×10以上または120×10以上)であり、さらに好ましくは130×10以上である。上記E×Tの上限は特に限定されない。積層体の薄層化、軽量化等の観点から、1500×10以下であることが好ましく、より好ましくは1000×10以下(例えば800×10以上、600×10以上または500×10以下)であり、さらに好ましくは400×10以下である。
芯体のヤング率Eは、芯体の厚さTとの積が所定値以上となる限りにおいて、特に限定されない。積層体の耐歪み性を向上させる観点からは、芯体のヤング率Eは、3000MPa以上であることが好ましく、より好ましくは5000MPa以上(例えば7000MPa以上、8000MPa以上または9000MPa以上)であり、さらに好ましくは10000MPa以上である。さらに高いレベルの耐歪み性を実現する観点からは、芯体のヤング率Eは、60000MPa以上であることが好ましく、より好ましくは70000MPa以上(例えば90000MPa以上、100000MPa以上または130000MPa以上)であり、さらに好ましくは150000MPa以上である。芯体のヤング率Eの上限は特に限定されない。加工性や取扱い性の観点から、芯体のヤング率Eは650000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは400000MPa以下(例えば300000MPa以下であってもよく、280000MPa以下であってもよく、250000MPa以下であってもよい。
芯体の厚さTは、芯体のヤング率Eとの積が所定値以上となる限りにおいて、特に限定されない。耐歪み性の観点からは、芯体の厚さTは、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは12μm以上(例えば15μm以上)であり、20μm以上であってもよい。芯体の厚さTの上限は特に限定されない。積層体の薄層化、軽量化等の観点から、芯体の厚さTは500μm以下(例えば300μm以下)であることが好ましく、より好ましくは270μm以下であってもよく、250μm以下であってもよく、150μm以下でもよい。
ここに開示される積層体に含まれる芯体の材料は、特に限定されない。例えば芯体として、金属箔、樹脂フィルム、発泡体フィルム、紙、布、これらの複合体等を用いることができる。
積層体の耐歪み性を向上させる観点からは、芯体として金属箔を好ましく用いることができる。金属箔としては、ステンレス箔、アルミニウム箔、銅箔、チタン箔、亜鉛箔などの一般的な金属箔を用いることができる。なかでも、コスト、加工性の観点から、ステンレス箔、アルミニウム箔、銅箔を好適に用いることができる。金属箔は、単層の形態を有していてもよく、2層、3層またはそれ以上の多層構造を有するものであってもよい。例えば、金属箔の表面に異なる種類の金属がめっきされためっき箔であってもよい。あるいは、金属層と他の材料(例えば紙)で構成される層とを含む多層構造を有するものであってもよい。
あるいは、ベースフィルムとして樹脂フィルムを含むものを芯体として好ましく用いることができる。上記ベースフィルムは、典型的には、独立して形状維持可能な(非依存性の)部材である。ここに開示される技術における芯体は、このようなベースフィルムから実質的に構成されたものであり得る。あるいは、上記芯体は、上記ベースフィルムの他に、補助的な層を含むものであってもよい。上記補助的な層の例としては、上記ベースフィルムの表面に設けられた下塗り層、帯電防止層、着色層等が挙げられる。積層体の光透過率を低減させる観点からは、ベースポリマーの表面に着色層が配置された芯体を好ましく用いることができる。着色層に含まれる着色剤としては、後述する粘着シートに用いられる着色剤と同様のものが好ましく採用され得る。
上記樹脂フィルムは、樹脂材料を主成分(当該樹脂フィルム中に50重量%を超えて含まれる成分)とするフィルムである。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂フィルム;塩化ビニル系樹脂フィルム;酢酸ビニル系樹脂フィルム;ポリイミド系樹脂フィルム;ポリアミド系樹脂フィルム;フッ素樹脂フィルム;セロハン;等が挙げられる。樹脂フィルムは、天然ゴムフィルム、ブチルゴムフィルム等のゴム系フィルムであってもよい。なかでも、ハンドリング性、加工性の観点から、ポリエステルフィルムが好ましく、そのなかでもPETフィルムが特に好ましい。
上記樹脂フィルムは、単層構造であってもよく、2層、3層またはそれ以上の多層構造を有するものであってもよい。形状安定性の観点から、樹脂フィルムは単層構造であることが好ましい。多層構造の場合、少なくとも一つの層(好ましくは全ての層)は上記樹脂(例えばポリエステル系樹脂)の連続構造を有する層であることが好ましい。樹脂フィルムの製造方法は、従来公知の方法を適宜採用すればよく、特に限定されない。例えば、押出成形、インフレーション成形、Tダイキャスト成形、カレンダーロール成形等の従来公知の一般的なフィルム成形方法を適宜採用することができる。
樹脂フィルム(PETフィルム等)を含む芯体には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、着色剤、分散剤(界面活性剤等)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。各種添加剤の配合割合は、通常は凡そ30重量%未満(例えば凡そ20重量%未満、好ましくは凡そ10重量%未満)程度である。
いくつかの態様において、芯体材料として、発泡体フィルムが用いられ得る。芯体に用いられる発泡体フィルムとしては、気泡(気泡構造)を有する部分を備えたフィルムであって、典型的には、層状の発泡体(発泡体層)を少なくとも1層含むフィルムである。特に限定するものではないが、ここに開示される技術における発泡体フィルムの一好適例として、単層(1層)の発泡体層からなる発泡体フィルムが挙げられる。
他のいくつかの態様では、芯体材料として、紙や布が用いられる。芯体に用いられ得る紙の例としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。
なお、ここでいう不織布は、主として粘着テープその他の粘着シートの分野において使用される粘着シート用不織布を指す概念であって、典型的には一般的な抄紙機を用いて作製されるような不織布(いわゆる「紙」と称されることもある。)をいう。また、ここでいう樹脂フィルムとは、典型的には非多孔質の樹脂シートであって、例えば不織布とは区別される(すなわち、不織布を含まない)概念である。上記樹脂フィルムは、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。また、該基材の粘着剤層が設けられる面には、下塗り剤の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
芯体の表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布等の、従来公知の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、芯体と粘着シート(粘着剤層)との密着性、言い換えると粘着シート(粘着剤層)の芯体への投錨性を向上させるための処理であり得る。
<粘着シート>
(120℃貯蔵弾性率)
ここに開示される積層体に含まれる粘着シート(第1の粘着シートおよび第2の粘着シートの一方または両方。以下同じ。)は、120℃における貯蔵弾性率G´(120℃)が0.015MPa以上であることによって特徴づけられる。上記G´(120℃)を有する粘着シートを用いると、積層体の耐反発性が向上する傾向にある。上記G´(120℃)は、0.016MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.017MPa以上であり、特に好ましくは0.018MPa以上である。上記G´(120℃)の上限は特に限定されないが、積層体に柔軟性を付与する観点からは、上記G´(120℃)は通常は0.15MPa以下であることが適当であり、0.10MPa以下であってもよく、0.08MPa以下でもよく、0.075MPa以下でもよく、0.05MPa以下でもよく、0.03MPa以下でもよい。
(85℃貯蔵弾性率)
いくつかの態様において、粘着シートの85℃における貯蔵弾性率G´(85℃)は0.02MPa以上であり得る。上記G´(85℃)が所定値以上の粘着シートを用いると、積層体の耐反発性が向上する傾向にある。上記G´(85℃)は、好ましくは0.020MPa以上、より好ましくは0.025MPa以上、さらに好ましくは凡そ0.030MPa以上(例えば0.035MPa以上)、特に好ましくは0.040MPa以上であってもよい。上記G´(85℃)の上限は特に限定されないが、積層体に柔軟性を付与する観点からは、上記G´(85℃)は通常は0.10MPa以下であることが適当であり、例えば0.08MPa以下であってもよく、0.06MPa以下でもよく、0.05MPa以下でもよく、0.048MPa以下でもよい。
(25℃貯蔵弾性率)
いくつかの態様において、粘着シートの25℃における貯蔵弾性率G´(25℃)は0.15MPa以上であり得る。上記G´(25℃)が所定値以上の粘着シートを用いると、積層体の耐反発性が向上する傾向にある。上記G´(25℃)は、好ましくは0.16MPa以上、より好ましくは0.17MPa以上、さらに好ましくは凡そ0.18MPa以上、特に好ましくは0.19MPa以上であり、0.20MPa以上であってもよい。上記G´(25℃)の上限は特に限定されないが、積層体に柔軟性を付与する観点からは、上記G´(25℃)は通常0.5MPa以下であることが適当であり、例えば0.4MPa以下であってもよく、0.35MPa以下でもよく、0.3MPa以下でもよく、0.28MPa以下でもよい。
上述の粘着シートの粘弾性特性は、本明細書の記載内容に基づき、粘着剤層に含まれるベースポリマーのモノマー組成を調節すること、必要に応じて粘着付与樹脂の種類や使用量を適切に選択すること、必要に応じて他の成分(架橋剤等)を含む粘着剤組成を適切に設定すること、ポリマーの重合条件や粘着剤層の製造条件等によって調節することができる。
ここに開示される技術において、粘着シートの120℃貯蔵弾性率、85℃貯蔵弾性率および25℃貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により求めることができる。具体的には、測定対象である粘着シートを複数枚重ね合わせることにより、厚さ約2mmの試験片を作製する。この試験片を直径7.9mmの円盤状に打ち抜いた試料をパラレルプレートで挟み込んで固定し、粘弾性試験機(例えば、ティー・エー・インスツルメント社製、ARESまたはその相当品)により以下の条件で動的粘弾性測定を行い、120℃貯蔵弾性率、85℃貯蔵弾性率および25℃貯蔵弾性率を求める。
・測定モード:せん断モード
・温度範囲 :-70℃~150℃
・昇温速度 :5℃/min
・測定周波数:1Hz
後述の実施例においても上記の方法で測定される。
ここに開示される粘着シート(剥離ライナーを含まない。)の厚さTは特に限定されない。粘着シートの厚さTは、薄膜化の観点から、例えば凡そ500μm以下とすることができ、通常は凡そ350μm以下が適当であり、凡そ270μm以下(例えば凡そ250μm以下)が好ましい。粘着シートの厚さTの下限は特に限定されず、通常は凡そ3μm以上が適当であり、凡そ5μm以上が好ましく、より好ましくは凡そ10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。粘着シートの厚さTを大きくすることにより、より優れた粘着特性が得られやすい。
上記粘着シートが基材を含まない基材レス粘着シートである場合、該基材レス粘着シートの厚さTB1は、通常は3μm以上が適当であり、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。基材レス粘着シートの厚さTB1を大きくすることにより、より優れた粘着特性が得られやすい。基材レス粘着シートの厚さTB1は、通常は200μm以下が適当であり、薄膜化の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下(例えば60μm以下)、さらに好ましくは50μm以下である。
上記粘着シートが基材を含む基材付き粘着シートである場合、該基材付き粘着シートの厚さTB2は、10μm超であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上、特に好ましくは30μm以上である。基材付き粘着シートの厚さTB2を大きくすることにより、より優れた粘着特性が得られやすい。基材付き粘着シートの厚さTB2は、通常は500μm以下が適当であり、薄膜化の観点から、300μm以下が好ましく、より好ましくは270μm以下(例えば260μm以下)であり、150μm以下であってもよい。
粘着シートの光透過率Cは特に限定されない。ここに開示される技術において、意匠性を付与したり、積層体の遮光性を向上させる観点から、光透過率Cが20%以下(好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは1.5%以下)の粘着シートを用いてもよい。上記光透過率Cの下限は特に制限されず、実質的に0%、すなわち検出限界以下であってもよく、1%以上でもよく、5%以上でもよく、15%以上でもよい。他のいくつかの態様において、粘着シートの光透過率Cは30%超であってもよく、50%超であってもよく、70%以上(例えば75%以上)でもよい。
ここに開示される技術において、粘着シートの光透過率Cは下記の方法で測定することができる。後述の実施例においても下記の方法で測定される。
[光透過率C
粘着シートの光透過率C[%]は、剥離ライナーから剥がした粘着シートの厚さ方向の光透過率(波長550nmの光透過率)であり、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、日立製作所製の分光光度計(装置名「U4150型分光光度計」)またはその相当品が用いられる。
(粘着剤)
ここに開示される技術において、粘着シートに含まれる粘着剤層を構成する粘着剤の種類は特に限定されない。上記粘着剤は、粘着剤の分野において用いられ得るアクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー(天然ゴム、合成ゴム、これらの混合物等)、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー等の各種ゴム状ポリマーの1種または2種以上を粘着性ポリマー(粘着剤を形づくる構造ポリマーという意味で、以下「ベースポリマー」ともいう。)として含むものであり得る。粘着性能やコスト等の観点から、アクリル系ポリマーまたはゴム系ポリマーをベースポリマーとして含む粘着剤を好ましく採用し得る。なかでもアクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤(アクリル系粘着剤)が好ましい。ここに開示される技術は、アクリル系粘着剤を用いる態様で好ましく実施される。
以下、アクリル系粘着剤により構成された粘着剤層、すなわちアクリル系粘着剤層を有する粘着シートについて主に説明するが、ここに開示される粘着シートの粘着剤層をアクリル系粘着剤により構成されたものに限定する意図ではない。
ここで、粘着剤の「ベースポリマー」とは、該粘着剤に含まれるゴム状ポリマーの主成分をいい、このこと以外、何ら限定的に解釈されるものではない。上記ゴム状ポリマーとは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマーをいう。また、この明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50重量%を超えて含まれる成分を指す。
また、「アクリル系ポリマー」とは、該ポリマーを構成するモノマー単位として、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマー単位を含む重合物をいう。以下、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを「アクリル系モノマー」ともいう。したがって、この明細書におけるアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を含むポリマーとして定義される。アクリル系ポリマーの典型例として、該アクリル系ポリマーの合成に用いられる全モノマー成分のうちアクリル系モノマーの割合が50重量%より多いアクリル系ポリマーが挙げられる。
また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
(アクリル系ポリマー)
ここに開示される技術において、ポリマーとして用いられるアクリル系ポリマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして含み、該主モノマーと共重合性を有する副モノマーをさらに含み得るモノマー原料の重合物が好ましい。ここで主モノマーとは、上記モノマー原料におけるモノマー組成の50重量%超を占める成分をいう。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば下記式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
CH=C(R)COOR (1)
ここで、上記式(1)中のRは水素原子またはメチル基である。また、Rは炭素原子数1~20の鎖状アルキル基である。以下、このような炭素原子数の範囲を「C1-20」と表すことがある。粘着剤の貯蔵弾性率等の観点から、RがC1-14(例えばC1-10、典型的にはC4-8)の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとすることが適当である。Rがブチル基または2-エチルヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。また、粘着特性の観点から、Rが水素原子であってRがC4-8の鎖状アルキル基であるアルキルアクリレート(以下、単にC4-8アルキルアクリレートともいう。)を主モノマーとすることが好ましい。
がC1-20の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルキル(メタ)アクリレートの好適例として、n-ブチルアクリレート(BA)および2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)が挙げられる。特に好ましいアルキル(メタ)アクリレートとして、n-ブチルアクリレート(BA)および2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)が挙げられる。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分に占めるアルキル(メタ)アクリレートの割合は、典型的には50重量%超であり、例えば70重量%以上とすることができ、85重量%以上としてもよく、90重量%以上としてもよい。アルキル(メタ)アクリレートの割合の上限は特に限定されないが、99.5重量%以下(例えば99重量%以下)とすることが好ましく、あるいは、カルボキシ基含有モノマー等の副モノマーに基づく特性(例えば凝集力)を好ましく発揮させる観点から、98重量%以下(例えば97重量%未満)としてもよい。あるいは、アクリル系ポリマーは実質的にアルキル(メタ)アクリレートのみを重合したものであってもよい。
また、モノマー成分としてC4-8アルキルアクリレートを使用する場合、該モノマー成分中に含まれるアルキル(メタ)アクリレートのうちC4-8アルキルアクリレートの割合は、70重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
ここに開示される技術は、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分がBAおよび2EHAの少なくとも一方を含み、該モノマー成分に含まれるアルキル(メタ)アクリレートのうちBAと2EHAとの合計量が75重量%以上(通常は85重量%以上、例えば90重量%以上、さらには95重量%以上)を占める態様で好ましく実施され得る。ここに開示される技術は、例えば、上記モノマー成分に含まれるアルキル(メタ)アクリレートが、BA単独である態様、2EHA単独である態様、BAと2EHAとからなる態様等で実施することができる。
いくつかの好ましい態様において、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、C1-6アルキル(メタ)アクリレートを50重量%以上含む。換言すると、上記アクリル系ポリマーにおけるC1-6アルキル(メタ)アクリレートの重合割合は50重量%以上であることが好ましい。このようにC1-6アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして使用することで、貯蔵弾性率を好ましく向上させて耐反発性を向上させることができる。この態様において、モノマー成分に占めるC1-6アルキル(メタ)アクリレートの割合(換言すると重合割合)は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは92重量%以上(例えば95重量%超)である。モノマー成分に占めるC1-6アルキル(メタ)アクリレートの割合の上限は、特に制限されず、通常は99重量%以下、他の共重合性モノマーの使用割合との関係から、98重量%以下であることが適当であり、97重量%以下とすることが好ましく、95重量%未満であってもよい。C1-6アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。C1-6アルキル(メタ)アクリレートとしては、C1-6アルキルアクリレートが好ましく、C2-6アルキルアクリレートがより好ましく、C4-6アルキルアクリレートがさらに好ましい。他のいくつかの態様では、C1-6アルキル(メタ)アクリレートは、好ましくはC1-4アルキルアクリレートであり、より好ましくはC2-4アルキルアクリレートである。C1-6アルキル(メタ)アクリレートの好適例としてBAが挙げられる。
他のいくつかの好ましい態様において、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、C7-10アルキル(メタ)アクリレートを50重量%以上含む。換言すると、上記アクリル系ポリマーにおけるC7-10アルキル(メタ)アクリレートの共重合割合は50重量%以上であることが好ましい。このようにC7-10アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして使用することで、適度な柔軟性を付与し得る。モノマー成分に占めるC7-10アルキル(メタ)アクリレートの割合(換言すると共重合割合)は、60重量%超であってもよく、70重量%超でもよく、より好ましくは80重量%よりも大きく、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは92重量%以上(例えば95重量%以上)である。モノマー成分に占めるC7-10アルキル(メタ)アクリレートの割合の上限は、特に限定されず、通常は99重量%以下、他の共重合性モノマー(例えば酸性基含有モノマー)の使用割合との関係から、97重量%以下であることが適当であり、96重量%以下とすることが好ましい。C7-10アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。C7-10アルキル(メタ)アクリレートの好適例として、2EHA、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート等のC7-10アルキルアクリレートが挙げられる。なかでも2EHAが好ましい。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーには、副モノマーが共重合されていてもよい。アクリル系ポリマーに架橋基点となり得る官能基を導入し、あるいは接着力の向上に寄与し得る副モノマーとして、カルボキシ基含有モノマー、水酸基(OH基)含有モノマー(2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等)、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー((メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等)、アミノ基含有モノマー(アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等)、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー(N-ビニル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等)、アルコキシシリル基含有モノマー、イミド基含有モノマー類等が挙げられる。上記副モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が上述の官能基含有モノマーを含む場合、該モノマー成分における官能基含有モノマーの含有量は特に限定されない。官能基含有モノマーの使用による効果を適切に発揮する観点から、モノマー成分における官能基含有モノマーの含有量は、例えば0.1重量%以上とすることができ、0.5重量%以上とすることが適当であり、1重量%以上としてもよい。また、主モノマーとの関係で粘着性能のバランスをとりやすくする観点から、モノマー成分における官能基含有モノマーの含有量は、40重量%以下とすることが適当であり、20重量%以下とすることが好ましく、10重量%以下(例えば5重量%以下)としてもよい。
いくつかの好ましい態様では、主モノマーであるアルキル(メタ)アクリレートと共重合性を有するモノマーとして酸性基含有モノマーを使用する。酸性基含有モノマーは、その極性に基づく凝集性向上と、極性被着体に対する良好な結合力を発揮することができる。また、イソシアネート系、エポキシ系架橋剤等の架橋剤を使用する場合には、当該酸性基(典型的にはカルボキシ基)がアクリル系ポリマーの架橋点となる。
酸性基含有モノマーとしては、カルボキシ基含有モノマーが好ましく用いられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イソクロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)が挙げられる。また、酸性基含有モノマーは、カルボキシ基の金属塩(例えばアルカリ金属塩)を有するモノマーであってもよい。なかでも、AAおよびMAAが好ましく、AAがより好ましい。
ここに開示される技術において、モノマー成分に占める酸性基含有モノマー(典型的にはカルボキシ基含有モノマー)の含有量(換言すると、アクリル系ポリマーにおける酸性基含有モノマーの共重合割合)は、1.0重量%以上とすることが適当である。所定量以上の酸性基含有モノマーを使用することで、粘着剤層の凝集力を向上させることができる。アクリル系ポリマーにおける酸性基含有モノマーの共重合割合は、好ましくは1.5重量%以上、より好ましくは2.0重量%以上、さらに好ましくは2.5重量%以上、特に好ましくは3.0重量%以上である。いくつかの好ましい態様において、アクリル系ポリマーにおける酸性基含有モノマーの共重合割合は、4.0重量%以上であり、5.0重量%超であってもよく、6.0重量%以上でもよく、6.5重量%以上でもよい。アクリル系ポリマーにおける酸性基含有モノマーの共重合割合は、通常は20重量%以下とすることが適当であり、適切な柔軟性を付与する観点から、好ましくは10重量%未満、より好ましくは8.0重量%未満、さらに好ましくは7.0重量%未満、特に好ましくは6.0重量%未満であり、5.0重量%未満(例えば4.0重量%未満)でもよい。
ここに開示される技術において好ましく用いられるアクリル系ポリマーは、主モノマーとしてのアルキル(メタ)アクリレートと、副モノマーとしての酸性基含有モノマーとが共重合された共重合体であり得る。このようなアクリル系ポリマーにおいて、上記アルキル(メタ)アクリレートおよび上記酸性基含有モノマー以外の共重合成分の割合は10重量%未満であってもよく、3重量%未満でもよく、1重量%未満でもよく、0.1重量%未満でもよく、0.03重量%未満(例えば0.01重量%未満)でもよい。アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、上記酸性基含有モノマー以外の官能基含有モノマーを実質的に含まないものであり得る。アルキル(メタ)アクリレートと酸性基含有モノマーから実質的に構成されたアクリル系ポリマーによると、アルキル(メタ)アクリレートと酸性基含有モノマーの作用を最大限発揮することができる。
あるいは、いくつかの態様において、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分は、上記酸性基含有モノマー以外の官能基含有モノマーとして、例えば水酸基含有モノマーを含んでもよい。上記モノマー成分に占める水酸基含有モノマーの割合は、例えば0.01重量%以上1重量%未満程度とすることができ、0.5重量%未満であってもよく、0.1重量%未満でもよい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、凝集力向上等の目的で、上述した副モノマー以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の共重合成分の例としては、酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン等の芳香族ビニル化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えばベンジル(メタ)アクリレート)等の芳香族性環含有(メタ)アクリレート;オレフィン系モノマー;塩素含有モノマー;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;等が挙げられる。上記他の共重合成分は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
かかる他の共重合成分の量は、目的および用途に応じて適宜選択すればよく特に限定されないが、使用による効果を適切に発揮する観点から、0.05重量%以上とすることが適当であり、0.5重量%以上としてもよい。また、粘着性能のバランスをとりやすくする観点から、モノマー成分における他の共重合成分の含有量は、20重量%以下とすることが適当であり、10重量%以下(例えば5重量%以下)としてもよい。ここに開示される技術は、モノマー成分が他の共重合成分を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。ここで、モノマー成分が他の共重合成分を実質的に含まないとは、少なくとも意図的には他の共重合成分を用いないことをいい、他の共重合成分が例えば0.01重量%以下程度、非意図的に含まれることは許容され得る。
アクリル系ポリマーは、他のモノマー成分として、(メタ)アクリロイル基やビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性官能基(典型的にはラジカル重合性官能基)を少なくとも2つ有する多官能モノマーを含んでもよい。モノマー成分として、多官能モノマーを用いることにより、粘着剤層の凝集力を高めることができる。多官能モノマーは、架橋剤として用いることができる。多官能モノマーとしては、特に限定されず、例えば1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能モノマーの使用量は特に限定されず、該多官能モノマーの使用目的が達成されるように適切に設定することができる。多官能モノマーの使用量は、上記モノマー成分の凡そ3重量%以下とすることができ、凡そ2重量%以下が好ましく、凡そ1重量%以下(例えば凡そ0.5重量%以下)がより好ましい。多官能モノマーを使用する場合における使用量の下限は、0重量%より大きければよく、特に限定されない。通常は、多官能モノマーの使用量をモノマー成分の凡そ0.001重量%以上(例えば凡そ0.01重量%以上)とすることにより、該多官能モノマーの使用効果が適切に発揮され得る。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の組成は、該アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が凡そ-15℃以下(例えば凡そ-70℃以上-15℃以下)となるように設計されていることが適当である。ここで、アクリル系ポリマーのTgとは、上記モノマー成分の組成に基づいて、Foxの式により求められるTgをいう。Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
なお、上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。
Tgの算出に使用するホモポリマーのガラス転移温度としては、公知資料に記載の値を用いるものとする。例えば、以下に挙げるモノマーについては、該モノマーのホモポリマーのガラス転移温度として、以下の値を使用する。
2-エチルヘキシルアクリレート -70℃
n-ブチルアクリレート -55℃
2-ヒドロキシエチルアクリレート -15℃
4-ヒドロキシブチルアクリレート -40℃
酢酸ビニル 32℃
アクリル酸 106℃
メタクリル酸 228℃
上記で例示した以外のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons, Inc., 1989)に記載の数値を用いるものとする。本文献に複数種類の値が記載されているモノマーについては、最も高い値を採用する。上記Polymer Handbookにも記載されていない場合には、特開2007-51271号公報に記載の測定方法により得られる値を用いるものとする。
特に限定するものではないが、接着性や柔軟性の観点から、アクリル系ポリマーのTgは、凡そ-25℃以下であることが有利であり、好ましくは凡そ-35℃以下、より好ましくは凡そ-40℃以下、さらに好ましくは-45℃以下であり、例えば-50℃以下であってもよく、-55℃以下であってもよい。また、粘着剤層の凝集力の観点から、アクリル系ポリマーのTgは、通常は凡そ-75℃以上であり、好ましくは凡そ-70℃以上である。いくつかの態様において、アクリル系ポリマーのTgは、-60℃以下であってもよく、-62℃以下(例えば-64℃以下)でもよい。また、粘着剤層の凝集力の観点から、アクリル系ポリマーのTgは、凡そ-65℃以上であってもよく、凡そ-60℃以上(例えば、凡そ-55℃以上)でもよい。アクリル系ポリマーのTgは、モノマー組成(すなわち、該ポリマーの合成に使用するモノマーの種類や使用量比)を適宜変えることにより調整することができる。
ここに開示されるベースポリマーの重量平均分子量Mwは、貯蔵弾性率G´向上、凝集力向上や接着性向上の観点から、好ましくは凡そ30×10以上、より好ましくは40×10以上(例えば45×10以上)、さらに好ましくは凡そ50×10以上、特に好ましくは凡そ55×10以上(例えば凡そ58×10以上)である。また、上記Mwは、通常は凡そ300×10以下であり、凡そ200×10以下が適当である。柔軟性を向上する観点から、上記Mwは、好ましくは凡そ100×10以下であり、凡そ70×10以下(例えば凡そ65×10以下)であってもよい。ベースポリマーとしては、上述のゴム状ポリマーとして例示した各種のポリマーの1種または2種以上を用いることができる。例えば溶液重合法で得られるアクリル系ポリマーでは、上記範囲のMwとすることが好ましい。
ここに開示されるベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)の分散度(Mw/Mn)は特に限定されない。ここでいう分散度(Mw/Mn)とは、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表わされる分散度(Mw/Mn)をいう。いくつかの好ましい態様において、ベースポリマーの分散度(Mw/Mn)は40以下であり、20未満であってもよく、15未満(例えば12以下)でもよく、10未満でもよく、7.0未満でもよい。分子量分布を適切な範囲内に制限することにより、安定した特性が得られやすい。上記Mw/Mnの下限は特に限定されず、例えば3.0以上であってもよく、5.0以上でもよく、7.0以上でもよい。分子量分布をある程度有することで、低分子量体と高分子量体の作用がバランスよく発現する傾向がある。そのようなポリマーは生産性にも優れる傾向がある。
なお、Mw,MnおよびMw/Mnは、重合条件(時間、温度等)や、重合時の不揮発分(モノマー成分)濃度、重合開始剤使用量、連鎖移動剤の使用、連鎖移動定数に基づく重合溶媒の選択等によって調節可能である。また、MwおよびMnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により得られた標準ポリスチレン換算の値から求められる。GPC装置としては、例えば機種名「HLC-8320GPC」(カラム:TSKgelGMH-H(S)、東ソー社製)を用いることができる。
ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)を得る方法は特に限定されず、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の、ポリマーの合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。例えば、溶液重合法を好ましく採用し得る。溶液重合を行う際の重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃~170℃程度(典型的には40℃~140℃程度)とすることができる。
溶液重合に用いる溶媒(重合溶媒)は、従来公知の有機溶媒(トルエン、酢酸エチル等)から適宜選択することができる。重合に用いる開始剤は、重合方法の種類に応じて、従来公知の重合開始剤(例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ系重合開始剤や、過酸化物系開始剤等)から適宜選択することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、モノマー成分100重量部に対して凡そ0.005~1重量部程度(典型的には凡そ0.01~1重量部程度)の範囲から選択することができる。
(粘着付与樹脂)
ここに開示される技術における粘着剤層には、粘着付与樹脂を含有させることができる。これにより、粘着シートの剥離強度を高めることができる。粘着付与樹脂としては、フェノール系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、変性テルペン系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂等の粘着付与樹脂から選択される1種または2種以上を用いることができる。なかでも、フェノール系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、変性テルペン系粘着付与樹脂が好ましく、フェノール系粘着付与樹脂(好適にはテルペンフェノール樹脂)がより好ましい。
フェノール系粘着付与樹脂の例には、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂およびロジンフェノール樹脂が含まれる。
テルペンフェノール樹脂とは、テルペン残基およびフェノール残基を含むポリマーを指し、テルペン類とフェノール化合物との共重合体(テルペン-フェノール共重合体樹脂)と、テルペン類の単独重合体または共重合体をフェノール変性したもの(フェノール変性テルペン樹脂)との双方を包含する概念である。このようなテルペンフェノール樹脂を構成するテルペン類の好適例としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(d体、l体およびd/l体(ジペンテン)を包含する。)等のモノテルペン類が挙げられる。水素添加テルペンフェノール樹脂とは、このようなテルペンフェノール樹脂を水素化した構造を有する水素添加テルペンフェノール樹脂をいう。水添テルペンフェノール樹脂と称されることもある。
アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドから得られる樹脂(油性フェノール樹脂)である。アルキルフェノール樹脂の例としては、ノボラックタイプおよびレゾールタイプのものが挙げられる。
ロジンフェノール樹脂は、典型的には、ロジン類または上記の各種ロジン誘導体(ロジンエステル類、不飽和脂肪酸変性ロジン類および不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類を包含する。)のフェノール変性物である。ロジンフェノール樹脂の例には、ロジン類または上記の各種ロジン誘導体にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合する方法等により得られるロジンフェノール樹脂が含まれる。
テルペン系粘着付与樹脂の例には、α-ピネン、β-ピネン、d-リモネン、l-リモネン、ジペンテン等のテルペン類(典型的にはモノテルペン類)の重合体が含まれる。1種のテルペン類の単独重合体であってもよく、2種以上のテルペン類の共重合体であってもよい。1種のテルペン類の単独重合体としては、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等が挙げられる。変性テルペン樹脂の例としては、上記テルペン樹脂を変性したものが挙げられる。具体的には、スチレン変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が例示される。
ここでいうロジン系粘着付与樹脂の概念には、ロジン類およびロジン誘導体樹脂の双方が包含される。ロジン類の例には、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水素添加、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);が含まれる。
ロジン誘導体樹脂は、典型的には上記のようなロジン類の誘導体である。ここでいうロジン系樹脂の概念には、未変性ロジンの誘導体および変性ロジン(水素添加ロジン、不均化ロジンおよび重合ロジンを包含する。)の誘導体が包含される。例えば、未変性ロジンとアルコール類とのエステルである未変性ロジンエステルや、変性ロジンとアルコール類とのエステルである変性ロジンエステル等のロジンエステル類;例えば、ロジン類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;例えば、ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;例えば、ロジン類または上記の各種ロジン誘導体(ロジンエステル類、不飽和脂肪酸変性ロジン類および不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類を包含する。)のカルボキシ基を還元処理したロジンアルコール類;例えば、ロジン類または上記の各種ロジン誘導体の金属塩;等が挙げられる。ロジンエステル類の具体例としては、未変性ロジンまたは変性ロジン(水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)のメチルエステル、トリエチレングリコールエステル、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
炭化水素系粘着付与樹脂の例としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。
粘着付与樹脂の軟化点は特に限定されない。凝集力向上の観点から、軟化点(軟化温度)が凡そ80℃以上(好ましくは凡そ100℃以上)である粘着付与樹脂を好ましく採用し得る。例えば、このような軟化点を有するフェノール系粘着付与樹脂(テルペンフェノール樹脂等)を好ましく用いることができる。いくつかの態様において、軟化点が凡そ135℃以上(さらには凡そ140℃以上)のテルペンフェノール樹脂を用いることができる。粘着付与樹脂の軟化点の上限は特に制限されない。被着体や基材に対する密着性の観点から、軟化点が凡そ200℃以下(より好ましくは凡そ180℃以下)の粘着付与樹脂を好ましく使用し得る。なお、粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K2207に規定する軟化点試験方法(環球法)に基づいて測定することができる。
いくつかの好ましい態様として、上記粘着付与樹脂が1種または2種以上のフェノール系粘着付与樹脂(典型的にはテルペンフェノール樹脂)を含む態様が挙げられる。ここに開示される技術は、例えば、粘着付与樹脂の総量を100重量%として、そのうち凡そ25重量%以上(より好ましくは凡そ30重量%以上)がテルペンフェノール樹脂である態様で好ましく実施され得る。粘着付与樹脂の総量の凡そ50重量%以上がテルペンフェノール樹脂であってもよく、凡そ70重量%以上(例えば凡そ80重量%以上)がテルペンフェノール樹脂であってもよい。粘着付与樹脂の実質的に全部(例えば凡そ95~100重量%、さらには凡そ99~100重量%)がテルペンフェノール樹脂であってもよい。
特に限定するものではないが、いくつかの態様において、上記粘着付与樹脂は、水酸基価が20mgKOH/gよりも高い粘着付与樹脂を含み得る。なかでも水酸基価が30mgKOH/g以上の粘着付与樹脂が好ましい。以下、水酸基価が30mgKOH/g以上の粘着付与樹脂を「高水酸基価樹脂」ということがある。このような高水酸基価樹脂(例えばフェノール系粘着付与樹脂、好ましくはテルペンフェノール樹脂)を含む粘着付与樹脂によると、被着体に対する密着性に優れ、かつ凝集力の高い粘着剤層が実現され得る。高水酸基価樹脂の水酸基価の上限は特に限定されない。ベースポリマーとの相溶性等の観点から、高水酸基価樹脂の水酸基価は、凡そ200mgKOH/g以下が適当であり、好ましくは凡そ100mgKOH/g以下であり、凡そ70mgKOH/g以下であってもよく、凡そ65mgKOH/g以下でもよい。高水酸基価樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、上記水酸基価の値としては、JIS K0070:1992に規定する電位差滴定法により測定される値を採用することができる。具体的な測定方法は以下に示すとおりである。
[水酸基価の測定方法]
1.試薬
(1)アセチル化試薬としては、無水酢酸約12.5g(約11.8mL)を取り、これにピリジンを加えて全量を50mLにし、充分に攪拌したものを使用する。または、無水酢酸約25g(約23.5mL)を取り、これにピリジンを加えて全量を100mLにし、充分に攪拌したものを使用する。
(2)測定試薬としては、0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を使用する。
(3)その他、トルエン、ピリジン、エタノールおよび蒸留水を準備する。
2.操作
(1)平底フラスコに試料約2gを精秤採取し、アセチル化試薬5mLおよびピリジン10mLを加え、空気冷却管を装着する。
(2)上記フラスコを100℃の浴中で70分間加熱した後、放冷し、冷却管の上部から溶剤としてトルエン35mLを加えて攪拌した後、蒸留水1mLを加えて攪拌することにより無水酢酸を分解する。分解を完全にするため再度浴中で10分間加熱し、放冷する。
(3)エタノール5mLで冷却管を洗い、取り外す。次いで、溶剤としてピリジン50mLを加えて攪拌する。
(4)0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を、ホールピペットを用いて25mL加える。
(5)0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行う。得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。
(6)空試験は、試料を入れないで上記(1)~(5)を行う。
3.計算
以下の式により水酸基価を算出する。
水酸基価(mgKOH/g)=[(B-C)×f×28.05]/S+D
ここで、
B: 空試験に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、
C: 試料に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、
f: 0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、
S: 試料の重量(g)、
D: 酸価、
28.05: 水酸化カリウムの分子量56.11の1/2、
である。
粘着剤層が粘着付与樹脂を含む場合において、該粘着付与樹脂の使用量(総量)は特に限定されず、例えばベースポリマー100重量部に対して1~100重量部程度の範囲で適宜設定し得る。剥離強度を向上させる効果を好適に発揮する観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)100重量部に対する粘着付与樹脂の使用量は、5重量部以上とすることが適当であり、10重量部以上とすることが好ましく、15重量部以上としてもよい。また、耐衝撃性、凝集力の観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)100重量部に対する粘着付与樹脂の使用量は、50重量部以下とすることが適当であり、40重量部以下としてもよく、30重量部以下としてもよい。
(架橋剤)
ここに開示される技術において、粘着剤層の形成に用いられる粘着剤組成物は、必要に応じて架橋剤を含んでもよい。架橋剤の種類は特に制限されず、従来公知の架橋剤から適宜選択して用いることができる。そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アミン系架橋剤、シランカップリング剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤が好ましく、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤がより好ましく、イソシアネート系架橋剤が特に好ましい。架橋剤を適切に選定して使用することにより、粘着剤層の凝集力を得て耐反発性を改善することができる。なお、ここに開示される技術における粘着剤層は、上記架橋剤を、架橋反応後の形態、架橋反応前の形態、部分的に架橋反応した形態、これらの中間的または複合的な形態等で含有し得る。上記架橋剤は、典型的には、専ら架橋反応後の形態で粘着剤層に含まれている。
イソシアネート系架橋剤としては、多官能イソシアネート(1分子当たり平均2個以上のイソシアネート基を有する化合物をいい、イソシアヌレート構造を有するものを包含する。)が好ましく使用され得る。イソシアネート系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
多官能イソシアネートの例として、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート類の具体例としては、1,2-エチレンジイソシアネート;1,2-テトラメチレンジイソシアネート、1,3-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート等のテトラメチレンジイソシアネート;1,2-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5-ヘキサメチレンジイソシアネート等のヘキサメチレンジイソシアネート;2-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネート類の具体例としては、イソホロンジイソシアネート;1,2-シクロヘキシルジイソシアネート、1,3-シクロヘキシルジイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート等のシクロヘキシルジイソシアネート;1,2-シクロペンチルジイソシアネート、1,3-シクロペンチルジイソシアネート等のシクロペンチルジイソシアネート;水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネート類の具体例としては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネート等が挙げられる。
好ましい多官能イソシアネートとして、1分子当たり平均して3個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートが例示される。かかる3官能以上のイソシアネートは、2官能または3官能以上のイソシアネートの多量体(典型的には2量体または3量体)、誘導体(例えば、多価アルコールと2分子以上の多官能イソシアネートとの付加反応生成物)、重合物等であり得る。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの2量体や3量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(イソシアヌレート構造の3量体付加物)、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート等の多官能イソシアネートが挙げられる。かかる多官能イソシアネートの市販品としては、旭化成ケミカルズ社製の商品名「デュラネートTPA-100」、東ソー社製の商品名「コロネートL」、同「コロネートHL」、同「コロネートHK」、同「コロネートHX」、同「コロネート2096」等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤の使用量は特に限定されない。例えば、ベースポリマー100重量部に対して、凡そ0.1重量部以上とすることができる。いくつかの好ましい態様において、凝集力と密着性との両立や耐衝撃性等の観点から、ベースポリマー100重量部に対するイソシアネート系架橋剤の使用量は、例えば0.5重量部超とすることができ、好ましくは1.0重量部以上、より好ましくは1.25重量部以上、さらに好ましくは1.5重量部以上(例えば1.8重量部以上)である。上記範囲のイソシアネート系架橋剤量を採用することにより、耐反発性が向上する傾向にある。一方、被着体に対する密着性向上や追従性向上の観点から、上記イソシアネート系架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して10重量部以下とすることが適当であり、好ましくは7重量部未満、より好ましくは5重量部未満、さらに好ましくは4.5重量部未満、特に好ましくは4重量部未満である。
いくつかの好ましい態様では、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤と、該イソシアネート系架橋剤とは架橋性官能基の種類が異なる少なくとも一種の架橋剤とが組み合わせて用いられる。ここに開示される技術において、イソシアネート系架橋剤以外の架橋剤(すなわち、イソシアネート系架橋剤とは架橋性反応基の種類の異なる架橋剤。以下「非イソシアネート系架橋剤」ともいう。)とイソシアネート系架橋剤とを組み合わせて用いることができる。
イソシアネート系架橋剤と組み合わせて用いられ得る非イソシアネート系架橋剤の種類は特に制限されず、上述の架橋剤から適宜選択して用いることができる。非イソシアネート系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
いくつかの好ましい態様において、非イソシアネート系架橋剤としてエポキシ系架橋剤を採用することができる。例えば、イソシアネート系架橋剤とエポキシ系架橋剤とを併用することにより、凝集性と耐衝撃性とを両立しやすい。エポキシ系架橋剤としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を特に制限なく用いることができる。1分子中に3~5個のエポキシ基を有するエポキシ系架橋剤が好ましい。エポキシ系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に限定するものではないが、エポキシ系架橋剤の具体例として、例えばN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ系架橋剤の市販品としては、三菱瓦斯化学社製の商品名「TETRAD-C」および商品名「TETRAD-X」、DIC社製の商品名「エピクロンCR-5L」、ナガセケムテックス社製の商品名「デナコールEX-512」、日産化学工業社製の商品名「TEPIC-G」等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤の使用量は特に限定されない。エポキシ系架橋剤の使用量は、例えば、ベースポリマー100重量部に対して、0重量部を超えて凡そ1重量部以下(典型的には凡そ0.001~0.5重量部)とすることができる。凝集力の向上効果を好適に発揮する観点から、エポキシ系架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して凡そ0.005重量部以上とすることが好ましい。また、被着体に対する密着性向上や追従性向上の観点から、エポキシ系架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して凡そ0.2重量部以下とすることが適当であり、凡そ0.1重量部以下とすることが好ましく、凡そ0.05重量部未満がより好ましい。
架橋剤の総使用量(総量)は特に制限されない。例えば、ベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)100重量部に対して凡そ10重量部以下とすることができ、好ましくは凡そ0.005~10重量部、より好ましくは凡そ0.01~5重量部の範囲から選択することができる。
(着色剤)
ここに開示される粘着剤層は、光透過性低減に役立ち得る着色剤を含有してもよく、上記着色剤を含有しなくてもよい。着色剤としては、従来公知の顔料や染料を用いることができる。着色剤の色としては有色が好ましい。着色剤の色は、例えば、黒色、灰色、赤色、青色、黄色、緑色、黄緑色、橙色、紫色、金色、銀色、パール色等であり得る。有色系着色剤は、遮光性、意匠性を付与させ得る。着色剤は、有色系着色剤と組み合わせるかたちで無色系着色剤を含んでもよく、含まなくてもよい。ここに開示される典型的な一態様に係る粘着剤層は、無色系着色剤を実質的に含まないものであり得る。なお、本明細書において「有色」とは黒色や金属色を含む意味である。また、「無色」とは白色を含む意味である。粘着剤層は、着色剤を含有する着色層を含む多層構造を有していてもよい。あるいは、粘着剤層は着色剤を実質的に分散状態(溶解した状態であり得る。)で含むものであってもよい。
着色剤としては、各種の顔料や染料を用いることができる。顔料としては、例えば、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄系、水酸化鉄系、酸化クロム系、スピネル型焼成系、クロム酸系、クロムバーミリオン系、紺青系、アルミニウム粉末系、ブロンズ粉末系、銀粉末系、リン酸カルシウム等の無機顔料や、フタロシアニン系、アゾ系、縮合アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、ペリレン・ペリノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、イソインドリノン系、アゾメチン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アニリンブラック系、トリフェニルメタン系、カーボンブラック系等の有機顔料が挙げられる。染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン、キノフタロン、スチリル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、オキサジン、トリアジン、キサンタン、メタン、アゾメチン、アクリジン、ジアジンが挙げられる。着色剤は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
少量の着色剤により遮光性を効率よく調節し得ることから、黒色着色剤を好ましく使用し得る。粘着剤層に含まれる黒色着色剤としては、有機または無機の着色剤(顔料、染料等)を用いることができる。黒色着色剤の具体例としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、松煙等)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライト等)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、アントラキノン系着色剤等が挙げられる。なかでもカーボンブラックが好ましい。なお、カーボンブラック粒子としては、カルボキシ基やアミノ基、スルホン酸基、ケイ素含有基(例えばアルコキシシリル基、アルキルシリル基)等の官能基を有する表面改質カーボンブラック粒子を用いることも可能である。このような表面改質カーボンブラック粒子は、自己分散型カーボンブラックとも称され、分散剤の添加が不要になったり、その添加量を低減することができる。上記カーボンブラック粒子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
黒色着色剤としては、特に限定されず、粒子状の着色剤(顔料)を好ましく使用し得る。好ましい一態様において、平均粒径約10nm以上(例えば凡そ50nm以上)の黒色着色剤(例えば、カーボンブラック等の黒色顔料)を用いることができる。上記黒色着色剤の平均粒径の上限は特に限定されず、通常、凡そ500nm以下であり、好ましくは凡そ300nm以下、より好ましくは凡そ250nm以下、例えば200nm以下(例えば凡そ120nm以下)であり得る。なお、本明細書中における「平均粒径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;以下、D50と略記する場合もある。)を指す。
粘着剤層における着色剤(固形分)の使用量は特に限定されず、所望の遮光性を付与できるように適宜調整した量とすることができる。黒色着色剤の使用量は、通常、粘着剤層の総重量の0.1~30重量%程度とすることが適当であり、例えば0.1~25重量%(典型的には0.1~20重量%)とすることができる。
(防錆剤)
いくつかの態様に係る粘着剤層は防錆剤を含み得る。防錆剤としては、特に限定されず、アゾール系防錆剤、アミン化合物、亜硝酸塩類、安息香酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ジシクロヘキシルアミン安息香酸塩、尿素、ウロトロピン、チオ尿素、カルバミン酸フェニル、シクロヘキシルアンモニウム-N-シクロヘキシルカルバメート(CHC)等が挙げられる。防錆剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
防錆剤としては、アゾール系防錆剤が好ましく用いられ得る。アゾール系防錆剤としては、ヘテロ原子を2個以上含む五員環芳香族化合物であって、それらのヘテロ原子の少なくとも1個が窒素原子であるアゾール系化合物を有効成分とするものが好ましく用いられ得る。アゾール系防錆剤として使用し得る化合物の好適例として、ベンゾトリアゾール系化合物を有効成分とするベンゾトリアゾール系防錆剤が挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の好適例として、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、4-メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
防錆剤の含有量は特に限定されず、例えば、ベースポリマー100重量部に対して0.01重量部以上(典型的には0.05重量部以上)とすることができる。より良好な金属腐食防止効果を得る観点から、上記含有量は、0.1重量部以上であってよく、0.3重量部以上でもよく、0.5重量部以上でもよい。一方、粘着剤の凝集力を高める観点から、防錆剤の含有量は、ベースポリマー100重量部に対して8重量部未満とすることが適当であり、5重量部以下としてもよく、2重量部以下としてもよい。
(その他の添加剤)
粘着剤組成物には、必要に応じて、レベリング剤、架橋助剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の粘着剤の分野において一般的な各種の添加剤が含まれていてもよい。上記各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
ここに開示される粘着剤層(粘着剤からなる層)は、水系粘着剤組成物、溶剤型粘着剤組成物、ホットメルト型粘着剤組成物、紫外線や電子線等のような活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成された粘着剤層であり得る。水系粘着剤組成物とは、水を主成分とする溶媒(水系溶媒)中に粘着剤(粘着剤層形成成分)を含む形態の粘着剤組成物のことをいい、典型的には、水分散型粘着剤組成物(粘着剤の少なくとも一部が水に分散した形態の組成物)等と称されるものが含まれる。また、溶剤型粘着剤組成物とは、有機溶媒中に粘着剤を含む形態の粘着剤組成物のことをいう。溶剤型粘着剤組成物に含まれる有機溶媒としては、上述の溶液重合で用いられ得る有機溶媒(トルエンや酢酸エチル等)として例示した1種または2種以上を特に制限なく用いることができる。ここに開示される技術は、粘着特性等の観点から、溶剤型粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備える態様で好ましく実施され得る。溶剤型粘着剤組成物から形成された溶剤型粘着剤層を備える態様において、ここに開示される技術による効果は好ましく実現される。
ここに開示される粘着剤層は、従来公知の方法によって形成することができる。例えば、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物を付与して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法を採用することができる。基材を有する粘着シートでは、例えば、該基材に粘着剤組成物を直接付与(典型的には塗布)して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法(直接法)を採用することができる。また、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物を付与して乾燥させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。上記剥離面としては、例えば、後述する剥離ライナーの表面を好ましく利用し得る。なお、ここに開示される粘着剤層は典型的には連続的に形成されるが、このような形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。
粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、ダイコーター、バーコーター等の、従来公知のコーターを用いて行うことができる。あるいは、含浸やカーテンコート法等により粘着剤組成物を塗布してもよい。
架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。乾燥温度は、例えば40~150℃程度とすることができ、60~130℃程度とすることが好ましい。粘着剤組成物を乾燥させた後、さらに、粘着剤層内における成分移行の調整、架橋反応の進行、粘着剤層内に存在し得る歪の緩和等を目的としてエージングを行ってもよい。
ここに開示される粘着剤層は、単層構造であってもよく、2層以上の多層構造を有するものであってもよい。生産性等の観点から、粘着剤層は単層構造であることが好ましい。
粘着剤層の厚さは特に制限されない。粘着剤層の厚さは、通常は凡そ300μm以下であり、凡そ150μm以下が適当であり、好ましくは凡そ100μm以下、より好ましくは凡そ70μm以下であり、凡そ60μm以下(例えば55μm以下)であってもよい。厚さの制限された粘着剤層は、薄厚化、軽量化の要請によく対応したものとなり得る。粘着剤層の厚さの下限は特に制限されないが、接着性の観点から、例えば凡そ3μm以上であり、凡そ10μm以上が適当である。いくつかの好ましい態様において、粘着剤層の厚さは、凡そ20μm以上であり、より好ましくは凡そ30μm以上であり、凡そ40μm以上であってもよい。基材の各面に粘着剤層を有する粘着シート(基材付き両面粘着シート)において、各粘着剤層の厚さは同じであってもよく、異なっていてもよい。
(ゲル分率)
特に限定するものではないが、ここに開示される粘着剤層のゲル分率は、重量基準で、例えば20%以上とすることができ、通常は30%以上とすることが適当であり、35%よりも大きいことが好ましい。粘着剤層のゲル分率を適度な範囲で高くすることにより、凝集力を向上することができる。ここに開示される技術では、上記ゲル分率は、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは55%以上であり、60%以上であってもよい。一方、適度な柔軟性を付与する観点から、粘着剤層のゲル分率は、90%以下が適当であり、70%以下(例えば65%以下)が好ましく、60%未満であってもよい。
ここで「粘着剤層のゲル分率」とは、次の方法により測定される値をいう。該ゲル分率は、粘着剤層のうち酢酸エチル不溶分の重量割合として把握され得る。
[ゲル分率測定方法]
約0.1gの粘着剤サンプル(重量Wg1)を平均孔径0.2μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜(重量Wg2)で巾着状に包み、口をタコ糸(重量Wg3)で縛る。上記多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜としては、日東電工社から入手可能な商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」(平均孔径0.2μm、気孔率75%、厚さ85μm)またはその相当品を使用する。
この包みを酢酸エチル50mLに浸し、室温(典型的には23℃)で7日間保持して粘着剤層中のゾル成分のみを上記膜外に溶出させた後、上記包みを取り出して外表面に付着している酢酸エチルを拭き取り、該包みを130℃で2時間乾燥させ、該包みの重量(Wg4)を測定する。粘着剤層のゲル分率Fは、各値を以下の式に代入することにより求められる。後述の実施例においても同様の方法が採用される。
ゲル分率F(%)=[(Wg4-Wg2-Wg3)/Wg1]×100
<基材>
ここに開示される粘着シートは基材(支持基材)を含んでもよい。ここに開示される基材の構造や材料は、特に限定されない。基材は、典型的にはフィルム状基材(「基材フィルム」ともいう。)である。基材フィルムとしては、ベースフィルムとして樹脂フィルムを含むものを好ましく用いることができる。上記ベースフィルムは、典型的には、独立して形状維持可能な(非依存性の)部材である。ここに開示される技術における基材フィルムは、このようなベースフィルムから実質的に構成されたものであり得る。あるいは、上記基材フィルムは、上記ベースフィルムの他に、補助的な層を含むものであってもよい。上記補助的な層の例としては、上記ベースフィルムの表面に設けられた着色層、反射層、下塗り層、帯電防止層等が挙げられる。
上記樹脂フィルムは、樹脂材料を主成分(例えば、当該樹脂フィルム中に50重量%を超えて含まれる成分)とするフィルムである。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリウレタン系樹脂フィルム;塩化ビニル系樹脂フィルム;酢酸ビニル系樹脂フィルム;ポリイミド系樹脂フィルム;ポリアミド系樹脂フィルム;フッ素樹脂フィルム;セロハン;等が挙げられる。樹脂フィルムは、天然ゴムフィルム、ブチルゴムフィルム等のゴム系フィルムであってもよい。なかでも、ハンドリング性、加工性の観点から、ポリエステルフィルムが好ましく、そのなかでもPETフィルムが特に好ましい。
基材フィルムは、ベースフィルム(好ましくは樹脂フィルム)の表面に配置された着色層により着色されていてもよい。このように着色層を含む構成の基材フィルムは、遮光性や意匠性を付与させ得る。ベースフィルムと着色層を含む構成の基材フィルムにおいて、上記ベースフィルムは、着色剤を含んでもよく、含まなくてもよい。上記着色層は、ベースフィルムのいずれか一方の表面に配置されてもよく、両方の表面にそれぞれ配置されてもよい。ベースフィルムの両方の表面にそれぞれ着色層を配置した構成において、それらの着色層の構成は、同一であってもよく、異なってもよい。
このような着色層は、典型的には、着色剤およびバインダを含有する着色層形成用組成物を、ベースフィルムに塗布して形成することができる。着色剤としては、従来公知の顔料や染料を用いることができる。着色剤の色としては有色が好ましい。着色剤の色は、例えば、黒色、灰色、赤色、青色、黄色、緑色、黄緑色、橙色、紫色、金色、銀色、パール色等であり得る。有色系着色剤は、遮光性、意匠性を付与させ得る。着色剤は、有色系着色剤と組み合わせるかたちで無色系着色剤を含んでもよく、含まなくてもよい。ここに開示される典型的な一態様に係る基材フィルムは、無色系着色剤を実質的に含まないものであり得る。なお、本明細書において「有色」とは黒色や金属色を含む意味である。また、「無色」とは白色を含む意味である。
バインダとしては、塗料または印刷の分野において公知の材料を特に制限なく使用することができる。例えば、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素メラミン樹脂、ポリメタクリル酸メチル等が例示される。着色層形成用組成物は、例えば、溶剤型、紫外線硬化型、熱硬化型等であり得る。着色層の形成は、従来より着色層の形成に採用されている手段を特に制限なく採用して行うことができる。例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の印刷により着色層(印刷層)を形成する方法を好ましく採用し得る。
着色層は、全体が1層からなる単層構造であってもよく、2層、3層またはそれ以上のサブ着色層を含む多層構造であってもよい。2層以上のサブ着色層を含む多層構造の着色層は、例えば、着色層形成用組成物の塗布(例えば印刷)を繰り返して行うことにより形成することができる。各サブ着色層に含まれる着色剤の色や配合量は、同一であってもよく、異なってもよい。遮光性を付与するための着色層では、ピンホールの発生を防止して遮光性を高める観点から、多層構造とすることが特に有意義である。
着色層全体の厚さは、通常、1μm~10μm程度が適当であり、1μm~7μm程度が好ましく、例えば1μm~5μm程度とすることができる。二層以上のサブ着色層を含む着色層において、各サブ着色層の厚さは、通常、1μm~2μm程度が好ましい。
基材フィルム(典型的には樹脂フィルム)は、着色剤を含有させたものであってもよい。このように着色剤を含有させた基材フィルムは、遮光性、意匠性を付与させ得る。基材フィルムに含有させる着色剤としては、従来公知の顔料や染料を用いることができる。ここに開示される技術における好ましい一態様では、基材フィルムは、黒色着色剤を含む基材フィルムであり、より具体的には、黒色着色剤が練り込まれた樹脂フィルムである。ここで黒色着色剤が練り込まれた基材フィルムとは、基材フィルムの主構成材料(基材フィルム中に最も多く含まれる材料。典型的には樹脂材料)中に、黒色着色剤が混合された基材フィルムをいう。黒色着色剤は、実質的に基材フィルム中に分散状態で含まれる。
基材フィルムに含まれる黒色着色剤としては、有機または無機の着色剤(顔料、染料等)を用いることができる。黒色着色剤の具体例としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、松煙等)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライト等)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、アントラキノン系着色剤等が挙げられる。なかでもカーボンブラックが好ましい。
黒色着色剤としては、特に限定されず、粒子状の着色剤(顔料)を好ましく使用し得る。好ましい一態様において、平均粒径約10nm以上(例えば凡そ50nm以上)の黒色着色剤(例えば、カーボンブラック等の黒色顔料)を用いることができる。上記黒色着色剤の平均粒径の上限は特に限定されず、通常、凡そ500nm以下であり、好ましくは凡そ300nm以下、より好ましくは凡そ250nm以下、例えば200nm以下(例えば凡そ120nm以下)であり得る。
基材フィルムにおける着色剤の使用量は特に限定されず、所望の遮光性を付与できるように適宜調整した量とすることができる。黒色着色剤の使用量は、通常、基材フィルムの総重量の0.1~30重量%程度とすることが適当であり、例えば0.1~25重量%(典型的には0.1~20重量%)とすることができる。
ここに開示される基材フィルムは、黒色着色剤以外の着色剤(顔料や染料)を含んでもよい。そのような非黒色着色剤として、例えば白色着色剤が挙げられる。白色着色剤としては、例えば、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン等の二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機系白色着色剤や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素-ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機系白色着色剤等が挙げられる。
基材フィルムにおける非黒色着色剤の使用量は特に限定されず、所望の遮光性を付与できるように適宜調整した量とすることができる。非黒色着色剤の使用量は、通常、樹脂フィルムの重量の0.1~30重量%程度とすることが適当であり、例えば0.1~25重量%(典型的には0.1~20重量%)とすることができる。
上記基材フィルムには、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、分散剤(界面活性剤等)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。各種添加剤の配合割合は、通常は30重量%未満(例えば20重量%未満、典型的には10重量%未満)程度である。
上記基材フィルムは、単層構造であってもよく、2層、3層またはそれ以上の多層構造を有するものであってもよい。形状安定性の観点から、基材フィルムは単層構造であることが好ましい。多層構造の場合、少なくとも一つの層(好ましくは全ての層)は上記樹脂(例えばポリエステル系樹脂)の連続構造を有する層であることが好ましい。基材フィルム(典型的には樹脂フィルム)の製造方法は、従来公知の方法を適宜採用すればよく、特に限定されない。例えば、押出成形、インフレーション成形、Tダイキャスト成形、カレンダーロール成形等の従来公知の一般的なフィルム成形方法を適宜採用することができる。
ここに開示される基材の厚さは、特に限定されない。基材の厚さは、通常は3μm以上であり、好ましくは5μm以上(例えば10μm以上)である。いくつかの態様において、基材の厚さは20μm以上であってもよく、30μm以上でもよく、40μm以上でもよく、100μm以上でもよく、200μm以上でもよい。基材の厚さは、通常500μm以下であり、軽量化の観点から好ましくは400μm以下であり、より好ましくは300μm以下である。いくつかの態様において、基材の厚さは250μm以下であってもよく、200μm以下でもよく、150μm以下でもよく、100μm以下でもよく、50μm以下でもよい。なお、基材がベースフィルムと着色層とを含んで構成される場合、上記基材の厚さはベースフィルムと着色層の合計厚さであり得る。
基材フィルムの表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布等の、従来公知の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、基材フィルムと粘着剤層との密着性、言い換えると粘着剤層の基材フィルムへの投錨性を向上させるための処理であり得る。ここに開示される技術が、基材付き片面粘着シートの形態で実施される場合、基材フィルムの背面に、必要に応じて剥離処理が施されていてもよい。剥離処理は、例えば、一般的なシリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の剥離処理剤を、典型的には0.01μm~1μm(例えば0.01μm~0.1μm)程度の薄膜状に付与する処理であり得る。かかる剥離処理を施すことにより、粘着シートをロール状に巻回した巻回体の巻き戻しを容易にする等の効果が得られる。
<剥離ライナー>
ここに開示される技術において、粘着剤層の形成、粘着シートの作製、積層体の作製、使用前の積層体の保存、流通、形状加工等の際に、剥離ライナーを用いることができる。剥離ライナーとしては、特に限定されず、例えば、樹脂フィルムや紙等のライナー基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(PE、PP等)の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理層は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により上記ライナー基材を表面処理して形成されたものであり得る。
<積層体の特性>
ここに開示される積層体は、後述の実施例に記載の方法で測定される耐反発性試験において合格レベルの耐反発性を有する(すなわち、剥がれが生じない)ことが好ましい。上記特性を満足する積層体は、実質的に積層体の厚さ方向(Z軸方向)のみからなる引き剥がし荷重に対して優れた軽圧着接着性および耐変形性を有し、かつ当該方向への持続的な引き剥がし荷重に対して変形しにくい。
ここに開示される積層体は、後述の実施例に記載の方法で測定される歪み変形性試験において合格レベルの耐歪み性を有する(すなわち、歪みを生じさせない)ことが好ましい。上記特性を満足する積層体は、実質的に積層体の厚さ方向(Z軸方向)に付与される荷重に対して優れた耐変形性を有し、被着体に歪みが生じるのを抑制しやすい。
ここに開示される積層体(剥離ライナーを含まない。)の総厚さTtotalは、例えば1000μm以下とすることができ、薄膜化の観点からは、積層体の総厚さTtotalは500μm以下(例えば400μm以下)が好ましく、より好ましくは350μm以下であり、さらに好ましくは300μm以下である。ここに開示される技術によると、たとえ積層体の総厚さTtotalが十分に小さくても、良好な耐歪み性を示す傾向にある。積層体の総厚さTtotalの下限は特に限定されないが、通常は20μm以上が適当であり、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上、さらに好ましくは50μm以上であり、60μm以上であってもよく、70μm以上でもよく、80μm以上でもよい。
積層体の光透過率Ctotalは特に限定されない。ここに開示される技術において、意匠性を付与したり、積層体の遮光性を向上させる観点から、積層体の光透過率Ctotalは20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは1.5%以下である。上記光透過率Ctotalの下限は特に制限されず、実質的に0%、すなわち検出限界以下であってもよく、1%以上でもよく、5%以上でもよく、15%以上でもよい。
ここに開示される技術において、積層体の光透過率Ctotalは下記の方法で測定することができる。後述の実施例においても下記の方法で測定される。
[光透過率Ctotal
積層体の光透過率Ctotal[%]は、剥離ライナーから剥がした積層体の厚さ方向の光透過率(波長550nmの光透過率)であり、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、日立製作所製の分光光度計(装置名「U4150型分光光度計」)またはその相当品が用いられる。
<用途>
ここに開示される積層体は、耐反発性と耐歪み性に優れる。このような特徴を活かして、上記積層体は、耐変形性および耐歪み性が要求される各種用途に利用され得る。例えば、折り曲げ形状を有する部材を有する各種携帯電子機器の部材固定用途に好適である。また、携帯電子機器は、外部から衝撃や荷重が付加されることがあるため、ここに開示される粘着シートを用いて、被着体の歪みの発生を抑制する利点は大きい。上記携帯電子機器の非限定的な例には、携帯電話、スマートフォン、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、各種ウェアラブル機器(例えば、腕時計のように手首に装着するリストウェア型、クリップやストラップ等で体の一部に装着するモジュラー型、メガネ型(単眼型や両眼型。ヘッドマウント型も含む。)を包含するアイウェア型、シャツや靴下、帽子等に例えばアクセサリの形態で取り付ける衣服型、イヤホンのように耳に取り付けるイヤウェア型等)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、音響機器(携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー等)、計算機(電卓等)、携帯ゲーム機器、電子辞書、電子手帳、電子書籍、車載用情報機器、携帯ラジオ、携帯テレビ、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム等が含まれる。なお、この明細書において「携帯」とは、単に携帯することが可能であるだけでは充分ではなく、個人(標準的な成人)が相対的に容易に持ち運び可能なレベルの携帯性を有することを意味するものとする。
また、ここに開示される積層体は、携帯電子機器において、該携帯電子機器を構成するフレキシブルプリント配線板等の部材を固定する用途に好ましく用いられる。ここに開示される積層体は、耐反発性に優れるので、上記フレキシブルプリント配線板等の折り曲げられた形状を有する被着体に対しても、信頼性良く接着することができる。また、フレキシブルプリント配線板等に固定される電子部品等に歪みが生じるのを抑制することができる。
ここに開示される積層体は、種々の外形に加工された接合材の形態で、上述したような携帯電子機器を構成する部材の固定に利用され得る。なかでも有機EL表示装置や液晶表示装置を備える電子機器(典型的には携帯電子機器)に好ましく使用され得る。例えば、タッチパネル式ディスプレイ等の表示部を有する電子機器(典型的には、スマートフォン等の携帯電子機器)であって、大画面の表示部を有する機器の部材固定に、ここに開示される粘着シートは好ましく用いられる。ここに開示される積層体は、カバー部材等の部材や、有機ELユニットを固定するものであってもよい。ここに開示される積層体は、上記のような表示装置の構成要素として好ましく用いられる。
この明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
〔1〕 芯体と、
該芯体の一方の表面に配置された、粘着剤層を含む第1の粘着シートと、
該芯体の他方の表面に配置された、粘着剤層を含む第2の粘着シートと、を備える積層体であって、
上記積層体の総厚さTtotalは50μm以上400μm以下であり、
上記芯体のヤング率E[MPa]と厚さT[μm]の積(E×T)は500000以上であり、
上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方は、120℃における貯蔵弾性率G′(120℃)が0.015MPa以上である、積層体。
〔2〕 上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方は、
基材を含まない、基材レス粘着シートであり、
該基材レス粘着シートの厚さTB1は、10μm以上70μm以下である、上記〔1〕に記載の積層体。
〔3〕 上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方は、
基材を含む、基材付き粘着シートであり、
該基材付き粘着シートの厚さTB2は、20μm以上270μm以下である、上記〔1〕または上記〔2〕に記載の積層体。
〔4〕 上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方は、
25℃における貯蔵弾性率G′(25℃)は0.15MPa以上である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の積層体。
〔5〕 上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方は、
85℃における貯蔵弾性率G′(85℃)は0.02MPa以上である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の積層体。
〔6〕 上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方に含まれる粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔7〕 上記第1の粘着シートおよび上記第2の粘着シートの一方または両方に含まれる粘着剤層は、重量平均分子量(Mw)が50×10以上のベースポリマーを含む、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の積層体。
〔8〕 上記芯体の厚さTは、20μm以上270μm以下である、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の積層体。
〔9〕 上記芯体のヤング率Eは、3000MPa以上である、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の積層体。
〔10〕 光透過率Ctotalが10%以下である、上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の積層体。
〔11〕 携帯電子機器において部材の固定に用いられる、上記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の積層体。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
(粘着剤組成物Aの調製)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのn-ブチルアクリレート(BA)95部およびアクリル酸(AA)5部と、重合溶媒としての酢酸エチル233部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として0.2部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、60℃で8時間溶液重合してアクリル系ポリマーAの溶液を得た。このアクリル系ポリマーAのMwは約60×10であった。
上記アクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーA100部に対して、粘着付与樹脂Aとしてテルペンフェノール樹脂A30部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤2部およびエポキシ系架橋剤0.01部とを加え、攪拌混合して粘着剤組成物Aを調製した。テルペンフェノール樹脂A(粘着付与樹脂A)としては、商品名「YSポリスターS-145」(ヤスハラケミカル社製、軟化点約145℃、水酸基価70~110mgKOH/g)を用いた。イソシアネート系架橋剤としては、商品名「コロネートL」(東ソー社製、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物の75%酢酸エチル溶液)を用いた。エポキシ系架橋剤としては、商品名「TETRAD-C」(三菱瓦斯化学社製、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン)を用いた。イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤については、以下の他の粘着剤組成物を作製する際にも上記と同じものを用いた。
(粘着剤組成物Ablackの調製)
粘着剤組成物Aと同様にして、アクリル系ポリマーAの溶液を得た。上記アクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーA100部に対して、粘着付与樹脂Aとしてテルペンフェノール樹脂A30部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤2部およびエポキシ系架橋剤0.01部とを加え、さらに着色剤(黒色着色剤)としてカーボンブラック粒子の分散液(トーヨーカラー社製、商品名「マルチラックA903」)を、カーボンブラック粒子の含有量が、アクリル系ポリマーA100部に対して2部となるように添加し、攪拌混合して粘着剤組成物Ablackを調製した。テルペンフェノール樹脂A(粘着付与樹脂A)としては、商品名「YSポリスターS-145」(ヤスハラケミカル社製、軟化点約145℃、水酸基価70~110mgKOH/g)を用いた。
(粘着剤組成物Cの調製)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのBA93部およびAA7部と、重合溶媒としての酢酸エチル233部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として0.2部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、60℃で8時間溶液重合してアクリル系ポリマーCの溶液を得た。このアクリル系ポリマーCのMwは約140×10であった。
上記アクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーC100部に対して、粘着付与樹脂Aとしてテルペンフェノール樹脂A30部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤2部およびエポキシ系架橋剤0.01部とを加え、攪拌混合して粘着剤組成物Cを調製した。テルペンフェノール樹脂A(粘着付与樹脂A)としては、商品名「YSポリスターS-145」(ヤスハラケミカル社製、軟化点約145℃、水酸基価70~110mgKOH/g)を用いた。
(粘着剤組成物Dの調製)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としての2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)90部およびAA10部と、重合溶媒としての酢酸エチル233部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として0.6部の過酸化ベンゾイル(日本油脂社製、商品名「ナイパーBW」)を加え、60℃で8時間溶液重合してアクリル系ポリマーDの溶液を得た。このアクリル系ポリマーDのMwは約130×10であった。
上記アクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーD100部に対して、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂C20部と、架橋剤としてエポキシ系架橋剤0.05部とを加え、攪拌混合して粘着剤組成物Dを調製した。テルペンフェノール樹脂C(粘着付与樹脂C)としては、商品名「タマノル803L」(荒川化学工業社製、軟化点約145~160℃、水酸基価1~20mgKOH/g)を用いた。
(粘着剤組成物Fの調製)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのBA70部、2EHA30部およびAA3部と、重合溶媒としての酢酸エチル233部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として0.08部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、60℃で8時間溶液重合してアクリル系ポリマーFの溶液を得た。このアクリル系ポリマーFのMwは約40×10であった。
上記アクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーF100部に対して、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤2部およびエポキシ系架橋剤0.01部とを加え、攪拌混合して粘着剤組成物Fを調製した。
粘着剤組成物A,Ablack,C,DおよびFの組成やベースポリマーの重量平均分子量に関する概要を表1に示す。
Figure 2023032965000002
<例1>
(粘着シートの作製)
厚さ38μmのポリエステル製剥離ライナー(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱ポリエステル社製)の剥離面に粘着剤組成物Aを塗布し、100℃で2分間乾燥させて、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。このようにして、片面が上記ポリエステル製剥離ライナーで保護された厚さ15μmの基材レス両面粘着シートを得た。上記基材レス両面粘着シートを2枚用意し、本例の第1の粘着シートと第2の粘着シートとした。
(積層体の作製)
第1の粘着シートの粘着面を芯体としての厚さ20μmのステンレス鋼シート(SUS 304BA)の一方の面に貼り付けた。また、第2の粘着シートの粘着面を上記ステンレス鋼シート(SUS 304BA)の他方の面に貼り付けた。このようにして、芯体の両面に第1および第2の粘着シートがそれぞれ配置され、かつ2枚の剥離ライナーで第1の粘着シートの粘着面と第2の粘着シートの粘着面が保護された積層体を作製し、これを本例の積層体とした。
<例2~4>
第1の粘着シート(粘着剤層)の厚さ、第2の粘着シート(粘着剤層)および/または芯体の厚さを表1のようにしたことの他は、例1と同様にして、本例の積層体を得た。
<例5>
厚さ38μmのポリエステル製剥離ライナー(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱ポリエステル社製)を2枚用意した。各剥離ライナーの剥離面に粘着剤組成物Aを塗布し、100℃で2分間乾燥させて、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。支持基材として、厚さ5μmの透明なPETフィルム(商品名「ルミラー」、東レ社製)と該PETフィルムの片面に設けられた黒色印刷層とからなる合計厚さ約10μmの多層構造の支持基材を用意した。上記黒色印刷層は、黒色着色剤を含むインク組成物を用い、グラビア印刷法を利用して印刷を行うことにより形成した。上記支持基材の第一面および第二面に各剥離ライナー上に形成された粘着剤層を貼り合わせることにより、黒色印刷PETフィルムの第一面および第二面に粘着剤層を有する、厚さ30μmの基材付き両面粘着シートを作製した。上記基材付き両面粘着シートを2枚用意し、本例の第1の粘着シートと第2の粘着シートとした。本例の第1および第2の粘着シートを用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例6>
各剥離ライナー上に形成する粘着剤層の厚さを45μmとし、さらに支持基材として、黒色顔料を練りこんだ厚さ50μmのPETフィルム(商品名「ルミラー」、東レ社製)を使用したこと以外は例5と同様にして、厚さ140μmの基材付き両面粘着シートを作製し、本例の第1および第2の粘着シートとした。本例の第1および第2の粘着シートを用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例7>
粘着剤層の厚さを20μmとしたこと以外は例1と同様の方法を用いて、厚さ20μmの基材レス両面粘着シートを作製し、本例の第1の粘着シートとした。
各剥離ライナー上に形成する粘着剤層の厚さを50μmとし、さらに支持基材として、厚さ160μmの透明なPETフィルム(商品名「ルミラー」、東レ社製)を使用したこと以外は例5と同様にして、厚さ260μmの基材付き両面粘着シートを作製し、本例の第2の粘着シートとした。
本例の第1および第2の粘着シートを用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例8>
粘着剤層の厚さを20μmとしたこと以外は例1の第1および第2の粘着シートと同様の方法を用いて、厚さ20μmの基材レス両面粘着シートを作製し、本例の第1の粘着シートとした。
各剥離ライナー上に形成する粘着剤層の厚さを12.5μmとし、さらに支持基材として、厚さ235μmの透明なPETフィルム(商品名「ルミラー」、東レ社製)を使用したこと以外は例5と同様にして例5と同様にして、厚さ260μmの基材付き両面粘着シートを作製し、例8の第2の粘着シートとした。
本例の第1および第2の粘着シートを用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例9>
芯体として厚さ20μmのアルミニウムシート(商品名「A1N30H-O」、竹内金属箔粉社製)を用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例10>
芯体として厚さ20μmの銅シート(商品名「C1020R-H」、竹内金属箔粉社製)を用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例11>
芯体として厚さ125μmの透明なPETフィルム(商品名「ルミラー」、東レ社製)を用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例12>
粘着剤組成物Aの代わりに粘着剤組成物Ablackを用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、厚さ15μmの基材レス両面粘着シートを作製し、本例の第1および第2の粘着シートとした。本例の第1および第2の粘着シートを用いたことの他は、例11と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例13>
粘着剤組成物Aの代わりに粘着剤組成物Cを用いたことの他は、例2と同様の方法を用いて、厚さ30μmの基材レス両面粘着シートを作製し、本例の第1および第2の粘着シートとした。本例の第1および第2の粘着シートを用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例14>
粘着剤組成物Aの代わりに粘着剤組成物Dを用いたことの他は、例2と同様の方法を用いて、厚さ30μmの基材レス両面粘着シートを作製し、本例の第1および第2の粘着シートとした。本例の第1および第2の粘着シートを用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例15>
粘着剤層の厚さを10μmにしたことの他は、例1と同様の方法を用いて、厚さ10μmの基材レス両面粘着シートを作製し、本例の第1および第2の粘着シートとした。本例の第1および第2の粘着シートを用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例16>
芯体として厚さ100μmの透明なPETフィルム(商品名「ルミラー」、東レ社製)を用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
<例17>
粘着剤組成物Aの代わりに粘着剤組成物Fを用いたことと、粘着剤層の厚さを35μmにしたことの他は、例1と同様の方法を用いて、厚さ35μmの基材レス両面粘着シートを作製し、本例の第1の粘着シートとした。また、粘着剤組成物Aの代わりに粘着剤組成物Fを用いたことと、粘着剤層の厚さを25μmにしたことの他は、例1と同様の方法を用いて、厚さ25μmの基材レス両面粘着シートを作製し、本例の第2の粘着シートとした。
本例の第1および第2の粘着シートを用いたことと、芯体として厚さ40μmのステンレス鋼シート(SUS 304BA)を用いたことの他は、例1と同様の方法を用いて、本例の積層体を作製した。
表2および表3に各例の積層体の概要;各例の粘着シートの光透過率C;積層体の光透過率Ctotal;芯体のヤング率E[MPa]、厚さT[μ]mおよびE×T;積層体の総厚さTtotal;を記載する。
<評価方法>
[耐反発性試験]
図4の(a)に示すように、長さ30mm、幅10mm、厚さ2mmのポリカーボネート(PC)板50と、長さ100mm、幅10mm、厚さ75μmのPETフィルム60と、を用意し、PC板50とPETフィルム60の長手方向の一端を揃えるようにして重ね合わせ、PETフィルム60の残りの部分がPC板50の他端から突出した状態でPC板50とPETフィルム60とを固定した。上記固定には市販の両面粘着テープ(日東電工社製、「No.5000NS」)を使用した。
2枚の剥離ライナーで両粘着面が保護された各例に係る積層体を幅3mm、長さ10mmのサイズにカットして積層体試料片70を用意した。PC板50のPETフィルムの固定面とは反対側の表面を上側に設置し、上記積層体試料片70から一方の剥離ライナーを剥がして、PC板50の幅方向と積層体試料片70の長手方向とを一致させて、PC板50の上面において他端から7mmおよび10mmの線上に積層体試料片70の幅方向両端が来るようにして積層体試料片70をPC板50の上面に貼り付け固定した。上記固定は、積層体試料片70のもう一方の剥離ライナーで保護された上面を2kgローラを一往復させることによって行った。
次いで、23℃、50%RHの環境下にて、PC板50に貼り付けた積層体試料片70のもう一方の剥離ライナーを剥がして、図4の(b)に示すように、PC板50に固定されたPETフィルム60のPC板50からの突出部分(長さ70mm)をPC板50側に折り返して、積層体試料片70とPETフィルム60の他端(自由端)とを一致させて、0.1kgのローラをPETフィルム60上から1往復させることにより、折り曲げられたPETフィルム60の他端を積層体試料片70を介してPC板50上面に固定した。PETフィルム60が積層体試料片70から剥離するかどうかを60分間観察し、折り曲げられたPETフィルム60の弾性反撥に基づく粘着シート厚さ方向に対する積層体試料片70の接着保持力を、耐反発性として評価した。積層体試料片70とPETフィルム60との接着状態が保持された場合を「合格:◎」、図4の(c)に示すようにPETフィルム60が剥がれた場合を「不合格:×」と判定した。評価結果を表2および表3の耐反発性の項目に示した。
[耐歪み性試験]
図5の(a)に示すように、縦50mm、横50mm、厚さ125μmのPETフィルム80と、幅2mm、長さ50mm、高さ8mmの段差テープ82を用意し、段差テープ82をPETフィルム80の表面の中央部に、段差テープ82の長さ方向とPETフィルム80の一辺の方向とを一致させるようにして貼りつけた。段差テープ82は、PETフィルム80の表面に凸(段差)を設ける目的で用いられるものである。ここでは、段差テープ82として、PET基材の片面に粘着剤層を有する粘着シートを使用した。次いで、剥離ライナーで両粘着面が保護された各例に係る積層体を縦10mm、横10mmのサイズにカットし、積層体から2枚の剥離ライナーを剥がして露出した各粘着面にそれぞれ厚さ5μmのPETフィルムを貼り付けて裏打ちし、積層体試料片84とした。また、縦50mm、横50mm、厚さ3mmの市販のシリコンゴムシート86を用意した。積層体試料片84をシリコンゴムシート86の上面の中央部に、積層体試料片84の一辺の方向とシリコンゴムシート86の一辺の方向とを一致させるようにして配置した。
PETフィルム80を、段差テープ82を下側にする姿勢で、シリコンゴムシート86の上方に配置した。このとき、PETフィルム80は上方からみてシリコンゴムシート86と重なる位置に配置した。次いで、図5の(b)に示すように、25℃、50%RHの環境下で、PETフィルム80の上方からシリコンゴムシート86側に向けて40Nの荷重を10秒間付与した。その後、図5の(c)に示すように、PETフィルム80を上方に引き上げ、さらに積層体試料片84を取り除いたシリコンゴムシート86を、25℃、50%RHの環境下で24時間放置し、放置後のシリコンゴムシート86の歪み高さを表面形状測定装置(型番「Wyko NT9100」、Veeco社製)を用いて測定し、該歪み高さを積層体の耐歪み性として評価した。ここで、図5の(d)に示すように、上記24時間放置後のシリコンゴムシート86について、荷重が付与されなかった部分のシリコンゴムシート86の高さaから、荷重が付与された部分の高さbを減じた値(a―b)を歪み高さcとした。歪み高さcが3μm以下である場合を「合格:○」、歪み高さcが3μmより大きい場合を「不合格:×」と判定した。評価結果を表2および表3の耐歪み性の項目に示した。
Figure 2023032965000003
Figure 2023032965000004
表2および表3に示す結果から明らかなように、芯体のヤング率E[MPa]と厚さT[μm]の積(E×T)が500000以上である例1~15および17の積層体は、(E×T)が400000である例16の積層体と比較して、顕著に優れた耐歪み性を示した。また、総厚さTtotalが50μm以上である例1~例14、16および17の積層体は、総厚さTtotalが40μmである例15の積層体と比較して、顕著に優れた耐反発性を示した。さらに、第1の粘着シートおよび第2の粘着シートの両方が、120℃での貯蔵弾性率G′(120℃)が0.015MPa以上である例1~14、16の積層体は、第1の粘着シートおよび第2の粘着シートの両方の貯蔵弾性率G′(120℃)が0.012MPaである例17の積層体と比較して、優れた耐反発性を示した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 積層体
11 第1の粘着シート
12 第2の粘着シート
15 芯体
21 剥離ライナー
25,35 基材
32,34,36,38 粘着剤層
50 PC板
60 PETフィルム
70 積層体試料片
80 PETフィルム
82 段差テープ
84 積層体試料片
86 シリコンゴムシート

Claims (10)

  1. 芯体と、
    該芯体の一方の表面に配置された、粘着剤層を含む第1の粘着シートと、
    該芯体の他方の表面に配置された、粘着剤層を含む第2の粘着シートと、を備える積層体であって、
    前記積層体の総厚さTtotalは50μm以上400μm以下であり、
    前記芯体のヤング率E[MPa]と厚さT[μm]の積(E×T)は500000以上であり、
    前記第1の粘着シートおよび前記第2の粘着シートの一方または両方は、120℃における貯蔵弾性率G′(120℃)が0.015MPa以上である、積層体。
  2. 前記第1の粘着シートおよび前記第2の粘着シートの一方または両方は、
    基材を含まない、基材レス粘着シートであり、
    該基材レス粘着シートの厚さTB1は、10μm以上70μm以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第1の粘着シートおよび前記第2の粘着シートの一方または両方は、
    基材を含む、基材付き粘着シートであり、
    該基材付き粘着シートの厚さTB2は、20μm以上270μm以下である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記第1の粘着シートおよび前記第2の粘着シートの一方または両方は、
    25℃における貯蔵弾性率G′(25℃)が0.15MPa以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記第1の粘着シートおよび前記第2の粘着シートの一方または両方は、
    85℃における貯蔵弾性率G′(85℃)が0.02MPa以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記第1の粘着シートおよび前記第2の粘着シートの一方または両方に含まれる粘着剤層は、重量平均分子量(Mw)が50×10以上のベースポリマーを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記芯体の厚さTは、10μm以上300μm以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記芯体のヤング率Eは、3000MPa以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 光透過率Ctotalが10%以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 携帯電子機器において部材の固定に用いられる、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層体。
JP2021139358A 2021-08-27 2021-08-27 積層体 Pending JP2023032965A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021139358A JP2023032965A (ja) 2021-08-27 2021-08-27 積層体
KR1020247009962A KR20240055779A (ko) 2021-08-27 2022-08-24 적층체
PCT/JP2022/031803 WO2023027091A1 (ja) 2021-08-27 2022-08-24 積層体
CN202280056855.9A CN117836385A (zh) 2021-08-27 2022-08-24 层叠体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021139358A JP2023032965A (ja) 2021-08-27 2021-08-27 積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023032965A true JP2023032965A (ja) 2023-03-09

Family

ID=85322778

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021139358A Pending JP2023032965A (ja) 2021-08-27 2021-08-27 積層体

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP2023032965A (ja)
KR (1) KR20240055779A (ja)
CN (1) CN117836385A (ja)
WO (1) WO2023027091A1 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5280034B2 (ja) * 2007-10-10 2013-09-04 日東電工株式会社 配線回路基板用両面粘着テープ又はシートおよび配線回路基板
JP2011162586A (ja) * 2010-02-04 2011-08-25 Sekisui Chem Co Ltd 両面粘着シート
JP5483724B2 (ja) * 2010-09-14 2014-05-07 日東電工株式会社 両面粘着シート
JP6205081B1 (ja) 2016-08-10 2017-09-27 日東電工株式会社 粘着シート
JP6224284B1 (ja) * 2017-03-08 2017-11-01 リンテック株式会社 粘着フィルム
JP7175622B2 (ja) 2017-10-06 2022-11-21 日東電工株式会社 アクリル系粘着剤組成物および粘着シート
JP7089888B2 (ja) * 2018-02-06 2022-06-23 リンテック株式会社 粘着シートおよびその製造方法、ならびにグラファイトシート積層体
JP2021134226A (ja) * 2020-02-21 2021-09-13 株式会社巴川製紙所 両面粘着シート
JP2022133053A (ja) * 2021-03-01 2022-09-13 Mccアドバンスドモールディングス株式会社 防食用ラミネートフィルムおよび防食テープ

Also Published As

Publication number Publication date
CN117836385A (zh) 2024-04-05
KR20240055779A (ko) 2024-04-29
WO2023027091A1 (ja) 2023-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6945090B1 (ja) 粘着シート、表示装置および積層体
JP7339087B2 (ja) 粘着シート
JPWO2020013168A1 (ja) 粘着シート
WO2023027091A1 (ja) 積層体
WO2023027092A1 (ja) 積層体
JP7321343B1 (ja) 両面粘着シート
WO2022054787A1 (ja) 粘着シート
JP7321344B1 (ja) 粘着シート
WO2022249726A1 (ja) 粘着シート、表示装置および積層体
JP6884258B1 (ja) 粘着シート
WO2024057558A1 (ja) 剥離ライナー付き両面粘着シート
WO2022054789A1 (ja) 粘着シート
JP7176153B2 (ja) 粘着シート
JP7114685B2 (ja) 粘着シート
WO2022249727A1 (ja) 粘着シート、表示装置および積層体
JP7258102B1 (ja) 粘着シート、剥離ライナー付き粘着シートおよび積層体
JP7087162B2 (ja) 粘着シート
WO2023074448A1 (ja) 粘着シート