JP2023031452A - インクジェットインク組成物、記録方法、および記録物 - Google Patents

インクジェットインク組成物、記録方法、および記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】画質および吐出安定性を向上させるインクジェットインク組成物、記録方法、および記録物を提供すること。【解決手段】インクジェットインク組成物は、水と、微粒子を形成するリン脂質と、微粒子に内包される色材と、を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク組成物、記録方法、および記録物に関する。
従来、環境への負荷を抑えるために、天然物由来の色材を用いたインクが知られていた。例えば、特許文献1には、天然または天然源に由来する着色剤と、分散剤とを含むインク組成物が開示されている。
特開2014-109031号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインク組成物では、記録物の画質およびインクジェットヘッドからの吐出安定性を向上させることが難しいという課題があった。詳しくは、天然物由来の色材では、合成された色材と比べて、置換基などの分子構造に制約が生じる場合があった。色材の分子構造が限定されるため、天然物由来の色材を用いるインク組成物では、合成された色材を用いる場合と比べて、水溶性の色材では記録物に滲みが発生し易く、水に不溶性の色材では吐出安定性が低下し易かった。すなわち、天然物由来の色材を用いても、記録物の画質や吐出安定性を向上させるインクジェットインク組成物が求められていた。
インクジェットインク組成物は、水と、微粒子を形成するリン脂質と、前記微粒子に内包される色材と、を含有する。
記録方法は、上記インクジェットインク組成物を、インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程を備える。
記録物は、上記インクジェットインク組成物が記録媒体に付着されて成る。
1.インクジェットインク組成物
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、水と、色材と、リン脂質と、を含有する。該インクジェットインク組成物中では、リン脂質は、色材が内包される微粒子を形成する。上記の微粒子には色材が内包される。以降の説明において、本実施形態のインクジェットインク組成物を単にインクともいい、リン脂質が形成して色材が内包される微粒子を単に微粒子ともいう。以下、インクに含まれる各種成分について説明する。
1.1.水
水は本実施形態のインクの主溶媒である。すなわち、インクは水性インクである。水は、インクが記録媒体に付着された後に、乾燥によって蒸発する成分である。水としては、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水、および超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものが採用可能である。また、紫外線照射や過酸化水素の添加などによって滅菌した水を使用すると、処理液を長期間保存する場合に、カビやバクテリアの発生が抑制される。
インクに含まれる水の含有量は、特に限定されないが、インクの全質量に対して、5質量%以上が好ましく、7質量%以上99質量%以下がより好ましい。さらには、9質量%以上80質量%以下が好ましく、10質量%以上75質量%以下がさらに好ましく、15質量%以上70質量%以下がより好ましい。さらには、40質量%以上70質量%以下が好ましく、50質量%以上70質量%以下がより好ましい。水の含有量を上記の範囲とすることにより、インクジェットヘッドからの吐出性や記録媒体に付着された後の乾燥性が向上する。
1.2.色材
色材は、インクが記録媒体に付着されると記録媒体に残存して、色材特有の色を呈する。異なる色を呈する複数の色材を用いて、カラーの画像、模様、テキストなどが作製される。記録媒体において色材が呈する色、すなわち発色の濃さを発色性といい、発色が濃いほど発色性に優れる。
色材には、水溶性色材および水不溶性色材のいずれかを用いる。なお、水不溶性色材とは、20℃の水100gに対する溶解度が0.1g未満である色材を指し、本明細書では水に対して難溶性の色材も含めるものとする。
1.2.1.水溶性色材
水溶性色材には、水溶性染料を用いる。水溶性染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、および塩基性染料などが挙げられる。水溶性染料には公知の染料が採用可能である。以下、水溶性染料を単に染料ということもある。
酸性染料としては、例えば、C.I.(Colour Index Generic Name)アシッドブルー 1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、49、54、59、60、62、72、78、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、133、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、185、187、192、193、199、203、204、205、225、229、234、236、247、249、300、C.I.アシッドレッド 1、6、8、9、13、14、18、19、24、26、27、28、32、35、37、42、51、52、57、62、75、77、80、82、83、85、87、88、89、92、94、95、97、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、149、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、199、209、211、215、216、217、219、249、252、254、256、257、260、263、265、266、274、276、282、283、289、303、317、318、320、321、322、361、407、C.I.アシッドイエロー 1、3、7、11、17、19、25、29、32、36、38、40、42、44、49、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、112、114、116、118、119、127、128、131、135、141、142、161、162、163、164、165、169、184、207、219、246、C.I.アシッドブラック 1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、51、52、52:1、58、60、62、63、64、67、72、76、77、94、107、108、109、110、112、115、118、119、121、122、131、132、139、140、155、156、157、158、159、172、191、234、C.I.アシッドオレンジ 1、7、8、10、19、20、24、28、33、41、43、45、51、56、63、64、65、67、74、80、82、85、86、87、88、94、122、123、124、C.I.アシッドバイオレット 7、11、15、31、34、35、41、43、47、48、49、51、54、66、68、75、78、97、106、C.I.アシッドグリーン 3、7、9、12、16、19、20、25、27、28、35、36、40、41、43、44、48、56、57、60、61、65、73、75、76、78、79、C.I.アシッドブラウン 2、4、13、14、19、20、27、28、30、31、39、44、45、46、48、53、100、101、103、104、106、160、161、165、188、224、225、226、231、232、236、247、256、257、266、268、276、277、282、289、294、295、296、297、298、299、300、301、302などが挙げられる。
直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー 1、2、6、9、15、22、25、41、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、158、160、163、165、168、192、193、194、195、196、200、201、202、203、207、225、226、236、237、246、248、249、C.I.ダイレクトレッド 1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.ダイレクトイエロー 1、8、11、12、24、26、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、110、132、142、144、C.I.ダイレクトブラック 17、19、22、32、35、38、51、56、62、71、74、75、77、94、105、106、107、108、112、113、117、118、132、133、146、154、168、171などが挙げられる。
水溶性色材には、動物由来または植物由来の染料を用いることが好ましい。動物由来または植物由来とは、動植物からの抽出物、その発酵物、および加工物などであって、地下資源を用いないものを指す。これにより、石油などの地下資源に由来しない色材を用いることから、環境への負荷を抑えることができる。
動物由来または植物由来の染料としては、例えば、コチニール色素、クチナシ黄色素、ベニバナ黄色素、ベニコウジ黄色素、サフラン色素、ベニコウジ赤色素、クチナシ赤色素、ベニバナ赤色素、ビートレッド、シソ色素、ハイビスカス色素、赤キャベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキ芋色素、ムラサキトウモロコシ色素、ブドウ果皮色素、レッドカーラント色素、ムラサキニンジン色素、エルダーベリー色素などのベリー系色素(クランベリー、ストロベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、ホイゼンベリー、ホワートルベリー、ラズベリーなどの抽出物)、ブドウ果汁色素、クチナシ青色素、スピルリナ色素、バタフライピー、カカオ色素、カキ色素、カラメル色素、コウリャン色素、タマネギ色素、タマリンド色素、麦芽抽出物、ノリ色素、ポルフィリン色素などが挙げられる。
動物由来または植物由来の染料には、例えばコチニール色素のスズ媒染のように、金属と結合してキレート錯体を形成したものを用いてもよい。これによれば、キレート錯体を形成する染料が微粒子に内包されて保護される。そのため、インク中の金属イオンと色材との相互作用が抑えられて、記録物における変色の発生が抑制される。微粒子の詳細については後述する。
水溶性色材を用いる場合の含有量は、特に限定されないが、インクの全質量に対して、例えば、0.5質量%以上30.0質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.0質量%以上25.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上20.0質量%以下である。さらには、2.0質量%以上10.0質量%が好ましく、3.0質量%以上6.0質量%以下がより好ましい。水溶性色材の含有量を上記の範囲内とすることにより、記録物における発色を確保すると共に、インクの粘度増大やインクジェットヘッドにおけるノズルの目詰まりの発生が抑えられる。
1.2.2.水不溶性色材
水不溶性色材には、油溶性染料、分散染料、または顔料などを用いる。水不溶性色材には公知の染料が採用可能である。
油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベントブラック 3、5、7、C.I.ソルベントイエロー 2、4、7、14、16、33、56、93、C.I.ソルベントブルー 5、35、70、94、C.I.ソルベントレッド 1、3、18、19、23、24、27,49、197、C.I.ソルベントバイオレット 8、C.I.ソルベントオレンジ 2、7、C.I.ソルベントグリーン 3、ナイルレッド、フェニルアゾレソルシノール、キニザリン、キニザリンブルーなどが挙げられる。
分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースブルー 3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、360、C.I.ディスパースレッド 1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、C.I.ディスパースイエロー 3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、C.I.ディスパースブラック 1、3、10、24、C.I.ディスパースオレンジ 1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、C.I.ディスパースバイオレット 1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、C.I.ディスパースグリーン 9、C.I.ディスパースブラウン 1、2、4、9、13、19などが挙げられる。
顔料には、公知の有機顔料および無機顔料が採用される。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料などの多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキなどの染料レーキ顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロムなどの金属酸化物顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。また、顔料として、パール顔料やメタリック顔料などの光輝顔料を用いてもよい。
具体的には、例えば、黒色インク用としてC.I.ピグメントブラック 1、7、11が挙げられ、白色インク用として、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエロー色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180が挙げられる。
マゼンタ色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントバイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアン色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
上記以外の色用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63が挙げられる。
水不溶性色材として、上述したものの他に、ロイコ染料などの公知の色材を用いてもよい。
水不溶性色材には、動物由来または植物由来の油溶性染料または顔料を用いることが好ましい。動物由来または植物由来の油溶性染料としては、例えば、パーム油カロテン、マリーゴールド色素、トマト色素、ヘマトコッカス藻色素、アナトー色素、およびトウガラシ色素などのカロテノイド系色素、ベニバナ赤色素、ラック色素、インド藍、ウコン、βカロテンなどが挙げられる。動物由来または植物由来の顔料としては、例えば、備長炭や竹炭などの植物炭系のC.I.ピグメントブラック 7、イカスミ色素、インド藍、ラック色素、ウコン色素などが挙げられる。これにより、石油などの地下資源に由来しない色材を用いることから、環境への負荷を低減することができる。
水不溶性色材の含有量は、特に限定されないが、インクの全質量に対して、例えば、0.5質量%以上30.0質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.0質量%以上25.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上20.0質量%以下である。さらには、2.0質量%以上10.0質量%が好ましく、3.0質量%以上6.0質量%以下がより好ましい。水不溶性色材の含有量を上記の範囲内とすることにより、記録物における発色を確保すると共に、インクの粘度増大やインクジェットヘッドにおけるノズルの目詰まりの発生が抑えられる。
1.3.リン脂質
リン脂質は、リン酸エステル部位を有する両親媒性の脂質である。リン脂質は、水系の溶媒中で微粒子を形成する。
リン脂質としては、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチンなどの天然レシチン、水素添加卵黄レシチンや水素添加大豆レシチンなどの天然レシチン中の不飽和炭化水素を水素添加により飽和炭化水素として安定化させた水素添加レシチン、水素添加レシチンのうち特定のレシチンの濃度を高めたもの、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロールなどの天然レシチン由来の精製化合物または合成化合物などが挙げられる。これらのリン脂質は、1種類を単独で用いるか2種類以上を組み合わせて用いる。
リン脂質として市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日光ケミカルズ社のレシノールS-10M(商品名、ホスファチジルコリン55~65%含有)、レシノールS-10E(商品名、ホスファチジルコリン75~85%含有)、日清オイリオ社のベイシス(登録商標)LP-60HR(商品名、ホスファチジルコリン65~75%含有)、キューピー社の卵黄レシチンPL100P(商品名、ホスファチジルコリン約80%含有)などが挙げられる。
リン脂質は、水系の溶媒中で配向して袋状の膜である微粒子を形成する。微粒子は、内包される色材の極性によって形態が異なる。
色材が水溶性色材である場合には、リン脂質が会合した二分子膜、すなわちリポソームを形成される。水溶性色材は微粒子としてのリポソームに内包される。リポソームにおいて、リン脂質は、水溶性色材を包む内側に親水基が配向し、外側に疎水基が配向して1層目の分子膜を形成する。さらに、1層目の分子膜に対して、2層目の分子膜となるリン脂質の疎水基が配向して、外側に2層目のリン脂質の親水基が配向する。これにより、本実施形態のリポソームは、水溶性色材を内包すると共に、2層目のリン脂質の親水基が外側に配向して、水系の溶媒中に微粒子として分散可能になる。
水溶性色材を内包するリポソームは、例えば以下の方法で製造される。まず、リン脂質を有機溶媒に溶解して溶液を作製する。有機溶媒には、例えば、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、および水溶性の多価アルコールであるグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオールなどのポリオールを用いる。このとき、後述するステロイド骨格を有する脂質または糖質を加えてもよい。用いる有機溶媒の種類は、用いるリン脂質やステロイド骨格を有する脂質などの溶解性に応じて選定する。
次に、上記溶液から有機溶媒を留去してリン脂質の膜を作製する。ステロイド骨格を有する脂質などを併用する場合には、上記膜は複数の成分が混合された混合膜となる。別途、水溶性色材を純水に溶解させて、水溶性色材の水溶液を作製する。次いで、上記膜に水溶性色材の水溶液を徐々に添加しながら撹拌し、65℃から75℃に加温して分散液を作製する。
次に、超音波ホモジナイザーを用いて上記分散液に超音波処理を施して、分散液中の粒子を小粒径化する。その後、遠心分離装置を用いて水溶性色材が内包されたリポソームを分離回収する。そして、該リポソームを水系の溶媒中に再分散させて、水溶性色材を内包する微粒子の分散体を得る。
色材が水不溶性色材の油溶性染料または分散染料である場合には、リン脂質が会合した二分子膜、すなわちリポソームが形成される。油溶性染料または分散染料は、微粒子であるリポソームにおいて、1層目の分子膜の疎水基と2層目の分子膜の疎水基とが会合する領域に内包される。この場合に、リポソームの中央部には水などの水系の溶媒のみが存在する。これにより、本実施形態のリポソームは、油溶性染料または分散染料を内包すると共に、2層目のリン脂質の親水基が外側に配向して、水系の溶媒中に微粒子として分散可能になる。
油溶性染料または分散染料を内包する微粒子は、例えば以下の方法で製造される。まず、リン脂質を上述した有機溶媒に溶解して溶液を作製する。このとき、油溶性染料または分散染料をリン脂質と共に溶液に溶解させる。また、このとき、ステロイド骨格を有する脂質、糖質、または後述するセルロース誘導体を加えてもよい。用いる有機溶媒の種類は、用いるリン脂質、ステロイド骨格を有する脂質、および油溶性染料または分散染料の溶解性などに応じて選定する。
次に、上記溶液から有機溶媒を留去してリン脂質および油溶性染料または分散染料などが混合された膜を作製する。次いで、上記膜に純水を徐々に添加しながら撹拌し、65℃から75℃に加温して分散液を作製する。
次に、超音波ホモジナイザーを用いて上記分散液に超音波処理を施して、分散液中の粒子を小粒径化する。その後、遠心分離装置を用いて油溶性染料または分散染料が内包された微粒子を分離回収する。そして、該微粒子を水系の溶媒中に再分散させて、油溶性染料または分散染料を内包する微粒子の分散体を得る。
色材が水不溶性色材の顔料である場合には、リン脂質による単分子膜、または三分子膜の微粒子が形成される。顔料は上記袋状の微粒子に内包される。該微粒子において、リン脂質は、顔料を包む内側に疎水基が配向し、外側に親水基が配向して単分子膜の微粒子を形成する。また、単分子の1層目の分子膜に対して、2層目の分子膜となるリン脂質の親水基が配向して、外側に疎水基が配向する。そして、2層目の分子膜に対して、3層目の分子膜と成るリン脂質の疎水基が配向して、外側に親水基が配向する。ここで、水不溶性色材が油溶性染料や分散染料である場合にも、上述した顔料と同様にして、微粒子の中心部に油溶性染料または分散染料が内包されてもよい。
これにより、本実施形態のリン脂質の単分子膜または三分子膜の微粒子は、顔料または油溶性染料や分散染料を内包すると共に、リン脂質の親水基が外側に配向して、水系の溶媒中に微粒子として分散可能になる。特に、色材が水不溶性色材の場合、水性インクに用いるために、分散剤などによって色材を水に分散させることが必要であるが、本実施形態においては、リン脂質によって、水不溶性色材を水に安定して分散させることができ、好ましい。
顔料または油溶性染料や分散染料を内包する微粒子は、例えば以下の方法で製造される。まず、リン脂質、顔料または油溶性染料や分散染料、および上述したポリオールを混合して合一物を作製する。このとき、ステロイド骨格を有する脂質、セルロース誘導体、または糖質を加えてもよい。
次に、乳鉢やニーダーなどの混錬装置を用いて、合一物を所望の平均粒子径になるまで混錬して混錬物とする。これにより、顔料を用いる場合では、顔料の粒子は、粉砕されると共にリン脂質によって表面が被覆される。
次に、上記混錬物に純水を加えて、超音波ホモジナイザーを用いて超音波処理を施す。これにより、顔料または油溶性染料や分散染料を内包する微粒子の分散体を得る。なお、遠心分離装置を用いて上記分散体を濃縮してもよい。
以上に述べたように、微粒子をインクが含有することにより、インクが付着されて成る記録物において、画質およびインクの吐出安定性を向上させることができる。詳しくは、色材がリン脂質の微粒子に内包されるため、色材が微粒子によって保護されると共に、色材本来の分子構造に由来する制約が緩和されて特性が補われる。これにより、色材が記録媒体に付着された後に、記録媒体における色材の挙動が改善される。
色材が水溶性色材である場合には、記録媒体に付着されたインクの耐水性が向上する。そのため、記録物が水に濡れても滲みの発生を抑えられる。また、記録媒体に対して、水溶性色材は、浸透し難くなり表面に留まり易くなる。そのため、記録物における発色性が向上する。さらに、インクのpHやインクに含まれる金属イオンからの影響を受け易い水溶性色材の場合に、微粒子の保護によって水溶性色材が備える本来の色が発現し易くなる。すなわち、記録物の画質を向上させることができる。特に、微粒子がリポソームである場合には、微粒子の膜が色材を保護する機能がさらに増強されて、記録物の変色が防止でき、記録物の画質がさらに向上する。また、インク中における分散安定性などが優れることにより、吐出安定性も向上する。
色材が水不溶性色材である場合には、インク中にて微粒子の分散安定性が改善される。そのため、インク中で微粒子が凝集した異物が発生し難くなり、インクの吐出安定性を向上させることができる。また、インクジェットヘッドのノズル不吐出などの発生が抑制されて、記録物の画質が向上する。また、記録物の発色性や、記録物の変色の防止にも優れる。
インクにおいて、微粒子の平均粒子径D50は、50nm以上350nm以下であることが好ましく、60nm以上300nm以下であることがより好ましく、80nm以上250nm以下であることがさらに好ましい。さらには、100nm以上200nm以下が好ましく、130nm以上180nm以下がより好ましい。微粒子の平均粒子径D50が上記範囲以上であることにより、微粒子に内包される色材の容積が大きくなって、記録物における発色性が向上する。微粒子の平均粒子径D50が上記範囲以下であることにより、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性がさらに向上する。
平均粒子径D50とは、50%体積基準粒度分布を指す。微粒子の平均粒子径D50は、JIS Z8825に記載の動的光散乱法やレーザー回折光法で測定される。具体的には、動的光散乱法を測定原理とする市販の粒度分布計、例えば、日機装社のマイクロトラックUPAを用いる。
インクにおいて、色材の含有量に対するリン脂質の含有量の質量比は、0.5以上8.0以下が好ましく、1.0以上5.0以下がより好ましく、1.5以上4.0以下がさらに好ましく、2.0以上3.0以下が特に好ましい。
1.4.ステロイド骨格を有する脂質
インクはステロイド骨格を有する脂質を含有することが好ましい。ステロイド骨格を有する脂質は、リン脂質が形成する微粒子の膜の間隙を埋める機能を有する。そのため、該微粒子の膜が緻密な構造となる。色材がより緻密な膜に保護されることにより、記録物において、水溶性色材では滲みの発生がさらに抑制され、水不溶性色材では微粒子の分散安定性がさらに向上する。また、インクジェットインク組成物中の金属イオンとの相互作用がより抑制されて、記録物における画像などの変色がさらに抑えられる。
微粒子の膜の間隙を埋めるには、リン脂質以外の脂質を用いることが好ましく、ステロイド骨格を有する脂質を用いることがより好ましい。
ステロイド骨格を有する脂質としては、例えば、コレステロール、コレスタノール、7-デヒドロコレステロールなどの動物系と、α-シトステロール、β-シトステロール、γ-シトステロール、スチグマステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロールなどの植物系、フィトスタノールなどの植物系コレステロールの水素添加物、エルゴステロールなどの菌糸系が挙げられる。
インクにおいて、ステロイド骨格を有する脂質の含有量に対する、リン脂質の含有量の質量比は、0.5以上8.0以下が好ましく、1.0以上5.0以下であることがより好ましい。さらには、1.5以上3.0以下が好ましい。上記質量比が上記範囲以上であることにより、ステロイド骨格を有する脂質が、リン脂質が形成する微粒子の膜の間隙を埋める機能がより向上する。上記質量比が上記範囲以下であることにより、微粒子の膜の間隙を埋めずに微粒子から遊離するステロイド骨格を有する脂質が低減される。そのため、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が向上する。
1.5.セルロース誘導体
インクはセルロース誘導体を含有することが好ましい。セルロース誘導体は、リン脂質が形成する微粒子の膜の間隙を埋める機能を有する。そのため、該微粒子の膜が緻密な構造となる。色材がより緻密な膜に保護されることにより、記録物において、水溶性色材では滲みの発生がさらに抑制され、水不溶性色材では微粒子の分散安定性がさらに向上する。また、インクジェットインク組成物中の金属イオンとの相互作用が抑えられて、記録物における画像などの変色が抑制される。
セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。
インクにおいて、セルロース誘導体の含有量に対するリン脂質の含有量の質量は、0.5以上8.0以下が好ましく、1以上5以下であることがより好ましい。さらには1.5以上3.0以下が好ましい。上記質量比が上記範囲以上であることにより、セルロース誘導体が微粒子を保護する機能がより向上する。上記質量比が上記範囲以下であることにより、微粒子の表面に吸着せずに微粒子から遊離するセルロース誘導体が低減される。そのため、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性がより向上する。
1.6.糖質
インクは糖質を含有することが好ましい。糖質は微粒子の表面を被覆して保護コロイドとなる。そのため、微粒子がインク中で凝集し難くなり微粒子の分散安定性が向上する。これによって、インク中に凝集物が発生し難くなって、インクジェットヘッドにおけるインクの吐出安定性がさらに向上する。
糖質としては、ラフィノース、スタキオース、デキストリン、デンプン、セルロースなどの三糖類以上の糖類、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどの単糖類の糖アルコール、還元麦芽糖水飴、還元水飴、ラクチトールなどの二糖類の糖アルコール、サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテームなどの人工甘味料、ステビア、グリチルリチンなどの天然甘味料、グルコース、フルクトース、ガラクトースなどの単糖類、マルトース、スクロースなどの二糖類が挙げられる。
インクにおいて、糖質の含有量に対する、リン脂質の含有量の質量比は0.5以上5.0以下であることが好ましい。さらには1.0以上4.0以下が好ましく、2.0以上3.0以下がより好ましい。上記質量比が0.5以上であることにより、微粒子の分散安定性がさらに向上する。上記質量比が5.0以下であることにより、微粒子の表面を被覆せずに微粒子から遊離する糖質が低減される。そのため、インクジェットヘッドからの吐出安定性がより向上する。
1.7.有機溶剤
インクは有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含有することにより、粘度、表面張力などのインクの物性や、記録媒体に塗布した際の乾燥、浸透などの挙動を制御することが可能となる。有機溶剤としては、例えば、2-ピロリドン類、1,2-アルカンジオール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類などが挙げられる。これらのうちの1種類以上を用いてもよい。
2-ピロリドン類は、インク粘度の増大を抑えて、インクジェットヘッドにおけるインクの吐出安定性を向上させる。2-ピロリドン類としては、2-ピロリドン骨格を有する化合物をいう。2-ピロリドン類としては、例えば、置換基を有しない2-ピロリドンの他に、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドンなどの置換基を有するものが挙げられる。2-ピロリドン骨格における置換基は、炭素数が1から5の、飽和または不飽和の炭化水素基などの有機基が好ましい。
1,2-アルカンジオール類は、記録媒体に対して、インクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れる。1,2-アルカンジオール類としては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールなどが挙げられる。1,2-アルカンジオール類の中でも、炭素数5以上のアルカンの1,2-アルカンジオールが好ましい。
多価アルコール類は、インクジェットヘッドのノズル内においてインクの乾燥を抑える。そのため、ノズルの目詰まりやインクの吐出不良などが低減される。多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどが挙げられる。多価アルコール類の中でも、炭素数4以下のアルカンの多価アルコールや、炭素数4以下のアルカンの多価アルコールが分子間で水酸基同士が縮合した縮合物、が好ましい。
グリコールエーテル類は、記録媒体に対するインクの濡れ性や浸透速度を調整して、記録物の画像や模様などを鮮明にする。グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルやアルキレングリコールジエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
有機溶剤をインクに含有させる場合の含有量は、特に限定されないが、インクの総質量に対して5質量%以上40質量%以下とすることが好ましい。さらには7質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。
1.8.その他の成分
インクは、その他の成分として、界面活性剤およびキレート剤を含有してもよい。
界面活性剤は、インクの表面張力を低下させて、記録媒体に対するインクの濡れ性を向上させる。界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、Air Products and Chemicals. Inc.社のサーフィノール(登録商標)104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG-50、104S、420、440、465、485、SE、SE-F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上商品名)、日信化学工業社のオルフィン(登録商標)B、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD-001、PD-002W、PD-003、PD-004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF-103、AF-104、AK-02、SK-14、AE-3(以上商品名)、川研ファインケミカル社のアセチレノール(登録商標)E00、E00P、E40、E100(以上商品名)などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物を用いる。ポリシロキサン系化合物としては、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン社のBYK(登録商標)-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-348(以上商品名)、信越化学工業のKF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(以上商品名)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、例えば、ビックケミー・ジャパン社のBYK-340(以上商品名)などが挙げられる。
界面活性剤をインクに含有させる場合の含有量は、特に限定されないが、インクの総質量に対して0.01質量%以上2.00質量%以下とすることが好ましい。
キレート剤は、インク中に混入した金属イオンをキレート効果によって錯体化させ、金属塩の析出を抑制する。金属塩が析出すると、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりなどの不具合が発生し易い。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、ピコリン酸ナトリウム、キノリン酸カリウム、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸4ナトリウム、メチルグリシン2酢酸(MGDA)、L-グルタミン酸2酢酸(GLDA)、L-アスパラギン酸2酢酸(ASDA)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(CMGA)、(S,S)-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、およびこれらの塩が挙げられる。上記キレート剤の塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの金属塩の他に、アンモニウム、アミンなどの塩が挙げられる。
キレート剤をインクに含有させる場合の含有量は、特に限定されないが、インクの総質量に対して0.01質量%以上2.00質量%以下とすることが好ましい。
インクには、上述した成分の他に、樹脂エマルション、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、pH調整剤などの種々の添加剤を適宜用いてもよい。これらの添加剤には、公知のものが採用可能である。
2.インクの調製方法
インクの調製には、上述した方法にて微粒子の分散体を作製した後、上記の成分を任意の順序で混合する。その後、必要に応じてろ過などを実施して、不純物や異物などを除去する。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネティックスターラーなどの撹拌装置を備えた容器に、材料を順次添加して撹拌、混合する方法が用いられる。ろ過方法としては、遠心ろ過、フィルターろ過などの公知の方法が採用可能である。
3.インクの物性
インクの25℃における表面張力は、10mN/m以上、40mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは20mN/m以上、40mN/m以下である。これにより、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が向上する。また、記録媒体に形成される画像を高精細なものとすることができる。インクの表面張力は、協和界面科学社の自動表面張力計CBVP-Zを用いて測定することが可能である。
インクの20℃における粘度は、表面張力と同様な観点から、2mPa・s(ミリパスカル秒)以上15mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上5mPa・s以下である。インクの粘度は、Pysica社の粘弾性試験機MCR-300を用いて測定することが可能である。具体的には、インクの20℃の粘度は、インクの温度を20℃に調整して、Shear Rateを10から1000に上げ、Shear Rateが200のときの粘度を読み取ることで求められる。
4.インクジェット記録装置
本実施形態の記録方法に用いるインクジェットヘッドを備える記録装置について説明する。記録装置としては、インクジェットプリンターなどの公知の装置が適用可能であり、具体的には、オンキャリッジ型またはオフキャリッジ型のシリアルプリンター、およびラインヘッドプリンターが挙げられる。
インクジェットヘッドは、インクの液滴を吐出して記録媒体に付着させる。インクジェットヘッドは駆動手段であるアクチュエーターを有する。アクチュエーターとしては、圧電体の変形を利用する圧電素子、静電吸着による振動板の変位を利用する電気機械変換素子、および加熱によって生じる気泡を利用する電気熱変換素子などが挙げられる。本実施形態では、圧電素子を備えたインクジェットヘッドを有する記録装置を用いる。
5.記録媒体
記録媒体は、用途やインクの種類に応じて適宜選択される。記録媒体としては、例えば、電子写真用紙などの普通紙、インクジェット専用紙、アート紙、コート紙、キャスト紙などの紙類、天然繊維や化学繊維を用いた布帛などの浸透性の記録媒体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂製フィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウムなどの金属または合金製のプレート、ガラス、セラミックなどの無機物のプレート、金属などを含む無機物の薄膜が表面に形成された樹脂製フィルムなどの非浸透性の記録媒体が挙げられる。本実施形態のインクは水性インクであることから、上記の浸透性の記録媒体に好適である。記録媒体の形態としては、例えば、ロール状や単票状のもの、所定の形状に切断されたものなどが挙げられる。
6.記録方法
本実施形態に係る記録方法は、上述の記録装置を用いて、本実施形態のインクをインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる塗布工程を備える。
塗布工程では、記録装置のインクジェットヘッドから、記録媒体に対してインクの液滴を塗布する。このとき、インクの液滴を、記録媒体の所定の位置に対して所定の質量で付着させる。これにより、記録媒体にインクの液滴が塗布されて、所望の画像、文字、模様、色彩などのデザインが形成される。
記録方法は、塗布工程の後に乾燥工程を備えてもよい。乾燥工程では、記録媒体に付着したインクを乾燥させて、水や有機溶剤などの揮発成分を蒸発させる。乾燥の方法としては、例えば、放置の他、風や赤外線などの熱源を利用する方法が挙げられる。以上により、記録物が製造される。
本実施形態の記録方法は、上述したインクを採用するため、記録物の画質が向上する。また、インクのインクジェットヘッドからの吐出安定性が向上するため、記録物の生産性に優れる。
7.記録物
本実施形態に係る記録物は、上述の通り、記録方法によってインクが記録媒体に付着されて成る。記録物には、トリミング加工、ラミネート加工、製本加工、ハトメ加工などの後加工を施したものも含まれる。これによれば、滲みや発色などの画質が向上した記録物を提供することができる。
8.実施例および比較例
以下、実施例および比較例を示して、本発明の効果をより具体的に説明する。実施例1から実施例20、および比較例1から比較例4は、水溶性色材を用いた水準である。以降、これらの水準を、水溶性色材の実施例および比較例ともいう。実施例21から実施例50、および比較例5から比較例12は、水不溶性色材を用いた水準である。以降、これらの水準を、水不溶性色材の実施例および比較例ともいう。
水溶性色材の実施例および比較例の各インクについて、組成および諸元を表1および表2に示し、評価結果を表3および表4に示す。水不溶性色材の実施例および比較例の各インクについて、組成および諸元を表5から表7示し、評価結果を表8から表11に示す。表1、表2、表5、表6、および表7の組成の欄において、数値の単位は質量%であり、数値の記載がない、-表記の欄は含有しないことを意味する。また、一部の成分の名称に略称を用いている。略称については後述する。
以降、実施例1から実施例50のインクを総称して実施例のインクともいい、比較例1から比較例12のインクを総称して比較例のインクともいい、実施例および比較例のインクを総称して単にインクともいう。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
8.1.インクの調製
表1、表2および表4から表6の組成にしたがって、各インクを調製した。リン脂質を用いるインクでは、まず、上述した方法にてリン脂質が色材を内包して成る微粒子の分散体を作製した後にインクを調製した。
リン脂質を用いないインク(比較例1~3,5~8)では、分散体を作製する工程を行わずに直接的にインクを調製した。つまり、表中に示す各成分を混合してインクを調製した。比較例4,9~12は、リン脂質を用いたが、上述したリン脂質が色材を内包して成る分散体を作製する工程を行わなかった。つまり、表中に示す各成分を混合してインクを調製した。インク中に、リン脂質が色材を内包して成る分散体は含まれなかった。
Figure 2023031452000001





Figure 2023031452000002







Figure 2023031452000003





Figure 2023031452000004






Figure 2023031452000005







表1、表2、および表4から表6において用いた略称および成分の詳細は、以下の通りである。
水溶性染料
・コチニール色素の錫媒:スズ酸ナトリウム三水和物。富士フイルム和光純薬工業社。
・コチニール色素:カルミンレッド。キリヤ化学社。
・クチナシ黄色素:キシリンL-150。キリヤ化学社。
・クチナシ青色素:キリヤスブルー-EL。キリヤ化学社。
水不溶性色材
・S-205(ロイコ染料):BD628675。BLD Pharmatech社。
・ビスフェノールA(ロイコ染料顕色剤):富士フイルム和光純薬工業社。
・ラック色素:ラック色素原末。キリヤ化学社。
・ウコン色素:ウコン色素原末。キリヤ化学社。
・インド藍:インド藍原末。藍熊染料社。
・備長炭:備長炭微粉末。キリヤ化学社。
リン脂質
・ホスファチジルコリン(レシチン):レシチン粉末大豆製。ナカライテスク社。
・ホスファチジルコリン(水素添加品):レシノールS-10M。日光ケミカルズ社。
ステロイド骨格を有する脂質
・コレステロール:富士フイルム和光純薬工業社。
・β-シトステロール:富士フイルム和光純薬工業社。
脂質(ステロイド骨格なし)
・トリアシルグリセロール:富士フイルム和光純薬工業社。
セルロース誘導体
・メチルセルロース:メトローズ(登録商標)SM-15。信越化学工業社。
糖質
・デキストリン:富士フイルム和光純薬工業社。
界面活性剤
・オルフィン(登録商標)E1010:信越化学工業社。
8.2.評価
各インクについて、以下に述べる評価を行って、評価結果を表3、表4、および表8から表11に示した。なお、記録物の滲みについては、水溶性色材のインクについてのみ実施した。
8.2.1.記録物の作製
各インクを用いて、以下の手順にて評価用の記録物を作製した。セイコーエプソン社のインクジェットプリンター PX-S840のインクカートリッジにインクを充填して、該インクカートリッジをPX-S840に装着した。次いで、普通紙の記録媒体として富士ゼロックス社のV-paper A4を採用し、インク付着量が100%Dutyとなるベタパターンを印刷して記録物を作製した。このとき、画像解像度は、1440×720dpi(Dots Per Inch)とした。%Dutyとは、%Duty=1平方インチ当たりの記録ドット数/(1440×720)×100を指す。
8.2.2.滲みの評価
記録物の滲みの評価として、次に述べる方法を採用した。水平な面に、印刷後に30分間放置した記録物を載置した。その後、記録物のベタ印刷された領域へスポイトにて純水を0.5mL滴下した。その直後に、記録物上の水滴の近傍にスライドガラスの一辺を押し当て、そのまま水滴を一方向へ移動させるように、スライドガラスで記録物上を約15cm摺動させた。このとき、スライドガラスの摺動速度は、15cmでおよそ2秒とした。その後、水滴が移動した領域の境界部を目視にて観察し、滲みの状態を以下の判定基準にしたがって評価した。
評価基準
A :境界部に滲みが認められない。
B :境界部に、1から2箇所の滲みがある。
C :境界部に、3から4箇所の滲みがある。
D :境界部に、5箇所以上の滲みがある。
8.2.3.発色性の評価
記録物の発色性の指標として、OD(Optical Density)値を測定した。X-Rite社の測色器i1(商品名)を用い、光源フィルター無し、光源D50、視野角2度の測定条件にて、記録物のベタ印刷された印刷領域のOD値を測定し、以下の判定基準にしたがって評価した。なお、記録後、約5分以上経過してから測定した。
AA:OD値が1.0以上である。
A:OD値が、0.8以上1.0未満である。
B:OD値が、0.6以上0.8未満である。
C:OD値が、0.6未満である。
8.2.4.変色の評価
記録物の変色の評価として、次に述べる方法を採用した。上述の記録物の作製方法にて、1分間の時差で2枚の記録物を作製した。印刷直後の記録物の印刷領域に対して、印刷後に1分間経過した記録物の印刷領域の色合いの変化を目視で観察し、以下の判定基準にしたがって評価した。
A:色合いの変化は認められない。
B:軽微な色合いの変化が認められる。
C:明確な色合いの変化が認められる。
8.2.5.吐出安定性の評価
インクジェットヘッドにおけるインクの吐出安定性の評価として、上述の記録物の作製方法にて連続的に50枚の記録物を作製し、初期と作製後とのノズルの状態を確認した。詳しくは、まずノズルチェックパターンを印刷させて全ノズルが正常に吐出されることを確認した。次いで、ベタ印刷された記録物を連続で50枚作製した。その直後に、再びノズルチェックパターンを印刷させた。該ノズルチェックパターンにてインクが吐出不能となったノズルの個数を調べて、以下の判定基準にしたがって評価した。
AA:吐出不能なノズルの数は4個以下である。
A:吐出不能なノズルの数は5個以上9個以下である。
B:突出不能なノズルの数は10個以上19個以下である。
C:吐出不能なノズルの数は20個以上である。
Figure 2023031452000006






Figure 2023031452000007






Figure 2023031452000008







Figure 2023031452000009







Figure 2023031452000010







Figure 2023031452000011








8.3.評価結果のまとめ
8.3.1.水溶性色材
表3および表4に示すように、水溶性色材の実施例では、実施例1から実施例20の全ての水準において、滲みの評価結果がC評価以上となった。特に、実施例1から実施例18のうち、実施例9,18はB評価となり、それ以外はA評価となった。これにより、水溶性色材の実施例では、記録物の滲みが向上することが示された。
発色性の評価では、実施例1から実施例19でB評価以上となった。特に、実施例5,15,19以外はA評価以上となり、実施例1から実施例4、実施例6から実施例9、および実施例11,13,14ではAA評価となった。これにより、水溶性色材の実施例では、記録物の発色性が向上することが示された。
変色の評価では、実施例1から実施例19でB評価以上となった。特に、実施例1から実施例18ではA評価以上となった。これにより、水溶性色材の実施例では、記録物が変色し難くなることが示された。
吐出安定性の評価では、実施例1から実施例18でB評価以上となった。特に、実施例15,16,17以外はA評価以上となった。これにより、水溶性色材の実施例では、インクの吐出安定性が向上することが示された。
これに対して、水溶性色材の全ての比較例では、滲みの評価結果がD評価となり、記録物に滲みが発生し易いことが分かった。また、比較例3,4では、発色性、変色、および吐出安定性の評価結果が全てC評価となり、これらの特性が向上し難いことが分かった。
8.3.2.水不溶性色材
表8から表10に示すように、水不溶性色材の実施例では、実施例21から実施例50の全ての水準において、発色性の評価結果がB評価以上となった。特に、実施例24,25,30以外はA評価以上となった。これにより、水不溶性色材の実施例では、記録物の発色性が向上することが示された。
変色の評価では、実施例21から実施例50の全ての水準でB評価以上となった。特に、実施例24,25,30以外ではA評価となった。これにより、水不溶性色材の実施例では、記録物が変色し難くなることが示された。
吐出安定性の評価では、実施例21から実施例50でB評価以上となった。特に、実施例24,25,30,42,46,50以外はA評価以上となった。これにより、水不溶性色材の実施例では、インクの吐出安定性が向上することが示された。
これに対して、表11に示すように水不溶性色材の全ての比較例では、発色性の評価結果がB評価以下となり、記録物の発色性が向上し難いことが分かった。また、水不溶性色材の全ての比較例では変色の評価結果がB評価以下となり、記録物に変色が発生し易いことが分かった。さらに、水不溶性色材の全ての比較例では、インクの吐出安定性がC評価となり、水不溶性色材の実施例に比べて吐出安定性が劣ることが分かった。

Claims (14)

  1. 水と、
    微粒子を形成するリン脂質と、
    前記微粒子に内包される色材と、を含有するインクジェットインク組成物。
  2. 前記色材は、水溶性色材および水不溶性色材のいずれかである、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記水溶性色材は、動物由来または植物由来の水溶性染料であり、
    前記水不溶性色材は、動物由来または植物由来の油溶性染料または顔料である、請求項2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 前記色材として前記水溶性色材を含み、
    前記水溶性染料は、キレート錯体を形成している、請求項3に記載のインクジェットインク組成物。
  5. ステロイド骨格を有する脂質を含有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記ステロイド骨格を有する脂質の含有量に対する、前記リン脂質の含有量の質量比が1以上5以下である、請求項5に記載のインクジェットインク組成物。
  7. セルロース誘導体を含有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  8. 前記セルロース誘導体の含有量に対する、前記リン脂質の含有量の質量比が1以上5以下である、請求項7に記載のインクジェットインク組成物。
  9. 前記微粒子は、前記リン脂質が会合した二分子膜である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  10. 前記微粒子の平均粒子径D50は、80nm以上250nm以下である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  11. 糖質を含有する、請求項1から請求項10に記載のインクジェットインク組成物。
  12. 前記糖質の含有量に対する、前記リン脂質の含有量の質量比が0.5以上5.0以下である、請求項11に記載のインクジェットインク組成物。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物を、インクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させる工程を備える記録方法。
  14. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物が記録媒体に付着されて成る記録物。
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