JP2023030786A - 二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物、及び該組成物を保持した二酸化炭素分離膜、並びに該二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素の濃縮装置 - Google Patents

二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物、及び該組成物を保持した二酸化炭素分離膜、並びに該二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素の濃縮装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高分圧から低分圧まで、特に1kPa以下の二酸化炭素の分離に利用できる、二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物、及び該組成物を保持した二酸化炭素分離膜、並びに該二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素の濃縮装置を提供する。【解決手段】カチオンが1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムであり、アニオンがメタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ナイトレート、クロライド及びアセテートから選ばれる1以上であるイオン液体(I)と、カチオンに1級又は2級アミノ基を有さず、アニオンがオキソ酸アニオンであるイオン液体(II)とを組み合わせたイオン液体組成物を用いることにより、二酸化炭素分離膜のCO2の透過性及びCO2選択率を向上させることができ、高分圧から1kPa以下の低分圧までの二酸化炭素を、選択的に分離回収することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物、及び該組成物を保持した二酸化炭素分離膜、並びに該二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素の濃縮装置に関する。
二酸化炭素を分離回収する技術は、天然ガスを原料とする水素やメタンの製造、宇宙空間や海中などの閉鎖状態にある住環境の維持等に必要であり、また、温暖化ガス排出量の削減の観点から、火力発電所や製鉄所などの大量排出源を対象として、さらには、農業分野における二酸化炭素の施肥を対象として、盛んに研究されている。
代表的な二酸化炭素のガス分離技術としては、(1)二酸化炭素を含む混合ガスから二酸化炭素を化学反応により選択的に溶媒へ吸収させることで分離させ、次いで逆反応により溶媒から二酸化炭素を放散させて二酸化炭素を回収する化学吸収法、(2)化学反応によらず、物理的に二酸化炭素を含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に溶媒に吸収させて分離させ、減圧により溶媒から二酸化炭素を放散させて二酸化炭素を回収する物理吸収法、(3)膜の前後での二酸化炭素の分圧差を利用し、二酸化炭素を含む分離対象ガスを膜の一方側から供給し、分離対象ガス中の二酸化炭素を膜の他方側に選択的に輸送分離する、膜分離法などが知られている。
イオン液体は、一般に、カチオンとアニオンのみから構成され、室温近傍以下に融点を持つ液状の塩である。イオン液体の特徴として、幅広い温度範囲で液体であること、蒸気圧が非常に低いこと(不揮発性)、難燃性であること、優れた耐熱性、化学的安定性を有すること、広い電位窓、高いイオン伝導性を有すること、多様な化学種を溶解可能なこと等が挙げられる。
そのため、イオン液体は、電気化学デバイスの電解質、分離精製や有機反応等の各種プロセスにおける溶媒、アクチュエータや潤滑剤等の機能性材料などとして多岐にわたる研究がなされている。
二酸化炭素の分離回収技術においても、イオン液体のこれらの特性、特に二酸化炭素の吸収液に求められている不揮発性、低比熱などの特性を有していることから、二酸化炭素の吸収液として使用することが検討されている。
例えば、化学吸収法においては、吸収液として、カチオンにアミノ基を有するイオン液体等の化学吸収イオン液体を用いること(特許文献1、2、3)や、アミン化合物を含む非水系の吸収液において、溶媒としてイオン液体を用いること(特許文献4、非特許文献1)等が提案されている。
また、物理吸収法においては、吸収液として、例えば、カチオンにアミノ基を有しないイミダゾリウム系のカチオンを用いたイオン液体等の物理吸収性に優れたイオン液体を用いること(特許文献5~8)が提案されている。
一方、膜分離法は、膜に対する溶解性及び膜中の拡散性の差を利用して気体の分離を行うものであるため、二酸化炭素の分離効率を改善するためには、二酸化炭素の透過性及び選択率の双方を向上させることが求められる。しかしながら、従来の二酸化炭素分離膜として用いられていた高分子膜では、選択率をあげると透過性が減少してしまうことが知られており、高分子膜を用いた二酸化炭素の透過性及び選択率の向上には限界があった。
非特許文献2には、こうした従来の高分子膜における性能の限界について記載されており、図2(c)には、任意のCO透過係数を示す高分子膜の、二酸化炭素(CO)の窒素(N)に対する選択率(以下、「CO選択率」と表記する)の上限が示されている。
この限界を超えるためには、キャリアと呼ばれる、分離対象ガス中の特定成分と選択的に、かつ、可逆的に化学反応して輸送する物質を用いることが有効とされている。
二酸化炭素の分離膜として前記キャリアを含有する液膜を用いた場合、二酸化炭素とキャリアとの化学反応に基づく選択的な輸送を利用することから、従来の高分子膜に比べて、高い選択率での二酸化炭素の分離が可能であり、膜中の二酸化炭素の透過速度も速い場合が多い。しかし、揮発性を有する通常の溶媒を用いた膜の場合、溶媒の揮発損失により膜のガス分離機能が失活するため、長期にわたって利用できない。
そこで、このキャリアとして、揮発性を有する溶媒ではなく、不揮発性のイオン液体を含む液膜を用いることが提案されている。
例えば、カチオンにアミノ基を有するイオン液体を含有する液膜が提案されており、前記の特許文献1には、カチオンに一級アミノ基を有するイオン液体を主成分とする吸収液を含浸させた多孔質の液膜を二酸化炭素分離膜として用いることが記載されている。
また、特許文献9には、二酸化炭素の分離回収を目的とした、イオン液体を多孔質膜の空隙に保持した液膜において、1-(3-アミノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムなどのアミノ基を有するカチオンで構成されたイオン液体が用いられている。
また、1、3-ジアルキルイミダゾリウム等のイミダゾリウム系カチオンを有するイオン液体を用いた二酸化炭素分離膜も提案されている(前記特許文献10、11、非特許文献3、4)。
また、特許文献12は、農業分野における二酸化炭素の施肥に適した二酸化炭素分離膜として、イオン液体含有液を空隙に保持したイオン液体親和性多孔質層を含む分離膜を提案するものである。該文献では、該分離膜に用いるイオン液体として、アンモニウム類、イミダゾリウム類及びホスホニウム類から選択されるカチオンと、フッ素含有アニオン、シアノ基含有アニオン及びアミノ酸由来のアニオンから選択されるアニオンを含むイオン液が挙げられており、なかでもテトラブチルホスホニウムプロリネート([P4444][Pro])などの、化学式[RR’P](Rは炭素数2~6のアルキル基、R’は炭素数4~16のアルキル基)で示されるホスホニウムとプロリン由来のアニオンを組み合わせたものが好ましいとされている。
特開2006-36950号公報 特開2012-55785号公報 特開2016-10760号公報 特開2017-104775号公報 特開2006-305544号公報 特開2009-106909号公報 特表2011-510811号公報 特開2016-77935号公報 米国特許公開第2014/0283839号明細書 特開2010-214324号公報 国際公開第2013/118776号 国際公開第2018/211945号 国際出願/JP2021/005629号
Figure 2023030786000002
未活用の二酸化炭素を炭素源として有効に利用するために、二酸化炭素を高効率に分離回収する技術が必要とされている。従来は高濃度(高分圧)の二酸化炭素を分離回収する技術の開発が主に行われてきたが、近年は、多様な二酸化炭素排出源からの分離回収を想定して、大気中の二酸化炭素のような、低濃度(低分圧)の二酸化炭素を分離回収する技術の開発も必要とされている。
そこで、前述の、高い二酸化炭素透過選択性を実現できる可能性がある、キャリアを用いた膜分離法が、有望な分離回収技術の一つとして期待されている。
例えば、前記特許文献11には、アミノ酸イオン液体と、該アミノ酸イオン液体を含浸させる多孔質膜とを有し、該アミノ酸液体が3~50質量%の水分を含有する二酸化炭素透過膜は、二酸化炭素の分圧が低いときであっても高い二酸化炭素の透過性及び二酸化炭素/窒素選択性が維持されることが開示されており、混合ガス中の二酸化炭素分圧が15kPaであっても良いとも記載されている。さらに、具体的には、グリシン由来のアニオンを有するテトラブチルホスホニウムグリシネート([P4444][Gly])又は1-エチル-3-メチルイミダゾリウムグリシネート([emim][Gly])を用い、分圧を2~30kPaの範囲で変化させながら測定を行った結果が図示されている。
しかしながら、現在1kPa以下の低分圧までの二酸化炭素を効率良く分離できる二酸化炭素分離膜は未だに見いだされていない。
本発明は、こうした現状を鑑みてなされたものであって、高分圧から低分圧まで、特に1kPa以下の二酸化炭素の分離に利用できる、二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物、及び該組成物を空隙に保持した二酸化炭素分離膜、並びに該二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素の濃縮装置を提供することを課題とする。
イオン液体を含有する液膜を用いて、大気中の二酸化炭素を効率良く分離回収するためには、低い二酸化炭素分圧条件の下、二酸化炭素の透過性とともに、二酸化炭素(CO)の窒素(N)に対する選択率(CO選択率)を向上させる必要がある。
膜分離法において、ガス透過性はガスの溶解度とガスの拡散速度の積で表される。キャリアとしてイオン液体を含有する膜液においてCOの透過性及びCO選択率を改善するためには、キャリアであるイオン液体に対する二酸化炭素の溶解度を増加させるとともに、窒素の溶解度を抑制し、さらに、二酸化炭素と化学反応したキャリアの拡散速度の向上を図ることが重要となる。
発明者等は、優れた化学吸収性を有するイオン液体として前記特許文献3に記載された、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムを用いたイオン液体と該文献に記載された希釈剤として用いられているイオン液体を用いることを試みたが、二酸化炭素の透過選択性を向上させることができないことが判明した(特許文献13[0122][比較例1~8]参照)。
そこで、更に検討を重ねたところ、カチオンに1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムであるイオン液体(I)と、カチオンが1級又は2級アミノ基を有さず、アニオンがオキソ酸アニオンであるイオン液体(II)とを組み合わせたイオン液体組成物を用いることにより、二酸化炭素分離膜のCOの透過性及びCO選択率を向上させることができることを見いだし、さらに、低分圧の二酸化炭素であっても、選択的に分離回収しうることも見いだした(特許文献13)。
発明者等は、前記二酸化炭素分離膜におけるCOの透過性を維持もしくは向上しつつさらにCO選択率を向上させるべく検討したところ、前記イオン液体(I)のアニオンとして、前記特許文献13で用いられているビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド([TfN]と略記する)に代えて、メタンスルホネート(CHSO )、トリフルオロメタンスルホネート(CFSO )、ナイトレート(NO )、クロライド(Cl)又はアセテート(CHCOO)を用いることにより、さらにCO選択率を向上させることができるという知見を得た。
本発明は、前記の知見に基づいて完成させたものであり、本発明では、以下の手段を採用するものである。
[1]二酸化炭素分離膜に用いるイオン液体組成物であって、
イオン液体(I)とイオン液体(II)とを含有し、
前記イオン液体(I)は、カチオンが、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムであり、アニオンが、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ナイトレート、クロライド、及びアセテートから選ばれる1以上であり、
前記イオン液体(II)は、カチオンが1級又は2級アミノ基を有さず、アニオンがオキソ酸アニオンである二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
[2]前記アミニウムが、2-アミノエチルアミニウム、2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミニウム、3-アミノプロピルアミニウム、3-(N-メチルアミノ)プロピルアミニウム、2-(2-(アミノエチル)アミノ)エチルアミニウム、及び2-(2-(2-(アミノエチル)アミノエチル)アミノ)エチルアミニウムから選ばれる1以上である[1]に記載の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
[3]前記オキソ酸アニオンが、カルボキシレート、ホスファート、及びホスホネートから選ばれる1以上である[1]又は[2]に記載の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
[4]前記オキソ酸アニオンが、アセテート、2-(1-メトキシエトシキ)プロピオネート、及びメチルホスホネートから選ばれる1以上である[3]に記載の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
[5]前記イオン液体(II)のカチオンが、1-エチル-3-メチイミダゾリウム、N,N-ジエチル-N-メチル-N-ヘプチルアンモニウム、及びN,N-ジエチル-N-メチル-N-(6-ヒドロキシヘキシル)アンモニウムから選ばれる1以上である[3]又は[4]に記載の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
[6][1]~[5]のいずれかに記載された二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物を保持したことを特徴とする二酸化炭素分離膜。
[7]前記二酸化炭素分離膜が、前記二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物を空隙に保持したイオン液体親和性多孔質層と、イオン液体非親和性多孔質層とを含む[6]に記載の二酸化炭素分離膜。
[8]前記イオン液体親和性多孔質層が、無機材料を含む[7]に記載の二酸化炭素分離膜。
[9]前記無機材料が、個数基準で平均粒径0.001~10μmの金属酸化物粒子を含む[8]に記載の二酸化炭素分離膜。
[10]前記イオン液体親和性多孔質層の平均厚みが0.01~100μmである[7]~[9]のいずれかに記載の二酸化炭素分離膜。
[11]分圧が1kPa以下の二酸化炭素を分離濃縮するための[6]~[10]のいずれかに記載の二酸化炭素分離膜。
[12][6]~[11]のいずれかに記載の二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素濃縮装置。
本発明の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物によれば、COの透過性及びCO選択率を向上させることができ、高分圧から1kPa以下の低分圧までの二酸化炭素、特に0.04kPaというごく希薄な濃度の二酸化炭素を効率良く分離回収することができる。
CO分離膜のCO透過係数及びN透過係数の測定に用いた装置を模式的に示す図 実施例1~5及び比較例1のCO透過係数及びCO選択率をプロットした図
本発明は、二酸化炭素分離膜に用いるイオン液体組成物として、イオン液体(I)とイオン液体(II)とを含有し、前記イオン液体(I)は、カチオンが、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムであり、アニオンが、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ナイトレート、クロライド又はアセテートであり、また、前記イオン液体(II)は、カチオンが1級又は2級アミノ基を有さず、アニオンがオキソ酸アニオンである二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物を用いることを特徴とするものである。
以下、本発明の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物、及び該組成物を保持した二酸化炭素分離膜、並びに該二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素の濃縮装置について、その詳細を順に記載するが、これらは、この発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
なお、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む。
[イオン液体(I)]
本発明の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物におけるイオン液体(I)は、カチオンが、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムであり、アニオンが、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ナイトレート、クロライド、及びアセテートから選ばれる1以上であるイオン液体である。
(カチオン)
本発明のイオン液体(I)におけるカチオンは、1つの窒素原子に1つの炭素原子と2つの水素が結合した1級アミノ基、又は1つの窒素原子に2つの炭素原子と1つの水素が結合した2級アミノ基を有するアミニウムである。
該アミニウムは、エチレンジアミン骨格又はプロピレンジアミン骨格を、少なくとも1つ有するものであり、1つのエチレンジアミン骨格を有するアミニウムである場合、下記の一般式で表される。
Figure 2023030786000003
式中、R及びRは、ともに水素原子を表すか、或いは、一方が水素原子を表し、他方が置換基を有していてもよい飽和又は不飽和のアルキル基を表わす。R又はRのアルキル基は、その炭素数が小さいものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
また、R、R及びRは、いずれも水素原子を表すか、又は、このうちの2つが水素原子を表し、他の1つが置換基を有していてもよい飽和又は不飽和のアルキル基を表わすか、或いは、いずれも置換基を有していてもよい飽和又は不飽和のアルキル基を表わす。該アルキル基は、同種又は異種であってもよく、直鎖状又は環状であり、分岐鎖を有していてもよく、2つの基が結合し環を形成していてもよい。
上記式1で表されるエチレンジアミン骨格を有する例として、例えば以下の2-アミノエチルアミニウムや、2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミニウム等が挙げられる。
Figure 2023030786000004
また、プロピレンジアミン骨格は、前述のエチレンジアミン骨格のエチレン基をプロピレン基に置き換えたものである。具体的には、前述の式1のエチレン基をプロピレン基に置き換えたものである。プロピレンジアミン骨格のプロピレン基の炭素原子は、炭素数の小さいアルキル基又はヘテロアルキル基等の置換基を有していてもよい。
プロピレンジアミン骨格を有する例として、例えば以下の3-アミノプロピルアミニウムや、3-(N-メチルアミノ)プロピルアミニウム等が挙げられる。
Figure 2023030786000005
本発明に係るアミニウムとしては、エチレンジアミン骨格又はプロピレンジアミン骨格を2つ以上有するものも含まれ、例えば、前記式1において、R及びRのいずれかが、アミノエチル基である場合には、ジエチレントリアミニウムであり、2-(アミノエチル)アミノエチル基である場合には、トリエチレンテトラアミニウムとなる。
具体的には、例えば以下の2-(2-(アミノエチル)アミノ)エチルアミニウムや、2-(2-(2-(アミノエチル)アミノエチル)アミノ)エチルアミニウム等が挙げられる。
Figure 2023030786000006
(アニオン)
イオン液体(I)におけるアニオンは、メタンスルホネート(CHSO )、トリフルオロメタンスルホネート(CFSO )、ナイトレート(NO )、クロライド(Cl)、及びアセテート(CHCOO)から選ばれる1以上が用いられる。
好ましいイオン液体(I)としては、例えば下記のものが挙げられ、なかでも、[HDAH]Cl又は[HDAH]CHCOO(以下、[AcO]と略記する)が好ましく用いられる。
Figure 2023030786000007
[イオン液体(II)]
本発明の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物におけるイオン液体(II)は、カチオンが1級又は2級アミノ基を有さず、アニオンが、オキソ酸アニオンであるイオン液体である。
(オキソ酸アニオン)
オキソ酸アニオンとしては、アセテート、プロピオネート、ブタノエート、ラクテートなどのカルボキシレート類、ジメチルホスファート、ジエチルホスファート、ジブチルホスファートなどのホスファート類、メチルホスホネート、エチルホスホネート、ブチルホスホネートなどのホスホネート類、メチルサルフェート、エチルサルフェート、オクチルサルフェートなどのサルフェート類、メチルスルホネート、トシレートなどのスルホネート類などが挙げられる。好ましくは、以下に示すカルボキシレートである。
Figure 2023030786000008
式中、R、Rは、無置換、又は水酸基やヘテロ原子で置換された飽和又は不飽和のアルキル基を示す。
特に好ましくは、カルボキシレートとしては、アセテート([AcO])、2-(1-メトキシエトシキ)プロピオネート([1O2OPrО]と略記する)等が用いられる。
(カチオン)
本発明のイオン液体(II)におけるカチオンは、1級又は2級アミノ基を有していないものであれば、特に限定されないが、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムなどのイミダゾリウム類、N-ブチル-N,N,N,-トリメチルアンモニウム、N,N,N,N,-テトラブチルアンモニウム、N-(2-ハイドロキシエチル)-N,N,N,-トリメチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチル-N-ヘプチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(6-ヒドロキシヘキシル)アンモニウムなどのアンモニウム類、N-メチルピリジニウム、N-エチルピリジニウム、N-ブチルピリジニウムなどのピリジニウム類、N,N-ジメチルピロリジウニウム、N-メチル-N-エチルピロリジウニウム、N-メチル-N-ブチルピロリジウニウムなどのピロリジニウム類、テトラブチルホスホニウム、トリエチルオクチルホスホニウム、トリブチルオクチルホスホニウム、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムなどのホスホニウム類、などが挙げられ、特に、1,3-ジアルキルイミダゾリウム等の側鎖にアルキル基を有するイミダゾリウム類が好ましく用いられる。
側鎖にアルキル基を有するジアルキルイミダゾリウムにおいて、側鎖のアルキル基を短くすると、物理吸収によるガス溶解度が低減されることで、対窒素などの選択率が向上するため(後述する比較例3及び比較例4を参照)、特に好ましくは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム([emim]と略記する)が用いられる。
代表的なイオン液体(II)としては、以下のイオン液体が挙げられる。
Figure 2023030786000009
[両イオン液体の割合]
二酸化炭素の透過選択性を向上させるために好ましい両イオン液体の混合割合は、両イオン液体の組み合わせにより異なる。例えば、イオン液体(I)が[HDAH][AcO]であり、イオン液体(II)が[emim][AcO]である場合、両イオン液体の合計に対して、イオン液体(I)は1~99mol%、好ましくは5~95mol%、さらに好ましくは10~90mol%の範囲で、透過選択率を向上させることができる。
[二酸化炭素分離膜]
本発明における二酸化炭素分離膜は、本発明の二酸化炭素分離用イオン液体組成物(以下、単に「イオン液体組成物」という)を保持しうるものであれば、特に限定されず、例えば、二酸化炭素分離膜が多孔質層を有している場合には、該膜にイオン液体組成物を含浸させる等して、多孔質層の空隙に保持される。
また、二酸化炭素分離膜が、無機材料微粒子を含む多孔質の層を有している場合には、同様に、該膜にイオン液体組成物を含浸させる等して、多孔質層の空隙に保持される。
好ましい二酸化炭素分離膜としては、イオン液体組成物液(A)を空隙に保持したイオン液体親和性多孔質層(C)と、イオン液体非親和性多孔質層(B)が挙げられる。
該イオン液体親和性多孔質層(C)が、無機材料を含んでいてもよく、例えば、個数基準で平均粒径0.001~10μmの金属酸化物粒子を含んでいてもよい。
また、該イオン液体親和性多孔質層(C)の平均厚みは、0.01~100μmであることが好ましい。
以下、各層について説明する。
[イオン液体非親和性多孔質層(B)]
イオン液体非親和性多孔質層(B)は、内部に多数の孔(細孔又は空隙)を有しており、その表面(内部の空隙における表面(又は壁面)を含んでいてもよい)は、通常、疎水性(イオン液体親和性多孔質層(C)に対して、相対的に疎水性)である場合が多い。また、前記空隙は、独立孔を含んでいてもよく、含んでいなくてもよいが、厚み方向に連通する連通孔(又は貫通孔)を少なくとも含んでいる。イオン液体非親和性多孔質層(B)(イオン液体非親和性多孔質層(B)を構成する材質、又はイオン液体非親和性多孔質層(B)形成成分)は、樹脂(例えば、熱可塑性樹脂)を主成分として[例えば、イオン液体非親和性多孔質層(B)全体に対して、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上(実質的に100重量%)]含んでいてもよい。成形性などに優れる点から、イオン液体非親和性多孔質層(B)は、通常、熱可塑性樹脂で形成された多孔質膜(多孔膜、多孔性膜又は微多孔膜)である場合が多い。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールF型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールS型ポリカーボネート樹脂などのビスフェノール型ポリカーボネート樹脂など)、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド樹脂など)、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素樹脂、セルロース誘導体などが挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン系樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体(特に、ポリオレフィン系樹脂、フッ素樹脂、容易に入手できる観点からはポリオレフィン系樹脂)が好ましく、なかでも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリα-C2-3オレフィン系樹脂(特に、ポリエチレン系樹脂)、PTFE、PVDFなどのフッ素樹脂(特に、PVDF)が好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、慣用の添加剤を含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、防腐剤、殺菌剤、可塑剤、滑剤、着色剤、粘度調整剤、レベリング剤、界面活性剤、帯電防止剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。添加剤の割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、50重量部以下、好ましくは30重量部以下(例えば0.01~30重量部)、さらに好ましくは10重量部以下(例えば0.1~10重量部)であってもよい。
このような熱可塑性樹脂の多孔質膜の調製方法は特に制限されず、慣用の方法、例えば、樹脂溶液の相分離を利用する方法、樹脂フィルムを延伸処理する方法、樹脂フィルムにα線などの高エネルギー線を照射する方法などにより調製してもよい。
また、イオン液体非親和性多孔質層(B)は、イオン液体組成物(A)に対する濡れ性(又は接触角)を調整するために、慣用の表面処理(例えば、特開平6-9810号公報に記載の処理、すなわち、フッ化アルキル基を有するエチレン性不飽和モノマー由来の架橋体を付着させる処理など)が施されていてもよい。
イオン液体非親和性多孔質層(B)としては、市販品を用いてもよく、例えば、宇部マクセル(株)製「シーポア(登録商標)」、「ユーポア(登録商標)」、メルクミリポア社製「デュラペル」などが挙げられる。
イオン液体非親和性多孔質層(B)の平均厚みは、例えば、1~200μm、好ましくは5~150μm、さらに好ましくは6~130μmであってもよい。
イオン液体非親和性多孔質層(B)の孔径(平均孔径又は平均細孔径)は、例えば、0.001~10μm(例えば、0.01~5μm)の広い範囲から選択してもよく、例えば、0.001~1μm(例えば、0.005~0.5μm)、好ましくは0.01~0.4μm(例えば、0.03~0.35μm)、さらに好ましくは0.05~0.3μm(例えば、0.07~0.25μm)であってもよい。孔径が小さすぎると、気体透過性が低下するおそれがあり、大きすぎると、イオン液体組成物(A)などが透過して、二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)に保持できなくなるおそれがある。なお、孔径(平均孔径又は平均細孔径)は、水銀圧入法などの慣用の方法により測定できる。
イオン液体非親和性多孔質層(B)の空隙率(空孔率又は多孔度)は、多孔質層の製造方法などに応じて、例えば、1~90%(例えば、10~80%)の広い範囲から選択してもよく、例えば、20~85%、好ましくは30~80%、さらに好ましくは40~75%であってもよい。空隙率が小さすぎると、気体透過性が低下するおそれがあり、大きすぎると、イオン液体組成物(A)が透過して、二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)に保持できなくなるおそれがある。なお、空隙率(空孔率又は多孔度)は、いずれか一方の多孔質層全体(イオン液体非親和性多孔質層(B)全体又はイオン液体親和性多孔質層(C)全体)対する前記多孔質層の空隙の体積割合を表す。
イオン液体非親和性多孔質層(B)の連通孔率は、例えば、50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、実質的に100%)であってもよい。なお、連通孔率は、多孔質層の空隙に対する連通孔の体積割合を表し、走査型電子顕微鏡(SEM)などにより観察した断面の画像から算出してもよい。
イオン液体非親和性多孔質層(B)のイオン液体組成物(A)に対する接触角は、例えば、90°以上(例えば、90~150°)、好ましくは95°以上(例えば、95~148°)、さらに好ましくは100°以上(例えば、100~145°)であってもよい。接触角が小さすぎると、イオン液体含有液(A)が透過してしまい、保持できないおそれがある。
[イオン液体親和性多孔質層(C)(又は第2の多孔質層(C))]
イオン液体親和性多孔質層(C)は、内部に多数の孔(細孔又は空隙)を有しており、その表面(内部の空隙における表面(又は壁面)を含んでいてもよい)は、通常、親水性(イオン液体非親和性多孔質層(B)に対して、相対的に親水性)である場合が多い。また、前記空隙は、独立孔を含んでいてもよく、含んでいなくてもよいが、厚み方向に連通する連通孔(又は貫通孔)を少なくとも含んでいる。イオン液体親和性多孔質層(C)(イオン液体親和性多孔質層(C)を構成する材質、又はイオン液体親和性多孔質層(C)形成成分]は、前記イオン液体非親和性多孔質層(B)の項に記載の樹脂などの有機材料を主成分として含んでいてもよいが、成形性に優れ、かつ機械的特性などに優れる点から、無機材料を主成分としてイオン液体親和性多孔質層(C)全体に対して、例えば、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上(実質的に100重量%)の割合で含むのが好ましい。そのため、イオン液体親和性多孔質層(C)は、前記イオン液体非親和性多孔質層(B)の項に記載の樹脂を親水化処理したもの(例えば、親水化PTFE製多孔質膜、親水化PVDF製多孔質膜など)であってもよいが、通常、無機材料で形成された多孔質膜(多孔膜、多孔性膜又は微多孔膜)である場合が多い。このようにイオン液体親和性多孔質層(C)が無機材料で形成されていると、イオン液体含有積層体に無機材料由来の剛直性を付与できるため、薄くても二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)が取り扱い易くハンドリング性を有効に向上できる。特に、気体透過性低下の原因となる膨潤又はゲル化を有効に抑制できるのみならず、寸法安定性も向上できるため好ましい。
無機材料としては、通常、金属酸化物、例えば、周期表第4A族金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど)、第5A族金属酸化物(酸化バナジウムなど)、第6A族金属酸化物(酸化モリブデン、酸化タングステンなど)、第7A族金属酸化物(酸化マンガンなど)、第8族金属酸化物(酸化ニッケル、酸化鉄など)、第1B族金属酸化物(酸化銅など)、第2B族金属酸化物(酸化亜鉛など)、第3B族金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化インジウムなど)、第4B族金属酸化物(酸化ケイ素、酸化錫など)、第5B族金属酸化物(酸化アンチモンなど)などが挙げられる。
これらの金属酸化物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの金属酸化物のうち、イオン液体組成物(A)との親和性(又は親水性)、比重などに由来する分散液(又はスラリー)の調製容易性、さらには、入手容易性などの観点から、酸化アルミニウムなどの第3B族金属酸化物、酸化ケイ素などの第4B族金属酸化物が好ましく、特に、酸化アルミニウムなどの第3B族金属酸化物が好ましい。
前記無機材料(又は金属酸化物)は粒子状の形態であってもよい。無機材料(又は金属酸化物)の平均粒径は、例えば、個数基準で、0.001~10μm(例えば、0.01~5μm)、好ましくは0.1~3μm(例えば、0.3~2μm)、さらに好ましくは0.5~1.5μm(例えば、0.8~1.2μm)であってもよい。本明細書及び請求の範囲において、前記平均粒径は、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
粒子の形状は、特に限定されず、球状(又は略球状)、楕円体状、多角体形状(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形などが挙げられるが、通常、不定形である場合が多い。また、無機材料は、分散性を向上する点から、表面処理されていてもよく、されていなくてもよい。
イオン液体親和性多孔質層(C)を粒子状の無機材料(又は金属酸化物)を用いて調製すると、粒子間の隙間(空隙)によりイオン液体親和性多孔質層(C)自体の気体透過性を高く調整できるため、積層構造としても気体透過性の低下を有効に抑制できる。また、二酸化炭素分離膜(例えば、二酸化炭素分離膜におけるイオン液体親和性多孔質層(C)側)の表面に触れても、イオン液体親和性多孔質層(C)の剛直性のためか、内包されたイオン液体含有液(A)が滲出し難いため、イオン液体組成物(A)を液体状態のまま安定に保持し易く、かつ二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)表面のべたつきを有効に抑制できるようである。
また、イオン液体親和性多孔質層(C)は、イオン液体組成物(A)に対する濡れ性(又は接触角)を調整するために、慣用の表面処理(例えば、シランカップリング剤による処理など)が施されていてもよい。
イオン液体親和性多孔質層(C)の平均厚みは、例えば、0.01~100μm(例えば、0.03~70μm)の範囲から選択でき、例えば、0.05~50μm(例えば、0.1~30μm)、好ましくは0.5~20μm(例えば、1~15μm)、さらに好ましくは1~10μm(例えば、2~7μm)であってもよい。平均厚みが大きすぎると、二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)の重量が増加するおそれがある。
イオン液体親和性多孔質層(C)の孔径(平均孔径又は平均細孔径)は、例えば、0.001~10μm(例えば、0.01~5μm)であってもよい。孔径が小さすぎると、イオン液体組成物(A)を保持できる量が減少するのみならず、気体透過性が低下するおそれがある。イオン液体親和性多孔質層(C)を無機材料(例えば、金属酸化物粒子など)で形成すると、気体透過性を高く調整し易いようである。
イオン液体親和性多孔質層(C)の空隙率(空孔率又は多孔度)は、例えば、1~90%(例えば、10~80%)の広い範囲から選択してもよく、例えば、5~70%(例えば、10~60%)、好ましくは15~50%(例えば、20~45%)、さらに好ましくは25~40%(例えば、30~35%)であってもよい。空隙率が小さすぎると、イオン液体組成物(A)を保持できる量が減少するのみならず、気体透過性が低下するおそれがある。大きすぎると、イオン液体含有液(A)を安定に保持できなくなるおそれがある。
イオン液体親和性多孔質層(C)の連通孔率は、例えば、50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、実質的に100%)であってもよい。
イオン液体親和性多孔質層(C)のイオン液体組成物(A)に対する接触角は、例えば、90°未満(例えば、0°以上90°未満)、好ましくは85°以下(例えば、15~85°)、さらに好ましくは80°以下(例えば、30~80°)であってもよい。接触角が大きすぎると、イオン液体組成物(A)を保持し難くなるおそれがある。
イオン液体非親和性多孔質層(B)及びイオン液体親和性多孔質層(C)におけるイオン液体組成物(A)に対する接触角の差は、例えば、10°以上(例えば、15~55°)、好ましくは20°以上(例えば、25~50°)、さらに好ましくは30°以上(例えば、30~45°)であってもよい。接触角の差が小さすぎると、イオン液体組成物(A)を安定に保持し難くなるおそれがある。また、接触角の差が大きすぎると、イオン液体組成物(A)の目付け量が少ない場合に、イオン液体親和性多孔質層内部で扁平状(又は面方向)に広がらないおそれがある。
[二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)及びその製造方法]
本発明の二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)は、イオン液体非親和性多孔質層(B)と、イオン液体親和性多孔質層(C)とを備えた積層体(イオン液体未含有積層体)において、イオン液体親和性多孔質層(C)の空隙に、イオン液体組成物(A)を含む液体(又は含浸液)を含浸させる工程(含浸工程)を含んでいてもよい。
含浸液は、前記イオン液体組成物(A)のみで構成されていてもよく、イオン液体組成物(A)と溶媒(又は分散媒)とを混合した混合液(溶液又は分散液)であってもよい。イオン液体組成物(A)の換算膜厚を薄膜化し易い観点からは、含浸液は混合液であるのが好ましい。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「換算膜厚」は、多孔質層が含有するイオン液体組成物(A)を用いて、二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)と同じ面積を有する液膜を形成した場合の膜厚を意味する。
溶媒(又は分散媒)としては、イオン液体組成物(A)よりも揮発性が高い溶媒であるのが好ましく、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなどの低級アルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチルなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの溶媒のうち、通常、水、アルコール類(例えば、メタノールなどのC2-6アルカノールなど)などの水性溶媒(又は水溶性溶媒)が使用されることが多い。含浸液におけるイオン液体組成物(A)の濃度は、例えば、0.001~100重量%、好ましくは0.01~50重量%(例えば、0.05~30重量%)、さらに好ましくは0.1~10重量%(例えば、0.1~8重量%)であってもよい。
含浸液を含浸させる方法は特に制限されず、例えば、含浸液を圧入する方法などであってもよい。詳しくは、イオン液体非親和性多孔質層(B)とイオン液体親和性多孔質層(C)とを備えた積層体(イオン液体未含有積層体)において、イオン液体親和性多孔質層(C)側の積層体表面(又は積層体の最外層)を含浸液と接触させ、反対側(イオン液体非親和性多孔質層(B)側)を減圧する(又は反対側から吸引する)方法により含浸液を含浸してもよい。このような方法により、本発明の二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)を容易に又は効率よく成形できる。なお、含浸液の粘度を適切に調整することで、減圧することなく、イオン液体親和性多孔質層(C)に含浸液を接触させるだけで、含浸液を含浸させることも可能である。
また、含浸液として前記混合液を用いる場合、含浸工程後に溶媒(又は分散媒)を揮発させることにより、二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)を調製してもよい。溶媒(又は分散媒)を除去することにより、イオン液体含有液(A)の換算膜厚を簡便に調整可能であり、薄膜化も容易である。溶媒を揮発させる方法は特に制限されず、溶媒の沸点や蒸気圧に応じて、適宜加熱及び/又は減圧して揮発させればよい。
本発明の二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)において、イオン液体組成物(A)の含有量は、イオン液体親和性多孔質層(C)の内部の空隙100体積部に対して、100体積部を超えるイオン液体組成物(A)を含まないのが好ましい。すなわち、二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)は、イオン液体組成物(A)を含有(又は保持)するイオン液体親和性多孔質層(C)に隣接して、空隙に入り切らないイオン液体組成物(A)を含む第2のイオン液体含有層を有さないのが好ましい。従って、二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)の二酸化炭素透過速度や取り扱い性を向上できる観点から、イオン液体親和性多孔質層(C)は、内部の空隙100体積部に対して、100体積部以下、例えば、0.1~99体積部(例えば、1~90体積部)の範囲から選択でき、例えば、3~80体積部(例えば、5~70体積部)、好ましくは10~50体積部(例えば、15~45体積部)、さらに好ましくは20~40体積部(例えば、25~35体積部)のイオン液体組成物(A)を含んでいてもよい。イオン液体組成物(A)の量が多すぎると、取り扱い性が低下するおそれがある。
本発明の二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)において、イオン液体組成物(A)の換算膜厚は、例えば、0.01~5μm、(例えば、0.05~3μm)、好ましくは0.1~2μm(例えば、0.15~1.5μm)、さらに好ましくは0.2~1μm(例えば、0.2~0.7μm)であってもよい。換算膜厚が大きすぎると、透過速度が低下するおそれがある。
なお、イオン液体非親和性多孔質層(B)と、イオン液体親和性多孔質層(C)とを備えた積層体(イオン液体未含有積層体)は、例えば、イオン液体非親和性多孔質層(B)のいずれか一方の表面に、イオン液体親和性多孔質層(C)を直接又は間接的に積層(又は形成)することにより調製できる。イオン液体親和性多孔質層(C)を積層(又は形成)する方法は、特に制限されず、例えば、圧着、熱融着、接着剤又は粘着剤などによる接着などであってもよい。また、無機材料でイオン液体親和性多孔質層(C)を形成する場合には、慣用の方法、例えば、粉末状の無機材料を焼結する方法などで形成してもよいが、所定の多孔質層を容易に又は効率よく成形でき、取り扱い性も向上できる点から、粒子状(又は粉末状)の無機材料を分散媒に分散した分散液(又はスラリー)を塗布して、塗膜を乾燥する塗布工程を含む方法により形成してもよい。
前記分散媒としては、例えば、前記含浸液の項に例示した溶媒(又は分散媒)と同様のものなどが挙げられる。これらの分散媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの分散媒のうち、通常、水が用いられることが多い。分散媒として水を用いる場合、必要に応じて、イオン液体非親和性多孔質層(B)に対する塗布性を改善するために、イソプロパノールなどのアルコール類を少量(例えば、無機材料100重量部に対して、0.01~10重量部、好ましくは0.1~2重量部)添加してもよい。
また、必要に応じて、結着剤(又はバインダー)[例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩(ナトリウム塩など)、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、メチルセルロースなどの水溶性樹脂;スチレンブタジエンゴムラテックスなどのラテックスなど]を少量(例えば、無機材料100重量部に対して、0.01~10重量部、好ましくは0.1~2重量部)添加してもよい。結着剤は必ずしも必要ではないが、膜厚が大きなイオン液体親和性多孔質層(C)を容易に調製できることが多い。
分散液中の無機材料の濃度は、分散液全体に対して、例えば、0.1~50重量%、好ましくは1~30重量%、さらに好ましくは3~20重量%(例えば、5~15重量%)である。
塗布方法としては、特に制限されず、慣用の方法、例えば、ロールコーター法、エアナイフコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、リバースコーター法、バーコーター法、コンマコーター法、ディップ・スクイズコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、マイクログラビアコーター法、シルクスクリーンコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法が汎用される。なお、必要であれば、分散液(又は塗布液)は複数回に亘り塗布してもよい。
塗布工程では、さらに前記分散液を流延又は塗布した後、分散媒を蒸発させて塗膜を乾燥する。乾燥温度は、通常、分散媒の沸点などに応じて選択でき、例えば、50~150℃、好ましくは80~120℃、さらに好ましくは90~110℃であってもよい。
なお、本発明の二酸化炭素分離膜(又はイオン液体非親和性多孔質層(B)と、イオン液体親和性多孔質層(C)とを備えたイオン液体未含有積層体)は、イオン液体非親和性多孔質層(B)及びイオン液体親和性多孔質層(C)の2層構造であってもよく、さらに、前記支持体層などの他の層(又は第3の層)を含む3層以上の多層構造(例えば、3~5層構造など)であってもよい。第3の層としては、気体が透過可能である限り特に制限されず、例えば、前記支持体層[例えば、金属(ステンレス鋼など)又は樹脂製の網(又はメッシュ)など]、接着剤又は粘着剤層などが挙げられる。これらの第3の層は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。気体透過性の観点から、本発明の二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)は、2~3層構造(特に、2層構造)であるのが好ましい。また、イオン液体組成物(A)を有効に保持又は固定化できる観点から、イオン液体非親和性多孔質層(B)とイオン液体親和性多孔質層(C)とが隣接して形成されているのが好ましい。
このようにして得られる本発明の二酸化炭素分離膜(イオン液体含有積層体)は、気体透過性に優れるため、例えば、農業分野において、植物に施肥するための二酸化炭素分離膜(二酸化炭素濃縮膜)などとして好適に利用できる。本発明の二酸化炭素分離膜は、通常、イオン液体組成物(A)を含有するイオン液体親和性多孔質層(C)側を気体供給側(供給側又は上流側)、反対側(イオン液体非親和性多孔質層(B)側)を透過側(又は下流側)にして使用することが多い。
なお、二酸化炭素透過係数、窒素透過係数及び二酸化炭素選択率は、後述する実施例に記載の方法などにより測定できる。
[二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素濃縮装置]
本発明の二酸化炭素濃縮装置は、前記二酸化炭素分離膜を備えている。二酸化炭素分離膜の形状は特に制限されず、例えば、平膜状であってもよく、平膜を巻回したスパイラル状、中空糸膜状などであってもよい。これらの形状は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。二酸化炭素分離膜は、通常、二酸化炭素分離膜を支持又は固定するための支持材などとともに、膜モジュール(濃縮ユニット又は分離ユニット)を形成することが多い。前記支持材の材質や形状などは、気体の透過を阻害しない限り特に制限されず、二酸化炭素分離膜の形状などに応じて適宜選択される。また、濃縮ユニットは1つの二酸化炭素分離膜を含んでいてもよく、2以上の複数の二酸化炭素分離膜を含んでいてもよい。
本発明の二酸化炭素濃縮装置は、前記濃縮ユニットに加えて、二酸化炭素分離膜に二酸化炭素を含むガス成分(例えば、大気など)を供給するための吸気ユニットをさらに備えていることが多い。吸気ユニットは、濃縮ユニットの上流側(又は気体供給側)及び下流側(透過側)に差圧を発生させることにより、二酸化炭素分離膜に二酸化炭素を含むガス成分を供給できる。吸気ユニットは、前記差圧を形成できる限り特に制限されず、濃縮ユニットの上流側に配設されていてもよく、下流側に配設されていてもよい。具体的には、例えば、濃縮ユニットの上流側に配設されたエアーコンプレッサーや、下流側に配設されたポンプ(例えば、ダイヤフラムポンプなど)などであってもよい。
本発明の二酸化炭素濃縮装置は、前記濃縮ユニットと吸気ユニットとを少なくとも含んでいれば稼働(又は運転)できるため、装置構成(又は設計)を簡略化でき、小型化も容易である。また、前記二酸化炭素濃縮膜の透過速度(二酸化炭素透過速度)が高く、比較的低い差圧であっても有効に又は効率よく二酸化炭素を濃縮(又は富化)できる。そのため、吸気能力が低い小型の吸気ユニットであってもスムーズに(円滑に)稼働できる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。
なお、低分圧の二酸化炭素の分離に焦点を絞って記載するが、実施例は本発明の好適な例を示すものであり、該実施例によって本発明の高分圧の二酸化炭素の分離への適用を何ら制限されるものではない。
[二酸化炭素分離膜の調製方法]
二酸化炭素分離膜(以下、「CO分離膜」と表記する)は、以下の方法で調製した。
(親水化PTFEフィルタをイオン液体親和性多孔質層(C)に用いた分離膜)
基材とする親水化PTFEフィルタ(Merck Millipore製, 平均厚み:30μm)をエタノール、アセトン、超純水で洗浄した後、前記フィルタを、真空乾燥機を用いて70℃で12時間、減圧乾燥した。これに所定量のイオン液体を滴下し、40℃に加熱しながら、真空ポンプで12時間真空引きを行い、イオン液体をフィルタに含浸させた。フィルタの空隙体積の95~100%をイオン液体が占めるよう、フィルタから余分なイオン液体を拭き取ったものをCO分離膜とした。
(アルミナ粒子をイオン液体親和性多孔質層(C)に用いた分離膜)
前記特許文献12([0124]及び[0127]等)に記載の方法に準じて、濃度8~10重量%のアルミナ粒子(和光純薬工業(株)製「α-アルミナ」、平均粒径(カタログ値):約1μm、個数基準の平均粒径:0.94μm;不定形)分散液(アルミナ粒子スラリー)を調製し、イオン液体非親和性多孔質層(B)としてのPE多孔膜(平均厚み:20μm)の上に、得られたアルミナ粒子スラリーを塗布し、100℃で1分間乾燥してアルミナ塗工フィルタ(乾燥後のアルミナ層の平均厚み:1μm)を形成した。なお、個数基準の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、「JSM-6700F」)にて10000倍に拡大した画像を撮影し、任意の20個の粒子の長径を測定し、得られた長径の平均値を算出して求めた。
得られたアルミナ塗工フィルタを用い、前記と同様にしてCO分離膜とした。
(シリカ粒子をイオン液体親和性多孔質層(C)に用いた分離膜)
前記アルミナ粒子の代わりに、シリカ粒子(日本エアロジル社製「Aerosil 50」、平均粒径:0.03μm)を用いた以外は、前記アルミナ塗工フィルタと同様の方法で、シリカ塗工フィルタ(乾燥後のシリカ層の平均厚み:0.3μm、4.3μm)を形成した後、同様の方法でCO分離膜とした。
[二酸化炭素分離膜の評価方法]
前記CO分離膜のCO透過係数及びN透過係数は、図1の装置を用いて決定した。
図中、1はCO/N標準ガスボンベ、2はNガスボンベ、3はHeガスボンベ、4~6はマスフローコントローラ、7はCO分離膜、8は分離膜ホルダー、9はオーブン、10、11は温湿度計、12、14はトラップ、13はチラー、15、16は背圧弁、17、19は石鹸膜流量計、18はガスクロマトグラフ(TCD-GC)を示す。
まず、前記CO分離膜7を、2枚のPTFEフィルタ(Advantec製)で挟み、分離膜ホルダー8にセットした。オーブン9による温調を開始した後、供給側のバイパスに大気圧のCO/N混合ガスを所定の流量で、透過側のバイパスに大気圧の高純度He(99.99995mol%以上)を所定の流量で供給した。バイパスを通過した供給側ガスをガスクロマトグラフ(島津製作所・GC-8A)18で分析し、供給側ガスのCO組成が目的値(0.04mol%に合致していることを確認した。バイパスを通過した透過側ガスを同じ方法で分析し、透過側ガスに含まれるHe以外の成分が検出限界以下であることを確認した。その後、供給側ガス及び透過側ガスを分離膜ホルダー8に供給し、ガス透過試験を開始した。一定時間ごとに透過側ガスの組成を分析し、CO及びNの組成が1時間以上、一定であった場合に定常状態に到達したとみなした。供給側ガス及び透過側ガスをガスクロマトグラフ18で分析し、さらに、前記ガスの流量を石鹸膜流量計17、19(堀場製作所・SF-1U)で測定した。CO組成、N組成、流量から、単位時間当たりにCO分離膜7を透過したCO及びNの流量(cm/s)を決定した。これらの値に分離膜厚み(cm)を乗じ、さらに、分離膜面積(cm)、供給側と透過側のガス分圧差(cmHg)で除することにより、CO透過係数及びN透過係数を得た。実施例及び比較例において、特に断りのない限り、透過係数の単位はBarrer(cm・cm/cm・s・cmHg×1010)で統一した。また、CO選択率はN透過係数に対するCO透過係数の比とした。
[イオン液体の合成]
(合成例1:2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド([HDAH][TfN])の合成)
2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミン(Aldrich製)のメタノール溶液にビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(関東化学製、以下、HTfN)のメタノール溶液(メタノールは和光純薬製)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で一晩撹拌し、次式に示す[HDAH][TfN]を含むメタノール溶液を得た。メタノールを減圧留去し、さらに、50℃で30時間、真空乾燥することで[HDAH][TfN]を得た。
Figure 2023030786000010
(合成例2:2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミニウム メタンスルホネート([HDAH]CHSO)の合成)
前記HTfNに代えて、メタンスルホン酸(東京化成製)を用いた以外は、合成例1と同様にして、次式に示す[HDAH]CHSOを得た。
Figure 2023030786000011
(合成例3:2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミニウム トリフルオロメタンスルホネート([HDAH]CFSO)の合成)
前記HTfNに代えて、トリフルオロメタンスルホン酸(東京化成製)を用いた以外は、合成例1と同様にして、次式に示す[HDAH]CFSOを得た。
Figure 2023030786000012
(合成例4:2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミニウム ナイトレート([HDAH]NO)の合成)
前記HTfNに代えて、硝酸(和光純薬製)を用いた以外は、合成例1と同様にして、次式に示す[HDAH]NOを得た。
Figure 2023030786000013
(合成例5:2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミニウム クロライド([HDAH]Cl)の合成)
前記HTfNのメタノール溶液に代えて、塩酸(和光純薬製)を用いた以外は、合成例1と同様にして、次式に示す[HDAH]Clを得た。
Figure 2023030786000014
(合成例6:2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミニウム アセテート([HDAH][AcO])の合成)
前記HTfNのメタノール溶液に代えて、原料に酢酸(和光純薬製)を用いた以外は、合成例1と同様にして、次式に示す[HDAH][AcO]を得た。
Figure 2023030786000015
(合成例7:1-エチル-3-メチルイミダゾリウム 3-(2-メトキシエトキシ)プロピオネート([emim][1O2OPrO])の合成)
N-エチルイミダゾール(Sigma-Aldrich製)、ジメチルカーボネート(Sigma-Aldrich製)、メタノール(和光純薬製)を120℃で1日かけて反応させ、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム メチルカーボネート([emim]CHOCO)のメタノール溶液を得た。メタノール溶液中の[emim]CHOCOの含有量はNMR(Bruker・Avance400)により決定した。[emim]CHOCOと等量の3-(2-メトキシエトキシ)プロピオネート(広栄化学工業製)を、[emim]CHOCOメタノール溶液にゆっくり滴下した後、室温で1日かけて反応させた。その後、未反応原料を除去するために、減圧留去及びトルエン抽出を行って、粗製[emim][1O2OPrO]を得た。さらに、40℃で1週間の減圧乾燥を行って揮発成分を除去することで、次式に示す[emim][1O2OPrO]を得た。
Figure 2023030786000016
[上記以外のイオン液体]
上記の合成例1~7で得られたイオン液体以外に、以下の市販のイオン液体を用いた。
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテート([emim][AcO]、Iolitec製)
Figure 2023030786000017
[実施例1~5、比較例1]
前記のCO分離膜調製方法に基づき、前記合成例2で得られた[HDAH]CHSOと前記[emim][AcO]を10mol%対90mol%の比率で混合した液を、親水化PTFEフィルタに含浸させてCO分離膜を調製し、実施例1とした。同様に、前記[HDAH]CHSOに代えて、前記合成例3で得られた[HDAH]CFSO、前記合成例4で得られた[HDAH]NO、前記合成例5で得られた[HDAH]Cl、前記合成例6で得られた[HDAH][AcO]、及び前記合成例1で得られた[HDAH][TfN]を用いて、実施例2、3、4、5、及び比較例1を調製した。
実施例1~5及び比較例1のガス透過係数を、CO/N混合ガス(CO組成0.04mol%)を用い、温度40℃、供給側ガス流量400ml/min、透過側ガス流量100~150ml/minで測定した。得られたCO透過係数、N透過係数、及びCO選択率を、表1-1に示す。
Figure 2023030786000018
図2に表1-1の実施例1~5及び比較例1のCO透過係数及びCO選択率をプロットした。図2には、前記非特許文献2の図2(c)に記載された高分子膜の性能上限を実線で示した。
CO選択率がこの実線を上回る領域にある場合、従来の高分子膜よりCO分離性能に優れることを意味している。
また、透過側ガスをHeからArに変えた以外は同様にして、実施例1~4及び比較例1のガス透過係数を測定した。得られたCO透過係数、N透過係数、及びCO選択率を、表1-2に示す。
Figure 2023030786000019
(小括)
表1-1に示すように、実施例1~5のCO分離膜はいずれも、比較例1と比べて、同等もしくは高いCO透過係数と、高いCO選択率を示すことを見出した。イオン液体(I)のアニオンを、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドから、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ナイトレート、クロライド、アセテートに変えることで、CO分離膜のCO透過係数及びCO選択率を改善できる。
また表1-2に示すように、この優れた効果は透過側ガスをHeからArに変更しても得られる。
さらに、図2に示すように、高分子膜の性能上限と比較すると、比較例1のCO分離膜のCO選択率は、同等のCO透過係数を示す高分子膜比で187倍である。一方、実施例1~5のCO分離膜のCO選択率は、同等のCO透過係数を示す高分子膜比で267~447倍である。本発明のイオン液体組成物を用いたCO分離膜が、従来のCO分離膜のみならず、特許文献13に記載のCO分離膜よりも、優れたCO透過選択性を発揮することがわかる。
[実施例6~8、比較例2]
前記のCO分離膜調製方法に基づき、前記[HDAH]CFCOと前記[emim][AcO]を10mol%対90mol%の比率で混合した液を、シリカ塗工フィルタ(シリカ層の平均厚み:4.3μm)に含浸させたCO分離膜を調製し、実施例6とした。同様に、[HDAH]CFCOに代えて、[HDAH][TfN]を混合した液を、該シリカ塗工フィルタに含浸させて、比較例2を調製した。
また、前記のCO分離膜調製方法に基づき、前記[HDAH]Clと前記[emim][AcO]を10mol%対90mol%の比率で混合した液を、シリカ塗工フィルタ(シリカ層の平均厚み:0.3μm)及びアルミナ塗工フィルタ(アルミナ層の平均厚み:1μm)に含浸させたCO分離膜を調製し、実施例7及び実施例8とした。
実施例6~8及び比較例2のガス透過係数を、CO/N混合ガス(0.04mol%)を用い、温度40℃、供給側ガス流量400ml/min、透過側ガス流量100~150ml/minで測定した。実施例6及び比較例2では透過側ガスをArとして、実施例7及び8では透過側ガスをHeとして測定した。得られたCO透過率、N透過率、及びCO選択率を、表2に示す。表2において、ガス透過率の単位はGPU(cm/cm・s・cmHg×10)で表した。
Figure 2023030786000020
(小括)
表2の実施例6及び比較例2より、親水性PTFEフィルタの代わりに、シリカ塗工フィルタを基材として用いた場合でも、同等以上のCO透過係数と高いCO選択率を示すことを見出した。実施例7、8より、他のシリカ塗工フィルタやアルミナ塗工フィルタを用いた場合でもCO分離膜として機能することを明らかにした。
[実施例9~12、比較例3、4]
前記のCO分離膜調製方法に基づき、前記[HDAH][AcO]と前記[emim][AcO]を、[HDAH][AcO]が30、50、70、90mol%となるよう混合した液を、親水化PTFEフィルタに含浸させてCO分離膜を調製し、実施例9、10、11、12とした。同様に、[emim][AcO]のみ、[HDAH][AcO]のみを含浸させたCO分離膜を、それぞれ比較例3、4とした。
実施例9~12及び比較例3、4のガス透過係数を、CO/N混合ガス(0.04mol%)を用い、温度40℃、供給側ガス流量400ml/min、透過側ガス流量40~150ml/minで測定した。得られたCO透過係数、N透過係数、及びCO選択率を、表3に示す。なお、該表には、前記実施例5([HDAH][AcO]組成10mol%)を加えた。
Figure 2023030786000021
(小括)
表3より、[HDAH][AcO]と[emim][AcO]とを混合したイオン液体を用いることで、各イオン液体のみを用いる場合と比較して、高いCO透過係数を示す分離膜が得られる。本発明のイオン液体組成物は、各イオン液体のみを用いた場合よりも高いCO透過選択率を示す、好適な組成範囲が10mol%から90mol%であり、特許文献13に記載の組成範囲(5mol%から40mol%)より広いという特徴を有する。
[実施例13、比較例5]
前記のCO分離膜調製方法に基づき、前記[HDAH][AcO]と前記合成例9で得られた[emim][1O2OPrO]を、[HDAH][AcO]が10mol%となるよう混合した液を、親水化PTFEフィルタに含浸させてCO分離膜を調製し、実施例13とした。同様に、[HDAH][AcO]に代えて、[HDAH][TfN]を含浸させたCO分離膜を、比較例5とした。
実施例13及び比較例5のガス透過係数を、CO/N混合ガス(0.04mol%)を用い、温度40℃、供給側ガス流量400ml/min、透過側ガス流量100ml/minで測定した。得られたCO透過係数、N透過係数、及びCO選択率を、表4に示す。
Figure 2023030786000022
(小括)
表4に示すように、イオン液体(II)を[emim][AcO]に代えて[emim][1O2OPrO]としても、高いCO透過選択率を示す。すなわち、イオン液体(II)のカルボキシレートはアセテートに限定されない。
[総括]
このように、イオン液体(I)のアニオンをビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドから、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ナイトレート、クロライド又はアセテートへ変更することで、大気中と同等の0.04mol%という極めて低いCO濃度においても、CO透過係数が同等以上かつCO選択率が高い分離膜を得ることができる。メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ナイトレート、クロライド又はアセテートを用いた場合、これらのアニオンはアミニウムとCOとの化学反応を阻害せず、化学反応物の熱力学的安定性を維持もしくは高める。そのため、アニオンを変更しても分離膜のCO透過係数を同程度以上になると考えられる。また、本発明におけるイオン液体(I)のアニオンはビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドよりも分子サイズが小さい。そのため、Nの物理的溶解が阻害され、Nの透過係数が低下したと推測される。結果として、高いCO透過係数及び高いCO選択率を示すCO分離膜が得られる。
本発明によれば、0.04kPaというごく希薄な濃度の二酸化炭素を効率良く分離回収することができることから、バイオガス製造設備、バイオマス発電設備、焼却炉、化学プラント、鉄鋼プラント、発電所などから排出される分圧が高い二酸化炭素を分離回収するプロセスに利用できることはいうまでもなく、例えば、大気や、高層ビルや閉鎖作業空間など通常の換気が困難な環境中の空気などに含まれる1kPa以下の低分圧の二酸化炭素を、高速かつ高エネルギー効率に分離回収するためにも利用できる。これにより、未利用の二酸化炭素を例えば、植物や藻類の生長促進などに活用できる。また、換気せずに空間中の二酸化炭素を除去でき、空間の熱エネルギーを空間外へ棄てずに済むため、空調に要するエネルギーを低減できる。
1:CO/N標準ガスボンベ
2:Nガスボンベ
3:Heガスボンベ
4~6:マスフローコントローラ
7:CO分離膜
8:分離膜ホルダ-
9:オーブン
10、11:温湿度計
12、14:トラップ
13:チラー
15、16:背圧弁
17、19:石鹸膜流量計
18:ガスクロマトグラフ(TCD-GC)

Claims (12)

  1. 二酸化炭素分離膜に用いるイオン液体組成物であって、
    イオン液体(I)とイオン液体(II)とを含有し、
    前記イオン液体(I)は、カチオンが、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムであり、アニオンが、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ナイトレート、クロライド、及びアセテートから選ばれる1以上であり、
    前記イオン液体(II)は、カチオンが1級又は2級アミノ基を有さず、アニオンがオキソ酸アニオンである二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
  2. 前記アミニウムが、2-アミノエチルアミニウム、2-(N-ヒドロキシエチルアミノ)エチルアミニウム、3-アミノプロピルアミニウム、3-(N-メチルアミノ)プロピルアミニウム、2-(2-(アミノエチル)アミノ)エチルアミニウム、及び2-(2-(2-(アミノエチル)アミノエチル)アミノ)エチルアミニウムから選ばれる1以上である請求項1に記載の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
  3. 前記オキソ酸アニオンが、カルボキシレート、ホスファート、及びホスホネートから選ばれる1以上である請求項1又は2に記載の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
  4. 前記オキソ酸アニオンが、アセテート、2-(1-メトキシエトシキ)プロピオネート、及びメチルホスホネートから選ばれる1以上である請求項3に記載の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
  5. 前記イオン液体(II)のカチオンが、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、N,N-ジエチル-N-メチル-N-ヘプチルアンモニウム、及びN,N-ジエチル-N-メチル-N-(6-ヒドロキシヘキシル)アンモニウムから選ばれる1以上である請求項3又は4に記載の二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載された二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物を保持したことを特徴とする二酸化炭素分離膜。
  7. 前記二酸化炭素分離膜が、前記二酸化炭素分離膜用イオン液体組成物を空隙に保持したイオン液体親和性多孔質層と、イオン液体非親和性多孔質層とを含む請求項6に記載の二酸化炭素分離膜。
  8. 前記イオン液体親和性多孔質層が、無機材料を含む請求項7に記載の二酸化炭素分離膜。
  9. 前記無機材料が、個数基準で平均粒径0.001~10μmの金属酸化物粒子を含む請求項8に記載の二酸化炭素分離膜。
  10. 前記イオン液体親和性多孔質層の平均厚みが0.01~100μmである請求項7~9のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離膜。
  11. 分圧が1kPa以下の二酸化炭素を分離濃縮するための請求項6~10のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離膜。
  12. 請求項6~11のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素濃縮装置。
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