JP2014014806A - 酸性ガス分離用複合体及びその製造方法並びに酸性ガス分離モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】高い酸性ガス分離能を保持しつつ、酸性ガス分離層のブロッキングの発生を抑えて安定的に製造される酸性ガス分離用複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】炭素数3〜20のアルキル基又はフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物及びシロキサン構造を有する化合物からなる群より選ばれる化合物並びに平均粒子径0.01〜1000μmかつ比重0.5〜1.3g/cmのポリマー粒子から選ばれる少なくとも一種と、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる二酸化炭素キャリアとを含む酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する工程と、長尺状の多孔質支持体上に酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布する工程と、塗布により形成された塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする工程とを有し、多孔質支持体を一定方向に搬送しながら酸性ガス分離層を連続形成し、多孔質支持体上に酸性ガス分離層を有する酸性ガス分離用複合体を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸性ガス分離用複合体及びその製造方法並びに酸性ガス分離モジュールに関する。
近年、混合ガス中の二酸化炭素を選択的に分離する技術が広く検討されている。二酸化炭素の分離技術としては、例えば、地球温暖化対策として、エンジン等の内燃機関から排出される排ガス中の二酸化炭素を回収して濃縮する技術がある。また、燃料電池用等のガスを得る技術として、水蒸気改質により炭化水素を水素と一酸化炭素(CO)に改質し、更に一酸化炭素と水蒸気を反応させて二酸化炭素と水素を生成し、二酸化炭素を選択的に透過する膜を通して二酸化炭素を除くことで、水素が主成分の水素含有ガスを得る技術がある。
二酸化炭素等のガスを選択的に分離するガス分離膜は、大別すると、促進輸送膜と溶解拡散膜とに区分される。溶解拡散膜では、膜に対する分離ガスと分離対象物質の溶解性、及び膜中の拡散性の差を利用して分離を行なう。このとき、膜による分離度合いは、膜の材質及び物性が決まると一義的に決定される。これに対し、促進輸送膜は、膜中にキャリアを含有し、このキャリアによって分離ガスを膜の反対側に輸送する。この場合、キャリアが膜中に含まれていることで、二酸化炭素等の溶解度が飛躍的に増大し輸送が良好に行なえる。
二酸化炭素の促進輸送膜の例として、炭酸セシウム等を水分を含むゲル中に含むゲル層を親水性の多孔質膜に担持させて、CO/H選択性能を有するCO促進輸送膜が開示されており、CO透過型メンブレンリアクターに適用可能であるとされている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4621295号
上記した先行技術のうち、CO/H選択性能を有するCO促進輸送膜では、膜中に存在する炭酸セシウム等のアルカリ金属が水と反応し、OHを放出し、このOHがCOと反応することで、膜中に選択的にCOを取り込むことが可能である。しかしながら、この膜は、潮解性が強く、膜表面が結露しやすいため、ロールツーロール法(Roll-to-roll processing)で連続製膜してロール状に巻き取る過程でブロッキングが起きやすく、ブロッキング部位では膜剥がれが発生しやすいという課題がある。また、このCO促進輸送膜は、分離モジュールを作製する際のハンドリング性に劣る。そのため、従来のCO促進輸送膜は、ロールツーロール法で連続製膜することに対する製造適性に乏しい。
上記のCO促進輸送膜に対して、単に滑材として一般に用いられている界面活性剤やポリマーなどを添加してブロッキングの発生防止を図ろうとすると、界面活性剤等の添加によりブロッキング耐性こそ発現するものの、本来有すべき機能である二酸化炭素の分離効率が損なわれる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、高い酸性ガス分離能を保持しつつ、酸性ガス分離層のブロッキングの発生を抑えて安定的に製造される酸性ガス分離用複合体の製造方法、並びに酸性ガス分離能が高く生産性に優れた酸性ガス分離用複合体及び酸性ガス分離モジュールを提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (1)炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物及び(2)シロキサン構造を有する化合物からなる群より選ばれる化合物並びに(3)平均粒子径が0.01μm〜1000μmでかつ比重が0.5g/cm〜1.3g/cmのポリマー粒子から選ばれる少なくとも一種と、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる二酸化炭素キャリアとを含む酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、長尺状の多孔質支持体上に前記酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布する塗布工程と、前記塗布により形成された塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程と、を有し、多孔質支持体を一定方向に搬送しながら酸性ガス分離層を連続形成し、多孔質支持体上に酸性ガス分離層を有する酸性ガス分離用複合体を製造する酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<2> 前記酸性ガス分離層中における、前記炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物、及び前記シロキサン構造を有する化合物の総含有量が、酸性ガス分離層の全固形分に対して、0.01質量%〜10質量%である前記<1>に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<3> 前記酸性ガス分離層の表面における前記ポリマー粒子の占有面積が、0.1%〜60%である前記<1>又は前記<2>に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<4> 前記炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物は、分子量が60〜2000である前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<5> 前記アルカリ金属塩は、ルビジウム塩及びセシウム塩からなる群より選択される前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<6> 2種の前記アルカリ金属塩を含み、前記2種のうちの一方のアルカリ金属塩はルビジウム塩及びセシウム塩からなる群より選択され、他方のアルカリ金属塩はカリウム塩から選択される前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法である。
<7> 多孔質支持体上に、炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物及びシロキサン構造を有する化合物からなる群より選ばれる化合物、並びに平均粒子径が0.01μm〜1000μmでかつ比重が0.5g/cm〜1.3g/cmのポリマー粒子から選ばれる少なくとも一種と、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる二酸化炭素キャリアとを含む酸性ガス分離層を有する酸性ガス分離用複合体である。
<8> 前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法により製造された酸性ガス分離用複合体、又は前記<7>に記載の酸性ガス分離用複合体を備えた酸性ガス分離モジュールである。
本発明によれば、高い酸性ガス分離能を保持しつつ、酸性ガス分離層のブロッキングの発生を抑えて安定的に製造される酸性ガス分離用複合体の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、酸性ガス分離能が高く生産性に優れた酸性ガス分離用複合体及び酸性ガス分離モジュールが提供される。
本発明においては、長尺状の多孔質支持体に対して連続製膜してロール化する場合に好適であり、この場合に酸性ガス分離層のブロッキングの抑止効果がより奏される。
本発明の実施形態に係る酸性ガス分離用複合体の製造装置の例を示す構成図である。 本発明の実施形態に係る酸性ガス分離モジュールの一例を示す概略構成図である。 図2の酸性ガス分離モジュールの断面を表す斜視図である。
以下、本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法について説明すると共に、本発明の酸性ガス分離用複合体、及びこれを用いた本発明の酸性ガス分離モジュールについても詳述する。
<酸性ガス分離用複合体の製造方法>
本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法は、(1)炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物及び(2)シロキサン構造を有する化合物からなる群より選ばれる化合物並びに(3)平均粒子径が0.01μm〜1000μmでかつ比重が0.5g/cm〜1.3g/cmのポリマー粒子から選ばれる少なくとも一種と、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる二酸化炭素キャリアとを含む酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、長尺状の多孔質支持体上に酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布する塗布工程と、塗布により形成された塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程とを少なくとも有し、多孔質支持体を一定方向に搬送しながら塗布及び乾燥を行ない、酸性ガス分離層が連続形成されるように構成したものである。
本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法は、更に、必要に応じて、塗布膜を冷却する冷却工程などの他の工程を有していてもよい。
従来から、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩などのキャリアを含み、このキャリアによって二酸化炭素を透過する膜が知られている。ところが、このような膜は潮解性が強い場合が多く、膜表面に結露が生じやすく、例えばロールツーロール法(Roll-to-roll processing)で連続製膜しようとするとブロッキングを起こし、ひいては膜剥がれを招く。このようなブロッキングの発生を防ぐため、例えば滑剤として一般に使用される界面活性剤やポリマー成分などを使用すると、ある程度のブロッキング抑止効果が期待できるものの、単に界面活性剤やポリマーなどを含めるのみでは、膜の物質透過性の悪化を招き、膜が本来有すべきガス分離機能が損なわれる。そのため、本発明においては、酸性ガス分離層に特定の化合物又はポリマー粒子を含有し、これらの化合物や粒子を膜表面に偏在させることで、炭酸ガスの分離機能を良好に維持しながら、ブロッキング抑止効果が付与される。ブロッキング抑止により膜剥がれが防止されるので、連続製膜する場合の製造安定性が向上し、ひいては生産性を飛躍的に向上させることができる。
本発明おける「酸性ガス」には、二酸化炭素、硫化水素などを含む気体が含まれる。
以下、本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法を構成する各工程について、具体的に説明する。
−塗布液調製工程−
本発明における塗布液調製工程では、酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する。本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、(A)疎水部として炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水部である親水性基とを有する化合物、及びシロキサン構造を有する化合物からなる群より選ばれる化合物(以下、「特定化合物」ともいう。)、並びに/又は、平均粒子径が0.01μm〜1000μmでかつ比重が0.5g/cm〜1.3g/cmのポリマー粒子と、(B)吸水性ポリマーと、(C)アルカリ金属塩から選ばれる二酸化炭素キャリアとを含んで構成されている。また、この酸性ガス分離層形成用塗布液は、水を含む組成が好ましく、必要に応じて、(D)ゲル化剤等の添加剤などの他の成分を更に含んでいてもよい。
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液の調製は、特定化合物及び/又はポリマー粒子、吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、並びに必要に応じてゲル化剤等の添加剤を、それぞれの適量を水(常温水又は加温水)に添加して充分に攪拌(必要に応じて攪拌しながら加熱)することで溶解を促進させることにより行なえる。このとき、特定化合物及び/又はポリマー粒子、吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、及び必要によりゲル化剤等は、別々に水に添加されてもよいし、予め混ぜ合わせたものを添加してもよい。例えば、ゲル化剤を水に加えて溶解させた後、これに特定化合物及び/又はポリマー粒子、吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリアを徐々に加えて攪拌することで、吸水性ポリマーなどの析出(塩析)を防ぐことができる。
(A)特定化合物及びポリマー粒子
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、(1)疎水部として炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水部である親水性基とを有する化合物、(2)シロキサン構造を有する化合物、(3)平均粒子径が0.01μm〜1000μmでかつ比重が0.5g/cm〜1.3g/cmのポリマー粒子の3つからなる群より選択された一種又は二種以上を含有する。
これらの1種又は二種以上を含有する塗布液を用いて酸性ガス分離層を塗設した場合に、酸性ガス分離層に特定化合物及び/又はポリマー粒子を単に存在させるのではなく、本発明においては、一見成膜しているかのように膜面近傍に偏在させるようにする。このとき、二酸化炭素が透過可能なように偏在させる。このようにすることで、酸性ガス分離性を良好に維持しながら、連続製膜する際のブロッキングの発生が効果的に抑えられる。ひいては、膜剥がれの発生抑止による生産性を向上させることができる。これは、特にロールツーロールで連続製膜する場合に特に有効である。
(特定化合物)
酸性ガス分離層形成用塗布液は、後述のポリマー粒子を含まずに又は含むと共に、炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物、及びシロキサン構造を有する化合物からなる群より選ばれる化合物(特定化合物)を一種又は二種以上含有している。
特定化合物の塗布液中における含有量としては、塗布液の総質量に対して、0.0001〜1質量%が好ましく、0.0003〜0.8質量%がより好ましく、0.001〜0.1質量%が更に好ましい。特定化合物の含有量が0.0001質量%以上であると、ブロッキングの発生抑止の効果により優れる。また、特定化合物の含有量が1質量%以下であると、二酸化炭素等の酸性ガスの分離性が良好に保たれる。
炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物は、塗布により塗膜形成した際の膜表面に該表面を覆うように偏在しやすく、ブロッキングの発生抑止に効果がある。具体的には、アルキル基、フッ化アルキル基を有する界面活性剤は、これを含有する酸性ガス分離層形成用塗布液を調製、塗布、乾燥させて酸性ガス分離層を形成する工程において、疎水性の高いアルキル基又はフルオロアルキル基に起因して化合物が膜面に配向し、その膜面の表面エネルギーを低下させることでブロッキングを効果的に防止する。そのため、化合物がより疎水性の高い、つまり炭素鎖の長いアルキル基又はフルオロアルキル基を有していることが好ましい。
この化合物としては、疎水部と親水部とを有し、該疎水部として炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を含むものを用いることができる。具体的な例として、炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を疎水部に有する界面活性剤が挙げられる。
炭素数が3〜20のアルキル基としては、例えば、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、エイコシルなどの基が挙げられる。中でも、膜表面に偏在させやすい点で、長鎖アルキル基を有していることが好ましく、具体的には、炭素数5〜20のアルキル基がより好ましく、更に好ましくは炭素数6〜20のアルキル基である。中でも、アルキル基として、特にヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、エイコシルを有している場合が好ましい。
炭素数が3〜20のフッ化アルキル基としては、例えば、フルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシルなどの基が挙げられる。中でも、膜表面に偏在させやすい点で、長炭素鎖を持つフルオロアルキル基を有していることが好ましく、具体的には、炭素数4〜20のフッ化アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数5〜20のフッ化アルキル基であり、更に好ましくは炭素数6〜20のフッ化アルキル基である。中でも、フッ化アルキル基として、特にパーフルオロヘキシル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシルを有していることが好ましい。
上記のアルキル基及びフッ化アルキル基のうち、ブロッキング抑止と優れた酸性ガス分離性との両立を高い水準で達成する観点から、フッ化アルキル基よりもフッ素原子を有しないアルキル基の方が好ましい。
親水性基としては、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、アルキレンオキシ基、アミノ基、4級アミノ基などが挙げられる。
炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を有する界面活性剤の例としては、下記の化合物を挙げることができる。
[界面活性剤]
−1.陰イオン系界面活性剤−
(カルボン酸型)
・オクタン酸ナトリウム (C7H15COONa)
・デカン酸ナトリウム (C9H19COONa)
・ラウリン酸ナトリウム (C11H23COONa)
・ミリスチン酸ナトリウム (C13H27COONa)
・パルミチン酸ナトリウム (C15H31COONa)
・ステアリン酸ナトリウム (C17H35COONa、w:Sodium stearate)
・PFOA(C7F15COOH)
・ペルフルオロノナン酸(C8F17COOH、w:Perfluorononanoic acid)
・N−ラウロイルサルコシンナトリウム (C11H23CON(CH3)CH2COONa、w:Sodium lauroyl sarcosinate)
・ココイルグルタミン酸ナトリウム(HOOCCH2CH2CH(NHCOR)COONa〔R:炭素数11〜17のアルキル〕)
・アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩(CH3(CH2)nCH(SO3Na)COOCH3〔n=1〜19〕)
(スルホン酸型)
・1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム(C6H13SO3Na)
・1−オクタンスルホン酸ナトリウム(C8H17SO3Na)
・1−デカンスルホン酸ナトリウム(C10H21SO3Na)
・1−ドデカンスルホン酸ナトリウム(C12H25SO3Na)
・ペルフルオロブタンスルホン酸 (C4F9SO3H、w:Perfluorobutanesulfonic acid)
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(RC6H4SO3Na〔R:炭素数3〜20のアルキル〕)
・トルエンスルホン酸ナトリウム(CH3C6H4SO3Na)
・クメンスルホン酸ナトリウム(C3H7C6H4SO3Na)
・オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C8H17C6H4SO3Na)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS;C12H25C6H4SO3Na)
・ナフタレンスルホン酸ナトリウム(C10H7SO3Na)
・ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム(C10H6(SO3Na)2
・ナフタレントリスルホン酸三ナトリウム(C10H5(SO3Na)3
・ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(C4H9C10H6SO3Na)
・ジ(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム(下記化合物;ラピゾールA−90、日油社製)
(硫酸エステル型)
・ラウリル硫酸ナトリウム(C12H25OSO3Na)
・ミリスチル硫酸ナトリウム(C14H29OSO3Na)
・ラウレス硫酸ナトリウム(C12H25(CH2CH2O)nOSO3Na、w:Sodium laureth sulfate)
・ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸ナトリウム(C8H17C6H4O[CH2CH2O]3SO3Na)
・ラウリル硫酸アンモニウム(C12H25OSO3NH4、w:Ammonium lauryl sulfate)
(リン酸エステル型)
・ラウリルリン酸(C12H25OPO(OH)2
・ラウリルリン酸ナトリウム(C12H25OPOOHONa)
・ラウリルリン酸カリウム(C12H25OPOOHOK)
−2.陽イオン系界面活性剤−
(第4級アンモニウム塩型)
・塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム(C12H25N+(CH3)2CH2C6H5Cl)
・塩化オクチルトリメチルアンモニウム(C8H17N+(CH3)3Cl)
・塩化デシルトリメチルアンモニウム(C10H21N+(CH3)3Cl)
・塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(C12H25N+(CH3)3Cl)
・塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム(C14H29N+(CH3)3Cl)
・塩化セチルトリメチルアンモニウム (CTAC)(C16H33N+(CH3)3Cl)
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(C18H37N+(CH3)3Cl)
・臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム (CTAB)(C16H33N+(CH3)3Br)
・塩化ベンジルトリメチルアンモニウム(C6H5CH2N+(CH3)3Cl)
・塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(C6H5CH2N+(C2H5)3Cl)
・塩化ベンザルコニウム(C6H5CH2N+(CH3)2RCl〔R:炭素数8〜17のアルキル〕)
・臭化ベンザルコニウム(C6H5CH2N+(CH3)2RBr〔R:炭素数8〜17のアルキル〕)
・塩化ベンゼトニウム(C6H5CH2N+(CH3)2(CH2CH2O)2C6H4C8H17Cl)
・塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(RN+R(CH3)2Cl〔R:炭素数3〜20のアルキル〕)
・塩化ジデシルジメチルアンモニウム(C10H21N+C10H21(CH3)2Cl)
・塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(C18H37N+C18H37(CH3)2Cl、w:Dimethyldioctadecylammonium chloride)
(アルキルアミン塩型)
・モノメチルアミン塩酸塩(CH3NH2・HCl)
・ジメチルアミン塩酸塩((CH3)2NH・HCl)
・トリメチルアミン塩酸塩((CH3)3N・HCl)
(ピリジン環を有する物質)
・塩化ブチルピリジニウム(C5H5N+C4H9Cl)
・塩化ドデシルピリジニウム(C5H5N+C12H25Cl)
・塩化セチルピリジニウム(C5H5N+C16H33Cl)
−3.非イオン系界面活性剤−
(エステル型)
・ラウリン酸グリセリン(C11H23COOCH2CH(OH)CH2OH、w:Glyceryl laurate)
・モノステアリン酸グリセリン(C17H35COOCH2 CH(OH)CH2OH)
・ソルビタン脂肪酸エステル(RCOOCH2CH(CHOH)3CH2O〔R:炭素数3〜20のアルキル〕)
・ショ糖脂肪酸エステル(RCOOC12H21O10〔R:炭素数3〜20のアルキル〕)
(エーテル型)
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(RO(CH2CH2O)nH〔R:炭素数3〜20のアルキル〕)
・ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル(C12H25O(CH2CH2O)5H、w:Pentaethylene glycol monododecyl ether)
・オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル(C12H25O(CH2CH2O)8H、w:Octaethylene glycol monododecyl ether)
・ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(RC6H4O(CH2CH2O)nH〔R:炭素数3〜20のアルキル〕)
・ノノキシノール(C9H19C6H4O(CH2CH2O)nH、w:Nonoxynols)
・ノノキシノール−9(C9H19C6H4O(CH2CH2O)9H、w:Nonoxynol-9)
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(H(OCH2CH2)l(OC3H6)m(OCH2CH2)nOH)
(エステルエーテル型)
・ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
・ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル
・ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール
(アルカノールアミド型)
・ラウリン酸ジエタノールアミド(C11H23CON(C2H4OH)2)
・オレイン酸ジエタノールアミド(C17H33CON(C2H4OH)2)
・ステアリン酸ジエタノールアミド(C17H35CON(C2H4OH)2)
・コカミドDEA (CH3(CH2)nCON(C2H4OH)2、w:Cocamide DEA)
(アルキルグリコシド)
・オクチルグルコシド(C8H17C6H11O6
・デシルグルコシド(C10H21C6H11O6、w:Decyl glucoside)
・ラウリルグルコシド(C12H25C6H11O6、w:Lauryl glucoside)
(高級アルコール)
・セタノール(C16H33OH、w:Cetyl alcohol)
・ステアリルアルコール(C18H37OH、w:Stearyl alcohol)
・オレイルアルコール(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)8OH、w:Oleyl alcohol)
−4.両性界面活性剤−
(アルキルベタイン型)
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(C12H25N+(CH3)2CH2COO-
・ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(C18H37N+(CH3)2CH2COO-
・ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン(C12H25N+(CH3)2(CH2)3SO3 -
・オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン(C18H37N+(CH3)2(CH2)3SO3 -
(脂肪酸アミドプロピルベタイン型)
・コカミドプロピルベタイン(C11H23CONH(CH2)3N+(CH3)2CH2COO-、w:Cocamidopropyl betaine)
・コカミドプロピルヒドロキシスルタイン(C11H23CONH(CH2)3N+(CH3)2CH2CHOHCH2SO3 -
(アルキルイミダゾール型)
・2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(RC3H4N2(C2H4OH)CH2COO-〔R:炭素数3〜20のアルキル〕)
(アミノ酸型)
・ラウロイルグルタミン酸ナトリウム(C11H23CON(C2H4COOH)HCHCOONa)
・ラウロイルグルタミン酸カリウム(C11H23CON(C2H4COOH)HCHCOOK)
・ラウロイルメチル-β-アラニン(C11H23CONH(C2H4COOCH3
(アミンオキシド型)
・ラウリルジメチルアミン−N−オキシド(C12H25N+(CH3)2O-
・オレイルジメチルアミン−N−オキシド(C18H37N+(CH3)2O-
炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を有する界面活性剤の分子量としては、60〜2000の範囲が好ましく、80〜1500の範囲がより好ましい。分子量が60以上であると、膜面として均一にブロッキング抑制できる点で有利である。分子量が2000以下であることで、ブロッキングを抑制しつつ、酸性ガス分離性をも確保することができる。
酸性ガス分離層形成用塗布液が「炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を有する界面活性剤」を含有し、該界面活性剤を含む酸性ガス分離層を形成する場合、該界面活性剤の含有量としては、酸性ガス分離層の全固形分に対して、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、更には0.01〜3質量%であることが好ましい。「炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を有する界面活性剤」の含有量が0.01質量%以上であることで、ブロッキングの発生抑止の効果により優れる。また、該界面活性剤の含有量が10質量%以下であると、二酸化炭素等の酸性ガスの分離性が良好に保たれる。
[シロキサン構造を有する化合物]
シロキサン構造を有する化合物は、塗布により塗膜形成した際の膜表面に該表面を覆うように偏在しやすく、ブロッキングの発生抑止に効果がある。シロキサン構造とは、「−Si−O−Si−」で示されるシロキサン骨格を部分構造として有していれば、特に制限はない。
シロキサン構造を有する化合物としては、塗布液の塗布により塗膜形成したときの表面偏析性を高める観点から、側鎖にシロキサン構造を有する構造単位を含む化合物が好ましい。
分子内にシロキサン構造を導入する際に有用なシロキサン化合物は、上市されている市販品より入手することができ、例えば、信越化学工業社製のX−22−173DX、X−22−173BXなどの片末端反応性シリコーンが挙げられる。
また、このような化合物は、反応性末端を有するシロキサンとカチオン重合性基を持つ化合物を反応させることで合成することができる。例えば、チッソ社製のサイラプレーンシリーズFM−0411,同FM−0421,同FM−0425等の片末端水酸基を持つ化合物とエピクロロヒドリンとから合成することや、特開平11−80315号公報に記載の方法にて合成することができる。
シロキサン構造をなす骨格構造としては、下記構造が挙げられる。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
以下、シロキサン構造を有する化合物の具体例を示す。但し、本発明においては、これら化合物に制限されるものではない。
シロキサン構造を有する化合物の分子量としては、GPC法により測定した重量平均分子量で、200〜200000の範囲が好ましく、200〜150000の範囲がより好ましい。分子量が200以上であると、膜面として均一にブロッキング抑止できる点で有利である。分子量が200000以下であることで、ブロッキングを抑制しつつ、酸性ガス分離性をも確保することができる。
重量平均分子量は、下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したものである。
<条件>
・GPC:アライアンス〔ウォーターズ社製〕
・移動相溶媒:トルエン
・標準試料 :標準ポリスチレン
・流速 :1.0ml/min
・カラム温度:40℃
酸性ガス分離層形成用塗布液がシロキサン構造を有する化合物を含有し、シロキサン構造を有する化合物を含む酸性ガス分離層を形成する場合、シロキサン構造を有する化合物の含有量としては、酸性ガス分離層の全固形分に対して、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、更には0.01〜3質量%であることが好ましい。シロキサン構造を有する化合物の含有量が0.01質量%以上であることで、ブロッキングの発生抑止の効果により優れる。また、特定化合物の含有量が10質量%以下であると、二酸化炭素等の酸性ガスの分離性が良好に保たれる。
(ポリマー粒子)
ポリマー粒子としては、例えば、ポリオレフィン(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなど)、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー、シリコーンなどの粒子が好適に挙げられる。中でも、均一にブロッキング抑止できる点で、ポリオレフィンの粒子が好ましい。
ポリマー粒子の平均粒子径は、0.01μm〜1000μmの範囲とする。ポリマー粒子の粒子径が0.01μm未満であると、粒子が密に詰まりすぎるために、塗膜形成したときの膜表面に占める面積を分離性能を下げずに確保することができない。また、ポリマー粒子の平均粒子径が1000μmを超えると、塗膜形成したときの膜表面にポリマーが多く存在し過ぎて、二酸化炭素透過性が低下するとともに、ポリマー粒子が脱落するおそれがある。中でも、ポリマー粒子の平均粒子径としては、0.02μm〜750μmの範囲がより好ましく、更に好ましくは0.03μm〜500μmの範囲であり、特に好ましくは0.1μm〜50μmの範囲である。
ポリマー粒子の粒子径は、大塚電子社製のFPAR1000を用いて測定される値である。
ポリマー粒子の比重は、0.5g/cm〜1.3g/cmの範囲とする。ポリマー粒子の比重が0.5g/cm未満で小さすぎると、膜表面を閉塞しやすく、むしろ二酸化炭素の透過性が損なわれる。また、ポリマー粒子の比重が1.3g/cmを超えると、塗布液中に沈降しやすくなり、塗膜形成したときの膜表面にポリマーが存在し難くなることで、ブロッキング抑止効果が低下する。中でも、ポリマー粒子の比重としては、0.52g/cm〜1.28g/cmの範囲がより好ましく、更に好ましくは0.55g/cm〜1.27g/cmの範囲である。
ポリマー粒子は、例えば、水性媒体中にポリマーが液体状態で分散された乳化物(エマルション)、及び水性媒体中にポリマーが固体状態で分散された分散物(サスペンション)の形態で使用することができる。
ポリマー粒子は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、三井化学工業社製のケミパールw−308、同w−400、同w−100、同wp−100、同A−100などを使用することができる。
酸性ガス分離層形成用塗布液がポリマー粒子を含有する場合、ポリマー粒子の塗布液中における総含有量は、酸性ガス分離層の表面におけるポリマー粒子の占有面積が0.1%〜60%となる量が好ましい。ポリマー粒子による占有面積が0.1%以上であることで、ブロッキングの発生抑止の効果により優れる。また、ポリマー粒子による占有面積が60%以下であると、ブロッキングが抑止しつつも、酸性ガス分離性を良好に保つことができる。ポリマー粒子の占有面積としては、0.5%〜30%であるのがより好ましく、1%〜10%であるのが更に好ましい。
占有面積は、走査型電子顕微鏡(JSM6610、JEOL社製)を用い、単位面積あたりの粒子被覆率を画像解析することにより求められる。
ポリマー粒子を用いて酸性ガス分離層を塗布形成する場合、ポリマー粒子は比重が低いため、ポリマー粒子を含有する塗布液を用いて塗布膜を形成し乾燥する過程において、塗膜表面にポリマー粒子が偏在する。これにより、表面のみに付与するといった特段の処理を行なわなくとも、ポリマー粒子が表面に偏在してブロッキングを防止する。
また、酸性ガス分離層は、ポリマー粒子や上記の特定化合物を含有する第1の塗布液と、ポリマー粒子や特定化合物を含有しない第2の塗布液とをそれぞれ調製し、多孔質支持上に第2の塗布液、第1の塗布液の重層順になるように重層塗布することによって、ポリマー粒子や特定化合物を膜面に偏在させてなる層として形成することができる。
これらの化合物やポリマー粒子は、いずれも分離層を構成する他の成分と相溶しないために、分離層が本来有する分離能を損なうことはない。
(B)吸水性ポリマー
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、吸水性ポリマーの少なくとも一種を含有する。
吸水性ポリマーは、バインダーとして機能し、水分を保持してキャリアによる二酸化炭素等のガスの分離機能を発揮させる。吸水性ポリマーは、水に溶けて塗布液を形成することができるとともに、酸性ガス分離層に高い吸水性(保湿性)を持たせる観点から、吸水性が高いものが好ましい。具体的には、生理食塩液の吸水量が0.5g/g以上である吸水性を有することが好ましく、更には1g/g以上の吸水性を有することがより好ましく、さらには5g/g以上の吸水性を有することが好ましく、さらには10g/g以上の吸水性を有することが特に好ましく、さらには20g/g以上の吸水性を有することが最も好ましい。
吸水性ポリマーとしては、従来公知の親水性高分子を用いることができるが、吸水性、製膜性、強度などの観点から、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸類、ポリエチレンオキサイド類、水溶性セルロース類、デンプン類、アルギン酸類、キチン類、ポリスルホン酸類、ポリヒドロキシメタクリレート類、ポリビニルピロリドン類、ポリNビニルアセトアミド類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレンイミン類、ポリアリルアミン類、ポリビニルアミン類などが好ましい。また、これらの共重合体も、吸水性ポリマーとして好適である。
吸水性ポリマーの中でも、特にポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体が好ましい。ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体は、吸水能が高い上、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きい。ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体におけるポリアクリル酸塩の含有率は、例えば1モル%〜95モル%、好ましくは2モル%〜70モル%、より好ましくは3モル%〜60モル%、特に好ましくは5モル%〜50モル%である。また、ポリアクリル酸は、塩を形成していてもよい。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩のほか、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が挙げられる。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(ナトリウム塩)は、上市されている市販品を用いてもよく、該市販品の例として、クラストマーAP20(商品名、クラレ社製)が挙げられる。
ポリビニルアルコールとしては、PVA117(商品名、クラレ社製)が挙げられる。
また、吸水性ポリマーは、一種単独で用いるほか、二種以上を混合して用いてもよい。
塗布液中の吸水性ポリマーの含有量としては、その種類にもよるが、バインダーとして膜を形成し、酸性ガス分離層が水分を十分保持できるようにする観点から、塗布液全固形分に対して、0.5質量%〜60質量%が好ましく、さらには0.75質量%〜55質量%がより好ましく、更には1質量%〜50質量%が特に好ましい。
(C)二酸化炭素キャリア
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、二酸化炭素キャリアとして、アルカリ金属塩の一種又は二種以上を含有する。二酸化炭素キャリアとは、二酸化炭素の分離において、膜中で二酸化炭素のキャリアとして機能する。
なお、本明細書において、アルカリ金属塩の種類数は、アルカリ金属の種類によって定まるものとし、対イオンが異なっていても異種とは数えないこととする。つまり、炭酸カリウムと水酸化カリウムとを併用しても1種と数えることとなる。
アルカリ金属塩は、二酸化炭素と親和性を有し、かつ水溶性を示すものが好ましく、公知のものを使用可能である。キャリアは、二酸化炭素と親和性を有する物質であり、塩基性を示す各種の水溶性の無機及び有機物質が用いられる。例えば、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩及び/又はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩及び/又はアルカリ金属水酸化物を含む水溶液にアルカリ金属イオンと錯体を形成する多座配位子を添加した錯化合物、アンモニア、アンモニウム塩、各種直鎖状、及び環状のアミン、アミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これら水溶性誘導体も好ましく用いることができる。膜中に長期間保持できるキャリアが有用である観点からは、アミノ酸やベタインなどの蒸発し難いアミン含有化合物を用いることができる。
アルカリ金属塩としては、アルカリ金属炭酸塩が好ましい。
また、アルカリ金属塩は、水に対する溶解度の高い点で、ルビジウム塩、セシウム塩、及びカリウム塩からなる群より選択される塩が好ましく、中でも、ルビジウム炭酸塩及びセシウム炭酸塩がより好ましい。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムが挙げられる。アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムが挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムなどが挙げられる。
塗布液中のアルカリ金属塩の含有量としては、その種類にもよるが、塗布前の塩析を防ぐとともに、分離ガスの分離機能を確実に発揮させるため、塗布液全質量に対して、0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.2質量%〜25質量%がより好ましく、0.3質量%〜20質量%が特に好ましい。
アルカリ金属塩は、ブロッキング抑止の点で、膜中に二種以上含む態様が好ましい。二種以上のアルカリ金属塩を含有する場合、二種のアルカリ金属塩のうちの一方は、ルビジウム塩及びセシウム塩からなる群より選択され、他方はカリウム塩から選ばれることが好ましい。
アルカリ金属塩の含有量を、膜の主成分である吸水性ポリマー及び2種以上のアルカリ金属塩等を含む固形分の合計質量との関係で示すと、2種以上のアルカリ金属塩の合計の質量比率が25質量%以上85質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。この量を上記の範囲とすることで、酸性ガス分離機能を十分に発揮させることができる。
上記のうち、二種のアルカリ金属塩のうちの一方は、吸水性ポリマー及び2種以上のアルカリ金属塩等を含む固形分の合計質量(典型的には乾燥後の酸性ガス分離層の総質量)に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。上限は特にないが、10質量%以下であることが好ましく、7.5質量%以下であることがより好ましい。この量が上記範囲であると、ブロッキングの防止に有利であり、多すぎない範囲であるとハンドリングを良好に保つ上で有利である。
本発明においては、ブロッキングの発生抑止の観点から、2種以上のアルカリ金属塩を用いることが好ましく、2種のアルカリ金属塩の併用が好ましい。アルカリ金属塩の組み合わせとしては、下記の#1〜#3が好ましい。なお、下記表では、アルカリ金属の名称でアルカリ金属塩を示しているが、これはその金属の塩やイオンであってもよい意味である。
2種のアルカリ金属塩を含む場合の両者の比率は、特に制限されないが、二種のアルカリ金属塩のうちの一方100質量部に対して、他方が50質量部以上であるのが好ましく、100質量部以上であるのがより好ましい。上限値としては、100,000質量部以下が好ましく、80,000質量部以下がより好ましい。2種のアルカリ金属塩の両者の含有比率を上記範囲に調整することにより、ブロッキング性とハンドリング性とを高い水準で両立することができる。
(D)他の成分
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液は、上記成分に加え、架橋剤や、界面活性剤などの他の成分を用いて構成されてもよい。
(架橋剤)
吸水性ポリマーの架橋は熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋など従来公知の手法にて実施することができる。本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液(又は二酸化単層分離層)は、架橋剤を含むことが好ましい。特に、吸水性ポリマーとしてポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体を含有し、このポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体と反応して熱架橋し得る官能基を2以上有する架橋剤を含有している態様が好ましい。このような架橋剤の例としては、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、多価アミン等が挙げられる。
(その他の成分)
本発明における酸性ガス分離層形成用塗布液(又は二酸化単層分離層)は、製膜性(塗布性)や酸性ガス分離性に悪影響しない範囲で、特定化合物及び/又はポリマー粒子、吸水性ポリマー、及びアルカリ金属塩等に加え、添加剤などの他の成分を含むことができる。
他の成分の例としては、架橋剤のほか、例えば、上記以外の界面活性剤、触媒、保湿(吸水)剤、補助溶剤、膜強度調整剤、欠陥検出剤が挙げられる。
続いて、本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法において、上記の塗布液調製工程後に行なう塗布工程及び乾燥工程、並びに冷却工程等の他の工程について、図1を参照しながら説明する。
図1は、酸性ガス分離用複合体を製造する製造装置の全体構成を示している。
図1に示されるように、酸性ガス分離用複合体の製造装置110は、長尺状の多孔質支持体112を一定方向に送り出す搬送手段の例である送り出しローラ114と、多孔質支持体112を支持する複数の裏面支持ローラ126と、送り出しローラ114から送り出された支持体112の搬送方向に沿ってその上流側から下流側に順に、支持体112の表面に酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布する塗布装置116と、支持体112上に塗布された塗布膜を非接触状態で冷却してゲル膜を得る冷却装置の例である冷却ユニット118と、支持体112上のゲル膜を非接触状態で乾燥させ、酸性ガス分離層とする乾燥装置の例である乾燥ユニット120と、乾燥ユニット120の支持体搬送方向下流に配置され、支持体112上に酸性ガス分離層が塗設された酸性ガス分離用複合体140を巻き取る搬送手段の例である巻き取りローラ122とを備えている。
送り出しローラ114には、支持体112が巻回される軸芯114Aが配設されており、軸芯114Aが矢印方向に回転することで支持体112が送り出される。そして、支持体112の裏面側が複数の裏面支持ローラ124に巻き掛けられた状態で、支持体112が一定方向に搬送され、塗布装置116、冷却ユニット118、乾燥ユニット120に順次送られるようになっている。これらを経由して製造された酸性ガス分離用複合体140は、巻き取りローラ122に巻き取られる。巻き取りローラ122には、酸性ガス分離用複合体140を巻き取る軸芯122Aが配設されており、図示しないモータにより軸芯122Aを矢印方向に回転させることで、酸性ガス分離用複合体140が所定の速度で軸芯122Aに巻き回されるようになっている。
本発明においては、既述のような酸性ガス分離層形成用塗布液を用い、これを図1に示されるようにロールツーロール法(Roll-to-roll processing)によって多孔質支持体に酸性ガス分離層を連続製膜し、酸性ガス分離用複合体を製造する際のブロッキングが効果的に防止される。そのため、特にロールツーロール法での製造過程で生じやすい膜剥がれによる歩留まりが抑えられる。よって、本発明の製造方法は、酸性ガス分離用複合体の製造適性が高い。
−塗布工程−
本発明における塗布工程では、長尺状の多孔質支持体上に、塗布液調製工程で調製した酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布する。例えば図1に示す製造装置を用い、送り出しロール114から長尺状の多孔質支持体112を送り出し、これを塗布装置116の塗布ダイ136による塗布位置に搬送し、この多孔質支持体112上に塗布液を塗布することで塗布膜が形成される。
塗布装置116は、酸性ガス分離層形成用塗布液が貯留される貯留部116Aと、貯留部116Aに貯留された塗布液が流れる塗布ダイ136とを備えている。塗布ダイ136は、塗布液の流量と、多孔質支持体112との隙間幅を自由に調節可能であり、様々な厚みの支持体に対して様々な厚みで塗布可能である。貯留部116Aには、図示しないが、塗布液の温度を調節するためのヒータ、及び塗布液を攪拌する攪拌装置が配設されている。
塗布工程における塗布液の温度が低下すると、粘度が上昇したり、吸水性ポリマーが析出(塩析)して多孔質支持体への塗布が困難となったり、膜厚バラツキが大きくなるおそれがある。そのため、塗布液を調製後、塗布するまでの間はゲル化や塩析が生じないように保温することが好ましい。塗布工程における塗布液の温度は、組成や濃度に応じてゲル化や塩析が生じないように設定されればよいが、温度が高すぎると塗布液から水が蒸発して組成濃度が変化したり、局所的にゲル化が進行する恐れがあるので、通常は50℃以上であり、60〜85℃程度が好ましい。
塗布装置116は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等が挙げられる。特に、膜厚均一性、塗布量などの観点から、エクストルージョンダイコーターが好ましい。
塗布量は、塗布液の組成、濃度などによるが、単位面積あたりの塗布量が少なすぎると、乾燥工程(又は冷却工程)で膜に孔が形成されたり、酸性ガス分離層としての強度が不充分となるおそれがある。一方、塗布量が多すぎると、膜厚バラツキが大きくなったり、得られる酸性ガス分離層の厚みが大きくなり過ぎて二酸化炭素の透過性が低下するおそれがある。
以上の観点から、塗布量は、乾燥工程を経て得られた酸性ガス分離層の厚みが1μm〜100μm、より好ましくは2μm〜90μm、特に好ましくは3μm〜80μmとなるように調整されるのが好ましい。
(多孔質支持体)
多孔質支持体(以下、単に支持体ともいう。)は、ロールツーロール法で連続製膜する観点から、長尺状のものが用いられる。多孔質支持体の材料については、特に制限されないが、酸性ガス分離層を支持すると共に、良好な二酸化炭素透過性を有する多孔質であるものが好ましい。多孔質支持体には、塗布液の塗布により酸性ガス分離層を所望の形態で形成し得るものが好ましい。
多孔質支持体の材質としては、紙、上質紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙、さらに、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォンアラミド、ポリカーボネート、金属、ガラス、セラミックスなどが好適である。より具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニルサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどの樹脂材料が好適に挙げられる。
中でも、経時安定性の観点から、ポリオレフィン及びそのフッ化物が特に好ましい。
支持体の形態としては織布、不織布、多孔質膜等を採用することができる。一般的には自己支持性が高く、空隙率が高い支持体が好適に使用できる。ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンの延伸多孔膜や、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリルの相分離膜は空隙率が高く、二酸化炭素等の分離ガスの拡散阻害が小さく、強度、製造適性などの観点から好ましい。この中でも特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の延伸膜が好ましい。
これらの支持体を単独に用いることもできるが、補強用の支持体と一体化した複合膜も好適に使用できる。
支持体としては、上述した有機系の材料以外にも、無機系の材料あるいは有機−無機ハイブリッド材料を用いてもよい。無機系の支持体としては、セラミックスを主成分とする多孔質基体が挙げられる。セラミックスを主成分とすることにより、耐熱性、耐食性等に優れ、機械的強度を高めることができる。セラミックスの種類としては特に限定されるものではなく、一般的に使用されるセラミックスのいずれも採用することができる。例えば、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア等が挙げられる。また、2種類以上のセラミックス、又はセラミックスと金属とを複合化する、あるいはセラミックスと有機化合物とを複合化することによって調整してもよい。
多孔質支持体は、厚過ぎると二酸化炭素透過性が低下し、薄過ぎると強度が低下する傾向がある。したがって、支持体の厚みは、30μm〜500μmが好ましく、さらには50μm〜400μmがより好ましく、特に好ましくは50μm〜350μmである。
また、後述するシートを利用した連続工程を採用する場合、Roll−to−Roll法での製造において、支持体の歪みや断裂が発生することのないよう、例えば多孔質支持体の強度は、10N/10mm以上(引張速度10mm/min)であることが好ましい。
−乾燥工程−
本発明における乾燥工程は、塗布工程での塗布により形成された塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とし、酸性ガス分離用複合体を得る。例えば図1に示す製造装置を用いる場合、支持体搬送路に設けられた乾燥ユニット120において、冷却ユニット118によりゲル化された支持体112上のゲル膜を乾燥させるとともに、熱架橋させて酸性ガス分離層を得る。
例えば、乾燥ユニット120に搬送された多孔質支持体112上のゲル膜に温風(乾燥風)を当てて乾燥させると共に、架橋させる。後述する冷却工程後の膜は、ゲル状に固定化されているため、乾燥用の風が直接当たっても崩れずに乾燥する。
乾燥風の風速は、塗布膜(冷却工程を経たときはゲル膜)を迅速に乾燥させることができる共に、塗布膜(又はゲル膜)が崩れない速度、例えば1m/分〜80m/分に設定することが好ましく、さらには2〜70m/分がより好ましく、さらには3〜40m/分が特に好ましい。本実施形態では、風速は30m/分としている。
乾燥風の温度は、多孔質支持体の変形などが生じず、かつ塗布膜(冷却工程を経たときはゲル膜)を迅速に乾燥させる観点から、20℃〜80℃に設定することが好ましく、25℃〜70℃がより好ましく、更には30℃〜60℃が特に好ましい。本実施形態では、乾燥風の温度は約40℃としている。
乾燥工程における乾燥と架橋とは、同時に行なってもよいし、別々に行なってもよい。例えば、ゲル膜に温風を当てて乾燥させた後、赤外線ヒータなどの乾燥手段によって架橋させてもよいし、温風によって乾燥とともに架橋させてもよい。熱架橋は、例えば100〜150℃程度に加熱することによって行うことができる。
本実施形態の乾燥ユニット120は、支持体112が搬入及び搬出されるハウジング120Aと、このハウジング120A内に配置されて支持体112の表面のゲル膜を乾燥させる複数の温風器132及び複数のハロゲンヒータ134とを備えている。温風器132は、支持体112の表面に対して所定の間隔をおいて配置されており、支持体112の表面に温風を吹き付けることによって、支持体112上のゲル膜を乾燥させる。
ハロゲンヒータ134は、支持体112の表面に対して所定の間隔をおいて配置されており、熱によって支持体112上のゲル膜を乾燥させるものである。本実施形態では、温風器132とハロゲンヒータ134が交互に複数配置されており、これらの温風器132とハロゲンヒータ134によって支持体112の表面のゲル膜を乾燥すると共に熱架橋して酸性ガス分離層を得る。本実施形態では、温風器132とハロゲンヒータ134が交互に複数配置されているが、この構成に限定されず、例えば複数の温風器132のみを備えた構成でもよい。
上記のほか、酸性ガス分離用複合体の製造装置では、必要に応じて、乾燥ユニット120よりも多孔質支持体112の搬送方向下流側に、多孔質支持体112の表面に形成された酸性ガス分離層の上にキャリア溶出防止層を形成するための塗布装置及び乾燥装置などを設けてもよい。
−その他の工程−
本発明においては、上記の各工程に加えて、冷却工程などの他の工程が設けられてもよい。
塗布工程と乾燥工程の間には、図1のように、塗布により形成された塗布膜を冷却してゲル膜を得る冷却工程を設けてもよい。この場合、ゲル膜を得る冷却工程の後に乾燥工程が設けられる。乾燥工程は、塗布膜から得たゲル膜を乾燥させて酸性ガス分離層とすることで、酸性ガス分離用複合体を得る。
冷却工程を設ける場合の塗布液は、液膜の厚みを1mm以下として12℃で放置したときに120秒以内でゲル化し、液が重力により落下しないような性質の組成に調製されるのが好ましい。また、冷却工程が設けられる場合、多孔質支持体を一定方向に搬送しながら、上記の塗布工程、冷却工程、及び乾燥工程を順次連続して行なうことによって、酸性ガス分離用複合体の製造適性をより向上させることができる。
冷却工程を設けた場合、得られるゲル膜の厚さは、30μm以上、より好ましくは50μm以上、特に好ましくは100μm以上である。
<酸性ガス分離用複合体>
本発明の酸性ガス分離用複合体は、多孔質支持体と、該多孔質支持体上に設けられ、(1)炭素数が3〜20のアルキル基又はフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物及び(2)シロキサン構造を有する化合物からなる群より選ばれる化合物(特定化合物)並びに(3)平均粒子径が0.01μm〜1000μmでかつ比重が0.5g/cm〜1.3g/cmのポリマー粒子から選ばれる少なくとも一種と、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる二酸化炭素キャリアとを含む酸性ガス分離層とを設けて構成されている。
酸性ガス分離用複合体を構成する酸性ガス分離層の厚みは、5μm〜50μmが好ましく、より好ましくは10μm〜40μmであり、特に好ましくは15μm〜30μmである。厚みが50μm以下であることで、酸性ガス分離性により優れる。厚みが5μm以上であることで、分離膜としての機械的強度を保つことができる。
酸性ガス分離用複合体を構成する多孔質支持体、並びに酸性ガス分離層を構成する特定化合物、吸水性ポリマー、アルカリ金属塩(二酸化炭素キャリア)等の詳細については既述の通りであり、各々の好ましい態様も同様である。
特定化合物の酸性ガス分離層中における含有量としては、全固形分に対して、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.02質量%〜8質量%がより好ましい。特定化合物の含有量が0.01質量%以上であることで、ブロッキングの抑止効果に優れる。また、特定化合物の含有量が10質量%以下であると、ブロッキング抑止と二酸化炭素透過性の向上とを両立する上で好ましい。
また、ポリマー粒子の酸性ガス分離層中における含有量は、ポリマー粒子の酸性ガス分離層の表面における占有面積が既述した範囲となるように調節されていることが好ましい。
吸水性ポリマーの酸性ガス分離層中における含有量としては、全固形分に対して、0.5質量%〜60質量%が好ましく、さらには0.75質量%〜55質量%がより好ましく、更には1質量%〜50質量%がより好ましい。吸水性ポリマーの含有量が0.5質量%以上であることで、分離膜としての強度を確保するのに適している。また、吸水性ポリマーの含有量が60質量%以下であると、分離性能の点で有利である。
また、アルカリ金属塩の酸性ガス分離層中における含有量としては、全固形分に対して、25質量%〜85質量%が好ましく、30質量%〜80質量%がより好ましい。アルカリ金属塩の含有量が25質量%以上であることで、二酸化炭素透過性を良好に維持することができる。また、アルカリ金属塩の含有量が85質量%以下であると、膜強度を保つ点で有利である。
本発明の酸性ガス分離用複合体は、上記の構成に作製されればいずれの方法で製造されてもよいが、既述の本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法によって最も好適に製造される。
<酸性ガス分離モジュール>
本発明の酸性ガス分離モジュールは、既述の本発明の酸性ガス分離用複合体の製造方法により製造された酸性ガス分離用複合体、又は既述の本発明の酸性ガス分離用複合体を設けて構成されている。
酸性ガス分離モジュールは、多孔質支持体と酸性ガス分離層とが積層された本発明の酸性ガス分離用複合体を平膜として設置してもよいし、逆浸透膜モジュールとして知られるスパイラル型や、例えば特開2010−279885公報に記載される形状を有するプリーツ型などに加工して利用することもできる。
以下、本発明の酸性ガス分離層をスパイラル型として組み込んだ酸性ガス分離モジュールを例に挙げて説明する。
図2は、本発明の酸性ガス分離モジュール10の一実施形態を示す、一部切り欠きを設けて示した概略構成図であり、図3は、その断面を表す斜視図である。
スパイラル型の酸性ガス分離モジュール10は、その基本構造として、有孔の中空状中心管12の回りに、酸性ガス分離用複合体の例である酸性ガス分離部材14とこれに隣接して設けられた流路材16とからなる積層体を単数あるいは複数を巻き回して構成される。酸性ガス分離部材14と流路材16とにより形成された二酸化炭素を分離する領域の周辺は、モジュール内を通過する気体などの流体を遮断しうる材料で形成された被覆層18で被覆されている。
酸性ガス分離部材14は、酸性ガス分離層と多孔質支持体とを積層した積層体である本発明の酸性ガス分離用複合体である。
酸性ガス分離モジュール10に使用される流路材16は、供給される流体の乱流(膜面の表面更新)を促進して供給流体中の二酸化炭素の膜透過速度を増加させる機能と、供給側の圧損をできるだけ小さくする機能とが備わっていることが好ましい。
流路材16としては、スペーサーとしての機能を有し、且つ、流体に乱流を生じさせることが好ましいことから、ネット状の流路材16が好ましく用いられる。ネットの形状により流体の流路が変わることから、ネットの単位格子の形状は、目的に応じて、例えば、菱形、平行四辺形などの形状から選択して用いられる。流路材16の材質としては、何ら限定されるものではないが、本発明の酸性ガス分離部材14が100℃以上の温度条件下で使用されることから、耐熱性の材料が好ましく、先に多孔膜の素材として挙げた材料が流路材16の材料として同様に好ましく用いられる。
既述のように、本実施形態では、酸性ガス分離モジュール10は、分離された二酸化炭素を回収するための有孔の中空状中心管12の周辺に、高分子化合物層及び多孔膜の積層体(酸性ガス分離部材)14とネット状流路材16とを巻き付けることで形成された二酸化炭素を分離する領域を備え、その周辺が流体不透過性の被覆層18で被覆されている。
二酸化炭素を含む気体は、酸性ガス分離部材端部20から供給され、前記被覆層18により区画された、本発明の酸性ガス分離部材14を備える二酸化炭素を分離する領域を透過する際に、高分子化合物層14を透過して分離された二酸化炭素が中空状中心管12に集積され、該中空状中心管12に接続された開口部22より回収される。また、酸性ガス分離部材14における多孔質膜の空隙や流路材16の空隙を通過した、二酸化炭素が分離された残余の気体は、酸性ガス分離モジュール10において、二酸化炭素回収用の開口部22が設けされた側の、酸性ガス分離部材の端部24より排出される。
二酸化炭素回収用の中空状中心管12には不活性ガス等から選ばれるキャリアガスが供給されてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1)
クラストマーAP-20(クラレ社製;ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(吸収性ポリマー))2.4質量%、及び25質量%グルタルアルデヒド水溶液(Wako社製;架橋剤)0.01質量%を含む水溶液に、1M塩酸をpH1になるまで添加し、架橋した。その後、これに40質量%炭酸セシウム(稀産金属社製;アルカリ金属塩)水溶液を、炭酸セシウム濃度が6.0質量%になるように添加した。次いで、40質量%炭酸カリウム(Wako社製;アルカリ金属塩)水溶液を、炭酸カリウム濃度が0.61質量%になるように添加した。これに更に、1質量%ラピゾールA−90〔日油社製;下記構造式で表される界面活性剤(ジ(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム、分子量=445;特定化合物)〕を、濃度0.003質量%になるように添加し、昇温した。その後、別に調液しておいた寒天水溶液をこれに加え、塗布液(酸性ガス分離層形成用塗布液)とした。
多孔質支持体としてPTFE/PP不織布(GE社製)を用意し、この不織布の上に得られた塗布液を塗布し、乾燥させることで、酸性ガス分離層として機能する分離膜(1)を作製した。界面活性剤の含有量は、分離膜(1)の全固形分に対して0.05質量%であった。
(実施例2)
実施例1において、1質量%ラピゾールA−90(日油社製;特定化合物)0.003質量%を、1質量%Zonyl 7950(aldrich社製;炭素数3以上のフッ化アルキル基とエステル基を有する界面活性剤(特定化合物))0.003質量%に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、酸性ガス分離層として機能する分離膜(2)を作製した。
(実施例3)
実施例1において、1質量%ラピゾールA−90(日油社製;特定化合物)0.003質量%を、1質量%サーフロンS231(AGCセイミケミカル社製;炭素数3以上のフッ化アルキル基を有する界面活性剤(特定化合物))0.003質量%に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、酸性ガス分離層として機能する分離膜(3)を作製した。
(実施例4)
実施例1において、1質量%ラピゾールA−90(日油社製;特定化合物)0.003質量%を、1質量%スリパックスL(日本化成社製;下記構造で表される界面活性剤、分子量=425(特定化合物))0.003質量%に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、酸性ガス分離層として機能する分離膜(4)を作製した。
(実施例5)
実施例1において、1質量%ラピゾールA−90(日油社製;特定化合物)0.003質量%を、1質量%ケミパールw−308(三井化学(株)製、平均粒子径:7μm、比重:0.97g/cm、真球のポリエチレン粒子(ポリマー粒子))0.003質量%に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、酸性ガス分離層として機能する分離膜(5)を作製した。
作製した分離膜におけるポリエチレン粒子による占有面積(被覆面積)は、8.2%であった。占有面積は、走査型電子顕微鏡(JSM6610、JEOL社製)を用い、単位面積あたりの粒子被覆率を画像解析することにより求めた。
(実施例6)
実施例1において、1質量%ラピゾールA−90(日油社製;特定化合物)0.003質量%を、X−22−170BX(信越化学工業社製;シロキサン構造を有する化合物(特定化合物))0.003質量%に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、酸性ガス分離層として機能する分離膜(6)を作製した。
(実施例7〜8)
実施例1において、1質量%ラピゾールA−90(日油社製;特定化合物)の添加量を、0.003質量%から、0.1(実施例7)、0.01(実施例8)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、酸性ガス分離層として機能する分離膜(7)〜(8)を作製した。界面活性剤の含有量は、分離膜(1)の全固形分に対して、1.4質量%(実施例7)、0.14質量%(実施例8)であった。
(実施例9)
実施例5において、1質量%ケミパールw−308(ポリエチレン粒子;ポリマー粒子)0.003質量%を、1質量%ケミパールwp−100(三井化学社製、平均粒子径:1.0μm、比重:0.9g/cm、ポリプロピレン粒子(ポリマー粒子))0.003質量%に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、酸性ガス分離層として機能する分離膜(9)を作製した。
(比較例1)
クラストマーAP-20(クラレ社製;ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(吸収性ポリマー))2.4質量%、及び25質量%グルタルアルデヒド水溶液(Wako社製;架橋剤)0.01質量%を含む水溶液に、1M塩酸をpH1になるまで添加し、架橋した。その後、これに40質量%炭酸セシウム(稀産金属社製;アルカリ金属塩)水溶液を、炭酸セシウム濃度が6.0質量%になるように添加し、塗布液とした。
多孔質支持体としてPTFE/PP不織布(GE社製)を用意し、この不織布の上に得られた塗布液を塗布し、乾燥させることで、分離膜(10)を作製した。
(比較例2)
実施例5において、1質量%ケミパールw−308(ポリエチレン粒子;ポリマー粒子)0.003質量%を、KE−S50(日本触媒社製、平均粒子径:0.5μm、比重:2.0g/cm、シリカ粒子)0.003質量%に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、酸性ガス分離層として機能する分離膜(11)を作製した。
(評価)
実施例1〜9、比較例1〜2において作製した分離膜を用い、二酸化炭素ガスの分離性能及びブロッキング性能について、以下の評価を行なった。評価結果は、下記表2に示す。
−1.酸性ガス分離性能−
支持体ごと直径47mmのサイズに切り取り、切り取った試料片をPTFEメンブレンフィルターの間に挟み、透過試験サンプルを作製した。
テストガスとしてCO/H=10/90(容積比)の混合ガスを相対湿度70%、流量500ml/分、温度130℃、全圧301.3kPaの条件にて、各透過試験サンプル(有効面積:2.40cm)の一方の側から供給し、他方の側にArガス(流量:90ml/分)をフローさせた。分離膜を透過してきたテストガスを、ガスクロマトグラフで分析し、CO透過速度(P(CO))と分離係数(α)を算出した。初期値を下記表2に示す。
−2.ブロッキング耐性−
各分離膜について、2枚の分離膜をそれぞれの塗布面と支持体面とが接触するように重ね、下記の条件にて放置した後、界面を剥離して塗布面における接着剥離の有無を下記評価基準にしたがって評価した。
<条件>
・放置環境 :温度25℃、相対湿度50%
・放置時の加圧:0.1MPa
・放置時間 :24時間
<評価基準>
A:剥離は認められなかった。
B:クッツキはみられたが、剥離は認められなかった。
C:著しい剥離が認められた。
前記表2に示すように、実施例では、二酸化炭素の分離性を良好に維持したまま、ブロッキングの発生が抑制された。これに対し、特定のアルキル基又はフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物もしくはシロキサン構造を有する化合物、又はポリマー粒子を加えなかった比較例では、分離膜表面が結露ないし湿った状態になり、ブロッキングの発生を抑えることができなかった。
10・・・酸性ガス分離モジュール
12・・・有孔の中空状中心管(中空状中心管)
14・・・酸性ガス分離部材(酸性ガス分離用複合体)
16・・・流路材
18・・・被覆層(流体非透過性の被覆層)
112・・・支持体
116・・・塗布ダイ(塗布装置)
118・・・冷却ユニット(冷却装置)
120・・・乾燥ユニット(乾燥装置)
122・・・巻き取りローラ(搬送手段)
132・・・温風器(乾燥装置)
134・・・ハロゲンヒータ(乾燥装置)
140・・・酸性ガス分離用複合体

Claims (8)

  1. 炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物及びシロキサン構造を有する化合物からなる群より選ばれる化合物並びに平均粒子径が0.01μm〜1000μmでかつ比重が0.5g/cm〜1.3g/cmのポリマー粒子から選ばれる少なくとも一種と、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる二酸化炭素キャリアとを含む酸性ガス分離層形成用塗布液を調製する塗布液調製工程と、
    長尺状の多孔質支持体上に前記酸性ガス分離層形成用塗布液を塗布する塗布工程と、
    前記塗布により形成された塗布膜を乾燥させて酸性ガス分離層とする乾燥工程と、
    を有し、多孔質支持体を一定方向に搬送しながら酸性ガス分離層を連続形成し、多孔質支持体上に酸性ガス分離層を有する酸性ガス分離用複合体を製造する酸性ガス分離用複合体の製造方法。
  2. 前記酸性ガス分離層中における、前記炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物、及び前記シロキサン構造を有する化合物の総含有量が、酸性ガス分離層の全固形分に対して、0.01質量%〜10質量%である請求項1に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法。
  3. 前記酸性ガス分離層の表面における前記ポリマー粒子の占有面積が、0.1%〜60%である請求項1又は請求項2に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法。
  4. 前記炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物は、分子量が60〜2000である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法。
  5. 前記アルカリ金属塩は、ルビジウム塩及びセシウム塩からなる群より選択される請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法。
  6. 2種の前記アルカリ金属塩を含み、前記2種のうちの一方のアルカリ金属塩はルビジウム塩及びセシウム塩からなる群より選択され、他方のアルカリ金属塩はカリウム塩から選択される請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法。
  7. 多孔質支持体上に、炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物及びシロキサン構造を有する化合物からなる群より選ばれる化合物並びに平均粒子径が0.01μm〜1000μmでかつ比重が0.5g/cm〜1.3g/cmのポリマー粒子から選ばれる少なくとも一種と、吸水性ポリマーと、アルカリ金属塩から選ばれる二酸化炭素キャリアとを含む酸性ガス分離層を有する酸性ガス分離用複合体。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の酸性ガス分離用複合体の製造方法により製造された酸性ガス分離用複合体、又は請求項7に記載の酸性ガス分離用複合体を備えた酸性ガス分離モジュール。
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