JP2014014809A - 二酸化炭素分離用複合体の製造方法、二酸化炭素分離用複合体、二酸化炭素分離モジュール、二酸化炭素分離装置、及び二酸化炭素分離システム - Google Patents

二酸化炭素分離用複合体の製造方法、二酸化炭素分離用複合体、二酸化炭素分離モジュール、二酸化炭素分離装置、及び二酸化炭素分離システム Download PDF

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Abstract

【課題】キズがなく、しかも厚みムラがない二酸化炭素分離層を疎水性多孔質支持体上に高い生産性で安定して設けることのできる二酸化炭素分離用複合体の製造方法を提供する
【解決手段】疎水性多孔質支持体(A)上に、親水性ポリマーと二酸化炭素キャリアとを含む分離層(B)と、多糖類又はゼラチンを含むセット層(C)とをこの順に設け、前記分離層(B)と前記セット層(C)とを、塗布する塗布工程を少なくとも含む二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、二酸化炭素分離用複合体の製造方法、二酸化炭素分離用複合体、二酸化炭素分離モジュール、二酸化炭素分離装置、及び二酸化炭素分離システムに関する。
近年、混合ガス中の二酸化炭素を選択的に分離する技術の開発が進んでいる。例えば、地球温暖化対策として排ガス中の二酸化炭素を回収して濃縮する技術や、水蒸気改質により炭化水素を水素と一酸化炭素(CO)に改質し、さらに一酸化炭素と水蒸気を反応させて二酸化炭素と水素を生成させ、二酸化炭素を選択的に透過する膜によって二酸化炭素を排除することで水素を主成分とする燃料電池用等のガスを得る技術が開発されている。
例えば、下記特許文献1には、未架橋のビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体水溶液を、二酸化炭素透過性支持体上へ膜状に塗布した後、加熱して架橋させて水不溶化し、この水不溶化物に二酸化炭素キャリア水溶液を吸収させてゲル化することにより二酸化炭素分離ゲル膜を製造する方法が開示されている。
下記特許文献2には、繰り返し単位中に嵩高い構造部分と親水性官能基とを有する溶媒可溶性の高分子材料で形成された支持膜中に、水あるいはCO親和性物質の水溶液を実質的に均一に保持せしめた含水ゲル状気体分離膜が開示されている。
また、特許文献3には、CO等と親和性を有する物質を含む水性液を保持したハイドロゲルの層を有する気体分離膜が提案され、ハイドロゲルとしてデンプン、寒天等の多糖類、ポリビニルアルコール等の親水性高分子を用いることが開示されている。
特公平7−102310号公報 特開平6−210145号公報 特公平3−63413号公報
上記特許文献1では、二酸化炭素分離ゲル膜を小さい面積(例えば、有効面積9.62cm)で形成することができるが、広い面積の二酸化炭素透過性を有する疎水性多孔質支持体上に二酸化炭素分離ゲル膜をほぼ均一な膜厚で安定して形成することが難しい。また、上記特許文献2及び3でも同様に、含水ゲル状気体分離膜を広い面積でほぼ均一な膜厚で安定して形成することが難しい。
このため、上記特許文献1〜3に記載の発明を、例えば、広い面積を有する帯状の支持体を連続して搬送し、支持体上に二酸化炭素分離ゲル膜又は含水ゲル状気体分離膜を形成する構成に適用しても、二酸化炭素分離ゲル膜又は含水ゲル状気体分離膜をほぼ均一な膜厚で安定して製造することは困難であり、特に、二酸化炭素分離ゲル膜又は含水ゲル状気体分離膜の膜厚を厚くして、得られた分離膜の二酸化炭素分離能力の向上を図ろうとしたときに、製造工程で二酸化炭素分離膜が製造装置の搬送ロール等と擦れてキズが付きやすく、安定して製造することは困難であった。
本発明の課題は、上記した問題を考慮してなされたものであり、キズがなく、しかも厚みムラがない二酸化炭素分離層を疎水性多孔質支持体上に高い生産性で安定して設けることのできる二酸化炭素分離用複合体の製造方法を提供することである。
また、本発明の課題は、前記二酸化炭素分離用複合体の製造方法により得られた、二酸化炭素の分離能力の高い二酸化炭素分離用複合体、前記二酸化炭素分離用複合体を備えるモジュール及び二酸化炭素分離装置を提供することである。
本発明の上記した課題は以下の手段で達成される。
<1> 疎水性多孔質支持体(A)上に、親水性ポリマーと二酸化炭素キャリアとを含む分離層(B)と、多糖類又はゼラチンを含むセット層(C)とをこの順に設け、前記分離層(B)と前記セット層(C)とを、塗布する塗布工程を少なくとも含む二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
<2> 前記分離層(B)と前記セット層(C)とを塗布する塗布工程の後に、10℃以下に冷却して、前記セット層の粘度を100mPa・s以上に上昇させる冷却工程、及び40℃以上で乾燥させる乾燥工程を、この順に含む<1>に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
<3> 前記分離層(B)が、さらに、架橋剤を含む<1>又は<2>に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
<4> 前記親水性ポリマーが、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含むポリマーである<1>〜<3>のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
(一般式(1)中、Aは−(CHn1−COOH、−(CHn1−SOH、−CSOH、−NH、又は−OHを表す。Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は0以上9以下の整数を表す。)
<5> 前記分離層(B)の吸湿率が30%以上80%以下であり、前記セット層(C)の吸湿率が20%以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
<6> 前記セット層(C)の膜厚が、前記分離層(B)の膜厚より小さい<1>〜<5>のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法により製造した二酸化炭素分離用複合体。
<8> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法により製造した二酸化炭素分離用複合体を備える二酸化炭素分離モジュール。
<9> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法により製造した二酸化炭素分離用複合体を備える二酸化炭素分離装置。
<10> <9>に記載の二酸化炭素分離装置を備える二酸化炭素分離システム。
本発明によれば、キズがなく、しかも厚みムラがない二酸化炭素分離層を疎水性多孔質支持体上に高い生産性で安定して設けることのできる二酸化炭素分離用複合体の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、前記二酸化炭素分離用複合体の製造方法により得られた、二酸化炭素の分離能力の高い二酸化炭素分離用複合体、前記二酸化炭素分離用複合体を備えるモジュール及び二酸化炭素分離装置を提供することができる。
特に、本発明の製造方法は、帯状の前記支持体を一定方向に搬送しながら、前記支持体上に二酸化炭素分離膜を高い生産性で安定して二酸化炭素分離用複合体の製造方法を提供することができる。
一実施形態に係る二酸化炭素分離用複合体の製造装置を示す概略図である。 本発明における分離層とセット層とを同時に多層塗布する塗布部の一例の概略図である。 本発明における分離層とセット層とを塗布する塗布部の別の態様例を示す概略図である。 二酸化炭素分離用複合体を示す拡大断面図である。 セット層を形成する組成物の粘度を測定する方法を示す概略図である。
本発明の二酸化炭素分離用複合体(以下、適宜「二酸化炭素分離膜」と称する。)の製造方法は、疎水性多孔質支持体(A)(以下、適宜「支持体」と称する。)上に、親水性ポリマーと二酸化炭素キャリアとを含む分離層(B)を設け、前記分離層(B)の上に、多糖類又はゼラチンを含むセット層(C)を設ける二酸化炭素分離用複合体の製造方法であって、前記分離層(B)と前記セット層(C)とを同時に多層塗布する塗布工程を少なくとも含むことを特徴とする。
以下、図1〜図4を参照しながら、本発明の一実施形態である二酸化炭素分離膜の製造方法を最初に説明し、次いで、支持体(A)、分離層(B)、セット層(C)等の二酸化炭素分離膜を構成する成分について説明する。
本発明者は、二酸化炭素分離用複合体を高効率(高速、低コスト)で生産するためには、帯状の支持体(基材フィルム)を用いたロールトゥロール(Roll−to−Roll、以下、「RtoR」と略記する場合がある。)方式が適していると考えた。RtoRにおける水系塗布を採用する場合、乾燥工程における乾燥用の風によって塗布膜の一部が飛ばされたり、膜厚のバラツキが生じたりして、塗布膜に欠陥を生じることがある。これらの欠陥の発生を抑制するために、分離層を形成する組成物に多糖類やゼラチン等を添加して、乾燥前に分離層の塗布膜をセット(固定化)することが必要である。
しかし、それでも、製造工程の搬送ロール等との擦れによって分離層の表面にキズが生じたり、或いは、二酸化炭素の分離能力向上のために、分離層の膜厚を厚くしようとすると、搬送中に分離層が割れたり、支持体から剥がれるというようなことが起こりやすい。また、疎水性支持体上への塗布のために分離層の膜厚ムラが生じ易い。
そこで、本発明者は、RtoR方式の製造方法においても、キズの発生がなく、膜厚の均一性に優れ、ガス分離特性に優れた二酸化炭素分離用複合体を得ることができる製造方法を見出した。
(製造装置の全体構成)
図1は、本発明に係る二酸化炭素分離膜の製造方法で用いる装置構成の一例を概略的に示している。この装置100は、帯状の支持体12を送り出す送り出しロール10と、支持体12上に分離層を形成する組成物及びセット層を形成する組成物をこの順に塗布するコーター20と、塗布した組成物層をゲル化させる冷却部30と、ゲル膜を乾燥させる乾燥部40、得られた二酸化炭素分離膜52を巻き取る巻取りロール50と、を備えている。また、塗布部20、冷却部30、乾燥部40、巻取りロール50に支持体12を搬送するための搬送ロール62、64、66、68が配置されている。
このような構成を有する装置100を用いることで、RtoR、すなわち、送り出しロール10から支持体12を送り出し、該支持体12を搬送しながら塗布工程、冷却工程、乾燥工程、を順次行い、得られた二酸化炭素分離膜52を巻取りロール50に巻き取ることができ、さらに架橋工程を行うことで優れたガス分離特性を有する二酸化炭素分離膜52を連続的に効率良く製造することができる。なお、架橋工程は、乾燥工程後に得られた分離膜52を巻取りロール50に巻き取る前に行ってもよいし、巻き取った後に行ってもよい。
〔塗布工程〕
本発明における塗布工程は、図2に例示されるような塗布装置を用いて、分離層を形成する組成物とセット層を形成する組成物とが、塗布機のスライド面で同時に多層(図2では重層)を形成し、この重層が支持体と接触して、支持体上に分離層とセット層とが同時に多層塗布される態様が好ましい。
本発明においては、支持体上に、分離層とセット層とが、上記のように支持体上に分離層とセット層とが同時に多層塗布される「同時塗布」以外に、支持体上に分離層を形成する組成物を塗設後、該支持体が冷却工程に搬送されるまでの間に、分離層を塗設された支持体の分離層の上に、セット層を形成する組成物を塗設して、セット層を設ける「逐次塗布」も好ましい。「逐次塗布」においては、支持体に分離層を形成する組成物を塗設した直後に、セット層を形成する組成物を塗設することがより好ましい態様である。
本発明における好ましい同時塗布における塗布工程について、図2(図1の塗布部20の一例の概略図)を用いて説明する。
図2は、本発明に好適な塗布工程に用いる塗布装置を幅方向に垂直な面で切断した断面形状の模式図である。ここで、塗布装置の塗布ヘッド部は、部材11、11a、11bを相互に組み合わせて構成されている。
図2において、第1層目である分離層を形成する組成物の塗布液は、流入口1aより塗布ヘッド部に流入し、キャビティー2aにて幅方向に拡がり、スリット入り口3aiからスリット3aに流入し、薄い流路であるスリット3aを通過することで幅方向に均一になり、スリット出口3aoからスライド面4上、すなわち塗布ヘッドの外部に流出する。
また、第2層目であるセット層を形成する組成物の塗布液も、第1層目と同様に流入口1b、キャビティー2b、スリット入り口3bi、スリット3b、スリット出口3boを経由してスライド面4上に流出する。このスライド面4は重力方向に対して一定の傾斜を有するように設置されているので、薄層となった各塗布液はスライド面4上を流下し、1層目の塗布液の上に2層目の塗布液が乗った状態、すなわち2重層を形成する。
そして、支持体12が搬送ロール62のバックアップを受けて、塗布ヘッド部に近接して、塗布液の層(この図では2層)と接触し、図2の上方向へ塗布液の層を持ち上げ、塗布される。
また、支持体上に分離層を形成する組成物を塗設後、該支持体が冷却工程に搬送されるまでの間に、分離層を塗設された支持体の分離層の上に、セット層を形成する組成物を塗設して、セット層を設ける塗布部の態様は、図3で例示される。
図3においては、まず、第1塗布ヘッド21のスリット部から分離層を形成する組成物層が供給され、支持体12上に分離層42が塗設される。次いで、塗布ヘッド22のスリット部からセット層を形成する組成物が供給され、分離層42上にセット層41が塗布される。支持体上に分離層及びセット層を設けた後に、冷却部30に搬送される。
図3においては、分離層を形成する組成物の塗布とセット層を形成する組成物の塗布とは同一のバックアップロール62であるが、異なるバックアップロールであっても、バックアップロールを有しない塗布方法であってもよい。
このようにして得られた二酸化炭素分離膜は、図4に示すように、支持体12の上に、分離層42とセット層41とがこの順に積層した構成を有する。
なお、支持体上に他の層、例えば下塗り層、その他の中間層を有する態様であっても、分離層とセット層との間に中間層を設ける態様、セット層の上に保護層をさらに設ける態様をも含む。
塗布工程において、塗布液の温度が低下すると、セット層を形成する組成物の粘度が上昇したり、分離層を形成する組成物に含まれる親水性ポリマーが析出(塩析)して支持体への塗布が困難となったり、膜厚のバラツキが大きくなるおそれがある。そのため、各塗布液を調製した後、塗布するまでの間はゲル化や塩析が生じないように保温することが好ましい。塗布工程における各塗布液の温度は、組成や濃度に応じてゲル化や塩析が生じないように決めればよいが、温度が高すぎると各塗布液に含まれる水が多量に蒸発して、組成濃度が変化したり、局所的にゲル化が進行する恐れがあるので、通常は40℃以上であり、40〜85℃の範囲であることが特に好ましい。
本発明における塗布工程に用いられる塗布装置は、図2、図3に限定されず、特開昭63−88080号、特開平2−17971号などの各公報に記載の多層塗布装置を用いてもよい。
塗布の方式としては、上記構成に限定されるものではなく、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等が適宜選択される。特に、膜厚均一性、塗布量などの観点から、エクストルージョンダイコーターが好ましい。
塗布量は、分離層及びセット層を形成する各組成物の組成、濃度などにもよるが、単位面積あたりの各組成物の塗布量が少な過ぎると冷却工程又は乾燥工程で各塗布膜に孔が形成されたり、キズがついたり、さらには二酸化炭素分離膜としての強度が不十分となるおそれがある。一方、各組成物の塗布量が多過ぎると、膜厚のバラツキが大きくなったり、得られる二酸化炭素分離膜における各層の膜厚が大きくなり過ぎて二酸化炭素の透過性が低下するおそれがある。
これらの観点から、冷却工程を経て得られる分離層の膜厚は1μm〜200μmが好ましく、10μm〜150μmがより好ましく、特に好ましくは20μm〜100μmであり、冷却工程を経て得られるセット層の膜厚は0.01μm〜40μmが好ましく、0.1μm〜20μmがより好ましく、特に好ましくは1μm〜10μmである。また、乾燥工程を経て得られる分離層の膜厚は1μm〜200μmが好ましく、10μm〜150μmがより好ましく、特に好ましくは0.01μm〜40μmであり、乾燥工程を経て得られるセット層の膜厚は0.01μm〜40μmが好ましく、0.1μm〜20μmがより好ましく、特に好ましくは1μm〜10μmである。
また、最終的に得られた二酸化炭素分離膜においては、セット層の膜厚が、分離層の膜厚より小さいことがガス透過性と耐傷性の観点から好ましい。具体的には、分離層の膜厚が10μm〜200μmであることが好ましく、10μm〜150μmであることがより好ましく、セット層の膜厚が0.1μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜10μmであることがより好ましい。
〔冷却工程〕
支持体12の上に分離層42とセット層41とを設けたのち、図1の冷却部30に搬送され塗布膜が形成された支持体は冷却される。
冷却工程では、塗布膜が形成された支持体12が直ちに冷却されることで、分離層の上に設けられたセット層が冷却によってゲル化(固定化)し、安定したゲル化したセット層が得られ、引き続き行われる乾燥工程において、分離層を保護する。
冷却工程における冷却温度は、高過ぎるとセット層の固定化に時間がかかって、各塗布層の膜厚均一性が低下するおそれがあり、低すぎるとセット層が凍結し膜質が変化してしまうおそれがある。セット層の厚みをほぼ保たったゲル膜が得られるように、セット層を形成する組成物の成分、濃度(特に多糖類又はゼラチンの種類及び濃度)に応じて決めればよいが、冷却工程における冷却温度は、セット層を迅速にゲル化して、セット層の粘度を100mPa・s以上に上昇させて、セット層を固定化させることが好ましく、このために10℃以下とすることが好ましく、5〜10℃がより好ましい。
また、冷却工程における通過時間は、生産性の向上などの観点から、1〜200秒が好ましく、30〜150秒がより好ましい。本実施形態では、冷却工程における通過時間は約110秒としている。
〔乾燥工程〕
乾燥部40では、冷却工程を経てゲル化されたセット層と分離層とを有する支持体12を乾燥させるとともに、所望により分離層を形成する組成物に含まれる架橋剤と必須成分である親水性ポリマーとの熱架橋による架橋構造を形成し、二酸化炭素分離膜を得る。例えば、乾燥部40に搬送された支持体12の各塗布層に温風を当てて乾燥させるが、同時に分離層を架橋させることが可能である。冷却工程後の塗布膜は表面のセット層がゲル状に固定化されているため、乾燥用の風が直接当たっても崩れずに乾燥する。
乾燥工程における風速は、各塗布膜を迅速に乾燥させることができるともに各塗布膜が崩れない速度、例えば、1m/分〜80m/分に設定することが好ましく、さらには6m/分〜70m/分がより好ましく、さらには10m/分〜40m/分が特に好ましい。本実施形態では、風速は30m/分としている。
風の温度は、支持体の変形などが生じず、かつ、各塗布膜を迅速に乾燥させることができるように40℃以上とすることが好ましく、さらには40〜70℃がより好ましく、さらには40〜60℃が特に好ましい。本実施形態では、風の温度は約50℃としている。
乾燥工程においては、乾燥と架橋とを同時に行ってもよいし、乾燥工程の後に加熱工程をさらに設けてもよい。例えば、塗布膜に温風を当てて乾燥させた後、赤外線ヒータなどの加熱手段によって架橋させてもよいし、温風によって乾燥とともに架橋させてもよい。加熱工程を設ける場合の加熱温度としては、例えば100〜150℃程度に加熱することによって行うことができる。
また、必要に応じて、乾燥部40よりも支持体12の搬送方向下流側に、支持体12の表面に形成されたセット層の上に、さらにキャリア溶出防止層を形成するための塗布装置(図示省略)及び乾燥装置(図示省略)などを設けてもよい。
支持体12の搬送速度は、支持体12の種類や各塗布液の粘度などにもよるが、支持体の搬送速度が高すぎると塗布工程における各塗布膜、即ち、二酸化炭素分離膜の膜厚均一性が低下するおそれがあり、搬送速度が遅過ぎると生産性が低下するほか、冷却工程の前にセット層を形成する組成物(塗布液)の粘度が上昇して各塗布膜の均一性が低下するおそれもある。支持体12の搬送速度は、上記の点も考慮して、5m/min以上が好ましく、10m/min〜200m/minが好ましい。
以上のようにして、本発明の二酸化炭素分離複合体は製造される。
本発明の二酸化炭素分離複合体における分離層の吸湿率としては30%以上80%以下であることが好ましく、30%以上60%以下であることがより好ましい。また、セット層の吸湿率としては20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。この範囲とすることによって、ガス透過性と耐傷性とが良好となる。
本発明における分離層及びセット層の吸湿率の測定は、以下のようにして行う。(1)分離層を形成する組成物、又はセット層を形成する組成物を用いて、分離層単独の膜、又はセット層単独の膜を作製する。(2)分離層単独の膜、又はセット層単独の膜を、60℃の真空オーブンで24時間乾燥後、各層の膜の質量を秤量する。(3)このようにして得られた完全に乾燥した各層の膜を85℃85%RHの雰囲気下で2時間放置し、各層の膜の質量を秤量する。(4)85℃85%RHの雰囲気下で2時間放置する前後の各層の膜の質量から、増加分を算出し、それを放置前の質量で除して吸湿率を得る。
次に本発明の二酸化炭素分離複合体に用いる、疎水性多孔質支持体(A)について説明し、分離層(B)、及びセット層(C)を構成する成分について説明する。
〔疎水性多孔質支持体(A)〕
疎水性多孔質支持体(A)は、二酸化炭素透過性を有し、分離層及びセット層を形成する各組成物を塗布して、分離層及びセット層を支持することができるものであって、100℃〜250℃の温度範囲において、多孔膜の形状を保持しうるものあれば特に限定されない。即ち、多孔膜を100℃〜250℃の温度条件下に2時間保存した後も保存前の形態が維持され、熱収縮或いは熱溶融による目視で確認しうるカールが生じないことを必要とする。
また、本発明において疎水性とは25℃における水の接触角が90°以上であることを指す。
多孔膜の材質としては、紙、上質紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、アラミド、ポリカーボネートなどの樹脂材料、金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料等が挙げられる。樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフッ化ビニリデン等が好適なものとして挙げられる。
また、耐熱性の観点から好ましい材質としては、セラミック、ガラス、金属などの無機材料、100℃以上の耐熱性を有した有機樹脂材料などが挙げられ、高分子量ポリエステル、ポリオレフィン、耐熱性ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、アラミド、ポリカーボネート、金属、ガラス、セラミックスなどが好適に使用できる。より具体的には、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、及び、ポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種の材料を含んで構成されることが好ましい。
より具体的には、ポリフェニルサルファイド、ポリスルホン、及び、セルロース等の材料からなるメンブレンフィルター膜、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、及び、高分子量ポリエチレン等の材料からなる延伸多孔膜、耐熱性ポリイミドナノファイバーの集積体からなる多孔膜などが挙げられ、耐熱性、空隙率、及び二酸化炭素の拡散阻害が小さく、強度、製造適性などが良好であるという観点から、特にポリテトラフルオロエチレンの延伸膜が好ましい。
これらの多孔膜は支持体として単独に用いてもよいが、表面、即ち、分離層と接触する面に疎水性の多孔膜を有するものであれば、補強用の支持体と一体化した複合膜も好適に使用できる。
支持体は厚すぎるとガス透過性が低下し、薄すぎると強度に難がある。そこで支持体の厚さは30μm〜500μmが好ましく、さらには50μm〜300μmがより好ましく、さらには50μm〜200μmが特に好ましい。
〔分離層(B)〕
分離層は、親水性ポリマーと二酸化炭素キャリアとを必須成分として含み、その他添加剤等任意成分を含んでもよい。また、分離層を形成する組成物としては、水を含むことによって上気必須成分を溶解又は乳化して、前記支持体の上に塗布することで分離層を形成することができる。
(親水性ポリマー)
分離層に含まれる親水性ポリマーについて説明する。
本発明の分離層に含まれる親水性ポリマーはバインダーとして機能するものであり、二酸化炭素分離膜として使用するときに水分を保持して二酸化炭素キャリアによる二酸化炭素の分離機能を発揮させる。親水性ポリマーは、水に溶けて分離層を形成する組成物(塗布液)を形成することができるとともに、二酸化炭素分離膜が高い吸水性(保湿性)を有する観点から、吸水性が高いものが好ましく、10倍以上の吸水性を有することが好ましい。
本発明の分離層に含まれる親水性ポリマーとしては、吸水性、製膜性、強度などの観点から、例えば、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸(PVA−PAA)共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルブチラール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N-ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミドが好適であり、特にPVA−PAA共重合が好ましい。PVA−PAA共重合体は、吸水能が高い上に、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きい。PVA−PAA共重合体におけるポリアクリル酸塩の含有率は、例えば5〜95モル%、好ましくは30〜70モル%である。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が挙げられる。
市販されているPVA−PAA共重合体として、例えば、スミカゲルL−5H(住友化学工業社製)が挙げられる。
本発明の分離層に含まれる親水性ポリマーとしては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーであることが、さらに好ましい。
(一般式(1)中、Aは−(CHn1−COOH、−(CHn1−SOH、−CSOH、−NH、又は−OHを表す。Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は0以上9以下の整数を表す。)
親水性ポリマーは、Aが異なる一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含んでいてもよい。
さらに、親水性ポリマーが、前記一般式(1)で表される繰り返し単位と共に、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位を含むポリマーであることが好ましい。
(一般式(2)中、Bは、−(CHn1−CN、又は−COOCHを表す。Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は0以上9以下の整数を表す。)
一般式(1)におけるAとしては、−COOH、−SOH、−NH、−OH、及び−CSOHが好ましく、−COOH、及び−OHがより好ましい。Rとしては、水溶性の観点から水素原子が好ましい。
一般式(2)におけるBとしては、−CN、及び−COOCHが好ましい。Rとしては、水溶性の観点から水素原子が好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位の親水性ポリマーにおける含有量は、1〜99.99質量%であることが好ましく、10〜99.99質量%であることがより好ましい。
また、一般式(2)で表される繰り返し単位の親水性ポリマーにおける含有量は、0.1〜99質量%であることが好ましく、1〜99質量%であることがより好ましい。
一般式(1)で表される繰り返し単位を含む親水性ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、などが挙げられ、一般式(1)で表される繰り返し単位と共に、一般式(2)で表される繰り返し単位を含む親水性ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール−ポリメタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
分離層に含まれる親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体が最も好ましい。
また、親水性ポリマーの重量平均分子量としては、40,000〜200,000であることが好ましく、50,000〜100,000であることがより好ましい。
分離層を形成する組成物(塗布液)中の親水性ポリマーの含有量としては、その種類にもよるが、バインダーとして膜を形成し、二酸化炭素分離膜が水分を十分保持できるようにする観点から、1〜30質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましい。
(二酸化炭素キャリア)
分離層に含まれる二酸化炭素キャリアは、二酸化炭素と親和性を有し、かつ水溶性を示すものであればよく、公知のものを用いることができる。この場合の二酸化炭素キャリアは、二酸化炭素と親和性を有する物質であり、塩基性を示す各種の水溶性の無機及び有機物質が用いられる。例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムを挙げられる。
アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムを挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムなどが挙げられる。
これらの中でもアルカリ金属炭酸塩が好ましく、セシウム、ルビジウムを含む化合物が好ましい。
また、二酸化炭素キャリアは2種以上を混合して使用してもかまわない。
分離層を形成する組成物(塗布液)中の二酸化炭素キャリアの含有量としては、その種類にもよるが、塗布前の塩析を防ぐとともに、二酸化炭素の分離機能を確実に発揮させるため、0.5〜30質量%であることが好ましく、さらに3〜20質量%であることがより好ましく、さらに5〜15質量%であることが特に好ましい。
分離層には、必要によって、親水性ポリマー、二酸化炭素キャリア以外のその他の成分を含むことができる。
その他の成分としては、例えば、後述するセット層に含まれる多糖類又はゼラチンを含んでもよく、また、架橋剤、界面活性剤、触媒、補助溶剤、膜強度調整剤、欠陥検出剤、フィラー等を含んでいてもよい。
(架橋剤)
親水性ポリマーの架橋は熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋など従来公知の手法が実施することができる。本発明における分離層を形成する組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。特に、親水性ポリマーであるポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体と反応し熱架橋し得る官能基を2以上有する架橋剤を含むことが好ましく、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド、多価アミン等が挙げられる。
ここで、上記多価グリシジルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピル、オキシエチエンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソビトール等が挙げられる。
また、上記多価イソシアネートとしては、例えば、2,4−トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、上記多価アジリジンとしては、例えば、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アシリジニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等が挙げられる。
また、上記ハロエポキシ化合物としては、例えば、エピクロルヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等が挙げられる。
また、上記多価アルデヒドとしては、例えば、グルタルアルデヒド、グリオキサール等が挙げられる。
また、上記多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
上記架橋剤のうち、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体の熱架橋剤としては、グルタルアルデヒドが特に好ましい。
また、架橋剤を分離層に含む場合の架橋剤の含有量としては、親水性ポリマーの固形分に対して質量換算で、水分保持性と寿命の観点から、0.0001〜50%が好ましく、0.001〜40%がより好ましい。
(その他の成分)
分離層には任意の成分として界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、疎水部と親水部とを有し、該疎水部として炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を含むものを用いることができる。具体的な例として、炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を疎水部に有する界面活性剤が挙げられる。
炭素数が3〜20のアルキル基としては、例えば、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、エイコシルなどの基が挙げられる。中でも、膜表面に偏在させやすい点で、長鎖アルキル基を有していることが好ましく、具体的には、炭素数5〜20のアルキル基がより好ましく、更に好ましくは炭素数6〜20のアルキル基である。中でも、アルキル基として、特にヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、エイコシルを有している場合が好ましい。
炭素数が3〜20のフッ化アルキル基としては、例えば、フルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシルなどの基が挙げられる。中でも、膜表面に偏在させやすい点で、長炭素鎖を持つフルオロアルキル基を有していることが好ましく、具体的には、炭素数4〜20のフッ化アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数5〜20のフッ化アルキル基であり、更に好ましくは炭素数6〜20のフッ化アルキル基である。中でも、フッ化アルキル基として、特にパーフルオロヘキシル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシルを有していることが好ましい。
上記のアルキル基及びフッ化アルキル基のうち、ブロッキング抑止と優れた二酸化炭素分離性との両立を高い水準で達成する観点から、フッ化アルキル基よりもフッ素原子を有しないアルキル基の方が好ましい。
親水性基としては、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、アルキレンオキシ基、アミノ基、4級アミノ基などが挙げられる。
炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を有する界面活性剤の例としては、下記の化合物を挙げることができる。
−1.陰イオン系界面活性剤−
(カルボン酸型)
・オクタン酸ナトリウム (C15COONa)
・デカン酸ナトリウム (C19COONa)
・ラウリン酸ナトリウム (C1123COONa)
・ミリスチン酸ナトリウム (C1327COONa)
・パルミチン酸ナトリウム (C1531COONa)
・ステアリン酸ナトリウム (C1735COONa、w:Sodium stearate)
・PFOA(C15COOH)
・ペルフルオロノナン酸(C17COOH、w:Perfluorononanoic acid)
・N−ラウロイルサルコシンナトリウム (C1123CON(CH)CHCOONa、w:Sodium lauroyl sarcosinate)
・ココイルグルタミン酸ナトリウム (HOOCCHCHCH(NHCOR)COONa〔R:炭素数11〜17のアルキル基〕)
・アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩 (CH(CHCH(SONa)COOCH〔n=11〜17〕)
(スルホン酸型)
・1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム (C13SONa)
・1−オクタンスルホン酸ナトリウム (C17SONa)
・1−デカンスルホン酸ナトリウム (C1021SONa)
・1−ドデカンスルホン酸ナトリウム (C1225SONa)
・ペルフルオロブタンスルホン酸 (CSOH、w:Perfluorobutanesulfonic acid)
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (RCSONa〔R:炭素数3〜20のアルキル基〕)
・トルエンスルホン酸ナトリウム (CHSONa)
・クメンスルホン酸ナトリウム (CSONa)
・オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム (C17SONa)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (DBS;C1225SONa)
・ナフタレンスルホン酸ナトリウム (C10SONa)
・ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム (C10(SONa)
・ナフタレントリスルホン酸三ナトリウム (C10(SONa)
・ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム (C10SONa)
・ジ(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム (下記化合物;ラピゾールA−90、日油社製)
(硫酸エステル型)
・ラウリル硫酸ナトリウム (C1225OSONa)
・ミリスチル硫酸ナトリウム (C1429OSONa)
・ラウレス硫酸ナトリウム (C1225(CHCHO)OSONa、w:Sodium laureth sulfate)
・ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸ナトリウム (C17O[CHCHO]SONa)
・ラウリル硫酸アンモニウム (C1225OSONH、w:Ammonium lauryl sulfate)
(リン酸エステル型)
・ラウリルリン酸 (C1225OPO(OH)
・ラウリルリン酸ナトリウム (C1225OPOOHONa)
・ラウリルリン酸カリウム (C1225OPOOHOK)
−2.陽イオン系界面活性剤−
(第4級アンモニウム塩型)
・塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム (C1225(CHCHCl)
・塩化オクチルトリメチルアンモニウム (C17(CHCl)
・塩化デシルトリメチルアンモニウム (C1021(CHCl)
・塩化ドデシルトリメチルアンモニウム (C1225(CHCl)
・塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム (C1429(CHCl)
・塩化セチルトリメチルアンモニウム (CTAC)(C1633(CHCl)
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム (C1837(CHCl)
・臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム (CTAB)(C1633(CHBr)
・塩化ベンジルトリメチルアンモニウム (CCH(CHCl)
・塩化ベンジルトリエチルアンモニウム (CCH(CCl)
・塩化ベンザルコニウム (CCH(CHRCl〔R:炭素数8〜17のアルキル基〕)
・臭化ベンザルコニウム (CCH(CHRBr〔R:炭素数8〜17のアルキル基〕)
・塩化ベンゼトニウム (CCH(CH(CHCHO)17Cl)
・塩化ジアルキルジメチルアンモニウム (RNR(CHCl〔R:炭素数3〜20のアルキル基〕)
・塩化ジデシルジメチルアンモニウム (C10211021(CHCl)
・塩化ジステアリルジメチルアンモニウム (C18371837(CHCl、w:Dimethyldioctadecylammonium chloride)
(アルキルアミン塩型)
・モノメチルアミン塩酸塩 (CHNH・HCl)
・ジメチルアミン塩酸塩 ((CHNH・HCl)
・トリメチルアミン塩酸塩 ((CHN・HCl)
(ピリジン環を有する物質)
・塩化ブチルピリジニウム (CCl)
・塩化ドデシルピリジニウム (C1225Cl)
・塩化セチルピリジニウム (C1633Cl)
−3.非イオン系界面活性剤−
(エステル型)
・ラウリン酸グリセリン (C1123COOCHCH(OH)CHOH、w:Glyceryl laurate)
・モノステアリン酸グリセリン (C1735COOCH CH(OH)CHOH)
・ソルビタン脂肪酸エステル (RCOOCHCH(CHOH)CHO)
・ショ糖脂肪酸エステル (RCOOC122110〔R:炭素数3〜20のアルキル基〕)
(エーテル型)
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル (RO(CHCHO)H〔R:炭素数3〜20のアルキル基〕)
・ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル (C1225O(CHCHO)H、w:Pentaethylene glycol monododecyl ether)
・オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル (C1225O(CHCHO)H、w:Octaethylene glycol monododecyl ether)
・ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル (RCO(CHCHO)H〔R:炭素数3〜20のアルキル基〕)
・ノノキシノール (C19O(CHCHO)nH、w:Nonoxynols)
・ノノキシノール−9 (C19O(CHCHO)H、w:Nonoxynol−9)
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール (H(OCHCH(OC(OCHCHOH)
(エステルエーテル型)
・ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
・ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル
・ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール
(アルカノールアミド型)
・ラウリン酸ジエタノールアミド (C1123CON(COH)
・オレイン酸ジエタノールアミド (C1733CON(COH)
・ステアリン酸ジエタノールアミド (C1735CON(COH)
・コカミドDEA (CH(CHCON(COH)、w:Cocamide DEA)
(アルキルグリコシド)
・オクチルグルコシド (C1711
・デシルグルコシド (C102111、w:Decyl glucoside)
・ラウリルグルコシド (C122511、w:Lauryl glucoside)
(高級アルコール)
・セタノール (C1633OH、w:Cetyl alcohol)
・ステアリルアルコール (C1837OH、w:Stearyl alcohol)
・オレイルアルコール (CH(CHCH=CH(CHOH、w:Oleyl alcohol)
−4.両性界面活性剤−
(アルキルベタイン型)
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン (C1225(CHCHCOO
・ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン (C1837(CHCHCOO
・ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン (C1225(CH(CHSO
・オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン (C1837(CH(CHSO
(脂肪酸アミドプロピルベタイン型)
・コカミドプロピルベタイン (C1123CONH(CH(CHCHCOO、w:Cocamidopropyl betaine)
・コカミドプロピルヒドロキシスルタイン (C1123CONH(CH(CHCHCHOHCHSO
(アルキルイミダゾール型)
・2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン (RC(COH)CHCOO
(アミノ酸型)
・ラウロイルグルタミン酸ナトリウム (C1123CON(CCOOH)HCHCOONa)
・ラウロイルグルタミン酸カリウム (C1123CON(CCOOH)HCHCOOK)
・ラウロイルメチル−β−アラニン (C1123CONH(CCOOCH
(アミンオキシド型)
・ラウリルジメチルアミン−N−オキシド (C1225(CH
・オレイルジメチルアミン−N−オキシド (C1837(CH
炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を有する界面活性剤の分子量としては、60〜2000の範囲が好ましく、80〜1500の範囲がより好ましい。分子量が60以上であると、膜面として均一にブロッキングできる点で有利である。分子量が2000以下であることで、ブロッキングを抑制しつつ、二酸化炭素分離性をも向上することができる。
炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のフッ化アルキル基を有する界面活性剤を用いる場合、該界面活性剤の塗布液中における含有量としては、塗布液の総質量に対して、0.0001〜1質量%が好ましく、0.0003〜0.8質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量が0.0001質量%以上であると、ブロッキングの発生抑止の効果により優れる。また、界面活性剤の含有量が1質量%以下であると、二酸化炭素の分離性が良好に保たれる。
分離層を形成する組成物(塗布液)の調製は、前記した親水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、さらに必要によってゲル化剤、その他の添加剤を、それぞれ適量で水(常温水又は加温水)に添加して十分攪拌して行い、必要に応じて攪拌しながら加熱することで溶解を促進させる。なお、親水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、及びその他の成分を別々に水に添加してもよいし、予め混ぜ合わせたものを添加してもよい。例えば、ゲル化剤を水に加えて溶解させた後、これに親水性ポリマー、二酸化炭素キャリアを徐々に加えて攪拌することで親水性ポリマーやゲル化剤の析出(塩析)を効果的に防ぐことができる。
〔セット層(C)〕
セット層は、多糖類又はゼラチンを含む。さらに必要によって、セット層は、界面活性剤、触媒、補助溶剤、膜強度調整剤、欠陥検出剤、フィラー等を含んでいてもよい。
(多糖類、ゼラチン)
セット層に含まれる多糖類又はゼラチンとしては、分離層と共にセット層を形成する組成物を支持体上に塗布して形成した塗布膜を冷却することにより、分離層とセット層の膜厚均一性を良好にセット(固定化)できるものを使用する。
具体的には、セット層を形成する組成物は、多糖類又はゼラチンと、水とを含む組成物(塗布液)を調製し、図5に示すようにステンレス製の容器70(内径4cm、高さ12cm)内に静かに注いで粘度計円筒(ローター)が十分塗布液に浸るようにする。そして、塗布液76(100g、出発温度:60℃)を入れた容器の周囲を0℃氷水72(内径10cm、高さ12cmの500mlディスポーザブルカップを使用、氷水の水位はステンレス円筒に対して約11cm)で冷却しながらB型粘度計74(テックジャム社製、BL2 1〜100,000mPa・s/KN3312481)を動作させ、30秒ごとに値を読み取り、JIS Z8803に準じて組成物(塗布液)の粘度を測定する。このとき、冷却開始後、2000秒以内に組成物(塗布液)の粘度が1000mPa・s以上になる多糖類を含むことが好ましく、さらには冷却開始後1000秒以内に組成物(塗布液)の粘度が1000mPa・s以上になることがより好ましく、さらには冷却開始後700秒以内に組成物(塗布液)の粘度が1000mPa・s以上になることが最も好ましい。なお、図5において78は氷を表す。
ただし、調製した塗布液が必要以上に高粘度になってしまうと塗布し難くなり、膜厚均一性が低下するおそれがある。そのため、上記方法によって塗布液の粘度を測定したときに、冷却開始直後は300mPa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは200mPa・s以下であることがより好ましく、さらには150mPa・s以下であることが最も好ましい。
本発明におけるセット層に使用できる多糖類としては、デンプン類、セルロース類、アガロース、キサンタンガム、グアーガム、グルコマンナン、カードラン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、ローカストビーンガム、アルギン酸類、ヒアルロン酸類などを用いることができるが、製膜性、入手容易性、コスト、膜強度などの点から寒天が好ましく、市販品として、伊那寒天UP−37、UM−11S、SY−8、ZY−4、ZY−6(以上、伊那食品工業社製)、Agarose H、Agarose S(以上、ニッポンジーン社製)などが挙げられる。
本発明のセット層は多糖類又はゼラチンを含むが、1種の多糖類を単独で、或いはゼラチン単独で含んでもよく、或いは1種以上の多糖類とゼラチンとを含んでいてもよい。また、多糖類は複数を混合して用いてもよい。
多糖類の中には、混合することでゲル化能(固定化能)の上がるものが知られており、ゲル化速度やゲル化能力、ゲル化温度の調整のために混合して用いることができる。
また本発明の分離層には、多糖類、ゼラチンを含んでいてもよく、その場合セット層に含まれる多糖類やゼラチンと同種のものでも、異種のものでもよい。
セット層を形成する組成物(塗布液)中の多糖類又はゼラチンの合計含有量としては、その種類にもよるが、多糖類又はゼラチンの合計含有量が多過ぎると塗布液が短時間で高粘度となって塗布し難くなる場合があり、塗布欠陥が発生する可能性がある。また、膜厚均一性の低下を抑制する観点から、10質量%以下が好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましく、さらには0.3〜5質量%であることが最も好ましい。
(その他の成分)
セット層を形成する組成物には、前記分離層の項で述べた界面活性剤を添加してもよい。
このようにして得られた二酸化炭素分離用複合体は、二酸化炭素分離モジュールを構成し、二酸化炭素分離装置に用いられ、二酸化炭素分離システムを構成する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔実施例1〕
0.05μm孔径の多孔質である疎水性支持体 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(GEエナジー社:QL217EXPG)上に、6%の炭酸セシウムと2.5%のPVA−PAA共重合体(クラレ:クラストマーAP)及び0.025%のグルタルアルデヒド(和光純薬社製)を過熱攪拌した溶液A(分離層を形成する組成物)と、寒天(伊那寒天:UP37)1%を溶解させた溶液B(セット層を形成する組成物)とを、支持体、溶液Aの層(分離層)、溶液Bの層(セット層)となるように、同時に図2に示す塗布装置で塗布した。塗布後、10℃で5分間冷却し、その後50℃〜60℃の範囲で20分間乾燥して、膜厚5μmのセット層と膜厚30μmの分離層とを支持体上に有する二酸化炭素分離膜1(以下、単に「分離膜1」などのように称する。)を形成した。
〔実施例2〕
実施例1における寒天(伊那寒天:UP37)をκ−カラギーナン(マリン・サイエンス社製:KK−9)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜2を作製した。
〔実施例3〕
実施例1における寒天(伊那寒天:UP37)をλ−カラギーナン(マリン・サイエンス社製:GS)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜3を作製した。
〔実施例4〕
実施例1における寒天(伊那寒天:UP37)をジェランガム(三晶社製:ケルコゲルAFT)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜4を作製した。
〔実施例5〕
実施例1における寒天(伊那寒天:UP37)をデンプン(松谷化学工業:ヒドロキシプロピルデンプン)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜5を作製した。
〔実施例6〕
実施例1における寒天(伊那寒天:UP37)をグリコーゲン(岩瀬コスファ:フィトグリコーゲン)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜6を作製した。
〔実施例7〕
実施例1における寒天(伊那寒天:UP37)をアガロース(カナエテクノス:アクア-S)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜7を作製した。
〔実施例8〕
実施例1における寒天(伊那寒天:UP37)をペクチン(ユニテックフーズ:ペクチン)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜8を作製した。
〔実施例9〕
実施例1における寒天(伊那寒天:UP37)をアルカリ処理ゼラチンに変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜9を作製した。
〔実施例10〕
実施例1におけるグルタルアルデヒド(和光純薬)をエポキシ架橋剤(ナガセ:Ex−810)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜10を作製した。
〔実施例11〕
実施例1におけるセット層の膜厚を5μmから1μmに変更した以外は、実施例1と全く同様の方法により分離膜11を作製した。
〔実施例12〕
実施例1におけるセット層の膜厚を5μmから10μmに変更した以外は、実施例1と全く同様の方法により分離膜12を作製した。
〔実施例13〕
実施例1におけるPVA−PAA共重合体をポリビニルアルコール(PVA クラレ:ポバール117)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜13を作製した。
〔実施例14〕
実施例1におけるPVA−PAA共重合体をポリアクリルアミド(PAAm ニットーボー日東紡メディカル:PAA−25)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜14を作製した。
〔実施例15〕
実施例1におけるPVA−PAA共重合体をポリビニルスルホン酸(和光純薬)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により分離膜15を作製した。
〔実施例16〕
実施例1におけるセット層の膜厚を5μmから40μmに変更した以外は、実施例1と全く同様の方法により分離膜16を作製した。
〔実施例17〕
実施例1におけるセット層の膜厚を5μmから0.1μmに変更した以外は、実施例1と全く同様の方法により分離膜17を作製した。
〔実施例18〕
実施例1において、図3の塗布方法を用いて、分離層を支持体に塗布した後、1秒後にセット層を塗布する方法に変更し、実施例1と同様の冷却・乾燥を施して、分離膜18を作製した。
〔実施例19〕
実施例1において、冷却温度を10℃から20℃に変更した以外は、実施例1と全く同じ方法により分離膜19を作製した。
〔実施例20〕
実施例1において、グルタルアルデヒドを使用しなかった以外は、実施例1と同じ方法により分離膜20を作製した。
〔実施例21〕
実施例1において、冷却温度を10℃から5℃に変更した以外は、実施例1と同じ方法により分離膜21を作製した。
〔実施例22〕
実施例1において、乾燥温度を40℃から50℃に変更した以外は、実施例1と同じ方法により分離膜22を作製した。
〔実施例23〕
実施例1において、乾燥温度を40℃から60℃に変更した以外は、実施例1と同じ方法により分離膜23を作製した。
〔実施例24〕
実施例1において、セット層の吸湿率が20%となるように、吸湿剤である炭酸セシウム塩を寒天の固形分に対して0.01%加えた以外は、実施例1と全く同じ方法により分離膜24を作製した。
〔実施例25〕
実施例1において、セット層の吸湿率が30%となるように、吸湿剤である炭酸セシウム塩を寒天の固形分に対して0.02%を加えた以外は、実施例1と全く同じ方法により分離膜25を作製した。
〔比較例1〕
実施例1において、10℃の冷却プロセスを入れなかったこと以外は、実施例1と全く同様の方法により分離膜26を作製した。
〔比較例2〕
実施例1で、溶液Aを、溶液Aに寒天(伊那寒天:UP37)2.5%(PVA−PAA に対する量)を加えた溶液に変更した以外は、実施例1と全く同様の方法により分離膜27を作製した。
〔比較例3〕
実施例1において、多孔質疎水性支持体(GEエナジー社:QL217EXPG)を親水性支持体(ゴアテックス社:SMO−0.05)に変更した以外は、実施例1と全く同様の方法により分離膜28を作製した。
〔比較例4〕
実施例4において、多孔質疎水性支持体(GEエナジー社:QL217EXPG)を親水性支持体(ゴアテックス社:SMO−0.05)に変更した以外は、実施例4と全く同様の方法で分離膜29を作製した。
<吸湿率の測定>
実施例1〜25及び比較例1〜4で得られた各分離用複合体を用いて、最表面であるセット層(比較例1〜4では分離層)の吸湿率を測定した。また、実施例1〜25において、セット層を設けないで、分離層だけを支持体上に設けた分離用複合体を別途作製して、最表面である分離層の吸湿率を以下の方法で測定した。結果は表1に示す。
吸湿率の測定方法:
支持体上に分離層だけを設け、支持体から分離層を剥がした分離層の膜を60℃の真空オーブンで24時間乾燥後、直ぐに質量(W0)を測定した。その後、直ちに85℃85%RHの高温高湿槽中に入れて2時間放置後、高温高湿槽から取り出した直後の質量(W1)を測定した。このときの質量変化量(W1−W0)をW0で除して、吸湿率を測定し、分離層の膜の吸湿性を評価した。
セット層の吸湿率も、同様に、支持体上にセット層だけを設け、支持体からセット層を剥がしたセット層の膜を用いて、同様に吸湿率を測定した。
セット層の粘度測定方法:
セット層の粘度は、レオメーター(R/S Plus レオメーター:Brookfield社)を用いて一定せん断速度(1000sec−1)の条件下で測定を行った。
<評価>
実施例1〜25及び比較例1〜4で得られた各分離用複合体を用いて、以下のような評価方法により、各複合体の塗布ムラ、初期の分離係数α、500時間後の分離係数αを評価し、これらの結果を基に総合評価を行った。
(塗布ムラ)
塗布ムラの測定は膜厚測定を行い実施した。1000mm幅でRtoRで塗布した分離膜の膜厚を面内で10箇所測定し、面内の膜厚バラつきを測定した。
評価基準
A:面内で10箇所の膜厚測定を行い、膜厚のバラつきが20%未満であった。
B:面内で10箇所の膜厚測定を行い、膜厚のバラつきが20%以上40%未満であった。
C:面内で10箇所の膜厚測定を行い、膜厚のバラつきが40%以上であった。
(初期の分離係数α)
各実施例、各比較例で得られた各複合体を下記の方法で、ガス透過率測定装置(GTRテック社製GTR−10XF)を用いて、二酸化炭素(CO)ガスの分離係数αを測定した。
支持体ごと直径47mmのサイズに切り取り、切り取った試料片をPTFEメンブレンフィルターの間に挟み、透過試験サンプルを作製した。
テストガスとしてCO/H=10/90(容積比)の混合ガスを相対湿度70%、流量500ml/分、温度130℃、全圧301.3kPaの条件にて、各透過試験サンプル(有効面積:2.40cm)の一方の側から供給し、他方の側にArガス(流量:90ml/分)をフローさせた。分離膜を透過したテストガスを、ガスクロマトグラフで分析し、CO透過速度(Q(CO))、H透過速度(Q(H))、及び分離係数α(α=Q(CO)/Q(H))を算出した。この際、分離係数αが100を超えた場合は、非常に良好な分離膜がRtoRで作製できたことを示しており、αが30以上100未満の場合は、若干欠陥などにより、少し劣る分離膜が作製されたことを示しており、αが30以下となった場合は、分離膜として殆ど期待できない分離膜ができていることを示している。
評価基準
A:上記の方法でガス透過試験を行い、αが100以上だった場合。
B:上記の方法でガス透過試験を行い、αが30以上100未満だった場合。
C:上記の方法でガス透過試験を行い、αが30未満だった場合。
(500時間後のQ(CO))
上記初期の分離係数αの測定に記載と同一の条件で、500時間連続してガス透過試験を行った。ガス透過試験後の分離膜のQ(CO)を、上記初期の分離係数αの測定と同様にして測定した。
評価基準
A:500時間後のQ(CO)の変化が10%未満。
B:500時間後のQ(CO)の変化が10%以上20%未満
C:500時間後のQ(CO)の変化が20%以上。
総合評価:
上記の塗布ムラ、初期のガス分離係数α、及び500時間経過後のQ(CO)の評価で、全ての評価項目がAの場合をAA、1項目でもBが含まれるときはA、1項目でもCが含まれる場合はCと評価した。AA、及びAは実用可能レベルである。
上記の結果より、本発明の製造方法で得られた二酸化炭素分離用複合体は、塗布ムラが小さく、二酸化炭素の透過性に優れ、500時間連続して二酸化炭素の透過性とガス分離選択性が劣化することがなく、二酸化炭素/水素の分離膜として優れることがわかる。
本発明の製造方法で得られた二酸化炭素分離用複合体により、優れた二酸化炭素分離モジュール、二酸化炭素分離装置、二酸化炭素分離システムを提供することができる。
10 送り出しロール
12 支持体
20 塗布部
21 第1塗布ヘッド
22 第2塗布ヘッド
30 冷却部
40 乾燥部
41 セット層
42 分離層
50 巻取りロール
52 二酸化炭素分離用複合体
62、64、66、68 搬送ロール
72 氷水
74 B型粘度計
76 セット層を形成する組成物(塗布液)
78 氷

Claims (10)

  1. 疎水性多孔質支持体(A)上に、親水性ポリマーと二酸化炭素キャリアとを含む分離層(B)と、多糖類又はゼラチンを含むセット層(C)とをこの順に設け、前記分離層(B)と前記セット層(C)とを、塗布する塗布工程を少なくとも含む二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
  2. 前記分離層(B)と前記セット層(C)とを塗布する塗布工程の後に、10℃以下に冷却して、前記セット層の粘度を100mPa・s以上に上昇させる冷却工程、及び40℃以上で乾燥させる乾燥工程を、この順に含む請求項1に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
  3. 前記分離層(B)が、さらに、架橋剤を含む請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
  4. 前記親水性ポリマーが、下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を含むポリマーである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。

    (一般式(1)中、Aは−(CHn1−COOH、−(CHn1−SOH、−CSOH、−NH、又は−OHを表す。Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は0以上9以下の整数を表す。)
  5. 前記分離層(B)の吸湿率が30%以上80%以下であり、前記セット層(C)の吸湿率が20%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
  6. 前記セット層(C)の膜厚が、前記分離層(B)の膜厚より小さい請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法により製造した二酸化炭素分離用複合体。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法により製造した二酸化炭素分離用複合体を備える二酸化炭素分離モジュール。
  9. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法により製造した二酸化炭素分離用複合体を備える二酸化炭素分離装置。
  10. 請求項9に記載の二酸化炭素分離装置を備える二酸化炭素分離システム。
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