第1の実施の形態
<画像形成装置の構成>
図1は、第1の実施の形態の画像形成装置1を示す図である。画像形成装置1は、電子写真法を用いて画像を形成するプリンタである。画像形成装置1は、媒体トレイ110と、媒体供給部120と、媒体搬送部130と、画像形成部140と、定着部150と、媒体排出部170とを備える。これらの構成要素は、筐体30に収容されている。
媒体トレイ110は、印刷用紙等の媒体Pを収容するものであり、筐体30の下部に着脱可能に装着されている。媒体トレイ110の内部には、媒体Pを載置する媒体載置板111が、媒体Pの幅方向に延在する支軸112を中心として回動可能に設けられている。
媒体載置板111の下側には、回動軸114に回動可能に支持されたリフトアップレバー113が設けられている。回動軸114は、筐体30内に設けられたモータ115と連結可能に構成されている。媒体トレイ110が筐体30に装着されると、回動軸114がモータ115と連結される。モータ115の駆動力によりリフトアップレバー113が回動し、リフトアップレバー113に付勢された媒体載置板111が支軸112を中心として回動する。
筐体30内には、媒体載置板111上の媒体Pが所定の高さまで上昇したことを検知する上昇検知部116が設けられている。上昇検知部116に媒体Pが検知された時点でモータ115の回転を停止することで、媒体載置板111の上昇が停止する。媒体トレイ110には、また、媒体Pの積載位置を規制するするガイド部材(図示せず)が設けられている。
筐体30内には、また、媒体載置板111上の媒体Pの有無を検知する媒体有無検知部117と、媒体Pの残量を検知する媒体残量検知部118とが備えられている。
媒体供給部120は、媒体トレイ110に収容された媒体Pを一枚ずつ搬送路101に送り出すものである。媒体供給部120は、媒体載置板111上の媒体Pの上面に圧接するように設けられたピックアップローラ121と、このピックアップローラ121に隣接して設けられたフィードローラ122およびリタードローラ123とを有する。
ピックアップローラ121は、搬送モータ222(図2)によって図中矢印で示す方向に回転駆動され、媒体載置板111上の媒体Pを搬送路101に送り出す。リタードローラ123は、トルク発生機構によって図中矢印方向のトルクを発生し、媒体Pの重送を防止する。なお、ピックアップローラ121およびフィードローラ122はワンウェイクラッチを内蔵しており、回転駆動が停止した状態でも図中矢印に示す方向に空転可能である。
媒体搬送部130は、媒体トレイ110から搬送路101に送り出された媒体Pを、画像形成部140に搬送するものである。媒体搬送部130は、搬送路101に沿って2対の搬送ローラ131,132を備えている。搬送ローラ131,132は、搬送モータ222によって図中矢印で示す方向に回転駆動され、媒体Pを搬送路101に沿って搬送する。
また、搬送路101に沿って搬送ローラ131の上流側には、媒体Pの通過を検知する給紙センサ133が設けられている。搬送ローラ131は、給紙センサ133による媒体Pの通過検知から所定時間だけ遅れて回転を開始することで、媒体Pの斜行を矯正する。
搬送ローラ132の上流側には、媒体Pの通過を検知する給紙センサ134が設けられている。搬送ローラ132は、給紙センサ134が媒体Pの通過を検知してから直ちに回転を開始し、媒体Pを停止させずに送り出す。
搬送ローラ132の下流側には、媒体Pの通過を検知する書き込みセンサ135が設けられている。書き込みセンサ135は、後述する露光ヘッド143の露光タイミングを決定するために用いられる。
画像形成部140は、像担持体としての感光体ドラム141を有する。感光体ドラム141は、導電性の基体の表面に、電荷発生層と電荷輸送層とを積層した感光層を設けた円筒状の部材であり、ドラムモータ220によって図中時計回りに回転する。
感光体ドラム141に対向するように、露光装置としての露光ヘッド143が配置されている。露光ヘッド143は、発光素子としてのLED(発光ダイオード)を配列したLEDアレイとレンズアレイとを有し、感光体ドラム141の表面に光を照射して静電潜像を形成する。なお、露光ヘッド143は、後述するトップカバー36に懸架されて支持されている。
画像形成部140は、感光体ドラム141に加えて、帯電部材としての帯電ローラ142と、現像剤担持体としての現像ローラ144と、供給部材としての供給ローラ145と、現像剤収容体としてのトナー収容体146と、クリーニング部材147とを有する。
帯電ローラ142は、電圧印加部211(図2)により帯電電圧が印加され、感光体ドラム141の表面を一様に帯電させる。現像ローラ144は、電圧印加部211により現像電圧が印加され、感光体ドラム141の表面の静電潜像をブラックのトナー(現像剤)により現像する。
供給ローラ145は、電圧印加部211により供給電圧が印加され、現像ローラ144にブラックのトナーを供給する。トナー収容体146は、例えば着脱可能なトナーカートリッジであり、現像ローラ144および供給ローラ145にトナーを供給する。クリーニング部材147は、感光体ドラム141の表面に残存するトナーを掻き取る。
感光体ドラム141の表面に当接するように、転写体としての転写ローラ148が配置されている。転写ローラ148は、導電性のスポンジまたはゴムで形成されたローラ部を有する。感光体ドラム141と転写ローラ148との間には転写ニップが形成され、媒体搬送部130からの媒体Pが転写ニップを通過する。転写ローラ148には電圧印加部211により転写電圧が印加され、この転写電圧により感光体ドラム141の表面のトナー像が媒体Pに転写される。
なお、図1の画像形成装置1は、画像形成部140によりブラックの単色画像を形成するように構成されているが、このような構成例に限定されるものではない。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の複数の画像形成部を媒体Pの搬送方向に配列し、カラー画像を形成するように構成してもよい。
定着部(定着器)150は、画像形成部140でトナー像が転写された媒体Pに、トナー像を定着するものである。定着部150は、ヒータ153を内蔵する定着ローラ151と、ヒータ154を内蔵する加圧ローラ152とを有する。ヒータ153,154は、例えばハロゲンランプである。定着ローラ151と加圧ローラ152との間には定着ニップが形成される。定着ローラ151は、定着モータ221によって回転駆動される。
定着ローラ151と加圧ローラ152は、定着ニップを通過する媒体Pに熱と圧力を加えて、トナー像を融解して媒体Pに定着させる。定着部150の下流側に隣接して、媒体Pの通過を検知する排出センサ156が配置されている。
媒体排出部170は、定着部150でトナー像が定着した媒体Pを、筐体30の外部に排出するものである。媒体排出部170は、排出口に向かう排出路102に沿って3対の排出ローラ171,172,173を有する。
排出ローラ171,172,173は、搬送モータ222によって回転駆動され、媒体Pを搬送して排出口から排出する。排出ローラ171,172,173の回転タイミングは、排出センサ156による媒体Pの通過検知により決定される。媒体排出部170によって排出された媒体Pは、トップカバー36に設けられたスタッカ36aに載置される。
また、筐体30の一方の側(図中右側)には、MPT(Multi Purpose)トレイ160が備えられている。MPTトレイ160は、後述するMPTカバー37(図3)に取り付けられている。MPTトレイ160は、媒体Pを載置するトレイ部161と、トレイ部161上の媒体Pを一枚ずつ筐体30に送り込むピックアップローラ162とを有する。筐体30内には、MPTトレイ160から供給された媒体Pを搬送ローラ132に向けて搬送する搬送ローラ163が設けられている。なお、画像形成装置1は、必ずしもMPTトレイ160を備えなくても良い。
また、画像形成装置1は、両面印刷のため、表面にトナー像が定着した媒体Pを反転させて搬送ローラ131まで搬送する反転搬送機構180を備えている。反転搬送機構180は、定着部150から送り出された媒体Pを、排出路102または退避路103に選択的に案内する切り替えガイド181を有する。
反転搬送機構180は、退避路103に沿って2対の反転ローラ182,183を有し、戻り搬送路104に沿って3対の搬送ローラ184,185,186を有する。反転ローラ182,183は、反転モータ224(図2)によって正逆両方向に回転し、媒体Pを退避路103に引き込んだのち、前後を入れ替えて戻り搬送路104に送り出す。
搬送ローラ184,185,186は、搬送モータ222(図2)によって回転し、媒体Pを戻り搬送路104に沿って搬送する。戻り搬送路104は、搬送ローラ131の上流側で搬送路101と合流する。なお、画像形成装置1が両面印刷機能を有さない場合は、反転搬送機構180を備えなくても良い。
画像形成装置1は、また、画像形成部140と定着部150との間に、筐体30外の空気を取り込む吸気ダクト51を備えている。また、定着部150と媒体排出部170との間には、吸気ダクト51に取り込んだ空気を排気する排気ダクト52が配置されている。吸気ダクト51および排気ダクト52については、後述する。
図1において、感光体ドラム141の軸方向を、X方向とする。X方向は、搬送される媒体Pの幅方向であり、画像形成装置1内の各ローラの軸方向でもある。媒体Pが画像形成部140を通過するときの媒体Pの移動方向を、Y方向とする。X方向とY方向に直交する方向を、Z方向とする。ここでは、Z方向は上下方向である。
Y方向については、媒体Pが画像形成部140を通過するときの搬送方向を+Y方向とし、その反対方向を-Y方向とする。X方向については、+Y方向を向いて右手方向を+X方向とし、左手方向を-X方向とする。Z方向については、図1の上方向を+Z方向とし、下方向を-Z方向とする。
<画像形成装置の制御系>
図2は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。画像形成装置1は、主制御部201と、I/F(インタフェース)制御部230と、受信メモリ231と、画像データ編集メモリ232と、電圧制御部202と、露光制御部203と、駆動制御部204と、定着制御部205と、定着モータ制御部206と、搬送モータ制御部207と、電磁クラッチ制御部208と、反転モータ制御部209と、ファンモータ制御部210とを有する。
主制御部201は、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート、タイマ等を有する。主制御部201は、上位装置からI/F制御部230を介して印刷データおよび制御コマンドを受信し、画像形成装置1の印刷動作を実行する。
主制御部201には、上述した給紙センサ133,134、書き込みセンサ135、および排出センサ156からの媒体Pの検知信号が入力される。また、主制御部201には、後述する環境センサ20からの温度および湿度の検出信号、および操作パネル39からの操作信号も入力される。
受信メモリ231は、上位装置からI/F制御部230を介して入力された印刷データを一時的に記憶する。画像データ編集メモリ232は、受信メモリ231に記憶した印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する。
電圧制御部202は、電圧印加部211から帯電ローラ142、現像ローラ144、供給ローラ145および転写ローラ148に印加されるバイアス電圧(帯電電圧、現像電圧、供給電圧および転写電圧)を制御する。
露光制御部203は、画像データ編集メモリ232に記録されたイメージデータを露光ヘッド143に送り、露光ヘッド143を発光制御する。
駆動制御部204は、感光体ドラム141、現像ローラ144、供給ローラ145等を回転駆動するドラムモータ220の回転を制御する。
定着制御部205は温度調節回路を有し、定着部150の図示しない温度センサの出力信号に基づき、ヒータ153,154に電流を供給する。定着モータ制御部206は、定着ローラ151を回転駆動する定着モータ221の回転を制御する。
搬送モータ制御部207は、ピックアップローラ121,162、フィードローラ122、搬送ローラ131,132,163、排出ローラ171,172,173および搬送ローラ184,185,186を回転駆動する搬送モータ222の回転を制御する。
電磁クラッチ制御部208は、搬送モータ222からピックアップローラ121,162、フィードローラ122、搬送ローラ131,132,163、排出ローラ171,172,173および搬送ローラ184,185,186への回転伝達を制御する電磁クラッチ223の動作を制御する。
反転モータ制御部209は、反転搬送機構180の反転ローラ182,183を回転駆動する反転モータ224の回転を制御する。
ファンモータ制御部210は、後述する吸気ファン61,62、送風ファン63および排気ファン64を駆動するファンモータ225の回転を制御する。なお、図2に示した各モータは、2相励磁パルスモータ、DCモータ等で構成することができる。
<画像形成装置のダクト構造>
図3は、画像形成装置1の外観を示す斜視図である。画像形成装置1の筐体30は、側面部としての左サイドカバー31と、もう一つの側面部としての右サイドカバー32と、前面部としてのフロントカバー33と、背面部としてのリアカバー34と、上面部としての上部カバー35とを有する。
左サイドカバー31および右サイドカバー32は、筐体30の-X側(左側)および+X側(右側)にそれぞれ形成されている。フロントカバー33およびリアカバー34は、筐体30の-Y側(前側)および+Y側(後側)にそれぞれ形成されている。
筐体30の上方には、開閉カバーとしてのトップカバー36が設けられている。トップカバー36は、筐体30の後方に設けられたX方向の支軸(図示せず)を中心として開閉可能である。トップカバー36には、上述したスタッカ36aが設けられている。
上部カバー35は、筐体30の上方で且つトップカバー36のX方向両側に形成されている。上部カバー35には、操作パネル39が設けられている。操作パネル39は、画像形成装置1の状態を表示するためのディスプレイと、操作者が指示を入力するためのキー、スイッチ等の操作部とを備える。
また、筐体30の-Y側には、フロントカバー33の他に、開閉可能なMPTカバー37と、引き出し可能なトレイカバー38とが設けられている。MPTカバー37には、上述したMPTトレイ160(図1)が取り付けられている。トレイカバー38には、上述した媒体トレイ(図1)が取り付けられている。
左サイドカバー31には、第1の吸気口としての吸気口41と、排気口45と、通気口46とが形成されている。吸気口41は、左サイドカバー31のY方向の略中央部に形成されている。排気口45および通気口46は、左サイドカバー31の+Y方向の端部近傍に形成されている。
また、図3では隠れているが、右サイドカバー32には、第3の吸気口としての吸気口43(図5)が形成されている。吸気口43は、右サイドカバー32のY方向の略中央部に形成されている。
上部カバー35の-X方向の端部には、第2の吸気口としての吸気口42が形成されている。また、上部カバー35の+X方向の端部には、第4の吸気口としての吸気口44が形成されている。吸気口42,44はいずれも、上部カバー35のY方向の略中央部に形成されている。
これらの吸気口41~44、排気口45および通気口46は、筐体30内への異物の侵入を防止するため、格子状(グリッド状)あるいはスリット状に形成されていることが望ましい。
図4は、画像形成装置1を、左サイドカバー31を取り外した状態で示す斜視図である。図4に示すように、筐体30内には、外気を取り込む吸気ダクト51が形成されている。吸気ダクト51は、左サイドカバー31に設けられた吸気口41(図3)と、上部カバー35に設けられた吸気口42の両方に連通している。
なお、筐体30の-X側(左サイドカバー31に覆われる位置)には、図2の電圧制御部202を搭載した高圧基板90が配置されている。一方、図2の主制御部201を搭載した制御基板は、筐体30の+X側(右サイドカバー32に覆われる位置)に配置されている。
また、筐体30の-X側において、高圧基板90よりも+Y方向(後方)には、送風ファン65が配置されている。送風ファン65は、図2の電圧印加部211(図4では隠れている)に送風するものである。図3に示した通気口46は、送風ファン65に対応する位置に設けられている。なお、通気口46および送風ファン65は、必ずしも設けられていなくても良い。
図5は、画像形成装置1のダクト構造を示す図である。図5に示すように、吸気ダクト51は、左サイドカバー31に設けられた吸気口41と、右サイドカバー32に設けられた吸気口43とを結ぶように、X方向に直線状に延在している。
吸気ダクト51は、Y方向において画像形成部140と定着部150との間に配置されている。吸気ダクト51は、例えば、プラスチックで形成された四角筒状の部材である。この吸気ダクト51には、吸気口42,44(図4)も連通している。
吸気ダクト51内には、吸気ファン61,62と送風ファン63とが設けられている。吸気ファン61は、吸気ダクト51のX方向の中央よりも吸気口41側に配置され、吸気ファン62は、吸気ダクト51のX方向の中央よりも吸気口43側に配置されている。送風ファン63は、吸気ダクト51のX方向の中央に配置されている。
吸気ファン61は、吸気ダクト51の画像形成部140側に形成された開口部に嵌め込まれている。吸気ファン61の羽根車の回転軸方向はY方向であり、送風方向は-Y方向である。吸気ファン61の回転により、吸気口41から吸気ダクト51内に空気が流入し、さらに画像形成部140に向かう。
吸気ファン62は、吸気ダクト51の画像形成部140側に形成された開口部に嵌め込まれている。吸気ファン62の羽根車の回転軸方向はY方向であり、送風方向は-Y方向である。吸気ファン62の回転により、吸気口43から吸気ダクト51内に空気が流入し、さらに画像形成部140に向かう。
送風ファン63は、吸気ダクト51に形成された開口部51aを介して画像形成部140に対向し、開口部51bを介して定着部150に対向している。送風ファン63の羽根車の回転軸方向はY方向であり、送風方向は+Y方向である。送風ファン63は、吸気ファン61,62によって画像形成部140に吹き付けられた空気を、+Y方向すなわち定着部150に向けて送風する。
定着部150の+Y方向(すなわちリアカバー34側)には、排気ダクト52が配置されている。排気ダクト52は、左サイドカバー31に形成された排気口45に連通しており、X方向に延在している。排気ダクト52は、例えば、プラスチックで形成された四角筒状の部材である。
排気ダクト52は、吸気ダクト51側(すなわち定着部150側)に、開口部52aを有する。吸気ダクト51から送風ファン63によって送られた空気は、定着部150を通過し、開口部52aから排気ダクト52内に侵入する。
排気口45には、排気ファン64が設けられている。排気ファン64の羽根車の回転軸方向はX方向であり、送風方向は-X方向である。排気ファン64は、排気ダクト52内の空気を排気口45から外部に排気する。
吸気ファン61,62、送風ファン63および排気ファン64は、例えば、軸流ファン(プロペラファン)であり、図2に示したファンモータ225によって回転する。吸気ファン61,62、送風ファン63および排気ファン64が回転すると、図5に矢印Fで示すように、吸気口41,42および吸気口43,44(図3)から吸気ダクト51内に空気が取り込まれる。
吸気ダクト51に取り込まれた空気は、吸気ファン61,62により画像形成部140に向かい、さらに送風ファン63によって定着部150に向かう。定着部150を通過した空気は排気ダクト52内に送られ、排気ファン64によって排気口45から筐体30外に排気される。
吸気ダクト51内において、吸気口41と吸気ファン61との間には、環境センサ20が配置されている。環境センサ20は、画像形成装置1が置かれた環境の温度および湿度を検出するものである。なお、環境センサ20は、ここでは温度と湿度の両方を検出するものであるが、温度と湿度の少なくとも一方を検出するものであればよい。
図6(A)は、吸気ダクト51内の環境センサ20の配置を説明するための図である。図6(A)に示すように、環境センサ20は基板23に搭載されており、吸気ダクト51の風路中に配置されている。特に、環境センサ20は、吸気口41(図3)に対して+X方向に位置し、吸気口42に対して-Z方向に位置している。
図6(B)は、環境センサ20の支持構造を示す斜視図である。図6(B)に示すように、環境センサ20は温度検出部と湿度検出部とを含む素子であり、基板23に搭載されている。基板23は、板面がY方向に直交するように配置されている。
環境センサ20が搭載された基板23は、吸気ダクト51の壁部51cから突出する上下一対の支持レバー21,22によって保持されている。なお、基板23には、環境センサ20の他、主制御部201との接続のためのコネクタ24a、チップ24b等も搭載されている。
図6(C)は、支持レバー21,22を示す模式図である。図6(C)に示すように、支持レバー21は、基板23の上端に係合する爪部21aを有する。支持レバー22は、基板23の下端に係合する爪部22aを有する。センサ支持部材としての支持レバー21,22は、それぞれの爪部21a,22aで基板23のZ方向の両端を支持する。
このように、環境センサ20が搭載された基板23は、支持レバー21,22により、吸気ダクト51の壁部51cから離れた位置で保持される。そのため、環境センサ20には、吸気ダクト51の壁部51cを介して他の構成要素の温度が環境センサ20に伝わりにくい。
図7は、Y方向に直交する面内における吸気ダクト51、吸気口41,42および環境センサ20の位置関係を示す図である。左サイドカバー31に形成された吸気口41と、上部カバー35に形成された吸気口42とは、Y方向位置が略同じである。
環境センサ20は、上記の通り、吸気口41の+X方向で、且つ吸気口42の-Z方向に位置する。言い換えると、環境センサ20は、吸気口41を通過した空気の流路上で、且つ吸気口42を通過して空気の流路上に配置されている。
また、吸気口42と環境センサ20との間には、カバー部としての防滴壁25が配置されている。防滴壁25は、ユーザが筐体30上で液体をこぼした場合に、吸気口42から落下した液滴が環境センサ20にかからないようにするためのものである。
ここでは、上部カバー35の吸気口42に上下2段の格子部47,48が形成されており、下側(-Z側)の格子部48に防滴壁25が取り付けられている。但し、防滴壁25は、吸気口42と環境センサ20との間に配置されていれば、どのように取り付けられていてもよい。
なお、吸気ダクト51の底部51dにおいて、吸気口42の-Z側に位置する部分には、傾斜面51eが設けられている。傾斜面51eは、吸気口41に近付くほど-Z方向に変位する。傾斜面51eは、吸気口41の面積をできるだけ大きくし、且つ、吸気口42から落下した液滴を吸気口41から外部に排出しやすくするために設けられている。
環境センサ20は、温度および湿度の検出信号を、図2に示した主制御部201に出力する。主制御部201は、環境センサ20の検出信号に基づき、電圧制御部202に制御信号を出力する。
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置1の基本動作について、図1および図2を参照して説明する。ここでは、媒体トレイ110に収容した媒体Pに画像を形成する場合について説明する。
画像形成装置1の主制御部201は、上位装置からI/F制御部230を介して印刷コマンドと印刷データを受信すると、画像形成(印刷)動作を開始する。
主制御部201は、上位装置から受信した印刷データを受信メモリ231に一時的に記録し、記録した印刷データを編集処理してイメージデータを生成し、画像データ編集メモリ232に記録する。
また、主制御部201の指示により、ファンモータ制御部210がファンモータ225を回転させ、吸気ファン61,62、送風ファン63および排気ファン64が回転する。これにより、吸気口41~44から吸気ダクト51に空気が取り込まれ、画像形成部140および定着部150を通って空気が流れる。画像形成部140および定着部150を通って流れた空気は、排気ダクト52を経由して排気口45から排気される。
また、定着モータ制御部206が定着モータ221を回転させ、これにより定着ローラ151および加圧ローラ152が回転を開始する。また、定着制御部205がヒータ153,154に通電し、定着ローラ151および加圧ローラ152が所定の定着温度まで加熱される。
また、搬送モータ制御部207が搬送モータ222を回転させ、電磁クラッチ制御部208が電磁クラッチ223を作動することにより、ピックアップローラ121およびフィードローラ122が回転して媒体トレイ110内の媒体Pを一枚ずつ搬送路101に送り出す。また、搬送ローラ131,132が回転して媒体Pを画像形成部140に搬送する。
画像形成部140における画像形成のため、電圧制御部202は、電圧印加部211から帯電ローラ142、現像ローラ144および供給ローラ145に帯電電圧、現像電圧および供給電圧を印加する。現像電圧および供給電圧は、環境センサ20の検出信号に基づいて調整されている。
また、駆動制御部204がドラムモータ220を回転させ、感光体ドラム141を回転させる。感光体ドラム141の回転に伴って、帯電ローラ142、現像ローラ144および供給ローラ145も回転する。帯電ローラ142は、感光体ドラム141の表面を一様に帯電させる。
媒体Pの先端が書き込みセンサ135に達すると、露光制御部203が画像データ編集メモリ232に記録されているイメージデータに基づき、露光ヘッド143を発光させる。感光体ドラム141の表面には、光照射により静電潜像が形成される。
感光体ドラム141の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ144のトナーにより現像され、感光体ドラム141の表面にトナー像が形成される。電圧制御部202は、電圧印加部211から転写ローラ148に転写電圧を印加する。このとき転写電圧は、環境センサ20の検出信号に基づいて調整されている。
感光体ドラム141の表面に形成されたトナー像は、感光体ドラム141と転写ローラ148との間の転写ニップを通過する媒体Pに転写される。媒体Pに転写されなかったトナーは、クリーニング部材147によって掻き取られる。
定着部150では、上記の通り、定着ローラ151および加圧ローラ152が回転し、所定の定着温度に達している。定着ローラ151と加圧ローラ152との間の定着ニップに搬送された媒体Pには熱および圧力が印加され、これによりトナー像が媒体Pに定着される。
媒体Pの先端が排出センサ156に到達すると、搬送モータ制御部207が搬送モータ222を回転させ、電磁クラッチ制御部208が電磁クラッチ223を作動することにより、排出ローラ171,172,173が回転して媒体Pを搬送し、筐体30の外部に排出する。排出された媒体Pは,スタッカ36a上に積載される。これにより、媒体Pへの画像の形成が完了する。
なお、連続印刷を行う場合には、定着部150で表面にトナー像が定着した媒体Pを、切り替えガイド181によって退避路103に案内する。そして、反転モータ制御部209が反転モータ224を正転させて媒体Pを退避路103に引き込み、その後反転モータ224を反転させて媒体Pを退避路103から送り出す。
さらに、搬送モータ制御部207が搬送モータ222を回転させ、電磁クラッチ制御部208を作動させることにより、搬送ローラ184,185,186が回転して媒体Pを戻り搬送路104に沿って搬送する。戻り搬送路104に沿って搬送された媒体Pは、搬送ローラ131に到達し、その後、媒体Pの裏面へのトナー像の形成が行われる。
<作用>
本実施の形態の画像形成装置1の作用について、比較例と対比して説明する。図8は、比較例の画像形成装置1Bを、左サイドカバー31を取り外して示す斜視図である。図9は、比較例の画像形成装置1Bの内部構造を示す模式図である。
図8に示すように、比較例の画像形成装置1Bは、吸気ダクト51および排気ダクト52を有さない。図9に示すように、画像形成装置1Bの筐体30の右サイドカバー32には、吸気口43が形成されている。筐体30の左サイドカバー31には、排気口45が形成されている。排気口45には、排気ファン64が取り付けられている。
吸気口43は筐体30のY方向中央に形成されている。排気口45はY方向において定着部150と略同じ位置に配置されている。排気ファン64が回転すると、図9に矢印Fで示すように、吸気口43から排気口45に向かって空気が流れ、定着部150を通過する。これにより、定着部150の熱が筐体30の外部に放出される。矢印Fは理想的な空気の流れを示しているが、実際には、吸気口43から流入した空気は筐体30の内部に広がって流れる。
環境センサ20は、定着部150からできるだけ離れた位置に配置するため、高圧基板90の-Y方向端部(前端)の近傍に配置されている。
比較例では、排気ファン64によって定着部150を通過する空気の流れを生成しているが、定着部150の熱が環境センサ20の周囲に及ぶことを抑制することは難しい。
また、定着部150の熱の他にも、画像形成部140の感光体ドラム141と現像ローラ144との摩擦等により発生する熱、あるいは両面印刷時に定着済み媒体Pが反転搬送機構180で搬送される際に発生する熱が環境センサ20の周囲に及ぶ。これら定着部150、画像形成部140および反転搬送機構180の熱の影響により、環境センサ20の周囲の温度は数℃上昇する。
環境センサ20の周囲の温度が上昇すると、画像形成装置1Bが置かれた環境の温度および湿度を高精度に検出することができない。その結果、環境の温度および湿度に応じてバイアス電圧を高精度に制御することができず、画像品質の低下を招く可能性がある。
また、特許文献1に記載されているように、環境センサ20を吸気口43の近傍に配置したとしても、定着部150等の熱が環境センサに及ぶことを抑制することは難しい。そのため、比較例と同様、環境の温度および湿度を高精度に検出することができない。
これに対し、本実施の形態では、図5に示したように、環境センサ20が、吸気ダクト51内で、且つ吸気口41,42と吸気ファン61との間に配置されている。そのため、環境センサ20の周囲には、吸気口41,42から吸気ダクト51に流入した新鮮な空気が流れている。
そのため、定着部150、画像形成部140および反転搬送機構180等の熱の影響を抑制し、画像形成装置1が置かれた環境の温度および湿度を、環境センサ20で高精度に検出することができる。
また、図6(B)に示したように、環境センサ20が、支持レバー21,22により、吸気ダクト51の壁部51cから離れた位置で支持されるため、吸気ダクト51の壁部51cを介して他の構成要素の温度が環境センサ20に伝わりにくい。そのため、環境センサ20による検出精度をさらに高めることができる。
また、図7に示したように、吸気口41と吸気口42の両方が吸気ダクト51に連通しており、環境センサ20が、吸気口41を通過した空気の流路上で、且つ、吸気口42を通過した空気の流路上に配置されている。そのため、吸気ダクト51に流入して環境センサ20を通過する空気の量を多くすることができ、環境センサ20による検出精度を高めることができる。
また、Z方向において吸気口42と環境センサ20との間に防滴壁25が配置されているため、液体が吸気口42から吸気ダクト51内に侵入しても、防滴壁25によって環境センサ20を保護することができる。そのため、ユーザが上部カバー35上でペットボトルあるいはカップ等を倒して液体が吸気口42から入り込んでも、防滴壁25によって環境センサ20を保護し、環境センサ20の動作を正常に保つことができる。
図10は、画像形成装置1の左サイドカバー31側に本棚などの遮蔽物Bが置かれた場合の吸気ダクト51、環境センサ20および吸気口41,42の位置関係を示す図である。図10に示すように左サイドカバー31側に遮蔽物Bが置かれると、吸気口41からの空気の流入が妨げられる。
しかしながら、本実施の形態では、筐体30の向きの異なる面(左サイドカバー31および上部カバー35)に形成された吸気口41と吸気口42が吸気ダクト51に連通しているため、吸気口41が閉鎖されたとしても、吸気口42から吸気ダクト51に空気が流入して環境センサ20を通過する。
そのため、画像形成装置1がオフィス内、店舗のバックヤード、あるいは受付カウンタ等の狭小スペースに配置され、遮蔽物Bによって吸気口41が塞がれた場合であっても、画像形成装置1が置かれた環境の温度および湿度を環境センサ20で高精度に検出することができる。
また、上部カバー35上に書籍等が置かれて吸気口42が閉鎖された場合であっても、吸気口41から吸気ダクト51に空気が流入して環境センサ20を通過するため、環境の温度および湿度を環境センサ20で高精度に検出することができる。
ここでは、吸気口41が左サイドカバー31に形成され、吸気口42が上部カバー35に形成されている例について説明したが、吸気口41,42は筐体30の向きの異なる面に形成されていればよい。例えば、吸気口41が右サイドカバー32に形成され、吸気口42がフロントカバー33に形成されていてもよい。
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1は、画像形成部140および定着部150と、これらを収容する筐体30と、筐体30の吸気口41につながる吸気ダクト51と、吸気ダクト51に配置された吸気ファン61とを備え、吸気ダクト51の内部において吸気口41と吸気ファン61との間に環境センサ20が配置されている。これにより、画像形成装置1内の構成要素の熱の影響を抑制し、画像形成装置1が置かれた環境の温度または湿度を環境センサ20で高精度に検出することができる。
また、吸気ダクト51に複数の吸気口41,42が連通しているため、環境センサ20を通過する空気の量を多くすることができ、環境センサ20による検出精度を高めることができる。加えて、吸気口41,42が筐体30の向きの異なる面(左サイドカバー31および上部カバー35)に形成されているため、吸気口41,42のいずれか一方が遮蔽物で遮蔽されても、他方の吸気口から空気が流入して環境センサ20を通過し、これにより環境の温度または湿度を環境センサ20で高精度に検出することができる。
また、吸気ダクト51が、左サイドカバー31の吸気口41と右サイドカバー32の吸気口43との間で延在しているため、吸気ダクト51の風量を大きくすることができる。そのため、画像形成部140および定着部150の放熱効率を高めると共に、環境センサ20の検出精度を高めることができる。
また、排気ファン64が設けられているため、吸気ファン61,62によって吸気口41~44から吸気ダクト51に流入した空気を、排気ファン64によって排気ファン64から排気することができる。これにより、筐体30内に、放熱対象の構成要素(画像形成部140、定着部150等)を通過する空気の通路を形成することができ、放熱効率を高めることができる。
また、吸気ダクト51が画像形成部140と定着部150との間に配置され、吸気ファン61,62で空気を画像形成部140に吹き付け、さらに送風ファン63で空気を定着部150に吹き付けるようにしたため、筐体30内の空きスペースにダクト51,52を配置して、画像形成部140および定着部150の熱を外部に放出することができる。
変形例.
上述した画像形成装置1の構成はあくまでも一例であり、種々の変形が可能である。図11には、変形例の画像形成装置1Aを示す。この画像形成装置1Aでは、吸気ダクト51内の吸気ファン61,62が、それぞれの送風方向がY方向に対して傾斜するように配置されている。
より具体的には、吸気ファン61,62は、吸気口41~44(吸気口42,44は図示されていない)から吸気ダクト51に流入した空気を、画像形成部140のX方向中心寄りに吹き付けるように配置されている。また、送風ファン63は、吸気ダクト51に形成された開口部に嵌め込まれている。
この変形例においても、吸気ファン61,62によって吸気口41~44から吸気ダクト51に流入した空気が画像形成部140に向かい、さらに送風ファン63によって定着部150を通過したのち、排気ダクト52を経由して排気ファン64によって排気口45から排気される。
環境センサ20は、吸気ダクト51において吸気口41と吸気ファン61との間に配置されている。そのため、画像形成装置1の構成要素の熱の影響を抑えて、画像形成装置1Aが置かれた環境の温度または湿度を高精度に検出することができる。
第1の実施の形態および変形例では、筐体30の左サイドカバー31に吸気口41,42が設けられ、右サイドカバー32に吸気口43,44が設けられていたが、筐体30には少なくとも1つの吸気口が設けられていればよい。
また、第1の実施の形態および変形例では、吸気ダクト51と排気ダクト52とを設けたが、排気ダクト52を設けなくてもよい。すなわち、吸気口41~44から吸気ダクト51に取り込んだ空気を、(排気ダクト52を用いずに)排気ファン64によって排気口45から排気してもよい。
また、吸気ダクト51は、画像形成部140と定着部150との間に限らず、他の位置に配置してもよい。筐体30の内部に空きスペースがあれば、例えば、吸気ダクト51を画像形成部140とフロントカバー33との間に配置してもよい。
本開示は、媒体に画像を形成するプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、MFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置に利用することができる。