JP2023026000A - 上注造塊用鋳型 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋳型のランニングコストを抑え、かつ造塊作業の準備に手間をかけずにインゴットを製造すること。【解決手段】本発明に係る上注造塊用鋳型は、溶湯を注入するための長尺状のインゴットケースと、該インゴットケースの下部に位置する台盤を備えた上注造塊用鋳型であって、前記台盤は、前記インゴットケースの内部と連続した空間を形成する溶湯収容部を備えていることを特徴とする。また、前記台盤の内部の壁面にスリーブが形成されていることを特徴としてもよい。【選択図】図1
Description
本発明は、インゴットケースと台盤を用い、上注ぎ法にて造塊する上注造塊用鋳型に関する。
種々の炉で溶解された溶湯は、例えば、取鍋から上注ぎもしくは下注ぎにより造塊するための鋳型に投入され、鋳型内で凝固することによりインゴットとなる。その後、インゴットは、分塊圧延、鍛造等の工程へ移る。また、エレクトロスラグ溶解法に用いる電極を作製する場合には、いわゆる上注ぎ造塊法を用いることが多い。
この上注ぎ造塊法では、はじめに投入される溶湯が鋳型の底面に衝突し、その勢いで鋳型の壁面に当たることで鋳型の底面や壁面が損傷する事態が想定し得る。こうなると、鋳型の取り換える頻度が高くなり、鋳型のランニングコストがかかるという問題が生じ得る。また、同じように、溶湯が鋳型の壁面に当たることで溶湯成分が鋳型に焼き付いて、インゴットを鋳型から抜き出すことが困難になってしまうという事態も想定し得る。
特許文献1(実開平4-108942)には、インゴットケースの下部の内壁にセラミック製のリングを貼り付けることによって、溶湯のインゴットケースへの焼き付き現象を低減し、造塊後のインゴットの引き抜き作業を円滑に行うことが記載されている。
特許文献1においては、セラミック製のリングをインゴットケースへ貼り付ける際、長尺状のインゴットケースを傾けて、その内部に貼り付ける必要があるため、貼り付けるための作業が負担となって、造塊作業の準備に手間がかかるという懸念がある。また、溶湯とセラミックが反応し、その反応物(非鉄系物質)がインゴット中に混在してしまうという懸念がある。
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、鋳型のランニングコストを抑え、かつ造塊作業の準備に手間をかけずにインゴットを製造することである。
上記課題を解決するために、本発明に係る上注造塊用鋳型は、溶湯を注入するための長尺状のインゴットケースと、該インゴットケースの下部に位置する台盤を備えた上注造塊用鋳型であって、前記台盤は、前記インゴットケースの内部と連続した空間を形成する溶湯収容部を備えていることを特徴とする。
本発明に係る上注造塊用鋳型は、インゴットケースの下部に台盤を備え、その台盤には、インゴットケースの内部と連続した空間を形成する溶湯収容部を有するため、溶湯の初期投入時に、溶湯がインゴットケースの壁面に直接当たることを抑えることができる。これにより、インゴットケースの内部壁面の損傷が防止され、インゴットケースの取り換え頻度が少なくなり、鋳型のランニングコストを抑えることができる。また、長尺状のインゴットケースの内部に部材の貼り付け作業等を行う必要がない。つまり、溶湯収容部を有する台盤を準備するだけでよいため、造塊作業の準備に手間がかかることがない。
また、本発明に係る上注造塊用鋳型は、前記溶湯収容部の周囲の壁面にスリーブが形成されていることを特徴としてもよい。これにより、損傷しやすいスリーブのみの取り換えが可能となり、さらに鋳型のランニングコストを抑えることができる。
また、本発明に係る上注造塊用鋳型は、前記スリーブが前記インゴットケースと同じ材料で構成されていることを特徴としてもよい。スリーブがインゴットケースと同じ材料で構成されていれば、異物混入の懸念を低減できる。
本発明に係る上注造塊用鋳型によれば、鋳型のランニングコストを抑え、かつ造塊作業の準備に手間をかけずにインゴットを製造することができる。
以下、本発明に係る実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態の鋳型の概略構成図である。なお、本実施形態は、エレクトロスラグ溶解法(ESR)についての例について説明するが、真空アーク再溶解法(VAR)に適用することもできる。図1に示すように、鋳型1は、溶湯からインゴットを製造するものであり、インゴットケース2と台盤3から構成される。鋳型1の開口部12から溶湯が投入され、主に鋳型1の中空部13(内部)で溶湯が凝固し、インゴットが製造される。
インゴットケース2は、内部が空洞の長尺状の部材であり、その素材は、鋳鉄(炭素量2.1%以上の鋼)からなる。図1で見て上下方向には、インゴットケース2の上部と下部に上部吊上げ部51と下部吊上げ部52が形成されている。適宜チェーンなどを両吊上げ部51、52に巻き付け、クレーンを使ってこのインゴットケース2を移動させることができる。
台盤3は、溶湯を収容するための収容部31と、台盤3の内部に形成されたスリーブ32と、収容部31の下方に位置する底面部33を備える。図1に示すように、鋳型1の開口部12、中空部13、収容部31は、溶湯が投入されてインゴットが製造できるように連続した空間を形成している。このため、はじめに投入される溶湯によりインゴットケース2の壁面が損傷することが少ないため、鋳型1のランニングコストを抑えることができる。また、図1で見て左右方向には、台盤3の両側に台盤吊上げ部53が形成されている。適宜チェーンなどを台盤吊上げ部53に巻き付けて、クレーンを使ってこの台盤3を移動させることができる。
スリーブ32は、鋳鉄(炭素量2.1%以上の鋼)で構成されている。これにより、溶湯が底面33へ衝突し、その後、スリーブ32へ勢いよく当たりスリーブ32が溶損しても、スリーブ32だけを取り換えればよい。また、このスリーブ32は、インゴットケース2よりも短いため、その取替作業が簡便である。また、スリーブ32は、インゴットケース2と同じ鋳鉄と同じ材料で構成されているため、インゴットへの異物混入の懸念が少ない。
底面部33は、カーボン素材からなる。このため、スリーブ32で使用されている鋳鉄同様、インゴットへの異物混入の懸念が少ない。
次に、上記鋳型1を用いたインゴットの製造方法について説明する。図2は、本発明に係るインゴットの製造方法の一実施形態の様子を示す概略構成図である。まず、台盤3をインゴットの製造位置へ配置する。そして、台盤3の上にインゴットケース2を載せる格好で鋳型1を構成する。つまり、鋳型1は、インゴットケース2と台盤3が分離可能な構成となっている。
次に、溶湯6を図1で示した開口部12から投入する。図2に示すように、溶湯6は、台盤3の底面部33に衝突し、矢印で示すようにスリーブ32に当たる。この際、溶湯2は、インゴットケース2の壁面に当たることが少ないため、インゴットケース2の取り換え頻度が少なくなり、鋳型1のランニングコストを抑えることができる。
図3は、インゴット7を形成した際の様子を示す概略構成図である。図2の溶湯6がインゴットケース2内に充填し終わって、凝固すると、インゴット7となる。図4は、鋳型1からインゴット7を取り出す際の様子を示す概略構成図である。インゴット7が形成された後、インゴットケース2の上部吊り上げ部51にチェーンとフックを用いてインゴットケース2を台盤3から分離した状態とする。つまり、インゴットケース2を台盤3から引き上げた状態とする。
次に、インゴットケース2の下部吊上げ部52とインゴット7をチェーンで巻き付け、フックで固定する。インゴット7は、インゴットケース2に固定された状態でクレーンなどを用いて台盤3から引き上げられる。その後、インゴット7は、安全な場所でインゴットケース2から外される。このようにして、インゴット7を得ることができる。
以上、本発明の実施形態、実施例について説明した。本発明は、これらの実施形態、実施例に特に限定されることなく、種々の改変を行うことが可能である。
1 鋳型
2 インゴットケース
3 台盤
6 溶湯
7 インゴット
13 中空部(内部)
31 収容部
32 スリーブ
33 底面部
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33 底面部
Claims (3)
- 溶湯を注入するための長尺状のインゴットケースと、該インゴットケースの下部に位置する台盤を備えた上注造塊用鋳型であって、
前記台盤は、前記インゴットケースの内部と連続した空間を形成する溶湯収容部を備えていることを特徴とする上注造塊用鋳型。 - 前記台盤の内部の壁面にスリーブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の上注造塊用鋳型。
- 前記スリーブは、前記インゴットケースと同じ材料で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の上注造塊用鋳型。
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Publication Number | Publication Date |
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