JP2023025971A - 固形描画材 - Google Patents
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Abstract
【課題】発色性が良好であるとともに、フロッタージュを行う際に材料の凹凸をクリアに写し取ることができる固形描画材を提供することである。【解決手段】 ワックス成分と、オイル成分と、体質顔料と、硫化亜鉛と、を含み、酸化チタンを含まない、固形描画材である。固形描画材において、硫化亜鉛の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。固形描画材は、さらに有色顔料を含むことも好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、固形描画材に関する。
固形描画材は、アート紙やコート紙、コピー用紙、画用紙といった吸収性の描画面、あるいは、プラスチック、ガラス、金属といった非吸収性の描画面に描画する際に用いられる。固形描画材の用途や表現手法は多岐にわたり、様々な特性を有する固形描画材が提案されている。例えば特許文献1には、樹脂成分と、ワックス成分と、色材および白色の体質材を含有するとともに、二酸化チタンを含有しない固形描画材において、樹脂成分、ワックス成分、白色の体質材がそれぞれ特定の組成及び含有量を有し、融点が40℃超の成分のみからなるものが開示されている。
固形描画材には、発色性が良好であることが求められる。一方で、固形描画材を用いた技法の一つとしてフロッタージュが知られている。フロッタージュとは、凹凸のある材料の上に紙を載せ、紙面を描画材でこすって材料の凹凸を紙面に写し取る手法である。フロッタージュの表現効果を充分に得るためには、凹凸をクリアに写し取ることができる描画材が望まれる。
そこで、固形描画材において、発色性が良好であるとともに、フロッタージュを行う際に材料の凹凸をクリアに写し取ることができるものを提供することを目的の一つとする。
本開示に従う固形描画材は、ワックス成分と、オイル成分と、体質顔料と、硫化亜鉛と、を含み、酸化チタンを含まない、固形描画材である。
上記の構成の固形描画材は、発色性が良好であるとともに、フロッタージュを行う際に材料の凹凸をクリアに写し取ることができる。
本開示に従う固形描画材は、ワックス成分と、オイル成分と、体質顔料と、硫化亜鉛と、を含み、酸化チタンを含まない固形描画材である。
従来、固形描画材として、ワックス成分と、オイル成分と、体質顔料と、白色顔料と、有色顔料と、を含むものが知られている。体質顔料は無彩色の材料であり、一般に、光沢の調整や固形描画材の崩れやすさ、描画面に対する付着性の調整等のために用いられる。白色顔料としては、酸化チタンが汎用されている。酸化チタンは白色性が高く不透明な材料であり、隠蔽性に優れる。白色顔料として酸化チタンを用いた、発色性に優れる固形描画材が知られている。有色顔料は、白色顔料、黒色顔料以外の顔料であって、描画材に所望の色彩を与えるために用いられる。
フロッタージュに好適な固形描画材が検討された。当初、フロッタージュにおいて紙面の下の凹凸を的確に写し取るためには、硬い材料が好適であると考えられた。しかしながら、わずかな凹凸を写し取れるように硬い固形描画材を構成した場合、細かな凹凸模様をクリアに写し取ることが難しい。そこで、細かな凹凸模様を写し取ることができるように、顔料成分を調整することが着想された。しかしながら、顔料成分を変更することは発色性に対する影響が大きい。このため、発色性を維持しながらフロッタージュの表現力の高い固形描画材を得ることは困難であることが判明した。この状況の下、さらなる検討が重ねられた結果、酸化チタンに代えて硫化亜鉛を用いると、紙面の下に置かれた材料の凹凸をクリアに写し取ることができるとともに、発色性が良好な固形描画材を得られることが見出された。
すなわち、ワックス成分と、オイル成分と、体質顔料と、硫化亜鉛と、を含み、酸化チタンを含まない固形描画材によれば、良好な発色性を有しながらもフロッタージュの表現効果に優れる固形描画材が得られることが見出された。
前記の固形描画材において、硫化亜鉛の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下であってよい。硫化亜鉛の含有量がこの範囲であるとき、発色性が良好で、かつフロッタージュの表現に好適な固形描画材が得られる。
前記の固形描画材において、さらに有色顔料を含んでもよい。このような固形描画材によれば、多様な色彩を有し、発色性に優れるとともにフロッタージュ特性にも優れた固形描画材が得られる。このような固形描画材を用いて豊かな表現を実現できる。
前記の固形描画材において、オイル成分の含有量は、5質量%以上30質量%以下であってよい。オイル成分の含有量がこの範囲であるとき、オイルパステルとして良好な強度と成形性が得られる。
以下に、本開示に係る固形描画材の実施の形態を説明する。以下に示す実施形態の固形描画材は、いわゆるオイルパステルであり、着色顔料と固形のワックス成分を含有し、さらに体質顔料と液体のオイル成分が添加されたものである。なお、本開示に係る固形描画材はオイルパステルに限定されず、クレヨンその他の描画材であってもよい。
(固形描画材)
本開示にかかる固形描画材の外形は、特に限定されない。固形描画材は、略円柱状であってもよく、四角柱状、六角柱状といった多角柱状であってもよいし、断面が楕円の楕円柱状であってもよい。固形描画材の一方側の端部がテーパー状に削られており、先端部が尖った形状とされていてもよい。固形描画材の長さや径、全体的な大きさは、用途や求められる使い勝手等に応じて任意に定められる。一例として、固形描画材は、長さが60~100mm程度、直径7~12mm程度の円柱状であってよいが、この範囲に限定されない。
本開示にかかる固形描画材の外形は、特に限定されない。固形描画材は、略円柱状であってもよく、四角柱状、六角柱状といった多角柱状であってもよいし、断面が楕円の楕円柱状であってもよい。固形描画材の一方側の端部がテーパー状に削られており、先端部が尖った形状とされていてもよい。固形描画材の長さや径、全体的な大きさは、用途や求められる使い勝手等に応じて任意に定められる。一例として、固形描画材は、長さが60~100mm程度、直径7~12mm程度の円柱状であってよいが、この範囲に限定されない。
固形描画材がユーザーに提供される際、固形描画材の胴部に紙やフィルムからなる保護シートが巻き付けられていてもよいし、保護シートを備えず固形描画材の本体を直接手に持って使用する形態であってもよい。
固形描画材は、アート紙やコート紙、コピー用紙、画用紙といった吸収性の描画面に描画することができる。また、ガラスやプラスチックといった非吸収性の描画面にも描画することができるものであってもよい。
本開示にかかる固形描画材は、ワックス成分と、オイル成分と、体質顔料と、硫化亜鉛と、を含む。また、本開示にかかる固形描画材は酸化チタンを含まない。これらの成分について以下に説明する。
(ワックス成分)
ワックス成分は、常温で固体であり、加熱すると溶融する、主に炭化水素化合物からなる成分である。ワックス成分は、固形描画材を構成する種々の成分を一体にまとめるとともに、描画材の描画面に対する定着性を与えるために用いられる。ワックス成分は、固形描画材の製造に際して、加熱時、例えば、60~120℃程度に加熱したときは溶融するが、常温や50℃程度の温度では固体である成分である。典型的に、ワックス成分の融点は、55℃以上であり、好ましくは60℃以上である。融点の測定は、例えば、DSC(Differential Scanning Calorimetry)により実施することができる。具体的には、DSC曲線の融解熱に対応するピークの温度を融点とする。
ワックス成分は、常温で固体であり、加熱すると溶融する、主に炭化水素化合物からなる成分である。ワックス成分は、固形描画材を構成する種々の成分を一体にまとめるとともに、描画材の描画面に対する定着性を与えるために用いられる。ワックス成分は、固形描画材の製造に際して、加熱時、例えば、60~120℃程度に加熱したときは溶融するが、常温や50℃程度の温度では固体である成分である。典型的に、ワックス成分の融点は、55℃以上であり、好ましくは60℃以上である。融点の測定は、例えば、DSC(Differential Scanning Calorimetry)により実施することができる。具体的には、DSC曲線の融解熱に対応するピークの温度を融点とする。
ワックス成分としては、例えば、蜜ロウ、鯨ロウ、牛脂、牛脂硬化物、ラード等の動物由来のワックス、カルナバロウ、木ロウ、ヒマシ硬化油、パーム硬化油等の植物由来のワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、α-オレフィンオリゴマー、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸アミド、長鎖脂肪族ケトン等の石油由来ワックス等を用いることができる。ワックス成分としては、1種、または2種以上のワックスを組み合わせて用いることができる。これらのうちで、パラフィンワックス、牛脂硬化油、パーム硬化油等が好ましく用いられる。融点の異なる複数種類のワックスを組み合わせて用いることも好ましい。
本開示にかかる固形描画材において、ワックス成分は、固形描画材に対して10~70質量%の範囲で含有されてよく、好ましくは20~60質量%の範囲で含有される。より好ましくは15~35質量%である。ワックス成分が70質量%以下であれば、色が薄くならず、発色性を維持できる。ワックス成分が10質量%以上であれば、固形描画材の強度や成型性が維持され、描画面に対する定着性が得られる。
(オイル成分)
オイル成分は、常温で液体である、主に炭化水素化合物からなる成分である。オイル成分は、ワックス成分と協同して固形描画材に滑らかな描画性を与える成分である。オイル成分は、透明であって、ワックス成分に溶解するものが好ましく用いられる。オイル成分の具体例としては、例えば、ヤシ油、ヒマシ油等の動植物性のオイル、流動パラフィン、シリコーンオイル、長鎖脂肪酸等の石油由来のオイルを用いることができる。オイル成分としては、1種、または2種以上のオイルを組み合わせて用いることができる。これらのうちで、流動パラフィンを用いることが好ましい。
オイル成分は、常温で液体である、主に炭化水素化合物からなる成分である。オイル成分は、ワックス成分と協同して固形描画材に滑らかな描画性を与える成分である。オイル成分は、透明であって、ワックス成分に溶解するものが好ましく用いられる。オイル成分の具体例としては、例えば、ヤシ油、ヒマシ油等の動植物性のオイル、流動パラフィン、シリコーンオイル、長鎖脂肪酸等の石油由来のオイルを用いることができる。オイル成分としては、1種、または2種以上のオイルを組み合わせて用いることができる。これらのうちで、流動パラフィンを用いることが好ましい。
オイル成分は、固形描画材において、固形描画材に対して1~40質量%の範囲で含有されてよく、好ましくは5~30質量%の範囲で含有される。より好ましくは10~30質量%である。オイル成分が40質量%以下であれば、固形描画材の強度が保持され、耐熱性、成形性の低下が少ない。また、固形描画材のべたつきが少ない。オイル成分が1質量%以上であれば、オイル成分を添加する効果が得られ、描画面に対する固形描画材の滑りが良好になり、描画性が向上する。
ワックス成分とオイル成分の合計は、固形描画材に対して30~70質量%の範囲とすることができ、好ましくは35~50質量%の範囲とできる。ワックス成分は、オイル成分と同等あるいはオイル成分よりも含有割合が高いものとできる。例えば、ワックス成分に対してオイル成分は0.2~1.0の割合とすることができ、好ましくは、ワックス成分に対してオイル成分は0.6~1.0の割合とできる。
(体質顔料)
体質顔料は、固形描画材を用いて描画面に描画するとき、固形描画材を崩れやすくして、描画面に対する滑り性を向上させる。また、描画面への固形描画材の接着量を多くして、描線の着色性を高める効果を有する。体質顔料の具体例としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト等の粘度鉱物、リトポン(硫化亜鉛、硫酸バリウムの混合物)等の組成物の1種を、または2種以上を組み合わせて、用いることができる。これらのうち、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リトポン等が好ましく用いられる。
体質顔料は、固形描画材を用いて描画面に描画するとき、固形描画材を崩れやすくして、描画面に対する滑り性を向上させる。また、描画面への固形描画材の接着量を多くして、描線の着色性を高める効果を有する。体質顔料の具体例としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト等の粘度鉱物、リトポン(硫化亜鉛、硫酸バリウムの混合物)等の組成物の1種を、または2種以上を組み合わせて、用いることができる。これらのうち、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リトポン等が好ましく用いられる。
体質顔料は粉体であり、その粒径は例えば炭酸マグネシウムの場合、1.0~14μm程度であり、炭酸カルシウムの場合、0.14~15.0μm程度である。リトポンの粒径は0.1~5.0μm程度である。
体質顔料は、固形描画材において、固形描画材に対して1~60質量%の範囲で含有されてよく、好ましくは5~50質量%の範囲で含有される。より好ましくは20~65質量%である。体質顔料が60質量%以下であれば、着性の低下が少ない。また、固形描画材の成型性の低下が少ない。体質顔料が1質量%以上であれば、描画面に対する固形描画材の滑りが良好になり、描画性が向上する。
(着色顔料)
着色顔料は、固形描画材に所望の色(無彩色あるいは有彩色)を付与し、描画面で発色させるものであって、従来、クレヨンやパス等の固形描画材において着色剤として用いられているものを用いることができる。着色顔料としては、有機顔料、無機顔料、レーキ顔料、複合顔料のいずれであってもよい。本開示にかかる固形描画材は、硫化亜鉛を含むことを特徴とするところ、硫化亜鉛は着色顔料として用いられる。着色顔料としては、硫化亜鉛等の白色顔料、フタロシアニン、キナクリドン等の有色顔料、カーボンブラック等が挙げられるが、当然ながらこれらに限定されない。これら顔料は、1種類を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることも好ましい。硫化亜鉛と有色顔料とを組み合わせて用いることも好ましい。
着色顔料は、固形描画材に所望の色(無彩色あるいは有彩色)を付与し、描画面で発色させるものであって、従来、クレヨンやパス等の固形描画材において着色剤として用いられているものを用いることができる。着色顔料としては、有機顔料、無機顔料、レーキ顔料、複合顔料のいずれであってもよい。本開示にかかる固形描画材は、硫化亜鉛を含むことを特徴とするところ、硫化亜鉛は着色顔料として用いられる。着色顔料としては、硫化亜鉛等の白色顔料、フタロシアニン、キナクリドン等の有色顔料、カーボンブラック等が挙げられるが、当然ながらこれらに限定されない。これら顔料は、1種類を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることも好ましい。硫化亜鉛と有色顔料とを組み合わせて用いることも好ましい。
(硫化亜鉛)
本開示にかかる固形描画材は、硫化亜鉛を含有する。硫化亜鉛は、着色顔料のうち、白色顔料として含まれることができる。硫化亜鉛の含有量は、固形描画材に対して0.1~50質量%であることが好ましく、0.5~25質量%であればより好ましい。硫化亜鉛は、白色不透明な粉体である。硫化亜鉛として、平均粒子径が0.1~0.4μmのものを使うことが好ましく、平均粒子径が0.1~0.3μmであればより好ましい。なお、ここでいう平均粒子径は、SEM(Scanning Electron Microscope)画像から測定、算出される値である。本開示にかかる固形描画材は、酸化チタンを含まず、硫化亜鉛を含有する。酸化チタンに代えて硫化亜鉛を含有する固形描画材は、フロッタージュの表現特性がより良好である。固形描画材において、白色顔料として、硫化亜鉛に加えてその他の白色顔料を含んでもよい。
本開示にかかる固形描画材は、硫化亜鉛を含有する。硫化亜鉛は、着色顔料のうち、白色顔料として含まれることができる。硫化亜鉛の含有量は、固形描画材に対して0.1~50質量%であることが好ましく、0.5~25質量%であればより好ましい。硫化亜鉛は、白色不透明な粉体である。硫化亜鉛として、平均粒子径が0.1~0.4μmのものを使うことが好ましく、平均粒子径が0.1~0.3μmであればより好ましい。なお、ここでいう平均粒子径は、SEM(Scanning Electron Microscope)画像から測定、算出される値である。本開示にかかる固形描画材は、酸化チタンを含まず、硫化亜鉛を含有する。酸化チタンに代えて硫化亜鉛を含有する固形描画材は、フロッタージュの表現特性がより良好である。固形描画材において、白色顔料として、硫化亜鉛に加えてその他の白色顔料を含んでもよい。
(有色顔料)
有色顔料の配合量は、所望の色彩に応じて適切な量を選択すればよい。例えば、有色顔料は、固形描画材に対して0.5~30質量%の範囲で含有されてよく、好ましくは1~20質量%の範囲で含有される。より好ましくは1.5~15質量%である。有色顔料が30質量%以下であれば、固形描画材の成型性の低下が少ない。また、実用的なコストで固形描画材を製造できる。有色顔料が0.5質量%以上であれば、材料にもよるが、所望する発色を得ることができる。
有色顔料の配合量は、所望の色彩に応じて適切な量を選択すればよい。例えば、有色顔料は、固形描画材に対して0.5~30質量%の範囲で含有されてよく、好ましくは1~20質量%の範囲で含有される。より好ましくは1.5~15質量%である。有色顔料が30質量%以下であれば、固形描画材の成型性の低下が少ない。また、実用的なコストで固形描画材を製造できる。有色顔料が0.5質量%以上であれば、材料にもよるが、所望する発色を得ることができる。
本開示にかかる固形描画材は、酸化チタンを含まない。ここで、酸化チタンを含まないとは、固形描画材における酸化チタンの含有量が0である場合に限られず、固形描画材に恣意的に添加する成分として酸化チタンを含まないことを意味している。本開示にかかる固形描画材には、他の成分の添加剤等として、あるいは他の理由によって、固形描画材に不可避的に混入する酸化チタンが含まれていてもよい。例えば、固形描画材中に、1質量%未満、または0.1質量%未満、あるいは0.01質量%未満の酸化チタンを含んでいてもよい。
(その他の成分)
必要に応じて、通常の固形描画材において用いられる種々の成分や添加剤を、本開示にかかる固形描画材の作用効果を妨げない範囲で含んでもよい。他の成分としては例えば、樹脂成分が挙げられる。添加剤としては例えば、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤が挙げられる。
必要に応じて、通常の固形描画材において用いられる種々の成分や添加剤を、本開示にかかる固形描画材の作用効果を妨げない範囲で含んでもよい。他の成分としては例えば、樹脂成分が挙げられる。添加剤としては例えば、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤が挙げられる。
(製造方法)
本開示にかかる固形描画材の製造方法の概略を説明する。本開示にかかる固形描画材は、公知の固形描画材の製造方法を逸脱することなく、既存の設備や条件を適用ないし応用して製造できる。次に示す製造方法は一例であり、本開示の効果を有する固形描画材が得られる限りにおいて、製造方法は限定されない。
本開示にかかる固形描画材の製造方法の概略を説明する。本開示にかかる固形描画材は、公知の固形描画材の製造方法を逸脱することなく、既存の設備や条件を適用ないし応用して製造できる。次に示す製造方法は一例であり、本開示の効果を有する固形描画材が得られる限りにおいて、製造方法は限定されない。
まず、混練組成物作製工程として、着色顔料、体質顔料、ワックス成分、オイル成分を加熱攪拌し、例えば3本熱ロール等を用いて分散させる。次いで、得られた混合物にさらに体質顔料とワックス成分を添加し、加熱しながら撹拌して、混練組成物を得る。その後、成型工程として、混練組成物を加熱して溶解させ、各種の成型機に溶解物を流し込む。冷却後、所望の形状の成型物、すなわち、本開示にかかる固形描画材を得る。なお、これらの工程に加えて、所望の形状に調整するための切断工程、調整工程、測定工程、検査工程等を含んでもよい。
[実施例]
組成の異なる固形描画材である実施例1~実施例9の固形描画材を作製し、評価試験を実施した。実施例1~実施例9の配合および評価結果を、[表1]および[表2]に示す。また、本開示の範囲外である比較例1~比較例15の固形描画材を作製し、同様に評価試験を実施した。比較例1~比較例15の配合および評価結果を、[表3]、[表4]および[表6]に示す。なお、各表中の「‐」は、材料が含まれていないことを示す。各表中の数値の単位は質量%である。以下に、実施例1~実施例9および比較例1~比較例15の製造方法および評価方法の詳細について説明する。
組成の異なる固形描画材である実施例1~実施例9の固形描画材を作製し、評価試験を実施した。実施例1~実施例9の配合および評価結果を、[表1]および[表2]に示す。また、本開示の範囲外である比較例1~比較例15の固形描画材を作製し、同様に評価試験を実施した。比較例1~比較例15の配合および評価結果を、[表3]、[表4]および[表6]に示す。なお、各表中の「‐」は、材料が含まれていないことを示す。各表中の数値の単位は質量%である。以下に、実施例1~実施例9および比較例1~比較例15の製造方法および評価方法の詳細について説明する。
[実施例1]
以下の手順で固形描画材を作製し、フロッタージュ特性および発色性を評価した。
1.練り工程
(1)着色顔料としての硫化亜鉛(平均粒子径0.2μm)0.2gと、着色顔料としてのPigment Blue 27(大日精化工業株式会社製)2.0gと、体質顔料としてのリトポン(Shanghai Hong YunYuan Chemical Co., Ltd.社製)0.5gと、ワックスとしての融点59℃のパーム硬化油と、オイルとしての流動パラフィン(粘度41mm2/s)を加熱しながら攪拌した。その後、3本ロールミルを用いて分散させた。3本ロールミルの温度は所定の温度に設定した。
(2)次いで、体質顔料、ワックスをさらに添加し、加熱攪拌した。具体的には、体質顔料としての炭酸カルシウム(上海越達微納粉体材料有限公司社製)60gと、ワックスとしての融点59℃のパーム硬化油と、融点61℃のパラフィンワックスの混合物と、オイルとしての流動パラフィン(粘度41mm2/s)を(1)で得た混練組成物にさらに投入し、所定の温度で攪拌し、混練組成物を得た。
上記に記載した各成分の配合比率(質量%)は[表1]に示すとおりである。
以下の手順で固形描画材を作製し、フロッタージュ特性および発色性を評価した。
1.練り工程
(1)着色顔料としての硫化亜鉛(平均粒子径0.2μm)0.2gと、着色顔料としてのPigment Blue 27(大日精化工業株式会社製)2.0gと、体質顔料としてのリトポン(Shanghai Hong YunYuan Chemical Co., Ltd.社製)0.5gと、ワックスとしての融点59℃のパーム硬化油と、オイルとしての流動パラフィン(粘度41mm2/s)を加熱しながら攪拌した。その後、3本ロールミルを用いて分散させた。3本ロールミルの温度は所定の温度に設定した。
(2)次いで、体質顔料、ワックスをさらに添加し、加熱攪拌した。具体的には、体質顔料としての炭酸カルシウム(上海越達微納粉体材料有限公司社製)60gと、ワックスとしての融点59℃のパーム硬化油と、融点61℃のパラフィンワックスの混合物と、オイルとしての流動パラフィン(粘度41mm2/s)を(1)で得た混練組成物にさらに投入し、所定の温度で攪拌し、混練組成物を得た。
上記に記載した各成分の配合比率(質量%)は[表1]に示すとおりである。
2.成形工程
加熱溶融した混練組成物を成形機に流し込み、成形を行った。成形した混錬組成物を冷却、固化させて、固形描画材を得た。
加熱溶融した混練組成物を成形機に流し込み、成形を行った。成形した混錬組成物を冷却、固化させて、固形描画材を得た。
3.評価
(1)フロッタージュ特性の評価
[図1]に評価試験の概要を示す。図1を参照して、2個の穴(直径10mm)を開けた厚紙1の上にコピー用紙2(厚み約0.08mm)を置き、穴を開けた凹凸部分の上を固形描画材3でこすった。得られたフロッタージュ部4の2つの穴のそれぞれについて、凹凸模様の表れ方を目視で評価した。
フロッタージュ特性の評価基準は次のとおりとした。
模様の輪郭がわかる:〇
模様の輪郭が一部わからない:△
模様の輪郭が完全にわからない:×
(1)フロッタージュ特性の評価
[図1]に評価試験の概要を示す。図1を参照して、2個の穴(直径10mm)を開けた厚紙1の上にコピー用紙2(厚み約0.08mm)を置き、穴を開けた凹凸部分の上を固形描画材3でこすった。得られたフロッタージュ部4の2つの穴のそれぞれについて、凹凸模様の表れ方を目視で評価した。
フロッタージュ特性の評価基準は次のとおりとした。
模様の輪郭がわかる:〇
模様の輪郭が一部わからない:△
模様の輪郭が完全にわからない:×
(2)発色性の評価
黒色の画用紙に、固形描画材を用いて手塗りで左右方向、上下方向、さらに左右方向に均一に塗るように反復して塗布し、描画部分の明度(マンセル値)を測定した。明度の測定には分光色彩計(型番SE-2000、日本電色工業株式会社製)を用いて測定を行った。
明度の評価基準は次のとおりとした。
酸化チタンを用いた場合の明度と比較して低下率20%以下:〇
酸化チタンを用いた場合の明度と比較して低下率21%~60%:△
酸化チタンを用いた場合の明度と比較して低下率61%以上:×
なお、明度の評価基準となる「酸化チタンを用いた場合の明度」とは、酸化チタンを使用し、同等の色彩を有する固形描画材の明度である。例えば、実施例1では、比較例1の固形描画材の明度を基準として評価を行った([表1]、[表3]において「基準1」と示している)。また、実施例2では、比較例2の固形描画材の明度を基準として評価を行った([表1]、[表3]において「基準2」と示している)。
黒色の画用紙に、固形描画材を用いて手塗りで左右方向、上下方向、さらに左右方向に均一に塗るように反復して塗布し、描画部分の明度(マンセル値)を測定した。明度の測定には分光色彩計(型番SE-2000、日本電色工業株式会社製)を用いて測定を行った。
明度の評価基準は次のとおりとした。
酸化チタンを用いた場合の明度と比較して低下率20%以下:〇
酸化チタンを用いた場合の明度と比較して低下率21%~60%:△
酸化チタンを用いた場合の明度と比較して低下率61%以上:×
なお、明度の評価基準となる「酸化チタンを用いた場合の明度」とは、酸化チタンを使用し、同等の色彩を有する固形描画材の明度である。例えば、実施例1では、比較例1の固形描画材の明度を基準として評価を行った([表1]、[表3]において「基準1」と示している)。また、実施例2では、比較例2の固形描画材の明度を基準として評価を行った([表1]、[表3]において「基準2」と示している)。
[実施例2]~[実施例9]
[表1]、[表2]に示す配合としたほかは実施例1と同様の方法で、固形描画材を作製し、評価を行った。着色顔料の詳細は[表5]に示す。
[表1]、[表2]に示す配合としたほかは実施例1と同様の方法で、固形描画材を作製し、評価を行った。着色顔料の詳細は[表5]に示す。
実施例1~実施例9に示されるとおり、ワックス成分、オイル成分、体質顔料、硫化亜鉛を含み、かつ酸化チタンを含まない固形描画材はいずれも明度評価が〇であった。すなわち、酸化チタンを用いた固形描画材と比較して明度の低下が少なかった。また、フロッタージュ特性はいずれも〇であった。実施例1~9は白色、青色、緑色、紫色、桃色、水色、橙色のいずれの色彩においても、発色性が良好でフロッタージュ特性にも優れる固形描画材が得られることを示している。
[比較例1]~[比較例10]
[表3]、[表4]に示す配合としたほかは実施例1と同様の方法で、固形描画材を作製し、評価を行った。
[表3]、[表4]に示す配合としたほかは実施例1と同様の方法で、固形描画材を作製し、評価を行った。
比較例1~比較例8に示されるとおり、酸化チタンを用いた固形描画材は、いずれも実施例の固形描画材と同等もしくは高い明度を示したが、フロッタージュ特性が不充分であった。また、比較例9,10に示されるとおり、着色顔料として白色顔料であるチタン酸ストロンチウムを用いた固形描画材は、チタン酸ストロンチウムが少量である場合(比較例9)では、酸化チタンを用いる場合と比べて明度が不足し、フロッタージュ特性も不充分であった。また、チタン酸ストロンチウムの含有比率が高い場合(比較例10)では、明度は向上したが、フロッタージュ特性は依然として不充分であった。
[比較例11]~[比較例15]
[表6]に示す配合としたほかは実施例1と同様の方法で、固形描画材を作製し、評価を行った。酸化アルミニウムは平均粒子径0.3μmのものを用いた。マイカは、平均粒子径11.0μmのものを用いた。炭酸カルシウムAの平均粒子径は0.2μm、炭酸カルシウムBの平均粒子径は0.14μmであった。硫酸バリウムは平均粒子径4.5μmのものを用いた。
[表6]に示す配合としたほかは実施例1と同様の方法で、固形描画材を作製し、評価を行った。酸化アルミニウムは平均粒子径0.3μmのものを用いた。マイカは、平均粒子径11.0μmのものを用いた。炭酸カルシウムAの平均粒子径は0.2μm、炭酸カルシウムBの平均粒子径は0.14μmであった。硫酸バリウムは平均粒子径4.5μmのものを用いた。
比較例11~15に示されるとおり、顔料として酸化アルミニウム、マイカ、硫酸バリウムを含む比較例11,12,15は、フロッタージュ特性が不充分であった。また、比較例11,12は、酸化チタンを含有する固形描画材に対して明度の低下が明らかであった。比較例15は、明度の低下が大きかった。さらに、顔料として炭酸カルシウムを含む比較例13,14は、フロッタージュ特性はおおむね良好であるものの、酸化チタンを含有する固形描画材に対して明度の低下が明らかであり、発色性が不充分であった。
以上より、本開示に係る固形描画材によれば、発色性が良好であるとともに、フロッタージュを行う際に材料の凹凸をクリアに写し取ることができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明に係る固形描画材は、発色性が良好で、フロッタージュを用いた表現を行う際に特に有効に利用される。
1 厚紙、2 コピー用紙、3 固形描画材、4 フロッタージュ部
Claims (4)
- ワックス成分と、
オイル成分と、
体質顔料と、
硫化亜鉛と、を含み、
酸化チタンを含まない、固形描画材。 - 前記硫化亜鉛の含有量が、0.1質量%以上50質量%以下である、
請求項1に記載の固形描画材。 - さらに、有色顔料を含む、請求項1または請求項2に記載の固形描画材。
- 前記オイル成分の含有量が、5質量%以上30質量%以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の固形描画材。
Priority Applications (1)
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JP2021131456A JP2023025971A (ja) | 2021-08-11 | 2021-08-11 | 固形描画材 |
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