JP2023025505A - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】型内成形時における発泡粒子同士の良好な融着性を維持しつつ、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題の発生を抑制可能なポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供する。【解決手段】ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする芯層11と、芯層11を被覆する被覆層12とを有し、ポリプロピレン系樹脂粒子10の被覆層12はポリエチレン系樹脂から構成されると共に、ポリプロピレン系樹脂粒子10の被覆層12が炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含み、ポリプロピレン系樹脂粒子10の被覆層12中の炭素粒子の配合割合が0.5重量%以上5重量%以下であり、ポリプロピレン系樹脂粒子10の被覆層中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合が0.03重量%以上1重量%未満となるよう構成されたポリプロピレン系樹脂粒子10、及び該粒子を発泡成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子20を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、梱包材や自動車部材、建築材料などの種々の用途に使用されている。このような発泡粒子成形体を構成する発泡粒子は、例えば、次のようにして製造される。
まず、容器内の無機分散剤を含む水性媒体中に、ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる。次いで、容器内で上記ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、発泡剤を含む当該樹脂粒子(発泡性樹脂粒子)を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる。このようにして、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が製造される。
上述のように製造される発泡粒子は、発泡粒子本体の表面に、型内成形時の発泡粒子同士の融着性を高めるための被覆層が形成される場合がある(例えば、特許文献1、2)。融着性の被覆層を有する発泡粒子は、芯層と、当該芯層の表面に設けられた被覆層とを有するポリプロピレン系樹脂粒子を準備し、これを発泡させて得られる。この際、融着性をより一層高める観点から、被覆層を構成する樹脂として、芯層を構成するポリプロピレン系樹脂に対して相対的に低融点又は低軟化点のポリエチレン系樹脂が用いられることがある(例えば、特許文献3)。
特許第6757871号公報 特開平4-118224号公報 特開平10-77359号公報
上述のとおり融着性の被覆層を備える発泡粒子は、型内成形時の発泡粒子同士の融着性が改善される一方、以下の点に関して向上の余地があった。
即ち、芯層に対し相対的に低融点又は低軟化点のポリエチレン系樹脂により構成された被覆層を有するポリプロピレン系樹脂粒子は、発泡工程時の発泡条件によっては、発泡粒子同士が合着(ブロッキング)しやすくなる場合があった。より詳しくは、発泡剤が含浸された発泡性樹脂粒子を圧力容器等から水性媒体と共に相対的に圧力の低い環境に放出して発泡させる発泡工程において、発泡粒子同士がブロッキングする場合があった。このようなブロッキングの発生に関する問題を、以下、単に「ブロッキングの問題」ともいう。ブロッキングの問題が生じた発泡粒子を用いて型内成形を行うと、得られる発泡粒子成形体の表面性が低下する虞があった。
また別の問題として、融着性の被覆層を有する発泡粒子を用いて、型内成形により長期的に発泡粒子成形体を生産すると、成形型の形状等によっては、成形型の加熱されやすい箇所等に発泡粒子由来の付着物が蓄積する虞があった。このような成形型への付着物の蓄積の発生に関する問題を、以下、単に「付着物の蓄積の問題」ともいう。付着物の蓄積の問題が発生すると、製造された発泡粒子成形体の表面性が低下する虞があった。
このような、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題は、被覆層を構成する樹脂として、ポリエチレン系樹脂を用いた場合には特に生じやすかった。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、型内成形時における発泡粒子同士の良好な融着性を維持しつつ、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題の発生を抑制可能なポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供するものである。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、容器内の無機分散剤を含む水性媒体中に、ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる分散工程、容器内で前記ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる発泡剤含浸工程、及び発泡剤を含む上記ポリプロピレン系樹脂粒子を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる発泡工程、を含むポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法であって、上記ポリプロピレン系樹脂粒子が、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする芯層と、上記芯層を被覆する被覆層とを有し、上記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層はポリエチレン系樹脂から構成されると共に、上記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層が炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含み、上記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中の炭素粒子の配合割合が0.5重量%以上5重量%以下であり、上記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合が0.03重量%以上1重量%未満であることを特徴とする。
また本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡芯層と、上記発泡芯層を被覆する被覆層とを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、上記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層はポリエチレン系樹脂から構成されると共に、上記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層が炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含み、上記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層中の炭素粒子の配合割合が0.5重量%以上5重量%以下であり、上記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合が0.03重量%以上1重量%未満であることを特徴とする。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法では、ポリエチレン系樹脂から構成されると共に所定範囲の炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含有する被覆層を備えるポリプロピレン系樹脂粒子が用いられる。これにより本発明は、型内成形時における発泡粒子同士の良好な融着性を維持しつつ、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題の発生を抑制可能なポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造することができる。本発明の製造方法により製造されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、上記効果を奏する結果、表面性に優れる発泡粒子成形体を安定して製造し得る。また、本発明の製造方法により製造されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、長期的に発泡粒子成形体の製造を行うことを可能とする。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、ポリエチレン系樹脂から構成された被覆層を有しているものの、当該被覆層が所定範囲の炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含有していることから、製造時の発泡工程におけるブロッキングの問題を生じさせ難い。また本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、かかる被覆層を有するために型内成形時において成形型に対する付着物の蓄積の問題の発生が抑制されると共に発泡粒子同士が良好に融着し得る。そのため、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、型内成形に供与されることによって、表面性に優れる発泡粒子成形体を提供可能である。また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、発泡粒子成形体の長期的な製造に供することが可能である。
本発明の製造方法の一実施形態に関し、(1A)は本発明の製造方法の一実施形態において用いられるポリプロピレン系樹脂粒子の断面図であり、(1B)は(1A)に示すポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させて製造されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子の断面図である。 発泡粒子の全融解熱量及び高温ピーク熱量を得るための、JIS K7122:1987年に記載されたプラスチックの転移熱測定方法に従って得たDSC曲線の一例である。
以下に、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法及び本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子について順に説明する。尚、以下において本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法を、単に本発明の製造方法という場合がある。
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法]
本発明の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする芯層と、芯層の表面に設けられた、芯層を被覆する被覆層とを有するポリプロピレン系樹脂粒子を用いる。かかるポリプロピレン系樹脂粒子に設けられた被覆層は、ポリエチレン系樹脂から構成されると共に、炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを所定の範囲の配合割合で含む。具体的には、本発明の製造方法において、ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中の炭素粒子の配合割合は、0.5重量%以上5重量%以下であり、当該被覆層中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合が0.03重量%以上1重量%未満である。
本発明の製造方法は、上述する被覆層を有するポリプロピレン系樹脂粒子を用い、分散工程、発泡剤含浸工程、発泡工程が実施される。
上記分散工程は、容器内の無機分散剤を含む水性媒体中に、ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる工程である。上記発泡剤含浸工程は、容器内でポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程である。上記発泡工程は、発泡剤を含むポリプロピレン系樹脂粒子(発泡性樹脂粒子)を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる工程である。
本発明の製造方法は、これらの工程以外に本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜任意の工程を追加することができる。
ところで、一般的に、発泡剤が含浸された発泡性樹脂粒子を水性媒体と共に容器から放出して発泡させ発泡粒子を製造する場合、所望の発泡倍率となるよう発泡性樹脂粒子を発泡させるために、容器の内容物を加温して、発泡性樹脂粒子を軟化させる。これに加え、発泡時に発泡粒子同士がブロッキングしないよう、通常、水性媒体には無機分散剤が添加される。しかしながら、芯層及び被覆層を有する発泡性樹脂粒子は、上述する加温により芯層よりも被覆層の方が、軟化が進行しやすい。そのため、無機分散剤が添加されていても発泡時にブロッキングの問題が発生しやすい。特に、高発泡倍率の発泡粒子を得ようとした場合、ブロッキングの問題が発生しやすい傾向にある。
このようなブロッキングの問題が生じた発泡粒子を用いて型内成形を行うと、成形型内への発泡粒子の充填性が低下する。その結果、得られる発泡粒子成形体は、表面にボイド、くぼみなどが形成され、表面性が低下する虞があった。
一般的に、ポリプロピレン系樹脂の融点よりも、ポリエチレン系樹脂の融点又は軟化点の方が低い。そのため、芯層がポリプロピレン系樹脂で構成された樹脂粒子に関し、ポリエチレン系樹脂から構成された被覆層を備える樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂から構成された被覆層を備える樹脂粒子よりも、上述するブロッキングの問題が生じやすかった。そのため、ポリエチレン系樹脂から構成された被覆層を備える樹脂粒子を用いて発泡粒子を製造する際、水性媒体に無機分散剤を多量に添加してブロッキングの問題を防止する試みがなされていた。しかしこの場合、無機分散剤を多く含む水性媒体の排水等の処理が煩雑になり、また環境に対する負荷が増大するという問題があった。また、無機分散剤を多量に添加した場合には、成形条件等によっては融着性が損なわれるという問題があった。
上述するブロッキングの問題に加え、一般的に、被覆層を有する発泡粒子は、型内成形時に、被覆層が成形型に付着しやすい傾向にある。つまり被覆層を有する発泡粒子を用いた場合、付着物の蓄積の問題が発生しやすい。特に、成形型の形状等によっては、型内成形時に、成形部位による加熱ムラが生じ、成形型に加熱されやすい部位が生じる場合がある。このような場合において、被覆層を有する発泡粒子を用いて型内成形を行うと、被覆層の付着による成形型の汚染がより顕著である。成形型に蓄積した付着物の影響により、得られる発泡粒子成形体は、表面にボイドやくぼみ等が形成され、表面性が低下する虞があった。このような付着物の問題も、ポリエチレン系樹脂から構成される被覆層を備える樹脂粒子を用いた場合に特に生じやすかった。
特に、ポリエチレン系樹脂から構成された被覆層を備える発泡粒子を用いて複雑な形状の発泡粒子成形体を製造する場合、付着の蓄積の問題がより顕著であった。この理由は以下のとおり推察された。つまり、発泡粒子成形体の形状が複雑である場合、型内成形時の加熱ムラが発生しやすく、加熱されやすい箇所と加熱され難い箇所が発生しうる。そのため、加熱がされ難い箇所に併せて型内成形の成形条件を設定する必要がある。その結果、全体として成形圧が高くなり、被覆層を構成するポリエチレン系樹脂が溶融して成形型の内壁面に付着するものと推察された。
尚、成形型の形状や、成形条件等にもよるが、例えば、10~30サイクル程度の型内成形を実施する毎に、成形型のクリーニングを行うことにより、上記のような付着物の蓄積の問題を抑制することは可能である。しかし、成形型のクリーニングの頻度が高くなると、生産性が悪化するため、成形型のクリーニングの頻度は低いことが好ましい。
上述するとおり、型内成形時における発泡粒子同士の融着性の改善のために設けられた被覆層は、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題の発生の要因となる。型内成形時における発泡粒子同士の融着性の改善と、かかるブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題の改善とは、一般的には相反する事象であって、両方の課題を同時に解決することは従来困難とされてきた。特に、ポリエチレン系樹脂から構成された被覆層を備える樹脂粒子を用いた場合、融着性の改善効果が高い反面、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題の発生が生じやすい。
しかしながら、上述する構成を備える本発明の製造方法によれば、製造時の無機分散剤の使用量を増やすことなく、これらの問題を同時に解決するポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造が可能である。また本発明の製造方法により製造されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、従来のように頻繁に成形型のクリーニングを実施することなく、長期間にわたり、型内成形により発泡粒子成形体を成形した場合であっても、付着物の蓄積の問題の発生を抑制することができる。
上述する優れた効果が発揮されることにより、本発明の製造方法により製造されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、表面性に優れる発泡粒子成形体を提供可能であり、形状の複雑な成形体を製造する際にも好適に使用することができる。
以下に本発明の製造方法についてさらに詳細に説明する。説明には、適宜、図1を用いる。図1は本発明の製造方法の一実施形態に関し、図(1A)は本発明の製造方法の一実施形態において用いられるポリプロピレン系樹脂粒子10の断面図であり、図(1B)は図(1A)に示すポリプロピレン系樹脂粒子10を発泡させて製造されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子20の断面図である。本発明の製造方法は、図(1A)に示すとおり、芯層11と、芯層11を被覆する被覆層12とを有するポリプロピレン系樹脂粒子10(以下、樹脂粒子10ともいう)を用い、所定の工程を実施することで、図(1B)に示すポリプロピレン系樹脂発泡粒子20(以下、発泡粒子20ともいう)を製造する方法である。発泡粒子20は表面に被覆層22を備える。被覆層22は、芯層11の表面に設けられた被覆層12に起因する層である。
尚、図1は、本発明の製造方法の理解を容易にするために示す概念図であって、樹脂粒子10及び発泡粒子20の粒径や、樹脂粒子10が有する被覆層12及び発泡粒子20が有する被覆層22の厚み比率などを何ら限定するものではない。また、図1に示す樹脂粒子10及び発泡粒子20は、粒子の略中心を通った切断面を示すものであるが、これらの粒子は球形であってもよいし、円柱形状などの任意の形状であってもよい。
尚、被覆層12は、樹脂粒子10を発泡させることにより、発泡粒子20の表面に設けられる被覆層22となる。
(ポリプロピレン系樹脂粒子)
本発明の製造方法に用いる樹脂粒子10は、芯層11と、芯層11の表面に設けられた、芯層11を被覆する被覆層12を有する。被覆層12は、ポリエチレン系樹脂から構成される。被覆層12を備える樹脂粒子10を発泡させて得られる発泡粒子20は、発泡芯層21の表面に被覆層22を有し、これによって型内成形時の発泡粒子20同士の融着性が高められる。
<芯層>
基材樹脂:
芯層11は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂として構成される。尚、本明細書において芯層11の基材樹脂とは、芯層11を構成する樹脂100重量%において50重量%以上を占める樹脂をいい、1種のポリプロピレン系樹脂であってもよいし2種以上のポリプロピレン系樹脂であってもよい。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体又はプロピレンに由来する構造単位を、50重量%を超えて含むポリプロピレン系共重合体が例示される。
上記プロピレン単独重合体としては、例えばアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリプロピレン等のプロピレン単独重合体が例示される。
また上記ポリプロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体などのプロピレンとエチレン又は炭素数4以上のαオレフィンとの共重合体や、プロピレン-アクリル酸共重合体、プロピレン-無水マレイン酸共重合体等が例示できる。尚、これらの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
また上述する重合体は架橋したものであってもよいが、無架橋のものであることが好ましい。発泡粒子の型内成形性の観点からは、ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン系共重合体が好ましく、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体から選択される1種以上がより好ましく、プロピレン-エチレン共重合体がさらに好ましい。
尚、本発明に関し、基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂を含み、芯層11を構成する材料を、ポリプロピレン系樹脂組成物という場合がある。ポリプロピレン系樹脂組成物は、基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂の他に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその他の重合体及び任意の添加剤を含んでもよい。
その他の重合体:
その他の重合体としては、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等のポリプロピレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂や、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等のエラストマー等が例示される。これらの他の重合体は2種以上含まれていてもよい。
芯層11を構成する樹脂中におけるその他の重合体の配合割合は、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましく、5重量%以下であることがよりさらに好ましく、3重量%以下であることが特に好ましく、0重量%、つまり、芯層11は、重合体としてポリプロピレン系樹脂のみを含むことが最も好ましい。
任意の添加剤:
任意の添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、気泡調整剤、滑剤、結晶核剤、着色剤、導電材、帯電防止剤等が挙げられる。また、炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンの少なくとも一方が芯層11に含まれていることが好ましく、炭素粒子としてカーボンブラックなどの黒色炭素粒子が芯層11に含まれていることがより好ましく、カーボンブラック及びNOR型ヒンダードアミンが芯層11に含まれていることが特に好ましい。適宜の量のカーボンブラックなどの黒色炭素粒子が芯層11に含有されることにより、黒色の発泡粒子20を提供可能である。また適宜の量のNOR型ヒンダードアミンが芯層11に含有されることにより、難燃性に優れた発泡粒子20を提供可能である。
尚、黒色炭素粒子とは、黒色を呈する炭素粒子を指し、カーボンブラックのように黒色顔料として用いられる炭素粒子、及び樹脂粒子に混在させることで樹脂粒子に黒色を付することが可能な炭素粒子を広く含む。
芯層11に使用可能な炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンについては、後述する被覆層12において説明する炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンの記載を適宜参照することができる。
発泡粒子の成形性を維持しつつ、剛性等の機械的物性により優れる発泡粒子成形体を得るという観点からは、芯層11を構成するポリプロピレン系樹脂の融点は、130℃以上155℃以下であることが好ましく、135℃以上150℃以下であることがより好ましく、140℃以上148℃以下であることがさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の融点は、JIS K7121:1987に基づいて求めることができる。この際、試験片の状態調節としては、「(2)一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」が採用される。より具体的には、ペレット状の基材樹脂2mgを試験片としてJIS K7121:1987に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、10℃/分の昇温速度で23℃から200℃まで昇温した後に、10℃/分の冷却速度で23℃まで降温し、再度10℃/分の昇温速度で23℃から200℃まで昇温した際に得られるDSC曲線により定まる融解ピークの頂点温度を基材樹脂の融点とする。なお、DSC曲線において融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。測定装置としては、熱流束示差走査熱量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製、型番:DSC7020)などが挙げられる。
発泡粒子20を用いて型内成形された発泡粒子成形体に良好な黒色の外観を付与するという観点からは、樹脂粒子10中のカーボンブラックなどの黒色炭素粒子の配合割合は、0.5重量%以上であることが好ましく、1.0重量%以上であることがより好ましく、1.5重量%以上であることがさらに好ましく、2.0重量%以上であることが特に好ましい。
一方、発泡粒子20を用いて型内成形された発泡粒子成形体の難燃性が損なわれにくいという観点から、樹脂粒子10中のカーボンブラックなどの炭素粒子の配合割合は、5.0重量%以下であることが好ましく、4.0重量%以下であることがより好ましく、3.5重量%以下であることがさらに好ましく、3.0重量%以下であることが特に好ましい。
炭素粒子を含んでいても、得られる発泡粒子成形体の難燃性が損なわれ難いという観点から、樹脂粒子10中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、0.03重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましく、0.06重量%以上であることがさらに好ましい。
一方、得られる発泡粒子成形体の気泡径のバラツキを抑制しやすく、色調等の外観特性に優れる発泡粒子成形体を得やすいという観点から、樹脂粒子10中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、0.4重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがより好ましく、0.2重量%以下であることがさらに好ましい。
芯層11にNOR型ヒンダードアミンを配合する場合、芯層11に含まれるNOR型ヒンダードアミンの分子量は400以上2500以下であることが好ましく、500以上1200以下であることがより好ましい。上述の範囲である分子量を示すNOR型ヒンダードアミンを芯層11に用いることで、発泡粒子20のかさ密度が低い場合、あるいは発泡粒子20が炭素粒子を含む場合であっても、得られる発泡粒子成形体に安定して難燃性を付与することができる。
また、芯層11に含まれるNOR型ヒンダードアミンの分子量は600以上800以下であることがさらに好ましい。上記分子量の範囲であれば、芯層11に黒色炭素粒子等の着色剤を含む発泡粒子20を用いた場合であっても、得られる発泡粒子成形体の色調のムラの発生をより抑制することができる。尚、これらの効果が発現する理由は、定かではないが、以下のことが考えられる。上記範囲の分子量のNOR型ヒンダードアミンは、芯層11を構成する基材樹脂と混ざりやすく、基材樹脂中で凝集し難い。そのため、当該組成物中でNOR型ヒンダードアミンの凝集物が生じ難く、凝集物に由来する気泡核の形成が抑制される。これにより、発泡粒子20における気泡径のバラツキがより低減され、得られる成形体の気泡膜厚みが均一になりやすいことが考えられる。
<被覆層>
被覆層12は、樹脂粒子10の芯層11の表面の一部又は全部を被覆する層である。
たとえば、被覆層12を有する樹脂粒子10を発泡させて得た発泡粒子20は、単層発泡粒子を型内成形して単層発泡粒子成形体を製造する際の最低スチーム圧力よりも低いスチーム圧力で上記単層発泡粒子成形体と同等の発泡粒子成形体を提供することが可能である。上記比較は、単層発泡粒子と発泡粒子20とが、被覆層12の有無以外の構成(たとえば発泡倍率や粒子径等)が同等である条件下で行われる。尚、単層発泡粒子とは、芯層11のみから構成される単層の樹脂粒子を発泡させて得た発泡粒子のことをいい、最低スチーム圧力とは、単層発泡粒子を十分に融着させ良好な発泡粒子成形体を提供可能な型内成形時のスチーム圧の中で最も低い圧力をいう。
樹脂粒子10は、芯層11を構成するポリプロピレン系樹脂の融点よりも、低い融点又は軟化点を示すポリエチレン系樹脂から構成される被覆層12を備える。かかる被覆層12を有する樹脂粒子10を発泡させて得られる発泡粒子20は、表面に被覆層12に起因する被覆層22を有する。そのため、被覆層22を有する発泡粒子20は、型内成形時に良好な融着性を示す。尚、ポリエチレン系樹脂の軟化点(ビカット軟化温度)は、JIS K7206:2016年のA50法に基づいて測定される。また、被覆層を構成するポリエチレン系樹脂の融点は、上記芯層11を構成するポリプロピレン系樹脂の融点と同様に、JIS K7121:1987年に基づいて測定される。ただし、被覆層を構成するポリエチレン系樹脂の融点の測定では、DSC曲線において融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も低温側の融解ピークの頂点の温度を融点とする。
本発明に関し、基材樹脂であるポリエチレン系樹脂に加え、後述する炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含み、被覆層12を構成する材料を、ポリエチレン系樹脂組成物という場合がある。ポリエチレン系樹脂組成物は、上記に加え、基材樹脂であるポリエチレン系樹脂以外のその他の重合体及び任意の添加剤を含んでいてもよい。
被覆層12は、本発明の所期の課題が達成されうる範囲であれば、樹脂粒子10の表面全体に存在していてもよいし、表面の一部に存在していてもよい。典型的な樹脂粒子10の例としては、円柱形や略球形が挙げられる。
発泡粒子20の型内成形性を高めるという観点から、樹脂粒子10の全重量に対する被覆層12の重量割合は0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、2重量%以上であることがさらに好ましい。また、型内成形によって得られる発泡粒子成形体の機械的強度を高めるという観点から、樹脂粒子10の全重量に対する被覆層12の重量割合は15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、8重量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂粒子10中の被覆層12の重量割合が、上記範囲内であることによって、これを用いて製造される発泡粒子の物性を損なうことなく融着性に優れた発泡粒子20を得ることができると共に、本発明の所期の問題を解決することが可能である。換言すると、被覆層12を有しない芯層11のみの単層の樹脂粒子を用いて製造された発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体に対して期待される物性は、上記割合の被覆層12を有する樹脂粒子10を用いて製造された発泡粒子20を型内成形してなる発泡粒子成形体においても十分に発揮されうる。
基材樹脂:
被覆層12は、ポリエチレン系樹脂から構成される。ここでポリエチレン系樹脂から構成されるとは、被覆層12がポリエチレン系樹脂を基材樹脂として構成されることを意味する。換言すると、被覆層12は、被覆層12を構成する樹脂100重量%において、ポリエチレン系樹脂を50重量%以上含む。
上記ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体又はエチレンに由来する構造単位を、50重量%を超えて含むポリエチレン系共重合体が例示される。
上記ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸アルキルエステル共重合体等が例示される。基材樹脂であるポリエチレン系樹脂は1種のポリエチレン系樹脂であってもよいし2種以上の混合樹脂であってもよい。尚、これらの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
中でも、芯層11と被覆層12との剥離を抑制する観点から、ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンから選択される1種以上であることが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましい。低密度ポリエチレンとは、長鎖分岐構造を有し、密度が910kg/m以上930kg/m未満のポリエチレン系樹脂をいい、直鎖状低密度ポリエチレンとは、エチレンと炭素数4~8のα-オレフィンとの共重合体であって、実質的に分子鎖が線状であり、密度が910kg/m以上930kg/m未満のポリエチレン系樹脂をいい、高密度ポリエチレンとは、エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数4~8のα-オレフィンとの共重合体であって、密度が930kg/m以上のポリエチレン系樹脂をいう。
被覆層12が、メタロセン系重合触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンを、上記ポリエチレン系樹脂として含むことは本発明の好ましい態様の1つである。被覆層12を構成するポリエチレン系樹脂として、実質的に、メタロセン系重合触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンのみであることがより好ましい。
メタロセン系重合触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンを含む被覆層12あるいは被覆層22は、芯層11あるいは発泡芯層21との剥離が特に抑制されやすい傾向にある。そのため、上記直鎖状低密度ポリエチレンを含む被覆層22を備える発泡粒子20は、型内成形時において成形型への付着物の蓄積の問題がより抑制される。
その他の重合体:
被覆層12を構成する樹脂には、基材樹脂であるポリエチレン系樹脂の他に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその他の重合体が含まれていてもよい。
その他の重合体としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリエステル系樹脂等のポリエチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂や、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等のエラストマー等が例示される。これらの他の重合体は、2種以上含まれていてもよい。
被覆層12を構成する樹脂中におけるその他の重合体の配合割合は、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましく、5重量%以下であることがよりさらに好ましく、3重量%以下であることが特に好ましく、0重量%、つまり、被覆層12は、重合体としてポリエチレン系樹脂のみを含むことが最も好ましい。
発泡粒子20の成形性をより向上させる観点、被覆層12と芯層11との剥離が抑制されやすい観点からは、被覆層12を構成するポリエチレン系樹脂の融点は、100℃以上125℃以下であることが好ましく、105℃以上120℃以下であることがより好ましい。また、同様の観点から、被覆層12を構成するポリエチレン系樹脂の融点Tmsと芯層11を構成するポリプロピレン系樹脂の融点Tmcとの融点差[Tmc-Tms]が0を超え40℃以下であることが好ましく、5℃以上38℃以下であることがより好ましく、10℃以上35℃以下であることがさらに好ましい。このような融点差を有する樹脂粒子10から得られる発泡粒子20は、一般的には付着物の蓄積の問題をより生じやすいものであるが、本発明によれば、抑制することができる。
炭素粒子:
本発明は、所期の課題を解決するために被覆層12に炭素粒子を含有させる。一般的に、樹脂粒子あるいは発泡粒子には、黒色を付するための着色剤としてカーボンブラックが使用されている。しかし、本発明によって、カーボンブラックなどの炭素粒子が、後述するNOR型ヒンダードアミンと共に被覆層12に所定範囲の量で配合されることによって、発泡粒子成形体の融着性の改善、並びにブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題の改善という、相反する事象を同時に解決可能であることが明らかにされた。
被覆層12に含まれる炭素粒子としては、炭素を含んで構成された粒子を広く含み、たとえばカーボンブラック、導電性カーボン、カーボンナノチューブ、グラフェン等から選択された1種又は2種以上の材料が例示される。付着物の蓄積の問題をより良好に解決可能であるという観点からは、炭素粒子としてはカーボンブラックが好ましい。炭素粒子の粒子径は特に限定されないが、基材樹脂に混合させやすく、発泡粒子20の表面平滑性を阻害しにくいという観点からは、粒子径が1nm以上500nm以下の範囲であることが好ましく、3nm以上100nm以下がより好ましく、5nm以上50nm以下がさらに好ましく、10nm以上30nm以下がよりさらに好ましい。炭素粒子の粒子径は、たとえば透過型電子顕微鏡による観察により求めることができる。
被覆層12に含まれるカーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等を使用することができる。中でも、ファーネスブラックは、ポリエチレン系樹脂への分散性と材料コストとのバランスに優れるため、本発明に用いられる炭素粒子として好ましい。
尚、炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンのうち、炭素粒子を含まずNOR型ヒンダードアミンのみを含有する被覆層を備える樹脂粒子であっても、ブロッキングの問題は解決され得る。しかしながら、当該樹脂粒子を用いて製造された発泡粒子を型内成形に供した場合、付着物の蓄積の問題が発生する場合があった。これに対し、被覆層にさらにカーボンブラックなどの炭素粒子を含有させることによって、ブロッキングの問題だけでなく付着物の蓄積の問題も十分に解決可能である。
本発明において、被覆層12中の炭素粒子の配合割合は、0.5重量%以上5重量%以下である。
被覆層が後述するNOR型ヒンダードアミンを所定の範囲で含んでいても、当該被覆層に含まれる炭素粒子の配合割合が上記範囲から外れた場合、望ましい発泡粒子を提供できない虞がある。即ち、被覆層における炭素粒子の配合割合が少なすぎる場合(0重量%である場合を含む)、型内成形時において、発泡粒子の表面が成形型に付着しやすくなり、成形型が汚染されやすくなる虞や、得られる発泡粒子成形体の表面性が低下する虞がある。一方、被覆層における炭素粒子の配合割合が多すぎる場合、得られる発泡粒子成形体が燃えやすくなる虞がある。
型内成形時における成形型への被覆層22の付着を抑制しやすく、かつ、色調のむらの発生を抑制して良好な外観を有する発泡粒子成形体を提供しやすくするという観点から、被覆層12における炭素粒子の配合割合は、1.0重量%以上であることが好ましく、1.5重量%以上であることがより好ましく、2.0重量%以上であることがさらに好ましい。一方、発泡粒子20の型内成形性を高めると共に、得られる発泡粒子成形体を燃え難くするという観点から、被覆層12における炭素粒子の配合割合は、4.5重量%以下であることが好ましく、4.0重量%以下であることがより好ましく、3.5重量%以下であることがさらに好ましい。
NOR型ヒンダードアミン:
被覆層12は、所定の範囲の量のNOR型ヒンダードアミンを含む。
具体的には、被覆層12におけるNOR型ヒンダードアミンの配合割合は0.03重量%以上1重量%未満である。NOR型ヒンダードアミンの配合割合が上記範囲から外れた場合、望ましい発泡粒子を提供できない虞がある。即ち、被覆層におけるNOR型ヒンダードアミンの配合割合が低すぎる場合(0重量%である場合を含む)、発泡工程時に発泡粒子同士がブロッキングしやすくなる虞がある。また、同様に上記範囲から外れた場合、発泡粒子の表面が成形型に付着しやすくなり、成形型が汚染されやすくなる虞や、得られる発泡粒子成形体の表面性が低下する虞がある。一方、被覆層におけるNOR型ヒンダードアミンの配合割合が大きすぎる場合、型内成形により得られた発泡粒子成形体の融着性が低下する虞がある。
発泡粒子20同士のブロッキング及び付着物の蓄積の問題がより良好に抑制されると共に、炭素粒子を含んでいても、得られる発泡粒子成形体を燃え難くするという観点から、被覆層12中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、0.05重量%以上であることが好ましく、0.08重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることが更に好ましい。一方、発泡粒子20同士の融着性を良好に維持し発泡粒子20の型内成形性を高めるという観点から、被覆層12中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、0.8重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明に関し、NOR型ヒンダードアミンとは、N-アルコキシル基(>N-OR)の構造を有する化合物である。NOR型ヒンダードアミンとしては、例えば、下記一般式(1)の骨格を少なくとも1つ備える化合物が挙げられる。一般式(1)におけるRには、任意の構造が結合する。例えば、一般式(1)におけるRとして、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基等が例示される。また、一般式(1)におけるアルコキシル基としては、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が例示される。
Figure 2023025505000002
本発明に用いられるNOR型ヒンダードアミンの好ましい例としては、例えば下記化学式(2)~化学式(4)で示される化合物などが挙げられる。
化学式(2)は、商品名NOR116(分子量2261、BASF社製)、化学式(3)は、商品名FP-T80(分子量681、株式会社ADEKA社製)、化学式(4)は、商品名Tinuvin123(分子量737、BASF社製)である。
Figure 2023025505000003
Figure 2023025505000004
Figure 2023025505000005
尚、被覆層12は、1種のNOR型ヒンダードアミンを含んでもよいし、2種以上のNOR型ヒンダードアミンを含んでもよい。また、被覆層12は、NOR型ヒンダードアミンに加えて、NOR型ヒンダードアミン以外の他のヒンダードアミンを含んでいてもよい。
被覆層12中に、一般式(1)で表されるNOR型ヒンダードアミン以外の他のヒンダードアミンが含まれる場合、他のヒンダードアミンの配合割合は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で調整されればよい。
上述のとおり、本発明では、被覆層12に含まれるヒンダードアミンとして、NOR型ヒンダードアミンを用いる。これにより、本発明は、成形体の高い融着性を維持しつつ、本発明の所期の課題であるブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題を良好に解決することができる。この理由は定かではないが、電気的な相互作用により、NOR型ヒンダードアミンは、水性媒体中で無機分散剤を適度に引き付けやすく、これによって表面に無機分散剤が適度に付着した発泡粒子が製造されるためではないかと推察される。
本発明の所期の課題が解決されると共に、被覆層12を構成する基材樹脂中での分散性に優れ、基材樹脂中でより凝集し難いという観点からは、用いられるNOR型ヒンダードアミンの分子量は400以上2500以下であることが好ましく、500以上1200以下であることがより好ましく、600以上800以下であることがさらに好ましい。
尚、被覆層12に1種類のNOR型ヒンダードアミンが含まれている場合、上述するNOR型ヒンダードアミンの分子量は、当該NOR型ヒンダードアミンを構成する原子の原子量の合計である。
一方、被覆層12に複数種類のNOR型ヒンダードアミンが含まれている場合、上述するNOR型ヒンダードアミンの分子量は、被覆層12に含まれるNOR型ヒンダードアミンの分子量の加重平均とする。また被覆層12に含まれる個々のNOR型ヒンダードアミンのモル比率が不明である場合、ポリスチレンを標準物質とするGPCにより求められる平均分子量をかかるNOR型ヒンダードアミンの分子量とすることができる。
上述する樹脂粒子10の被覆層12中の、炭素粒子の配合割合(重量%)に対する、NOR型ヒンダードアミンの配合割合(重量%)の比は、0.01以上0.2以下であることが好ましく、0.02以上0.18以下であることがより好ましく、0.03以上0.15以下であることがさらに好ましい。被覆層12における炭素粒子とNOR型ヒンダードアミンとの配合割合を上述する比の範囲に調整することによって、これを用いて発泡粒子20を製造した際に、良好な融着性を維持しつつ、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題をより良好に抑制しやすい。その結果、型内成形性に優れる発泡粒子20を得やすい。
上述する樹脂粒子10の被覆層12中の、炭素粒子の配合割合(重量%)とNOR型ヒンダードアミンの配合割合(重量%)との合計は、0.8重量%以上5.5重量%以下であることが好ましく、1.2重量%以上4.5重量%以下であることがより好ましく、1.5重量%以上4重量%以下であることがさらに好ましく、2重量%以上3.5重量%以下であることが特に好ましい。被覆層12における炭素粒子の配合割合とNOR型ヒンダードアミンの配合割合との合計が上述する範囲に調整されることによって、かかる樹脂粒子10を用いて発泡粒子20を製造した際に、良好な融着性を維持しつつ、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題をより良好に抑制しやすい。その結果、型内成形性に優れる発泡粒子20を得やすい。
その他の添加剤:
本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、被覆層12を構成するポリエチレン系樹脂組成物は、その他の添加剤を1種以上含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば難燃剤、難燃助剤、滑剤、結晶核剤、導電材、帯電防止剤等が例示される。
<樹脂粒子の造粒方法>
樹脂粒子10の造粒方法は、特に限定されず、上述する芯層11及び被覆層12を備える構成が実現される範囲において適宜の方法を採用可能である。
共押出による造粒方法:
例えば、樹脂粒子10の造粒方法として、押出機を用いた共押出により、芯層11の表面に被覆層12が積層された樹脂粒子10を得る方法が挙げられる。共押出により芯層11の表面に被覆層12を積層する方法は、樹脂粒子10における被覆層12の重量割合を調整しやすい点や、比較的厚みの均一な被覆層12を、樹脂粒子10に生産性良く形成できる点で好ましい。上記方法は具体的には、まず、芯層11を形成するための基材樹脂、必要に応じて添加される気泡調整剤等を含むポリプロピレン系樹脂組成物を芯層形成用押出機に供給し、該押出機内で基材樹脂等を溶融すると共に混練することにより、芯層形成用溶融混練物を得る。一方、被覆層12を形成するための基材樹脂、炭素粒子、NOR型ヒンダードアミン等を含むポリエチレン系樹脂組成物を被覆層形成用押出機に供給し、該押出機内で基材樹脂等を溶融すると共に混練することにより、被覆層形成用溶融混練物を得る。次いで、芯層形成用押出機の下流側に設けられた共押出用ダイス内で芯層形成用溶融混練物と、被覆層形成用溶融混練物とを合流させ、芯層形成用溶融混練物の外周に、被覆層形成用溶融混練物を積層して押し出すことにより、多層構造のストランドを形成する。次いで、ペレタイザー等によりストランドを所望の寸法に切断することにより、多層構造の樹脂粒子10が得られる。ストランドは、押出方向に直交する断面の形状が円形状等の積層体である。このようにして得られた樹脂粒子10は、例えば、円柱状などの柱状を呈し、芯層11が中心に設けられると共に、両端面には被覆層12を有さず、両端面以外の外周面に被覆層12が設けられる。このように、樹脂粒子10の一部において芯層11が露出していてもかまわない。
尚、上記共押出において、多層構造の樹脂粒子10を得る際に、被覆層12の基材樹脂等の種類や、樹脂粒子10における被覆層12の割合、押出条件や切断条件等を調整するとよい。そして、例えば、ストランドが十分に軟化した状態で、ストランドを切断する方法等を採用することにより、芯層11の略全面が被覆層12により覆われた樹脂粒子10を得ることができる。また、円柱状の樹脂粒子10を、分散媒中で、芯層11を構成する基材樹脂等の融点以上で所定時間加熱する等して、樹脂粒子10に球形化処理を施すことにより、略球状の樹脂粒子10を得ることができる。
混合による造粒方法:
また樹脂粒子10の異なる造粒方法として、予め粒子状に形成された芯層11と、被覆層12を構成するためのポリエチレン系樹脂組成物とを混合させ、芯層11の表面に被覆層12を形成する方法が挙げられる。かかる造粒方法の一例としては、まず、粒子状に形成された芯層11を混合機能及び加熱機能を有する混合装置に投入して芯層11の表層部を加熱する。次いで被覆層12を構成するためのポリエチレン系樹脂組成物を上記混合装置等に投入し、加熱された芯層11とポリエチレン系樹脂組成物とを混合することで、芯層11の表面に上記ポリエチレン系樹脂組成物を被覆させる。
このようにして、被覆層12を備える多層構造の樹脂粒子10が得られる。かかる造粒方法は、芯層11の表面全面に被覆層12を形成しやすい点で好ましい。
(分散工程)
次に本発明の製造方法における分散工程について説明する。
分散工程は、容器内に入れられた水性媒体中に、上述する樹脂粒子10を分散させる工程である。上記水性媒体には、無機分散剤が含まれる。また、上記水性媒体は、無機分散剤以外の任意の添加剤を適宜含有していてもよい。
水性媒体:
水性媒体は、樹脂粒子10を容器内において分散させるための媒体である。水性媒体として、水、アルコール類、グリコール類、グリセリン等が挙げられ、中でも、排水処理の容易さ等の観点から水が好ましい。樹脂粒子10の分散性及び発泡粒子20の生産性を良好にするという観点からは、水性媒体に対する樹脂粒子10の添加量は、水性媒体100重量部に対して、10重量部以上100重量部以下であることが好ましく、20重量部以上80重量部以下であることがより好ましい。
無機分散剤:
無機分散剤は、水性媒体中で樹脂粒子10を良好に分散させると共に、発泡工程時において発泡粒子20同士のブロッキングを抑制するために用いられる。
発泡粒子20の型内成形性を維持しつつ、発泡粒子20同士のブロッキングを抑制しやすくするという観点から、無機分散剤の添加量は、樹脂粒子10、100重量部に対して、0.01重量部以上2重量部以下であることが好ましく、0.02重量部以上1重量部以下であることがより好ましく、0.03重量部以上0.8重量部以下であることがさらに好ましく、0.05重量部以上0.6重量部以下であることがよりさらに好ましく、0.1重量部以上0.5重量部以下であることが特に好ましい。
従来、被覆層がポリエチレン系樹脂から構成される発泡粒子は、融着性が高い反面、ブロッキング及び付着物の蓄積の問題を生じやすいものであった。しかし、本発明の製造方法により得られる発泡粒子20は、被覆層22が所定範囲のカーボンブラック及びNOR型ヒンダードアミンを含有する。そのため発泡粒子20は、ブロッキングの問題の影響を受け難く、また、付着物の蓄積の問題の発生が抑制される。さらに、上記無機分散剤の添加量を増加させなくても、ブロッキング及び付着物の蓄積の問題の発生を抑制することができる。さらにはポリエチレン系樹脂から構成される被覆層22を備える発泡粒子20を製造する際に従来必要とされていた無機分散剤の使用量を減らした場合であっても、ブロッキング及び付着物の蓄積の問題の発生を抑制することができる。
無機分散剤としては、例えば、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ等の無機微粒子を使用することができる。これらの無機微粒子は、単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、被覆層12に含まれるNOR型ヒンダードアミンとの相性がよく、またブロッキングの抑制効果に優れることから、カオリンを用いることが好ましい。
任意の添加剤:
水性媒体は、無機分散剤に加え、さらに分散助剤及び界面活性剤等の任意の添加剤を1種以上含んでいてもよい。分散助剤としては、例えば、硫酸アルミニウム等が挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。これらの添加剤は通常、樹脂粒子10、100重量部に対して0.01重量部以上1重量部以下の範囲で添加される。
(発泡剤含浸工程)
次に発泡剤含浸工程について説明する。
発泡剤含浸工程は、容器内で水性媒体中に分散した樹脂粒子10に発泡剤を含浸させ発泡性樹脂粒子を得る工程である。発泡剤含浸工程は、上述する分散工程の後実施されていてもよいし、工程の一部又は全部が分散工程と重なって実施されてもよい。
発泡剤含浸工程は、一般的な発泡粒子製造方法において水性媒体中に分散した樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程から適宜選択して実施される。例えば、樹脂粒子10が入った密閉容器を密封し、密閉容器内に発泡剤を加える。これにより発泡剤を樹脂粒子10に含浸させて発泡性樹脂粒子を得ることができる。
密閉容器内への物理発泡剤の添加は、樹脂粒子を発泡させる前の任意のタイミングで行われればよい。固体状態の発泡剤を分散工程時に樹脂粒子10と共に水性媒体に添加し、その後、加温などにより気体状態となった発泡剤を樹脂粒子10に含浸させてもよい。また、分散工程と並行して、又は分散工程終了後に、密閉容器に気体である発泡剤を圧入して樹脂粒子10に含浸させてもよい。例えば物理発泡剤として二酸化炭素を使用する場合、分散工程時、ドライアイスの形態である発泡剤を樹脂粒子10と共に水性媒体に添加してもよく、あるいは、分散工程時又は分散工程終了後、気体状態である二酸化炭素を密閉容器内に圧入してもよい。
樹脂粒子10に対し発泡剤を含浸させる際、密閉容器内を加熱及び/又は加圧することにより、樹脂粒子10への発泡剤の含浸を促進することができる。
また、得られる発泡粒子20の結晶状態を調整するために、上述する分散工程及び/又は発泡剤含浸工程において、密閉容器の昇温速度の調整や、密閉容器を所定の温度で所定時間保持するなどの調整を行ってもよい。例えば、熱流束示差走査熱量測定により得られるDSC曲線において、発泡粒子20の発泡芯層21を構成する基材樹脂の吸熱ピーク(固有ピーク)よりも高温側に吸熱ピーク(高温ピーク)が現れるよう、調整することが可能である。このように高温ピークを示す発泡粒子20は、良好な発泡粒子成形体を得ることができる成形条件範囲がより広いという観点から好ましい。上述する高温ピークを得るための調整は、たとえば、次のようにして行うことができる。上述する分散工程及び/又は発泡剤含浸工程において、(ポリプロピレン系樹脂の融点-20℃)以上(ポリプロピレン系樹脂の融解終了温度)未満の温度で10~60分程度保持する一段保持工程を行う。その後、(ポリプロピレン系樹脂の融点-15℃)から(ポリプロピレン系樹脂の融解終了温度)未満の温度に調節する。そして、必要によりその温度でさらに10~60分程度保持する二段保持工程を行う。次いで、後述する発泡工程を行うことにより、高温ピークを有する発泡粒子を製造することができる。
尚、得られる発泡粒子20における全融解熱量は、50J/g以上90J/g以下であることが好ましく、60J/g以上80J/g以下であることがより好ましい。また、得られる発泡粒子20における高温ピークの吸熱量(高温ピーク熱量)は、5J/g以上40J/g以下であることが好ましく、8J/g以上30J/g以下であることがより好ましく、10J/g以上20J/g以下であることがさらに好ましい。
発泡粒子20における全融解熱量及び高温ピーク熱量は、JIS K7122:1987に基づいて、発泡粒子1~3mgを試験片とし、10℃/分の加熱速度で23℃から試験片の融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱して得られるDSC曲線から求められる。
発泡剤:
本発明に用いられる発泡剤は、一般的な発泡粒子を得るために用いられる発泡剤の中から適宜選択される。
例えば物理発泡剤は本発明における発泡剤として好ましい。物理発泡剤の具体例としては、無機物理発泡剤及び/又は有機物理発泡剤を使用できる。無機物理発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、水等が挙げられる。有機物理発泡剤としては、プロパン、ブタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、及び、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
これらの物理発泡剤は、単独で用いられてもよいし、二種以上併用して用いられてもよい。これらの発泡剤のうち、好ましくは、二酸化炭素、窒素、空気等の無機物理発泡剤を主成分とする発泡剤が用いられ、より好ましくは、二酸化炭素が用いられる。本発明において、上記無機物理発泡剤を主成分とするとは、物理発泡剤が無機物理発泡剤を50モル%以上含有していることを意味する。物理発泡剤が無機物理発泡剤を70モル%以上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがより好ましく、物理発泡剤が無機物理発泡剤のみからなることがさらに好ましい。
物理発泡剤の添加量は、樹脂粒子10を構成する基材樹脂の種類や発泡剤の種類、目的とする発泡粒子20のかさ密度等に応じて適宜決定される。特に、所望するかさ密度に応じて物理発泡剤の添加量を決定するとよい。例えば、物理発泡剤として二酸化炭素を用いた場合、二酸化炭素の添加量は、樹脂粒子10、100重量部に対して好ましくは0.1重量部以上30重量部以下、より好ましくは0.5重量部以上15重量部以下、さらに好ましくは1重量部以上10重量部以下である。
(発泡工程)
上述する発泡剤含浸工程により発泡性樹脂粒子が得られた後、発泡工程が実施される。
発泡工程は、発泡剤を含む樹脂粒子10(発泡性樹脂粒子)を水性媒体と共に容器から放出して発泡させて発泡粒子20を得る工程である。より具体的には、発泡性樹脂粒子を水性媒体と共に密閉容器の内圧よりも低い圧力下に放出することにより、発泡性樹脂粒子を発泡させる。かかる発泡方法は、かさ密度の低い発泡粒子20を容易に得られやすく、好ましい。
ただし、従来は、被覆層を備える樹脂粒子を用いて上述する発泡工程を実施すると、発泡粒子同士が合着しやすく、ブロッキングの問題が発生する虞があった。特に被覆層がポリエチレン系樹脂から構成されている場合にはブロッキングの問題が顕著であった。これに対し、本発明の製造方法は、炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを所定の範囲で含有する被覆層12を備える樹脂粒子10を用いることで、上述するブロッキングの発生を十分に抑制することができる。
かさ密度の調整:
発泡粒子20のかさ密度は、例えば、発泡工程において、密閉容器の内容物を放出する際の、密閉容器内の温度や圧力などの発泡条件の適宜の変更によって調整可能である。
また、よりかさ密度の低い発泡粒子20を所望する場合、以下に示す二段発泡工程のように、発泡粒子を多段的に発泡させる工程を実施してもよい。二段発泡工程は、まず、上述のとおり得られた発泡粒子20を加圧可能な密閉容器に貯留し、空気などの気体を該密閉容器内に圧入することにより加圧処理をして発泡粒子20の気泡内の内圧を高める操作を行う。その後、該発泡粒子20を密閉容器から取り出し、これをスチームや熱風を用いて加熱することにより、該発泡粒子20を発泡させることで二段発泡工程が実施される。かかる二段発泡工程を実施することにより、より低いかさ密度である発泡粒子20(二段発泡粒子)を得ることが可能である。
また、一度の発泡工程で低いかさ密度の発泡粒子20を得るのに比べ、二段発泡工程を実施して低いかさ密度の発泡粒子20を得る方が、最終的に得られる発泡粒子20の気泡径を大きくしやすい。二段発泡工程を実施して得た発泡粒子20を用いて製造された発泡粒子成形体は、色調のむらの発生がより効果的に抑制され得る。
発泡粒子のかさ密度:
本発明の製造方法において製造される発泡粒子20のかさ密度は特に限定されず、これを用いて成形される発泡粒子成形体の用途等を勘案して適宜決定することができる。例えば発泡粒子成形体の軽量性を図るという観点からは、発泡粒子20のかさ密度は、500kg/m以下であることが好ましく、100kg/m以下であることがより好ましく、60kg/m以下であることがさらに好ましく、50kg/m以下であることがよりさらに好ましく、40kg/m以下であることが特に好ましい。
発泡粒子20のかさ密度は、発泡粒子成形体の剛性をより高めるという観点からは、10kg/m以上であることが好ましく、15kg/m以上であることがより好ましく、18kg/m以上であることがさらに好ましい。
従来の被覆層を有する発泡粒子は、かさ密度が低いもの(例えば、かさ密度が60kg/m以下である発泡粒子)ほどブロッキングの問題が生じやすかった。
これに対し本発明の製造方法によれば、かさ密度の低い発泡粒子を得る場合であっても、被覆層12を有しつつブロッキングの問題が抑制された発泡粒子20を製造することができる。その結果、融着性及び表面性に優れると共に軽量化が図られた発泡粒子成形体を提供可能である。
かさ密度の測定方法:
上述する発泡粒子のかさ密度は、以下の方法により測定される。まず、測定に供する発泡粒子を気温23℃、相対湿度50%、1atmの環境中で24時間以上放置する。このようにして得られた重量W(g)の発泡粒子群をメスシリンダー内に充填し、メスシリンダー底面で床面を数度、軽く叩くことにより、メスシリンダー内の発泡粒子群の充填高さを安定させる。メスシリンダーの目盛りが指す発泡粒子群のかさ体積V(L)を読み取り、発泡粒子群の重量Wを発泡粒子群のかさ体積Vで除す(W/V)。これにより求められる値をkg/mに単位換算することにより、発泡粒子のかさ密度(kg/m)を得ることができる。
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子]
次に本発明のポリプロピレン樹脂発泡粒子について説明する。本発明のポリプロピレン樹脂発泡粒子の製造方法は限定されないが、上述する本発明の製造方法により容易に発泡粒子を製造することができる。本発明のポリプロピレン樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡芯層21と、発泡芯層21の表面を被覆する被覆層22とを有する発泡粒子20である。被覆層22は、ポリエチレン系樹脂から構成されると共に、炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを所定の範囲で含む。具体的には、被覆層22中の炭素粒子の配合割合は0.5重量%以上5重量%以下であり、被覆層22中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合が0.03重量%以上1重量%未満である。図(1B)に示す発泡粒子20は、本発明のポリプロピレン樹脂発泡粒子として理解される。
尚、発泡粒子20の表面に存在する被覆層22は、発泡層であってもよいし、非発泡層であってもよい。非発泡層とは、実質的に気泡構造を有しない層を意味する。また、被覆層22は部分的に発泡していてもよい。
発泡芯層21は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂として構成される。尚、本明細書において発泡芯層21の基材樹脂とは、発泡芯層21を構成する樹脂100重量%において50重量%以上である樹脂をいう。発泡芯層21を構成するポリプロピレン系樹脂及びその他の材料に関しては、上述する芯層11に関する記載が適宜参照される。
また被覆層22は、ポリエチレン系樹脂から構成される。ここでポリエチレン系樹脂から構成されるとは、被覆層22がポリエチレン系樹脂を基材樹脂として構成されることを意味する。換言すると、被覆層22は、被覆層22を構成する樹脂100重量%において、ポリエチレン系樹脂を50重量%以上含む。被覆層22を構成するポリエチレン系樹脂及びその他の材料に関しては、上述する被覆層12に関する記載が適宜参照される。
上述する本発明の発泡粒子20は、炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを所定の範囲の配合割合で含む被覆層22を備えるため、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題が良好に抑制される。そのため、本発明の発泡粒子20は型内成形性が良好であり、かつ発泡粒子20を用いて型内成形された発泡粒子成形体は、融着性及び表面性に優れる。
なお、発泡粒子20における被覆層22に配合される炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンとしては、前述した製造方法における炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンの記載を適宜参照することができる。
発泡粒子20の被覆層22中の炭素粒子の配合割合:
型内成形時における成形型への被覆層22の付着を抑制しやすく、かつ、色調のむらの発生を抑制して良好な外観を有する発泡粒子成形体を提供しやすくするという観点から、被覆層22における炭素粒子の配合割合は、1.0重量%以上であることが好ましく、1.5重量%以上であることがより好ましく、2.0重量%以上であることがさらに好ましい。一方、発泡粒子20の型内成形性を高めると共に、得られる発泡粒子成形体を燃え難くするという観点から、被覆層22における炭素粒子の配合割合は、4.5重量%以下であることが好ましく、4.0重量%以下であることがより好ましく、3.5重量%以下であることがさらに好ましい。
発泡粒子20の被覆層22中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合:
発泡粒子20同士のブロッキング及び付着物の蓄積の問題がより良好に抑制されると共に、炭素粒子を含んでいても、得られる発泡粒子成形体を燃え難くするという観点から、被覆層22中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、0.05重量%以上であることが好ましく、0.08重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることが更に好ましい。一方、発泡粒子20の型内成形性を高めるという観点から、被覆層22中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、0.8重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。
発泡粒子20中の炭素粒子の配合割合:
発泡粒子20を用いて型内成形された発泡粒子成形体に良好な黒色の外観を付与するという観点からは、発泡粒子20中のカーボンブラックなどの黒色炭素粒子の配合割合は、0.5重量%以上であることが好ましく、1.0重量%以上であることがより好ましく、1.5重量%以上であることがさらに好ましく、2.0重量%以上であることが特に好ましい。
一方、発泡粒子20を用いて型内成形された発泡粒子成形体の難燃性が損なわれ難いという観点から、発泡粒子20中の炭素粒子の配合割合は、5.0重量%以下であることが好ましく、4.5重量%以下であることがより好ましく、4.0重量%以下であることがさらに好ましく、3.5重量%以下であることが特に好ましい。
発泡粒子20中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合:
炭素粒子を含んでいても、得られる発泡粒子成形体の難燃性が損なわれにくいという観点から、発泡粒子20中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、0.03重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましく、0.06重量%以上であることがさらに好ましい。
一方、得られる発泡粒子成形体の外観特性を高めるという観点から、発泡粒子20中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、0.4重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがより好ましく、0.2重量%以下であることがさらに好ましい。
発泡粒子20中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合に対する、被覆層22中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合の比:
発泡粒子20中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合に対する、被覆層22中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合の比は、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題をより良好に抑制する観点からは、1を超えることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。発泡粒子20中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合に対する、被覆層22中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合の比の上限は、概ね50である。発泡粒子の融着性をより高める観点から、発泡粒子20中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合に対する、被覆層22中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、7.5以下が好ましく、5以下がより好ましい。
発泡粒子20中の被覆層22の重量割合:
発泡粒子20中の被覆層22の重量割合は、0.5重量%以上10重量%以下であることが好ましく、1重量%以上8重量%以下であることがより好ましく、2重量%以上6重量%以下であることがさらに好ましい。発泡粒子20の全重量における被覆層22の重量の割合が上記範囲であることにより、物性を損なうことなく、融着性に優れた成形体を得ることができると共に、本発明の所期の問題を解決することが可能である。
尚、発泡粒子20中の被覆層22の重量割合は、樹脂粒子10の製造に用いられた材料の配合割合から適宜算出することができる。
配合割合の確認:
被覆層22における炭素粒子の配合割合は、発泡粒子20の製造に用いた樹脂粒子10の被覆層12における炭素粒子の配合割合と同程度の量となる。また発泡粒子20における炭素粒子の配合割合は、発泡粒子20の製造に用いた樹脂粒子10における炭素粒子の配合割合と同程度の量となる。そのため、被覆層22における炭素粒子の配合割合は、樹脂粒子10の製造における、樹脂粒子10の被覆層12への炭素粒子の配合割合から適宜算出することができる。また樹脂粒子10の製造における、芯層11と被覆層12との重量比、芯層11への炭素粒子の配合割合、及び被覆層12への炭素粒子の配合割合の関係から、発泡粒子20における炭素粒子の配合割合を算出することができる。
尚、被覆層22あるいは発泡粒子20中の炭素粒子の配合割合を、被覆層22から切り出された試験片あるいは発泡粒子20から直接測定してもよい。測定方法としては、熱重量示差熱分析装置(つまり、TG-DTA)を用いて、上記試験片又は発泡粒子20に対して、JIS K7120:1987年に基づいた測定を行い、得られるTG曲線における400℃から1000℃までの質量減少率に基づいて、含有される炭素粒子の配合割合を求めることができる。
同様に、被覆層22におけるNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、発泡粒子20の製造に用いた樹脂粒子10の被覆層12におけるNOR型ヒンダードアミンの配合割合と同程度の量となる。また発泡粒子20におけるNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、発泡粒子20の製造に用いた樹脂粒子10におけるNOR型ヒンダードアミンの配合割合と同程度の量となる。そのため、被覆層22におけるNOR型ヒンダードアミンの配合割合は、樹脂粒子10の製造における、樹脂粒子10の被覆層12へのNOR型ヒンダードアミンの配合割合から適宜算出することができる。また樹脂粒子10の製造における、芯層11と被覆層12との重量比、芯層11へのNOR型ヒンダードアミンの配合割合、及び被覆層12へのNOR型ヒンダードアミンの配合割合の関係から、発泡粒子20におけるNOR型ヒンダードアミンの配合割合を算出することができる。
また別の方法として、被覆層22あるいは発泡粒子20中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合を、被覆層22から切り出された試験片あるいは発泡粒子20から直接測定してもよい。測定方法は特に限定されないが、例えば上記試験片又は発泡粒子20を測定試料として、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)等に供することにより、含有されるNOR型ヒンダードアミンの配合割合を求めることができる。
なお、測定試料の前処理方法及びプロトン核磁気共鳴(H-NMR)による測定試料中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合の定量方法は、たとえば以下の方法を採用することができる。測定試料の前処理としては、まず、測定試料を冷凍粉砕し、約2mgを秤量する。次いで溶媒としてクロロホルムを用いてソックスレー抽出を行い、不溶部である重合体成分を除去する。ソックスレー抽出における可溶部をアセトンに添加し、アセトン不溶部であるオリゴマー成分を除去する。アセトン可溶部を濃縮して乾燥・固化させたものを測定試料としてプロトン核磁気共鳴(H-NMR)による測定に供する。
プロトン核磁気共鳴(H-NMR)としては、たとえば、日本電子株式会社製AL-400型を使用することができ、溶媒:CDCl、測定核:H、内部標準試料:テトラクロロエタン(TCE)という条件を採用する。
発泡粒子の平均気泡径:
発泡粒子20の平均気泡径は、型内成形性を向上させる観点から、50μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。また、発泡粒子成形体の色調のむらをより抑制する観点及び表面平滑性を向上させる観点から、220μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、180μm以下がさらに好ましい。
発泡粒子の平均気泡径は、次のようにして求められる値である。まず、発泡粒子を二等分した断面の写真を撮影する。撮影された写真上で発泡粒子断面の面積が概ね二等分となるように直線を引き、発泡粒子の周縁から対向する周縁までの線分の長さLを該線分に接する全ての気泡の数Nで除した値(L/N)を1つの発泡粒子の平均気泡径とする。この操作を10個以上の発泡粒子について行い、その算術平均値を発泡粒子の平均気泡径とする。
本発明の発泡粒子20は、上述する本発明の製造方法により製造することができる。そのため上述する本発明の製造方法に関する説明は、適宜、本発明の発泡粒子20の説明として参照される。
発泡粒子を構成する樹脂の確認方法:
次に、発泡粒子20を構成する樹脂の確認方法について説明する。
発泡粒子20は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂として含むポリプロピレン系樹脂組成物から構成される発泡芯層21と、発泡芯層21の表面にポリエチレン系樹脂を基材樹脂として含むポリエチレン系樹脂組成物から構成される被覆層22とを有する。発泡粒子20が、このような構成を有することは、赤外線を用いた全反射測定法(Attenuated Total Reflection;ATR法)により判別することができる。具体的には、ATR法により測定される発泡粒子20の表面及び断面の赤外線吸収スペクトルを確認することにより判別することができる。
ATR法とは、試料表面にプリズムを密着させた状態で赤外光を入射させ、赤外光が当該試料表面で全反射を起こす際の試料内部へのわずかなもぐり込みを利用し、試料表面から深さ数μmまでの赤外スペクトルを測定する手法である。ATR法は、試料とプリズムとを密着させるだけでスペクトル測定できる簡易さから、種々の物質の表面分析として広く利用されている。但し、ATR法は、下記式(数1)に表わされるように、プリズムの材質による屈折率、及び赤外光の入射角度によって、試料に対するもぐり込み深さが異なる。そのため、不均一な材質を測定する際には、測定条件を一定にすることが望ましい。
例えば、下記(数1)式より、入射角を大きくした場合や屈折率の大きいプリズムを用いた場合は、もぐり込み深さが浅くなることが理解される。
Figure 2023025505000006
発泡粒子20の表面に対する、ATR法による赤外線吸収スペクトルの具体的な測定方法を以下に説明する。
まず、ATR法に用いられる測定装置を準備し、下記の測定条件にて、340kg/cmの押付圧力で発泡粒子の表面をプリズムに密着させて赤外光を入射させ、全反射する光を測定し赤外線吸収スペクトル(ATR補正なし)を得る。尚、測定される発泡粒子の表面の一部に被覆層が設けられている場合には、当該被覆層をプリズムと密着させる。たとえば共押出で製造された円柱形の発泡粒子の場合には、当該円柱形の端面を除く外周面とプリズムとを密着させるとよい。
<測定条件>
プリズム:セレン化亜鉛
赤外光の入射角:45°
積算回数:512回
分解能:4cm-1
検出器:TGS(Triglycine sulfate)
測定波数領域:600~4000cm-1
反射回数:1回
尚、市販の測定装置としては、例えば日本分光株式会社製FT/IR-4600typeA(ATR PRO450-S型)などが挙げられる。また、測定はマクロ測定であってもよく、顕微測定であってもよい。
発泡粒子20の断面に対するATR法による赤外線吸収スペクトルの測定は、以下の方法により測定される。
まず、発泡粒子20をその中心を通り、体積が概ね等しくなるように約2等分に切断する。次いで、その一方の切断面をプリズムに押し付けた点を除いては、上述する発泡粒子20の表面の赤外線吸収スペクトルの測定と同様の方法により、発泡粒子20の断面の赤外線吸収スペクトルを測定することができる。
上述のとおりATR法により、発泡粒子20の赤外線吸収スペクトルを測定すると以下のスペクトルが検出される。
即ち、波数2800~3200cm-1における赤外線吸収スペクトルにおいて、発泡粒子20の表面では2個の吸光度のピークが検出され、発泡粒子20の断面では4個の吸光度のピークが検出される。発泡粒子20の表面及び断面それぞれにおいて、上述する個数の吸光度のピークが示されるということは、発泡粒子20が、ポリプロピレン系樹脂組成物から構成される発泡芯層21を有していると共に、ポリエチレン系樹脂組成物から構成される被覆層22を有するものであることを意味している。
したがって、構成の不明な発泡粒子について、ATR法によりその表面及び断面における赤外線吸収スペクトルを測定し、波数2800~3200cm-1における吸光度のピークの個数を確認するとよい。これにより、測定に供された発泡粒子が、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂として構成される発泡芯層と、当該発泡芯層の表面にポリエチレン系樹脂組成物から構成される被覆層を有するものであるか否かを確認することができる。尚、発泡粒子の表面に付着した塵や埃、有機物等の影響を除くために、上述するATR法の実施前に発泡粒子を洗浄してもよい。
上述する波数2800~3200cm-1における赤外線吸収スペクトルにおいて発泡粒子が示すピークに関し、より具体的には以下の事項が参照される。尚、表1に、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂に関するピーク1~6について詳細を示す。
即ち、上述の測定において、発泡粒子20の表面では、2920cm-1付近に現れるピーク(以下、ピーク1ともいう)及び2850cm-1付近に現れるピーク(以下、ピーク2ともいう)が検出される。ピーク1は、ポリエチレン系樹脂に主に含まれるメチレン基(-CH-)の逆対称伸縮振動に由来するピークである。またピーク2は、ポリエチレン系樹脂に主に含まれるメチレン基(-CH-)の対称伸縮振動に由来するピークである。
また、上述の測定において、発泡粒子20の断面では、2950cm-1付近に現れるピーク(以下、ピーク3ともいう)、2920cm-1付近に現れるピーク(以下、ピーク4ともいう)、2870cm-1付近に現れるピーク(以下、ピーク5ともいう)、及び2840cm-1付近に現れるピーク(以下、ピーク6ともいう)が検出される。ピーク3は、ポリプロピレン系樹脂に主に含まれるメチル基(-CH)の非対称伸縮振動に由来するである。ピーク4は、ポリプロピレン系樹脂に主に含まれるメチレン基(-CH-)の逆対称伸縮振動に由来するピークである。ピーク5は、ポリプロピレン系樹脂に主に含まれるメチル基(-CH)の対称伸縮振動に由来するピークである。ピーク6は、ポリプロピレン系樹脂に主に含まれるメチレン基(-CH-)の対称伸縮振動に由来するピークである。
したがって、発泡粒子20の断面において、ポリプロピレン系樹脂に特有の4つのピーク(ピーク3~6)が確認されることによって、発泡芯層21がポリプロピレン系樹脂を基材樹脂として構成されていることが確認される。また発泡粒子20の表面において、ポリエチレン系樹脂に特有の2つのピーク(ピーク1、2)が確認されることによって、被覆層22がポリエチレン系樹脂を基材樹脂として構成されていることが確認される。特に、波数2850cm-1付近に現れるピーク(ピーク2)は、ポリエチレン系樹脂に特有のピークであるため、ピーク2の出現によって被覆層22にポリエチレン系樹脂が含有されていることが確認される。
また、発泡粒子の表面がポリエチレン系樹脂組成物から構成されているか否かを確認するための他の方法として、以下の方法が挙げられる。具体的には、上述するATR法により、発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルを測定する。そして、波数2950cm-1における吸光度A2950に対する波数2920cm-1における吸光度A2920の比(A2920/A2950)を求めるとよい。上記吸光度の比が、2.0以上であれば、発泡粒子がポリエチレン系樹脂組成物から構成される表面を有するものであると判断することができる。これは、波数2950cm-1付近におけるピークの出現は、ポリプロピレン系樹脂に主に含まれるメチル基(-CH)の非対称伸縮振動に由来し、波数2920cm-1付近におけるピークの出現は、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂に共通であるところ、試料が主としてポリプロピレン系樹脂を基材樹脂として構成される場合には、上記吸光度の比は、2.0未満となり、一方、試料が主としてポリエレン系樹脂から構成される場合には、上記吸光度の比は、2.0を超えて大きくなるという一般的な樹脂の性質を利用するものである。なお、上記吸光度の比の上限は概ね10である。
上記吸光度の比の測定に際しては、少なくとも3つの発泡粒子を用いて表面の赤外線吸収スペクトルを取得し、得られた吸光度の比の算術平均値を採用する。
[発泡粒子成形体]
本発明の発泡粒子20を用いて型内成形することにより、発泡粒子成形体を得ることができる。例えば発泡粒子成形体は、次のようにして製造される。まず、所望する発泡粒子成形体の形状に対応したキャビティを有する成形型内に発泡粒子20を充填し、スチームなどの加熱媒体により成形型内に充填された発泡粒子20を加熱する。キャビティ内の発泡粒子20は、加熱によってさらに発泡すると共に、相互に融着する。これにより、発泡粒子20同士が一体化し、キャビティの形状に応じた発泡粒子成形体が得られる。
発泡粒子20を用いて製造された発泡粒子成形体は、本発明の効果を享受し、融着性及び表面特性に優れ、また成形体密度を適宜の範囲に調整可能である。そのため、梱包材や自動車部材、建築材料などの種々の用途に好適に使用することができる。
成形体密度:
発泡粒子20を用いて得られる発泡粒子成形体の密度は特に限定されないが、軽量性と剛性等の機械的物性とのバランスに優れるという観点からは、10kg/m以上500kg/m以下であることが好ましく、15kg/m以上100kg/m以下であることがより好ましい。発泡粒子成形体の密度は、発泡粒子成形体の重量を外径寸法に基づいて算出される体積で除することにより算出される。なお、外形寸法から体積を算出することが難しい場合には、水没法により発泡粒子成形体の体積を求めることができる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。尚、以下のとおり実施された各実施例及び各比較例に関し、発泡粒子のかさ密度、全融解熱量、高温ピーク熱量、平均気泡径、及びATR法よる吸光度を測定すると共に、型内成形時の生産性評価、及び発泡粒子を用いて製造されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の成形体評価を行った。測定結果及び評価結果は、表3、4に示す。表3、4において、炭素粒子として用いたカーボンブラックはCBと記載する。なお、発泡粒子の各物性の測定に供する発泡粒子は、気温23℃、相対湿度50%、1atmの環境中で24時間以上放置して状態調節したものを用いた。
また、発泡粒子および発泡粒子に設けられた被覆層中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合、及びカーボンブラックの配合割合は、樹脂粒子の製造に用いた材料の添加割合から算出した。
<実施例1>
(樹脂粒子の調製)
内径50mmの芯層形成用押出機、該芯層形成用押出機の下流側に付設された多層ストランド形成用ダイ及び内径30mmの被覆層形成用押出機を備える製造装置を準備した。尚、製造装置は、被覆層形成用押出機の下流側と、多層ストランド形成用ダイとが接続されており、ダイ内で各層を形成するための溶融混練物の積層が可能であると共に、共押出が可能な構成とした。
芯層を構成する樹脂として、表2に示すポリプロピレン系樹脂(PP1)を用いた。芯層を構成する芯層形成材料(ポリプロピレン系樹脂組成物)として、上述する樹脂に加え、芯層成形材料100重量%において、気泡調整剤としてホウ酸亜鉛を0.1重量%用いると共に、カーボンブラック(ファーネスブラック、粒子径18nm)及びNOR型ヒンダードアミン(BASF社製、商品名NOR116(分子量2261))を表3に示す配合割合で用い、これらを芯層形成用押出機に供給し溶融混練した。
被覆層を構成する樹脂として、表2に示すポリエチレン系樹脂(PE1)を用いた。被覆層を構成する被覆層形成材料(ポリエチレン系樹脂組成物)として、上記樹脂に加え、カーボンブラック(ファーネスブラック、粒子径18nm)、及びNOR型ヒンダードアミン(BASF社製、商品名NOR116(分子量2261))を表3に示す配合割合で用い、これらを被覆層形成用押出機に供給して溶融混練した。
上述のとおり溶融混練して得られた各層形成用の溶融混練物を、多層ストランド形成用ダイに導入してダイ内で合流させ、ダイの下流側に取り付けた口金の細孔から、2層構造(被覆層/芯層構造)を有する多層ストランドを押出した。押出されたストランドを水冷し、ペレタイザーにて切断し、1個当たりの平均重量が1.0mgの円柱形状の樹脂粒子を得た。
(発泡粒子の調製)
得られた樹脂粒子1kgを、水性媒体である水3Lと共に、内容量5Lの密閉容器内に供給した。また、樹脂粒子100重量部に対して、無機分散剤としてカオリン0.6重量部、界面活性剤(商品名:ネオゲン、第一工業製薬株式会社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)0.008重量部(有効成分として)、硫酸アルミニウム0.02重量部をそれぞれ密閉容器内に添加した。
次いで、密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素を圧入し、ゲージ圧で2.0MPa(G)となるまで加圧した。尚、(G)を付した圧力は、ゲージ圧、つまり、大気圧を基準とした圧力の値である。その後、密閉容器内を撹拌しながら2℃/分の昇温速度で、発泡温度(149.5℃)になるまで加熱昇温し、同温度で15分間保持した。これにより、得られる発泡粒子のDSC測定による吸熱曲線に高温ピークが現れるよう調整した。
その後、密閉容器の内容物(樹脂粒子及び水)を大気圧下に放出して、かさ密度60kg/mの発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。尚、上述する工程と同様の工程を数サイクル繰り返して後述する評価に供するのに十分な量の発泡粒子を確保した。
上述のとおり得た一段発泡粒子を気温23℃、相対湿度50%、1atmの環境に24時間放置して養生を行った。そして加圧可能な密閉容器に養生後の一段発泡粒子を充填し、当該密閉容器内の圧力を常圧から上昇させて発泡粒子を加圧した。発泡粒子を加圧した状態を所定時間維持して空気を発泡粒子の気泡内に含浸させた。その後、密閉容器から一段発泡粒子を取り出し、発泡粒子の気泡の内圧が0.5MPa(G)である一段発泡粒子を得た。その後、この一段発泡粒子を二段発泡装置に供給した。該装置内にスチームを供給して一段発泡粒子を発泡させて、かさ密度27kg/mの発泡粒子を得た。二段発泡により得られた当該発泡粒子を以下の測定や発泡粒子成形体の製造等に用いた。
(発泡粒子のかさ密度)
測定に供する発泡粒子を気温23℃、相対湿度50%、1atmの環境中で24時間以上放置して養生した。養生後の発泡粒子群(重量W;30g)を、メスシリンダー内に充填し、メスシリンダー底面で床面を数度、軽く叩くことにより、メスシリンダー内の発泡粒子群の充填高さを安定させた。メスシリンダーの目盛りが指す発泡粒子群のかさ体積V(L)を読み取った。そして上記発泡粒子群の重量Wをかさ体積Vで除した(W/V)。これにより求められた値をkg/mに単位換算することにより、発泡粒子のかさ密度(kg/m)を算出した。
(発泡粒子の全融解熱量及び高温ピーク熱量)
約1mgの発泡粒子を試験片とした。JIS K7122:1987年に記載されたプラスチックの転移熱測定方法に従って試験片を加熱溶融させ、この際のDSC曲線を得た。測定温度範囲は23℃から試験片の融解ピーク終了時よりも30℃高い温度までとし、加熱時の昇温速度は10℃/分とした。
このようにして得られたDSC曲線を図2に示す。当該DSC曲線において、DSC曲線上における80℃に相当する点Iと、発泡粒子の融解終了温度に相当する点IIとを結ぶ直線を引いた。尚、融解終了温度は、高温ピークbにおける高温側の端点であり、DSC曲線における、高温ピークbと、高温ピークbよりも高温側のベースラインとの交点である。
図2に示すとおり、点Iと点IIとを結ぶ直線を引いた後、固有ピークaと高温ピークbとの間に存在する極大点IIIを通りグラフの縦軸に平行な直線と、点Iと点IIとを結んだ直線との交点をIVとした。
そして、点Iと点IVを結ぶ直線、点IIIと点IVとを結ぶ直線、及び点Iと点IIIとを結ぶDSC曲線の面積を固有ピークaの面積とした。また点IVと点IIとを結ぶ直線、点IIIと点IVとを結ぶ直線、及び点IIIと点IIとを結ぶDSC曲線によって囲まれる部分(斜線部分)の面積を高温ピークbの面積とした。上述のとおり求めた固有ピークaの面積と高温ピークbの面積との合計を発泡粒子の全融解熱量の値とし、高温ピークbの面積を発泡粒子の高温ピーク熱量の値とした。
(発泡粒子の平均気泡径)
発泡粒子を二等分した断面の写真を撮影した。撮影した写真上で発泡粒子断面の面積が概ね二等分となるように直線を引き、発泡粒子の周縁から対向する周縁までの線分の長さLを該線分に接する全ての気泡の数Nで除した値(L/N)を1つの発泡粒子の平均気泡径とした。この操作を10個以上の発泡粒子について行い、その算術平均値を発泡粒子の平均気泡径とした。
(発泡粒子のATR法分析)
マクロATRにより測定した。市販のATR法分析装置(日本分光株式会社製;FT/IR-4600typeA(ATR PRO450-S型)を用い、上述で得られた発泡粒子の分析を行った。分析の条件は、以下のとおりとした。
<測定条件>
プリズム:セレン化亜鉛
赤外光の入射角:45°
積算回数:512回
分解能:4cm-1
検出器:TGS(Triglycine sulfate)
測定波数領域:600~4000cm-1
反射回数:1回
尚、発泡粒子の表面の分析は、円柱形状の発泡粒子の両端面を除く外周面とプリズムとを当接させて実施した。また発泡粒子の断面の分析は、円柱形状の発泡粒子の両端面の略1/2の位置で円柱形状の軸方向に直交する方向に切断した試料を用い、切断面とプリズムとを当接させて実施した。
そしてATR法分析において、発泡粒子表面及び発泡粒子断面それぞれについて、波数2800~3200cm-1における吸光度ピークの数及びピークの吸光度を測定した。また上述で測定された吸光度ピークの数及び波数2950cm-1における吸光度A2950に対する波数2920cm-1における吸光度A2920の比(A2920/A2950)を求めた。尚、全ての実施例及び比較例1~5において、発泡粒子表面において検出されたピークは2個(表1に示すピーク1、2)、発泡粒子断面において検出されたピークは4個(表1に示すピーク3~6)であった。即ち、いずれの発泡粒子においても、断面はポリプロピレン系樹脂が存在し、表面はポリエチレン系樹脂が存在することが確認された。また比較例6は、発泡粒子表面において検出されたピーク及び発泡粒子断面において検出されたピークはいずれも4個(表1に示すピーク3~6)であった。即ち、単層である比較例6の発泡粒子は断面及び表面のいずれにおいてもポリプロピレン系樹脂が存在することが確認された。
また、全ての実施例及び比較例1~5において、発泡粒子の表面の吸光度の比(A2920/A2950)は2.0以上であった。即ち、いずれの発泡粒子においても、表面はポリエチレン系樹脂が存在することが確認された。また比較例6は、発泡粒子の表面の吸光度の比(A2920/A2950)は2.0未満であった。即ち、単層である比較例6の発泡粒子は断面及び表面のいずれにおいてもポリプロピレン系樹脂が存在することが確認された。吸光度の比の測定に際しては、3つの発泡粒子を用いて表面の赤外線吸収スペクトルを取得し、得られた吸光度の比の算術平均値を採用した。
(発泡粒子成形体の製造)
得られた発泡粒子を、加圧可能な密閉容器に充填し、当該密閉容器内の圧力を常圧から上昇させて発泡粒子を加圧した。発泡粒子を加圧した状態を所定時間維持して空気を発泡粒子の気泡内に含浸させた。その後、密閉容器から発泡粒子を取り出し、発泡粒子の気泡の内圧が0.1MPa(G)である発泡粒子を得た。この発泡粒子を、縦200mm×横150mm×高さ50mm、底壁及び側壁の厚みが10mmの箱状の成形体を成形可能な成形キャビティを有する成形型(金型)に充填して以下の加熱方法で加熱を行った。加熱方法は、金型の両面に設けられたドレン弁を開放した状態で当該金型にスチームを供給して予備加熱(排気工程)を行った。その後、金型の一方側からスチームを供給して加熱し、さらに金型の他方側からスチームを供給して加熱を行った。続いて、0.26MPa(G)の成形加熱スチーム圧力で、金型の両側からスチームを供給して加熱した。加熱終了後、放圧し、発泡粒子成形体の発泡力による表面圧力が0.04MPa(G)になるまで水冷した後、金型を開放し発泡粒子成形体を取り出した。得られた発泡粒子成形体を80℃のオーブンにて12時間養生した後、室温まで徐冷して上部開口の箱状の発泡粒子成形体を得た。当該発泡粒子成形体は、外寸が縦200mm×横150mm×高さ50mmであり、底壁及び側壁の厚みが10mmの上部開口の箱体であり、縦200mm×横150mmの面を下面としたときに、上面側が開口する形状である。
<実施例2>
被覆層形成材料に添加するNOR型ヒンダードアミンの配合割合を表3に示す数値に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により樹脂粒子を調製した。この樹脂粒子を用い、実施例1と同様の方法で発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。
<実施例3、4>
被覆層形成材料に添加するNOR型ヒンダードアミン及びカーボンブラックの配合割合を表3に示す数値に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により樹脂粒子を調製した。この樹脂粒子を用い、実施例1と同様の方法で発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。
<実施例5>
発泡工程における分散剤及び分散助剤(界面活性剤)の配合割合を表3に示す数値に変更したこと以外は実施例2と同様の操作により樹脂粒子を調製した。この樹脂粒子を用い、実施例1と同様の方法で発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。
<実施例6、7>
芯層形成材料及び被覆層形成材料に添加するNOR型ヒンダードアミンの種類を変更したこと以外は実施例1と同様の操作により樹脂粒子を調製した。この樹脂粒子を用い、実施例1と同様の方法で発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。
尚、NOR型ヒンダードアミンとして、実施例6では「株式会社ADEKA社製、商品名FP-T80(分子量681)」を用い、実施例7では「BASF社製、商品名Tinuvin123(分子量737)」を用いた。
<実施例8>
被覆層形成材料に使用されるポリエチレン樹脂の種類を表2に示すポリエチレン系樹脂(PE2)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により樹脂粒子を調製した。この樹脂粒子を用い、実施例1と同様の方法で発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。
いずれの実施例においても、良好な融着性が発揮された上、ブロッキングの問題及び付着物の蓄積の問題が生じず、表面性に優れた発泡粒子成形体が製造された。またより分子量の小さいNOR型ヒンダードアミンを用いた実施例6、7では、色調のむらが良好に抑制され、特に外観が優れる発泡粒子成形体が製造された。
<比較例1、2>
被覆層形成材料に添加するNOR型ヒンダードアミン及びカーボンブラックの配合割合を表4に示す数値に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により樹脂粒子を調製した。この樹脂粒子を用い、実施例1と同様の方法で発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。
比較例1において調製された樹脂粒子における被覆層は、NOR型ヒンダードアミンが添加されていないことから、これを用いて発泡工程を実施した際、発泡粒子同士のブロッキングが発生した。また比較例1において調製された発泡粒子を用いて同一金型で繰り返し型内成形を実施した際、被覆層の一部が金型の内面に付着して蓄積した。その結果、得られた発泡粒子成形体の表面性が損なわれた。
比較例2において調製された樹脂粒子における被覆層は、カーボンブラックが添加されていないことから、これを用いて調製された発泡粒子を用いて同一金型で繰り返し型内成形を実施した際、被覆層の一部が金型の内面に付着して蓄積した。その結果、得られた発泡粒子成形体の表面性が損なわれた。
<比較例3>
被覆層形成材料に使用されるポリエチレン樹脂の種類を表2に示すポリエチレン系樹脂(PE2)変更したこと、及び被覆層形成材料に添加するNOR型ヒンダードアミン配合割合を表4に示す数値に変更したこと以外は比較例1と同様の操作により樹脂粒子を調製した。この樹脂粒子を用い、比較例1と同様の方法で発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。
比較例3において調整された樹脂粒子における被覆層は、本発明において特定されるNOR型ヒンダードアミンの配合割合の範囲を超えた。そのため、これを用いて調製された発泡粒子を用いて型内成形を実施して得られた発泡粒子成形体は融着性が損なわれた。
<比較例4、5>
被覆層形成材料に対しNOR型ヒンダードアミン以外のヒンダードアミンを添加したこと以外は実施例1と同様の操作により樹脂粒子を調製した。この樹脂粒子を用い、実施例1と同様の方法で発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。尚、比較例4では、NR型ヒンダードアミンとして、「BASF社製、商品名Tinuvin622」を用い、比較例5では、NH型ヒンダードアミンとして、「BASF社製、商品名Tinuvin770」を用いた。
比較例4、5において調整された樹脂粒子における被覆層は、NOR型ヒンダードアミンを含まず、当該NOR型ヒンダードアミン以外のヒンダードアミンを含む。そのため、これを用いて調製された発泡粒子を用いて同一金型で繰り返しに型内成形を実施した際、被覆層の一部が金型の内面に付着して蓄積した。その結果、得られた発泡粒子成形体の表面性が損なわれた。
<比較例6>
被覆層を有していない単層の樹脂粒子を調製した。この樹脂粒子を用い、実施例1と同様の方法で発泡粒子及び発泡粒子成形体を得た。
比較例6において調整された樹脂粒子は、被覆層を有していないことから、これを用いて調製された発泡粒子を用いて型内成形を実施して得られた発泡粒子成形体は融着性が不良であった。
<生産性評価>
発泡工程時のブロッキングの有無:
発泡粒子をφ6mm、ピッチ8mm、開口率35%のパンチングスクリーンで篩い、スクリーン上に残った発泡粒子の重量を測定した。篩にかけた全発泡粒子の重量に対する、スクリーン上に残った発泡粒子の重量を測定した。篩にかけた全発泡粒子の重量に対する、スクリーン上に残った発泡粒子の重量の割合を算出し、ブロッキングの発生の有無を以下の基準で評価した。
無:スクリーン上に残った発泡粒子の重量の割合が5重量%未満であった。
有:スクリーン上に残った発泡粒子の重量の割合5重量%以上であった。
型内成形を繰り返し行った際の、金型への樹脂付着の有無:
同一金型、同一成型条件で、30サイクル分の型内成形を連続的に行った。成形終了後の金型に樹脂が付着しているか否かを目視で観察し、樹脂付着の有無を以下の基準で評価した。
無:付着が認められなかった。
有:部分的に付着が認められた。
<成形体評価>
同一金型、同一成型条件で、30サイクル分の型内成形を連続的に行った。30サイクル目に得られた発泡粒子成形体を用いて、以下のとおり成形体の評価を行った。併せて、型内成形時の成形圧(MPa(G))を表3、4に示した。
発泡粒子成形体の成形体密度:
発泡粒子成形体の重量を、寸法に基づいて算出される体積で除した値を発泡粒子成形体の成形体密度(kg/m)とした。
融着性:
発泡粒子成形体の融着性を、発泡粒子成形体を破断した際の破断面に露出した発泡粒子のうち、材料破壊した発泡粒子の数の割合に基づいて求めた。具体的には、まず、発泡粒子成形体の中央部から試験片(縦100mm×横100mm×厚み:成形体の厚み)を切り出し、カッターナイフで各試験片の厚み方向に約5mmの切り込みを入れた後、切り込み部から試験片を破断させた。次に、発泡粒子成形体の破断面に存在する発泡粒子の個数(n)と、材料破壊した発泡粒子の個数(b)を測定し、(b)と(n)の比(b/n)を百分率で表して融着率(%)とし、以下のとおり評価した。
〇:融着率が80%以上。
△:融着率が80%未満40%以上。
×:融着率が40%未満。
表面性:
30サイクル分の型内成形を連続的に行った。30サイクル目に得られた発泡粒子成形体の表面に設計上意図しないくぼみ(金型の付着物の影響により生じたと思われるくぼみ)及び発泡粒子間の間隙(ボイド)が見られるか否かを目視で観察し、以下の基準で評価した。
〇:発泡粒子成形体の表面に、間隙及び/又はくぼみがほぼ見られなかった。
×:発泡粒子成形体の表面に、間隙及び/又はくぼみが散見された。
尚、上記×評価において、上記くぼみや間隙は、主に、箱状の発泡粒子成形体の底壁部に生じていた。
色調のむら(外観):
箱状の発泡粒子成形体の縦200mm×横150mmの面を下面とし、開口部が上面となるよう配置した際の横側面から、無作為に30か所の測定位置を設定した。分光測色計(コニカミノルタジャパン株式会社製「CM-5」)を用いてこれらの測定位置の色調を測定し、CIE 1976 L*a*b*色空間における色座標を取得した。尚、色調の取得は反射測定で行い、測定径はφ8mmとし、測定方式はSCE方式とした。
前述した30か所の測定位置において得られた色座標におけるL*値の最大値と最小値との差を以下の基準で評価した。
◎:L*値の最大値と最小値との差が5未満。
〇:L*値の最大値と最小値との差が5以上。
尚、L*値は明るさの指標であり、値が大きくなるほど明るいことを示す。L*値の最大値と最小値との差が小さいほど明るさの差が小さく、色むらが小さいことを意味する。
また、各比較例における発泡粒子成形体は、いずれも融着性及び表面性の一方が不良であったため、色調のむらについては評価しなかった。
Figure 2023025505000007
Figure 2023025505000008
Figure 2023025505000009
Figure 2023025505000010
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)容器内の無機分散剤を含む水性媒体中に、ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる分散工程、容器内で前記ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる発泡剤含浸工程、及び発泡剤を含む前記ポリプロピレン系樹脂粒子を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる発泡工程、を含むポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法であって、
前記ポリプロピレン系樹脂粒子が、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする芯層と、前記芯層を被覆する被覆層とを有し、
前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層はポリエチレン系樹脂から構成されると共に、
前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層が炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含み、
前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中の炭素粒子の配合割合が0.5重量%以上5重量%以下であり、
前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合が0.03重量%以上1重量%未満であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(2)前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中の、炭素粒子の配合割合(重量%)に対する、NOR型ヒンダードアミンの配合割合(重量%)の比が0.01以上0.2以下である、上記(1)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(3)前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中の、炭素粒子の配合割合(重量%)とNOR型ヒンダードアミンの配合割合(重量%)との合計が1.5重量%以上4重量%以下である、上記(1)又は(2)に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(4)前記炭素粒子が、カーボンブラックである、上記(1)から(3)のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(5)前記ポリプロピレン系樹脂粒子中の被覆層の重量割合が0.5重量%以上10重量%以下である、上記(1)から(4)のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(6)前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のかさ密度が、10kg/m以上60kg/m以下である、上記(1)から(5)のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(7)前記ポリエチレン系樹脂が、メタロセン系重合触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンである、上記(1)~(6)のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
(8)ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡芯層と、前記発泡芯層を被覆する被覆層とを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層はポリエチレン系樹脂から構成されると共に、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層が炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含み、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層中の炭素粒子の配合割合が0.5重量%以上5重量%以下であり、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合が0.03重量%以上1重量%未満であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
10・・・ポリプロピレン系樹脂粒子
11・・・芯層
12、22・・・被覆層
20・・・ポリプロピレン系樹脂発泡粒子
21・・・発泡芯層

Claims (8)

  1. 容器内の無機分散剤を含む水性媒体中に、ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる分散工程、容器内で前記ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる発泡剤含浸工程、及び発泡剤を含む前記ポリプロピレン系樹脂粒子を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる発泡工程、を含むポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法であって、
    前記ポリプロピレン系樹脂粒子が、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする芯層と、前記芯層を被覆する被覆層とを有し、
    前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層はポリエチレン系樹脂から構成されると共に、
    前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層が炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含み、
    前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中の炭素粒子の配合割合が0.5重量%以上5重量%以下であり、
    前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合が0.03重量%以上1重量%未満であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中の、炭素粒子の配合割合(重量%)に対する、NOR型ヒンダードアミンの配合割合(重量%)の比が0.01以上0.2以下である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂粒子の被覆層中の、炭素粒子の配合割合(重量%)とNOR型ヒンダードアミンの配合割合(重量%)との合計が1.5重量%以上4重量%以下である、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  4. 前記炭素粒子が、カーボンブラックである、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  5. 前記ポリプロピレン系樹脂粒子中の被覆層の重量割合が0.5重量%以上10重量%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  6. 前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のかさ密度が、10kg/m以上60kg/m以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  7. 前記ポリエチレン系樹脂が、メタロセン系重合触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項1から6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  8. ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡芯層と、前記発泡芯層を被覆する被覆層とを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、
    前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層はポリエチレン系樹脂から構成されると共に、
    前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層が炭素粒子及びNOR型ヒンダードアミンを含み、
    前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層中の炭素粒子の配合割合が0.5重量%以上5重量%以下であり、
    前記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の被覆層中のNOR型ヒンダードアミンの配合割合が0.03重量%以上1重量%未満であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子。

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