JP2023025441A - 液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023025441A
JP2023025441A JP2021130692A JP2021130692A JP2023025441A JP 2023025441 A JP2023025441 A JP 2023025441A JP 2021130692 A JP2021130692 A JP 2021130692A JP 2021130692 A JP2021130692 A JP 2021130692A JP 2023025441 A JP2023025441 A JP 2023025441A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
ink
mass
pigment
recording medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021130692A
Other languages
English (en)
Inventor
哲史 名部
Tetsushi Nabe
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Document Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Document Solutions Inc filed Critical Kyocera Document Solutions Inc
Priority to JP2021130692A priority Critical patent/JP2023025441A/ja
Publication of JP2023025441A publication Critical patent/JP2023025441A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】低吸収性及び非吸収性記録媒体上に画像を形成した場合でも、形成画像に白筋及び滲みが発生することを抑制できる液セットを提供する。【解決手段】液セットは、第1液と、第2液とを備える。第1液が、前処理液である。第2液が、インクである。インクが、顔料と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを含む。多糖類の含有率が、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。前処理液は、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂を含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法に関する。
ラベル及びパッケージの印刷には、水の吸収性が低い低吸収性記録媒体、及び水を吸収しない非吸収性記録媒体が用いられることがある。低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体上に画像を形成した場合に、形成画像に滲みが発生し難いインクが、種々検討されている。例えば、特許文献1には、剪断減粘性付与剤、着色剤、及び溶剤を含有するインクジェット用インク組成物が開示されている。
特開2012-17400号公報
しかし、特許文献1に記載のインクジェット用インク組成物は、低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体に対する印刷に用いた場合に形成画像に白筋及び滲みが発生することを抑制する点で、不十分であることが、本発明者の検討により判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体に画像を形成した場合でも、形成画像に白筋及び滲みが発生することを抑制できる液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法を提供することである。
本発明に係る液セットは、第1液と、第2液とを備える液セットである。前記第1液が、前処理液である。前記第2液が、インクである。前記インクが、顔料と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを含む。前記多糖類の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。
本発明に係るインクジェット記録装置は、記録媒体に、第1液を吐出する前処理ヘッドと、前記記録媒体における前記第1液が吐出された領域の少なくとも一部に、第2液を吐出する記録ヘッドとを備える。前記第1液が、前処理液である。前記第2液が、インクである。前記インクが、顔料と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを含む。前記多糖類の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。
本発明に係るインクジェット記録方法は、記録媒体に、第1液を付着させる工程と、前記記録媒体における前記第1液が付着した領域の少なくとも一部に、第2液を吐出する工程とを含む。前記第1液が、前処理液である。前記第2液が、インクである。前記インクが、顔料と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを含む。前記多糖類の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。
本発明に係る液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法は、低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体上に画像を形成した場合でも、形成画像に白筋及び滲みが発生することを抑制できる。
本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す図である。
まず、本明細書に記載の用語について説明する。以下、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量を意味する。動的表面張力は、最大泡圧法により測定される50ミリ秒における表面張力を意味する。最大泡圧法による動的表面張力の測定には、例えば、動的表面張力計(クルス社製、商品名:BP100)を用いることができる。粘度は、特記なき限り、「JIS(日本産業規格)Z 8803:2011 液体の粘度測定方法」に記載の方法に準拠して、25℃の環境下で測定された値である。本明細書に記載の各成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上、本明細書に記載の用語について説明した。
[第1実施形態:液セット]
本発明の第1実施形態は、液セットに関する。第1実施形態に係る液セットは、例えば、インクジェット記録装置において使用できる。第1実施形態に係る液セットは、低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体上に画像を形成した場合でも、形成画像に白筋及び滲みが発生することを抑制できる。以下、「低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体」を「所定記録媒体」と記載することがある。
第1実施形態に係る液セットは、第1液と、第2液とを備える。第1液が、前処理液である。第2液が、インクである。前処理液とインクとは、例えば、互いに異なる容器に収容される。以下、前処理液と、インクとについて、説明する。
<前処理液>
第1実施形態に係る液セットは、前処理液を備える。所定記録媒体は、水の吸収性が低い、又は水を吸収しない。このため、一般的に、水性インクを用いて所定記録媒体に画像を形成した場合には、着弾したインクが所定記録媒体に浸透し難く、インク液滴の径が大きくなり、所定記録媒体に形成された画像に、滲みが発生する傾向がある。しかし、第1実施形態に係る液セットが備える前処理液によって所定記録媒体が前処理されることで、着弾したインクが、前処理前の所定記録媒体と比較して、前処理後の所定記録媒体に浸透し易くなる。その結果、所定記録媒体に着弾したインク液滴の径が小さくなり、所定記録媒体に形成された画像に滲みが発生することが抑制される。
所定記録媒体にインクを浸透させるために、前処理液は、芳香環を有していない樹脂を含むことが好ましく、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂を含むことが更に好ましい。例えば、所定記録媒体がPETシートである場合、PETシートを構成するポリエチレンテレフタレートは、芳香環を有する。芳香環を有していないウレタン樹脂及びアクリル樹脂は、芳香環を有するPETシートよりも、水に対する親和性が高い。このため、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂を含む前処理液で前処理されたPETシートに対して、水を含むインクが浸透しやすくなる。なお、前処理液がこのような樹脂を含む場合、このような樹脂の分散液が、前処理液として使用できる。
前処理液は、例えば、樹脂と、分散媒とを混合することにより、製造できる。分散媒としては、例えば、水及びプロパノールが挙げられる。また、前処理液としは、市販品を用いることもできる。前処理液として使用可能な市販品としては、例えば、高松油脂株式会社製のNS-310X、NS-625XC、MZ-477、及びMZ-480が挙げられる。
<インク>
第1実施形態に係る液セットが備えるインクは、顔料と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを含む。インクは、インクジェット用インクであり、水を含有する水性インクである。
(多糖類)
インクが多糖類を含むことで、所定記録媒体に着弾したインクが適度に増粘する。その結果、所定記録媒体に着弾したインク液滴の径が大きくなり過ぎず、滲みの少ない画像が形成できる。
多糖類の含有率は、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。多糖類の含有率がインクの質量に対して0.01質量%未満であると、所定記録媒体に着弾したインクが十分に増粘せず、所定記録媒体に着弾したインク液滴の径が大きくなり、所定記録媒体に形成された画像に滲みが発生することがある。一方、多糖類の含有率がインクの質量に対して0.20質量%より高いと、所定記録媒体に着弾したインクが過度に増粘し、所定記録媒体に着弾したインク液滴の径が小さくなり、所定記録媒体に形成された画像に白筋が発生することがある。多糖類の含有率がインクの質量に対して0.01質量%以上0.20質量%以下であることで、所定記録媒体上に画像を形成した場合でも、形成画像に白筋及び滲みが発生することを抑制できる。多糖類の含有率は、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.09質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.04質量%以下であることがより好ましい。
多糖類としては、例えば、セルロース誘導体が挙げられる。セルロース誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(以下「カルボキシメチルセルロースナトリウム」と記載することがある)、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、及びメチルエチルセルロースが挙げられる。
形成画像における白筋及び滲みの発生を抑制する観点から、多糖類としては、セルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースナトリウムがより好ましい。カルボキシメチルセルロースは、セルロースの無水グルコース単位中の水酸基にカルボキシメチル基がエーテル結合した構造(換言すると、無水グルコース単位中の水酸基の水素原子がカルボキシメチル基に置換された構造)を有する。
形成画像における白筋及び滲みの発生を抑制する観点から、カルボキシメチルセルロースナトリウムのエーテル化度は、0.6以上1.5以下であることが好ましく、0.8以上1.0未満又は1.0以上1.5以下であることがより好ましい。本明細書において、カルボキシメチルセルロースナトリウムのエーテル化度は、無水グルコース単位1モルあたりのカルボキシメチル基のモル数の平均値を意味する。
カルボキシメチルセルロースナトリウムとしては、市販品を用いることができる。エーテル化度が0.6以上1.5以下であるカルボキシメチルセルロースナトリウムの市販品としては、例えば、ダイセルミライズ株式会社製のCMCダイセル(登録商標)1120、CMCダイセル1130、CMCダイセル1140、CMCダイセル1150、CMCダイセル1220、CMCダイセル1240、CMCダイセル1250、CMCダイセル1260、CMCダイセル1330、及びCMCダイセル1350が挙げられる。
カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液の25℃における粘度は、10mPa・s以上300mPa・s以下であることが好ましい。カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液の25℃における粘度がこの範囲内の値であると、インクの粘度をインクジェット記録に適した範囲に調整しやすい。カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液の粘度の測定には、例えば、振動粘度計(株式会社セコニック製、商品名:VM-10A-L)を用いることができる。
(水溶性有機溶媒)
水溶性有機溶媒としては、例えば、グリコール化合物、グリコールエーテル化合物、ラクタム化合物、含窒素化合物、アセテート化合物、チオジグリコール、グリセリン、及びジメチルスルホキシドが挙げられる。
グリコール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール(即ち、1,2-プロパンジオール)、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールが挙げられる。
グリコールエーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
ラクタム化合物としては、例えば、2-ピロリドン、及びN-メチル-2-ピロリドンが挙げられる。
含窒素化合物としては、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、ホルムアミド、及びジメチルホルムアミドが挙げられる。
アセテート化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
水溶性有機溶媒は、グリコール化合物を含むことが好ましく、プロパンジオール又はポリプロピレングリコールを含むことがより好ましく、1,2-プロパンジオール又はポリプロピレングリコールを含むことが更に好ましい。
水溶性有機溶媒の含有率は、インクの質量に対して、5.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましく、15.0質量%以上30.0質量%以下であることがより好ましい。
(水)
インクに含まれる水は、イオン交換水(脱イオン水)であることが好ましい。所定記録媒体に着弾したインクを良好に乾燥させる観点から、水の含有率は、インクの質量に対して、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが更に好ましい。水の含有率の上限は特に限定されないが、水の含有率は、インクの質量に対して、例えば70質量%以下である。
(顔料)
インクに含まれる顔料としては、特に限定されないが、例えば、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料、ホワイト顔料、及びこれら以外の顔料(以下、その他の顔料と記載することがある)が挙げられる。
ブラック顔料としては、例えば、ファーネス法又はチャンネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、アディティア・ビルラ・ケミカルズ社製である、Raven(登録商標) 5000 Ultra II、Raven 3500、Raven 2000、Raven 1255、Raven 1250、Raven 1200、Raven 1190 Ultra、Raven 1170、Raven 1080 Ultra、及びRaven 1060 Ultraが挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、キャボット社製である、MONARCH(登録商標) 1300、MONARCH 1000、MONARCH 800、MONARCH 700、MOGUL(登録商標) L、REGAL(登録商標) 400R、REGAL 660R、及びREGAL 330Rも挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製である、三菱(登録商標)カーボンブラック#2300、三菱カーボンブラック#980、三菱カーボンブラック#970、三菱カーボンブラック#960、三菱カーボンブラック#950、三菱カーボンブラック#900、三菱カーボンブラック#850、三菱カーボンブラックMCF88、三菱カーボンブラックMA600、三菱カーボンブラック#52、三菱カーボンブラック#47、三菱カーボンブラック#45、三菱カーボンブラック#40、三菱カーボンブラック#33、三菱カーボンブラック#25、三菱カーボンブラックMA7、三菱カーボンブラックMA8、及び三菱カーボンブラックMA100も挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、オリオンエンジニアードカーボンズ社製である、COLOUR BLACK FW 1、COLOUR BLACK FW 2、COLOUR BLACK FW 200、COLOUR BLACK FW 18、SPECIAL BLACK 6、COLOUR BLACK S 160、SPECIAL BLACK 5、PRINTEX(登録商標) U、PRINTEX V、SPECIAL BLACK 4、SPECIAL BLACK 4A、PRINTEX 140 U、PRINTEX 140 V、及びPRINTEX 35も挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、及びC.I.Vat Blue 6が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 202、及びC.I.Pigment Violet 19が挙げられる。
イエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 94、C.I.Pigment Yellow 95、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、及びC.I.Pigment Yellow 185が挙げられる。
ホワイト顔料としては、例えば、C.I.Pigment White 4、C.I.Pigment White 5、C.I.Pigment White 6、C.I.Pigment White 6:1、C.I.Pigment White 7、C.I.Pigment White 18、C.I.Pigment White 19、C.I.Pigment White 20、C.I.Pigment White 21、C.I.Pigment White 23、C.I.Pigment White 24、C.I.Pigment White 25、C.I.Pigment White 26、C.I.Pigment White 27、及びC.I.Pigment White 28が挙げられる。
その他の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 10、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Brown 3、C.I.Pigment Brown 5、C.I.Pigment Brown 25、C.I.Pigment Brown 26、C.I.Pigment Orange 2、C.I.Pigment Orange 5、C.I.Pigment Orange 7、C.I.Pigment Orange 13、C.I.Pigment Orange 14、C.I.Pigment Orange 15、C.I.Pigment Orange 16、C.I.Pigment Orange 24、C.I.Pigment Orange 34、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Orange 38、C.I.Pigment Orange 40、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Orange 62、C.I.Pigment Orange 63、C.I.Pigment Orange 64、及びC.I.Pigment Orange 71が挙げられる。
顔料の含有率は、インクの質量に対して、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
顔料は、分散媒(例えば、水)中に分散させて用いられることが好ましい。顔料の分散方法としては、特に限定されないが、例えば、分散剤を用いて顔料を分散媒中に分散させる方法、又は分散剤なしで顔料を分散媒中に分散させる方法が挙げられる。顔料は、分散剤により分散媒中に分散している非自己分散型顔料であってもよく、分散剤なしで分散媒中に分散している自己分散型顔料であってもよい。分散剤としては、例えば、界面活性剤及び高分子分散剤(以下、「顔料分散樹脂」と記載することがある)が挙げられる。なお、界面活性剤については、後述する。
顔料分散樹脂は、顔料粒子の表面に付着して、インク中に顔料粒子を分散させる。なお、顔料分散樹脂の一部が、顔料粒子の表面に付着することなく、インク中に遊離していてもよい。顔料分散樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。顔料を安定に分散させる観点から、顔料分散樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、及びスチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
顔料分散樹脂の質量平均分子量は、5000以上100000以下であることが好ましく、10000以上50000以下であることがより好ましく、15000以上30000以下であることが更に好ましい。顔料分散樹脂の質量平均分子量が5000以上であると、インク中で顔料が好適に分散する。顔料分散樹脂の質量平均分子量が100000以下であると、記録ヘッドからインクが好適に吐出される。
顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率は、0.02以上0.45以下であることが好ましく、0.04以上0.40以下であることがより好ましく、0.05以上0.35以下であることが更に好ましい。顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率が0.45以下であると、顔料分散体及びインクの粘度が所望の値に調整され易い。顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率が0.02以上であると、インク中で顔料が好適に分散する。
顔料分散樹脂としては、市販品を用いることができる。顔料分散樹脂の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社製であるJoncryl(登録商標) 586、及びJoncryl 611;ビックケミー・ジャパン株式会社製である、DISPERBYK(登録商標)-190、及びDISPERBYK-191;並びに日本ルーブリゾール株式会社製である、Solsperse 20000、及びSolsperse 27000が挙げられる。
(バインダー樹脂)
インクは、バインダー樹脂を含むことが好ましい。バインダー樹脂は、インクの着弾後に、インク中の顔料と記録媒体とを互いに結合する。インクがバインダー樹脂を含有することで、記録媒体と顔料とが良好に結合し、耐擦過性に優れた画像が所定記録媒体に形成される。
バインダー樹脂は、例えば、水不溶性樹脂である。水不溶性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル-ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及び変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及びスチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
水不溶性樹脂は、樹脂エマルションの形態で用いられることが好ましい。樹脂エマルションの形態で用いられる場合、インクには、水不溶性樹脂により構成される乳化粒子が含有されている。樹脂エマルションとしては、市販品を用いることができる。
ウレタン樹脂は、特に限定されず、分子中にウレタン結合を有するものであればよい。ウレタン樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製である、スーパーフレックス(登録商標)170、スーパーフレックス210、スーパーフレックス820、及びスーパーフレックス870;並びに三井化学株式会社製である、タケラック(登録商標)W-6010、及びタケラックW-6020が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製である、モビニール(登録商標)6718、モビニール6751D、モビニール6750、モビニール6760、モビニール6770、モビニール6800、モビニール6969D、モビニール6899D、及びモビニール6820が挙げられる。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製である、モビニール6960、モビニール6963、及びモビニールRS-009C22;並びに星光PMC株式会社製であるQE-1042が挙げられる。
所定記録媒体に耐擦過性に優れた画像を形成する観点から、バインダー樹脂の含有率は、インクの質量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
(界面活性剤)
インクは、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、市販品を用いることができる。
本明細書において、アセチレン系界面活性剤は、その分子内にアセチレン結合(炭素原子間三重結合)を有する界面活性剤を意味する。アセチレン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製である、サーフィノール(登録商標)420、サーフィノール440、オルフィン(登録商標)E1010、オルフィンEXP.4200、及びオルフィンEXP.4300が挙げられる。
本明細書において、アクリル系界面活性剤は、(メタ)アクリル酸又はその誘導体の重合物である界面活性剤を意味する。アクリル系界面活性剤の市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製である、BYK(登録商標)-380 N、及びBYK-381;並びに共栄社化学株式会社製であるポリフローKL-850が挙げられる。
本明細書において、シリコーン系界面活性剤は、その分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤を意味する。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製である、シルフェイス(登録商標)SAG002、及びシルフェイスSAG503Aが挙げられる。
本明細書において、フッ素系界面活性剤は、その分子内にフルオロ基を有する界面活性剤を意味する。フッ素系の界面活性剤の市販品としては、例えば、ケマーズ株式会社製である、Capstone FS-30、Capstone FS-31、Capstone FS-65、及びCapstone FS-3100が挙げられる。
界面活性剤としては、アセチレン系界面活性剤又はアクリル系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の含有率は、インクの質量に対して、0.05質量%以上2質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の含有率がこの範囲内の値であると、インクの動的表面張力をインクジェット記録に適した範囲に調整しやすい。
(その他の成分)
インクは、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、及び防かび剤が挙げられる。その他の成分の含有量は、特に限定されないが、必要に応じて適宜設定することができる。
(インクの粘度)
25℃におけるインクの粘度は、4mPa・s以上9mPa・s以下であることが好ましく、7.7mPa・s以上8.3mPa・s以下であることがより好ましい。インクの粘度がこの範囲内の値であると、所定記録媒体に着弾したインクが適度に増粘するため、所定記録媒体に着弾したインク液滴の径が大きくなり過ぎず、形成画像に白筋及び滲みが発生し難い。
(インクの製造方法)
インクの製造方法は、例えば、顔料分散体の調製工程と、混合工程とを含む。
顔料分散体の調製工程において、例えば、分散機を用いて、顔料と、水と、必要に応じて分散剤とが混合される。分散機としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、及びビーズミルが挙げられる。これらの中でも、ビーズミルを用いることが好ましい。ビーズミルとしては、例えば、アトライタ(登録商標)(日本コークス工業株式会社製)、サンドグラインダー(アイメックス株式会社製)、ダイノ(登録商標)ミル(WAB社製)、及びウルトラアペックスミル(株式会社広島メタル&マシナリー製)が挙げられる。得られた顔料分散体中に粗大粒子が含まれる場合には、ろ過又は遠心分離により、粗大粒子を除去することが好ましい。
混合工程において、例えば、顔料を含む顔料分散体と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを混合して、インクが得られる。必要に応じて、バインダー樹脂、界面活性剤、及びその他の成分からなる群から選択される少なくとも1種が更に混合されてもよい。得られたインク中に粗大粒子が含まれる場合には、ろ過又は遠心分離により、粗大粒子を除去することが好ましい。
[第2実施形態:インクジェット記録装置]
以下、図1を参照して、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置の一例であるインクジェット記録装置100について説明する。図1は、第2実施形態に係るインクジェット記録装置100を示す。
インクジェット記録装置100には、記録媒体1がセットされる。インクジェット記録装置100は、記録媒体搬送路2と、送り回転軸3と、巻き取り回転軸4と、第1搬送ローラー対5と、第2搬送ローラー対6と、前処理ヘッド20と、第1記録ヘッド10aと、第2記録ヘッド10bと、第3記録ヘッド10cと、第4記録ヘッド10dと、制御部40とを備える。以下、区別する必要がない場合には、第1記録ヘッド10a、第2記録ヘッド10b、第3記録ヘッド10c、及び第4記録ヘッド10dを、「記録ヘッド10」と記載することがある。
第2実施形態において、前処理ヘッド20から吐出される第1液、及び記録ヘッド10から吐出される第2液は、各々、第1実施形態に係る液セットが備える第1液及び第2液である。従って、第1実施形態で述べたのと同じ理由により、第2実施形態に係るインクジェット記録装置100は、所定記録媒体上に画像を形成した場合であっても、形成画像における白筋及び滲みの発生を抑制できる。
記録媒体1は、ロール状に巻かれている。記録媒体1としては、例えば、所定記録媒体が挙げられる。所定記録媒体のうち、水の吸収性が低い低吸収性記録媒体としては、例えば、アート紙、コート紙、写真印刷用紙、及びキャストコート紙が挙げられる。所定記録媒体のうち、水を吸収しない非吸収性記録媒体としては、例えば、ホイル紙、合成紙、及びプラスチック基材が挙げられる。プラスチック基材としては、例えば、ポリエステル(例えば、PET)基材、ポリプロピレン基材、ポリスチレン基材、及びポリ塩化ビニル基材が挙げられる。所定記録媒体の片面又は両面は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、及びプライマー処理が挙げられる。
送り回転軸3に、ロール状の記録媒体1がセットされる。送り回転軸3は、ロール状の記録媒体1を第1搬送ローラー対5へ送り出す。
第1搬送ローラー対5は、記録媒体1を記録媒体搬送路2へ搬送する。
記録媒体搬送路2は、第1搬送ローラー対5及び第2搬送ローラー対6の間に形成される記録媒体1の移動通路である。巻き取り回転軸4の回転に応じて記録媒体1が巻き取り回転軸4に巻き取られることで、記録媒体1が、記録媒体搬送路2に沿って、記録媒体1の搬送方向(図1中の矢印D1で示す方向)へ搬送される。記録媒体搬送路2に沿って、前処理ヘッド20と、第1記録ヘッド10aと、第2記録ヘッド10bと、第3記録ヘッド10cと、第4記録ヘッド10dとが、記録媒体1の搬送方向における上流側から記載された順に設けられる。特に、前処理ヘッド20は、記録ヘッド10よりも、記録媒体1の搬送方向における上流側に設けられる。
前処理ヘッド20は、記録媒体1に、第1液である前処理液を吐出する。記録媒体1の全体に、前処理液が吐出されてもよい。但し、少量の前処理液で前処理が可能となるため、記録媒体1の一部であってインクが吐出される領域よりも広い領域に、又は記録媒体1のインクが吐出される領域のみに、前処理液が吐出されることが好ましい。
記録ヘッド10は、記録媒体1における第1液(前処理液)が吐出された領域の少なくとも一部(例えば、一部又は全体)に、第2液であるインクを吐出する。より具体的には、記録ヘッド10は、その吐出面に設けられた複数個の吐出口(不図示)から、インクを吐出する。例えば、第1記録ヘッド10a、第2記録ヘッド10b、第3記録ヘッド10c、及び第4記録ヘッド10dは、各々、第1インク、第2インク、第3インク、及び第4インクを記録媒体1に吐出する。第1インク、第2インク、第3インク、及び第4インクは、互いに異なる色のインク(例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及びブラックインク)である。これにより、記録媒体1に、カラーの画像が形成される。記録ヘッド10は、特に限定されないが、例えば、ピエゾ方式又はサーマルインクジェット方式である。
第2搬送ローラー対6は、記録ヘッド10からインクが吐出され画像が形成された記録媒体1を、巻き取り回転軸4へ搬送する。
巻き取り回転軸4は、記録ヘッド10からインクが吐出され画像が形成された記録媒体1をロール状に巻き取る。記録媒体1の一方端が送り回転軸3にセットされ、他方端が巻き取り回転軸4にセットされる。不図示のモーターで生じる駆動力が伝達されて、巻き取り回転軸4が、その回転方向(図1中の矢印D2で示す方向)へ回転する。巻き取り回転軸4の回転に応じて、記録媒体1が巻き取り回転軸4に巻き取られる。そして、記録媒体1の巻き取りに応じて、送り回転軸3が、その回転方向(図1中の矢印D3で示す方向)へ従動回転し、送り回転軸3が記録媒体1を送り出す。
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)によって構成されている。制御部40は、インクジェット記録装置100の全体を制御可能である。
例えば、制御部40は、ユーザーによる印字速度設定に応じて、巻き取り回転軸4の回転速度、ひいては記録媒体1の搬送速度を制御する。記録媒体1の搬送速度は、20m/分以上100m/分以下であることが好ましい。記録媒体1の搬送速度が20m/分以上100m/分以下のように高速であっても、インクジェット記録装置100は、記録媒体1に形成された画像に白筋及び滲みが発生することを抑制できる。
なお、第1実施形態に係る液セットが備えるインクは、2種以上のインク(例えば、メインインク及びサブインク)が混合された混合インクでなくてもよい。また、第1実施形態に係る液セットが備えるインクは、1種のインク(例えば、メインインク)のみであり、他のインク(例えば、サブインク)を備えていなくてもよい。これらの場合、2種のインクを混合する混合装置が備えられる必要がなく、インクジェット記録装置100の装置構成の簡素化を図ることができる。
以上、図1を参照して、第2実施形態に係るインクジェット記録装置の一例であるインクジェット記録装置100を説明した。但し、第2実施形態に係るインクジェット記録装置は、上記インクジェット記録装置100に限定されず、例えば以下の第1~第5変形例のように変更可能である。
第1変形例は、以下のとおりである。上記インクジェット記録装置100では、ロール状の記録媒体1を用いる例について示したが、例えば、所定サイズ(例えばA4サイズ等)にカットされた記録媒体が用いられてもよい。
第2変形例は、以下のとおりである。上記インクジェット記録装置100では、4個の第1記録ヘッド10a、第2記録ヘッド10b、第3記録ヘッド10c、及び第4記録ヘッド10dを備える例について示したが、記録ヘッド10の数は特に限定されない。例えば、第2変形例のインクジェット記録装置は、1個又は複数個(例えば、2個、3個、又は5個以上)の記録ヘッド10を備えていてもよい。
第3変形例は、以下のとおりである。上記インクジェット記録装置100では、ワイピングブレードを備えない例について示したが、記録ヘッド10の吐出面を払拭するワイピングブレードが備えられてもよい。
第4変形例は、以下のとおりである。上記インクジェット記録装置100では、搬送板及び搬送ベルトを備えない例について示したが、記録媒体1を搬送する搬送板又は搬送ベルトが備えられてもよい。
第5変形例は、以下のとおりである。上記インクジェット記録装置100では、前処理ヘッド20から前処理液を吐出する例を示したが、前処理ヘッド20を使用することなく記録媒体1に前処理液が塗布されてもよい。前処理ヘッド20を使用することなく記録媒体1に前処理液を塗布する方法としては、例えば、バーコーターを用いた塗布、スピンコーターを用いた塗布、及びディップコート法による塗布が挙げられる。これらの塗布方法が採用される場合、第5変形例のインクジェット記録装置は、前処理ヘッド20を備えていなくてもよい。
以上、図1を参照して、第2実施形態に係るインクジェット記録装置について説明した。
[第3実施形態:インクジェット記録方法]
引き続き図1を参照して、本発明の第3実施形態に係るインクジェット記録方法について説明する。
本発明の第3実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体1に前処理液を付着させる工程(前処理工程)と、記録媒体1における前処理液が付着した領域の少なくとも一部にインクを吐出する工程(吐出工程)とを含む。
第3実施形態に係るインクジェット記録方法は、第1実施形態に係る液セットを用いて実施される。第3実施形態において、記録媒体1に付着する前処理液、及び記録媒体1に吐出されるインクは、各々、第1実施形態に係る液セットが備える前処理液及びインクである。従って、第1実施形態で述べたのと同じ理由により、第3実施形態に係るインクジェット記録方法は、所定記録媒体上に画像を形成した場合でも、形成画像における白筋及び滲みの発生を抑制できる。
第3実施形態に係るインクジェット記録方法は、例えば、第2実施形態に係るインクジェット記録装置100を用いて実施される。前処理工程において、前処理ヘッド20が、記録媒体1に前処理液を吐出する。吐出工程において、記録ヘッド10が、記録媒体1における前処理液が吐出された領域の少なくとも一部に、インクを吐出する。
なお、前処理工程において、前処理ヘッド20を使用することなく記録媒体1に前処理液が付着されてもよい。前処理ヘッド20を使用することなく記録媒体1に前処理液を付着させる方法としては、例えば、上記第5変形例で述べた方法が挙げられる。以上、図1を参照して、第3実施形態に係るインクジェット記録方法について説明した。
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<顔料分散体の調製>
まず、インクの調製に使用するための顔料分散体を調製した。顔料としてC.I.Pigment Blue 15:3(BASFジャパン株式会社製、商品名:Heliogen(登録商標) Blue D 7088)15質量部、顔料分散樹脂(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名:DISPERBYK-190、不揮発分:40質量%、分散媒:水)10質量部、及びイオン交換水75質量部を混合し、ディスパーを用いて予備分散し、予備分散体を得た。次いで、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミル(WAB社製「ダイノ(登録商標)ミル」)を用いて、予備分散体を更に分散させ、顔料分散体(具体的には、シアン顔料分散体)を得た。
<インクの調製>
次に、液セットの調製に使用するためのインク(I-1)~(I-66)を調製した。これらのインクに配合される成分及びその配合率、並びにインクの粘度を、表1に示す。
Figure 2023025441000002
表1に記載の用語の意味は、次のとおりである。
・顔料分散体:上記<顔料分散体の調製>で得られた顔料分散体
・バインダー樹脂:ウレタン樹脂のエマルション(第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス870」、不揮発分:30質量%、分散媒:水)
・CMC-Na:カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルミライズ株式会社製「CMCダイセル1330」、エーテル化度:1.3)
・サーフィノール:アセチレン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール(登録商標)440、有効成分濃度:100質量%)
・水:イオン交換水
・-:該当する成分を使用していないこと
(インクの粘度の測定方法)
表1に示すインクの粘度は、「JIS(日本産業規格)Z 8803:2011 液体の粘度測定方法」に記載の方法に準拠して、25℃の環境下で測定した。
(インク(I-1)の調製)
攪拌機を用いて、表1のインク(I-1)欄に示す配合率になるように各成分を混合し、混合液を得た。具体的には、3.00質量部の顔料分散体と、3.00質量部のバインダー樹脂と、0.08質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、10.00質量部のポリプロピレングリコールと、0.50質量部のアセチレン系界面活性剤と、83.42質量部のイオン交換水とを混合し、混合液を得た。目開き5μmのメンブレンフィルターを用いて、混合液を濾過し、インク(I-1)を得た。
(インク(I-2)~(I-6)の調製)
表1のインク(I-2)~(I-6)欄の各々に示す配合率になるように各成分を混合したこと以外は、インク(I-1)と同じ方法により、インク(I-2)~(I-6)の各々を製造した。
<液セットの準備>
次に、表2に示す液セット(A-1)~(A-5)及び(B-1)~(B-3)を準備した。液セット(A-1)~(A-3)、(A-5)、及び(B-2)~(B-3)の前処理液として、ウレタン樹脂の分散液(高松油脂株式会社製「NS-310X」、固形分濃度:14質量%、分散媒:水)を使用した。液セット(A-4)の前処理液として、アクリル樹脂の分散液(高松油脂株式会社製「NS-625XC」、固形分濃度:12質量%、分散媒:水)を使用した。液セット(B-1)には、前処理液を使用しなかった。
<線幅の評価>
線幅の評価を、温度30℃、且つ相対湿度20%RHの環境下において実施した。評価機として、第1記録ヘッド(前処理ヘッドに相当)及び第2記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製試作機)を使用した。第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドは、何れも、ライン型記録ヘッドであった。第1記録ヘッドは、記録媒体の搬送方向における第2記録ヘッドよりも上流側に、配置されていた。第1記録ヘッドに前処理液を充填し、第2記録ヘッドにインクを充填した。前処理液の液適量、及びインクの液滴量を、各々、1画素あたり8pLに設定した。記録媒体として、PETフィルム(東レ株式会社製「ルミラー(登録商標)#50-S10」)を使用した。
評価機を用いて、記録媒体の全域に、第1記録ヘッドから前処理液を吐出した。次いで、記録媒体に、第2記録ヘッドからインクを吐出して、1ドットラインの画像を印刷した。このようにして、合計3枚の記録媒体に、1ドットラインの画像を印刷した。光学顕微鏡を用いて画像を観察することにより、3枚の記録媒体に印刷された1ドットラインの線幅を測定し、測定された線幅の各々を線幅N1、N2、及びN3とした。下記基準に従って、線幅N1、N2、及びN3を判定した。なお、線幅が37.5μm未満であると、ドット径が小さいため、所定記録媒体上に形成された画像に白筋が発生する傾向がある。また、線幅が40.0μm以上であると、所定記録媒体上に画像を形成した場合にインクが滲む傾向がある。測定された線幅N1、N2、及びN3、並びに判定結果を、表2に示す。
(線幅の判定基準)
良好:線幅N1、N2、及びN3の全てが、37.5μm以上40.0μm未満である。
不良:線幅N1、N2、及びN3の少なくとも1つが、37.5μm未満又は40.0μm以上である。
Figure 2023025441000003
表2に示すように、液セット(B-1)は、前処理液を備えていなかった。詳しくは、線幅の評価において、第1記録ヘッドに、前処理液を充填しなかった。そして、第1記録ヘッドから前処理液が吐出されることなく、第2記録ヘッドから記録媒体にインク(I-1)が吐出された。このため、表2に示すように、前処理液が吐出されることなくインク(I-1)を使用して印刷された線幅の判定は、不良であった。
表1に示すように、インク(I-4)は、多糖類を含有していなかった。このため、表2に示すように、このインクを備える液セット(B-2)を使用して印刷された線幅の判定は、不良であった。
表1に示すように、インク(I-5)の多糖類の含有率は、インクの質量に対して、0.20質量%を超えていた。このため、表2に示すように、このインクを備える液セット(B-3)を使用して印刷された線幅の判定は、不良であった。
一方、表1に示すように、インク(より具体的には、インク(I-1)~(I-3)及び(I-6))は、顔料と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを含んでいた。多糖類の含有率が、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下であった。表2に示すように、液セット(A-1)~(A-5)は、前処理液と、インク(より具体的には、インク(I-1)~(I-3)及び(I-6))とを備えていた。このため、表2に示すように、液セット(A-1)~(A-5)を使用して印刷された線幅の判定は、良好であった。線幅の判定が良好であることから、液セット(A-1)~(A-5)を使用して所定記録媒体上に画像を形成した場合に、形成画像に白筋及び滲みが発生することを抑制できると判断される。
以上のことから、液セット(A-1)~(A-5)を包含する本発明に係る液セットによれば、所定記録媒体上に画像を形成した場合でも、形成画像に白筋及び滲みが発生することを抑制できると判断される。また、このような液セットを使用する本発明に係るインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法によれば、所定記録媒体上に画像を形成した場合でも、形成画像に白筋及び滲みが発生することを抑制できると判断される。
本発明に係る液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法は、記録媒体に画像を形成するために利用できる。
1 :記録媒体
2 :記録媒体搬送路
3 :送り回転軸
4 :巻き取り回転軸
5 :第1搬送ローラー対
6 :第2搬送ローラー対
10 :記録ヘッド
10a :第1記録ヘッド
10b :第2記録ヘッド
10c :第3記録ヘッド
10d :第4記録ヘッド
20 :前処理ヘッド
40 :制御部
100 :インクジェット記録装置

Claims (8)

  1. 第1液と、第2液とを備える液セットであって、
    前記第1液が、前処理液であり、
    前記第2液が、インクであり、
    前記インクが、顔料と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを含み、
    前記多糖類の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である、液セット。
  2. 前記前処理液は、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂を含む、請求項1に記載の液セット。
  3. 前記インクが含む前記多糖類が、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩である、請求項1又は2に記載の液セット。
  4. 前記インクが含む前記水溶性有機溶媒が、プロパンジオール、又はポリプロピレングリコールを含む、請求項1~3の何れか一項に記載の液セット。
  5. 前記インクが、水不溶性樹脂を更に含む、請求項1~4の何れか一項に記載の液セット。
  6. 25℃における前記インクの粘度が、4mPa・s以上9mPa・s以下である、請求項1~5の何れか一項に記載の液セット。
  7. 記録媒体に、第1液を吐出する前処理ヘッドと、
    前記記録媒体における前記第1液が吐出された領域の少なくとも一部に、第2液を吐出する記録ヘッドとを備え、
    前記第1液が、前処理液であり、
    前記第2液が、インクであり、
    前記インクが、顔料と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを含み、
    前記多糖類の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である、インクジェット記録装置。
  8. 記録媒体に、第1液を付着させる工程と、
    前記記録媒体における前記第1液が付着した領域の少なくとも一部に、第2液を吐出する工程とを含み、
    前記第1液が、前処理液であり、
    前記第2液が、インクであり、
    前記インクが、顔料と、多糖類と、水溶性有機溶媒と、水とを含み、
    前記多糖類の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である、インクジェット記録方法。
JP2021130692A 2021-08-10 2021-08-10 液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 Pending JP2023025441A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021130692A JP2023025441A (ja) 2021-08-10 2021-08-10 液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021130692A JP2023025441A (ja) 2021-08-10 2021-08-10 液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023025441A true JP2023025441A (ja) 2023-02-22

Family

ID=85251599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021130692A Pending JP2023025441A (ja) 2021-08-10 2021-08-10 液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023025441A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4737260B2 (ja) インクジェット記録方法、前処理液、インクセット
EP3530472B1 (en) Ink jet recording method and recording apparatus
JP2005074655A (ja) 反応液、インクセット及びインクジェット記録方法
WO2018190806A1 (en) Ink sets
EP4067085A1 (en) Aqueous ink composition, inkset, printed matter, and method for manufacturing printed matter
JP6247074B2 (ja) インクジェット記録方法
JP4737259B2 (ja) インクジェット記録方法、前処理液、インクセット
JP2017019277A (ja) インクジェット記録装置
JP4056929B2 (ja) インクジェット記録方法および記録物ならびにインクジェット記録装置
JP6689655B2 (ja) インクジェットインク、インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置
JP6904523B2 (ja) インクジェット印刷用水系インク
JP4831213B2 (ja) 前処理液、インクセットおよびインクジェット記録方法
JP2023025441A (ja) 液セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法
JP2006045450A (ja) インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2004035718A (ja) インクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法
JP2010274561A (ja) インクジェット記録方法、前処理液、インクセットおよびインクジェット記録装置
JP2003011486A (ja) 被記録材の前処理液及びインクジェット記録方法
JP7392292B2 (ja) インクジェット記録用水性インク
EP4067084A1 (en) Water-based ink composition, printed object, and method for manufacturing printed object
JP2023062487A (ja) インクジェット用インク及びインクジェット記録方法
JP2023002172A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP2023045352A (ja) インクジェット用インクセット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法
JP2023045351A (ja) インクジェット用インクセット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法
JP2022187667A (ja) インクジェット記録用インク
JP7463608B1 (ja) 水性インクジェットインキ及び印刷物