JP2023002172A - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低吸収性及び非吸収性記録媒体上に画像を形成した場合であってもインクの混色が抑制され、記録ヘッドからのインクの吐出性に優れるインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】インクジェット記録装置は、加熱装置と、記録ヘッドとを備える。加熱装置は、記録ヘッドに対して記録媒体の搬送方向における上流側に設けられる。加熱装置により加熱された記録媒体の温度は、40~80℃である。インクが、顔料と、セルロース誘導体と、第1及び第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。第2水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒である。セルロース誘導体の含有率が、インクの質量に対して、0.01~0.20質量%である。グリコールエーテルの含有率が、インクの質量に対して、6~24質量%であり、第1及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20~80質量%である。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
ラベル及びパッケージの印刷には、水の吸収性が低い低吸収性記録媒体、及び水を吸収しない非吸収性記録媒体が用いられることがある。低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体上に画像を形成した場合に滲みにくいインクが、種々検討されている。例えば、特許文献1には、剪断減粘性付与剤、着色剤、及び溶剤を含有するインクジェット用インク組成物が開示されている。
特開2012-17400号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録用インク組成物は、低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体における混色の抑制の点、及び記録ヘッドからのインクの吐出性の点で不十分であることが、本発明者の検討により判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体上に画像を形成した場合であってもインクの混色が抑制され、記録ヘッドからのインクの吐出性に優れるインクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法を提供することである。
本発明に係るインクジェット記録装置は、記録媒体を加熱する加熱装置と、前記記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドとを備える。前記加熱装置は、前記記録ヘッドに対して前記記録媒体の搬送方向における上流側に設けられる。前記加熱装置により加熱された前記記録媒体の温度は、40℃以上80℃以下である。前記インクが、顔料と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。前記第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。前記第2水溶性有機溶媒は、前記グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒である。前記セルロース誘導体の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。前記グリコールエーテルの含有率が、前記インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下である。前記グリコールエーテルの含有率が、前記第1水溶性有機溶媒及び前記第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である。
本発明に係るインクジェット記録方法は、記録媒体を加熱する工程と、前記記録媒体にインクを吐出する工程とを含む。前記インクが前記記録媒体に吐出されるよりも前に、前記記録媒体が加熱される。加熱された前記記録媒体の温度は、40℃以上80℃以下である。前記インクが、顔料と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。前記第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。前記第2水溶性有機溶媒は、前記グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒である。前記セルロース誘導体の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。前記グリコールエーテルの含有率が、前記インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下である。前記グリコールエーテルの含有率が、前記第1水溶性有機溶媒及び前記第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である。
本発明に係るインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体上に画像を形成した場合であってもインクの混色が抑制され、記録ヘッドからのインクの吐出性に優れる。
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す図である。
まず、本明細書に記載の用語について説明する。以下、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量を意味する。動的表面張力は、最大泡圧法により測定される50ミリ秒における表面張力を意味する。最大泡圧法による動的表面張力の測定には、例えば、動的表面張力計(クルス社製、商品名:BP100)を用いることができる。インクの粘度は、「JIS(日本産業規格)Z 8803:2011 液体の粘度測定方法」に記載の方法に準拠して、25℃の環境下で測定された値である。疎水性の強さ(又は親水性の強さ)は、例えば水滴の接触角(水の濡れ易さ)で表すことができる。水滴の接触角が大きいほど疎水性が強い。明細書に記載の各成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上、本明細書に記載の用語について説明した。
[第1実施形態:インクジェット記録装置]
以下、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。第1実施形態に係るインクジェット記録装置は、記録媒体を加熱する加熱装置と、記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドとを備える。加熱装置は、記録ヘッドに対して前記記録媒体の搬送方向における上流側に設けられる。加熱装置により加熱された記録媒体の温度は、40℃以上80℃以下である。インクは、下記[インク]で述べる所定のインクである。
上記構成を有するインクジェット記録装置によれば、記録ヘッドから記録媒体にインクが吐出される前に、40℃以上80℃以下の温度に記録媒体が加熱される(プレヒートされる)。40℃以上の温度に記録媒体がプレヒートされることで、記録媒体へのインクの着弾時及び着弾直後に、加熱された記録媒体によってインクが迅速に乾燥される。その結果、インクの着弾後であって次に吐出されるインクの着弾前に、インクが迅速に乾燥されて、着弾したインクと次に吐出されるインクとの混色が抑制される。本明細書において、混色とは、一方の色のインクが他方の色の画像領域に滲み出た画像不良を意味する。また、80℃以下の温度に記録媒体がプレヒートされることで、加熱された記録媒体の熱により記録ヘッドの温度が上昇し過ぎず、記録ヘッドの吐出口内のインクが乾燥して固化することを抑制できる。その結果、記録ヘッドからのインクの吐出性が向上する。
また、下記[インク]で述べるインクは、低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体上に画像を形成した場合であっても滲み難い。以下、「低吸収性記録媒体及び非吸収性記録媒体」を「所定記録媒体」と記載することがある。このようなインクが記録ヘッドから吐出されるため、上記構成を有するインクジェット記録装置は、所定記録媒体上に画像を形成した場合であってもインクが滲み難く、着弾したインクと次に吐出されるインクとの混色が抑制される。また、下記[インク]で述べるインクは、記録ヘッドからの吐出性に優れる。このようなインクが記録ヘッドから吐出されるため、上記構成を有するインクジェット記録装置は、記録ヘッドからのインクの吐出性にも優れる。
以下、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の一例であるインクジェット記録装置100について説明する。図1は、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100を示す。
インクジェット記録装置100には、記録媒体1がセットされる。インクジェット記録装置100は、記録媒体搬送路2と、送り回転軸3と、巻き取り回転軸4と、第1搬送ローラー対5と、第2搬送ローラー対6と、第1記録ヘッド10aと、第2記録ヘッド10bと、第3記録ヘッド10cと、第4記録ヘッド10dと、加熱装置20と、温度センサー30と、制御部40とを備える。以下、区別する必要がない場合には、第1記録ヘッド10a、第2記録ヘッド10b、第3記録ヘッド10c、及び第4記録ヘッド10dを、「記録ヘッド10」と記載することがある。
記録媒体1は、ロール状に巻かれている。記録媒体1としては、例えば、所定記録媒体が挙げられる。所定記録媒体のうち、水の吸収性が低い低吸収性記録媒体としては、例えば、アート紙、コート紙、及びキャストコート紙が挙げられる。所定記録媒体のうち、水を吸収しない非吸収性記録媒体としては、例えば、ホイル紙、合成紙、及びプラスチック基材が挙げられる。プラスチック基材としては、例えば、ポリエステル(PET)基材、ポリプロピレン基材、ポリスチレン基材、及びポリ塩化ビニル基材が挙げられる。所定記録媒体の片面又は両面は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、及びプライマー処理が挙げられる。
送り回転軸3に、ロール状の記録媒体1がセットされる。送り回転軸3は、ロール状の記録媒体1を第1搬送ローラー対5へ送り出す。
第1搬送ローラー対5は、記録媒体1を記録媒体搬送路2へ搬送する。
記録媒体搬送路2は、第1搬送ローラー対5及び第2搬送ローラー対6の間に形成される記録媒体1の移動通路である。巻き取り回転軸4の回転に応じて記録媒体1が巻き取り回転軸4に巻き取られることで、記録媒体1が、記録媒体搬送路2に沿って、記録媒体1の搬送方向(図1中の矢印D1で示す方向)へ搬送される。記録媒体搬送路2に沿って、加熱装置20と、温度センサー30と、第1記録ヘッド10aと、第2記録ヘッド10bと、第3記録ヘッド10cと、第4記録ヘッド10dとが、記録媒体1の搬送方向における上流側から記載された順に設けられる。
記録ヘッド10は、その吐出面に設けられた複数個の吐出口(不図示)から、記録媒体1にインクを吐出する。例えば、第1記録ヘッド10a、第2記録ヘッド10b、第3記録ヘッド10c、及び第4記録ヘッド10dは、各々、第1インク、第2インク、第3インク、及び第4インクを記録媒体1に吐出する。第1インク、第2インク、第3インク、及び第4インクは、互いに異なる色のインク(例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及びブラックインク)である。これにより、記録媒体1に、カラーの画像が形成される。記録ヘッド10は、特に限定されないが、例えば、ピエゾ方式又はサーマルインクジェット方式である。
加熱装置20は、記録媒体1を加熱する。加熱装置20は、記録ヘッド10(例えば、第1記録ヘッド10a)に対して、記録媒体1の搬送方向における上流側に設けられる。このため、記録ヘッド10から記録媒体1にインクが吐出される前に、記録媒体1が加熱される(プレヒートされる)。プレヒートにより、第1記録ヘッド10aから第1インクが吐出され、記録媒体1へ第1インクが着弾する時及び着弾した直後に、加熱された記録媒体1によって第1インクが迅速に乾燥される。その結果、第1インクの着弾後であって第2記録ヘッド10bから次に吐出される第2インクの着弾前に、第1インクが迅速に乾燥されて、着弾した第1インクと次に吐出される第2インクとの混色が抑制される。第2インク及び第3インクが吐出される場合、並びに第3インク及び第4インクが吐出される場合についても、上記第1インク及び第2インクが吐出される場合と同様の効果が得られる。
加熱装置20は、記録媒体1の裏面側(インクが吐出される面とは反対側)に設けられ、記録媒体1を裏面側から加熱する。加熱装置20は、記録媒体1における画像形成領域だけを加熱してもよく、記録媒体1の全体を加熱してもよい。
既に述べたように、加熱装置20が記録ヘッド10に対して記録媒体1の搬送方向における上流側に設けられる。また、加熱装置20は、記録媒体1の裏面側に設けられる。これらのことから、加熱装置20は、記録ヘッド10と対向して配置されない。このため、加熱装置20によって記録ヘッド10が加熱されず、記録ヘッド10の吐出口内のインクが乾燥して固化することを抑制できる。
加熱装置20は、予め定められた設定温度X(40℃以上80℃以下の温度)に、記録媒体1を加熱する。このようにして、加熱装置20により加熱された記録媒体1の温度が、40℃以上80℃以下となる。以下、「加熱装置20により加熱された記録媒体1の温度」を、「プレヒート温度」と記載することがある。プレヒート温度が40℃未満であると、加熱された記録媒体1によるインクの乾燥速度が遅くなる。このため、着弾したインクが乾燥する前に次のインクが吐出され、着弾したインクと次に吐出されるインクとの混色が発生する。一方、プレヒート温度が80℃を超えると、加熱された記録媒体1の熱により、記録ヘッド10の温度が上昇し易くなる。このため、記録ヘッド10の吐出口内のインクが乾燥して固化し、記録ヘッド10からのインクの吐出性が低下する。プレヒート温度は、50℃以上70℃以下であることが好ましい。
加熱装置20は、インクではなく、記録媒体1を加熱する。このため、インクの着弾時及び着弾直後に、加熱された記録媒体1によって、インクが迅速に乾燥される。その結果、インクの着弾後であって次に吐出されるインクの着弾前に、インクが迅速に乾燥されて、着弾したインクと次に吐出されるインクとの混色が抑制される。
温度センサー30は、プレヒート温度を検出する。温度センサー30は、加熱装置20に対して、記録媒体1の搬送方向における下流側に設けられる。また、温度センサー30は、記録ヘッド10(例えば、第1記録ヘッド10a)に対して、記録媒体1の搬送方向における上流側に設けられる。
温度センサー30は、記録媒体1の表面側(インクが吐出される面側)に設けられ、記録媒体1の温度を表面側から検出する。温度センサー30は記録媒体1と近接している。記録媒体1の搬送方向と垂直な方向における、温度センサー30と記録媒体1との間の距離は、例えば、1mm以上10mm以下である。記録媒体1において、加熱装置20が記録媒体1を加熱する位置(加熱位置)と、温度センサー30が記録媒体1の温度を検出する位置(温度検出位置)との間の距離は、例えば、0mm以上100mm以下である。また、記録媒体1において、温度センサー30が記録媒体1の温度を検出する位置(温度検出位置)と、記録ヘッド10(例えば、第1記録ヘッド10a)が記録媒体1にインクを吐出する位置(吐出位置)との間の距離は、例えば、1mm以上100mm以下である。加熱位置と温度検出位置との間の距離、及び温度検出位置と吐出位置との間の距離は、各々、記録媒体1の搬送方向における距離である。
温度センサー30は、加熱装置20と対向して配置されていない。このため、温度センサー30は、加熱装置20の温度の影響を受けることなく、記録媒体1の温度を検出できる。
第2搬送ローラー対6は、記録ヘッド10からインクが吐出され画像が形成された記録媒体1を、巻き取り回転軸4へ搬送する。
巻き取り回転軸4は、記録ヘッド10からインクが吐出され画像が形成された記録媒体1をロール状に巻き取る。記録媒体1の一方端が送り回転軸3にセットされ、他方端が巻き取り回転軸4にセットされる。不図示のモーターで生じる駆動力が伝達されて、巻き取り回転軸4が、その回転方向(図1中の矢印D2で示す方向)へ回転する。巻き取り回転軸4の回転に応じて、記録媒体1が巻き取り回転軸4に巻き取られる。そして、記録媒体1の巻き取りに応じて、送り回転軸3が、その回転方向(図1中の矢印D3で示す方向)へ従動回転し、送り回転軸3が記録媒体1を送り出す。
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)によって構成されている。制御部40は、インクジェット記録装置100の全体を制御可能である。
例えば、制御部40は、温度センサー30によって検出された記録媒体1の現在の温度に基づいて、記録媒体1の温度が設定温度Xとなるように、加熱装置20の出力を制御するフィードバック制御を実行する。より具体的には、制御部40は、温度センサー30から入力される第1電気信号によって示される記録媒体1の温度と、設定温度Xとの差に応じたデューティー比の第2電気信号を生成する。制御部40は、生成された第2電気信号を加熱装置20に入力して、加熱装置20の出力を制御する。
また、例えば、制御部40は、ユーザーによる印字速度設定に応じて、巻き取り回転軸4の回転速度、ひいては記録媒体1の搬送速度を制御する。記録媒体1の搬送速度は、20m/分以上100m/分以下であることが好ましい。記録媒体1の搬送速度が20m/分以上100m/分以下のように高速であっても、インクジェット記録装置100は、記録媒体1におけるインクの混色を抑制でき、記録ヘッド10からのインクの吐出性に優れる。
なお、下記[インク]で述べるインクは、所定記録媒体上に画像を形成した場合であっても滲み難く、記録ヘッド10の吐出口からの吐出性にも優れる。このため、インクは、2種以上のインク(例えば、メインインク及びサブインク)が混合された混合インクでなくてもよい。このため、2種のインクを混合する混合装置が備えられる必要がなく、インクジェット記録装置100の装置構成の簡素化を図ることができる。
以上、図1を参照して、第1実施形態に係るインクジェット記録装置の一例であるインクジェット記録装置100を説明した。但し、第1実施形態に係るインクジェット記録装置は、上記インクジェット記録装置100に限定されず、例えば以下の第1~第7変形例のように変更可能である。
図2を参照して、第1変形例について説明する。上記インクジェット記録装置100では、加熱装置20を用いて記録媒体1を裏面側から加熱する例について示したが、例えば図2に示す第1変形例のインクジェット記録装置200のように、加熱装置20を用いて記録媒体1を表面側から加熱してもよい。インクジェット記録装置200において、加熱装置20は、記録媒体1の表面側に設けられ、記録媒体1を表面側から加熱する。
図3を参照して、第2変形例について説明する。上記インクジェット記録装置100では、加熱装置20を用いて記録媒体1を裏面側から加熱する例について示したが、例えば図3に示す第2変形例のインクジェット記録装置300のように、加熱装置を兼ねる第3搬送ローラー対21を用いて記録媒体1を加熱してもよい。第3搬送ローラー対21は、温度センサー30及び記録ヘッド10に対して、記録媒体1の搬送方向における上流側に設けられる。第3搬送ローラー対21は、記録媒体1を加熱する。第3搬送ローラー対21が備える2個のローラーの一方又は両方の内部に、加熱装置(不図示)が設けられる。第3搬送ローラー対21が加熱装置を兼ねるため、加熱装置を別途設ける必要がなく、装置構成の簡素化を図ることができる。また、第3搬送ローラー対21が備える2個のローラーの両方の内部に加熱装置が設けられる場合は、記録媒体1の表面側及び裏面側の両方から記録媒体1が加熱されるため、記録媒体1を迅速に加熱できる。
第3変形例は、以下のとおりである。上記インクジェット記録装置100では、ロール状の記録媒体1を用いる例について示したが、例えば、所定サイズ(例えばA4サイズ等)にカットされた記録媒体を用いてもよい。
第4変形例は、以下のとおりである。記録媒体1として、上記インクジェット記録装置100では、記録媒体1として所定記録媒体を使用する例について示したが、所定記録媒体以外の記録媒体(例えば、普通紙、上質紙、及び布)が使用されてもよい。
第5変形例は、以下のとおりである。上記インクジェット記録装置100では、4個の第1記録ヘッド10a、第2記録ヘッド10b、第3記録ヘッド10c、及び第4記録ヘッド10dを備える例について示したが、記録ヘッド10の数は特に限定されない。例えば、第5変形例のインクジェット記録装置は、複数個(例えば、2個、3個、又は5個以上)の記録ヘッド10を備えていてもよい。複数個の記録ヘッド10は、例えば、互いに異なる色のインクを吐出する。また、第5変形例のインクジェット記録装置は、1個の記録ヘッド10を備えていてもよい。下記[インク]で述べるインクは所定記録媒体上に画像を形成した場合であっても滲み難く、記録ヘッド10からの吐出性に優れるため、1個の記録ヘッド10が備えられる場合には、第5変形例のインクジェット記録装置は、形成画像にインクの滲みが発生することを抑制でき、記録ヘッド10から良好にインクを吐出できる。
第6変形例は、以下のとおりである。上記インクジェット記録装置100では、ワイピングブレードを備えない例について示したが、記録ヘッド10の吐出面を払拭するワイピングブレードが備えられてもよい。
第7変形例は、以下のとおりである。上記インクジェット記録装置100では、搬送板及び搬送ベルトを備えない例について示したが、記録媒体1を搬送する搬送板又は搬送ベルトが備えられてもよい。搬送板及び搬送ベルトは、加熱装置20と当接又は近接していてもよい。
以上、図1~図3を参照して、第1実施形態に係るインクジェット記録装置について説明した。
[第2実施形態:インクジェット記録方法]
引き続き図1~図3を参照して、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録方法について説明する。第2実施形態に係るインクジェット記録方法は、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100、200,又は300を用いて実施される。従って、第1実施形態で述べたのと同じ理由により、第2実施形態に係るインクジェット記録方法は、所定記録媒体上に画像を形成した場合であってもインクの混色が抑制され、記録ヘッド10からのインクの吐出性に優れる。
本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体1を加熱する工程(加熱工程)と、記録媒体1にインクを吐出する工程(吐出工程)とを含む。インクが記録媒体1に吐出されるよりも前に、記録媒体1が加熱される。加熱された記録媒体1の温度は、40℃以上80℃以下である。インクは、下記[インク]で述べるインクである。加熱工程において、加熱装置20により記録媒体1が加熱される。吐出工程において、記録ヘッド10から記録媒体1にインクが吐出される。以上、図1~図3を参照して、第2実施形態に係るインクジェット記録方法について説明した。
[インク]
以下、第1実施形態に係るインクジェット記録装置及び第2実施形態に係るインクジェット記録方法において使用されるインクについて説明する。このインクは、顔料と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。第2水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒である。セルロース誘導体の含有率が、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。グリコールエーテルの含有率が、インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下である。グリコールエーテルの含有率が、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である。
インクは、水を含有する水性インクである。所定記録媒体は水の吸収性が低い又は水を吸収しないため、水性インクを用いて所定記録媒体に印刷された画像は滲むことがある。しかしながら、インクは、上記インクの構成を有するため、所定記録媒体に印刷された場合であっても、好適に滲みを抑制できる。また、上記構成を有するインクは、記録ヘッドの吐出口からのインクの吐出性にも優れる。
(セルロース誘導体)
インクがセルロース誘導体を含むことで、所定記録媒体に着弾したインクを適度に増粘させることができる。その結果、所定記録媒体に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像を得ることができる。
既に述べたように、セルロース誘導体の含有率は、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。セルロース誘導体の含有率がインクの質量に対して0.01質量%未満であると、所定記録媒体に着弾したインクが十分に増粘せずにインク滴が合一されてしまい、所定記録媒体においてインクの滲みが発生する。セルロース誘導体の含有率がインクの質量に対して0.20質量%より高いと、インクの粘度が高くなり過ぎ、記録ヘッドの吐出口からのインクの吐出性が低下することがある。セルロース誘導体の含有率がインクの質量に対して0.01質量%以上0.20質量%以下であると、記録ヘッドの吐出口からインクが安定的に吐出されるとともに、所定記録媒体に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像が得られやすくなる。
セルロース誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(以下「カルボキシメチルセルロースナトリウム」と記載することがある)、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、及びメチルエチルセルロースが挙げられる。
記録ヘッドからのインクの吐出性を確保する観点から、セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい。カルボキシメチルセルロースは、セルロースの無水グルコース単位中の水酸基にカルボキシメチル基がエーテル結合した構造(換言すると、無水グルコース単位中の水酸基の水素原子がカルボキシメチル基に置換された構造)を有する。
記録ヘッドからのインクの吐出性を確保する観点から、カルボキシメチルセルロースナトリウムのエーテル化度は、0.6以上1.5以下であることが好ましく、0.8以上1.0未満又は1.0以上1.5以下であることがより好ましい。本明細書において、カルボキシメチルセルロースナトリウムのエーテル化度は、無水グルコース単位1モル当たりのカルボキシメチル基のモル数の平均値を意味する。
カルボキシメチルセルロースナトリウムとしては、市販品を用いることができる。エーテル化度が0.6以上1.5以下であるカルボキシメチルセルロースナトリウムの市販品としては、例えば、ダイセルミライズ株式会社製のCMCダイセル(登録商標)1120、CMCダイセル1130、CMCダイセル1140、CMCダイセル1150、CMCダイセル1220、CMCダイセル1240、CMCダイセル1250、CMCダイセル1260、CMCダイセル1330、及びCMCダイセル1350が挙げられる。
カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液の25℃における粘度は、10mPa・s以上300mPa・s以下であることが好ましい。カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液の25℃における粘度がこの範囲内の値であると、インクの粘度をインクジェット記録に適した粘度に調整しやすい。カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液の粘度の測定には、例えば、振動粘度計(株式会社セコニック製、商品名:VM-10A-L)を用いることができる。
(第1水溶性有機溶媒)
第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。グリコールエーテルは、比較的高い疎水性を有する。インクが疎水性の高いグリコールエーテルを含むことで、水の吸収性が低い又は水を吸収しない所定記録媒体に対してインクがぬれ易くなり、所定記録媒体に画像を形成した場合であってもインクの滲みが抑制される。
グリコールエーテルとしては、炭素原子数2以上6以下のアルキレングリコールの炭素原子数1以上6以下のアルキルエーテルが好ましく、炭素原子数2以上3以下のアルキレングリコールの炭素原子数1以上4以下のアルキルエーテルがより好ましい。グリコールエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種(例えば、1種)がさらに好ましい。
所定記録媒体に対するインクのぬれ性を高めて、所定記録媒体に形成された画像におけるインクの滲みを抑制する観点から、グリコールエーテルの含有率は、インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下である。また、グリコールエーテルの含有率がインクの質量に対して6質量%以上であると、インクの疎水性が適度に高くなり、所定記録媒体上に画像を形成した場合であってもインクのはじきが発生し難い。グリコールエーテルの含有率は、インクの質量に対して、10質量%以上24質量%以下であることが好ましい。
所定記録媒体に着弾したインクを良好に乾燥させる観点から、グリコールエーテルの含有率は、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である。インクが良好に乾燥して、所定記録媒体に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像を得ることができる。同じ観点から、グリコールエーテルの含有率は、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、30質量%以上80質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
(第2水溶性有機溶媒)
第2水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒である。第2水溶性有機溶媒としては、例えば、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、2-ピロリドン、及びグリセリンが挙げられる。
第2水溶性有機溶媒としては、アルカンポリオール又はポリアルキレングリコールが好ましく、アルカンジオール又はジアルキレングリコールがより好ましく、炭素原子数3以上6以下のアルカンジオール又は炭素原子数4以上6以下のジアルキレングリコールがさらに好ましい。第2水溶性有機溶媒としては、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種(例えば、1種)が一層好ましい。
(水)
インクに含まれる水は、イオン交換水(脱イオン水)であることが好ましい。所定記録媒体に着弾したインクを良好に乾燥させる観点から、水の含有率は、インクの質量に対して、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましい。水の含有率の上限は特に限定されないが、水の含有率は、インクの質量に対して、例えば70質量%以下である。
(顔料)
インクに含まれる顔料としては、特に限定されないが、例えば、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料、ホワイト顔料、及びこれら以外の顔料(以下、その他の顔料と記載することがある)が挙げられる。
ブラック顔料としては、例えば、ファーネス法又はチャンネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、アディティア・ビルラ・ケミカルズ社製である、Raven(登録商標) 5000 Ultra II、Raven 3500、Raven 2000、Raven 1255、Raven 1250、Raven 1200、Raven 1190 Ultra、Raven 1170、Raven 1080 Ultra、及びRaven 1060 Ultraが挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、キャボット社製である、MONARCH(登録商標) 1300、MONARCH 1000、MONARCH 800、MONARCH 700、MOGUL(登録商標) L、REGAL(登録商標) 400R、REGAL 660R、及びREGAL 330Rも挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製である、三菱(登録商標)カーボンブラック#2300、三菱カーボンブラック#980、三菱カーボンブラック#970、三菱カーボンブラック#960、三菱カーボンブラック#950、三菱カーボンブラック#900、三菱カーボンブラック#850、三菱カーボンブラックMCF88、三菱カーボンブラックMA600、三菱カーボンブラック#52、三菱カーボンブラック#47、三菱カーボンブラック#45、三菱カーボンブラック#40、三菱カーボンブラック#33、三菱カーボンブラック#25、三菱カーボンブラックMA7、三菱カーボンブラックMA8、及び三菱カーボンブラックMA100も挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、オリオンエンジニアードカーボンズ社製である、COLOUR BLACK FW 1、COLOUR BLACK FW 2、COLOUR BLACK FW 200、COLOUR BLACK FW 18、SPECIAL BLACK 6、COLOUR BLACK S 160、SPECIAL BLACK 5、PRINTEX(登録商標) U、PRINTEX V、SPECIAL BLACK 4、SPECIAL BLACK 4A、PRINTEX 140 U、PRINTEX 140 V、及びPRINTEX 35も挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、及びC.I.Vat Blue 6が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 202、及びC.I.Pigment Violet 19が挙げられる。
イエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 94、C.I.Pigment Yellow 95、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、及びC.I.Pigment Yellow 185が挙げられる。
ホワイト顔料としては、例えば、C.I.Pigment White 4、C.I.Pigment White 5、C.I.Pigment White 6、C.I.Pigment White 6:1、C.I.Pigment White 7、C.I.Pigment White 18、C.I.Pigment White 19、C.I.Pigment White 20、C.I.Pigment White 21、C.I.Pigment White 23、C.I.Pigment White 24、C.I.Pigment White 25、C.I.Pigment White 26、C.I.Pigment White 27、及びC.I.Pigment White 28が挙げられる。
その他の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 10、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Brown 3、C.I.Pigment Brown 5、C.I.Pigment Brown 25、C.I.Pigment Brown 26、C.I.Pigment Orange 2、C.I.Pigment Orange 5、C.I.Pigment Orange 7、C.I.Pigment Orange 13、C.I.Pigment Orange 14、C.I.Pigment Orange 15、C.I.Pigment Orange 16、C.I.Pigment Orange 24、C.I.Pigment Orange 34、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Orange 38、C.I.Pigment Orange 40、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Orange 62、C.I.Pigment Orange 63、C.I.Pigment Orange 64、及びC.I.Pigment Orange 71が挙げられる。
記録ヘッドからのインクの吐出性を確保する観点から、顔料の含有率は、インクの質量に対して、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
顔料は、分散媒(例えば、水)中に分散させて用いられることが好ましい。顔料の分散方法としては、特に限定されないが、例えば、分散剤を用いて顔料を分散媒中に分散させる方法、又は分散剤なしで顔料を分散媒中に分散させる方法が挙げられる。顔料は、分散剤により分散媒中に分散している顔料(非自己分散型顔料)していることが好ましい。分散剤としては、例えば、界面活性剤及び高分子分散剤(以下、「顔料分散樹脂」と記載することがある)が挙げられる。なお、界面活性剤については、後述する。
顔料分散樹脂は、顔料粒子の表面に付着して、インク中に顔料粒子を分散させる。なお、顔料分散樹脂の一部が、顔料粒子の表面に付着することなく、インク中に遊離していてもよい。顔料分散樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。顔料を安定に分散させる観点から、顔料分散樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、及びスチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
顔料分散樹脂の質量平均分子量は、5000以上100000以下であることが好ましく、10000以上50000以下であることがより好ましく、15000以上30000以下であることがさらに好ましい。顔料分散樹脂の質量平均分子量が5000以上であると、インクの分散安定性が向上する。顔料分散樹脂の質量平均分子量が100000以下であると、記録ヘッドからのインクの吐出性が向上する。
顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率は、0.02以上0.45以下であることが好ましく、0.04以上0.40以下であることがより好ましく、0.05以上0.35以下であることがさらに好ましい。顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率が0.45以下であると、顔料分散体及びインクの粘度が所望の値に調整され易い。顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率が0.02以上であると、インクの分散安定性が向上する。
顔料分散樹脂としては、市販品を用いることができる。顔料分散樹脂の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社製であるJoncryl(登録商標) 586、及びJoncryl 611;ビックケミー・ジャパン株式会社製である、DISPERBYK(登録商標)-190、及びDISPERBYK-191;並びに日本ルーブリゾール株式会社製である、Solsperse 20000、及びSolsperse 27000が挙げられる。
(バインダー樹脂)
耐擦過性に優れた画像を得る観点から、インクは、バインダー樹脂を含むことが好ましい。バインダー樹脂は、インクの着弾後に、インク中の顔料と記録媒体とを互いに結合する。インクがバインダー樹脂を含有することで、加熱装置により加熱された記録媒体と顔料とが良好に結合し、形成画像においてインクが滲み難くなり、形成画像におけるインクの混色が抑制される。
バインダー樹脂は、例えば、水不溶性樹脂である。バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル-ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及び変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及びスチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
水不溶性樹脂は、樹脂エマルションの形態で用いられることが好ましい。樹脂エマルションの形態で用いられる場合、インクには、水不溶性樹脂により構成される乳化粒子が含有されている。樹脂エマルションとしては、市販品を用いることができる。
ウレタン樹脂は、特に限定されず、分子中にウレタン結合を有するものであればよい。ウレタン樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製である、スーパーフレックス(登録商標)170、スーパーフレックス210、スーパーフレックス820、及びスーパーフレックス870;並びに三井化学株式会社製である、タケラック(登録商標)W-6010、及びタケラックW-6020が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製である、モビニール(登録商標)6718、モビニール6751D、モビニール6750、モビニール6760、モビニール6770、モビニール6800、モビニール6969D、モビニール6899D、及びモビニール6820が挙げられる。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製である、モビニール6960、モビニール6963、及びモビニールRS-009C22;並びに星光PMC株式会社製であるQE-1042が挙げられる。
記録ヘッドからのインクの吐出性を確保する観点から、バインダー樹脂の含有率は、インクの質量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
(界面活性剤)
インクは、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、市販品を用いることができる。
本明細書において、アセチレン系界面活性剤は、その分子内にアセチレン結合(炭素原子間三重結合)を有する界面活性剤を意味する。アセチレン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製である、サーフィノール(登録商標)420、サーフィノール440、オルフィン(登録商標)E1010、オルフィンEXP.4200、及びオルフィンEXP.4300が挙げられる。
本明細書において、アクリル系界面活性剤は、(メタ)アクリル酸又はその誘導体の重合物である界面活性剤を意味する。アクリル系界面活性剤の市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製である、BYK(登録商標)-380 N、及びBYK-381;並びに共栄社化学株式会社製であるポリフローKL-850が挙げられる。
本明細書において、シリコーン系界面活性剤は、その分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤を意味する。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製である、シルフェイス(登録商標)SAG002、及びシルフェイスSAG503Aが挙げられる。
本明細書において、フッ素系界面活性剤は、その分子内にフルオロ基を有する界面活性剤を意味する。フッ素系の界面活性剤の市販品としては、例えば、ケマーズ株式会社製である、Capstone FS-30、Capstone FS-31、Capstone FS-65、及びCapstone FS-3100が挙げられる。
記録ヘッドからのインクの吐出性を確保する観点から、界面活性剤としては、アセチレン系界面活性剤及びアクリル系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の含有率は、インクの質量に対して、0.05質量%以上2質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の含有率がこの範囲内の値であると、インクの動的表面張力をインクジェット記録に適した範囲に調整しやすい。
(その他の成分)
インクは、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、及び防かび剤が挙げられる。その他の成分の含有量は、特に限定されないが、必要に応じて適宜設定することができる。
(インクの粘度及び動的表面張力)
記録ヘッドからのインクの吐出性を確保する観点から、インクの25℃における粘度は、4mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上9mPa・s以下であることがより好ましい。
記録ヘッドからのインクの連続吐出性を確保する観点から、インクの動的表面張力は、30mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。インクの動的表面張力が30mN/m以上であると、高速印刷時の記録ヘッドからの連続吐出性が向上する。
(顔料分散体の製造方法)
顔料分散体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、分散機を用いて、顔料と、水と、必要に応じて分散剤とを混合する方法が挙げられる。
分散機としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、及びビーズミルが挙げられる。これらの中でも、ビーズミルを用いることが好ましい。ビーズミルとしては、例えば、アトライタ(登録商標)(日本コークス工業株式会社製)、サンドグラインダー(アイメックス株式会社製)、ダイノ(登録商標)ミル(WAB社製)、及びウルトラアペックスミル(株式会社広島メタル&マシナリー製)が挙げられる。
得られた顔料分散体中に粗大粒子が含まれる場合には、ろ過又は遠心分離により、粗大粒子を除去することが好ましい。粗大粒子を除去することにより、記録ヘッドの吐出口内の目詰まりを防止することができる。
(インクの製造方法)
インクの製造方法は、例えば、顔料を含む顔料分散体と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを混合する工程を含む。必要に応じて、バインダー樹脂、界面活性剤、及びその他の成分からなる群から選択される少なくとも1種をさらに混合してもよい。インクの製造方法は、ろ過により不溶物を除去する工程をさらに含んでいてもよい。
既に述べたように、上記インクは、所定記録媒体への印刷において滲みを抑制できるため、所定記録媒体への印刷に好適に用いることができる。以上、第1実施形態に係るインクジェット記録装置及び第2実施形態に係るインクジェット記録方法において使用されるインクについて説明した。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<シアン顔料分散体の製造>
まず、インクの製造に使用するためのシアン顔料分散体を製造した。シアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、BASFジャパン株式会社製「Heliogen(登録商標) Blue D 7088」)15質量部、顔料分散樹脂(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名:DISPERBYK-190、不揮発分:40質量%、分散媒:水)10質量部、及び水75質量部を混合し、ディスパーを用いて予備分散し、予備分散体を得た。次いで、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミル(WAB社製「ダイノ(登録商標)ミル」)を用いて、予備分散体をさらに分散させ、シアン顔料分散体を得た。
<ブラック顔料分散体の製造>
シアン顔料をブラック顔料(オリオンエンジニアドカーボン社製「Printex(登録商標)85」)に変更したこと以外は、シアン顔料分散体の製造と同じ方法により、ブラック顔料分散体を得た。
<シアンインクの製造>
次に、実施例に係るシアンインク(A1-1)~(A9-1)、及び比較例に係るシアンインク(B1-1)~(B6-1)を製造した。これらのシアンインクの組成を、後述する表1~表5に示す。
(シアンインク(A1-1)の製造)
攪拌機を用いて、表1のシアンインク(A1-1)欄に示す組成になるように各成分を混合し、混合物を得た。具体的には、20.00質量部のシアン顔料分散体、0.05質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム、10.00質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル、20.00質量部の1,2-プロパンジオール、10.00質量部の水不溶性樹脂のエマルション(第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス870」)、0.40質量部の界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール(登録商標)440」)、及び残量(39.55質量部)のイオン交換水を混合し、混合物を得た。目開き5μmのメンブレンフィルターを用いて、混合液を濾過し、シアンインク(A1-1)を得た。
(シアンインク(A2-1)~(A9-1)及び(B1-1)~(B6-1)の製造)
表1~表5のシアンインク(A2-1)~(A9-1)及び(B1-1)~(B6-1)欄の各々に示す組成になるように各成分を混合したこと以外は、シアンインク(A1-1)と同じ方法により、シアンインク(A2-1)~(A9-1)及び(B1-1)~(B6-1)の各々を製造した。
<ブラックインクの製造>
次に、実施例に係るブラックインク(A1-2)~(A9-2)、及び比較例に係るブラックインク(B1-2)~(B6-2)を製造した。これらのブラックインクの組成を、後述する表1~表5に示す。
表1~表5のブラックインク(A1-2)~(A9-2)及び(B1-2)~(B6-2)欄の各々に示す組成になるように各成分を混合したこと以外は、シアンインク(A1-1)と同じ方法により、ブラックインク(A1-2)~(A9-2)及び(B1-2)~(B6-2)の各々を製造した。
[評価]
以下の評価は、常温常湿環境(温度25℃且つ湿度60%RHの環境)下で行った。評価機として、ライン型記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製試作機)を使用した。この評価機は、プレヒートを行う加熱装置、温度センサー、及びワイピングブレードを備えていた。加熱装置と記録媒体との間の距離は0mmであり(当接しており)、温度センサーと記録媒体との間の距離は5mmであり、加熱位置と温度検出位置との間の距離は10mmであり、温度検出位置と吐出位置との間の距離は10mmであった。記録媒体の搬送方向における、評価機のシアン用インクタンクに、上記<シアンインクの製造>で得られたシアンインクを充填した。評価機のブラック用インクタンクに、上記<ブラックインクの製造>で得られたブラックインクを充填した。プレヒート温度を、表1~表5に示す温度に設定した。記録媒体の搬送速度を、50m/分に設定した。
<吐出性の評価>
評価機を用いて、100枚の記録媒体(合成紙、株式会社ユポ・コーポレーション製「ニューユポFGS」)に、ソリッド画像を連続して印刷した。印刷後、パージ動作及びワイプ動作を行った。パージ動作は、インクを加圧して、記録ヘッドの吐出面に設けられた吐出口からインクを排出させる動作であった。ワイプ動作は、ワイピングブレードを用いて、記録ヘッドの吐出面を払拭する動作であった。次いで、1枚の記録媒体に、ノズルチェック画像を印刷し、全ての吐出口からインクが吐出されていることを確認した。次いで、再び、パージ動作及びワイプ動作を行った。次いで、キャップ動作(ゴム製のキャップを用いて吐出口を密閉する動作)を行うことなく、評価機を8時間静置した。8時間静置後、再び、パージ動作及びワイプ動作を行った。次いで、1枚の記録媒体に、ノズルチェック画像を印刷し、評価用画像を得た。評価用画像を観察し、インクが吐出されなかった吐出口の数(ノズル詰まり発生数)を確認した。記録ヘッドからのインクの吐出性は、以下の基準に従って判定した。判定結果を、表1~表5に示す。
(吐出性の評価基準)
A(良好):ノズル詰まり発生数が、10個数%未満である。
B(不良):ノズル詰まり発生数が、10個数%以上である。
<混色抑制の評価>
評価機を用いて、1枚の記録媒体(より具体的には、下記所定記録媒体I~IIIの各々)に、記録媒体の長さ方向に平行なブラック色の長方形状のソリッド画像、及び記録媒体の幅方向に平行なシアン色の長方形状のソリッド画像が互いに直交した画像を印刷し、評価用画像を得た。評価用画像の直交した領域の大きさは、長さ5mm且つ幅5mmであった。評価用画像の直交した領域において、一方の色のインクが他方の色の画像領域に滲み出た幅(はみ出し幅)を測定した。はみ出し幅を5箇所測定し、はみ出し幅の数平均値(はみ出し幅の平均値)を算出した。インクの混色抑制の評価は、以下の基準に従って判定した。判定結果を、表1~表5に示す。
所定記録媒体I :合成紙(株式会社ユポ・コーポレーション製、商品名:ニューユポFGS、紙厚:80μm)
所定記録媒体II :キャストコート紙(王子製紙株式会社製、商品名:ミラーコート(登録商標)・ゴールド、紙厚:88μm)
所定記録媒体III:PETフィルム(東レ株式会社製、商品名:ポリエステルフィルム ルミラー(登録商標)S10#50)
(混色抑制の評価基準)
A(特に良好):はみ出し幅の平均値が150μm未満であり、混色が確認されない。
B(良好):はみ出し幅の平均値が150μm以上300μm未満であり、混色が若干確認されるが実使用上問題ない。
C(不良):はみ出し幅の平均値が300μm以上であり、明らかな混色が確認される。
なお、表1~表5に記載の用語の意味は、次のとおりである。
インク:シアンインク又はブラックインク。
CMC-Na:カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルミライズ株式会社製、商品名:CMCダイセル1330、エーテル化度:1.3)。
樹脂エマルション:水不溶性樹脂であるウレタン樹脂のエマルション(第一工業製薬株式会社製、商品名:スーパーフレックス870、不揮発分:30質量%、分散媒:水)。
界面活性剤:アセチレン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール(登録商標)440、有効成分濃度:100質量%)。
水:イオン交換水。
残量:インクに含有される成分の合計質量が100.00質量部になるような量であること。例えば、インク(A1-1)に含有される水の量は、39.55質量部(=100.00-(20.00+0.05+10.00+20.00+10.00+0.40))である。
-:該当する成分を含有していないこと。
GE含有率:第1水溶性有機溶媒(グリコールエーテル)及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対するグリコールエーテルの含有率(単位:質量%)。
ユポ:上記所定記録媒体I。
キャストコート紙:上記所定記録媒体II。
PET:上記所定記録媒体III。
NG:不良であること。
はじき発生:記録媒体上でインクがはじいて画像が印刷できなかったこと。
「プレヒート温度」欄に記載の「なし」:加熱装置をオフにして、記録媒体を加熱しなかったこと。
また、100.00質量部のインクが得られるように各成分を添加しているため、表1~表5の「組成」欄に示す各成分の量(単位:質量部)は、インクの質量に対する各成分の含有率(単位:質量%)に相当する。例えば、表1~表5の「CMC-Na」欄に示す量(単位:質量部)は、インクの質量に対するセルロース誘導体の含有率(単位:質量%)に相当する。また、表1~表5に示すグリコールエーテルの量(単位:質量部)、即ち、「プロピレングリコールモノメチルエーテル」欄、「プロピレングリコールモノプロピルエーテル」欄、「ジプロピレングリコールモノメチルエーテル」欄、「ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル」欄、及び「トリエチレングリコールモノブチルエーテル」欄に示す量の合計量は、インクの質量に対するグリコールエーテルの含有率(単位:質量%)に相当する。
Figure 2023002172000002
Figure 2023002172000003
Figure 2023002172000004
Figure 2023002172000005
Figure 2023002172000006
表4に示すように、シアンインク(B1-1)及びブラックインク(B1-2)を使用した評価において、加熱装置により記録媒体が加熱されていなかった。このため、これらのインクを使用した場合、混色抑制の評価が不良であった。
表4に示すように、シアンインク(B2-1)及びブラックインク(B2-2)を使用した評価において、プレヒート温度が80℃を超えていた。このため、これらのインクを使用した場合、吐出性の評価が不良であった。
表4に示すように、シアンインク(B3-1)及びブラックインク(B3-2)は、セルロース誘導体を含有していなかった。このため、これらのインクを使用した場合、混色抑制の評価が不良であった。
表5に示すように、シアンインク(B4-1)及びブラックインク(B4-2)のセルロース誘導体の含有率が、インクの質量に対して、0.20質量%を超えていた。このため、これらのインクを使用した場合、吐出性の評価が不良であった。
表5に示すように、シアンインク(B5-1)及びブラックインク(B5-2)のセルロース誘導体の含有率が、インクの質量に対して、0.20質量%を超えていた。また、これらのインクは、グリコールエーテルを含有していなかった。このため、これらのインクを使用した場合、吐出性の評価が不良であった。また、これらのインクを使用した場合、所定記録媒体上でインクのはじきが発生した。
表5に示すように、シアンインク(B6-1)及びブラックインク(B6-2)のセルロース誘導体の含有率が、インクの質量に対して、0.20質量%を超えていた。また、これらのインクのグリコールエーテルの含有率が、インクの質量に対して、24質量%を超えていた。このため、これらのインクを使用した場合、吐出性の評価及び混色抑制の評価が不良であった。
一方、表1~表3に示すように、シアンインク(A1-1)~(A9-1)及びブラックインク(A1-2)~(A9-2)は、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒であるグリコールエーテルと、第2水溶性有機溶媒とを少なくとも含有していた。セルロース誘導体の含有率が、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下であった。グリコールエーテルの含有率が、インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下であった。グリコールエーテルの含有率が、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下であった。このため、これらのインクの吐出性の評価及び混色抑制の評価は、良好又は特に良好であった。
以上のことから、本発明に係るインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、所定記録媒体上に画像を形成した場合であってもインクの混色が抑制され、記録ヘッドからのインクの吐出性に優れることが示された。
本発明に係るインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、記録媒体に画像を形成するために利用できる。
1 :記録媒体
2 :記録媒体搬送路
3 :送り回転軸
4 :巻き取り回転軸
5 :第1搬送ローラー対
6 :第2搬送ローラー対
10 :記録ヘッド
10a :第1記録ヘッド
10b :第2記録ヘッド
10c :第3記録ヘッド
10d :第4記録ヘッド
20 :加熱装置
21 :第3搬送ローラー対
30 :温度センサー
40 :制御部
100、200、300:インクジェット記録装置

Claims (6)

  1. 記録媒体を加熱する加熱装置と、
    前記記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドとを備え、
    前記加熱装置は、前記記録ヘッドに対して、前記記録媒体の搬送方向における上流側に設けられ、
    前記加熱装置により加熱された前記記録媒体の温度は、40℃以上80℃以下であり、
    前記インクが、顔料と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含み、
    前記第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルであり、
    前記第2水溶性有機溶媒は、前記グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒であり、
    前記セルロース誘導体の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下であり、
    前記グリコールエーテルの含有率が、前記インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下であり、
    前記グリコールエーテルの含有率が、前記第1水溶性有機溶媒及び前記第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である、インクジェット記録装置。
  2. 前記セルロース誘導体が、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩である、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記グリコールエーテルが、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記第2水溶性有機溶媒が、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記記録媒体の搬送速度が、20m/分以上100m/分以下である、請求項1~4の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 記録媒体を加熱する工程と、
    前記記録媒体にインクを吐出する工程とを含み、
    前記インクが前記記録媒体に吐出されるよりも前に、前記記録媒体が加熱され、
    加熱された前記記録媒体の温度は、40℃以上80℃以下であり、
    前記インクが、顔料と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含み、
    前記第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルであり、
    前記第2水溶性有機溶媒は、前記グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒であり、
    前記セルロース誘導体の含有率が、前記インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下であり、
    前記グリコールエーテルの含有率が、前記インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下であり、
    前記グリコールエーテルの含有率が、前記第1水溶性有機溶媒及び前記第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である、インクジェット記録方法。
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