JP2023024006A - 超伝導磁石装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁場分布の調整を可能にする超伝導磁石装置を提供する。【解決手段】超伝導磁石装置10は、磁場利用空間20の中心軸に垂直な方向の合成磁場24を磁場利用空間20に発生させる一群の超伝導コイル12であって、中心軸に対して磁場利用空間20の一方側に配置される少なくとも2つの超伝導コイル12と、中心軸に対して磁場利用空間20の他方側に配置される少なくとも2つの更なる超伝導コイル12とを含む一群の超伝導コイル12と、各々が、一群の超伝導コイル12のうち対応する超伝導コイル12を格納し、磁場利用空間20の周方向に移動可能な複数の真空容器14と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、超伝導磁石装置に関する。
単結晶引き上げ装置において坩堝内の融液の対流制御を目的として融液に磁場を印加するMCZ(Magnetic field applied Czochralski)法が知られている。超伝導磁石装置は、こうした単結晶引き上げ装置の磁場発生源として利用されている。
特開2001-203106号公報
印加される磁場分布は、融液中の対流抑制の程度に影響し、その結果、引き上げられる単結晶中の酸素濃度に影響する。望まれる酸素濃度は、最終的に製造される半導体装置の用途に応じて異なる。ところが、単結晶引き上げ装置用の超伝導磁石装置では一般に、超伝導コイルの配置は固定されている。典型的に、超伝導磁石装置は、この超伝導コイル配置によって、ある特定の酸素濃度を実現するのに適する磁場分布が生成されるように設計される。そのため、一台の単結晶引き上げ装置で、このような設計上の磁場分布から別の磁場分布へと切り替えて複数の異なる酸素濃度をもつ単結晶を作り分けることは、たいてい困難である。
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、磁場分布の調整を可能にする超伝導磁石装置を提供することにある。
本発明のある態様によると、超伝導磁石装置は、磁場利用空間の中心軸に垂直な方向の合成磁場を磁場利用空間に発生させる一群の超伝導コイルであって、中心軸に対して磁場利用空間の一方側に配置される少なくとも2つの超伝導コイルと、中心軸に対して磁場利用空間の他方側に配置される少なくとも2つの更なる超伝導コイルとを含む一群の超伝導コイルと、各々が、一群の超伝導コイルのうち対応する超伝導コイルを格納し、磁場利用空間の周方向に移動可能な複数の真空容器と、を備える。
本発明によれば、磁場分布の調整を可能にする超伝導磁石装置を提供することができる。
実施の形態に係る超伝導磁石装置を模式的に示す平面図である。 図1に示される超伝導磁石装置を模式的に示す断面図である。 実施の形態に係る超伝導磁石装置の真空容器を模式的に示す平面図である。 他の実施の形態に係る超伝導磁石装置を模式的に示す断面図である。 実施の形態に係り、超伝導コイルの支持体の他の一例を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、実施の形態に係る超伝導磁石装置10を模式的に示す平面図である。図2は、図1に示される超伝導磁石装置10を模式的に示す断面図である。図2には、図1のA-A断面が示され、図1には、図2のB-B断面が示される。また、図1では、簡単のため、図2に示される一部の構成要素の図示が省略されている。
超伝導磁石装置10は、HMCZ(Horizontal-MCZ;横磁場型のMCZ)法による単結晶引き上げ装置の磁場発生源として利用することができる。単結晶引き上げ装置は、例えば、シリコン単結晶引き上げ装置である。
超伝導磁石装置10は、複数の超伝導コイル12と、複数の真空容器14と、案内構造16と、磁気シールド18とを備える。超伝導磁石装置10のこれら構成要素は、磁場利用空間20を囲むようにその中心軸の周りに同軸状に配置される。この実施の形態では、磁場利用空間20の中心軸は、鉛直方向(すなわち、水平面に垂直な方向)に平行である。超伝導磁石装置10が単結晶引き上げ装置に搭載されたとき、磁場利用空間20には、単結晶材料の融液を収容する坩堝が配置される。磁場利用空間20は、超伝導磁石装置10を取りまく周囲環境22(例えば室温大気圧環境)の一部である。
以下では、説明の便宜上、磁場利用空間20の中心軸をZ軸、Z軸に直交し互いに直交する二軸をそれぞれX軸、Y軸とする直交座標系を考える。単結晶引き上げ装置の場合、結晶引き上げ軸がZ軸にあたり、結晶引き上げ軸に垂直な融液表面にX軸、Y軸を定義することができる。このとき、超伝導磁石装置10が融液表面の中心に発生させる磁場に平行な方向をX軸とし、これに垂直な方向をY軸とすることができる。
この実施の形態では、超伝導磁石装置10には4つの超伝導コイル12が設けられ、Z軸に対して磁場利用空間20の一方側(図中左側)に配置される2つの超伝導コイル12と、Z軸に対して磁場利用空間20の他方側(図中右側)に配置される2つの更なる超伝導コイル12とからなる。これら4つの超伝導コイル12は、磁場利用空間20の径方向外側で磁場利用空間20を囲むようにして配置される。超伝導コイル12の各々は、コイルの中心軸を磁場利用空間20の径方向(Z軸に垂直な方向)に向けるように配置される。超伝導コイル12は、同じ形状および同じサイズを有し、この例では、同径の円形コイルである。
図1に示される超電導コイル配置では、左側の2つの超伝導コイル12は磁場利用空間20の周方向(Z軸まわりの方向)に互いに隣接して配置され、同様に、右側の2つの超伝導コイル12も周方向に互いに隣接して配置される。左右の超伝導コイル12(例えば、左上のコイルと右上のコイル、または左下のコイルと右下のコイル)は、周方向に離れて配置される。
また、図1の配置では、左側の2つの超伝導コイル12のうち片方の超伝導コイル12と右側の2つの超伝導コイル12のうち片方の超伝導コイル(例えば、左上のコイルと右下のコイル、または左下のコイルと右上のコイル)は、コイル中心軸を同一とし、磁場利用空間20を挟んで対向している。このような一組の超伝導コイル12(例えば、左上のコイルと右下のコイル)のコイル中心軸は、Z軸周りに時計回りにX軸から+α度をなす直線に一致し、もう一組の超伝導コイル12(例えば、左下のコイルと右上のコイル)のコイル中心軸は、Z軸周りに反時計回りにX軸からβ度をなす直線に一致してもよい。多くの場合、β度は、-α度に等しく、4つの超伝導コイル12はX軸に関して対称に配置される。
超伝導磁石装置10には、周囲環境22に配置された電源26が設けられている。電源26は、磁気シールド18よりも外側に配置されてもよい。超伝導コイル12の各々は、この電源26からの給電により、磁場利用空間20の径方向に磁場を発生させる。例えば、左側の2つの超伝導コイル12が径方向内向き(または径方向外向き)の磁場を発生させ、右側の2つの超伝導コイル12が径方向外向き(または径方向内向き)の磁場を発生させる。これにより、4つの超伝導コイル12は、図1に示されるように、Z軸に垂直な方向(この例ではX軸方向)の合成磁場24を磁場利用空間20に発生させる。よって、超伝導コイル12は、HMCZ型の単結晶引き上げ装置の磁場発生源として利用できる。
超伝導磁石装置10には、4つの超伝導コイル12に対応して4つの真空容器14が設けられる。真空容器14は、磁場利用空間20の周方向に移動可能に磁場利用空間20の周囲に配置される。真空容器14の各々には対応する超伝導コイル12が格納され、当該超伝導コイル12は周囲環境22から隔離される。真空容器14は、コイルマウントと称することもできる。各真空容器14は、個々の超伝導コイル12のための個別のクライオスタットであり、超伝導磁石装置10の動作中、真空容器14の内部には超伝導コイル12を超伝導状態とするのに適する極低温真空環境が提供される。真空容器14は、超伝導コイル12が磁場利用空間20に磁場を発生させるのを妨げないように、非磁性材料(例えばステンレス鋼などの非磁性金属材料)で形成される。
案内構造16は、周方向の真空容器14の移動を案内するように磁場利用空間20の周囲に配置される。真空容器14には案内構造16に適合する被案内部が設けられる。案内構造16は、この被案内部を案内構造16に沿って案内することによって真空容器14を磁場利用空間20の周方向に移動させる。この実施の形態では、案内構造16は、真空容器14の下方に配置され、真空容器14の被案内部も真空容器14の下部に設けられる。案内構造16は、真空容器14と同様に、非磁性材料(例えばステンレス鋼などの非磁性金属材料)で形成される。
一例として、案内構造16は、図1に示されるように、磁場利用空間20を囲むレールを備えてもよい。図2に示されるように、このレールは、Z軸を中心として円環状に設けられている。レールは、支持面28に設置される。支持面28は、超伝導磁石装置10が設置される床面であってもよく。または、床面に設置され超伝導磁石装置10を支持する支持体の表面であってもよい。真空容器14の下部には、被案内部としての車輪が設けられてもよい。レールは、この車輪のレールに沿った移動を案内するように構成される。車輪がレールに沿って転がることによって、真空容器14は、図1に破線矢印で示すように、レールすなわち案内構造16に沿って磁場利用空間20の周方向に移動することができる。車輪に代えて、または車輪とともに、真空容器14はその他の形態の被案内部を備えてもよく、その場合、被案内部が案内構造16に沿って滑動または摺動することによって、真空容器14が周方向に移動されてもよい。
図1および図2に示されるように、磁気シールド18は、複数の真空容器14を囲むように磁場利用空間20の周方向に延在し、超伝導コイル12が発生させる磁場が外部に漏洩するのを抑制する。磁気シールド18は、例えば鉄などの磁性材料で形成される。磁気シールド18は、案内構造16と同様に、支持面28に設置される。磁気シールド18は、支持面28に立設され複数の真空容器14に対し径方向外側でこれら真空容器14に隣接して配置される側壁部と、この側壁部の上端部から径方向内向きに延出する上壁部とを備える。なお磁気シールド18は、側壁部の下端部から径方向内向きに(例えば支持面28に沿って)延出する下壁部を備えてもよい。ただし、磁気シールド18は、超伝導コイル12が磁場利用空間20に磁場を発生させるのを妨げないように、複数の真空容器14に対し径方向内側には設けられていない。
図3は、実施の形態に係る超伝導磁石装置10の真空容器14を模式的に示す平面図である。図3には、図2に示される矢印Cの方向から見たときの真空容器14の外側の端面が示される。
真空容器14は、円形ディスク状の形状をもつ超伝導コイル12を格納するために、円筒状の形状を有する。真空容器14は、2つの円形状の平坦な端面とこれら端面を接続する円筒状の側面とを有し、真空容器14の直径(すなわち端面の直径)は、真空容器14の長さ(すなわち側面の長さ)より長くなっている。する。端面の一方が磁場利用空間20に対し外側に向けられ、他方が磁場利用空間20側に向けられている。
図2および図3に示されるように、超伝導コイル12の各々は、当該超伝導コイル12から真空容器14を貫通して磁気シールド18に向かって延在する外側水平支持体30を備える。後述のように、外側水平支持体30は、磁気シールド18によって支持される。外側水平支持体30は、棒状の形状を有し、真空容器14の気密性を保つように真空容器14の外側の端面を貫通して磁場利用空間20の径方向に延在している。外側水平支持体30の基端部は、超伝導コイル12に固定される。例えば、この基端部は、超伝導コイル12の端面に取り付けられたコイル支持プレートに固定されてもよい。外側水平支持体30の末端部は、真空容器14の外で磁気シールド18に向かって突出している。
この実施の形態では、1つの超伝導コイル12について複数の外側水平支持体30が設けられている。これら外側水平支持体30は、超伝導コイル12の中心周りに等角度間隔で配置されてもよい。この例では、図3に示されるように、3本の外側水平支持体30が超伝導コイル12の中心周りに120度間隔で配置される。これは一例であり、外側水平支持体30の本数は任意である。あるいは、1つの超伝導コイル12について1本の外側水平支持体30が設けられ、例えば、この外側水平支持体30がコイル中心軸上に配置され当該コイルに固定されてもよい。
磁気シールド18は、漏洩磁場を遮蔽するだけでなく、超伝導磁石装置10の動作中に超伝導コイル12に働く電磁力を受ける荷重受け構造としての役割も果たす。そのために、磁気シールド18は、外側水平支持体30を支持する支持部32を備える。
図2に示されるように、支持部32は、磁気シールド18の側壁部内周面に設けられ、真空容器14に向かって突出している。支持部32は、磁気シールド18に取り付けられた別部材であってもよく、または、磁気シールド18と一体形成された磁気シールド18の一部であってもよい。支持部32の表面が外側水平支持体30の末端部と接触している。超伝導磁石装置10の動作中に磁場利用空間20の径方向に外向きの力が超伝導コイル12に働いたとき、外側水平支持体30はこの力を受け超伝導コイル12を支持することができる。こうした水平方向外向きの力は、例えば超伝導コイル12のクエンチ現象の発生時に超伝導コイル12に生じうる。なお図1では、簡単のため、外側水平支持体30と支持部32の図示を省略している。
支持部32は、周方向の真空容器14の移動による外側水平支持体30の周方向移動範囲にわたって設けられている。例えば、支持部32は、周方向に沿って磁気シールド18の複数箇所に設けられてもよく、または周方向に沿って連続して磁気シールド18に設けられてもよい。このようにすれば、真空容器14の周方向位置にかかわらず、外側水平支持体30を支持部32で支持することができる。
ある実施の形態では、支持部32は、磁気シールド18の側壁部外周面から貫通して外側水平支持体30の末端部と接触するように構成されてもよい。支持部32は、超伝導コイル12を支持する支持力を調整するように磁気シールド18の外から操作可能であってもよい。例えば、支持部32は、磁気シールド18に形成されたボルト穴に螺合するボルトであってもよく、このボルトの頭部が磁気シールド18の外周面に設けられ、ボルトの先端が外側水平支持体30の末端部と接触してもよい。このボルトすなわち支持部32を磁気シールド18に対し回転させることで、支持部32は磁場利用空間20の径方向に移動することができ、それにより、支持部32が外側水平支持体30を径方向に押さえる力(すなわち、超伝導コイル12を径方向に支持する力)を調節することができる。
ある実施の形態では、外側水平支持体30は、径方向外向きの力だけではなく径方向内向きの力も支持するように支持部32と連結されてもよい。例えば、磁気シールド18には、Z方向に延在するピン状の支持部32が設けられ、外側水平支持体30の末端部には、このピンに係合するピン穴が設けられてもよい。
また、超伝導コイル12の各々は、当該超伝導コイル12から真空容器14を貫通して案内構造16に向かって延在する鉛直支持体34を備える。鉛直支持体34は、棒状の形状を有し、真空容器14の気密性を保つように真空容器14の側面を貫通してZ軸方向に延在している。鉛直支持体34の基端部は、超伝導コイル12に固定され、鉛直支持体34の末端部は、真空容器14の外で案内構造16に向かって突出している。鉛直支持体34は、案内構造16によって支持される。鉛直支持体34の末端部には、案内構造16に沿って案内される被案内部(例えば上述の車輪)が設けられてもよい。鉛直支持体34の末端部が案内構造16に沿って案内され、真空容器14を磁場利用空間20の周方向に移動させることができる。
この実施の形態では、1つの超伝導コイル12について複数(例えば2本)の鉛直支持体34が設けられている。これは一例であり、鉛直支持体34の本数は任意であり、1つの超伝導コイル12について1本の鉛直支持体34のみが設けられてもよい。支持体(例えば、外側水平支持体30、鉛直支持体34)は、真空容器14と同様に、非磁性材料(例えばステンレス鋼などの非磁性金属材料)で形成される。
図2に示されるように、各真空容器14は、上述の外側水平支持体30、鉛直支持体34に加えて、極低温冷凍機36と、熱シールド38と、電流導入端子40とをさらに備える。すなわち、これら極低温冷凍機36、熱シールド38、電流導入端子40は、個々の真空容器14に格納された超伝導コイル12ごとに設けられる。
極低温冷凍機36は、例えば二段式のギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機またはその他の形式の極低温冷凍機である。極低温冷凍機36の第1段冷却部が熱シールド38と熱的に結合され、極低温冷凍機36の第2段冷却部が超伝導コイル12と熱的に結合される。図示の例では、第2段冷却部は、超伝導コイル12の端面に取り付けられ超伝導コイル12と熱的に結合された伝熱プレート42を介して、超伝導コイル12と熱的に結合される。第1段冷却部によって熱シールド38が第1冷却温度(例えば30K~80K)に冷却され、第2段冷却部によって超伝導コイル12が第1冷却温度より低い第2冷却温度(例えば3K~20K)に冷却される。
極低温冷凍機36は、第1段冷却部と第2段冷却部を真空容器14内に挿入した状態で、真空容器14内の気密性を保つようにして真空容器14に設置される。図示の例では、極低温冷凍機36は、真空容器14の外側の端面の上部から真空容器14内に挿入され、横向きに(磁場利用空間20の径方向に沿って)真空容器14に設置されている。あるいは、極低温冷凍機36は、真空容器14の側面(の例えば上部)から真空容器14内に挿入され、縦向きに(Z軸方向に沿って)真空容器14に設置されてもよい。
熱シールド38は、真空容器14内で超伝導コイル12を囲むように配置される。熱シールド38は、例えば銅などの金属材料またはその他の高い熱伝導率をもつ材料で形成される。熱シールド38は、その内側に配置され熱シールド38よりも低温に冷却される超伝導コイル12などの低温部を、真空容器14からの輻射熱から熱的に保護することができる。上述の外側水平支持体30および鉛直支持体34は、熱シールド38に設けられた開口部を貫通して超伝導コイル12から真空容器14の外へと延びている。これら支持体は熱シールド38とは接触していない。
電流導入端子40は、真空容器14内に電流を導入するための気密端子であり、真空容器14の気密性を保ちながら真空容器14の壁部を貫通して設けられている。電流導入端子40には、正極側の端子と負極側の端子が含まれる。電流導入端子40は、真空容器14内で超伝導コイル12と電気的に接続されている。真空容器14の外側すなわち周囲環境22において、電流導入端子40には、適宜の給電ケーブル(図示せず)などの電気配線が接続され、この給電ケーブルにより電源26と、または他の真空容器14の電流導入端子40および超伝導コイル12を介して電源26と接続される。よって、電源26から給電ケーブルおよび電流導入端子40を介して各超伝導コイル12に励磁電流が供給される。
なお、超伝導磁石装置10は、超伝導コイル12の移動とともに、またはこれに代えて、電源26から各超伝導コイル12に供給される電流の向き及び/または大きさを制御するように構成されてもよく、それにより、超伝導コイル12が磁場利用空間20に発生させる磁場分布が制御されてもよい。
複数の真空容器14の各々は、個別に取り外し可能に設置されてもよい。ある真空容器14(または、この真空容器14内の超伝導コイル12、極低温冷凍機36など構成要素)に異常や故障が発生したとき、またはメンテナンスの時期が到来したときには、当該真空容器14のみが超伝導磁石装置10から取り外され、予備の真空容器14(および超伝導コイル12)と交換されてもよい。また、案内構造16と磁気シールド18は、超伝導磁石装置10から取り外し可能であってもよい。案内構造16と磁気シールド18はそれぞれ、複数の分割部品(例えば、4つの90度の円弧状部品)から構成されてもよく、超伝導磁石装置10から取り外されたときこれら分割部品に分解され保管されてもよい。
実施の形態に係る超伝導磁石装置10によると、個々の真空容器14を磁場利用空間20の周方向に移動させることができ、それにより、超伝導コイル12の配置を周方向に変更し、磁場利用空間20に生成される磁場分布を調整することができる。上述の4コイル型の場合、個々の真空容器14およびその内部の超伝導コイル12を、XY面の4つの象限それぞれで磁場利用空間20まわりに円弧状に移動させ、磁場分布を調整できる。
各真空容器14を移動させることによって、上述のように、Z軸を挟んで対向する一組の超伝導コイル12(図1において、例えば、左上のコイルと右下のコイル)のコイル中心軸をZ軸周りに時計回りにX軸からα度をなす直線に一致させ、もう一組の超伝導コイル12(例えば、左下のコイルと右上のコイル)のコイル中心軸をZ軸周りに反時計回りにX軸からβ度をなす直線に一致させることができる。α度とβ度は、例えば30度から60度の範囲から選択されてもよく、例えば、30度、45度、または60度のいずれかであってもよい。多くの場合、β度を-α度と等しくするように各真空容器14は移動されるが、これは必須ではない。場合によっては、α度とβ度の大きさを異ならせるように真空容器14が移動されてもよい。
その結果、超伝導磁石装置10が単結晶引き上げ装置に搭載される場合、一台の単結晶引き上げ装置で、引き上げられる単結晶にある酸素濃度を実現するのに適する磁場分布から、それと異なる酸素濃度を実現するのに適する別の磁場分布へと切り替えることができる。よって、複数の異なる酸素濃度をもつ単結晶を一台の単結晶引き上げ装置で作り分けることができる。当該単結晶引き上げ装置の稼働率を向上でき、経済的である。
上述の実施の形態とは別の構成として、単一の巨大な真空容器内に複数の超伝導コイルとこれらコイルを移動させる移動機構を収納する形式も考えられる。超伝導磁石装置の動作中、真空容器内は極低温に冷却されるから、超伝導コイルだけでなく移動機構も一緒に冷却されることとなり、被冷却物の重量が大きくなりがちである。そうすると、超伝導磁石装置を起動するための室温から極低温への初期冷却にかかる時間は、重量の大きさに応じて相当に長くなることが懸念される。
これに対して、実施の形態によると、案内構造16が真空容器14の外に配置されるから、案内構造16は冷却される必要は無い。超伝導コイル12など、真空容器14内の被冷却物の総重量は比較的軽くすることができ、短時間で初期冷却を完了することができる。
また、上述の実施の形態では、円形の超伝導コイル12が採用されている。一般に円形コイルは、他の形状のコイル(例えば鞍型コイル)に比べて小型であり、その分コイルを移動させるスペースを確保しやすい。よって、実施の形態に係る超伝導磁石装置10には、円形の超伝導コイル12が好適である。
図4は、他の実施の形態に係る超伝導磁石装置10を模式的に示す断面図である。図4に示される実施の形態は、真空容器14の外側だけでなく、内側(すなわち磁場利用空間20側)にも支持構造44を備える点で、既述の実施の形態と相違し、その余の点は同様である。以下では、相違点を中心に説明し、同様の構成については冗長を避けるため説明を適宜省略し詳述しない。
超伝導コイル12の各々は、当該超伝導コイル12から真空容器14を貫通して磁場利用空間20に向かって延在する内側水平支持体46を備える。内側水平支持体46は、棒状の形状を有し、真空容器14の気密性を保つように真空容器14の内側の端面を貫通して磁場利用空間20の径方向に延在している。内側水平支持体46の基端部は、超伝導コイル12に固定される。内側水平支持体46の末端部は、真空容器14の外で磁場利用空間20に向かって突出している。1つの超伝導コイル12について1つまたは複数の内側水平支持体46が設けられてもよい。
内側水平支持体46は、支持構造44によって支持される。支持構造44は、複数の真空容器14に囲まれるように配置される。支持構造44は、真空容器14の径方向内側で磁場利用空間20を囲むように配置される円筒状の壁部材を備えてもよい。支持構造44は、超伝導コイル12が磁場利用空間20に磁場を発生させるのを妨げないように、非磁性材料(例えばステンレス鋼などの非磁性金属材料)で形成される。
内側水平支持体46の末端部が支持構造44と接触している。超伝導磁石装置10の動作中(超伝導コイル12による磁場発生中)には、磁場利用空間20の径方向に内向きの電磁力が超伝導コイル12に働きうる。内側水平支持体46は支持構造44とともに、この電磁力を受け超伝導コイル12を支持することができる。
ある実施の形態では、外側水平支持体30は省略され、支持構造44および内側水平支持体46のみが設けられてもよい。この場合、内側水平支持体46は、径方向内向きの力だけではなく径方向外向きの力も支持するように支持構造44と連結されてもよい。
図5は、実施の形態に係り、超伝導コイル12の支持体の他の一例を模式的に示す図である。図示されるように、超伝導コイル12の各々は、当該超伝導コイル12から周方向に真空容器14に延在する周方向支持体48を備えてもよい。周方向支持体48は、棒状の形状を有し、その基端部が超伝導コイル12に固定され、末端部が真空容器14に固定される(または真空容器14の内面に突き当てられ接触している)。周方向支持体48は、真空容器14内に収められている。周方向支持体48は、1つの超伝導コイル12についてその周方向両側に設けられてもよい。または、周方向支持体48は、超伝導コイル12の周方向片側のみに設けられてもよい。超伝導磁石装置10の動作中、超伝導コイル12には周方向の力が働きうる。周方向支持体48は、この力を受け超伝導コイル12を支持することができる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。ある実施の形態に関連して説明した種々の特徴は、他の実施の形態にも適用可能である。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
上述の実施の形態では、案内構造16は真空容器14の下方に配置する場合を例として説明しているが、案内構造16は他の場所に配置されてもよい。例えば、案内構造16は、真空容器14の上方に配置されてもよい。この場合、例えば、案内構造16は、磁気シールド18の上壁部に取り付けられ、磁場利用空間20を囲むレールを備えてもよい。各真空容器14は、このレールに沿って移動可能に構成され、レールに吊り下げ支持されていてもよい。
上述の実施の形態では、4コイル型の超伝導磁石装置10を例として説明しているが、超伝導磁石装置10は、Z軸に対して磁場利用空間20の片側に3つの超伝導コイル12が設けられ、Z軸に対して磁場利用空間20の反対側に別の3つの超伝導コイル12が設けられた6コイル型の超伝導磁石装置10であってもよい。あるいは、超伝導磁石装置10は、より多くの超伝導コイル12を備えてもよい。
上述の実施の形態では、1つの真空容器14に1つだけの超伝導コイル12が格納される場合を例として説明しているが、本発明はこれに限られない。必要とされる場合には、1つの真空容器14には、追加の超伝導コイル、または補助的な超伝導コイルがさらに格納されてもよい。
上述の実施の形態では、超伝導コイル12が円形のコイルである場合を例として説明しているが、超伝導コイル12は、他の形状を有してもよい。例えば、超伝導コイル12は、鞍型コイルであってもよい。
上述の実施の形態では、超伝導磁石装置10が単結晶引き上げ装置に適用される場合を例として説明しているが、超伝導磁石装置10は、他の装置に適用されてもよい。超伝導磁石装置10は、例えば、NMRシステム、MRIシステム、サイクロトロンなどの加速器、核融合システムなどの高エネルギー物理システム、またはその他の高磁場利用機器(図示せず)の磁場源として高磁場利用機器に搭載され、その機器に必要とされる高磁場を発生させてもよい。
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
10 超伝導磁石装置、 12 超伝導コイル、 14 真空容器、 16 案内構造、 18 磁気シールド、 20 磁場利用空間、 24 合成磁場、 30 外側水平支持体、 34 鉛直支持体、 36 極低温冷凍機、 38 熱シールド、 40 電流導入端子、 44 支持構造、 46 内側水平支持体、 48 周方向支持体。

Claims (8)

  1. 磁場利用空間の中心軸に垂直な方向の合成磁場を前記磁場利用空間に発生させる一群の超伝導コイルであって、前記中心軸に対して前記磁場利用空間の一方側に配置される少なくとも2つの超伝導コイルと、前記中心軸に対して前記磁場利用空間の他方側に配置される少なくとも2つの更なる超伝導コイルとを含む一群の超伝導コイルと、
    各々が、前記一群の超伝導コイルのうち対応する超伝導コイルを格納し、前記磁場利用空間の周方向に移動可能な複数の真空容器と、を備えることを特徴とする超伝導磁石装置。
  2. 前記周方向の前記真空容器の移動を案内するように前記磁場利用空間の周囲に配置される案内構造をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超伝導磁石装置。
  3. 前記案内構造は、前記複数の真空容器の下方に配置され、
    前記一群の超伝導コイルの各々は、当該超伝導コイルから前記真空容器を貫通して前記案内構造に向かって延在し、前記案内構造によって支持される鉛直支持体を備えることを特徴とする請求項2に記載の超伝導磁石装置。
  4. 前記複数の真空容器を囲むように前記周方向に延在する磁気シールドをさらに備え、
    前記一群の超伝導コイルの各々は、当該超伝導コイルから前記真空容器を貫通して前記磁気シールドに向かって延在し、前記磁気シールドによって支持される外側水平支持体を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の超伝導磁石装置。
  5. 前記一群の超伝導コイルの各々は、当該超伝導コイルから前記真空容器を貫通して前記磁場利用空間に向かって延在する内側水平支持体を備え、
    前記複数の真空容器に囲まれるように配置され、前記内側水平支持体を支持する支持構造をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の超伝導磁石装置。
  6. 前記一群の超伝導コイルの各々は、当該超伝導コイルから前記周方向に前記真空容器に延在する周方向支持体を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の超伝導磁石装置。
  7. 前記複数の真空容器の各々は、当該真空容器に格納される超伝導コイルを冷却する極低温冷凍機と、当該真空容器内で当該超伝導コイルを囲む熱シールドと、当該超伝導コイルへの給電のための電流導入端子とを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の超伝導磁石装置。
  8. 前記複数の真空容器の各々は、個別に取り外し可能に設置されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の超伝導磁石装置。
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