JP2023023639A - バリア性積層体、蓋材及び包装容器 - Google Patents

バリア性積層体、蓋材及び包装容器 Download PDF

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Abstract

【課題】延伸ポリプロピレンフィルム上に蒸着膜が形成されたバリア性基材と、シーラント層とを有する積層体のガスバリア性を向上させる。【解決手段】第1の基材と、第2の基材と、シーラント層とを厚さ方向にこの順に備えるバリア性積層体であって、第1の基材及び第2の基材のいずれか一方が、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜とを備えるバリア性基材であり、第1の基材及び第2の基材の他方が、ポリプロピレン樹脂基材であり、ポリプロピレン樹脂層は、延伸処理が施された層であり、蒸着膜は、無機酸化物から構成されており、ポリプロピレン樹脂基材は、延伸処理が施された基材である、バリア性積層体。【選択図】なし

Description

本開示は、バリア性積層体、蓋材及び包装容器に関する。
ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルからなるフィルム(以下「ポリエステルフィルム」ともいう)は、機械的特性、化学的安定性、耐熱性及び透明性に優れると共に、安価である。そのため、従来、ポリエステルフィルムは、包装容器の作製に使用される積層体を構成する基材として使用されている。
包装容器に充填される内容物によっては、包装容器には酸素バリア性及び水蒸気バリア性などのガスバリア性が要求される。この要求を満たすべく、ポリエステルフィルム表面に、アルミナ又はシリカなどを含む蒸着膜が形成されている(例えば、特許文献1参照)。近年、ポリエステルフィルムに代わる基材が模索されている。ポリオレフィンフィルム、特にポリプロピレンフィルムを上記基材として使用することが検討されている。
特開2005-053223号公報
本開示者らは、従来のポリエステルフィルムに代えて、ポリプロピレンの延伸フィルム(以下「延伸ポリプロピレンフィルム」ともいう)を使用することを検討した。検討の結果、本開示者らは、延伸ポリプロピレンフィルム上に蒸着膜が形成されたバリア性基材と、シーラント層との2要素を有する積層体では、ガスバリア性が充分ではない場合があることを見出した。
本開示の解決課題の一つは、延伸ポリプロピレンフィルム上に蒸着膜が形成されたバリア性基材と、シーラント層とを有する積層体のガスバリア性を向上させることにある。
本開示のバリア性積層体は、第1の基材と、第2の基材と、シーラント層とを厚さ方向にこの順に備える。第1の基材及び第2の基材のいずれか一方が、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜とを備えるバリア性基材であり、第1の基材及び第2の基材の他方が、ポリプロピレン樹脂基材である。ポリプロピレン樹脂層は、延伸処理が施された層である。蒸着膜は、無機酸化物から構成されている。ポリプロピレン樹脂基材は、延伸処理が施された基材である。
本開示によれば、延伸ポリプロピレンフィルム上に蒸着膜が形成されたバリア性基材と、シーラント層とを有する積層体のガスバリア性を向上できる。
図1は、バリア性積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図2は、バリア性積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図3は、バリア性積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図4は、バリア性積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図5は、バリア性積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図6は、バリア性積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図7は、蒸着装置の一実施形態を示す概略断面図である。 図8は、蒸着装置の一実施形態を示す概略断面図である。 図9は、蒸着装置の別の一実施形態を示す概略断面図である。 図10は、包装容器の一実施形態を示す正面図である。 図11は、包装容器の一実施形態を示す斜視図である。
以下、本開示の実施形態について、詳細に説明する。本開示は多くの異なる形態で実施することが可能であり、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されない。図面は、説明をより明確にするため、実施形態に比べ、各層の幅、厚さ及び形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関してすでに説明したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下の説明において、登場する各成分(例えば、ポリプロピレン、α-オレフィン、樹脂材料、添加剤、接着性樹脂、無機酸化物及びガスバリア性樹脂)は、それぞれ1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[バリア性積層体]
本開示のバリア性積層体は、
第1の基材と、
第2の基材と、
シーラント層と
を厚さ方向にこの順に備える。
第1の基材及び第2の基材のいずれか一方が、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜とを備えるバリア性基材である。第1の基材及び第2の基材の他方が、延伸処理が施されたポリプロピレン樹脂基材である。本実施形態では、第1の基材及び第2の基材のいずれか一方としてバリア性基材を用い、第1の基材及び第2の基材の他方としてポリプロピレン樹脂基材を用いているが、他の実施形態では、第1の基材及び第2の基材のいずれもバリア性基材であってもよい。
ポリプロピレン樹脂層は、延伸処理が施されている。
蒸着膜は、無機酸化物から構成されている。
図1~図6は、バリア性積層体の一実施形態を示す模式断面図である。
図1に示すバリア性積層体1は、第1の基材としてのポリプロピレン樹脂基材10と、接着層40Aと、第2の基材としてのバリア性基材20と、接着層40Bと、シーラント層30とを厚さ方向にこの順に備える。バリア性基材20は、ポリプロピレン樹脂層22と、蒸着膜24とを備える。この例では、ポリプロピレン樹脂層22は、接着層40Bと接し、蒸着膜24は、接着層40Aと接する。
図2は、バリア性基材20が、ポリプロピレン樹脂層22と蒸着膜24との間に、表面コート層又は表面樹脂層23を備えること以外は図1と同様である。
図3は、バリア性基材20が、ポリプロピレン樹脂層22と、表面コート層又は表面樹脂層23と、蒸着膜24と、バリアコート層25とを厚さ方向にこの順に備えること以外は図1と同様である。この例では、バリアコート層25は、接着層40Aと接する。
図4に示すバリア性積層体1は、第1の基材としてのバリア性基材20と、接着層40Aと、第2の基材としてのポリプロピレン樹脂基材10と、接着層40Bと、シーラント層30とを厚さ方向にこの順に備える。バリア性基材20は、ポリプロピレン樹脂層22と、蒸着膜24とを備える。この例では、ポリプロピレン樹脂層22は、バリア性積層体1の最外層を構成し、蒸着膜24は、接着層40Aと接する。
図5は、バリア性基材20が、ポリプロピレン樹脂層22と蒸着膜24との間に、表面コート層又は表面樹脂層23を備えること以外は図4と同様である。
図6は、バリア性基材20が、ポリプロピレン樹脂層22と、表面コート層又は表面樹脂層23と、蒸着膜24と、バリアコート層25とを厚さ方向にこの順に備えること以外は図4と同様である。この例では、バリアコート層25は、接着層40Aと接する。
本開示のバリア性積層体は、一実施形態において、少なくとも、ポリプロピレン樹脂基材、バリア性基材及びシーラント層という3要素を備える。バリア性基材及びシーラント層という2要素を備える積層体に比べて、本開示のバリア性積層体は、優れたガスバリア性(特に酸素バリア性及び水蒸気バリア性)を示す。この点は、熱処理後及び/又はゲルボフレックス試験後のバリア性積層体の場合により明確に表れる。また、本開示のバリア性積層体は、熱処理を受けた場合における熱収縮率が小さく、よって製袋適性に優れる。
第1の基材がバリア性基材である場合は、一実施形態において、蒸着膜がシーラント層側を向き、ポリプロピレン樹脂層がシーラント層とは反対側を向くように、第1の基材が配置されている。
第2の基材がバリア性基材である場合は、一実施形態において、蒸着膜が第1の基材側を向き、ポリプロピレン樹脂層がシーラント層側を向くように、第2の基材が配置されているか、あるいは、蒸着膜がシーラント層側を向き、ポリプロピレン樹脂層が第1の基材側を向くように、第2の基材が配置されている。これらの中でも、蒸着膜の劣化等をより抑制できるという観点から、第2の基材がバリア性基材である場合は、蒸着膜が第1の基材側を向き、ポリプロピレン樹脂層がシーラント層側を向くように、第2の基材が配置されていることが好ましい。
本開示のバリア性積層体は、一実施形態において、第1の基材が、ポリプロピレン樹脂基材であり、第2の基材が、バリア性基材である(図1~図3参照)。この実施形態では、バリア性積層体は、ポリプロピレン樹脂基材と、バリア性基材と、シーラント層とを厚さ方向にこの順に備える。このような構成のバリア性積層体は、熱処理等を受けた際に蒸着膜が適切に保護され、さらに高いガスバリア性を示す。また、上記実施形態のバリア性積層体は、熱処理を受けた場合における熱収縮率がより小さく、よって製袋適性にさらに優れる。
本開示において「ポリプロピレンにより構成されるAAA」という記載は、当該AAAの主成分がポリプロピレンであることを意味するが、当該AAAがポリプロピレンのみからなる構成に限定されない。当該AAAは、ポリプロピレン以外の他の成分を含有してもよい。具体的には、当該AAAにおけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上である。
<ポリプロピレン樹脂基材>
ポリプロピレン樹脂基材は、第1の基材又は第2の基材を構成する。
ポリプロピレン樹脂基材は、ポリプロピレンにより構成される。バリア性積層体が、ポリプロピレンにより構成される基材を備えることにより、例えば、バリア性積層体を使用して作製される包装容器の耐油性を向上できる。
ポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーのいずれでもよく、これらから選択される2種以上の混合物でもよい。
プロピレンホモポリマーとは、プロピレンのみの重合体である。プロピレンランダムコポリマーとは、プロピレンとプロピレン以外のα-オレフィン等とのランダム共重合体である。プロピレンブロックコポリマーとは、プロピレンからなる重合体ブロックと、プロピレン以外のα-オレフィン等からなる重合体ブロックとを有する共重合体である。
α-オレフィンとしては、例えば、炭素数2以上20以下のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテンが挙げられる。
ポリプロピレンの中でも、透明性の観点からは、ホモポリマー又はランダムコポリマーを使用することが好ましい。包装容器の剛性及び耐熱性を重視する場合は、ホモポリマーを使用することが好ましい。包装容器の耐衝撃性を重視する場合は、ランダムコポリマーを使用することが好ましい。
ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、一実施形態において、0.1g/10分以上50g/10分以下でもよく、0.3g/10分以上30g/10分以下でもよい。ポリプロピレンのMFRは、ASTM D1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
ポリプロピレンとしては、バイオマス由来のポリプロピレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリプロピレンを使用してもよい。
ポリプロピレン樹脂基材におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上である。
ポリプロピレン樹脂基材は、ポリプロピレン以外の樹脂材料を含有してもよい。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル及びアイオノマー樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂基材は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料及び改質用樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂基材は、延伸処理が施された基材である。これにより、例えば、バリア性積層体の耐熱性、耐衝撃性、耐水性及び寸法安定性を向上できる。このような基材を備えるバリア性積層体は、例えば、ボイル処理又はレトルト処理がなされる包装容器を構成する包装材料として好適である。
延伸処理は、1軸延伸でもよく、2軸延伸でもよい。
縦方向(基材の流れ方向、MD方向)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。横方向(MD方向に対して垂直な方向、TD方向)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。延伸倍率を2倍以上とすることにより、ポリプロピレン樹脂基材の強度及び耐熱性をより向上でき、また、ポリプロピレン樹脂基材への印刷適性を向上できる。ポリプロピレン樹脂基材の破断限界という観点からは、延伸倍率は15倍以下であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂基材には、一実施形態において、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、ポリプロピレン樹脂基材と他の層との密着性を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス及び/又は窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理;並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂基材の表面に、易接着層を設けてもよい。
ポリプロピレン樹脂基材は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
ポリプロピレン樹脂基材の厚さは、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性積層体の強度及び耐熱性をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性積層体の加工適性をより向上できる。
バリア性積層体は、ポリプロピレン樹脂基材の表面に印刷層を有してもよい。印刷層に形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号及びこれらの組み合わせなどが表される。印刷層形成は、バイオマス由来のインキを用いて行うこともできる。これにより、環境負荷をより低減できる。
印刷層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法及びフレキソ印刷法などの従来公知の印刷法が挙げられる。これらの中でも、環境負荷低減という観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
<バリア性基材>
バリア性基材は、第1の基材又は第2の基材を構成する。ポリプロピレン樹脂基材が第1の基材である場合、バリア性基材は第2の基材である。ポリプロピレン樹脂基材が第2の基材である場合、バリア性基材は第1の基材である。本実施形態では、第1の基材及び第2の基材のいずれか一方としてバリア性基材を用い、第1の基材及び第2の基材の他方としてポリプロピレン樹脂基材を用いているが、他の実施形態では、第1の基材及び第2の基材のいずれもバリア性基材であってもよい。
バリア性基材は、ポリプロピレン樹脂層と、蒸着膜とを備える。バリア性基材は、一実施形態において、ポリプロピレン樹脂層と、該樹脂層の一方の面上に設けられた蒸着膜とを備える。バリア性基材は、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜との間に、表面コート層又は表面樹脂層を備えてもよい。バリア性基材は、蒸着膜上に、バリアコート層を備えてもよい。
(ポリプロピレン樹脂層)
ポリプロピレン樹脂層は、ポリプロピレンにより構成される。バリア性基材が、ポリプロピレンにより構成される層を備えることにより、例えば、バリア性基材を使用して作製される包装容器の耐油性を向上できる。
ポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーのいずれでもよく、これらから選択される2種以上の混合物でもよい。これらの詳細は、上述したとおりである。
ポリプロピレンの中でも、透明性の観点からは、ホモポリマー又はランダムコポリマーを使用することが好ましい。包装容器の剛性及び耐熱性を重視する場合は、ホモポリマーを使用することが好ましい。包装容器の耐衝撃性を重視する場合は、ランダムコポリマーを使用することが好ましい。
ポリプロピレンのMFRは、製膜性及び加工適性という観点から、一実施形態において、0.1g/10分以上50g/10分以下でもよく、0.3g/10分以上30g/10分以下でもよい。
ポリプロピレンとしては、バイオマス由来のポリプロピレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリプロピレンを使用してもよい。
ポリプロピレン樹脂層におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上である。
ポリプロピレン樹脂層は、ポリプロピレン以外の樹脂材料を含有してもよい。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル及びアイオノマー樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂層は、上記添加剤を含有してもよい。
ポリプロピレン樹脂層は、延伸処理が施された層である。これにより、例えば、バリア性積層体の耐熱性、耐衝撃性、耐水性及び寸法安定性を向上できる。このような樹脂層を備えるバリア性積層体は、例えば、ボイル処理又はレトルト処理がなされる包装容器を構成する包装材料として好適である。
延伸処理は、1軸延伸でもよく、2軸延伸でもよい。
MD方向へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。TD方向へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。延伸倍率を2倍以上とすることにより、ポリプロピレン樹脂層の強度及び耐熱性をより向上でき、また、ポリプロピレン樹脂層への印刷適性を向上できる。ポリプロピレン樹脂層の破断限界という観点からは、延伸倍率は15倍以下であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂層には、一実施形態において、上記表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、ポリプロピレン樹脂層と他の層との密着性を向上できる。
ポリプロピレン樹脂層の表面に、易接着層を設けてもよい。
ポリプロピレン樹脂層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
ポリプロピレン樹脂層の厚さは、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性積層体の強度及び耐熱性をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性積層体の加工適性をより向上できる。
バリア性基材は、ポリプロピレン樹脂層の表面に印刷層を有してもよい。印刷層に形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号及びこれらの組み合わせなどが表される。印刷層形成は、バイオマス由来のインキを用いて行うこともできる。これにより、環境負荷をより低減できる。印刷層の形成方法は、上述したとおりである。
(表面コート層)
バリア性基材は、一実施形態において、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜との間に、極性基を有する樹脂材料を含有する表面コート層を備える。極性基を有する樹脂材料を含有する表面コート層を設けることによって、当該表面コート層上に形成される蒸着膜の密着性を向上できると共に、ガスバリア性も向上できる。
この実施形態では、バリア性基材は、ポリプロピレン樹脂層及び表面コート層を有する樹脂基材と、該表面コート層上に設けられた蒸着膜とを備える。このバリア性基材は、ポリプロピレン樹脂層と、表面コート層と、蒸着膜とを厚さ方向にこの順に備える。
極性基とは、ヘテロ原子を1個以上含む基を指し、例えば、エステル基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレタン基、カルボキシ基、カルボニル基、カルボン酸無水物基、スルホ基、チオール基及びハロゲン基が挙げられる。これらの中でも、包装容器のラミネート性の観点からは、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、水酸基、アミノ基、アミド基及びウレタン基が好ましく、カルボキシ基、水酸基、アミド基及びウレタン基がより好ましい。
極性基を有する樹脂材料としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル、ポリエチレンイミン、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロン及びアモルファスナイロンなどのポリアミド、並びにポリウレタンが挙げられる。これらの中でも、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド及びポリウレタンがより好ましい。
表面コート層は、例えば、水系エマルジョン又は溶剤系エマルジョンを用いて形成できる。水系エマルジョンとしては、例えば、ポリアミド系のエマルジョン、ポリエチレン系のエマルジョン及びポリウレタン系のエマルジョンが挙げられる。溶剤系エマルジョンとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂系のエマルジョン及びポリエステル系のエマルジョンが挙げられる。
表面コート層における極性基を有する樹脂材料の含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
表面コート層は、極性基を有する樹脂材料以外の樹脂材料を含有してもよい。
表面コート層は、上記添加剤を含有してもよい。
樹脂基材の総厚さに対する表面コート層の厚さの割合は、好ましくは0.08%以上20%以下、より好ましくは0.2%以上15%以下、さらに好ましくは1%以上10%以下、よりさらに好ましくは1%以上5%以下である。上記割合が下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。上記割合が上限値以下であると、例えば、樹脂基材の加工適性及び包装容器のリサイクル適性をより向上できる。
表面コート層の厚さは、好ましくは0.02μm以上10μm以下、より好ましくは0.05μm以上10μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上10μm以下、よりさらに好ましくは0.2μm以上5μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、樹脂基材の加工適性及び包装容器のリサイクル適性をより向上できる。
例えば、ポリプロピレン又はポリプロピレンを含有する樹脂組成物を、Tダイ法又はインフレーション法などを利用して製膜して樹脂フィルムを得た後、該樹脂フィルムを延伸し、延伸後の樹脂フィルムに表面コート層形成用塗工液を塗布し乾燥することにより、樹脂基材を作製できる。
(表面樹脂層)
バリア性基材は、一実施形態において、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜との間に、180℃以上の融点を有する樹脂材料(以下「高融点樹脂材料」ともいう)を含有する表面樹脂層を備える。高融点樹脂材料を有する表面樹脂層を設けることによって、当該表面樹脂層上に形成される蒸着膜の密着性を向上できると共に、ガスバリア性も向上できる。
この実施形態では、バリア性基材は、ポリプロピレン樹脂層及び表面樹脂層を有する樹脂基材と、該表面樹脂層上に設けられた蒸着膜とを備える。このバリア性基材は、ポリプロピレン樹脂層と、表面樹脂層と、蒸着膜とを厚さ方向にこの順に備える。
高融点樹脂材料の融点は、好ましくは185℃以上、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは205℃以上である。融点が下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。
高融点樹脂材料の融点は、好ましくは265℃以下、より好ましくは260℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。これにより、例えば、樹脂基材の製膜性を向上できる。
本明細書において、融点は、JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定できる。具体的には、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、10℃/分の昇温速度でDSC曲線を測定し、融点を求めることができる。
表面樹脂層に含まれる高融点樹脂材料の融点と、ポリプロピレン樹脂層に含まれるポリプロピレンの融点との差は、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは20℃以上60℃以下である。上記差が下限値であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。上記差が上限値以下であると、例えば、樹脂基材の製膜性をより向上できる。
高融点樹脂材料は、極性基を有することが好ましい。極性基とは、ヘテロ原子を1個以上含む基を指し、例えば、エステル基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレタン基、カルボキシ基、カルボニル基、カルボン酸無水物基、スルホ基、チオール基及びハロゲン基が挙げられる。これらの中でも、包装容器のガスバリア性及びラミネート強度の観点からは、水酸基、エステル基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基及びカルボニル基が好ましく、アミド基がより好ましい。
高融点樹脂材料は、融点が180℃以上であればよく、例えば、ポリオレフィン、ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、セルロース樹脂、及びアイオノマー樹脂が挙げられる。例えば、融点が180℃以上であり、極性基を有する樹脂材料が好ましく、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステル、並びにナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロン及びアモルファスナイロン等のポリアミドがより好ましい。
表面樹脂層における高融点樹脂材料の含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
表面樹脂層は、高融点樹脂材料以外の樹脂材料を含有してもよい。
表面樹脂層は、上記添加剤を含有してもよい。
表面樹脂層は、上記表面処理が施されていてもよい。
樹脂基材の総厚さに対する表面樹脂層の厚さの割合は、好ましくは1%以上10%以下、より好ましくは1%以上5%以下である。上記割合が下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。上記割合が上限値以下であると、例えば、樹脂基材の製膜性及び加工適性、並びに包装容器のリサイクル適性をより向上できる。
表面樹脂層の厚さは、好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上4μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、樹脂基材の製膜性及び加工適性、並びに包装容器のリサイクル適性をより向上できる。
樹脂基材は、一実施形態において、ポリプロピレン樹脂層と表面樹脂層との間に、接着性樹脂層を備えることができる。これにより、これらの層間の密着性を向上できる。
接着性樹脂層は、例えば、接着性樹脂により形成できる。接着性樹脂としては、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン及びポリオレフィンの酸変性物が挙げられる。これらの中でも、包装容器のリサイクル適性という観点から、ポリオレフィン及びその酸変性物が好ましく、ポリプロピレン及びその酸変性物がより好ましい。
接着性樹脂層の厚さは、例えば、1μm以上15μm以下である。厚さが1μm以上であると、例えば、ポリプロピレン樹脂層と表面樹脂層との密着性をより向上できる。厚さが15μm以下であると、例えば、樹脂基材の加工適性をより向上できる。
ポリプロピレン樹脂層と、必要に応じて接着性樹脂層と、表面樹脂層とを有する樹脂基材は、一実施形態において、共押出延伸樹脂フィルムである。共押出延伸樹脂フィルムは、例えば、Tダイ法又はインフレーション法などを利用して製膜して積層フィルムを得た後、該積層フィルムを延伸することにより作製できる。インフレーション法により製膜することにより、積層フィルムの延伸を同時に行ってもよい。
延伸処理は、1軸延伸でもよく、2軸延伸でもよい。
MD方向へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。TD方向へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。
(蒸着膜)
バリア性基材は、無機酸化物から構成される蒸着膜を備える。バリア性基材は、一実施形態において、表面コート層上に蒸着膜を備える。バリア性基材は、一実施形態において、表面樹脂層上に蒸着膜を備える。これにより、バリア性積層体のガスバリア性、具体的には、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。バリア性積層体を用いて作製した包装容器は、包装容器内に充填された内容物の質量減少を抑えることができる。
無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化珪素(シリカ)、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム及び酸化炭化珪素(炭素含有酸化珪素)が挙げられる。これらの中でも、シリカ、酸化炭化珪素及びアルミナが好ましい。
一実施形態において、蒸着膜形成後のエージング処理が必要ないため、無機酸化物としては、シリカがより好ましい。一実施形態において、バリア性積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下を抑制できることから、無機酸化物としては、炭素含有酸化珪素がより好ましい。
蒸着膜の厚さは、好ましくは1nm以上150nm以下、より好ましくは5nm以上60nm以下、さらに好ましくは10nm以上40nm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制でき、また、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
蒸着膜の表面には、上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、蒸着膜と隣接する層との密着性を向上できる。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)が挙げられる。
蒸着膜は、1回の蒸着工程により形成される単層でもよく、複数回の蒸着工程により形成される多層でもよい。蒸着膜が多層である場合、各層は同一の無機酸化物から構成されてもよく、異なる無機酸化物から構成されてもよい。各層は、同一の方法により形成してもよく、異なる方法により形成してもよい。
PVD法による蒸着膜の形成方法に使用される装置として、プラズマアシスト付きの真空成膜装置を使用できる。プラズマアシスト付きの真空成膜装置を使用した蒸着膜の成膜方法の一実施形態を以下に記載する。
一実施形態において、真空成膜装置は、図7及び図8に示すように、真空容器A、巻出し部B、成膜用ドラムC、巻取り部D、搬送ロールE、蒸発源F、反応ガス供給部G、防着箱H、蒸着材料I及びプラズマガンJを備える。図7は、真空成膜装置のXZ平面方向の概略断面図である。図8は、真空成膜装置のXY平面方向の概略断面図である。
図7に示すように、真空容器A内の上部に、成膜用ドラムC法に巻き取られている基材Sが、蒸着膜の形成予定面が下向きとなるように配置されており、真空容器A内の成膜用ドラムCより下に、電気的に接地された防着箱Hが配置されている。防着箱Hの底面に、蒸発源Fが配置されている。蒸発源Fの上面と一定の間隔を空けて対向する位置に、成膜用ドラムCに巻き取られた基材Sが位置するように、真空容器A内に成膜用ドラムCが配置されている。巻出し部Bと成膜用ドラムCとの間、及び成膜用ドラムCと巻取り部Dとの間に、搬送ロールEが配置されている。真空容器Aは、図示せぬ真空ポンプと連結している。蒸発源Fは、蒸着材料Iを保持し、図示せぬ加熱装置を備える。反応ガス供給部Gは、蒸発した蒸着材料Iと反応する反応ガス(酸素、窒素、ヘリウム、アルゴン及びこれらの混合ガスなど)を供給する部位である。
蒸発源Fから加熱され、蒸発した蒸着材料Iは、基材Sに向けて照射され、これと同時に、プラズマガンJからも基材Sに向けてプラズマが照射され、基材S上に蒸着膜が形成される。
上記成膜方法の詳細は、特開2011-214089号公報に開示されている。
プラズマ化学気相成長法に使用されるプラズマ発生装置としては、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマなどの発生装置を使用できる。2室以上の成膜室を有する装置を使用してもよい。このような装置は、真空ポンプを備え、各成膜室を真空に保持できることが好ましい。
各成膜室における真空度は、1×10~1×10-6Paであることが好ましい。
プラズマ発生装置を使用した蒸着膜の成膜方法の一実施形態を以下に記載する。
基材を成膜室へ送り出し、補助ロールを介して所定の速度で冷却・電極ドラム周面上に搬送する。次いで、ガス供給装置から、成膜室内へ、無機酸化物を含む成膜用モノマーガス、酸素ガス及び不活性ガスなどを含む混合ガス組成物を供給し、基材上に、グロー放電によりプラズマを発生させ、これを照射して、基材上に無機酸化物を含む蒸着膜を形成する。
上記成膜方法の詳細は、特開2012-076292号公報に開示されている。
図9は、CVD法に使用されるプラズマ化学気相成長装置を示す概略構成図である。
一実施形態において、プラズマ化学気相成長装置は、図9に示すように、真空容器A1内に配置された巻出し部B1から、基材Sを繰り出し、基材Sを、搬送ロールE1を介して所定の速度で冷却・電極ドラムC1周面上に搬送する。反応ガス供給部G1から酸素、窒素、ヘリウム、アルゴン及びこれらの混合ガスを供給し、原料ガス供給部I1から成膜用モノマーガスなどを供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調製しながら原料供給ノズルH1を通して真空容器A1内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、冷却・電極ドラムC1周面上に搬送された基材S上に、グロー放電プラズマF1によってプラズマを発生させ、これを照射して、基材S上に蒸着膜を形成する。その際に、冷却・電極ドラムC1は、真空容器A1の外に配置されている電源K1から所定の電力が印加されており、冷却・電極ドラムC1の近傍には、マグネットJ1を配置してプラズマの発生を促進している。次いで、蒸着膜を形成した後、基材Sは、所定の巻き取りスピードで搬送ロールE1を介して巻取り部D1に巻き取られる。図9中、L1は、真空ポンプを表す。
蒸着膜の形成方法に使用される装置として、プラズマ前処理室及び成膜室を備える、連続蒸着膜成膜装置を使用できる。該装置を使用した蒸着膜の成膜方法の一実施形態を以下に記載する。
プラズマ前処理室において、プラズマ供給ノズルから、基材にプラズマが照射される。次いで、成膜室において、プラズマ処理された基材上に、蒸着膜が成膜される。
上記成膜方法の詳細は、国際公開第2019/087960号に開示されている。
バリア性基材における蒸着膜は、CVD法により形成された蒸着膜であることが好ましく、CVD法により形成された炭素含有酸化珪素蒸着膜であることがより好ましい。これにより、バリア性積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下を抑制できる。
炭素含有酸化珪素蒸着膜は、珪素、酸素及び炭素を含む。
炭素含有酸化珪素蒸着膜の一実施形態において、炭素の割合Cは、珪素、酸素及び炭素の3元素の合計100%に対して、好ましくは3%以上50%以下、より好ましくは5%以上40%以下、さらに好ましくは10%以上35%以下である。炭素の割合Cを上記範囲とすることにより、例えば、バリア性積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下を抑制できる。
本明細書において、各元素の割合は、モル基準である。
炭素含有酸化珪素蒸着膜の一実施形態において、珪素の割合Siは、珪素、酸素及び炭素の3元素の合計100%に対して、好ましくは1%以上45%以下、より好ましくは3%以上38%以下、さらに好ましくは8%以上33%以下である。酸素の割合Oは、珪素、酸素及び炭素の3元素の合計100%に対して、好ましくは10%以上70%以下、より好ましくは20%以上65%以下、さらに好ましくは25%以上60%以下である。珪素の割合Si及び酸素の割合Oを上記範囲とすることにより、例えば、バリア性積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下をより抑制できる。
炭素含有酸化珪素蒸着膜の一実施形態において、酸素の割合Oは、炭素の割合Cよりも高いことが好ましく、珪素の割合Siは、炭素の割合Cよりも低いことが好ましい。酸素の割合Oは、珪素の割合Siよりも高いことが好ましい、すなわち、各割合は、割合O、割合C、割合Siの順に低くなることが好ましい。これにより、例えば、バリア性積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下をより抑制できる。
炭素含有酸化珪素蒸着膜における割合C、割合Si及び割合Oは、X線光電子分光法(XPS)により、以下の測定条件のナロースキャン分析によって測定できる。
(測定条件)
使用機器:「ESCA-3400」(Kratos製)
[1]スペクトル採取条件
入射X線:MgKα(単色化X線、hν=1253.6eV)
X線出力:150W(10kV・15mA)
X線走査面積(測定領域):約6mmφ
光電子取込角度:90度
[2]イオンスパッタ条件
イオン種:Ar
加速電圧:0.2(kV)
エミッション電流:20(mA)
etch範囲:10mmφ
イオンスパッタ時間:30秒で実施し、スペクトルを採取
(バリアコート層)
バリア性基材は、一実施形態において、蒸着膜上に、バリアコート層をさらに備えることができる。すなわち、バリア性基材は、蒸着膜におけるポリプロピレン樹脂層側の面とは反対側の面上に、バリアコート層をさらに備えてもよい。これにより、例えば、バリア性積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。
一実施形態において、バリアコート層は、ガスバリア性樹脂を含有する。ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。このような構成により、例えば、バリアコート層のガスバリア性を向上できる。
バリアコート層は、上記添加剤を含有してもよい。
ガスバリア性樹脂を含有するバリアコート層の厚さは、好ましくは0.01μm以上10μm以下、より好ましくは0.1μm以上5μm以下である。バリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、例えば、ガスバリア性をより向上できる。バリアコート層の厚さを10μm以下とすることにより、例えば、バリア性積層体の加工適性及び包装容器のリサイクル適性を向上できる。
バリアコート層は、例えば、ガスバリア性樹脂などの材料を水又は適当な有機溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、塗布し乾燥することにより形成できる。
他の実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと、水溶性高分子と、必要に応じてシランカップリング剤とを混合し、必要に応じて水、有機溶剤及びゾルゲル法触媒を添加して得られたガスバリア性組成物を、蒸着膜上に塗布し乾燥することにより形成されるガスバリア性塗布膜である。ガスバリア性塗布膜は、上記金属アルコキシド等がゾルゲル法によって加水分解及び重縮合された加水分解重縮合物を含む。このようなバリアコート層を蒸着膜上に設けることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。
金属アルコキシドは、例えば、式(1)で表される。
1 nM(OR2m (1)
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1以上8以下の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。
1及びR2における有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基及びn-オクチル基等の炭素数1以上8以下のアルキル基が挙げられる。
金属原子Mは、例えば、珪素、ジルコニウム、チタン又はアルミニウムである。
金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体等の水酸基含有高分子が挙げられる。酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性及び耐候性などの所望の物性に応じて、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体のいずれか一方を用いてもよく、両者を併用してもよく、また、ポリビニルアルコールを用いて得られるガスバリア性塗布膜及びエチレン-ビニルアルコール共重合体を用いて得られるガスバリア性塗布膜を積層してもよい。水溶性高分子の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは5質量部以上500質量部以下である。
ガスバリア性塗布膜の表面は、X線光電子分光法(XPS)により測定される珪素原子と炭素原子との比(Si/C)が、好ましくは1.60以下、より好ましくは0.50以上1.60以下、さらに好ましくは0.90以上1.35以下である。上記比が上限値以下であると、例えば、バリア性積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下を抑制できる。上記比が下限値以上であると、例えば、バリア性積層体を用いて包装容器を作製する際に、ヒートシール等の加熱を行ってもガスバリア性の低下を抑制できる。
珪素原子と炭素原子との比の上記範囲は、水溶性高分子に対する金属アルコキシドの使用量を適宜調整することにより達成できる。本明細書において、珪素原子と炭素原子との比は、モル基準である。
X線光電子分光法(XPS)による珪素原子と炭素原子との比は、以下の測定条件のナロースキャン分析によって測定できる。
(測定条件)
使用機器:「ESCA-3400」(Kratos製)
[1]スペクトル採取条件
入射X線:MgKα(単色化X線、hν=1253.6eV)
X線出力:150W(10kV・15mA)
X線走査面積(測定領域):約6mmφ
光電子取込角度:90度
[2]イオンスパッタ条件
イオン種:Ar
加速電圧:0.2(kV)
エミッション電流:20(mA)
etch範囲:10mmφ
イオンスパッタ時間:30秒+30秒+60秒(トータル120秒)で実施し、
スペクトルを採取
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができ、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましく、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
ガスバリア性組成物は、金属アルコキシド1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、より好ましくは0.5モル以上60モル以下の割合の水を含んでもよい。水の含有量を下限値以上とすることにより、例えば、バリア性積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。水の含有量を上限値以下とすることにより、例えば、加水分解反応を速やかに行うことができる。
ガスバリア性組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn-ブチルアルコールが挙げられる。
ゾルゲル法触媒としては、酸又はアミン系化合物が好ましい。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸及び硝酸等の鉱酸;並びに酢酸及び酒石酸等の有機酸が挙げられる。酸の使用量は、金属アルコキシド及びシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量1モルに対して、好ましくは0.001モル以上0.05モル以下である。
アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶剤に可溶な第3級アミンが好適であり、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びトリペンチルアミンが挙げられる。アミン系化合物の使用量は、金属アルコキシドとシランカップリング剤との合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.0質量部以下、より好ましくは0.03質量部以上0.3質量部以下である。
ガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート及びアプリケータ等の塗布手段が挙げられる。
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について説明する。
金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶剤、及び必要に応じてシランカップリング剤等を混合して、ガスバリア性組成物を調製する。組成物中では、次第に重縮合反応が進行する。蒸着膜上に、常法により、上記組成物を塗布し乾燥する。この乾燥により、金属アルコキシド及び水溶性高分子(組成物がシランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。上記操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層してもよい。例えば、塗布された上記組成物を好ましくは20℃以上150℃以下、より好ましくは50℃以上120℃以下、さらに好ましくは70℃以上100℃以下の温度で、1秒以上10分以下加熱する。これにより、ガスバリア性塗布膜を形成できる。
ガスバリア性塗布膜の厚さは、好ましくは0.01μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上50μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上5μm以下である。これにより、例えば、ガスバリア性を向上でき、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制でき、また、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
<シーラント層>
本開示のバリア性積層体は、シーラント層を備える。
シーラント層は、一実施形態において、熱によって相互に融着し得る樹脂材料を含有する。熱によって相互に融着し得る樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィンが挙げられ、具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、メチルペンテンポリマー、並びに環状オレフィンコポリマーが挙げられる。
熱によって相互に融着し得る樹脂材料としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂、ポリオレフィンを(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル及び(メタ)アクリル樹脂も挙げられる。
シーラント層は、一実施形態において、ポリプロピレンにより構成される。この実施形態では、シーラント層は、ポリプロピレン樹脂層及びポリプロピレン樹脂基材と同種の樹脂材料、すなわち、ポリプロピレンにより構成される。これにより、包装容器のモノマテリアル化を図ることができる。使用済みの包装容器を回収した後、基材とシーラント層とを分離する必要がなく、包装容器のリサイクル適性を向上できる。シーラント層をポリプロピレンにより構成することにより、バリア性積層体を用いて作製される包装容器の耐油性も向上できる。
シーラント層におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上である。これにより、例えば、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
シーラント層をポリプロピレンにより構成した場合において、バリア性積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは88質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。これにより、例えば、バリア性積層体を用いてモノマテリアル化した包装容器を作製でき、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
ポリプロピレンとしては、例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体等のプロピレンランダムコポリマー、及びプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体等のプロピレンブロックコポリマーが挙げられる。α-オレフィンの詳細は、上述したとおりである。ヒートシール性という観点から、ポリプロピレンの密度は、例えば0.88g/cm3以上0.92g/cm3以下である。密度は、JIS K7112、特にD法(密度勾配管法、23℃)、に準拠して測定される。環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のポリプロピレン及び/又はリサイクルされたポリプロピレンを用いてもよい。
シーラント層は、上記添加剤を含有してもよい。
シーラント層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
シーラント層の厚さは、好ましくは10μm以上200μm以下、より好ましくは20μm以上150μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性積層体を備える包装容器のラミネート強度をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性積層体の加工適性をより向上できる。バリア性積層体からパウチ(特にレトルトパウチ)を作製する場合は、シーラント層の厚さは、さらに好ましくは30μm以上100μm以下である。
シーラント層は、ヒートシール性という観点から、好ましくは未延伸の樹脂フィルムであり、より好ましくは未延伸のポリプロピレン樹脂フィルムである。上記樹脂フィルムは、例えば、キャスト法、Tダイ法又はインフレーション法などを利用することにより作製できる。
例えば、シーラント層に対応する未延伸の樹脂フィルムを必要に応じて接着層を介して第2の基材上に積層してもよく、熱によって相互に融着し得る樹脂材料を第2の基材上に溶融押出しすることによりシーラント層を形成してもよい。接着層としては、例えば、以下の接着層が挙げられる。
<接着層>
バリア性積層体は、一実施形態において、第1の基材と第2の基材との間に、第1の接着層を備える。バリア性積層体は、一実施形態において、第2の基材とシーラント層との間に、第2の接着層を備える。これにより、第1の基材と第2の基材との密着性、及び/又は第2の基材とシーラント層との密着性を向上できる。
接着層は、接着剤により構成される。接着剤は、1液硬化型の接着剤、2液硬化型の接着剤、及び非硬化型の接着剤のいずれでもよい。接着剤は、無溶剤型の接着剤でもよく、溶剤型の接着剤でもよい。本開示のバリア性積層体は、一実施形態において、少なくとも、ポリプロピレン樹脂基材、バリア性基材及びシーラント層という3要素を備える。これにより、接着剤を用いて積層体を製造する場合に、蒸着膜上に接着剤を直接塗布しなくとも積層体を製造することが可能となり、蒸着膜の劣化を抑制できる。
無溶剤型の接着剤、すなわちノンソルベントラミネート接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤及びウレタン系接着剤が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系接着剤が好ましく、2液硬化型のウレタン系接着剤がより好ましい。
無溶剤型の接着剤は、一実施形態において、主剤と硬化剤とを有する2液硬化型接着剤である。主剤に含まれる重合体成分の重量平均分子量(Mw)は、塗工適性という観点から、好ましくは800以上10,000以下、より好ましくは1,200以上4,000以下である。主剤に含まれる重合体成分の多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは2.8以下、より好ましくは1.2以上2.7以下、さらに好ましくは1.5以上2.6以下、特に好ましくは2.0以上2.5以下である。ここでMnは、主剤に含まれる重合体成分の数平均分子量である。各平均分子量は、JIS K7252-1(2008)に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算の値である。
溶剤型の接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、オレフィン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤及びウレタン系接着剤が挙げられる。
一実施形態において、無溶剤型の接着剤を用いて接着層を形成することにより、例えば、バリア性積層体における残留溶剤量、具体的には残留有機溶剤量をより低減できる。本開示のバリア性積層体は、ポリプロピレン樹脂層とポリプロピレン樹脂基材とを備える。したがって、溶剤型の接着剤を用いて本開示のバリア性積層体を作製する場合、ポリエステル系積層体に比べて、積層体の劣化や熱収縮を防ぐため、その乾燥時の温度を低くする必要がある。この場合、接着剤中の溶剤が充分に揮発除去されずに、バリア性積層体中に残留し、残留溶剤による臭気が残ることがある。無溶剤型の接着剤を用いることにより、残留溶剤量をより低減できる。
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、n-ヘキサン及びメチルシクロヘキサン等の炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル及び酢酸イソブチル等のエステル溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール及びイソブチルアルコール等のアルコール溶剤;並びにアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶剤が挙げられる。
一実施形態において、無溶剤型の接着剤を用いることにより、溶剤型の接着剤を用いた場合に比べて、例えば、接着層を薄くできる。これにより、バリア性積層体全体におけるポリプロピレンの含有割合をさらに向上できる。このようなバリア性積層体は、モノマテリアル化された包装容器の作製に好適である。
一実施形態において、無溶剤型の接着剤を用いることにより、溶剤型の接着剤を用いた場合に比べて、後述するようにバリア性積層体の引裂き性をより向上できる。引裂き性の向上は、無溶剤型の接着剤を用いることにより、接着層の薄膜化及び硬質化が図れることで達成される。
接着層の厚さは、例えば、0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.2μm以上8μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上6μm以下である。接着層の厚さは、2μm以下でもよい。
本開示のバリア性積層体は、一実施形態において、第1の基材と、第2の基材と、シーラント層に対応する樹脂フィルムとを、無溶剤型の接着剤を用いたノンソルベントラミネート法により貼り合わせて製造してもよく、溶剤型の接着剤を用いたドライラミネート法により貼り合わせて製造してもよい。
本開示のバリア性積層体は、一実施形態において、第1の基材と、無溶剤型の接着剤により構成される第1の接着層と、第2の基材と、無溶剤型の接着剤により構成される第2の接着層と、シーラント層とを備える。
以下、2液硬化型のウレタン系接着剤について説明する。このウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール等のポリオール化合物を含む主剤と、イソシアネート化合物を含む硬化剤とを有する接着剤が好ましい。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び(メタ)アクリルポリオールが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上有する。ポリエステルポリオールは、主骨格として、例えば、ポリエステル構造又はポリエステルポリウレタン構造を有する。ポリエステルポリオールは、例えば、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との脱水縮合反応や、エステル交換又は開環反応により得られる。
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及びシクロヘキサンジメタノール等のジオール;グリセリン、トリエチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等の3官能以上のポリオールが挙げられる。
多価カルボン酸成分としては、例えば、脂肪族多価カルボン酸、脂環族多価カルボン酸及び芳香族多価カルボン酸、並びにこれらのエステル誘導体及び酸無水物が挙げられる。脂肪族多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸及びダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。脂環族多価カルボン酸としては、例えば、1,3-シクロペンタンジカルボン酸及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。芳香族多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸及び1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、必要に応じてポリイソシアネートにて予め鎖長させることもできる。ポリイソシアネートとしては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、α、α、α’α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート;並びにジイソシアネートのビュレット体、ヌレート体又はトリメチロールプロパンアダクト体が挙げられる。
ポリエステルポリオール等のポリオール化合物の重量平均分子量(Mw)は、塗工適性という観点から、好ましくは800以上10,000以下、より好ましくは1,200以上4,000以下である。ポリエステルポリオール等のポリオール化合物の多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは2.8以下、より好ましくは1.2以上2.7以下、さらに好ましくは1.5以上2.6以下、特に好ましくは2.0以上2.5以下である。ここでMnは、ポリオール化合物の数平均分子量である。各平均分子量は、JIS K7252-1(2008)に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算の値である。
イソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する。
イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートが挙げられる。イソシアネート化合物は、公知のイソシアネートブロック化剤を用いて公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物でもよい。
イソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びα、α、α’α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート;これらのジイソシアネートの3量体;並びにこれらのジイソシアネート化合物と、低分子活性水素化合物若しくはそのアルキレンオキシド付加物、又は高分子活性水素化合物とを反応させて得られる、アダクト体、ビュレット体及びアロファネート体が挙げられる。
低分子活性水素化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、1,8-オクタメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びメタキシリレンジアミンが挙げられる。高分子活性水素化合物としては、例えば、ポリエステル、ポリエーテルポリオール及びポリアミドが挙げられる。
<物性>
本開示のバリア性積層体は、一実施形態において、以下の熱収縮率を示す。MD方向とは、積層体の流れ方向を指し、TD方向とは、MD方向に対して垂直な方向を指す。
120℃かつ15分間の加熱処理後のバリア性積層体のMD方向の熱収縮率(MD1)は、例えば2.00%以下であり、好ましくは1.20%以下、より好ましくは1.00%以下、さらに好ましくは0.90%以下である。熱収縮率(MD1)の下限値は低いほど好ましいが、例えば0.10%又は0.20%でもよい。熱収縮率(MD1)がこのように小さいバリア性積層体は、ガスバリア性に優れ、またヒートシールにより包装袋を作製する際の製袋適性に優れる。
120℃かつ15分間の加熱処理後のバリア性積層体のTD方向の熱収縮率(TD1)は、例えば2.00%以下であり、好ましくは1.50%以下、より好ましくは1.30%以下である。熱収縮率(TD1)の下限値は低いほど好ましいが、例えば0.10%、0.20%又は0.50%でもよい。熱収縮率(MD1)だけでなく熱収縮率(TD1)もこのように小さいバリア性積層体は、ガスバリア性及び製袋適性にさらに優れる。例えば、ヒートシールにより作製された包装袋におけるシワや変形の発生等を抑制できる。特に、熱収縮率(TD1)が小さいと、バリア性積層体の印刷層における画像の歪みを抑制できる。
120℃かつ15分間の加熱処理後のバリア性積層体の熱収縮率(MD1)と熱収縮率(TD1)との比(MD1/TD1)は、例えば0.30以上3.00以下であり、好ましくは0.35以上2.00以下、より好ましくは0.40以上1.50以下である。比(MD1/TD1)がこのような範囲にあれば、積層体は熱処理を受けてもMD方向及びTD方向に比較的均一に収縮することから、例えば、バリア性積層体の印刷層における画像の歪みを抑制できる。
150℃かつ5分間の加熱処理後のバリア性積層体のMD方向の熱収縮率(MD2)は、例えば4.00%以下であり、好ましくは3.50%以下、より好ましくは3.10%以下である。熱収縮率(MD2)の下限値は低いほど好ましいが、例えば0.50%又は1.00%でもよい。
150℃かつ5分間の加熱処理後のバリア性積層体のTD方向の熱収縮率(TD2)は、例えば4.00%以下であり、好ましくは3.50%以下、より好ましくは2.80%以下である。熱収縮率(TD2)の下限値は低いほど好ましいが、例えば0.50%又は1.00%でもよい。
150℃かつ5分間の加熱処理後のバリア性積層体の熱収縮率(MD2)と熱収縮率(TD2)との比(MD2/TD2)は、例えば0.30以上3.00以下であり、好ましくは0.40以上2.00以下、より好ましくは0.50以上1.60以下である。
各熱収縮率は、以下の式により算出される。
熱収縮率(MD)(%)=(加熱処理前の積層体のMD方向の長さ-加熱処理後の積層体のMD方向の長さ)/加熱処理前の積層体のMD方向の長さ×100
熱収縮率(TD)(%)=(加熱処理前の積層体のTD方向の長さ-加熱処理後の積層体のTD方向の長さ)/加熱処理前の積層体のTD方向の長さ×100
本開示のバリア性積層体は、一実施形態において、以下の引裂き強度を示す。
引裂き強度は、以下の様にして測定する。バリア性積層体を16枚、表裏を交互に、且つ、バリア性積層体を構成するフィルムのMD方向及びTD方向が揃うように重ね合せて、サンプルを作製する。該サンプルのMD方向及びTD方向の引裂き強度を、JIS K7128-2(エルメンドルフ引裂き法)に準拠して、例えば株式会社東洋精機製作所製のNo.163 エルメンドルフ・引裂試験機を用いて測定する。
バリア性積層体のMD方向の引裂き強度(単位:N/16枚)は、例えば0.1以上2.0以下であり、好ましくは0.2以上1.5以下である。
バリア性積層体のTD方向の引裂き強度(単位:N/16枚)は、例えば0.1以上6.0以下であり、好ましくは0.2以上5.5以下、さらに好ましくは0.5以上5.0以下である。
一実施形態において、バリア性積層体のTD方向の引裂き強度(単位:N/16枚)は、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。これにより、バリア性積層体により構成される包装容器のTD方向の開封性を向上できる。例えば、バリア性積層体を製造する際に、無溶剤型の接着剤を用いることにより、TD方向の引裂き強度をより小さくできる。
バリア性積層体のTD方向の引裂き強度とMD方向の引裂き強度との比(強度TD/強度MD)は、例えば8.0以下、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.0以下である。上記比の下限値は特に限定されないが、例えば1.0、1.5又は2.0でもよい。
一実施形態において、上記比(強度TD/強度MD)は、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。これにより、バリア性積層体により構成される包装容器のTD方向の開封性を向上できる。
一実施形態において、本開示のバリア性積層体における残留溶剤量は、30mg/m2以下であり、好ましくは10mg/m2以下、より好ましくは5mg/m2以下、さらに好ましくは3mg/m2以下、2mg/m2以下、又は1mg/m2以下である。残留溶剤量の下限値は小さいほど好ましいが、例えば0.1mg/m2又は0.2mg/m2でもよい。
残留溶剤量は、バリア性積層体から10cm四方のサンプルを切り出し、該サンプルについて、例えば(株)島津製作所製のガスクロマトグラフGC-2014を用いて、検量線法により測定できる。
[包装容器]
本開示のバリア性積層体は、包装材料用途に好適に使用できる。
包装材料は、包装容器を作製するために使用される。包装材料は、本開示のバリア性積層体を備える。本開示のバリア性積層体を備える包装材料を少なくとも用いることにより、包装容器を作製できる。
本開示の包装容器は、本開示のバリア性積層体(以下、単に「積層体」ともいう)を備える。包装容器としては、例えば、包装袋、チューブ容器、及び蓋付き容器が挙げられる。蓋付き容器は、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合(ヒートシール)された蓋材とを備える。
本開示の包装容器は、一実施形態において、高温処理を受けてもガスバリア性を維持し、また変形が小さいことから、電子レンジ用容器、あるいはボイル又はレトルト容器として好適である。本開示の包装容器は、電子レンジ用ボイル又はレトルト容器としても好適である。本開示の包装容器は、ボイル又はレトルトパウチとして特に好適である。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール及び超音波シールが挙げられる。
包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型及びガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。
包装容器は、易開封部を備えてもよい。易開封部としては、例えば、包装容器の引き裂きの起点となるノッチ部や、包装容器を引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線が挙げられる。
包装容器は、蒸気抜き機構を備えてもよい。蒸気抜き機構は、包装容器内の蒸気圧力が所定値以上となった際に、包装容器内部と外部とを連通させ、蒸気を逃がすと共に、蒸気抜き機構以外の箇所において蒸気が抜けることを抑制するように構成されている。
蒸気抜き機構は、例えば、側部シール部から包装容器の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部と、蒸気抜きシール部によって、内容物収容部から隔離された非シール部とを備える。非シール部は、包装容器の外部に連通している。内容物が充填され、開口部がヒートシールされた包装容器を、電子レンジなどを用いて加熱する。これにより、内部の圧力が高まり、蒸気抜きシール部が剥離する。蒸気は、蒸気抜きシール部剥離箇所及び非シール部を通り、包装容器外部へ抜ける。
一実施形態において、本開示の積層体を、第1の基材が外側、シーラント層が内側に位置するように二つ折にして重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。他の実施形態において、複数の本開示の積層体をシーラント層同士が対向するように重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。包装袋の全部が上記積層体で構成されてもよく、包装袋の一部が上記積層体で構成されてもよい。
一実施形態において、蓋付き容器における蓋材として、本開示の積層体が用いられる。蓋付き容器は、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合(ヒートシール)された蓋材とを備える。ここで、蓋材、すなわち上記積層体のシーラント層と、容器本体とが、ヒートシールされている。容器本体の形状としては、例えば、カップ型及び有底円筒形状が挙げられる。容器本体は、例えば、ポリスチレン製、ポリプロピレン製、ポリエチレン製又は紙製である。
包装容器中に収容される内容物としては、例えば、液体、固体、粉体及びゲル体が挙げられる。内容物は、飲食品でもよく、化学品、化粧品及び医薬品等の非飲食品でもよい。包装容器中に内容物を収容した後、包装容器の開口部をヒートシールすることにより、包装容器を密封できる。
包装袋の具体例として、以下、小袋及びスタンディングパウチについて説明する。
小袋は、小型の包装袋であって、例えば1g以上200g以下の内容物を収容するために使用される。小袋中に収容される内容物としては、例えば、ソース、醤油、ドレッシング、ケチャップ、シロップ、料理用酒類、他の液体又は粘稠体の調味料;液体スープ、粉末スープ、果汁類;香辛料;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品が挙げられる。
スタンディングパウチは、例えば50g以上2000g以下の内容物を収容するために使用される。スタンディングパウチ中に収容される内容物としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、ハンドソープ、ボディソープ、芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防虫剤、洗剤;ドレッシング、食用油、マヨネーズ、他の液体又は粘稠体の調味料;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品;クリームが挙げられる。
図10に、2枚の積層体を貼り合わせて得られる包装袋50を示す。斜線部分は、ヒートシールされた箇所を示す。包装袋50は、易開封部51を備えてもよい。易開封部51としては、例えば、引き裂きの起点となるノッチ部52や、引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線53が挙げられる。
図11に、スタンディングパウチの構成の一例を簡略に示す。斜線部分は、ヒートシールされた箇所を示す。スタンディングパウチ60は、一実施形態において、胴部(側面シート)61と、底部(底面シート)62とを備える。側面シート61と底面シート62とは、同一部材により構成されてもよく、別部材により構成されてもよい。底面シート62が側面シート61の形状を保持することにより、パウチに自立性が付与され、スタンディング形式のパウチとすることができる。側面シート61と底面シート62とによって囲まれる領域内に、内容物を収容するための収容空間が形成される。
スタンディングパウチ60は、蒸気抜き機構63を備えてもよい。蒸気抜き機構63は、側部シール部から包装容器の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部63aと、蒸気抜きシール部63aによって、内容物収容部から隔離された非シール部63bとを備える。非シール部63bは、包装容器の外部に連通している。
スタンディングパウチにおいて、胴部のみが本開示の積層体により構成されてもよく、底部のみが本開示の積層体により構成されてもよく、胴部及び底部の両方が本開示の積層体により構成されてもよい。
一実施形態において、側面シートは、本開示の積層体が備えるシーラント層が最内層となるように製袋することにより形成できる。一実施形態において、側面シートは、本開示の積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、両側の側縁部をヒートシールして製袋することにより形成できる。
他の実施形態において、側面シートは、本開示の積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、重ね合わせた積層体の両側の側縁部における積層体間に、シーラント層が外側となるようにV字状に折った積層体2枚をそれぞれ挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。このような作製方法によれば、側部ガセット付きの胴部を有するスタンディングパウチが得られる。
一実施形態において、底面シートは、製袋された側面シート下部の間に本開示の積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。より具体的には、底面シートは、製袋された側面シート下部の間に、シーラント層が外側となるようにV字状に折った積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。
一実施形態において、上記積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、次いで、もう1枚の上記積層体をシーラント層が外側となるようにV字状に折り、これを向かい合わせとなった積層体の下部に挟み込み、ヒートシールすることにより底部を形成する。次いで、底部に隣接する2辺をヒートシールすることにより、胴部を形成する。このようにして、一実施形態のスタンディングパウチを形成できる。
本開示は、例えば以下の[1]~[18]に関する。
[1]第1の基材と、第2の基材と、シーラント層とを厚さ方向にこの順に備えるバリア性積層体であって、第1の基材及び第2の基材のいずれか一方が、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜とを備えるバリア性基材であり、第1の基材及び第2の基材の他方が、ポリプロピレン樹脂基材であり、ポリプロピレン樹脂層は、延伸処理が施された層であり、蒸着膜は、無機酸化物から構成されており、ポリプロピレン樹脂基材は、延伸処理が施された基材である、バリア性積層体。
[2]第1の基材がバリア性基材である場合は、蒸着膜がシーラント層側を向き、ポリプロピレン樹脂層がシーラント層とは反対側を向くように、第1の基材が配置されており、第2の基材がバリア性基材である場合は、蒸着膜が第1の基材側を向き、ポリプロピレン樹脂層がシーラント層側を向くように、第2の基材が配置されている、上記[1]に記載のバリア性積層体。
[3]第1の基材が、ポリプロピレン樹脂基材であり、第2の基材が、バリア性基材である、上記[1]又は[2]に記載のバリア性積層体。
[4]バリア性基材が、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜との間に、表面コート層をさらに備え、表面コート層が、極性基を有する樹脂材料を含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載のバリア性積層体。
[5]バリア性基材が、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜との間に、表面樹脂層をさらに備え、表面樹脂層が、180℃以上の融点を有する樹脂材料を含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載のバリア性積層体。
[6]バリア性基材におけるポリプロピレン樹脂層と表面樹脂層とが、共押出延伸樹脂フィルムである、上記[5]に記載のバリア性積層体。
[7]蒸着膜上に、バリアコート層をさらに備える、上記[1]~[6]のいずれかに記載のバリア性積層体。
[8]シーラント層が、ポリプロピレンにより構成される樹脂層である、上記[1]~[7]のいずれかに記載のバリア性積層体。
[9]第1の基材と、第2の基材との間に、第1の接着層を備え、第2の基材と、シーラント層との間に、第2の接着層を備える、上記[1]~[8]のいずれかに記載のバリア性積層体。
[10]120℃かつ15分間の加熱処理後のバリア性積層体のMD方向の熱収縮率(MD1)が2.00%以下であり、TD方向の熱収縮率(TD1)が2.00%以下である、上記[1]~[9]のいずれかに記載のバリア性積層体。
[11]120℃かつ15分間の加熱処理後のバリア性積層体の熱収縮率(MD1)と熱収縮率(TD1)との比(MD1/TD1)が、0.30以上3.00以下である、上記[10]に記載のバリア性積層体。
[12]150℃かつ5分間の加熱処理後のバリア性積層体のMD方向の熱収縮率(MD2)が4.00%以下であり、TD方向の熱収縮率(TD2)が4.00%以下である、上記[1]~[11]のいずれかに記載のバリア性積層体。
[13]150℃かつ5分間の加熱処理後のバリア性積層体の熱収縮率(MD2)と熱収縮率(TD2)との比(MD2/TD2)が、0.30以上3.00以下である、上記[12]に記載のバリア性積層体。
[14]包装容器用途に用いられる、上記[1]~[13]のいずれかに記載のバリア性積層体。
[15]上記[1]~[14]のいずれかに記載のバリア性積層体を備える包装容器。
[16]ボイル又はレトルトパウチである、上記[15]に記載の包装容器。
[17]上記[1]~[14]のいずれかに記載のバリア性積層体からなる蓋材。
[18]収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合された上記[17]に記載の蓋材とを備える包装容器。
以下、実施例に基づき本開示のバリア性積層体について具体的に説明する。
[バリア性基材の作製]
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂(数平均分子量:25,000、ガラス転移温度:99℃、水酸基価:80mgKOH/g)を、メチルケトンと酢酸エチルとの混合溶剤(混合比1:1)を用いて、固形分濃度が10質量%となるまで希釈し、主剤を調製した。
トリレンジイソシアネートを含有する酢酸エチル溶液(固形分75質量%)を硬化剤として、主剤に添加し、表面コート層形成用溶液を得た。硬化剤の使用量は、主剤100質量部に対して、10質量部とした。
一方の面がコロナ処理された、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ(株)製、ME-1)を準備した。該フィルムのコロナ処理面に、上記表面コート層形成用溶液を塗布し乾燥して、厚さ0.5μmの表面コート層を形成し、樹脂基材を得た。
樹脂基材の表面コート層上に、実機である低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、Roll to Rollにより、樹脂基材にテンションを与えながら、厚さ12nmの炭素含有酸化珪素蒸着膜を形成した(CVD法)。蒸着膜形成条件は、以下の通りとした。
(形成条件)
・ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10(単位:slm)
・冷却・電極ドラム供給電力:22kW
・ライン速度:100m/min
炭素含有酸化珪素蒸着膜における炭素の割合C、珪素の割合Si、及び酸素の割合Oを測定した。炭素の割合C、珪素の割合Si、及び酸素の割合Oは、珪素、酸素及び炭素の3元素の合計100%に対して、それぞれ、32.7%、29.8%及び37.5%であった。各元素の割合は、X線光電子分光法(XPS)により、上述した測定条件のナロースキャン分析によって測定した。
水385gと、イソプロピルアルコール67gと、0.5N塩酸9.1gとを混合して、pH2.2の溶液を得た。この溶液に、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシラン175gと、シランカップリング剤としてグリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.2gとを、10℃となるように冷却しながら混合して、溶液Aを得た。
水溶性高分子としてケン価度99%以上、重合度2400のポリビニルアルコール14.7gと、水324gと、イソプロピルアルコール17gとを混合して、溶液Bを得た。
溶液Aと溶液Bとを、質量基準で6.5:3.5となるように混合して、バリアコート剤を得た。樹脂基材上に形成した蒸着膜上に、バリアコート剤をスピンコート法によりコーティングし、オーブンにて80℃で60秒間の加熱処理を施し、厚さ300nmのバリアコート層を形成した。
以上のようにして、透明バリア性基材を得た。
[実施例1]
上記透明バリア性基材における2軸延伸ポリプロピレンフィルム面をコロナ処理して、濡れ張力を38dyn以上とした。第1の基材として厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171)を、第2の基材としてコロナ処理された上記透明バリア性基材を、シーラント層として厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK207)を、ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を介してドライラミネートし、40℃にて72時間静置し、バリア性積層体を得た。ポリエステルウレタン接着剤により形成された接着層の厚さは、4μmであった。バリア性積層体におけるポリプロピレンの含有割合は、89質量%であった。
得られたバリア性積層体から10cm四方のサンプルを切り出した。該サンプルについて、(株)島津製作所製のガスクロマトグラフGC-2014を用いて、検量線法により残留溶剤量を測定した。残留溶剤量は、20mg/m2であった。
得られたバリア性積層体を16枚、表裏を交互に、且つ、バリア性積層体を構成するフィルムのMD方向及びTD方向が揃うように重ね合せて、サンプルを作製した。該サンプルのMD方向及びTD方向の引裂き強度を、JIS K7128-2(エルメンドルフ引裂き法)に準拠して、株式会社東洋精機製作所製のNo.163 エルメンドルフ・引裂試験機を用いて測定した。その結果、MD方向の引裂き強度は0.7N/16枚であり、TD方向の引裂き強度は4.1N/16枚であり、引裂き強度比(強度TD/強度MD)は5.9であった。
[実施例1a]
上記透明バリア性基材における2軸延伸ポリプロピレンフィルム面をコロナ処理して、濡れ張力を38dyn以上とした。第1の基材として厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171)を、第2の基材としてコロナ処理された上記透明バリア性基材を、シーラント層として厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK207)を、ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RN-920/HN-920(配合比1/1))を介してノンソルベントラミネートし、40℃にて72時間静置し、バリア性積層体を得た。ポリエステルウレタン接着剤により形成された接着層の厚さは、1μmであった。バリア性積層体におけるポリプロピレンの含有割合は、95質量%であった。
得られたバリア性積層体の残留溶剤量は、0.7mg/m2であった。
得られたバリア性積層体を16枚、表裏を交互に、且つ、バリア性積層体を構成するフィルムのMD方向及びTD方向が揃うように重ね合せて、サンプルを作製した。該サンプルのMD方向の引裂き強度は0.6N/16枚であり、TD方向の引裂き強度は1.7N/16枚であり、引裂き強度比(強度TD/強度MD)は2.8であった。
[実施例2]
第1の基材として上記透明バリア性基材を、第2の基材として厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2271)を、シーラント層として厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK207)を、ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を介してドライラミネートし、40℃にて72時間静置し、バリア性積層体を得た。ポリエステルウレタン接着剤により形成された接着層の厚さは、4μmであった。バリア性積層体におけるポリプロピレンの含有割合は、89質量%であった。
[比較例1]
第1の基材として上記透明バリア性基材を、シーラント層として厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK207)を、ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を介してドライラミネートし、40℃にて72時間静置し、バリア性積層体を得た。ポリエステルウレタン接着剤により形成された接着層の厚さは、4μmであった。バリア性積層体におけるポリプロピレンの含有割合は、92質量%であった。
[ガスバリア性評価]
上記で得られたバリア性積層体を切り出して、試験片を得た。この試験片を用いて、酸素透過度(cc/m2・day・atm)及び水蒸気透過度(g/m2・day)を、以下の方法により測定した。
酸素透過度測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を用いて、試験片の第1の基材側が酸素供給側になるようにセットして、JIS K 7126に準拠して、23℃、相対湿度90%RH環境下における酸素透過度を測定した。
水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、PERMATRAN-w 3/33)を用いて、試験片の第1の基材側が水蒸気供給側になるようにセットして、JIS K 7129に準拠して、40℃、相対湿度90%RH環境下における水蒸気透過度を測定した。
[ガスバリア性評価(ボイル処理後又はレトルト処理後)]
上記で得られたバリア性積層体を用いて、平状の包装袋を作製した。平状の包装袋の大きさは、B5サイズ(182mm×257mm)である。平状の包装袋の内部には、水150mLが充填されている。
平状の包装袋を、95℃で30分間、熱水でボイル処理した。平状の包装袋からバリア性積層体を切り出して、試験片を得た。この試験片を用いて、上記と同様にして、酸素透過度及び水蒸気透過度を測定した。
平状の包装袋を、121℃で30分間、熱水でレトルト処理した。平状の包装袋からバリア性積層体を切り出して、試験片を得た。この試験片を用いて、上記と同様にして、酸素透過度及び水蒸気透過度を測定した。
[ガスバリア性評価(ゲルボフレックス試験後)]
上記で得られたバリア性積層体2枚を用いて、四方袋体を作製した。この袋の大きさは、A4サイズ(210mm×297mm)である。この袋を用いて、ASTM F392に準拠したゲルボフレックス試験(ストローク:80mm、屈曲動作:400°)を10回繰り返した。その後、当該袋からバリア性積層体を切り出して、試験片を得た。この試験片を用いて、上記と同様にして、酸素透過度及び水蒸気透過度を測定した。
[ガスバリア性評価(ボイル又はレトルト処理、かつゲルボフレックス試験後)]
上記で得られたバリア性積層体2枚を用いて、四方袋体を作製した。この袋の大きさは、A4サイズ(210mm×297mm)である。袋の内部には、水400mLが充填されている。四方袋体を、上記条件でボイル処理又はレトルト処理した。四方袋体から水を取り除き、この袋を用いて、ASTM F392に準拠したゲルボフレックス試験(ストローク:80mm、屈曲動作:400°)を10回繰り返した。その後、当該袋からバリア性積層体を切り出して、試験片を得た。この試験片を用いて、上記と同様にして、酸素透過度及び水蒸気透過度を測定した。
[熱収縮率の測定]
上記で得られたバリア性積層体を10cm×10cmの大きさにカットし、試験片を得た。試験片をオーブンに入れ、120℃で15分間、又は150℃で5分間の条件で加熱した。オーブンでの加熱前後の試験片のMD方向、TD方向の長さをガラススケールで測定した。下記式に基づき、MD方向の熱収縮率(MD)及びTD方向の熱収縮率(TD)を算出した。表1に、2つの試験片についての熱収縮率の平均値を記載する。
熱収縮率(MD)(%)=(加熱処理前の積層体のMD方向の長さ-加熱処理後の積層体のMD方向の長さ)/加熱処理前の積層体のMD方向の長さ×100
熱収縮率(TD)(%)=(加熱処理前の積層体のTD方向の長さ-加熱処理後の積層体のTD方向の長さ)/加熱処理前の積層体のTD方向の長さ×100
Figure 2023023639000001
1:バリア性積層体、10:ポリプロピレン樹脂基材、20:バリア性基材、22:ポリプロピレン樹脂層、23:表面コート層又は表面樹脂層、24:蒸着膜、25:バリアコート層、30:シーラント層、40A、40B:接着層、
50:包装袋、51:易開封部、52:ノッチ部、53:ハーフカット線、
60:スタンディングパウチ、61:胴部(側面シート)、62:底部(底面シート)、63:蒸気抜き機構、63a:蒸気抜きシール部、63b:非シール部、
A:真空容器、B:巻出し部、C:成膜用ドラム、D:巻取り部、E:搬送ロール、F:蒸発源、G:反応ガス供給部、H:防着箱、I:蒸着材料、J:プラズマガン、S:基材、A1:真空容器、B1:巻出し部、C1:冷却・電極ドラム、D1:巻取り部、E1:搬送ロール、F1:グロー放電プラズマ、G1:反応ガス供給部、H1:原料供給ノズル、I1:原料ガス供給部、J1:マグネット、K1:電源、L1:真空ポンプ

Claims (18)

  1. 第1の基材と、
    第2の基材と、
    シーラント層と
    を厚さ方向にこの順に備えるバリア性積層体であって、
    前記第1の基材及び前記第2の基材のいずれか一方が、ポリプロピレン樹脂層と蒸着膜とを備えるバリア性基材であり、前記第1の基材及び前記第2の基材の他方が、ポリプロピレン樹脂基材であり、
    前記ポリプロピレン樹脂層は、延伸処理が施された層であり、
    前記蒸着膜は、無機酸化物から構成されており、
    前記ポリプロピレン樹脂基材は、延伸処理が施された基材である、
    バリア性積層体。
  2. 前記第1の基材が前記バリア性基材である場合は、前記蒸着膜が前記シーラント層側を向き、前記ポリプロピレン樹脂層が前記シーラント層とは反対側を向くように、前記第1の基材が配置されており、
    前記第2の基材が前記バリア性基材である場合は、前記蒸着膜が前記第1の基材側を向き、前記ポリプロピレン樹脂層が前記シーラント層側を向くように、前記第2の基材が配置されている、
    請求項1に記載のバリア性積層体。
  3. 前記第1の基材が、前記ポリプロピレン樹脂基材であり、
    前記第2の基材が、前記バリア性基材である、
    請求項1又は2に記載のバリア性積層体。
  4. 前記バリア性基材が、前記ポリプロピレン樹脂層と前記蒸着膜との間に、表面コート層をさらに備え、前記表面コート層が、極性基を有する樹脂材料を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のバリア性積層体。
  5. 前記バリア性基材が、前記ポリプロピレン樹脂層と前記蒸着膜との間に、表面樹脂層をさらに備え、前記表面樹脂層が、180℃以上の融点を有する樹脂材料を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のバリア性積層体。
  6. 前記バリア性基材における前記ポリプロピレン樹脂層と前記表面樹脂層とが、共押出延伸樹脂フィルムである、請求項5に記載のバリア性積層体。
  7. 前記蒸着膜上に、バリアコート層をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のバリア性積層体。
  8. 前記シーラント層が、ポリプロピレンにより構成される樹脂層である、請求項1~7のいずれか一項に記載のバリア性積層体。
  9. 前記第1の基材と、前記第2の基材との間に、第1の接着層を備え、
    前記第2の基材と、前記シーラント層との間に、第2の接着層を備える、
    請求項1~8のいずれか一項に記載のバリア性積層体。
  10. 120℃かつ15分間の加熱処理後の前記バリア性積層体のMD方向の熱収縮率(MD1)が2.00%以下であり、TD方向の熱収縮率(TD1)が2.00%以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載のバリア性積層体。
  11. 120℃かつ15分間の加熱処理後の前記バリア性積層体の熱収縮率(MD1)と熱収縮率(TD1)との比(MD1/TD1)が、0.30以上3.00以下である、請求項10に記載のバリア性積層体。
  12. 150℃かつ5分間の加熱処理後の前記バリア性積層体のMD方向の熱収縮率(MD2)が4.00%以下であり、TD方向の熱収縮率(TD2)が4.00%以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載のバリア性積層体。
  13. 150℃かつ5分間の加熱処理後の前記バリア性積層体の熱収縮率(MD2)と熱収縮率(TD2)との比(MD2/TD2)が、0.30以上3.00以下である、請求項12に記載のバリア性積層体。
  14. 包装容器用途に用いられる、請求項1~13のいずれか一項に記載のバリア性積層体。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載のバリア性積層体を備える包装容器。
  16. ボイル又はレトルトパウチである、請求項15に記載の包装容器。
  17. 請求項1~14のいずれか一項に記載のバリア性積層体からなる蓋材。
  18. 収容部を有する容器本体と、前記収容部を封止するように前記容器本体に接合された請求項17に記載の蓋材とを備える包装容器。
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