JP2023020214A - 圧粉磁心用粉末、圧粉磁心及び圧粉磁心用粉末の製造方法。 - Google Patents

圧粉磁心用粉末、圧粉磁心及び圧粉磁心用粉末の製造方法。 Download PDF

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Abstract

Figure 2023020214000001
【課題】透磁率と鉄損が良好な圧粉磁心、この圧粉磁心に用いられる圧粉磁心用粉末、及び圧粉磁心用粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】圧粉磁心に用いられる圧粉磁心用粉末は、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末を含むFeSiAl系合金粉末、又はこれに加えて粒度分布におけるD10が10μm以上の大径粉末を含むFeSiAl系合金粉末である。微粉末は、このような大径粉末の制限がない場合、FeSiAl系合金粉末全体に対して2.5以上10.0wt%以下の割合で含まれ、大径粉末を含む場合、5.0以上25.0wt%以下の割合で含まれる。圧粉磁心用粉末は、大径粉末と微粉末とに分ける分級工程と、微粉末をこの割合で含むように再混合する再混合工程を経る。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧粉磁心用粉末、当該圧粉磁心用粉末を用いた圧粉磁心、及び圧粉磁心用粉末の製造方法に関する。
インダクタ又はリアクトルとも呼ばれるコイルは、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積及び放出する電磁気部品である。コイルは、電力用途では特にリアクトルとも呼ばれ、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車の駆動システム等をはじめ、OA機器、太陽光発電システム、自動車、無停電電源といった各種の分野で使用されている。
コイルには圧粉磁心のコアが多用されている。圧粉磁心は、圧粉磁心用粉末を押し固めた成形体を焼鈍したものである。圧粉磁心用粉末は、軟磁性金属の粉末であり、例えばセンダストとも呼ばれ、FeにSiとAlを添加したFeSiAl系合金が挙げられる。
圧粉磁心は、エネルギー交換効率の向上や低発熱などの要求から、小さな印加磁界で大きな磁束密度を得ることが出来る磁気特性と、磁束密度変化におけるエネルギー損失が小さいという磁気特性が求められる。磁束密度に関する磁気特性としては例えば透磁率(μ)が挙げられる。エネルギー損失に関する磁気特性としてはコアロスとも呼ばれる鉄損(Pcv)が挙げられる。鉄損(Pcv)は、ヒステリシス損失(Ph)と、渦電流損失(Pe)の和で表される。
ヒステリシス損失は周波数に比例し、渦電流損失は周波数の二乗に比例する。従って、高周波数領域でコイルを使用する場合には、渦電流損失がエネルギー損失に支配的に作用する。そこで、渦電流損失を低減させるために、圧粉磁心用粉末の粒径を45μm以上180μm以下とするように提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1において、45μm未満は、粒径が小さいためにヒステリシス損失が発生することが示唆されている。即ち、渦電流損失を抑制するためには粒径が大きな圧粉磁心用粉末を制限し、比抵抗を高くすることが重要ではあるが、粒径を小さくしていくと反対にヒステリシス損失が大きくなってしまう虞があるため、粒径に下限を設定しているものである。
特開2009-32880号公報
しかしながら、圧粉磁心用粉末の粒径に下限を設定し、その下限値以下の粒径の粒子を粉末から排除してしまうと、圧粉磁心の透磁率が低下してしまうことがわかった。その理由は、軟磁性粉末の粒子間の隙間が大きくなるためと考えられる。そこで、鉄損を良好に維持しつつ、高い透磁率の圧粉磁心となる圧粉磁心用粉末が求められる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、透磁率と鉄損が良好な圧粉磁心、この圧粉磁心に用いられる圧粉磁心用粉末、及び圧粉磁心用粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、圧粉磁心用粉末がFeSiAl系合金粉末の場合、特定の大きさの微粉末が適量範囲で含まれていると、透磁率は高く、鉄損は低くなるという知見を得た。
本発明の圧粉磁心用粉末は、本発明者らによるこのような知見に基づき成されたものであり、上記の目的を達成するために、FeSiAl系合金粉末を含み、前記FeSiAl系合金粉末は、粒度分布におけるD10が10μm以上の大径粉末と、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末と、を含み、前記FeSiAl系合金粉末には、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末が、前記FeSiAl系合金粉末全体に対して5.0以上25.0wt%以下の割合で含まれること、を特徴とする。
前記微粉末は、前記FeSiAl系合金粉末全体に対して10.0以上20.0wt%以下の割合で含まれるようにしてもよい。この割合とすることで、ヒステリシス損失を低い範囲に留めたまま、透磁率を更に向上させることができる。
また、上記の目的を達成するために、本発明の圧粉磁心用粉末は、FeSiAl系合金粉末を含み、前記FeSiAl系合金粉末には、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末が、前記FeSiAl系合金粉末全体に対して2.5以上10.0wt%以下の割合で含まれること、を特徴とする。
このような圧粉磁心用粉末を含む圧粉磁心も本発明の一態様である。
また、FeSiAl系合金粉末を分級して、粒度分布におけるD10が10μm以上の大径粉末と粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末とに分ける分級工程と、前記微粉末が前記FeSiAl系合金粉末全体に対して5.0以上25.0wt%以下の割合で含まれるように、前記分級工程で分けた前記大径粉末と前記微粉末とを混合する再混合工程と、を含む圧粉磁心用粉末の製造方法も、本発明の一態様である。
本発明によれば、透磁率を高く、鉄損を低くできる。
各実施例に係る圧粉磁心用粉末の微粉末の量と鉄損との関係、及び微粉末の量と透磁率との関係を示すグラフである。 更なる各実施例に係る圧粉磁心用粉末の微粉末の量と鉄損との関係、及び微粉末の量と透磁率との関係を示すグラフである。
以下、本実施形態に係る圧粉磁心用粉末、圧粉磁心及び圧粉磁心用粉末の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものでない。
圧粉磁心は、インダクタ及びリアクトルとも呼ばれるコイルのコアに用いられる磁性体である。圧粉磁心は、圧粉磁心用粉末により成る。圧粉磁心用粉末は、必要に応じて絶縁層で被覆される。この圧粉磁心は、圧粉磁心用粉末を熱処理し、圧粉磁心用粉末を絶縁樹脂で被覆し、絶縁層が周囲に形成された圧粉磁心用粉末を加圧成形し、成形体を焼成することで作製される。
圧粉磁心用粉末としては、鉄と珪素とアルミニウムからなる三元合金であるFeSiAl系合金粉末が用いられる。FeSiAl系合金の粉末は、例えば、Feに対して、6wt%から10wt%程度のSiと、4wt%から8wt%程度のAlとを含有させている。FeSiAl系合金粉末には、例えば、Feに対して1wt%から3wt%程度のNiが含まれていてもよい。更に、FeSiAl系合金粉末にはCo、Cr又はMnが含まれていてもよい。
このFeSiAl系合金粉末は、大径粉末と微粉末とが混合されて成る。大径粉末は、粒度分布におけるD10が10μm以上である。微粉末は、粒度分布におけるD90が10μm以下である。微粉末は、FeSiAl系合金粉末中、5.0wt%以上25.0wt%以下の割合で混合されており、好ましくは、FeSiAl系合金粉末中、5.0wt%以上20.0wt%以下の割合で混合されている。または、FeSiAl系合金粉末は、この微粉末がFeSiAl系合金粉末中、2.5wt%以上10.0wt%以下の割合で混合されていればよく、微粉末以外の粉末の粒度分布に制限はない。
このようなFeSiAl合金粉末を含む圧粉磁心用粉末で圧粉磁心を作製すると、圧粉磁心の鉄損が低く抑えられ、また圧粉磁心の透磁率が高くなる。圧粉磁心の鉄損が低く抑えられ、また圧粉磁心の透磁率が高くなる理由は、これに限定されるものではないが、次のように考えられる。即ち、大径粉末の間に微粉末が入り込むことにより、大径粉末間の隙間が埋まり、隙間の存在による透磁率の低下が抑止されたものと考えられる。また、大径粉末間の隙間があると、磁束の流れが不均一になって、粉末中心の磁束密度が高まり、これに起因してヒステリシス損失が高まるところ、この隙間が埋まったことにより、ヒステリシス損失が低下することで、鉄損も低下したものと考えられる。
従って、大径粉末間の隙間に対して大きさが適切な微粉末、即ち粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末が、大径粉末の隙間を埋めるのに必要十分な量が加わることにより、圧粉磁心の鉄損が低く抑えられ、また圧粉磁心の透磁率が高くなったものと考えられる。
このようなFeSiAl系合金粉末は、まず、例えば粉砕法又はアトマイズ法による粉末作製工程を経て得られる。粉砕法では、FeSiAl系合金の金属塊をゾークラッシャー、ハンマーミル、アトリションミル、スタンプミル又はボールミル加工等によって機械的に粉砕する。アトマイズ法は、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、水ガスアトマイズ法のいずれでも良い。粉砕粉は、現状、もっとも入手性が良く低コストである。粉砕法を使用した場合は、その粒子形状がいびつであるので、それを加圧成形した粉末成形体の機械的強度を向上させやすいため、好ましい。ガスアトマイズ法は、ヒステリシス損失を効果的に低減でき、好ましい。
次に、FeSiAl系合金粉末は、粉末作製工程を経た後、分級工程と再混合工程を経ることが好ましい。分級工程では、振動篩等による篩い分けや、気流中の粒子の粒径により飛行軌跡が異なることを利用した気流による分級により、粒度分布におけるD10が10μm以上の大径粉末と、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末とに分級する。そして、再混合工程において、FeSiAl系合金粉末全体に対して微粉末が5.0wt%以上25.0wt%以下の割合、又は5.0wt%以上20.0wt%以下の割合となるように、分級工程で分けた大径粉末と微粉末の量を調整して再混合する。
または、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末を用意しておき、粉砕法又はアトマイズ法による粉末作製工程を経て得られたFeSiAl系合金粉末に対して、FeSiAl系合金粉末中、微粉末が2.5wt%以上10wt%以下となるように、微粉末を追加する。
このようなFeSiAl系合金粉末は、比表面積が小さいものが好ましい。つまり、球形度が高いことが好ましい。比表面積が小さいと、FeSiAl系合金粉末同士の隙間が少なくなり、更なる密度及び透磁率の向上を図ることができるからである。粒子の平均円形度は、ボールミル、メカニカルアロイング、ジェットミル、アトライター又は表面改質装置を用いて表面の凹凸を均すことで上昇させることができる。
また、このようなFeSiAl系合金粉末は、絶縁層で被覆する前に非酸化雰囲気で熱処理しておくことが好ましい。この熱処理は、分級工程と再混合工程を経る前でも後でも何れでもよい。非酸化雰囲気は、雰囲気中の0.01%等の低酸素雰囲気又は不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガスとしては、HやNが挙げられる。加熱時間は、例えば1~6時間程度である。この熱処理工程では、500℃以上700℃以下の温度環境下にFeSiAl系合金粉末を晒すことが好ましい。500℃以上700℃以下の温度環境下にFeSiAl系合金粉末を晒すと、ヒステリシス損失の低減効果を得ることができる。
FeSiAl系合金粉末の各粒子を被覆する絶縁層は、粒子全表面を覆うように付着していてもよく、粒子の一部の表面を覆うように付着していてもよいし、これらの両方の態様が混在していてもよい。また、この絶縁層は、FeSiAl系合金粉末の各粒子に付着していてもよいし、粒子の凝集体の表面に付着していてもよいし、これらの両方の態様が混在していてもよい。粒子や凝集体の一部表面を覆うとき、絶縁層は、点状に分散して付着していてもよいし、塊状に分散して付着していてもよいし、これらの態様が混在していてもよい。
絶縁層には、絶縁材料としてシランカップリング剤、シリコーンオリゴマー若しくはシリコーンレジン、又はこれら2種以上の混合が含まれる。例えば、FeSiAl系合金の粒子又は凝集体の外側に、シランカップリング剤とシリコーンレジンが付着していてもよいし、シリコーンオリゴマーとシリコーンレジンが付着していてもよい。また、複数種の絶縁材料がFeSiAl系合金の粒子又は凝集体の外側に付着する場合、その複数種の絶縁材料により成る絶縁層は、種類ごとに各層に分かれていてもよいし、各種類が混合された単層であってもよい。
シランカップリング剤を絶縁層に含める場合、シランカップリング剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系、イソシアヌレート系のシランカップリング剤を使用することができ、特に、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが好ましい。シランカップリング剤の添加量としては、FeSiAl系合金粉末に対して、0.05wt%以上、1.0wt%以下が好ましい。シランカップリング剤の添加量をこの範囲にすることで、圧粉磁心用粉末の流動性を向上させるとともに、成形された圧粉磁心の密度、磁気特性、強度特性を向上させることができる。
FeSiAl系合金粉末とシランカップリング剤を混合した後、FeSiAl系合金粉末とシランカップリング剤の混合物を加熱乾燥する。乾燥温度は、25℃~200℃である。乾燥温度が25℃より低いと、溶剤が残留し被膜が不完全となる場合があるためである。一方、乾燥温度が200℃より高いと、分解が進み被膜として形成されなくなる場合があるためである。乾燥時間は、2時間程度である。
シリコーンオリゴマーを絶縁層に含める場合、シリコーンオリゴマーとしては、アルコキシシリル基を有し、反応性官能基を有さないメチル系、メチルフェニル系のものや、アルコキシシリル基及び反応性官能基を有するエポキシ系、エポキシメチル系、メルカプト系、メルカプトメチル系、アクリルメチル系、メタクリルメチル系、ビニルフェニル系、又はアルコキシシリル基ではなく、反応性官能基を有する脂環式エポキシ系等を用いることができる。特に、メチル系またはメチルフェニル系のシリコーンオリゴマーを用いることで厚く硬い絶縁層を形成することができる。また、シリコーンオリゴマー層の形成のしやすさを考慮して、粘度の比較的低いメチル系、メチルフェニル系を用いてもよい。シリコーンオリゴマーの添加量は、FeSiAl系合金粉末に対して0.05wt%以上1.0wt%以下が望ましい。
FeSiAl系合金粉末とシリコーンオリゴマーを混合した後、FeSiAl系合金粉末とシリコーンオリゴマーの混合物を加熱乾燥する。乾燥温度は、25℃~300℃が好ましい。乾燥温度が25℃未満であると膜の形成が不完全となり、渦電流損失が高くなり、損失が増大する。一方、乾燥温度300℃より大きいと粉末が酸化することによりヒステリシス損失が高くなり、損失が増大する。乾燥時間は、2時間程度である。
シリコーンレジンは、シロキサン結合(Si-O―Si)を主骨格に持つ樹脂であり、可撓性に優れた絶縁層を形成することができる。シリコーンレジンを絶縁層に含める場合、シリコーンレジンとしては、典型的には、メチル系、メチルフェニル系、プロピルフェニル系、エポキシ樹脂変性系、アルキッド樹脂変性系、ポリエステル樹脂変性系、ゴム系等を用いることができる。この中でも特に、メチルフェニル系のシリコーンレジンを用いた場合、加熱減量が少なく、耐熱性に優れた絶縁層を形成することができる。シリコーンレジンの添加量は、FeSiAl系合金粉末に対して、0.8以上2.0wt%以下であることが好ましい。添加量が0.8wt%より少ないと絶縁被膜として機能せず、渦電流損失が増加することにより磁気特性が低下する。添加量が2.0wt%より多いと圧粉磁心の密度低下を招く。
FeSiAl系合金粉末とシリコーンレジンを混合した後、FeSiAl系合金粉末とシリコーンレジンの混合物を加熱乾燥する。乾燥温度は、100℃~200℃が好ましい。乾燥温度が100℃より小さいと膜の形成が不完全となり、渦電流損失が高くなる場合があるためである。一方、乾燥温度200℃より大きいと粉末が無機物となりバインダとしての役割を果たさず、保形成が悪くなり、成形体の密度及び透磁率が低下する場合があるためである。乾燥時間は、2時間程度である。
その他、FeSiAl系合金粉末には各種の添加物を付加するようにしてもよい。例えば、アルミナ粉末、マグネシア粉末、シリカ粉末、チタニア粉末及びジルコニア粉末等の無機絶縁粉末、縮合リン酸アルミニウム、縮合リン酸カルシウム及び縮合リン酸マグネシウム等の縮合リン酸金属塩を添加するようにしてもよい。
このような圧粉磁心用粉末を用いて圧粉磁心を作製する際、圧粉磁心用粉末には、潤滑剤を添加して加圧成形及び焼成される。潤滑剤は、圧粉磁心用粉末を被覆した絶縁層の表面を被覆する。潤滑剤としては、これに限定されないが、例えば、ステアリン酸及びその金属塩並びにエチレンビスステアルアミド、エチレンビスステアロアマイド、エチレンビスステアレートアミドなどが挙げられる。潤滑剤の添加量は、圧粉磁心用粉末に対して、0.2wt%~0.8wt%程度であることが好ましい。さらに好ましくは、潤滑剤の添加量は、圧粉磁心用粉末に対して、0.3wt%~0.6wt%程度である。この範囲にすることで、圧粉磁心用粉末間の滑りをより向上させることができる。
加圧成形工程では、絶縁層が形成された圧粉磁心用粉末を加圧成形することにより、圧粉成形体を成形する工程である。圧粉磁心用粉末に10~20ton/cm程度の圧力を加えて圧粉成形体を作製する。加圧力は平均で12~15ton/cm程度がより好ましい。
加圧成型後の焼成工程では、窒素ガス中、窒素と水素の混合ガス、0.01%等の低酸素雰囲気等の非酸化性雰囲気中又は大気中にて、600℃以上且つ圧粉磁心用粉末に被覆した絶縁層が破壊される温度(例えば、800℃とする)よりも低い温度で、熱処理を行う。この焼成工程を経ることで圧粉磁心が作製される。
このような圧粉磁心用粉末及び圧粉磁心は、100kHz以上の高周波数帯及び例えば100mT等の高い磁束密度を想定するリアクトルやトランスに用いられることが好適である。数十kHz程度の周波数帯では圧粉磁心用粉末の粒径がヒステリシス損失に与える影響は小さい。一方、100kHz以上の高周波数帯及び例えば100mT等の高い磁束密度では、数十kHz程度の周波数帯とは様相を異にし、圧粉磁心用粉末の粒径がヒステリシス損失に与える影響は大きくなる。
(実施例その1)
実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
大径粉末と微粉末の混合比率が異なる各種圧粉磁心用粉末を作製し、更にこれら圧粉磁心用粉末の各々を用いて圧粉磁心を作製した。各種圧粉磁心用粉末は、大径粉末と微粉末の混合比率が異なっている他は、圧粉磁心用粉末を作製してから圧粉磁心を作製するまで、共通の製造方法及び製造条件で作製された。
各種圧粉磁心用粉末の製造方法は次の通りである。まず、FeSiAl系合金粉末を650℃の窒素雰囲気中に2時間晒した。この熱処理後のFeSiAl系合金粉末を気流による分級により、粒度分布におけるD10が10μm以上の大径粉末と、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末とに分けた。そして、大径粉末に、分級した微粉末を各種圧粉磁心用粉末に規定される割合に応じて混合した。
各種圧粉磁心用粉末における大径粉末と微粉末の粒度分布は、下表1の通りである。また、大径粉末と微粉末の混合割合は、下表2の通りである。
(表1)
Figure 2023020214000002
(表2)
Figure 2023020214000003
各種圧粉磁心用粉末に対し、シランカップリング剤を0.5wt%混合し、更に固形分が50%のシリコーンレジンを1.5wt%混合し、150℃の大気雰囲気中に2時間乾燥させた。
凝集を解消する目的で圧粉磁心用粉末を目開き250μmの篩に通し、潤滑剤(Acrawax(登録商標))を0.5wt%添加した。潤滑剤を添加した圧粉磁心用粉末を金型に充填し、プレス成形を行い、外径16.5mm、内径11.0mm、高さ5.0mmの各圧粉成形体を得た。プレス成形の圧力は、15ton/cmで行った。これにより、圧粉成形体が作製された。圧粉成形体が作製された後、この圧粉成形体を700℃の窒素雰囲気下で2時間焼成した。これにより、各種の圧粉磁心用粉末の各々から圧粉磁心が作製された。
各圧粉磁心にφ0.5mmの銅線で1次巻線17ターン、2次巻線17ターンの巻線を巻回し、ヒステリシス損失を測定した。測定条件は、周波数100kHz、最大磁束密度Bm=100mTとし、磁気計測機器であるBHアナライザ(岩通計測株式会社:SY-8219)を用いた。鉄損、ヒステリシス損失及び渦電流損失については、磁気計測機器であるBHアナライザを用いて算出した。この算出は、鉄損の周波数曲線を次の(1)~(3)式で最小2乗法により、ヒステリシス損失係数、渦電流損失係数を算出することで行った。
Pcv =Kh×f+Ke×f・・(1)
Ph =Kh×f・・(2)
Pe =Ke×f・・(3)
Pcv:鉄損
Kh :ヒステリシス損失係数
Ke :渦電流損失係数
f :周波数
Ph :ヒステリシス損失
Pe :渦電流損失
また、各圧粉磁心の密度を測定した。密度は、見かけ密度である。圧粉磁心の外径、内径、及び高さを測定し、これらの値から各圧粉磁心の体積(cm)を、π×(外径-内径)×高さに基づき算出した。そして、圧粉磁心の重量を測定し、重量を体積で除算することで、密度を算出した。尚、測定した重量は、プレス成形を経た後の重量であり、FeSiAl系合金粉末、シランカップリング剤、シリコーンレジン、及び潤滑剤の合計の重量である。
更に、各圧粉磁心の透磁率を測定した。透磁率は、鉄損の測定時に最大磁束密度Bmを設定したときの振幅透磁率とし、LCRメータ(アジレント・テクノロジー株式会社製:4284A)を使用して算出した。透磁率は、直流電流を重畳させずに磁界がゼロの初透磁率(0kA/m)と、直流電流を重畳して磁界が8kA/mの透磁率(0kA/m)とを測定した。
各圧粉磁心で用いた圧粉磁心用粉末の大径粉末と微粉末の混合割合、密度、初透磁率(0kA/m)、透磁率(8kA/m)、鉄損(Pcv)、ヒステリシス損失(Ph)及び渦電流損失(Pe)の結果を下表3に示す。また、表3の結果に基づき、微粉末の量と鉄損との関係、及び微粉末の量と初透磁率との関係を図1のグラフにまとめた。
(表3)
Figure 2023020214000004
表3及び図1に示すように、FeSiAl系合金粉末全体中、微粉末が5.0wt%以上25.0wt%以下の範囲で混合されていると、大径粉末のみのFeSiAl系合金粉末から成る圧粉磁心と比べて、密度が明らかに上がっている。そのため、FeSiAl系合金粉末全体中、微粉末が5.0wt%以上25.0wt%以下の範囲で混合されていると、大径粉末のみのFeSiAl系合金粉末から成る圧粉磁心と比べて、鉄損(Pcv)も初透磁率(0kA/m)も良好になっていることが確認できる。
更に、表3及び図1に示すように、FeSiAl系合金粉末全体中、10.0wt%の微粉末が混合されていると鉄損(Pcv)が最低値となり、また20.0wt%の微粉末が混合されていると初透磁率(0kA/m)が最高値となることが確認できる。即ち、FeSiAl系合金粉末全体中、微粉末が10.0wt%以上20.0wt%以下の範囲で混合されていると、大径粉末のみのFeSiAl系合金粉末から成る圧粉磁心と比べて、鉄損(Pcv)も初透磁率(0kA/m)も更に良好になっている。
即ち、粒度分布におけるD10が10μm以上の大径粉末と、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末とを含むFeSiAl系合金粉末であり、微粉末がFeSiAl系合金粉末中、5.0wt%以上25.0wt%以下又は10.0wt%以上20.0wt%以下であると、この圧粉磁心用粉末によって作製された圧粉磁心は、密度が高くなり、鉄損も透磁率も向上する。
(実施例その2)
下表4に示す粒度分布のFeSiAl系合金粉末(以下、サンプル粉末という)に、下表4に示す粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末を各種混合比率で混合した各種圧粉磁心用粉末を作製し、更にこれら圧粉磁心用粉末の各々を用いて圧粉磁心を作製した。各種圧粉磁心用粉末と圧粉磁心は、分級工程がない点を除き、実施例その1と同一の製造方法及び製造条件で作製された。各種圧粉磁心用粉末におけるサンプル粉末と微粉末の混合割合は、下表5の通りである。
(表4)
Figure 2023020214000005
(表5)
Figure 2023020214000006
各圧粉磁心の密度、初透磁率(0kA/m)、透磁率(8kA/m)、鉄損(Pcv)、ヒステリシス損失(Ph)及び渦電流損失(Pe)を測定した。測定方法は、実施例その1と同一である。その結果を下表6に示す。また、表6の結果に基づき、微粉末の量と鉄損との関係、及び微粉末の量と透磁率との関係を図2のグラフにまとめた。
(表6)
Figure 2023020214000007
表6及び図2に示すように、FeSiAl系合金粉末において微粉末を追加していると、圧粉磁心の密度が上がる。そして、密度が上がった圧粉磁心のうち、微粉末がFeSiAl系合金粉末全体中で2.5wt%以上10.0wt%以下の範囲で混合されている圧粉磁心は、微粉末を追加していないFeSiAl系合金粉末から成る圧粉磁心と比べて、鉄損(Pcv)も初透磁率(0kA/m)も良好になっている。
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (5)

  1. FeSiAl系合金粉末を含み、
    前記FeSiAl系合金粉末は、
    粒度分布におけるD10が10μm以上の大径粉末と、
    粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末と、
    を含み、
    前記FeSiAl系合金粉末には、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末が、前記FeSiAl系合金粉末全体に対して5.0以上25.0wt%以下の割合で含まれること、
    を特徴とする圧粉磁心用粉末。
  2. 前記微粉末は、前記FeSiAl系合金粉末全体に対して10.0以上20.0wt%以下の割合で含まれること、
    を特徴とする請求項1記載の圧粉磁心用粉末。
  3. FeSiAl系合金粉末を含み、
    前記FeSiAl系合金粉末には、粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末が、前記FeSiAl系合金粉末全体に対して2.5wt%以上10.0wt%以下の割合で含まれること、
    を特徴とする圧粉磁心用粉末。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の圧粉磁心用粉末を含むこと、
    を特徴とする圧粉磁心。
  5. FeSiAl系合金粉末を分級して、粒度分布におけるD10が10μm以上の大径粉末と粒度分布におけるD90が10μm以下の微粉末とに分ける分級工程と、
    前記微粉末が前記FeSiAl系合金粉末全体に対して5.0以上25.0wt%以下の割合で含まれるように、前記分級工程で分けた前記大径粉末と前記微粉末とを混合する再混合工程と、
    を含むこと、
    を特徴とする圧粉磁心用粉末の製造方法。
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