JP2023018981A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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将一 村田
Masakazu Murata
寛人 林
Hiroto Hayashi
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Abstract

【課題】低温定着性及び帯電量分布に優れる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。【解決手段】〔1〕トナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであり、前記トナー粒子が、結晶性ポリエステル樹脂及びシリコーン変性ポリエステル樹脂を含有する、静電荷像現像用トナー。〔2〕樹脂粒子を、水系媒体中で凝集及び融着させる工程を含む、〔1〕に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーに関する。
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応した静電荷像現像用トナーの開発が求められている。中でも低温定着性と耐熱保存性といったトレードオフになる特性を改善するために、コアシェル型トナー粒子を含有するトナーが提案されている。
特許文献1には、優れた低温定着性と耐熱保存性とを両立し、帯電性にも優れる静電荷像現像用トナーとして、コアシェル構造を有する静電荷像現像用トナーであって、複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル(B)を含む結着樹脂とワックスとをコア部分に含有し、ポリエステル樹脂(C)を含む結着樹脂をシェル部分に含有し、複合樹脂(A)が、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物を80モル%以上含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂からなるセグメント(a1)と、スチレン系化合物由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(a2)とを含有する複合樹脂であり、結晶性ポリエステル(B)が、炭素数8以上16以下のα,ω-脂肪族ジオールを80モル%以上含有するアルコール成分と炭素数8以上16以下の脂肪族飽和ジカルボン酸を80モル%以上含有する多価カルボン酸成分とを重縮合して得られる結晶性ポリエステルであり、ポリエステル樹脂(C)が、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物を80モル%以上含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂である、静電荷像現像用トナーが開示されている。
また、特許文献2には、耐オフセット性及び耐ブロッキング性を改良することを目的として、結着樹脂と着色剤とシリコーンオイルとシリコーン変性樹脂を含有することを特徴とする電子写真用トナー組成物が開示されている。
特開2016-114934号公報 特開平8-87127号公報
特許文献1や2のようなコアシェル型のトナーは、シェル構造を持たせることで、定着前にトナー内部の成分が外部へ漏洩することを抑制することができるが、電子写真システムの更なる高画質化、高速化が求められる中、低温でのより速い定着と帯電性能の両立のために改良の余地があった。
本発明は、低温定着性及び帯電量分布に優れる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
本発明の一実施形態は、以下の〔1〕又は〔2〕に関する。
〔1〕 トナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであり、
前記トナー粒子が、結晶性ポリエステル樹脂及びシリコーン変性ポリエステル樹脂を含有する、
静電荷像現像用トナー。
〔2〕 樹脂粒子を、水系媒体中で凝集及び融着させる工程を含む、〔1〕に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明によれば、低温定着性及び帯電量分布に優れる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。
[静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法]
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)はトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであり、前記トナー粒子が、結晶性ポリエステル樹脂(以下、結晶性ポリエステル樹脂C、又は樹脂Cともいう)及びシリコーン変性ポリエステル樹脂(以下、シリコーン変性ポリエステル樹脂A、又は樹脂Aともいう)を含有する。
また、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、樹脂粒子を、水系媒体中で凝集及び融着させる工程を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記樹脂粒子が、同一又は異なる粒子内に、結晶性ポリエステル樹脂と、シリコーン変性ポリエステル樹脂とを含有する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法により得られたものであることが好ましい。
本発明によれば、低温定着性及び帯電量分布に優れる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。なお、帯電量分布に優れるとは、帯電量分布が狭いことを意味する。
上記の効果が得られる詳細な機構は不明であるが、以下のように考えられる。
結晶性ポリエステル樹脂は、トナーの低温定着性向上に有効であるが、その効果を有効に発現させるためには結晶性ポリエステルを微分散化することが重要である。また、帯電特性の観点からは、疎水性の成分がトナー粒子表面に露出するのは好ましくない。
一方、シリコーン変性ポリエステル樹脂は、トナー粒子中で、シリコーン鎖に由来するナノドメインが形成されていると考えられる。結晶性ポリエステル樹脂は疎水的であるため、シリコーンナノドメインと共に微分散化され、かつ、トナー粒子がコアシェル構造をとらずともトナー内部に結晶性ポリエステルが留まるため、トナー表面には、結晶性ポリエステル及びシリコーン鎖の存在量が少ないと考えられる。
特に、本発明のトナーの好適な製造方法のように、トナー粒子を、水系媒体中での樹脂粒子の凝集工程、融着工程を有する製造方法により製造する場合、疎水的である成分は水中では樹脂粒子内部に存在すると考えられ、シリコーン鎖とそれに伴うシリコーンナノドメイン、及び結晶性ポリエステル樹脂も樹脂粒子内部に存在していると考えられ、上述のように、得られたトナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂が微分散化されつつ、トナー表面には結晶性ポリエステル樹脂やシリコーン鎖の存在量が低いトナー粒子が得られる。
その結果、低温定着性が良好で、帯電量分布に優れる静電荷像現像用トナーが得られると考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が0.6未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
明細書中、ポリエステル樹脂のカルボン酸成分には、その化合物のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径である。
粒径分布の変動係数(以下、単に「CV値」ともいう)は、下記式で表される値である。下記式における体積平均粒径とは、測定された全ての粒子について、それぞれの粒径とその粒子の体積を掛けた値の合計値を、測定された粒子の総体積で除して得られる粒径である。
CV値(%)=[粒径分布の標準偏差(μm)/体積平均粒径(μm)]×100
「カルボン酸化合物」とは、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
「ビスフェノールA」とは、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである。
「結着樹脂」とは、樹脂A、並びに後述する樹脂B及び樹脂Cを含むトナー中に含まれる樹脂成分を意味する。
〔静電荷像現像用トナー〕
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子を含み、トナー粒子に加えて、外添剤を含むことが好ましい。すなわち、トナー粒子は、静電荷像現像用トナーから外添剤を除いた、トナー母粒子である。
本発明の静電荷像現像用トナーは、乾式トナーである。
<トナー粒子>
トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C)及びシリコーン変性ポリエステル樹脂(樹脂A)を含有する。トナー粒子は、コアシェル構造を有していてもよく、コアシェル構造を有する場合には、コア部に樹脂C及び樹脂Aを含有することが好ましく、コア部のみが樹脂C及び樹脂Aを含有することがより好ましい。
トナー粒子がコアシェル構造を有する場合、シェル部の結着樹脂は特に限定されないが、非晶性ポリエステル系樹脂(以下、非晶性ポリエステル系樹脂B、又は樹脂Bともいう)を含有することが好ましい。
トナー粒子は、その他、離型剤、着色剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有していてもよく、トナー粒子は、少なくとも離型剤及び着色剤を含有することが好ましい。また、トナー粒子がコアシェル構造を有する場合には、コア部が、少なくとも離型剤及び着色剤を含有することが好ましい。
(シリコーン変性ポリエステル樹脂(樹脂A))
本発明のトナーは、トナー粒子がシリコーン変性ポリエステル樹脂(樹脂A)を含有する。
樹脂Aは、低温定着性及び帯電量分布に優れるトナーを得る観点から、シリコーン変性ポリエステル樹脂である。樹脂Aは、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と、2価以上のカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分と、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はエポキシ基を、片末端又は両末端に有する変性シリコーンとの反応物であることが好ましい。
≪アルコール成分≫
アルコール成分は、2価以上のアルコールを含む。
2価以上のアルコールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
2価以上のアルコールとしては、例えば、芳香族ジオールのアルキレンオキシド付加物、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、芳香族ジオールのアルキレンオキシド付加物、又は、直鎖若しくは分岐の脂肪族ジオールが好ましく、芳香族ジオールのアルキレンオキシド付加物がより好ましい。
芳香族ジオールのアルキレンオキシド付加物は、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物であり、より好ましくは式(I):
Figure 2023018981000001

(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、及びビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の組合せが好ましい。
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物と、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物とのモル比(ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物/ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物)は、好ましくは10/90以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは50/50以上、更に好ましくは70/30以上であり、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を含む場合、その量は、アルコール成分中、好ましくは70mol%以上、より好ましくは90mol%以上、更に好ましくは95mol%以上であり、そして、100mol%以下であり、更に好ましくは100mol%である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジオールとしては、第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましい。
第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは3以上4以下である。
第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオールが挙げられる。
アルコール成分として、第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを使用する場合、その量は、アルコール成分中、好ましくは70mol%以上、より好ましくは90mol%以上、更に好ましくは95mol%以上であり、そして、100mol%以下であり、更に好ましくは100mol%である。
その他の直鎖又は分岐の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA[2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン]、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキシド(平均付加モル数2以上12以下)付加物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
これらアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
≪カルボン酸成分≫
カルボン酸成分は、2価以上のカルボン酸化合物を含む。
2価以上のカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
2価以上のカルボン酸化合物としては、例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸化合物、脂環式ジカルボン酸化合物、3価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、又はテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物の量は、カルボン酸成分中、好ましくは30mol%以上、より好ましくは40mol%以上、更に好ましくは60mol%以上であり、そして、100mol%以下、好ましくは85mol%以下、更に好ましくは70mol%以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは16以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸、又は、これらの無水物若しくは炭素数1以上3以下のアルキルエステルが挙げられる。
炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸、又はこれらの無水物が好ましい。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸化合物を含む場合、その量は、カルボン酸成分中、好ましくは3mol%以上、より好ましくは10mol%以上、更に好ましくは15mol%以上であり、そして、好ましくは50mol%以下、より好ましくは40mol%以下、更に好ましくは30mol%以下である。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、好ましくは3価のカルボン酸であり、例えばトリメリット酸又はその無水物が挙げられる。これらの中でもトリメリット酸又はその無水物が好ましい。
3価以上の多価カルボン酸化合物を含む場合、3価以上の多価カルボン酸化合物の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1mol%以上、より好ましくは5mol%以上、更に好ましくは10mol%以上であり、そして、好ましくは35mol%以下、より好ましくは30mol%以下である。
これらのカルボン酸化合物は、1種又は2種以上を用いてもよい。
アルコール成分のヒドロキシ基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
≪変性シリコーン≫
樹脂Aに用いられる変性シリコーンは、アルコール成分及びカルボン酸成分の少なくともいずれかと反応し、低温定着性及び帯電量分布に優れる電子写真用トナーを得る観点から、好ましくは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はエポキシ基を、側鎖、片末端又は両末端に有する変性シリコーンであり、好ましくは片末端又は両末端に有する変性シリコーンである。
変性シリコーンは、より具体的には、好ましくは、式(1):
Figure 2023018981000002

〔式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、R’はそれぞれ独立に炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、R’’はそれぞれ独立に炭素数1以上10以下の炭化水素基であり、Xはそれぞれ独立にヒドロキシ基、ヒドロキシアルキルオキシ基、カルボキシ基、カルボキシアルキルオキシ基、エポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、又は脂環式エポキシ基であり、sは1以上3以下の整数であり、tは0以上3以下の整数であり、nは5以上300以下の整数である。〕で表される変性シリコーンである。
Rの炭化水素基の炭素数は、6以下、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1である。
Rの炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、フェニル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
R’のアルキレン基の炭素数は、10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、更に好ましくは3以下であり、そして、好ましくは1以上、より好ましくは2以上である。
R’のアルキレン基としては、例えば、メタンジイル基、エタン-1,2-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、n-プロパン-1,3-ジイル基、n-プロパン-1,2-ジイル基、2-メチルエタン-1,2-ジイル基、1,4-n-ブチル基、1,2-tert-ブチル基、1,5-ペンチル基が挙げられる。これらの中でも、エタン-1,2-ジイル基、n-プロパン-1,3-ジイル基、n-プロパン-1,2-ジイル基が好ましく、n-プロパン-1,2-ジイル基がより好ましい。
R’’の炭化水素基の炭素数は、10以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1である。
R’’の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ベンジル基が挙げられる。
Xは、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキルオキシ基、カルボキシ基、カルボキシアルキルオキシ基、エポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、又は脂環式エポキシ基である。ヒドロキシアルキルオキシ基及びヒドロキシアルキルオキシ基は複数のヒドロキシ基を有していてもよい。カルボキシアルキルオキシ基は複数のカルボキシ基を有していてもよい。
sは、3以下、好ましくは2以下、より好ましくは1である。
tは、3以下、好ましくは2以下、より好ましくは0又は1である。
nは、300以下、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは50以下であり、そして、5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上である。
変性シリコーンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは600以上、より好ましくは800以上、更に好ましくは1,000以上であり、そして、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは7,000以下、更に好ましくは6,000以下、更に好ましくは5,000以下、更に好ましくは4,000以下である。
変性シリコーンの数平均分子量(Mn)は、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、更に好ましくは800以上であり、そして、好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下、更に好ましくは4,000以下、更に好ましくは3,000以下である。
変性シリコーンの動粘度は、25℃において、好ましくは10mm/s以上、より好ましくは15mm/s以上、更に好ましくは20mm/s以上であり、そして、好ましくは500mm/s以下、より好ましくは400mm/s以下、更に好ましくは300mm/s以下である。
変性シリコーンの動粘度は、全自動微量動粘度計(ビスコテック株式会社製)を用い、25℃における動粘度を測定する。
変性シリコーンの官能基当量は、好ましくは300g/mol以上、より好ましくは500g/mol以上、更に好ましくは700g/mol以上であり、そして、好ましくは5,000g/mol以下、より好ましくは4,000g/mol以下、更に好ましくは3,000g/mol以下である。
なお、官能基当量とは、官能基1モルあたりの変性シリコーンの質量を意味する。
樹脂Aに用いられる変性シリコーンとしては、低温定着性及び帯電量分布に優れたトナーを得る観点から、ヒドロキシ基を、片末端又は両末端に有する変性シリコーン(a)(以下、単に「変性シリコーン(a)」ともいう)が好ましい。
つまり、変性シリコーン(a)は、好ましくは、式(1a):
Figure 2023018981000003

〔式中、R、R’、R’’、s、t及びnは、前述の式(1)と同定義である。Xはそれぞれ独立にヒドロキシ基、又はヒドロキシアルキルオキシ基である。〕で表される変性シリコーンである。
ヒドロキシアルキルオキシ基は複数のヒドロキシ基を有していてもよい。ヒドロキシアルキル基の炭素数は、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。
R’Xで表される基は、例えば、下記の置換基2a-1~2a-3が挙げられる。これらの中でも、置換基2a-1又は置換基2a-2が好ましく、置換基2a-1がより好ましい。*はSiとの結合部位である。
Figure 2023018981000004
変性シリコーン(a)は、低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、ヒドロキシ基を、片末端に有することが好ましい。つまり、変性シリコーン(a)は、低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、片末端に、R’Xで表される基を1つ有する。すなわち、上記式(1a)において、sが1であり、tが0である。
変性シリコーン(a)としては、例えば、両末端カルビノール変性シリコーン(市販品としては、例えば「X-22-160AS」、「KF-6000」、「KF-6001」、「KF-6002」、「KF-6003」(以上、信越化学工業株式会社製))、片末端カルビノール変性シリコーン(市販品としては、例えば「X-22-170BX」、「X-22-170DX」、「X-22-176DX」、「X-22-176GX-A」(以上、信越化学工業株式会社製))が挙げられる。
樹脂Aに用いられる変性シリコーンとしては、低温定着性及び帯電量分布に優れたトナーを得る観点から、エポキシ基を、片末端又は両末端に有する変性シリコーン(b)も好ましい。
つまり、変性シリコーン(b)は、
好ましくは、式(1b):
Figure 2023018981000005

〔式中、R、R’、R’’、s、t及びnは、前述の式(1)と同定義である。Xはそれぞれ独立にエポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、又は脂環式エポキシ基である。〕で表される変性シリコーンである。
R’Xで表される基は、例えば、下記の置換基2b-1~2b-3が挙げられる。これらの中でも、置換基2b-1が好ましい。
Figure 2023018981000006
変性シリコーン(b)としては、例えば、両末端エポキシ変性シリコーン(市販品としては、「KF-105」、「X-22-163A」、「X-22-163B」、「X-22-163C」、「X-22-169AS」、「X-22-169B」(以上、信越化学工業株式会社製))、片末端エポキシ変性シリコーン(市販品としては、「X-22-173BX」、「X-22-173DX」(以上、信越化学工業株式会社製))が挙げられる。
樹脂Aに用いられる変性シリコーンとしては、低温定着性及び帯電量分布に優れたトナーを得る観点から、カルボキシ基を、片末端又は両末端に有する変性シリコーン(c)も好ましい。
つまり、変性シリコーン(c)が、好ましくは、式(1c):
Figure 2023018981000007

〔式中、R、R’、R’’、s、t及びnは、前述の式(1)と同定義である。Xはそれぞれ独立にカルボキシ基、又はカルボキシアルキルオキシ基である。〕で表される変性シリコーンである。
R’Xで表される基は、例えば、下記の置換基2c-1が挙げられる。
Figure 2023018981000008
変性シリコーン(c)としては、例えば、両末端カルボキシ変性シリコーン(市販品としては、「X-22-162C」、「BY16-750」(信越化学工業株式会社製))、片末端カルボキシ変性シリコーン(市販品としては、「X-22-3710」(信越化学工業株式会社製))が挙げられる。
樹脂Aの原料中、変性シリコーンの量は、アルコール成分、カルボン酸成分及び変性シリコーンの合計量に対して、低温定着性及び帯電量分布をより向上させるから、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは9質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
樹脂Aの原料中、アルコール成分、及びカルボン酸成分の合計量は、アルコール成分、カルボン酸成分及び変性シリコーンの合計量に対して、好ましくは91質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは94質量%以上であり、そして、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは98質量%以下である。
上記量は、アルコール成分、カルボン酸成分及び変性シリコーンを基準に算出し、縮合による脱水量は考慮しない。
なお、変性シリコーンが、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を有する場合、アルコール成分又はカルボン酸成分とも理解し得るが、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を有する化合物が、シリコーン骨格を含む場合には、変性シリコーンとする。例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分の合計量を算出する際には、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を有する変性シリコーンは、これらの合計量に含めない。
≪樹脂Aの物性≫
樹脂Aの数平均分子量は、好ましくは800以上、優れた帯電量分布を得る観点から、より好ましくは1,500以上、更に好ましくは3,000以上であり、そして、好ましくは30,000以下、より好ましくは20,000以下、優れた低温定着性を得る観点から、更に好ましくは10,000以下、更に好ましくは7,000以下、更に好ましくは5,000以下である。
樹脂Aの酸価は、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上、更に好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
樹脂Aの軟化点は、低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
樹脂Aのガラス転移温度は、低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
樹脂Aの数平均分子量、酸価、軟化点、及びガラス転移温度は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
なお、樹脂Aを2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた数平均分子量、酸価、水酸基価、軟化点、ガラス転移温度の値がそれぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
≪樹脂Aの製造方法≫
樹脂Aは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分と変性シリコーンとを反応させることで得られる。当該反応においては、必要に応じて、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分及びカルボン酸成分の合計量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分及びカルボン酸成分の合計量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて反応させてもよい。
反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。
なお、反応は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
トナー粒子の結着樹脂中の樹脂Aの含有量は、トナーの低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、そして、90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。
(結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C))
本発明のトナーは、トナー粒子中に結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C)を含有する。トナー粒子がコアシェル構造を有する場合には、コア部が結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C)を含有することが好ましく、コア部のみが樹脂Cを含有することが好ましい。
樹脂Cは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合物である結晶性ポリエステル樹脂である。
樹脂Cは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
アルコール成分としては、α,ω-脂肪族ジオールが好ましい。
α,ω-脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
α,ω-脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールが挙げられる。これらの中でも、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが好ましく、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオールがより好ましく、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオールが更に好ましい。
α,ω-脂肪族ジオールの量は、アルコール成分中、好ましくは80mol%以上、より好ましくは85mol%以上、更に好ましくは90mol%以上、更に好ましくは95mol%以上であり、そして100mol%以下であり、更に好ましくは100mol%である。
アルコール成分は、α,ω-脂肪族ジオールとは異なる他のアルコール成分を含有していてもよい。他のアルコール成分としては、例えば、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール等のα,ω-脂肪族ジオール以外の脂肪族ジオール;ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。これらのアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
カルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、直鎖脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、セバシン酸、テトラデカン二酸が好ましい。これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは80mol%以上、より好ましくは85mol%以上、更に好ましくは90mol%以上、更に好ましくは95mol%以上であり、そして、100mol%以下であり、更に好ましくは100mol%である。
カルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸とは異なる他のカルボン酸成分を含有していてもよい。他のカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
アルコール成分の水酸基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の当量比〔COOH基/OH基〕は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
樹脂Cは、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分を重縮合させる方法により製造される。
重縮合の際には、必要に応じて、上述したエステル化触媒を上述した量で使用してもよく、上述したエステル化助触媒を上述した量で使用してもよい。
また、重縮合にフマル酸等の不飽和結合を有するモノマーを使用する際には、必要に応じて上述したラジカル重合禁止剤を上述した量で用いてもよい。
重縮合反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。なお、重縮合は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
≪樹脂Cの物性≫
樹脂Cの軟化点は、トナーの保存性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下、更に好ましくは95℃以下である。
樹脂Cの融点は、トナーの保存性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
樹脂Cの酸価は、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
樹脂Cの軟化点、融点、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、後述の実施例に記載の方法により求められる。なお、結晶性ポリエステル樹脂Cを2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、融点、及び酸価の値がそれぞれ前記範囲内であることが好ましい。
トナー粒子における樹脂Cと樹脂Aとの質量比〔樹脂C/樹脂A〕は、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、更に好ましくは15/85以上であり、そして、好ましくは50/50以下、より好ましくは40/60以下、更に好ましくは35/65以下である。
(非晶性ポリエステル系樹脂(樹脂B))
トナー粒子がコアシェル構造を有する場合、シェル部は、非晶性ポリエステル系樹脂(樹脂B)を含有することが好ましい。
非晶性ポリエステル系樹脂(樹脂B)は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合物を含む非晶性ポリエステル系樹脂である。
非晶性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、変性されたポリエステル樹脂が挙げられる。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂のウレタン変性物、ポリエステル樹脂のエポキシ変性物、ポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントとを含む複合樹脂が挙げられる。これらの中でも、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合物であるポリエステル樹脂、又はアルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合物であるポリエステル樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物である付加重合樹脂セグメントとを含む、非晶性複合樹脂であることが好ましく、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合物であるポリエステル樹脂であることがより好ましい。
アルコール成分としては、例えば、芳香族ジオールのアルキレンオキシド付加物、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、低温定着性に優れるトナーを得る観点から、芳香族ジオールのアルキレンオキシド付加物が好ましい。芳香族ジオールのアルキレンオキシド付加物としては、樹脂Aで例示したものと同様のものが例示される。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〕のプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70mol%以上、より好ましくは90mol%以上、更に好ましくは95mol%以上であり、そして、100mol%以下であり、更に好ましくは100mol%である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールとしては、上述した樹脂Aで例示したものが同様に例示され、好ましい範囲も同様である。
これらのアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
カルボン酸成分としては、例えば、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸、及び、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、上記樹脂Aで例示したものが同様に例示される。これらの中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは20mol%以上、より好ましくは30mol%以上、更に好ましくは50mol%以上、更に好ましくは60mol%以上であり、そして、好ましくは90mol%以下、より好ましくは85mol%以下、更に好ましくは80mol%以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸としては、上記樹脂Aで例示したものが同様に例示される。これらの中でも、フマル酸、セバシン酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸が好ましく、フマル酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸がより好ましい。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1mol%以上、より好ましくは3mol%以上、更に好ましくは10mol%以上であり、そして、好ましくは80mol%以下、より好ましくは60mol%以下、更に好ましくは40mol%以下、更に好ましくは25mol%以下である。
3価以上の多価カルボン酸としては、上記樹脂Aで例示したものが同様に例示される。好ましくはトリメリット酸又はその無水物である。
3価以上の多価カルボン酸を含む場合、3価以上の多価カルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは3mol%以上、より好ましくは5mol%以上、更に好ましくは8mol%以上であり、そして、好ましくは30mol%以下、より好ましくは20mol%以下、更に好ましくは15mol%以下である。
これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
アルコール成分の水酸基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の当量比〔COOH基/OH基〕は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
樹脂Bは、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分を重縮合させる工程Aで製造してもよい。
工程Aでは、必要に応じて、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)等のエステル化触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて重縮合してもよい。
また、重縮合にフマル酸等の不飽和結合を有するモノマーを使用する際には、必要に応じてアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下のラジカル重合禁止剤を用いてもよい。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、4-tert-ブチルカテコールが挙げられる。
重縮合反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。なお、重縮合は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
≪樹脂Bの物性≫
樹脂Bの軟化点は、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは125℃以下である。
樹脂Bのガラス転移温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
樹脂Bの酸価は、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは35mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
樹脂Bの軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
なお、樹脂Bを2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、ガラス転移温度及び酸価の値がそれぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
シェル部の結着樹脂の合計量に対する樹脂Bの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、更に好ましくは100質量%である。
シェル部の量は、コア部の質量を100質量部としたとき、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
(着色剤)
本実施形態において、トナー粒子は、着色剤を含有することが好ましく、トナー粒子がコアシェル構造を有する場合、コア部が着色剤を含有することがより好ましい。
着色剤の着色成分としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等の全てを使用することができる。これらの中でも、顔料であることが好ましい。
着色剤の着色成分としては、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー(例えば、ピグメントブルー15:3)、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾイエロー(例えば、ピグメントイエロー155)が挙げられる。トナーは、黒トナー、黒以外のカラートナーのいずれであってもよい。
着色成分の含有量は、トナー粒子中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
着色剤は、着色成分を界面活性剤又はポリマーにより分散安定化させたものであることが好ましく、ポリマーにより分散安定化させたものであることがより好ましい。
すなわち、着色剤は、顔料と、ポリマーとを含有することが好ましく、前記ポリマーは、分散剤として機能し、顔料の少なくとも一部を被覆していることが好ましく、顔料の全体を被覆していることがより好ましい。
当該界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が挙げられ、着色剤の分散安定性を向上させる観点から、好ましくはアニオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシル硫酸塩、ラウリルエーテル硫酸塩、アルケニルコハク酸塩が挙げられる。これらの中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
前記ポリマーとしては、顔料に対するポリマー分散剤として使用しうるポリマーであればよく、ビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。また、市販のポリマー粒子の分散液を用いることもできる。これらの中でも、着色剤が含有するポリマーは、アニオン性基を有する付加重合性モノマー及びポリアルキレンオキシド基を有する付加重合性モノマーを含む原料モノマーの付加重合体(以下、付加重合体Eともいう)であることが好ましい。
≪付加重合体E≫
付加重合体Eはアニオン性基を有する付加重合性モノマー(以下、「モノマーa」ともいう)及びポリアルキレンオキシド基を有する付加重合性モノマー(以下、「モノマーb」ともいう)を含む原料モノマーの付加重合体である。付加重合体Eの原料モノマーは、前記モノマーa及び前記モノマーbに加えて、芳香族基を有する付加重合性モノマー(以下、「モノマーc」ともいう)を含有することが好ましく、更に、マクロモノマー(以下、「モノマーd」ともいう)を含有することがより好ましい。
モノマーaにおける、アニオン性基とは、水中でイオン解離してアニオン性を示す基を意味する。
アニオン性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、又はこれらの塩が挙げられる。
アニオン性としては、酸性基又はこれらの塩が好ましく、カルボキシ基、スルホ基、又はこれらの塩がより好ましく、カルボキシ基、又はこれらの塩が更に好ましい。
カルボキシ基を有する付加重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2-メタクリロイルオキシメチルコハク酸が挙げられる。
これらの中でも、アニオン性基を有する付加重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
モノマーaの量は、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
モノマーbのポリアルキレンオキシド基のアルキレンオキシドの平均付加mol数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
モノマーbは、好ましくは非イオン性である。
モノマーbとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシ(エチレングリコール-プロピレングリコール共重合)(メタ)アクリレート等のアリールオキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
モノマーbの量は、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
芳香族基を有する付加重合性モノマーcは、好ましくは非イオン性である。
芳香族基を有する付加重合性モノマーcとしては、例えば、スチレン系化合物c-1、芳香族基含有(メタ)アクリレートc-2が挙げられる。
スチレン系化合物c-1としては、例えば、置換又は無置換のスチレンが挙げられる。スチレンに置換される置換基としては、例えば、炭素数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、スルホ基又はその塩が挙げられる。
スチレン系化合物c-1の分子量は、好ましくは1,000以下、より好ましくは800以下、更に好ましくは500以下、更に好ましくは300以下であり、そして、好ましくは80以上、より好ましくは90以上、更に好ましくは100以上である。
スチレン系化合物c-1としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物c-1の量は、画質をより向上させる観点から、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
芳香族基含有(メタ)アクリレートc-2としては、例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレートc-2の分子量は、好ましくは1,000以下、より好ましくは800以下、更に好ましくは500以下、更に好ましくは300以下であり、そして、好ましくは160以上である。
芳香族基含有(メタ)アクリレートc-2を使用する場合には、画質をより向上させる観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートc-2の含有量は、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
芳香族基を有する付加重合性モノマーcの量は、画像濃度をより向上させる観点から、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
モノマーdは、例えば、片末端に付加重合性官能基を有するスチレン系化合物重合体(以下、「スチレン系マクロモノマー」ともいう)が挙げられる。付加重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
モノマーdにおいて、スチレン系化合物としては、スチレンが好ましい。
モノマーdの数平均分子量は1,000以上10,000以下が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
スチレン系マクロモノマーの市販品としては、例えば、「AS-6」、「AS-6S」、「AN-6」、「AN-6S」、「HS-6」、「HS-6S」(以上、東亞合成株式会社製)等が挙げられる。
モノマーdを含有する場合、モノマーdの量は、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
更に、付加重合体Eの原料モノマーとしては、モノマーa~d以外の付加重合性モノマー(その他のモノマー)を含有していてもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、炭素数1以上22以下(好ましくは6以上18以下)のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
その他のモノマーを含有する場合、その他のモノマーの量は、付加重合体Eの原料モノマー中、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
付加重合体Eの重量平均分子量は、画像濃度をより向上させる観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは20,000以上、更に好ましくは40,000以上、更に好ましくは48,000以上であり、そして、好ましくは200,000以下、より好ましくは90,000以下、更に好ましくは60,000以下、更に好ましくは53,000以下である。なお、重量平均分子量の測定は実施例に記載の方法により行うことができる。
付加重合体Eは、例えば、原料モノマーを公知の重合法により共重合させることによって製造できる。重合法としては、好ましくは、原料モノマーを溶媒中で重合開始剤や重合連鎖移動剤等と共に加熱して重合させる、溶液重合法である。
重合開始剤としては、例えば、ジブチルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下である。
重合連鎖移動剤(単に、「連鎖移動剤」ともいう。)としては、例えば、2-メルカプトエタノール、3-メルカプトプロピオン酸等のメルカプタン類が挙げられる。
重合連鎖移動剤の添加量は、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下である。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離及び精製してもよい。
着色剤中、着色成分(好ましくは顔料)と付加重合体Eとの質量比(着色成分/付加重合体E)は、画質に優れるトナーを得る観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは60/40以上、更に好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上であり、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。
<離型剤>
本実施形態において、トナー粒子は離型剤を含有することが好ましく、トナー粒子がコアシェル構造を有する場合には、コア部が離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
離型剤の融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
なお、離型剤を2種以上組み合わせて使用する場合は、それぞれのワックスの融点が、前述の範囲内であることが好ましい。
離型剤の含有量は、トナー粒子中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
〔静電荷像現像用トナーの製造方法〕
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は特に限定されず、乳化重合法、懸濁法等のケミカル法により製造してもよく、また、混練粉砕法により製造してもよい。なお、より低温定着性及び帯電量分布に優れるトナーを得る観点から、乳化重合法、懸濁法等のケミカル法により製造することが好ましく、樹脂粒子を、水系媒体中で凝集及び融着させる工程を含む方法により製造することがより好ましい。なお、前記樹脂粒子は、同一又は異なる粒子内に、結晶性ポリエステル樹脂と、シリコーン変性ポリエステル樹脂とを含有する。
より具体的には、本発明のトナーは、以下の工程1及び2を有する方法により得ることが好ましい。
工程1:水系媒体中で、シリコーン変性ポリエステル樹脂(樹脂A)及び結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C)を同一又は異なる粒子中に含有する樹脂粒子Xを凝集させて、凝集粒子1を得る工程、
工程2:工程1で得られた凝集粒子1を昇温して融着し、融着粒子を得る工程
また、トナー粒子が、コアシェル構造を有するトナーである場合、以下の工程1’~3’を有する方法により得ることが好ましい。
工程1’:水系媒体中で、シリコーン変性ポリエステル樹脂(樹脂A)及び結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C)を同一又は異なる粒子中に含有する樹脂粒子Xを凝集させて、凝集粒子1(コア粒子)を得る工程、
工程2’:工程1で得られた凝集粒子1に対して、非晶性ポリエステル系樹脂Bを含有する樹脂粒子Yを凝集させて、凝集粒子2(コアシェル粒子)を得る工程、
工程3’:工程2で得られた凝集粒子2を昇温して融着し、融着粒子を得る工程
工程1及び工程1’では、水系媒体中で、樹脂粒子Xを凝集させて、凝集粒子1を得る。ここで、樹脂粒子Xがシリコーン変性ポリエステル樹脂(樹脂A)及び結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C)を含有する。また、樹脂粒子Xに加えて、着色剤、離型剤粒子を凝集させることが好ましく、樹脂粒子Xを含む樹脂粒子分散液と、着色剤を含有する着色剤分散液と、離型剤粒子を含有する離型剤粒子分散液を混合して、これらの粒子を凝集させることがより好ましい。
以下、それぞれの工程について説明する。
〔工程1及び工程1’〕
工程1及び工程1’は、水系媒体中で、樹脂A及び樹脂Cを同一又は異なる粒子中に含有する樹脂粒子Xを凝集させて、凝集粒子1を得る工程である。
工程1及び工程1’において、凝集粒子1は、樹脂粒子Xと共に、着色剤を凝集させて得ることが好ましい。更に、工程1及び工程1’では、樹脂粒子X及び着色剤と共に、離型剤を含む離型剤粒子を凝集させることが好ましい。
以下、工程1及び工程1’で使用する樹脂粒子X、着色剤、離型剤粒子、及びそれらの製造方法について詳述する。
<樹脂粒子X>
工程1及び工程1’で使用する樹脂粒子分散液は、樹脂粒子Xを含有する。樹脂粒子Xは、優れた低温定着性及び帯電量分布を得るため、樹脂A及び樹脂Cを同一又は異なる樹脂粒子中に含むことが好ましく、得られるトナーの低温定着性及び帯電量分布をより向上する観点から、好ましくは、樹脂A及び樹脂Cを同一樹脂粒子中に含む。
(樹脂粒子分散液の調製)
樹脂粒子Xを含有する樹脂粒子分散液、好ましくは樹脂A及び樹脂Cを同一又は異なる樹脂粒子中に含む樹脂粒子分散液の調製は、公知の方法を用いて行うことができるが、転相乳化法により分散することが好ましい。転相乳化法としては、例えば、樹脂の有機溶媒溶液又は溶融した樹脂に水系媒体を添加して転相乳化する方法が挙げられる。
転相乳化に用いる有機溶媒としては、樹脂を溶解すれば特に限定されないが、転相を容易にする観点から、例えば、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル系溶媒が挙げられる。これらの中でも、水系媒体添加後の混合液からの除去が容易である観点から、ケトン系溶媒及び酢酸エステル系溶媒が好ましく、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピルがより好ましい。
有機溶媒溶液には、中和剤を添加することが好ましい。中和剤としては、例えば、塩基性物質が挙げられる。塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア、トリメチルアミン、ジエタノールアミン等の含窒素塩基性物質が挙げられる。
樹脂粒子Xに含まれる樹脂の酸基に対する中和剤の使用当量(mol%)は、微細な樹脂粒子を得て、かつ、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは10mol%以上、より好ましくは30mol%以上、更に好ましくは40mol%以上であり、そして、好ましくは90mol%以下、より好ましくは70mol%以下である。
なお、中和剤の使用当量(mol%)は、下記式によって求めることができる。中和剤の使用当量は、100mol%以下の場合、中和度と同義である。
中和剤の使用当量(mol%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/[{樹脂粒子Xを構成する樹脂の加重平均酸価(mgKOH/g)×樹脂粒子Xを構成する樹脂の質量(g)}/(56×1000)]〕×100
有機溶媒溶液又は溶融した樹脂を撹拌しながら、水系媒体を徐々に添加して転相させる。
水系媒体を添加する際の有機溶媒溶液温度は、樹脂粒子Xの分散安定性を向上させる観点から、好ましくは樹脂粒子Xを構成する樹脂のガラス転移温度以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下である。
樹脂A及び樹脂Cの含有量は、前述の通りである。
転相乳化の後に、必要に応じて、得られた分散液から蒸留等により有機溶媒を除去してもよい。この場合、有機溶媒の残存量は、分散液中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは実質的に0質量%である。
分散液中の樹脂粒子Xの体積中位粒径(D50)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.08μm以上、更に好ましくは0.12μm以上であり、そして、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.4μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。
分散液中の樹脂粒子XのCV値は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、そして、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下である。
樹脂粒子Xの体積中位粒径(D50)、CV値は、後述の実施例に記載の方法で求められる。
なお、樹脂Aを含有する樹脂粒子Xa及び樹脂Cを含有する樹脂粒子Xcを混合して用いる場合、前述と同様の方法により、樹脂粒子Xa及びXcを得ることができる。
樹脂粒子Xa、樹脂粒子Xcの添加量は、前述の樹脂A及び樹脂Cの含有量となる量が好ましい。
(水系媒体)
本発明において、水系媒体とは、水を主成分とする媒体であり、水系媒体中の水の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下である。水としては、脱イオン水、イオン交換水、又は蒸留水が好ましい。
水と共に水系媒体を構成し得る水以外の成分としては、炭素数1以上5以下のアルキルアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上5以下のジアルキルケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶媒が用いられる。これらの中でも、炭素数1以上5以下のアルキルアルコールが好ましく、より好ましくはメタノール又はエタノールである。
<着色剤>
着色剤は、着色剤の分散液として、樹脂粒子と混合し、凝集させることで、凝集粒子に含有させることが好ましい。
着色剤分散液は、着色成分(好ましくは顔料)と水系媒体とを、ホモジナイザー、超音波分散機等の分散機を用いて分散して得ることが好ましい。当該分散は、着色剤の分散安定性を向上させる観点から、ポリマー又は界面活性剤の存在下で行うことが好ましく、ポリマーの存在下で行い、着色成分の少なくとも一部をポリマーで被覆することがより好ましい。前記ポリマーとしては、上述のように、付加重合体Eが好ましい。
着色成分の分散に界面活性剤を使用する場合には、着色剤粒子分散液中の界面活性剤の含有量は、着色成分の分散安定性を向上させる観点から、着色成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
着色剤は、着色成分と付加重合体Eとを混合して得ることが好ましい。
着色剤分散液の製造方法に特に制限はなく、公知の混練機、分散機等を用いて所望の体積中位粒径D50の着色剤を得るよう制御できればよいが、好ましくは、着色成分(好ましくは顔料)と、付加重合体Eの分散液とをビーズミル、又は、ホモジナイザーにより混合して得られる。
着色剤の製造方法は、好ましくは、
工程a:付加重合体Eと有機溶媒とを混合した後、必要に応じて中和剤を混合し、更に水系媒体を混合して、付加重合体Eの分散液を得る工程、及び
工程b:工程aで得られた分散液と着色成分とを分散処理して着色剤の分散液(着色剤分散液)を得る工程
を有する方法である。
有機溶媒が含まれることで、付加重合体Eが有機溶媒に溶解し、着色成分へ付加重合体Eが吸着しやすくなり、より着色成分の分散性を高めることができる。
また、工程bが、工程aで得られた分散液と着色成分とをビーズミル、又は、ホモジナイザーにより分散処理する工程であることが好ましい。
工程aにおいて、まず付加重合体Eと有機溶媒とを混合して、付加重合体Eを溶解することが好ましい。
ここで使用する有機溶媒としては、例えば、炭素数1以上3以下のアルキルアルコール、総炭素数3以上5以下のジアルキルケトン、環状エーテルが挙げられる。これらの中でも、総炭素数3以上5以下のジアルキルケトンが好ましく、メチルエチルケトンがより好ましい。付加重合体Eを溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
中和剤としては、例えば、塩基性物質が挙げられる。塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア、トリメチルアミン、ジエタノールアミン等の含窒素塩基性物質が挙げられる。
付加重合体Eの中和度は、好ましくは15mol%以上、より好ましくは20mol%以上、更に好ましくは40mol%以上、更に好ましくは60mol%以上、更に好ましくは70mol%以上、更に好ましくは80mol%以上であり、そして、好ましくは100mol%以下、より好ましくは95mol%以下である。
なお、付加重合体Eの中和度は、下記式によって求めることができる。
中和度(mol%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/{付加重合体Eを構成する酸性基を有する付加重合性モノマーの質量割合×付加重合体Eの質量(g)/酸性基を有する付加重合性モノマーの分子量}〕×100
工程aにおいて、混合に用いる装置としては、例えば、アンカー翼、ディスパー翼等を備えた混合撹拌装置が挙げられる。
混合時の温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下である。
混合時間は、好ましくは1分間以上、より好ましくは3分間以上、更に好ましくは5分間以上であり、そして、好ましくは30時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは5時間以下、更に好ましくは3時間以下である。
工程bにおいて、着色成分と付加重合体Eの質量比〔着色成分/付加重合体E〕は、前述の通りである。
工程bでは、工程aで得られた分散液と着色成分とを混合した後、分散処理することが好ましい。工程bでの混合に用いる装置としては、工程aにおいて混合に用いる装置と同様の装置が例示される。
工程bにおける混合時の温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下である。
また、工程bにおける混合時間は、好ましくは1分間以上、より好ましくは10分間以上、更に好ましくは30分間以上であり、そして、好ましくは30時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは5時間以下、更に好ましくは3時間以下である。
工程bの分散処理で用いる装置としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー(Microfluidic社製)、スターバースト(株式会社スギノマシン製)等のホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。これらの装置は、1種又は2種以上を用いてもよい。これらの中でも、顔料を小粒径化する観点から、ビーズミル、ホモジナイザーが好ましい。
ホモジナイザーを用いる場合、処理圧力は、好ましくは60MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは130MPa以上であり、そして、好ましくは270MPa以下、より好ましくは200MPa以下、更に好ましくは180MPa以下である。
また、パス回数は、好ましくは5以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは12以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
得られた着色剤分散液は、有機溶媒を除去することが好ましい。
また、着色剤分散液は、金網等で濾過し、粗大粒子等を除去することが好ましい。また、分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、着色剤粒子の付加重合体Eを架橋処理してもよい。
また、有機溶媒、防腐剤、防黴剤等の各種添加剤を、着色剤粒子分散液に添加してもよい。
着色剤分散液中、着色成分は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
着色剤分散液の固形分濃度は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
着色剤分散液中の着色剤の体積中位粒径D50は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.07μm以上、更に好ましくは0.08μm以上であり、そして、好ましくは0.4μm以下、より好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.2μm以下である。
着色剤粒子分散液中の着色剤粒子のCV値は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、そして、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下である。
着色剤粒子の体積中位粒径D50及びCV値は、実施例に記載の方法によって測定される。
着色剤の量は、樹脂粒子X100質量部に対して、画像濃度をより向上させる観点から、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
<離型剤粒子>
離型剤は、離型剤粒子の分散液として、樹脂粒子分散液及び着色剤分散液と混合し、凝集させることで、凝集粒子1に含有させることが好ましい。
離型剤粒子の分散液は、界面活性剤を用いて得ることも可能であるが、離型剤と後述する樹脂粒子Pとを混合して得ることが好ましい。離型剤と樹脂粒子Pを用いて離型剤粒子を調製することで、樹脂粒子Pにより離型剤粒子が安定化され、界面活性剤を使用しなくても離型剤を水系媒体中に分散させることが可能となる。離型剤粒子の分散液中では、離型剤粒子の表面に樹脂粒子Pが多数付着した構造を有していると考えられる。
離型剤粒子は、離型剤粒子の分散液として、樹脂粒子分散液及び着色剤分散液と混合し、凝集させることで、凝集粒子に含有させることが好ましい。
離型剤粒子の分散液は、界面活性剤を用いて得ることも可能であるが、離型剤と樹脂粒子Pとを混合して得ることが好ましい。離型剤と樹脂粒子Pを用いて離型剤粒子を調製することで、樹脂粒子Pにより離型剤粒子が安定化され、界面活性剤を使用しなくても離型剤を水系媒体中に分散させることが可能となる。離型剤粒子の分散液中では、離型剤粒子の表面に樹脂粒子Pが多数付着した構造を有していると考えられる。
離型剤を分散する樹脂粒子Pを構成する樹脂は、好ましくはポリエステル系樹脂であり、ポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントを有する複合樹脂Dを用いることがより好ましい。離型剤粒子分散液及び複合樹脂Dについては、特開2021-026129が参照される。
凝集粒子1は、その他、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含んでいてもよい。
<混合条件>
工程1では、水系媒体中で樹脂粒子Xと着色剤粒子とを混合し、樹脂粒子X及び着色剤を凝集させて、凝集粒子を得ることが好ましい。樹脂粒子Xと着色剤との混合は、樹脂粒子Xを含む樹脂粒子分散液と、着色剤を含有する着色剤分散液とを混合することで行うことが好ましい。また、樹脂粒子分散液は、樹脂粒子の水系分散液であり、着色剤分散液は、着色剤の水系分散液であることが好ましい。
工程1において、樹脂粒子X及び着色剤と共に、離型剤粒子を凝集することが好ましい。
(界面活性剤)
工程1では、樹脂粒子分散液と、必要に応じて着色剤分散液及び離型剤粒子分散液とを混合した混合分散液を調製した後に樹脂粒子X、着色剤、及び離型剤粒子を凝集させることが好ましい。
混合分散液を調製する際、樹脂粒子X、及び必要に応じて添加される着色剤、離型剤粒子等の任意成分の分散安定性を向上させる観点から、界面活性剤の存在下で行ってもよい。界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル類等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤を使用する場合、その使用量は、界面活性剤の合計量として、樹脂粒子X 100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
前述の樹脂粒子Xの分散液、及び任意成分の混合は、常法により行われる。当該混合により得られた混合分散液に、凝集を効率的に行う観点から、凝集剤を添加することが好ましい。
(凝集剤)
凝集剤としては、例えば、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の無機金属塩;硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩;2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が挙げられる。凝集性を向上させ均一な凝集粒子を得る観点から、1価以上5価以下の無機系凝集剤が好ましく、1価以上2価以下の無機金属塩、無機アンモニウム塩がより好ましく、硫酸アンモニウムが更に好ましい。凝集剤はそのまま添加してもよいが水系媒体へ溶解し水溶液として添加することが好ましい。また、凝集剤を水溶液として添加する場合、凝集剤水溶液のpHを調整してもよい。
凝集剤を用いて、例えば、0℃以上40℃以下の樹脂粒子X、並びに必要に応じて着色剤粒子及び離型剤粒子を含む混合分散液に、樹脂粒子X 100質量部に対し、好ましくは5質量部以上50質量部以下の凝集剤を添加し、樹脂粒子X及び着色剤粒子を水系媒体中で凝集させて、凝集粒子1を得る。更に、凝集を促進させる観点から、凝集剤を添加した後に分散液の温度を上げることが好ましい。
工程1又は工程1’で得られた凝集粒子1の体積中位粒径D50は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6.5μm以下である。
所望の体積中位粒径となるまで、凝集する工程を継続することが好ましい。
〔工程2’〕
工程2’は、工程1’で得られた凝集粒子1に対して、非晶性ポリエステル系樹脂Bを含む樹脂粒子Yを凝集させて、凝集粒子2を得る工程である。工程2’では、前述した凝集粒子1の分散液に、樹脂粒子Y分散液を添加することにより、凝集粒子1に更に樹脂粒子Yを付着させ、凝集粒子2の分散液を得ることが好ましい。
<樹脂粒子Y>
工程2’で使用する樹脂粒子分散液は、樹脂粒子Yを含有する。樹脂粒子Yは、優れた低温定着性及び帯電量分布を得るため、ポリエステル系樹脂(樹脂B)を含む。
(樹脂粒子分散液の調製)
樹脂粒子Yは、樹脂Bを含有する樹脂成分と、必要に応じて界面活性剤等の任意成分とを水系媒体中に分散させ、樹脂粒子Y分散液として得る方法によって製造することが好ましい。
樹脂粒子Y分散液を得る方法は、樹脂粒子Xの樹脂粒子分散液の場合と同様の方法が例示され、これらの中でも、得られるトナーの低温定着性を向上させる観点から、転相乳化法により樹脂粒子Y分散液を得ることが好ましい。
転相乳化法としても樹脂粒子Xの場合と同様に、樹脂、及び界面活性剤等の任意成分を有機溶媒に溶解させて得られた溶液に、水系媒体を添加して転相乳化する方法が好ましい。使用できる水系媒体及び有機溶媒の好ましい態様は、前記樹脂粒子Xの製造に用いられる水系媒体及び有機溶媒と同様である。また、転相乳化法において樹脂Bと有機溶媒との質量比、樹脂Bの中和度、添加する水系媒体の量、混合温度等の好ましい範囲は、樹脂粒子Xの製造と同様である。
得られる樹脂粒子Y分散液の固形分濃度は、トナーの生産性を向上させる観点及び樹脂粒子Yの分散安定性を向上させる観点から、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。なお、固形分は樹脂、界面活性剤等の不揮発性成分の総量である。
樹脂粒子分散液中の樹脂粒子Yの体積中位粒径(D50)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは0.04μm以上、より好ましくは0.06μm以上、更に好ましくは0.08μm以上であり、そして、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.2μm以下である。
また、樹脂粒子Yの粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、樹脂粒子Y分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上であり、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。
樹脂粒子Yの体積中位粒径(D50)及び変動係数(CV値)は、実施例に記載の方法により測定される。
凝集粒子1の分散液に樹脂粒子Y分散液を添加する前に、凝集粒子1の分散液に水系媒体を添加して希釈してもよい。また、凝集粒子1の分散液に樹脂粒子Y分散液を添加するときには、凝集粒子1に樹脂粒子Yを効率的に付着させるために、前記凝集剤を本工程で用いてもよい。
樹脂粒子Y分散液を添加する時の温度は、トナーの低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
樹脂粒子Y分散液は、一定の時間をかけて連続的に添加してもよく、一時に添加してもよく、複数回に分割して添加してもよいが、一定の時間をかけて連続的に添加するか、複数回に分割して添加することが好ましい。前記のように添加することで、樹脂粒子Yが凝集粒子1に選択的に付着しやすくなる。中でも選択的な付着を促進する観点及びトナーの生産性を向上させる観点から、一定の時間を掛けて連続的に添加することが好ましい。連続的に添加する場合の時間は、製造時のスケールにも依存するが、均一な凝集粒子2を得る観点及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは1.2時間以上であり、そして、好ましくは10時間以下、より好ましくは7時間以下、更に好ましくは3時間以下である。
樹脂粒子Yの添加量は、トナーの低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、樹脂粒子Yと樹脂粒子Xとの質量比(樹脂粒子Y/樹脂粒子X)が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上、更に好ましくは0.10以上であり、そして、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下になる量である。
得られる凝集粒子2の体積中位粒径(D50)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点、並びにトナーの低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6.5μm以下である。
〔工程2、工程3’〕
工程2は、工程1で得られた凝集粒子1を昇温して融着し、融着粒子を得る工程であり、工程3’は、工程2で得られた凝集粒子2を昇温して融着し、融着粒子を得る工程である。工程2と工程3’は、融着対象である凝集粒子が、凝集粒子1であるか、凝集粒子2であるかにおいて異なるが、その他の好ましい要件は同様である。
工程2及び工程3’では、凝集粒子中の、主として物理的にお互いに付着している状態であった各粒子が融着されて一体となり、トナー粒子が形成される。
本工程においては、凝集粒子の融着性を向上させる観点、並びにトナーの低温定着性及び帯電量分布を向上させる観点から、樹脂A及び樹脂Bのガラス転移温度以上の温度で保持する。
融着工程における保持温度は、凝集粒子の融着性を向上させる観点及びトナーの生産性を向上させる観点から、樹脂A及び樹脂Bのガラス転移温度より、好ましくは2℃高い温度以上、より好ましくは3℃高い温度以上、更に好ましくは5℃高い温度以上であり、そして、樹脂A及び樹脂Bのガラス転移温度より、好ましくは30℃高い温度以下である。
その際、樹脂A及び樹脂Bのガラス転移温度以上の温度で保持する時間は、トナーの低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、好ましくは1分間以上、より好ましくは10分間以上、更に好ましくは30分間以上であり、そして、好ましくは240分間以下、より好ましくは180分間以下、更に好ましくは120分間以下、更に好ましくは90分間以下である。
なお、所望の円形度となるまで、上記の温度で保持することが好ましい。
工程2又は工程3’で得られる融着粒子の体積中位粒径(D50)は、トナーの低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは7μm以下である。
なお、工程2又は3’で得られる融着粒子の体積中位粒径は、凝集粒子の体積中位粒径と同程度以下であることが好ましい。すなわち、本工程2又は3’において、凝集粒子1同士の凝集、又は凝集粒子2同士の凝集、融着が生じないことが好ましい。
〔後処理工程〕
本発明においては、工程2又は工程3’の後に後処理工程を行ってもよく、単離することによってトナー粒子を得ることが好ましい。
工程2又は工程3’で得られた融着粒子は、水系媒体中に存在するため、まず、固液分離を行うことが好ましい。固液分離には、吸引濾過法等が好ましく用いられる。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。このとき、添加した界面活性剤等も除去することが好ましいため、界面活性剤が曇点を有する場合には、界面活性剤の曇点以下で水系媒体により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
次に乾燥を行うことが好ましい。乾燥時の温度は、トナー粒子自体の温度が樹脂A又は樹脂Bのガラス転移温度より低くなるようにすることが好ましく、10℃以上低くなるようにすることがより好ましい。乾燥方法としては、真空低温乾燥法、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法等を用いることが好ましい。
〔トナー粒子〕
乾燥等を行うことによって得られたトナー粒子を静電荷像現像用トナーとしてそのまま用いることもできるが、後述のようにトナー粒子の表面を外添剤で処理したものを静電荷像現像用トナーとして用いることが好ましい。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、トナーの生産性を向上させる観点、並びにトナーの低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは7μm以下である。
トナー粒子のCV値は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、高画質の画像を得る観点から、好ましくは32%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは29%以下である。
トナー粒子の円形度は、トナーの低温定着性及び帯電量分布をより向上させる観点から、好ましくは0.955以上、より好ましくは0.960以上、更に好ましくは0.965以上であり、そして、好ましくは0.990以下、より好ましくは0.985以下、更に好ましくは0.980以下である。
<外添剤>
前記トナー粒子を静電荷像現像用トナーとしてそのまま用いることもできるが、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理したものを静電荷像現像用トナーとして使用することが好ましい。
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子及びポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、粒径が異なる同種の外添剤を併用してもよい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。
<静電荷像現像用トナー>
上述のようにして得られた静電荷像現像用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。各性状値は、次の方法により、測定、評価した。
なお、「アルキレンオキシド(X)」等の標記において、かっこ内の数値Xは、アルキレンオキシドの平均付加モル数を意味する。
[測定方法]
〔変性シリコーンの動粘度〕
変性シリコーンの動粘度は、各製品のカタログ値を採用した。
〔変性シリコーンの官能基当量〕
変性シリコーンの官能基当量は、各製品のカタログ値を採用した。
〔樹脂の酸価〕
樹脂の酸価は、JIS K 0070:1992に記載の中和滴定法に従って測定した。ただし、測定溶媒をクロロホルムとした。
〔樹脂の軟化点、結晶性指数、融点及びガラス転移温度〕
(1)軟化点
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)結晶性指数
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料をそのまま1分間静止させ、その後、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(1)として、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(1)(℃))により、結晶性指数を求めた。
(3)融点及びガラス転移温度
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(2)とした。結晶性樹脂の時には該ピーク温度を融点とした。
また、非晶性樹脂の場合にピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の低温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とした。
〔樹脂A、B及び変性シリコーンの数平均分子量及び重量平均分子量〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに、25℃で溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「DISMIC-25JP」(アドバンテック東洋株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン「A-500」(5.0×10)、「A-1000」(1.01×10)、「A-2500」(2.63×10)、「A-5000」(5.97×10)、「F-1」(1.02×10)、「F-2」(1.81×10)、「F-4」(3.97×10)、「F-10」(9.64×10)、「F-20」(1.90×10)、「F-40」(4.27×10)、「F-80」(7.06×10)、「F-128」(1.09×10)(以上、東ソー株式会社製)を標準試料として作成したものを用いた。
測定装置:「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「GMHXL」+「G3000HXL」(以上、東ソー株式会社製)
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とした。
〔樹脂粒子、着色剤粒子、及び離型剤粒子の体積中位粒径D50及びCV値〕
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機「LA-920」(株式会社堀場製作所製)
(2)測定条件:測定用セルに試料分散液をとり、蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径D50及び体積平均粒径Dを測定した。また、CV値は次の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径D)×100
〔樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、及び離型剤粒子分散液の固形分濃度〕
赤外線水分計「FD-230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分、水分量の変動幅0.05%)にて、水分(質量%)を測定した。固形分濃度は次の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100-水分(質量%)
〔凝集粒子の体積中位粒径D50
凝集粒子の体積中位粒径D50は、次の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザー(登録商標)IIIバージョン3.51」(ベックマンコールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター株式会社製)
・測定条件:試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、改めて3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径D50を求めた。
〔融着粒子の円形度〕
次の条件で融着粒子の円形度を測定した。
・測定装置:フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス株式会社製)
・分散液の調製:融着粒子の分散液を固形分濃度が0.001~0.05質量%になるように脱イオン水で希釈して調製した。
・測定モード:HPF測定モード
〔トナー粒子の体積中位粒径D50及びCV値〕
トナー粒子の体積中位粒径D50は、次の通り測定した。
測定装置、アパチャー径、解析ソフト、電解液は、前述の凝集粒子の体積中位粒径D50の測定で用いたものと同様のものを用いた。
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」(花王株式会社製、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)=13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLに乾燥後のトナー粒子の測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径D50及び体積平均粒径Dを求めた。
また、CV値(%)は次の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径D)×100
[評価方法]
〔トナーの低温定着性〕
上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス株式会社製)に市販のプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.80±0.01mg/cmとなるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を80℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.2秒の速度でトナーを定着させ、印刷物を得た。
同様の方法で定着器の温度を5℃ずつ上げて、トナーを定着させ、印刷物を得た。
印刷物の画像上の上端の余白部分からベタ画像にかけて、メンディングテープ「Scotch(登録商標)メンディングテープ810」(住友スリーエム株式会社製、幅18mm)を長さ50mmに切ったものを軽く貼り付けた後、500gのおもり(接触面積1963mm)を載せ、速さ10mm/sで1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180°、速さ10mm/sで剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(株式会社沖データ製)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計「SpectroEye」(GretagMacbeth社製、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、各反射画像濃度から次の式に従って定着率を算出した。
定着率(%)=(テープ剥離後の反射画像濃度/テープ貼付前の反射画像濃度)×100
定着率が90%以上となる最低の温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど低温定着性に優れることを表す。
〔トナーの帯電量分布〕
トナー0.6g及びフェライトキャリア(フェライトコア、シリコーンコート、飽和磁化:71Am/kg)19.4gを50mL容のポリプロピレン製ボトル「PPサンプルボトル広口」(株式会社サンプラテック製)に入れ、ボールミルにて20分撹拌した後、5gを採取し、帯電量測定器「q-test」(エッピング社製)により、下記の測定条件で測定を行った。
・Toner Flow(mL/min):160
・Electrode VoltAge(V):4000
・Deposition Time(s):2
Median q/dをトナーの帯電量Q/d(fC/10μm)とした。その際、Specific Density(比重)は1.2g/cmとし、Median Diameterはトナーの体積中位粒径D50の値を採用した。得られた帯電量分布のグラフにおいて、Q/dが-0.4~0.4(fC/10μm)の範囲は、測定不能領域であるため、当該範囲は直線で結び、帯電量分布のグラフを作成した。
この帯電量分布の最大ピークの半値幅(分布における最大ピーク高さの半分の値で分布を切った時の切り口幅)の大きさで、帯電量分布を評価した。値が小さいほど、帯電量分布が狭いことを表す。
[樹脂の製造]
〔(シリコーン変性)非晶性ポリエステル樹脂Aの製造〕
製造例A1(樹脂A-1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのプロピレンオキシド(2.2)付加物4,548g、ビスフェノールAのエチレンオキシド(2.2)付加物745g、テレフタル酸1,649g、シリコーン「X-22-170BX」(信越化学工業株式会社製)374g、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)40gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で12時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、190℃まで冷却し、トリメリット酸無水物440g、及びセバシン酸618gを加え1時間反応させた後、210℃まで10℃/hrで昇温し、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、樹脂A-1を得た。物性を表1に示す。
製造例A2及びA3(樹脂A-2及びA-3の製造)
原料組成を表1に示すように変更した以外は製造例A1と同様にして、樹脂A-2及び樹脂A-3を得た。物性を表2に示す。
製造例A1~A3で使用したシリコーンは、以下の構成を有する。
・X-22-170BX:変性シリコーンオイル「X-22-170BX」(片末端にカルビノール基を有するシリコーン[前述のシリコーン(1a)(片末端のみが置換基2a-1)]、動粘度(25℃)40mm/s、数平均分子量Mn1,900、重量平均分子量Mw3,500、官能基当量2,800g/mol、信越化学工業株式会社製)
・KF96-100cs:シリコーンオイル「KF96-100cs」(シリコーンオイル、動粘度(25℃)100mm/s、信越化学工業株式会社製)
Figure 2023018981000009
〔非晶性ポリエステル系樹脂Bの製造〕
製造例B1(樹脂B-1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのエチレンオキシド(2.2)付加物5,001g、テレフタル酸1,788g、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)30g及び3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸3.0gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で8時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaの減圧下にて1時間保持した。その後、180℃まで冷却し、フマル酸179g、ドデセニルコハク酸無水物206g、トリメリット酸無水物325g、及び4-tert-ブチルカテコール3.8gを加え、220℃まで10℃/hrで昇温し、その後、フラスコ内の圧力を下げ、10kPaの減圧下にて所望の軟化点まで反応を行って、非晶性ポリエステル樹脂B-1を得た。物性を表2に示す。
〔非晶性ポリエステル系樹脂Dの製造〕
製造例D1(樹脂D-1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのプロピレンオキシド(2.2)付加物4,313g、テレフタル酸818g、コハク酸727g、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)30g、及び3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)3.0gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で5時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、160℃まで冷却し、160℃に保持した状態で、スチレン2,756g、メタクリル酸ステアリル689g、アクリル酸142g、及びジブチルパーオキシド413gの混合物を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持した後、200℃まで昇温し、更にフラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、樹脂D-1を得た。物性を表2に示す。
Figure 2023018981000010
〔結晶性ポリエステル樹脂Cの製造〕
製造例C1(樹脂C-1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,10-デカンジオール3416g及びセバシン酸4,084gを入れ、撹拌しながら、135℃に昇温し、135℃で3時間保持した後、135℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)23gを加え、更に200℃にて1時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaの減圧下にて1時間保持し、結晶性ポリエステル樹脂である樹脂C-1を得た。物性を表3に示す。
製造例C2(結晶性ポリエステル樹脂C-2の製造)
原料組成を表3に示すように変更した以外は製造例C1と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂である樹脂C-2を得た。物性を表3に示す。
Figure 2023018981000011
[樹脂粒子分散液の製造]
製造例X1(樹脂粒子分散液X-1の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた内容積3Lの容器に、樹脂A-1を210g、樹脂C-1を90g、メチルエチルケトン300g、及び脱イオン水59gを入れ、73℃にて2時間かけて樹脂を溶解させた。得られた溶液に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を、樹脂の酸価に対して中和度60mol%になるように添加して、30分撹拌した。
次いで、73℃に保持したまま、280r/min(周速度88m/min)で撹拌しながら、脱イオン水600gを60分かけて添加し、転相乳化した。継続して73℃に保持したまま、メチルエチルケトンを減圧下で留去し水系分散液を得た。その後、280r/min(周速度63m/min)で撹拌を行いながら水系分散液を30℃に冷却した後、固形分濃度が20質量%になるように脱イオン水を加えることにより、樹脂粒子分散液X-1を得た。得られた樹脂粒子の体積中位粒径D50及びCV値を表4に示す。
製造例X2、X3、X51、X52(樹脂粒子分散液X-2、X-3、X-51、X-52の製造)
使用する樹脂の種類を表4に示すように変更した以外は、製造例X1と同様にして、樹脂粒子分散液X-2、X-3、X-51、及びX-52を得た。得られた樹脂粒子の体積中位粒径D50及びCV値を表4に示す。
Figure 2023018981000012
製造例Y1(樹脂粒子分散液Y-1の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた内容積3Lの容器に、非晶性樹脂B-1を300g、及びメチルエチルケトン180gと脱イオン水25gの混合溶媒を入れた。その後、73℃にて2時間かけて溶解させた。得られた溶液に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を、非晶性樹脂B-1の酸価に対して中和度60モル%になるように添加して、30分撹拌した。
次いで、73℃に保持したまま、200r/min(周速度63m/min)で撹拌しながら、脱イオン水600gを60分かけて添加し、転相乳化した。継続して73℃に保持したまま、メチルエチルケトンを減圧下で留去し水系分散体を得た。その後、280r/min(周速度88m/min)で撹拌を行いながら水系分散体を30℃に冷却した後、固形分濃度が20質量%になるように脱イオン水を加えることにより、非晶性樹脂粒子(Y)の水系分散体Y-1を得た。得られた樹脂粒子の体積中位粒径D50は0.11μm、CV値は23%であった。
製造例P1(樹脂粒子分散液P-1の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた内容積3Lの容器に、樹脂D-1を200g及びメチルエチルケトン200gを入れ、73℃にて2時間かけて樹脂を溶解させた。得られた溶液に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を、樹脂の酸価に対して中和度60モル%になるように添加して、30分撹拌した。
次いで、73℃に保持したまま、280r/min(周速度88m/min)で撹拌しながら、脱イオン水700gを50分かけて添加し、転相乳化した。継続して73℃に保持したまま、メチルエチルケトンを減圧下で留去し水系分散体を得た。その後、280r/min(周速度88m/min)で撹拌を行いながら水系分散体を30℃に冷却した後、固形分濃度が20質量%になるように脱イオン水を加えることにより、樹脂粒子分散液P-1を得た。得られた樹脂粒子の体積中位粒径D50は0.09μm、CV値は23%であった。
[離型剤粒子分散液の製造]
製造例W1(離型剤粒子分散液W-1の製造)
内容積1Lのビーカーに、脱イオン水120g、樹脂粒子分散液P-1 86g、及びパラフィンワックス「HNP-9」(日本精蝋株式会社製、融点75℃)40gを添加し、90~95℃に温度を保持して溶融させ、撹拌し、溶融混合物を得た。
得られた溶融混合物を更に90~95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー「US-600T」(株式会社日本精機製作所製)を用いて、20分間分散処理した後に室温(20℃)まで冷却した。脱イオン水を加え、固形分濃度を20質量%に調整し、離型剤粒子分散液W-1を得た。分散液中の離型剤粒子の体積中位粒径D50は0.47μm、CV値は27%であった。
[付加重合体Eの製造]
製造例E1(付加重合体E-1の合成)
表5に示す種類及び量の原料モノマーを混合し、モノマー総量100gのモノマー混合液を調製した。
窒素導入管、滴下ロート、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、メチルエチルケトン18g、2-メルカプトエタノール0.03g、及び前記モノマー混合液の10質量%を入れ、撹拌しながら75℃まで昇温した。75℃に保持した状態で、モノマー混合液の残りの90質量%と2-メルカプトエタノール0.27g、メチルエチルケトン42g、及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)「V-65」(和光純薬工業株式会社製)3gの混合物を滴下ロートより3時間かけて滴下した。滴下終了後2時間75℃に保持した後、V-65 3gをメチルエチルケトン5gに溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間保持した。その後、メチルエチルケトンを減圧下で留去し、付加重合体E-1を得た。得られた付加重合体の重量平均分子量を表5に示す。
Figure 2023018981000013
[着色剤分散液の製造]
製造例Z1(着色剤分散液Z-1の製造)
ディスパー翼を備えた撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた内容積5Lの容器に、付加重合体E-1 75g及びメチルエチルケトン630gを入れ20℃にて樹脂を溶解させた。得られた溶液に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液101g(付加重合体E-1の中和度が91mol%になる)を添加し、更に脱イオン水を955g添加して、ディスパー翼で20℃にて10分撹拌した。次いで、ピグメントイエロー155(クラリアントケミカルズ株式会社製、「Toner Yellow 3GP-CT」、分子量717)300gを加え、ディスパー翼で6400r/minにて20℃にて2時間撹拌を行った。その後、200メッシュのフィルターを通し、ホモジナイザー「Microfluidizer M-110EH」(Microfluidics社製)を用いて150MPaの圧力で15パス処理した。得られた分散液を撹拌しながら、減圧下70℃でメチルエチルケトンと一部の水を除去した。冷却後、200メッシュのフィルターを通し、固形分濃度が20質量%になるように脱イオン水を加えることにより着色剤分散液Z-1を得た。得られた着色剤の体積中位粒径D50は0.10μm、CV値は28%であった。
[トナーの製造]
実施例1(トナー1の製造)
トナー1の作製
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積3Lの4つ口フラスコに、樹脂粒子分散液X-1を500g、離型剤粒子分散液W-1を49g、着色剤粒子分散液Z-1を63g、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液「ネオペレックスG-15」(花王株式会社製、アニオン性界面活性剤)を3.3g、温度25℃で混合した。次に、当該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム40gを脱イオン水570gに溶解した水溶液に4.8質量%水酸化カリウム水溶液を添加してpH8.2に調整した溶液を、25℃で10分かけて滴下した後、62℃まで2時間かけて昇温し、凝集粒子の体積中位粒径D50が6.2μmになるまで、62℃で保持し、凝集粒子(1)の分散液を得た。
得られた凝集粒子(1)の分散液に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム「エマールE-27C」(花王株式会社製、アニオン性界面活性剤、有効濃度27質量%)18g、脱イオン水250g、及び0.1mol/Lの硫酸水溶液30gを混合した水溶液を添加した。その後、80℃まで1時間かけて昇温し、80℃で30分保持した後、0.1mol/Lの硫酸水溶液10gを添加し、更に80℃で15分保持した。その後、再度0.1mol/Lの硫酸水溶液15gを添加し、円形度が0.970になるまで80℃で持することにより、凝集粒子粒子(1)が融着した融着粒子の分散液を得た。
得られた融着粒子分散液を30℃に冷却し、分散液を吸引濾過して固形分を分離した後、25℃の脱イオン水で洗浄し、25℃で2時間吸引濾過した。その後、真空定温乾燥機「DRV622DA」(ADVANTEC社製)を用いて、33℃で24時間真空乾燥を行って、トナー粒子を得た。トナー粒子100質量部、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径;0.04μm)2.5質量部、及び疎水性シリカ「キャボシル(登録商標)TS720」(キャボットジャパン株式会社製、個数平均粒径;0.012μm)1.0質量部をヘンシェルミキサーに入れて撹拌し、150メッシュの篩を通過させてトナー1を得た。得られたトナーの粒径は6.0μm、円形度は0.970であった。
実施例2、3及び比較例1、2(トナー2、3、51、52の製造)
使用する樹脂粒子分散液の種類を表6に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー2、3、51、52を作製した。得られたトナー粒子の物性及びトナーの評価結果を表6に示す。
実施例4(トナー4の製造)
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積3Lの4つ口フラスコに、樹脂粒子分散液X-1を500g、離型剤粒子分散液W-1を49g、着色剤粒子分散液Z-1を63g、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液「ネオペレックスG-15」(花王株式会社製、アニオン性界面活性剤)を3.3g、温度25℃で混合した。次に、当該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム40gを脱イオン水570gに溶解した水溶液に4.8質量%水酸化カリウム水溶液を添加してpH8.2に調整した溶液を、25℃で10分かけて滴下した後、61℃まで2時間かけて昇温し、凝集粒子の体積中位粒径D50が6.0μmになるまで、61℃で保持し、凝集粒子(1)の分散液を得た。
前記凝集粒子(1)の分散液の温度を61℃に保持しながら、樹脂粒子分散液Y-1を60g、0.6mL/minの速度で滴下してコアシェル粒子(1)の分散液を得た。
得られたコアシェル粒子(1)の分散液に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム「エマールE-27C」(花王株式会社製、アニオン性界面活性剤、有効濃度27質量%)20g、脱イオン水280g、及び0.1mol/Lの硫酸水溶液40gを混合した水溶液を添加した。その後、80℃まで1時間かけて昇温し、80℃で30分保持した後、0.1mol/Lの硫酸水溶液15gを添加し、更に80℃で15分保持した。その後、再度0.1mol/Lの硫酸水溶液15gを添加し、円形度が0.970になるまで80℃で持することにより、コアシェル粒子が融着した融着粒子の分散液を得た。
得られた融着粒子分散液を30℃に冷却し、分散液を吸引濾過して固形分を分離した後、25℃の脱イオン水で洗浄し、25℃で2時間吸引濾過した。その後、真空定温乾燥機「DRV622DA」(ADVANTEC社製)を用いて、33℃で24時間真空乾燥を行って、トナー粒子を得た。トナー粒子100質量部、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径;0.04μm)2.5質量部、及び疎水性シリカ「キャボシル(登録商標)TS720」(キャボットジャパン株式会社製、個数平均粒径;0.012μm)1.0質量部をヘンシェルミキサーに入れて撹拌し、150メッシュの篩を通過させてトナー4を得た。得られたトナーの評価結果を表6に示す。
Figure 2023018981000014
以上、実施例及び比較例の結果から、本発明によれば、低温定着性及び帯電量分布に優れたトナーが得られることがわかる。

Claims (8)

  1. トナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであり、
    前記トナー粒子が、結晶性ポリエステル樹脂及びシリコーン変性ポリエステル樹脂を含有する、
    静電荷像現像用トナー。
  2. 前記シリコーン変性ポリエステル樹脂は、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と、2価以上のカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分と、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はエポキシ基を、片末端又は両末端に有する変性シリコーンとの反応物である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記変性シリコーンが、式(1):
    Figure 2023018981000015

    〔式中、Rはそれぞれ独立に炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、R’はそれぞれ独立に炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、R’’はそれぞれ独立に炭素数1以上10以下の炭化水素基であり、Xはそれぞれ独立にヒドロキシ基、ヒドロキシアルキルオキシ基、カルボキシ基、カルボキシアルキルオキシ基、エポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、又は脂環式エポキシ基であり、sは1以上3以下の整数であり、tは0以上3以下の整数であり、nは5以上300以下の整数である。〕で表される変性シリコーンを含む、請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記変性シリコーンが、ヒドロキシ基を片末端又は両末端に有する、請求項2又は3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記変性シリコーンの含有量は、前記アルコール成分、前記カルボン酸成分、及び前記変性シリコーンの合計量に対して1質量%以上7質量%以下である、請求項2~4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 結晶性ポリエステル樹脂とシリコーン変性ポリエステル樹脂との質量比(結晶性ポリエステル樹脂/シリコーン変性ポリエステル樹脂)が3/97以上50/50以下である、請求項1~5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記トナー粒子が、更に着色剤を含有し、前記着色剤が、顔料と、アニオン性基を有する付加重合性モノマー及びポリアルキレンオキシド基を有する付加重合性モノマーを含む原料モノマーの付加重合体と、を含有する、請求項1~6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 樹脂粒子を、水系媒体中で凝集及び融着させる工程を含む、請求項1~7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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