JP2023018665A - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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香織 藤井
Kaori Fujii
政宣 ▲高▼木
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Abstract

【課題】体積抵抗率が低く良好な導電性を示し、各種基材に対する密着性に優れ、膜の硬度及び耐屈曲性が良好であり、はんだ濡れ性やはんだ食われ性等のはんだ付け適性に優れ、溶出金属イオンによる短絡故障が低減された耐マイグレーション性に優れた導電膜を形成することができ、保存安定性に優れ、製造が容易であり、鉛成分を含まず、導電性インクや回路接続材料等として有用な導電性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(a)銀コート銅粉末、(b)エポキシ樹脂、(c)硬化剤としてアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、チオール系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種、及び(d)溶媒、を含む、導電性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性樹脂組成物に関する。また、本発明は、基材に印刷により回路等を形成する際に用いられる導電性インク、及び電子部品を回路基板等に導電接続する際に用いられる回路接続材料に関する。
導電性樹脂組成物としては、多種多様な組成のものが知られており、導電性ペースト、導電性インク、導電性塗料、回路接続材料、導電性接着剤等として、電子回路の形成、電子部品の接着等の種々の用途に使用されている。
例えば、各種の印刷方法に適用可能であり、相互接続及びトレース、電極などの導電構造を有するフレキシブルプラスチック基材等の製造に有用な導電性インクが求められている。
例えば、コンピュータや携帯電話などの電子機器において、LED素子、半導体素子、コンデンサなど各種の電子部品が同一回路基板上に高密度実装し高集積化するための回路接続材料が求められている。
しかしながら、これまでの導電性樹脂組成物の膜は、ガラスやプラスチックフィルム等の基材に対する密着性が低く、はんだ濡れが悪く、はんだ食われ(導電性樹脂組成物の膜をはんだが貫通する現象)やマイグレーション(溶出金属イオンに起因する短絡故障)が発生するおそれがあり、電子部品と回路の接着に際しても十分な接着力が得られないことが多いため、導電接続の信頼性が低いものであった。また、導電性樹脂組成物の膜の表面硬度が低く、耐屈曲性が低いことから、使用時に断線や短絡故障等が発生するおそれがあった。さらに、導電性樹脂組成物における導電粉末の分散性が不十分となり、導電性樹脂組成物の膜の体積抵抗率が高くなり導電性が不十分になることがあった。
このため、部品の小型化・回路の高密度化により配線パターン間隔が狭くなっている電子機器に対して、膜の特性に優れ、短絡故障の発生が抑えられており、導電接続の信頼性が高い導電性樹脂組成物が求められている。
このようなニーズに対して、特許文献1~3には、導電粉末と、樹脂成分とを含む導電性樹脂組成物が記載されている。しかしながら、これらの導電性樹脂組成物は、プラスチック基材やガラスに対する密着性、硬度、体積抵抗率、はんだ濡れ性やはんだ食われ性等のはんだ付け適性及び保存安定性のいずれか1つ以上において改善すべき点があった。
特開平10-162646号公報 国際公開第2014/104053号 特開平10-247419号公報
これまで、プラスチック基材やガラスに対して十分な密着性を有し、塗膜とした際に十分な塗膜硬度、耐屈曲性及び体積抵抗率を有し、はんだ濡れ性やはんだ食われ性等のはんだ付け適性及び保存安定性に優れ、人体や環境に悪影響を与える鉛成分を含まない導電性樹脂組成物は知られていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、体積抵抗率が低く良好な導電性を示し、各種基材に対する密着性に優れ、膜の硬度及び耐屈曲性が良好であり、はんだ濡れ性やはんだ食われ性等のはんだ付け適性に優れ、溶出金属イオンによる短絡故障が低減された耐マイグレーション性に優れた導電膜を形成することができ、保存安定性に優れ、製造が容易であり、鉛成分を含まず、導電性インクや回路接続材料等として有用な導電性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成の導電性樹脂組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のとおりである。
項1:(a)銀コート銅粉末、
(b)エポキシ樹脂、
(c)硬化剤としてアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、チオール系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種、及び
(d)溶媒、
を含む、導電性樹脂組成物。
項2:硬化剤が、25℃で液状である、アミン系硬化剤、チオール系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の導電性樹脂組成物。
項3:銀コート銅粉末の平均粒径が、1~10μmである、項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
項4:硬化剤が、25℃で液状である、フェノール系硬化剤である項1~3のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
項5:銀コート銅粉末の形状が、フレーク状である、項1~4のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
項6:エポキシ樹脂が、25℃で液状であって、ビスフェノール型エポキシ樹脂、キレート変性型エポキシ樹脂、及びジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種である、項1~5のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
項7:項1~6のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を含む、導電性インク。
項8:項7記載の導電性インクを含む、回路接続材料。
本発明の導電性樹脂組成物は、体積抵抗率が低く良好な導電性を示し、各種基材に対する密着性に優れ、膜の硬度及び耐屈曲性が良好であり、はんだ濡れ性やはんだ食われ性等のはんだ付け適性に優れ、溶出金属イオンによる短絡故障が低減された耐マイグレーション性に優れた導電膜を形成することができ、保存安定性に優れ、製造が容易であり、鉛成分を含まず、導電性インクや回路接続材料等として有用である。
本発明の導電性樹脂組成物は、プリンテッドエレクトロニクス材料として有用であり、表示装置、車両関連部品、IoT、移動通信システム(Mobile Communication System)、センサ等の各種電子機器や電子部品等の大量生産に際して極めて有用である。
本発明は、導電性樹脂組成物、導電性インク及び回路接続材料に係るものである。以下、これらについて詳細に説明する。
[導電性樹脂組成物]
本発明の導電性樹脂組成物は、(a)銀コート銅粉末、(b)エポキシ樹脂、(c)硬化剤としてアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、チオール系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種、及び(d)溶媒、を含む。
<銀コート銅粉末>
銀コート銅粉末は、銅粉末の表面を銀でコーティングしたものであれば、特に限定されない。銅粉末を銀コートすることで、耐酸化性に優れ、体積抵抗率を低くでき、導電性樹脂組成物の保存安定性等を向上させることができる。
銀コート銅粉末の形状は、特に限定されない。フレーク状、球状、樹枝状のいずれも用いられ得る。はんだ付け適性の観点からは、フレーク状が好ましい。
例えば、銀コート銅粉末の製法についても特に限定はない。例えば、銀めっきによる銀コート銅粉末、銅と銀の置換反応による銀コート銅粉末等、いずれの銀コート銅粉末も用いられ得る。
銀コート銅粉の平均粒径は、スクリーン印刷のためには、1μm以上10μm以下であることが好ましい。ここで、本発明における銀コート銅粉末の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50の値である。
銀コート銅粉末の平均粒径が10μmよりも大きいと、導電性ペーストのレベリング性が低下したり、配線パターンの断線が生じやすくなったりして、細幅の配線パターンの形成が困難になるからである。また、銀コート銅粉末の平均粒径が1μmよりも小さいと、コアの銅が露出してこの部分から銅が酸化し、経時的に配線パターンの比抵抗が増大するおそれがあるためである。
また、フレーク状の銀コート銅粉末において、その厚さは、特に限定されない。例えば0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上であり、例えば1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下である。
銀コート銅粉末の具体例としては、10%AgコートCu-HWQ5μm、10%AgコートFCC-2000、10%AgコートFCC-115、10%Agコート2L3(以上、福田金属箔粉工業社製)、1100Y、1100YP(以上、三井金属鉱業社製)、TFM-C02P、TFM-C05P、TFM-C05F、TFM-C15F(以上、東洋アルミニウム社製)等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
銀コート銅粉末における銀の含有率は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。銀の含有率が5質量%よりも小さいとき、コアの銅が露出するおそれがあり、経時的に配線パターンの比抵抗が増大するおそれがあるからである。また、銀の含有率が30質量%よりも大きいとき、イオンマイグレーションが生じる可能性が高くなるからである。
銀コート銅粉末の含有量は、導電性樹脂組成物の乾燥固形分中85~95質量%となるようにすることが好ましい。銀コート銅粉末含有量が、導電性樹脂組成物の乾燥固形分中85質量%以上であると、得られた導電膜の熱伝導率を向上させることができ、結果として、放熱性を向上させることができ、95質量%以下であると、密着性を確保することができる。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、1分子内にグリシジル基を2つ以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。本実施形態で用いられるエポキシ樹脂としては、たとえばビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;アルキレンオキサイド変性ビスフェノール型樹脂;キレート変性型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ樹脂としては、たとえばグリシジル基を1分子内に2つ以上含む化合物のうちの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物又はこれらの誘導体、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオール又はこれらの誘導体、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオール又はこれらの誘導体などをエポキシ化した2官能のもの、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する3官能のもの、を用いることも可能である。熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、得られる導電性樹脂組成物の密着性及びはんだ付け適性の観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、キレート変性型エポキシ樹脂、及びジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂を含むことが好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、室温(25℃)において液状のものを用いてもよく、固体状のものを用いてもよい。本発明の導電性樹脂組成物においては、作業性、取扱性及び製造適性等をより効果的に向上させる観点から、室温(25℃)において液状である液状エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
エポキシ樹脂の含有量は、導電性樹脂組成物中の銀コート銅粉末、エポキシ樹脂、下記記載の硬化剤の合計量を100質量%として、例えば1.0質量%以上、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上であり、例えば25.0質量%以下、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは17.0質量%以下である。
<硬化剤>
エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤として、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、チオール系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種が使用できる。本発明の導電性樹脂組成物は、作業性、取扱性及び製造適性等をより効果的に向上させる観点から、室温(25℃)において液状である硬化剤を含むことが好ましい。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、ビス[4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル]メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m-キシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン及びこれらをエポキシアダクト、マイケル付加、マンニッヒ反応等により変性した変性ポリアミン、ポリアミドアミン等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸等が例示できる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等のビスフェノール類、ビフェノール、ヒドロキシフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル等のフェノール類、2,6-ビス[(2-ヒドロキシフェニル)メチル]-フェノール等のフェノールノボラック類、o-クレゾールノボラック、m-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック等のクレゾールノボラック類、アルキルフェノール等が例示できる。なお、フェノール系硬化剤として、アルコキシを含むものは、導電性樹脂組成物やその硬化塗膜の特性を低下させることがあるため好ましくない。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
チオール系硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
このうち、本発明においては、室温(25℃)において液状であるフェノール系硬化剤を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤の使用量は、特に限定されない。
エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化剤中のエポキシ基と反応する基(例えば、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基)が、例えば0.7当量以上、好ましくは0.8当量以上、より好ましくは0.9当量以上であり、例えば1.3当量以下、好ましくは1.2当量以下、より好ましくは1.1当量以下であり、最も好ましくは1.0当量とすることができる。エポキシ基1当量に対して0.7当量未満の場合、導電性樹脂組成物の硬化性が低下し、硬化に時間がかかる又は塗膜の硬化不良が発生するおそれがあり、1.3当量を超える場合、過剰となる硬化剤未反応物の影響で塗膜の硬化不良が発生し、塗膜硬度が低下するおそれがある。
また、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば10質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上であり、例えば250質量部以下、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下とすることができる。エポキシ樹脂100質量部に対して硬化剤の使用量が10質量部未満の場合、導電性樹脂組成物の硬化性が低下し、硬化に時間がかかるおそれがあり、250質量部を超える場合、導電性樹脂組成物が固体状とならなくなるおそれがある。
<溶媒>
溶媒は、水及び各種有機溶媒からなる群より選ばれる1種類以上から、任意のものを用いることができる。有機溶媒としては、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルメトキシブタノール、α-ターピネオール、β-ターピネオール、へキシレングリコール、ベンジルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、2-オクタノン、イソホロン(3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン)、ジイソブチルケトン(2,6-ジメチル-4-ヘプタノン)等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、アセトキシエタン、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、1,2-ジアセトキシエタン、二塩基酸エステル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル、1,2-ビス(2-ジエトキシ)エタン、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン等のエーテル系溶媒;酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エタン、メチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系溶媒;2-(2-メトキシエトキシ)エタノール等のエーテルアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、n-パラフィン、イソパラフィン、ドデシルベンゼン、テレピン油、ケロシン、軽油等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の含窒素極性溶媒;シリコンオイル系溶媒等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
溶媒としては、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、エーテルエステル系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる1種類以上であることが好ましい。より好ましくは、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、エーテルエステル系溶媒の1種類以上である。
溶剤を用いる場合の使用量は、特に限定されず、導電性樹脂組成物の粘度が、基材上に適切に塗布、印刷等できる程度の粘度及び/又は多孔質体に適切に含浸し得る程度の粘度となるように適宜調整すればよい。
<硬化触媒>
本発明の導電性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤の硬化を促進させるために、必要に応じて従来から公知の硬化触媒を使用することもできる。本発明の導電性樹脂組成物は、作業性、取扱性及び製造適性等をより効果的に向上させる観点から、室温(25℃)において液状である硬化触媒を含むことが好ましい。
硬化触媒の具体例としては、ピペリジン、N,N-ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、変性イミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
<その他成分>
本発明の導電性樹脂組成物は、必要に応じて、性能が低下しない範囲で、エポキシ樹脂以外の樹脂、無鉛はんだ粒子、有機酸化合物、顔料、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、腐食抑制剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤(チキソトロピー調整剤)、接着性付与剤、カップリング剤、沈降防止剤等、界面活性剤、pH調整剤(アミン化合物)、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤等からなる群より選ばれる1種類以上の各種添加剤を混合することもできる。
<導電性樹脂組成物の性状>
本発明の導電性樹脂組成物の性状は、導電性インクや回路接続材料としての用途の際には、室温(25℃)でペースト状又は液体状(ワニス状)であることが好適である。
<導電性樹脂組成物及びその硬化塗膜の特性>
本発明の導電性樹脂組成物の硬化塗膜は導電性に優れている。導電性樹脂組成物の硬化塗膜の導電性は、剥離性基材の上に導電性樹脂組成物を流延又は塗布し乾燥後に剥離して得られた導電膜の体積抵抗率が2.0×10-2Ω・cm未満である。好ましくは導電膜の体積抵抗率が8.0×10-3Ω・cm未満、より好ましくは7.0×10-3Ω・cm未満である。ここで、体積抵抗率は、実施例において記載した方法により得られる。
本発明の導電性樹脂組成物の硬化塗膜は、各種の基材に対する密着性に優れている。ガラス基板に対する密着性は、実施例において記載した方法により評価される。
本発明の導電性樹脂組成物は、保存安定性に優れている。60日間の保存前後において、増粘等の粘度変化等がなく、沈殿の発生等も見られないものである。
本発明の導電性樹脂組成物の硬化塗膜は、はんだ付け適性に優れている。はんだ付け適性は、実施例において記載した方法により評価される。
本発明の導電性樹脂組成物の硬化塗膜は、耐屈曲性(折り曲げ等の耐久性)に優れている。耐屈曲性は、実施例において記載した方法(マンドレル試験)により評価される。
本発明の導電性樹脂組成物の硬化塗膜は、耐マイグレーション性に優れており、短絡故障の発生を低減することができる。耐マイグレーション性は、実施例において記載した方法により評価される。
本発明の導電性樹脂組成物は、製造適性に優れており、粗大粒子を有しない導電性樹脂組成物を短時間で簡便な手段で容易に製造することができる。製造適性は、実施例において記載した方法により評価される。
<導電性樹脂組成物の調製方法>
本発明の導電性樹脂組成物の調製に際しては、銀コート銅粉末、エポキシ樹脂、溶媒を必須成分とし、必要に応じて添加剤成分を、任意の順序で混合容器に加えて混合し、その後、硬化剤及び必要に応じて硬化触媒を加え撹拌混合して製造することができる。混合に際しては、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、タンブラー、スターラー、撹拌機、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、自転公転ミキサー、混練ロール、単軸或いは二軸の押出機などで混合する方法が適宜用いられる。
導電性樹脂組成物を調製する際の温度(各成分を混合する際の温度)は、特に限定されない。必要に応じて、加熱等をすることができ、例えば、10~40℃とすることができる。
導電性樹脂組成物を調製する際の雰囲気は、特に限定されない。大気中で行うことができ、不活性雰囲気下で行うこともできる。
<導電性樹脂組成物の用途>
本発明の導電性樹脂組成物は、導電性物体を製造する用途とすることができる。導電性物体は、導電性樹脂組成物に加えて他の部材等を含んでいてもよい。
導電性物体としては、例えば、導電性インク、回路接続材料、導電性ペースト、導電膜、導電性繊維、導電性塗料、半導体パッケージ用導電材料、マイクロエレクトロニクスデバイス用導電材料、帯電防止材料、電磁波シールド材料、異方性導電性接着剤(ダイ取付接着剤等)ダイアタッチペースト、アクチュエータ、センサ、導電性樹脂成形体からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
例えば、導電性樹脂組成物は、導電性インク、導電性ペースト、導電性塗料等を構成することができる。その際の粘度は特に限定されず、用途等に応じて溶媒を加え低粘度のワニス状から高粘度のペースト状等とすることができる。
例えば、導電性樹脂組成物を、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ディスペンサ法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、スピンコート法、又はインクジェット法等により各種の基材に塗布し、300℃以下の温度で加熱乾燥させて導電膜とすることができる。乾燥時の雰囲気は、大気中、不活性ガス中、真空中、減圧等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。特に、導電膜の劣化抑制(導電粉末の酸化防止等)の観点からは、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
[導電性インク]
本発明の導電性インクは、前記導電性樹脂組成物をそのまま利用することもできるし、更に溶媒を加え要求される粘度とし使用することもできる。
本発明の導電性インクは、銀コート銅粉末、エポキシ樹脂、硬化剤、溶媒を必須成分とし、必要に応じて性能が低下しない範囲で、エポキシ樹脂以外の樹脂、無鉛はんだ粒子、有機酸化合物、顔料、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、腐食抑制剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤(チキソトロピー調整剤)、接着性付与剤、カップリング剤、沈降防止剤等、界面活性剤、pH調整剤(アミン化合物)、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤等からなる群より選ばれる1種類以上の各種添加剤成分を含んでいる。
導電性インクは、前記硬化剤以外の成分を混合容器に入れた後に、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、タンブラー、スターラー、撹拌機、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー等からなる群より選ばれる1種類以上の混合機を用いて混合し、ワニス状又はペースト状とし、その後、硬化剤を加え撹拌することで得られる。
本発明の導電性インクは、例えば配線形成用の印刷用導電性インクとして利用できる。印刷方法としては、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。本発明においては、印刷性や形状保持性に優れるため、スクリーン印刷、インクジェット印刷等からなる群より選ばれる1種類以上の印刷方法を用いることが好ましい。
ここで、スクリーン印刷時におけるメッシュは適宜選択でき、導電性インク中の導電粉末が過度に除去されないだけのメッシュを採用することが好ましい。
本発明の導電性インクを塗布してなる塗布膜の膜厚は、各種の用途に応じて適当な厚みとすることができる。例えば1μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上であり、例えば100μm以下である。
本発明の導電性インクは、導電性、各種基材への密着性、保存安定性、レベリング(表面平滑性)、印刷性等からなる群より選ばれる1種類以上の特性に優れたものである。
[回路接続材料]
本発明の回路接続材料は、各種電子部品と回路基板との導電接続や電気・電子回路相互の接続(接着)に用いられる。
回路接続材料の形状等は特に限定されないが、液状又はフィルム状であることが好ましい。
液状の回路接続材料は、例えば、本発明の導電性樹脂組成物をそのまま使用することもできるし、これに更に有機溶媒等の溶媒を混合して得ることもできる。
フィルム状の回路接続材料は、例えば、本発明の回路接続材料を剥離性基材上に直接流延・塗布して膜を形成し、乾燥して溶媒を除去してフィルムを形成し、剥離性基材上から剥がすことで得ることができる。
また、フィルム状の回路接続材料は、不織布等に含浸させた後に剥離性基材上に形成し、乾燥して溶媒を除去した後に剥離性基材上から剥がすことで得ることができる。
本発明の回路接続材料を用いた電気的接続方法等は特に限定されない。例えば、電子部品や回路等の電極と、それと相対峙する基材上の電極との間に回路接続材料を設け、必要に応じて加熱及び/又は加圧して両電極の電気的接続と両電極間の接着を行う方法が挙げられる。
相対峙する電極との間に回路接続材料を設ける方法は、特に限定されない。例えば、液状の回路接続材料を塗布する方法、フィルム状の回路接続材料を挟む方法等が挙げられる。
また、電子部品等が有するピンと回路との導電接続に際して、ピンの根元に回路接続材料を設け、突合せ接合して導電接続を構成する方法等が挙げられる。
本発明の回路接続材料は、実質的に異方導電材料として用いることができ、また、接着性に優れた回路接続材料を基材上の相対峙する電極間に形成し、必要に応じて加熱加圧により両電極の接触と基材間の接着を得る電極の接続方法に用いることができる。電極を形成する基材としては、半導体、ガラス、セラミック等の無機質、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラス/エポキシ等のこれら複合の各組み合わせが適用できる。
さらに、本発明の回路接続材料は、低温で塗膜形成することができることから、例えば200℃以下という低温であっても、導電接続を可能とすることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
また、表1~表4中における各成分の配合量に係る数値は、全て「部」(質量部)である。
実施例及び比較例において用いた材料は、それぞれ以下のとおりである。
エポキシ樹脂1:jER828(三菱ケミカル社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、常温(25℃)液状)
エポキシ樹脂2:EP-40015(ADEKA社製、PO変性ビスフェノール型エポキシ樹脂、常温(25℃)液状)
エポキシ樹脂3:EP-49-23(ADEKA社製、キレート変性型エポキシ樹脂、常温(25℃)液状)
エポキシ樹脂4:EP-4088L(ADEKA社製、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、常温(25℃)液状)
エポキシ樹脂5:EPICLON HP-7200(DIC社製、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、常温(25℃)液状)
ブチラール樹脂:BH-A(積水化学工業社製、ポリビニルブチラール樹脂、常温(25℃)固体状)
フェノール樹脂:MWF-2620(明和化成社製、レゾール系フェノール樹脂、常温(25℃)液状)
硬化剤1:ELP83H(群栄化学工業社製、フェノール樹脂系硬化剤、常温(25℃)液状)
硬化剤2:MEH-8000H(明和化成社製、フェノール樹脂系硬化剤、常温(25℃)液状)
硬化剤3:MEH-8005(明和化成社製、フェノール樹脂系硬化剤、常温(25℃)液状)
硬化剤4:KAYAHARD GPH-65(日本化薬社製、フェノール樹脂系硬化剤、常温(25℃)固体状)
硬化剤5:KAYAHARD GPH-103(日本化薬社製、フェノール樹脂系硬化剤、常温(25℃)固体状)
硬化触媒1:EH-2021(ADEKA社製、イミダゾール類、常温(25℃)液状)
硬化触媒2:2MZ-H(四国化成社製、2-メチルイミダゾール、常温(25℃)固体状)
硬化触媒3:C11Z(四国化成社製、2-ウンデシルイミダゾール、常温(25℃)固体状)
硬化触媒4:C17Z(四国化成社製、2-ヘプタデシルイミダゾール、常温(25℃)固体状)
硬化触媒5:2P4MHZ-PW(四国化成社製、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、常温(25℃)固体状)
溶媒1:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
溶媒2:ジプロピレングリコール
溶媒3:エチレングリコール
溶媒4:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)
溶媒5:シクロヘキサノン(アノン)
溶媒6:DBE(二塩基酸エステル)(三協化学社製)
銀コート銅粉末:TFM-C05F(東洋アルミ社製、フレーク状、平均粒径6.0μm)
銀粉末:AgC-A(福田金属箔粉工業社製、フレーク状、平均粒径3.5~5.5μm、表面脂肪酸被覆)
銅粉末1:MS-800(福田金属箔粉工業社製、フレーク状、平均粒径40μm前後、表面脂肪酸被覆)
銅粉末2:CH-0200L1(三井金属鉱業社製、顆粒状、平均粒径0.2μm)
ニッケル粉末:type255(日興リカ社製、フィラメント状、平均粒径2.25μm)
実施例及び比較例において、導電性樹脂組成物の特性(「導電性」、「密着性」、「塗膜硬度」、「耐屈曲性」、「はんだ濡れ性及びはんだ食われ性(はんだ付け適性)」、「耐マイグレーション性」及び「製造適性」)の測定・評価は、以下に示す方法で測定した。
<導電性>
スクリーン印刷により、導電性樹脂組成物をガラス板上に塗布し、150℃、2時間乾燥させ厚さ15~35μmの塗膜を作成し、その後室温に戻して得られた塗膜をガラス板上から剥がし、25℃における塗膜の体積抵抗率を、抵抗率計「ロレスタGP-MCP T610」(日東精工アナリテック社製)により測定した。
本発明においては、塗膜の体積抵抗率が2.0×10-2Ω・cm未満であるものが合格である。
<密着性>
スクリーン印刷により、導電性樹脂組成物をガラス板上に塗布し、150℃、2時間硬化させ厚さ15~35μmの塗膜を作製した。
その後、室温に戻して得られた塗膜について、JIS K 5600のクロスカット法に基づき、素地まで達する2mm間隔6本の格子状切り込みを入れた後に、セロテープ(登録商標)を貼り付けて剥がし、膜のはがれ具合により密着性を以下の基準で評価した。(密着性評価基準)
S:分類0(カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。)
A:分類1(カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に5%を上回ることはない。)
B:分類2(塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。)
C:分類3(塗膜がカットの縁に沿って,部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が,部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。)
D:分類4(塗膜がカットの縁に沿って,部分的又は全面的に大はがれを生じており,及び/又は数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に35%を上回ることはない。)
E:分類5(分類4でも分類できないはがれ程度のいずれか。)
本発明においては、S、A、B及びCが合格である。
<塗膜硬度>
スクリーン印刷により、導電性樹脂組成物をガラス板上に塗布し、150℃、2時間硬化させ厚さ15~35μmの塗膜を作製した。その後、室温に戻し、JIS K5600に基づき塗膜表面の鉛筆硬度を測定した。
本発明においては、HB~10Hが合格である。
<耐屈曲性>
スクリーン印刷により、導電性樹脂組成物をPETフィルム(厚さ100μm)上に塗布し、150℃、2時間硬化させ、厚さ15~35μmの膜をPETフィルムの一方の面に有するサンプルを作製した。作製したサンプルについて、耐屈曲性試験機(コーティングテスター社製)を用いてマンドレル試験を実施し、以下の基準で評価した。なお、操作手順についてはJIS K 5600-5-1に準拠した。
(耐屈曲性評価基準)
S:直径2mmのマンドレルを使用した際、塗膜の割れ及びPETフィルムからの塗膜のはがれが観測されない。
C:直径2mmのマンドレルを使用した際、塗膜の割れ及び/又はPETフィルムからの塗膜のはがれが観測される。
本発明においては、Sが合格である。
<はんだ濡れ性及びはんだ食われ性(はんだ付け適性)>
スクリーン印刷により、導電性樹脂組成物をガラス板上に塗布し、150℃、2時間硬化させ厚さ15~35μmの膜を作製した。その上にメタルマスクを用いてはんだペースト(合金組成:SnBi)を塗布し(直径3mm、厚さ100μm)、150℃に設定した保温庫の中ではんだを5分間溶融させ、サンプルの表・裏面を観察し、はんだ濡れ性及びはんだ食われ性を以下の基準で評価した。
(はんだ濡れ性評価基準)
S:はんだペーストを塗布した部分の95面積%以上が濡れた状態
A:はんだペーストを塗布した部分の70面積%以上95面積%未満が濡れた状態
B:はんだペーストを塗布した部分の50面積%以上70面積%未満が濡れた状態
C:はんだペーストを塗布した部分の30面積%以上50面積%未満が濡れた状態
D:はんだペーストを塗布した部分の5面積%以上30面積%未満が濡れた状態
E:はんだペーストを塗布した部分の5面積%未満が濡れた状態又ははんだペーストがボール状になる状態
本発明においては、S、A、B及びCが合格である。
(はんだ食われ性評価基準)
S:裏面へのはんだ食われが5面積%未満の範囲で観察される状態
A:裏面へのはんだ食われが5面積%以上10面積%未満の範囲で観察される状態
B:裏面へのはんだ食われが10面積%以上20面積%未満の範囲で観察される状態
C:裏面へのはんだ食われが20面積%以上80面積%未満の範囲で観察される状態
D:裏面へのはんだ食われが80面積%以上の範囲で観察される状態
本発明においては、S、A及びBが合格である。
<耐マイグレーション性>
スクリーン印刷により、導電性樹脂組成物をガラス板上に櫛状パターン(間隙318μm)で塗布し、150℃、2時間硬化させ厚さ15~35μmの膜を作製した。その上にイオン交換水を櫛状パターンにかかる様に滴下し、5分間電圧(5V)を印加した後、水滴を取り除きサンプルを観察した。マイグレーション性を以下の基準で評価した。
(耐マイグレーション性評価基準)
S:マイグレーションが全く発生していない、もしくはマイグレーションが発生しているものの間隙の25%未満である
A:マイグレーションが発生しているものの間隙の25%以上50%未満である
B:マイグレーションが発生しており、間隙の50%以上に達している
本発明においては、S及びAが合格である。
<製造適性>
導電性樹脂組成物の構成成分を全て加えた後に、自転・公転ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARV-310P)にて撹拌し、目視により均一性を判断した。
(製造適性評価基準)
S:回転速度2000rpmで2分間撹拌後、粗大粒子が確認できない
A:回転速度2000rpmで2分間撹拌後、粗大粒子が確認できるが、回転速度2000rpmで5分間撹拌後、粗大粒子が確認できない
B:回転速度2000rpmで5分間撹拌後、粗大粒子が確認できる
[実施例1]
81.63部の銀コート銅粉末と、1.70部のエポキシ樹脂1と、0.56部のエポキシ樹脂3と、12.24部の溶媒1とを、混合、撹拌し、次いで、3.85部の硬化剤1と、0.02部の硬化触媒1を加え撹拌して導電性樹脂組成物を作製した。
得られた導電性樹脂組成物を基材上に塗布して導電膜を作製した。
導電性樹脂組成物・導電膜の特性(「導電性」、「密着性」、「塗膜硬度」、「耐屈曲性」、及び「はんだ濡れ性及びはんだ食われ性(はんだ付け適性)」、「耐マイグレーション性」及び「製造適性」)を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2~25]
導電性樹脂組成物の構成成分及びその使用量を表1~表3に示すものとしたほかは、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製し、得られた導電性樹脂組成物を基材上に塗布して導電膜を作製した。
実施例1と同様にして、導電性樹脂組成物・導電膜の特性(「導電性」、「密着性」、「塗膜硬度」、「耐屈曲性」、「はんだ濡れ性及びはんだ食われ性(はんだ付け適性)」、「耐マイグレーション性」及び「製造適性」)を評価した。結果を表1~表3に併せて示す。
[比較例1~4]
導電性樹脂組成物の構成成分及びその使用量を表4に示すものとしたほかは、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製し、得られた導電性樹脂組成物を基材上に塗布して導電膜を作製した。
実施例1と同様にして、導電性樹脂組成物・導電膜の特性(「導電性」、「密着性」、「塗膜硬度」、「耐屈曲性」、「はんだ濡れ性及びはんだ食われ性(はんだ付け適性)」、「耐マイグレーション性」及び「製造適性」)を評価した。結果を表4に併せて示す。
なお、比較例3においては、体積抵抗率が高く測定不可であり、導電性が悪いことから耐マイグレーション性の確認は行わなかった。
[比較例5、6]
表4に示す量の銀コート銅粉末と、表4に示す量の表4に示す樹脂と、表4に示す量の溶媒1とを、混合、撹拌して導電性樹脂組成物を作製し、得られた導電性樹脂組成物を基材上に塗布して導電膜を作製した。
実施例1と同様にして、導電性樹脂組成物の特性(「導電性」、「密着性」、「塗膜硬度」、「耐屈曲性」、「はんだ濡れ性及びはんだ食われ性(はんだ付け適性)」、「耐マイグレーション性」及び「製造適性」)について評価した。結果を表4に併せて示す。
Figure 2023018665000001
Figure 2023018665000002
Figure 2023018665000003
Figure 2023018665000004
表1~表4より、本発明に係る導電性樹脂組成物から得られる塗膜は、導電性、密着性、塗膜硬度、耐屈曲性、はんだ濡れ性、はんだ食われ性、耐マイグレーション性及び製造適性に優れたものであることがわかる。

Claims (8)

  1. (a)銀コート銅粉末、
    (b)エポキシ樹脂、
    (c)硬化剤としてアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、チオール系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種、及び
    (d)溶媒、
    を含む、導電性樹脂組成物。
  2. 硬化剤が、25℃で液状である、アミン系硬化剤、チオール系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. 銀コート銅粉末の平均粒径が、1~10μmである、請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
  4. 硬化剤が、25℃で液状である、フェノール系硬化剤である請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
  5. 銀コート銅粉末の形状が、フレーク状である、請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
  6. エポキシ樹脂が、25℃で液状であって、ビスフェノール型エポキシ樹脂、キレート変性型エポキシ樹脂、及びジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
  7. 請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物を含む、導電性インク。
  8. 請求項7記載の導電性インクを含む、回路接続材料。
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