JP2023018437A - ポリマー電解質、及び二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたイオン移動度及びアルカリ金属イオン輸率を有し、結晶化が抑制されたポリマー電解質を提供する。【解決手段】アルカリ金属イオンと、ポリマー電解質基材物質と、前記ポリマー電解質基材物質とは別の分子である配位子化合物と、を含むポリマー電解質である。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリマー電解質、及び二次電池に関する。
従来、アルカリ金属イオン二次電池の電解質としては、カーボネート系の有機電解液が使用されているが、有機電解液を使用した場合は、電解液の液漏れといった問題がある。
上記の問題を解決するために、高分子にアルカリ金属塩を分散させ、セパレーターと電解液を兼ねる固体高分子電解質が提案されている。固体高分子電解質においては、電解液を含まないため液漏れの心配がない。
しかしながら、固体高分子電解質のイオン伝導度は、有機電解液のイオン伝導度に比べて遙に低いため、アルカリ金属イオン二次電池性能を著しく低下させてしまう問題がある。
一方、液漏れが生じずイオン移動度が高い電解質として、ゲル状高分子電解質が提案されている(例えば、特許文献1参照)。有機電解液に難溶性の高分子と有機電解液に可溶性の高分子とを混合し又は相溶させて得たポリマーアロイフィルムに有機電解液を含浸せしめたゲル状高分子電解質を用い固体高分子電解質と比較して大きなイオン移動度を得ている。
本発明は、優れたイオン移動度及びアルカリ金属イオン輸率を有し、結晶化が抑制されたポリマー電解質を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のポリマー電解質は、アルカリ金属イオンと、ポリマー電解質基材物質と、前記ポリマー電解質基材物質とは別の分子である配位子化合物と、を含む。
本発明によると、優れたイオン移動度及びアルカリ金属イオン輸率を有し、結晶化が抑制されたポリマー電解質を提供することができる。
図1は、本実施形態に係るポリマー電解質を用いた二次電池の一例を示す全体構成図である。
(ポリマー電解質)
本発明のポリマー電解質は、アルカリ金属イオンと、ポリマー電解質基材物質と、前記ポリマー電解質基材物質とは別の分子である配位子化合物と、を含む。ポリマー電解質基材物質が、アルカリ金属イオンと配位子化合物を含むことによって、非流動性の電解質となり、完全固体型の電解質と比べて優れたイオン移動度とアルカリ金属イオン輸率が得られる。
従来技術では、ポリエチレンオキサイド(PEO)系ゲル状高分子電解質は、ポリマー電解質基材物質骨格中の酸素にアルカリ金属イオンが束縛されてしまうため、イオン移動度に占めるアルカリ金属イオン移動の割合(以下、アルカリ金属イオン輸率と称することがある)が著しく低いことが知られている。このためアルカリ金属イオンの移動度自体は低くなり、アルカリ金属イオン二次電池性能を低下させてしまうことが実用上問題となっている。
また、アルカリ金属イオンを多く添加することで上記問題を解決しようとしても、アルカリ金属イオンを核にしてポリマーが結晶化し、電解質の分子構造にゆらぎがなくなるため、アルカリ金属イオンの移動を妨げてしまうといった問題がある。
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、ポリマー電解質中に配位子化合物を含有することで、アルカリ金属イオンが優先的に前記配位子化合物と結合するため、アルカリ金属イオンがポリマー電解質基材物質の骨格中の酸素原子に捕捉(配位)されるのを抑制できることを知見した。
<ポリマー電解質基材物質>
前記ポリマー電解質基材物質は、有機高分子などであって、ポリマー電解質の形状保持及びイオン移動能を有する重合体である。
前記ポリマー電解質基材物質としては、前記機能を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体等のフッ素系重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとの共重合体等のポリエーテル系重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体、ポリアクリルニトリル等のニトリル系重合体、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート等のカーボネート系重合体、ウレタン結合を有するウレタン重合体などが挙げられ、これらは、単独又は組み合わせて使用してもよい。
前記ポリマー電解質基材物質は、高分子をそのまま用いてもよいし、モノマーを重合して高分子として用いてもよい。モノマーを用いて高分子を得る場合は対応するモノマーを光重合開始剤、熱重合開始剤、又は両方を用いて重合させることで所望の高分子を得ることができる。
前記ポリマー電解質基材物質の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5,000以上1,000,000以下が好ましい。
前記ポリマー電解質基材物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリマー電解質に対して、5質量%以上50質量%以下が好ましい。前記含有量が、5質量%以上50質量%以下であると、電解質をゲル状化させて液漏れを防ぐことができる。
<アルカリ金属イオン>
前記アルカリ金属イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。これらの中でも、エネルギー密度及び供給安定性の観点からリチウム塩、ナトリウム塩が好ましく、リチウム塩がより好ましい。
前記リチウム塩としては、高いイオン伝導度を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiN(SOCF)、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド(LiN(SO)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、イオン移動度の大きさの観点から、LiPF、LiBF、LiN(SOF)、LiN(SOCFが好ましい。
前記アルカリ金属イオンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリマー電解質中でのイオン移動度の観点から、ポリマー電解質中で、0.5mol/Kg以上6mol/Kg以下が好ましく、0.5mol/Kg以上4mol/Kg以下がより好ましい。
<配位子化合物>
前記配位子化合物は、前記ポリマー電解質基材物質とは別の分子である配位子化合物であり、ポリマー電解質中においてアルカリ金属イオンの移動を助ける効果がある。ポリエチレンオキサイドなどのポリマー電解質基材物質中では前記アルカリ金属イオンは、ポリマー電解質基材物質の主鎖中の酸素原子に配位し、ポリマー電解質基材物質自身の分子運動によりイオン移動が行われる。
ただし、この機構ではアルカリ金属イオンの移動がポリマー電解質基材物質の分子運動によって制限を受けてしまう為、スムーズな動きを妨げてしまう。
一方、本実施形態に係る配位子化合物は、低分子量の化合物であるため、アルカリ金属イオンの動きを妨げることなく、スムーズに移動させることができる。この作用は、配位子化合物の動きやすさに起因するため、アルカリ金属イオン種が変更されようとも同様の効果を発揮する。
前記配位子化合物の塩基性としては、前記ポリマー電解質基材物質の塩基性よりも高いことが好ましい。
アルカリ金属イオンのイオン移動を向上させるにはアルカリ金属イオン種を多く添加するといった手段があるが、多くのポリマー電解質においてはアルカリ金属イオン種を多く添加するとポリマー電解質基材物質の結晶化を引き起こし、アルカリ金属イオンの移動を妨げてしまう。
しかし、本実施形態に係る配位子化合物を用いることで、ポリマー電解質基材物質の結晶化を抑制することができる。詳細は定かではないが、ポリマー電解質基材物質内だけではなくポリマー電解質基材物質間によるアルカリ金属イオンの配位が妨げられるため、ポリマー電解質基材物質が接近しにくくなり、結果として結晶化を抑制していると考えられる。
前記配位子化合物としては、アルカリ金属イオンと配位可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、窒素系複素環化合物、酸素系複素環化合物等の複素環化合物などが挙げられる。これらの中でも、強い塩基性を有し、より優先的にアルカリ金属イオンを捕捉(配位)できる観点から、窒素系複素環化合物が好ましい。
前記配位子化合物としては、ポリマー電解質基材物質よりも前記アルカリ金属イオンに優先して配位することが好ましい。なお、配位子化合物がポリマー電解質基材物質よりも優先的にアルカリ金属イオンを補足(配位)していることは、配位子化合物がアルカリ金属イオン及びポリマー電解質基材物質に配位可能な環境において、配位子化合物がポリマー電解質基材物質に配位する時間よりも短い時間でアルカリ金属イオンに配位することにより判断することができる。また、所定の時間において、配位子化合物がアルカリ金属イオン及びポリマー電解質基材物質に配位可能な環境下であるときに、ポリマー電解質基材物質に配位している配位子化合物量よりも、アルカリ金属イオンに配位している配位子化合物量が多いことを測定することにより判断することができる。
前記複素環化合物としては、ビピリジン系化合物、フェナンスロリン系化合物、複数のピリジル基がアルキル基、アルキレン基、フェニル基等の連結基により連結された化合物、イミダゾール系化合物等が好ましい。
アルカリ金属イオンと配位する複素環化合物としてはジオキサンやクラウンエーテル等の環状エーテル系化合物が存在するが、これらは酸化されやすく、駆動電圧の高い二次電池で用いると分解副生成物が発生し、二次電池特性に悪影響を与えるため、好ましくない。
前記窒素複素環化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロリジン、ピロール、オキサゾール等の五員環の窒素複素環化合物、ピペリジン、2,2’-ビピリジン、2,3’-ビピリジン、4,4’-ビピリジン、1,2-ジ(4-ピリジル)エチレン、1,3-ジ(4-ピリジル)プロパン、1,4-ビス[(1H-イミダゾールー1-イル)―メチル]ベンゼン、1,10-フェナンスロリン等の六員環の窒素複素環化合物、ヘキサメチレンイミン、アザトロピリデン等の七員環の窒素複素環化合物などが挙げられる。これらの中でも、2,2’-ビピリジン、2,3’-ビピリジン、4,4’-ビピリジンが好ましく、高いイオン移動度及びイオン輸率が得られる観点から2,2’-ビピリジンがより好ましい。
前記酸素複素環化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、フラン、オキサゾール、ジオキソフラン等の五員環の酸素複素環化合物、ジオキサン、ピラン、テトラヒドロピラン等の六員環の酸素複素環化合物、ヘキサメチレンオキシド、オキシシクロヘプタトリエン等の七員環の酸素複素環化合物などが挙げられる。
前記配位子化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリマー電解質に対して、0.5質量%以上70質量%以下が好ましく、5質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<可塑剤>
本実施形態においてイオン移動度を向上させるために可塑剤を加えることができ、前記可塑剤は、ポリマー電解質中においてアルカリ金属イオンの移動を助ける効果がある。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エーテル系化合物、イオン液体などが挙げられる。
<エーテル系化合物>
前記エーテル系化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2-ジメトシキエタン(DME)、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル等のグライム(R-O(CHCHO)n-R’(R、R’は飽和炭化水素、nは整数)で表される対称グリコールジエーテルの総称)などが挙げられる。これらの中でも、イオン伝導性の観点から、テトラグライム(テトラエチレンジメチルグリコール、G4)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、G3)、ペンタグライム(ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、G5)、ヘキサグライム(ヘキサエチレングリコールジメチルエーテル、G6)が好ましく、電解質塩と錯体構造を形成できる点から、テトラグライム、トリグライムがより好ましい。
<イオン液体>
前記イオン液体を構成するカチオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラエチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムイオン、N,N-ジエチル-N-メチル-メトキシエチルアンモニウムイオン、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムイオン、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-ブチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-ヘキシルイミダゾリウムイオン、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-1-プロピルピペリジウムイオン、1-メチル-1-ブチルピペリジウムイオン、1-エチルピリジニウムイオン、1-ブチルピリジニウムイオン、1-ヘキシルピリジニウムイオン、トリブチル-n-オクチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラ-n-オクチルホスホニウムイオン、メチルトリフェニルホスホニウムイオン、イソプロピルトリフェニルホスホニウムイオン、メトキシカルボニルホスホニウムイオン、(1-ナフチルメチル)トリフェニルホスホニウムイオン、トリメチルスルホニウムイオン、(2-カルボキシエチル)ジメチルスルホニウムイオン、ジフェニルメチルスルホニウムイオン、トリ-n-ブチルスルホニウムイオン、トリ-p-トリルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、シクロプロピルジフェニルスルホニウムイオンなどが挙げられる。これらの中でも、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムイオン、又は1-メチル-1-プロピルピロリジニウムイオンが好ましい。
イオン液体を構成するアニオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PF 、BF 、N(SOF) 、N(SOCF 、N(SO 、SOCF などが挙げられる。これらの中でも、ビスフルオロスルホニルイミドイオン(N(SOF) )及びテトラフロオロボレートイオン(BF )が好ましい。
<蓄電素子>
本実施形態に係る蓄電素子は、正極と、負極と、ポリマー電解質とを有し、前記正極と前記負極との間に配置され、前記ポリマー電解質を保持するセパレータを有してもよく、更に必要に応じてその他の部材を有する。
<蓄電素子の製造方法>
蓄電素子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極、負極、及びポリマー電解質、更に必要に応じて他の構成部材を、適切な形状に組み立て、容器に収める方法などが挙げられる。
本実施形態に係る蓄電素子の形状については、特に制限はなく、図1に示すような形状の他にも、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。
前記形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シート電極及びポリマー電解質をスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びポリマー電解質を組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びポリマー電解質を積層したコインタイプなどが挙げられる。
本実施形態に係る蓄電素子は、図1に示すように、正極1と、正極1に対向して設けられた負極2と、正極1と負極2との間に配置されたポリマー電解質3と、を有している。
蓄電素子10は、正極1と、負極2と、ポリマー電解質3とを囲繞して保持する外装缶としての容器5と、容器5を貫いて正極1と接続された正極線6と、同様に容器5を貫いて負極2と接続された負極線7と、を有している。
<電極>
本実施形態に係る電極は、必要に応じてその他の部材を有する。
前記電極としては、正極及び負極のいずれであってもよい。
-正極-
正極は、正極集電体と、正極材と、を備えた平板状の電極部である。
正極材は、正極活物質、バインダ、導電助剤、及び増粘剤を含有し、更に必要に応じて固体電解質、例えば本実施形態に係るポリマー電解質、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、ゲル状高分子系固体電解質、その他の成分を含有する。
-正極活物質-
本実施形態に係る正極活物質は、アルカリ金属を含む酸化物、遷移金属を含む酸化物、又はアルカリ金属及び遷移金属を含む酸化物であることが好ましく、アルカリ金属を含む酸化物がより好ましい。アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)から選択される1種以上であることが好ましい。
アルカリ金属を含む酸化物としては、AMO、AM、AMO、又はAMBOで表されるアルカリ金属含有複合酸化物を用いてもよい。式中のAは、アルカリ金属であり、好ましくはLiである。 式中のMは、主として遷移金属であり、Co、Mn、Ni、Cr、Fe、Tiからなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。Mは、遷移金属以外にもAl、Ga、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、B等の非遷移金属を含んでもよい。式中のBは、P及びSiからなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
アルカリ金属を含む酸化物である正極活物質の好ましい具体例としては、LixCoO,LixNiO,LixMnO,LixCrO,LixCoaNi1-aO,LixMnaNi1-aO,LixCobMncNi1-b-cO,LixMn,LiyMnO,LiyMneFe1-eO,LiyMneTi1-eO,LixCoPO,LixMnPO,LixNiPO,LixFePO,LixMnfFe1-fPO等のリチウム含有複合酸化物を挙げることができる。 上記において、x=0.01~1.2,y=0.01~2.2,a=0.01~0.99,b=0.01~0.98,c=0.01~0.98である。但し、b+c=0.02~0.99,d=1.49~1.99,e=0.01~0.99,f=0.01~0.99,g=0.01~0.99,h=0.01~0.99である。尚、上記のx,yの値は充放電によって増減する。
-バインダ及び増粘剤-
バインダは、正極活物質同士、又は正極活物質と正極集電体とを結着させ、電極構造を維持するためのバインダである。
バインダの材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系バインダ、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン-プロピレン-ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素系バインダとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
なお、バインダは、電極製造時に用いる溶媒、及び印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。
-導電助剤-
前記導電助剤とは、電極中に分散して電極の抵抗を低減するために使用される導電性材料を指し、電極材料間の導電性を補助する役割を担い、導電ネットワークの形成機能を有する。
前記導電助剤は、金属材料、又は正極活物質に合わせて炭素質材料を用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電助剤に用いられる金属材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
前記導電助剤に用いられる炭素質材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。
これら導電助剤は活物質と複合化して使用することもでき、これにより導電性を向上させることができる。
-正極集電体-
正極集電体は、蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが好ましい。
前記正極集電体の種類(形状や加工の有無)としては、後述する正極の製造方法の工程において、使用可能な耐久性があれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プレーン箔、孔空箔、エッジド箔、貫通箔、突起箔、エキスパンドメタルなどが挙げられる。これらの中でも、プレーン箔、孔空箔、エッジド箔、貫通箔、突起箔が好ましい。
前記正極集電体上に、前記導電助剤に用いられる炭素質材料があらかじめ塗布されているコーティング箔を正極集電体として使用してもよい。この際にコーティング層として使用される炭素質材料は導電助剤で既に説明した導電助剤として使用される炭素質材料と同様の炭素質材料を用いることができる。これらの中でも、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。
<正極の製造方法>
正極の製造方法としては、正極活物質に、必要に応じて、バインダ、増粘剤、導電助剤、溶媒を加えてスラリー状とした正極材を、正極集電体上に塗布し、乾燥させる方法などが挙げられる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール等水系溶媒、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、トルエン、アニソール等の有機系溶媒などが挙げられる。
なお、正極活物質をロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としてもよい。
-負極-
負極は、負極集電体と、負極材と、を備えた平板状の電極部である。
負極材は、負極活物質、バインダ、導電助剤、増粘剤、及び導電助剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
-負極活物質-
負極活物質は、非水溶媒系でカチオンを吸蔵及び放出可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極活物質に用いられる材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオンとしてのリチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素質材料、金属酸化物、リチウムと合金化可能な金属又は金属合金、リチウムと合金化可能な金属とリチウムとを含む合金とリチウムとの複合合金化合物、チッ化金属リチウムなどが挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化アンチモン錫、一酸化珪素などが挙げられる。
リチウムと合金化可能な金属又は金属合金としては、例えば、リチウム、アルミニウム、錫、珪素、亜鉛などが挙げられる。
リチウムと合金化可能な金属とリチウムとを含む合金とリチウムとの複合合金化合物としては、例えば、チタン酸リチウムなどが挙げられる。
チッ化金属リチウムとしては、例えば、チッ化コバルトリチウムなどが挙げられる。
これらのうち、安全性とコストの点から、炭素質材料が好ましい。炭素質材料としては、例えば、黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物、活性炭などが挙げられる。前記黒鉛(グラファイト)としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素などが挙げられる。
これらの負極活物質に用いられる材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛、チタン酸リチウムが好ましい。
なお、カチオンとしては、リチウムイオンが汎用されている。
-導電助剤-
負極に用いられる導電助剤としては、正極で既に説明した導電助剤と同様の導電助剤を用いることができる。
-バインダ及び増粘剤-
負極に用いられるバインダ及び増粘剤としては、前記正極のバインダと同様のバインダ及び増粘剤を用いることができる。
前記バインダ及び増粘剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フッ素系バインダ、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
-負極集電体-
負極集電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたものであり、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。これらの中でも銅が好ましい。
前記負極集電体の形状は、平板状の他、目的に応じて適宜選択してよい。
前記負極集電体の大きさは、蓄電素子に使用可能な大きさであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
-負極の製造方法-
負極の製造方法としては、負極活物質に、必要に応じてバインダ、増粘剤、導電助剤、溶媒などを加えてスラリー状とした負極材を、負極集電体上に塗布して乾燥する方法が用いられる。
なお、スラリー状とした負極材をそのままロール成形してシート電極とする方法、圧縮成形によりペレット電極とする方法、蒸着、スパッタ、メッキ等により負極集電体上に負極活物質の薄膜を形成する方法などを用いてもよい。
負極の製造方法に用いる溶媒としては、正極の製造方法と同様の溶媒を用いることができる。
-セパレータ-
前記セパレータは、正極と負極との短絡を防ぐために正極と負極との間に設けることができる。前記セパレータの材質、形状、大きさ、及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製の不織布、ガラスフィルター、多孔質セラミックフィルム、多孔質薄膜フィルム等を用いることができる。
前記セパレータとしては、単層構造であってもよく、複数のセパレータを重ね合わせた積層構造であってもよい。前記セパレータは正極上、負極上、ポリマー電解質内のいずれかの箇所に配置することができる。
-固体電解質-
本発明において、ポリマー電解質と固体電解質を合わせて使用することができる。本発明において固体電解質とは電極中に分散して電極のイオン移動抵抗を低減するために使用される電解質を指し、電極材料間のイオン導電性を補助する役割を担う。
前期固体電解質の例としては、リチウムを含む固体電解質、例えば、Li10GePS1、Li13、70LiS-30P、La0.1Li0.34TiO2.94、Li1.1Al0.7Ti1.5(PO、LiLaZr12、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiO-Al-SiO-P-TiO-GeO、La0.51Li0.34Ti2.94、Li2.9PO3.30.46などを好ましく用いることができる。ポリマー電解質と固体電解質を合わせて使用することで、柔軟性に乏しい固体電解質に柔軟性を付与し蓄電素子の用途を広げることができ、さらにイオン移動度を向上させることができる。
<用途>
前記蓄電素子の用途には、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の電源、バックアップ電源などが挙げられる。
本実施形態に係るポリマー電解質は高いイオン伝導率と大きなアルカリ金属イオン輸率を示す。この理由は定かではないが、ポリマー電解質基材物質へのアルカリ金属イオンの配位によってイオンが束縛されることで起きるイオン移動の遅延が、本実施形態に係る配位子化合物の添加によって改善している。このことから、配位子化合物とアルカリ金属イオンの配位が優先的に起こり、ポリマー電解質基材物質への束縛が解消されるために移動速度が速くなるためと考えられる。
以下本実施形態に係る実施例について記載するが、ポリマー電解質前駆体の調整、ポリマー電解質の作製、コインセル組み立てはすべて水分、酸素濃度ともに<0.1ppmのグローブボックス内で行った。
(実施例1)
<ポリマー電解質前駆体の調整>
ポリエーテル系重合体のモノマーとしてポリエチレングリコールジアクリレート(東京化成工業株式会社製。エチレングリコールの繰り返し数n=14。以下PEGDAn=14と記載)を0.88g、LIFSI(キシダ化学株式会社製)を0.58g、可塑剤としてのトリグライム(キシダ化学株式会社製)を1.48g、配位子化合物としての2,2’-ビピリジン(東京化成工業株式会社製)を0.88mg、熱重合開始剤としてのV-601(富士フイルム和光製)を8.8mg混合し、ポリマー電解質前駆体を調整した。
<ポリマー電解質の作製>
調整したポリマー電解質前駆体をアルミ箔上にブレード塗工(箔とブレードのギャップを200μmに設定)し、80℃ホットプレート上で5分間加熱することでポリマー電解質を作製した。
<イオン移動度の測定>
得られたポリマー電解質を直径16mmの円形に打ち抜き、直径16mm、厚さ0.5mmのSUS製スペーサーで挟み込んだ。これを2032コインセル外挿に組み込みイオン移動度評価用コインセルを組み立てた。
組み立てたコインセルを23℃においてインピーダンスアナライザーで交流インピーダンスを7MHzから4mHzまで測定し、高周波数側の円弧と低周波数側の直線との交点の実数成分インピーダンスを求め、以下の式に基づいてイオン移動度を算出した。
Figure 2023018437000002
また、得られたポリマー電解質を繰り返し使用(充電と放電)した後のイオン移動度を測定した。繰り返し使用回数としては、1,000回使用した。
<Liイオン輸率t+の測定>
ポリマー電解質前駆体を直径8cmのシャーレに底面が完全に覆われる量をいれ、80℃ホットプレート上で5分間加熱することでポリマー電解質を作製した。ポリマー電解質をシャーレからはがしとり、直径16mmの円形に打ち抜き、直径16mmのLi箔で両側から挟み込んだ。これを2032コインセル外挿に組み込みLiイオン輸率測定用コインセルを組み立てた。
組み立てたコインセルを23℃においてインピーダンスアナライザーで交流インピーダンスを7MHzから4mHzまで測定し、初期状態のバルク抵抗R(0)を測定した。続いて、10mVの直流分極電圧Vを加えてセルを流れる電流の経時変化を3時間測定し、直流分極電圧を加え始めた際の電流値を初期電流値I(0)、3時間経過後に流れる電流値を定常電流値I(s)とした。3時間後に再び交流インピーダンス測定を行い定常状態のバルク抵抗R(s)を求めた。以下の式に基づいてLiイオン輸率t+を算出した。
Figure 2023018437000003
また、得られたポリマー電解質を繰り返し使用(充電と放電)した後のLiイオン輸率t+を測定した。繰り返し使用回数としては、1,000回使用した。
<結晶性の測定>
ポリマー電解質の結晶性をX線回折スペクトル測定から評価した。ポリマー電解質のX線回折スペクトルはX線原にCuKα線を用い、XRD装置(Discover8、Bruker製)を用いて得た。ブラッグ角度2θ=20°及び24°付近のピークの有無からポリマーの結晶化の有無を判定した。実施例1の結果を表1に記した。
(実施例2)
実施例1の2,2’-ビピリジンを1.76mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例3)
実施例1の2,2’-ビピリジンを2.64mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例4)
実施例1の2,2’-ビピリジンを4.4mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例5)
実施例1の2,2’-ビピリジンを8.8mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例6)
実施例1の2,2’-ビピリジンを17.6mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例7)
実施例1のモノマーをエチレングリコールの繰り返し数n=9のモノアクリレート0.44g、PEGDAn=14を0.44gの混合物とした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例8)
実施例1のモノマーをエチレングリコールの繰り返し数n=9のモノアクリレート0.44g、エチレングリコールの繰り返し数n=4のPEGDAn=4を0.63gの混合物とした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例9)
実施例1のモノマーをエチレングリコールの繰り返し数n=9のモノアクリレート0.44g、エチレングリコールの繰り返し数n=9のPEGDAn=9を0.48gの混合物とした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例10)
実施例1のLiFSIをLiTFSI 0.89gとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例11)
実施例1のLiFSIをLiPF 0.47gとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例12)
実施例1のLiFSIをLiBF 0.29gとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例13)
実施例1のトリグライムをテトラグライム 1.84gとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例14)
実施例1のPEGDAをポリエチレンオキサイド(PEOアルドリッチ製Mw=600,000)0.88gとし、重合開始剤を用いず重合処理を行わなかった以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例15)
実施例1のPEGDAをポリメチルメタクリレート(PMMA アルドリッチ製Mw=15,000)0.88gとし、重合開始剤を用いず重合処理を行わなかった以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例16)
実施例1のPEGDAをポリアクリロニトリル(PAN アルドリッチ製Mw=150,000)0.88gとし、重合開始剤を用いず重合処理を行わなかった以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例17)
実施例1のPEGDAをポリビニリデンフルオリド―CO―ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP アルドリッチ製Mw=400,000)0.88gとし、重合開始剤を用いず重合処理を行わなかった以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定した。結果を表1に記した。
(実施例18)
実施例1の2,2’-ビピリジンを2,3’-ビピリジン0.88mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例19)
実施例1の2,2’-ビピリジンを4,4’-ビピリジン0.88mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例20)
実施例1の2,2’-ビピリジンを下記化合物(1)1,2-ジ(4-ピリジル)エチレン0.88mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
Figure 2023018437000004
(実施例21)
実施例1の2,2’-ビピリジンを下記化合物(2)1,3-ジ(4-ピリジル)プロパン0.88mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
Figure 2023018437000005
(実施例22)
実施例1の2,2’-ビピリジンを下記化合物(3)1,4-ビス[(1H-イミダゾールー1-イル)―メチル]ベンゼン0.88mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
Figure 2023018437000006
(実施例23)
実施例1の2,2’-ビピリジンを下記化合物(4)1,10-フェナンスロリン0.88mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
Figure 2023018437000007
(実施例24)
実施例1の熱重合開始剤を光重合開始剤である2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン8.8mg使用に変更し、ホットプレート加熱の代わりに波長365nmのUV光を30秒照射するとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例25)
実施例1の熱重合開始剤を4.4mgとし、実施例24で使用した光重合開始剤を4.4mg追加し、UV照射の後に80℃ホットプレート上で5分間加熱した以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例26)
実施例1の2,2’-ビピリジンを26.4mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(実施例27)
実施例1の2,2’-ビピリジンを0.088mgとした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表1に記した。
(比較例1)
実施例1の2,2’-ビピリジンを無添加とした以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表2に記した。
(比較例2)
実施例1の重合性モノマーをPEGDAn=14を0.44gと下記比較化合物1を0.44gの混合物とし、2,2’-ビピリジンを添加しなかった以外は実施例1と同様にポリマー電解質を作製し、イオン移動度とLiイオン輸率を測定及び結晶化を判定した。結果を表2に記した。
Figure 2023018437000008
Figure 2023018437000009
Figure 2023018437000010
表1の結果から配位子化合物である2,2’-ビピリジン添加量が増えるとイオン移動度が低下する傾向がみられた。一方、Liイオン輸率は、0.4付近と比較的大きな値を示しており、Liイオンの移動度(イオン移動度とLiイオン輸率の積)は、比較例1の配位子化合物無添加品と比較して大きな値となった。また、いずれの結果も結晶性のピークは観察されなかった。
実施例7~9は、モノマーとしてモノアクリレートを使用した結果である。モノアクリレートを使用することにより、ポリマー電解質中の架橋密度が低下し、イオン移動がしやすくなったため、実施例7は実施例1と比較して、イオン移動度が大きくなり結果としてLiイオンの移動度が大きくなった。実施例8,9に関してはジアクリレートモノマーの柔軟性が乏しくなるため、若干イオン移動度が低下した。一方、いずれの結果も結晶性のピークは観察されなかった。
実施例10~12は、Li塩をLiFSIから変更し評価を実施した。いずれの実施例においても比較例1の配位子化合物未添加品と比較してLiイオン輸率が大きいためLiイオンの移動度が大きくなることが分かった。また、いずれの結果も結晶性のピークは観察されなかった。
実施例13は、可塑剤をトリグライムからテトラグライムに変更しているがトリグライム使用時とLiイオンの移動度がほぼ同等の値を示し、結晶性のピークは観察されなかった。
実施例14~17は、はモノマーを用いずあらかじめ重合されたポリマーを用いた検討である。各種ポリマーにおいても配位子化合物である2,2’-ビピリジンの添加効果があることが分かった。また、いずれの結果も結晶性のピークは観察されなかった。
実施例18~23は、配位子化合物種を変更した結果である。ビピリジン系の化合物が良好なLiイオン輸率を示すことが分かった。また、いずれの結果も結晶性のピークは観察されなかった。
実施例24~25は、重合開始剤を変更した検討である。熱重合開始剤を光重合開始剤に変更してもとLiイオンの移動度はほぼ同等であった。また両方の重合開始剤を混合して使用してもとLiイオンの移動度はほぼ同等の値であった。また、いずれの結果も結晶性のピークは観察されなかった。
実施例18~23は、配位子化合物である2,2’-ビピリジン添加量を極端に多く、もしくは少なくした検討結果である。配位子化合物を多くした場合、Liイオンのポリマー電解質基材物質への配位がより抑えられるため、Liイオン輸率は向上するが、イオン移動度は低下した。一方、配位子化合物を少なくした場合、Liイオンのポリマー電解質基材物質への配位が起こりやすくなるためLiイオン輸率は低下し無添加の場合(比較例1)と同等のイオン移動度、Liイオン輸率となった。ただし、いずれの結果も結晶性のピークは観察されなかった。
比較例1は、配位子化合物を添加しない場合であり、Liイオン輸率が低いためLiイオン移動度が低くなっている。比較例2は、ポリマー電解質基材物質骨格中に配位子化合物を導入した事例であるが、この場合はLiイオンがポリマー鎖に束縛されてしまう為、Liイオンの移動度は低下してしまう。さらに比較例1、2いずれも結晶性ピークが観察されており、イオン移動が繰り返されることにより結晶化が進行して、イオン移動度がより低下する恐れがある。
(実施例28)
<正極の作製>
正極活物質であるニッケル、コバルト、アルミの混合粒子94質量部と、導電助剤のケ
ッチェンブラック3質量部と、バインダ樹脂としてポリフッ化ビニリデン3質量部を、溶媒としてのN-メチルピロリドン中に均一に分散して、正極スラリーを得た。
次に、得られた正極スラリーを、正極集電体としての平均厚み20μmのプレーンアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。120℃に設定した温風乾燥機で20分乾燥することで正極を得た。
<正極上へのポリマー電解質層の形成>
実施例1と同様に調整したポリマー電解質前駆体を作製した正極上にブレード塗工し、80℃ホットプレート上で5分間加熱することでポリマー電解質を作製した。
<コインセルの作製>
得られたポリマー電解質を有する正極を直径16mmの円形に打ち抜き、直径16mmのLi箔をポリマー電解質層上に配置した。これを2032コインセル外挿に組み込み評価用コインセルを組み立てた。
<充放電試験>
得られた実施例28のコインセルを25℃の恒温槽中に保持し、自動電池評価装置(1024B-7V0.1A-4、株式会社エレクトロフィールド製)を用いて、以下のとおりの充放電試験を実施した。
充電レート0.05C換算の電流値において、充電終止電圧として4.2Vまで定電流充電を行った。5分休止後、0.05C換算の電流値において、放電終止電圧として3.0Vまで定電流放電を行った。このサイクルを3回実施し、放電容量を測定した。
なお、0.05C換算の電流値とは、公称容量値の容量を有するコインセルを定電流放電して、20時間で放電終了となる電流値のことである。放電容量は、正極活物質1g当たりの換算値(mAh/g)である。
Figure 2023018437000011
表10は、結果から本実施形態に係るポリマー電解質はLiイオンを輸送し、二次電池を駆動させることができた。
本実施形態に係る態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> アルカリ金属イオンと、ポリマー電解質基材物質と、前記ポリマー電解質基材物質とは別の分子である配位子化合物と、を含むことを特徴とするポリマー電解質である。
<2> 前記配位子化合物は、前記アルカリ金属イオンに配位可能である、前記<1>に記載のポリマー電解質である。
<3> 前記配位子化合物は、前記ポリマー電解質基材物質よりも前記アルカリ金属イオンに優先して配位する、前記<1>から<2>のいずれかに記載のポリマー電解質である。
<4> 前記ポリマー電解質基材物質が、アクリル系重合体、ニトリル系重合体、フッ素系重合体、及びポリエーテル系重合体の少なくともいずれかである、前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリマー電解質である。
<5> 前記ポリマー電解質基材物質が、ポリエーテル系重合体である、前記<4>に記載のポリマー電解質である。
<6> 前記配位子化合物の塩基性は、前記ポリマー電解質基材の塩基性よりも高い、前記<1>から<5>のいずれかに記載のポリマー電解質である。
<7> 前記配位子化合物が、2,2’-ビピリジン、3,3’-ビピリジン、及び4,4’-ビピリジンの少なくともいずれかである、前記<6>に記載のポリマー電解質である。
<8> 前記配位子化合物が、2,2’-ビピリジンである、前記<7>に記載のポリマー電解質である。
<9> 前記アルカリ金属イオンが、リチウム塩である、前記<1>から<8>のいずれかに記載のポリマー電解質である。
<10> 前記リチウム塩が、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの少なくともいずれかである、前記<1>から<9>のいずれかに記載のポリマー電解質である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載のポリマー電解質を備えることを特徴とする二次電池である。
前記<1>から<10>のいずれかに記載のポリマー電解質、前記<11>に記載の二次電池によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 正極
2 負極
3 ポリマー電解質
5 容器
6 正極線
7 負極線
10 蓄電素子
特開平9-97618号公報

Claims (11)

  1. アルカリ金属イオンと、ポリマー電解質基材物質と、前記ポリマー電解質基材物質とは別の分子である配位子化合物と、を含むことを特徴とするポリマー電解質。
  2. 前記配位子化合物は、前記アルカリ金属イオンに配位可能である、請求項1に記載のポリマー電解質。
  3. 前記配位子化合物は、前記ポリマー電解質基材物質よりも前記アルカリ金属イオンに優先して配位する、請求項1から2のいずれかに記載のポリマー電解質。
  4. 前記ポリマー電解質基材物質が、アクリル系重合体、ニトリル系重合体、フッ素系重合体、及びポリエーテル系重合体の少なくともいずれかである、請求項1から3のいずれかに記載のポリマー電解質。
  5. 前記ポリマー電解質基材物質が、ポリエーテル系重合体である、請求項4に記載のポリマー電解質。
  6. 前記配位子化合物の塩基性は、前記ポリマー電解質基材の塩基性よりも高い、請求項1から5のいずれかに記載のポリマー電解質。
  7. 前記配位子化合物が、2,2’-ビピリジン、3,3’-ビピリジン、及び4,4’-ビピリジンの少なくともいずれかである、請求項6に記載のポリマー電解質。
  8. 前記配位子化合物が、2,2’-ビピリジンである、請求項7に記載のポリマー電解質。
  9. 前記アルカリ金属イオンが、リチウム塩である、請求項1から8のいずれかに記載のポリマー電解質。
  10. 前記リチウム塩が、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの少なくともいずれかである、請求項1から9のいずれかに記載のポリマー電解質。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載のポリマー電解質を備えることを特徴とする二次電池。

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