JP2023017649A - マイクロリアクタおよび生成物生成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】温調液などの異物が混入するおそれがなく、操作者の作業負荷を低減したマイクロリアクタを提供する。【解決手段】本発明に係るマイクロリアクタ101は、平板状の複数のプレートを積層させて構成されており、少なくとも2種類の原料を混合して生成物を生成するものであり、前記複数のプレートのうちの1枚のプレートは、同一面上に、前記原料を導入する入口(第1原料入口107、第2原料入口108)と、前記生成物を含有する溶液を排出する生成物出口109と、温度制御用の熱媒体を導入する温調液入口110と、前記熱媒体を排出する温調液出口111と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロリアクタおよびこれを用いた生成物生成方法に関する。
近年、バイオ関連や医薬品、化成品等の製造の分野において、原料を混合させるためにマイクロリアクタの利用が進められている。マイクロリアクタは、μmオーダーの微小流路を有するフロー型の反応器であり、流体同士の混合や反応に用いられている。マイクロリアクタは、一般に、モールド成形、リソグラフィ等のマイクロ加工技術を用いて作製されており、交換可能な着脱式や使い捨てを想定したシングルユース式も検討されている。
マイクロリアクタでは、微小流路を反応場とするため、分子拡散による流体の混合を迅速に行うことができる。また、従来の大型の反応器を使用したバッチ法と比較して、流体の体積に対する表面積の効果が相対的に大きくなるため、熱伝達、熱伝導、反応等の効率が高くなる特長を有する。従って、通常のバッチ反応では発熱により暴走してしまう危険性のある反応、精密な温度制御を必要とする反応、急速な加熱または冷却を必要とする反応でも、マイクロリアクタでは容易に行うことができる可能性がある。このような特性から、種々の分野でマイクロリアクタの適用による反応時間の短縮や反応収率の向上が期待されている。
一方で、マイクロリアクタでは、原料を混合させる混合流路の後に、反応が進行するのに必要な反応時間に対応した滞留時間を担保するための反応流路を設ける必要がある場合がある。また、マイクロリアクタを用いて生産量を増やす場合は、同じ滞留時間を担保するために、反応流路の長さを長くするか、反応流路の断面積を大きくするか、同一形状の流路を並列化する(N倍化、ナンバリングアップとも呼ばれる)必要がある。さらに、マイクロリアクタによる効果を十分に発揮するために、これらの流路を流れる流体の温度制御に関しては、これまでいろいろな検討がなされている。
例えば、特許文献1には、複数のプレートを重ねた積層体を備え、積層体がプレート同士の間または/およびプレートに形成された孔や溝により通路を形成しているマイクロリアクタが記載されている。このマイクロリアクタでは、積層体が各プレートに設けられた位置決め用の貫通孔を有し、貫通孔を利用して、流路に導入される流体を加熱したり冷却したりするための熱冷媒流路を形成している。また、それとともに、積層体が両端に配置された固定板材を有し、固定板材同士をボルト・ナット等の締付具により接近方向に締め付けることにより、プレート同士を重合している。
また、特許文献2には、複数の原料流体同士を反応させる反応流路と、反応流路を流れる原料流体の温度を調節するための温調流路を備えたマイクロリアクタが記載されている。このマイクロリアクタでは、温調流路は、反応流路のうち少なくとも合流部から下流側の反応流路部の特定の範囲に沿って延びる部分を有する複数の第1温調流路部を含んでいる。また、この温調流路は、複数の第1温調流路部の下流側の端部に繋がる、第1温調流路部よりも少数の第2温調流路部を含んでいる。そして、この第2温調流路部の断面積は、各第1温調流路部の断面積よりも大きくなっている。
そして、特許文献3には、少なくとも2種類の原料を混合させる混合流路と、混合流路の下流側に接続され、混合物が反応を起こす反応流路とを有し、反応流路が形成されている面の裏側の面に、熱制御用の流路が形成されているマイクロリアクタが記載されている。このマイクロリアクタでは、反応流路内を混合物が流動する過程において、少なくとも1回は反応流路の表面積/体積比(S/V比)が変わり、しかも、上流側の方が反応流路の表面積/体積比(S/V比)が大きくなっている。
特開2013-208619号公報 特許第6190316号公報 特許第4777383号公報
しかしながら、マイクロリアクタを用いて生産量を増やす場合は、同じ滞留時間を担保するために、反応流路の長さを長くするか、反応流路の断面積を大きくするか、同一流路を並列化するか、のいずれか1つの方法で対応できるとは限らず、2つの方法または3つの方法を組み合わせて用いることも少なくない。また、温度制御性を考えた場合、反応が進行するのに必要な反応時間に対応した滞留時間を担保するには、反応流路の長さを長くするのが容易である。一方で、反応流路が長くなると、持ち運びが可能なサイズの一枚の反応流路プレート(マイクロリアクタ)では反応流路が収まらなくなるため、複数枚の反応流路プレート(マイクロリアクタ)が必要となる。
複数枚の反応流路プレートの温度を制御する方法として、1)恒温槽に浸漬する、2)反応流路プレートと温度制御用プレートを交互に積層する、などの方法が挙げられる。1)については、マイクロリアクタが2枚の平板状のプレートから構成され、これらのプレートをボルト・ナット等の締付具で締め付けることにより反応流路が形成される場合、締付具の締め付けが不十分であると、そのすき間から恒温槽の温度制御用の熱媒体(温調液)が混入し、原料や生成物に温調液が混入する可能性がある。また、マイクロリアクタに原料を導入する際には、マイクロリアクタと接続チューブを接続するために接手を用いるが、接手の締め付けが不十分であると、そのすき間から恒温槽の温調液が混入する可能性がある。さらに、材質により熱膨張係数が異なるため、温調液の温度の変動により締付具や接手の締め付けが緩み、すき間から温調液が混入する可能性がある。
一方、2)については、反応流路プレートと温度制御用プレートを交互に積層しているため、温調液が反応流路プレート内に混入することは避けられる。しかし、反応流路プレート間を接続する接手や接続チューブ、および温度制御用プレート間を接続する接手や接続チューブが必要となり、反応流路プレートの枚数が増えれば増えるほど、取り扱いが煩雑になる。また、複数枚の反応流路プレートを用いた場合、同一方向に積層していくため、必然的に原料の入口と生成物の出口が相対する方向に存在する。従って、入口および出口に接手および接続チューブを接続する際に、入口側と出口側の2方向からアクセスする必要があり、マイクロリアクタの設置場所や、マイクロリアクタへのアクセス方向に制約が生じる。そのため、2)については、操作者の作業負荷が高くなる傾向にあった。
そこで、本発明は、温調液などの異物が混入するおそれがなく、操作者の作業負荷を低減したマイクロリアクタおよび生成物生成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、平板状の複数のプレートを積層させて構成されており、少なくとも2種類の原料を混合して生成物を生成するマイクロリアクタであり、前記複数のプレートのうちの1枚のプレートは、同一面上に、前記原料を導入する入口と、前記生成物を含有する溶液を排出する生成物出口と、温度制御用の熱媒体を導入する温調液入口と、前記熱媒体を排出する温調液出口と、を備えることとした。
本発明は、温調液などの異物が混入するおそれがなく、操作者の作業負荷を低減したマイクロリアクタおよび生成物生成方法を提供できる。
前述した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタの全体構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタの分解図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける前面カバープレートを正面側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける前面カバープレートを背面側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける前面カバープレートの正面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける前面カバープレートの背面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける予熱部プレートを正面側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける予熱部プレートを背面側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける予熱部プレートを正面側から見た分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける予熱部プレートの正面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける予熱部プレートの背面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける混合部プレートを正面側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける混合部プレートを正面側から見た分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける混合部プレートの正面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける混合部プレートの背面図である。 図5Bのvi部拡大透視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける滞留部プレートを正面側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける滞留部プレートを背面側から見た分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける滞留部プレートの正面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける滞留部プレートの背面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける背面カバープレートを正面側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける背面カバープレートの正面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける背面カバープレートの背面図である。 本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタにおける流路の構成と流体(液体)の流れを説明する分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係る生成物生成方法の一例を示すフローチャートである。 実施例で作製したPE製のマイクロリアクタに純水を送液した際の圧力損失を示すグラフである。図11では、横軸に第1原料の流量と第2原料の流量の和となる流量(mL/min)を、縦軸にマイクロリアクタに純水を送液した際の圧力損失(kPa)を示している。
<マイクロリアクタ>
以下、適宜図面を参照して、本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタについて説明する。
最初に、図1および図2を参照して、一実施形態に係るマイクロリアクタ101の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタ101の全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタ101の分解図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係るマイクロリアクタ101は、平板状の複数のプレートを積層させて構成されている。具体的には、マイクロリアクタ101は、前面カバープレート102、予熱部プレート103、混合部プレート104、滞留部プレート105、背面カバープレート106、および各プレート間に設置される各種パッキン(図示しない)から構成されている。マイクロリアクタ101は、少なくとも2種類の原料を混合して生成物を生成するために用いられる。本実施形態では、2種類の原料を混合して生成物を得る場合について説明する。
マイクロリアクタ101では、第1原料が前面カバープレート102上の第1原料入口107から導入される。また、第2原料が前面カバープレート102上の第2原料入口108から導入される。第1原料および第2原料はそれぞれ予熱部プレート103内を経由して、混合部プレート104内において第1原料と第2原料とが合流して混合される。混合部プレート104で混合された原料は、滞留部プレート105に導入され、さらに第1原料と第2原料との混合が進行し、生成物が生成される。第1原料と第2原料とが混合すると、反応が進行する場合には、混合部プレート104内において第1原料と第2原料とが合流した後に反応が開始され、さらに滞留部プレート105内において反応が進行される。得られた生成物は、滞留部プレート105から、混合部プレート104および予熱部プレート103を経由して、前面カバープレート102上の生成物出口109から排出される。
また、第1原料および第2原料を所定の温度で混合させるために、温度調節用の熱媒体(温調液)が、前面カバープレート102上の温調液入口110から導入される。マイクロリアクタ101内には、温調液が流れるための温調液流路が形成されており、温調液入口110から導入された温調液は、予熱部プレート103、混合部プレート104、滞留部プレート105を経て、背面カバープレート106に達した後、滞留部プレート105、混合部プレート104、予熱部プレート103を経て、前面カバープレート102上の温調液出口111から排出される。
つまり、マイクロリアクタ101は、複数のプレートのうちの1枚のプレート(具体的には前面カバープレート102)が、同一面上に、前記した原料を導入する入口(第1原料入口107、第2原料入口108)と、前記した生成物を含有する溶液を排出する生成物出口109と、熱媒体を導入する温調液入口110と、熱媒体を排出する温調液出口111とを備えている。
なお、マイクロリアクタ101における各流路の構成および詳細については、図3A~図9を参照して後述する。
ここで、第1原料、第2原料および温調液は、何らかの送液手段により導入される。送液手段としては、例えば、シリンジポンプ、手動によるシリンジ、プランジャポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクリューポンプなどを用いることができる。また、送液手段は、水頭差を用いるものでもよい。第1原料入口107、第2原料入口108および温調液入口110は、接手および接続チューブ(いずれも図示しない)を用いて何らかの送液手段と接続してもよい。この何らかの送液手段は、前記したものを用いることができる。また、生成物出口109および温調液出口111も、接手および接続チューブ(いずれも図示しない)を用いて何らかの容器と接続してもよい。何らかの容器としては、例えば、2Dバッグ、3Dバッグ、キャップ付きのボトル、ケミカルタンクなどが挙げられる。また、温調液入口110および温調液出口111は、ポンプを具備した循環恒温槽の出口および入口とそれぞれ接続することにより、温調液を循環させながら温調することができる。
温調液の種類は、設定したい反応温度に応じて適宜変更することができる。温調液としては、例えば、水、水-エタノール混合溶媒、エチレングリコールなど、設定したい反応温度で液体であるものを用いることができる。また、反応温度が室温である場合は、第1原料および第2原料の混合熱または反応熱と、マイクロリアクタ101の熱制御性とにより、必ずしも温調液は必要ないこともある。
また、マイクロリアクタ101において良好な混合を得るためには、マイクロリアクタ101における流路の代表径は2mm以下にすることが好ましい。特に、第1原料と第2原料とが合流する直前および合流した直後においては、2種類の原料を分子拡散により迅速に混合させるために、流路の代表径は数十μm~1mmの範囲にすることが好ましい。また、マイクロリアクタ101において、2種類の原料は、均一に混ざり合ってもよいし、混ざり合わずに不均一になっても(いわゆる乳化状態になっても)よい。
マイクロリアクタ101の材質は、混合や反応に悪い影響を与えないものであれば、反応の種類に応じて適宜変更することができる。マイクロリアクタ101は、例えば、ステンレス、シリコン、金、ガラス、ハステロイ、シリコン樹脂、アクリル、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、TPX(メチルテンペンポリマ)、フッ素系樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)などを用いて形成することができる。また、マイクロリアクタ101は、表面をグラスライニングした金属、表面をニッケルや金などでコーティングした金属、表面を酸化させたシリコンなど、耐食性を向上させたもので形成することができる。
また、前記した何らかの送液手段としてチューブポンプやシリンジポンプを用いる場合、接液部となる、接続チューブ、マイクロリアクタ101と接続チューブを接続する接手、シリンジおよびポンプヘッドなどの材質として、シリコン樹脂、アクリル、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フッ素系樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)などの各種樹脂を用いることができる。さらに、接液部となる、前記した何らかの容器に対しても、これらの各種樹脂を用いることができる。このようにすることで、マイクロリアクタ101を搭載するシステムにおいて、マイクロリアクタ101を含めた接液部のみをシングルユース(使い捨て)とすることが可能である。なお、接液部の材質は、すべて同一にする必要はなく、マイクロリアクタ101の加工性やチューブの柔軟性などに応じて適宜変更することができる。また、温調液の接液部については、必ずしもシングルユースにする必要はなく、適宜再利用することができる。
マイクロリアクタ101を構成する前面カバープレート102、予熱部プレート103、混合部プレート104、滞留部プレート105、背面カバープレート106には、各プレートを積層してネジ留めするための12個のネジ穴112が形成されている。そのため、各プレートを積層して、ネジとネジ穴112とによりこれらを固定したり、分解したりすることができる。ネジの緩みを防ぐために、ネジの座面と締め付け部の間に平座金(ワッシャー)を入れたり、ネジの先に緩み止めナットを取り付けたりしてもよい。また、ネジとネジ穴112は、各プレートを積層するときの位置決めの役割も果たしているが、ネジ穴112とネジ穴112の間に、さらに位置決め用の貫通孔を追加してもよい。なお、各プレートは、接着や、融接、圧接などの各種溶接、超音波溶接、振動溶接、誘導溶接、高周波溶接、レーザー溶接などの各種溶着の方法により、各プレートを分解できないように積層してもよい。
また、マイクロリアクタ101を構成するこれらの各プレートには、各プレートを積層した際の向きを特定するための切り欠き113が形成されているが、これは必ずしも形成されていなくてもよい。
なお、混合部プレート104の第1原料と第2原料との合流点付近の温度を測定するための熱電対挿入口114が形成されている。第1原料および第2原料の混合熱または反応熱が大きい場合は、熱電対挿入口114に熱電対を挿入して合流点付近の温度を測定することが好ましい。一方、設定したい反応温度が室温に近い場合、マイクロリアクタ101の熱制御性が高い場合、温調液の流量が大きい場合などは、熱電対挿入口114は必ずしも必要ないこともある。
次に、図3A~図9を参照して、本実施形態に係るマイクロリアクタ101を構成する前面カバープレート102、予熱部プレート103、混合部プレート104、滞留部プレート105、背面カバープレート106について説明する。
図3A~Dはそれぞれ、本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタ101における前面カバープレート102を正面側から見た斜視図、背面側から見た斜視図、正面図および背面図である。
図4A~Eはそれぞれ、本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタ101における予熱部プレート103を正面側から見た斜視図、背面側から見た斜視図、正面側から見た分解斜視図、正面図および背面図である。
図5A~Dはそれぞれ、本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタ101における混合部プレート104を正面側から見た斜視図、正面側から見た分解斜視図、正面図および背面図である。
図6は、図5Bのvi部拡大透視図である。
図7A~Dはそれぞれ、本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタ101における滞留部プレート105を正面側から見た斜視図、背面側から見た分解斜視図、正面図および背面図である。
図8A~Cはそれぞれ、本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタ101における背面カバープレート106を正面側から見た斜視図、正面図および背面図である。
図9は、本発明の一実施形態に係るマイクロリアクタ101における流路の構成と流体(液体)の流れを説明する分解斜視図である。
<前面カバープレート>
図3Aから図3Dに示すように、前面カバープレート102の正面側には、背面側まで貫通した第1原料入口107、第2原料入口108、生成物出口109および温調液出口111が形成されている。また、前面カバープレート102の正面側には、背面側までは貫通していない温調液入口110が形成されている。さらに、前面カバープレート102の正面側には、プレートを積層してネジ留めするための12個のネジ穴112が背面側まで貫通して形成されている。
なお、第1原料入口107および第2原料入口108は、図3Aおよび図3Cに示すように、前面カバープレート102の正面側において、右側上方に形成されている。本実施形態においては、第2原料入口108が、図3Aおよび図3Cにおいて、第1原料入口107よりも上方に形成されている。
生成物出口109は、図3Aおよび図3Cに示すように、前面カバープレート102の正面側において、左側下方に形成されている。
温調液出口111は、図3Aおよび図3Cに示すように、前面カバープレート102の正面側において、左側上方に形成されている。
温調液入口110は、図3Aおよび図3Cに示すように、前面カバープレート102の正面側において、右側下方に形成されている。
ネジ穴112は、図3Aおよび図3Cに示すように、前面カバープレート102の正面側において、前面カバープレート102の外縁に沿って均等な間隔で形成されている。
また、図3Bおよび図3Dに示すように、前面カバープレート102の背面側には、温調液流路304と、正面側から貫通した第1原料入口107、第2原料入口108、生成物出口109および温調液出口111が形成されている。なお、前面カバープレート102における温調液流路304は、図3Bおよび図3Dに示すように、前面カバープレート102の背面側において、中央部分に広い面積で略十字状ないし略矩形状に形成されている。
前面カバープレート102の背面側の温調液流路304、第1原料入口107、第2原料入口108、生成物出口109および温調液出口111の各周囲にはパッキン溝305が形成されている。
さらに、図3Aに示すように、前面カバープレート102には、背面側まで貫通していない温調液入口110から温調液流路304への流路303が形成されている。温調液入口110から導入された温調液は、温調液入口110から流路303を経由して、温調液流路304に導入される。
<予熱部プレート>
図4Aおよび図4Cに示すように、予熱部プレート103は、予熱部プレート上板401と予熱部プレート下板402とで構成される。予熱部プレート上板401には穴のみが形成されている。予熱部プレート下板402には、予熱部プレート上板401側の面と反対側の面の両面に穴や溝が形成されている。従って、予熱部プレート上板401と予熱部プレート下板402とを一体化することにより、予熱部プレート上板401と、予熱部プレート下板402の予熱部プレート上板401側の面とで流路が形成される。
予熱部プレート上板401と予熱部プレート下板402は、接着や、融接、圧接などの各種溶接、超音波溶接、振動溶接、誘導溶接、高周波溶接、レーザー溶接、レーザー透過溶着などの各種溶着により、パッキンを介さずに一体化することが可能である。これらの中でも、本実施形態においては、例えば、レーザー透過溶着を好適に適用できる。レーザー透過溶着は、レーザービームを透過させる光透過性樹脂と、光透過性樹脂を透過したレーザービームを吸収して発熱する光吸収性樹脂とを重ねて用い、これらに対して光透過性樹脂側からレーザービームを照射することで溶着するものである。光吸収性樹脂は、顔料系吸収色素および/または染料系吸収色素を含んでおり、これらの吸収色素がレーザービームを吸収して発熱する。そのため、光透過性樹脂は白色や無色の樹脂となることが多く、光吸収性樹脂は黒色などの有色の樹脂となる。
光透過性樹脂と光吸収性樹脂とは、これらの吸収色素を含んでいるか否かの違いしかなく、ともに母材となる樹脂は同じものを用いることができる。これらに用いることのできる樹脂としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PA(ポリアミド)、POM(ポリアセタール)、PPS(ポリファニルサルファイド)、PS(ポリスチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PAR(ポリアリレート)、PSF(ポリサルフォン)、PES(ポリエーテルサルフォン)などが挙げられるが、これらに限定されない。本実施形態においては、例えば、予熱部プレート上板401の材質を白色PE樹脂、白色PP樹脂または白色PC樹脂とし、予熱部プレート下板402の材質を黒色などの有色PE樹脂、有色PP樹脂または有色PC樹脂とすることが好適に挙げられる。より好適には、予熱部プレート上板401の材質を白色PE樹脂または白色PP樹脂とし、予熱部プレート下板402の材質を有色PE樹脂または有色PP樹脂とすることである。これらのようにすると、レーザー溶着により一体化した、耐腐食性を有する予熱部プレート103とすることができる。また、これらのようにすると、予熱部プレート103は、外部から流路内への接着剤や温調液などの異物混入が防止される。
図4Aおよび図4Dに示すように、予熱部プレート103の正面側には、背面側まで貫通しない第1原料入口(予熱部プレート)405および第2原料入口(予熱部プレート)406が形成されている。
予熱部プレート103の正面側には、背面側まで貫通した生成物流路(予熱部プレート)407および温調液流路(予熱部プレート)408が形成されている。
予熱部プレート103の正面側には、背面側までは貫通しない温調液入口(予熱部プレート)409が形成されている。
予熱部プレート103の正面側には、プレートを積層してネジ留めするための12個のネジ穴112が背面側まで貫通して形成されている。
なお、第1原料入口(予熱部プレート)405および第2原料入口(予熱部プレート)406は、図4Aおよび図4Dに示すように、予熱部プレート103の正面側において、右側上方に形成されている。本実施形態においては、第2原料入口(予熱部プレート)406が、図4Aおよび図4Dにおいて、第1原料入口(予熱部プレート)405よりも上方に形成されている。
生成物流路(予熱部プレート)407は、図4Aおよび図4Dに示すように、予熱部プレート103の正面側において、左側下方に形成されている。
温調液流路(予熱部プレート)408および温調液入口(予熱部プレート)409は、図4Aおよび図4Dに示すように、予熱部プレート103の正面側において、左側上方に形成されている。本実施形態においては、温調液流路(予熱部プレート)408が、図4Aおよび図4Dにおいて、温調液入口(予熱部プレート)409よりも外側に形成されている。
ネジ穴112は、図4Aおよび図4Dに示すように、予熱部プレート103の正面側において、予熱部プレート103の外縁に沿って均等な間隔で形成されている。
また、図4Bおよび図4Eに示すように、予熱部プレート103の背面側には、温調液流路304、第1原料出口(予熱部プレート)410、第2原料出口(予熱部プレート)411、温調液出口(予熱部プレート)412が形成されている。
この温調液出口(予熱部プレート)412は、図4Dに示すように、温調液流路415を経由して、正面側の温調液入口(予熱部プレート)409と連通している。
温調液流路415は、温調液入口(予熱部プレート)409から温調液出口(予熱部プレート)412に向けて形成されている。なお、温調液流路415は、略直角に屈曲しているが、温調液入口(予熱部プレート)409から温調液出口(予熱部プレート)412が連通する形状であれば屈曲していなくてもよい。
予熱部プレート103における温調液流路304は、図4Bおよび図4Eに示すように、予熱部プレート103の背面側において、略中央から下方寄りに広い面積で略矩形状に形成されている。
図4Bおよび図4Eに示すように、予熱部プレート103の背面側には、生成物流路(予熱部プレート)407、温調液流路(予熱部プレート)408、温調液流路304、第1原料出口(予熱部プレート)410、第2原料出口(予熱部プレート)411の周囲にパッキン溝305が形成されている。なお、温調液流路304の周囲のパッキン溝305において、温調液流路304の周囲に沿っていない箇所があるが、これは、図4Bおよび図4Dに示すように、特に予熱部プレート103を、第1原料出口(予熱部プレート)410、第2原料出口(予熱部プレート)411が上側になる向きで設置したときに、温調液がスムーズに流れるようにするとともに、パッキン溝305の形状を対称にすることにより、ネジ留め時に予熱部プレート103により均一に力がかかるようにするためである。
ここで、図示しない各プレート間の各種パッキンを介して、図1、図2および図9で示すようにプレートを積層することにより、前面カバープレート102の予熱部プレート103側の面と、予熱部プレート103の前面カバープレート102側の面とで、温調液流路304が形成されるとともに、前面カバープレート102と予熱部プレート103の各流路が連通される。第1原料入口(予熱部プレート)405は、前面カバープレート102の第1原料入口107と連通される。第2原料入口(予熱部プレート)406は、前面カバープレート102の第2原料入口108と連通される。生成物流路(予熱部プレート)407は、前面カバープレート102の生成物出口109と連通される。温調液流路(予熱部プレート)408は、前面カバープレート102の温調液出口111と連通される。温調液入口(予熱部プレート)409は、前面カバープレート102の温調液流路304と連通される。
図4Dおよび図4Eに示すように、正面側の第1原料入口(予熱部プレート)405から導入された第1原料は、第1原料流路413を経由して、背面側の第1原料出口(予熱部プレート)410から排出される。なお、第1原料流路413は、第1原料入口(予熱部プレート)405から予熱部プレート103の所定の区画(下方の区画)まで延び、その区画内で所定数折り返したのち、予熱部プレート103の他の所定の区画(上方の区画)まで延び、その区画内で所定数折り返したのち、第1原料出口(予熱部プレート)410に連通している。
正面側の第2原料入口(予熱部プレート)406から導入された第2原料は、2つに分岐する第2原料流路414を経由して、2つの第2原料出口(予熱部プレート)411から排出される。なお、第2原料流路414は、予熱部プレート103の前記した他の所定の区画内(上方の区画内)において所定数折り返したのち、2つの第2原料出口(予熱部プレート)411に連通している。
また、温調液入口(予熱部プレート)409から導入された温調液は、温調液流路415を経由して、温調液出口(予熱部プレート)412から温調液流路304に排出される。
つまり、マイクロリアクタ101は、複数のプレートのうちの1枚のプレート(具体的には予熱部プレート103)が、1つの面(正面側)に、少なくともいずれか1種類の原料が流れる流路(第1原料流路413および/または第2原料流路414)を有するとともに、前記した面の反対側の面(背面側)に、熱媒体が流れる流路(温調液流路304)を有している。
なお、第1原料流路413および第2原料流路414の流路内体積(内容積)が小さすぎると、第1原料および第2原料が、所定の温度に達する前に混合部プレート104に導入されることになる。従って、第1原料流路413および第2原料流路414の代表径および長さは、マイクロリアクタ101で設定したい反応温度、マイクロリアクタ101の熱制御性、および温調液の流量などに基づいて適宜選択することが好ましい。予熱部プレート103は1枚に限らず、複数枚用いてもよい。また、マイクロリアクタ101で設定したい反応温度が室温に近く、第1原料および第2原料の混合熱または反応熱が小さい場合には、後記する混合部プレート104内で第1原料および第2原料が合流するまでに所定の温度に制御できる場合がある。そのような場合には予熱部プレート103を用いなくてもよいこともある。
なお、第1原料流路413および第2原料流路414の流路内体積と、2種類の原料の流量比(体積比)との関係については、混合部プレート104の説明の中で述べる。
<混合部プレート>
図5Aおよび図5Bに示すように、混合部プレート104は、混合部プレート上板501、混合部プレート中板502、混合部プレート下板503で構成される。混合部プレート上板501および混合部プレート下板503には穴のみが形成されている。混合部プレート中板502には、混合部プレート上板501側の面と混合部プレート下板503側の面の両面に穴や溝が形成されている。従って、混合部プレート上板501、混合部プレート中板502、混合部プレート下板503を一体化することにより、混合部プレート上板501と、混合部プレート中板502の混合部プレート上板501側の面とで流路が形成され、混合部プレート下板503と、混合部プレート中板502の混合部プレート下板503側の面とで流路が形成される。
混合部プレート上板501、混合部プレート中板502、混合部プレート下板503は、予熱部プレート上板401や予熱部プレート下板402と同様に、接着や、融接、圧接などの各種溶接、超音波溶接、振動溶接、誘導溶接、高周波溶接、レーザー溶接、レーザー透過溶着などの各種溶着により、パッキンを介さずに一体化することが可能である。これらの中でも、本実施形態においては、予熱部プレート103と同様に、光透過性樹脂および光吸収性樹脂を用いたレーザー透過溶着を好適に適用できる。なお、光透過性樹脂および光吸収性樹脂については既に説明しているので、ここでの説明は省略する。本実施形態においては、例えば、混合部プレート上板501および混合部プレート下板503の材質を白色PE樹脂、白色PP樹脂または白色PC樹脂とし、混合部プレート中板502の材質を黒色などの有色PE樹脂、有色PP樹脂または有色PC樹脂とすることが好適に挙げられる。より好適には、混合部プレート上板501および混合部プレート下板503の材質を白色PE樹脂または白色PP樹脂とし、混合部プレート中板502の材質を有色PE樹脂または有色PP樹脂とすることである。これらのようにすると、レーザー溶着により一体化した、耐腐食性を有する混合部プレート104とすることができる。また、これらのようにすると、混合部プレート104は、外部から流路内への接着剤や温調液などの異物混入が防止される。
図5Aおよび図5Cに示すように、混合部プレート104の正面側には、混合部プレート中板502まで貫通した第1原料入口(混合部プレート)506、混合部プレート中板502まで貫通した2つの第2原料入口(混合部プレート)507a、507bが形成されている。
混合部プレート104の正面側には、背面側まで貫通した生成物流路(混合部プレート)508および温調液流路(混合部プレート)509が形成されている。
混合部プレート104の正面側には、背面側までは貫通しない温調液入口(混合部プレート)510が形成されている。
混合部プレート104の正面側には、プレートを積層してネジ留めするための12個のネジ穴112が背面側まで貫通して形成されている。
なお、第1原料入口(混合部プレート)506および第2原料入口(混合部プレート)507a、507bは、図5Aおよび図5Cに示すように、混合部プレート104の正面側において、中央上方に形成されている。本実施形態においては、図5Aおよび図5Cにおいて、第1原料入口(混合部プレート)506が、第2原料入口(混合部プレート)507a、507bよりも上方に形成されている。
生成物流路(混合部プレート)508は、図5Aおよび図5Cに示すように、混合部プレート104の正面側において、左側下方に形成されている。
温調液流路(混合部プレート)509および温調液入口(混合部プレート)510は、図5Aおよび図5Cに示すように、混合部プレート104の正面側において、左側上方に形成されている。本実施形態においては、温調液流路(混合部プレート)509が、図5Aおよび図5Cにおいて、温調液入口(混合部プレート)510よりも外側に形成されている。
ネジ穴112は、図5Aおよび図5Cに示すように、混合部プレート104の正面側において、混合部プレート104の外縁に沿って均等な間隔で形成されている。
また、図5Dに示すように、混合部プレート104の背面側には、生成物出口(混合部プレート)511および温調液出口(混合部プレート)512が形成されている。この温調液出口(混合部プレート)512は、図5Cおよび図5Dに示すように、温調液流路513を経由して、正面側の温調液入口(混合部プレート)510と連通している。温調液流路513は、温調液入口(混合部プレート)510から温調液出口(混合部プレート)512に向けて形成されている。なお、温調液流路513は、略直角に屈曲しているが、温調液入口(混合部プレート)510から温調液出口(混合部プレート)512が連通する形状であれば屈曲していなくてもよい。また、混合部プレート104の背面側には、正面側から貫通した生成物流路(混合部プレート)508および温調液流路(混合部プレート)509が形成されている。さらに、混合部プレート104の背面側には、プレートを積層してネジ留めするための12個のネジ穴112が正面側まで貫通して形成されている。
なお、生成物出口(混合部プレート)511は、図5Dに示すように、混合部プレート104の背面側において、左側上方に形成されている。
温調液出口(混合部プレート)512は、図5Dに示すように、混合部プレート104の背面側において、左側下方に形成されている。
生成物流路(混合部プレート)508は、図5Dに示すように、混合部プレート104の背面側において、右側下方に形成されている。
温調液流路(混合部プレート)509は、図5Dに示すように、混合部プレート104の背面側において、右側上方に形成されている。
ネジ穴112は、図5Dに示すように、混合部プレート104の背面側において、混合部プレート104の外縁に沿って均等な間隔で形成されている。
ここで、図示しない各プレート間の各種パッキンを介して、図1、図2および図9で示すようにプレートを積層することにより、予熱部プレート103の混合部プレート104側の面と、混合部プレート104の予熱部プレート103側の面とで、温調液流路304が形成されるとともに、予熱部プレート103と混合部プレート104の各流路が連通される。第1原料入口(混合部プレート)506は、予熱部プレート103の第1原料出口(予熱部プレート)410と連通される。2つの第2原料入口(混合部プレート)507a、507bは、予熱部プレート103の2つの第2原料出口(予熱部プレート)411、411と連通される。生成物流路(混合部プレート)508は、予熱部プレート103の生成物流路(予熱部プレート)407と連通される。温調液流路(混合部プレート)509は、予熱部プレート103の温調液流路(予熱部プレート)408と連通される。
なお、図6に示すように、混合部プレート104の正面側には、左右対称の第1原料と第2原料が合流して混合するための混合用流路604a、604bが形成されている。また、それぞれの混合用流路604a、604bの下流側に、それぞれ同じ流路内体積(内容積)となる、第1原料と第2原料の混合が進行するための滞留用流路605a、605bが形成されている。混合部プレート104は、原料を混合する流路が正面側において2並列になっている。
さらに、図6に示すように、混合部プレート104の背面側には、左右対称の第1原料と第2原料が合流して混合するための混合用流路604c、604dが形成されている。また、それぞれの混合用流路604c、604dの下流側に、それぞれ同じ流路内体積(内容積)となる、第1原料と第2原料の混合が進行するための滞留用流路605c、605dが形成されている。混合部プレート104は、原料を混合する流路が背面側において2並列になっている。
従って、混合部プレート104は、正面側と背面側とを合わせて原料を混合する流路が4並列の流路になっている。
つまり、マイクロリアクタ101は、複数のプレートのうちの1枚のプレート(具体的には混合部プレート104)が、1つの面(正面側)および前記した面の反対側の面(背面側)に、少なくとも2種類の前記した原料を混合する流路(混合用流路604a、604b、604c、604d)を有している。また、マイクロリアクタ101は、複数のプレートのうちの1枚のプレート(具体的には混合部プレート104)が、1つの面(正面側)および前記した面の反対側の面(背面側)に、滞留用流路605a、605b、605c、605dを有している。
図6に示すように、第1原料入口(混合部プレート)506から続く第1原料流路601は、正面側と背面側の2つに分岐した後、正面側と背面側とでそれぞれ2つに分岐して、4つの第1原料流路601a、601b、601c、601dに分岐する。そして、それに伴い、第1原料も4つに分岐する。
2つの第2原料入口(混合部プレート)507a、507bから続く第2原料流路602は、正面側と背面側とでそれぞれ2つに分岐して、4つの第2原料流路602a、602b、602c、602dに分岐する。そして、それに伴い、第2原料も4つに分岐する。
4つの第1原料流路601a、601b、601c、601dに分岐された第1原料流路601は、さらにそれぞれ2つに分岐するのに伴い、第1原料もそれぞれ2つに分岐する。そして、合流点603a、603b、603c、603dにおいて、第1原料は、第2原料を挟むようにして合流し、第1原料と第2原料とが混合する。混合した第1原料と第2原料との混合物は、それぞれ合流点603a、603b、603c、603dの下流側の混合用流路604a、604b、604c、604dを通流する。さらに、混合物は、それぞれ下流側の滞留用流路605a、605b、605c、605dを通流した後、正面側で滞留用流路605a、605bが滞留用流路605eに合流するのに伴って合流し、また、背面側で滞留用流路605c、605dが滞留用流路605fに合流するのに伴って合流する。混合物は、さらに正面側の滞留用流路605eと背面側の滞留用流路605fが生成物出口(混合部プレート)511の手前で合流するのに伴って合流し、生成物出口(混合部プレート)511から排出される。
このように、第1原料を2つに分岐することにより、合流点603a、603b、603c、603dにおいて、第1原料が第2原料に対して別の方向から合流するため、良好な混合を実現することができる。この結果、2種類(第1原料および第2原料)の原料の界面積は、流量比(体積比)で決まる界面積の2倍となり、それほど微細構造にしなくても混合効率を向上させることができる。
なお、混合物の流量が小さい場合または反応速度が大きい場合には、混合用流路604a、604b、604c、604dは反応場となり得る。しかし、混合物の流量が大きい場合または反応速度が小さい場合には、混合用流路604a、604b、604c、604d内では十分に反応が進行せず、未反応のまま、滞留用流路605a、605b、605c、605dに導入される。
図5A~Dおよび図6において、混合用流路604a、604b、604c、604d(以下の説明において、代表的に単に「混合用流路604」ということがある)の代表径は、滞留用流路605a、605b、605c、605d(以下の説明において、代表的に単に「滞留用流路605」ということがある)の代表径より小さくしている。このようにすると、2種類の原料を分子拡散により迅速に混合させることができる。また、代表径が大きい滞留用流路605では、流路断面積が大きくなるために、滞留用流路605における混合物の滞留時間を容易に長くすることができ、滞留用流路605における圧力損失も低減することができる。なお、滞留用流路605の代表径は、混合用流路604の代表径と同じとしてもよく、対象に応じて適宜選択してもよい。
また、第1原料流路601a、601b、601c、601d(以下の説明において、代表的に単に「第1原料流路601」ということがある)が、それぞれ2つに分岐されることにより、第1原料流路601の流路内体積は、それぞれ第2原料流路602a、602b、602c、602d(以下の説明において、代表的に単に「第2原料流路602」ということがある)の流路内体積より大きくなっている。
ここで、第1原料流路601の流路内体積と第2原料流路602の流路内体積の比は、2種類の原料の流量比(体積比)に近いことが好ましいが、これに限らない。第1原料流路601の流路内体積と第2原料流路602の流路内体積は、2種類の原料が流れる際の圧力損失が等しい、または、近い値となるようにすることが好ましい。
なお、本実施形態では、第1原料流路601の長さが、第2原料流路602の長さより長くなるように構成している。これにより、第1原料流路601の流路内体積が、第2原料流路602の流路内体積より大きくなるようにしているが、これに限らない。例えば、第1原料流路601の代表径を、第2原料流路602の代表径より大きくすることにより、第1原料流路601の流路内体積が、第2原料流路602の流路内体積より大きくなるようにしてもよい。また、第1原料流路601の長さおよび代表径の両方により、第1原料流路601の流路内体積が、第2原料流路602の流路内体積より大きくなるようにしてもよい。しかし、特にレーザー溶着により混合部プレート104を作製する観点や、流路内の流体の温度制御の観点からは、第1原料流路601、第2原料流路602および混合用流路604の幅および深さは同じであることが好ましい(つまり、代表径は同じであることが好ましい)。
さらに、予熱部プレート103の第1原料流路413の流路内体積や予熱部プレート103の第2原料流路414の流路内体積が大きく、第1原料流路601の流路内体積や、第2原料流路602の流路内体積に比べて無視できない場合がある。つまり、合流点603a、603b、603c、603dに達するまでの第1原料流路の流路内体積と第2原料流路の流路内体積として、予熱部プレート103の第1原料流路413の流路内体積や予熱部プレート103の第2原料流路414の流路内体積も考慮に入れなければならない場合がある。そのような場合には、予熱部プレート103の第1原料流路413の流路内体積と第1原料流路601の流路内体積の和と、予熱部プレート103の第2原料流路414の流路内体積と第2原料流路602の流路内体積の和は、2種類の原料が流れる際の圧力損失が等しい、または、近い値となるようにすることが好ましい。また、予熱部プレート103の第1原料流路413の流路内体積と第1原料流路601の流路内体積の和と、予熱部プレート103の第2原料流路414の流路内体積と第2原料流路602の流路内体積の和の比が、2種類の原料の流量比(体積比)に近いことが好ましいが、これに限らない。
マイクロリアクタ101は、少なくとも2種類の原料が流れるそれぞれの流路(第1原料流路、第2原料流路)は、原料を導入する入口(第1原料入口(予熱部プレート)405、第2原料入口(予熱部プレート)406)から原料を混合する流路の合流点603a、603b、603c、603d(以下の説明において、代表的に単に「合流点603」ということがある)までの体積が異なっていてもよい。そこで、上記の第1原料流路の流路内体積と第2原料流路の流路内体積の比と、2種類の原料の流量比(体積比)との関係について説明する。なお、当該説明における第1原料流路は、第1原料流路601と、必要に応じて考慮される予熱部プレート103の第1原料流路413とを意味している。また、当該説明における第2原料流路は、第2原料流路602と、必要に応じて考慮される予熱部プレート103の第2原料流路414とを意味している。
ここでは、例えば、第1原料の流量が100mL/min、第2原料の流量が10mL/min(流量比が10:1)のときに、合流点603までの第1原料流路と第2原料流路の流路内体積比を5つの条件で変更した場合について説明する。
1)合流点603までの流路内体積が、第1原料流路も第2原料流路もいずれも10mLで同じ場合は、第1原料は0.1min=6sで合流点603に達するが、第2原料が合流点603に達するには1min=60s必要となる。この場合はタイミングのずれが54sとなる。
2)合流点603までの流路内体積が、第1原料流路が10mL、第2原料流路が5mL(体積比が2:1)の場合は、第1原料は0.1min=6sで合流点603に達するが、第2原料が合流点603に達するには0.5min=30sとなる。この場合はタイミングのずれは24sとなり、1)に比べて少し小さくなる。
3)合流点603までの流路内体積が、第1原料流路が10mL、第2原料流路が2mL(体積比が5:1)の場合は、第1原料は0.1min=6sで合流点603に達するが、第2原料が合流点603に達するには0.2min=12sとなる。この場合はタイミングのずれは6sとなり、2)に比べてさらに小さくなる。
4)合流点603までの流路内体積が、第1原料流路が10mL、第2原料流路が1mL(体積比が10:1)の場合は、第1原料は0.1min=6sで合流点603に達するが、第2原料が合流点603に達するのも0.1min=6sとなる。この場合はタイミングのずれはなくなる。
5)合流点603までの流路内体積が、第1原料流路が10mL、第2原料流路が0.5mL(体積比が20:1)の場合は、第1原料は0.1min=6sで合流点603に達するが、第2原料が合流点603に達するのは0.05min=3sとなる。この場合はタイミングのずれは生じて3sとなるが、1)や2)に比べるとタイミングのずれがけた違いで小さい。
また、例えば、合流点603までの第1原料流路の流路内体積が10mL、第2原料流路の流路内体積比が1mL(体積比が10:1)のときに、第1原料の流量と第2原料の流量の和を110mL/minとし、流量比を5つの条件で変更した場合について説明する。
1)第1原料の流量と第2原料の流量がいずれも55mL/minで同じ場合は、第1原料は0.182min=10.9sで合流点603に達するが、第2原料は0.018min=1.1sで合流点603に達し、タイミングのずれが9.8sとなる。
2)第1原料の流量が73.3mL/min、第2原料の流量が36.7mL/min(流量比が2:1)の場合は、第1原料は0.136min=8.2sで合流点603に達するが、第2原料が合流点603に達するのは0.027min=1.6sとなる。この場合はタイミングのずれは6.6sとなり、1)に比べて少し小さくなる。
3)第1原料の流量が91.7mL/min、第2原料の流量が18.3mL/min(流量比が5:1)の場合は、第1原料は0.109min=6.5sで合流点603に達するが、第2原料が合流点603に達するのは0.055min=3.3sとなる。この場合はタイミングのずれは3.2sとなり、2)に比べてさらに小さくなる。
4)第1原料の流量が100mL/min、第2原料の流量が10mL/min(流量比が10:1)の場合は、第1原料は0.1min=6sで合流点603に達するが、第2原料が合流点603に達するのも0.1min=6sとなる。この場合はタイミングのずれはなくなる。
5)第1原料の流量が104.8mL/min、第2原料の流量が5.2mL/min(流量比が20:1)の場合は、第1原料は0.095min=5.7sで合流点603に達するが、第2原料が合流点603に達するのは0.192min=11.5sとなる。この場合はタイミングのずれは5.8sと再び大きくなるが、1)や2)に比べると小さい。
以上から、2種類の原料の流量比(体積比)が大きい場合には、第1原料流路の流路内体積と第2原料流路の流路内体積に差を設けることにより、合流点603に達するタイミングのずれを小さくすることができる。
ここで、図5C、図5Dおよび図6を参照して説明したように、混合部プレート104は、正面側と背面側との両方で合計4並列の流路構造を有している。これは、1つの流路構造で流量条件が最適化されれば、その4倍の流量条件で、同じ物理現象を利用した製造ができることを示している。
以下では、医薬品製造におけるラボでのプロセス開発から商用製造に至るまでのマイクロリアクタの流路設計の方法について説明する。
医薬品製造における開発ステップは、プロセス開発(生産量:数mL~20L)、治験薬製造(生産量:~50L)、商用製造(生産量:50L~)の3段階に分かれる。さらに、プロセス開発は、その生産量によって3段階(生産量:数mL、数十mL、~20L)に分かれる。
マイクロリアクタの特長として、生産量を増大させる際に同じ流路形状を並列化(N倍化、ナンバリングアップとも呼ばれる)させるため、同じ物理現象を利用できることが挙げられる。しかし、実際には、プロセス開発の初期(数mL/min)と商用製造(100mL/min、50L/8h相当)では30倍以上の流量の差がある。そのため、プロセス開発の初期に用いたマイクロリアクタをナンバリングアップして商用製造を行うことは、技術的にもコスト的にも現実的ではない。そこで、一番流量に差があるプロセス開発の初期(数mL/min)からプロセス開発の中期(数十mL/min)に移行する際は、ナンバリングアップではなく、流路の代表径(流路断面積)を大きくするスケールアップを用いることにより、効率的に生産量の増大を実現するのがよい。
ただし、プロセス開発の中期において、線速度をプロセス開発の初期と同程度にしようとすると、代表径を約3倍にする必要がある。その場合、代表径が大きくなりすぎ、流路のマイクロ化による効果(マイクロリアクタによる効果)が薄れてしまう可能性がある。そこで、原料や生成物が変性する可能性のあるせん断力に寄与する線速度をパラメータとし、マイクロリアクタによる効果が保たれ、かつ線速度が大きくなりすぎない範囲で、反応条件の最適化を行うのがよい。
以上を踏まえ、マイクロリアクタを用いた場合には、プロセス開発のうち、生産量が数mLの初期の段階では、流量が数mL/minのマイクロリアクタにより、反応系の探索および反応条件の探索を行う。そして、生産量を数mLから数十mLに増大させる中期の段階では、流路断面積が異なる(流路形状が異なる)流量が数十mL/minのマイクロリアクタを用いるため、スケーラビリティの確認が必要となる。具体的には、線速度をパラメータとしてデータを取得し、反応条件の最適化を行う。しかし、生産量が~20Lの後期の段階では、生産量が数十mLの中期の段階と同じ、生産量が数十mL/minのマイクロリアクタを用いて、長時間生産を行うことにより確認できる。従って、生産量が~20Lの後期の段階ではスケーラビリティの確認は不要であり、長時間生産における安定性の確認のみを行う。さらに、治験薬製造や商用製造では、同じ流路形状をナンバリングアップしたマイクロリアクタを使用するため、従来バッチ法のようなスケールアップによる妥当性の確認作業は軽減できる。
このとき、生産量が小さい~50Lの治験薬製造では、流路構造をマイクロリアクタ内でナンバリングアップする「内部ナンバリングアップ」によりマイクロリアクタを構築し、同等性が得られる線速度範囲を検証する。さらに、生産量が大きい50L~の商用製造では、治験薬製造で用いたマイクロリアクタ自体をナンバリングアップする「外部ナンバリングアップ」によりマイクロリアクタを構築し、マイクロリアクタの個体差を考慮した安定性の確認を行うことが考えられる。
また、マイクロリアクタを用いる場合には、プロセス開発の中期の生産量が~数十mL/minの段階において、反応条件の最適化に伴い、2種類の原料を合流し混合させるための混合部だけでなく、混合後に反応時間を設けるための滞留部の構造(マイクロリアクタの下流側のチューブの内径および長さ)も決まる。従って、治験薬製造の段階において、その最適化条件に従ってマイクロリアクタの内部ナンバリングアップを行うとともに、混合部と滞留部をマイクロリアクタとして一体化する。そして、商用製造の段階において、滞留部を含めたマイクロリアクタに対して外部ナンバリングアップを行う。
なお、ナンバリングアップの最大の特長は、同じ流路構造をN倍化して生産量を増大させるため、基本的に同じ物理現象を利用しており、物理現象が異なるために得られる結果が異なるという懸念を払しょくできることである。ただし、内部ナンバリングアップでは、同一マイクロリアクタ内で流路構造のナンバリングアップを行うため、マイクロリアクタおよびマイクロリアクタシステムをコンパクトにできるが、構造上の制約からナンバリングアップ数には限界がある。一方、外部ナンバリングアップでは、マイクロリアクタおよびマイクロリアクタシステムを並列化するため、ナンバリングアップ数に対するフレキシビリティはあるが、ナンバリングアップ数が増えることにより、接続に伴うリスクが生じる。
例えば、プロセス開発の初期の段階の流量が数mL/minのマイクロリアクタとして、流路の代表径を0.2mmに設定し、中期および後期の段階の流量が数十mL/minのマイクロリアクタとして、流路の代表径を0.5mmに設定することができる。本実施形態で説明した混合部プレート104およびそれを搭載したマイクロリアクタ101は、プロセス開発の中期および後期の段階の流量が数十mL/minのマイクロリアクタを4並列にした場合に相当し、流量が100mL/minレベルの製造が可能となり、~50Lの治験薬製造で利用できる。さらに、50L~の商用製造では、マイクロリアクタ101自体を外部ナンバリングアップすることにより利用できる。なお、4並列の流路構造の混合部プレート104が示されているが、最適化された反応条件によっては2並列や3並列でもよく、各混合部に均一に第1原料および第2原料を送液することが可能であれば、流路の並列数は5以上でもよい。
<滞留部プレート>
図7Aおよび図7Bに示すように、滞留部プレート105は、滞留部プレート上板701と滞留部プレート下板702とで構成される。滞留部プレート上板701には穴のみが形成されている。滞留部プレート下板702には、滞留部プレート上板701側の面と反対側の面の両面に穴や溝が形成されている。従って、滞留部プレート上板701と滞留部プレート下板702とを一体化することにより、滞留部プレート上板701と、滞留部プレート下板702の滞留部プレート上板701側の面とで流路が形成される。
滞留部プレート上板701および滞留部プレート下板702は、予熱部プレート上板401および予熱部プレート下板402や、混合部プレート上板501、混合部プレート中板502および混合部プレート下板503と同様に、接着や、融接、圧接などの各種溶接、超音波溶接、振動溶接、誘導溶接、高周波溶接、レーザー溶接、レーザー透過溶着などの各種溶着により、パッキンを介さずに一体化することが可能である。これらの中でも、本実施形態においては、予熱部プレート103や混合部プレート104と同様に、光透過性樹脂および光吸収性樹脂を用いたレーザー透過溶着を好適に適用できる。なお、光透過性樹脂および光吸収性樹脂については既に説明しているので、ここでの説明は省略する。本実施形態においては、例えば、滞留部プレート上板701の材質を白色PE樹脂、白色PP樹脂または白色PC樹脂とし、滞留部プレート下板702の材質を黒色などの有色PE樹脂、有色PP樹脂または有色PC樹脂とすることが好適に挙げられる。より好適には、滞留部プレート上板701の材質を白色PE樹脂または白色PP樹脂とし、滞留部プレート下板702の材質を有色PE樹脂または有色PP樹脂とすることである。これらのようにすると、レーザー溶着により一体化した、耐腐食性を有する滞留部プレート105とすることができる。また、これらのようにすると、滞留部プレート105は、外部から流路内への接着剤や温調液などの異物混入が防止される。
図7Aおよび図7Cに示すように、滞留部プレート105の正面側には、温調液流路304、滞留部プレート下板702を貫通した生成物入口(滞留部プレート)705および生成物出口(滞留部プレート)706が形成されている。
また、滞留部プレート105の正面側には、背面側まで貫通した温調液流路(滞留部プレート)707が形成されている。
また、滞留部プレート105の正面側には、滞留部プレート下板702を貫通した温調液入口(滞留部プレート)708が形成されている。この温調液入口(滞留部プレート)708は、滞留部プレート105の温調液流路304と連通している。
さらに、滞留部プレート105の正面側には、温調液流路304、生成物入口(滞留部プレート)705、生成物出口(滞留部プレート)706および温調液流路(滞留部プレート)707の周囲にパッキン溝305が形成されている。滞留部プレート105の正面側には、プレートを積層してネジ留めするための12個のネジ穴112が背面側まで貫通して形成されている。
なお、滞留部プレート105における温調液流路304は、図7Aおよび図7Cに示すように、滞留部プレート105の正面側において、中央部分に広い面積で略十字状ないし略矩形状に形成されている。
生成物入口(滞留部プレート)705は、図7Aおよび図7Cに示すように、滞留部プレート105の正面側において、右側上方に形成されている。
生成物出口(滞留部プレート)706は、図7Aおよび図7Cに示すように、滞留部プレート105の正面側において、左側下方に形成されている。
温調液流路(滞留部プレート)707および温調液入口(滞留部プレート)708は、図7Aおよび図7Cに示すように、滞留部プレート105の正面側において、左側上方に形成されている。本実施形態においては、温調液流路(滞留部プレート)707が、温調液入口(滞留部プレート)708よりも上方かつ外縁寄りに形成されている。
ネジ穴112は、図7Aおよび図7Cに示すように、滞留部プレート105の正面側において、滞留部プレート105の外縁に沿って均等な間隔で形成されている。
また、図7Aおよび図7Dに示すように、滞留部プレート105の背面側には、温調液出口(滞留部プレート)709が形成されている。この温調液出口(滞留部プレート)709は、図7Dに示すように、温調液流路711を経由して、正面側の温調液入口(滞留部プレート)708と連通している。
温調液流路711は、温調液入口(滞留部プレート)708から温調液出口(滞留部プレート)709に向けて形成されている。なお、温調液流路711は、略直角に屈曲しているが、温調液入口(滞留部プレート)708から温調液出口(滞留部プレート)709が連通する形状であれば屈曲していなくてもよい。
また、滞留部プレート105の背面側には、正面側から貫通した温調液流路(滞留部プレート)707が形成されている。滞留部プレート105の背面側には、プレートを積層してネジ留めするための12個のネジ穴112が正面側から貫通して形成されている。
温調液出口(滞留部プレート)709は、図7Bおよび図7Dに示すように、滞留部プレート105の左側下方に形成されている。
温調液流路(滞留部プレート)707は、図7Bおよび図7Dに示すように、滞留部プレート105の右側上方に形成されている。
ネジ穴112は、図7Dに示すように、滞留部プレート105の背面側において、滞留部プレート105の外縁に沿って均等な間隔で形成されている。
ここで、図示しない各プレート間の各種パッキンを介して、図1、図2および図9で示すようにプレートを積層することにより、混合部プレート104の滞留部プレート105側の面と、滞留部プレート105の混合部プレート104側の面とで、温調液流路304が形成されるとともに、混合部プレート104と滞留部プレート105の各流路が連通される。生成物入口(滞留部プレート)705は、混合部プレート104の生成物出口(混合部プレート)511と連通される。生成物出口706は、混合部プレート104の生成物流路(混合部プレート)508と連通される。温調液流路(滞留部プレート)707は、混合部プレート104の温調液流路(混合部プレート)509と連通される。
生成物入口(滞留部プレート)705から導入された生成物(混合物)は、滞留部流路710a、710b(図7B、図7D)を経由して、生成物出口(滞留部プレート)706(図7A、図7C)から排出される。また、温調液流路304から温調液入口(滞留部プレート)708に導入された温調液は、温調液流路711を経由して、温調液出口(滞留部プレート)709(図7B、図7D)から排出される。
図7Dに示すように、滞留部プレート105の背面側には、上下に、それぞれ同じ流路内体積(内容積)となる、第1原料と第2原料の混合がさらに進行するための滞留部流路710a、710bが形成されている。生成物入口(滞留部プレート)705から連通する流路が滞留部流路710aと滞留部流路701bの2つに分岐するのに伴い、生成物は2つに分岐する。滞留部流路710aおよび滞留部流路701bは、生成物出口(滞留部プレート)706の手前で合流し、その後、生成物出口(滞留部プレート)706に連通している。
つまり、マイクロリアクタ101は、複数のプレートのうちの少なくとも1枚のプレート(具体的には滞留部プレート105)が、1つの面(背面側)に、少なくとも2種類の原料が合流した溶液が流れる流路(滞留部流路710a、710b)を有するとともに、前記した面の反対側の面(正面側)に、前記熱媒体が流れる流路(温調液流路304)を有している。
なお、前記したように、滞留部流路710a、710bの2つに分岐すると、流路断面積が増えるために生成物の滞留時間を長くすることができ、滞留部流路710a、710bにおける圧力損失も低減することができる。なお、滞留部流路710a、710bは、第1原料および第2原料の流量や、反応が進行するのに必要な反応時間などに基づいて適宜選択することができる。例えば、滞留部流路710の分岐する数は、2つに限らず、3つ以上でもよく、分岐しなくてもよい。滞留部プレート105は1枚に限らず、複数枚の滞留部プレート105を用いてもよい。
また、滞留部プレート105の流路の代表径は1種類に限らず、上流側と下流側で異なる代表径の流路を用いてもよく、3種類以上の代表径の流路を用いてもよい。この場合、反応時間の経過に伴い、第1原料および第2原料の合流に伴う混合熱または反応熱は小さくなっていくため、全体の圧力損失の低減の観点から、下流側に行くに従って流路の代表径を大きくするのが好ましい。なお、反応が進行するのに必要な滞留時間が非常に長い場合には、混合熱または反応熱が大きく、マイクロリアクタ101の効果を利用する必要がある上流側のみを滞留部プレート105とし、混合熱または反応熱が小さい下流側は、市販のチューブコイルなどを用いることにより、複数枚の滞留部プレート105を積層することによる煩雑さやコストを低減することができる。一方、反応が進行するのに必要な滞留時間が短い場合には、混合部プレート104の滞留用流路605内で反応が完結する場合があるため、そのような場合には滞留部プレート105を用いなくてもよいこともある。
<背面カバープレート>
図8Aおよび図8Bに示すように、背面カバープレート106の正面側には、温調液流路304、背面側まで貫通していない温調液出口(背面カバープレート)804が形成されている。
温調液出口(背面カバープレート)804は、図8Aおよび図8Bに示すように、左側上方に形成されている。
背面カバープレート106における温調液流路304は、図8Aおよび図8Bに示すように、背面カバープレート106の正面側において、中央部分に広い面積で略十字状ないし略矩形状に形成されている。
また、背面カバープレート106の正面側には、温調液流路304および温調液出口(背面カバープレート)804の周囲にパッキン溝305が形成されている。
さらに、背面カバープレート106の正面側には、プレートを積層してネジ留めするための12個のネジ穴112が背面側まで貫通して形成されている。
同様に、図8Cに示すように、背面カバープレート106の背面側には、プレートを積層してネジ留めするための12個のネジ穴112が正面側まで貫通して形成されている。ネジ穴112は、図8A~図8Cに示すように、背面カバープレート106の外縁に沿って均等な間隔で形成されている。
さらに、図8Aに示すように、背面カバープレート106には、温調液流路304から背面側まで貫通していない温調液出口(背面カバープレート)804への流路803が形成されている。
ここで、図示しない各プレート間の各種パッキンを介して、図1、図2および図9で示すようにプレートを積層することにより、滞留部プレート105の背面カバープレート106側の面と、背面カバープレート106の滞留部プレート105側の面とで、温調液流路304が形成されるとともに、滞留部プレート105と背面カバープレート106の流路が連通される。温調液出口(背面カバープレート)804は、滞留部プレート105の温調液流路(滞留部プレート)707と連通される。
温調液流路304から導入された温調液は、温調液流路304から流路803を経由して、温調液出口(背面カバープレート)804に排出される。
なお、背面カバープレート106の機能を滞留部プレート105に含め、滞留部プレート105において、温調液を温調液流路(滞留部プレート)707に排出することにより、背面カバープレート106を用いないこともできる。
<マイクロリアクタの作用・効果>
以上の構成により、本実施形態に係るマイクロリアクタ101では、前面カバープレート102の正面側の第1原料入口107および第2原料入口108のそれぞれから導入された第1原料および第2原料は、マイクロリアクタ101内で合流・混合される。そして、混合した第1原料および第2原料は、前面カバープレート102の正面側の生成物出口109から、生成物(混合物)として排出される。また、マイクロリアクタ101では、前面カバープレート102の正面側の温調液入口110から導入された温調液は、マイクロリアクタ101内を通液後、前面カバープレート102の正面側の温調液出口111から排出される。マイクロリアクタ101は、温調液の通液によってマイクロリアクタ101の温度制御を行うことができる。そのため、従来のように、マイクロリアクタを温調液に浸漬して、マイクロリアクタの温度を制御する必要がなくなるので、原料や生成物への温調液の混入が防止される。また、このようなマイクロリアクタ101の構造により、従来のように、原料や生成物が流動するプレート(反応流路プレート)間を接続する接手や接続チューブなどが不要となる。また、温調液が流動するプレート(温調制御用プレート)間を接続する接手や接続チューブも不要となる。
加えて、マイクロリアクタ101は、予熱部プレート103、混合部プレート104、滞留部プレート105をそれぞれ一体化することにより、各プレートからの漏れや、外部から流路内への接着剤や温調液などの異物混入を防止することができる。そのため、マイクロリアクタ101は、腐食性の高い物質や取り扱いに注意を要する合成反応を取り扱う場合、また、クロスコンタミネーション(交差汚染)が生じるおそれのある場合においても、温調液などの異物が混入するおそれがなく利用することができる。
さらに、マイクロリアクタ101は、前面カバープレート102の正面側に、第1原料入口107、第2原料入口108、生成物出口109、温調液入口110、温調液出口111が形成されている。そのため、原料や温調液を送液するための送液手段、容器を接続するための接手および接続チューブは、すべて前面カバープレート102の正面側で取り付けることができる。従って、マイクロリアクタ101の設置場所や、マイクロリアクタ101へのアクセス方向の制約が少なくなる。
従って、本発明によれば、温調液などの異物が混入するおそれがなく、操作者の作業負荷を低減したマイクロリアクタを提供できる。
なお、本実施形態では、2種類の原料を混合させるためのマイクロリアクタが示されているが、3種類以上の原料が用いられてもよい。この場合、例えば、最も流量が小さい原料を挟むように、順次、流量が大きい原料が合流するようにしてもよい。また、流量が大きくなるほど、その原料が通流する流路の流路内体積(内容積)が大きくなるようにしてもよい。
そして、本実施形態では、4並列の流路構造の混合部プレート104が示されているが、最適化された反応条件によっては2並列や3並列でもよく、各混合部に均一に第1原料および第2原料を送液することが可能であれば、流路の並列数は5以上でもよい。
さらに、本実施形態では、前面カバープレート102、予熱部プレート103、混合部プレート104、滞留部プレート105、背面カバープレート106による構成のマイクロリアクタ101が示されているが、予熱部プレート103および滞留部プレート105のいずれか一方または両方がなくてもよい。また、予熱部プレート103や滞留部プレート105が1枚ずつであるマイクロリアクタ101が示されているが、複数枚の予熱部プレート103や、複数枚の滞留部プレート105を用いてもよい。さらに、背面カバープレート106の機能を滞留部プレート105に含めることにより、背面カバープレート106を用いなくてもよい。
<生成物生成方法>
次に、図10を参照して、本発明の一実施形態に係る生成物生成方法について説明する。図10は、本発明の一実施形態に係る生成物生成方法の一例を示すフローチャートである。なお、本生成物生成方法の説明にあたり、既に説明した要素については詳細な説明を省略することがある。
本生成物生成方法は、前述したマイクロリアクタ101を用いて少なくとも2種類の原料を導入して混合し、生成物を生成するものである。
具体的には、本生成物生成方法は、図10に示すように、原料導入工程S1と混合工程S3とを含む。また、図10に示すように、本生成物生成方法は、原料導入工程S1と混合工程S3との間に、予熱工程S2を含んでいてもよい。さらに、図10に示すように、本生成物生成方法は、混合工程S3後に滞留工程S4を含んでいてもよい。以下、これらの工程について説明する。
<原料導入工程>
原料導入工程S1は、マイクロリアクタ101に少なくとも2種類の原料(例えば、第1原料および第2原料)を導入する工程である。マイクロリアクタ101への第1原料および第2原料の導入は、例えば、前面カバープレート102の正面側の第1原料入口107および第2原料入口108のそれぞれから行うことができる。
<混合工程>
混合工程S3は、マイクロリアクタ101に導入された少なくとも2種類の原料(例えば、第1原料および第2原料)を混合して混合物(生成物)を得る工程である。第1原料および第2原料の混合は、混合部プレート104の混合用流路604a、604b、604c、604dおよび滞留用流路605a、605b、605c、605dで行われる。
<予熱工程>
予熱工程S2は、マイクロリアクタ101に導入された少なくとも2種類の原料(例えば、第1原料および第2原料)を反応に適した所定の温度に予め調節する(例えば、温める)工程である。なお、「予熱」としているが、反応に適した所定の温度が常温(例えば、室温(25℃))よりも低い場合がある(例えば、4℃以下や0℃以下の場合もある)。その場合は、温調液として任意の冷媒を用い、第1原料および第2原料の温度を常温よりも低くする冷却を行ってもよい。つまり、本明細書においては、予熱には、冷却および冷却する行為も含まれる(つまり、原料の温度を調節する行為が含まれる)。第1原料および第2原料の予熱は、予熱部プレート103の第1原料流路413および第2原料流路414で行われる。なお、この予熱工程S2は、混合工程S3で(混合部プレート104内で)第1原料および第2原料が合流するまでに所定の温度に制御できる場合には、本生成物生成方法に含めなくてもよい。
<滞留工程>
滞留工程S4は、マイクロリアクタ101に導入された少なくとも2種類の原料(例えば、第1原料および第2原料)の混合をさらに進行させる工程である。第1原料および第2原料をさらに混合させることは、滞留部流路710a、710bで行われる。なお、反応が進行するのに必要な滞留時間が短い場合には、混合工程S3で(混合部プレート104内で)反応が完結することがある。そのような場合には、滞留工程S4は、本生成物生成方法に含めなくてもよい。
本発明によれば、マイクロリアクタ101を用いているので、前述したように温調液などの異物が混入するおそれがなく、操作者の作業負荷を低減した生成物生成方法を提供できる。
<マイクロリアクタの作製例>
マイクロリアクタの作製例(一実施例)を以下に示すが、本発明は下記に限定されない。
本実施形態に従い、白色PEプレートおよび黒色PEプレートを用いてPE製のマイクロリアクタ101を作製した。マイクロリアクタ101のうち、予熱部プレート103、混合部プレート104、滞留部プレート105はそれぞれレーザー透過溶着により一体化させた。
第1原料流路601、第2原料流路602、および混合用流路604の代表径は0.5mmとした。第1原料流路413、第2原料流路414、滞留用流路605、および滞留部流路710a、710bの代表径は2mmとした。
前面カバープレート102、予熱部プレート103、混合部プレート104、滞留部プレート105、背面カバープレート106を積層して、PEEK製のネジおよび平座金(ワッシャー)を用いてネジ留めした。各プレート間に設置される各種パッキンは、FFKM(パーフルオロエラストマー)製もしくはFKM(フッ素ゴム)製とした。
PE製のマイクロリアクタ101の第1原料入口107および第2原料入口108は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の接手、および外径3mm、内径2mm、長さ1.2mのPTFE製の接続チューブにより、それぞれ25mLのガラス製シリンジに接続した。ただし、第1原料入口107とガラス製シリンジの間には、500kPaまで計測可能な圧力センサを設置した。また、生成物出口109には、PTFE製の接手により、外径3mm、内径2mm、長さ0.6mのPTFE製の接続チューブを接続した。
ダブルシリンジポンプを用い、PE製のマイクロリアクタ101の第1原料入口107および第2原料入口108に対し、純水をガラス製シリンジに吸引して等しい流量で送液し、マイクロリアクタ101を通して生成物を得た。送液中の圧力センサの表示値を、PE製のマイクロリアクタ101の圧力損失として評価した。なお、温調液は循環させず、室温(24℃)にて評価を行った。
図11は、実施例で作製したPE製のマイクロリアクタ101に純水を送液した際の圧力損失を示すグラフである。図11では、横軸に第1原料の流量と第2原料の流量の和となる流量を、縦軸にマイクロリアクタ101に純水を送液した際の圧力損失を示している。
PE製のマイクロリアクタ101には、混合部プレート104だけでなく、予熱部プレート103や滞留部プレート105が含まれているにもかかわらず、図11に示すように、流量が100mL/min(~50Lの治験薬製造レベル)における圧力損失は30kPa程度であった。
このように、作製したマイクロリアクタ101は、純水を送液した際の圧力損失が小さいことから、反応が完結するために必要な反応時間が非常に長く、下流側にさらに複数枚の滞留部プレート105や、市販のチューブコイルのような滞留部を設けなければならない場合でも、マイクロリアクタ101は十分に適用可能である。また、マイクロリアクタ101を2個直列に接続して反応させる3液反応系など、複数の種類の原料を用いるために、マイクロリアクタ101を複数枚用いなければならない反応系や、純水より高粘度の原料を用いるために、圧力損失が大きくなる可能性がある反応系に対しても、マイクロリアクタ101は適用可能であることが確認された。
そして、作製したマイクロリアクタ101は、予熱部プレート103、混合部プレート104、滞留部プレート105をそれぞれ一体化したので、各プレートからの漏れが生じなかった。また、このことから、外部から流路内への接着剤や温調液などの異物混入を防止できると考えられる。そのため、マイクロリアクタ101は、腐食性の高い物質や取り扱いに注意を要する合成反応を取り扱う場合、また、クロスコンタミネーション(交差汚染)が生じるおそれのある場合においても、温調液などの異物が混入するおそれがなく利用することができると考えられる。
さらに、作製したマイクロリアクタ101は、前面カバープレート102の正面側に、第1原料入口107、第2原料入口108、生成物出口109、温調液入口110、温調液出口111が形成されていた。そのため、原料や温調液を送液するための送液手段、容器を接続するための接手および接続チューブは、すべて前面カバープレート102の正面側で取り付けることができた。従って、マイクロリアクタ101の設置場所や、マイクロリアクタ101へのアクセス方向の制約が少なかった。
従って、作製したマイクロリアクタ101は、温調液などの異物が混入するおそれがなく、操作者の作業負荷を低減できた。
以上、本発明に係るマイクロリアクタおよび生成物生成方法について実施形態および実施例により詳細に説明したが、本発明は、前記した実施形態および実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換をすることが可能である。
101 マイクロリアクタ
102 前面カバープレート
103 予熱部プレート
104 混合部プレート
105 滞留部プレート
106 背面カバープレート
107 第1原料入口
108 第2原料入口
109 生成物出口
110 温調液入口
111 温調液出口
112 ネジ穴
113 切り欠き
114 熱電対挿入口
303 温調液入口から温調液流路への流路
304 温調液流路
305 パッキン溝
401 予熱部プレート上板
402 予熱部プレート下板
405 第1原料入口(予熱部プレート)
406 第2原料入口(予熱部プレート)
407 生成物流路(予熱部プレート)
408 温調液流路(予熱部プレート)
409 温調液入口(予熱部プレート)
410 第1原料出口(予熱部プレート)
411 第2原料出口(予熱部プレート)
412 温調液出口(予熱部プレート)
413 第1原料流路
414 第2原料流路
415 温調液流路
501 混合部プレート上板
502 混合部プレート中板
503 混合部プレート下板
506 第1原料入口(混合部プレート)
507a、507b 第2原料入口(混合部プレート)
508 生成物流路(混合部プレート)
509 温調液流路(混合部プレート)
510 温調液入口(混合部プレート)
511 生成物出口(混合部プレート)
512 温調液出口(混合部プレート)
513 温調液流路
601、601a、601b、601c、601d 第1原料流路
602、602a、602b、602c、602d 第2原料流路
603、603a、603b、603c、603d 合流点
604、604a、604b、604c、604d 混合用流路
605、605a、605b、605c、605d、605e、605f 滞留用流路
701 滞留部プレート上板
702 滞留部プレート下板
705 生成物入口(滞留部プレート)
706 生成物出口(滞留部プレート)
707 温調液流路(滞留部プレート)
708 温調液入口(滞留部プレート)
709 温調液出口(滞留部プレート)
710a、710b 滞留部流路
711 温調液流路
803 温調液流路から温調液出口(背面カバープレート)への流路
804 温調液出口(背面カバープレート)

Claims (7)

  1. 平板状の複数のプレートを積層させて構成されており、少なくとも2種類の原料を混合して生成物を生成するマイクロリアクタであり、
    前記複数のプレートのうちの1枚のプレートは、同一面上に、前記原料を導入する入口と、前記生成物を含有する溶液を排出する生成物出口と、温度制御用の熱媒体を導入する温調液入口と、前記熱媒体を排出する温調液出口と、を備えることを特徴とするマイクロリアクタ。
  2. 請求項1に記載のマイクロリアクタにおいて、
    前記複数のプレートのうちの少なくとも1枚のプレートは、1つの面に、前記少なくとも2種類の原料が合流した溶液が流れる流路を有するとともに、前記面の反対側の面に、前記熱媒体が流れる流路を有することを特徴とするマイクロリアクタ。
  3. 請求項1に記載のマイクロリアクタにおいて、
    前記複数のプレートのうちの少なくとも1枚のプレートは、1つの面に、少なくともいずれか1種類の前記原料が流れる流路を有するとともに、前記面の反対側の面に、前記熱媒体が流れる流路を有することを特徴とするマイクロリアクタ。
  4. 請求項1に記載のマイクロリアクタにおいて、
    前記複数のプレートのうちの1枚のプレートは、1つの面および前記面の反対側の面に、少なくとも2種類の前記原料を混合する流路を有することを特徴とするマイクロリアクタ。
  5. 請求項3または請求項4に記載のマイクロリアクタにおいて、
    少なくとも2種類の前記原料が流れるそれぞれの流路は、前記原料を導入する入口から前記原料を混合する流路の合流点までの体積が異なっていることを特徴とするマイクロリアクタ。
  6. 請求項1に記載のマイクロリアクタにおいて、
    前記複数のプレートが、ステンレス、シリコン、金、ガラス、ハステロイ、シリコン樹脂、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルテンペンポリマ、フッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、表面をグラスライニングした金属、表面にニッケルまたは金をコーティングした金属または表面を酸化させたシリコンで形成されていることを特徴とするマイクロリアクタ。
  7. 請求項1に記載のマイクロリアクタを用いて少なくとも2種類の原料を導入して混合し、生成物を生成する生成物生成方法。
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