JP2023016195A - ろ過装置及び循環ろ過システム - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルタエレメントを目詰まりさせることなく、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれるろ過対象液から効率的に固形物を分離することができるろ過装置を提供する。【解決手段】表面ろ過に用いられるろ材11を用いたフィルタエレメント10と、フィルタエレメント10を収容しているハウジング1とを有するろ過装置Wであって、ろ過対象液入口21からハウジング1の内部に、数μm~数百μmの固形物が含まれているろ過対象液を流入させると、フィルタエレメント10のろ材11の一方面側の領域に一方面と平行な方向にろ過対象液が流れるようになっており、ろ過対象液が一方面と平行な方向に流れると、ろ材11の一方面側の領域と他方面側の領域との圧力差により、ろ過対象液のうちの一部の液体がろ材11を透過してろ材11の他方面側の領域に流れてろ過後液出口22から流出されるようになっている。【選択図】図1

Description

本発明は、固形物が含まれる液体中から固形物を分離するろ過装置及び当該ろ過装置を備えた循環ろ過システムに関する。
液体中に含まれる数μmから数百μmの大きさ寸法(直径、もしくは縦、横、高さの平均値)の固形物を除去する方法として、フィルターによるろ過が多用されている。フィルターによるろ過の中でも、特にデッドエンドろ過が一般に多く用いられており、この中にはフィルターが捕捉した固形物を洗い流す機能を備えた逆洗型ろ過装置も知られている。
なお、逆洗型ろ過装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
上記のフィルターは、工場内で使用される工業用水のろ過、工作機械等で使用される冷却水や潤滑油のろ過、自動車や船舶、発電所等で使用されるエンジンの燃料油や潤滑油のろ過等に使用されている。また、上記のフィルターは、工作機械や圧延機械の冷却油や潤滑油に水分と固形物が混入したときに、固形物を含む油水混合液から油分を回収する処理の一次処理(固形物除去処理)としても利用されている。
一方、一般にろ過装置により液体のろ過を行う場合、液体中に含まれる固形物をろ過装置で除去した清澄液を利用し、除去された固形物は不要物として処理される場合が多いが、固形物を利用したい場合や、清澄液及び固形物の両方を利用したい場合もある。このような事例では、デッドエンドろ過の他にクロスフローろ過を利用する場合も多い。
なお、クロスフローろ過は、一般に、分子や微粒子レベルの固形物を分離する目的で利用され、タンパク質やオリゴ糖のような食品成分の分離や細菌や微生物の分離等に利用されている。
特許5967816号公報
ところで、従来技術のデッドエンドろ過は、図5に示すように、フィルターエレメント(エレメント)100の表面に対して直交する方向にろ過対象の液体を通過させることで、ろ過対象の液体に含まれている固形物200がエレメント100に捕捉されるようになっている。
しかし、従来技術のデッドエンドろ過は、ろ過を継続して行うと、捕捉した固形物200が時間の経過とともにエレメント100に堆積して、やがてはろ過対象の液体が透過することができなくなり、ろ過停止となってしまうという課題を有している。
上記課題を防ぐために、深層ろ過方式のろ過装置の場合、フィルタエレメント(エレメント)を交換する必要があり、コストが嵩むという問題がある。また、表面ろ過方式のろ過装置の場合、定期的にエレメントに堆積した固形物を取り除く必要があり、エレメントを取り出して清掃したり、エレメントにろ過とは逆方向に流体を流してエレメントを洗浄する逆洗機構を設けたりしている。
また、表面ろ過方式のろ過装置では、ろ過対象液に含まれる固形物が多いと、エレメントの洗浄を頻繁に行う必要があり、作業負担が大きいという課題がある。また、表面ろ過方式のろ過装置は、逆洗機構を設けても、固形物の処理が追い付かずにろ過が停止してしまうことがあるという課題も有している。
なお、上述した特許文献1に記載の逆洗型ろ過装置も、図5に示すものと同様、エレメントの表面に対して直交する方向にろ過対象の液体を通過させることで、ろ過対象の液体に含まれている固形物がエレメントに捕捉されるようになっており、上記と同様の課題を有している。
また、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれた油水混合液を油水分離するための一次処理としてフィルターによるろ過を行う場合にも、エレメントで捕捉した固形物の処理に多くの手間と時間が割かれるという問題がある。
さらに、ろ過対象液に含まれる数μmから数百μmの大きさの固形物を濃縮する場合、クロスフローろ過の利用が考えられるが、クロスフローろ過に用いられているエレメントは、メンブレン(薄膜)やセラミックス等の目が細かい(数μm以下)エレメントであり、数μmから数百μmの大きさの固形物の濃縮には不向きである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルタエレメントを目詰まりさせることなく、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれるろ過対象液から効率的に固形物を分離することができるろ過装置を提供することにある。また、本発明の目的は、前記ろ過装置を備えた循環ろ過システムを提供することにある。
上記課題を解決するためになされた本発明は、表面ろ過に用いられるろ材を備えたフィルタエレメントと、該フィルタエレメントを収容しているハウジングとを有するろ過装置であって、前記ハウジングには、ろ過対象液入口と、ろ過後液出口とが設けられており、前記ろ過対象液入口から前記ハウジングの内部に、数μm~数百μmの固形物が含まれているろ過対象液を流入させると、前記フィルタエレメントの前記ろ材の一方面側の領域に前記一方面と平行な方向に前記ろ過対象液が流れるようになっており、前記ろ過対象液が前記一方面と平行な方向に流れると、前記フィルタエレメントのろ材の一方面側の領域と、該ろ材の他方面側の領域との圧力差により、前記ろ過対象液のうちの一部の液体が前記ろ材を透過して前記ろ材の他方面側の領域に流れるとともに、前記ろ過対象液に含まれる固形物の一部が前記ろ材に捕捉され、該固形物と分離された前記一部の液体が前記ろ過後液出口から流出されるようになっていることを特徴とする。
この構成によれば、除去が必要な「数μmから数百μm」の大きさの固形物が、フィルタエレメントのろ材の他方面側の領域には通過せずに、ろ材の一方面側に捕捉されると共に、ろ過対象液のうちの一部の液体がろ材を透過してフィルタエレメントのろ材の他方面側の領域に流れ、ろ過対象液に含まれる固形物と分離された一部の液体(清澄液)がろ過後液出口から排出される。
また、ろ材の一方面側の領域には、ろ材の一方面と平行な方向にろ過対象液が流れているため、ろ材の一方面側に捕捉されている固形物は、後からくるろ過対象液の流れによる剪断力でろ材から剥離されて洗い流される。
すなわち、この構成によれば、フィルタエレメントのろ材の表面に固形物が堆積していくことがないため、フィルタエレメントのろ材を目詰まりさせることなく、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれるろ過対象液から効率的に固形物を分離することができる。
また、前記フィルタエレメントに使用されるろ材の目開き寸法が5μm以上あることが望ましい。
なお、前記フィルタエレメントに使用されるろ材の目開きの寸法は、捕捉対象の前記固形物の大きさに応じて設計すれば良い。この構成によれば、フィルタエレメントを目詰まりさせることなく、除去が必要な数μm~数百μmの寸法の固形物が含まれるろ過対象液から効率的に固形物を分離することができる。
また、前記フィルタエレメントに使用される前記ろ材が撥水性素材であること、若しくは前記ろ材に撥水性加工が施されていることが望ましい。
この構成によれば、ろ過装置のろ過対象液入口に、ろ過対象液として、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれる油水混合液を流入すると、固形物がフィルタエレメントの他方面側の領域には通過せずに、ろ材の一方面側(ろ過一次側)に捕捉される。また、このとき、油水混合液のうちの油分の一部がろ材を透過してフィルタエレメントのろ材の他方面側(ろ過二次側)の領域に流れる。また、油水混合液のうちの水分は撥水性のろ材に弾かれてろ材の一次側から二次側へ透過せずに流れていく。
すなわち、上記の構成によれば、ろ過装置のろ過対象液入口に油水混合液を流入させるという簡単な処理をするだけで、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれる油水混合液から効率的に油分を回収することができる。また、上記の構成によれば、従来技術と比べて、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれる油水混合液から油分だけを回収する作業の労力が大幅に改善される。
また、前記ろ材は、両端が貫通している略中空円筒状に形成されており、前記中空円筒状に形成された前記ろ材の内周側面側の領域が前記ろ材の一方面側の領域になっている場合、前記ろ材の外周側面側の領域が前記ろ材の他方面側の領域になっており、且つ前記ろ過対象液入口から流入した前記ろ過対象液は、前記ろ材の一端側から該ろ材の内周側面側の領域に流入し、該ろ材の他端側に向かって、前記内周側面と平行な方向に流れるようになっており、前記ろ材の内周側面側の領域が前記ろ材の他方面側の領域になっている場合、前記ろ材の外周側面側の領域が前記ろ材の一方面側の領域になっており、且つ前記ろ過対象液入口から流入した前記ろ過対象液は、前記ろ材の一端側から該ろ材の外周側面側の領域に流入し、該ろ材の他端側に向かって、前記外周側面と平行な方向に流れるようになっていることが望ましい。
また、前記ろ過装置と、前記ろ過装置に流入するろ過対象液が貯留されたろ過対象液タンクとを備えた循環ろ過システムであって、前記ハウジングには、前記ろ過対象液入口から流入したろ過対象液のうちの前記フィルタエレメントの前記ろ材の一方面側の領域を通過してもろ過されなかったろ過対象液を排出させるろ過対象液出口が設けられており、前記ろ過対象液タンクは、前記ろ過対象液入口に第1配管を介して接続されていると共に、前記ろ過対象液出口に第2配管を介して接続されており、前記ろ過対象液タンクに貯留されたろ過対象液は、前記第1配管を介して前記ろ過対象液入口から前記ろ過装置に流入されるようになっており、前記ろ過対象液出口から排出される前記フィルタエレメントの前記ろ材の一方面側の領域を通過してもろ過されなかったろ過対象液が第2配管を介して、前記ろ過対象液タンクに流入して戻り、再度、前記第1配管を介して前記ろ過対象液入口から前記ろ過装置に流入されるようになっていることを特徴とする。
この構成によれば、ろ過装置に、ろ過対象液を繰り返してろ過させることができるため、ろ過対象液タンクには、液体に対する固形物の割合が濃縮されたろ過対象液が貯留されていくことになる。
すなわち、この構成によれば、数μm~数百μmの固形物が含まれているろ過対象液のなかから、固形物を利用したい場合に、数μmから数百μmの大きさの固形物を濃縮して取り出すことができる。また、本発明の循環ろ過システムを用いれば、数μm~数百μmの固形物が含まれているろ過対象液に対して、ろ過された液体(清澄液)及び固形物の両方を利用することもできる。
このように本発明によれば、フィルタエレメントを目詰まりさせることなく、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれるろ過対象液から効率的に固形物を分離することができるろ過装置を提供することができる。また、本発明によれば、前記ろ過装置を備えた循環ろ過システムを提供することができる。
本発明の実施形態のろ過装置の断面を示した模式図である。 本発明の実施形態のろ過装置によるろ過対象液をフィルタエレメントの表面に平行な方向に流して行うろ過処理を説明するための模式図である。 本発明の実施形態のろ過装置を備えた循環ろ過システムの構成を示した模式図である。 本発明の実施形態の変形例のろ過装置が行う固形物が混入した油水混合液を油分分離する処理を説明するための模式図である 従来技術のデッドエンドろ過の処理を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態ろ過装置を図面に基づいて説明する。
<ろ過装置の概略構成>
先ず、本実施形態のろ過装置の概略構成について図1を参照しながら説明する。
図示するように、本実施形態のろ過装置Wは、表面ろ過に使用されるろ材11を備えたフィルタエレメント10と、フィルタエレメント10を収容している中空円筒状のハウジング1とを有している。
ハウジング1には、数μm~数百μmの固形物200(図2参照)が含まれているろ過対象液を流入させるろ過対象液入口21と、フィルタエレメント10によりろ過処理されたろ過後液(清澄液)を取り出すためのろ過後液出口22と、ハウジング1からフィルタエレメント10の側面を通過しても「ろ過されなかったろ過対象液」を排出させるろ過対象液出口23とが設けられている。
また、ハウジング1のろ過対象液入口21からハウジング1の内部に、数μm~数百μmの固形物が含まれているろ過対象液を流入させると、フィルタエレメント10のろ材11の一方面側(ろ過一次側)の領域A2aに一方面と平行な方向にろ過対象液が流れるようになっている。
そして、ろ過対象液がフィルタエレメント10のろ材11の一方面(表面)と平行な方向に流れると、フィルタエレメント10のろ材11の一方面側(ろ過一次側)の領域A2aと、ろ材11の他方面側(ろ過二次側)の領域A2bとの圧力差により、ろ過対象液のうちの一部の液体がろ材11を透過してろ材11の他方面側(ろ過二次側)の領域A2bに流れ、ろ過対象液に含まれる固形物200の一部がろ材11に捕捉され、固形物200と分離された一部の液体(清澄液)がろ過後液出口22から流出されるようになっている。
また、ろ過対象液入口21から流入したろ過対象液のうち、ろ材11の他方面側(ろ過二次側)の領域A2bに流れた一部の液体(清澄液)以外の「液体(他部の液体)と、ろ材11に捕捉されなかった固形物200」は、ろ材11の一方面側(ろ過一次側)の領域A2aを通過して流れ、その後、ろ過対象液出口23から、ハウジング1の外部に排出されていく。
この構成によれば、固形物200がフィルタエレメント10のろ材11の他方面側の領域A2bには通過せずに、ろ材11の一方面側に捕捉されると共に、ろ過対象液のうちの一部の液体だけがろ材11を透過してフィルタエレメントのろ材11の他方面側の領域A2bに流れる。この一部の液体は、ろ過対象液に含まれる固形物と分離された清澄液であり、ろ過後液出口22から流出される。
また、ろ材11の一方面側の領域A2aには、ろ材11の一方面と平行な方向にろ過対象液が流れているため、ろ材11の一方面側に捕捉された固形物200は、後からくるろ過対象液の流れによる剪断力でろ材11から剥離されて洗い流される。
このように、本実施形態の構成によれば、フィルタエレメント10のろ材11の表面に固形物200が堆積していくことがないため、フィルタエレメント10のろ材11を目詰まりさせることなく、数μmから数百μmの大きさの固形物200が含まれるろ過対象液から効率的に固形物200を分離することができる。
次に、本実施形態のろ過装置Wの各構成について順番に説明していく。
<フィルタエレメント10>
フィルタエレメント10は、上下両端に開口が形成され且つ上下両端が貫通している略中空円筒状に形成されたろ材11を有している。また、ろ材は、例えば、目開き寸法が5μm~100μmに形成されている。
なお、ろ材11の目開き寸法は、用途に応じて、5μm~100μmの範囲において適宜設計される。
また、フィルタエレメント10は、表面ろ過に使用されるろ材11を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。例えば、フィルタエレメント10は、ステンレス等の金属製の枠体(図示せず)と、枠体にノッチワイヤを螺旋状に巻き付けることにより略中空円筒状に形成されたろ材11とを有するものを用いることができる。
この場合、枠体は、両面が貫通した円形の上側リング部材と、両面が貫通した円形の下側リング部材と、上側リング部材と下側リング部材との間に配設された棒状のワイヤ支持材とにより構成されている。具体的には、枠体は、上側リング部材と下側リング部材とを所定間隔を開けて配置し(相対向して配置し)、上側リング部材と下側リング部材との間に複数のワイヤ支持材を所定間隔・開けて円周状に配設し、各ワイヤ支持材の両端をそれぞれ上側リング部材と下側リング部材に固着することにより形成される。
そして、枠体の円周状に配置されたワイヤ支持材に、ノッチワイヤを外接させながら螺旋状に巻き付けて積層させていくことにより、円筒状のろ材11が形成される。
また、フィルタエレメント10には、上記の枠体と、枠体に金網を巻き付けて略中空円筒状に形成したろ材11とを有するものを用いることもできる。或いは、フィルタエレメント10には、上記の枠体と、枠体に金属製のパンチングプレートを巻いて略中空円筒状に形成されたろ材11とを有する構成のものを用いることもできる。
<ハウジング1>
ハウジング1は、両端が貫通している中空円筒状に形成された本体部1aと、本体部1aの下端の開口を塞ぐ板状の底面部1bと、本体部1aの上端の開口を塞ぐ板状の蓋面部1cとを備えている。
また、本体部1aは、筒内の下方側に下側・仕切板3が設けられていると共に、筒内の上方側に上側・仕切板5が設けられている。下側・仕切板3及び上側・仕切板5により、ハウジング1内部が入口側エリア(下側エリア)A1と、中央エリアA2(領域A2a、領域A2b)と、出口側エリア(上側エリア)A3とに仕切られている。
なお、図1では、中央エリアA2のうち、フィルタエレメント10のろ材11の筒内側の領域(内周側面(一方面)側の領域)を「A2a」で示し、ろ材11の筒外側の領域(外周側面(他方面)側の領域)を「A2b」で示している。
下側・仕切板3には、ろ材11の内径寸法と略同じ径寸法の貫通孔3aが形成されている。また、上側・仕切板5にも、ろ材11の内径寸法と略同じ径寸法の貫通孔5aが形成されている。
そして、フィルタエレメント10は、ハウジング1の中央エリアA2において、その下端部が下側・仕切板3に当接し、その上端部が上側・仕切板5に当接した状態で、下側・仕切板3と上側・仕切板5とにより挟持された状態で固定されている。また、フィルタエレメント10は、ろ材11の下端部の内周面が、下側・仕切板3の貫通孔3aに位置合わせされており、ろ材11の内周面側の領域A2aが貫通孔3aを介して下側エリアA1と連通している。また、ろ材11の上端部の内周面が、上側・仕切板5の貫通孔5aに位置合わせされており、ろ材11の内周面側の領域A2aが貫通孔5aを介して上側エリアA3と連通している。
この構成によれば、ろ過対象液入口21から流入するろ過対象液は、ハウジング1の下側エリアA1に入り、仕切板3の貫通孔3aを通って、フィルタエレメント10のろ材11の下端・開口からろ材11の内周側面(一方面)側の領域A2aに流入する。また、ろ材11の内周側面(一方面)の領域A2aに流入してきたろ過対象液は、ろ材11の上端・開口に向かって、ろ材11の内周側面(一方面)と平行な方向に流れる。
また、ろ材11の内周面側(一方面側)の領域A2aと、ろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bとの圧力差により、ろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れるろ過対象液のうちの一部の液体がろ材11を透過してろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bに流れる。このとき、ろ過対象液に含まれる固形物の一部がろ材11に捕捉される。そして、ろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bに流れた一部の液体(清澄液)がろ過後液出口22を通ってハウジング1の外部に流出される。
また、ろ材11の筒内に流入してきたろ過対象液のうち、ろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bに流れた一部の液体(清澄液)以外の他部(残部)の液体は、ろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れてろ材11の上端・開口を通過し、上側・仕切板5の貫通孔5aを介して上側エリアA3に流出して、ろ過対象液出口23からハウジング1の外部に排出されていく。
<ろ過処理の説明>
次に、本実施形態のろ過装置Wが行うろ過処理について、図2を参照しながら詳細に説明する。
ここで、図2は、本実施形態のろ過装置によるろ過対象液をフィルタエレメントのろ材の表面に平行な方向に流して行うろ過処理を説明するための模式図である。
本実施形態のろ過装置Wのろ過対象液入口21からろ過対象液を流入させると、流入させたろ過対象液がろ材11の下端・開口から筒内に流入する。その後、ろ過対象液は、図2に示すように、ろ材11の上端・開口に向けて、ろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れていく。このろ過対象液には、数μm~数百μmの固形物200が含まれている。
また、本実施形態のろ過装置Wでは、ろ材11の内周面側(一方面側(ろ過一次側))の領域A2aと、ろ材11の外周面側(他方面側(ろ過二次側))の領域A2bとの圧力差が「一定の範囲となるように」コントロールされている。なお、ろ材11の内周面側(一方面側)の領域A2aの圧力が、ろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bの圧力よりも高くなっている。
また、本実施形態では、ろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れていく「ろ過対象液」の流速が「一定の範囲となるように」コントロールされている。
そして、ろ材11の内周面側(一方面側)の領域A2aと、ろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bとには、上記の圧力差があると共に、「ろ過対象液」の流速が上記速度になっているため、ろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れているろ過対象液のうちの一部の液体がろ材11を透過してろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bに流れる。このとき、ろ過対象液に含まれる固形物200の一部がろ材11に捕捉される。すなわち、流入してきたろ過対象液に含まれる固形物200は、ろ材11により、ろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bへの流出を阻止される。これにより、ろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bには、固形物200と分離された一部の液体(清澄液)だけが流入し、この清澄液が、ろ過後液出口22を通ってハウジング1の外部に流出される。
また、ろ材11の内周面側(一方面側)の領域A2aには、ろ材11の一方面と平行な方向にろ過対象液が流れているため、ろ材11の一方面側に捕捉されている固形物200は、後からくるろ過対象液の流れによる剪断力でろ材11から剥離されて洗い流され、その後、上側・仕切板5の貫通孔5aを介して上側エリアA3に流入して、ろ過対象液出口23からハウジング1の外部に排出されていく。
すなわち、本実施形態の構成によれば、フィルタエレメント10のろ材11の表面に固形物200が堆積していくことがないため、フィルタエレメント10のろ材11を目詰まりさせることなく、数μmから数百μmの大きさの固形物200が含まれるろ過対象液から効率的に固形物200を分離することができる。
<本実施形態のろ過装置を備えた循環ろ過システム>
次に、本実施形態のろ過装置を備えた循環ろ過システムについて、図3を参照しながら説明する。
なお、図3は、本実施形態のろ過装置を備えた循環ろ過システムの構成を示した模式図である。
本実施形態の循環ろ過システムは、フィルタエレメント10を備えたろ過装置Wと、ろ過装置Wに流入するろ過対象液を貯留するろ過対象液タンク30と、ろ過装置Wによりろ過されてろ過装置Wから流出した清澄液を貯留する清澄液タンク40とを備えている。また、ろ過装置Wは、配管51、52を介してろ過対象液タンク30と接続されているとともに、配管53を介して清澄液タンク40と接続されている。
なお、図示する符号61、62、63、64は、各配管に設けらたバルブである。
具体的には、ろ過対象液タンク30は、ろ過装置Wのろ過対象液入口21に配管(第1配管)51を介して接続されている。また、配管51には、ポンプ50が設けられており、ポンプ50を駆動させることで、ろ過対象液タンク30に貯留されているろ過対象液がろ過装置Wのろ過対象液入口21に流入されるようになっている。
なお、ポンプ50の出力を制御することにより、ろ過装置Wのフィルタエレメント10のろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れていく「ろ過対象液」の流速が「一定の範囲となるように」している。
また、ろ過対象液タンク30は、ろ過装置Wのろ過対象液出口23に配管(第2配管)52を介して接続されており、ろ過装置Wでろ過されずに排出されるろ過対象液が、再度、ろ過対象液タンク30に流入して戻ってくるようになっている。
すなわち、本実施形態の循環ろ過システムでは、「ろ過対象液タンク30及び配管51、52」により循環ラインが形成されている。
また、清澄液タンク40は、ろ過装置Wのろ過後液出口22と配管(第3配管)53を介して接続されており、ろ過装置Wによりろ過されて流出される清澄液が、清澄液タンク40に流入し貯留されるようになっている。
本実施形態の循環ろ過システムの構成によれば、ろ過対象液が、「ろ過対象液タンク30→ろ過装置W(フィルタエレメント10)→ろ過対象液タンク30→ろ過装置W(フィルタエレメント10)→ろ過対象液タンク30→・・・」の順に循環するようになっている。
この構成によれば、ろ過対象液を循環させて、複数回、ろ過装置Wのフィルタエレメント10を通過させれば、ろ過対象液の液体に対する固形物の割合が濃縮されていくことになる。そのため、例えば、数μm~数百μmの固形物200が含まれているろ過対象液のなかから、固形物200を抽出して利用したい場合に、数μmから数百μmの大きさの固形物200が含まれるろ過対象液を濃縮し抽出することができる。
すなわち、本実施形態の循環ろ過システムを用いれば、数μm~数百μmの固形物が含まれているろ過対象液に対して、清澄液及び固形物の両方を利用することもできる。
<本実施形態の変形例>
次に、本実施形態のろ過装置Wの変形例について説明する。
この変形例では、ろ過装置Wのうちのフィルタエレメント10のろ材11に撥水性を持たせている。
なお、本変形例のろ過装置Wは、フィルタエレメント10のろ材11に撥水性を持たせていること以外は、上述した実施形態と同じである。また、変形例では、説明の便宜上、上述した実施形態と同じ符号を使用する。
本変形例のフィルタエレメント10は、ろ材11が撥水性素材(例えば、撥水加工繊維を用いたメッシュ素材)で形成されている。或いは、変形例のフィルタエレメント10は、ろ材11に撥水性加工が施されている(例えば、ろ材11を構成するノッチワイヤや金属網にフッ素樹脂等の撥水性素材をコーティングしたりメッキ処理したりする)。
このようにすることで、ろ過装置Wに、ろ過対象液として固形物200が含まれる油水混合液を流入すると、油水混合液から効率的に油分を回収することができる。
以下、図4を参照しながら、変形例のフィルタエレメント10による固形物200が含まれる油水混合液から油分分離する処理について説明する。
ここで、図4は、本実施形態の変形例のろ過装置が行う固形物が混入した油水混合液を油分分離する処理を説明するための模式図である。
本変形例のろ過装置Wのろ過対象液入口21に、数μm~数百μmの固形物200が含まれる油水混合液を流入させると、流入させた油水混合液がろ材11の下端・開口から筒内に流入してくる。
その後、油水混合液は、図4に示すように、ろ材11の上端・開口に向けて、ろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れていく。
なお、ろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れていく「油水混合液」の流速は、上述した実施形態と同様、「一定の範囲となるように」コントロールされている。
そして、ろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れている油水混合液のうち、ろ材11の内周側面に沿って流れている水分300は、撥水性を有するろ材11に弾かれる。また、ろ材11に弾かれた水分300は、後から流れてくる油水混合液のろ過流速で、ろ材11の上端・開口に向けて押し流され、その後、上側・仕切板5の貫通孔5aを介して上側エリアA3に流出して、ろ過対象液出口23からハウジング1の外部に排出されていく。
また、図4においても、図2で示した場合と同様、ろ材11の内周面側(一方面側(ろ過一次側))の領域A2aと、ろ材11の外周面側(他方面側(ろ過二次側))の領域A2bとには圧力差がある。そのため、ろ材11の内周側面(一方面)と平行方向に流れている油水混合液のうちの一部の油分だけがろ材11を透過してろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bに流れる。このとき、油水混合液に含まれる固形物200の一部がろ材11に捕捉される。すなわち、油水混合液に含まれる固形物200は、ろ材11により、ろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bへの流出を阻止される。これにより、ろ材11の外周面側(他方面側)の領域A2bには、固形物200及び水分300から分離された油分(油)だけが流入して、この油分が、ろ過後液出口22を通ってハウジング1の外部に流出される。これにより、油水混合液から油分だけを抽出することができる。
また、図4に示す場合においても、図2と同様、ろ材11の内周面側(一方面側)の領域A2aには、ろ材11の一方面と平行な方向に油水混合液が流れているため、ろ材11の一方面側に捕捉されている固形物200は、後からくる油水混合液の流れによる剪断力でろ材11から剥離されて洗い流され、その後、上側・仕切板5の貫通孔5aを介して上側エリアA3に流入して、ろ過対象液出口23からハウジング1の外部に排出されていく。すなわち、本変形例においても、図1、2に示した実施形態と同様、フィルタエレメント10のろ材11の表面に固形物200が堆積していくことがない。
そのため、本実施形態の変形例のろ過装置Wによれば、フィルタエレメント10のろ材11を目詰まりさせることなく、数μmから数百μmの大きさの固形物200が含まれる油水混合液から効率的に固形物200及び水分300を分離して油分(油)だけを取り出すことができる。
すなわち、本変形例の構成によれば、ろ過装置Wのろ過対象液入口21に油水混合液を流入させるという簡単な処理をするだけで、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれる油水混合液から効率的に油分を回収することができる。本変形例によれば、従来技術と比べて、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれる油水混合液から油分だけを回収する作業の労力が大幅に改善される。
また、本変形例のろ過装置Wを、図3に示す循環ろ過システムに適用すれば、数μm~数百μmの固形物200が含まれている油水混合液から、油分及び固形物200の両方を抽出して利用することができる。
以上、説明したように、本実施形態及び本変形例によれば、数μmから数百μmの大きさの固形物が含まれるろ過対象液から、フィルタエレメントを目詰まりさせることなく効率的に固形物を分離することができるろ過装置Wを提供することができる。また、本実施形態及び本変形例によれば、ろ過装置Wを備えた循環ろ過システムを提供することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ろ過対象液入口21から流入するろ過対象液は、フィルタエレメント10のろ材11の下端・開口からろ材11の内周側面(一方面)側の領域A2aに流入し、ろ材11の上端・開口に向かって、ろ材11の内周側面(一方面)と平行な方向に流れているが、特にこの構成に限定されるものではない。
ろ過対象液入口21から流入するろ過対象液が、フィルタエレメント10のろ材11のろ材11の外周側面(他方面)側の領域A2bに流入し、ろ材11の外周側面(他方面)と平行な方向に流れるようになっていてもよい。この場合、下側・仕切板3は、ろ材11の下端・開口を封鎖する形状になっていると共に、下側エリアA1と領域A2bと連通させる孔が設けられている。また、上側・仕切板5は、ろ材11の上端・開口を封鎖する形状になっていると共に、上側エリアA3と領域A2bと連通させる孔が設けられている。この構成においても、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、上述した実施形態では、ハウジング1の下方側にろ過対象液入口21が設けられ、ハウジング1の上方側にろ過対象液出口22が設けられていたが特にこの構成に限定されるものではない。ろ過対象液出口22の方から、ろ過対象液を流入し、ろ過対象液入口21の方から、ろ過されなかったろ過対象液が流出されるようにしても良い。この場合、ろ過対象液出口22から流入するろ過対象液が、フィルタエレメント10のろ材11の上端・開口からろ材11の内周側面(一方面)側の領域A2aに流入し、ろ材11の下端・開口に向かって、ろ材11の内周側面(一方面)と平行な方向に流れ、その後、ろ過対象液入口21から排出されていくことになる。この構成においても、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
1…ハウジング
1a…本体部
1b…底面部
1c…蓋面部
3…下側・仕切板
3a…貫通孔
5…上側・仕切板
5a…貫通孔
A1…下側エリア
A2…中央エリア
A2a、A2b…領域(中央エリア)
A3…上側エリア
10…フィルタエレメント
11…ろ材
21…ろ過対象液入口
22…ろ過後液出口
23…ろ過対象液出口
30…ろ過対象液タンク
40…清澄液タンク
50…ポンプ
51、52、53…配管
61、62、63、64…バルブ

200…固形物
300…水分

Claims (5)

  1. 表面ろ過に用いられるろ材を備えたフィルタエレメントと、該フィルタエレメントを収容しているハウジングとを有するろ過装置であって、
    前記ハウジングには、ろ過対象液入口と、ろ過後液出口とが設けられており、
    前記ろ過対象液入口から前記ハウジングの内部に、数μm~数百μmの固形物が含まれているろ過対象液を流入させると、前記フィルタエレメントの前記ろ材の一方面側の領域に前記一方面と平行な方向に前記ろ過対象液が流れるようになっており、
    前記ろ過対象液が前記一方面と平行な方向に流れると、前記フィルタエレメントのろ材の一方面側の領域と、該ろ材の他方面側の領域との圧力差により、前記ろ過対象液のうちの一部の液体が前記ろ材を透過して前記ろ材の他方面側の領域に流れるとともに、前記ろ過対象液に含まれる固形物の一部が前記ろ材に捕捉され、該固形物と分離された前記一部の液体が前記ろ過後液出口から流出されるようになっていることを特徴とするろ過装置。
  2. 前記フィルタエレメントに使用されるろ材の目開き寸法が5μm以上あることを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
  3. 前記フィルタエレメントに使用される前記ろ材が撥水性素材であること、若しくは前記ろ材に撥水性加工が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のろ過装置。
  4. 前記ろ材は、両端が貫通している略中空円筒状に形成されており、
    前記中空円筒状に形成された前記ろ材の内周側面側の領域が前記ろ材の一方面側の領域になっている場合、前記ろ材の外周側面側の領域が前記ろ材の他方面側の領域になっており、且つ前記ろ過対象液入口から流入した前記ろ過対象液は、前記ろ材の一端側から該ろ材の内周側面側の領域に流入し、該ろ材の他端側に向かって、前記内周側面と平行な方向に流れるようになっており、
    前記ろ材の内周側面側の領域が前記ろ材の他方面側の領域になっている場合、前記ろ材の外周側面側の領域が前記ろ材の一方面側の領域になっており、且つ前記ろ過対象液入口から流入した前記ろ過対象液は、前記ろ材の一端側から該ろ材の外周側面側の領域に流入し、該ろ材の他端側に向かって、前記外周側面と平行な方向に流れるようになっていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のろ過装置。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のろ過装置と、前記ろ過装置に流入するろ過対象液が貯留されたろ過対象液タンクとを備えた循環ろ過システムであって、
    前記ハウジングには、前記ろ過対象液入口から流入したろ過対象液のうちの前記フィルタエレメントの前記ろ材の一方面側の領域を通過してもろ過されなかったろ過対象液を排出させるろ過対象液出口が設けられており、
    前記ろ過対象液タンクは、前記ろ過対象液入口に第1配管を介して接続されていると共に、前記ろ過対象液出口に第2配管を介して接続されており、
    前記ろ過対象液タンクに貯留されたろ過対象液は、前記第1配管を介して前記ろ過対象液入口から前記ろ過装置に流入されるようになっており、
    前記ろ過対象液出口から排出される前記フィルタエレメントの前記ろ材の一方面側の領域を通過してもろ過されなかったろ過対象液が第2配管を介して、前記ろ過対象液タンクに流入して戻り、再度、前記第1配管を介して前記ろ過対象液入口から前記ろ過装置に流入されるようになっていることを特徴とする循環ろ過システム。
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