JP2023015880A - 光照射装置、基板処理装置及び光照射方法 - Google Patents

光照射装置、基板処理装置及び光照射方法 Download PDF

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【課題】処理対象を処理するために十分な強度の光を照射すること。【解決手段】プラズマ形成用ガスが内部に充填される筐体と、前記筐体内を第1空間と第2空間とに区画するように、当該筐体内に設けられる隔壁と、前記筐体の壁部の一部をなすと共に前記第1空間に臨み、前記筐体内で前記プラズマ形成用ガスから生じたプラズマの光を前記筐体の外部に照射する透光部と、前記隔壁に設けられ、前記第1空間と前記第2空間とを連通させる孔と、前記第1空間、前記第2空間に夫々設けられる第1電極、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に電位差を形成して前記プラズマを形成するための電源と、前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも高電位の電極が前記筐体内に露出しないように被覆する誘電体部と、を備えるように装置を構成する。【選択図】図1

Description

本開示は、光照射装置、基板処理装置及び光照射方法に関する。
半導体製造プロセスにおいては、基板である半導体ウエハに対して、成膜処理、エッチング処理、膜の改質処理などの処理が行われる。このような処理を行うにあたって光エネルギーを利用して処理を行う場合がある。特許文献1には、処理容器の天井部において複数の放電セルが設けられる装置について示されている。そして当該装置については、任意の放電セルにてプラズマを発生させ、生じた真空紫外線を基板に向けて照射できるように構成されており、当該真空紫外線により処理ガスが活性化されることで、ウエハに成膜処理等が行われることが示されている。
特開2015-84387号公報
本開示は、処理対象を処理するために十分な強度の光を照射することができる技術を提供することにある。
本開示の光照射装置は、プラズマ形成用ガスが内部に充填される筐体と、
前記筐体内を第1空間と第2空間とに区画するように、当該筐体内に設けられる隔壁と、
前記筐体の壁部の一部をなすと共に前記第1空間に臨み、前記筐体内で前記プラズマ形成用ガスから生じたプラズマの光を前記筐体の外部に照射する透光部と、
前記隔壁に設けられ、前記第1空間と前記第2空間とを連通させる孔と、
前記第1空間、前記第2空間に夫々設けられる第1電極、第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電位差を形成して前記プラズマを形成するための電源と、
前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも高電位の電極を被覆する誘電体部と、
を備える。
本開示によれば、処理対象を処理するために十分な強度の光を照射することができる。
本開示の光照射装置の一実施形態である光源部の概略縦断側面図である。 前記光源部を備える基板処理装置の一実施形態である成膜装置の縦断側面図である。 前記成膜装置の上面図である。 前記成膜装置の処理容器の上部側の縦断側面図である。 前記成膜装置に含まれるガス供給部を構成する板体の上面図である。 前記光源部及び成膜装置の天板の縦断側面図である。 前記光源部の縦断側面図である。 前記光源部に設けられる中間板の下面図である。 前記中間板の上面図である。 前記中間板の下面の概略図である。 前記中間板の変形例を示す下面図である。 前記中間板のさらなる変形例を示す下面図である。 第2の実施形態の光源部の縦断側面図である。 前記光源部を構成する上板の下面図である。 評価試験の結果を示すグラフ図である。
〔第1の実施形態の光源部の概要〕
本開示の光照射装置の第1の実施形態である光源部4について概略縦断面側面図である図1を用いて、その構成の概要を先に説明する。この光源部4は例えば、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハ、と記載する)Wを処理する基板処理装置に組み込まれて用いられ、当該基板処理装置については、ウエハWに対して処理ガスの供給と、光源部4からの光照射と、を行うことで処理を行う。
ところで半導体デバイスの製造工程において、ウエハWを比較的高い温度で加熱処理したり、プラズマ処理がなされたりする場合が有る。しかし、半導体デバイスについては、微細化及び印加可能な電圧の上限の低電圧化が進行している。その背景から、処理中の高熱によるウエハWへのダメージ、プラズマを起因とする帯電によるウエハWの膜破壊、プラズマの高速粒子の打ち込みによるウエハWの膜のダメージの夫々について抑制することが求められている。光源部4を備える基板処理装置は、そのような要請に対応し得るものであり、ウエハWを低温で且つプラズマに曝さずに処理することが可能である。
図1に示すように光源部4は筐体41を備えており、筐体41の底部は水平な透光板42として構成されている。筐体41の内部には水平な隔壁46Aが設けられており、筐体41内を下側の第1空間51と、上側の第2空間52とに区画する。筐体41及び隔壁46Aは、誘電体または絶縁体により構成されている。隔壁46Aには垂直方向(鉛直方向)に孔47が穿孔されている。孔47は、当該孔47を介して第1空間51と第2空間52とが連通している。筐体41内には放電ガス(プラズマ形成用ガス)として、例えばキセノン(Xe)とネオン(Ne)との混合ガスが充填された状態とされる。
隔壁46Aの下面、上面には、第1電極61、第2電極62が夫々形成されている。第1電極61には高周波電源58が接続される一方で、第2電極62は接地されている。上記の孔47は、第1電極61と第2電極62との間に位置するレイアウトとなっている。また、第1電極61、第2電極62を夫々被覆して、第1空間51、第2空間52に夫々露出させないようにする第1誘電体層63、第2誘電体層64が設けられている。
高周波電源58から電力が供給される、即ち第1電極61と第2電極62との間に電位差が形成された状態となると、第1電極61と第2電極62との間に電界が形成されて誘電体バリア放電が生じ、プラズマが形成される。そして、第1電極61と第2電極62との間に介在する孔47内においては、プラズマが高密度化する。即ち、大きなプラズマ放電が生じる状態となる。このプラズマを構成するイオン、ラジカルに起因して光が照射される。より詳しく述べると、イオンが電子を捕獲する際に光が放出される際、ラジカルが基底状態に戻る際において、夫々光が放出される。上記のように孔47にて大きなプラズマ放電が起きることで発生する光の強度は大きいものとなり、その光が透光板42を透過して、下方に照射される。
既述した放電ガスが用いられることにより、上記の照射光は200nm以下、より詳しくは100nm~200nmの波長域にピーク波長を有する紫外線である。従って、当該照射光には波長が10nm~200nmである真空紫外線(Vacuum Ultra Violet、以下、VUVと略記する)が多く含まれることになる。上記のように光源部4にて発生する光の強度が大きいため、このVUVについても大きな強度でウエハWに向けて照射することが可能である。波長が比較的短いVUVは比較的高いエネルギーを有するが、上記のように強度が大きいことで、より高い光エネルギーをウエハWに向けて供給することができる。それ故に、処理ガスを効率良く活性化させて、ウエハWに速やかに処理を行うことができる。
〔光源部を含む成膜装置の構成〕
以下、基板処理装置の一例である成膜装置1について、図2の縦断側面図を参照して詳しく説明する。なお、以降に説明する一部の図中には、矢印によってX方向、Y方向、Z方向を夫々表示している。X方向及びY方向については、各々水平方向であると共に、互いに直交する。Z方向は垂直方向である。
本例の成膜装置1はCVD(Chemical Vapor Deposition)により、SiN膜を形成する。成膜装置1は円形の処理容器11を備えている。処理容器11の側壁にはウエハWを搬入及び搬出するための搬送口12が形成されており、ゲートバルブ13によって開閉自在である。処理容器11の側壁の上部側は、排気路形成部14として構成されている。当該排気路形成部14については、その下部側、上部側が夫々処理容器11の中央側に向かう突出部をなすことで、縦断面視で側方に向けて開口する凹部状に構成されている。排気路形成部14には、バルブ15を介して排気機構16が接続されている。排気機構16によって当該排気路形成部14がなす凹部内、ひいては処理容器11内が排気される。また、その排気時にバルブ15の開度が調整されることで、当該処理容器11内における処理空間が所望の圧力の真空雰囲気とされる。
処理容器11内にはステージ21が設けられており、ウエハWは当該ステージ21の上面に水平に載置される。当該ステージ21には、ウエハWを加熱して所望の温度にするためのヒーター22が埋設されている。ステージ21は、支柱23を介して昇降機構24に接続されている。昇降機構24によって、上方側の処理位置(図中に一点鎖線で表示)と、下方側の受け渡し位置(図中に実線で表示)との間でステージ21が昇降する。
処理位置はウエハWを処理する際における位置であり、処理位置におけるステージ21の側壁は、排気路形成部14の下部側の突出部に近接する。なお、図中25、26は気流のガイドであり、ステージ21の側面、排気路形成部14の下部側の突出部の先端に夫々設けられている。なお、ステージ21は不図示の3本の垂直なピンを備えており、ステージ21が受け渡し位置に位置する状態で当該ピンが昇降し、当該ステージ21と、処理容器11内に対して進退可能な不図示の搬送機構との間で、ウエハWの受け渡しが行われる。
処理容器11の上部側に、図1で概略を説明した光源部4が設けられる。この処理容器11の上部側の構成について、処理容器11の上面図である図3、当該上部側の縦断側面図である図4も参照して説明する。上記した排気路形成部14の上側の突出部は、円環状のガス供給部3として構成されており、このガス供給部3によって囲まれる円形の領域をガス吐出空間30として示している。また、このガス吐出空間30を形成する周壁を30Aとして示している。
そして、既述した光源部4を構成する筐体41は円板形状である。図1では表示を省略したが、光源部4は、筐体41の他に、当該筐体41の外側に設けられる外周形成部7を備えており、当該外周形成部7は、当該筐体41についてその下面の周縁部から側面を介して上面の周縁部に亘るように形成されることで、平面視円環状に形成されている。この外周形成部7はガス供給部3上に積層され、筐体41はガス吐出空間30を上方から覆うように配置されることで、筐体41の下面をなす透光板42はステージ21の上面に対向している。透光板42、ガス吐出空間30、ステージ21の各々の中心位置は、平面視で互いに揃っており、平面視で周壁30Aはステージ21上のウエハWの周に沿う。
そして、天板17が、ガス供給部3、光源部4を上方から覆うように設けられており、これら天板17、ガス供給部3及び光源部4が処理容器11の上部側の開口を塞ぐ蓋部をなす。天板17の下面の中央部には凹部18が設けられ、筐体41及び外周形成部7は当該凹部18に収まる。なお、図3はこの天板17の上面図でもある。
続いて、図4を参照してガス供給部3について詳しく説明する。ガス供給部3については、水平で円環をなす板体31A、31B、31C、31Dが上からこの順で、同軸となるように積層されて構成された積層体31と、当該積層体31を囲んで当該積層体31の外周に設けられる円環状の流路形成部32と、を備えている。板体31A~31Dについては各々同じ大きさの円形の開口部を備えており、これら板体31A~31Dの開口部によって、上記したガス吐出空間30が形成されている。板体31A~31Dの外径の大きさについては、上側の板体ほど大きい。
板体31A~31Dは、上記の外形の大きさを除いて同様の構成であり、代表して板体31Aの上面について図5に示している。上記したように板体31Aは円環状であるが、その外周端において周方向に離れた複数箇所が切り欠かれている。そして板体31Aの上面には、当該切り欠きから板体31Aの内周端に亘るように、当該板体31Aの径方向に沿った直線状の溝が形成されている。このような切り欠き及び溝が、板体31B~31Dにも設けられる。
上記したように板体31A~31Dは互いに重なり、また、板体31Aに対しては上方から外周形成部7及び天板17が重なる。このような部材同士の重なりによって、上記のように各板体31A~31Dに設けられる切り欠き及び溝の上側が閉塞され、各板体31A~31Dにおける当該切り欠き及び溝については、ガス供給路32A~32Dをなす。そして、これらガス供給路32A~32Dの各下流端はガス吐出口として、周壁30Aに開口する。従って、ガス供給路32A~32Dがなすガス吐出口は複数ずつ、周壁30Aの周方向に沿って設けられている。なお、ガス供給路32A~32Dは例えば積層体31の周方向において、互いに異なる位置に形成されるが、図4では構成の理解を容易にするために、同じ縦断面に位置するように示している。
流路形成部32は、積層体31をなす板体31A~31Dの周縁部を下方から夫々支持する支持面34A~34Dを備えており、これら支持面34A~34Dは当該積層体31の周縁部の形状に対応して、階段状に形成されている。そして支持面34A~34Dの各外周端は下方に窪むことで、積層体31の周に沿った環状溝35A~35Dが各々形成されている。既述した板体31A~31Dの切り欠きは、環状溝35A~35Dに夫々重なる。なお図中33は互いに径が異なる5つのOリングであり、平面視で環状溝35A~35Dと同心円の配置とされる。これらOリング33は、環状溝35A~35D間の連通が防止されるように、当該環状溝35A~35Dの外側、内側に各々位置するように流路形成部32の上面に埋設され、板体31A~31Dあるいは天板17の下面に密着する。
また、流路36A~36Dが、流路形成部32から天板17に跨がるように形成されている。この流路36A~36Dの下流端については環状溝35A~35Dに夫々接続され、流路36A~36Dの上流端については天板17の上面に開口する(図3参照)。この流路36A~36Dの上流端にはガス供給管37A~37Dの下流端が夫々接続されており、ガス供給管37A~37Dの上流端は、供給機器38を夫々介してガス供給機構39A~39Dに接続されている。なお、供給機器38はバルブやマスフローコントローラーを含み、流路の下流側へのガスの給断を行うと共に、供給されるガスの流量を調整する。なお、以降に述べる他の供給機器についても供給機器38と同様の構成である。
このような流路構成により、ガス供給機構39A、39B、39C、39Dから夫々積層体31のガス供給路32A、32B、32C、32Dに至る各流路は、互いに独立した流路として形成されている。そして上記の環状溝35A~35Dは積層体31の周方向にガスを拡散させる拡散空間に相当する。従って、39A~39Dのうちの一のガス供給機構から供給されるガスは、周壁30Aにおいて上記のように周方向に沿って形成される吐出口(ガス供給路32A~32Dの下流端)から、ガス吐出空間30の中心部に向けて吐出される。図4、図5では代表して、ガス供給機構39Aからガス供給路32Aに供給されるガスの流れを矢印で示している。
以上に述べたようにガス供給部3は、光源部4からウエハWへの光照射を妨げないように光源部4とステージ21との間に形成されるガス吐出空間30を囲む配置とされる。さらに上記のように周壁30Aに形成される吐出口により、平面視でウエハWの周に沿った互いに異なる各位置から同じガスを吐出可能であるため、ウエハWの面内で均一性高いガス処理を行うことができる。
ガス供給機構39AはSiHガスを、ガス供給機構39BはNHガスを、ガス供給機構39CはNガスやArガスなどの不活性ガスを、ガス供給機構39DはNFガスを夫々供給する。不活性ガスはSiHガス及びNHガスと共に処理容器11内に供給され、キャリアガスとして作用すると共に、各ガスの分圧を調整する。NFガスは成膜後に処理容器11内をクリーニングするためのクリーニングガスであり、本例ではこのクリーニングガスの供給時には光源部4からの光照射は行われない。
続いて光源部4について、縦断側面図である図6、図7も参照してさらに詳しく説明する。図6、図7はX方向、Y方向に沿った縦断面を夫々示しており、図6では、光源部4以外にも天板17を表示している。先ず、光源部4を構成する筐体41について詳しく述べると、筐体41は水平な円形の厚板状に構成されている。そして当該筐体41は、図1でも示した透光板42の他に、下側スペーサー43、上側スペーサー44、上板45及び中間板46によって構成される。
透光板42、上板45及び中間板46は、平面視で同じ大きさ、且つ水平な円板部材であり、周端の位置が互いに揃うように垂直上方へ向けて、この順に並んで設けられている。従って、中間板46と透光板42とが対向すると共に、中間板46と上板45とが対向する。そして下側スペーサー43及び上側スペーサー44は、これらの各板の周縁に沿うように形成された円環状部材である。下側スペーサー43は透光板42と中間板46との間に介在し、上側スペーサー44は上板45と中間板46との間に介在する。従って中間板46の周縁部、下側スペーサー43及び上側スペーサー44により、筐体41の側壁が構成される。
また、図1で述べた第1空間51は、下側スペーサー43、中間板46及び透光板42によって囲まれる気密な空間であり、第2空間52は上側スペーサー44、中間板46及び上板45によって囲まれる気密な空間である。そして中間板46において、下側スペーサー43及び上側スペーサー44に重なる周縁部よりも中心側の領域が、第1空間51と第2空間52とを画成する、既述した隔壁46Aをなす。従って、透光板42の上面及び中間板46の下面(第1壁面)が第1空間51に臨み、上板45の下面及び中間板46(第2壁面)の上面が第2空間52に臨む。
なお下側スペーサー43は、互いに径が異なる環状のスペーサー43A、43Bを含み、スペーサー43A、43B間にはOリング43Cが介在する。当該Oリング43Cは透光板42及び中間板46に密着して、第1空間51を密閉する。上側スペーサー44は、互いに径が異なる環状のスペーサー44A、44Bを含み、スペーサー44A、44B間にはOリング44Cが介在する。当該Oリング44Cは上板45及び中間板46に密着して、第2空間52を密閉する。
続いて中間板46について、下面図、上面図である図8、図9も参照して説明する。なお、これら図8、図9及び上記の図7では、図1で示した第1誘電体層63及び第2誘電体層64の表示を便宜上、省略している。中間板46の下面の隔壁46Aをなす領域には、上記した第1電極61が形成されている。なお隔壁46Aをなす領域は、上記の下側スペーサー43及び上側スペーサー44に挟まれ、当該下側スペーサー43及び上側スペーサー44と共に筐体41の側壁をなす周縁部よりも内側の領域である。図8に示すように、当該第1電極61は櫛歯状の金属膜として構成されており、基部61Aと、基部61Aから伸長する多数の歯部61Bと、を備える。
さらに詳しく第1電極61の形状を述べると、平面視で中間板46をその直径に沿って2等分するとしたときに、その2等分したうちの一方の領域の周縁部に沿うように、基部61Aは円弧状に形成されている。そして、基部61Aから中間板46の直径に沿って、2分割した他方の領域の周縁部に向けて第1歯部である各歯部61Bが伸長する。従って、歯部61Bは、中間板46の一端側から他端側へ向けて伸長する第1伸長部である。各歯部61Bは互いに並行すると共に、その伸長方向に対して交差する方向、より具体的には直交する方向に沿って、等間隔で並ぶように配列されている。図中、歯部61Bの伸長方向はX方向に沿い、歯部61Bの配列方向はY方向に沿うものとして示している。
第2電極62について説明すると、図9に示すように当該第2電極62は第1電極61と同様に櫛歯状の金属膜として構成されており、中間板46の上面における隔壁46Aをなす領域に、第1電極61と同様の形状を有するように形成されている。従って、第2電極62も基部及び多数の歯部(第2歯部)を備え、当該基部を62A、第2伸長部である当該歯部を62Bとする。そして、第2電極62における基部62Aからの歯部62Bの伸長方向は、第1電極61における基部61Aからの歯部61Bの伸長方向とは反対方向になるように、当該第2電極62が形成されている。従って、歯部62Bの伸長方向はX方向に沿い、歯部62Bの配列方向はY方向に沿う。つまり歯部61B、62Bは互い並行しており、直線方向であるX方向について一方側を+X側、他方側を-X側とすると、歯部61Bは+X方向に向けて、歯部62Bは-X方向に向けて夫々伸長している(図8、図9参照)。また平面視で、第2電極62の各歯部62Bは、第1電極61の各歯部61Bと重なり合うように位置している。
そして中間板46における隔壁46Aをなす領域においては、図1でも述べたように孔47が形成されており、当該孔47は多数設けられることで中間板46はシャワープレート形状をなす。さらに詳しく述べると、孔47は比較的小径、且つ平面視で円形であり、各歯部61B、62Bの伸長方向(X方向)に列をなして多数開口している。その孔47の列としては、中間板46を下面から見て、歯部62Bの配列方向(Y方向)に等間隔で設けられており、互いに隣接する歯部62Bと歯部62Bとの中間位置、及び最も中間板46の周縁寄りの歯部62Bよりもさらに中間板46の周縁寄りの位置に配置されている。以上のような下面視での上記の第1電極61と孔47と位置関係は、上面視での第2電極62と孔47との位置関係と同様である。なお、各電極と孔47の配置について補足しておくと、中間板46のX方向に沿った直径に対して、第1電極61、第2電極62及び各孔47については対称のレイアウトとなっている。また、各孔47については、Y方向に沿った直径に対して対称のレイアウトとなっている。
以上に述べた孔47、歯部61B、62Bの配置により中間板46の最も周端寄りの孔47の列を除いて、各孔47の列については中間板46をX方向に見たときに、当該列の左右の一方に隣接する歯部61Bと、当該列の左右の他方に隣接する歯部62Bと、に挟まれる。つまり図1で説明したように、孔47が、第1電極61と第2電極62との間に設けられるという位置関係とされている。これは強い電界が形成される電極間に孔47を配置することで、当該孔47にてより高密度のプラズマを形成し、高い強度の光を発生させるためである。
ところで、上記したように中間板46の下面、上面には第1誘電体層63、第2誘電体層64が夫々形成されており、第1電極61、第2電極62について夫々第1空間51、第2空間52に露出しないように被覆する。従って、第1誘電体部である第1誘電体層63については、図10の平面図に模式的に示すように、第1電極61の形状に対応して櫛歯状に形成されている。図示は省略するが、第2誘電体部である第2誘電体層64についても第2電極62の形状に対応して櫛歯状に形成されている。
さらに中間板46の構成について述べる。図8に示すように、第1電極61の基部61Aの長さ方向の中央部は拡幅されて拡幅部61Dをなす。そして、図9に示すように中間板46の上面には、拡幅部61Dに重なる位置に、金属膜である接続端子61Cが形成されている。接続端子61Cと拡幅部61Dとは、中間板46の厚さ方向に形成される導電路を介して接続されている。また、中間板46の上面において、第2電極62の基部62Aの長さ方向の中心部は、拡幅されて接続端子62Cとして構成されている。また中間板46には上記の孔47とは別に、貫通孔65が穿孔されている。中間板46の中心から見て、貫通孔65は接続端子61C、62Cが各々形成される位置に対して各々90°異なった方位で、最も周端寄りの孔47の列よりも周端寄りの位置に形成されている。
図6、図7に示すように、中間板46と上板45との間には起立した筒体53が3つ設けられており、各筒体53の上端、下端は夫々上板45、中間板46に接している。これらの筒体53は、接続端子61Cに開口する位置、接続端子62Cに開口する位置、筒内が貫通孔65に連通する位置に夫々設けられている。なお、各筒体53の周囲は、上板45及び中間板46に密着するOリング54により囲まれ、当該Oリング54を既述のようにプラズマが形成される第2空間52から区画するようにスペーサー55が設けられている。
続いて、筐体41を構成する上板45について説明する。上板45の周縁部には4つの垂直な孔45Aが形成されており、当該孔45Aは上板45の中心から見て90°ずつ異なる位置、且つ当該中心から各々等距離に穿孔されている。この上板45の孔のうちの3つは、上記の筒体53内に開口する。この上板45の4つの孔45Aのうちの2つには、当該上板45の上方から垂直なピンが差し込まれ、これら2つのピンの下端は接続端子61C、62Cに各々接続されている。各ピンは導電性を有し、接続端子61Cに接続されるピンを56A、接続端子62Cに接続されるピンを56Bとする。ピン56Aについては整合器57を介して高周波電源58に接続されており、ピン56Bについては接地されている。本例では、このように高周波電源58が第1電極61及び第2電極62のうち第1電極61に接続されることで、高周波電源58からの電力供給時に第1電極61がアノードとなり、カソードである第2電極62よりも高電位とされる。高周波電源58は、例えば5kHz~50kHzの高周波電力を供給する。
また、上板45の残りの2つの孔45Aには、当該上板45の上面に接続される配管の一端が各々開口しており、この2つの孔45Aのうちの1つは筒体53を介して第1空間51に連通し、他の1つは第2空間52に開口する。第1空間51に連通する孔45Aに接続した配管をガス供給管66として示しており、これら孔45A及びガス供給管66がプラズマ形成用ガスのガス供給路をなす。第2空間52に開口した孔45Aに接続した配管を排気管67として示しており、これら孔45A及び排気管67がプラズマ形成用ガスの排気路をなす。
ガス供給管66の他端は供給機器38Aを介してガス供給機構68に接続されている。プラズマ形成用ガス供給機構であるガス供給機構68は、上記したXe及びNeからなる放電ガスを、ガス供給管66を介して第1空間51に供給する。排気管67の他端はバルブ69を介して排気機構16に接続されている。上記したプラズマを形成する際には、筐体41内へのガス供給機構68からの放電ガスの供給と、排気管67を介しての筐体41内の排気とが同時に行われ、当該放電ガスが筐体41内に充填された状態とされる。
以上に述べた光源部4の各部を構成する材料について説明しておく。上板45、中間板46、下側スペーサー43、上側スペーサー44及びスペーサー55については、誘電体あるいは絶縁体により構成され、例えば酸化アルミニウムや石英などによって構成される。また、透光部である透光板42については既述した波長の光が透過する材料、例えばサファイアあるいはフッ化マグネシウムにより構成される。
そして、第1電極61、第2電極62及び接続端子61Cである金属膜を構成する材料としては、中間板46に密着性が高い材料が選択され、例えば金、銀、銅、ニッケル、チタンあるいはタングステンなどが用いられる。この金属膜について、その厚さは例えば1μm~100μmである。また、当該金属膜の形成手段としては、スパッタリング、CVDあるいはイオンプレーティングなどを用いてもよいし、ペースト状の金属材料について、中間板46に塗布して焼成処理したり、溶射処理したりすることで形成してもよい。その他に、メッキ処理を行うことや、金属板を中間板46に接着することで、当該金属膜を形成してもよい。
第1誘電体層63及び第2誘電体層64については、例えば2μm~数100μm程度の厚さに形成される。これらの第1誘電体層63及び第2誘電体層64について、例えばガラスペーストを第1電極61及び第2電極62の各々に塗布して焼成処理したり、溶射処理したりすることで形成してもよいし、無機材料を中間板46に接着することで形成してもよい。
なお、これまでに述べてきたように中間板46の上面及び下面については、電極及び接続端子をなす金属膜及び誘電体層が設けられているので、平坦ではない。そこで、筐体41内の密閉性を高めるために、中間板46に接続される下側スペーサー43、上側スペーサー44、スペーサー55の各々と、当該中間板46との間にシール板が介在する構成であってもよい。当該シール板の表面は中間板46側に向かうと共に上記のように凹凸面をなす中間板46に比較的高い密着性を有するように構成され、シール板の裏面は各スペーサー側に向かい、当該各スペーサーに対して接着される接着面をなすようにする。
続いて、光源部4を構成する外周形成部7について述べる。この外周形成部7については上記したように環状であり、その縦断面が内方へ向けて開口する凹部状に形成されている。外周形成部7は、各々環状の下部材71及び上部材72を備えている。下部材71は筐体41の外周を囲む側壁と、当該側壁の下端から環の中心側へ突出して形成される底部とを備え、当該底部により既述の透光板42の周縁部が下方から支持される。
上部材72は、上記の下部材71の側壁上から、筐体41の上板45の周縁部上に亘って形成されている。なお、この上部材72により囲まれて形成される円形の開口部を73として示している。上部材72の内縁は上記した上板45の孔45Aよりも上板45の中心寄りに位置しており、既述のように上板45に設けられるガス供給管66、排気管67、ピン56A、56Bは、当該上部材72に設けられる垂直な貫通孔を介して当該上部材72の上方に延出される。
なお、下部材71及び上部材72には外周形成部7の周に沿った環状溝が設けられている。各環状溝内にOリング74が設けられ、下部材71と上部材72との間、下部材71と筐体41との間、筐体41と上部材72との間、上部材72と天板17との間における各隙間がシールされる。具体的には、下部材71における筐体41を支持する上記の底部の上面、下部材71における側壁の上面、上部材72における上板45の孔45Aよりも内縁側の上面及び下面、上部材72の上面で孔45Aよりも外縁側の上面に、環状溝及びOリング74が設けられている。なお、ガス供給管66や排気管67についてもOリングを介して、上板45に接続されるが、それらのOリングは省略している。
続いて、天板17の構成について補足して説明する。天板17の上面においては、上記の筐体41の上板45に設けられた4つの孔45Aに対応する各位置に垂直方向に穿孔された孔26が設けられている(図3、図6参照)。当該孔26を介することで、ガス供給管66、排気管67については天板17の上方に引き出されて既述したようにガス供給機構68、排気機構16に夫々接続されており、ピン56A、56Bについては、その上端が天板17の上方に引き出されるように形成されている。
天板17の下面中央部は、上記の上部材72によって形成される開口部73に進入するように突出する円形の突出部27をなす(図6参照)。突出部27の径は開口部73の径と略同じであり、突出部27の下面と筐体41の上板45の上面との間に、低背な排気空間28が形成されている。従って、筐体41については透光板42が設けられる下側とは反対側の部位である上側の部位(上板45)が、排気空間28に臨む。上記のようにOリング74が設けられることで、この排気空間28は密閉されている。天板17の中心部の上面には排気管75の一端が接続され(図2参照)、天板17を垂直方向(厚さ方向)に穿孔された孔を介して、当該排気空間28に開口する。排気管75の他端は、バルブ76を介して排気機構16に接続されている。
上記の排気空間28の役割について述べる。成膜装置1は大気雰囲気に設置され、装置の稼働中は処理容器11内が真空雰囲気とされる。そして、光源部4の筐体41については装置の高背化を抑制するために、当該筐体41を構成する各板(透光板42、中間板46及び上板45)の各厚さとしては比較的小さく形成される。それ故に、筐体41の高さH1(図6参照)として例えば20mm以下である。
そして筐体41の下面は処理容器11内に臨む構成であるが、上記のように各板の厚さが小さいことで、処理容器11内の真空雰囲気の形成時に筐体41が成膜装置1の周囲の大気に曝されると、その圧力差で生じる応力によって当該筐体41は変形あるいは破損してしまうおそれが有る。そこで、処理容器11内が真空雰囲気とされる間、排気空間28が排気されて真空雰囲気とされることで筐体41に加わる応力を抑えて、上記の破損及び変形が防止される。
図1に示すように成膜装置1は、コンピュータである制御部10を備えており、この制御部10は、プログラム、メモリ、CPUを備えている。プログラムには、既述した各具体例で述べる処理が行われるように命令(各ステップ)が組み込まれており、このプログラムは記憶媒体、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、DVD等に格納され、制御部10にインストールされる。制御部10は当該プログラムにより成膜装置1の各部に制御信号を出力し、各部の動作を制御する。具体的には例えば、既述したバルブ15、76の開閉、供給機器38、38Aによる下流側への各ガスの供給、ヒーター22の出力、高周波電源58のオンオフ、昇降機構24によるステージ21の昇降、ゲートバルブ13の開閉などの各動作が制御される。
〔成膜装置の作用〕
成膜装置1の動作について説明する。ウエハWが載置されたステージ21が処理位置に上昇し、ヒーター22によってウエハWが所定の温度、例えば20℃~300℃に加熱される一方で、処理容器11内が所望の圧力の真空雰囲気とされる。その一方、光源部4では筐体41内への放電ガスの供給と、当該筐体41内の排気とが行われる。そして、ガス供給部3から処理容器11内へ、SiHガス、NHガス、不活性ガスが夫々供給されると、高周波電源58がオンになる。図1で述べたように筐体41内で放電が発生し、VUVを含む紫外線が透光板42からウエハWへ向けて照射される。
上記したように、このように照射される光の強度は大きく、それ故にSiH及びNHの各分子が励起され、当該分子中の結合手が切断されて分子の分解が起こり、Si原子、N原子を各々含む活性種が生成する。それらの活性種がウエハW表面へ吸着、堆積し、SiN膜が成膜される。その後、高周波電源58がオフになると共に、ガス供給部3からの各ガスの供給が停止し、ステージ21が受け渡し位置に下降して、ウエハWが処理容器11内から搬出される。なお、その後は、適切なタイミングでガス供給部3からクリーニングガスが供給され、処理容器11内に形成されたSiN膜が除去される。
以上に述べたように、成膜装置1によれば光源部4から照射されるVUVを含む高エネルギーの光を供給することで、処理ガス(SiHガス、NHガス)の分子を活性化させて成膜処理を行う。そのためヒーター22によるウエハWの加熱温度が比較的低い温度であっても、既述したように成膜を行うことができる。従って、ウエハWにおける各膜(形成済みの膜及び成膜装置1にて形成されるSiN膜)に対して、熱による応力が加わることが抑制される。なお、例えば赤外線からなる光を照射する構成の装置に比べて、VUVを含む紫外線を照射する成膜装置1では、この光照射によるウエハWや処理ガス(SiHガス、NHガス)の温度上昇が抑制される。この点からもウエハWが熱によってダメージを受けることが抑制される。また、成膜装置1では高い光エネルギーを利用することで、ウエハWをプラズマに曝さずに処理を行う。従ってウエハWが、プラズマによってダメージを受けることが無く、このプラズマの熱によって応力を受けることもない。
また、上記したように比較的低い温度でもウエハWに成膜が可能であることは、ウエハWの処理温度について設定可能な範囲が大きくなるということである。従って、例えば表面に凹凸が形成された状態のウエハWに成膜する場合、凹凸の被覆性(いわゆるステップカバレッジ)が、より良好な温度を選択できる場合が有る。従って、成膜装置1によって凹凸が形成されたウエハWにバリア膜を成膜し、後に当該凹凸をなす凹部に対して、配線である埋め込み層(バルク層)を形成するにあたり、当該配線から凹部へのリーク電流を比較的少なくすることができる。以上に述べたように成膜装置1によれば、ウエハWのダメージが抑えられるように成膜を行うことができる。それによって、当該ウエハWから製造される半導体デバイスの信頼性を高めることができる。
ところで、VUVを照射する光源としてエキシマランプが知られている。このエキシマランプは、石英管内の放電空間を挟むようにプラズマ形成用の一の電極及び他の電極が各々配置された構成となっており、一の電極は透過窓をなす筐体の壁面に複数、隙間を空けて配置される。そして放電空間にて発生した光が、上記の電極間の隙間を介して石英管の外部に照射される。従って、一の電極によって放電空間から照射対象へ向う光が遮られてしまう。それ故にエキシマランプについては、十分な強度の光を照射対称へ照射できなかったり、処理対象の各部における光の強度の均一性を十分に高くすることができなかったりするおそれが有る。
しかし、光源部4においては透光板42に、プラズマ形成用の第1電極61及び第2電極62のいずれも設けられず、これらの第1電極61及び第2電極62は中間板46に設けられる。従って、筐体41内で発生した光が、第1電極61及び第2電極62に遮られることなく、ウエハWに照射される。従って、ウエハWを効率良く処理することができ、且つウエハWの面内における処理の均一性を高くすることができる。
ところで、仮に成膜装置1に対して上記のエキシマランプを適用することを考える。そのように適用するにあたって、エキシマランプが処理容器11内の雰囲気、処理容器外の雰囲気に各々直接曝されると、圧力差により当該石英管が破損するおそれがある。それを防ぐために、処理容器11の外側の大気雰囲気にエキシマランプを配置して紫外線を発生させ、処理容器11内とエキシマランプの周囲とを耐圧性を有する透過窓で仕切る構成とし、当該透過窓を介して紫外線を処理容器11内に供給することが考えられる。しかし、そのような構成は、VUVが吸収される大気雰囲気を介すること、及び筐体である石英管とは別途設けた透過窓を介することで光が処理容器11内に供給されることになるため、光のエネルギー損失が大きく、処理ガスを十分に活性化することができないおそれが有る。なお、エキシマランプの周囲を大気から他のガスに置換することで、減衰を防ぐことも考えられるが、装置の構造を複雑化させてしまう。
一方、成膜装置1では、光源部4をなす透光板42が処理容器11内に臨み、筐体41内で生じた光は透光板42のみを通過して処理容器11内へ照射されると共に、筐体41において透光板42とは反対側の壁面が排気空間28に臨む構成である。従って、上記のエキシマランプを適用した装置構成に比べると、光源部4の周囲のガス置換を行うことなく簡素な構成で光源部4の破損を防止しつつ、処理容器11内へ照射する光量を大きくすることができる。
また光源部4では、上記のように孔47が多数設けられる中間板46によって形成される隔壁46Aに対して、透光板42が対向する構成である。従って、各孔47で生じた光を透光板42を介してウエハWに照射することができるので、ウエハWへの照射光の光量を大きくすることができる。
さらにその中間板46の孔47について、多数の孔47からなる列を、この列の形成方向とは直交する方向に間隔を空けて配置している。そして中間板46の下面においては第1電極61を櫛歯状に構成することで、その歯部61Bが孔の47列と交互に並び、且つ中間板46の上面においては第2電極62を櫛歯状に形成することで、その歯部62Bが孔47の列と交互に並ぶ。そのような電極及び孔のレイアウトであるため、中間板46の面方向(水平方向、且つウエハWの面方向でもある)に沿った多数の箇所において、第1電極61と第2電極62との間に孔47が介在する(即ち、孔47を挟んで第1電極61と第2電極62とが対向する)位置関係になっている。従って、上記の面方向に沿った多数の箇所でプラズマ密度が高くなる。そのため、ウエハWの面内各部に照射される光量を大きくすることができると共に、当該面内各部の光量の均一性を高くして処理の均一性を高くすることができる。なお、本例では第1電極61の歯部61Bと第2電極62の62Bとの間に孔47の中心(平面視の中心且つ高さ中心)が位置する配置であるが、第1電極と第2電極とが孔を挟んで対向するとは、そのように孔47の中心が第1電極61と、第2電極62との間に介在することには限られない。つまり、孔47の端部が電極間に介在することも含む。
ところで既述のように第1電極61、第2電極62は、第1誘電体層63、第2誘電体層64に夫々被覆されるが、仮に第1電極61及び第2電極62が設けられないとする。その場合、第1電極61と第2電極62との間のうち、通電が起こりやすい局所的な箇所に限定的に比較的大きな放電が発生してしまい、その結果としてウエハWの面内における処理の均一性が損なわれてしまう。それを防ぐために、第1電極61を被覆する第1誘電体層63を設け、誘電体バリア放電が起きるようにしている。つまり、第1誘電体層63は中間板46の面方向におけるプラズマの均一性を高めて、ウエハWの面内における処理の均一性を高くすることに寄与する。
そのように第1電極61が第1誘電体層63に被覆された状態とする一方で、第2電極62が第2誘電体層64に被覆されていないとする。その場合、発生するプラズマに第2電極62が曝されて異物が生じてしまうことが考えられ、この異物が透光板42に向う光を遮ってしまい、ウエハWの面内各部に照射される光量がばらつく、即ちウエハWの面内において処理のばらつきが発生してしまうおそれが有る。つまり、第2誘電体層64はプラズマから第2電極62を保護して、上記の異物による不具合を防止する役割を有する。なお、第1誘電体層63についても上記した役割の他に、この第2誘電体層64の役割と同様、第1電極61をプラズマから保護する役割を有する。以上の理由から、ウエハWの面内の処理の均一性をより高くするために、第1電極61、第2電極62の各々が第1誘電体層63、第2誘電体層64に覆われた構成とすることが好ましい。
また、光源部4をなす筐体41については、スペーサー43、44を介して透光板42、中間板46及び上板45を重ね合わせた構成である。そのように板部材により各部が構成されることで、筐体41の高さH1は既に例示したように小さいものとすることができる。従って光源部4、ひいては光源部4を含む成膜装置1の高さが抑えられ、当該装置の設置スペースの縮小化を図ることができる
〔中間板の変形例〕
光源部4としては、上記した中間板46の代わりに、その変形例である中間板81を備えていてもよい。当該中間板81について、下面図である図11を参照しながら中間板46との差異点を中心に説明する。この中間板81には、歯部61Bの伸長方向(X方向)に沿った孔47の列の代わりに、当該伸長方向に沿って伸びる直線状のスリット82が設けられている。概要的な説明をすると、中間板46の同じ列における各孔47が歯部61Bの伸長方向に広がって互いに繋がることで、スリット82として形成されている。従って、当該スリット82は歯部61B、歯部62Bの各々の配列方向(Y方向)に間隔を空けて並んで多数設けられている。
このスリット82内には、例えば誘電体によって構成される多孔質体83が充填されて設けられている。従って、当該多孔質体83に設けられる孔によって第1空間51と第2空間52とが連通し、当該孔において、既述した高密度のプラズマが形成されることになる。多孔質体83は、例えばセラミックスなどの焼結体によって構成されてもよい。光源部4がこのような中間板81を備える場合においても、各孔内で高密度のプラズマが形成されるので既述した効果を奏する。
ところで仮に多孔質体83が設けられないとすると、スリット82の開口面積が比較的大きいことで、第1電極61と第2電極62との間に介在する当該スリット82内のうち通電が比較的起こりやすい部位において放電が起こり、当該部位のプラズマ密度が他の部位のプラズマ密度よりも高くなる。つまり、中間板81の面方向において、局所的に比較的大きな放電が起きるおそれが有る。多孔質体83を設けることでこのスリット82が分割され、分割された各孔で放電が起こり、上記の局所的に大きい放電の発生が防止される。このように多孔質体83が設けられることで、中間板81の面方向におけるプラズマ密度の均一性が高まり、その結果、ウエハWの面内における処理の均一性について、より高めることができる。
なおこのような効果を得る分割部材としては、中間板81の開口であるスリット82に、開口方向に見て重なるように設けられ、当該スリット82を分割することでスリット82内に小孔を形成できるものであればよく、多孔質体83を用いることには限られない。図12は、中間板81の下面側から各スリット82を塞ぐように重なる位置に、分割部材としてメッシュ部材84を設けた例を示している。メッシュ部材84は、誘電体または絶縁体により構成されており、このメッシュ部材84によりスリット82が分割される。なお、これら多孔質体83やメッシュ部材84によって第1空間51と第2空間52とを連通させるように形成される孔についても、中間板46の孔47と同様に、歯部61B、62Bに沿って複数設けられるという構成になっている。
〔第2の実施形態の光源部〕
続いて光照射装置の第2の実施形態である光源部9について、光源部4との差異点を中心に説明する。図13は光源部9の縦断側面を示している。この図13では図の左右で異なる方向の縦断側面を示しており、左側が歯部61B、62Bの伸長方向(X方向)に沿った断面、右側が歯部61B、62Bの配列方向(Y方向)に沿った断面である。光源部9は、光源部4と同様に中間板46を備えるが、この中間板46の上面には第2電極62及び第2誘電体層64が設けられておらず、当該第2電極62及び第2誘電体層64は上板45の下面に形成されている。当該上板45の下面は、中間板46の上面に対向する対向面である。
図14は、上板45の下面図である。なお図14では便宜上、図9と同様に第2誘電体層64の表示を省略している。光源部4と比較すると、光源部9ではこれら第2電極62及び第2誘電体層64が、中間板46から上板45へ形状を同一にして転写されたように構成されている。従って、第2電極62を構成する基部62Aは、上板45の周縁部に沿って形成され、この基部62Aから歯部62Bが伸長することで、当該第2電極62は櫛歯状に形成されている。そして、当該歯部62Bと、中間板46における第1電極61の歯部61Bとは並行し、平面視で互いに重なり合う。そして、この光源部9における第2誘電体層64も、光源部4の第2誘電体層64と同様、第2電極62の形状に合わせて櫛歯状である。なお、このような第2電極62に配置されるため、接地されるピン56Bと第2電極62の接続端子62Cとは上板45にて接続されるので、光源部4において当該ピン56Bに対応して設けられていた筒体53、Oリング54及びスペーサー55は、光源部9では設けられていない。
この光源部9においても第1電極61と第2電極62との間に電界を形成して、光源部4と同様にプラズマを形成し、光を照射することができる。ところで、本例では光源部4と同様、孔47の位置と第2電極62の歯部62Bとは重なり合わないが、上記したように第1電極61と第2電極62との間に孔47が形成されているレイアウトであれば、孔47で高密度のプラズマを形成することができる。従って、第2電極62の歯部62Bについては孔47と重なり、平面視で第1電極61の歯部61Bとは重ならない配置であってもよい。なお、光源部9において中間板46が設けられるように述べたが、図11、図12で説明した中間板81を設けてもよい。ただし、上記のように第2電極62及び第2誘電体層64は上板45に設けるため、中間板81の上面には設けないものとする。
ところで光源部9において、上板45の下面に櫛歯状である第2電極62を設ける代りに、例えば平面視で行列状をなす複数の電極を設け、第1電極61の歯部61Bと孔47を挟んで対向する配置とする。そして上板45に形成された導電路により、その行列をなす各電極が互いに接続されると共に、接地される構成であってもよい。このように光源部に設けられる電極としては、櫛歯状の電極の組であることには限られない。なお、第1電極61と第2電極62との間に孔47が介在する構成をとるように述べてきたが、後述の評価試験1において、第1電極61と第2電極62との間から外れた位置に孔47が設けられていても、孔47にて発光が起きている。従って、第1電極61と第2電極62との間に孔47が介在しない構成であってもよい。
成膜装置1について、CVDによってウエハWに成膜を行う例を示したが、ALD(Atomic Layer Deposition)によって成膜を行ってもよい。その場合は、先ず処理容器11内にSiHガス及びNHガスのうちSiHガスのみを供給すると共に光源部4から光を照射し、SiHガスから生じた活性種をウエハWの表面に吸着させて、アモルファスSi層を成膜する。続いて、処理容器11内にSiHガス及びNHガスのうちNHガスのみを供給すると共に光源部4から光を照射し、NHガスから生じた活性種をアモルファスSi膜の表面に吸着、反応させることでSiN層を形成する。このSiHガスの供給とNHガスとの供給を繰り返し、SiN層を堆積させて、SiN膜を形成する。SiHガスの供給とNHガスとの供給との間には、処理容器11内に不活性ガスを供給して、不要なガスをパージする。
〔装置構成の補足〕
光源部4、9についてさらに補足して述べる。紫外線を照射する構成とするために、放電ガスとしては例えば、Ar、Kr、Xe、Ne、D(重水素)、Hg(水銀;185nm/6.5eV)、CO(炭酸ガス;172.85nm/7.2eV)などを用いることができる。これらの中でも、上記したVUVの強度を高くするために200nm以下にピーク波長を有する発光が得られるXe(172nm/7.2eV)、Ar(126nm/9.8eV)あるいはKr(146nm/8.5eV)を含むガスを用いることが好ましい。各元素の後のカッコ内の記載は、生じる光のピーク波長とフォトンエネルギーを意味するものである。また、これらのXe等のガスを含むとは、主成分として放電ガスに含まれる意味であり、不純物として含まれるという意味ではない。なお、放電ガスには希釈用のガスとして、Nなどの不活性ガスが含まれていてもよい。以上に述べたように、VUVの作用を利用するために用いられる放電ガスとしては、上記したXeとNeとの混合ガスに限られるものではない。
第1空間51に放電ガスが供給され、第2空間52が排気される構成を示したが、第1空間51が排気され、第2空間52に放電ガスが供給される構成であってもよい。それらの構成のように隔壁46Aによって互いに区画される第1空間51及び第2空間52のうちの一方に放電ガスを供給し、他方を排気することで、筐体41内での放電ガスの通流性が高まり、より確実に密度が高いプラズマを形成することができる。ところで、放電ガスについて、そのように筐体41内に対する供給と排気とが行われず、筐体41内に放電ガスが封入された構成であってもよい。ただし、比較的長い時間放電を行えるようにするために、筐体41内に対する供給と排気とを行うことが好ましい。
第1電極61及び第2電極62の構成について補足すると、第1電極61、第2電極62との間にプラズマが形成されればよいため、上記の例では第1電極61に高周波電源58を接続して高電位としたが、第2電極62に高周波電源58を接続してもよい。そして、既述の例では、第1電極61、第2電極62について、基部61A、62A及び歯部61B、62Bが筐体41内の空間(第1空間51、第2空間52)に位置するが、当該空間に基部61A、62Aが位置せず、歯部61B、62Bのみ位置する構成であってもよい。そして、第1電極61、第2電極62間には交流電圧を印加してもよいが、直流電圧を印加してもよい。なお、第1電極61及び第2電極62のうち少なくとも高電位の電極については誘電体層により被覆する。高電位の電極が第1電極61と第2電極62との間で切り替わる場合には、既述の例のように第1電極61、第2電極62の両方が誘電体層によって被覆されるようにすればよい。
光源部4、9以外の成膜装置1の各部の構成についても補足して述べる。ガス供給部3において、既述した例では4つの独立した流路(ガス供給路32A~32Dを各々含む流路)を備える構成を示した。この独立した流路の数としては、適宜変更可能である。そして、既述の例では独立した各流路から互いに異なるガスが処理容器11内に供給されるように示したが、2つ以上の独立した流路から同じガスが供給されるように構成してもよい。ステージ21について、既述の例ではヒーター22、即ちウエハWを加熱する加熱機構を備えるが、冷却機構を備える構成であってもよいし、冷却機構及び加熱機構の両方が設けられる構成であってもよい。また、ステージ21はウエハWを静電吸着あるいは真空吸着する構成であってもよい。そして、ステージ21は回転機構に接続され、ウエハWの処理中に任意の設定速度で中心軸まわりに回転する構成であってもよい。
ところで上記したように成膜装置1は基板に対して比較的低い温度で成膜を行うことができるため、処理対象の基板の材質の選択の自由度は高い。例えば、Si基板、ガラス基板、セラミックス基板、樹脂系基板、有機ELディスプレイ製造用の基板などに対して成膜を行うことができる。このように、半導体製造用の基板に処理対象が限られるものではない。なお処理対象の基板に合わせて、成膜装置1の構成は適宜変更することができる。
〔装置への適用の説明〕
また光源部4、9を成膜装置に適用した例について説明してきたが、成膜装置以外の基板処理装置に適用することができる。具体的には例えば、上記の成膜装置1では処理ガスとして2種類の成膜ガスを供給するが、それらの成膜ガスの代わりに2種類のエッチングガスを処理ガスとして供給するように変更して、エッチング装置として構成することができる。このエッチング装置は、成膜装置1においてALDを行う場合と同様に、2種類の処理ガス(エッチングガス)を交互に繰り返し供給することで、ウエハWの表面を原子層単位で繰り返しエッチングするALE(Atomic Layer Etching)を行う。各エッチングガスの供給時において、光源部4、9から光照射を行うことでガスを活性化させる。
その他、光源部4、9については基板処理装置であるキュア装置に適用してもよい。そのキュア装置では光源部4、9から処理容器11内の基板の表面に紫外線(波長:400nm以下)を照射することで、例えば当該基板の表面の膜の改質処理を行う。この改質の具体例を示しておくと、例えばLi固体電池の製造工程の一工程であり、基板上に形成された膜に対して紫外線を照射して膜中の有機金属化合物を分解させることで、金属酸化物の生成及び結晶化を行う無機化工程に用いることが挙げられる。
さらには、基板表面に付着した有機物等に紫外線を照射して揮発させる基板洗浄装置に光源部4、9を適用してもよい。以上の成膜装置以外の各装置に光源部4、9適用するにあたっては、例えば上記した成膜装置1について、処理容器11内に供給されるガスが適切なものに変更された構成とすればよい。ガス以外の他の構成要素についても適宜変更してよい。
さらには、光源部4、9による処理対象は基板であることに限られず、処理対象が真空雰囲気に置かれることにも限られない。例えば再生処理、環境浄化のための装置に、光源部4、9を適用することができる。具体例を挙げると、工場廃水を再利用する工程のうちの一工程を行うための装置として、当該廃水の貯留槽内に光源部4,9から光を照射し、廃水中の有機物を分解する装置とすることができる。さらに他の具体例を挙げると、例えばポリマーを収容した容器内に光照射することでポリマーの分解、改質等を行うポリマー処理装置に適用することができる。
光源部4、9としては光の照射方向を下方とすることに限られず、任意の方向に光照射できるように、既述した各装置に組み込むことができる。なお、光源部4、9から紫外線を照射して処理を行うものとして述べてきたが、筐体41内に供給される放電ガスの種類や透光板42の構成により、光源部4、9からは所望の種類の光を外部に照射可能である。処理対象や処理目的に応じて、主として紫外線以外の光(赤外線など)が処理対象に照射されるように構成してもよい。ただし処理対象としてウエハWを処理するにあたり、上記したように照射される光が高エネルギーを有すること、ウエハWの温度を上昇させないことから、既述したように主として紫外線が照射される構成とすることが好ましい。そして紫外線中のVUVの減衰を防ぐために、当該ウエハWについては真空雰囲気で処理を行うようにする。
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更または組み合わせがなされてもよい。
〔評価試験〕
以下、本技術に関連して行われた評価試験について説明する。
・評価試験1
本技術の光源部についての試験装置を製造した。この試験装置について、光源部4との差異点を挙げると、第1電極61及び第2電極62が櫛歯状では無いことが挙げられる。第1電極61は棒状に形成され、第2電極62は、第1電極61に沿って形成されるが第1電極61よりも太い帯状であり、平面視で第1電極61に重なる。また、第1誘電体層63のみが設けられ、第2電極62上に第2誘電体層64は設けていない。そして、中間板46において孔47は1つのみ設けられており、この孔47は平面視で第1電極61及び第2電極62とは重ならない位置に配置されている。そして、試験装置の筐体41の底壁は、サファイア製の透光板42により構成される代わりに、厚さ1mm程度の酸化アルミニウム製の板により構成されている。
そして評価試験1として、上記の試験装置の高周波電源58をオンにし、底壁に向って見て筐体41の状態を観測した。すると、上記の孔47に相当する位置が強く発光していることが確認された。上記のように構成された底壁を介して光が観測されたことになるため、この孔47内では強度が非常に大きい光が発生している。従ってこの評価試験1から、本技術によって高い光量が得られるという効果が確認された。
・評価試験2
評価試験2として、表面に撥水性の有機膜が表面に形成されたサンプル基板1~4に対して純水を滴下し、液滴の接触角を測定した。詳しく述べると、サンプル基板1,2は紫外線を透光する板部材により構成されており、サンプル基板3、4はSiにより構成されている。そしてサンプル基板2、4については純水の滴下前に、試験装置よって光を照射した。なお、この試験装置は評価試験1で用いたものと異なり、透光板42を備えており、光(紫外線)を筐体41の外部に照射することが可能である。一方で、サンプル基板1,3については、そのような光照射を行わずに純水の滴下を行った。
この評価試験2で用いた試験装置の構成及び処理条件について補足して述べると、装置の高周波電源58によって、電圧1kV、周波数20kHzの矩形波が供給される。放電ガスとしては実施形態と同様にXe及びNeの混合ガスを用いており、体積割合としてXeが15%、Neが85%である。また、光照射を行う際に、サンプル基板2、4の周囲は20Torrとされている。
接触角の測定結果として、サンプル基板1が58.0°~88.6°、サンプル基板2が10.6°~18.6°、サンプル基板3が44.9°~53.3°サンプル基板4が5.7°~6.8°である。基板が同じ材質であるサンプル基板1,2を比べると、サンプル基板2の接触角が低く、また、基板が同じ材質であるサンプル基板3,4を比べると、サンプル基板4の接触角が低い。以上の結果から明らかなように、光照射が行われたサンプル基板2、4については、その表面が親水化されている。これは有機膜に含まれる物質が揮発して除去されたことによると考えられる。このように、本技術によって発生させた光を照射することで、基板の表面の状態の改質を行うことができた。
・評価試験3
評価試験3として、光源部の試験装置(以下、実施例の試験装置と記載する)を用意し、この実施例の試験装置から照射される光量を測定した。この実施例の試験装置としては、筐体41が概ね角型であり、第1電極61の歯部61B及び第2電極62の歯部61Bは各々5つ設けられることを除いて、概ね光源部4と同様の構成である。また、比較例の試験装置も用意し、この比較例の試験装置から照射される光量についても測定した。比較例の試験装置については中間板46が設けられておらず、上板45の下面に第1電極61及び第2電極62が設けられていることが、実施例の試験装置との差異点として挙げられる。
比較例の試験装置については、筐体41内にプラズマを形成した期間中、180μW/cm程度で光量が推移した。実施例の試験装置についての光量の推移については、図15に示している。グラフの横軸がプラズマの形成を開始する直前のタイミングからの経過時間(単位:秒)であり、グラフの縦軸が光量(μW/cm)である。このグラフに示すように、実施例の試験装置では最高で650μW/cm以上の光量が得られている。なお、経過時間が大きくなると光量が低下しているがこれは試験装置の各部の設定及び調整が不十分であることに起因し、解消可能である。このように比較例の試験装置でも比較的大きな光量が得られたが、実施例の試験装置ではさらに大きな光量が得られることが確認された。従って、この評価試験3からも本技術の効果が確認された。
41 筐体
46A 隔壁
42 透光板
47 孔
58 高周波電源
61 第1電極
62 第2電極
63 第1誘電体層

Claims (18)

  1. プラズマ形成用ガスが内部に充填される筐体と、
    前記筐体内を第1空間と第2空間とに区画するように、当該筐体内に設けられる隔壁と、
    前記筐体の壁部の一部をなすと共に前記第1空間に臨み、前記筐体内で前記プラズマ形成用ガスから生じたプラズマの光を前記筐体の外部に照射する透光部と、
    前記隔壁に設けられ、前記第1空間と前記第2空間とを連通させる孔と、
    前記第1空間、前記第2空間に夫々設けられる第1電極、第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に電位差を形成して前記プラズマを形成するための電源と、
    前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも高電位の電極が前記筐体内に露出しないように被覆する誘電体部と、
    を備える光照射装置。
  2. 前記透光部は、前記隔壁に対向して設けられる請求項1記載の光照射装置。
  3. 前記第1電極は前記隔壁の前記第1空間に臨む第1壁面に設けられ、
    前記第2電極は前記隔壁の前記第2空間に臨む第2壁面あるいは、前記筐体において当該第2の壁面に対向して設けられる対向面に設けられる請求項1または2記載の光照射装置。
  4. 前記誘電体部は、前記第1電極を被覆する第1誘電体部と、前記第2電極を被覆する第2誘電体部と、を備える請求項1ないし3のいずれか一つに記載の光照射装置。
  5. 前記第1電極と前記第2電極とは、前記孔を挟んで対向する請求項1ないし4のいずれか一つに記載の光照射装置。
  6. 前記孔は複数設けられ、
    前記第1電極は、前記隔壁の前記第1空間に臨む第1壁面の一端側から他端側へ向けて各々伸長すると共に、伸長方向と交差する方向に並ぶ複数の第1伸長部を備え、
    前記各第1伸長部の間に前記孔が、当該第1伸長部の伸長方向に沿って複数設けられる請求項5記載の光照射装置。
  7. 前記第2電極は、前記各第1伸長部に並行する複数の第2伸長部を備え、前記第2伸長部は、前記第1伸長部の配列方向に沿って配列される請求項6記載の光照射装置。
  8. 前記複数の第1伸長部は、櫛歯状に形成された前記第1電極の歯部であり、
    前記複数の第2伸長部は、櫛歯状に形成された前記第2電極の歯部である請求項7記載の光照射装置。
  9. 前記複数の孔は、前記伸長部の伸長方向に沿うように前記隔壁に設けられた開口に対して、当該開口方向に見て重なると共に当該開口を分割する分割部材に設けられる孔である請求項6ないし8のいずれか一つに記載の光照射装置。
  10. 前記分割部材は多孔質体あるいはメッシュ部材である請求項9記載の光照射装置。
  11. 前記筐体の外部に照射される光は紫外線である請求項1ないし10のいずれか一つに記載の光照射装置。
  12. 前記筐体の外部に照射される光は、200nm以下の波長域にピーク波長を有する請求項11記載の光照射装置。
  13. 前記プラズマ形成用ガスを前記筐体内へ供給するプラズマ形成用ガス供給機構と、前記プラズマ形成用ガスを前記筐体内から排気する排気機構と、が設けられ、
    前記電源による前記電位差の形成と共に、当該筐体内へのプラズマ形成用ガスの供給と当該筐体の排気とが行われる請求項1ないし12のいずれか一つに記載の光照射装置。
  14. 前記プラズマ形成用ガスを前記筐体内に供給するガス供給路が、前記第1空間及び前記第2空間のうちの一方に開口し、
    前記プラズマ形成用ガスを前記筐体内から排気する排気路が前記第1空間及び前記第2空間のうちの他方に開口する請求項13記載の光照射装置。
  15. 処理容器と、
    前記処理容器内に設けられ、基板を載置するステージと、
    当該基板に光照射して処理を行うために、前記透光部が前記基板と対向するように前記処理容器に設けられる請求項1ないし14のいずれか一つに記載の光照射装置と、
    を備える基板処理装置。
  16. 前記処理容器内には、前記透光部と前記ステージとの間の空間を囲む周壁を備えるガス供給部が設けられ、
    当該周壁に沿って設けられ、上流側のガス流路から供給されるガスを当該周壁の周方向に拡散させる拡散空間と、
    前記拡散空間にて拡散した前記ガスを前記空間に吐出させるために、前記周壁の周方向に沿って設けられる吐出口と、
    を備える請求項15記載の基板処理装置。
  17. 前記透光部は、前記処理容器内において前記ステージが設けられると共に排気されて真空雰囲気とされる処理空間に臨み、
    前記筐体における前記透光部とは反対側の部位が臨み、排気されて真空雰囲気とされる排気空間が設けられる請求項15または16記載の基板処理装置。
  18. 内部が隔壁によって第1空間と第2空間とに区画され、且つ内部にプラズマ形成用ガスが充填される筐体の壁部の一部をなすと共に、前記第1空間に臨む透光部を介して、前記筐体内で前記プラズマ形成用ガスから生じたプラズマの光を、当該筐体の外部に照射する工程と、
    前記第1空間、前記隔壁に設けられる孔によって前記第1空間に連通する前記第2空間に夫々設けられる第1電極、第2電極に、電源によって電位差を形成する工程と、
    前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくとも高電位側の電極が誘電体部により前記筐体内に露出しないように被覆された状態で、前記電位差によりプラズマを形成する工程と、
    を備える光照射方法。
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