JP2023014575A - センサ用増幅回路及びエンジン制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】増幅回路にゲイン変動が発生してもその影響を軽減できるセンサ用増幅回路、及びこの増幅回路からの検出信号に基づき制御を実行するエンジン制御システムを提供する。【解決手段】検出対象1からの受圧に応じた電荷を生起する圧電素子を含むセンサ30と、オペアンプ412の入出力端子の間にコンデンサ411を負帰還接続してなり、圧電素子35からオペアンプ412に入力される電荷を増幅して出力する信号増幅部410と、圧電素子35からの電荷に代えて、所定の波形パターンの検査信号Itestをオペアンプ412に入力する検査信号生成部420と、検査信号Itestの入力時のオペアンプ412の出力Voutと目標出力Vtgtとに基づき、信号増幅部410に生じた増幅率の誤差を補償する補正指標を設定する補正指標設定部430と、補正指標に基づき信号増幅部410の増幅率を補正する増幅率補正部440とを備えた。【選択図】図4
Description
本発明は、センサ用増幅回路及びエンジン制御システムに関する。
この種のセンサ用増幅回路は、各種センサから出力される微小な信号をコントローラ等で演算処理できるように増幅する役割を果たしており、例えば特許文献1に記載された圧力センサ用の増幅回路を挙げることができる。圧力センサは、検出対象であるエンジンの筒内の燃焼圧を検出するセンサであり、燃焼圧を圧電素子に受圧させることで電荷を生起させて圧力検出信号として増幅回路に出力する。増幅回路は、オペアンプにコンデンサを負帰還接続してなり、例えば、圧力センサから反転入力端子に入力される圧力検出信号を増幅して出力する。圧力検出信号はエンジンの燃焼サイクルに同期して変動し、筒内の燃焼状態を反映した波形を形成する。圧力検出信号はエンジン制御装置に入力され、良好な筒内の燃焼状態を保つように圧力検出信号に基づきエンジンの燃料噴射制御や点火時期制御が実行される。
ところで、センサ用増幅回路には故障が発生する場合があり、故障の1つとして、オペアンプに入力される検出信号を増幅する際の増幅率に相当するゲインが経年劣化により変動する故障(以下、ゲイン変動と称する)がある。ゲイン変動は増幅回路の種々の部位の劣化により発生し、その一例として、オペアンプに負帰還接続されているコンデンサの経年劣化を挙げることができる。例えば、圧力センサ用の増幅回路に広く用いられている積層セラミックコンデンサの場合には、経年劣化により静電容量が次第に低下し、それに伴って増幅の際のゲインが次第に増加することから、圧力検出信号は筒内の燃焼状態を反映した本来の値から増加側に変化する。
結果として、例えば上記した圧力センサの場合には、誤差を含んだ圧力検出信号に基づきエンジンが不適切に制御されて筒内の燃焼状態が悪化し、排ガス特性、燃費、ドライバビリティ等を悪化させてしまう。コンデンサの種類や増幅回路の劣化部位に応じてゲインの増減方向は異なるものの、何れにしても検出信号に誤差が発生すると、検出対象の状態を適切に検出できなくなってしまう。ゲイン変動の対処としては、その要因となる部位、例えばコンデンサ或いは増幅回路全体等を交換することが考えられるが、交換作業やコスト等の別の問題が発生してしまう。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、増幅回路にゲイン変動が発生した場合であってもその影響を軽減でき、これにより、交換作業を要することなく長期に亘って正確な検出信号を出力することができるセンサ用増幅回路、及びこのセンサ用増幅回路からの検出信号に基づき制御を実行するエンジン制御システムを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のセンサ用増幅回路は、検出対象からの受圧に応じた電荷を生起する圧電素子を含むセンサを対象としたセンサ用増幅回路であって、演算増幅器と演算増幅器の入力端子と出力端子との間に負帰還接続されたコンデンサとを含み、センサの圧電素子から演算増幅器に入力される電荷を所定の増幅率で増幅して検出信号として出力する信号増幅部と、センサの圧電素子からの電荷に代えて、予め設定された波形パターンの検査信号を生成して信号増幅部の演算増幅器に入力する検査信号生成部と、検査信号生成部から検査信号が入力された際の演算増幅器の出力と予め設定された目標出力とに基づき、信号増幅部に生じた増幅率の誤差を補償するための補正指標を設定する補正指標設定部と、補正指標設定部により設定された補正指標に基づき、信号増幅部の増幅率を補正する増幅率補正部と、を備えたことを特徴とする。
その他の態様として、増幅率補正部を、信号増幅部から出力される検出信号を補正可能な信号補正部とし、補正指標設定部を、検査信号生成部から検査信号が入力された際の演算増幅器の出力と目標出力とに基づき、信号増幅部から出力される検出信号に対する補正量を補正指標として設定し、設定した補正量に基づき信号補正部に検出信号を補正させる補正量算出部として構成してもよい。
その他の態様として、増幅率補正部を、コンデンサとして信号増幅部に設けられた静電容量が異なる複数のコンデンサ、及び複数のコンデンサを演算増幅器の入力端子と出力端子との間に選択的に負帰還接続させるスイッチング部からなるコンデンサ切換部とし、補正指標設定部を、検査信号生成部から検査信号が入力された際の演算増幅器の出力と目標出力とに基づき、コンデンサ切換部の複数のコンデンサの中から演算増幅器に負帰還接続させるべきコンデンサを補正指標として設定し、設定したコンデンサをコンデンサ切換部のスイッチング部に負帰還接続させるコンデンサ選択部として構成してもよい。
その他の態様として、検出対象が、エンジンであり、センサが、エンジンの筒内の燃焼圧を圧電素子に受圧させる圧力センサであり、検査信号生成部が、エンジンの停止中に、演算増幅器に検査信号を入力し、補正量算出部が、エンジンの停止中に、検査信号生成部から検査信号が入力された際の演算増幅器の出力と目標出力とに基づき補正量を設定し、信号補正部が、エンジンの運転中に、補正量算出部により設定された補正量に基づき信号増幅部から出力される検出信号を補正するように構成してもよい。
その他の態様として、検出対象が、エンジンであり、センサが、エンジンの筒内の燃焼圧を圧電素子に受圧させる圧力センサであり、検査信号生成部が、エンジンの停止中に、演算増幅器に検査信号を入力し、コンデンサ選択部が、エンジンの停止中に、検査信号生成部から検査信号が入力された際の演算増幅器の出力と目標出力とに基づき演算増幅器に負帰還接続させるべきコンデンサを設定し、コンデンサ切換部が、エンジンの停止中に、コンデンサ選択部により設定されたコンデンサをスイッチング部に負帰還接続させるように構成してもよい。
その他の態様として、検査信号生成部が、波形パターンの検査信号を1サイクルとして、予め設定された複数のサイクル分を繰り返し演算増幅器に入力し、補正指標設定部が、複数のサイクルにおける検査信号生成部から検査信号が入力された際の演算増幅器の出力と目標出力とに基づき補正指標を設定するように構成してもよい。
その他の態様として、1サイクルが、正側と負側との何れか一方の波形と、何れか一方の波形の入力により変化した演算増幅器の出力を入力前の値に戻すための何れか他方の波形とからなる波形パターンの検査信号であるように構成してもよい。
また、本発明のエンジン制御システムは、請求項1乃至7の何れか1項に記載のセンサ用増幅回路と、センサ用増幅回路の出力に基づきエンジンを制御するエンジン制御部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、増幅回路にゲイン変動が発生した場合であってもその影響を軽減でき、これにより、交換作業を要することなく長期に亘って正確な検出信号を出力することができるセンサ用増幅回路、及びこのセンサ用増幅回路からの検出信号に基づき制御を実行するエンジン制御システムを提供することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明をエンジンの筒内の燃焼圧を検出する圧力センサ用増幅回路に具体化した第1実施形態を説明する。この実施形態は一例であり、本発明は、以下の実施形態に限定されず、以下の実施形態に対して種々の変形、変更が可能である。
以下、本発明をエンジンの筒内の燃焼圧を検出する圧力センサ用増幅回路に具体化した第1実施形態を説明する。この実施形態は一例であり、本発明は、以下の実施形態に限定されず、以下の実施形態に対して種々の変形、変更が可能である。
(エンジン制御システム300の概要)
図1は、エンジン1及びECU(Electronic Control Unit)100を含むエンジン制御システム300の模式的な構成図である。エンジン制御システム300は、圧力検出信号処理装置200によって信号処理が施された圧力検出信号を利用してエンジン制御を行う。圧力検出信号は、圧力センサ30からの出力信号である。なお、図1では、理解の容易化のため、点火プラグを図示省略している。
図1は、エンジン1及びECU(Electronic Control Unit)100を含むエンジン制御システム300の模式的な構成図である。エンジン制御システム300は、圧力検出信号処理装置200によって信号処理が施された圧力検出信号を利用してエンジン制御を行う。圧力検出信号は、圧力センサ30からの出力信号である。なお、図1では、理解の容易化のため、点火プラグを図示省略している。
エンジン1は、シリンダ2と、シリンダ2の内部で上下方向に摺動可能に嵌合されたピストン3とを有する。ピストン3には、コンロッド4の一端側が接続されているとともに、コンロッド4の他端側は、クランクシャフト5に連結されている。クランクシャフト5の不図示の変速機側の端部には、フライホイール7が回転可能に連結されている。フライホイール7の外周の所定の角度領域には、磁性体でなる突起であるリラクタ20が形成されている。
クランクシャフト5に対向して配置される電磁ピックアップ22は、リラクタ20が近づく時には、正電圧のパルスを出力するとともに、リラクタ20が遠ざかる時には、負電圧のパルスを出力する。公知のパルス整形回路により、正・負両極のパルス信号に基づいて、1個の矩形パルスが出力されるようにパルスを整形すると、フライホイール7が1回転する毎に1つの矩形パルスが出力される。
よって、「吸気→圧縮→燃焼→排気」の1サイクルにおいて、クランクシャフト5が720°回転するので、電磁ピックアップ22から1サイクルで2パルスの矩形信号(エンジン回転信号)が出力される。かくして、電磁ピックアップ22は、クランクシャフト5の回転角度を検出するクランク角センサとなる。
この結果、電磁ピックアップ22からのエンジン回転信号に基づいて、エンジン1の回転数を求めることができる。また、フライホイール7の外周上におけるリラクタ20の形成位置を適宜の角度領域とし、電磁ピックアップ22からのエンジン回転信号に基づいて、点火プラグに点火制御信号を与えて燃料点火するタイミングを、所望のタイミングとすることができる。所望のタイミングとは、上死点(TDC)、上死点より進角(BTDC)側、または、遅角(ATDC)側に対応したタイミングである。
また、シリンダ2の上部のシリンダヘッドには、吸気管8と排気管9とが接続されている。吸気管8の内部は、外部から燃焼室15内に新気を取り込むための吸気通路となっている。また、吸気通路には、上流側から、新気の塵等を除去するためのエアクリーナ6、新気の吸入量を調整するためのスロットル弁24、燃料噴射を行うためのインジェクタ40等が配置されている。そして、新気を燃焼室15内へ取り込むタイミングは、不図示のスプリングで閉弁方向に付勢される吸気弁12の開弁・閉弁動作により制御される。
圧力センサ30は、燃焼室15の圧力である燃焼圧を検出して、検出した燃焼圧を示す圧力検出信号を出力する。従って、本実施形態では、圧力センサ30が本発明の「センサ」に相当し、圧力センサ30により燃焼圧を検出されるエンジン1が本発明の「検出対象」に相当する。圧力センサ30は、その先端が燃焼室内を臨む姿勢でシリンダヘッドの頂部に配置されている。なお、圧力センサ30の搭載位置は、図1に示す位置には限られない。同様に、不図示の点火プラグも、その先端が燃焼室内を臨む姿勢でシリンダヘッドの適宜の位置に配置されている。点火プラグの内部に圧力センサ30を一体に設ける構造とすることもできるし、圧力センサ30と点火プラグとを別体にすることもできる。
一方、排気管9の内部は、燃焼室15からの排気を排出するための排気通路となっている。そして、排気の燃焼室15内からの排出タイミングは、不図示のスプリングで閉弁方向に付勢される排気弁10の開弁・閉弁動作により制御される。
エンジン1の動作を制御するECU100には、電磁ピックアップ22及び圧力センサ30等からの信号が入力される。電磁ピックアップ22からは、エンジン回転に応じた矩形パルス信号が入力される。圧力センサ30からは、圧力検出信号が入力される。一方、ECU100は、インジェクタ40の燃料噴射を制御すると共に、点火プラグの点火を制御する。
そして、圧力センサ30からの圧力検出信号は、圧力検出信号処理装置200によって信号処理が施される。ECU100は、エンジン回転信号、及び圧力検出信号処理装置200によって信号処理が施された圧力検出信号に基づいて、インジェクタ40による燃料噴射制御(噴射量、噴射時期)と、点火プラグによる点火時期制御とを行う。
シリンダ2内でのピストン3の上下方向の往復運動が、クランクシャフト5の回転運動に変換される。クランクシャフト5の回転運動は、変速機を介して駆動輪に伝達され、「吸気→圧縮→燃焼→排気」の行程を繰り返すことにより、車両(二輪、四輪)が前進する。
なお、図1は、エンジン1、及びこれを制御するECU100の構成例であり、例えば、ECU100は、エンジン回転信号、及び圧力検出信号の他に、エンジン1の吸気温度、冷却水温度、排気中の酸素濃度、スロットル開度等を参照して、エンジン1の制御を行うようにすることもできる。
(ECU100の機能構成)
図2は、ECU100の機能を示す機能構成図である。ECU100は、記憶部130と、エンジン制御部150と、圧力検出信号処理装置200とを含む。記憶部130は、プログラム132、不揮発性記憶エリア136、及びワークエリア138を有する。ワークエリア138は、演算過程で各種パラメータを一時的に記憶するための一時記憶領域であり、不揮発性記憶エリア136は、演算で利用される各種パラメータを不揮発的に記憶するための記憶領域である。
図2は、ECU100の機能を示す機能構成図である。ECU100は、記憶部130と、エンジン制御部150と、圧力検出信号処理装置200とを含む。記憶部130は、プログラム132、不揮発性記憶エリア136、及びワークエリア138を有する。ワークエリア138は、演算過程で各種パラメータを一時的に記憶するための一時記憶領域であり、不揮発性記憶エリア136は、演算で利用される各種パラメータを不揮発的に記憶するための記憶領域である。
エンジン制御部150は、圧力検出信号処理装置200から出力される圧力検出信号等に基づいて燃料噴射量を求め、求めた燃料噴射量に応じた燃料噴射信号を、電磁ピックアップ22からのエンジン回転信号に基づいたタイミングでインジェクタ40を制御する。これにより、インジェクタ40は、エンジン制御部150からの制御に応じた燃料噴射量で燃料を噴射する。
エンジン制御部150は、電磁ピックアップ22からのエンジン回転信号に基づいて点火時期を判断し、点火プラグを制御する。また、エンジン制御部150は、電磁ピックアップ22からのエンジン回転信号に加えて、圧力検出信号処理装置200からの圧力検出信号に基づいて、点火時期を制御することもできる。
図2に示したECU100の機能構成は一例に過ぎない。ECU100は、これ以外の機能構成を取り得る。圧力検出信号処理装置200から出力される信号処理後の圧力検出信号を利用して、燃料噴射制御、点火時期制御のみならず、ノッキング検知、失火検知、燃焼速度演算等の各種パラメータの検出、制御等が、実行可能である。
(圧力センサ30の構成)
図3は、圧力センサ30の模式的な構成図である。圧力センサ30の筒状のハウジング31には、燃焼圧を受けるダイアフラム32、1対の電極36、37に挟まれた圧電素子35等が内蔵される。一方の電極36は、安定した電位、すなわち接地電位となっているリード線が接続されるとともに、他方の電極37は、当該圧力センサ30の圧力検出信号を次段に伝送するためのリード線が接続されている。ここで、接地電位とは、GND電位(0V)や、任意に設定された電位のことを指す。圧電素子35は、受圧強度に応じた電荷を生起して出力する。圧電素子35は、例えば、酸化亜鉛(ZnO)等の誘電体材料である。
図3は、圧力センサ30の模式的な構成図である。圧力センサ30の筒状のハウジング31には、燃焼圧を受けるダイアフラム32、1対の電極36、37に挟まれた圧電素子35等が内蔵される。一方の電極36は、安定した電位、すなわち接地電位となっているリード線が接続されるとともに、他方の電極37は、当該圧力センサ30の圧力検出信号を次段に伝送するためのリード線が接続されている。ここで、接地電位とは、GND電位(0V)や、任意に設定された電位のことを指す。圧電素子35は、受圧強度に応じた電荷を生起して出力する。圧電素子35は、例えば、酸化亜鉛(ZnO)等の誘電体材料である。
ダイアフラム32が、受圧強度に応じて圧電素子35に圧力を与えると、圧電素子35は、与えられた圧力に対応する電荷を生起し、次段の圧力検出信号処理装置200に出力する。かくして、燃焼圧に対応する電流が圧力検出信号として圧力検出信号処理装置200に伝えられる。
(圧力検出信号処理装置200の構成)
図4は、圧力検出信号処理装置200を示す構成図である。圧力検出信号処理装置200は、増幅回路400と、信号出力部500とを有する。
増幅回路400は信号増幅部410を有しており、図5は、信号増幅部410を示す構成図である。信号増幅部410は、その非反転入力端子が接地電位に接続されるとともに、反転入力端子と出力端子とが静電容量Cfのコンデンサ411で接続されたオペアンプ412で成る。つまり、コンデンサ411でオペアンプ412が負帰還接続されて、オペアンプ412は仮想接地されている。オペアンプ412が本発明の「演算増幅器」に相当する。
図4は、圧力検出信号処理装置200を示す構成図である。圧力検出信号処理装置200は、増幅回路400と、信号出力部500とを有する。
増幅回路400は信号増幅部410を有しており、図5は、信号増幅部410を示す構成図である。信号増幅部410は、その非反転入力端子が接地電位に接続されるとともに、反転入力端子と出力端子とが静電容量Cfのコンデンサ411で接続されたオペアンプ412で成る。つまり、コンデンサ411でオペアンプ412が負帰還接続されて、オペアンプ412は仮想接地されている。オペアンプ412が本発明の「演算増幅器」に相当する。
オペアンプ412の入力インピーダンスは、理想的には無限大のため、オペアンプ412に入力される電流は、コンデンサ411を流れる。かくして、信号増幅部410は、圧電素子35から反転入力端子に入力される圧力検出信号(電流値I)を増幅し、その出力Vout(V)は次式(1)により表される。
例えば、特許文献1に記載の圧力センサ用の増幅回路等では、このような信号増幅部410により増幅回路400が構成され、その出力Voutが信号出力部500に直接入力される。これに対して本実施形態では、信号増幅部410の出力Voutを補正する構成が追加されているが、その詳細は後述する。
信号出力部500は、増幅回路400から圧力検出信号として出力されるVoutをアナログ信号からデジタル信号に変換すると共に、圧力検出信号の補正処理等を実行し、処理後の圧力検出信号をエンジン制御部150に出力する。この補正処理は、本発明の要旨と直接関係ないため詳細は説明しないが、例えば、圧電素子35の漏れ電流に起因して圧力検出信号に含まれるドリフト成分を除去する補正処理等が挙げられる。
そして、このようにして圧力センサ30から出力され、増幅回路400により増幅され、信号出力部500により各種補正処理を施された圧力検出信号がエンジン制御部150に入力される。圧力検出信号は、エンジン1の燃焼サイクルに同期して変動すると共に、筒内の燃焼状態を反映した波形を形成したものとなる。この圧力検出信号に基づき、エンジン制御部150により良好な筒内の燃焼状態を保つようにエンジン1の燃料噴射制御や点火時期制御が実行される。
ところで、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、特許文献1に記載の圧力センサ用の増幅回路では、故障の1つとして、増幅率に相当するゲインが経年劣化により変動するゲイン変動があり、誤差を含んだ圧力検出信号に基づきエンジンが不適切に制御されてしまう問題があった。
このような不具合を鑑みて本発明者は、圧力検出信号に代えて検査信号Itestを信号増幅部410に入力し、このときの信号増幅部410の出力Voutに基づきゲイン変動の発生状態を判定し、信号増幅部410に生じたゲインの誤差を補償する対策を見出した。この補正処理は、増幅回路400に追加された構成により実行され、その詳細を以下に説明する。
(増幅回路400の構成)
図4に示すように、増幅回路400は、上記した信号増幅部410に加えて検査信号生成部420、補正量算出部430及び信号補正部440を有する。補正量算出部430は、本発明の「補正指標設定部」に相当し、信号補正部440は、本発明の「増幅率補正部」に相当する。
図4に示すように、増幅回路400は、上記した信号増幅部410に加えて検査信号生成部420、補正量算出部430及び信号補正部440を有する。補正量算出部430は、本発明の「補正指標設定部」に相当し、信号補正部440は、本発明の「増幅率補正部」に相当する。
検査信号生成部420は、予め設定された波形パターンの検査信号Itestを生成して信号増幅部410に入力可能となっている。
補正量算出部430は、検査信号Itestを増幅した信号増幅部410の出力Voutに基づき、信号増幅部410に生じたゲインの誤差を補償するための補正指標として、信号増幅部410の出力Voutに対する補正量を算出する。
信号補正部440は、信号増幅部410の出力Voutである圧力検出信号を補正可能な補正回路であり、補正量算出部430により算出された補正量に基づき圧力検出信号を増幅または減衰してエンジン制御部150に出力する。
(信号増幅部410のゲイン変動の発生状況)
次いで、信号増幅部410のゲイン変動の発生状況について説明する。
本実施形態においてゲインとは、信号増幅部410が圧力検出信号を増幅する際の増幅率を意味し、本発明の「所定の増幅率」に相当する。このゲインが変動する故障がゲイン変動であり、信号増幅部410を構成するコンデンサ411或いは他の部位の経年劣化等により発生する。ゲイン変動は、故障が発生していないときの正常なゲインに対して増加側及び低下側の何れの方向にも発生する。
次いで、信号増幅部410のゲイン変動の発生状況について説明する。
本実施形態においてゲインとは、信号増幅部410が圧力検出信号を増幅する際の増幅率を意味し、本発明の「所定の増幅率」に相当する。このゲインが変動する故障がゲイン変動であり、信号増幅部410を構成するコンデンサ411或いは他の部位の経年劣化等により発生する。ゲイン変動は、故障が発生していないときの正常なゲインに対して増加側及び低下側の何れの方向にも発生する。
図6は、信号増幅部410のゲインが正常、過大及び過小の場合において検査信号Itestが入力されたときの出力Voutを示すタイムチャートである。
上記のようなゲイン変動の発生状態を判定するために、本実施形態では、図6に示す波形パターンを有する検査信号Itestを検査信号生成部420により生成し、信号増幅部410、詳しくはオペアンプ412の反転入力端子に入力している。波形パターンは負側の矩形波及び正側の矩形波からなり、この負側の矩形波が、本発明の「正側と負側との何れか一方の波形」に相当し、正側の矩形波が、本発明の「何れか他方の波形」に相当する。
上記のようなゲイン変動の発生状態を判定するために、本実施形態では、図6に示す波形パターンを有する検査信号Itestを検査信号生成部420により生成し、信号増幅部410、詳しくはオペアンプ412の反転入力端子に入力している。波形パターンは負側の矩形波及び正側の矩形波からなり、この負側の矩形波が、本発明の「正側と負側との何れか一方の波形」に相当し、正側の矩形波が、本発明の「何れか他方の波形」に相当する。
そして、まず予め設定された時間t1に亘って負側の矩形波を入力し、次いで時間t2に亘って0Aに保ち、その後に時間t3に亘って正側の矩形波を入力し、次いで時間t4に亘って0Aに保つ。
ゲイン変動が発生していない場合、検査信号Itestが入力されたときの信号増幅部410の出力Voutは、図6中に実線で示すように変化する。即ち、負側の矩形波が入力されると、コンデンサ411に電荷が蓄えられて出力Voutが所定の変化率で増加し、入力が中止されると、コンデンサ411に蓄えられた電荷によりその時点の出力Voutに保持される。その後に正側の矩形波が入力されると出力Voutが所定の変化率で低下し、入力が中止されるとその時点の出力Vout(=接地電位)に保持される。時間t2における出力Voutは、ゲインに基づき時間t1に亘って負側の矩形波が増幅された結果を示す値であり、以下、ピーク電圧Vpと称する。
信号増幅部410の製造直後には、製品間のゲインに関する個体差を解消するためのキャリブレーション作業が実施され、信号増幅部410から所定の目標値が出力されるようにゲインが調整されている。従って、ゲイン変動が発生していない場合には、製造直後に調整された所期のゲインがその後の信号増幅部410の運用中において保たれ続け、このゲインに基づき検査信号Itestが増幅されて信号増幅部410から出力される。結果として、このときの時間t2における出力Vout、即ちピーク電圧Vpは、ゲイン変動の影響を受けていない正常な値と見なせる。
一方、図6中の破線はゲイン変動が発生して、ゲインに誤差が生じた場合の出力Voutを示している。ゲイン変動無しの所期のゲインに比較してゲインが過大になると、時間t1で出力Voutがより大きな変化率で増加し、その後の時間t2でより大きなピーク電圧Vpに保持される。また、所期のゲインに比較してゲインが過小になると、時間t1で出力Voutがより小さな変化率で増加し、その後の時間t2でより小さなピーク電圧Vpに保持される。このときのピーク電圧Vpは、所期のゲインに基づくピーク電圧Vpを基準としてゲインが過大であるほど増加側に乖離し、ゲインが過小であるほど低下側に乖離する。
結果としてピーク電圧Vpは、ゲイン変動の発生状態、詳しくはゲイン変動の有無、ゲイン変動有りの場合にはゲインの誤差の発生方向や大きさ等を明確に表す指標と見なせる。そして、所期のゲインに基づくピーク電圧Vpを予め目標出力Vtgtとして設定し、この目標出力Vtgtと現在のピーク電圧Vpとに基づき、ゲインの誤差を補償して所期のゲインに対応する出力Voutを実現している。
本実施形態ではゲインの誤差を補償するために、信号増幅部410からの圧力検出信号を信号補正部440により補正する構成を採用している。このため詳細は後述するが、補正量算出部430により目標出力Vtgtとピーク電圧Vpとの比hを補正量として算出し、この補正量hに基づき信号補正部440により信号増幅部410からの圧力検出信号を補正している。本実施形態では、補正量算出部430により算出される補正量hが、本発明の「信号増幅部に生じたゲインの誤差を補償するための補正指標」に相当する。
以上の波形パターンの検査信号Itestに基づきピーク電圧Vpを計測し、目標出力Vtgtとの比hに基づき圧力検出信号を補正するのであるが、何らかの要因によりピーク電圧Vpを誤計測する可能性もある。その対策として本実施形態では、図6に示す波形パターンの検査信号Itestを1サイクルとし、5サイクル分を繰り返し信号増幅部410に入力している。
そして、1サイクル分の検査信号Itestを信号増幅部410に入力する毎に、ピーク電圧Vpを計測して逐次記憶しておき、5サイクル分が終了した時点でピーク電圧Vpの平均値を算出する。この平均値と目標出力Vtgtとの比hを補正量として圧力検出信号の補正に適用することにより、補正処理の信頼性ひいては補正後の圧力検出信号の信頼性の向上を図っている。
正側の矩形波の主たる役割は、この連続した5サイクル分のピーク電圧Vpの計測を可能とすることにある。即ち、信号増幅部410の出力Voutは負側の矩形波の入力に応じて増加し(時間t1)、コンデンサ411に蓄えられた電荷により負側の矩形波の入力を中止しても低下しないため(時間t2)、このままでは後続のサイクルのピーク電圧Vpを計測できない。負側の矩形波に続いて正側の矩形波が入力されると、出力Voutは負側の矩形波の入力前の値である接地電位に戻されるため(時間t4)、後続のサイクルにおいてもゲインに対応するピーク電圧Vpの計測が可能となるのである。
一方、エンジン1の運転中には、圧力センサ30からの圧力検出信号を信号増幅部410が増幅しているため、これと並行して信号増幅部410で検査信号Itestを増幅することはできず、出力Voutからピーク電圧Vpを計測することもできない。一方で、補正量hに基づく補正処理は、エンジン1の筒内の燃焼状態に応じて変化する信号増幅部410からの圧力検出信号を対象として、エンジン1の運転中に逐次実行されるべきものである。そこでエンジン1の停止中に、検査信号Itestの入力、ピーク電圧Vpの計測、及び補正量hの算出までの各処理を実行し、その後のエンジン1の運転中に、算出した補正量hに基づき圧力検出信号を補正してエンジン制御に適用している。
本実施形態ではエンジン1の停止中として、車両を走行させるべく運転者がエンジン1を始動する直前のタイミングが設定されている。従って、運転者によりイグニションキーが操作されると、エンジン始動に先行して上記検査信号Itestの入力から補正量hの算出までの各処理を実行する。エンジン停止中には圧力センサ30から圧力検出信号が信号増幅部410に入力されていないため、これらの処理を実行可能となる。そして補正量hを算出した後、エンジン制御部150がスタータを作動させてエンジン1を始動し、圧力センサ30からの圧力検出信号に基づきエンジン制御を実行する。
なお、エンジン停止中のタイミングは、上記に限るものではない。例えば、信号待ち等でアイドルストップ機能によりエンジン1を一旦停止させている期間中、或いは、車両の走行終了により運転者がエンジン1を停止させた直後を、エンジン停止中と見なしてもよい。何れの場合も、何ら問題なく信号増幅部410で検査信号Itestを増幅して補正量hを算出することができる。
但し、検査信号Itestの入力から補正量hの算出までの各処理は、必ずしもエンジン停止中に実行する必要はない。5サイクル分の処理に要する時間はごく短時間であるため、エンジン1の運転中に処理を実行してもよい。例えば、エンジン1の定常運転中には筒内の燃焼状態が安定することから、定常運転への移行を条件として処理を実行してもよい。この場合にはエンジン1が定常運転に移行すると、このときの圧力検出信号をエンジン制御部150側で記憶した上で、圧力センサ30からの圧力検出信号を遮断する。そして、記憶している圧力検出信号に基づきエンジン制御を継続しつつ、検査信号Itestを信号増幅部410に入力して補正量hの算出までの処理を実行する。このように、エンジン運転中に検査信号Itestに基づく処理を実行する場合も本発明は含むものとする。
(ゲイン誤差の補償処理のフローチャート)
次いで、信号増幅部410に発生したゲインの誤差を補償するための処理について説明する。
図7は、検査信号生成部420、補正量算出部430及び信号補正部440が実行するゲイン誤差補償ルーチンを示すフローチャートである。説明の便宜上、エンジン始動の直前に、検査信号Itestの入力から補正量hの算出までの各処理を実行するものとする。
次いで、信号増幅部410に発生したゲインの誤差を補償するための処理について説明する。
図7は、検査信号生成部420、補正量算出部430及び信号補正部440が実行するゲイン誤差補償ルーチンを示すフローチャートである。説明の便宜上、エンジン始動の直前に、検査信号Itestの入力から補正量hの算出までの各処理を実行するものとする。
運転者によりイグニションキーが操作されると、ステップS1でゲイン誤差の補償処理を開始する。続くステップS2では検査信号生成部420から検査信号Itestを出力し、ステップS3で補正量算出部430により、信号増幅部410の出力Voutに基づきピーク電圧Vpを計測して記憶する。以上を1サイクルとし、ステップS2,3の処理を5サイクル分繰り返す。その後にステップS4で補正量算出部430により、各サイクルで得られたピーク電圧Vpの平均値を算出し、この平均値とVp目標出力Vtgtとの比hを補正量として算出する。
その後にエンジン始動が完了するとステップS5に移行し、信号増幅部410の出力Voutを補正量hにより補正する処理を実行する。当該ステップS5の処理はエンジン1の運転中に繰り返し実行され、これにより信号増幅部410からの出力Voutが補正量hに基づき逐次補正される。
以上のように本実施形態の圧力センサ用増幅回路400においては、エンジン1の停止中に信号増幅部410に検査信号Itestを入力してピーク電圧Vpを計測し、このピーク電圧Vpとゲイン変動無しの所期のゲインに基づく目標出力Vtgtとの比hを補正量として算出している。そして、その後のエンジン1の運転中には、信号増幅部410の出力Voutを補正量hに基づき補正している。従って、信号増幅部410にゲイン変動が発生している場合であっても、出力Voutに含まれる誤差を排除してエンジン1の筒内の燃焼状態を反映した正確な圧力検出信号に補正でき、この圧力検出信号に基づきエンジン1を適切に制御することができる。
加えて、ゲイン変動が発生しても、正常な増幅機能を維持したまま増幅回路400の運用を長期に亘って継続できるため、従来からの増幅回路に比較して長寿命化することができる。ゲイン変動により正常な増幅機能が望めなくなると、その要因となる部位、例えばコンデンサ411或いは信号増幅部410全体等を交換する必要が生じるが、そのための交換作業やコスト等の問題を解消することができる。
また、従来からの増幅回路400に対し、検査信号生成部420、補正量算出部430及び信号補正部440を追加するだけの簡単な構成で実現できるため、増幅回路400の製造コストを高騰させることなく実施することができる。
[第2実施形態]
次いで、本発明を別の圧力センサ用増幅回路600に具体化した第2実施形態を説明する。
第1実施形態では、信号増幅部410に生じたゲインの誤差を補償するために、信号補正部440により圧力検出信号を補正したが、本実施形態では、信号増幅部610のコンデンサ641-1~641-nを異なる静電容量のものに切り換える対策を講じている。そこで、例えば図1~3等の同一構成の箇所については同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
次いで、本発明を別の圧力センサ用増幅回路600に具体化した第2実施形態を説明する。
第1実施形態では、信号増幅部410に生じたゲインの誤差を補償するために、信号補正部440により圧力検出信号を補正したが、本実施形態では、信号増幅部610のコンデンサ641-1~641-nを異なる静電容量のものに切り換える対策を講じている。そこで、例えば図1~3等の同一構成の箇所については同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
(増幅回路600の構成)
図8は、圧力検出信号処理装置200を示す構成図である。
圧力検出信号処理装置200の増幅回路600は、信号増幅部610、検査信号生成部620及びコンデンサ選択部630を有し、信号増幅部610は、コンデンサ切換部640を有する。コンデンサ選択部630は、本発明の「補正指標設定部」に相当し、コンデンサ切換部640は、本発明の「増幅率補正部」に相当する。
図8は、圧力検出信号処理装置200を示す構成図である。
圧力検出信号処理装置200の増幅回路600は、信号増幅部610、検査信号生成部620及びコンデンサ選択部630を有し、信号増幅部610は、コンデンサ切換部640を有する。コンデンサ選択部630は、本発明の「補正指標設定部」に相当し、コンデンサ切換部640は、本発明の「増幅率補正部」に相当する。
図9は、信号増幅部610を示す構成図である。
信号増幅部610のオペアンプ611の反転入力端子と出力端子との間には、静電容量Cfが異なる複数のコンデンサ641-1~641-nが並列接続されている。各コンデンサ641-1~641-nには、スイッチング部642を構成するスイッチ642-1~642-nがそれぞれ直列接続され、このスイッチング部642と各コンデンサ641-1~641-nとによりコンデンサ切換部640が構成されている。スイッチング部642は、各コンデンサ641-1~641-nを選択的にオペアンプ611に負帰還接続させる機能を奏する。
信号増幅部610のオペアンプ611の反転入力端子と出力端子との間には、静電容量Cfが異なる複数のコンデンサ641-1~641-nが並列接続されている。各コンデンサ641-1~641-nには、スイッチング部642を構成するスイッチ642-1~642-nがそれぞれ直列接続され、このスイッチング部642と各コンデンサ641-1~641-nとによりコンデンサ切換部640が構成されている。スイッチング部642は、各コンデンサ641-1~641-nを選択的にオペアンプ611に負帰還接続させる機能を奏する。
即ち、スイッチング部642の何れか1つのスイッチ642-1~642-nが選択的にONすると、ONしたスイッチ642-1~642-nに対応するコンデンサ641-1~641-nがオペアンプ611に対して負帰還接続される。従って、負帰還接続されたコンデンサ641-1~641-nの静電容量Cfに応じて信号増幅部410のゲインが定まり、そのゲインに基づき、圧力センサ30からの圧力検出信号が増幅される。
(ゲイン誤差の補償処理)
本実施形態では、上記のようにしてオペアンプ611に負帰還接続すべきコンデンサ641-1~641-nを切り換えることで、信号増幅部410に生じたゲインの誤差を補償している。以下に述べるように、検査信号Itestの入力、コンデンサ641-1~641-nの選択、及びコンデンサ641-1~641-nの切換からなる全ての処理は、エンジン1の停止中に実行される。そしてコンデンサ641-1~641-nの切換完了後に、エンジン1が始動されて運転を開始するようになっている。
本実施形態では、上記のようにしてオペアンプ611に負帰還接続すべきコンデンサ641-1~641-nを切り換えることで、信号増幅部410に生じたゲインの誤差を補償している。以下に述べるように、検査信号Itestの入力、コンデンサ641-1~641-nの選択、及びコンデンサ641-1~641-nの切換からなる全ての処理は、エンジン1の停止中に実行される。そしてコンデンサ641-1~641-nの切換完了後に、エンジン1が始動されて運転を開始するようになっている。
コンデンサ選択部630は、コンデンサ切換部640の複数のコンデンサ641-1~641-nの中から、オペアンプ611に負帰還接続させるべきコンデンサ641-1~641-nを選択する。詳しくは、検査信号生成部420からの検査信号Itestが入力されたときの信号増幅部610の出力Voutに基づき、第1実施形態で図6に基づき説明したように、時間t2におけるピーク電圧Vpを計測する。ピーク電圧Vpの計測処理は、第1実施形態と同じく5サイクル分実行され、その後に、計測したピーク電圧Vpの平均値とゲイン変動無しの所期のゲインに基づく目標出力Vtgtとの比hを算出する。
比hは、現在のゲインと所期のゲインとの関係を表すことから、この比hに基づき、現在のゲインを所期のゲインに戻すために必要なコンデンサ641-1~641-nの静電容量を求めることができる。そしてコンデンサ選択部630は、求めた静電容量に最も近い静電容量を有するコンデンサ641-1~641-nを、オペアンプ611に負帰還接続させるべきコンデンサ641-1~641-nとして設定し、このコンデンサ641-1~641-nへの切換指令をコンデンサ切換部640に出力する。
切換指令を入力したコンデンサ切換部640は、現在接続しているスイッチ642-1~642-nをOFFすると共に、指令されたコンデンサ641-1~641-nに対応するスイッチ642-1~642-nをONしてオペアンプ611に負帰還接続させる。
従って本実施形態では、コンデンサ選択部630により設定されたコンデンサ641-1~641-nが、本発明の「信号増幅部に生じたゲインの誤差を補償するための補正指標」に相当する。なお、各コンデンサ641-1~641-nとそれぞれの静電容量の関係は一義的に定まっているため、比hから負帰還接続させるべきコンデンサ641-1~641-nを直接求めてもよい。
以上のように本実施形態の圧力センサ用増幅回路600においては、エンジン1の停止中に信号増幅部610に検査信号Itestを入力してピーク電圧Vpを計測し、このピーク電圧Vpとゲイン変動無しの所期のゲインに基づく目標出力Vtgtとの比hを算出している。そして、この比hに基づき、現在のゲインを所期のゲインに戻すことが可能な静電容量を有するコンデンサ641-1~641-nを選択して、オペアンプ611に負帰還接続させている。従って、信号増幅部610にゲイン変動が発生している場合であっても、出力Voutに含まれる誤差を排除してエンジン1の筒内の燃焼状態を反映した正確な圧力検出信号に補正でき、この圧力検出信号に基づきエンジン1を適切に制御することができる。
加えて、ゲイン変動が発生しても、正常な増幅機能を維持したまま増幅回路600の運用を継続できるため、長寿命化することができる。また、従来からの信号増幅部610に対して簡単な構成を追加するだけで、製造コストを高騰させることなく実施できる。
本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、エンジン1の筒内の燃焼圧を圧力センサ30用の増幅回路400,600に具体化したが、これに限るものではない。検出対象からの受圧に応じて圧電素子に電荷を生起させるセンサ用の増幅回路であれば、任意に変更可能である。
従って、例えば加速度に応じた圧力を圧電素子に作用させて電荷を生起する加速度センサ、或いは、周囲の音を圧力として圧電素子に作用させて電荷を生起する圧電素子型の補聴器やマイク等を対象とした増幅回路に具体化してもよい。
また上記各実施形態では、検査信号Itestとして、負側の矩形波の入力(時間t1)、0Aの保持(時間t2)、正側の矩形波の入力(時間t3)及び0Aの保持(時間t4)からなる波形パターンを用いたが、これに限るものではない。検査信号Itestの波形パターンは任意に変更可能であり、また、例えば検査信号Itestをオペアンプ412,611の非反転入力端子に入力する構成としてもよい。
また上記各実施形態では、検査信号Itestの入力及びピーク電圧Vpの計測を5サイクル分実行したが、これに限るものではない。例えば、実行するサイクル数を増減してもよいし、1サイクル分のみを実行してもよい。1サイクル分のみの処理を実行する場合には、負側の矩形波の入力により増加した信号増幅部410,610の出力Voutを接地電位に戻す必要がなくなるため、正側の矩形波の入力を省略してもよい。
また上記各実施形態では、圧力センサ30からの圧力検出信号を信号増幅部410,610により増幅してエンジン1の料噴射制御や点火時期制御に適用したが、これに限るものではない。例えば、増幅後の圧力検出信号に基づきエンジン1の筒内での失火の有無を判定してもよい。信号増幅部410,610にゲイン変動が発生した場合には、誤差を含んだ圧力検出信号に基づき失火を誤判定してしまうが、本発明を適用すれば、このような事態を未然に防止することができる。
1 エンジン(検出対象)
30 圧力センサ(センサ)
35 圧電素子
300 エンジン制御システム
400,600 増幅回路
410,610 信号増幅部
411,641-1~641-n コンデンサ
412,611 オペアンプ(演算増幅器)
420,620 検査信号生成部
430 補正量算出部(補正指標設定部)
440 信号補正部(増幅率補正部)
630 コンデンサ選択部(補正指標設定部)
640 コンデンサ切換部(増幅率補正部)
642 スイッチング部
30 圧力センサ(センサ)
35 圧電素子
300 エンジン制御システム
400,600 増幅回路
410,610 信号増幅部
411,641-1~641-n コンデンサ
412,611 オペアンプ(演算増幅器)
420,620 検査信号生成部
430 補正量算出部(補正指標設定部)
440 信号補正部(増幅率補正部)
630 コンデンサ選択部(補正指標設定部)
640 コンデンサ切換部(増幅率補正部)
642 スイッチング部
Claims (8)
- 検出対象からの受圧に応じた電荷を生起する圧電素子を含むセンサを対象としたセンサ用増幅回路であって、
演算増幅器と前記演算増幅器の入力端子と出力端子との間に負帰還接続されたコンデンサとを含み、前記センサの圧電素子から前記演算増幅器に入力される電荷を所定の増幅率で増幅して検出信号として出力する信号増幅部と、
前記センサの圧電素子からの電荷に代えて、予め設定された波形パターンの検査信号を生成して前記信号増幅部の演算増幅器に入力する検査信号生成部と、
前記検査信号生成部から前記検査信号が入力された際の前記演算増幅器の出力と予め設定された目標出力とに基づき、前記信号増幅部に生じた増幅率の誤差を補償するための補正指標を設定する補正指標設定部と、
前記補正指標設定部により設定された補正指標に基づき、前記信号増幅部の増幅率を補正する増幅率補正部と、
を備えたことを特徴とするセンサ用増幅回路。 - 前記増幅率補正部は、前記信号増幅部から出力される検出信号を補正可能な信号補正部であり、
前記補正指標設定部は、前記検査信号生成部から前記検査信号が入力された際の前記演算増幅器の出力と前記目標出力とに基づき、前記信号増幅部から出力される検出信号に対する補正量を前記補正指標として設定し、前記設定した補正量に基づき前記信号補正部に前記検出信号を補正させる補正量算出部である
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ用増幅回路。 - 前記増幅率補正部は、前記コンデンサとして前記信号増幅部に設けられた静電容量が異なる複数のコンデンサ、及び前記複数のコンデンサを前記演算増幅器の入力端子と出力端子との間に選択的に負帰還接続させるスイッチング部からなるコンデンサ切換部であり、
前記補正指標設定部は、前記検査信号生成部から前記検査信号が入力された際の前記演算増幅器の出力と前記目標出力とに基づき、前記コンデンサ切換部の複数のコンデンサの中から前記演算増幅器に負帰還接続させるべきコンデンサを前記補正指標として設定し、前記設定したコンデンサを前記コンデンサ切換部のスイッチング部に負帰還接続させるコンデンサ選択部である
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ用増幅回路。 - 前記検出対象は、エンジンであり、
前記センサは、前記エンジンの筒内の燃焼圧を前記圧電素子に受圧させる圧力センサであり、
前記検査信号生成部は、前記エンジンの停止中に、前記演算増幅器に前記検査信号を入力し、
前記補正量算出部は、前記エンジンの停止中に、前記検査信号生成部から前記検査信号が入力された際の前記演算増幅器の出力と前記目標出力とに基づき前記補正量を設定し、
前記信号補正部は、前記エンジンの運転中に、前記補正量算出部により設定された前記補正量に基づき前記信号増幅部から出力される検出信号を補正する
ことを特徴とする請求項2に記載のセンサ用増幅回路。 - 前記検出対象は、エンジンであり、
前記センサは、前記エンジンの筒内の燃焼圧を前記圧電素子に受圧させる圧力センサであり、
前記検査信号生成部は、前記エンジンの停止中に、前記演算増幅器に前記検査信号を入力し、
前記コンデンサ選択部は、前記エンジンの停止中に、前記検査信号生成部から前記検査信号が入力された際の前記演算増幅器の出力と前記目標出力とに基づき前記演算増幅器に負帰還接続させるべきコンデンサを設定し、
前記コンデンサ切換部は、前記エンジンの停止中に、前記コンデンサ選択部により設定されたコンデンサを前記スイッチング部に負帰還接続させる
ことを特徴とする請求項3に記載のセンサ用増幅回路。 - 前記検査信号生成部は、前記波形パターンの検査信号を1サイクルとして、予め設定された複数のサイクル分を繰り返し前記演算増幅器に入力し、
前記補正指標設定部は、前記複数のサイクルにおける前記検査信号生成部から前記検査信号が入力された際の前記演算増幅器の出力と前記目標出力とに基づき前記補正指標を設定する
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のセンサ用増幅回路。 - 前記1サイクルは、正側と負側との何れか一方の波形と、前記何れか一方の波形の入力により変化した前記演算増幅器の出力を入力前の値に戻すための何れか他方の波形とからなる波形パターンの検査信号である
ことを特徴とする請求項6に記載のセンサ用増幅回路。 - 請求項1乃至7の何れか1項に記載のセンサ用増幅回路と、
前記センサ用増幅回路の出力に基づきエンジンを制御するエンジン制御部と、
を備えたことを特徴とするエンジン制御システム。
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