JP2023013397A - 内燃機関の排気浄化システムおよび内燃機関の排気浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】尿素水の供給異常の有無を、精度よく判定する。【解決手段】ポンプ制御手段110は、供給通路内42の尿素水圧力を所定圧に制御する。実噴射量算出手段140は、噴射停車時回転速度Nsと噴射時におけるポンプ回転速度Nとの差に基づいて実噴射量Qpを算出する。異常判定手段150は、車両1の停車時における実噴射量Qpと指令噴射量Tpとを比較することにより、尿素水の供給異常を判定する。【選択図】図4
Description
本開示は、内燃機関の排気浄化システム、および内燃機関の排気浄化方法に関する。
内燃機関の排気に含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する排気浄化装置として、内燃機関の排気通路に還元剤を供給してNOxを還元することが知られている。たとえば、特開2019-108840号公報(特許文献1)には、排気通路に設けた噴射弁から尿素水を噴射し、噴射した尿素水から生成したアンモニアを還元剤として用い、排気中のNOxを還元する選択還元触媒(以下、SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒とも称する)を備えた排気浄化装置が開示されている。この特許文献1に開示された内燃機関の排気浄化装置は、尿素水の供給異常が発生しているか否かの診断を行う異常判定装置を備えている。
特許文献1に開示された排気浄化装置は、尿素水を噴射弁に加圧供給するポンプを備えており、噴射弁の噴射状態におけるポンプの回転速度である噴射時回転速度に基づいて、尿素水の供給異常を判定している。詳細には、噴射弁の噴射停止状態におけるポンプの回転速度である無噴射時回転速度に対する噴射時回転速度の上昇量から、実噴射量を算出し、噴射弁の要求噴射量と実噴射量との差に基づいて、尿素水の供給異常を判定している。
車両の加減速時等、ポンプに加速度が加わると、加速度の影響によりポンプの回転速度が不安定になる。このため、車両の走行時には、特に、噴射弁の噴射停止状態におけるポンプの回転速度である無噴射時回転速度(以下、基準回転速度とも称する)が変動し、実噴射量の算出精度が悪化する場合がある。実噴射量の算出精度が悪化すると、尿素水の供給異常の有無を誤判定する可能性がある。
本開示の目的は、尿素水の供給異常の有無を、精度よく判定することである。
本開示の内燃機関の排気浄化システムは、車両に搭載された内燃機関の排気通路に尿素水を供給し、排気通路に設けられた選択還元触媒で内燃機関から排出されたNOxを浄化する内燃機関の排気浄化システムである。内燃機関の排気浄化システムは、排気通路に尿素水を噴射する添加弁と、回転駆動されることにより、尿素水を添加弁へ吐出するポンプと、ポンプから吐出された尿素水を添加弁に供給する供給通路と、供給通路内の尿素水の圧力を所定圧に制御するポンプ制御手段と、添加弁の指令噴射量を算出する指令噴射量算出手段と、添加弁から噴射される実噴射量を算出する実噴射量算出手段と、指令噴射量と実噴射量とを比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定する異常判定手段と、を備える。実噴射量算出手段は、添加弁の噴射停止時におけるポンプの回転速度である基準回転速度と添加弁の噴射時におけるポンプの回転速度である噴射時回転速度との差に基づいて実噴射量を算出する。異常判定手段は、車両の停車時に実噴射量算出手段で算出した実噴射量と、車両の停車時に指令噴射量算出手段で算出した指令噴射量と、を比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定する。
この構成によれば、供給通路内の尿素水は、添加弁から排気通路に噴射される。ポンプ制御手段は、供給通路内の尿素水の圧力が所定圧になるようポンプを制御する。異常判定手段は、指令噴射量算出手段で算出した添加弁の指令噴射量と、実噴射量算出手段で算出した添加弁から噴射される実噴射量とを比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定する。
添加弁から尿素水が噴射されると、供給通路内の尿素水の圧力が低下する。供給通路内の還元剤の圧力は所定圧に制御されているので、供給通路内の尿素水の圧力が低下するとポンプの回転速度が上昇する。このため、添加弁から噴射された尿素水の量と、ポンプの回転速度の上昇量は相関する。
実噴射量算出手段は、添加弁の噴射停止時におけるポンプの回転速度である基準回転速度と添加弁の噴射時におけるポンプの回転速度である噴射時回転速度との差に基づいて実噴射量を算出する。基準回転速度と噴射時回転速度の差は、ポンプの回転速度の上昇量に相当するので、添加弁から噴射される実噴射量を算出することができる。
車両の走行時、加減速や旋回等により車両に加速度が加わると、ポンプにも加速度が加わる。ポンプに加速度が加わると、添加弁の噴射停止時におけるポンプの回転速度である基準回転速度が変動する。このため、車両の走行時、基準回転速度が変動し、実噴射量の算出精度が悪化する場合がある。実噴射量の算出精度が悪化すると、尿素水の供給異常の有無を誤判定する可能性がある。
異常判定手段は、車両の停車時に実噴射量算出手段で算出した実噴射量と、車両の停車時に指令噴射量算出手段で算出した指令噴射量と、を比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定する。したがって、車両の停車時に算出した実噴射量を用いて、尿素水の供給異常の有無を判定しているので、ポンプに加わる加速度の影響を排除でき、精度よく供給異常の有無を判定できる。
好ましくは、内燃機関の排気浄化システムは、停止条件が成立すると内燃機関を自動停止し、再始動条件が成立すると内燃機関を再始動する自動停止再始動制御手段と、自動停止再始動制御手段によって内燃機関が自動停止したとき、供給通路内の尿素水の回収を行う回収手段と、異常判定手段が尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間、回収手段による尿素水の回収を禁止する回収禁止手段と、をさらに備えてもよい。
この構成によれば、自動停止再始動制御手段は、停止条件が成立すると、内燃機関を自動停止し、CO2(二酸化炭素)の排出を抑制する(燃費の向上を図る)。回収手段は、内燃機関が自動停止したとき、供給通路内の尿素水を回収する。これにより、たとえば、添加弁内の尿素水の温度が上昇して尿素結晶が生成され、添加弁の目詰まりが生じる虞を低減できる。
回収手段によって尿素水の回収を行うと、添加弁から尿素水を噴射できないので、異常判定手段によって尿素水の供給異常の有無を判定できない。回収禁止手段は、内燃機関が自動停止しても、異常判定手段が尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間、回収手段による尿素水の回収を禁止するので、添加弁から尿素水を噴射することが可能になり、尿素水の供給異常の有無を判定することができる。
好ましくは、選択還元触媒に吸着されているアンモニアの量である吸着アンモニア量を算出する吸着量算出手段と、自動停止再始動制御手段によって内燃機関が自動停止している場合、吸着アンモニア量が第1所定値を超えると、添加弁から尿素水の噴射を停止する噴射停止手段と、をさらに備え、自動停止再始動制御手段によって内燃機関が自動停止している場合、指令噴射量算出手段は、吸着アンモニア量が第1所定値を超えるまで、指令噴射量を第2所定値に設定するようにしてもよい。
自動停止再始動手段によって内燃機関が自動停止すると、内燃機関からNOxが排出されない。この状態で、添加弁から尿素水を噴射すると、尿素水から生成されたアンモニアはNOxの還元浄化によって消費されない。選択還元触媒のアンモニア吸着量には限界があるので、余剰のアンモニアが選択還元触媒から放出され、アンモニアが大気に放出されるアンモニアスリップが発生する懸念がある。
指令噴射量算出手段は、内燃機関が自動停止しているとき、吸着アンモニア量が第1所定値を超えるまで、指令噴射量を第2所定値に設定する。これにより、内燃機関が自動停止していても、吸着アンモニア量が第1所定値を超えるまで、第2所定値の噴射量の尿素水が添加弁から噴射され、尿素水の供給異常の有無を判定することができる。噴射停止手段は、内燃機関の自動停止時、吸着アンモニア量が第1所定値を超えると、尿素水の噴射を停止するので、アンモニアスリップを抑止できる。
好ましくは、自動停止再始動制御手段によって内燃機関が自動停止している場合、回収禁止手段は、噴射停止手段によって添加弁から尿素水の噴射が停止されたとき、回収手段による尿素水の回収を許可するようにしてもよい。
この構成によれば、尿素水の供給異常の有無を判定する前に、尿素水の噴射が停止されると、供給通路内の尿素水を回収することが可能になる。
好ましくは、添加弁は、所定の周期で噴射と噴射停止とを繰り返し実行するよう制御される。この場合、実噴射量算出手段は、添加弁の噴射開始前に基準回転速度を取得し、添加弁の噴射開始後に噴射時回転速度を取得するとともに、噴射開始前の基準回転速度に対する噴射開始後の噴射時回転速度の上昇量に基づいて実噴射量を算出し、実噴射量算出手段は、添加弁の噴射開始前に基準回転速度を取得できない場合、前回の周期で取得した基準回転速度を用いて上昇量を求めるようにしてもよい。
この構成によれば、所定の周期で噴射と噴射停止とを繰り返し実行するよう、添加弁が制御される。実噴射量算出手段は、添加弁の噴射開始前の基準回転速度に対する添加弁の噴射開始後の噴射時回転速度の上昇量に基づいて実噴射量を算出する。指令噴射量が大きく噴射期間が長くなると、噴射停止期間が短くなる。噴射停止期間が短くなると、直前の噴射の影響を受けて、噴射開始前の基準回転速度を取得できなくなる場合がある。この場合、実噴射量算出手段は、前回の周期で取得した基準回転速度を用いて上昇量を求めることにより、実噴射量を算出することができる。
本開示の内燃機関の排気浄化方法は、車両に搭載された内燃機関の排気通路に設けられた選択還元触媒と、選択還元触媒の上流の排気通路に尿素水を供給する添加弁と、回転駆動されることにより、尿素水を前記添加弁に供給するポンプと、ポンプから吐出された尿素水を前記添加弁に供給する供給通路と、供給通路内の尿素水の圧力を所定圧に制御するポンプ制御手段と、を備えた内燃機関の排気浄化方法である。内燃機関の排気浄化方法は、添加弁の指令噴射量を算出するステップと、添加弁の噴射停止時におけるポンプの回転速度である基準回転速度と添加弁の噴射時におけるポンプの回転速度である噴射時回転速度との差に基づいて、添加弁から噴射される実噴射量を算出するステップと、車両の停車時に算出した実噴射量と、車両の停車時に算出した指令噴射量と、を比較することにより尿素水の供給異常の有無を判定するステップと、を含む。
この方法によれば、添加弁から噴射される実噴射量は、添加弁の噴射停止時におけるポンプの回転速度である基準回転速度と添加弁の噴射時におけるポンプの回転速度である噴射時回転速度との差に基づいて算出される。そして、尿素水の供給異常の有無が、車両の停車時に算出した実噴射量と、車両の停車時に算出した指令噴射量と、を比較することにより判定される。したがって、車両の停車時に算出した実噴射量を用いて、尿素水の供給異常の有無を判定しているので、ポンプに加わる加速度の影響を排除でき、精度よく供給異常の有無を判定できる。
好ましくは、内燃機関は、停止条件が成立すると内燃機関を自動停止し、再始動条件が成立すると内燃機関を再始動する自動停止再始動制御手段を、さらに備え、内燃機関の排気浄化方法は、停止条件が成立し内燃機関が自動停止したとき、供給通路内の尿素水の回収を行うステップと、車両の停車時、尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間、尿素水の回収を禁止するステップと、をさらに含んでもよい。
この方法によれば、内燃機関が自動停止しても、尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間、尿素水の回収が禁止されるので、添加弁から尿素水を噴射することが可能になり、尿素水の供給異常の有無を判定することができる。
本開示によれば、尿素水の供給異常の有無を、精度よく判定することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態に係る内燃機関の排気浄化システムを搭載した車両1の全体構成図である。図1において、車両1は、内燃機関10と、トルクコンバータ付き自動変速機3と、ディファレンシャルギヤ5と、駆動輪7とを備える。内燃機関10は、圧縮自己着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)であり、内燃機関本体のシリンダ(気筒)に形成された燃焼室に、燃料噴射弁(インジェクター)から燃料を噴射し、圧縮自己着火を行う内燃機関である。内燃機関10から出力された動力は、自動変速機3およびディファレンシャルギヤ5を介して駆動輪7に伝達される。
内燃機関10の燃焼室から排出される排気(排気ガス)は、排気マニホールドに集められ、排気通路20を介して、外気に放出される。排気通路20には、排気浄化システム2が設けられており、上流側から、酸化触媒22、DPF(Diesel Particulate Filter)24、選択還元触媒26(以下、SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒26とも称する)、酸化触媒28が設けられている。酸化触媒22は、排気中の一酸化炭素(CO)を二酸化炭素(CO2)に酸化し、排気中の炭化水素(HC)を水(H2O)とCO2に酸化する。また、排気中の一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO2)に酸化する。これは、窒素酸化物(NOx)の還元反応は、NOとNO2が1:1の比率のとき、反応速度が速いため、ディーゼル内燃機関の排気中にはNOが多く含まれているため、排気中のNOをNO2に酸化して、NOとNO2の比を1:1に近づけるためである。
DPF24は、排気中の微粒子を捕集し、捕集した微粒子を適宜燃焼除去することにより、浄化する。SCR触媒26は、排気中のNOxを還元浄化する。SCR触媒26は、たとえば、セラミック担体に銅(Cu)イオン交換ゼオライトを触媒として担持したものであり、アンモニア(NH3)を還元剤として用いることにより、高い浄化率を示すものである。還元剤として利用するアンモニアは、SCR触媒26の上流の排気通路20に供給した尿素水を加水分解することにより生成する。SCR触媒26の上流の排気通路には、尿素添加弁(尿素水噴射インジェクター)30が設けられ、尿素水タンク40からポンプ41によって圧送される尿素水を、尿素添加弁30から、SCR触媒26の上流の排気通路20に噴射する。酸化触媒28は、SCR触媒26から排出された(スリップした)アンモニアを酸化して浄化する。
図1において、尿素水タンク40には、所定の濃度の尿素水が貯留されている。尿素水タンク40に貯留された尿素水は、ポンプ41によって、供給通路42を介して尿素添加弁30に圧送される。
ポンプ41は、たとえば、電動モータ(図示しない)によって回転駆動される外接歯車ポンプであり、その歯車の回転速度に応じて、尿素水タンク40内の尿素水を供給通路42へ吐出する。ポンプ41には、回転速度センサ45が設けられている。回転速度センサ45は、単位時間当たりのポンプの回転数であるポンプ回転速度Nを検出する。なお、三相ブラシレスモータのように、各相コイルに発生する誘起電圧(逆起電圧)を用いてモータの回転速度を検出している場合には、センサレスでポンプ回転速度Nを検出することができる。ポンプ41は、回転駆動されて尿素水を吐出するものであればよく、たとえば、ベーンポンプであってもよい。
ポンプ41から吐出された尿素水を尿素添加弁30に供給する供給通路42には、圧力センサ46が設けられており、供給通路42内の尿素水の圧力(尿素水圧力)Pを検出する。供給通路42には、リターン通路43が連通している。リターン通路43はポンプ41から吐出された余剰の尿素水を尿素水タンク40に戻す。リターン通路43と尿素水タンク40の接続部には、逆止弁44が設けられており、尿素水タンク40の尿素水がリターン通路43に逆流することが抑止される。逆止弁44は、供給通路42内の尿素水圧力Pが所定圧より高くなると開弁し、リターン通路43を介して、余剰の尿素水を尿素水タンク40へ戻す。
尿素添加弁30は、たとえば、ニードルタイプの噴射弁であり、電磁ソレノイド等からなる駆動部と、噴射口を開閉するためのニードルを有する弁体部とを備えた電磁式開閉弁として構成されている。添加弁開弁指示信号に基づいて、電磁ソレノイドが通電されると、ニードルが開放方向に移動し、ニードルの移動によって噴射口が開放されて尿素水が噴射される。
水位センサ47は、たとえば、尿素水タンク40の底面に設けられており、超音波を水面(液面)に向かって照射し、水面で反射した反射波の伝搬時間を用いて、尿素水タンク40に貯留された尿素水の水位を検出する。
排気浄化システム2は、制御装置として、E/G-ECU(Electronic Control Unit)100を備える。E/G-ECU100は、CPU(Central Processing Unit)101、処理プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等からなるメモリ102、各種信号を入出力するための入出力ポート(図示せず)等を含み、メモリ102に記憶された情報、回転速度センサ45、圧力センサ46、水位センサ47、車速センサ61、冷却水温センサ62、ブレーキセンサ63、アクセル開度センサ64、エンジン回転速度センサ65、等の各種センサからの情報に基づいて、所定の演算処理を実行する。そして、E/G-ECU100は、演算処理の結果に基づいて、尿素添加弁30、ポンプ41、および内燃機関10等を制御する。なお、車速センサ61は車両1の車速(車体速度)SPDを検出し、冷却水温センサ62は内燃機関10の冷却水温度THWを検出し、ブレーキセンサ63はブレーキペダルの踏み込み量BAを検出し、アクセル開度センサ64はアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)APを検出し、エンジン回転速度センサ65は内燃機関10の回転速度NEを検出する。
HMI装置50は、車両1の運転を支援するための情報をユーザに提供する装置である。HMI装置50は、代表的には、車室内に設けられたディスプレイであり、スピーカ等も含む。HMI装置50は、視覚情報(図形情報、文字情報)や聴覚情報(音声情報、音情報)等を出力することによって様々な情報をユーザに提供する。
図2は、尿素添加弁30の尿素水噴射時における、ポンプ41のポンプ回転速度Nと供給通路42内の尿素水圧力Pの推移を示した図である。図2において、上段は尿素添加弁30の開閉指示(添加弁開閉指示)を示し、中段はポンプ41のポンプ回転速度Nを示し、下段は供給通路42内の尿素水圧力Pを示している。横軸は、時間を表す。
本実施の形態において、尿素添加弁30は、所定の周期で噴射と噴射停止とを繰り返し実行するよう制御される。図2の上段に示すように、添加弁開閉指示は、ON指示とOFF指示の2値からなる信号である。ON指示では、尿素添加弁30が開弁され、尿素水が噴射される。OFF指示では、尿素添加弁30が閉弁して、噴射が停止される。図2において、TはON指示とOFF指示が繰り返される周期であり、周期T毎に、尿素水の噴射と噴射停止が繰り返される。ON指示の期間を噴射期間Tpと称し、OFF指示の期間を噴射停止期間Tsと称する。
添加弁開閉指示がON指示となり、尿素添加弁30から尿素水が噴射されると、噴射に伴い供給通路42内の尿素水圧力Pが低下する。ポンプ41は、尿素水圧力Pが所定圧(基準圧)P0になるよう、フィードバック制御されている。噴射に伴う尿素水圧力Pの低下を補うため、ポンプ41から吐出される尿素水量が増加し、これに伴いポンプ41のポンプ回転速度Nが上昇し、尿素水圧力Pが基準圧P0に制御される。
供給通路42内の尿素水圧力Pが基準圧P0にフィードバック制御されるので、尿素水の噴射が停止しているとき、ポンプ回転速度Nは基準回転速度N0に制御される。したがって、噴射時のポンプ回転速度Nの上昇量ΔN(基準回転速度N0と噴射時のポンプ回転速度Nの差)は、尿素添加弁30から噴射された尿素水量と相関し、上昇量ΔNの積算値(基準回転速度N0とポンプ回転速度Nに囲まれた面積)は、尿素添加弁30から噴射された尿素水量に相当する。
尿素添加弁30が目詰等により、尿素水の供給異常(噴射異常)が生じる可能性がある。このため、尿素水の供給異常を判定することが望ましい。本実施の形態では、ポンプ回転速度Nの上昇量ΔN(基準回転速度N0と噴射時のポンプ回転速度Nの差)に基づいて、尿素添加弁30から噴射された実噴射量Qpを算出することにより、尿素水の供給異常の有無を判定する。
図3は、車両1に加わる加速度とポンプ回転速度Nの関係を示した図である。図3において、上段は添加弁開閉指示であり、ON指示とOFF指示が周期T毎に繰り返される。中段は車両1に加わる前後加速度(前後G)であり、下段はポンプ回転速度Nである。横軸は、時間を表している。停車中(あるいは、定速走行中)の車両1において、時刻t1にアクセルペダルを踏み込み発進(加速)を開始すると、中段に示すように、前後加速度(前後G)が立ち上がる(前加速度が大きくなる)。車両1に加速度が加わると、ポンプ41にも加速度が加わる。ポンプ41に加速度が加わると、ポンプ回転速度Nと吐出量の関係が変化する。このため、車両1に加わる(ポンプ41に加わる)加速度の影響を受け、噴射停止時のポンプ回転速度N(基準回転速度)が変動する。図3に示す例では、時刻t1で車両1の加速が開始されると、噴射停止時のポンプ回転速度N(基準回転速度)がN0から下降している。加速に伴い基準回転速度が変動した際に、基準回転速度を更新できず、停車中(あるいは、定速走行中)の基準回転速度N0を用いて、ポンプ回転速度Nの上昇量ΔNを算出する場合がある。このため、車両1の加速時には、図3に斜線で示した領域分だけ、実噴射量Qpが少なく算出され、実噴射量Qpの算出精度が悪化する場合がある。この結果、車両1の走行中は、尿素水の供給異常の有無を誤判定する可能性がある。
本実施形態では、車両1の停車時に算出した実噴射量Qpを用いて、尿素水の供給異常の有無を判定することにより、車両1に加わる加速度の影響を排除し、尿素水の供給異常の有無を精度よく判定する。
図4は、本実施の形態における機能ブロックを示す図である。各機能ブロックは、各種センサ、内燃機関10、ポンプ41、およびE/G-ECU100、等によって構成され、メモリ102に記憶されたプログラムによって達成される。
ポンプ制御手段110は、圧力センサ46で検出した尿素水圧力Pが基準圧P0になるようポンプ41の回転速度を制御する。尿素水圧力Pが基準圧P0より低いとき、電動モータの駆動電流を増加してポンプ回転速度Nを増大し、尿素水圧力Pが基準圧P0より高いとき、電動モータの駆動電流を減少してポンプ回転速度Nを減少する。これにより、尿素水圧力Pが基準圧P0にフィードバック制御されるので、尿素添加弁30から尿素水が噴射され尿素水圧力Pが低下すると、尿素水圧力Pの低下を補うため、ポンプ41から吐出される尿素水量が増加し、ポンプ41のポンプ回転速度Nが上昇する。
自動停止再始動制御手段120は、所定の停止条件が成立すると、燃料噴射弁からの燃料噴射を停止して内燃機関10を自動停止し、所定の再始動条件が成立するとスタータモータ11を駆動して内燃機関10の再始動を行う、所謂、アイドリングストップ制御を行う。
指令噴射量算出手段130は、内燃機関10の作動時、尿素添加弁30から噴射される尿素水の量が内燃機関10から排出されるNOx量に応じた値になるよう、指令噴射量Qoを算出する。内燃機関10の自動停止時、指令噴射量算出手段130は、SCR触媒26の吸着アンモニア量が所定値bを超えるまで、指令噴射量Qoを所定値Qcに設定する。また、指令噴射量算出手段130は、尿素添加弁30から噴射される尿素水の量が、指令噴射量Qoになるよう、尿素添加弁30の噴射期間Tpを算出する。
実噴射量算出手段140は、ポンプ回転速度Nを用いて、尿素添加弁30から実際に噴射された尿素水の量である実噴射量Qpを算出する。異常判定手段150は、指令噴射量Qoと実噴射量Qpを比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定する。
回収手段160は、自動停止再始動制御手段120によって、内燃機関10が自動停止すると、ポンプ41を逆回転することにより、供給通路42内の尿素水を吸い戻し、供給通路42内の尿素水を尿素水タンク40へ回収する。尿素添加弁30内の尿素水が尿素水タンク40へ回収されるので、尿素添加弁30内の尿素水の温度が上昇して尿素結晶が生成され、尿素添加弁30の目詰まりが生じる虞を低減する。
回収禁止手段170は、異常判定手段150によって、尿素水の供給異常の有無を判定するまでは、回収手段160による尿素水の回収を禁止する。これにより、内燃機関10の自動停止時であっても、回収手段160によって尿素水の回収を禁止している間は、尿素添加弁30から尿素水を噴射することが可能になり、尿素水の供給異常の有無を判定することが可能になる。また、回収禁止手段170は、噴射停止手段190によって尿素添加弁30から尿素水の噴射が停止されたとき、回収手段160による尿素水の回収を許可する。
吸着量算出手段180は、SCR触媒26に吸着されている吸着アンモニア量を算出する。噴射停止手段190は、内燃機関10の自動停止時、吸着アンモニア量が所定値bを超えると、尿素添加弁30から尿素水の噴射を停止する。
図5は、E/G-ECU100で実行される、自動停止再始動制御の処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、車両1の動作中(イグニッションスイッチがオンされてから、イグニッションスイッチがオフされるまで)に、所定期間毎に繰り返し処理される。ステップ(以下、ステップをSと略す)10において、停止条件が成立しているか否かを判定する。たとえば、「車速SPDが所定値s以下」、「冷却水温THWが所定値tw以上」、および「ブレーキ踏み込み量BAが所定値f以上」の全ての条件が成立したときに、停止条件が成立したと判定する。所定値sは、車両1がほぼ停車状態であると見做せる値であり、たとえば、3km/hであってよい。所定値twは、内燃機関10の暖機が完了したと見做せる値であり、たとえば、80℃であってよい。所定値fは、ブレーキペダルが踏み込まれていることを検知できる値であればよく、「ブレーキ踏み込み量BAが所定値f以上」を「ブレーキスイッチがオン」に代えてもよい。
停止条件が成立していると、S10において肯定判定され、S11へ進む。S11では、燃料噴射を停止して内燃機関10を自動停止し、S12へ進む。S12では、フラグFiを1に設定し、今回のルーチンを終了する。
S10において、「車速SPDが所定値s以下」、「冷却水温THWが所定値tw以上」、あるいは「ブレーキ踏み込み量BAが所定値f以上」のいずれかの条件が不正立であると、否定判定されS13へ進む。S13では、フラグFiが1であるか否かを判定し、フラグF1が1であり肯定判定されると、S14へ進む。S14では、スタータモータ11を用いて内燃機関10をクランキングして再始動を行う。このように、本実施の形態では、内燃機関10が自動停止しているとき(フラグFiが1に設定されているとき)、停止条件が不成立の場合、再始動条件が成立し、内燃機関10の再始動を行う。S14に続くS15では、フラグFiを0に設定するとともにフラグFsを0に設定し、今回のルーチンを終了する。
S13で否定判定された場合、内燃機関10は作動中であるので、今回のルーチンを終了する。以上のように、自動停止再始動制御では、停止条件が成立すると、内燃機関10が自動停止し、CO2(二酸化炭素)の排出を抑制する(燃費の向上を図る)ことができる。
図6は、E/G-ECU100で実行される、指令噴射量算出制御の処理を示すフローチャートである。このフローチャートも、車両1の動作中に、所定期間毎に繰り返し処理される。S20において、フラグFiが1であるか否かを判定する。フラグFiが0であり、内燃機関10が自動停止していない場合(内燃機関10が作動中の場合)には、S20において否定判定され、S21へ進む。
S21では、内燃機関10の燃料噴射量Fqとエンジン回転速度NE等をパラメータとしたマップを用いて、内燃機関10から排出されるNOx量(排出NOx量)を算出する。燃料噴射量Fqは、アクセル開度APとエンジン回転速度NEに基づいて決定される。なお、排気通路20に設けたNOx濃度センサにより、内燃機関10から排出されるNOx量を検出するようにしてもよい。
続くS22では、S21で算出した排出NOx量に基づいて、尿素水の指令噴射量Qoを算出し、S27へ進む。指令噴射量Qoは、内燃機関10から排出されるNOxの全てを還元するのに必要な尿素水の量として決定される。
S20において、内燃機関10が自動停止していると、フラグFiは1に設定されているので、肯定判定されS23へ進む。S23では、フラグFcが1であるか否かを判定する。フラグFcは、後述する噴射停止制御で設定されるフラグであり、フラグFcが1に設定されているとき、尿素添加弁30から尿素水の噴射を停止する。フラグFcが0の場合、S23で否定判定されS24へ進む。
S24では、フラグFsが1であるか否かを判定する。フラグFsは、後述する実噴射量/異常判定制御で設定されるフラグであり、フラグFsが1に設定されているとき、供給通路42から尿素水の回収が禁止される。フラグFsが1であり、尿素水の回収が禁止されているとき、S24で肯定判定されS25へ進む。
S25では、指令噴射量Qoを所定値Qcに設定する。所定値Qcは、尿素水の供給異常の有無を精度良く判定可能な尿素水の噴射量であり、可能な限り小さな値として設定され、予め実験等によって設定される。なお、所定値Qcは、本開示の「第2所定値」に相当する。S25の次はS27へ進む。
フラグFcが1に設定されており、S23で肯定判定されたとき、および、フラグFsが0に設定されており、S24で否定判定されたとき、S26へ進む。S26では、指令噴射量Qoを0に設定したあと、S27へ進む。
S27では、尿素添加弁30から噴射される尿素水の量が、指令噴射量Qoになるよう、尿素添加弁30の噴射期間Tpを算出し、今回のルーチンを終了する。噴射期間Tpの間、添加弁開閉指示がON指示になることにより、尿素添加弁30から、指令噴射量Qoの尿素水が噴射される。周期Tの残りの期間(噴射期間Tpでない期間)は、噴射停止期間Tsとされ、添加弁開閉指示はOFF指示になる。なお、指令噴射量Qoが0の場合、噴射期間Tpは0に設定され、尿素水の噴射は停止する。
図7は、E/G-ECU100で実行される、実噴射量算出/異常判定制御の処理を示すフローチャートである。このフローチャートも、車両1の動作中に、所定期間毎に繰り返し処理される。S30では、車速SPDが所定値s以下であり、車両1が停車状態であるか否かを判定する。本実施の形態では、S30において、自動停止再始動制御と同様に、所定値sを用いて車両1が停車状態であることを判定しているが、車速SPD=0の状態が所定時間継続したとき、車両1が停車状態であると判定するようにしてもよい。車両1が走行中であるとき、S30で否定判定され、今回のルーチンを終了する。
車両1が停車状態であり、S30で肯定判定されるとS31へ進む。S31では、添加弁開閉指示がON指示であるか否かを判定する。OFF指示(噴射停止期間Ts)である場合は、否定判定され、S32へ進む。
S32では、回転速度センサ45で検出したポンプ回転速度Nに基づいて、噴射停止時回転速度Nsを取得する。図2に示すように、車両1が停車しており加速度が加わっていない場合、添加弁開閉指示がOFF指示(噴射停止期間Ts)におけるポンプ回転速度Nは、基準回転速度N0であるが、応答遅れに起因して、直前の噴射により基準回転速度N0から変動している場合がある。このため、今回の噴射停止期間Tsの直前に尿素水の噴射を行っている場合は、噴射停止期間Tsの開始から(噴射期間Tpの終了から)所定期間Td経過後に、ポンプ回転速度Nを取得する。なお、今回の噴射停止期間Tsの直前に尿素水の噴射を行っていない場合、ポンプ回転速度Nを取得するタイミングは、噴射停止期間Ts内であればよい。以下、噴射停止期間Ts内、あるいは、噴射停止期間Tsの開始から所定期間Td経過後に取得したポンプ回転速度Nを、噴射停止時回転速度Nsと称する。噴射停止時回転速度Nsは、尿素添加弁30の噴射停止時におけるポンプ41のポンプ回転速度Nであり、本開示の「基準回転速度」に相当する。
続くS33では、S32で噴射停止時回転速度Nsを取得できたか否かを判定する。尿素添加弁30から噴射される尿素水量が多くなり、噴射期間Tpが長くなると、噴射停止期間Tsの開始から所定期間Td経過後には、次回の噴射が開始されており、噴射停止時回転速度Nsを取得できない場合がある、この場合は、S33において、否定判定されS34へ進む。S32で噴射停止時回転速度Nsを取得でいている場合は、肯定判定され今回のルーチンを終了する。
S34において、前回のルーチンで算出した噴射停止時回転速度Ns(前回値)を今回の噴射停止時回転速度Nsとして、今回のルーチンを終了する。なお、前回のルーチンのS32においても、噴射停止時回転速度Nsを取得できていない場合は、前々回のルーチンで算出した噴射停止時回転速度Ns(前々回値)を今回の噴射停止時回転速度Nsとして、今回のルーチンを終了する。このように、S34においては、今回のルーチンで噴射停止時回転速度Nsを取得できない場合に、取得済みの噴射停止時回転速度Nsのうち最新の値を、今回の噴射停止時回転速度Nsとする。
S31において、添加弁開閉指示がON指示(噴射期間Tp)である場合は、肯定判定されS35へ進む。S35では、噴射停止時回転速度Nsと尿素水噴射時のポンプ回転速度Nの差に基づいて、尿素水噴射に伴うポンプ回転速度Nの上昇量ΔNを算出する。図2に示すように、尿素添加弁30から尿素水が噴射されると、噴射期間Tpの終了から所定期間Tdが経過するまで、ポンプ回転速度Nが上昇する。噴射期間Tpと所定期間Tdを併せた期間を計算期間Tcと称する。本実施の形態では、計算期間Tcに亘ってポンプ回転速度Nを取得する。計算期間Tcに亘って取得したポンプ回転速度Nを、噴射時回転速度と称する。そして、取得した噴射時回転速度から、S32において、今回の噴射期間Tpの前の噴射区間において取得した噴射停止時回転速度Nsを差し引く(減算する)ことにより、計算期間Tcに亘って上昇量ΔNを算出する。たとえば、今回の噴射期間Tpが噴射区間i+1(図3参照)である場合は、噴射区間i+1の噴射時回転速度から、噴射区間iの噴射停止時回転速度Nsを減算することにより、上昇量ΔNを算出する。(なお、S32において、噴射停止時回転速度Nsが取得できない場合は、S34で設定した、取得済みの噴射停止時回転速度Nsのうち最新の値を、噴射区間i+1の噴射時回転速度から、減算することにより、上昇量ΔNを算出する。)
続くS36では、計算期間Tcに亘って算出した上昇量ΔNに基づいて、実噴射量Qpを算出する。図8は、上昇量積算値ΣΔNと実噴射量Qpの換算マップである。上昇量積算値ΣΔNは上昇量ΔNの積算値であり、計算期間Tcにおいて、噴射停止時回転速度Nsとポンプ回転速度Nに囲まれた面積の大きさである。S36では、計算期間Tcに亘って算出した上昇量ΔNを積算して上昇量積算値ΣΔNを算出し、算出した上昇量積算値ΣΔNを、図8の換算マップを用いて実噴射量Qpに換算し、実噴射量Qpを算出する。
続くS36では、計算期間Tcに亘って算出した上昇量ΔNに基づいて、実噴射量Qpを算出する。図8は、上昇量積算値ΣΔNと実噴射量Qpの換算マップである。上昇量積算値ΣΔNは上昇量ΔNの積算値であり、計算期間Tcにおいて、噴射停止時回転速度Nsとポンプ回転速度Nに囲まれた面積の大きさである。S36では、計算期間Tcに亘って算出した上昇量ΔNを積算して上昇量積算値ΣΔNを算出し、算出した上昇量積算値ΣΔNを、図8の換算マップを用いて実噴射量Qpに換算し、実噴射量Qpを算出する。
続くS37で、実噴射量Qpを算出した回数を示すカウンタCtをインクリメントしたあと、S38へ進む。S38では、カウンタCtの値が所定値α以上であるか否かを判定する。所定値αは、尿素添加弁30の供給異常を適正に判定するために、実噴射量Qpを積算する計算期間Tcの数であり、たとえば、本実施の形態では「30」に設定している。カウンタCtの値が所定値α未満であり、S38で否定判定されると、S39で、フラグFsを1に設定したあと、今回のルーチンを終了する。カウンタCtの値が所定値α以上であり、S38で肯定判定されると、S40へ進む。
S40では、積算実噴射量ΣQpと積算指令噴射量ΣQoを算出する。積算実噴射量ΣQpは、カウンタCtが1から所定値αになるまで、S36で算出された(α個の)実噴射量Qpを積算したものである。同様に、積算指令噴射量ΣQoは、カウンタCtが1から所定値αになるまで、図6のS22およびS25で算出された(α個の)指令噴射量Qoを積算したものである。
続くS41では、積算実噴射量ΣQpと積算指令噴射量ΣQoとの差の絶対値である噴射量差Dc(Dc=|ΣQp-ΣQo|)を算出したあと、S42に進み、カウンタCtを0にリセットする。
続くS43では、噴射量差Dcが異常判定閾値β以上か否かを判定する。異常判定閾値βは、尿素添加弁30から供給(噴射)される尿素水の供給量に、尿素添加弁30の経年変化以上の許容できない変化が生じているか否かを判定する閾値である。たとえば、異常判定閾値βは、積算指令噴射量ΣQoの1/4に相当する値であってよい。噴射量差Dcが異常判定閾値β未満の場合は、尿素添加弁30の供給異常は発生していないので、S43で否定判定され、S44に進み、正常判定を行ったあと、S46へ進む。
噴射量差Dcが異常判定閾値β以上の場合は、尿素水の供給異常(噴射異常)が発生しているので、S43で肯定判定され、S45に進む。S45では、異常判定を行い、たとえば、HMI装置50のディスプレイに、尿素水の供給異常である旨を表示したあと、S46へ進む。
S46では、フラグFsを0に設定し今回のルーチンを終了する。フラグFsは、尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間、S39で、1に設定される。フラグFsは、尿素水の供給異常の有無の判定が終了すると、S46で、0に設定される。
図9は、E/G-ECU100において実行される、回収制御の処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、車両1の動作中に、所定期間毎に繰り返し処理される。S50において、フラグFiが1であるか否かを判定する。フラグFiが0のときは、内燃機関10が自動停止していないので、供給通路42内の尿素水の吸い戻しは不要であり、今回のルーチンを終了する。フラグFiが1であり、内燃機関10が自動停止している場合は、S50で肯定判定されS51へ進む。
S51では、フラグFcが1であるか否かを判定する。フラグFcが1であり、尿素添加弁30から尿素水の噴射が停止している場合、S51で肯定判定され、S52へ進んで、供給通路42内の尿素水を回収する。フラグFcが0であり、後述する噴射停止制御で尿素水の噴射が停止していない場合、S51で否定判定され、S53へ進む。
S53では、フラグFsが1であるか否かを判定する。フラグFsが0の場合、尿素水の供給異常の有無を判定済みであるので、S553で否定判定され、S52へ進んで、供給通路42内の尿素水を回収する。フラグFsが1の場合、尿素水の供給異常の有無を判定中であるので、S53で肯定判定され、尿素水の回収を行うことなく、今回のルーチンを終了する。
S52では、ポンプ41を所定時間逆回転することにより、供給通路42内の尿素水を吸い戻すことにより、供給通路42内の尿素水を尿素水タンク40に回収する。この際、尿素添加弁30を開弁することが望ましい。ポンプ41を所定時間逆回転して尿素水を回収し、ポンプ41を停止したあと、今回のルーチンを終了する。
図10は、E/G-ECU100において実行される、吸着量算出制御の処理を示すフローチャートである。このフローチャートも、車両1の動作中に、所定期間毎に繰り返し処理される。この吸着量算出制御では、SCR触媒26に吸着されているアンモニアの量(吸着アンモニア量)Qを算出する。S60では、前回、このルーチンが処理されてから、今回のルーチンが開始されるまでの間に、内燃機関10から排出されたNOx量ΣNOxを算出する。たとえば、図6のS21で算出した排出NOx量を積算することより、NOx量ΣNOxを算出する。
S61では、前回、このルーチンが処理されてから、今回のルーチンが開始されるまでの間に、生成されたアンモニア量Σuを算出する。たとえば、この間に尿素添加弁30から排気通路20に供給された尿素水の量から、アンモニア量Σuを算出する。
続くS62では、吸着アンモニア量Uを「U=U(n-1)+Σu-(k*ΣNOx)」として算出する。U(n-1)は、吸着アンモニア量Uの前回値であり、kはアンモニアとNOxの反応における当量比から求めた係数である。
S63では、S62で算出した吸着アンモニア量Uが、アンモニア吸着可能量Ua以下か否かを判定する。アンモニア吸着可能量Uaは、SCR触媒26の温度が高いほど小さな値になり、たとえば、SCR触媒26の温度をパラメータとしたマップを予め実験等で求めておき、メモリ102に記憶しておく。そして、SCR触媒26の温度を用いて、マップ検索することにより、アンモニア吸着可能量Uaを求める。吸着アンモニア量Uがアンモニア吸着可能量Uaより大きい場合、否定判定されS64へ進み、吸着アンモニア量Uをアンモニア吸着可能量Uaとして、S65へ進む。S63で、吸着アンモニア量Uがアンモニア吸着可能量Ua以下の場合は、肯定判定されS65へ進む。
S65では、今回算出した吸着アンモニア量Uを、前回値U(n-1)としてメモリに記憶し、今回のルーチンを終了する。
図11は、E/G-ECU100で実行される、噴射停止制御の処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、車両1の動作中に、所定期間毎に繰り返し処理される。S70で、フラグFiが1であるか否かを判定する。内燃機関10が自動停止しており、フラグFiが1のとき、肯定判定されS71へ進む。
S71では、図10の吸着量算出制御で算出した、吸着アンモニア量Uが所定値b以上であるか否かを判定する。所定値bは、SCR触媒26のアンモニア吸着可能量Uaより小さい値であり、たとえば、b=Ua*0.9であってもよい。吸着アンモニア量が所定値b以上のとき、S72で肯定判定され、S72に進んでフラグFcを1に設定したあと、今回のルーチンを終了する。このフラグFcが1に設定されると、図6のS23で肯定判定され、S26で指令噴射量Qoが0に設定されることにより、尿素水の噴射が停止される。なお、所定値bが、本開示の「第1所定値」に相当する。
フラグFiが0であり、内燃機関10が自動停止していない場合にはS70で否定判定され、S73へ進む。また、吸着アンモニア量Uが所定値b未満のときには、S71で否定判定され、S73に進む。S73では、フラグFcを0に設定したあと、今回のルーチンを終了する。
本実施の形態では、車両1の停車時に、噴射停止時回転速度Ns(基準回転速度)と噴射時のポンプ回転速度Nの差に基づいて、尿素水噴射に伴うポンプ回転速度Nの上昇量ΔNを算出し、実噴射量Qpを求めている(図7のS30~S37)。そして、車両1の停車時に算出した実噴射量Qpと、車両1の停車時に算出した指令噴射量Qoと、を比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定している(S40~S45)。車両1の停車時に算出した実噴射量Qpを用いて、尿素水の供給異常の有無を判定しているので、ポンプ41に加わる加速度の影響を排除でき、精度よく供給異常の有無を判定できる。
本実施の形態では、内燃機関10が自動停止すると(図9のS50で肯定判定されると)、供給通路42内の尿素水を回収する(S52)。供給通路42内の尿素水を回収すると、尿素添加弁30から尿素水を噴射できないので、尿素水の供給異常の有無を判定できない。本実施の形態では、内燃機関10が自動停止しても(図6のS20で肯定判定されても)、吸着アンモニア量Uが所定値b未満であれば(フラグFcが0に設定されていれば)、尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間(図7のS39で、フラグFsが1に設定されている間)、指令噴射量Qoが所定値Qcに設定され(図6のS25)、尿素添加弁30から尿素水が噴射されるとともに、供給通路42内の尿素水の回収が禁止される(図9のS53で肯定判定される)。これにより、内燃機関10の自動停止時であっても、尿素水の供給異常の有無を判定できる。また、内燃機関10の自動停止を、供給異常の有無の判定が終了するまで、禁止する場合に比較して、CO2(二酸化炭素)の排出をより抑制することができる。(燃費の向上を図ることができる。)
本実施の形態では、内燃機関10が自動停止しているとき、SCR触媒26の吸着アンモニア量Uが所定値b以上になるまで、フラグFcが0に設定され(図11のS73)、尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間(図7のS39で、フラグFsが1に設定されている間)、指令噴射量Qoが所定値Qcに設定され(図6のS25)、尿素添加弁30から尿素水が噴射される。しかし、SCR触媒26の吸着アンモニア量Uが所定値b以上になり、フラグFcが1に設定されると(図11のS72)、指令噴射量Qoが0に設定され、尿素水の噴射を停止する(図6のS26)。これにより、SCR触媒26からアンモニアが放出され、アンモニアスリップが発生することを抑制することができる。
本実施の形態では、内燃機関10が自動停止しているとき、SCR触媒26の吸着アンモニア量Uが所定値b以上になるまで、フラグFcが0に設定され(図11のS73)、尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間(図7のS39で、フラグFsが1に設定されている間)、指令噴射量Qoが所定値Qcに設定され(図6のS25)、尿素添加弁30から尿素水が噴射される。しかし、SCR触媒26の吸着アンモニア量Uが所定値b以上になり、フラグFcが1に設定されると(図11のS72)、指令噴射量Qoが0に設定され、尿素水の噴射を停止する(図6のS26)。これにより、SCR触媒26からアンモニアが放出され、アンモニアスリップが発生することを抑制することができる。
本実施の形態では、SCR触媒26の吸着アンモニア量Uが所定値b以上になり、フラグFcが1に設定されると(図11のS72)、指令噴射量Qoが0に設定され、尿素水の噴射を停止する(図6のS26)。そして、フラグFcが1に設定されると、供給通路42から尿素水が回収される(図9のS51で肯定判定)。これにより、内燃機関10が自動停止し、フラグFcが1に設定され尿素水の噴射が停止すると、尿素水の供給異常の有無の判定に係わらず、供給通路42から尿素水を回収することができる。
本実施の形態では、尿素添加弁30は、所定の周期Tで噴射と噴射停止とを繰り返し実行するよう制御される。実噴射量Qpは、噴射開始前に取得した噴射停止時回転速度Ns(基準回転速度)に対する噴射開始後のポンプ回転速度Nの上昇量ΔNに基づいて算出される。尿素添加弁30の噴射開始前に噴射停止時回転速度Nsを取得できない場合、前回の周期で取得した噴射停止時回転速度Nsを用いて上昇量ΔNを求めているので(図7のS33、S34)、指令噴射量Qoが大きく、噴射停止期間Tsが短い場合であっても、実噴射量Qpを算出することができる。
本実施の形態では、複数の噴射における指令噴射量Qoの積算値ΣQoと、複数の噴射における実噴射量Qpの積算値ΣQpとの差に基づいて、尿素水の供給異常の有無を判定している(図7のS40~S45)。したがって、指令噴射量Qoおよび実噴射量Qpの値が小さくても、尿素水の供給異常の有無を精度よく判定することが可能になる。
本実施の形態において、図5のS10、S11、およびS14の処理が、自動停止再始動制御手段120に相当する。図6のS20~S27の処理が指令噴射量算出手段130に相当し、図7のS31~S36が実噴射量算出手段140に相当する。図7のS40~S45が異常判定手段150に相当する。図9のS50およびS52が回収手段160に相当し、図7のS39の処理(フラグFsを1に設定する処理)および図9のS51におおいて肯定判定する処理(尿素水の回収を許可する処理)が、回収禁止手段170に相当する。また、図10のS60~S64の処理が吸着量算出手段180に相当し、図11のS72の処理(フラグFcを1に設定する処理)が噴射停止手段190に相当する。
(変形例)
本実施の形態では、実噴射量Qpを算出した回数を示すカウンタCtの値が所定値α以上になったとき、積算実噴射量ΣQpと積算指令噴射量ΣQoを算出し、噴射量差Dc(Dc=|ΣQp-ΣQo|)を求めている。しかし、カウンタCtを用いることなく、また、噴射量差Dcを求めることなく、積算実噴射量ΣQpと積算指令噴射量ΣQoを比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定してもよい。
本実施の形態では、実噴射量Qpを算出した回数を示すカウンタCtの値が所定値α以上になったとき、積算実噴射量ΣQpと積算指令噴射量ΣQoを算出し、噴射量差Dc(Dc=|ΣQp-ΣQo|)を求めている。しかし、カウンタCtを用いることなく、また、噴射量差Dcを求めることなく、積算実噴射量ΣQpと積算指令噴射量ΣQoを比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定してもよい。
図12は、変形例において、E/G-ECU100で実行される、実噴射量算出/異常判定制御の処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、図7のフローチャートのS37~S46を、S80~S87に置き換えたものである。S36で実噴射量Qpを算出すると、S80に進む。
S80では、積算実噴射量ΣQpを算出するとともに、積算指令噴射量ΣQoを算出する。S36で算出された実噴射量Qpを積算することにより、積算実噴射量ΣQpを算出する。図6のS22およびS25で算出した指令噴射量Qoのうち、積算実噴射量ΣQp対応する指令噴射量Qoを積算することにより、積算指令噴射量ΣQoを算出する。
続くS81で、積算指令噴射量ΣQoが所定値A以上か否かを判定する。積算指令噴射量ΣQoが所定値A未満であり、否定判定されると、S82でフラグFsを1に設定したあと、今回のルーチンを終了する。積算指令噴射量ΣQoが所定値A以上の場合、肯定判定されS83へ進む。なお、所定値Aは、積算実噴射量ΣQpと積算指令噴射量ΣQoを比較することにより、精度よく尿素水の供給異常を判定可能な値として設定され、予め実験等により定めることができる。
S83では、積算実噴射量ΣQpと積算指令噴射量ΣQoとを比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定する。たとえば、「(ΣQp/ΣQo)<B」が成立する場合、実噴射量Qpが指令噴射量Qoより大きく減少しており、尿素添加弁30に目詰まりが発生している可能性が高い。この場合、S83で肯定判定され、S84へ進んで、尿素水の供給異常であると判定する。Bは、尿素水の供給異常を判定するための判定値であり、予め実験等により設定され、たとえば、0.6であってよい。「(ΣQp/ΣQo)≧B」の場合は、実噴射量Qpと指令噴射量Qoの乖離は比較的小さく、尿素添加弁30の供給異常は発生していないので、S83で否定判定され、S85に進み、正常判定を行ったあと、S86へ進む。
S86では、積算実噴射量ΣQpを0に設定するとともに積算指令噴射量ΣQoを0に設定し、S87へ進んで、フラグFsを0に設定したあと、今回のルーチンを終了する。
この変形例においても、積算指令噴射量ΣQoが所定値A以上になったときに、積算実噴射量ΣQpと積算指令噴射量ΣQoを比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定しているので、指令噴射量Qoおよび実噴射量Qpの値が小さくとも、指令噴射量Qoと実噴射量Qpとの差に基づいて、尿素添加弁30の供給異常を的確に判定することができる。
本実施の形態では、車両1の動力源として内燃機関10を用いていたが、車両1は、動力源として内燃機関10に加えて回転電機(電気モータ)を備えたハイブリッド車両であってもよい。ハイブリッド車両の場合、たとえば、回転電機に電力を供給する蓄電装置のSOC(State Of Charge)の状態に応じて、内燃機関10の自動停止および再始動を行うようにしてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 排気浄化システム、3 トルクコンバータ付き自動変速機、5 ディファレンシャルギヤ、7 駆動輪、10 内燃機関、11 スタータモータ、20 排気通路、22 酸化触媒、24 DPF、26 SCR触媒、28 酸化触媒、30 尿素添加弁、40 尿素水タンク、41 ポンプ、42 供給通路、43 リターン通路、44 逆止弁、45 回転速度センサ、46 圧力センサ、47 水位センサ、50 HMI装置、61 車速センサ、62 冷却水温センサ、63 ブレーキセンサ、64 アクセル開度センサ、65 エンジン回転速度センサ、100 E/G-ECU、101 CPU、102 メモリ、110 ポンプ制御手段、120 自動停止再始動制御手段、130 指令噴射量算出手段、140 実噴射量算出手段、150 異常判定手段、160 回収手段、170 回収禁止手段、180 吸着量算出手段、190 噴射停止手段。
Claims (8)
- 車両に搭載された内燃機関の排気通路に尿素水を供給し、前記排気通路に設けられた選択還元触媒で前記内燃機関から排出されたNOxを浄化する内燃機関の排気浄化システムであって、
前記排気通路に尿素水を噴射する添加弁と、
回転駆動されることにより、尿素水を前記添加弁へ吐出するポンプと、
前記ポンプから吐出された尿素水を前記添加弁に供給する供給通路と、
前記供給通路内の尿素水の圧力を所定圧に制御するポンプ制御手段と、
前記添加弁の指令噴射量を算出する指令噴射量算出手段と、
前記添加弁から噴射される実噴射量を算出する実噴射量算出手段と、
前記指令噴射量と前記実噴射量とを比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定する異常判定手段と、を備え、
前記実噴射量算出手段は、前記添加弁の噴射停止時における前記ポンプの回転速度である基準回転速度と前記添加弁の噴射時における前記ポンプの回転速度である噴射時回転速度との差に基づいて前記実噴射量を算出し、
前記異常判定手段は、前記車両の停車時に前記実噴射量算出手段で算出した実噴射量と、前記車両の停車時に前記指令噴射量算出手段で算出した指令噴射量と、を比較することにより、尿素水の供給異常の有無を判定する、内燃機関の排気浄化システム。 - 停止条件が成立すると前記内燃機関を自動停止し、再始動条件が成立すると前記内燃機関を再始動する自動停止再始動制御手段と、
前記自動停止再始動制御手段によって前記内燃機関が自動停止したとき、前記供給通路内の尿素水の回収を行う回収手段と、
前記異常判定手段が尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間、前記回収手段による尿素水の回収を禁止する回収禁止手段と、をさらに備える、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。 - 前記選択還元触媒に吸着されているアンモニアの量である吸着アンモニア量を算出する吸着量算出手段と、
前記自動停止再始動制御手段によって前記内燃機関が自動停止している場合、前記吸着アンモニア量が第1所定値を超えると、前記添加弁から尿素水の噴射を停止する噴射停止手段と、をさらに備え、
前記自動停止再始動制御手段によって前記内燃機関が自動停止している場合、前記指令噴射量算出手段は、前記吸着アンモニア量が前記第1所定値を超えるまで、前記指令噴射量を第2所定値に設定する、請求項2に記載の内燃機関の排気浄化システム。 - 前記自動停止再始動制御手段によって前記内燃機関が自動停止している場合、前記回収禁止手段は、前記噴射停止手段によって前記添加弁から尿素水の噴射が停止されたとき、前記回収手段による尿素水の回収を許可する、請求項3に記載の内燃機関の排気浄化システム。
- 前記添加弁は、所定の周期で噴射と噴射停止とを繰り返し実行するよう制御され、
前記実噴射量算出手段は、前記添加弁の噴射開始前に前記基準回転速度を取得し、前記添加弁の噴射開始後に前記噴射時回転速度を取得するとともに、前記噴射開始前の前記基準回転速度に対する前記噴射開始後の前記噴射時回転速度の上昇量に基づいて前記実噴射量を算出し、
前記実噴射量算出手段は、前記添加弁の噴射開始前に前記基準回転速度を取得できない場合、前回の前記周期で取得した前記基準回転速度を用いて、前記上昇量を求める、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化システム。 - 前記添加弁は、所定の周期で噴射と噴射停止とを繰り返し実行するよう制御され、
前記異常判定手段は、複数の噴射における前記指令噴射量の積算値と、前記複数の噴射における前記実噴射量の積算値との差に基づいて、尿素水の供給異常の有無を判定する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化システム。 - 車両に搭載された内燃機関の排気通路に設けられた選択還元触媒と、
前記選択還元触媒の上流の排気通路に尿素水を供給する添加弁と、
回転駆動されることにより、尿素水を前記添加弁に供給するポンプと、
前記ポンプから吐出された尿素水を前記添加弁に供給する供給通路と、
前記供給通路内の尿素水の圧力を所定圧に制御するポンプ制御手段と、を備えた内燃機関の排気浄化方法であって、
前記添加弁の指令噴射量を算出するステップと、
前記添加弁の噴射停止時における前記ポンプの回転速度である基準回転速度と前記添加弁の噴射時における前記ポンプの回転速度である噴射時回転速度との差に基づいて、前記添加弁から噴射される実噴射量を算出するステップと、
前記車両の停車時に算出した前記実噴射量と、前記車両の停車時に算出した前記指令噴射量と、を比較することにより尿素水の供給異常の有無を判定するステップと、を含む、内燃機関の排気浄化方法。 - 前記内燃機関は、停止条件が成立すると前記内燃機関を自動停止し、再始動条件が成立すると前記内燃機関を再始動する自動停止再始動制御手段を、さらに備え、
前記内燃機関の排気浄化方法は、
停止条件が成立し前記内燃機関が自動停止したとき、前記供給通路内の尿素水の回収を行うステップと、
前記車両の停車時、尿素水の供給異常の有無を判定するまでの間、前記尿素水の回収を禁止するステップと、をさらに含む請求項7に記載の内燃機関の排気浄化方法。
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JP2021117548A JP2023013397A (ja) | 2021-07-16 | 2021-07-16 | 内燃機関の排気浄化システムおよび内燃機関の排気浄化方法 |
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