JP2023012693A - 紫外線吸収剤、およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、優れた耐熱性や耐光性に加え、必要な吸収能を与える量を配合してもマイグレーションしない紫外線吸収剤の提供を目的とする。【解決手段】本発明の紫外線吸収剤はトリアジン骨格を有する紫外線吸収性化合物(A)、ならびにNa、Mg、Al、K、Ca、およびFeから選ばれる1種以上の金属原子を含む金属成分(B)を含み、化合物(A)および金属成分(B)の合計量中、前記金属原子の含有量が0.1ppm以上50000ppm以下である、紫外線吸収剤。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線吸収剤に関する。
従来から紫外線による有機物の劣化を防ぐために紫外線吸収剤を様々な組成物に添加することが知られている。
例えば光学用途では、ディスプレイ表示装置で使用する偏光板保護フィルム等の光学フィルムに紫外線吸収剤を添加して、光学フィルムの変色を防止している。また、反射防止フィルムに含まれる近赤外線吸収剤の紫外線による劣化を防ぐため、紫外線吸収剤が添加されている。また、有機ELディスプレイの発光素子には、蛍光材料や燐光材料等の各種有機物が使用されており、これら有機物の紫外線による劣化を防ぐため、ディスプレイの表面フィルムや基材、粘着剤、偏光板表面の塗膜などに紫外線吸収剤が添加されている。
これらの光学用途では、高温の加工プロセスがある一方、高度な寸法安定性が要求される用途もある。特にエンジニアリングプラスチックを使用する成形体は、成形加工温度が例えば260~340℃と高いため、紫外線吸収剤には、高温に耐えうる耐熱性が必要である。
そこで特許文献1には、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物やトリアジン系化合物を含む組成物が開示されている。
また、医薬用薬剤や化粧品等の包装材料用途では、使用する樹脂が紫外線を透過するため、内容物が紫外線で劣化する場合があった。そのため、紫外線吸収剤を樹脂成形体(以下、成形体という)に配合して内容物の劣化を抑制していた。しかし、単に紫外線吸収剤を成形体に配合すると、紫外線吸収剤がマイグレーションする傾向にあり、内容物汚染の観点から医薬用薬剤や化粧品等の包装材料に使用するには問題が多かった。
そこで特許文献2および3には、ベンゾトリアゾール系単量体等を溶融混錬して重合した成形体が開示されている。
特開2002-249600号公報 特開2001-72722号公報 特開2001-114842号公報
しかし、特許文献1の組成物は、紫外線吸収剤のブリードアウトに加え、紫外線吸収剤の耐熱性が低い問題があった。また、特許文献2および3の成形体が所定の機械強度を得るためにベンゾトリアゾール系単量体をあまり増量できず、紫外線吸収性が不足する問題があった。
本発明は、優れた耐熱性および耐光性に加え、マイグレーションを抑制できる紫外線吸収剤の提供を目的とする。
本発明の紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する紫外線吸収性化合物(A)、ならびにNa、Mg、Al、K、Ca、およびFeから選ばれる1種以上の金属原子を含む金属成分(B)を含み、化合物(A)および金属成分(B)の合計量中、前記金属原子の含有量が0.1ppm以上50000ppm以下である。
上記の本発明によれば、優れた耐熱性および耐光性に加え、マイグレーションを抑制できる紫外線吸収剤、ならびにそれを含む樹脂組成物、感光性組成物、粘着剤、被膜および成形体を提供できる。
本発明の紫外線吸収剤は、トリアジン骨格を有する紫外線吸収性化合物(A)(以下、紫外線吸収性化合物(A)という)ならびにNa、Mg、Al、K、Ca、およびFeから選ばれる1種以上の金属原子を含む金属成分(B)を含み、化合物(A)および金属成分(B)の合計量中、前記金属原子の含有量が0.1ppm以上50000ppm以下である。
本発明の紫外線吸収剤は、紫外線吸収性化合物(A)に加え、金属成分(B)中のNa、Mg、Al、K、Ca、およびFeから選ばれる1種以上の金属原子を適当量含むことにより、従来よりも優れた耐熱性、耐光性、および紫外線吸収性が得られる予想外の効果を有している。また、高い紫外線吸収性を有するため、従来よりも少量で波長吸収性が得られるため添加量を抑制でき、成形体や塗膜の機械強度を低下させず、金属成分(B)との相互作用によりマイグレーションも抑制できる。
このような効果が得られるメカニズムを以下のように推測する。すなわち、本発明の紫外線吸収剤に含まれるトリアジン骨格を有する紫外線吸収性化合物(A)は、分子構造に非共有電子対を持つトリアジン環を含むため、紫外線吸収性化合物(A)と金属原子との間で錯体を形成し、金属イオンを紫外線吸収性化合物(A)骨格内に取り込みやすい。その結果、紫外線吸収性化合物の結晶性が向上して、加熱や光照射による劣化が生じにくく、さらに成形体や塗膜中での分子運動が抑制されるため、耐熱性や耐光性が向上し、マイグレーションが抑制されると推測する。一方、紫外線吸収性化合物(A)が金属イオンを取り込みすぎると、紫外線吸収性化合物(A)成分が低下することから、紫外線吸収性が低下すると考えられるが、紫外線吸収性化合物(A)に対し、金属原子の合計量を0.1~50000ppm含むことで、分子内への金属イオンの取り込み量を適度にできるため、優れた紫外線吸収性を維持できる。
<トリアジン骨格を有する紫外線吸収性化合物(A)>
紫外線吸収性化合物(A)は、分子構造中に1,3,5-トリアジン骨格を有する化合物であり、特に制限を受けない。その中でも、芳香族炭化水素環、または芳香族複素環がトリアジン骨格に直接結合することが吸収波長の観点で好ましい。また、トリアジン骨格に直接結合している芳香族炭化水素環、または芳香族複素環の元素に隣接する元素に水酸基を有することが耐光性の面でより好ましい。これらの化合物(A)はそれぞれ単独でも組み合わせてよい。なお、紫外線吸収性化合物(A)は、少なくとも一つ以上400nm未満の紫外領域に極大吸収を有する化合物である。
また、紫外線吸収性化合物(A)は、波長200~700nmで最も長波長側にある極大吸収波長が波長320nm~450nmに有する化合物が好ましい。
前記芳香族炭化水素環は、水酸基を有する炭素数5~60の芳香族炭化水素環が好ましい。水酸基を有する炭素数5~60の芳香族炭化水素環は、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニルメタン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、フェナントレン、クリセン、トリフェニレン、フルオレン、テトラフェン、ピレン、ピセン、ペンタフェンペリレン、ヘリセン、コロネン等が挙げられる。これらの中でもベンゼン、ビフェニル、ナフタレンが好ましい。また、水酸基以外の置換基を有してもよい。
また、芳香族複素環は、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、フタルイミド、ベンゾトリアゾール、クロメン、イソクロメン、カルバゾール、キサンテンが好ましい。これらの中でもピリジン、カルバゾール、フタルイミドが好ましい。また、水酸基を有してもよく、水酸基以外の置換基を有しても良い。
トリアジン骨格を有する紫外線吸収性化合物(A)としては、例えば下記化合物(A-1)~(A-23)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2023012693000001
Figure 2023012693000002
Figure 2023012693000003
Figure 2023012693000004
トリアジン骨格を有する紫外線吸収性化合物(A)の合成方法は、特に制限を受けない。例えば、塩化シアヌルに芳香族炭化水素環誘導体又は芳香族複素環誘導体を三塩化アルミニウムを用いて付加反応する方法が挙げられる。芳香族炭化水素環誘導体又は芳香族複素環誘導体の置換基はトリアジン構造を形成した後に導入してもよく、トリアジン構造を形成する前に導入してもよい。
<金属成分(B)>
本発明の紫外線吸収剤に含まれる金属成分(B)は、Na、Mg、Al、K、Ca、およびFeから選ばれる1種以上の金属原子を含む。前記金属原子のうち、Alが好ましい。Alは、前記合成法で用いられる酸触媒としてよく使用できることから、合成後の精製の方法によりAl量をコントロールすることで金属成分(B)中の金属原子の量をコントロールできる。金属原子量の測定には様々な方法が知られている。金属成分(B)中の金属原子の含有量は、例えば、紫外線吸収剤に硝酸を加えてマイクロウェーブで分解処理した溶液を、適当な濃度に希釈して誘導結合プラズマ発光分析(ICP)を用いて簡便に定量することができる。前記金属原子の含有量は、紫外線吸収性化合物(A)および金属成分(B)の合計量中、0.1ppm以上50000ppm以下の範囲が好ましく、0.1ppm以上10000ppm以下がより好ましく、0.1ppm以上1000ppm以下がさらに好ましい。
金属成分(B)中の金属原子の量をコントロールするための合成後の精製の方法としては、例えば、合成反応液に水を含む貧溶媒を加えて分液し、金属成分を取り除く方法、濾過後のケーキにアルコールや水もしくはその混合液をふりかけ洗浄する方法、アルコールや水もしくはその混合液にリスラリー分散し洗浄する方法、酸溶液をふりかけリスラリー洗浄する方法等が挙げられる。
本発明の紫外線吸収剤は、紫外線吸収性化合物(A)以外にベンゾトリアゾール系化合物、およびベンゾフェノン系化合物から選ばれる1種以上の紫外線吸収剤(C)を含有できる。紫外線領域全体の幅広い遮蔽を紫外線吸収性化合物(A)のみで行うよりも紫外線吸収剤(C)を組み合わせることで、紫外線領域を幅広く、かつ波長400~420nm程度の可視光短波長領域を簡易かつより効果的に遮蔽できる。また、紫外線吸収性化合物(A)と紫外線吸収剤(C)が互いの化合物を保護するため、より良好な耐光性および耐熱性が得られる。
<紫外線吸収剤(C)>
前記紫外線吸収剤(C)のうち、ベンゾトリアゾール系化合物は、一般的に波長360nm以下の光を吸収する化合物であり、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートと2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートの混合物、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖および直鎖アルキルエステルの化合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-エチルヘキシル-3-[3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチル-フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-3-t-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1-3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-3-メチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチル-フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]等が挙げられる。
市販品は、BASFジャパン社製「TINUVIN P」、「TINUVIN PS」、「TINUVIN 109」、「TINUVIN 234」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN 328」、「TINUVIN 329」、「TINUVIN 360」、「TINUVIN 384-2」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 928」、「TINUVIN 99-2」、「TINUVIN 1130」、ADEKA社製「アデカスタブLA-29」、大塚化学社製「RUVA-93」等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤(C)のうち、ベンゾフェノン系化合物は、一般的に波長360nm以下の光を吸収する化合物であり、例えば、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、1,4-ビス(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)ブタン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルフォニックアシッド、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
市販品は、ケミプロ化成社製「KEMISORB 10」、「KEMISORB 11」、「KEMISORB 11S」、「KEMISORB 12」、「KEMISORB 111」、シプロ化成社製「SEESORB 101」、「SEESORB 107」、ADEKA社製「アデカスタブ1413」等が挙げられる。
紫外線吸収剤(C)の含有量は、紫外線吸収剤の不揮発分中、0.005~50質量%が好ましく、0.01~40質量%がより好ましい。目的の分光カット率によって紫外線吸収剤の含有量を設計することができる。
紫外線吸収性化合物(A)を含む紫外線吸収剤の総含有量は、後述する樹脂組成物、感光性組成物、または粘着剤の不揮発分中、0.005~50質量%が好ましく、0.01~40質量%がより好ましい。目的の分光カット率によって紫外線吸収剤の含有量を設計することができる。
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収性剤および樹脂を含有できる。樹脂は、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、成形体用途等に使用することが好ましい。その場合、樹脂は、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、シクロオレフィン樹脂等が挙げられる。
<ポリオレフィン>
ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、およびポリ-4-メチルペンテン、ならびにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリエチレンは、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。
ポリプロピレンは、例えば、結晶性または非晶性ポリプロピレンが挙げられる。
これらを用いた共重合体は、例えば、エチレン-プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、α-オレフィンとエチレンあるいはプロピレンの共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体およびエチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらの中でも結晶性または非晶性ポリプロピレン、エチレン-プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体が好ましく、プロピレン-エチレンブロック共重合体がより好ましい。また安価で、比重が小さいために成形品を軽量化できる観点からはポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィンの数平均分子量は、30,000~500,000程度である。
ポリオレフィンのメルトフローレイト(MFR)は1~100(g/10分)が好ましい。なお、MFRはJISK-7210に準拠して求めた数値である。
<ポリカーボネート>
ポリカーボネートは、非晶性樹脂であり、芳香族ジヒドロキシ化合物に、ホスゲン或いは炭酸ジエステル等のカーボネート前駆体を反応させて合成する。ホスゲンを用いる合成反応の場合は、例えば、界面法が好ましい。また、炭酸ジエステルを用いる合成反応の場合、溶融状で反応させるエステル交換法が好ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物は、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。また、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル類を混合して使用してもよい。
前記カーボネート前駆体は、例えば、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類等が挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物、およびカーボネート前駆体は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
ポリカーボネートの粘度平均分子量は、15,000~30,000が好ましく、16,000~27,000がより好ましい。なお、本明細書における粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算される値である。
ポリカーボネートの市販品は、例えば、ユーピロンH-4000(三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度平均分子量16,000)ユーピロンS-3000(三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度平均分子量23,000)、ユーピロンE-2000(三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度平均分子量27,000)等が挙げられる。
<ポリアクリル>
ポリアクリルは、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル等のモノマーおよび必要に応じて使用する他のモノマーを公知の方法で重合した樹脂である。ポリアクリルは、例えば、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体およびエチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。前記モノマーの他に、例えば、ブタジエン、α-メチルスチレン、無水マレイン酸等のモノマーを加えて重合することもでき、モノマー量と分子量によって耐熱性、流動性、衝撃性を調整できる。
<ポリエステル>
ポリエステルは、分子の主鎖にエステル結合を有する樹脂であり、ジカルボン酸(その誘導体を含む)と、ジオール(2価アルコールまたは2価フェノール)とから合成した重縮合物;、ジカルボン酸(その誘導体を含む)と、環状エーテル化合物とから合成した重縮合物;、環状エーテル化合物の開環重合物等が挙げられる。ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールでの重合体によるホモポリマー、複数の原料を使用するコポリマー、これらを混合するポリマーブレンド体が挙げられる。なお、ジカルボン酸の誘導体とは、酸無水物、エステル化物である。ジカルボン酸は、脂肪族および芳香族の2種類のジカルボン酸があるところ、耐熱性が向上する芳香族がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p-カルボキシルフェニル酢酸、m-フェニレンジグリゴール酸、p-フェニレンジグリコール酸、ジフェニルジ酢酸、ジフェニル-p,p’-ジカルボン酸、ジフェニル-4,4’-ジ酢酸、ジフェニルメタン-p,p’-ジカルボン酸、ジフェニルエタン-m,m’-ジカルボン酸、スチルベンジルカルボン酸、ジフェニルブタン-p,p’-ジカルボン酸、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、ナフタリン-1,4-ジカルボン酸、ナフタリン-1,5-ジカルボン酸、ナフタリン-2,6-ジカルボン酸、ナフタリン-2,7-ジカルボン酸、p-カルボキシフェノキシ酢酸、p-カルボキシフェノキシブチル酸、1,2-ジフェノキシプロパン-p,p’-ジカルボン酸、1,5-ジフェノキシペンタン-p,p’-ジカルボン酸、1,6-ジフェノキシヘキサン-p,p’-ジカルボン酸、p-(p-カルボキシフェノキシ)安息香酸、1,2-ビス(2-メトキシフェノキシ)-エタン-p,p’-ジカルボン酸、1,3-ビス(2-メトキシフェノキシ)プロパン-p,p’-ジカルボン酸、1,4-ビス(2-メトキシフェノキシ)ブタン-p,p’-ジカルボン酸、1,5-ビス(2-メトキシフェノキシ)-3-オキシペンタン-p,p’-ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸は、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、コルク酸、マゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
2価アルコールは、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,4-ジオール、cis-2-ブテン-1,4-ジオール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらの中でもエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
2価フェノールは、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA等が挙げられる。
環状エーテル化合物は、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
ジカルボン酸や2価アルコールは、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
<ポリアミド>
ポリアミドは、結晶性樹脂であり、例えば、カルボン酸成分と、アミノ基を2個以上有する化合物(Am)とを脱水縮合反応させて合成できる。
カルボン酸成分は、例えば、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。なお、カルボン酸成分は、3以上のカルボキシル基を有する化合物を使用できる。
アミノ基を2個以上有する化合物(Am)は、例えば、公知のものを使用することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン等の脂環式ポリアミンを含む脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族ポリアミン;1,3-ジアミノ-2-プロパノール、1,4-ジアミノ-2-ブタノール、1-アミノ-3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン-1-オール、4-(2-アミノエチル)-4,7,10-トリアザデカン-2-オール、3-(2-ヒドロキシプロピル)-o-キシレン-α,α’-ジアミン等のジアミノアルコールが挙げられる。
ポリアミドの市販品は、例えば、6ナイロン(東レ社製)、66ナイロン(東レ社製)、610ナイロン等が挙げられる。
<ポリエーテルイミド>
ポリエーテルイミドは、ガラス転移温度が180℃超の非晶性樹脂であり、透明性良好で高強度、高耐熱性、高弾性率および広範な耐薬品性を有している。そのため自動車、遠隔通信、航空宇宙、電気/電子、輸送およびヘルスケアなどの多様な用途で広範に使用されている。
ポリエーテルイミドの製造プロセスの1つは、ビスフェノールA二ナトリウム塩(BPA・Na)などのジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩とビス(ハロフタルイミド)との重合によるものである。得られたポリエーテルイミドの分子量は2つの方法で制御できる。第1の方法は、ジヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩に対して、モル過剰のビス(ハロフタルイミド)を使用することである。第2の方法は、末端キャッピング剤を形成する無水フタル酸などの単官能性化合物の存在下でビス(無水ハロフタル酸)を調製することである。無水フタル酸は、有機ジアミンの一部と反応してモノハロ-ビス(フタルイミド)を形成する。モノハロ-ビス(フタルイミド)は、成長中のポリマー鎖におけるフェノキシド末端基との反応による重合ステップにおいて、末端-キャッピング剤として働く。
ポリエーテルイミドの市販品は、ULTEM(サウジ基礎産業公社製)が挙げられる。
<シクロオレフィン>
シクロオレフィン樹脂は、主鎖および又は側鎖に脂環構造を有する非晶性樹脂である。脂環構造の種類は、例えば、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、およびビニル脂環式炭化水素重合体、ならびにこれらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも成形性と透明性に優れることから、ノルボルネン重合体が好ましい。ノルボルネン単量体は、例えば、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8-ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(慣用名:テトラシクロドデセン)等が挙げられる。
シクロオレフィン樹脂の市販品は、例えば、トパス(ポリプラスチックス社製)、アペル(三井化学社製)が挙げられる。
<ポリビニルアセタール>
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタールが好ましい。ポリビニルアセタールは、ポリビニルブチラール樹脂より好ましい。ポリビニルブチラール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールとブチルアルデヒドを酸性条件化で反応させて合成できる。
熱可塑性樹脂は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
本発明の紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.05~1質量部がより好ましい。
樹脂組成物は、例えば、本発明の紫外線吸収剤を高濃度で配合したマスターバッチとして製造することが好ましい。マスターバッチを作製し、次いで、希釈樹脂(熱可塑性樹脂)と溶融混錬して成形体を作製すると、マスターバッチを経ず作成した成形体と比較して、本発明の紫外線吸収剤を成形体中に均一に分散し易く、紫外線吸収剤の凝集を抑制できるこれにより、成形体の透明性が向上する。
マスターバッチは、例えば、紫外線吸収剤と熱可塑性樹脂を溶融混練し、ペレタイザーを使用してペレット状に製造できる。なお、紫外線吸収剤の凝集を防ぐため、予め、紫外線吸収剤とワックスを溶融混練した分散体を作製した後、熱可塑性樹脂と共に、溶融混錬してマスターバッチを作製することが好ましい。ここで、分散体の作製は、ブレンドミキサーや3本ロールミルを用いることが好ましい。
組成物をマスターバッチとして作製する場合、本発明の紫外線吸収剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~3質量部がより好ましい。マスターバッチ(X)と希釈用樹脂(Y)との質量比は、X/Y=1/5~1/100が好ましい。この範囲にすると成形品は、良好な光特性が得やすい。
また、本発明の組成物は、液状マスターバッチを作製し、次いで、希釈樹脂(熱可塑性樹脂)とともに溶融混錬して成形体を作製することができる。
液状マスターバッチは、紫外線吸収剤を液体樹脂に溶解もしくは分散させて得られる。
液体樹脂は、25℃の粘度が8,000mPa・s以下の樹脂である。なお、前記粘度は、10~5,000mPa・sが好ましく、100~3,000mPa・sがより好ましい。上記範囲内であると、紫外線吸収剤を液状マスターバッチ中に容易に分散できる。本明細書における粘度はJIS K7117-1:1999に従ってB型粘度計を用いて25℃で測定した値である。
液体樹脂の含有量は、液状マスターバッチ100質量%中、50質量%以上が好ましく、60~95質量%がより好ましく、70~90質量%がさらに好ましい。この範囲内であることにより、例えば、溶融混錬の際、溶融粘度を抑制できるため、紫外線吸収剤を分散し易くなる。この液状マスターバッチを使用すると、透明性が高い成形体が得られる。
また、液体樹脂の数平均分子量(Mn)は、100~3000が好ましく、200~2000がより好ましく、500~1500がさらに好ましく、1000~1500が特に好ましい。Mn200以上により成形体の成形性と透明性を両立し易い。また、Mnが2000以下により、分散性と帯電防止性が向上する。
液体樹脂は、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系樹脂、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレングリコール樹脂、ポリエーテルエステル樹脂、またはアセチルクエン酸トリブチル等が挙げられるが、主剤樹脂がポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネートなどの高い成型温度が必要な場合にも、耐熱性が高く、帯電防止性も優れる点で、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレングリコール樹脂、ポリエーテルエステル樹脂、またはアセチルクエン酸トリブチルが好ましい。
[脂肪族ポリエステル]
脂肪族多価カルボン酸と多価アルコールとの反応によって得られる樹脂である。
前記脂肪族多価カルボン酸は、カルボキシル基を2つ以上有する脂肪族カルボン酸である。脂肪族多価カルボン酸は、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、トリカルバリル酸、1,3,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,5-ヘキサントリカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールは、水酸基を2つ以上有するアルコールである。多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-オクタデカンジオール等の脂肪族グリコール及びジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸および多価アルコールは、それぞれ単独または2種類以上併用して使用できる。
脂肪族ポリエステルの凝固点は、-5℃以下が好ましく、-50℃~-10℃がより好ましい。
脂肪族ポリエステルの市販品は、例えば、アデカサイザーPN‐170(ADEKA社製、25℃での粘度800mPa・s、凝固点-15℃、アジピン酸ポリエステル)、アデカサイザーP-200(ADEKA社製、25℃での粘度2,600mPa・s、凝固点-20℃、アジピン酸ポリエステル)、アデカサイザーPN-250(ADEKA社製、25℃での粘度4,500mPa・s、凝固点-20℃、アジピン酸ポリエステル)等が挙げられる。
[ポリエーテル樹脂]
ポリエーテル樹脂は、アルキレンオキシ基の繰り返し単位を有する樹脂である。アルキレンオキシ基の炭素数は1~6が好ましい。ポリエーテル樹脂は、25℃における粘度が10,000mPa・s以下が好ましい。この粘度であれば、液状マスターバッチ用途の使用に適している。なお、アルキレンオキシ基の炭素数は、2~4が好ましい。これにより相溶性が向上する一方、吸水性を抑制できる。
ポリエーテル樹脂は、例えば、いずれも繰り返し単位中の炭素数が2であるポリエチレングリコールや、いずれも繰り返し単位中の炭素数が3であるポリトリメチレングリコールおよびポリプロピレングリコールや、いずれも繰り返し単位中の炭素数が4であるポリテトラメチレングリコールおよびポリブチレングリコール等が挙げられる。
[ポリエーテルエステル樹脂]
ポリエーテルエステル樹脂は、脂肪族多価カルボン酸樹脂とアルキレングリコール樹脂とのエステル化合物である。
ポリエーテルエステル樹脂の市販品は、例えば、アデカサイザーRS‐107(ADEKA社製、25℃での粘度20mPa・s、凝固点-47℃、アジピン酸エーテルエステル系樹脂)、アデカサイザーRS-700(ADEKA社製、25℃での粘度30mPa・s、凝固点-53℃、ポリエーテルエステル系樹脂)等が挙げられる。
液体樹脂の凝固点は、-5℃以下が好ましく、-50℃~-10℃がより好ましい。
本明細書の組成物は、可塑剤分散液を作製し、次いで、希釈樹脂(熱可塑性樹脂)とともに溶融混錬して成形体を作製することができる。
本発明の紫外線吸収剤の含有量は、可塑剤分散液中、0.1~30質量%が好ましい。
可塑剤分散液は、紫外線吸収剤を可塑剤に溶解もしくは分散して作製する。
可塑剤は、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、セバシン酸エステル等が挙げられる。これらの中でもトリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール-ジ-n-ヘプタノエートが好ましく、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエートがより好ましい。
可塑剤は、単独または2種類以上併用して使用できる。
可塑剤の含有量は、可塑剤分散液中、60~99.9質量%が好ましい。
(樹脂型分散剤)
液状マスターバッチや可塑剤分散液は、樹脂型分散剤を含んでも良い。これにより、液状マスターバッチや可塑剤分散液中で、紫外線吸収性化合物(A)がより均一に分散されるため、成形体はさらに高い透明性が得られる。また、樹脂型分散剤を含むことで、液状マスターバッチや可塑剤分散液の保存安定性が向上する。
樹脂型分散剤は、紫外線吸収性化合物(A)に吸着する性質を有する吸着部位と、紫外線吸収性化合物(A)以外の成分と相溶性のある緩和部位とを有する樹脂である。樹脂型分散剤は、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
樹脂型分散剤は、単独または2種類以上併用して使用できる。
上記分散剤のうち少量の添加量で分散体の粘度が低くなるという理由から、塩基性官能基を有する高分子分散剤が好ましく、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体およびウレタン系高分子分散剤などが好ましい。
樹脂型分散剤の含有量は、紫外線吸収剤100質量部に対して5~200質量%程度が好ましく、10~100質量%程度がより好ましい。
市販の樹脂型分散剤は、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti-Terra-U、203、204、またはBYK-P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon-WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
なお、樹脂型分散剤が有機溶剤に溶解した状態の場合は、液体樹脂を添加し、減圧して加熱し、溶媒を留去して使用することが好ましい。その場合、これを含有する液状マスターバッチも有機溶剤を含まないため、工程面でも使用しやすい。
<液状マスターバッチの製造方法>
液状マスターバッチは、紫外線吸収剤と液状樹脂を混合することで作製できる。なお、前記作製には、樹脂型分散剤を用いることが好ましい。前記混合は、例えば、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の装置を使用できる。
<可塑剤分散液の製造方法>
可塑剤分散液は、紫外線吸収剤と可塑剤を混合することで作製できる。なお、前記作製には、樹脂型分散剤を用いることが好ましい。前記混合は、前記「液状マスターバッチの製造方法」で説明した装置を使用できる。
本明細書の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、および本発明の紫外線吸収剤以外に任意成分として、酸化防止剤、光安定剤、分散剤、ワックス等を含有できる。
本発明の樹脂組成物は、塗料用途にも使用できる。
前記塗料に使用できる樹脂は、ガラス転移温度が、30℃以上の樹脂が好ましい。前記樹脂は、例えば、ニトロセルロース、ポリエステル等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明の感光性組成物は、紫外線吸収剤、光重合性化合物および光重合開始剤を含む。前記感光性組成物は、例えば、ハードコート層、トップコート層、各種積層体の中間層などの被膜形成に使用することが好ましい。この場合、紫外線吸収性化合物(A)は、光硬化性部位を含むことがより好ましい。また前記組成物は、樹脂を含有できる。また前記組成物は、光硬化性組成物として公知の添加剤や必要に応じて有機溶剤を含有できる。
光重合性化合物は、モノマーおよびオリゴマーを含む。光重合性化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、オキシムエステル系化合物、ホスフィン系化合物、キノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらの中でも高感度の面でオキシムエステル系化合物が好ましい。
次に、本発明の樹脂組成物として、紫外線吸収剤、および熱硬化性樹脂を含む態様を説明する。前記組成物は、例えば、塗料、粘着剤用途に使用できる。この場合、組成物は、さらに硬化剤を含むことが好ましい。本明細書の粘着剤は、紫外線吸収剤、粘着性樹脂、および硬化剤を含有することが好ましい。
前記粘着性樹脂は、ガラス転移温度が-50~-20℃の樹脂である。粘着性樹脂の種類は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂等が挙げられる。また、粘着性樹脂は、硬化剤と反応可能な官能基を有することが好ましい。前記官能基は、例えば、カルボキシル基、水酸基等が挙げられる。
前記硬化剤は、例えば、イソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤、アジリジン硬化剤、金属キレート硬化剤等が挙げられる。
本発明の成形体は、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を溶融混錬して成形して作製できる。前記組成物がマスターバッチである場合、マスターバッチと希釈樹脂を溶融混錬して成形体を作製することが好ましい。なお、本発明で成型体は、型に樹脂組成物を投入し作製すする物品である。また、成形体は、プラスチックフィルムなど型を使用せずに作製する物品である。なお、希釈樹脂は、既に説明した熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
溶融混練は、例えば単軸混練押出機、二軸混練押出機、タンデム式二軸混練押出機等を用が好ましい。溶融混錬温度は、熱可塑性樹脂の種類により異なるが、通常150~320℃程度である。
成形方法は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形等が挙げられる。押出成形は、例えばコンプレッション成形、パイプ押出成形、ラミネート成形、Tダイ成形、インフレーション成形、溶融紡糸等が挙げられる。
成形温度は、希釈樹脂の軟化点によるところ、通常160~320℃である。
本発明の成形体は、例えば、医薬品包装材、食品包装材、ディスプレイ、ガラス中間膜、光学レンズ、太陽電池、ウィンドウフィルム、眼鏡レンズ用途に使用することができる。
医薬品包装材や食品包装材は、熱可塑性樹脂に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、シクロオレフィン樹脂等を使用することが好ましい。これら成形体は、柔軟性および視認性が向上し、内容物の劣化を抑制できる。
ディスプレイ、ガラス中間膜、光学レンズ、太陽電池用途で使用できる成形体は、熱可塑性樹脂から構成されている成形体であれば何でも良いが、所望の波長に対して透明な性質を有する樹脂からなるフィルムであることが好ましい。このような成形体を構成する樹脂としては、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート系樹脂、脂環構造を有するオレフィンポリマー系樹脂(脂環式オレフィンポリマー系樹脂)、セルロースエステル系樹脂等が挙げられる。
本発明の被膜は、樹脂組成物、感光性組成物、または粘着剤から形成されてなることが好ましい。被膜は、通常基材(基板)上に形成する。被膜は、例えば、ハードコート層、トップコート層、各種積層体の中間層などの塗膜層、粘着剤層等が挙げられる。
前記ハードコート層、トップコート層、各種積層体の中間層などの被膜は、例えばディスプレイ用材料、センサー用材料、光学制御材料、各種産業用被覆材、自動車用部品、家電製品、住宅等の建材、トイレタリー用品などの用途で、基材などに塗工して紫外線を遮蔽する膜を形成し、有機材料などの劣化を抑制することができる。
前記粘着剤層は、例えば、剥離シート上に塗工し、乾燥することで粘着剤層を形成し、粘着剤層上に基材を貼り合わせて粘着シートを作製できる。
本明細書の粘着シートは、例えばディスプレイ(例えば、テレビ、パソコン、スマホ等)や自動車用部品、センサー用部材、家電製品、住宅等の建材、ガラス中間膜用途などの用途で、各基材に貼り合わせる使用することが好ましい。粘着シートは、本発明の紫外線吸収剤を含むことで、バックライトや太陽光に含まれる紫外線や可視光の短波長領域の光を吸収し、目や人体への悪影響を抑制することやディスプレイの表示素子の劣化を抑制することができる。なお、シート、フィルムおよびテープは同義語である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は実施例に限定されない。また、「質量部」は「部」、「質量%」は「%」と記載する。
<紫外線吸収性化合物(A-1)の製造方法>
300mL三角フラスコに、ベンゼンを107部、2-クロロ-4,6-ジメトキシー1,3,5-トリアジンを8部仕込み、撹拌して懸濁させた。次に、氷水で冷却しながら、塩化アルミニウム12.2部を少しずつ添加した。その後、徐々に室温に戻しながら終夜撹拌し、反応液(A’-1)を得た。一方、500mLビーカーに水を38.1部、35%塩酸を10.0部、メタノールを45.0部仕込み、反応液(A’-1)を少しずつ滴下した。30分攪拌後、ろ別し、化合物(A-1)を含むウェットケーキ(a-1)を得た。
(紫外線吸収性化合物A-1)
Figure 2023012693000005
<紫外線吸収剤1の製造方法>
[紫外線吸収剤1]
前記ウェットケーキ(a-1)に、メタノール45gをふりかけ洗浄し、濾別してウェットケーキ(a-2)を得た。得られたウェットケーキを80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-1)を含む紫外線吸収剤1を得た。

(化合物の同定方法)本発明に用いた紫外線吸収性化合物(A)の同定には、NMRを用いた。
<測定条件>
装置:BRUKER AVANCE400
共振周波数:400MHz(1H-NMR)
溶媒:ジメチルスルホキシド-d
1H-NMRの内部標準物質として、テトラメチルシランを用い、ケミカルシフト値はδ値(ppm)、カップリング定数はHertzで示した。またsはsinglet、dはdoublet、tはtriplet、mはmultipletの略とする。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ=8.28(d,J=8.4Hz,2H),7.51(t,J=8.3Hz,2H),7.41(t,J=8.0Hz,1H),3.83(s,6H)
上記の通り、紫外線吸収性化合物(A-1)のNMR測定を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。他の紫外線吸収性化合物も上記同様にNMRで構造同定を行った。なお、データは省略する。
<金属成分の測定方法>
本発明の紫外線吸収剤(1~24)及び比較材料(1~13)の金属成分(B)中の金属原子量の測定には、ICP発光分析を用いた。
<測定条件>
紫外線吸収剤1を約0.2g精秤し、マイクロウェーブ試料前処理装置(Milestone General社製 MLS-1200MEGA)で分解処理(分解試薬として精密分析用硝酸2mLを添加)を行った。次いで 得られた分解液に超純水を加え、濾過した後の濾液25mLをメスフラスコで定容する。 この溶液をICP発光分析(バリアン社製、720-ES ICP オプティカル・エミッション・スペクトロメーター)で測定し、金属イオンを定量した。尚、本実施例で示す金属成分(B)中の金属原子の含有量とは、Na、Mg、Al、K、Ca、およびFeの各イオンの含有量の合計値を意味する。
紫外線吸収剤1の金属分析を行った結果、Na:1431ppm、Mg:835ppm、Al:42749ppm、K:146ppm、Ca:2427ppm、Fe:547ppmの結果が得られた。金属成分(B)中の金属原子の合計値は、48135ppmであった。
[紫外線吸収剤2]
前記ウェットケーキ(a-2)をメタノール100g中に戻して室温で30分リスラリーを行い、濾別してウェットケーキ(a-3)を得た。得られたウェットケーキを80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-1)を含む紫外線吸収剤2を得た。
[紫外線吸収剤3]
前記ウェットケーキ(a-3)を得た後、水45gをふりかけ洗浄し、濾別してウェットケーキ(a-4)を得た。得られたウェットケーキを80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-1)を含む紫外線吸収剤3を得た。
[紫外線吸収剤4]
前記ウェットケーキ(a-4)を水150g中に戻して室温で30分リスラリーを行い、濾別してウェットケーキ(a-5)を得た。得られたウェットケーキを80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-1)を含む紫外線吸収剤4を得た。
<紫外線吸収性化合物(A-2)の製造方法>
(紫外線吸収性化合物A-2)
300mL三角フラスコに、クロロベンゼンを160部、2-クロロー4,6-ジメトキシー1,3,5-トリアジンを8部、塩化アルミニウムを12.2部仕込み、撹拌して懸濁させた。次に、氷水で冷却しながら、フェノールを6.4部、少しずつ添加した。その後、徐々に室温に戻しながら終夜撹拌し、反応液(A’-2)を得た。一方、500mLビーカーに水を38.1部、35%塩酸を10.0部、メタノールを45.0部仕込み、反応液(A’-2)を少しずつ滴下した。30分攪拌後、ろ別し、紫外線吸収性化合物(A-2)を含むウェットケーキ(a-6)を得た。
(紫外線吸収性化合物A-2)
Figure 2023012693000006
<紫外線吸収剤5~8の製造方法>
[紫外線吸収剤5~8]
前記紫外線吸収剤1~4と同様の方法で、ウェットケーキ(a-7)~(a-10)を得て、紫外線吸収性化合物(A-2)を含む紫外線吸収剤5~8を得た。
<紫外線吸収性化合物(A-9)の製造方法>
(紫外線吸収性化合物A-9)
300mL三角フラスコに、クロロベンゼンを160部、2,4-ジクロロ-6-フェニル-1,3,5-トリアジンを8部、塩化アルミニウムを9.4部仕込み、撹拌して懸濁させた。次に、氷水で冷却しながら、3-nーヘキシルオキシフェノールを10.3部、少しずつ添加した。その後、徐々に室温に戻しながら終夜撹拌した。一方、500mLビーカーに水を38.1部、35%塩酸を10.0部、メタノールを45.0部仕込み、先の反応液(A’-9)を少しずつ滴下した。30分攪拌後、ろ別し、紫外線吸収性化合物(A-9)を含むウェットケーキ(a-11)を得た。
(紫外線吸収性化合物A-9)
Figure 2023012693000007
<紫外線吸収剤9~12の製造方法>
[紫外線吸収剤9~12]
前記紫外線吸収剤1~4と同様の方法で、ウェットケーキ(a-12)~(a-15)を得て、紫外線吸収性化合物(A-9)を含む紫外線吸収剤9~12を得た。
<紫外線吸収性化合物(A-12)の製造方法>
(紫外線吸収性化合物A-12)
300mL三角フラスコに、クロロベンゼンを160部、塩化シアヌルを8部、塩化アルミニウムを17.4部仕込み、撹拌して懸濁させた。次に、氷水で冷却しながら、2-メチル-3-n-ヘキシルオキシフェノールを31.6部、少しずつ添加した。その後、徐々に室温に戻しながら終夜撹拌した。一方、500mLビーカーに水を38.1部、35%塩酸を10.0部、メタノールを45.0部仕込み、先の反応液(A’-12)を少しずつ滴下した。30分攪拌後、ろ別し、紫外線吸収性化合物(A-12)を含むウェットケーキ(a-16)を得た。
(紫外線吸収性化合物A-12)
Figure 2023012693000008
<紫外線吸収剤13~16の製造方法>
[紫外線吸収剤13~16]
前記紫外線吸収剤1~4と同様の方法で、ウェットケーキ(a-17)~(a-20)を得て、紫外線吸収性化合物(A-12)を含む紫外線吸収剤13~16を得た。
<紫外線吸収性化合物(A-5)の製造方法>
(紫外線吸収性化合物A-19)
300mL三角フラスコに、クロロベンゼンを160部、塩化シアヌルを8部、塩化アルミニウムを17.4部仕込み、撹拌して懸濁させた。次に、氷水で冷却しながら、2-ナフトールを21.9部、少しずつ添加した。その後、徐々に室温に戻しながら終夜撹拌した。一方、500mLビーカーに水を38.1部、35%塩酸を10.0部、メタノールを45.0部仕込み、先の反応液(A’-19)を少しずつ滴下した。30分攪拌後、ろ別し、紫外線吸収性化合物(A-19)を含むウェットケーキ(a-21)を得た。
(紫外線吸収性化合物A-19)
Figure 2023012693000009
<紫外線吸収剤17~20の製造方法>
[紫外線吸収剤17~20]
前記紫外線吸収剤1~4と同様の方法で、ウェットケーキ(a-22)~(a-25)を得て、紫外線吸収性化合物(A-19)を含む紫外線吸収剤17~20を得た。
<紫外線吸収性化合物(A-20)の製造方法>
(紫外線吸収性化合物A-20)
300mL三角フラスコに、クロロベンゼンを160部、塩化シアヌルを8部、塩化アルミニウムを17.4部仕込み、撹拌して懸濁させた。次に、氷水で冷却しながら、2,6-ジヒドロキシナフタレンを24.3部、少しずつ添加した。その後、徐々に室温に戻しながら終夜撹拌した。一方、500mLビーカーに水を38.1部、35%塩酸を10.0部、メタノールを45.0部仕込み、先の反応液(A’-20)を少しずつ滴下した。30分攪拌後、ろ別し、紫外線吸収性化合物(A-20)を含むウェットケーキ(a-26)を得た。
(紫外線吸収性化合物A-20)
Figure 2023012693000010
<紫外線吸収剤21~24の製造方法>
[紫外線吸収剤21~24]
前記紫外線吸収剤1~4と同様の方法で、ウェットケーキ(a-27)~(a-30)を得て、紫外線吸収性化合物(A-20)を含む紫外線吸収剤21~24を得た。
<比較材料1の製造方法>
[比較材料1]
前記ウェットケーキ(a-1)を80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-1)を含む比較材料1を得た。
<比較材料2の製造方法>
[比較材料2]
前記反応液(A’-1)に水を加えて抽出・分液操作を行い、得られた有機層に5%重曹水と飽和食塩水を加えて分液した。得られた有機層を減圧濃縮し比較材料2を得た。
<比較材料3の製造方法>
[比較材料3]
前記ウェットケーキ(a-6)を80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-2)を含む比較材料3を得た。
<比較材料4の製造方法>
[比較材料4]
前記反応液(A’-2)に水を加えて抽出・分液操作を行い、得られた有機層に5%重曹水と飽和食塩水を加えて分液した。得られた有機層を減圧濃縮し比較材料4を得た。
<比較材料5の製造方法>
[比較材料5]
前記ウェットケーキ(a-11)を80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-9)を含む比較材料5を得た。
<比較材料6の製造方法>
[比較材料6]
前記反応液(A’-9)に水を加えて抽出・分液操作を行い、得られた有機層に5%重曹水と飽和食塩水を加えて分液した。得られた有機層を減圧濃縮し比較材料6を得た。
<比較材料7の製造方法>
[比較材7]
前記ウェットケーキ(a-16)を80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-12)を含む比較材料7を得た。
<比較材料8の製造方法>
[比較材料8]
前記反応液(A’-12)に水を加えて抽出・分液操作を行い、得られた有機層に5%重曹水と飽和食塩水を加えて分液した。得られた有機層を減圧濃縮し比較材料8を得た。
<比較材料9の製造方法>
[比較材9]
前記ウェットケーキ(a-21)を80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-18)を含む比較材料9を得た。
<比較材料10の製造方法>
[比較材料10]
前記反応液(A’-19)に水を加えて抽出・分液操作を行い、得られた有機層に5%重曹水と飽和食塩水を加えて分液した。得られた有機層を減圧濃縮し比較材料10を得た。
<比較材料11の製造方法>
[比較材11]
前記ウェットケーキ(a-26)を80℃で終夜乾燥し、紫外線吸収性化合物(A-19)を含む比較材料11を得た。
<比較材料12の製造方法>
[比較材料12]
前記反応液(A’-20)に水を加えて抽出・分液操作を行い、得られた有機層に5%重曹水と飽和食塩水を加えて分液した。得られた有機層を減圧濃縮し比較材料12を得た。
<比較材料13>
紫外線吸収剤としてTINUVIN 326(BASFジャパン社製、ベンゾトリアゾール系)を使用した。
紫外線吸収剤1以外の紫外線吸収剤は、紫外線吸収剤1の場合と同様にICP発光分析による金属原子含有量の測定を行った。結果を表1に記載する。
Figure 2023012693000011
<溶液分光>
(実施例1-1~1-24、比較例1-1~1-13)
前記紫外線吸収剤1~24、比較材料1~13について、紫外~可視吸収スペクトルを測定した。結果を表2に示す。また、吸光度測定用の溶液調整方法、および測定条件は以下の通りである。
<溶液調整方法>
(実施例1-1)
紫外線吸収剤1を1部、テトラヒドロフラン1000部を混合し、完全に溶解させた。続いて先の溶解液2部、テトラヒドロフラン98部を均一に混合し、濃度20ppmの溶液を調整した。
紫外線吸収剤2~24、比較材料1~13についても、表2に記載の濃度になるように調整した。
<測定条件>
装置:U-3500(日立製作所社製)
測定波長:200~ 700nm
溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:表1に記載
極大吸収波長:波長250~450nmのうち最も長波長の極大吸収波長
紫外~可視吸収スペクトルの評価基準は以下の通りである。
◎:極大吸収波長の吸光度が0.8以上
〇:極大吸収波長の吸光度が0.4以上、0.8未満
△:極大吸収波長の吸光度が0.2以上、0.4未満
×:極大吸収波長の吸光度が0.2未満
Figure 2023012693000012
表2の結果から紫外線吸収剤1~24、比較材料1~13は極大吸収波長が波長250~450nmの領域に存在し、全て波長400nm未満の紫外光領域にも吸収を持つため、紫外線吸収剤として利用できることがわかった。また、表2に示す通り、金属成分が50000ppm以下だと、極大吸収波長の吸光度が高く、吸収性が良好であることがわかった。さらに、金属成分が10000ppm以下では、より吸収性が良好であった。
<成形体>
実施例で使用した熱可塑性樹脂を以下に示す。
(F-1)ポリエチレン(サンテックLD M2270、MFR=7g/10min、旭化成ケミカルズ社製)
(F-2-2)ポリエチレン(ノバテックUJ790、MFR=50g/10min、日本ポリエチレン社製)
(F-3)ポリプロピレン(ノバテックPP FA3EB、MFR=10.5g/10min、日本ポリプロ社製)
(F-4)ポリプロピレン(プライムポリプロJ226T、MFR=20g/10min、プライムポリマー社製)
(G-1)ポリエステルMA-2101M(ポリエステル、ユニチカ社製、結晶性樹脂、融点264℃、MFR45g/10min(280℃/2.16kg))
(G-2)ユーピロンS-3000(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度145℃、MFR15g/10min(300℃/1.2kg))
(G-3)トパス6013M-07(シクロオレフィン樹脂、ポリプラスチックス社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度142℃、MFR13g/10min(260℃/2.16kg))
(G-4)アペル(シクロオレフィン樹脂、三井化学社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度135℃、MFR11g/10min以上(260℃/2.16kg))
(G-5)アミランCM3001-N(ポリアミド、東レ社製、結晶性樹脂、融点265℃、MFR7g/10min以上(235℃/2.16kg))
(G-6)ULTEM(ポリエーテルイミド、サウジ基礎産業公社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度217℃、MFR8g/10min以上(337℃/6.6kg))
実施例で使用した液体樹脂を以下に示す。
(H-1):ユニオールD-1200(日油社製、ポリアルキレングリコール樹脂、ポリプロピレングリコール樹脂、数平均分子量1200、粘度200mPa・s)
(H-2):PEG-400(三洋化成工業社製、ポリアルキレングリコール樹脂、ポリプロピレングリコール樹脂、数平均分子量400、粘度90mPa・s)
(H-3):ユニオールD-400(日油社製、ポリアルキレングリコール樹脂、ポリプロピレングリコール樹脂、数平均分子量400、粘度100mPa・s)
(H-4):アデカサイザーRS-107(ADEKA社製、エーテルエステル樹脂、アジピン酸エーテルエステル樹脂、数平均分子量430、粘度20mPa・s)
(H-5):アデカサイザーRS-700(ADEKA社製、エーテルエステル樹脂、数平均分子量550、粘度30mPa・s)
(H-6):アデカサイザーPN-250(ADEKA社製、脂肪酸ポリエステル、アジピン酸ポリエステル、数平均分子量2100、粘度4,500mPa・s)
(H-7):アデカサイザーPN-350(ADEKA社製、脂肪酸ポリエステル、アジピン酸ポリエステル、数平均分子量4500、粘度10,000mPa・s)
実施例で使用した可塑剤を以下に示す。
(I-1)トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート
(I-2)トリエチレングリコール-ジ-n-ヘプタノエート
(実施例2-1)
<マスターバッチの製造>
紫外線吸収性剤1を2部と、ポリオレフィン樹脂(F-1)98部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、240℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチ(K-1)を作製した。
<フィルム成形>
希釈樹脂のポリオレフィン樹脂(F-1)90部に対して、得られたマスターバッチ(D-1)10部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機社製)を用いて、温度180℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルム(X-1)を成形した。
(実施例2-2~2-24、比較例2-1~2-13)
実施例2-1と同様に、表3記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(X-2)~(X-24)、(XX-1)~(XX-13)を成形した。
[紫外線吸収性]
得られたフィルムの吸光度を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて測定し、以下の条件を満たすか否かを評価した。
◎:極大吸収波長の吸光度が2.0以上:良好
〇:極大吸収波長の吸光度が1.0以上、2.0未満:実用域
△:極大吸収波長の吸光度が0.5以上、1.0未満:実用不可
×:極大吸収波長の吸光度が0.5未満:実用不可
[耐光性]
得られたフィルムをキセノンウェザーメーターで、300~400nmが60W/mの照度で1000時間暴露した。暴露前のフィルムと比較し下記基準で評価した。
〇:極大吸収波長の吸光度の減少率が10%未満
△:極大吸収波長の吸光度の減少率が10%以上、30%未満
×:極大吸収波長の吸光度の減少率が30%以上
[マイグレーション評価]
得られたフィルムを軟質塩化ビニルシートで挟み、熱プレス機を使用して圧力100g/cm・温度170℃30秒間の条件で加熱圧着した。次いで、直ちにフィルムを外して軟質塩化ビニルシートへのマイグレーションを紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて評価した。評価は、上記の処理を行った軟質塩化ビニルシート上の場所5点を選び、紫外領域の吸光度を測定し、その平均を算出することで行った。
○:250~450nmにおける吸光度が検出されない(0.05以下)。
△:250~450nmにおける吸光度が0.05以上0.2以下。
×:250~450nmにおける吸光度が0.2以上。
Figure 2023012693000013
(実施例2-25)
<マスターバッチの製造>
紫外線吸収剤1を2部と、ポリエステル(G-1)98部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、240℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチ(K-25)を作製した。
<フィルム成形>
希釈樹脂のポリエステル(G-1)90部に対して、得られたマスターバッチ(K-25)10部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機社製)を用いて、温度180℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルム(X-25)を成形した。
(実施例2-26~2-48、比較例2-14~2-26)
実施例2-25と同様に、表4-1記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(X-26)~(X-48)、(XX-14)~(XX-26)を成形した。
(実施例2-49)
<液状マスターバッチの製造>
紫外線吸収剤1を10部と、液体樹脂(H-1)90部とをロールで混錬することにより、液状マスターバッチ(K-49)を作製した。
<フィルム成形>
希釈樹脂の熱可塑性樹脂(G-1)98部に対して、得られた液状マスターバッチ(K-49)2部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機社製)を用いて、温度300℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルム(X-49)を成形した。
(実施例2-50~2-72)
実施例2-49と同様に、表4-2記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(X-50)~(X-72)を成形した。
(実施例2-73)
<可塑剤分散液の製造>
紫外線吸収剤1を10部と可塑剤(I-1)90部とをビーズ分散することにより、可塑剤分散液を作製した。
<フィルム成形>
希釈樹脂の熱可塑性樹脂(G-1)98部に対して、得られた可塑剤分散液2部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機社製)を用いて、温度280℃で溶融混合し、厚さ250μmのT-ダイフィルム(X-73)を成形した。
(実施例2-74~2-96)
実施例2-74と同様に、表4-2記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(X-74)~(X-96)を成形した。
Figure 2023012693000014
Figure 2023012693000015
Figure 2023012693000016
表3および4に示す通り、本発明の成形体は、紫外線吸収性が高く、耐光性が高い。また、実用域に至る添加量でマイグレーションが少ないことがわかった。
(実施例3-1)
<マスターバッチの製造>
紫外線吸収性剤1を2部と熱可塑性樹脂(G-1)98部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、300℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチ(K-25)を作製した。
<フィルム成形>
希釈樹脂の熱可塑性樹脂(G-1)90部に対して、得られたマスターバッチ(K-25)10部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機社製)を用いて、温度300℃で溶融混合した。次いで、20分間300℃で滞留させた。その後、厚さ250μmのフィルム(Y-1)を成形した。
(実施例3-2~3-72、比較例3-1~3-13)
実施例3-1と同様に、表2記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(Y-2)~(Y-72)、(YY-1)~(YY-13)を成形した。
[滞留後の紫外線吸収性]
得られたフィルムの透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて測定し、以下の条件を満たすか否かを評価した。
◎:極大吸収波長の吸光度が2.0以上:良好
〇:極大吸収波長の吸光度が1.0以上、2.0未満:実用域
△:極大吸収波長の吸光度が0.5以上、1.0未満:実用不可
×:極大吸収波長の吸光度が0.5未満:実用不可
[耐熱性]
得られたフィルム(Y-1)~(Y-72)について、実施例(2-25)~(2-96)、比較例(2-14)~(2-26)で得られたフィルム(X-25)~(X-96)、(XX-14)~(XX-26)との極大吸収波長の吸光度の変化率を比較し評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:極大吸収波長の吸光度の変化率が98%以上:良好
〇:極大吸収波長の吸光度が95%以上、98%未満:実用域
△:極大吸収波長の吸光度が90%以上、95%未満:実用不可
×:極大吸収波長の吸光度が90%未満:実用不可
なお、実施例3-1~3-72および比較例3-1~3-13の原料および配合比は、それぞれ実施例2-25~2-96および比較例2-14~2-26と同一であるため表5には結果のみを記載する。
Figure 2023012693000017
表5に示す通り、本発明の紫外線吸収剤を用いたフィルム(成形体)は、フィルム成形時の溶融混合時の滞留時間による紫外線吸収性の変化率が小さい。よって良好な耐熱性を保有していることが確認された。
<塗料>
(実施例4-1)
以下の組成で撹拌混合を行い、塗料を調整した。
紫外線吸収剤1 0.5部
ポリエステル(バイロンGK250、東洋紡社製) 9.5部
メチルエチルケトン 90.0部
(実施例4-2~4-24、比較例4-1~4-13)
表6に示すように、実施例4-1と同様に調整し、それぞれ実施例4-2~4-24、比較例4-1~4-13の塗料を得た。
(塗膜の作製)
得られた塗料を厚さ1000μmのガラス基板にバーコーターを用いて乾燥膜厚で10μmとなるよう塗布し、100℃2分で乾燥させて塗膜を形成した。
(塗膜の評価)
得られた塗膜を、以下の方法で評価した。
[紫外線吸収性]
得られた塗膜の透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて測定し、以下の条件を満たすか否かを評価した。
◎:極大吸収波長の吸光度が2.0以上:良好
〇:極大吸収波長の吸光度が1.0以上、2.0未満:実用域
△:極大吸収波長の吸光度が0.5以上、1.0未満:実用不可
×:極大吸収波長の吸光度が0.5未満:実用不可
[耐光性]
得られた塗膜をキセノンウェザーメーターで、300~400nmが60W/mの照度で1000時間暴露した。
〇:極大吸収波長の吸光度の減少率が10%未満
△:極大吸収波長の吸光度の減少率が10%以上、30%未満
×:極大吸収波長の吸光度の減少率が30%以上
[マイグレーション評価]
得られた塗膜を軟質塩化ビニルシートで挟み、熱プレス機を使用して圧力100g/cm・温度170℃30秒間の条件で加熱圧着した。次いで、直ちにフィルムを外して軟質塩化ビニルシートへのマイグレーションを紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて評価した。評価は、上記の処理を行った軟質塩化ビニルシート上の場所5点を選び、紫外領域の吸光度を測定し、その平均を算出することで行った。
○:250~450nmにおける吸光度が検出されない(0.05以下)。
△:250~450nmにおける吸光度が0.05以上0.2以下。
×:250~450nmにおける吸光度が0.2以上。
Figure 2023012693000018
表6に示す通り、本発明の塗膜は、紫外線吸収性が高く、耐光性が高い。また、実用域に至る添加量でマイグレーションが少ないことがわかった。
<光硬化性組成物>
(実施例5-1)
以下の組成で、各原料を撹拌混合し、光硬化性組成物を調整した。
紫外線吸収剤1 1.0部
光重合性化合物(多官能アクリレート「KAYARAD DPHA」日本化薬社製)
18.0部
光重合開始剤(IGM ResinBV製「Omnirad184」)1.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
(実施例5-2~6-24、比較例5-1~5-13)
表7に示すように、実施例5-1と同様に調整し、それぞれ実施例5-2~5-24、比較例5-1~5-13の光硬化性組成物を得た。
(塗膜の作製)
上記の光硬化性組成物をバーコーターを用いて厚さ1mmのガラス基板に乾燥膜厚で10μmとなるよう塗布した。得られた塗布層を、100℃1分で乾燥したのち、高圧水銀ランプで400mJ/cm2の紫外線を照射して硬化し塗工物を作製した。
(塗膜の評価)
得られた塗膜を、以下の方法で評価した。
[紫外線吸収性]
得られた塗工物の透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて測定し、以下の条件を満たすか否かを評価した。
◎:極大吸収波長の吸光度が2.0以上:良好
〇:極大吸収波長の吸光度が1.0以上、2.0未満:実用域
△:極大吸収波長の吸光度が0.5以上、1.0未満:実用不可
×:極大吸収波長の吸光度が0.5未満:実用不可
[耐光性]
得られた塗工物をキセノンウェザーメーターで、300~400nmが60W/m2の照度で1000時間暴露した。
〇:極大吸収波長の吸光度の減少率が10%未満
△:極大吸収波長の吸光度の減少率が10%以上、30%未満
×:極大吸収波長の吸光度の減少率が30%以上
[マイグレーション評価]
得られた塗工物を軟質塩化ビニルシートで挟み、熱プレス機を使用して圧力100g/cm・温度170℃30秒間の条件で加熱圧着した。次いで、直ちにフィルムを外して軟質塩化ビニルシートへのマイグレーションを紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて評価した。評価は、上記の処理を行った軟質塩化ビニルシート上の場所5点を選び、紫外領域の吸光度を測定し、その平均を算出することで行った。
○:250~450nmにおける吸光度が検出されない(0.05以下)。
△:250~450nmにおける吸光度が0.05以上0.2以下。
×:250~450nmにおける吸光度が0.2以上。
Figure 2023012693000019
表7に示す通り、本発明の塗膜は、紫外線吸収性が高く、耐光性が高い。また、実用域に至る添加量でマイグレーションが少ないことがわかった。
<粘着剤>
(粘着性樹脂の製造例L-1)
攪拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた反応装置を使用して、窒素雰囲気下にてn-ブチルアクリレート96.0部と、2-ヒドロキシルエチルアクリレート4.0部の合計量のうちの50%、及び重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリルを0.2部、溶剤として酢酸エチルを150部反応槽に仕込み、前記合計量の残りの50%と適量の酢酸エチルを滴下槽に仕込んだ。次いで、加熱を開始して反応槽内での反応開始を確認してから、還流下、滴下管の内容物、及び0.01部の2,2’-アゾビスイソブチルニトリルの酢酸エチル希釈液を滴下した。滴下終了後、還流状態を維持したまま5時間反応を行った。反応終了後、冷却し、適量の酢酸エチルを添加することで、アクリル系樹脂である粘着性樹脂の製造例F-1を得た。得られた製造例F-1の粘着剤樹脂の重量平均分子量は50万、不揮発分は40%、粘度は3,200mPa・sであった。
(粘着性樹脂の製造例L-2)
攪拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた反応装置を使用して、窒素雰囲気下にてn-ブチルアクリレート96.0部と、アクリル酸4.0部の合計量のうちの50%、及び重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリルを0.2部、溶剤として酢酸エチルを150部反応槽に仕込み、前記合計量の残りの50%と適量の酢酸エチルを滴下槽に仕込んだ。次いで、加熱を開始して反応槽内での反応開始を確認してから、還流下、滴下管の内容物、及び0.01部の2,2’-アゾビスイソブチルニトリルの酢酸エチル希釈液を滴下した。滴下終了後、還流状態を維持したまま5時間反応を行った。反応終了後、冷却し、適量の酢酸エチルを添加することで、アクリル系樹脂である粘着性樹脂の製造例F-2を得た。得られた製造例F-2の粘着剤樹脂の重量平均分子量は60万、不揮発分は40%、粘度は4,000mPa・sであった。
(実施例6-1)
粘着性樹脂として、製造例F-1の粘着性樹脂の不揮発分100部に対して、紫外線吸収剤1を1.0部を混合し、シランカップリング剤としてKBM-403(信越化学工業製)を0.1部、硬化剤としてトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(略号:TDI-TMP、NCO価=13.2、不揮発分=75%)を0.4部加え、よく攪拌し粘着剤を得た。その後、この粘着剤を厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート基材の剥離フィルム上に、乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、100℃の熱風オーブンで2分間乾燥させた。そして、粘着剤層側に25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せ、この状態で室温にて7日間エージングさせ、粘着シートを得た。
(実施例6-2~6-24、比較例6-1~6-13)
表8に示すように、実施例6-1と同様に調整して、それぞれ実施例6-2~6-24、比較例6-1~6-13の粘着シートを得た。
(粘着シートの評価)
[粘着力]
得られた粘着シートを幅25mm・縦150mmの大きさに準備した。23℃、相対湿度50%雰囲気下、前記粘着シートから剥離性フィルムを剥がして露出した粘着剤層をガラス板に貼り付け、2kgロールで1往復圧着した。24時間放置した後に引張試験機を用いて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験において粘着力を測定し、下記の評価基準に基づいて評価を行った。(JIS Z0237:2000に準拠)
○:「粘着力が10N/25mm以上である。
×:「粘着力が10N/25mm未満である。
[保持力]
得られた粘着シートを幅25mm・縦150mmの大きさに準備した。JIS Z0237:2000に準拠して前記粘着シートから剥離性シートを剥がして、研磨した幅30mm・縦150mmのステンレス板の下端部幅25mm・横25mmの部分に粘着剤層を貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、40℃雰囲気で1kgの荷重をかけ、7万秒放置することで保持力を測定した。評価は、粘着シート貼付面上端部が下にずれた長さを測定した。
評価基準
○:「粘着シートのずれた長さが0.5mm未満である。良好。
×:「粘着シートのずれた長さが0.5mm以上である。実用不可。
[紫外線吸収性]
得られた粘着シートの透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて測定し、以下の条件を満たすか否かを評価した。
◎:極大吸収波長の吸光度が2.0以上:良好
〇:極大吸収波長の吸光度が1.0以上、2.0未満:実用域
△:極大吸収波長の吸光度が0.5以上、1.0未満:実用不可
×:極大吸収波長の吸光度が0.5未満:実用不可
[耐光性]
得られた粘着シートをキセノンウェザーメーターで、300~400nmが60W/m2の照度で1000時間暴露した。
〇:極大吸収波長の吸光度の減少率が10%未満
△:極大吸収波長の吸光度の減少率が10%以上、30%未満
×:極大吸収波長の吸光度の減少率が30%以上
[マイグレーション評価]
得られた粘着シートを軟質塩化ビニルシートで挟み、熱プレス機を使用して圧力100g/cm・温度170℃30秒間の条件で加熱圧着した。次いで、直ちにフィルムを外して軟質塩化ビニルシートへのマイグレーションを紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて評価した。評価は、上記の処理を行った軟質塩化ビニルシート上の場所5点を選び、紫外領域の吸光度を測定し、その平均を算出することで行った。
○:250~450nmにおける吸光度が検出されない(0.05以下)。
△:250~450nmにおける吸光度が0.05以上0.2以下。
×:250~450nmにおける吸光度が0.2以上。
Figure 2023012693000020
表8に示す通り、本発明の粘着シートは、紫外線吸収性が高く、耐光性が高い。また、実用域に至る添加量でマイグレーションが少ないことがわかった。

Claims (11)

  1. トリアジン骨格を有する紫外線吸収性化合物(A)、ならびにNa、Mg、Al、K、Ca、およびFeから選ばれる1種以上の金属原子を含む金属成分(B)を含み、紫外線吸収性化合物(A)および金属成分(B)の合計量中、前記金属原子の含有量が0.1ppm以上50000ppm以下である、紫外線吸収剤。
  2. 前記紫外線吸収性化合物(A)は、トリアジン骨格に対し、水酸基を有する炭素数5~60の芳香族炭化水素環、または芳香族複素環が1つ以上直接結合する化合物である、請求項1に記載の紫外線吸収剤。
  3. 前記紫外線吸収性化合物(A)は、波長200~700nmで最も長波長側にある極大吸収波長が波長320nm~450nmに有する化合物である、請求項1~2いずれか1項に記載の紫外線吸収剤。
  4. 前記紫外線吸収性化合物(A)は、前記芳香族炭化水素環がナフタレン環である、請求項1~3いずれか1項に記載の紫外線吸収剤。
  5. 前記金属成分(B)中の金属原子がAlである、請求項1~4いずれか1項に記載の紫外線吸収剤。
  6. 請求項1~5いずれか1項に記載の紫外線吸収剤および樹脂を含む、樹脂組成物。
  7. 前記樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項6記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1~5いずれか1項に記載の紫外線吸収剤、光重合性化合物および光重合開始剤を含む、感光性組成物。
  9. 請求項1~5いずれか1項に記載の紫外線吸収剤を含む、粘着剤。
  10. 請求項7記載の樹脂組成物、請求項8記載の感光性組成物、または請求項9記載の粘着剤から形成されてなる、被膜。
  11. 請求項7記載の樹脂組成物、または請求項8記載の感光性組成物から成形されてなる、成形体。
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